本会議会議録


質問文書

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令和2年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

桜井 勝郎 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/07/2020

会派名:

無所属


質疑・質問事項:

1 リニア中央新幹線トンネル工事における諸課題について
(1) 大井川の水がれ問題
(2) 田代ダムにおける毎秒四.九九トンの水利権更新
(3) 大井川上流部を管理する県の重金属に対する考え
(4) リニア中央新幹線の必要性についての知事の考え


○副議長 (良知淳行君)  ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、 二十一番 桜井勝郎君。
        (二十一番 桜井勝郎君登壇 拍手)
○二十一番 (桜井勝郎君)  私は、 静岡県議会議員として県政の諸課題について通告に従い一括質問方式にて知事、 副知事、 関係部局長に伺います。
 まず、 知事の過去の一連の発言を指摘しないとリニアに関わる四つの質問が生きてきませんので、 前段が多少長くなることを御容赦ください。
 綸言汗のごとし、 これは中国歴史上の格言であります。 権力者の発言は、 かいてしまった汗のように元に戻すことはできないという意味であります。 もちろん学者であり学問を究めた川勝知事には説明するまでもないと承知しておりますが、 その本質は権力者の軽率な発言やその訂正をいさめるということであります。
 ところが、 古来より格言の本質から外れ権力者の権威を保つため、 その発言は絶対に間違いがないとされ臣下が疑念や異議を差し挟むことはタブーとなりました。 一旦権力者から発せられた言葉は仮に誤りがあっても訂正することができなくなったのであります。 この状況は今の静岡県という組織を表しているように感じられてなりません。
 本議会で私が何度も申し上げているように、 あなたは過去にJALへの搭乗率補償金を絶対に払わんと言って訴えられ、 沼津市の鉄道高架事業ではJR貨物駅なんて要らないと言って着工を大幅に遅らせ味方であった反対住民からも訴えられたり、 歯医者の看板が気に入らないだけなのに御幸通りの景観が悪いと静岡市にいちゃもんをつけ、 最近では住民投票条例を否決した静岡市議会を批判し三島の再開発事業にまで口出しして市町の政策に一々干渉し、 時には少数派である反対派をあおったりするなど静岡県知事の発言としては眉をひそめることばかりです。
 あなたは平成二十九年一月のテレビ番組で、 県議会は職業政治屋がやっている、 権力欲とか金銭欲しかないような見るからに表情が腐っている人たちがいっぱいいると言って物議も醸し、 結局は綸言汗のごとしという自分の都合のいい部分だけを引用して言い訳に使いそのまま撤回もせずうやむやになってしまったことがありました。
 あなたは学問を究めた方でありますので、 歴史上の人物や世界の著名人の名文や言葉あるいは格言を引用して我々学問のない人間を煙に巻いてしまう。 その後づけの言い訳は天下一品であると言われております。
 昨年十二月にも、 自民改革会議にはやくざ、 ごろつきがいる、 挙げ句の果てに図書館周辺整備に反対するやつらは県会議員の資格がないと、 つい油断して同僚議員に本音を出してしまったのであります。 やくざ、 ごろつきなんていう言葉はその道の者かチンピラ、 あるいは半世紀前の過激な学生運動の内ゲバ闘争によく使われた言葉でありまして、 良識ある市民生活ではふだん使われないこんな言葉を学問を究め知的文化人と言われているあなたが使うとは驚きであります。 まさかあなたが、 その当時の学生運動に関わっていたのではないでしょうね。 そうは思いたくありません。
 反対するやつらは議員の資格がないと言っておきながら、 議会でこんなすばらしい答弁をなさっています。 県議会議員の皆様とは共に二元代表制を担う立場でございます、 互いの意見を尊重しつつ議論すべきことは堂々と議論を交わす云々と言っているのです。 これを二枚舌と言うのです。
 当初はごろつき発言を全否定しましたが、 マスコミに録音されてしまったためお得意の後づけの言い訳も通用せず当初予算案の審議も控えているせいか謝罪、 撤回に追い込まれてしまったのであります。
