• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和4年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

佐野 愛子 議員

質問分類

代表質問

質問日:

06/16/2022

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 教育行政について
(1)新教育長の所信
(2)県立高校の生徒の自主性を育む教育
(3)魅力ある学校づくり
2 リニア中央新幹線静岡工区に関するJR東海との対話について
3 新型コロナウイルス感染症対策について
(1)これまでの感染症対策の効果とウイズコロナでの今後の対応
(2)高齢者福祉施設等における対策
(3)コロナの影響を受けた人々への支え
(4)後遺症対策
4 地方財政制度の課題について
5 サーキュラーエコノミーについて
6 農業の振興について
(1)食料自給力を上げるための取組
(2)茶業の再生
7 誰一人取り残さない社会の実現について
(1)人生の多様化を踏まえた女性支援策
(2)SNSに起因する被害から子どもを守るための取組
(3)孤独・孤立対策
8 地域外交の在り方について
9 ICOIプロジェクトの取組について
10 津波対策静岡方式における防潮堤整備について
11 熱海土石流災害から得られた教訓について


○副議長(和田篤夫君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、六十六番 佐野愛子君。
       (六十六番 佐野愛子君登壇 拍手)
○六十六番(佐野愛子君) 皆様こんにちは。
 私は、ふじのくに県民クラブの代表として今年度初めのこの六月議会で代表質問をさせていただきます。
 世界の情勢と言えば平和まで脅かされ、また国内も円安と混沌としている状況です。それらを踏まえた県政の諸課題について、政策集団ふじのくにの代表として自負を持って質問に臨みたいと思います。
 一括質問方式でお願いいたします。
 初めに、教育行政についてのうち、新教育長の所信について伺います。
 池上教育長におかれましては、静岡県の教育長として着任くださりありがとうございます。これまで県内の多くの市の審議会委員やアドバイザー、また昨年度は地域自立のための「人づくり・学校づくり」実践委員会の副委員長も務め静岡県教育長にふさわしい見識を備えた方であると確信しています。
 さて、激動と言っていいほどの昨今世界中が流動的な変化を遂げています。これまでとは価値観も、いや物の価値そのものも大きく変わっています。そんな中、一番大切なものは人材であることはいつの世も変わりません。全ての原点は人づくりにあります。私は世界を見ても日本人は本当に優れた国民であると思います。
 終戦から七十五年ほどの間に目覚ましい発展を遂げました。高い技術力、科学力を持ち世界中から認められる優れた製品を作り出してきました。また阪神淡路や東日本大震災などの自然災害からも復興を遂げてきました。悲しみに打ち勝ち粘り強く我慢強く規律を守って進みました。私はこの真面目さ勤勉さも全て戦後の民主教育の成果だと思うのです。幼き時、教室で先生から手取り足取り教わった集団生活の決まり、勉強のイロハがあるからこそ日本人は頑張ることができたのだと思うのです。
 そして、人づくりの基礎を学ぶとともに、これからの世界が求めている人材も育てていかなければなりません。ロシアのウクライナ侵攻のような惨事ではなく、あくまでも世界の恒久平和を希求する基礎も教育で培っていかなければなりません。暴力で解決するのではなくお互いを尊重し合い、違いを認め合う根本的な姿勢を学ばなければなりません。
 幸い静岡県にはふじのくに「有徳の人」づくり大綱というすばらしい基本理念があり人づくりは教育の重要な役割であると位置づけていますが、教育長は有徳の人をどのような人物像とお考えでしょうか。幼児教育、義務教育、高校教育、社会教育等県内のあらゆる公教育を担うトップとしてどのように教育行政をかじ取りしていくのか、教育長の所信と決意を伺います。
 次に、県立高校の生徒の自主性を育む教育について伺います。
 今年四月から成人年齢がこれまでの二十歳から十八歳に引き下げられました。高校教育の現場には未成年と成人が生徒として混在するようになりました。十八歳になれば自らの意思で結婚したり親の承諾なしに様々な契約をしたりすることもできるようになり、法律的に大人として扱われます。そのため高校三年間は大人になるための移行期間として自ら正しい判断ができる力の醸成など生徒の自主性を育む重要な期間となります。教師は大人、生徒は子供といったこれまでの概念から脱却し生徒への接し方も変えていくべきです。これまで問題になってきた校則についても見直す時が来ています。
 今月初め、会派有志で視察した福岡県立修猷館高校は生徒の自主的な活動が校風として根づいた学校でした。校訓や校則というものがなく、あるのは不羈独立、自由闊達、質実剛健という校風だけ。生徒は縛られることなく自ら考え、良心に恥じることがなければどんな状況でも挑む。過ちも自ら正す自浄作用が働き風紀が乱れることもありません。生徒の力で文化祭、運動会をはじめとする行事も企画運営しています。
 では教師は何をしているかというと、よいかげんの間合いで生徒の主体的、自律的活動を温かく見守る寛容の精神を持ち生徒の自由と自治の支えとなっています。修猷館高校は福岡県きっての名門校であるためこのような生徒自治が実施できると言えばそれまでかもしれませんが、静岡県立高校の教員の姿勢はこれと比べていかがなものでしょうか。まだまだ教員主導による指導の形から脱却できていないように見受けられます。
 生徒の変革にはまず教職員の意識から変えていく必要があると思います。そして生徒が自分の学校への誇りと愛着を抱くことが自主性の第一条件であると痛感しました。高校生を自立した成人として社会に送り出すために自主性を育む教育は不可欠と考えますが、県教育委員会の所見を伺います。
 次に、魅力ある学校づくりについて伺います。
 今年五月、日本の子供たちについて気になる数字が出ました。世界三十八か国中、日本の子供の身体的健康は一位であるにもかかわらず精神的幸福度は三十七位という結果でした。また別の調査ですが教職員の休職等による長期療養者の状況は毎年約五千人にも上り、中でも二十代、三十代の若い教職員の休職の増加率が高くなっています。静岡県でも三十日以上の特別休暇や休職者は増加しており、精神疾患による長期療養者はここ五年で一・五倍となっています。私にはこの二つの実態は関連性があるように思えるのです。
 これからの日本を背負って立つ子供たちが、希望に満ちて自己肯定感を持ち自らの将来を切り開いていくことは誰もが望んでいることであります。家庭において貧困や虐待など様々な社会的困難を抱えたとしても学校はみんな平等で楽しいところ、先生も優しくて勉強も分かりやすく教えてくれるところであるはず。そういう場所である担任の先生に元気がなければ楽しいはずがありません。
 これまで、県教育委員会は業務改革プランによる「やめる・かえる・へらす」の視点に立った取組を進めていますが、まだまだ勤務時間中に休息時間も取ることができないし土日のどちらかに出勤して平日にたまった仕事をこなさなければ立ち行かないような実態が続いています。そのような多忙な実態が伝わったせいか全国の教職員不足が二千五百八十八人、他県では新学期になっても教室に担任の先生がいないという非常事態も生じているということです。そんな学校現場に対して地域の方々が通学指導や地域学習など参加してくれるなど様々なところでサポートの輪は広がっています。
 私が令和二年の議会で提案した教職員人材バンクをさらに充実させて課題となっている教員不足にも対応していくことが必要かと思います。教師という仕事は無限の可能性を秘めた子供たちを未来へ向かって育てる職業であり、とても魅力的な職業であることは言うまでもありません。教師がやりがいを持って楽しいと感じる職場でなければ子供たちも学校が楽しくなるはずがありません。魅力ある学校づくりに今後どう取り組んでいくのか、県教育委員会の所見を伺います。
 次に、リニア中央新幹線静岡工区に関するJR東海との対話について伺います。
 国土交通省がJR東海への指導を目的として設置したリニア中央新幹線静岡工区有識者会議が、昨年十二月に大井川水資源問題に関する中間報告を取りまとめました。私もほとんどの会議を傍聴しておりました。この中間報告では、県が求めるトンネル湧水の全量戻しについて工事期間中も含めて戻さない場合は全量戻しとならないということが明確に示されています。さらに関係者の納得が得られるように具体的方策などを協議すべきとされています。
 現在JR東海から田代ダムの取水抑制などの提案がなされていますが、実現性などについて十分な検討が必要です。またJR東海に対しては、地域の方々との双方向のコミュニケーションを十分に行うなど地域の不安や懸念が払拭されるよう真摯な対応を継続すべきであると指導しました。
 その指導を受け四月には県の地質構造・水資源専門部会が再開され、大井川水資源問題についてのJR東海との対話は新たな段階を迎えたと受け止めています。今月八日にはJR東海の環境保全の取組に対して科学的、客観的な観点から議論を行うことによりJR東海を指導する第一回環境保全有識者会議が始まりました。この有識者会議では現在論点は設定されておらず、秋頃までに関係者へのヒアリングや現地調査等を踏まえて会議の中で論点整理を行うこととなっています。
