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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成23年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

早川 育子 議員

質問分類

代表質問

質問日:

12/07/2011

会派名:

公明党静岡県議団


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について
2 平成二十四年度当初予算編成について
3 今後の行財政改革の方針について
4 女性の視点での防災対策について
5 子育て支援の取り組みについて
 (1) 不妊症治療支援の拡充と不育症への支援
 (2) 次世代育成支援企業認証制度の推進
6 垣根のない福祉サービスの展開について
7 介護産業の発展に向けた取り組みについて
 (1) 人材交流の促進
 (2) 医療・介護機器産業の集積
8 ドメスティック・バイオレンス被害者に対する支援の充実について
9 新卒者に対する就職支援について
10 ニューツーリズムの推進について
 (1) フィルムツーリズム
 (2) 体験型観光
11 生活排水対策の推進について
 (1) 浄化槽の整備促進
 (2) 浄化槽の法定検査受検率の向上
12 発達障がいのある児童生徒支援の推進について
13 教師の資質の向上について
 (1) 教師の不祥事の根絶
 (2) ミドルリーダーの育成
14 自転車運転の安全対策について
 (1) 自転車運転マナーの向上対策
 (2) 自転車通行環境の整備



    ○議長(植田 徹君) ただいまから会議を開きます。
     議事日程により、知事提出議案第百二十六号から第百二十八号まで及び第百三十四号から第百五十七号までを一括して議題とします。
     質疑及び一般質問を行います。
     通告により、二十八番 早川育子君。
           (二十八番 早川育子君登壇 拍手)
    ○二十八番(早川育子君) 私は公明党を代表し当面する県政の諸課題について、知事並びに関係部局長、教育長、警察本部長に質問いたします。
     初めに、知事の政治姿勢についてであります。
     本年三月十一日に発生した東日本大震災は国内史上最大の地震であり、その被害は十一月現在、死者一万五千八百三十六人、行方不明者三千六百五十人、避難者七万一千五百六十五人で、そのほとんどが津波と東京電力福島第一原子力発電所の事故によるものであり、いまだに事態の収束に向けた途上であります。さらに長引く円高基調で推移する為替市場や経済の先行きも不透明なまま、雇用は低迷し国民の多くが閉塞感に覆われております。
     そんな折、先月、国民総幸福量を重んじるブータン国ワンチュク国王が来日され、行く先々で幸福とは何かを論じられました。そして、日本国民の精神力や秩序ある行動をたたえられるとともに、みずからの揺るがない信念も語られ、その崇高な精神に多くの日本国民が忘れかけていた日本人の精神の豊かさに気づかされました。
     川勝知事は、このブータン国王が言われている幸福度の最大化をふじのくにづくりの目標とされております。川勝県政が誕生し二年半が過ぎ、知事の富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりの理念は広く県民に認知されてきていると思われます。いよいよ任期の折り返し点を過ぎ、来年度は計画の実現に向け総力を挙げる時期でもあります。閉塞感漂う状況の中で、県民に対して将来に対する安心感と希望を与えることのできる県政のかじ取りが、今、川勝知事に求められていると考えます。
     そこで、どのように県民幸福度の最大化を高める政策を推進し、富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを実現しようとされているのか、知事の所見を伺います。
     次に、平成二十四年度当初予算編成について伺います。
     先月中旬に、県内に本社や生産拠点を置く上場企業の九月中間決算の新聞報道がありました。これによりますと四十五社の売上高は前年比五・七%の減、経常損益は一三・七%の減という状況であり、その要因は東日本大震災による生産減と円高によるものとされておりました。また今後もタイにおける洪水による生産の滞りなどが企業実績に悪影響を及ぼす可能性もあり、大変心配するところであります。
     このような県内企業の状況を考慮しますと来年度県税収入は大変厳しいものと推測せざるを得ません。また平成二十四年度は、社会保障関係経費等の義務的経費が増加する見込みであることに加え、県単独事業の計画額が増加することなどから、財源不足は平成二十三年度当初予算編成時を七十億円程度上回ると想定されると聞いております。県は来年度の当初予算編成に当たり四百十億円の財源不足が生じることから、その解消に向け各部局に対し五%以上の歳出のスリム化を求めるという厳しい方針を打ち出しております。
     少子高齢化が進展し、医療・福祉関係の予算は年々増加し、毎年歳出増加の要因に挙げられ、県単独の施策に対する予算の確保も厳しさを増していますが、県民の生活が守られるよう医療・福祉・教育、雇用を初めとする身近な予算、施策の確保が最も優先されるべきと考えます。また長引く円高や不況に苦しむ中小企業への支援こそ、雇用確保のためにも県が主体となって推進する重要施策であるといえます。
     そこで、こうした厳しい環境下において、県は来年度当初予算編成にどのように取り組んでいくのか伺います。
     次に、今後の行財政改革の方針について伺います。
     本県は、これまで自治体経営日本一を掲げ、平成二十一年度までに集中改革プランを実行し、さらに平成二十二年度から二十五年度にかけて取り組む新しい静岡県行財政改革大綱を作成し、昨年度には、ひとり一改革運動の持続的な推進や業務棚卸表を活用した行政評価の推進等により歳出のスリム化と収入確保を図り、健全財政の枠組みの堅持に努めてまいりました。さらに川勝知事は、マニフェストにおいて行政改革を柱とし、就任間もなく事業仕分けを実施し、今年度も十月に終了したところであります。この事業仕分けは我が党としても以前より導入を提言しており、導入後、毎年その手法を進化させながら、財源捻出や県民参加の拡大など一定の評価を得ていると認識いたします。しかしながら、石川県政時代は、財政健全化目標――経常収支比率を九〇%以下、実質公債費比率を一八%未満、県債残高二兆円を上限とする等の目標が常に提唱され、行財政改革がうたわれていたことを思うと、川勝県政になってからのトーンが随分下がったように見受けられます。また臨時財政対策債を含めた一般会計の県債残高は増加の一途をたどるなど、将来に向けた不安要素でもあります。行財政改革は厳しい環境にあり一層の努力が必要と言えます。
     そこで、川勝知事が指揮をとる行財政改革の柱は何か。また、それに向かってどのように取り組んでいかれるのか伺います。
     次に、女性の視点での防災対策についてであります。
     東日本大震災発生後、避難所生活を余儀なくされた多くの女性から防災対策や避難所運営に女性の視点が欠けていることが指摘されました。例えば、「災害発生後に女性や子供への暴力が増加したが、だれにも相談できなかった」とか、「乳児を抱え、授乳や着がえに困った」「備蓄品に生活必需品がなく大変困った」等の意見が聞かれました。これを受け私ども公明党では、女性の視点で既存の防災対策を見直すとともに、新たな対策を検討するため、八月十八日、女性防災会議を立ち上げ、各県本部にも女性防災会議が設置されました。その第一弾として、被災地三県を除く全国の公明党女性議員が連携し、女性の視点からの防災行政総点検を実施いたしました。その結果を踏まえ、十一月二十四日、野田総理に対して「女性の視点を生かした災害対策についての第一次提言」を提出いたしました。内容は防災会議における女性委員の登用、女性の視点からの防災対策マニュアル等の策定、緊急物資の備蓄等のあり方を女性、高齢者、障害者等の視点から見直しをすることなど十一項目にわたる提言であります。
     本県におきましても、十二市町からの回答を得、防災会議における女性委員の占める割合の低さや、女性の視点を生かした防災対策が不十分であることなどが浮き彫りになりました。防災会議の構成メンバーは条例で定めるところであり、充て職が多く女性が就任しにくい職種が指定されていることが、その要因の一つとも言えます。大阪市では、こうした状況を改善するために条例の改正を行い、「その他市長が防災上必要と認める者」という項目を追加いたしました。静岡県の防災会議構成委員の女性はたった一名であります。ぜひ女性委員が参画し意見を発揮できるよう条例改正を望みます。
     また、防災士や防災リーダーの育成など県が率先して養成しておりますが、女性の占める割合はまだまだ十分とは言えず、存在する地域もまばらであり人材が不足している地域に積極的に応援体制をとっていくべきと考えます。さらに県の避難所運営マニュアルを簡略化した避難所運営チェックリストに女性の視点を取り入れ改訂版を作成し、周知徹底されることが望まれます。県が開発した避難所運営ゲームHUGは、実際の避難所運営に必要な視点に気づくと同時に災害弱者への配慮が具体的にわかる内容になっており、女性の視点での避難所運営の参考になると考えられ大いに推進すべきであります。
     女性の視点について、兵庫県理事の清原桂子さんは生活復興に向けての女性の強みを、第一に日々の暮らしの現場を担う生活者であること、第二は肩書にとらわれず横の関係をつくっていけることと指摘しております。ぜひ静岡県の防災対策に女性の視点を生かした政策展開を望みますが、国の法改正が必要であると言われておりますが、ぜひ条例改正を含め知事のお考えを伺います。
