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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成23年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

蓮池 章平 議員

質問分類

代表質問

質問日:

09/28/2011

会派名:

公明党静岡県議団


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について
 (1) 県政の課題認識
 (2) こども医療費助成の拡充
2 日本航空との運航支援金訴訟に関する和解について
3 県財政の基盤強化について
4 地域外交について
5 新エネルギー政策の取り組みについて
6 富士山世界文化遺産登録の実現に向けた取り組みについて
7 消費生活相談体制の充実について
8 がん対策の推進について
9 自殺予防対策について
10 医療水準の向上について
11 農業振興策について
 (1) 農業基盤の強化
 (2) 農業への企業参入の促進
12 県東部の活性化について
 (1) ファルマバレープロジェクトによる産業集積
 (2) 沼津駅周辺総合整備計画
 (3) 東部コンベンションセンターのあり方
13 防災対策について
 (1) 総合的な津波対策
 (2) 公立学校施設における非構造部材の耐震化
14 特別支援学校の教育環境の改善について
15 サイバー犯罪防止に向けた取り組みについて



    ○議長(植田 徹君) ただいまから会議を開きます。
     議事日程により、知事提出議案第百三号から第百二十五号まで及び平成二十二年度静岡県一般会計、特別会計、公営企業決算全部を一括して議題とします。
     質疑及び一般質問を行います。
     通告により、二十九番 蓮池章平君。
           (二十九番 蓮池章平君登壇 拍手)
    ○二十九番(蓮池章平君) 質問に入る前に、八月十七日に発生した天竜浜名湖鉄道が運営する天竜舟下り転覆事故で五名の方が亡くなられました。亡くなられた皆様の御冥福をお祈り申し上げるとともに、株主である県としても、原因の究明とさらなる安全対策の実施について、強く申し入れるよう要望いたします。
     あわせて、先週二十一日に県内を通過した台風十五号により二名の方がお亡くなりになり、一名の方はいまだに行方不明のままであります。御冥福をお祈り申し上げるとともに、被災されました皆様にお見舞い申し上げます。台風の被害を受けた各地の復旧についても、市町と連携して早急に対応するように求めます。
     また、本年に入り台風の高波の影響で東名高速道路が下り線で百三十二時間二十五分、上り線で四十八時間十五分通行どめになり、一般道の大渋滞を引き起こしました。日本の大動脈である東名高速道路が本県内で寸断される事態に対して、抜本的な対策を国やNEXCO中日本に求めるよう強く要望いたします。
     それでは公明党を代表して、通告に従い、知事、関係部局長、教育長、警察本部長に質問をいたします。
     初めに、知事の政治姿勢について伺います。
     まず、県政の課題認識についてであります。
     平成二十二年七月知事就任より二年二カ月、現場主義を貫き県下各地を歩き、自分の目で見ておられる姿勢に共感するものであります。川勝知事は知事選に出馬される際にみずからのマニフェストを掲げられました。さまざまな角度から検討、県下各地の皆さんの意見を取り入れ、また御自身の県政に対する思いや課題の解決に向けて作成されたと思います。県下各地に行かれ、みずからの目で見て、耳で聞いて、肌で感じたことはいかがであったでしょうか。現場で感じた課題の認識、重要性の順位づけについてどのような変化があったのでしょうか。さらには三月十一日に東日本大震災が発生し、これまでの価値観や考え方そのものが見直しを迫られることになりました。また水難事故が続けて起こるなど、予想しなかったことも次々に起こっております。
     そこで、知事になる前と現在では県政の課題認識についてどのような変化があったのでしょうか、机上と現実のギャップはどう感じていらっしゃるのか、知事の県政の課題認識について伺います。
     次に、こども医療費助成の拡充についてであります。
     知事はこれまでマニフェストに掲げてあるように、若い世代が二人から三人は子供を産みたいという希望をかなえることができる環境整備に向けて、こども医療費の入院費助成の拡充、保育所待機児童の解消や県民手帳に各市町の出生率を記載するなど、さまざまな支援を進めてこられました。さきの知事就任二周年の記者会見においても、残り任期二年の課題として真っ先に少子化対策と発言し、今後の「生んでよし 育ててよし」の理想郷づくりについて大いに期待するところであります。子育てをする県下各地のお母さんから、一日も早く拡充してほしいとの声が数多く寄せられております。
     そこで、知事が思い入れ強くマニフェストに掲げられましたこども医療費の通院にかかる助成の中学三年生までの拡充について、現在の進捗状況と知事の決意を伺います。
     次に、日本航空との運航支援金訴訟に関する和解についてであります。
     富士山静岡空港を生んで大きく育てる、そのような思いで我が会派も空港に関連したさまざまな問題に対応してまいりました。平成二十一年二月の議会に上程された日本航空福岡便に対する搭乗率保証に関しても、空港の開港時に県民の利便性を向上させるために一日三便を実現するための特例措置として附帯決議をして認めた経緯があります。当時県は、七〇%の搭乗率が達成できない見通しのときには、六カ月経過した十一月ごろに運航機材の見直しや支援策について協議をし、県民の負担が発生しないようにすると説明されておりました。日本航空が静岡―福岡便を運航停止したことにより今回の問題は発生したわけですが、スタートした時点ではお互いに協議しながら進めていくとの信頼関係があったわけで、その信頼関係を日本航空側が事前の協議もなしに一方的に破ったとすれば、非は日本航空の側にあると考えます。実際には日本航空との間でどのようなやりとりが行われてきたのでしょうか。
     さて、今議会に日本航空との和解議案が上程されているところでありますが、昨日の本会議において、知事は「和解について熟慮中である」と発言されました。県議会において審議をするに当たり知事の真意がはかりかね、戸惑いを覚えます。昨日の知事の発言をどう理解すればよいのか、改めて知事の真意を伺います。また今回県の主張を一部裁判所が認めたものでありますから、和解勧告どおりの内容で受け入れるのであればその考えには賛同しますが、今回の和解受け入れを日本航空との関係を改善する一歩とすべきと考えます。日本航空の定期便の可能性など今後協力して話し合う土俵づくりを求めてはいかがでしょうか、所見を伺います。
     次に、県財政の基盤強化についてであります。
     我が公明党県議団として、県の行財政改革の強化について、事業仕分けの実施を初めさまざまな提案をし、特に公会計の活用による行財政改革について、ときあるごとに提案してまいりました。こうした中で、県が新地方公会計制度に対応するため、平成二十一年度決算から基準モデルを導入し、財務諸表の作成を行うなど、全国の自治体の中でも積極的に公会計の導入に取り組まれてきたことは評価するものであります。しかしながら現在の財務諸表は資金収支や資産、負債等の保有状況が県全体として示されているため、県民からは財政状況のよしあしがいま一つわかりにくいのではないかと思われます。公会計導入の目的の一つは、県民や議会に対する説明について財務諸表を活用することにより財政の透明性をより高めることであり、もう一つはマネジメントにおける活用、すなわち財政運営や個別事業等の改善に生かすことであります。これらの目的に沿うためには、例えば個別事業ごとに財務諸表を作成することにより県民や議会が財務状況をより具体的に把握することや、事業を担当する各職員がコスト意識を高め個別事業の進捗管理や改善を行っていくべきと考えます。
     そこで、公会計をより有効なツールとして活用するために今後どのように取り組まれるか伺います。
     次に、地域外交について伺います。
     知事の熱い思い入れのもと静岡県の地域外交戦略がスタートいたしました。県勢の一層の発展につなげ、五十年、百年の息の長い友好的な交流を目指してこそ地域外交の本来あるべき姿ではないかと考えます。相互のメリットのみを追求すれば、お互いの利益のバランスが崩れた時点で交流の流れは一気にしぼんでしまい、信頼関係の構築はなし得ません。相手の多様性を認める努力とお互いの精神性の共通点を見出す努力から始めなくてはなりません。地域外交の基本的な考えとして、文化芸術、学術、青少年の交流など多様な交流の基盤をつくり上げていく努力が必要であります。
     今回知事が訪れたモンゴルは、詩心の国――ポエム、詩とともに生きる国でもあります。モンゴルのプーシキンとたたえられるナツァグドルジの「わが故郷」の一節に、「ヘンティー ハンガイ サヤンの高く美しい峰々 北方の飾りとなった豊かな森の山々 メネン シャルガ ノミンの広大なゴビ 南方の先駆けとなった砂丘の海原 これが私の生まれた故郷 モンゴルの麗しき国」モンゴルのだれもが、その一節をそらんじることができるそうであります。人生のさまざまな儀式の折には、必ず歌や音楽、祝詞、讃詩なしには成立しないほど生活の中に詩歌がしみ込んでおります。
