本会議会議録
質問文書
令和2年12月静岡県議会定例会 質問
質問者: | 和田 篤夫 議員 | |
質問分類 | 一般質問 | |
質問日: | 12/10/2020 | |
会派名: | 自民改革会議 | |
質疑・質問事項: | 1 市町の災害対応力の強化について 2 北駿地域の山地災害対策について 3 深刻化するナラ枯れ被害への対応について 4 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックに向けた取組につ いて 5 コロナ禍における高齢者の健康づくりについて 6 北駿地域における警察体制の強化について |
○副議長 (良知淳行君) ただいまから会議を開きます。
議事日程により、 知事提出議案第百三十四号、 第百三十五号及び第百三十九号から第百五十七号までを一括して議題といたします。
ここで後半グループの議員は退出しますので休憩いたします。
○副議長 (良知淳行君) ただいまから会議を再開します。
質疑及び一般質問を行います。
通告により、 三十四番 和田篤夫君。
(三十四番 和田篤夫君登壇 拍手)
○三十四番 (和田篤夫君) おはようございます。
私は、 自民改革会議の所属議員として当面する県政の諸課題について通告に従い知事、 副知事、 関係部局長並びに警察本部長に一括質問方式にて質問をいたします。
まず初めに、 市町の災害対応力の強化についてお伺いをいたします。
昨年は台風十五号、 十九号により本県も被害を受け災害が多い年でありました。 今年も七月豪雨により九州の球磨川水系では氾濫、 決壊が発生し甚大な被害が生じるなど近年全国各地で地震、 台風等による災害が頻発をしております。
県では、 危機管理監を実務指揮官として専門組織である危機管理部を設置するとともに、 各地域局に地域危機管理監を配置をし平常時から訓練の企画や実施、 市町等関係機関との連携強化に取り組んでおります。
さらに、 庁舎内には危機管理センターや方面本部室が常時確保され災害発生時には直ちに災害対策本部として本部長である知事の下、 各部局が連携して災害応急対応に従事する体制が整備されております。
一方、 市や町は基礎自治体として住民の生命財産を守るという非常に重い責務を有しており、 災害が発生する前においては被害を予防するため気象関連情報の伝達や避難勧告などの発令、 避難所の開設等の対応が求められており、 被害が発生した以降は地域からの情報収集、 救出救助や医療救護の実施、 避難所の運営、 緊急物資の確保と支給など多くの業務を担っております。
つまり、 災害に対する一義的な対応は基礎自治体である市町が担うわけで、 これらの業務を迅速的確に実施するためには市町の災害対策本部の体制確保、 首長や幹部職員をはじめとする職員の資質向上が重要と考えます。
このような中、 近年の風水害に対する地元自治体の対応を検証すると、 例えば情報伝達に運用しているFUJISANシステムは市町にも配備されてはいるものの、 大部分の市町では災害現場の情報を伝達するためのシステム化が図られておりません。
また、 県は本庁からの情報や指示を基本的には地域局を通じて市町に伝えることになっておりますけども、 県からの情報が一元的に市町の危機管理部局に伝えられても受ける側の市町の体制が不十分で避難勧告等の判断に時間を要したり、 せっかく県の地域局からリエゾンが派遣されたものの、 役割が正しく理解されていなかったためか期待どおりの活用ができなかった等の問題も見受けられました。 つまり県の危機管理体制が充実しても小さな基礎自治体では必ずしも十分な体制が確保されていないのではないかと危惧しております。
先ほども申し上げたとおり災害に対する一義的な対応は基礎自治体である市町が担うわけですから、 これらの業務を迅速的確に実施するためには事前の市町の災害対策本部の体制確保、 首長や幹部職員をはじめとする職員の資質向上が重要です。 もちろんこのことは市町自身が努力すべきものですが、 県のさらなる協力、 指導、 さらには災害に直面した場合の支援も必要と考えます。
これらのことを踏まえ、 県は市町の災害対応力を強化するためどのような取組や支援を行っているのかお伺いをいたします。
次に、 北駿地域の山地災害対策についてお伺いをいたします。