 大井川は、複雑な地質の南アルプスを源とし静岡県内で源流から河口まで完結する特徴のある河川です。その水と生物多様性を守ることは県民にとっての生命線となることは不変の事実です。
 そこで、静岡県リニア中央新幹線対策本部長である難波県理事に今後の大井川水資源問題についての対話の中でJR東海に求める姿勢及び県の対応について伺います。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策についてのうち、これまでの感染症対策の効果とウイズコロナでの今後の対応について伺います。
 新型コロナウイルス感染症対策については、令和二年一月に国内初の感染者が確認されて以来感染拡大を抑えるべく全国で行動制限を伴う様々な対策が取られてきました。
 本県においても、これまでに緊急事態宣言が二回、まん延防止等重点措置が二回発令され、当初飲食店においてクラスターが多数発生したことから飲食店への休業や営業時間短縮の要請が行われました。一方で第六波では学校や保育施設、高齢者施設などが感染の中心となるなど対象施設に応じた効果的な対策の必要性を感じたことになりました。
 今後は、ウイズコロナにおける社会経済活動が徐々に本格化していくものと思われますが、さらなる変異株の出現や後遺症など想定できない部分もあり感染症対策は今後も継続すべきと考えています。
 そこで、これまでに行ってきた新型コロナウイルス感染症対策について現時点での中間的な総括としてどのように評価し今後感染症対策をどのように進めていくのか、所見を伺います。
 次に、高齢者福祉施設等における対策について伺います。
 高齢者施設や障害者施設ではこれまで約二百三十件のクラスターが発生しており、特に第六波では施設内療養を余儀なくされるケースが多かったと聞いています。今後対策を講じていくことが急務だと感じています。
 例えば、国は高齢者福祉施設などに事業継続計画いわゆるBCPの作成を促していますが、そもそも慢性的に人手不足の業界でありBCPの作成も困難を極めるのではと推測されます。
 そこで、県として特にこれらの施設に対して今後の対策づくり、体制強化のための支援に力を入れるべきと感じていますが、これまでの中間総括と今後の方針を伺います。
 次に、コロナの影響を受けた人々への支えについて伺います。
 コロナ禍は社会全体に大きな影響を及ぼし県民一人一人の生活にも影響を与えました。中でも医療従事者をはじめ直接コロナと対峙してきたエッセンシャルワーカーと呼ばれる方々や緊急事態宣言などにより事業活動に制約を受けた方々の御苦労について、改めて重ねての感謝と敬意を表します。一方で果たしてここまでの間コロナ禍により様々な影響を受けた方々への対応は十分であったのでしょうか。心配なところです。
 コロナの影響を受けた方々への支えについて、これまでの中間総括と今後の方針を伺います。
 次に、後遺症対策について伺います。
 新型コロナウイルスに罹患された方のうち、後遺症が残っている方へのケアについても不十分ではないかと心配になります。専門的に後遺症をケアする、まずはワンストップ相談の窓口が必要と考えます。
 後遺症に対するアンケート調査なども踏まえて、これまでの中間総括と今後の方針を伺います。
 次に、地方財政制度の課題について伺います。
 臨時財政対策債は、地方交付税の原資の不足に対応するため国が特例として地方に発行を認めているものであり本来であれば期間限定の措置であるはずですが、平成十三年度の制度創設以来度重なる延長により現在も発行が続けられています。令和四年度は国税収入の増加などが見込まれることから令和三年度に比べれば発行額は抑制されましたが、全国の発行総額は一兆七千八百億円余りに上る見通しであり本県の当初予算でも三百二十億円が計上されています。また四半世紀近くにわたり発行を続けてきた結果本県における臨時財政対策債の残高は令和四年度末時点で一兆一千七百六十七億円に達する見込みであり、一般会計の県債残高の四〇%以上を臨時財政対策債が占めています。
 臨時財政対策債は、本来国が地方交付税として配分すべきものを地方の借金に振り替えるような制度であり我が国の地方財政における根本的な課題の一つと考えますが、県の認識と今後の対応について国の財政にお詳しい政策推進担当部長にお伺いしたいと思います。
 次に、サーキュラーエコノミーについて伺います。
 昨年の我が会派議員のサーキュラーエコノミーについての質問答弁において、政策推進担当部長がくらし・環境部、経済産業部などの関係部局でチームをつくっていくと答弁し、またレイクハマナ未来都市構想はサーキュラーエコノミーを含む地域循環共生圏の考え方が根幹をなすものと答弁していますが進の具合はいかがでしょうか。
 我が会派としての研究の中では、日本の中でサーキュラーエコノミーの形が最も具現化されているのは北九州市エリアだと認識しています。北九州市はエコタウンの国内第一号の認定も受けており、その核としてエコタウン団地を形成しエコタウンセンターも設置して事業を推進しています。本県としてもまず手始めにエコタウンのようなサーキュラーエコノミーのモデル工業団地を形成していくことが目に見える形として説得力を持ちます。早急に具現化に取り組むべきだと考えます。
 そこで、サーキュラーエコノミーを今後どのように進めていくのか、知事の所見を伺います。
 次に、農業の振興についてのうち、食料自給力を上げるための取組について伺います。
 最近、生活に身近な品物の値上げが非常に目立つようになりました。帝国データバンクの調査では、主要食品会社が今年中に値上げを予定している品目は一万七百八十九品目に上るそうで食生活への不安が増大しています。値上げの原因は周知のとおりロシアのウクライナ侵攻によって世界中の輸送や生産のルートがストップしていること、さらには新型コロナウイルスの流行や労働力の不足、地球温暖化による異常気象が及ぼす作物や農地へのダメージ、そして限られた地球上の食料を限られた国だけが買い占める行為なども影響しています。まさに食糧危機の到来です。島国である日本は多くの食材を輸入に頼っていますが、これを機に考えてみる必要があります。
 我が国のカロリーベースの食料自給率は三八%でありますが、静岡県の自給率はそれよりはるかに低い一五%です。これでは持続可能な理想のふじのくにとは言えません。
 キューバの革命家ホセ・マルティは食料を自給できない人たちは奴隷であると言い、詩人・彫刻家の高村幸太郎も食うものだけは自給したい、個人でも、国家でも、これなくしては真の独立はないとの言葉を残しています。
 そこで、食料を生産するのに必要な要素といえばまずは農地が必要です。人一人が一年に食べる食料を作るために必要な農地面積は約十一アールですが、国内の総農地面積は四百三十五万ヘクタールで国民一人当たり三・五アールしかありません。本県の耕地面積は六万千五百ヘクタールですが年々減少し、反面耕作放棄地は増加し現在六千六百六十七ヘクタールとなっています。この状況を踏まえると現在ある農地を農産物を生み出す場として維持していくことは重要であり、耕作放棄地の発生を放っておく場合ではありません。
 もう一つ大事な要素は人です。農家の高齢化や後継者不足など農地があっても維持できない実情があります。人手確保はどの分野でも困難になっていますが今こそ農業に人を呼び込む必要があるのではないでしようか。農地と人、これは食料確保の上での根幹であり県土づくりの基本であると言っても過言ではありません。
 そこで、国際的な食料問題が懸念される中、食の確保に必要不可欠となる農地の維持、人の確保について県はどのように取り組むのか、所見を伺います。
 次に、茶業の再生について伺います。
 先日、志太榛原農林事務所を訪ねたところ、事務所管轄の農業産出額が十四年前と比較して四〇%減少したと伺い非常に驚きました。農業は高齢化が進み衰退しているとは認識していたものの、イチゴやバラなどの施設園芸が増え単価の高い産品が出荷されて効率的に生産額が上がっているものと思っていました。この減収の一番の原因はお茶の収益が減ったことであるというのです。いかに茶業は本県の農業を支え貢献しているか改めて思い知らされました。
 茶業は第一次産業の農家から始まり二次、三次とつながる県内で完結する六次産業の典型的稼ぎ頭です。しかしながらここ十年のお茶価格は下落の一途をたどり、それにつれて生産量も減少しピーク時の五六%に当たる二万九千七百トンと半減しています。茶生産農家は一番茶の販売額が全体収入の約七〇%と高く、一番茶の需要の減少と安値が茶農家の所得の減少となり栽培をやめる原因となります。それに加え高齢化、製茶機械の老朽化のタイミングで茶栽培を断念する農家が相次ぎ茶農家は二十年前の四分の一、五千七百戸となってしまいました。
 一方、農水省の二〇三〇年の茶の生産量の目標は二十一年度の七万八千トンを大きく上回る九万九千トンが目標です。国内需要七万九千トン、輸出二万五千トンと輸出需要の大幅増を見込んでいます。このまま荒茶の生産が減少していくとペットボトル用の供給も難しくなることも考えられ、飲料メーカーは国内産の茶確保の対策に走っているとも言われます。
 これまで様々な需要拡大対策は取られてきましたが、今年は三年に一度の世界お茶まつりが開催される年です。新型コロナウイルス感染症の巣ごもり効果でゆっくり入れる日本茶の魅力を発信したり緑茶による新型コロナウイルス不活性化研究結果をアピールしたり、これまでとは違う切り口での取組方があるはずです。お茶の持つ可能性、高級感をさらに際立たせるいいチャンスです。