     若山牧水、北原白秋、加藤省吾など多くの詩人が愛した本県静岡もまた詩の心を大切にする県であります。本県のすばらしき詩人である大岡信さんが中心となって毎年開催されている連詩の会にモンゴルの詩人を交えて交流するなど、詩を通しての深い理解の輪を形成していくことなども重要なことと考えます。また沼津市商工会では独自に沼津愛鷹茶を「ジャパニーズ グリーン ティー フジサン」と名づけ、サウジアラビアの国王の祭典に日本ブースの一員として参加、日本茶は健康によいとの評価や、現在ドイツ経由で輸入されている日本茶の品質の悪さに比べ格段においしく高い評価を受けたと聞きました。残念ながら原子力発電所事故の影響で放射能の汚染がネックとなり、交渉については中断しているようでありますが、このような民間が意欲的に取り組んでいる経済交流が一層促進されることも県勢の発展に重要であると考えます。地域外交を進めるに当たって、長期の視点に立った基本的な考えが重要と考えますが、知事の思いを伺います。
     次に、新エネルギー政策の取り組みについて伺います。
     三月十一日の東日本大震災による東京電力福島原子力発電所の原子力事故は、日本のエネルギー政策を大きく方向転換せざるを得ない状況をつくり出しました。本県の浜岡原子力発電所も政府の要請によりすべての原子炉を停止するという事態になり、再開についてもいまだ不透明な状況であります。
     一方、産業力の強化という側面からいえば、電力の安定供給は何より重要であり不可欠であります。県も、原子力発電への依存度を下げていく方向で太陽光発電の普及に補正予算を投じておりますが、これまでの火力発電や水力発電に加え再生可能エネルギーとしての太陽光や風力、地熱、天然ガスなどバランスよく使っていくことが重要であります。私は、これからの時代にあってエネルギーの中心的存在となる可能性の高いものに水素があると考えております。環境に優しい水素エネルギーは燃やしても二酸化炭素が発生しません。また燃料電池の燃料ともなる水素エネルギーの活用面で、日本は世界でも比較的早い段階から国家プロジェクトとして取り組んできました。地方自治体では福岡県が福岡水素エネルギー戦略会議を二〇〇四年から立ち上げ、本年の五月には日本初の水素燃料電池スクーターの実証が始まり、この実証には本県のスズキ自動車がスクーターを提供し参加しております。本県にも水素エネルギーに関する先進的な技術を持った企業があり、国や大学、研究機関と連携して新エネルギーの調査研究に乗り出してもよいのではないかと考えております。先ごろ開催されたふじのくに未来のエネルギー推進会議においても、静岡県の新エネルギーの潜在力を明確にし、可能性のあるものに注力すべきとの意見も出されたと聞いております。浜岡原子力発電所が停止した静岡県こそ、新たなエネルギーの芽を大きく育てる責務があるのではないかと考えます。
     そこで、新エネルギー政策の取り組みについて、県の所見を伺います。
     次に、富士山世界文化遺産登録の実現に向けた取り組みについて伺います。
     本年七月二十七日、一年おくれとなりましたが、富士山の世界文化遺産登録に係る推薦書原案が文化庁に提出されました。また九月二十二日、政府は、富士山を武家の古都・鎌倉とともに、推薦書の暫定版を今月末までにユネスコに提出することを決定、来年二月一日までに正式な推薦書を提出するとしております。その後はユネスコの諮問機関であるイコモスによる審査へとつながり、特に来年夏から秋にかけて現地調査を含め評価審査が行われることになります。最近、世界遺産登録の基準が厳しくなったと言われており、イコモスの調査において保全などについて説得力のある説明ができるかどうかが決定のかぎとなります。また世界遺産登録が実現されれば保全のための対応として、特に環境面での対応が求められるようになります。多くの観光客のごみ、トイレ問題、自然災害からの保全など多岐にわたり課題を解決していかなければなりません。県民の遺産登録への機運の醸成、山梨県と連携した保全活動とあわせて、登録後を見据えた取り組みが今から必要と考えますが、登録実現に向けた取り組みについて、県の所見を伺います。
     次に、消費生活相談体制の充実について伺います。
     平成二十一年度に消費者庁が設置され、消費者行政の一元化が図られましたが、消費者を取り巻く悪質商法にかかわるトラブルは後を絶たない状況であります。消費者被害の防止や救済、消費生活の安定を図るためには、まず消費者の声を身近な自治体において受けとめ、即対応できる体制を充実させることが不可欠であります。そのためには消費生活相談窓口の充実や住民への周知を図ること、例えば消費者ホットライン〇五七〇―〇六四―三七〇――守ろうよ、みんなを――この周知を図るために各種の広報媒体を使い周知することや、地域に細かくセンサー機能を張りめぐらすことが重要であります。
     本県においては、東部、中部、西部の各県民生活センター及び賀茂県民相談室において消費生活相談窓口を設置するとともに、二十一の市町において消費生活センターが設置されております。また相談を受ける相談員の質の向上を進め的確な相談体制にすることも必要と考えます。県が掲げるくらしの理想郷“ふじのくに”を目指し、今後どのように県内の消費生活相談体制の充実を図っていかれるのか伺います。
     次に、がん対策の推進について伺います。
     本県のがん対策は、国のがん対策基本法及びがん対策基本計画に基づきがん対策推進基本計画を策定し、がん診療連携拠点病院等の均てん化などに取り組んでおり、その取り組みは全国の中でも比較的進んだ取り組みと評価されております。しかしながら男性の二人に一人、女性の三人に一人ががんになる時代の中にあって、特に家族の生計の主体となる人ががんにかかった場合は就労の継続は難しくなり、一度職を失ってしまうとがん患者というだけで再就職の道は極めて厳しい状況となっているのが実態であります。またがんと宣告されてからの精神面での支えとなるのはドクターや医療従事者の適切なアドバイスはもちろんでありますが、同じ不安や苦しみを経験した患者の話や患者会などが行う相談会など、相談体制の充実は心のケアといった面からも重要であります。早期発見のためのがん検診、受診率向上の目標である五〇%以上の達成の課題も見えております。
     そこで、まず県民をがんから守るための施策として、県が策定した基本計画をさらに実効あるものにするためには、県の役割や県民の姿勢、事業者の役割など条例で明確に位置づけることが重要であると考えますが、県の所見を伺います。
     また、平成二十一年度からスタートした子宮頸がん検診並びに平成二十二年度からスタートしたワクチン接種について、来年度以降の国の方針が固まっておりません。仮に国が助成を取りやめた場合でも継続して実施していくべきと考えますが、現時点での県の強い決意を伺います。
     次に、自殺予防対策について伺います。
     県内においては、長引く景気低迷や雇用不安、心の病の増加などの影響もあり、みずから命を絶つ人の数は本年も前年に比べ増加傾向にあり、心を痛めております。自殺を図った人の七五%に精神障害が、その半数がうつ症状を発症していると言われております。本県も睡眠キャンペーンなどに取り組み、早期発見・治療に一定の成果を上げておりますが、根本的なうつ病の治療、社会復帰という面からは、さらに踏み込んだ対策が必要ではないかと考えます。
     昨年四月から保険適用となった認知行動療法について、先日沖縄県立総合精神保健福祉センターを視察し、仲本所長から話を伺ってまいりました。うつ病デイケアにおいて集団で認知行動療法と作業療法を併用することによりうつ病を改善し、就職や職場復帰に大きな成果を上げており、三カ月のデイケア修了者の就業率は一六%から六〇%へと改善しております。うつ病は心の習慣病、自分で治すものとの話を伺い、私自身大きな驚きと感銘を受けてまいりました。沖縄県内の十のデイケアや町や村で、保健師などが三日間の研修を受けて、うつ病患者の訪問やデイケアなど独自の取り組みを始めているところもありました。人の命を救うための時間に一刻の猶予もありません。医療従事者に研修を受けていただき、うつ病デイケアにおける認知行動療法と作業療法を併用したうつ病対策の普及を早急に図るべきと考えますが、県の所見を伺います。
     次に、医療水準の向上について伺います。
     本県の医療水準は、安心医療の提供と健康づくりの推進などに取り組み、質の高い医療が提供され、健康で元気な方が多く、全国と比較しても高い水準にあります。しかしながら県民十万人当たりの医師数は、平成二十年度調査によれば全国の二百十二・九人に対し百七十六・四人と全国順位四十二位と大変少ない状況であり、特に産科、麻酔科などの一部の診療科においては医師の不足や偏在が依然続いている状況であります。医療水準向上のためには医師の確保が重要であり、本県では医学生に対する医学修学研修資金を拡充するとともに、昨年の十月にはふじのくに地域医療支援センターを設置し、一元的かつ専門的に取り組んでいると承知しております。