 これで懲りたと思いきやリニアに絡んで三重県知事に対してうそつきは泥棒の始まりと言い、 国交省の幹部に小童役人と罵ったり、 今後一切不適切発言はしないと誓ったにもかかわらず、 またまた今年十月に入って内閣総理大臣菅義偉氏の日本学術会議の人選に関連して総理を呼び捨てにした上、 総理の履歴を秋田から出てきて学問でなく学位のために大学を出た、 それも夜学じゃないかと言ってしまった。 揚げ句に菅義偉という人物の教養レベルが露見した、 学問立国である日本に泥を塗った行為と厳しく批判しています。
 あなたの過去の発言を見ると、 ほとんど事前調査もせず思い込みや思いつき、 好き嫌い、 自分の価値観中心で発言する癖があるように思います。 マスコミはじめ一部の方たちは知事には発信力があると評価されていますが見当違いも甚だしいのです。 その発言でどれだけの市町、 県民が大迷惑を被ったか。 一国の総理大臣に対しても敬意を示さないその厚顔不遜さは一静岡県民として恥ずかしい限りであります。 何度も不適切な発言を繰り返すあなたに学習能力があるのでしょうか。 よくぞそれで学位を取った者を軽蔑できますね。
 日本学術会議は、 リベラルとか進歩的文化人と称する政府に非協力的な人たちがその運営を仕切っていると聞いております。 彼らは自分たちの考えは絶対であるという自負、 プライドを持っていて妥協というものを好まない人種だと思います。 こうした特徴はまさしく静岡県知事川勝平太そのもののように思えます。 相手から自分の意に反する事実を突きつけられたり自尊心を傷つけられたりすると烈火のごとく怒りをあらわにするのであります。
 私は過去に、 富士山の日の二月二十三日は語呂合わせだ、 いずれ天皇になられる皇太子殿下の誕生日を利用することは何事だと批判したら、 ある会合で隣の市長から知事があんたのことを怒っていると言われ、 そのときの知事の言葉を今でも鮮明に覚えております。 俺に逆らうやつは徹底的に潰すと。 残念ながらまだ私は潰れておりません。 それを聞いていた首長たちは静岡県知事だから敬意を表していますが、 川勝平太個人に対しては厄介な人だなと思ったでしょう。 多くの首長は我が町の利益を考えて面従腹背しているのではないでしょうか。
 人権だとか価値観の多様性を重んずるリベラルで進歩的な文化人と称する方たちは、 過去にはベトナム戦争反対と言いながら時には暴力で平和を唱え、 民主主義を訴えながら当時の共産国家ソ連の核実験は平和のためだから賛成、 民主主義国家アメリカの核実験は反対と叫ぶ。 現在の学術会議もそれに近い集団が日本の国を守るための軍事研究すら拒否するような団体です。
 推薦候補のうち六人の委員が任命されずマスコミも含めて大騒ぎ。 学問の自由が侵されたと総理を非難した知事。 最初は汗と同じで撤回しないと強気でしたが、 多くの県民から批判を受けると六人を外したのは総理が関与していないのが分かったから発言を撤回すると訳の分からん言い訳。 菅総理は自分が任命権者であると認めているのであります。 そしてまた撤回、 謝罪発言について権限、 権力を持つ人には間違っていると思えばはっきり言うとおっしゃっていますが、 知事さん、 あなたも静岡県の権力者なんです。
 私もこれに倣って、 権力者であるあなたには間違っていると思うところはこれまでもはっきりと言わせていただいているのです。 こんなことがありました。 私の知事に対する質問が気に入らないと言って私の部屋に県の幹部二人をよこし、 質問内容の一部を取り消せと強要してきたことがあります。 もちろん私は拒否。 その結果幹部二人は任期半ばで左遷です。 怒ったり牙をむいたりするのは徳のある仏になりたい人のすることではありません。
 さて、 こういう過去の発言の延長線上にあるのが、 これから質問するJR東海のリニア中央新幹線大井川上流下のトンネル工事であります。
