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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和2年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

森 竹治郎 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/05/2020

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 SDGsに対する県の取り組みについて              
(1) 気候変動                            
(2) 生産活動への影響と対応                     
2 伊豆縦貫自動車道の建設促進について               
3 伊豆半島の観光振興について                   
4 過疎地域の活性化対策について                  
5 静岡県の水産漁業の振興について                 
(1) 海洋環境の調査と栽培漁業の推進                 
(2) TPP等に対する対応


○議長(鈴木利幸君) 次に、六十番 森 竹治郎君。
       (六十番 森 竹治郎君登壇 拍手)
○六十番(森 竹治郎君) 令和二年二月定例県議会も、私が質問最終登壇となりました。知事、副知事並びに関係部局長におかれましては簡潔明快な御答弁をお願いいたします。
 それでは、通告順序に従いまして一括質問方式により質問をいたします。
 まず最初に、SDGsに対する県の取り組みについてのうち、気候変動についてお伺いをいたします。
 御存じのように、二〇一五年九月の国連サミットで採択された持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダに記載された二〇一六年から二〇三〇年までに達成するべき十七の目標、百六十九のターゲット、二百三十の指標を示し世界的規模で取り組みが始まりました。静岡県議会ではいち早く公明党県議団の皆様が本会議において取り上げてくれました。昨年十二月は廣田議員も取り上げてくださいました。
 去る一月二十四日参議院本会議において公明党の山口那津男代表は国連の持続可能な開発目標――SDGsや地球温暖化対策の国連枠組みパリ協定の実現を目指し日本が国際社会をリードする役割を担うように主張をされました。これに対して安倍首相は官民の垣根を越えた連携を促進し、日本のSDGsモデル展開の加速化を力強く推進すると答弁をされました。
 静岡県では、二〇一八年四月にスタートし二〇二七年までの県政運営の羅針盤、静岡県の新ビジョンと題して静岡県総合計画を発表しました。この静岡県総合計画の中にSDGsの十七目標の理念を取り入れていることは賛成するところであります。しかしまだまだ本県県民の皆さんの多くがSDGsについて十分に承知しているとは思いません。さらにいろいろな機会を捉えて広く普及啓発に努めていただきたいと思います。
 そこで、十七の目標の一つ気候変動についてであります。
 これは、気候変動及びその影響を軽減するために緊急対策を講じるとされております。
 近年、集中豪雨による深刻な水害が相次いでおります。静岡県でも昨年台風十五号、十九号による豪雨災害が大きく発生したところでもあります。背景には地球温暖化が大きな原因と言われ始めております。気象庁によると一時間に五十ミリ以上の強い雨の年間発生件数は一九七六年から十年間と比べて現在は約四割もふえてきているとのことであります。今後も静岡県でも毎年台風や集中豪雨がふえてくるのではないかと心配は募るばかりであります。
 日本政府は、パリ協定のもとで国連への再提出が求められている二〇三〇年の温室効果ガス排出削減目標について期限であることしの二月末まで提出せず先送りすることを決めてしまったことはまことに残念であります。
 そこで、気候変動及びその影響に対して静岡県における取り組みと今後の推進について改めてお伺いをいたす次第であります。
 次に、生産活動への影響と対応についてであります。
 地球温暖化に代表される近年の気候変動は、自然の力に支えられる第一次産業、特に農業や水産業に大きな影響を与えております。農業においては気温の上昇や異常気象の頻発によりましてこれまで適地とされてきた産地では品質の低下や生産が難しくなることが危惧されてきております。水産業においては近年キンメダイ、サクラエビ、アサリなど本県の代表的な魚種の漁獲が減少しておりますが、その要因として温暖化に伴う海水温の上昇や海流の変化などが影響しているのではないかといった指摘もされてきているところであります。
 気候の変動を人間の力で簡単に制御することは不可能と思われますが、そのような中でも地域の重要な産業であり生きていく糧を生み出す農業や水産業を続けていかなければ人は生きていくことができません。
 そこで、気候変動が農業や漁業などの生産活動に及ぼす影響をどのように捉えどのように対応していこうとしているのか、県のお考えを改めて伺う次第であります。
 次に、伊豆縦貫自動車道路の建設促進についてお尋ねをいたします。
 伊豆縦貫自動車道路は、沼津市と下田市を結ぶ総延長六十キロメーターの高規格幹線道路であります。私たち下田市民は安政元年六月の米国ペリー艦隊下田来港が第一の黒船であり昭和三十六年十二月の伊豆急行運行開始が第二の黒船であり伊豆縦貫自動車道路の全面供用開始が第三の黒船であると、その日を一日千秋の思いで指折り数えているところでもあります。
 伊豆縦貫自動車道の本年度の国土交通省当初予算は、河津下田道路T期工区に七億円、河津下田道路U期工区に五十二億三千万円、天城北道路に六億円、東駿河湾環状道路に三億四千万円を予算化してくれました。さらに先日、一月三十日の国の令和元年度補正予算として河津下田道路U期工区に九億三千万円を決定してくれました。令和元年度合計で七十八億円と大変な大きな予算となりました。このことは長年にわたり伊豆縦貫自動車道建設促進期成同盟会会長として粉骨砕身の務めをしてくれておる川勝知事、難波副知事、土屋特別補佐官、県当局の皆さん、私たち地元関係者の先頭に立って国土交通大臣や財務大臣、中央省庁に要望活動を展開してくれているまことに大きな成果であると感謝をしているところでもあります。私たちも引き続いて沼津市の国交省沼津河川国道事務所や名古屋市の中部地方整備局、東京の国交省本省、財務省、国会などに要望活動を重ねてまいります。
 天城峠から南の下田市、賀茂郡下の状況は観光を初め各産業活動、県民生活などに伊豆縦貫自動車道路の効果はまだまだ少なくこれからの状況であります。そこで伊豆市月ケ瀬から河津町梨本までの天城峠越えの区間であります。この区間は川端康成、井上靖両先生を初め多くの文人墨客がその山紫水明の環境を愛し足を運んでくれた場所であります。浄蓮の滝、昭和の森そして河津七滝と私たちが誇る景勝地があります。天城湯ケ島から河津梨本の天城峠を越える区間について環境影響評価の項目や手法などを定めた方法書に関する知事意見が昨年四月に述べられ、引き続き環境影響評価の手続が進められていると思います。
 この手続の進捗の状況についてお伺いをいたします。さらにこの完了や新規事業化の見通しについてあわせてお伺いをする次第であります。
 次に、河津下田道路U期区間であります。
 仮称河津インターチェンジから仮称逆川インターチェンジの間で計画されている四つの橋梁と一つのトンネルのうち既に幾つかの橋梁で工事が完了してきており、長大トンネルも大分掘り進んでいると聞いております。
 そこで、この河津インターチェンジから逆川インターチェンジ間の供用開始の見通しをお聞かせください。あわせて下田北インターチェンジまでの河津下田道路U期区間の供用開始の見通しについてもお聞かせください。
 次に、河津下田道路T期区間五・七キロメーターであります。
 ここは、下田市箕作から下田市六丁目の区間であります。この区間には途中に蓮台寺インターチェンジと敷根インターチェンジが計画されておりまして、下田市民の私たちにとって日常生活上でも身近な区間でありますから勢い関心も高い区間でもあります。
 用地取得の状況や今後の作業の見通しについてお尋ねをする次第であります。
 次は、伊豆半島の観光振興についてであります。
 現在、伊豆の観光にとって最大の心配は新型コロナウイルスのことであります。日を追うごとに宿泊客のキャンセルがふえ外国からの観光客の激減のみならず国内旅行も減少傾向が発生してきております。
 九年前の東日本大震災の際に、伊豆半島の観光も大きな影響をこうむったのでありますがこのときには川勝知事、岩瀬副知事、吉林経済産業部長などの皆さんが手際よく県の制度融資、伊豆への観光誘客事業などを展開し伊豆半島観光の窮地を救ってくれました。今回の新型コロナウイルス肺炎の終息はまだ見えませんが今回は前回以上に対応が困難と思います。ぜひ英知を結集して対応していただきたいと思うのであります。
 一昨年、そして昨年とデスティネーションキャンペーンの効果は伊豆半島にとりまして伊豆半島ジオパークの世界認定の効果と相乗し大きなものがあったと思います。ジオスポットにも大型観光バスが数多く見られるようになりました。
 幅広い旅行商品や商談会での実績等々を今後の伊豆半島の観光振興に役立てるべきものと思いますがいかがでしょうか。お考えをお聞かせください。
 東京オリンピック・パラリンピックも、いよいよ指呼の間に近づいてまいりました。後にも先にも二度とないこの絶好の機会に伊豆半島が誇る観光地を世界の方々に知っていただき、さらに周遊、滞在していただけるように努めなければなりません。
 そこで、どのようにして伊豆半島の観光を世界に向けてアピールしていくのか、さらに観光誘客対策をどのようにして取り組んでいくのかお尋ねする次第であります。
 東京オリンピック・パラリンピックが終了した後にも、そのエネルギーを消さないで引き続いて国の内外から伊豆半島への観光交流客を増大していかなければなりませんが、その対応策についてお伺いをいたします。
 次は、過疎地域の活性化対策についてお尋ねをいたします。
 静岡県内では、全域過疎が下田市、南伊豆町、松崎町、西伊豆町、川根本町であり、一部過疎地域が伊豆市、沼津市、島田市、浜松市の九市町であります。こうした過疎地域の振興と自立促進を図るため我が国では昭和四十五年に過疎地域対策緊急措置法が制定され、その後四次にわたる特別措置法の制定により総合的な過疎対策事業が実施されてまいり過疎地域における生活環境の整備や産業の振興などに一定の成果を上げてまいりました。しかしながら昨年秋の台風十五号、十九号による大きな災害発生現場を見ますと人口の減少によって管理に支障が出てきた山林の崩壊や河川の護岸の決壊あるいは氾濫など極めて深刻な状況に直面してきております。
 現行の過疎地域自立促進特別措置法は、来年令和三年三月末日をもって失効することとなりますが、今後も引き続いて過疎地域に対して総合的そして積極的な支援を行う必要があります。
 我が静岡県議会でも、昨年十二月二十日全会一致で「過疎地域の振興を図るため、新たな過疎対策法を制定するとともに、現行法の過疎地域が引き続き新法による支援を受けられるよう強く要望する」意見書を鈴木利幸県会議長から内閣総理大臣を初め関係閣僚に、そして衆参両院議長に提出したところでもあります。
 そこで、川勝知事におかれましては新たな過疎対策法の制定に向けて全国知事会などにおいてぜひ検討協議をしていただいて、そして全国知事会からも政府、国会に立法化を働きかけていただきたいと思うのでありますが、知事の御所見をお伺いいたしたいと思います。
 令和二年度は現行過疎法の最終年度で、これまで実施してきた過疎対策事業の総仕上げの年となっていることから本県の過疎債の所要額がここ五年で最大の二十七億一千五百九十万円となっており、県内九市町の過疎地域にとってはそれぞれ期待の大きい重要な事業であると承知しております。
 ことしも去る一月二十七日、東京は粉雪まじりの寒い日でありましたが総務省や国会議員に午前、午後と私たちの先頭に立って吉林副知事、関係職員の皆さんが行動をしてくれました。感謝にたえないところであります。
 そこで、令和二年度の所要額の確保の見通しや今後の過疎地域支援への取り組みについて、県のお考えを伺う次第であります。
 次に、静岡県の水産漁業の振興についてのうち、海洋環境の調査と栽培漁業の推進についてであります。
 静岡県は、漁業生産量では全国第四位、水産加工品生産量では全国第三位、水産静岡に誇りを持っておる一人であります。しかしながら近年御存じの駿河湾のサクラエビ、シラス、スルメイカ、そして伊豆東海岸のキンメダイ等々多くの魚種で不漁に陥り水産漁業はまことに厳しい状況にあります。
 このような状況を少しでも改善していくためには、資源の管理や資源の増殖、そして水産振興の各分野で有効な対策を的確に見きわめ早急に着手することが極めて重要となってまいりました。
 資源管理については、種々の漁獲ルールの徹底に加え漁業者による自主的な規制が進められておりますが特に近年地球温暖化、そして海水温の上昇などこれまで見られなかった変化が生じてきており水産資源にも大きな影響を及ぼしてきております。魚の生息する海自体の変化をしっかりと調査し把握することが重要であります。
 そこで、県として海洋環境の調査について今後どのように取り組みさらにそれをどのように活用していくのかをお尋ねをいたす次第であります。
 また、自然の再生力に依存する、とる漁業だけではなくこれからは今まで以上に自然の再生力を積極的に支え水産資源を豊かにするためには人間が魚介類の種苗を育て海に放流する栽培漁業を推進することもこれからますます取り組むべき課題と思います。
 特に、種苗を生産する技術は栽培漁業だけでなく養殖漁業にも活用できるものでありますから新しい技術を取り入れて安定的な生産や新魚種の開発を促進するべきと考えますがいかがでしょうか。お考えをお聞かせください。
 次に、TPPなどに対する対応についてお尋ねをいたします。
 去る二月十九日に日米貿易協定発効を踏まえたTPPなどに対する静岡県の対応を発表しました。本県の影響への減少額は四十億三千万円とのことでありました。県ではこれに対して産業の競争力の強化及び海外展開などに関するこれまでの取り組みを着実に推進してまいるとのことであります。さらに力強い攻めの農林水産業を創出するとのことであります。減少額の試算の結果は農産物が十六億六千万円、林産物が三億一千万円で、水産物は何と最もマイナス影響が大きく二十億六千万円となっております。県では産業競争力強化に向けて関連予算二百三十二億七千六百三十八万七千円をもってこれから五分野において取り組みを展開していくとのことであります。TPPなどを契機として産業競争力の強化を図ることは大いに結構なことであります。
 マーケティング分野に十億九千八百三十九万七千円。農業の分野に百三十六億六千六百三十四万三千円。林業の分野に二十七億七千五百六十二万四千円。商工業の分野に五十一億六千七百六十二万九千円。そして水産業分野に六億九千八百三十九万四千円。私はこの水産業分野の数字を間違いだと思い二度三度目を凝らして見たのでありますが、やっぱり六億九千八百三十九万四千円でありました。減少影響額が最も大きい水産業が競争力予算では最も少ないのであります。
 この少ない予算で果たして力強い攻めの水産業の創出が可能かどうかお尋ねをいたす次第であります。
 以上で私の質問は終わりますが、先ほど岡本県議からこの三月をもって県を退職される皆さんにお礼の言葉と激励の言葉がありました。私からも自民改革会議を代表して一言感謝とともにお別れの言葉を申し上げたいと思います。
 皆さんは、昭和の終わりから平成そして令和の今日まで皆さんの人生の半生を静岡県勢の進展に努められました。静岡県はこの間数多くの大きな災害にも遭いました。しかしながらその都度これを乗り越えてくることができました。
 静岡県は、全国四十七都道府県の中でも多くの指標が上位にランクされ常に雄県として位置づけられてまいりました。このことも皆さんがそれぞれの立場から昼夜を分かたぬお骨折りを続けてくれた大きな成果もあります。
 また一方では、皆さんの御活躍の陰では奥様を初め御家族の皆さんが陰からしっかりと御支援もしてくれたものと思っております。私は皆さんにあわせて御家族の皆様にも心から感謝の誠を申し上げる次第であります。
 皆さんのこれからの人生が御健康にも恵まれ、そして充実したものでありますように心から御祈念を申し上げましてお別れの言葉といたします。長い間本当にありがとうございました。御苦労さまでございました。(拍手)
○議長(鈴木利幸君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 森竹治郎議員におかれましては、情愛あふれたお言葉をこの三月をもって定年退職する者に対してくださいましてまことにありがとうございました。ここにいる定年退職者は感動をもってお聞きしたことと存じます。彼らに成りかわりまして厚く御礼を申し上げます。
 森議員の御質問は、この二月定例議会のトリを飾るものであります。トリを飾るにふさわしくグローバルな気候変動を眺めながらも地域に立脚した力強くかつ名調子で、簡潔にして明快な御質問をいただきましたので私も簡潔にして明快な答弁に徹したいと存じます。
 まずは、令和二年度で最終年度を迎える過疎対策法、これを新しい過疎対策法にするように立法府に働きかけるということお約束をいたします。
 さて、伊豆半島の観光振興についてお答えを申し上げます。
 本年四月からスタートするアフターデスティネーションキャンペーンや東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの開催は、四季折々の美しい景観、歴史・文化、多彩な食材など伊豆半島が誇る世界クラスの魅力を国内外に発信する絶好の機会であります。この機会を逃すことなく誘客促進に取り組み観光交流客を増大させていくことが大変重要であります。
 現在、アフターキャンペーンに向けて昨年のDCで好評を得た下田竜宮窟や城ヶ崎海岸等のジオポイントをめぐるツアーを初め願成就院の特別拝観など魅力ある旅行商品を造成し首都圏、中京圏、関西圏等の旅行会社に対しまして商品化を働きかけるなど各市町や観光関係者と一丸となって誘客を進めているところであります。またオリンピック・パラリンピックに向けましては静岡ツーリズムビューローと連携し訪日客の旅行手配を担う大手旅行会社に対しまして伊豆半島周遊の旅を提案するとともに、海外のジャーナリストや著名なブロガーを伊豆半島に招聘した体験ツアーを実施するなどメディアを通じた広報を強化いたします。
 さらに、大会の開催にあわせて開設される東京都メディアセンターにおきまして海外メディア向けファムトリップを提案するなど本県の魅力を発信し海外での露出の拡大を図ってまいります。
 オリンピック・パラリンピック終了後につきましても、美しい伊豆創造センターと連携しサイクリングをテーマとした外国人観光客向けの付加価値の高い旅行商品を提案するなど地域の皆様と連携し伊豆半島への誘客を促進してまいります。
 現在、新型コロナウイルスによる観光への影響が懸念されております。今月二日には国が全都道府県を災害等の突発的事態に適用するセーフティーネット四号保証の指定地域といたしました。県制度融資新型コロナウイルス感染症対応枠にこの保証を加え観光事業者を初めとする中小企業の資金繰りを支援しているところであります。
 県といたしましては、英知を結集して感染症の拡大防止を図り終息のめどが立った段階には機を逸することなく観光交流客を回復できるように全県を挙げて旅行需要の喚起に取り組んでまいります。
 次に、静岡県の水産漁業の振興についてのうち、海洋環境の調査と栽培漁業の推進についてであります。
 本県の沿岸漁業は、県内水産業全体の生産金額の約三割を占め経営体では全体の九割以上を占めております。重要な産業であります。しかし近年キンメダイを初め主要魚種で不漁が続いております。このような厳しい事態に対応していくためには議員の御指摘のとおり魚を育む海の状況を的確に把握するための調査を強化しなければなりません。また人工的に資源を増殖させる栽培漁業を一層推進することが重要です。これらによって静岡の海から得られる多様な恵みを未来につなげていくことが極めて重要であると認識しております。
 このため、県では海の状況把握につきまして今年度九月補正予算により詳細な生息環境の調査を開始いたしました。例えば伊豆東海岸におきましてはキンメダイが生息する低層――低い層における水温の測定を実施しているところであります。これらの海洋環境調査は今後も継続することが重要でありますことから、来年度これらの調査をさらに拡充し分析を進めながら漁獲の回復に向けた方策の究明に活用してまいりたいと考えております。また老朽化した調査船「駿河丸」につきましては来年度から代船建造を予定しておりますが、新しい船におきましては二千メートルの深海における観測を可能とする装置を装備するなど調査機能の強化を図ってまいります。
 栽培漁業につきましては、県内二カ所でマダイ、ヒラメ等の稚魚を生産して放流し沿岸漁業の漁獲に大きく寄与しているところであります。しかし魚病――魚の病の発生増加による種苗生産の不安定化や現在対象としている魚種の魚価の低迷も顕在化しているところであります。
 このため、老朽化が進んでいる温水利用研究センター沼津分場の施設の建てかえにつきまして養殖ビジネスの展開など新産業の創出を目指すマリンオープンイノベーションプロジェクトとも連携し、安定的な生産や新魚種生産の開発も可能な最先端の種苗生産技術を活用した施設に再整備することとしたところであります。そのための設計等の費用を本議会でお諮りしているところであります。
 県といたしましては、これら海洋環境の調査と栽培漁業の推進を通じ本県の水産資源の適切な管理と増殖に努めてまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長から御答弁を申し上げます。
○議長(鈴木利幸君) 鈴木くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 鈴木 亨君登壇)
○くらし・環境部長(鈴木 亨君) SDGsに対する県の取り組みについてのうち、気候変動についてお答えいたします。
 県では、気候変動の原因とされる地球温暖化をもたらす温室効果ガスの排出抑制策に取り組んでおります。また気候変動の影響を最小限に軽減するため適応策を推進しております。
 温室効果ガスの排出抑制策といたしましては、クールシェアや公共交通機関の利用等を促進する県民運動ふじのくにCOOLチャレンジの展開、先進的な省エネ建築物であるゼロエネルギービル――ZEBの普及、業務用空調機の冷媒である代替フロンの徹底した回収等に取り組んでおります。
 気候変動影響への適応策といたしましては、熱中症予防のための緑化の推進や冷房設備の導入、自然災害に対しては河川や砂防、治山施設の整備などのハード対策、あわせて住民へのハザードマップの周知、風水害や土砂災害に備える避難訓練の実施などのソフト対策を推進しております。
 県といたしましては、引き続きこれらの適応策を着実に推進するとともに、温室効果ガスの排出量と除去量の均衡のとれたパリ協定で目指す脱炭素社会の実現に向けた取り組みを次期環境基本計画に盛り込み県民、事業者、関係団体の皆様と連携して気候変動対策に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 志村農林水産担当部長。
       (農林水産担当部長 志村信明君登壇)
○農林水産担当部長(志村信明君) SDGsに対する県の取り組みについてのうち、生産活動への影響と対応についてお答えいたします。
 農業につきましては、近年の温暖化の影響により水稲では玄米の白濁による品質の低下、温州ミカンにおきましては浮き皮の発生による品質劣化が生じるとともに、大雨や強風によるハウスなど農業施設への被害も増加しております。
 このため、温暖化が進んだ気象条件でも生産活動が成り立つように水稲におきましては夏の高温でも品質が落ちず本年度食味ランキングにおいて特Aを取得した「にこまる」や「きぬむすめ」といった品種の導入を進めております。また温州ミカンでは浮き皮が少なく貯蔵中の品質が劣化しにくい新品種「S一二〇〇」を果樹研究センターが育成したところであります。今後これらを県内に普及してまいります。また強風対策としてハウスの補強を支援するとともに、大雨対策では排水路の改修や排水機場の整備などを計画的に進めSDGsの目標十三の気候変動への対策に取り組んでいるところであります。
 水産業につきましては、不漁と気候変動の因果関係は明らかではありませんが日本近海の海水温の上昇や勢力の強い台風の増加などにより各地域の生息魚種の種類や出現時期の変化、ワカメなどの海藻類の生育不良、漁船の出漁日数の減少などが懸念されているところであります。
 このため、まずは対応可能な対策として国とも連携した広域的な資源管理対策等を実施しております。例えばクロマグロでは平成二十七年以降非常に厳しい漁獲量の管理を継続した結果資源の回復の兆しが見え始めており、今年度本県の大型クロマグロの漁獲枠は最終的に前年度の約二倍を確保できたところであります。また水産業の持続的な経営を可能とする所得向上対策も必要と考えており、今年度魚価向上などの新たなアイデアを実現に結びつける水産イノベーション対策支援事業を立ち上げて七十一件もの案件を採択するなどさまざまな支援に取り組んでおります。これらの取り組みを今後も継続してSDGsの目標十四にある海洋資源の持続的な利用を目指してまいります。
 県といたしましては、こうした取り組みを通じ気候変動に適応した生産活動の実現を支援し本県の農業、水産業の振興に努めてまいります。
 次に、静岡県の水産漁業の振興についてのうち、TPP等に対する対応についてであります。
 TPP等の発効による水産物の影響額は他の分野に比べ大きいと試算されておりますが、関税は十一年をかけて段階的に撤廃されることなどから直ちに本県水産業に大きな影響が生じることはないと考えております。しかしながら力強い攻めの本県水産業を創出していくためには今後の輸入動向を正確に把握しつつ適時適切な対策を講じていく必要があると認識しております。
 このため、県といたしましては水産物の国際競争力を高めることが重要と考えており生産体制の強化や高付加価値化、輸出促進、経営体の体質強化などに向け魚市場等の拠点施設整備やHACCPアドバイザーの派遣、新たな地場流通体制の構築などハード・ソフトの両面から支援を行っているところであります。このような施策を続けていくために水産分野ではここ数年予算の増額を続けているところであり、特に来年度はTPP等を契機とした産業競争力の強化に向けた六億九千万円余の予算に加えまして漁業無線局の整備費や調査機能を強化した調査船「駿河丸」の代船建造費を盛り込むなど本年度比一七八%の二十五億円余の予算を計上しております。
 これに加え、漁港整備関係事業としても防波堤の機能強化や岸壁の改良などに二十七億円余の予算を計上し本議会でお諮りしているところであります。
 県といたしましては、今後もTPP等の影響を払拭する力強い攻めの水産業の創出に向けて必要な予算を確保してまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 宮尾交通基盤部長。
       (交通基盤部長 宮尾総一郎君登壇)
○交通基盤部長(宮尾総一郎君) 伊豆縦貫自動車道の建設促進についてお答えをいたします。
 国が整備を進めております伊豆縦貫自動車道は、伊豆地域の道路網の中心となる高規格幹線道路として伊豆の人々の安全で快適な生活を支える命の道であり工事実施に当たりましては原則として都市計画決定を行った上で着手をしております。
 まず、天城峠を越える区間についてでありますが、現在環境影響評価の方法書の次の段階である準備書を国が作成しているところであり準備書完成後都市計画決定の手続を進めていくことになります。この手続では関係者への丁寧な説明や法律上規定されております公聴会などを行う必要がありますことから今後二年程度の期間が見込まれます。決定後は速やかに事業化されるよう国と調整をしてまいります。
 次に、河津下田道路のU期区間に関しましては大規模な河津トンネルの工事が順調に進捗しており、全延長一・九キロメーターのうち下田側からの掘削が一・四キロ完了し今後早期貫通に向け河津側からも掘削が開始されることとなっております。その他の工区につきましても用地取得や工事が順調に進み特に河津トンネル前後の工区におきましては橋脚などの構造物が立ち並び将来の道路やインターチェンジの姿が見えつつあり、早期供用に向け国が工事を着実に進めております。
 また、平成二十八年から用地買収に着手したT期区間におきましては本年二月末までに全面積の約二割まで用地の取得が進んでまいりました。今後は早期の取得完了を目指すとともに工事実施に向け道路や橋梁の詳細な設計を進めていくと伺っております。
 県といたしましては、引き続き地元市町や関係団体の皆様と連携し伊豆縦貫自動車道の一日も早い全線開通を国に働きかけるとともに整備効果が伊豆全域に波及するよう関連する道路の整備を進めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 鈴木経営管理部長。
       (経営管理部長 鈴木宙志君登壇)
○経営管理部長(鈴木宙志君) 過疎地域の活性化対策についてお答えいたします。
 過疎地域は、水源涵養や県土保全などの公益的機能のほか四季折々で変化する美しい自然環境、地域固有の歴史・文化にすぐれ都市住民にいやしの場を提供するなど我が国が守り続けるべき大切なふるさとであり末永く住み続けられるよう創生していくことが重要であります。
 このため、県では現行の過疎地域自立促進特別措置法に基づき産業振興や交通通信体系の整備、医療福祉の確保、地域文化の振興などハード・ソフト両面からの総合的な過疎対策に計画的に取り組んでおります。
 議員御指摘のとおり、現行法は令和二年度末までの期限となっておりますが、国における新法制定を見据えた議論の中で合併前の旧市町村を過疎地域とみなす一部過疎が対象から除外される可能性が危惧されております。
 県といたしましては、国が現在の過疎地域を引き続き法令により積極的に支援することが重要であると考えております。今後新法制定に向けた議論の集約が見込まれますことから、冒頭知事からも答弁がありましたように全国知事会や全国過疎地域自立促進連盟と歩調を合わせながら本県過疎地域が新法による支援を受けられますよう積極的に働きかけをしてまいります。
 また、過疎対策事業債は道路や漁港、診療施設、観光施設等の整備に充当されその元利償還金の七割が地方交付税措置される貴重な財源となっております。その所要額の確保につきましては既に静岡県地域活性化協議会におきまして国等に要望いただいておりますが来年度は現行事業計画の最終年度を迎えますことから、県といたしましても引き続き国への要望活動を行ってまいります。
 今後とも、過疎地域のさまざまな課題に対応していくためコミュニティー維持と行政との調整を行う集落支援員、交通難民解消に向けた自家用有償旅客運送等の制度や先端情報通信技術を活用するなど地域の実情に即した解決策の構築に向け各地域局や出先機関が現地窓口となり全庁を挙げて市町の取り組みを支援してまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) これで森竹治郎君の質問は終わりました。(拍手)

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