     先日、これも沖縄県立中部病院に伺い、沖縄県における医師確保の取り組み状況を視察してまいりました。沖縄県では、大学一病院、民間七病院、県立三病院が臨床研修病院として年間約百三十名の研修医を受け入れております。県立中部病院が核となって専門医研修まで一貫してプログラムが実施されており、すばらしい成果につながっておりました。このプログラムでは救命救急センターで数多くの症例を現場で実体験することができます。さらに二年間は、指導医のもとグループによる診療や先輩が後輩を指導する体制がとられており、研修医にとっては最適な教育現場であり、病院全体で医師を育てようとする熱意を感じてまいりました。その結果として、研修医の六割が県内病院で働き、その半数は公立病院の勤務医として勤務するという成果に結びついているとのことです。視察させていただいた状況から、医師の確保は人材育成から取り組まねばならないと強く再認識をいたしました。中長期の人材育成を軸とした沖縄県の研修システムと同様に、県内の複数の病院が連携した医師の研修に取り組むことが必要ですが、静岡県における研修医を育てる中核的な育成機関は、県立総合病院、県立こども病院及び県立静岡がんセンターの県立三病院がリーダーとして牽引していく必要があると考えます。本県の医療水準のさらなる向上のために、医療人材の育成を踏まえ中長期的な視野に立った本県の取り組みについて伺います。
     次に、農業振興策についてのうち、農業基盤の強化について伺います。
     近年の農業・農村を取り巻く状況は、厳しさの度合いをさらに深めております。気候の変動や新興国の所得の向上に伴う世界的な穀物のH迫の流れは、国民へ将来にわたって食糧を安定供給することへの大きな不安となっております。一方、国内の農業の状況は農村の過疎化、農業従事者の高齢化、後継者不足やTPP――環太平洋連携協定などの経済自由化の動きなど、今こそ強い農業を築き上げなくてはならないときを迎えております。そのためには急峻な地形の多い日本においては農業基盤の整備を行い、効率的な農業経営が可能となる体制の整備が必要であります。
     本県では、“ふじのくに”の農山村づくりとして二〇一〇年から二〇一三年まで農山村整備の将来ビジョンを示し、本県特産のお茶やミカンなど樹園地整備を行い、労働時間の大幅な短縮や収穫量の大幅な収量増などの成果を上げております。また農業用水の整備や湛水防除事業などを進めて、各地域の農村地域を保全する取り組みを進めてまいりました。私の地元の内浦から西浦にかけてもミカンの優良な産地でありますが、海沿いに山が切り立つ厳しい地形を農地としており、県の進める農道の整備を一刻も早く進めてほしいとの切実な声が寄せられております。しかしながら政権交代により国においては農業基盤整備の予算は大幅に削られ、各地の農業者から心配の声が寄せられております。県として本県の農業・農村の持続可能な発展を実現するために、農業基盤の強化にどのように取り組むのか伺います。
     次に、農業への企業参入の促進について伺います。
     担い手を確保し育成し、持続可能なもうかる農業実現のためには基盤整備だけでは限界があります。耕作放棄地の有効利用や新たな雇用創出の視点から、経営力や資金力にすぐれた企業の農業参入を積極的に推進している例が全国には見られます。大分県では二〇〇七年から部局を横断したプロジェクトを結成、参入相談から営農開始後の技術指導、販路確保まで一体的に行い、二〇〇七年から昨年度までに百六社の参入があり、農業販売額は九十八億六千万円に上っております。耕作された四百五十七ヘクタールの二八%に当たる百二十七ヘクタールが耕作放棄地であり、雇用面でも四年間で三百四十七人が正社員として雇用され、七百三十二人のパート雇用と合わせて千人を超える雇用が実現をしています。
     本県においても、担い手を確保し育成していくという観点から、農業への企業参入を積極的に進めるための総合的な取り組みが必要と考えますが、所見を伺います。
     次に、県東部の活性化について伺います。
     初めに、ファルマバレープロジェクトによる産業集積について伺います。
     ファルマバレー構想策定から本年はちょうど十年目の佳節を迎えます。県立静岡がんセンター、ファルマバレーセンターの連携による取り組みにより、人材育成、新製品の開発、地域企業の医療分野への参入など一定の成果へと結びついていると評価しています。今後は世界の中のファルマバレーとしての位置づけをいかにスピードを上げて高めていくのかが課題となります。特に医療健康分野の産業集積を進めていくための体制整備が必要であり、企業の進出をより促進するための医療特区の実現が必要ではないかと考えております。医療特区となれば規制の特例措置や税制上、財政上、金融上の支援措置が受けられるようになり、新たな成長分野である医療健康産業への企業の進出がしやすくなると考えます。そのためには地域の関係者との連携が必要となります。先般、関係市町や大学研究機関等から成る地域協議会が設立されたと聞いております。
     そこで、医療特区実現に対する考え方と具体的な取り組み内容について伺います。
     次に、沼津駅周辺総合整備計画について伺います。
     先日、全国に支店を展開する企業の支店長とお話をする機会がありました。支店長からは「県東部への今後の人や資金の投入について、県がどのような方針で県東部を発展させていくのか明確にならなければ、企業としてはこの地域へのヒト、モノ、金の投資は行えない。また、どのくらいのスピードでインフラの整備をしていくのか皆目見当がつかない段階での投資は行えない」とのお話を聞きました。全くそのとおりであります。知事はかねてより、県事業である鉄道高架事業については、南北の交通分断を解消し県東部の拠点都市構築の観点から積極的に進めると表明されておりますが、県東部広域地域における沼津駅周辺総合整備計画をどのように位置づけられているのか、県東部の都市計画の観点からも明確に示していただきたいと思います。またファルマバレーを初めとした産業集積を考えたとき民間のスピード感に対応するためには、総合整備計画完了の目標年度を明確に示し、県として県東部のまちづくりの青写真とその実現スケジュールを明確に示すべきと考えますが、知事の決意を伺います。
     次に、東部コンベンションセンターのあり方について伺います。
     沼津駅北口に完成予定の東部コンベンションセンターは、県の会議場施設と沼津市の展示イベント施設を並行で整備し、平成二十六年に千三百人の会議を開催できるコンベンション施設として完成予定であります。東部コンベンションセンターについては、当初の計画から知事の指示によりマンション施設がなくなりました。また外観も千本松原をイメージし、県産材を多く利用したデザインとなったと理解しております。もちろん外観のデザイン性は、訪れる人への大きなインパクトとなり重要なことは理解しておりますが、私は外観デザインよりも会議施設としての使いやすさをどのように高めていくのかを追求して建設していかなければならないと考えております。外観のデザイン性のみを追求して、会議場施設としては使い勝手の悪い施設となってはならないと思います。一度使用してリピーターの申し込みが殺到するような安価で使い勝手のよさこそが、これから生き残っていけるコンベンション施設の要件であります。例えば千人を超えるような大規模なコンベンションを開催する場合、受付、クローク、分科会、展示、昼食をしながらのセミナーなどのスペースをいかに確保するかが課題となります。幸いにも隣接して沼津市の展示イベント施設が一年早く開設されることから、県と沼津市の施設の一体運営が可能となればより使い勝手がよくなると考えます。
     そこで、まず施設の運営に関しては、設置される設備も含めて沼津市の施設と一体で使えるLAN環境、音響、映像の設備とすること、施設の利用の申し込みを含め管理運営を一体とすること、また三年後の開館に備え、コンベンションを誘致するためには、既に各会議に対する売り込みを行う必要があり、会場の使用料金を早急に決定して誘致活動を展開する必要がありますが、いつまでに明示されるのか伺います。当然、知事もセールスマンとなってコンベンション誘致の先頭に立っていただけるものとは思いますが、東部コンベンションセンターそのものが今後永続的に稼働率の高い施設となるにはセンターそのものの持つ魅力がなければなりません。そのかぎは何といっても使い勝手のよさとコストの安さであります。
     以上の点に関して知事の考えを伺うとともに、名称についても県民からの公募も含め愛着の持てる愛称とすることを提案しますが、あわせて伺います。
     次に、防災対策について伺います。
     まず、総合的な津波対策について伺います。
     想定される東海地震においても、今回の東日本大震災と同様、建物の倒壊とあわせて津波被害の想定がされております。特に津波被害の最大の想定地域は、私の地元沼津市内浦重須地区で最大十メートルの津波が襲ってくると想定されております。県も今回の震災を受け、改めて津波被害に対する対応策を検討、対策の見直しを始めました。まずは命を守るためには高いところへの避難が重要と、避難路の整備や沿岸地域の高い建物への避難を優先に対応策の検討がされていると承知をしております。一方、津波で避難して命は助かるが、家や財産、代々引き継がれてきた思い出などもすべてを失ってしまい、高台への移転が必要との意見もあります。
     先般、重須地区でアンケート調査が行われ、中学生以上の住民二百六十一名から回答がありました。まず重須地区では防潮堤の建設を求めておりますが、「今後も進めてほしい」と回答した人は四二%。個人の負担が少ないとともに、高台への移転は経済的負担が大きいことを理由に挙げております。また「防潮堤の建設を中止する」と回答した方も二四%に達しました。想定外の津波を防げないことや防潮堤整備に長期の時間と多大なコストがかかることを理由としております。また「高台への移転」については、賛成が三八・七%の方、反対は一一・一%、「どちらとも言えない」が四四・八%と回答し、賛成の方については移転の方法を聞いたところ、「公費で宅地を造成し、移転費は自己負担」と回答した方が三三・六%、「移転可能な高台を指定、インフラ整備した上で希望者を個別に移転する」と回答した方が六六・三%おりました。「高齢者や学生のバス利用者が不便になる」「移転費がかかる」などとして、「移転の必要はない」と反対の意見もありました。いずれにしても津波予想の地域については、防潮堤の対応や地域の皆様の声に対応して、高台移転など早急に抜本的な津波対策が実施できるよう、例えば津波特区などの指定が必要と考えますが、所見を伺います。