 お茶まつりをきっかけとしてどのように本県茶業の再生を図っていくか、県の所見を伺います。
 次に、誰一人取り残さない社会の実現についてのうち、人生の多様化を踏まえた女性支援策について伺います。
 令和の時代を迎え女性の人生と家族の姿は多様化しています。長寿化が進み女性の五〇%が九十歳まで生きるという統計がある上、女性の生涯未婚率は一八%まで上昇し離婚件数は結婚件数の三分の一を上回るなど女性の生き方や家族の在り方は大きく変化してきています。
 一方で、既婚女性の六割は所得二百万円未満であり男女間の給与格差は正規・非正規を問わず依然として大きく長寿化、人生の多様化が進んだ現代において女性の経済的自立は最重要課題として取り組む必要があります。
 加えて、女性の二〇二〇年度のDV、配偶者暴力相談件数は前年度の一・五倍、自殺者数は一五%増加するなどコロナ禍において社会的に弱い立場にある女性は深刻な影響を受けています。女性に対する暴力を根絶し女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会を実現することは喫緊の課題です。
 こうした状況を踏まえ、国は六月三日に決定した女性版骨太の方針二〇二二においてもはや昭和の時代の想定は通用しないことを指摘し、結婚すれば生涯、経済的安定が約束されるという価値観で女の子を育てることのリスクについて認識を広めると明記しました。また男女間賃金格差への対応など女性の経済的自立支援策を盛り込み、固定的な性別の役割分担意識の解消についても自治体や経済団体などを通じて啓発活動を強めることにしました。
 このように女性を取り巻く環境が大きく変わっていることを踏まえ県はどのように女性支援策を進めていくのか、所見を伺います。
 次に、SNSに起因する被害から子供を守るための取組について伺います。
 近年のデジタル化の進展に伴いスマートフォンやSNSは急速に普及しており、今の子供たちは学校でタブレットを使用したりリモートで授業を受けたりとデジタル技術に慣れ親しんでいます。こうした技術は非常に便利なものである一方、匿名性や不特定多数の者に一斉に連絡が取れてしまうといったその特性から使い方を誤ると非常に危険なものとなります。
 警察庁によれば、令和三年度中にSNSをきっかけとして犯罪被害に遭ってしまった十八歳未満の子供は全国で千八百十二人に上り、内訳を見ると児童ポルノ被害が六百五十七人と高い割合を占めています。性的被害が多いのです。中でもだまされたり脅かされたりして裸の画像を送ってしまう自画撮り被害が問題となっています。自画撮りトラブルは安易な気持ちで自ら送ってしまうケースもあり、一度インターネット上に画像が流出してしまうと全てを回収、削除することは事実上不可能です。事の重大さに後から気づいて深く傷ついてしまう子供や親の気持ちを考えると心が痛みます。このようなトラブルを防ぐために関係機関が緊密に連携して対応することが必要です。
 そこで、本県におけるSNSに起因する子供たちの被害の現状と県警察による被害防止に向けた取組について伺います。
 次に、孤独・孤立対策について伺います。
 長引く新型コロナウイルス感染症は外出の自粛などにより社会の孤独、孤立化を増長しました。感染が怖くて家に閉じ籠もっているお年寄り、大学に進学したものの授業が行われず一人アパートに籠もる学生、仕事を失い生活の場も失った労働者、家に籠もることによつて身体的にも精神的にも不健康な状態に陥っていきます。
 東日本大震災など災害後の仮設住宅でも独り暮らしのお年寄りの孤立、孤独死が問題になりました。高齢者を中心とした孤独死は社会の大きな課題です。また最近注目されてきたヤングケアラーも、子供が知らず知らずのうちに家族の介護を担って負担を強いられているということを社会が気づかないことが問題です。ほかにも虐待、DVなども社会からの孤立が原因の悲劇であると言えます。困って追い込まれていても助けてと言えないことが問題です。
 このような孤立した生活困難者を救うため地域ごとに様々な取組も行われています。ボランティア団体やNPOによる炊き出しや巡回、相談、子ども食堂などが全国的に広がってきました。また大阪府豊中市の社会福祉協議会ではCSWと呼ばれるコミュニティーソーシャルワーカーの取組が効果を上げて話題になっていました。しかしながらまだまだ孤立の問題は奥が深く、介護が必要なお年寄りや介護が必要なお年寄りや障害児を抱えた家族、ひきこもり等に精神障害のある方々など支援が必要な人に対応するには人手も予算も足りていないのが現状です。
 このような深刻な状況を鑑みて国は二〇二一年二月孤独・孤立対策担当大臣という部署を設置し、あなたはひとりじゃないを合い言葉にし孤独・孤立対策官民連携プラットフォームが今年二月立ち上がりました。孤独・孤立対策の推進は行政の政策的な対処だけでは効果が少なく、実態を熟知し当事者への支援を直接行う関係団体と連携を密にして取り組んでいかなければなりません。
 県においても、静岡県の新ビジョン後期アクションプランにおいて地域で支え合う安心安全社会づくりを政策の柱の一つに上げています。
 そこで、国の政策を受けて県としてどのような取組をし誰一人取り残さないふじのくにを構築しようとしていくのか伺います。
 次に、地域外交の在り方について伺います。
 コロナ禍で実際の行き来ができなかった地域外交ですが、我が会派は静岡県独自の地域外交の重要性は不変であると評価しています。地政学上での日本の立ち位置を考えるとウクライナ侵略戦争をやめようとしないロシアや一党独裁体制の中国や北朝鮮、折々反日感情が噴出する韓国など日本の隣人は一筋縄ではいかない国ばかりです。
 外交というものは複線化されていることが望ましいことは常識であり、日本国が国際情勢の中で外交上対外関係に緩急や強弱をつけることも当然です。そんなとき地方対地方というパイプがあることは国益上非常に有効であり、国からも静岡県の先進的な取組については折に触れ高い評価をされています。したがってコロナ禍で一時的に行き来がなくなっているから地域外交は不要であるとか、今現在目に見える成果がないから不要であるというのは少々短絡的だと感じます。今こそ中長期的視野に立った静岡県の地域外交ビジョンを示し、庁内各部各局が連携して地域外交に取り組んでいくべきと考えます。
 また、庁内を横断的に展開する以上副知事が地域外交の責任者も兼ねることも検討すべきと思いますが、知事のお考えを伺います。
 次に、ICOIプロジェクトの取組について伺います。
 県では、身も心も元気になる世界的リゾート伊豆を目指し伊豆地域の温泉を活用した伊豆ヘルスケア温泉イノベーション――ICOIプロジェクトを推進しています。
 このICOIプロジェクトでは、知事は昨年九月議会において最新の科学と技術を活用し温泉の効能、効果を再評価しヘルスケア分野への応用を図っていくことで科学的根拠に基づいた健康増進プログラムを官民一体となってつくり上げていく、いわゆるウエルネスを目指すと答弁しています。このように温泉を科学的とともに新たな産業創出や地域振興につなげるという施策は全国を見ても例がなく、静岡県の重点施策としてこれまでにない取組となることを期待しています。
 県では、今年二月に伊豆地域の市町や関係団体で構成されるプロジェクト推進協議会を設立していますが、その後のICOIプロジェクトの取組の現状とプロジェクトを通じて伊豆地域におけるヘルスケア産業の振興をいかに進めていくか改めて伺います。
 次に、津波対策静岡方式における防潮堤整備について伺います。
 本県は、昭和五十一年に東海地震説が提唱されて以降全国に先駆けて地震・津波対策に取り組んできました。しかし平成二十三年三月の東日本大震災や南海トラフ巨大地震の被害想定は私たちの想像をはるかに上回るものでした。県はその被害に対応する方策を静岡県地震・津波対策アクションプログラム二〇一三として公表し防災・減災対策に取り組んでいます。
 しかし、本県の沿岸域は地域によって人々と海岸の関わりは様々であり、県はこのアクションプログラムの実効性を高めるために地域の特性を踏まえた最もふさわしい津波対策静岡方式を県下全域で展開しています。伊豆半島、駿河湾、遠州灘など地域の事情に応じて防護の水準を決め防潮堤の整備などの整備を進めています。地域の声を丁寧に聞く、この静岡方式はすばらしいと思います。丁寧に議論することが必要である一方で、いつ来てもおかしくない津波に対して一刻も早く各地域の整備水準を定め施設整備を推進する必要があると思います。また必要な予算確保も求められています。
 そこで、静岡県地震・津波対策アクションプログラム二〇一三を設定して十年がたとうとしている中で地域の合意形成を踏まえた静岡方式による津波対策の進状況と今後の取組について伺います。
 最後に、熱海土石流災害から得られた教訓について伺います。
 昨年七月三日に発生した熱海市伊豆山における大規模な土石流災害では二十六人もの尊い命が失われ、今なおお一人の方が行方不明のまま来月には一年になろうとしています。
 この土石流災害において、県警察は発災当初から懸命に救出救助活動に当たったほか身元確認、相談対応等長期間にわたり様々な活動を行っていただきました。発災直後の地盤が緩み二次災害のおそれのある中での活動、猛暑の中、炎天下での活動、海中の捜査、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック大会警備と並行しての対応等様々な困難な状況があったと聞いています。こうした活動を通じ様々な経験・知識が得られたとともに、課題も見えてきたのではないかと思います。今回のような悲劇は二度と繰り返されないことが一番ではありますが、災害はいつどのような形で発生するか予測はできず本県は南海トラフ地震や富士山噴火という大規模災害リスクもあります。