昨年十月、 伊豆半島に上陸した台風十九号は県内にも大量の降雨をもたらし山地に起因する災害が県内各地で発生をいたしました。 私の地元でもあります小山町、 御殿場市の北駿地域におきましても多くの山地災害が発生し人家や道路に土砂が流出する等地域住民の生活に大きな影響を与えました。
山地災害が発生した箇所のうち小山町内の特別養護老人ホームに土砂が流入した箇所をはじめとし、 次の降雨で再び災害が発生するおそれのある緊急性の高い箇所につきましては、 県による治山事業で緊急的な復旧工事が行われているところであります。
北駿地域は、 降雨による浸食を受けやすい富士山の火山噴出物であるスコリアが堆積している地域が広がっており一度災害が発生すると被害が拡大しやすい特徴を有しております。 これまでも幾度となく山地災害に見舞われており、 特に平成二十二年の台風九号では家屋や農地が甚大な被害を受けたことから山地災害に対して地域住民は大きな不安を抱えております。
近年は気候変動の影響でしょうか、 短時間に豪雨が発生する傾向にありその回数も降水量も増加傾向にあり全国で毎年のように激甚災害が発生をしております。 また山腹崩壊により発生した流木が橋桁に引っかかるなどにより流路を閉塞し下流域の被害を拡大させるケースも見受けられます。 このような状況を踏まえますと、 北駿地域において山地災害が発生した箇所における早期復旧と併せて不安定な土砂が堆積している渓流や急勾配の山腹など山地災害が発生するおそれのある箇所に対する予防的な対策、 また流木の発生を未然に防ぐ対策にも取り組んでいくことが重要であると強く感じているところであります。
昔は林業などで地域住民が山に入る機会が多かったことから小崩壊の発生や災害の予兆などを地域住民がよく把握をしており市町や県に情報として寄せられていました。 しかし最近は所有者が自ら森林整備することが減り地域住民が山に入る機会が減っており、 小崩壊の発生や災害の予兆などの山の状況が分かりづらくなってきていると聞いております。 山地に起因する災害を未然に防止するためには、 このような山の状況をいち早くつかみ対策につなげていくことも必要ではないかと考えます。
そこで、 北駿地域のスコリア地帯における山地災害発生箇所の復旧と山地災害の未然防止に向けた県の取組についてお伺いをいたします。
次に、 深刻化するナラ枯れ被害の対応について伺います。
県東部地域を中心にナラ枯れ被害による被害木が多く見受けられます。 私の地元である北駿地域も公園、 道路沿い、 山の斜面など至るところで十メートル以上もあるナラの大木が最も緑の色が濃くなる夏頃からどんどん枯れてしまう現象が見受けられ、 御殿場市内でもナラ枯れの被害木が約七千本あると新聞で報道されたところであります。 二日前の静岡新聞の夕刊でも同じような記事が掲載されておりました。
このような状況の中、 御殿場市にあります東山二の岡路観光協議会とYMCA東山荘が森林保護学を御専門とされている神戸大学大学院農学研究科教授の黒田慶子博士を招聘しナラ枯れに関する勉強会の開催を計画しているので県や市の担当者を含めた形にしたいとの相談がありちょうどよい機会と捉え県、 市も協力していただくこととし、 本年九月十六日に現地調査も含めたセミナーを開催、 私も参加をいたしました。 昼の部では地域の人たちや県や市町の担当者らと共に地域のナラ枯れ被害を確認、 夜のセミナーには平日の開催にもかかわらず百名以上の参加があり関心の高さがうかがえました。
黒田教授や県の農林技術研究所森林・林業研究センターの担当者からはナラ枯れ被害のメカニズムや県内の状況、 予防や対応について話がありました。 参加者からは、 ナラ枯れ被害が拡大した理由や対策について学ぶことができた、 認識の誤りに気づきとても実用的な内容であったなどの意見が寄せられました。 私は、 ナラ枯れ被害に多くの方々が関心を寄せていることを強く感じるとともに、 ナラ枯れ被害に関する詳しい情報を発信することや共有することの重要性について再認識したところであります。
セミナーでは被害拡大防止のためには被害木を伐採し破砕するなどの処理が必要であるとの御説明を頂きました。 富士・箱根山麓の森林は広大なためナラ木全てを守ることは難しいと思いますが、 市民生活への影響がある道路沿いや森林内の遊歩道沿いなどの対応については地域住民から心配する声が上がっております。