     次に、公立学校施設における非構造部材の耐震化について伺います。
     東日本大震災の際には、ピーク時に六百二十二の学校が避難所となり、地域の防災拠点として学校が活用されました。地域住民から見ると、身近な学校は避難場所として真っ先に頭に浮かぶ場所であり、避難地に指定されている、いないにかかわらず、地震が起きた際には住民が避難してくることは避けられません。学校側としてはまず自分の学校の生徒や教職員たちの命を守ることが最優先ですが、発災後は学校施設の多くは避難所としても機能し、地域住民の支えになった実態から、その安全性の確保の重要性がさらに強く認識されたところであります。
     静岡県は公立小中学校の耐震化率が九八・二%で全国第一位であるとともに、高等学校や特別支援学校の耐震化率も高い順位となっております。東海地震対策に長年取り組んできた成果であると評価をいたします。しかし今回の震災では、建物に問題がなくても天井材や外壁材など落下するケースが多く見られ、地域住民の避難先となることが多い体育館などで、たとえ建物は無事でも天井や照明器具などに落下の危険があるのでは避難場所としての機能を果たすことはできません。公立学校施設において建物の耐震化だけではなく非構造部材の耐震化を図ることが大変重要であると考えますが、これまでの取り組みと今後の方針について伺います。
     次に、特別支援学校の教育環境の改善について伺います。
     文部科学省は、来年度から小学校二年についても三十五人学級のために予算計上するとの方針を固めたと報道されました。また少子化の進展により比較的教室にも余裕が出てきており、普通学校の教育環境は改善の方向に向かっている一方で、年々生徒数が増加する傾向にある特別支援学校の教育環境は、児童生徒数のみならず教職員にとっても厳しい状況となっております。特に学校施設の狭隘化は各学校の大きな課題となっており、教室の中に入らないロッカーや備品が廊下にはみ出し、児童生徒の学ぶ環境のみならず、地震などの災害発生時の避難経路の確保などさまざまな課題があり、抜本的かつ早急な対応が必要であると考えます。特別支援学校における教育環境の改善に対する教育委員会の取り組みについて伺います。
     また、学校に通う手段として小中の児童生徒はスクールバスの通学が認められているものの、高校生に関しては原則自主通学となっています。しかしながら高校生になっても障害の程度が改善されるということは少なく、障害の程度の重い高校生の通学に関しては保護者が送迎することがほとんどであります。高校生の自主通学という原則の見直しについて県教育委員会の考えを伺います。
     また小中の児童生徒についても、スクールバスに乗車するために乗車場所まで時間がかかり、遠距離のために乗車をあきらめざるを得ないケースもあり、すべての希望にこたえることができていない状況であります。教育を受ける権利を確保するために、児童生徒が通学できるスクールバスの乗車要望が潜在的にあります。特に肢体不自由の特別支援学校については長年保護者の皆さんから強い要望が出されております。早急に対応すべきと考えますが、スクールバス増車の予定について伺います。
     最後に、サイバー犯罪防止に向けた取り組みについて伺います。
     警察庁の調査によれば、サイバー犯罪で検挙された件数は、二〇〇六年の四千四百二十五件から昨年には六千九百三十三件まで増加したと報告されております。また経済産業省の調査では、ネット通販など関連市場は七兆八千億円に成長、長引く景気低迷にもかかわらずネット産業は順調に市場拡大しており、今後も利用者の増加が見込まれております。
     先日、沼津市で老人会を対象にiPadの無料体験講座が開かれ、その使いやすさに大変な好評を得たと伺いました。今後さらにインターネット上での情報のやりとりや品物の売買が加速していくことが予想されますが、一方思わぬ犯罪への落とし穴も潜んでおります。例えば実在の金融機関とそっくりな、にせのホームページへ利用者を誘い込み、クレジットカード番号など個人金融情報を盗み取るフィッシング詐欺なども増加しております。サイバー犯罪が巧妙化する背景にはネットの高い匿名性が利用者を特定しづらくしていることがあります。当然、利用者の責任において、取引時の金融機関口座の十分な確認などみずからを守るための安全意識を持つことが重要であります。県警としても、警察庁と連携し体制の整備に力を入れていることを承知をしておりますが、今後も巧妙に手をかえ、品をかえるサイバー犯罪から県民の生命・財産を守るため、どのように取り組んでいかれるのか伺い、一たん私の質問を終わります。(拍手)
    ○議長(植田 徹君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 蓮池議員にお答え申し上げます。
     初めに、私の政治姿勢についてのうち、県政の課題認識についてであります。
     知事になる前と知事になった現在とでは、現状認識、課題認識についてどのような変化があったのか、机上の学問と現実とのギャップをどう感じているかということでございましたが、私は二十歳前後から、机上の徒をしてきたわけです。恐らく年間一千冊以上の書物をひもといたと存じますが。ですから恐らく数万冊の本は開いたと思います。論文を入れると十万点ぐらいは読んできたと思います。
     しかし、知事になりまして八月十一日に地震がございました。そして伊豆半島におけるお盆前の行楽客がキャンセルを始めかねないという状態になって、現場に入って、どこが問題かということを中部地方整備局のTEC―FORCEの方々から教えられて、それは現場を見て初めてわかったことです。そしてお盆前、戻ってきてすぐに写真を見せられました。竹が二、三本空港の近くに立っていて全面開港ができないということでございました。「それならすぐ切りに行く」と言ったわけです。すると、それは不法侵入になると。しかし「不法侵入になっても構わんから行く」と言ったわけですが、それはとめられたわけです。しかし私は自分の意志で行きました。しかしそれは数本の竹の問題ではなくて、実際上これは丸二日かかったわけです、その工事をするのに。それは現場に行って、現場にかかわっている方とお話をしないと前に進まないということでございまして、私は、こうした知事就任間もなく襲った課題の解決に対しまして、現場に行かなければ、あるいは現場で解決しなければ、あるいは現場を担っている方々と心が通わないと一歩も前に進まないということを知りまして、いわゆるペーパーワークからフィールドワークに重心を移しました。そして結果的に、何百回と、一千回近く各県下を回るということを今日まで続けてきたわけでございます。しかしそれはペーパーワークが必要でないのかというと、これもしなければなりません。書類を読み、また文献をしっかり頭に入れて、それをベースにして現場を見るということをしないと、よく見えない部分がございます。ですから私としましては大きくフィールドワーク、現場に立つという姿勢に変わりましたので、ここが一番大きいかと存じますけれども、そのバランスが必要だということです。
     しからば県庁はどうかといいますれば、県庁もペーパーワークが多い。したがって現場の空気が、必ずしもその話から、あるいはペーパーから感じられないという場合が多うございまして、そのことから私は県庁の職員の方にも現場主義に立たないと、解決が、いわゆる「検討する」、別の言葉で言うと「先送りする」ということになりかねないということで、現場主義を県庁の文化にしたいと、それをしないことには県政はよくならないという、そういう考えでございます。
     何よりも、今回の三・一一もそうでございますけれども、現場に行って現場の救援をしながらいわゆる防災力を高めるということをして、その結果、遠野市から本当に心からの感謝をいただくようなことになり、我々の実力が上がっていくということでございまして、現場に立つのは県民の生命・財産、これをしっかりとお守りして、また県勢の発展に尽くすためということでございます。これからも今回の三・一一の結果、浜岡原発についても皆様方の御心配も非常に深うございますので、危機管理を最大限の優先事項にいたしまして、それをベースにした県勢の発展に努めていくということでございます。
     目下のところ三・一一以降、議員の先生方には五月補正、六月補正、今回の九月補正というようなところで御貢献を賜っているわけでございますけれども、五月補正は大震災対応、そして六月補正は新エネルギーへの対応、そして現在は特に雇用の創出ということに力点を置いておりますが、大震災対応につきましてはありがたいことに感謝されていると。そして新エネにかかわる機運は――新エネルギーを探してそしてそれを役に立つものにしようという機運は相当に県下広まっております。また雇用創造アクションプランも緒につきそうなので、私はそのように常に現実が優先すると、書かれていることにも増して現場を優先させ、現場に聞くということで、現場を優先させながら、その時々の社会情勢に対応していくという姿勢をこれからも貫き、県勢発展のために全力で取り組んでまいりたいと思っております。
     次に、日本航空との運航支援金訴訟に関する和解についてであります。