     次に、子育て支援の取り組みについてのうち、不妊症治療支援の拡充と不育症への支援について伺います。
     子供を産み育てたいと願いながらも妊娠に至らないという不妊症に悩む御夫婦が、以前は十組に一組と言われていましたが、現在では七組に一組と言われ増加傾向にあります。その原因はさまざまで治療内容も幅広く、不妊症に悩む御夫婦にとって経済面だけでなく精神的に負担が大きいと言われております。
     現在静岡県では、不妊症に悩む方のために通算五年間十回の不妊治療に対して、その費用の一部を助成する制度がありますが、利用されている方からは助成回数の拡充や費用負担の軽減を望む声が上がっております。子供を望む御夫婦にとって切実な問題である不妊症に対し、今後県はどのように支援していくのか、所見を伺います。
     また一方で、妊娠はしても流産や死産、あるいは生後一週間以内の死亡などを繰り返し、子供が持てないという不育症の問題も看過できません。厚生労働省不育症研究班では、不育症で治療を受ける女性は推計で年間三万一千人との報告を出しております。不育症の原因もさまざま挙げられておりますが、専門家は適切な検査と治療を施せば八五%は無事出産にたどり着けると強調しております。しかし不育症治療では、保険診療が認められていない検査、治療があり、経済的な負担が大きいと言えます。例えば、一人目は専門家にめぐり会い無事出産できた御夫婦が二人目を望んでも、高額な検査、治療費用が負担できず、あきらめてしまう例も少なくないと聞いております。また流産を繰り返すと女性は母体である自分を責め、だれにも相談できないとの精神的な負担も大きく相談体制の充実も重要であります。
     こうした中、和歌山県では全国に先駆けて不育症に対し医療費助成を開始しているとのことです。本県では不育症に悩む御夫婦にどのように取り組んでいくのかあわせて伺います。
     次に、次世代育成支援企業認証制度の推進について伺います。
     子育て世代において、仕事と子育ての両立、働き方の見直しは重要な位置を占めており、企業の理解なしには進められないことであります。県ではこの点を重視し、本年十月から働き方の見直しや、仕事と子育て等の両立や、男女共同参画社会づくりに対する企業の自主的な取り組みの促進を図ることを目的とし、法に基づく一般事業主行動計画の策定、届け出や、育児・介護休暇等制度の導入などに取り組む企業を認証する制度を設立いたしました。あわせてこうした企業に対して県の入札制度における優遇措置や、民間金融機関の協力を得て設備・運転資金の融資を受ける際の利率優遇などの特典を付与する取り組みを開始したと伺っております。企業の従業員に対する子育て支援等への取り組みを積極的に応援する制度を創設されたことは高く評価するものであり、事業主を中心としてワーク・ライフ・バランスへの関心が高まることを大いに期待いたします。
     しかしながら、入札に係る優遇措置はその恩恵が公共事業に携わる企業に限られており、より多くの企業にこの制度が活用されるよう推進していくためには、認証制度に対する企業のインセンティブの拡充が必要であります。
     そこで、認証企業に対するインセンティブの拡充に、今後、県としてどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
     次に、垣根のない福祉サービスの展開についてであります。
     私は、平成二十二年二月議会において、これからの福祉・介護には障害や年齢で区別するのではなく、地域の中でともに暮らしていける住民の拠点として機能している富山型デイサービスを参考にし、地域で支え地域をつくるという意味で、ふじのくに型デイサービスの創設を提案いたしました。
     その答弁で当時の厚生部長は、「子供や高齢者、障害のある方が、年齢や障害の有無にかかわらず、だれもが一緒に住みなれた地域において支え合いながら暮らせることは、大変すばらしいことであると認識している。意欲的な事業者や市町の協力を得て、ふじのくに型とも言えるような先進的な事業の実施に向け取り組んでまいります」との答弁をされ、私もその成果に期待をしておりました。
     本年八月一日に県内で初めて、富士市内の介護保険法の小規模多機能型居宅介護事業所が、障害者自立支援法に基づく基準該当障害福祉サービスとして、生活介護、短期入所を提供し、高齢者と障害者の共生に取り組むことになったといううれしいニュースがありました。その後富士市内では、さらにもう一事業所が同様の取り組みを行うこととなり、ふじのくに型サービスを提唱した私としても、高齢者、障害者、子供の区別ない垣根のない施設サービスの拡大に大いに期待しているところであります。今後、県民への普及啓発とともに、事業へ取り組もうとする事業者への支援が重要であると考えます。
     そこで、今後どのようにしてふじのくに型サービスの拡大に取り組んでいくのか、県の考えを伺います。
     次に、介護産業の発展に向けた取り組みについてのうち、人材交流の促進について伺います。
     二十一世紀に入り、全世界的に超高齢化社会に突入しました。その最先端を行く日本では、今後二〇二〇年まで急速に高齢者が増加すると言われており、高齢化率は二〇五〇年には三五・七%に達します。一方、隣国である中国では二〇〇九年時点での高齢化率は一二・七%でしたが、二〇五〇年には高齢者人口が四億三千七百万人、全人口の三〇%以上を高齢者が占めることになると予測されております。また韓国の高齢化も深刻で日本を上回るスピードで進行し、二〇〇五年に九・三%であった高齢化率が二〇五〇年には三四・二%にまで達すると見込まれております。
     日本は、どこの国も経験したことのない長寿大国として十一年前より介護保険制度を導入し、その進展が世界的に注目されております。特に急激に高齢化社会を迎える韓国では、日本を手本に三年前に介護保険制度を導入したと聞いております。こうしたアジアの動向を受け、福岡市では産学公が連携し、アイランドシティ生涯すこやかタウン協議会を立ち上げ、市民の健康増進を初め生涯現役プログラムの研究、政策提言の検討など、ともにアジア地域との人材交流を通じ介護技術や介護施設の運営手法の研修などを積極的に行っております。
     先日、福岡市を視察してまいりました。今後の高齢化を見越して中国の富裕層を対象にした有料老人ホームを建設したいとの問い合わせから双方の交流が始まったそうであります。中国では家政婦の活躍はあるものの、ヘルパーや介護職といった専門資格や施設運営というノウハウは持ち合わせていないこと、実際に日本の施設を見学すると、施設内が明るく高齢者はもとより働いている人が生き生きしていることに大変驚かれ、介護職員が高齢者に接する優しさに関心が寄せられているとも伺いました。さらに、ここでは留学生を中心に介護専門の通訳の養成講座や施設見学の案内などを推進しておりました。介護保険法が施行され十一年が経過し、この間、制度そのものは課題が残るにせよ日本の介護技術は確実に向上が図られていると認識いたしております。
     そこで、本県においても中国や韓国等、アジア地域からの研修を受け入れ指導することにより、アジア地域への貢献とともに、これらの交流促進が将来の本県における介護人材の確保にもつながると考えますが、県の考えを伺います。
     次に、医療・介護機器産業の集積について伺います。
     国の平成二十一年の統計では、医薬品市場は七兆円、医療機器市場は二兆円、また業界団体の調査では介護機器産業市場は一兆円と言われ、今後さらに高齢化が進み需要の増加が予測されることを考えますと、医療・介護分野における産業振興をより一層推進する必要があると考えます。さらに国内市場はもとより、さきの質問内容にあるとおり、海外においても今後大きな需要が見込まれることから東部地域を中心に取り組んでいるファルマバレープロジェクトにおいて、医療・介護現場のニーズに対応した製品の開発や国内外への販路開拓など、地域企業の医療・介護機器産業への参入を支援していく必要があると考えますが、県の対応を伺います。
     次に、ドメスティック・バイオレンス被害者に対する支援の充実について伺います。
     平成十三年に配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律、いわゆるDV防止法が制定されて以来、全国の配偶者暴力相談支援センターにおけるDV相談件数は年々増加し、昨年度末では七万七千三百三十四件と児童虐待の相談件数五万五千百五十四件を上回る状況であり、静岡県におきましても、昨年度末の相談件数は七百十四件、市へ寄せられた相談件数を含めますと二千五百八十九件と過去最多となっております。最近では、結婚に至っていない若い女性が交際相手から暴力を受けるデートDVも問題となっています。
     静岡県では、平成二十一年三月に策定した第二次静岡県DV防止基本計画において、市町における基本計画の策定やDV防止ネットワークの設置、市における女性相談員の設置などの平成二十五年度末の数値目標を掲げていますが、市町の基本計画の策定は現在浜松市のみであり、DV防止ネットワークについても六割程度と余り進んでいない状況にあります。配偶者からの暴力であるDVは配偶者やパートナーなど親密な男女間に起こり、多くの被害女性は自分を責め相談することを恥ずかしいと思い、相談に出向くまで我慢する例が多く、また家庭といった密室の中で起こるため表面化しにくいと言われております。しかし女性に対する暴力、とりわけ配偶者等からの暴力は重大な人権侵害であり根絶すべきであります。また先ほど女性の視点での防災対策で若干触れましたが、災害発生後に女性や子供への暴力が増加したという指摘があり平時からの暴力防止への啓発に努める重要性があるといえます。
     県として、配偶者等からの暴力の被害者に対する相談や支援体制の強化が急務と考えますが、取り組みを伺います。
     次に、新卒者に対する就職支援について伺います。