 当初その計画について、 静岡県の期待は極めて大きく大規模地震災害時にはいわゆるリタンダシー  代替輸送確保ができて大きな経済効果が生まれます、 静岡県といたしましても南アルプス地域での地質調査等に積極的に協力してまいりたいと発言しているのです。 まさしく当時はリニア推進論者です。 それが今はどうですか。 JR東海の調査資料だけを基にトンネル工事中は湧水が山梨県側に流れるのは絶対認めない、 一滴たりとも外に流れ出ることは認めないとか、 本会議場であなたはリニア新幹線が時速六百キロメートル  実際は最高速度五百キロですけれども  それが擦れ違ったら千二百キロメートルになりジェット機が音速を超えるときと同じように衝撃波が出て被害が出るとか、 電磁波が出て脳に障害が出るとか、 トンネルの中で停電したら凍え死ぬとか、 この人学者なのか学問を究めた人なのか、 よくもこんなことを平気で公の場で発言しますね。 さすがに中央公論には書いてありませんでしたが、 電磁波が出る携帯電話も使えないし長いトンネルを通る現在の新幹線も凍え死ぬ不安があるから乗れませんね。
 こんなたわいのないことまで言ってJR東海に難癖をつける品位品格のなさ。 挙げ句の果てに別のところへトンネルを掘れ、 山梨県あるいは岐阜県、 長野県でUターンしろと言い始めたエゴ丸出しの一貫性のなさ。 東京、 名古屋、 大阪へ直通するリニアができますと災害時のリタンダシー  代替輸送が確保されるとか 「のぞみ」 が廃止されると 「こだま」 の運行が増え静岡、 浜松両駅に 「ひかり」 の停車が増えるとも言ってましたね。 空港新駅もできると言ってましたね。
 以上述べたことを背景にして、 以下の四点について御質問を申し上げます。
 最初に、 リニア中央新幹線トンネル工事における諸課題についてのうち、 大井川の水がれ問題について伺います。
 トンネル工事により南アルプス大井川水系の地下水が毎秒二、 三トン減ることによって約百キロも離れた下流域、 志太榛原中東遠に水がれ等が大きな影響を及ぼすと言われていますが果たしてそうなのでしょうか。 この水がれについて約百年前の丹那トンネル工事による丹那地区や最近の新東名の粟ヶ岳トンネル工事による掛川市北部の倉真地区を引き合いに出され、 県や一部報道機関等は明日にでも水がれが起こるような印象を県民に与え、 あるいは南アルプスの水に関わる景観のよさや自然環境が悪くなるような印象操作を行って県民、 特に大井川流域住民を不安がらせて推進論者がリニア反対をあおってるような感じさえします。
 ちなみに、 トンネル工事によって水がれに遭った丹那トンネル上の丹那盆地は一時は水田やワサビ田が大きな影響を受けましたが当時の国鉄との粘り強い交渉によって箱根山水系から水を引き道路も整備され、 今ではかれたはずの水田が一面に広がり酪農も栄えて、 トンネル工事以前の渇水期には水に困ったこともありましたが今は全くないそうです。 丹那トンネルからの湧水は今でも水質が極めてよく水量も豊富で函南町に一日六万トン、 熱海市に四万トンが命の水として利用され、 今まで水がないため住宅地として向かない台地や傾斜地の開発がこの湧水のおかげで促進され町の発展に大きく寄与されたのです。 また東海道線は丹那トンネルの開通で東京から名古屋、 静岡、 大阪間の距離や時間が大幅に短縮されて日本経済の発展に大きく貢献したのです。
 また、 新東名トンネル工事における掛川市倉真地区の松葉の滝の枯渇問題についても今回のリニア問題に関連づけて過去に起こったこととして取り上げられているだけで、 市でも大きな議論になっていないように見受けられます。
 トンネルを掘れば水が出る、 これはどこでも起こり得ることであります。 今述べた丹那トンネル、 粟ヶ岳トンネルであっても工事施工者との粘り強い交渉により改善され、 現在は水がれの状態ではないのであります。 しかも両地区はトンネルの近くが生活圏でありまして、 約百キロも離れたトンネル工事で下流域の生活圏に水がれが起こるというのは比較対象にはならず個人的にも考えにくいのであります。 それが証拠にトンネル工事に最も近い旧井川村からは水がれについて心配の声すら上がってこないのです。
 それがリニアトンネル工事については、 トンネル工事中の水であっても一滴たりとも外部に流失するのは認めないとか、 県の専門会議を善玉に仕立て上げ国交省の有識者会議を悪玉にする印象操作をしているように県はじめ一部報道機関に見受けられます。 またJR東海を悪者に仕立て上げ、 それでいてJR東海から出された資料だけを基に地質調査であるボーリング調査も一部認めず県独自の調査もせず県民を、 特に大井川流域住民に不安を増幅させるような印象を与え、 リニア建設大推進論者であるあなたがこんなこそくなことをやって命の水だと言っても、 大井川流域住民でもある私には過去のころころ変わる発言暴言を見れば、 あなたが本当に六十二万流域住民のために命をかけて行動しているとはとても思えません。