     「信頼関係を日本航空側が事前の協議もなしに一方的に破ったとすれば、非は相手側にあると考える」と県議が述べられました。全くそのとおりでございます。十月二十九日に一方的な撤退通告がなされてまいりました。それ以前に八月二十七日と十月二十一日の二回、西松社長とお目にかかったわけです。一回目は県庁の県知事室で、二回目は答礼ということでJALの本店でお目にかかったわけでございますが、一回目のときには、まずは私は西松社長が本県の御出身である、かつ子供のときに浜松の空に飛行機が飛んでいるのでJALに勤められた、その航空少年が今JALのトップとしてここに来ていただいて、また本県に飛行機を飛ばしてくださっていることに対する感謝の念を述べたわけです。一方、西松氏のほうはコチョウランをお持ちになり、そして私を学者のときから知っていたということで二人の信頼関係がそのときにできました。
     私は一方で、覚書の第三条と第八条に基づきまして、六月が六割に達しない搭乗率、このままでいくと何億というお金をJALに払わなくてはならないと。この搭乗率につきまして、県下厳しい九割の批判の事実がありますと。何としても搭乗率を上げねばならない、これが私の思いだと。そういうこの続きの話を十月二十一日にJALで行ったわけです。そして搭乗率を上げるために不人気な搭乗率保証というものを取り下げると、西松さんの意思決定に対する評価が高まり、あなたは故郷ににしきを飾れますと。私はその先頭に立つということを申し上げ、そして了解賜ったんです。ところが本当に残念なことに、そのとき西松氏に決定権がなかった。既にその前からJALの再生タスクフォースに実権が譲られていました。ですから私は、その実権を握っていらっしゃる方に知り合いがいましたものですから、その方にこの件をお話しする。「そうしてください」というところまでなったのです。
     その数日後にあの手紙が届いた。西松さんの署名があります。これを彼が書いたとは到底思えないというのが私の最初のレスポンスです。そこには「選択と集中によって不採算路線から撤退する」と書かれていたからです。二回お目にかかったことについても何の鳴謝もありません。その前に二人で意気投合したことについても何の記載もない。ですからこれは信頼関係を根本的に疑わせるものでした。だれが書いたんですかと。「ですから実権を持っている人が書かれたのだ」と。しかし署名は彼のものでございました。この会談自体は実に和気あいあいとした、そして彼をいずれは故郷にお迎えするという強い要請に近い形での期待をしておりましたものですから、それは西松さんの私に対する信頼を強めた部分です。ですから今日までその信頼関係は続いているのです。敵対関係の「て」の字もありません。
     私はこうしたことで、その中身につきまして訴訟代理人のほうから訴訟の中で繰り返し主張していただいたわけでございますが、和解勧告におきましてこの主張が認められた結果、十月二十九日以降については、この搭乗率に達しないものについては認めない、またいわゆる遅延に基づく損害金が出ましたけれども、それは払う必要ないという御決定をいただきました。したがって和解勧告どおりに受け入れるということにいたしまして、今回議案として御提出申し上げ議会にお諮りしているところでございます。
     なお、御指摘の昨日の私の発言につきまして、覚書それ自体についての、私自身には割り切れないせつない思いがございますが、それは申し上げましたが、覚書を前提にして、それぞれこれまで和気あいあいとした中での、搭乗率を上げるための交渉をし、そしてその結果として一方的撤退は許さないということで、双方が言い分を言い合った中で、それを取り入れた勧告を受け入れるということについては全く変わりはありません。その勧告の内容につきまして、その中に、本県と日本航空が静岡空港の発展に向けて努力に努めるべきというようにございます。そして日本航空も、今後は共同運航やチャーターという形で協力したいという和解勧告の受け入れをされる際の報道発表もございました。既にことしの七月には静岡空港からアラスカのアンカレジに向けて日本航空のチャーター便が運航されておりまして、県民の皆様がそのフライトは楽しかったという報告も受けております。さらに実は一昨日、日本航空が本県が上海と通交している中国東方航空との共同運航を拡大するという発表をなさいまして、そして静岡―上海線も十月八日から日本航空と中国東方航空との共同運航が開始されることになったのです。
     そこで私は早速、日航のほうに電話をしまして、稲盛和夫氏にお礼とまたお目にかかる用件を伝えたわけですが、そうすると今は海外出張に出られているということだったのです。ところが出張先に日航のほうからお電話をされたようで、そちらのほうから今海外出張であるということと、それから帰国後も別の裁判でごたごたしていることがある、しかしこれが一段落すればお目にかかりたいというお返事をいただいております。したがってそう遠くない将来お目にかかりまして、この和解に関する議案を御可決いただきました場合には、チャーター便の運航等も念頭に置きながら稲盛JALと静岡空港との協力関係を深めまして、空港の発展のために協力関係を築いていこうと思っております。
     次に、地域外交についてでありますが、地域外交の展開に当たりましては、議員御指摘のとおり、信頼関係がまず最初です。もちろん相互に利益があるということは大切なわけですけれども、まずは信頼関係ということでございまして、そのために伝統や文化、あるいは相手の風土についての理解と、それに対する共感というものをつくらねばなりません。私どもはそうした観点に立って文化芸術、学術、青少年の交流など県民の皆様の多様な交流を通じて培われる相互の信頼関係を深めてまいりたいと。そうした中に、詩を大切にするという文化があるということでございますので、そうした交流も視野に入れてまいりたい。詩人、あるいは両国のすぐれた詩の紹介をし合うということなども、大変すばらしい試みであると存じます。今のはモンゴルですね。
     明年友好提携三十周年を迎える中国浙江省につきましても、これまで一貫して誠意を持った交流が行われ信頼関係が築かれています。このことが今日多くの分野における交流の拡大につながっておりまして、相互に利益をもたらすビジネス交流に発展してきているのだと考えています。経済はついてくるというふうに思っております。信が先、利益は後ということだと思います。利益を求めると、議員御指摘のとおり、結果的には利益を失うようなことになりかねない。それは実は信を失うということで、それを取り戻すのは大変なことです。
     七月に友好提携を締結いたしましたモンゴル・ドルノゴビ県につきましては、今後次世代を担う高校生の相互交流など、両県の友好関係を支える人材の育成や人的ネットワークの構築を図りまして、地域外交の基盤でございます相互の信頼づくりに努めてまいります。今後とも長期的な視点に立って、富士山静岡空港の就航先を中心とする諸外国と、相互にメリットのある交流の実現を目指して、幅広い分野での地域外交を推進して県勢の発展に努めてまいりたいと存じます。
     次に、富士山世界文化遺産登録の実現に向けた取り組みについてであります。
     去る九月二十二日に、中央政府の世界遺産条約関係省庁連絡会議が開かれまして、日本政府から正式に富士山の推薦書の暫定版をユネスコ世界遺産センターへ提出することが決定されました。それを受けまして、喜びもひとしおでございますが、その喜びを形にするべく、これからは登録後を見据えた富士山の適切な保存管理への取り組みが重要であるとの認識で、現在関係省庁や山梨県等と連携をいたしまして、包括的保存管理計画を策定いたしております。そしてより実効性のあるものにこれをしていくために組織体制の整備を進めているところでございます。
     本県におきましては、七月末の推薦書原案の提出後、いち早く私が本部長となりまして世界遺産登録推進本部会議を開催いたし、富士山世界遺産センター――これは仮称でございますが――の整備を進めたいと。それでその世界遺産センターをどのようなものにするかという構想について、委員会を立ち上げて、来月早々にその第一回の会議を開催したいと思っております。このように全庁を挙げて取り組む県の行動計画をなるべく早く定めまして、そのための作業を現在進めているところでございます。
     それから、早期登録に向けての、いわゆる機運を醸成するために、民間の団体の方に、「富士山への想いを込めたメッセージ」の募集活動をしていただいております。これからは、これまでの山梨県と静岡県との両県が中心になっていた――もちろん関係省庁や関係団体の方々もいらっしゃるわけですが、これを国民運動にしていこうという、そのような国民運動への展開期に入ったという認識を持っております。この富士山の世界文化遺産登録は、日本のシンボルでございますだけに、本県のみならず日本の過去から将来にわたる日本人全体の悲願であると考えておりますことから、平成二十五年の登録実現に向けまして不退転の決意で取り組んでまいります。
     次に、県東部の活性化についてのうち、沼津駅周辺総合整備計画についてであります。