     先日静岡労働局が発表した来春卒業する県内大学生の十月末時点での就職内定率は五一・八%と前年を四・四ポイント上回り、高校生では六九・六%と前年を一・三ポイントわずかに上回りました。しかし三年前に比べますと大学生では一四・七ポイント、高校生でも一一・八ポイントも低く、現在の方法で統計をとり始めた平成八年度以降では最低であった昨年に次ぐ水準であり、依然厳しい状況が続いております。リーマンショック以降続くこうした状況は、まさに超就職氷河期と言われるものであります。
     加えて本県の経済状況を見ますと、東日本大震災の影響により観光や農業での風評被害やサプライチェーンの混乱による生産の低迷など大きな打撃を受け、回復基調にあった有効求人倍率も一時落ち込むなどの影響が出ました。さらに長引く円高を受け、大手企業のみならず中小企業も生産拠点の海外への移転を模索し、産業の空洞化が懸念されております。
     こうした状況を踏まえ、県では二〇一三年までに新規雇用三万人創出を目指す雇用創造アクションプランの策定に着手し、第一回の会合で、大学生の求職状況では新卒採用に意欲的な中小企業に学生が集まらず、大手企業に集中する雇用のミスマッチが生じていることも課題に取り上げられ、学生は地元中小企業の魅力を知り、企業は地域人材を確保・育成するという視点がそれぞれ不可欠との意見も強調されたと伺っております。
     学生の半数近くが現在も厳しい就職活動に取り組んでいる中、平成二十五年三月卒業予定の学生の就職活動も始まりました。未来を担う多くの若者が、働く意欲に満ちているのに就職できないという状況は大変深刻な問題であります。大学生が卒業と同時に、社会人としてしっかりその第一歩が踏み出せるよう支援していくことは急務であると考えます。県として今後新卒者の就職支援をどのように進めていくのか、取り組みを伺います。
     次に、ニューツーリズムの推進についてのうち、フィルムツーリズムについて伺います。
     静岡県は富士山を初めとする豊かな自然環境と美しい景観、さらには多彩な歴史や文化、豊富な農林水産物に恵まれ、数多くの映画やドラマ、テレビコマーシャルのロケ地となっております。先日、井上靖原作、原田眞人監督による映画「わが母の記」上映試写会に参加させていただきました。地元出身の原田監督の、原作の内容とともに伊豆の豊かな自然を映像に残したいとの思いが伝わり、美しく豊かな伊豆の映像が大変印象的でありました。また県内各地でフィルムコミッションが活躍し、制作会社への誘致や手助けをし、本県の魅力を最大限にアピールし地域の観光振興や活性化に貢献しております。
     私の住む富士市にあるフィルムコミッションでは数多くのオファーがあり、これまでロケ地弁当二万六千二百六十五個、紹介ホテル三千百八十一室、試算でありますが直接経済効果四千四百十万円という効果が出ております。スタッフの方の御苦労は大変なものでありますが、一度オファーがありよい撮影ができると、再度ロケ地に選ばれるという効果が出てきていると伺いました。しかし映画やテレビで話題にならないと本県で撮影されたことに気づかれないこともあり、大変残念に思います。佐賀県では県庁の一角にコーナーを設け、県庁を訪れる方々に佐賀県のロケ地や誘致活動をしているフィルムコミッションの活動をPRしておりました。
     本県はフィルムコミッションに対するネットワーク構築や情報提供など、積極的に支援を行っていることは承知しておりますが、今後さらに佐賀県同様、県内外に広く広報を行い県内各地を訪れていただく仕掛けづくりを行うなどとともに、県民の皆様にも映像や写真を通し郷土の魅力を再確認していただき、またフィルムコミッションの活躍を知っていただき、県土に対し誇りを持っていただくことが大切であると思いますが、県の所見を伺います。
     次に、体験型観光について伺います。
     先月、新エネルギー・原子力等海外事情調査団の一員として訪問いたしましたドイツで、農家民宿という言葉を耳にしました。私たちは、バイオマスを発電と地域熱として活用している酪農農家を訪問いたしました。この地域では農家の収入の半分を農家民宿で得ており、農家に滞在し酪農体験やソーセージづくりなど体験を通し、農家の方々と交流を図っているということでした。訪問した酪農農家は宿泊は扱っておりませんでしたが、レストランを経営し自家製ソーセージやパイが自慢料理の一つであると伺いました。
     また、カールスルーエを訪問した際、案内してくださった地元経済ジャーナリスト松田雅央氏によると、ドイツだけでなくスイスアルプス地方では酪農を中心とした農家と観光をうまく結びつけた農村振興の手法が実に巧みであるとお話を伺いました。松田氏によりますと観光地同士の連携をとって点から面の観光政策を展開していることが、スイスフラン高をよそに世界各地から観光客が集まってくるゆえんであると分析され、そのコンセプトは大いに日本が参考にできる点であると指摘されました。また逆に、日本の山岳観光の、特に富士山の魅力は信仰との結びつきが強く、精神世界の奥行きを感じる点であるとも言われました。ヨーロッパも昔は山岳信仰があったようですが、現在は希薄だそうです。富士山の持つ神々しさというか、神秘的な空気はヨーロッパの人から見ると非常に魅力的であるとのことでした。さらにスイスでは観光従業員の対応はそっけなく、もてなしの心は、世界に通ずる観光資源の一つであると述べておられました。日本人のおもてなしの心は世界に通じる観光資源であり、財産であることも再認識いたしました。
     東日本大震災以降、日本人の価値観が大きく変化してきていることは、さきにも述べました。都会の人たちのふるさと回帰志向、食や農への関心が高まっており、都市と農山漁村との交流は大いに促進していくべきだと考えます。県では、本年三月に農山漁村地域において交流活動の拠点となり得る宿泊施設の充実を図るため、国における規制緩和を活用した静岡県農林漁家民宿の基準を策定したと聞いております。訪れた方がゆったりとした時間の中で農林漁業体験や農山漁村の文化や歴史等に触れることができ、農山漁村の地域活性につながる交流人口の拡大を図れる、この体験型観光について、今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。
     次に、生活排水対策の推進についてのうち、浄化槽の整備促進について伺います。
     現在、生活排水未処理人口は全国で一千八百万人と言われ、その解消を図る上で効果的で速やかな整備が可能である浄化槽の役割は大変重要であるといえます。浄化槽は日本が生み出したすぐれた下水処理施設であり、他の下水処理より建設コストが安く短時間で設置し使用できるメリットがあります。一方、維持管理は設置者の責任となり適切な管理が行われない場合があります。特に単独処理浄化槽により水洗化されている世帯の合併浄化槽への転換工事負担は大きく、合併浄化槽への転換が進まない状況にあります。
     しかし、河川等の水質保全を図ることを考えますと、し尿のみを処理する単独処理浄化槽から、し尿とふろや台所から出る生活雑排水を処理する合併浄化槽への入れかえは積極的に行っていくべきであると考えます。私の住む富士市では、このような状況に対し平成二十二年度より浄化槽設置費補助制度が施行されておりますが、市町単独で整備促進できない自治体も多く県として補助制度を確立し支援していく必要があると考えます。河川の水質保全のため、生活排水対策における、特に浄化槽の整備促進について、県の対応状況と今後の取り組みについて伺います。
     次に、浄化槽の法定検査の受検率の向上についてであります。
     浄化槽は微生物の働きにより生活排水を浄化処理するもので微生物が活動しやすい環境に保つことが重要であります。そのため浄化槽法第十一条に水質検査が定められておりますが、本県における受検率がわずか四・四%であったことは二月議会で明らかとなりました。岩手県ではなんと八八%、全国平均でも二八%であるのに対し考えられない数値であります。水質の悪化を放置するかのようなこの状況では、知事の目指す富国有徳ふじのくににはほど遠いと言わざるを得ません。受検費用への補助制度の確立や水質検査において清掃業者による補助業務の参入など新たな取り組みも求められます。
     さらに県として、中長期にわたる計画策定や目標の設定など明確にし、受検率向上に向け、県当局の本気の姿勢を示すべきと考えますが、県の取り組みについて伺います。
     次に、発達障害のある児童生徒支援の推進について教育長に伺います。
     発達障害はADHD、アスペルガーを含む広汎性自閉症、LDなど広範な概念があり、その症状のあらわれ方も人により異なり年齢や障害により大きく変わることが知られてきました。最近では比較的知的レベルが高い高機能の発達障害が問題となっており、統計により異なりますが、ADHDやLDの子供は十五歳未満の人口の六%から一二%と言われており、いじめや不登校を引き起こし、心身症や小児うつ病など症状に悩むことも明らかになってきました。一方、発達障害は早期診断、早期療育により社会適応も十分可能と言われ、適切な対応が重要であることも認知されてきました。
     本県では本年八月、特別支援教育シンポジウムを行い「早期からの支援体制の在り方を考える」とのサブタイトルで、平成二十年度から実施してきた特別支援教育総合推進事業において、グランドモデル地域の実践研究の発表を行いました。この報告を受け今後すべての市町において、より効果的な支援体制を構築し具現化に向けての提言も行われたと伺っております。昨年の二月議会の質問でも指摘しましたとおり、発達障害について教員や保護者の理解を深めることが第一歩でありますから、コーディネーターやチーフコーディネーターの養成などの推進が充実し、児童生徒への適切な対応が進むことに大いに期待しております。