 発災から一年が経過しようとしている今、本災害を今後の糧とするため指揮を執り続けてくださった山本県警本部長にここで一度総括していただきたいと思います。熱海市伊豆山土石流災害から得られた教訓と解決すべき課題について伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(和田篤夫君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 佐野議員にお答えいたします。
 政策集団を代表しての政策提言を含んだ御質問、数々頂きましてありがとうございました。全てにお答えすることができませんのが残念ですがそのうちの一つ、食料自給率を上げることに関して共感するところが多うございました。ただし食料自給率はカロリーベースで見た場合、御案内のとおり静岡県は一五%です。しかしながら本県の主要産業である茶業、お茶はカロリーベースで見ればゼロです。またもう一つの本県が日本で最大の生産量を誇る、また世界農業遺産でもあるワサビもカロリーベースで見れば貢献はないに等しいわけです。したがって自給率をカロリーベースで見ることの限界もあるというふうに存じます。
 一方で耕作放棄地がどんどん増えております。なくしていく一方で増えていくというこれを何とか止めなくちゃいけない。同時に農地の有効活用をしなくちゃいけないので、この点は正面から受け止めてお聞きいたしました。
 私のほうからは、まず新型コロナウイルス感染症対策についてのうち、これまでの感染症対策の効果とウイズコロナでの今後の対応についてであります。
 世界的パンデミックを引き起こした未知のウイルスから県民の命を守るため、本県はこれまで新型コロナウイルス感染症対策本部を立ち上げ、県感染症対策専門家会議の御助言を頂きながら全庁を挙げて感染拡大防止と医療提供体制の確保を最優先にして対応してまいりました。
 感染拡大の防止につきましては、本県は首都圏と中京圏に隣接しておりますことからこうした地域との交流が不可避であります。その交流が感染拡大の端緒となってきたことから独自の警戒レベルと行動制限に基づき近隣県や県内市町の感染状況を常に監視、分析し県民の皆様に対し定期的に情報提供や注意喚起を行ってまいりました。
 県民の皆様に対する行動制限につきましては、その時々の感染状況に応じて飲食店の休業や営業時間の短縮、大規模な集客施設やイベントの入場制限など政府対処方針に基づき適切に対策を実施いたしました。これにより繁華街や駅などの人流が六割程度抑制されるなど感染拡大の防止に一定の効果があったものと認識しております。
 さらに、特定地域の飲食店クラスターに対し地元市町と連携して地域での集中検査や営業時間短縮の要請等を実施し感染拡大を初期段階で抑制することができました。
 医療提供体制の確保につきましては、感染拡大状況に応じた必要病床、宿泊療養施設の確保を着実に行ったほか保健所体制の強化による積極的疫学調査の継続、多様な検査体制の段階的な拡充、施設等のクラスター対応を支援する機動班の創設、社会福祉施設のクラスターに対する集中検査や医療チームの派遣など感染実態に即応した県独自の施策も積極的に実施してきたところであります。
 こうした取組の結果、直近の人口十万人当たりの累計感染者数は全国ではおおむね七千人に対し本県では五千人を下回る状況にあり人口規模や大都市地域に近接する地理的条件に鑑みて少ない水準にあるということから、これまでの対策と県民の皆様の危機意識の高さによる成果が現れたものと評価しております。
 現在オミクロン株による感染拡大は徐々に鎮静化しつつありますが、今後社会経済活動の本格化が見込まれる中、感染状況の予測は誠に困難です。
 県としましては、引き続き適時適切な感染拡大防止対策を行うことができるよう県外の感染動向の監視、分析や専門家会議の御助言を踏まえた県民の皆様への情報発信を継続してまいります。また将来発生する感染症に備え感染症対策の司令塔機能や広域的な入院調整の体制づくり、感染症への対応力向上のための人材育成などを担う、仮称でございますがふじのくに感染症管理センターを来年四月に開設できるよう着実に準備を進めてまいります。
 新型コロナウイルス感染症対策は県民の皆様の生命、身体、財産を守る危機管理の重要な柱の一つでありますことから、今後とも私は陣頭に立って全庁一丸となって全力で取り組んでまいります。
 次に、サーキュラーエコノミーについてであります。
 世界の人口が増加し途上国、新興国などの経済成長が加速する中、資源、エネルギー、食料需要の増大、廃棄物の増加など環境問題の深刻化が地球レベルで懸念されております。
 このため、従来の大量生産、大量消費、大量廃棄というこういう一方通行の線形経済、いわゆるリニアエコノミーから資源の消費や廃棄物の発生の最小化を目指す循環経済、いわゆるサーキュラーエコノミーへの転換が喫緊の課題であります。こうした世界的潮流を踏まえ、本県が将来にわたって持続可能な発展をしていくためには官民を挙げて無駄のない製品やサービスの提供により資源が損なわれることのないような産業構造の転換に変えていく必要があります。
 県では昨年十月、関係部局の職員で構成するタスクフォースを結成いたしました。法令上の課題等を検討した上で循環経済への転換に向けた取組の強化について国に要望したところであります。
 経済産業省におきましては、本年五月資源循環経済政策の再構築に向けた検討に着手したところでございます。またふじのくにフロンティアを拓く取組におきましてレイクハマナ未来都市を西部地域の目指す姿として位置づけ、伊豆、東部、中部地域とともに環境と経済社会の調和を目指す地域循環共生圏の形成を進めております。特に次世代自動車の研究開発や自動運転の実証実験、いわゆるMaaS――モビリティー・アズ・ア・サービスというこのMaaSの導入プロジェクト等に加え本年四月には浜名湖西岸に次世代電池産業の工場建設が始まりました。これはカーボンニュートラルを先端技術でリードする世界的な拠点形成と捉えて受け止めておりまして、こうした動きが着実に見られます。
 県では、循環型社会と経済成長の両立を目指しサーキュラーエコノミーに向けた基盤づくりを県内全域で進めるため、本年三月に策定した静岡県の新ビジョン後期アクションプランや第四次静岡県循環型社会形成計画などの柱に位置づけまして循環産業の振興支援やプラスチックの循環利用の高度化などに取り組んでいくこととしております。
 こうした方針を踏まえ、県民の皆様や事業者の意識の醸成に向けてデジタルツールを活用した啓発講座等を実施するとともに、新しいビジネスモデルの構築に向けてプラスチック素材の高度化や食品残渣を活用したエネルギーの利用推進、植物由来の新素材CNF――セルロースナノファイバーの製品開発支援等に取り組んでおります。あわせて市町や企業などのニーズ等を踏まえまして資源、環境に配慮した企業の積極的誘致や連携等を目指すとともに、再生可能エネルギーの導入など環境面の取組を促進してまいります。
 県といたしましては、脱炭素化やサーキュラーエコノミーへの転換など持続的な発展に向けた取組の促進を通じてSDGsのモデル県として環境が経済が両立した社会の実現を目指してまいります。
 次に、誰一人取り残さない社会の実現についてのうち、人生の多様化を踏まえた女性支援策についてであります。
 人生や家族の在り方が多様化しております。誰もが幸せを実感できる社会の実現が求められている中、社会に根強く存在する固定的な性別役割分担意識というのがございます。これに加えコロナ禍の影響もあり女性の家事負担の増加、非正規雇用による女性の生活や経済的不安の増大など多くの女性が厳しい状況に直面していることは承知しております。
 このため、第三次静岡県男女共同参画基本計画では男女共同参画社会の実現に向けた意識の変革と教育の推進並びに安全・安心に暮らせる社会の実現を施策推進の基礎と位置づけまして女性が直面する課題の解決に取り組んでいるところであります。
 具体的に申し上げれば、意識の変革と教育の推進では地域、教育及び産業等の七十七団体で構成するしずおか男女共同参画推進会議を核といたしまして研修や広報活動を全県的に行います。そのことにより固定的な性別役割分担意識、また無意識の思い込みに対する気づきを促し行動変容につなげてまいりたいと考えております。
 また、安全・安心に暮らせる社会の実現では不安定な雇用状態にある女性を対象に安心できる生活設計を支援する講座の開催をはじめ独り親家庭への経済・生活支援、就業支援、性と生殖に関する健康と権利であるリプロダクティブヘルス・ライツの視点に立った健康支援を行うことにより女性の経済的・社会的自立を後押ししてまいります。
 県といたしましては、ジェンダー平等の意識が定着し自らの意思で多様な生き方やライフスタイルを選択できるように女性を取り巻く環境の変化に対応した女性支援策に全庁を挙げて取り組んでまいります。
 次に、地域外交の在り方についてであります。
 本県が取り組む地域外交は、友好的互恵・互助に基づく善隣外交というのを基本姿勢といたしまして人をつくり、富をつくり、平和を築く富国有徳のふじのくにをつくるというこれを基本理念としております。これは人と人との相互理解を深める地域間交流を展開することが国家間の安定した平和構築に寄与するという考えの下に行っているものであります。