     県東部地域におきましては、平成二十五年度の開通に向けた東駿河湾環状道路や沼川新放水路の整備など、拠点都市にふさわしい基盤整備を進めているところです。特に沼津駅周辺地区におきまして、鉄道高架事業を核とする総合整備事業の実施によって、駅周辺が抱えております現在の交通の混雑あるいは南北方向の市街地の分断といった問題点、これを抜本的に解消いたしまして新しく生まれる土地の有効活用を図り、県東部地域の顔としてにぎわいと活力のあるまちに沼津がなるのが望ましいと考えて、その方向性でおります。総合整備事業の進捗状況につきましては、駅周辺の土地区画整理事業が着々と進んでおり、特に駅北地区におきましては民間のホテル建設を初め、新しい町並みが形成されつつあります。また東部コンベンションセンターのうち、市の展示イベント施設が平成二十五年夏、県の会議場施設が平成二十六年夏の完成を予定しております。そういうハード面だけでなくて、ソフト面における使い勝手のよさということはもちろん考慮に入れておりますが、さらにそれもチェックをいたしまして、使われる方にとって使い勝手がいいものになるように努めます。
     総合整備事業の推進に当たりましては、核となります鉄道高架事業の進捗が前提です。そのため六月に定めました県の方針に基づき――これまで時間がとまったような状態になっておりました――しかし今、動き始めました。そうした前に向けた時間。これをうまく管理いたしまして、時間管理という考え方を入れ込みまして、着実に事業を推進してまいります。
     こうした事業にあわせまして、沼津駅周辺と沼津港の回遊性の向上などがにぎわいと活力のある都心づくりのために必要不可欠です。私も何度も足を運びまして、あの関係がまだできていない。これについては、県と市が連携するということを市長さんと共通認識ででき上がっておりますので、その連携をしながら、都市計画マスタープランなどにおきまして将来像を描いてまちづくりを進めていこうと思っています。
     なお、その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
    ○議長(植田 徹君) 池谷健康福祉部長。
           (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
    ○健康福祉部長(池谷享士君) 知事の政治姿勢のうち、こども医療費助成の拡充についてお答えをいたします。
     こども医療費助成の拡充は、安心して子供を産み育てられる環境整備に向けて重要な施策と考えています。平成二十二年度には子育て家庭にとってより大きな負担となる入院医療費について、中学三年生まで対象を拡大したところですが、通院医療費につきましても現在拡充に向けた具体的な検討を行っています。本年八月に実施主体である市町の意向を調査したところ、ほとんどの市町が中学三年生までの対象拡大を希望される一方で、補助率等についての御意見をいただいていることから、引き続き市町と協議しつつ、平成二十四年度中の制度改正を目指し検討を進めてまいりたいと思います。
     次に、がん対策の推進についてであります。
     本県では、医療関係者や行政だけではなく患者・家族にも参加をいただき設置しています静岡県がん対策推進協議会において、それぞれの連携協働を基本理念に掲げたがん対策推進計画を策定し、これに基づき患者の視点を重視した幅広い施策の推進を図っているところであります。具体的には二十の企業・団体と連携したがん検診の普及啓発等により受診率の向上を図るほか、静岡がんセンターにおいて患者・家族のための相談会を県内八カ所で実施するとともに、がん患者の就労希望情報を事業者団体へ提供する新たな取り組みや、がん経験者によるピアサポーター育成の検討も行っているところでございます。
     県といたしましては、この計画の着実な推進が重要であると考えておりますが、来年度に予定しております計画改定時には、今まで以上に患者団体等からの御意見を十分反映させるとともに、がん対策推進条例につきましては、他府県における条例と計画の内容の精査、実効性の検証を行った上で、協議会において十分御意見を伺いながら検討してまいります。また子宮がん検診や予防ワクチンの接種につきましては、市町に新たな経費負担や地域差を生じさせないよう国が責任を持って事業の継続や法制化を行うべきものと考えておりますので、今後とも強く国に働きかけてまいります。
     次に、自殺予防対策についてであります。
     認知行動療法につきましては、昨年から診療報酬の対象と認められましたように、うつ病の治療法として効果があるものと考えています。この治療法に習熟した医師が少ないことが現在普及のネックとなっています。このため県では精神科病院等に対し国が実施する認知行動療法の研修への参加を呼びかけるとともに、精神保健福祉協会と連携して認知行動療法の講演会を開催するなど普及啓発に積極的に努めているところであります。議員から御提案がありましたうつ病デイケアにつきましては、本県の精神科医療機関でもデイケアや集団精神療法に認知行動療法の手法を取り入れているところがありますが、うつ病の症状に個人差があり集団で実施することには難しい面もあると伺っております。
     今後県といたしましては、沖縄県などうつ病デイケアの全国の先進事例について調査をいたしまして、認知行動療法の手法を取り入れたうつ病デイケアについて、医師や精神保健福祉士など関係者とともに研究してまいりたいと考えております。
     次に、医療水準の向上についてであります。
     県では、医療水準の向上を図るため、医療人材の確保、救急・周産期医療体制の整備などのさまざまな事業に取り組んでおりますが、その中でも医師確保につきましては最重点課題として若手医師の確保に取り組んでいます。具体的には、ふじのくに地域医療支援センターにおいて専門医の資格取得を目指す全国の若手医師を集めるため、高度専門医療機関である県立病院や医師養成機関である浜松医科大学が中心となって、地域の複数病院が連携した魅力ある多彩な専門医研修ネットワークプログラムを用意し全国に情報発信をしております。またこれらの研修の充実を図るため、研修医やその指導医への研修費の支援や技術向上のためのシミュレーション訓練機器の整備への助成を行うとともに、若手医師へのキャリア形成相談などきめ細かなフォローも行うこととしております。
     県といたしましては、ふじのくに地域医療支援センターを中心に県内医療機関が一丸となって、研修プログラムの充実や医師の勤務環境の改善などを積極的に推進し、医師の確保、育成及び定着に取り組み、本県の医療水準の向上に努めてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 須藤経営管理部長。
           (経営管理部長 須藤明裕君登壇)
    ○経営管理部長(須藤明裕君) 県財政の基盤強化についてお答えいたします。
     本県では、これまで新公会計に基づいて作成した財務諸表を未利用財産の売却計画の策定や投資家への説明会、いわゆるIR活動に活用してまいりました。しかしながら議員御指摘のとおり、財政状況の把握や財政運営等の改善に生かすために、新公会計を有効なツールとしてより一層活用することが求められていると考えております。総務省が設置している研究会の報告書によりますと、事業別や施設別の財務諸表を作成するほか数値の経年比較、類似団体比較等の分析を追加することなどが提言されております。
     本県といたしましては、基準モデルを導入している都道府県が本県を含め三団体と少ない中で、比較分析がどこまでできるか、また事業別の財務諸表を作成しても分析指標をどう設定するかなどの課題もありますが、財務状況をよりわかりやすく県民の皆様に御理解していただくために、特定の施設を行政コスト計算書などの財務諸表を用いてモデル的に分析することなどを行い、より効果の上がる活用方法を研究してまいります。
     また、新公会計の導入により、これまでの官庁会計では費用としてとらえられていなかった減価償却費などが行政コストとして明らかにされたことから、財務諸表の作成、活用などを通じて、常に行政コストを意識するよう職員の意識改革にも取り組んでまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 松浦くらし・環境部長。
           (くらし・環境部長 松浦敏明君登壇)
    ○くらし・環境部長(松浦敏明君) 新エネルギー政策の取り組みについてお答えいたします。
     県におきましては、本年三月に策定しましたふじのくに新エネルギー等導入倍増プランの中で、エネルギー高度利用技術として水素を利用し電気をつくり出す燃料電池の導入を促進することとしており、太陽光発電と家庭用燃料電池の複合的導入に対して支援を行っているところであります。環境に優しい水素エネルギーの燃料電池自動車などへの利用拡大を進めるためには、石油や石炭、天然ガス等の化石燃料から水素を取り出すだけでなく、新たな水素製造方法の開発や水素ステーションなどの供給体制の整備を図る必要があります。県内には触媒を用いてマグネシウムと水蒸気を反応させ水素を発生させる装置の開発に取り組む中小企業が出てきております。またレーザーを用いて水素の原子核を融合させることによりエネルギーを得るための研究を大学と共同で行っている企業もあります。
     県といたしましては、これらの企業の先進的な取り組みが、県内の新エネルギーの導入に生かされるよう支援するとともに、新エネルギーに関する最新の技術開発の動向に注視しまして、その積極的な導入に取り組んでまいります。
     次に、消費生活相談体制の充実についてであります。
     県では、平成二十年度に創設した消費者行政活性化基金を活用して、消費者にとって最も身近な市町における消費生活相談体制の強化を働きかけてまいりました結果、市町での相談受付件数は増加し、特に消費者と事業者の間に立って話し合いによる解決を図るあっせん件数は、平成二十年度と比べ平成二十二年度までの二年間で約三〇%増加いたしました。今年度は消費生活センターの設置を促進するため、消費生活センター未設置の市町との間で地域の実情に応じて複数市町によるセンターの共同運営や、隣接市町の相談窓口を利用できる広域連携について具体的な協議を進めているところであります。