 トンネル工事を引き延ばそうとする行為は、 過去のあなたの嫌がらせ的な発言や暴言を考えればあざといやり方です。 空港新駅に関わる意趣返しもその一環でしょう。 静岡県はリニア新幹線建設を邪魔しているという県外からの悪評も知事のおごり高ぶった矛盾だらけの発言、 暴言から起因しているのです。 一度しみついた静岡県が邪魔しているというイメージを消し去ることは非常に困難で、 知事のその後の一連の失言暴言またそれに対する言い訳を聞いてかえって静岡県に対する悪いイメージは増幅したでしょう。 我が県のイメージを著しく傷つけているのはあなた個人の資質からきているのです。 汗と違って一度しみついたイメージはあなたがいる限り抜けません。
 さて、 静岡県内のトンネル工事による湧水は全て大井川水系の水でしょうか。 南アルプスは岐阜県、 長野県、 山梨県そして静岡県にまたぎますのでその地下水脈が全て大井川水系に流れ込んでいるとは考えにくく、 トンネル工事によって出てくる湧水も全て大井川水系の水だとする根拠はどこにあるのでしょうか。 地質調査に全面的に協力するとした知事さん、 静岡県で独自に地質調査を行いその結果湧水の全ては六十二万人の命の水だと断言できるその科学的根拠をお示しください。
 最近、 国交省の有識者会議でリニアトンネル工事に関わって中下流域の地下水が上流域の地下水から直接は供給されていないと公表されました。 国交省の報告が科学的に事実であるならば県民、 特に散々不安をあおった下流域の六十二万住民にどう言い訳をするのか見ものであります。
 次に、 田代ダムにおける毎秒四・九九トンの水利権更新について伺います。
 大井川の命の水でありながら、 田代ダムから県外に流れている水は命の水ではないのでしょうか。 なぜこの水には触れようとしないのでしょうか。 なぜあなたはJR東海の水だけにこだわるのでしょうか。 何度も言うようにあなたの私憤に過ぎないのです。 我々地域住民にとってはありがた迷惑です。 大井川流域住民六十二万人の命の水とは大井川水系から出る水全てなのです。 あなたの言葉を借りるならば一滴たりとも県外に流してはならないのです。
 あなたは中央公論で二〇一四年に命の水を守るために立ち上がったと言ってましたね。 その翌年二〇一五年の田代ダム水利権更新の際、 県は東京電力に対して命の水は一滴も譲れないと主張したのでしょうか。 結果は無条件で水利権が延長されています。
 そこで、 田代ダムから早川へ放流されている水を大井川水系へ戻すことについて、 県の考えをお伺いします。
 次に、 大井川上流部を管理する県の重金属に対する考えについてお伺いします。
 知事の過去の発言を見ますと、 大井川流域の燕沢に残土処理することに何の問題もなかったように見受けられましたが、 ここにきて排出土砂の重金属の問題が言われるようになってきました。 JR東海は土砂処理については重金属を含んだ排出土砂が出た場合そうでない土砂と分けて処理するとも言ってますが、 知事は感情的に人命に危険が及ぶような印象を与えております。 しかしながら土壌汚染対策法にのっとって行政区である静岡市に届ければ、 残土の中に重金属が含まれていてもその処理が万全であれば認められます。 全国でもトンネルを掘れば重金属は出ます。 JR東海の排土だからといって住民をあおって嫌がらせをするようことは知事のなさることではありません。 静岡市の判断で済む案件なのに権限もない知事がまたまた重金属を持ち出して下流域住民に不安がらせる、 こういうやり方が正しいのでしょうか。
 大井川上流部を管理している県は重金属に対してどのようなお考えを持っているのでしょうか。 お答えください。
 最後に、 リニア中央新幹線の必要性についての知事の考えを伺います。
 最近、 またまたリニア大推進論者の知事がこのコロナ禍にリニアの必要性に疑問を投げかけました。 知事さん、 水がれから自然環境、 生態系、 重金属そして衝撃波、 電磁波と次から次へと不安材料を出し一滴の水も渡さないと言うのであれば六十二万人の不安を背負うなら、 この際思い切って大井川流域直下のトンネル工事の許可を出さないでリニア計画を潰してしまったらいかがですか。 そうすれば不安材料が一気に解決します。