地域の安全・安心を第一に考えますと、 ナラ枯れ被害の状況とその影響などを踏まえた上で被害の予防と拡大防止への取組が必要と考えます。 特にナラの木は枯れた後に腐食する速度が速く枝も大きく広がる傾向があり、 専門の技術を持っている人でなければ安全に伐採することはできません。 加えて北駿の山沿いでは降雪による大きな枝の落下も危惧されることから迅速かつ慎重な対応が必要と考えます。
そこで、 深刻化するナラ枯れ被害への県の対応についてお伺いをいたします。
次に、 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックに向けた取組について伺います。
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、 オリンピック・パラリンピック開催延期という事態を引き起こしました。 現時点でも感染症終息の見通しは立たない厳しい状況ではありますが、 先般各種競技の日程、 さらには聖火リレーの日程が公表され新たなスタートを切ったものと認識をしております。 しかしながら一年前とは全く様相が変わっており、 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの話題を目にする、 耳にする機会は少なく県民の関心が大きく低下しているのではないでしょうか。
そんな中、 自転車競技の舞台となる東部・伊豆地域を拠点として活動するプロサイクルチームが発足し、 本年九月には国内唯一の女子国際自転車チームが御殿場市を活動拠点とすることが発表され、 富士山周辺では各種の自転車関連のイベントが行われるなどオリンピック・パラリンピックのレガシーとなる自転車の聖地に向けた取組が形になってきていると考えられます。 しかしながらオリンピック・パラリンピックへの関心が低下しているためか、 それらの明るい話題もいま一つ県民に浸透していないと感じております。
新型コロナウイルス感染症による開催延期の影響は当初の想定とは大きく変化しており、 これまで進めてきた都市ボランティアの確保や交通輸送等に係る準備にも大きく影響が生じていると考えられます。 自転車競技が開催される東部・伊豆地域の住民や関係者の心配も尽きません。
IOCや国は大会を開催すると言っておりますが、 組織委員会から大会運営に関する具体的な方向性や条件が示されない中、 また新型ウイルス感染症の状況も不透明な中、 県として来年の運営に向けた準備をどのように進めていくか大変難しいかじ取りを求められていると思います。
大変厳しい状況ではありますが、 限られた情報や与えられた条件の中で地域と十分に連携し機運醸成や今後想定される課題に対しできる限りの準備を進めていくべきと考えますが、 県の所見を伺います。
次に、 コロナ禍における高齢者の健康づくりについて伺います。
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化される中で様々な活動の開催が自粛あるいは中止され多くの方々が外出を控え居宅で長い時間を過ごすようになりました。 特に高齢者の方々は感染した場合の重症化リスクが高いとされ行動を自粛する方も多いと言われております。
土木学会では新型コロナウイルス感染症の交通、 都市活動等に与える影響の調査を行っており、 十月の時点で七十歳代以上の人の三二%、 六十代以上の二四%が外出を伴う娯楽、 行楽を全く行っていないとの結果も出ております。
このような環境下において高齢者が孤立したり生活が不活発となり栄養不足や運動不足から全身の筋力が低下するサルコペニア、 心身の活力が低下し健康障害を招きやすい状態であるフレイル、 そして感染症等のリスクが高まっているとも聞いております。
これまで高齢者の健康づくりといえばデイサービスや介護予防教室などのサービスを利用するといった形式が一般的でしたが、 高齢者個々のニーズが多様化したことに伴い地域住民が主体となり様々な内容で行われる通いの場での介護予防活動が重視されるようになっております。
通いの場では、 体操や運動だけではなく高齢者が気軽に集まりおしゃべりをしたり趣味活動を実施するなど様々な活動が行われており、 身体機能の低下を抑制するだけでなく認知機能を維持する効果も見られ介護予防に寄与しております。
県では、 四月補正予算でオンラインにより通いの場を実施するモデル事業を行い身体機能の低下防止や社会とのつながりの維持に取り組み効果を上げたと聞いておりますが、 新型コロナウイルス感染症の拡大防止に配慮しながら高齢者の心身の健康を保つため今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
最後の質問です。 北駿地域における警察体制の強化についてお伺いをいたします。
御殿場市、 小山町を含む北駿地域は今さら申すまでもなく東京圏の東の玄関口として、 また富士・箱根・伊豆観光圏の拠点として東西に道路交通の大動脈である東名高速道路が横切り国道二百四十六号、 百三十八号等の主要幹線が整備をされ神奈川、 山梨両県を結ぶ物流、 観光、 そして防災の観点からも要所を担っている地域であります。
当地では来年夏東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の自転車ロードレース、 そしてタイムトライアルが開催されるほか、 現在の見通しでは令和五年度には新東名高速道路が全面開通する予定であり本体工事を含め地域道路の整備も着々と進んでおります。
この大きな交通インフラ整備が完成すると御殿場市役所から三キロ圏内に高速道路のインターチェンジが二か所、 七キロ圏内にスマートインターが三か所利用できることになり国道百三十八号バイパスも平成二年度末には完成、 このこととも重なり観光、 商工業における経済効果が大いに期待され、 このことは間違いなく人口交流や観光客の増加につながると私は思っています。
一方、 交通環境の変化や経済発展に伴う人口や観光客の増加は今以上の交通事故や犯罪の増加が懸念され富士登山の山岳事故の救助、 三つの県境に位置する地理的特性も合わせ今後の当地域の発展に準じた治安体制の強化をお願いしたいところであります。
私が考える治安体制の強化とは数年後には大きく変わる交通インフラの完成に伴う機動的な活動ができる体制の強化、 そしてもう一つは活動の拠点となる警察署の機能強化ですが、 治安活動の拠点である御殿場警察署に目を転じると駐車場は狭い上に使い勝手が悪く、 庁舎は築四十二年と老朽化も著しく狭隘で人的強化が実現できる状況とは程遠い現状にあるのではないでしょうか。
庁舎の耐震区分では、 県内警察署の約九三%が軽微な被害にとどまり地震後も建物を継続して使用できるIa判定である中で御殿場警察署はその一ランク下の倒壊する危険性はないがある程度の被害を受けることが想定されているIbと判定されており、 有事の防災拠点となるべく庁舎としては適切であるか疑問が生じることを踏まえればまずもって庁舎整備を視野に入れた対応が必要ではないかと私は考えます。 将来を見越した適時適切な組織運営は、 県民への安全・安心の提供にとどまらず職員の勤務環境整備や働き方改革にも大きな効果をもたらすものと考えます。
そこで、 老朽化、 狭隘化が著しい御殿場警察署の早期建て替えに対する県警察の方針について、 警察本部長の所見を伺います。 以上について答弁を求めます。
○副議長 (良知淳行君) 川勝知事。
○知事 (川勝平太君) 和田議員にお答えいたします。
東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックに向けた取組についてであります。
来年夏に開催されるオリンピック・パラリンピックを県民の皆様と共に成功に導くためには、 大会延期により得られた準備期間をチャンスとして捉え開催延期により一旦低下した関心を再び呼び起こし大会への期待感や参加意欲を大いに盛り上げていくことが重要であります。 また効果的、 効率的な競技運営と魅力的な大会となるよう様々な取組を推進しているところであります。
具体的には、 出場予定のアスリートの皆様の姿が多くの人々の目に届くように去る七月にはサイクリングウェブスタンプラリー、 八月にはトラックレース日本代表内定選手激励会、 九月にはスポーツ用義足体験会のブレードランニングクリニック、 先月にはプロサイクルチームレバンテフジ静岡の選手等の出演によるふじのくにスポーツカフェなどを開催してまいりました。
今後も、 来月二十四日には日本財団パラリンピックサポートセンター等と協働いたしまして参加者がパラスポーツの体験を通じて競技の魅力を広く発信する静岡県パラスポーツ運動会を開催するなど機運の醸成に努めているところでございます。
さらに、 大会の楽しみ方をテーマとしたフォトコンテストの開催など伊豆半島、 東部地域の市町が実施する住民参加型イベントを支援するとともに、 メディアやSNSを活用してオリンピック・パラリンピックの開催情報を積極的に発信してまいります。
一方、 大会が一年延期されたことに伴う課題にも適切に対応することが重要です。 都市ボランティアにつきましては就職、 転居等の理由で活動を辞退する方が出ました。 そこから現在追加募集を行っております。 企業や大学等の御協力も得ながら必要な人数を集め感染症に関する研修を新たに実施するなどおもてなしの準備を進めてまいります。
また、 御指摘の交通輸送対策やライブサイト運営などの大会準備につきましては、 現在想定される事業の実施に必要な経費について債務負担行為の設定を本議会でお諮りしているところであります。
さらに、 国等から示される新型コロナウイルス感染症対策を踏まえ来年度予算に必要な経費を盛り込んでいきたいと考えております。
大会運営に関する情報が限られている中ではありますが、 県といたしましてはコロナ禍において県民の皆様に安全・安心にオリンピック・パラリンピックを楽しんでいただくためには何ができるのか、 どうしたらできるのかを常に考え大会成功に向けた準備を着実に実施してまいります。
その他の御質問につきましては、 副知事、 関係部局長から御答弁を差し上げます。
○副議長 (良知淳行君) 難波副知事。
○副知事 (難波喬司君) 市町の災害対応力の強化についてお答えをいたします。
災害時には、 県と市町の災害対策本部が連携し事態の推移に迅速かつ的確に対応することが重要です。 このため市町災害対策本部の体制確保や人材育成による災害対応力の向上と、 県と市町との連携強化に取り組んでいるところであります。
具体的には、 市町の災害対策本部の体制を強化するためには情報収集や関係機関との情報共有が必要です。 このため地震・津波対策等減災交付金によりまして被災現場や避難所からの情報を伝達するための情報通信機器等の整備や災害対策本部室への映像情報設備の設置を支援しております。
市長、 町長及び幹部職員の災害対応力を向上するため、 県は被災地で支援業務を指揮した自衛隊OBを危機管理指導監として任用し危機管理指導監を中心に各市町を訪問して災害を想定した実践的な本部運営訓練を実施しております。 市町からは災害等の情報収集とそれに基づく判断の重要性を理解できたなどの評価を頂いております。
また、 近年頻発する風水害への対応力を強化するため気象防災研修会、 風水害対策演習や市町防災力強化専門研修等を開催し市町職員の能力向上にも取り組んでおります。
住民の早期避難を図るためには市町が避難勧告等を適時適切に発令することが非常に重要です。 従来は県や気象台の幹部が市長あるいは町長さん等に直接電話をして避難勧告等の発令を促す助言を行ってまいりました。 しかし災害の切迫性が伝わりにくく必ずしも早期の発令につながらないなどの指摘を受けております。 このため今年度から各市町にテレビ会議システムの導入を順次進めております。 市長、 町長及び幹部職員に災害の切迫性を理解頂き避難勧告等の早期発令の判断を行いやすくしております。
県といたしましては、 これらの取組により市町の災害対応力を強化し、 県と市町が連携して南海トラフ地震など大規模災害への備えを万全のものとしてまいります。 以上であります。
○副議長 (良知淳行君) 志村農林水産担当部長。
○農林水産担当部長 (志村信明君) 北駿地域の山地災害対策についてお答えいたします。
北駿地域は、 スコリアが堆積する山地災害リスクが高い地域でありますことから昨年の台風十九号でも三十か所で災害が発生しております。 県はこうした状況を踏まえ災害発生箇所の早期復旧を進めるとともに、 災害の未然防止に向けた予防的な対策を併せて実施しております。
まず、 災害復旧のうち被害が大きく人家や道路等に影響を及ぼした五か所につきましては、 災害関連緊急治山事業等で早期の復旧に取り組んでおります。 それ以外の箇所につきましては本年度から治山事業により順次復旧を進めているところであります。
また、 予防対策につきましても災害のおそれのある山地を危険地区に指定し地形や人家等の保全対象などによる優先度を踏まえまして計画的に整備を進めております。