     また、本年十月より対人関係を築くことが難しい高校生を対象としたモデル事業が旧県立周智高等学校で開始されました。講座の内容は人間関係の構築や感情のコントロールなどについて、スキルを身につけるためのコミュニケーションスキルトレーニングと園芸作業を中心とした体験活動であると伺っております。三十名定員に対し応募が十八名というのは大変残念でありますが、さきに紹介しました特別支援教育シンポジウムで、高校生の支援は今後の課題であることも指摘されており、最終的に社会参加を考えると、この時期の教育は大変重要であると考えられます。
     そこで、発達障害を持つ児童生徒への支援の推進について、今後の取り組みを教育長に伺います。
     次に、教師の資質向上についてのうち、教師の不祥事の根絶についてであります。
     九月議会の討論の折、相次ぐ教師の不祥事に対し、公明党を代表し根絶に向け総力を挙げるよう教育長に厳しく意見を申し上げましたが、翌日教え子へのわいせつ行為により教師が逮捕されたと聞き、あきれて物も言えませんでした。ことしに入り八月以降、五件もの性的な不祥事が相次ぎ、道徳観や倫理観といった教師である前に人間としての自覚のなさにあきれるばかりであります。そのうちの一人は若手教諭の指導に当たるアドバイザリーティーチャーに任用され、手本役として若手を指導していたというのだから驚いてしまいます。
     地元新聞社による全市町教育委員長、教育長に対するアンケートでは不祥事続発の要因として、七割近くが「ストレス」と「現場のコミュニケーション不足」と答えたとありました。本当に要因はそれだけなのでしょうか。相次ぐ教師の不祥事は、何が背景となり要因となっていると認識しているのか、教育長の考えを伺います。また根絶対策委員会、コンプライアンス委員会、セクハラ相談など対策を講じていると伺っておりますが、不祥事の要因をどのように分析し対策をとっていかれるつもりなのか、あわせて伺います。
     次に、ミドルリーダーの育成について伺います。
     団塊世代のベテラン教員の大量退職を控え、新たな人材育成が重要であります。今年度の教員の構成は二十代が一割程度、三十代が二割程度であるのに対し、四十代、五十代ともに三割程度で、高い年齢ほど層が厚くなっております。この傾向は全国的な傾向でもあります。十年後には三分の一が入れかわることになり、学校運営の中核となるミドルリーダーの育成が今後重要であると言えます。
     福岡県ではこのような事態に対し、今年度から教師塾を開始いたしました。以前より取り組んでいた研修に加え、各校より推薦を受けた教師が、福岡県の教育をリードするための資質能力の向上を目指し、学校経営に参画する人材の育成を図ることを目的に、一年間かけて県教育センターの講座に参加し、リーダーとしての資質を磨くという内容です。これまでの研修とは違い、例えば弁護士による危機に対応できる学校の組織力、あるいは助産師による命の大切さを学ぶ、または民間企業バックヤード研修で福岡ドームの視察に出かけるなど新たな取り組みを行うとともに、グループワークを通じ教育観の意見交換をするなど、ユニークな手法での取り組みに参加者からの反響は大変大きく、学校に戻ってからの行動もそれぞれ高い評価を得ているということでありました。自分たちが次の県の教育を担っていくとの高い理念に立ち、ともに成長できるこのような機会は非常に重要であり人材育成の上からも大変効果があると実感いたします。このようなミドルリーダーの育成は重要であると思われますが、教育長の所見を伺います。
     最後に、自転車運転の安全対策について伺います。そのうち、自転車運転マナー向上について伺います。
     東日本大震災を受けた節約ブームに昨今の健康志向も手伝って、全国的に自転車の台数は増加傾向にあると聞いております。それに伴い自転車による事故も増加しマナーの問題も見過ごすことができません。平成二十一年に自転車運転中の携帯電話使用禁止を盛り込んだ改正静岡県道路交通法施行細則が施行されましたが、自転車を運転しながら携帯電話を使用している若者や雨の日に傘を差しながら通勤する若者、自転車を運転している本人は注意しているつもりでしょうが、携帯電話に夢中になり自動車が近づいていることに気づかずぶつかりそうになったり、メールをしながら走行する危険な方も時に見受けられます。また最近ではピストと呼ばれるブレーキのない競技用自転車で公道を走行中のタレントが検挙されたという報道がありましたが、その危険性が問題視されております。さらに高校生の自転車マナーの改善は従来より指摘されておりますが、まだまだ十分とはいえません。
     こうした中、警察庁は十月二十五日付けで自転車の取り締まり強化を柱とした「良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進について」の通達を全国の警察本部に出したと聞いております。この内容は、一、自転車は車両であるということの徹底、二、自転車通行環境の確立、三、ルールの周知と安全教育、四、指導取り締まりの強化であるとも聞いております。確かに狭い歩道を歩行者の背後よりベルを鳴らして通過する自転車も多く見受けられ、歩道なのに歩行者が遠慮するような場面を多く見かけます。しかし、これまで自転車は歩行者と同じという感覚が身についてしまっていますから、これらを改めていくことは大変なことであると思われます。
     そこで、今回の警察庁の自転車総合対策を受け、自転車運転マナーの向上を含めて自転車交通に関する警察の今後の取り組みについてお伺いいたします。
     一方、自転車通行環境の整備についてでありますが、今回の警察庁の自転車総合対策では自転車の通行環境確立のため推進すべき対策として、自転車専用の走行空間の整備や自転車と歩行者の分離などが不可欠であるとしております。自転車の通行環境の整備は道路を利用する自転車と歩行者及び自動車のそれぞれが安全に通行できる空間を確保することだと考えますが、県はこれまで自転車通行環境の整備としてどのような対策を進めてきたのか、また今後どのような方針で取り組んでいくのかお伺いし、ひとまず私の質問を終わります。(拍手)
    ○議長(植田 徹君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 早川議員にお答えいたします。
     初めに、私の政治姿勢についてであります。
     先般、ブータンの国王が訪日くださいまして、ブータンの国是でございますグロス・ナショナル・ハピネスという、この国是をみずから体現されているということを行く先々でのお話、御発言に見ることができまして、大変心を私も打たれたところでございました。我々も、県民、ふじのくにの人々の幸福度を最大限にする、満足度を最大限にするという点では、まことに共通するところがございます。
     しかし、違うところがあるとすれば、やはりグロス・ナショナル・ハピネスだけではなくて、GDP、すなわち富の豊かさということもあわせて大切であるということでございます。ふじのくにのもとは「富士」という字でございますが、物の豊かさと心の豊かさ、この両方をバランスさせることが大事だと思います。やはり日本は特に静岡県は、ものづくりの技術を持っております。その技術、あるいはそれを持っている人材というのは人類社会にとって大変貴重なものであると思います。しかし物欲というのは際限のないところがございます。金銭欲として、それがマネーゲームにあらわれて多くの人がやけどをしたのは記憶に新しいところでございますが、一方、金銭欲だけではなくて、パワーハラスメントであるとかセクシャルハラスメントであるとかございます。こうした、いわゆる権力欲、支配欲であるとか性欲であるとかというものも、それぞれ制御しなくてはなりません。そうした制御する力、こういう心の豊かであるということもあわせて持たねばならないということが、我々の考えるふじのくに、すなわち物心ともに豊かな、そういう理想郷であると。
     これをもう少し具体的に落としてみると、「住んでよし 訪れてよし」「生んでよし 育ててよし」「学んでよし 働いてよし」ということになろうかと存じる次第でございます。そうしたものを入れ込んだ富国有徳の理想郷“ふじのくに”のグランドデザインを策定したところでございます。
     県政運営に当たりましては、現場に出る、現場に聞く、現場で学ぶ、現場でできれば解決するという現場主義に徹しまして、常に県民の皆様の声に耳を傾け時宜に応じた弾力的な対応を図っているところでございます。
     今年度におきましては、三・一一の東日本大震災を受けまして、緊急津波対策、新エネルギーの導入促進を初め、雇用・経済対策、台風等による災害復旧など県民の暮らしに直結するさまざまな課題に直面していますので、それに対する迅速な対応を図っております。
     来年度に向けましては、総合計画の目指す姿を早期に実現するために、「生んでよし 育ててよし」、これを少子化対策として、また「働いてよし」、これを雇用創出のための取り組みとして、そしてまた、生活する、あるいは仕事をする上で必要なエネルギーの新しいものを探るという、そういう新エネルギーの導入促進、さらに新東名が開通いたしますので、それを生かした地域づくりなど、将来への安心感や希望を高める施策を重点に位置づけまして、全庁挙げて取り組んでいるところでございます。
     今後とも、現場を優先させながら刻々と変化する社会経済情勢に対応していくという姿勢を貫く。言いかえると、原則主義であるとか理想のための理想であってはならないということでございまして、そうした柔軟な現場への対応力を持ちながら、県民幸福度の最大化を図る政策を追求してまいる。そういう姿勢で臨んでおります。
     次に、平成二十四年度当初予算編成についてであります。
     来年度の予算編成に当たりましては、現在多額の財源不足額が見込まれております。加えて東日本大震災による風評被害が本県にも出ておりますし、円高によって輸出産業が厳しい事態に迫られております。そうしたことが本県税収にも影響しておりまして、そうした不透明なところがございますが、年末の地方財政対策の動向によりましては、さらに財源不足が拡大する懸念も出ています。このようなことから、当初予算の編成に当たりましては徹底した歳出のスリム化、歳入確保に取り組んでいるところです。
     一方、ふじのくにが目指す県民幸福度の最大化に向けて、「生んでよし 育ててよし」、これは出生率の向上、そして「育ててよし」のところは地域医療の再生、そして「働いてよし」のところにおきましては、やはり新しい産業のフロンティアを開拓する、こうしたことを総合計画に、六つの何とかよしというのを一つ一つ政策に落とし込みまして、それを重点取り組み項目とし、それを積極的に推進してまいるということでございます。
     もう少し具体的に申し上げますれば、「生んでよし 育ててよし」の理想郷づくりを進めるため、待機児童の解消、こども医療費助成の拡充などによって出生率の向上に軸足を置いた施策を推進してまいります。加えて、ふじのくに地域医療支援センターを活用した医療従事者の確保などにより、質の高い医療、介護サービス、障害者支援等を安心して受けられる医療・福祉体制を構築してまいります。
     さらに、円高によりまして、企業収益や県民生活などにも影響が懸念されております。マイナスだけではありません。旅行にも行きやすい、あるいは輸入には有利になりますから、そうしたことも見据えながら、成長産業の振興や地域基幹産業の活性化、何といっても雇用のミスマッチがございますので、それの解消に向けまして、平成二十五年度までに新しく三万人の雇用を創出するという不退転の決意を定めて雇用の施策を積極的に進めてまいります。さらに本県九九%が中小の規模の企業でございますので、こうした地域企業が資金繰りに困らないように金融支援など支援強化等の経済対策を機動的に進めておりますが、県民が安心して暮らせる社会の実現に努めてまいります。
     次に、今後の行財政改革の方針についてであります。
     富国有徳の理想郷“ふじのくに”の実現のためには、県民皆様方が地域に関心をお持ちになり、地域のためにみずから考え県政に参画していくことが極めて大切です。そのために我々は透明性を高め、県民の皆様が参画する行政経営を総合計画の戦略の大切な柱であると位置づけて全国のモデルとなる行財政改革に取り組んでいます。
     私が知事に就任して以来、本県として初めて事業仕分けを実施してまいりましたが、公明党の方も、これの重要性を既に指摘されていたということでありまして、大事なことは実施するということですが、ことしは多くの県民が直接県の事業を評価する県民参加型の事業仕分けというものを導入することができました。総合計画の進捗状況の評価についても外部からの客観的な御意見をいただくことができました。目下、ホームページや東館二階ロビーで公開しておりますので、どうぞごらんいただければと存じます。
     さらに、職員出張旅費の公表や対話型の知事広聴の実施、すべての市町への県民のこえ意見箱の設置など、さまざまな形で透明性の高い行政運営に努めております。県民が行政に御理解を深めていただき積極的に参加できる環境づくりを進めております。
     また、改革を進めていくに当たりましては、スピード感が大切です。スピード感を持って着実な成果を出さねばなりません。例えば、私は就任後すぐに非常勤の行政委員会委員の報酬制度を見直しまして、仕事量に応じて支給する日額報酬制を全国で初めて全委員会に導入しました。結果といたしまして、平成二十二年度は前年度と比較しますと、総支給額のほぼ半減となる約五千七百万円の減少につながりました。現在、すべての行政委員会の報酬を日額にしているのは山口県と山梨県だけです。それは本県に続いてことしの四月から導入されたということです。そのほか一部では月額を残したまま日額にされているところが二十三年四月一日現在で十ございます。その程度です。ですから、その意味でもこの動きを加速するモデルになっているのではないかというふうには思っています。
     また昨年度、行財政改革大綱を策定いたしまして、三百を超える具体的な取り組み項目につきまして、目標、実施時期、所管課を明らかにして、単なる指針にとどまらない行財政改革のアクションプランといたしました。その結果、昨年度は実施するべき二百五十五項目のすべてについて着手いたしまして、職員三十三人の削減、百六十九億円の財源捻出につながりました。既に平成二十三年度までの累計では三百五十六億円の捻出となっています。今後も引き続きこうした取り組みで健全財政の枠組みの堅持にも努めてまいります。
     さらに今年度は、外部有識者から成る行財政改革推進委員会を設置し、大綱の進捗状況を検証していただくとともに、さらなる改革に向けた検討をお願いしております。今後は年明けに取りまとめられる予定の委員会としての御意見もその内容を踏まえまして、透明性とスピード感、これを両軸とした行財政改革を一層加速してまいります。
     次に、垣根のない福祉サービスの展開についてであります。
     これまでの福祉サービスは高齢者は高齢者の施設、あるいは障害者は障害者の施設でというように対象者の特性に応じて、その方にふさわしい施設で対応するというそういう制度設計になっていました。このため、例えば障害のある子供をお持ちのお母さんが御自身が高齢になった場合にはお子様と別れなくちゃならないという極めて不幸なことが生じます。一つの御家族が制度の垣根のために苦しまれるという事態が起きていました。そこでこのような制度の垣根に苦しまれる事態をなくさねばならないので、そのためにどうしたらいいかと考えて高齢者や障害者、子供など、年齢や障害の有無にかかわらず、地域にある身近な高齢者施設などで垣根のないサービスが受けられるふじのくに型サービスというものについて平成二十二年度から検討してまいりました。
     その成果の一つとしまして、介護事業所で障害者の受け入れを行うという形で、ふじのくに型サービスを実施する事業者が誕生しました。これは大変心強く喜ばしいことでございます。今後、県内でのさらなる普及に向けて全力で取り組んでまいりたいと思っています。そのためには、まずふじのくに型サービスを実施する際の制度上の違いなどについて、施設を運営される事業者の方々の御理解が何よりも重要なのです。そのために広報啓発活動というものに力を今入れねばなりません。そこで来年一月には、事業実施を後押しするために、ふじのくに型サービスと題して、それをテーマとしたフォーラムを開催します。広く事業者に県内外の先駆的な事例を御紹介申し上げながら、事業への理解をさらに深めていただくとともに、事業を始めるに当たって参考となる情報を御提供申し上げますので、今後御利用いただいて、その事業の展開に向けた支援を我々としては行ってまいりたいと思います。
     また来年度は事業実施に向けた課題を抽出し、そのよりよい解決策を探るため、県内十カ所程度で事業者の御協力をいただいて試行的な取り組みも行ってまいります。これらの取り組みを通じて、将来的には県内の至るところでふじのくに型サービスが展開され、高齢者、障害者、子供、家族が、ともに住みなれた地域でともに支え合いながら安心して暮らしていける社会を実現してまいります。
     次に、ニューツーリズムの推進についてのうち、フィルムツーリズムについてであります。
     映画やテレビドラマ等のロケ地として活用されることは、ロケに伴う直接的な経済効果のみならず、その作品の上映によりまして、舞台となった地域のイメージを国内外にアピールすることができます。それが観光や文化振興等にもつながります。まことに地域住民にとっても郷土の魅力を再発見するきっかけにもなるということで地域の活性化に大いに貢献するものと考えております。
     私も、議員もごらんになったそうですが、御一緒だったかもしれませんけれども、井上靖先生の自伝的小説を映画化した「わが母の記」を鑑賞いたしました。監督の独自の脚色も入っておりまして、小説にまさるとも劣らないすばらしい作品になっており、舞台になりました湯ヶ島、また沼津も、効果的に映像の中に取り入れられておりました。こうした作品を含めまして、平成二十二年度には、テレビドラマ「JIN〜仁」や、松本人志監督の映画「さや侍」など、三百八十の作品が県内でロケを行っており、今やロケ地のメッカとなっています。
     このような中、県では平成二十一年度に県内十三のロケ支援団体であるフィルムコミッションと市町で構成する静岡県フィルムコミッション連絡協議会を設立したところでございます。加えて、全国組織であるジャパン・フィルムコミッションにも加盟しました。ロケ支援での広域連携を一層進めまして、フィルムコミッション活動による地域活性化を図っているところでございます。
     さらに今年度は、これらの活動を支援するために、ロケ地やロケ候補地を紹介するウエブページ静岡フィルムコミッションネットのロケ候補地を、今までの二百件から七百件にふやしたところです。また代表的な映画の県内ロケ地をまとめたロケ地マップを作成し、映画、テレビの監督や制作会社のディレクターの皆様方にも積極的に紹介していくこととしています。
     今後、ロケ支援団体が幅広い誘致活動を行っていくためには、地域住民の御理解と御協力が大変重要でございますことから、地域におきましてはフィルムコミッションの活動をそれぞれにPRしてまいりたいと思っています。また国内外で開催する大型観光キャンペーンの商談会やプロモーションにおきまして新たにロケ地を紹介するコーナーも設けます。ロケ地をめぐる旅行商品の造成も促します。関係団体とも連携いたしまして、県内の観光交流客数の増大に努めてまいります。
     なお、その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
    ○議長(植田 徹君) 小林危機管理監。
           (危機管理監 小林佐登志君登壇)
    ○危機管理監(小林佐登志君) 女性の視点での防災対策についてお答えをいたします。
     静岡県が東日本大震災の被災地を支援する活動の中でも、避難所におきまして女性用の衣類や生活必需品などが行き渡らない、乳児への授乳、あるいは着がえ場所に困るなど、女性に対する配慮が不十分であることを再認識させられる事例に直面し、防災対策における女性の視点の重要性を痛感いたしました。
     静岡県防災会議では、災害対策基本法第十五条第五項第一号から第七号の規定に基づきまして、国、自衛隊、電力、鉄道等の公共機関の長及び職員四十八名を委員に選任しております。このうち女性の委員は議員御指摘のとおり静岡県看護協会長のみとなっております。
     災害対策基本法では都道府県防災会議につきましては、市町村の会議と異なり、構成する委員を限定列挙しており、新たに委員を追加する場合は法律の改正が必要となります。現在、国会でもこの問題が取り上げられ、改正の動きがあると伺っております。この改正が一日も早く実現され県の条例改正によりまして、既に消防団員や女性防火クラブ、地域防災活動推進委員などとして活躍している女性を委員として積極的に登用できるよう国に強く働きかけてまいります。
     また、地域での共助のかなめとなります自主防災組織では、平成二十一年度の自主防災組織実態調査によりますと、「防災委員や班長など役員として活躍している女性がいる」と答えた組織の割合は全体の三五・三%にとどまっており、その人数につきましても「一人から二人」と答えた組織が圧倒的に多くなっております。
     このため、東日本大震災での教訓を踏まえまして、現在静岡県地震防災センターで行っております講座のカリキュラムの見直しや、女性が参加しやすい講座の開設などに取り組みまして平時から自主防災組織内で地域の女性リーダーとして活動できる人材の育成に努めるとともに、県内や今回の被災現場で活躍する女性の事例集を作成するなど、女性の視点からの防災対策の重要性を訴えてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 池谷健康福祉部長。
           (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
    ○健康福祉部長(池谷享士君) 子育て支援の取り組みのうち、不妊症治療支援の拡充と不育症への支援についてお答えをいたします。
     子供を産み育てたいという希望を持ちながら子供ができない御夫婦に対する支援といたしまして、県では平成十六年度から特定不妊治療費助成を開始し、これまで助成期間の延長、助成額の増額、所得制限の緩和などの改正を行い、治療に取り組みやすい環境づくりを行ってまいりました。今年度も、初年度に限り年三回の治療まで助成対象を拡大したところであり、さらなる不妊治療費助成の拡大につきましては、治療の進歩や特定不妊治療の効果分析を踏まえつつ検討してまいります。
     次に、不育症に対する医療費助成につきましては、今般、国の調査研究班から初めて不育症の検査や治療に関する提言があり、現在自費診療とされている治療の一部への保険適用が検討されています。県といたしましては、まずは県内の治療状況や診療費の実態、受診者の負担状況の把握に努めてまいります。一方で不育症への支援といたしましては、流産などを繰り返し、大変つらい経験をされている方への精神的な支援が重要でありますことから、適切な検査や治療についての情報提供や不育症の悩みに関する相談への対応を行う体制の整備を新たに進めてまいります。
     次に、介護産業の発展に向けた取り組みについてのうち、人材交流の促進についてであります。
     高齢化の一層の進行に伴いまして介護需要はますます増大することが見込まれていますことから、介護サービスを提供する人材の確保は大変重要な課題であり、外国人の方々も貴重な介護人材であると考えております。県内の特別養護老人ホーム等では、これからの介護需要の増大を見据え、EPAに基づきインドネシアやフィリピンから介護福祉士候補者二十七名を受け入れており、介護の現場において知識や技術の伝達が行われています。
     また県では、外国人介護職員受け入れマニュアルや平易な日本語に置きかえた介護福祉士国家試験用テキストを作成するなど、外国人介護職員の受け入れや国家資格の取得を支援するとともに、本年度は新たにモンゴルからの研修生の受け入れも予定をしています。
     県といたしましては、こうした取り組みが将来の介護人材の確保や議員御指摘のアジア地域への貢献にもつながるものと考えますことから、引き続き関係団体と連携し外国人介護職員への支援や研修生の受け入れに取り組んでまいります。
     次に、ドメスティック・バイオレンス被害者に対する支援の充実についてであります。
     配偶者や親しいパートナーからの暴力であるDVは、被害者の身体や生命に大きなダメージを与えるだけでなく、重大な人権侵害でありますことから、県として取り組むべき重要な課題と考えております。県では平成二十一年三月に策定した第二次静岡県DV防止基本計画に基づき、DV防止に関する広報啓発や、高校生、大学生等を対象としたデートDV防止出前講座を実施するとともに、昨年度末に改訂したDV相談対応マニュアルを活用し市町職員や女性相談員、警察職員に対する研修など相談対応を行う人材の育成を図っています。また本年度は女性相談センターの相談員を増員し、相談体制の強化を図ったほか、DV被害者の自助グループ活動を充実するため、新たにグループ指導者へのスキルアップ講座の開催や活動拠点の確保などの支援を行っているところであります。さらにDV防止ネットワーク未設置市町や女性相談員未設置市に対しましては、賀茂、東部、中部、西部の各健康福祉センター単位で開催する地域ネットワーク会議などの場で、既に設置している市町の具体的な活動事例の紹介などにより設置への働きかけを行うとともに、市町DV防止計画の策定を推進するため、現在計画策定マニュアルの作成を進めております。
     県といたしましては、引き続き県が行うDV被害者に対する支援の充実を図るとともに、市町における体制の強化に向けた積極的な支援に努めてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 大須賀企画広報部長。
           (企画広報部長 大須賀淑郎君登壇)
    ○企画広報部長(大須賀淑郎君) 子育て支援の取り組みについてのうち、次世代育成支援企業認証制度の推進についてお答えいたします。
     少子化の流れを変えていくためには、結婚や出産、子育てに対する希望がかなえられる社会を実現することが必要であり、多くの女性が結婚や出産を契機として就業の機会を断念している現状を踏まえますと、だれもが子育てをしながら働き続けることができる環境づくりを進め、ワーク・ライフ・バランスの向上を図ることが求められております。そのための一つの方策といたしまして、企業に自主的かつ積極的な働き方の見直しを促し、仕事と子育てが両立できる職場環境づくりを促進することが肝要となります。こうした職場環境づくりに取り組む企業を県が認証することにより、企業での取り組みを促進するとともに、企業にとりましても社会的評価の向上や優秀な人材の確保に資することを念頭に制度の創設を行ったところであります。
     議員御指摘のとおり、現在の優遇措置は対象業種などの点で限定的でありまして、認証を得ようとする企業へのインセンティブの拡充が必要であると認識いたしております。今後、企業はもとより、そこで働く従業員への優遇措置についても幅広く検討を進めまして、企業の皆様の御協力もいただきながら認証企業の拡大を図ってまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 吉林経済産業部長。
           (経済産業部長 吉林章仁君登壇)
    ○経済産業部長(吉林章仁君) 介護産業の発展に向けた取り組みについてのうち、医療・介護機器産業の集積についてお答えいたします。
     ファルマバレープロジェクトでは、患者や医師、看護師など現場のニーズにこたえた製品開発に取り組み、これまでに、がん患者のための口腔ケア製品や手術後の特別な患者服など多くの製品が生まれており、介護分野におきましても富士市内の介護施設職員の提案による被介護者の急変を感知する介護ベッド用のシートやブレーキの操作が容易な車いすの開発が進められております。
     また、県におきましては医療機器開発に取り組む地域企業の製品や技術を国際的な展示会で紹介いたしますとともに、ファルマバレーセンターのホームページで日英中韓の四カ国語により情報発信を行っております。さらに、十月には医療産業への参入を目指す県内企業五十四社の部品、部材を医療機器メーカー百三十社に供給するためのマッチング展示会を日本医療機器工業会の協力を得て開催いたしますなど、販路開拓の支援にも努めております。
     今後とも、医療や介護の現場ニーズの積極的な掘り起こしや製品開発、医療介護機器を開発する技術者の育成、県内地域企業と国内外の医療・介護機器メーカーとの連携強化、関連企業の誘致などを進めることによりまして、ファルマバレープロジェクトの世界展開を図り、本県が日本の医療・介護機器産業をリードする地域となるよう取り組んでまいります。
     次に、新卒者に対する就職支援についてであります。
     県では、本年度初めて、新卒者向けの就職面接会を八月に三回開催し県内企業の見学バスツアーを実施するなど、新卒者の就職支援策を強化してまいりましたが、十月末現在の就職内定率は昨年度より若干持ち直したものの依然低い水準が続いております。
     一方、県内には今年度の新卒者の採用に意欲のある優良な地域企業も数多くありますことから、十一月に行政、産業・労働・教育機関で構成する雇用のミスマッチ解消協議会を新設し、学生と地域企業のニーズを掘り起こすなどマッチングの促進に努めてまいります。また未内定の学生に対しましては、ヤングジョブステーションと新卒応援ハローワークが連携して内定までマンツーマンの支援を実施いたしますとともに、今月と来年二月に就職面接会を実施するほか、今年度成果を上げた、未内定のまま卒業する学生に対し就職のための研修や実習を行い、内定まで支援する就職応援事業をさらに拡充することとしております。これらに加えまして、平成二十五年三月卒業予定の新卒者に対する就職支援として、今月には大学の就職担当者と企業人事担当者との情報交換会を開催いたしますとともに、来年三月には新たに学生や保護者を対象とした県内企業魅力発見説明会を県内三会場で実施いたします。
     今後とも、県と労働局、産業・労働・教育機関が連携を密にし、本県の将来を担う若者が一人でも多く就職し、地域企業が十分な人材を確保できるよう新卒者の支援策に全力で取り組んでまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 出野文化・観光部長。
           (文化・観光部長 出野 勉君登壇)
    ○文化・観光部長(出野 勉君) ニューツーリズムの推進についてのうち、体験型観光についてお答えいたします。
     農林水産業を取り巻く環境が厳しい中、農山漁村地域を活性化させるためには、地域の産物や景観、伝統文化などの資源を最大限に活用して都市との交流を促進することが重要であると考えております。
     このため、県では地域資源を活用した滞在型のグリーンツーリズムの促進に取り組んでおりまして、農作業体験などができる農林漁家民宿の意義などについて広く周知を図るとともに、その開業を支援しているほか、研修会の開催やモニターツアーへの支援などにより地域の受け入れ体制の整備を図っております。
     このうち、農林漁家民宿につきましては本年度から各農林事務所に相談窓口を設置し、円滑な開業や運営ができるように開業希望者からの相談に対応してきており、本年八月には浜松市の天竜区におきまして、静岡県農林漁家民宿基準に基づく第一号の民宿が開業しております。さらに来年一月には、同じ天竜区において二件の開業が見込まれるほか、富士地区などでも開業に向けた相談に応じております。今後は特に中山間地域など宿泊施設の少ない地域において開業を促進するとともに、安全管理や衛生管理、ホスピタリティーなどに関する自己評価基準を作成いたしまして品質の向上を図っていくこととしております。また新東名高速道路の開通によりまして、特に内陸部における都市との交流が活発化することが期待されておりますことから、農山漁村の場の力が最大限発揮できるよう農林漁家と観光施設や農家レストラン、あるいは体験施設などとの連携を一層強化いたしまして、その地域ならではの体験プログラムを提供することによりまして農山漁村地域の魅力を県内外に広め、農林漁家民宿に泊まろう運動、こういったような行動を起こすことによりまして、受け入れ体制の充実や交流人口の拡大に努めてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 生活排水対策の推進についてのうち、浄化槽の整備促進についてお答えいたします。
     本県における生活排水処理につきましては、平成十三年度に策定しました静岡県生活排水処理長期計画に基づきまして、公共下水道や合併処理浄化槽、農業集落排水施設など複数の方策を組み合わせて、市町が主体となった施設整備を進めているところであります。この計画では汚水処理普及率を現在の七二・九%から、平成三十二年度には九〇・三%とすることとしており、このうち合併処理浄化槽につきましては、現在の一二・八%を平成三十二年度には一六・四%に引き上げる計画としております。
     このため県では、合併処理浄化槽を新規に設置する場合や単独処理浄化槽から合併処理浄化槽に転換する場合には、その費用の一部につきまして国庫補助と合わせて県単独事業としまして市町に補助し整備を推進してきております。静岡県生活排水処理長期計画につきましては、策定から十年を経過していることから、市町とともに現在見直し作業を進めております。その中では近年の人口減少の動向などを踏まえ、家屋が点在している地域などにおきましては合併処理浄化槽の一層の活用を図るなど集合処理と個別処理を効果的に組み合わせた整備の推進を検討しているところでございます。議員御指摘の補助制度の充実につきましては、この見直しに合わせ厳しい財政状況ではありますが、今後県内市町の取り組み状況を踏まえつつ検討してまいります。
     県といたしましては、今後も市町と連携して合併処理浄化槽を含めた生活排水処理施設の効率的な整備を行い、本県の生活環境の改善を推進してまいります。
     次に、自転車運転の安全対策についてのうち、自転車通行環境の整備についてであります。
     県では、平成十九年度から警察本部及び国、県等で組織します静岡県道路交通環境安全推進連絡会議におきまして、自転車交通事故の危険性が高く早急に対策が必要な箇所を選定し、警察本部及び他の道路管理者と連携しまして自転車走行空間の整備に取り組んでいるところであります。県が管理しております道路のうち早急な対策が必要な三十九カ所につきましては、歩道のカラー舗装等による自転車と歩行者の視覚的な分離や注意を喚起する看板の設置等を実施しており、平成二十二年度までに十八カ所の対策が完了しております。今後、平成二十四年度までにすべての箇所の対策を完了する予定であります。また二十年一月には国が自転車通行環境整備のモデル地区としまして、県内では清水駅前地区と沼津駅地区の二地区が指定されております。県が管理します道路が含まれます沼津駅地区につきましては、平成二十二年度までに車と歩行者とを分離した自転車道等の整備が完了しております。
     県といたしましては、今後これらの整備効果を検証するとともに年度内に国で取りまとめを予定しております自転車利用環境創出のためのガイドラインなどを参考に、引き続きより安全で快適な自転車通行環境の整備に取り組んでまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 松浦くらし・環境部長。
           (くらし・環境部長 松浦敏明君登壇)
    ○くらし・環境部長(松浦敏明君) 生活排水対策の推進についてのうち、浄化槽の法定検査受検率の向上についてお答えいたします。
     法定検査受検率の向上を図るため、県では本年五月に関係部局、政令市、特例市、関係団体及び指定検査機関に加え、全国的な指導機関をアドバイザーに迎えて検討会を設置しました。これまで三回の会議では法定検査の受検義務や罰則規定等への理解が不十分であること、浄化槽新設時の七条法定検査では八〇%程度の受検率があるものの、これがその後の毎年の十一条法定検査受検につながらないことなどが課題として示されました。
     このため、県では県民だよりや路線バス内のテロップの活用などにより広報の強化を行ったほか、来年一月に指定検査機関と連携して県内三カ所で開催する県民向けの講座や新たに作成する啓発パンフレットなどを通じて浄化槽管理者に直接働きかけを行うとともに、個別指導の強化にも取り組んでまいります。また検討会に作業部会を設け、他県で成功している保守点検、清掃、法定検査の一括契約方式の導入に向けた仕組みづくりを行うとともに、指定検査機関に対しては支所の増設を要請し、今後三年間で受検率の倍増を数値目標として積極的に取り組んでまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 発達障害のある児童生徒支援の推進についてお答えいたします。
     県教育委員会では、発達障害等のある児童生徒への早期からの継続、一貫した支援体制を構築していくことが大切であると考えております。グランドモデル地域におきましては、教育と保健・福祉行政が連携し、早期からの支援体制の強化が進められており、今後は、その成果を各市町担当者を対象とした研修会等を通して全県的に広めてまいります。またチーフコーディネーターによる助言が校内の適切な特別支援体制の構築を促し、児童生徒の安定した学校生活に結びついたり、中学校区を基本とした学校間ネットワークの構築につながるといった成果も報告されており、二十二年度から来年度までの三年間をかけて約百五十名のチーフコーディネーターを養成してまいります。さらに現在旧周智高等学校の校舎を活用して行っております対人関係を築くことが難しい高校生を対象としたモデル事業におきましては、コミュニケーション能力の向上を目指してソーシャルスキルトレーニング等を実施しており、高校段階における支援のあり方について研究を進め望ましい教育環境について検討を継続してまいります。
     県教育委員会といたしましては、このような取り組みとともに教員や保護者を対象とした研修会等を通して発達障害等に対する理解を一層深めていき、児童生徒の支援の充実に努めてまいります。
     次に、教師の資質の向上についてのうち、まず教師の不祥事の根絶についてであります。
     不祥事が起こる要因は多様であり、ストレスやコミュニケーション不足なども考えられますが、私は最も大きな要因として不祥事を起こす教職員に相手を思いやる心を基本とした人権意識が欠如しているのではないかと考えております。そのため現在実施しておりますセクハラ防止講座におきまして、セクシャルハラスメントに関する確かな知識の伝達や相談員としてのスキルアップに加え、ロールプレイによる被害者の心情を酌み取る力の向上に重点を置き、人権意識の高揚を図っております。また講座の参加者に対しましては、各所属校の校内研修におきまして、すべての教職員に人権意識が確実に浸透するよう指導しております。
     今後、セクハラ相談員や外部の専門家をアドバイザーとした不祥事根絶委員会において、これまでに起こりました不祥事に関する詳細な分析を進めるとともに、分析結果をもとに再発防止のための方策を検討、立案し、不祥事根絶に向けた取り組みを積極的に行ってまいります。
     次に、ミドルリーダーの育成についてであります。