 リニアトンネル工事の差止め訴訟も起きて、 リニア推進論者のあなたがエールを送っているそうですね。 訴訟団の中には静岡空港反対、 沖縄辺野古基地反対、 東北の瓦礫受入れ反対、 いわゆる市民プロも参加していると聞いています。 知事さん、 この際思い切って、 あなたの支持者も結構いるみたいですから訴訟団の一員に加わったらいかがですか。 訴訟団の皆さんも大喜びです。 リニア大推進論者のあなたにそんな度胸がありますか。
 リニア中央新幹線の必要性について、 知事のお考えを伺います。 以上、 答弁を求めます。
○副議長 (良知淳行君)  川勝知事。
○知事 (川勝平太君)  桜井議員にお答えいたします。
 リニア中央新幹線トンネル工事における諸課題についてのうち、 リニア中央新幹線の必要性についての私の考えであります。
 私は、 一九九〇年代から国土審議会の委員を務めリニア中央新幹線整備を含む国土計画に長く関わりリニア中央新幹線整備に賛成してまいりました。 現在も推進するべきものとの考えに変わりはございません。
 ただし、 大井川流域市町の生活や経済活動に必要不可欠な命の水である大井川の水資源に悪影響を及ぼすということであれば、 これを認めることができません。 またユネスコエコパークに登録されている世界に誇る南アルプスの貴重な自然環境に悪影響を及ぼすということであれば、 これを認めることはできません。
 大事なことはこれをどう両立させるかということでございまして、 一かゼロか二者択一で判断してはいけないということであります。 この問題も議論、 対話を不十分なままリニア中央新幹線が必要か否か、 あるいは許可を出すか出さないかというような単純な判断を拙速にしてはいけないということであります。
 私は、 万機公論に決すという姿勢を大事にしております。 それは議論、 対話を徹底的に行うことであります。 今行うべきことは、 情報をしっかりと把握しそれに基づいて科学的、 技術的に対話を尽くし、 それを地域住民の方々に理解していただくことであるというふうに考えております。
 その他の御質問につきましては、 副知事、 関係部局長から御答弁を差し上げます。
○副議長 (良知淳行君)  難波副知事。
○副知事 (難波喬司君)  リニア中央新幹線トンネル工事における諸課題についてのうち、 田代ダムにおける毎秒四・九九トンの水利権更新についてお答えをいたします。
 まず、 水利権について説明をさせていただきます。
 水利権は河川法第二十三条に基づく水利使用の許可のことです。 この水利権は特定の目的のために河川の流水を排他的、 継続的に利用する権利です。 水利権の許可に当たりましては許可期間が定められています。 最近は大体十年ということですが、 この許可期間は半永久的にその取水等が継続されることを前提としております。 よって許可期間の満了をもって水利権が失効するものではありません。
 水利権は財産権の一種とされており、 公益上一定の制限はあるものの権利として強く保護されている、 そういう性質のものです。 このように、 既に許可され保護されている水の使用権を変更するということがいかに大変かということをまず御理解頂きたいと思います。
 大井川におきましては一九二一年に発電用の取水が許可されました。 このときは二・九二トンでありました。 その後昭和三十九年  一九六四年に毎秒四・九九トンとなりました。 その後田代ダムをはじめとする発電取水による河川流量の減少と河川環境の悪化が問題になったことから、 昭和六十三年の川口発電所の水利権の更新では地元住民などの水返せ運動によって塩郷堰堤からの放流量の増量が発電事業者との協議の上実現いたしました。
 平成十七年度の田代ダムの水利権更新では国、 県、 流域市町、 発電事業者が参加する大井川水利流量調整協議会で重ねて議論し、 取水に優先して放流される河川維持流量について関係者の熱意と相互理解の精神の上でぎりぎりの調整に、 合意に達しました。
 平成二十七年度の田代ダムの水利権更新の際には、 同協議会におきまして河川維持流量の放流による効果についての五年間にわたるモニタリング調査の結果を踏まえ平成十七年度の河川維持流量を踏襲することで合意をいたしました。
 もう一点、 重要なことがございます。 田代ダムの取水口の高さは千三百九十三メートルです。 発電においては毎秒四・九九トンという量だけではなくて高さという面で、 電力事業者においては高いところにある水というのは大変貴重な水です。 既に取得された水利権の変更というのは容易なものではありません。 先人の御努力に敬意を表するとともに、 この先人の努力に対し、 県は東京電力に対して命の水は一滴も譲れないと主張したのかという御発言は県のみならず尽力した流域市町の関係者全員に対しあなた方は尽力したのかと非難しているように聞こえます。
 田代ダムから早川へ放流されている水を大井川水系へ戻すことについて県の考えを伺うことにつきましては、 リニア中央新幹線工事に伴う河川流量減少との関係でお話をされているように思います。 リニア工事によって田代ダムの取水口付近の河川流量は確実に減る予測です。 水利権者である東京電力にも何らかの影響が及ぶ可能性があります。 この問題は河川流量減少の影響を受ける利水者同士である県、 市町、 東京電力間で考える問題ではありません。 影響を与えるJR東海が考える問題です。 県に考えを問うというのは筋違いと考えております。
 県といたしましては、 長い歴史の中で関係者の血のにじむ努力の積み重ねにより成り立っている大井川の水利用が将来にわたって持続可能であるよう、 利水者や流域市町等関係者と連携しまして大井川の水の保全に全力で取り組んでまいります。 以上であります。
○副議長 (良知淳行君)  市川くらし・環境部長。
○くらし・環境部長 (市川敏之君)  リニア中央新幹線トンネル工事における諸問題についてのうち、 大井川の水がれ問題についてお答えいたします。
 大井川の水や南アルプスの自然環境への影響につきまして、 これまでJR東海は精度と適用範囲に問題のある水収支解析モデルを用いているにもかかわらず影響がないという説明をしてきました。 しかしながらこの説明では流域の皆様が抱えている不安を払拭できないため、 県では流域住民や利水者を代表してどのようなリスクが想定されそれをどう回避、 低減するのかというリスクコミュニケーションを行ってまいりました。
 百キロ近くも離れた下流域に水がれ等の大きな影響が及ぶのかという御質問につきましては、 十月二十七日に開催された国の第六回有識者会議で、 中下流域の河川流量が維持されればトンネル掘削による大井川中下流域の地下水量への影響は極めて小さいと考えられることが科学的、 工学的な見地から確認されたという座長コメントが出されました。 しかしながら大井川水系の水は水循環としては連続しておりまして、 座長コメントでは中下流域の河川流量が維持できなければ中下流域の地下水に影響がある可能性を示しております。
 このため、 県といたしましては湧水量の推定と全量戻しの方法につきまして今後もしっかりと議論を注視してまいります。
 次に、 トンネル工事によって出てくる湧水が全て大井川水系の水だとする根拠はどこにあるのかという御質問につきましては、 トンネル内の湧水はトンネル周辺に存在している地下水が直接の流入源であり、 その多くは分水嶺を県境とする県内での降雨を源とする大井川水系の水であるとすることが自然ではないかと考えております。
 また、 県独自の地質調査を行うことにつきましては事業により影響を与える側のJR東海が実施すべきであり、 影響を受ける側の県が自らの負担で行う必要はないと考えております。 このためこれまでに追加のボーリング調査の実施をJR東海に対し再三要請してきたところであります。
 大井川水系の水は流域六十二万人の生活用水であり、 水田と茶園を主体とした農地を潤す農業用水であります。 さらに地下水利用を含め地域の産業を支える工業用水でもあります。
 この命の水を守るべく、 県民の皆様の懸念が払拭されるよう取り組んでまいります。
 次に、 大井川上流部を管理する県の重金属に対する考えについてであります。
 山梨県や岐阜県で行われているリニア中央新幹線のトンネル工事では重金属であるヒ素を含む掘削土が発生しており、 岐阜県におきましては掘削土の恒久処分場の設置場所がいまだ決定されていない状況も報道されております。
 静岡県内でのトンネル工事におきましても、 自然由来の重金属等の有害物質を含む掘削土が発生する可能性があります。 この有害物質が降雨等により溶出し河川や地下水に流出した場合には水質等に悪影響を及ぼすことが懸念されており、 大井川流域住民や利水者の皆様は大きな不安を感じております。