これらの事業実施に際しましては、 軽量なスコリアを一気に流出させないために治山ダムを階段状に設置するとともに流木、 いわゆる流れ木を捕捉する機能を持つ治山ダムを施工するなどの対策を講じてまいります。 加えましてスコリアは降雨による土壌侵食を受けやすいため森林を間伐して下草の繁茂を促進し安定化を図ってまいります。
また、 議員御指摘のとおり山地の状況変化を早期に把握し災害の未然防止につなげるためには市町や地域住民の皆様の御協力が必要であります。 このため県が実施する治山パトロール等を通じまして市町や地域住民の皆様と危険地区の状況等を共有し山地への関心をさらに高めてもらうように努めてまいります。
県といたしましては、 今後とも市町や地域住民の皆様と連携し災害の予兆などをいち早くつかむとともに山地災害の早期復旧と未然防止に取り組んでまいります。
次に、 深刻化するナラ枯れ被害への対応についてであります。
ナラ枯れは、 ナラ菌がカシノナガキクイムシを介して樹木内に侵入してコナラ等を枯らす病気で感染力は強いものの、 感染したコナラの多くが生き残り森林が全滅する被害には至らずおおむね五年で終息いたします。
本県の被害は、 平成二十二年度に浜松市で初めて確認され全県に広がっております。 早くからの被害地である西部地域などでは終息しつつある一方で東部地域で増加しており、 森林の山地災害防止機能等の低下や公園や道路沿い等での倒木による県民生活への影響が懸念されているところであります。
このため、 県は初期段階での重点的な防除や被害状況等に応じた手法による防除を柱とした静岡県ナラ枯れ被害対策の基本方針に基づき市町や公園管理者などと連携した取組を進めるとともに、 関係者間でメール等による被害情報の共有に取り組んでおります。
さらに、 講習会を開催し殺菌剤注入による予防措置やナラ菌が侵入した被害木を伐採して破砕する処理など状況に応じた防除手法を普及しております。
加えまして、 市町が森林所有者に代わってまとまった被害木を速やかに伐採処理してナラ枯れ被害の拡大防止を図る経費に対しまして助成し、 特に公園や道路沿いで倒木による人的被害などが見込まれる森林を重点的に実施してまいります。
また、 御殿場市は県の助成対象とならない被害に対しまして機動的に対応するため森林環境譲与税を財源に地域の実情に応じた防除対策を始めましたことから他の市町にもこのような取組の実施を働きかけてまいります。
県といたしましては、 県民の皆様の安全・安心の確保のため引き続き市町等と連携しナラ枯れ被害の防止に取り組んでまいります。 以上であります。
○副議長 (良知淳行君) 藤原健康福祉部長。
○健康福祉部長 (藤原 学君) コロナ禍における高齢者の健康づくりについてお答えいたします。
新型コロナウイルス感染症の影響により高齢者の生活が不活発となる中、 孤立を防ぎ心身の機能を維持する健康づくりの取組はますます重要となっております。
このため、 県では外出を自粛している高齢者の健康維持を図るため自宅でできる県民体操などの動画配信や自身の状態を確認できる健康チェックリストの配布などのほか、 インターネットを介して交流と運動を行うオンライン通いの場のモデル事業を三市町で実施いたしました。
このモデル事業では、 参加者の三十秒立ち上がりテストの結果が平均で実施前の二十五回から実施後には二十九回に向上するなど身体機能の改善が見られただけでなく、 参加者から久しぶりに顔を見て会話を楽しむことができたとの声も頂いております。 この結果を踏まえ市町におきましては独自にズームを利用した介護予防教室やICTを活用できるボランティアを養成する取組などが始まっております。
県におきましても、 運動に限らず認知症カフェや買物支援など様々なオンラインによるつながりを構築するモデル事業を九月補正予算でお認め頂き、 現在県内十市町に拡大し実施しているところであります。
県といたしましては、 今後オンラインと対面を適切に組み合わせた新しいつながりの創出に市町と共に取り組み、 新型コロナウイルスの感染が拡大する中にあっても高齢者が心身の健康を維持増進できるよう努めてまいります。 以上であります。
○副議長 (良知淳行君) 山本警察本部長。
○警察本部長 (山本和毅君) 北駿地域におけます警察体制の強化についてお答えをいたします。