 折しも、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻によりまして県民の皆様誰もが人と人とのつながりが平和の構築にとって重要であると実感されているところであります。現在新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって海外との往来は制限されておりますけれども、一方デジタル技術の進化や国家の枠を越えた経済的な結びつきの進展によりモノ、情報の流れは地球規模で拡大しております。またSDGs等地球規模で解決しなければならない共通の課題もございまして、これらに一人一人が取り組むことが必要です。求められております。
 このような国際情勢や社会状況の転換期の中で経済、文化、スポーツ、観光、環境、教育等県民の皆様の暮らしに直結する多くの分野におきまして外国との関係はより密接になってきております。したがいまして本県が取り組む地域外交の役割はこれまで以上に重要性を増していると認識しております。
 地域外交を推進するに当たりまして、副知事、各部局長、外務省担当室長を含む外部有識者が参加し重点施策や効果的な方策について協議を行う地域外交推進本部会議を設置しておりますが、私はその会長職を担当しております。これは部局を横断して情報共有や課題対応に向けた意見交換を行う会議でございます。こうした全庁的な取組がインバウンドの増加や富士山静岡空港発着の就航便の増便、県産品の販路拡大等に結びついております。
 県といたしましては、本年三月に改定いたしました静岡県地域外交基本方針におきまして外国人材や外資系企業の誘致を通じた海外からの活力の取り込みを重点的取組として新たに位置づけたところであります。
 引き続き、副知事を地域外交を統括する責任者として各部局の連携の下、新たな観点からの施策も加え県民の皆様や県内企業がより多くの恩恵を享受できるよう地域外交を展開してまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を差し上げます。
○副議長(和田篤夫君) 出野副知事。
○副知事(出野 勉君) ICOIプロジェクトの取組についてお答えいたします。
 伊豆地域は日本でも有数の歴史的な温泉地であるとともに、豊かな自然環境や多彩な食材、最近ではスポーツの聖地としての魅力も加わるなど多様な地域資源に恵まれております。これらの資源と温泉をつなぎ合わせ伊豆地域に新しいヘルスケア産業を生み出すICOIプロジェクトを今年度本格的にスタートさせました。
 湯治を含んだヘルスツーリズム、スポーツ、ワーケーションの三分野で伊豆地域の温泉施設やヘルスケアサービス事業者、研究機関が連携して温泉に食やスポーツなどを掛け合わせたプログラムを開発しその健康増進効果を検証する実証事業を公募したところ十三件もの応募があり三件を採択いたしました。今月からIoTデバイスや唾液データなどを基に睡眠の質の向上、ストレス軽減効果等各種エビデンスの取得を目指した取組が沼津市や伊豆市、熱海市などで始まります。
 さらに、こうした取組を通じて得られた知見や成果を共有し伊豆の各地域に横展開していくため来月ICOIフォーラムを立ち上げます。首都圏スタートアップなどにも御参加頂き幅広い関係者によるネットワークの構築を図り新たなビジネスマッチングにつなげることでプロジェクトの取組を加速化させてまいります。また本プロジェクトを一過性に終わらせることなく継続させていくためには伊豆地域の産業振興を担う人材の育成が重要であります。
 そこで本年度、ふじのくに地域・大学コンソーシアムや静岡県立大学と連携し大学生や高校生を対象に温泉を中心とした伊豆の多彩な地域資源を学習する短期講座を秋に開催いたします。令和五年度からはコンソーシアムの単位互換授業として本格的な展開を目指してまいります。
 今後、プロジェクトの推進に当たりましては本県の温泉分野の第一人者である東海大学の斎藤雅樹教授や富士・箱根・伊豆国際学会会長である五條堀孝先生をはじめ県内外の多彩な分野の専門家で構成するアドバイザリーボードの皆様から御助言を頂きながら伊豆地域の新しい価値の創出に努め、訪れる人の身も心も元気になる世界的リゾート伊豆の実現に向け全力で取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 池上教育長。
○教育長(池上重弘君) 教育行政についてのうち、私の所信についてお答えいたします。
 本県では、教育の理念や施策の基本方針として新たなふじのくに「有徳の人」づくり大綱や教育振興基本計画を策定し社会全体で有徳の人の育成を進めております。
 有徳の人とは、加速する社会変化を柔軟に受け止め地球規模の諸課題も自分の課題として考え価値観や特性などの多様性を尊重しながらコミュニケーション力を発揮し協調して新たな価値を創造できる人、まさに探究できる人と考えております。
 文武芸、すなわち勉強やスポーツ、芸術など何かに打ち込むことにより人生を前向きに捉える人になってほしいと私は思います。またスポーツや音楽などの感動が人の心を震わすように、何かに懸命に取り組んでいるその人の生きざまの熱が周りにも伝わっていくような人であってほしいと思っております。
 県教育委員会では、こうした有徳の人の育成に向け児童生徒一人一人の能力を最大限に発揮させ学びに向かう力、人間性、他者と協力する力を高める教育を推進するとともに、時代に対応した多様で魅力ある学びの場づくりを進めてまいります。
 また、複雑化、多様化する教育課題の解決に向け学校、家庭、地域、企業、NPO等の連携協働を進め地域ぐるみで子供たちの学びや育ちを支える環境づくりにも取り組んでまいります。特に子供たちが人生の在り方を学び人生の選択肢を増やせるよう親や先生だけではない様々な大人と接する場をつくっていきたいと考えております。
 現在新型コロナウイルス感染症の影響もあり、例えば異なる学年や多くの世代が関わる社会教育の場面では活動が中止となることも多く取組が継承されないといった課題があります。しかしながら幼児教育、義務教育から社会教育まで縦のつながりが重要であり、それぞれのライフステージをつなげていく仕組みを検討してまいります。
 ふじのくに「有徳の人」づくり大綱の理念を県民の皆様と共有し、全ての原点は人づくりにあるとの思いを強く心に抱きながら本県の未来を担う有徳の人の育成を社会全体で進めてまいりますので県議会の皆様の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 次に、県立高校の生徒の自主性を育む教育についてであります。
 変化が激しい時代において自分の夢やよりよい社会を実現できる力を育むため、県教育委員会では生徒が自ら課題を見つけ学び考え、判断して行動する主体的、対話的で深い学びや探究活動の充実を図っており、生徒の自主性や自立性を育む学びの推進に努めております。こうした学習の成果を具体的に生かし社会に出る前のトレーニングを行う場として生徒が学校経営に参画し、自らの手で学校を変えていこうとする活動は非常に有意義であります。
 例えば、韮山高校における生徒が企画から運営まで取り仕切る文化祭など各県立高校では現在生徒が主体となった様々な自治的な活動が展開されています。こうした取組は学校への誇りや愛着を育むことにもつながり生徒の自主性、自立性の基盤になっていくものと考えておりますことから自分たちの手で校則を見直す取組など生徒主体の活動を積極的に推進するとともに、学びたい内容を生徒が自ら考え講師選びまで行うゆめ授業を今年度新たに事業化するなど様々な機会を提供してまいります。
 また、議員御指摘のとおり生徒の意識の変革を促していくためには教員主導で生徒を指導、支援することよりも、むしろ自ら考え行動し失敗から学びながら成長していく生徒たちに寄り添うことがより重要であり教員の意識を大きく変えていくことが必要となります。教員の意識改革を図るためには私が進めたいと考えている探究活動が有効であることから教員間で情報共有する場を構築するとともに、生徒に深く寄り添い見守りながら支えていく意識を培う研修を行うことで教員の意識改革に努めてまいります。
 県教育委員会といたしましては、予測困難な社会の中で生徒が自立した成人としてそれぞれが思い描く幸せを実現できるよう自主性を育む教育を進めてまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 水口教育部長。
○教育部長(水口秀樹君) 教育行政についてのうち、魅力ある学校づくりについてお答えいたします。
 児童生徒と教職員が共に楽しみながら学び過ごせる魅力ある学校を実現するには、学校ニーズの複雑化等による教員の業務増大の解消に努め教員自身が健康でやりがいを持って児童生徒と向き合える環境を整備することが重要であります。そのためチームとしての学校の体制を強化し教員にかかる負担を極力軽減させてまいります。ICTの活用等により事務の効率化を図るとともに、今年度から小中学校において教員の業務の一部を学校事務職員に移管するなど教員と学校事務職員の役割分担の見直しを進めており、三年間を目途に指定校において役割分担を変更する仕組みを研究しその成果を県内全域に広めてまいります。