     また、近年相談内容がますます複雑多様化していますことから、市町の相談員の資質向上を図るため、相談事例についての法的な検討を行う研修や、県民生活センターの相談窓口における実地研修を行うほか、県が委嘱した弁護士、司法書士やIT専門アドバイザーを市町でも活用できるようにしております。さらに県民への消費生活相談窓口の周知を図るため、テレビ等のマスメディアを活用し幅広く広報するとともに、特に高齢者に対しては戸別訪問等により消費生活相談についてきめ細かく啓発するなど、消費者が気軽に相談できる環境を整備してまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 初めに、農業振興策についてのうち、農業基盤の強化についてお答えいたします。
     本県の農業は、海岸沿いの平たんな水田から起伏の激しい中山間地域に至る広い範囲で展開され、農業者の努力と高い技術により百六十七品目に及ぶ多彩で質の高い農産物を供給しています。また生産活動を通じて、県土の保全や美しい景観の形成等の多面的な機能を発揮し、県民の安全・安心な暮らしを守る重要な役割を担っております。その一方で農業・農村の持続的な発展に向けて農業基盤を強化していく上で、農村の中には湛水被害を受けやすい低湿地の水田や自然災害が発生しやすい傾斜地の樹園地等が見られることから、整備水準の向上を図りながら災害に対する強さとしなやかさを備えることが重要であると考えております。
     このため、東海地震等の脅威が一段と高まる中、沼津市内浦、西浦地区のような農村においては、避難路としても活用できる集落と丘陵地の農地を結ぶ農道の整備や、避難者の生活用水にも使える農業用水の確保に優先的に取り組むこととしております。
     今後とも、生活環境面での機能にも配慮し地域と調整を図りながら、県民の期待にこたえる農業基盤の整備を着実に進めることにより、「住んでよし 訪れてよし」の農山村づくりに努めてまいります。
     次に、県東部の活性化についてのうち、東部コンベンションセンターのあり方についてであります。
     東部コンベンションセンターは、県の会議場施設、沼津市の展示イベント施設、民間のホテルから成る全国でも数少ない総合的なコンベンション施設という特徴を生かし、さまざまな会議や催し物に御利用いただけるよう設計を進めております。施設の整備につきましては、県と沼津市の施設の一体的な利用に配慮し、施設間を連絡する通路を一階だけでなく二階にも設けるとともに、映像や音声などの情報を相互に利用できるシステムを整備するなど使い勝手の向上に努めてまいります。
     施設の管理運営につきましては、指定管理者制度の導入を前提とし、県と沼津市の施設の一体的な運営により、利便性の向上と施設運営の効率化が図れるよう同一の指定管理者とする方向で検討してまいります。また施設の利用料金につきましては、今後、設置管理条例で基準となる額を規定することとなりますので、来年度早期の議案提出を目指し沼津市との調整を進めてまいります。なお東部コンベンションセンターの愛称につきましてはこの秋にも全国から広く募集することとしており、新しい施設にふさわしく親しみやすい愛称を選定して施設の広報に活用してまいります。
     次に、防災対策についてのうち、総合的な津波対策についてであります。
     県では、これまで第三次被害想定に基づき、国や市町と連携して津波対策施設の整備を進めてまいりました。沼津市の内浦地区では海と山に囲まれた狭隘な平地部に集落が密集し、海側には漁港施設があり用地の確保が難しいことから、防潮堤の整備が進んでいない状況にあります。このため当面の対策としまして、津波避難タワーや背後地への避難階段を整備するなど避難を中心とした津波対策を実施してきております。議員御指摘の住宅の高台への移転につきましては、防災面では効果の高い対策の一つではありますが、東北地方の被災地復興に向けた取り組みの中で、財源確保や住民の合意形成、費用負担などの課題も指摘されております。
     県といたしましては、今後、東海・東南海・南海の三連動地震等の被害想定を踏まえた上で、中長期的な取り組みとしまして、津波対策を含めた新たな地震対策アクションプログラムを策定することとしており、この中で課題はあるものの高台移転も選択肢の一つとしてとらえ、沼津市と一体となりまして地域に適した津波対策を総合的に検討してまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 吉林経済産業部長。
           (経済産業部長 吉林章仁君登壇)
    ○経済産業部長(吉林章仁君) 農業振興策についてのうち、農業への企業参入の促進についてお答えいたします。
     本県におきましては、これまでも県農業振興公社や農林事務所、市町が連携し、企業の参入を支援してきたところであります。平成二十一年の農地法の改正により企業が農地を借りることが容易になったことと相まって、企業の参入は食品製造会社や建設業などを中心に、平成二十年の二十五法人から現在では六十三法人まで増加をしております。昨年、県が県内企業約三千社を対象に農業参入に関するアンケート調査を実施した結果、六百二十三社から回答があり、その約四五%に当たる二百八十一社は「農業に関心がある」と回答し、そのうち百二十六社は「農業参入に関心がある」と答えております。農業への企業参入は、担い手の確保はもちろん県が進めております耕作放棄地の解消や雇用の創出にも大きく貢献することから、県といたしましては参入希望のある企業を対象に関係機関と連携して栽培作物の選定や栽培技術、出荷の方法などを含めた営農プランの策定を支援してまいります。さらに耕作放棄地を含めた農地の貸し借りのあっせんや研修会の開催による人材の育成などを総合的に支援することによりまして、企業の農業参入の促進に積極的に取り組んでまいります。
     次に、県東部の活性化についてのうち、ファルマバレープロジェクトによる産業集積についてであります。
     ファルマバレープロジェクトは、これまでの取り組みにより地域企業による製品化や高度な医療人材、産業人材の育成などの成果を上げておりますが、医療機器の開発や製品化に当たりましては、薬事法などの規制や研究開発費などの経済的負担が大きな課題となっております。このため今回ふじのくに先端医療総合特区を申請し革新的ながん診断装置、診断薬の研究開発を進めますとともに、医療機器や部品、部材を提供する地域企業によります産業クラスターの形成を図ることにより地域経済の活性化と雇用の創出を目指してまいります。具体的には医療機器製造販売業許可に必要な資格要件の緩和や、研究開発費の税制優遇措置などの財政支援を提案いたしますとともに、医療分野の集積を進めるため、特区内に立地する企業の法人税減免なども求めていくこととしております。
     今後、特区制度の活用により、地域の市町や関係機関と連携して国際競争に打ち勝つ製品を迅速に提供するためのサポート体制を強化いたしますとともに、次世代診断技術の開発を進め地域経済の活性化と医療の質の向上を図ってまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 防災対策についてのうち、公立学校施設における非構造部材の耐震化についてお答えいたします。
     学校は、地震発生時における児童生徒の安全を確保するとともに、その多くが非常災害時に地域住民の応急避難場所となることから、施設本体だけでなく非構造部材の耐震化を行うことは極めて重要であると考えております。そのためすべての県立学校におきまして、主な避難場所として使用されることが見込まれる第一体育館及び多目的体育館の天井材や照明器具等の落下防止対策を平成十五年度から平成十七年度にかけて集中的に実施したところであります。また校舎等につきましても、建築基準法に基づく点検のほか職員による日常点検を実施し、必要に応じ改修等を行ってきております。今後もこうした取り組みを継続し、非構造部材の耐震化を図ってまいります。
     一方、小中学校におきましては、これまで設置者である市町に対し文部科学省が作成いたしました学校施設の非構造部材の耐震化ガイドブックを配布するなど、非構造部材に関する点検及び対策の進め方や活用が可能な国の交付金制度等について周知してまいりました。今後も国の動向等に注視するとともに、的確な情報提供を行い市町を支援してまいります。
     次に、特別支援学校の教育環境の改善についてであります。
     まず、教育環境の今後の改善方針についてですが、平成二十三年三月に策定いたしました静岡県立特別支援学校施設整備計画に基づき、特別支援学校の子供たちによりよい教育環境を提供するために施設整備に取り組んでいるところであります。本整備計画は、第一に知的障害者を対象とする特別支援学校の大規模化、狭隘化や通学負担の大きい地区への対応、第二に肢体不自由者を対象とする特別支援学校の老朽化への対応、そして第三に共生・共育の推進と以上三つの基本方針のもとに進めております。