警察署の整備につきましては、 老朽化した施設の順次解消を原則としつつ県の第四次地震被害想定や事件事故の発生状況、 地域住民の利便性など様々な事情を勘案しながら適切な用地の取得にめどが立ったところから進めていくこととしております。
こうした中、 御殿場警察署は築四十二年と老朽化が進んでおります。 加えまして庁舎建設当時と比べ体制の増強により狭隘度が増しておりますほか、 来庁者用のスペースも手狭となるなど建て替えを検討すべき時期にあると認識をしております。
また、 北駿地域におきましては議員御指摘のとおり交通インフラの整備に伴い観光客の増加や交流人口の拡大が見込まれこれまで以上に交通事故の発生や犯罪の発生が懸念されますことから、 これら地域情勢の変化を踏まえ治安体制の整備を図る必要があると考えております。
このため、 県警察といたしましては今後関係機関等と協議を重ねながら適地の選定を進めるなど北駿地域における治安維持の活動拠点として警察機能を最大限発揮できる警察署の整備に取り組んでいく所存であります。 以上であります。
○副議長 (良知淳行君) 三十四番 和田篤夫君。
(三十四番 和田篤夫君登壇)
○三十四番 (和田篤夫君) 一点要望、 一点再質問をさせていただきます。
要望は、 市町の災害対策対応力の強化についてであります。
私も前職自衛官でありましたので災害現場対策本部には何回も赴いたことがありますけども、 災害発生すると自治体、 特に小っちゃい自治体はパニックに大体なります。 だからこその県からの適切な助言、 アドバイス、 これが大事でそのためには県の防災担当者の能力の維持が非常に大事です。
自衛隊や警察と違って県の場合は大きな組織の中の一部署になっておりますので、 危機管理部というのは人事交流をうまくやらないとあっという間にそのレベルが低下するということで、 どうか計画的に長期的に見ながらレベルが落ちないような人事交流をしっかりと取っていただきたいということを要望したいと思います。
質問です。 ナラ枯れについてでございます。
もう二十二年からやっておられるということで大体状況は把握しておると。 県の東部のほうはそういうことで例えば御殿場七千本という新聞記事が出ましたけども、 これを例えば一%が人命に関わるようなところに立っていると考えれば一%で七十本、 二%で百四十本とどんどんどんどん増えていくわけですね。 そうすると県東部だけでも数千本にはなるんではないかと。
止めることはできない、 五年ぐらいで終息する、 それは分かるんですが枯れた後の人命に関わる問題については、 これは早急に対応をしていく必要があると考えますので森林所有者に代わって市町がやってるというのもお聞きしておるしその援助もしておるということもお聞きしましたが、 具体的にどのようなスケジュールで取り組んでいるのかお伺いをいたします。 以上、 答弁を求めます。
○副議長 (良知淳行君) 志村農林水産担当部長。
○農林水産担当部長 (志村信明君) ナラ枯れ被害に対する再質問についてお答えいたします。
ナラ枯れの被害は大体八月頃から発生いたします。 基本的には道路管理者あるいは公園管理者が通常の管理の中で伐採等しているものでございますが、 議員御指摘のとおりお話がありましたとおり伐採する県の補助金を使って市町が所有者に代わってやるという場合につきましては、 大体八月の状況を見まして十月末までにその補助金の要望を取りまとめて十一月にはこの補助金を割当てるというスケジュールで進めております。
このカシノナガキクイムシというのが翌年の六月には被害部からまた成虫の脱出が始まってまた次に行くということがございますので、 それまでに防除することが大事でございます。 そういうことからこの実施に当たってはこの補助金を使いまして年度内に実施するということでございます。
先ほど申しましたようにそれ以外の対策につきましては、 例えば所有者本人がやるという場合には先ほどの御殿場市の事例のように森林環境譲与税なんかを活用して個人に補助するようなそういった施策も進めております。 そういったものをうまく活用して早期に対策を取っていきたいと考えております。 以上でございます。
○副議長 (良知淳行君) これで和田篤夫君の質問は終わりました。 (拍手)
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