 また、心身の不調による長期療養者等が増加し年度中途での代替教員の補充が困難になるなど人材確保も喫緊の課題となっております。議員御提案により昨年度本格稼働させた静岡県教職員人材バンクについては登録者が七百人を超えましたが、より速やかに欠員補充が行えるよう教員免許更新制の廃止を契機に退職教員への広報を重点的に行うなど登録者のさらなる増加を図ってまいります。
 県教育委員会といたしましては、こうした取組について市町教育委員会との連携をさらに密にし教員がやりがいを持って児童生徒と向き合い児童生徒も楽しく学ぶことができる魅力ある学校づくりを進めてまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 難波静岡県理事。
○静岡県理事(難波喬司君) リニア中央新幹線静岡工区に関するJR東海との対話についてお答えをいたします。
 議員御指摘のとおり、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川の水資源問題についてのJR東海との対話は新たな段階を迎えていると認識をしております。
 これまでJR東海は、データの提示が不十分で解析結果の不確実性などの取扱いや不測の事態などのリスクへの対策も不十分、説明も大変分かりにくいものでした。説明姿勢として自分の考えを理解させようとする説得型のコミュニケーションでした。
 このため、国土交通省が設置した有識者会議は中間報告の中で地域の方々の意見を十分に聞き入れながら対話する双方向のコミュニケーションを十分に行うべきとの認識を示しました。
 四月に再開した県の地質構造・水資源専門部会の冒頭、JR東海は取組姿勢についての決意表明として分かりやすく説明することを通じ地域の方々の不安を払拭していく旨の発言をされました。真に分かりやすい説明となるためには、JR東海は地域の人々がなぜ不安に思うのかの根底をまず理解する必要があります。その上で地域の不安や懸念が払拭されるよう真摯な対応を行っていただきたいと思います。
 県といたしましては、大井川の水や南アルプスの多様性を守ることは県民の皆様にとっての生命線であることを認識し科学的根拠に基づく対話を行ってまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 八木健康福祉部長。
○健康福祉部長(八木敏裕君) 新型コロナウイルス感染症対策についてのうち、高齢者福祉施設等における対策についてお答えいたします。
 高齢者及び障害者の施設におきましては、新型コロナウイルス感染症についてサービスを継続しながら感染拡大を防ぐという難しい対応が求められております。
 このため、県では感染予防対策として県病院協会等と連携した施設への戸別訪問指導、業務継続計画の作成例を盛り込んだクラスター対策マニュアルや感染症対策事例集の作成、周知、入所者や職員に対するワクチンの早期接種の推奨等を進めてまいりました。また感染発生後の支援としてクラスター発生時の職員不足に対応するための応援職員派遣体制の構築、感染防護具の購入に要する費用の助成等を行ってまいりました。
 しかし、オミクロン株による第六波においては多くの施設でクラスターが発生したことに加え多数の感染者が施設内で療養することとなり感染症対策のさらなる強化が必要であることを改めて認識をいたしました。
 このため、今後の方針といたしましては施設の負担を軽減しつつ感染症対策の一層の向上が図れるよう体制を強化することが重要であると考えております。具体的には感染症対策動画の作成による施設内研修への支援や感染対策のリーダーを育成する研修の開催、五月補正予算で認めていただいた濃厚接触者となった職員の早期復帰のための検査キットの配付などを実施し、引き続き施設における感染拡大防止とサービスの継続を支援してまいります。
 県といたしましては、利用者の生活を第一に考え医療や福祉の関係団体とも連携し各施設の感染症に対する理解の促進と感染症対応力の向上に努め、高齢者及び障害者施設におけるサービスの提供を適切に行うことができるよう全力で取り組んでまいります。
 次に、コロナの影響を受けた人々への支えについてであります。
 流行の初期段階では感染者や感染者を受け入れる医療機関の従事者に対する誹謗中傷があり、その後は緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令下での学校の休校、飲食店に対する営業時間の短縮など新型コロナウイルス感染症は多くの県民の皆様に経済的にも精神的にも様々な影響を与えてきました。このような厳しい状況におかれた皆様への対応として様々な面から支援をしてまいりました。
 まずは、医療の最前線に立つ医療従事者へのメンタルヘルスサポートの実施や、コロナ禍の中でもサービス提供を続ける医療・福祉サービスの従事者に対しその労に報いるための慰労金を支給いたしました。また経済的支援といたしましては売上減少に対する国の事業復活支援金の支給そして生活困窮者への生活福祉資金の特例貸付を行うとともに、営業時間短縮要請に協力を頂いた飲食店に対する協力金の支給などを国、県が力を合わせて実施してまいりました。
 精神的な影響に対するケアにつきましては、県精神保健福祉センターをはじめとする電話相談において昼夜にわたり対応したほか、独り親家庭からの相談や心の悩み相談などにSNSを活用し相談しやすい環境をつくるなどの工夫を行ってまいりました。
 今後の方針といたしましては、長期化しているコロナ禍の中では引き続き生活支援や心のケアなど一人一人に寄り添った施策の展開が欠かせないものと考えております。具体的には生活困窮者の自立を支援する体制の強化に取り組むとともに、SNSを活用した相談体制の充実や市町における包括的な相談体制の構築を促進するなどコロナの影響を受けた人々への支えとなるよう取り組んでまいります。
 次に、後遺症対策についてであります。
 後遺症対策におきましては症状や受診動向などの把握が重要であると考え、県では実態調査を継続して実施しております。これまでの調査では医療機関を受診した割合は二三%、受診先の内訳はかかりつけ医が三四%、その他の近隣の医療機関が二五%、後遺症専門外来が一七%などとなっております。一方受診していない割合は七七%であり、その理由として約半数の方が受診先が分からなかったと回答をされています。
 このため、後遺症に悩まれる方への対応として身近な医療機関で診てもらえる体制を拡充し、どこの医療機関で診てもらうことができるのかしっかりと周知することが重要であると考えております。
 今後の方針といたしましては、本年三月に後遺症の診療を行う十八の医療機関を公表したところですがその数をさらに増やしていくことといたします。現在後遺症専門外来の医師の御協力を得て実施している医療従事者向けの研修に加え、今後も後遺症の治療に取り組まれる医療機関を増やす様々な取組を進め県民の皆様に周知をしてまいります。
 また、現在後遺症を含む新型コロナウイルス感染症に対する相談は県の一般相談窓口等で対応しておりますが、後遺症のワンストップ相談窓口の設置につきましては医療関係者の御意見を伺うとともに国や他県の動向を把握しつつ検討を進めてまいります。
 次に、誰一人取り残さない社会の実現についてのうち、孤独・孤立対策についてであります。
 急速な少子高齢化の進行や雇用形態の多様化等により家庭、職場、地域における人と人とのつながりが希薄化し高齢者の孤立や大人のひきこもりなど地域の生活課題は多様化、複合化しております。こうした課題に対しまして現在市町では社会福祉法に基づき高齢者、障害のある方、子供、生活困窮者などの分野を問わずに相談を受け止める窓口を設置し専門機関と連携協働しながら解決に向けて包括的に支援する体制の整備が進められています。
 県では、全市町での体制構築に向けアドバイザーの派遣や専門機関との連携協働を推進する職員の養成などの支援に取り組んでおり、さらに緊急の取組として五月補正予算によりコロナ禍における生活困窮者からの相談業務に自立相談支援員が注力できるよう体制強化等の支援をしております。また地域の団体が中心となって医療や福祉、法律等の専門職が一堂に会し生活困窮者等からの多様化、複合化する相談に迅速に対応する取組が始まっています。
 県といたしましては、この取組を参考に今年度新たに三市町において多職種ネットワークづくりを支援し専門職が一体的に相談に応じる体制の構築に取り組んでいるところであります。
 一方、孤立している人への支援には声が届くまで待つだけでなくアウトリーチにより支援につなげていくことが重要です。このためケアマネジャーなどの福祉専門職に御協力頂き、日頃の活動を通じて孤立している人の実態を把握し必要とされる支援につなげるモデル事業を新たに三市町で実施してまいります。
 県といたしましては、地域共生社会の実現に向けて市町や関係団体等と十分に連携しながら誰一人取り残さない仕組みの構築に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 石川政策推進担当部長。
○政策推進担当部長(石川英寛君) 地方財政制度の課題についてお答えいたします。
 臨時財政対策債は国が地方に配分する地方交付税の身代わりとして措置されており、県民の皆様に必要な行政サービスの財源を確保するためやむを得ず発行しているものであります。本来地方の財源不足に対しては国が地方交付税の原資となる国税収入の法定率の引上げを行うべきものでありますが、平成十三年度に臨時財政対策債が創設されて以来二十二年間にわたって制度が継続され、その償還財源まで臨時財政対策債で手当てしてきた状況は正常な姿とは言えません。