 このため、 県では環境影響評価の手続の中でJR東海に対し発生土置場周辺の河川水や地下水の調査の実施や有害物質が検出された場合の対応方針の策定を求めてまいりました。 またJR東海は有害物質を含む掘削土につきまして南アルプスの地域内で遮水シート等を用いた封じ込めにより適切に処理すると説明しておりますが、 発生土置場の周辺の地質は脆弱であるため土砂崩れなどにより有害物質を含む掘削土が流出するおそれがあります。
 このことから、 昨年九月にJR東海に送付した引き続き対話を要する事項では四十七項目の一つとして有害物質を含む掘削土を南アルプスの地域外で処理しない根拠を求めているところであります。
 県といたしましては、 有害物質が将来にわたって河川や地下水に決して流出しないように確実に処理する必要があると考えております。 このため今後も国の有識者会議での議論を踏まえ県の専門部会においてJR東海との対話を続け、 大井川流域住民や利水者の皆様の不安が払拭されるよう取り組んでまいります。 以上であります。
○副議長 (良知淳行君)  二十一番 桜井勝郎君。
        (二十一番 桜井勝郎君登壇)
○二十一番 (桜井勝郎君)  副知事にちょっと聞きますけれども、 水利権の更新時に実は私が島田市長であってね、 大井川広域水道企業団の議長もやってるんですよ。 それでその私に対してね、 流域の皆さんを非難すると言っていますけれども、 私はそのときの一番の責任者でございましてね。 それでその水利権は知らん間に更新されたりするのにびっくりしたことがあるんですよ。 ですから私が言っていることが流域住民に対して非難しているんじゃないかというのは、 それは当たらないと思いますよ。 ですからその点は、 もちろん皆さんは県知事の部下でございますので県知事の意向に沿って答弁していると思いますけれども、 それじゃ駄目なんです。 そういうことを言いたくて。 それでまた私は河川局へ聞いたの。 水利権の更新は可能かと。 そうしたら可能ですよと。 どういうときが可能かと。 もちろん十年ごとの水利権の更新時期にその理屈に合ったような要望があればそれは一気に全量とは言わないけども、 その東京電力から水を戻すことは可能ですよと、 不可能ではないということを聞いております。
 ですから、 そういうことを私どもは聞いているのに、 二〇一四年には命を守るって先ほども私登壇してしゃべりましたけれども、 二〇一四年に命を守ると言いながら東京電力の水はそのままほったらかし。 水利権を何とか少しでも奪おうということもしない。 それは流域住民に対する非難に当たるというようなことを今おっしゃってましたけど、 それは失礼な言い方ですよ、 副知事。
 それからもう一つ重金属についてね、 とにかくそのいろいろな手を打って何とかJR東海から出る排土については防止したいと言っていますけれどもね、 私は昨年大井川の水、 特に上流部のダム下の水がアユが捕れなくて困っている。 だからヘドロが出て石が、 コケがなくてこびりついちゃって餌がなくなっちゃったということと、 ついでにそこの水の水質を検査した。 検査して結局結構重金属があるんですよ。 規制値をオーバーしているのもありました。 しかしそれは上流部で、 そこの上流部ではその規制値をオーバーしても水が出て雨が降ったり何だかすると下流域で放流されるから、 規制値は基準以下になるからそんなに心配はないということでほっときました。 それ一応当時のくらし・環境部長に、 こういうことがあるから気をつけよって言ったけれどもなしのつぶて。 足元のことを何にもせずにこれから出るか出ないかで分からんJRの残土のトンネルの土砂について重金属、 重金属と言われる前に大井川の上流部を管理する県がそういう、 その重金属というのは鉛です、 規制値をオーバーしていました。 しかしあんまりそれを言うと流域住民が不安がるから……
○副議長 (良知淳行君)  桜井勝郎君に申し上げます。 時間が既に終了していますので簡潔にお願いします。
○二十一番 (桜井勝郎君)  そういうことで、 そういうことも考えてよろしくお願いして私の質問を終わります。 以上です。 ありがとうございました。 (拍手)
○副議長 (良知淳行君)  これで桜井勝郎君の質問は終わりました。

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