     次に、高等部生徒のスクールバスの利用につきましては、個々の生徒の障害の状態や通学距離などを考慮し、小中学部の児童生徒の利用状況を見つつ、高等部生徒にも利用を認めるなど弾力的に対応しているところであります。現時点では高等部卒業後の社会参加という視点から自主通学の原則を維持する中で、今後、高等部生徒一人一人の障害の状況等を十分に踏まえた対応を検討してまいります。また小中学部の児童生徒のスクールバスにつきましては、新設校への配置を含めこの三年間で八台の増車を行ったところであります。今後も利用状況を把握の上、乗車場所や道路交通状況等を勘案しながら、児童生徒の希望に対し弾力的に運用できるよう努めてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 安村警察本部長。
           (警察本部長 安村骼i君登壇)
    ○警察本部長(安村骼i君) サイバー犯罪防止に向けた取り組みについて答弁いたします。
     インターネットはその利便性などから急速に県民生活に浸透し、利用者は老若男女を問わず増加の一途をたどっています。しかしながらその反面、議員御指摘のように、ネット通販やネットオークションを利用したが商品が届かない、ネットバンクの口座から勝手にお金が送金されてしまった、クレジットカード会社から身に覚えのない利用料金の請求が来た、オンラインゲームのアイテムや通貨がなくなってしまったなど、インターネットを起因とするさまざまな被害やトラブルが警察に寄せられています。警察では、これまでにも数千円から数十万円被害のネットオークション詐欺や被害総額一億円を超えるフィッシング詐欺事件などさまざまなサイバー犯罪を検挙してまいりましたが、犯人は電子メールや不正なプログラムなどを利用して、インターネット利用者のIDやパスワード、口座番号やクレジットカード情報などの個人情報を不正に入手し悪用しております。そこで警察は、インターネット利用者を対象とした情報セキュリティー教室の開催やフィッシングサイトへの注意を促す手紙の送付など、被害防止活動を積極的に推進しているところであります。
     今後とも、この種の事件の早期検挙に努めるとともに、サイバー犯罪被害を未然に防止するため、インターネット接続業者や各金融機関などの関係企業に対する各種セキュリティー対策強化の指導を継続し、利用者の年齢や知識レベルに応じて、個人情報を安易に入力しない、ID・パスワードを他人に教えない、不審なメールは開かない、ウイルス対策ソフトを利用するなどの、セキュリティー意識向上のための広報啓発活動を積極的に進めてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 二十九番 蓮池君。
           (二十九番 蓮池章平君登壇)
    ○二十九番(蓮池章平君) まずこども医療費の助成の拡充でございますが、これは知事の目玉政策でございますので、二十四年度の制度化を目指すと部長から答弁ありましたが、知事の口から、ぜひ二十四年度中にやるという強い決意をお聞きしたいというふうに思います。
     それから、あわせて自殺予防についてでありますが、これも私は、認知行動療法、今、国で認められているのは医師と患者一対一ということですが、これはぜひ部長、沖縄に行っていただきたい。行って見てください。そうすると集団では難しいということは全くなくて、むしろ集団のほうが改善がしやすい面もあるので、そしてうつのデイケアを展開すれば、保健師さんでもある程度の研修を受ければすぐできますから、これをぜひ県の主導で各市町と連携して県内にも展開していただきたい。本当にうつで悩んでいる方がたくさんいらっしゃって、薬に頼らないで改善したいというふうに思っている方がたくさんいらっしゃいますので、一刻も早くこれはやっていただきたい。ぜひ行っていただきたいと思いますけれども、その点の答弁を求めます。
     それから、沼津駅周辺総合整備事業でございますが、これは知事にちょっと確認をしておきたいんですけれども、やはり県の非常に大きなプロジェクトでありますし、県東部の発展のためにも大事な事業だと。そういう意味で、私は、今すぐ目標年次を明示しろということは言いませんが、まず目標年次を決めて、そのために今何をしなくちゃいけないかと、こういう考え方についてはいかがでしょうか。つまり目標何年度のいつごろまでにこれはやるんだということをまず示すということについての考え方をお示しいただきたいと思います。
     それから、コンベンションセンターですが、知事はデザインのことを非常に思われて、このコンベンションについてもいろんな手を加えられたと思うんですが、ぜひ使う側、それからコンベンションとしての、品物として売る立場の人たちと一度ぜひ話し合いを、意見を聞いていただきたいと思います。後発のコンベンションセンターですので、やはり全国のコンベンションセンターと競争していかなきゃいけません。そのためには、どうしたらこのコンベンションが売れるのか。売れるものとしてですね。そのためには何が必要なのかということを、ぜひ認識をしていただきたいと思います。そういう意味では、コンベンションビューローというのはたくさんありますので、このビューローの皆さんとの話し合い等も、知事はぜひお願いをしたいというふうに思います。
     それから、教育長の高校生の自主通学の件に関しては原則維持をするということでしたが、前に進みません。これはやはり柔軟に対応というよりも、その原則維持そのものをまず見直すというところから、必要な人にはやっぱり必要な手当てをするというところから発想しなければ、これは全く前に進まないというふうに考えています。その点はどうでしょうか。
     最後に、和解議案に対する知事の考え方については、全くぶれていないということが確認できましたので、これは意見として申し上げます。以上です。
    ○議長(植田 徹君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 蓮池議員の再質問のうち、最初の子供への医療費助成。チーム川勝として言っておりますので、池谷健康福祉部長の言ったことは間違いございません。平成二十四年度中に必ず実現をいたします。
     その他のことにつきましては、特に沼津駅の近辺のことにつきましては、タイムスケジュールはチーム川勝の有力な森山部長のほうで明確に答えることができるので、そちらのほうに、またその他の質問につきましても、他の部長、教育長にお答えをさせていただきます。
    ○議長(植田 徹君) 池谷健康福祉部長。
           (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
    ○健康福祉部長(池谷享士君) 認知行動療法の、沖縄県で行われている実際について、現場主義の立場からぜひ私も行ってみたいというふうに考えております。
    ○議長(植田 徹君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) まず初めに、沼津駅周辺整備の目標スケジュールでございますが、これにつきましては中核となりますのが高架事業でございます。これについては、まずは答弁がございましたように徹底した合意形成をやっていこうというふうに考えてございます。その上で、完成時期は一概に言えるところではありませんが、PIによる合意形成、それから鉄道事業者との協議、それから高架事業着手となります。円滑に進めていきながら、三十年半ばの完成を目指して、東部の活性化に寄与したいというふうに考えてございます。
     それから、二つ目の質問でございます東部コンベンションのほうで、使う人との意見交換をしっかりやるべきではないかということでございます。これはまさに議員御指摘のとおりであります。現在、管理運営についても沼津市とともにいろいろな検討をしてございますが、その中で、いろいろな方の、先進地域、また実際に運営されている方の意見を聞きながら、より使いやすくなるような、そういったものになるように努力してまいりたいと考えてございます。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 高等部生徒のスクールバスの利用についてでございますけれども、実情を申し上げますと、現在高等部の生徒でスクールバスを利用している生徒は大体約九十名ほどおるんですけれども、ちょっと古いデータなんですけれども、平成二十年度のときに通学困難な高等部の生徒は約二百四十名ほどおりました。そういう意味では、御案内のとおりに障害の重度化あるいは重複化というのが進んでおりますので、なかなか一人で通学するという子供たちばかりではないということで、原則、先ほど御答弁申し上げましたように、高等部卒業後の社会参加というこの視点は、やはり私たちはある意味では維持していきたいなというふうに思っておりますけれども、この維持するという考え方の中では対応できない子供たちにつきましては、一人一人の障害等を踏まえて柔軟に対応していくということで考えておりますので、非常に、何というかはっきりと話ができない部分があるわけですけれども、どうしてもやはりスクールバスの増車ということも考えなければいけませんので、その辺から考えますと、やはり予算をどういうふうに今つけていくかということもこれから検討しなければいけないと思います。しかし思いとしては、前向きに、やっぱり一人一人の子供たちが学校に通えるという条件整備をするということが大切だと思いますので、その方向で検討していきたいというふうに思っております。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) これで蓮池章平君の質問は終わりました。
     議事の都合により休憩します。再開は十五時〇五分とします。

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