 議員御指摘の点をはじめといたしまして、地方財政において必要な歳出に対して歳入が大きく不足している構造が本質的な問題であります。このような状況は本県のみならず我が国の地方全般に共通する課題であり、抜本的な税財政改革が必要であると認識しております。
 県といたしましては、持続可能な財政運営に向けて引き続き国に対して国と地方を通じた中長期的に安定的な税財政の枠組みの構築や臨時財政対策債の廃止、償還財源の別枠での確保を強く求めてまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 櫻井農林水産担当部長。
○農林水産担当部長(櫻井正陽君) 農業の振興についてのうち、食料自給力を上げるための取組についてお答えいたします。
 食料は県民の皆様の健康で豊かな生活を支える基礎となることから安定的に供給できるよう農業生産を維持していくことが大切であり、その重要な基盤となる農地と人については将来にわたって着実に確保していく必要があります。
 このため、県では農地の確保に向けて耕作放棄の発生を抑止し現在の農地を維持する対策や耕作放棄が発生した場合にはそれを解消する対策を講じるとともに、人材については専業者に加えライフスタイルに応じた多様な担い手の確保に全力で取り組んでいるところであります。
 まず、農地の維持につきましては、効率的な土地利用を後押しする農業経営基盤強化促進法が先月改正され地域が目指す農地利用の将来像を描いた計画を各市町が策定することとなりました。この計画は担い手への農地集積を加速する有効な手段となることから、市町の計画づくりを支援し着実に農地が継承されるよう取り組んでまいります。
 また、耕作放棄された農地につきましては、担い手への集積に合わせて荒れた土地の改良に必要な除草や土壌改良、さらに区画整理等の基盤整備を行い優良な農地に再生してまいります。
 人材の確保につきましては、自立就農を希望する方への実践型研修や就農を支援する資金助成に加え今年度は農業用ハウスなどの設備投資への支援を大幅に充実したところであります。さらにいわゆる半農半Xなど副業として農業に取り組む人材についても、JA等と連携して育成を図り多様な担い手を確保してまいります。
 県といたしましては、こうした施策を重層的に進め食料自給力の向上につながるよう県内全域の農地と人の確保に取り組んでまいります。
 次に、茶業の再生についてであります。
 本県での生産が多いリーフ茶の需要減少により茶農家の所得が低下し生産量の減少も続いております。こうした現状を克服し本県茶業を力強く再生するためには需要に応じた生産構造への転換と新たな需要の創出に全力で取り組むことが重要と考えております。
 このため、需要に応じた生産構造への転換に向けましては、国内外で人気の高い有機抹茶の生産拡大を図るため平成二十七年から十か所のてん茶工場の整備を支援し約百十ヘクタールを有機栽培に転換してまいりました。今後は有機JAS認証の取得支援や輸出事業者と連携した有機栽培の産地化により一層の輸出拡大を図ってまいります。
 また、ドリンク原料につきましては飲料メーカーとの契約生産を推進しており、契約面積が平成二十七年の四倍に拡大しております。ドリンク需要に対応した大規模で低コスト生産が可能となるよう茶園の基盤整備や利用集積を進め、安定した収益が確保できる生産構造への転換を推進してまいります。
 次に、新たな需要の創出に向けましては、十月に開催する世界お茶まつりにおいてスイーツとお茶のペアリングやアウトドアでのお茶の楽しみ方、洋風リビングに合うおしゃれな茶器の紹介など若い世代がお茶を楽しむライフスタイルを提案してまいります。
 県といたしましては、多様なニーズに応じた茶生産の拡大や新たな需要の創出により本県茶業の再生に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 山本警察本部長。
○警察本部長(山本和毅君) 誰一人取り残さない社会の実現についてのうち、SNSに起因する被害から子供を守るための取組についてお答えをいたします。
 初めに、県内におけるSNSに起因する子供被害の現状でありますが、昨年中は被害児童五十二人を発見、保護しております。その多くは淫行や児童ポルノの製造事犯など性的被害に遭っている状況にあります。
 この背景には、スマートフォンの普及により子供がSNSを利用して面識のない相手と容易に交流できる機会が増加していることがあるものと考えられます。そして議員御指摘のとおり児童ポルノ画像がインターネット上に一たび流出すれば回収は極めて困難でありまして、被害児童の心を将来にわたって傷つけるばかりかさらなる凶悪事件に発展する危険も含んでおります。
 このため、県警察では被害の未然防止に向けましてサイバーパトロールを通じてSNS上に性被害につながるおそれのある不適切な書き込みを発見した場合は注意喚起や警告のメッセージを発信するほか、学校や教育委員会と連携の下、生徒や保護者を対象とした非行防止教室を開催し規範意識の醸成やフィルタリングの普及を図っているところであります。また静岡大学と協働し自画撮り被害防止に重点を置いた教材を製作し本年三月静岡市内の中学校において公開授業を行うとともに、教育委員会や私学協会に情報提供を行ったところであります。
 県警察では、今後とも関係機関と緊密な連携の下、迅速な事件の検挙や被害児童の早期発見、保護に努めますとともに、必要な情報提供を行うなど子供の被害防止に向けた取組を一層推進してまいります。
 次に、熱海土石流災害から得られた教訓についてであります。
 今回の災害から得られた教訓としましては、発災当初の被災情報の収集に当たりまして警察用航空機が悪天候により飛行できなかったもののドローンやオフロードバイクは活用できましたことから、こうした資機材の有効性を改めて認識したところであります。また災害現場におきましては自衛隊や消防、海上保安庁はもとより重機作業を担う民間事業者を含めまして相互に連携して活動を行うことの重要性を再確認したところであります。
 このほか、県が行いました安否不明者の氏名公表に際しましては、行方不明者届の出された方々の情報を県に提供いたしまして捜索活動の円滑化に資することができたところであります。しかしながら今なおお一人の方の行方が分かっておりません。引き続き必ず見つけ出すとの強い信念を共有し捜索を継続してまいります。
 次に、解決すべき課題につきましては、今回の災害につきましては局所的な発生でありましたけれども、南海トラフ地震や富士山噴火など広域かつ甚大な被害が想定される災害におきましては直ちに広域的な応援体制を確保できるかは不確定でありまして、まずは警察署単位での災害対処能力の向上が不可欠であると考えております。
 このため、各警察署において災害警備訓練指導者を新たに指定し署員に災害対処技術を修得させるとともに、署員で構成します方面機動隊の部隊対処能力についても向上を図る必要があると考えております。
 また、ドローンやオフロードバイクのほか大量の火山灰などを排除するための大型重機についても整備が必要になるものと考えております。
 県警察では、今後とも今回の教訓を生かしつつ関係機関との連携強化に努めますとともに、職員一人一人が想像と準備を積み重ねることによりまして災害対処能力の不断の充実強化に取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(和田篤夫君) 太田交通基盤部長。
○交通基盤部長(太田博文君) 津波対策静岡方式における防潮堤整備についてお答えいたします。
 本県では、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に基づき、地域の特性を踏まえた静岡方式により沿岸各市町に設置した検討会等における合意形成の結果や減災効果等を勘案し順次防潮堤の整備を進めております。
 昨年度末時点の防潮堤整備の進状況といたしましては、レベルワン津波に対し防護が必要な海岸線延長二百九十一キロメートルのうち七三%に当たる二百十二キロメートルにおきまして地域と合意した高さを確保しております。またレベルワン津波を超える津波対策である静岡モデル防潮堤につきましては、計画延長六十九キロメートルのうち五二%に当たる三十六キロメートルが完了しております。
 津波を防ぎ住民の生命や財産に加え地域の経済基盤も守る防潮堤の整備には多くの費用と時間を要することから、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を最大限活用するなど引き続き必要な予算の確保に努め防潮堤の早期完成を目指してまいります。
 地域との合意形成につきましては、伊豆半島沿岸の五十の地区においてこれまでに延べ二百六十四回の地区協議会を開催し三十二地区で津波対策の方針が決定いたしました。残る十八地区につきましては関係市町と連携し合意形成を加速するとともに、津波災害警戒区域の指定や避難施設の整備等を進め避難体制の充実強化を図ってまいります。
 県といたしましては、関係市町と連携し地域の実情に応じた静岡方式による津波対策を強力に推進し安全で安心して暮らすことができる津波に強い県土づくりに取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 六十六番 佐野愛子君。
       (六十六番 佐野愛子君登壇)
○六十六番(佐野愛子君) 丁寧な御答弁ありがとうございました。本部長もありがとうございました。