     県教育委員会では、学校経営の中心的な役割を担う中堅教職員を育成するため、マネジメント研修を総合教育センターで実施しており、受講者と所属長へのアンケートでは、「学校経営に積極的に参加しようとする意識の向上が見られた」との声が多数あり、一定の成果を上げていると認識しております。また層の薄い三十代、四十代の教職員につきましては、これからの学校運営の中核を担うミドルリーダーとして、継続的、計画的に育成することが必要であると考えております。これらの年代のうち、指導力のある教員を対象として最新の教育事情等に関する研修を実施し、その成果を若手教員への指導助言に生かすことなどによるミドルリーダーの育成を検討してまいります。あわせて現在多数を占めております経験豊かな教員が持っております教育観、知識・技能を、中堅・若手教員に継承するための新たな研修も検討しております。
     今後は、議員から御紹介のありました福岡県等の取り組みをも参考にしながら、ミドルリーダーを初め、さまざまな年代の教職員がかかわり合い、切磋琢磨し、ともに成長できるよう学校組織の活性化を図り、本県の教育力の向上に努めてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 繁田警察本部長。
           (警察本部長 繁田 誠君登壇)
    ○警察本部長(繁田 誠君) 早川議員の質問にお答えいたします。
     自転車交通に関する警察の今後の取り組みについてでありますが、今回警察庁が示しました自転車の総合対策につきましては、自転車の通行環境の確立、自転車利用者に対するルールの周知と安全教育の推進、自転車に対する指導取り締まりの強化を並行して進めることにより、車道を通行する自転車と歩道を通行する歩行者と双方の安全を確保しようとするものであります。
     本県警察といたしましては、この三つの柱を進める上で、まず自転車の通行環境の確立につきましては、先ほど県交通基盤部長から御説明がありましたとおり、まず道路環境の整備、専用通行帯を整備するための働きかけを行ってまいります。
     また、自転車利用者に対するルールの周知と安全教育の推進につきましては、特に問題となっております高校生を中心といたしまして、学校や企業の協力を得て交通安全教育の充実や自治体、自転車関係事業者との連携によりますマナー向上に取り組んでまいります。
     さらに、自転車に対する指導取り締まりの強化につきましては、街頭での指導・警告の強化とともに、違反を繰り返す利用者、ブレーキのない危険な自転車利用者等、悪質な利用者に対しては検挙するなど対策を進め、交通事故をふやすことなく、良好な自転車交通秩序の実現に向けた取り組みを推進していきたいと考えております。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 早川育子君。
           (二十八番 早川育子君登壇)
    ○二十八番(早川育子君) 御答弁いただきました女性の視点での防災対策についてでありますが、防災会議の構成員については国の法改正が必要と答弁がありました。地方自治法第二条におきまして、地方公共団体に関する法令の規定は、地方自治の本旨に基づいて、これを解釈し及び運用するようにしなければならないとあります。法改正を待たずとも、知事が必要と認めた者という、例えばそのような文言を加える改正はできないのか。東海地震がいつ起こるかわからないと言われており、待ったなしの状況の中で国の動向を見るというのはいかがなものかと思いますが、この点についてお考えを伺います。
     二点目。子育て支援のうち、不育症についての支援についてであります。
     知事は子育て支援を核にされております。他県で既に実施されております不育症への補助制度、これがどうして静岡県ではできないんでしょうか。知事の所見をお伺いいたします。
     三点目。生活排水対策についてでありますが、整備促進につきましては、県が今後補助制度について検討していくということを考えてよろしいということでしょうか。再確認いたします。補助制度を検討するに当たりましては、市町の財政力がかなり違いがあるかと思いますが、その点をどんなふうにお考えか伺います。
     さらに、受検率の向上につきましては、受検率倍増という言葉は聞こえはよろしいですが、四・四掛ける二は八・八。これは、この目標を掲げて水質保全を考えた環境を考えた目標になるんでしょうか。十倍にしてもおかしくないと思いますが、その点につきましても知事のお考えをお伺いいたします。
     最後に、ニューツーリズムの推進についてでありますが、フィルムコミッションを核とした推進としてはセンターの確立、これが必要かと思います。佐賀県では実施しており非常に効果を上げていると伺いました。またロケ地の整備もあわせて必要だと思いますが、これについての考えを伺い質問を終わります。
    ○議長(植田 徹君) 小林危機管理監。
           (危機管理監 小林佐登志君登壇)
    ○危機管理監(小林佐登志君) 防災会議への女性の登用についての再質問についてお答えをいたします。
     我々としても、今の法制度のもとでも何とか女性の登用、知事が特に必要と認める場合というそういう規定を盛り込むことによって女性の登用ができないものかということを検討しましたけれども、国の見解を聞きますと、やはり法律改正を待たないとそういった条例は改正できないというお話をいただいていますので、これは先生方にお願いして、ぜひ国のほうへ働きかけて、これはもう本当に改正しようと思えばすぐにでもできることですので、我々としては県の立場から言うと、ぜひ国の法律改正を速やかにやっていただきたいと、そういうふうに思っておりますので。我々としても法律が改正されれば、すぐに条例改正をして女性を積極的に登用してまいりたいと思っておりますので、そういう点で御理解をいただきたいと思います。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 池谷健康福祉部長。
           (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
    ○健康福祉部長(池谷享士君) 不育症に対する助成についてでございます。
     現在和歌山県で、ただ一県助成制度を持っているというように認識をしております。我々も制度設計するに当たりまして、先ほど申し上げましたとおり、治療の実態とか治療費とか、実際に治療を受けている方の御意見とか、その情報を現時点で持ち合わせていないということがございますので、それについて、まずは把握をさせていただきたいということから進めさせていただきたいと思います。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 合併処理浄化槽の整備に関する県の補助事業の関係について御説明いたします。
     現在国のほうが市町に対して、新規につくる場合の支援制度がございます。それに対しまして、現在県の単独事業として、市町の負担分に対する助成をしてございます。それから現在、国の制度ではありませんが、単独から合併にかえる場合の転換。これについては県の単独事業として、国の事業によらずに補助する仕組みがございます。
     議員御指摘の、さらに合併処理浄化槽を進めるべきじゃないかということにつきましては、答弁しましたけれども、全体的な計画を見る中で、基本的にはそういった方向でいくべきだろうというふうに考えてございまして、その際に、それを推進するための助成制度につきましても、現在の市町の取り組み状況を見ながら、また議員御指摘の市町の財政力を見つつ、その計画の見直しを含めて考えていきたいということでございます。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 松浦くらし・環境部長。(発言する者あり)
           (くらし・環境部長 松浦敏明君登壇)
    ○くらし・環境部長(松浦敏明君) 浄化槽法定検査受検率の向上についてお答えいたします。
     受検率の倍増ということで、これから仕組みづくりを行うということになります。まずは倍増を目指して行いまして、仕組みづくりを行う中で検査率も充実してまいりますので、その勢いを今後も終わらせることなく、できるだけ一〇〇%に近づくように一生懸命努力してまいりますので、御理解をお願いいたします。
    ○議長(植田 徹君) 出野文化・観光部長。
           (文化・観光部長 出野 勉君登壇)
    ○文化・観光部長(出野 勉君) フィルムコミッションの再質問についてお答えいたします。
     まず、センターというのは、佐賀県のお話だと思いますけれども、やはりロケ地の魅力を発信するというような、そういうコーナーも必要だと思いますけれども、まずは一昨年――平成二十一年度につくりました静岡県フィルムコミッション連絡協議会、こういった中でいろんな観光キャンペーン等での広報の場所のコーナーをつくって静岡県の魅力を発信していく、あるいは制作者側に対して売り込みを図っていくというようなことからスタートしていきたいというふうに考えております。
     また、ロケ地の整備でございますけれども、地域の魅力を増すためには順次ロケ地の整備等を行っていく必要もあると思います。制作者側のニーズも踏まえて、やはり市町と連携しながら、これは進めていきたいということで、地域のほうで、もし整備をしていきたいということになれば既存の観光施設整備補助制度などもございます。こういったものを活用しながらロケ地の整備は順次進めていきたいというふうに考えております。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) これで、早川育子君の質問は終わりました。
     議事の都合により休憩します。

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