 時間で要望を数点、再質問は三点ほどさせていただきます。
 教育委員会で事務に所管するということなんですが、事務は事務でお仕事がありますので慎重に進めていっていただきたいと思います。まずは人手を増やさないと根本的解決はできないと思います。よろしくお願いいたします。
 そして、コロナの総括についての感想でございますが、国は国民の窮状を救うために本当に協力金とか給付金とかたくさんの予算を執行しましたよね。そして命を救うために新型インフルエンザは二類ということで治療費も療養費も全て国費で賄いました。そしてワクチンもそうです。今コロナが収束して新しい、今度再生となるときは県民はもう頼らないで自分の力で経済の再生に向けて頑張っていかなければならないと思います。健康についてもしかりです。自分の健康は自分で責任を持って元気で過ごす、そのような県民の気持ちを醸成するように前向きに頑張るような気持ちをまた県も推進していっていただきたいと感想を込めた要望でございます。
 そして、後遺症に対しても味覚障害が最初は言われていましたが、体全体が動かないとか大変重篤な症状も報道されています。ぜひとも相談体制や早く機能して困っている方が力になれるような体制を一日も早く築いていただきたいと要望します。
 そして、孤独・孤立対策ですが、国のメニューは実際に活動しているNPOや民間団体へ直接支援する活動支援も含まれていたり人材育成も含まれていたりします。県で全てやろうとしないで、そのような実際に活動しているようなところへの手厚い支援をぜひともお願いしたいと思います。
 そして、茶業の再生ですが、この前ティーテラス、わざわざ佐賀県まで行ってティーテラスに行ってきました。茶畑というのも一つの財産だと思います。茶畑も放棄されてしまうと手がつかないことになりますので、あのような景観を保つこと、そして茶業をやめる場合はもともと開墾してお茶を植えたので元の森林に戻すような、やはり木を植えて茶業を終わるべきだと思います。そのようなことも県でぜひ応援していっていただければと思います。
 ICOIプロジェクトも、今サウナの人気がすごく若者で高くなっています。整うとかいって温冷で繰り返して、今はやっています。炭酸温泉もしかりです。伊豆地域で、風光明媚な伊豆で、御答弁にもありましたがおしゃれなサウナや体にいいウエルネスが施されれば大変人気が出ると思います。首都圏にも近いというところが魅力だと思います。
 地元の食も楽しめて、ガストロノミーツーリズムとかそのようなものと組み合わせて魅力的な発信ができればと期待しています。県の中でも今一番明るい取組かなと思います。
 質問をさせていただきます。
 教育長におかれましては御答弁ありがとうございました。
 県の教育というと県立高校の教育にどうしても目が行きがちですが、教育長は大学の先生であられましたが義務教育に対してはどのような期待を持ち、また現場の理解はどのように進めていきたいとお考えでしょうか。
 また、新型コロナウイルス感染症の対策について御答弁頂きました。
 全国的な行動制限の中で小中学校や幼稚園とか保育園の一斉休校が行われましたけれども、それについての県民生活の影響や効果はどのように県は総括されていらっしゃるでしょうか。
 そしてもう一点、食料自給力、先ほども知事からもありましたが静岡県の自給力は一五%、他県に比べても低い状況にあります。そのような農地を守ることでどの程度の自給力を向上できるとお考えでしょうか。またサーキュラーエコノミーとも続きますが、自給力を上げるためにはまた肥料等も、化学肥料を外国に頼っています。そして県内の酪農とか畜産も含めて県内の産物で肥料まで回すというか、そのような取組ができれば真の地産地消になると思いますが、その辺の見解を聞かせていただければと思います。以上、答弁を求めます。
○副議長(和田篤夫君) 池上教育長。
○教育長(池上重弘君) 御質問ありがとうございました。
 県立高校についての話が県の教育委員会では主になる中で、義務教育についてどのような期待をしているかという御質問を頂いたと理解しております。
 私自身就任からまだ二か月ですので小学校、中学校に足を運ぶということが県内では実はまだできていません。できていませんが実は五月の末にですね、札幌市に出張してまいりました。私の出身の場所でありますが、そこで中等教育学校という形で中学校と高校が一体になった新しい枠組みの教育の現場を見る機会がありました。今の時代、小学校と中学校が一体になったり、あるいは中学校と高校が一体になったりということで新しい制度的な枠組みの中で子供が学ぶそんな環境が全国で増えているということで、まず議員の御質問とちょっとずれるかもしれませんが、私いろんな義務教育の在り方を見てみたいなというふうに思っております。その上で義務教育段階に対する期待としましては、やはり公教育段階で多様な子供たちが一つの場で学ぶということが義務教育のとても大きなポイントだと私思っております。私自身公立の学校で学びました。その中で人生のある段階に行くとあまり接することがなくなってしまうような子たちと一緒に学べる。これを義務教育の中で経験することによって人生に対する、何て言うんでしょう様々な視点というかいろんな生きざまに触れるという、そういう視点をぜひ私持ってほしいなと思っております。
 それから先ほど来、私探究というのが大事だということを言っていますけれども、その大前提としてやはり基礎的な学力が必要だと思っております。基礎的な学力がちゃんと身について、じゃあ学力何のために身につけるかというと生きる力を身につけるためだと。そういう意味で言うと義務教育段階というのは、その先で子供たちが生きる力を身につけてこれからの時代を生きていく上での基本的な学びの場になっていくかと思っております。以上です。
○副議長(和田篤夫君) 黒田危機管理監。
○危機管理監(黒田健嗣君) 新型コロナウイルス感染症対策についての再質問にお答えいたします。
 御指摘のとおりですね、令和二年三月には国が全国一斉の学校の休業要請を行いました。これはまだコロナウイルスそのものの特徴、そういったものも未知の状態の中、子供たちの安全、健康を第一に考え多くの子供たちが日常的に長時間集まることによる感染リスクに備えるために実施したものと理解しております。
 これは対象になったその学校だけではなく社会全体への強いメッセージともなりました。このため人流抑制など感染リスクの低減に一定の効果が見られたというふうに認識しております。その一方で広く県民の皆様の日常生活や社会経済活動へ影響を及ぼしました。
 このため、県といたしましてはその経済的な支援や、あるいは精神的な影響に対するケアなど様々な支援策を講じてまいりました。
 今後も、生活の現場で生じる様々な課題に目を向けてコロナの影響を受けた方々に配慮しながら適時適切な感染症対策に取り組んでまいりたいと考えております。以上です。
○副議長(和田篤夫君) 櫻井農林水産担当部長。
○農林水産担当部長(櫻井正陽君) 食料自給力を上げるための取組についての再質問について、二点お答えさせていただきます。
 食糧自給率の向上ということですけれども、やはりなかなか静岡県の場合には農地の集団化された広いエリアがございませんので、やはり生産性、効率を上げるという点からするとやはり競争力としては非常に低い状況がありますので、やはりそういった小麦であるとか米、そちらの生産に転換していくのはなかなか難しい状況があるという認識を持っております。
 ただ、静岡県の場合ではお茶、ミカン、樹園地もそうですがあと施設園芸、こういったものを、付加価値の高い高品質な農産物をつくっておりますのでこういったもので農業者の生産力そして所得を向上するような取組を重点的に進めてまいりたいというふうに考えております。
 もう一点、循環型の生産構造ということで飼料――国産飼料であるとかそういったものへの転換ということですけれども、やはりこれは国外情勢に左右されない、いわゆる農業構造をつくっていくという意味で飼料等の国産化というのは非常に重要だという認識を持っております。富士地域のほうではこの飼料を作りながらその飼料を畜産等に使い、その堆肥を循環させてまた飼料に使うと、こういった取組もありますので、このような取組を県内でも横展開をしながら循環型の、あるいはその有機農業も展開しながらそういった農業構造というものをつくってまいりたいと、環境負荷に強い農業をつくっていきたいというふうに考えております。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 六十六番 佐野愛子君。
       (六十六番 佐野愛子君登壇)
○六十六番(佐野愛子君) ありがとうございました。
 最後に一言、教育長に要望いたします。
 ぜひとも県内の小学校、中学校、視察という形ではなくてぜひ現場の実態の体験というか、朝子供たちの出迎えから始まって、帰り教職員が帰るまでぜひとも一日体験をしていただければと要望をいたします。いろいろありがとうございました。
○副議長(和田篤夫君) これで佐野愛子君の質問は終わりました。(拍手)
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会の議事日程を申し上げます。      
 六月十七日午前十時三十分議会を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会をいたします。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp