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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成29年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

中谷 多加二 議員

質問分類

一般質問

質問日:

07/21/2017

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 森林資源の循環利用について                   
2 特別天然記念物のカモシカの管理について             
3 林野火災への対応について                    
4 過疎地域の活性化に向けた取り組みについて            
5 ラグビーワールドカップを契機としたラグビーの普及と競
 技力向上について                         
6 開業三十周年を迎えた天竜浜名湖鉄道について           
7 水道施設更新マスタープランについて               
8 中山間地域における高校教育のあり方について


○議長(杉山盛雄君) これで中澤通訓君の質問は終わりました。(拍手)
 次に、五十八番、中谷多加二君。
       (五十八番 中谷多加二君登壇 拍手)
○五十八番(中谷多加二君) 私は知事、副知事、関係部局長、教育長に一括質問方式で伺います。
 初めに、森林資源の循環利用について伺います。
 本県の民有林における杉、ヒノキの人工林の資源状況は、建築用材などの木材として利用可能な森林が九割近くとなり資源の成熟化、大径化が進む一方で、主伐、再造林が進んでいないことから十年以下の若い森林は一%にも届かず林齢構成の偏りが顕著であります。こうした状況は将来の持続的な丸太の生産や安定供給に影響を及ぼすものとして大きな不安を感じております。近年の製材工場は現在主流となっているツインバンドソーのシステムで、中小径木を効率よく製材しようとして導入されており、太くて重い大径材を処理できるように設計されていません。また需要先も限られていることから価格も低迷しており、大きな課題を呈しております。
 本県の森林においても、このまま推移すれば大径材ばかりとなって需要先が見通せず、持続可能な森林経営ができなくなるのではと危惧しております。そうなる前に主伐、再造林に向けた施策を進め、切って植えて育てて使うという森林資源の循環利用を促す必要があると考えます。
 しかしながら、天竜地域の林業関係者からは林道から遠い場所では生産効率が上がらず経費がかかりすぎて収益が出ない、また森林所有者からは主伐した木材の売り払い収入だけでは県の各種の補助制度を利用しても再造林や保育の経費が賄えないといった声が聞かれます。このように製材工場が求める丸太を持続的に供給できる森林を育成したいが採算が合わないことから主伐、再造林に踏み切れないという関係者の思いに応えていくためには、林業の収益性を高め経営意欲が向上するような取り組みが重要であると考えます。
 また近年、主伐の減少に伴い苗木の生産量も減っています。木を切ったものの植える苗木が不足するようでは主伐を促進することはできません。県森林・林業研究センターでは、従来の苗木に比べ格段に成長がよく花粉症対策に有効なすぐれた特性を有する特定母樹、別名エリートツリーが都道府県が選抜したものとしては全国で初めて国に指定をされました。今後こうした有望な杉やヒノキのエリートツリーを活用した苗木の安定供給体制を早期に整備していくことが必要です。
 そこで、県はこれらの状況を踏まえ、持続可能な森林経営を行うための資源を次世代に引き継いでいくことができるよう森林資源の循環利用をどのように進めていくのか伺います。
 次に、特別天然記念物のカモシカの管理について伺います。
 五月の半ば、私が自宅から二俣町にある事務所に向かって車を走らせていました。国道の脇に民家の点在する箇所に設置された横断歩道の手前で車が数台とまっていました。珍しく人が横断しているのだと思い待っていると、やがて姿をあらわしたのが何と立派なカモシカ。悠然と横断歩道を横切って行くさまは何とも言葉に尽くせないものがありました。交通ルールを守らない人間が見受けられる中、偶然とはいえ律儀なカモシカではありました。その後もやつの姿は多くの近隣住民に目撃され、私も新緑の若芽をうまそうに道端で食べているところに出くわしたこともあります。ほかにも県西部の各地区での目撃は数知れず、県中部地区の藤枝市内等においても箱わなに頻繁にかかるカモシカの処理に困るという苦情がたびたび寄せられています。また農林産物への被害も頻発していると聞いております。
 このように、特別天然記念物が当たり前のように民家や主要幹線の周辺で目撃されるということは中西部地区においてカモシカの生息数が増加しているのではないでしょうか。県や市町も個体調整でカモシカを期間限定で捕獲していますが、その効果はいささか疑問であります。雌鹿捕獲禁止政策を続け伊豆半島や富士山麓におけるニホンジカ生息数の急激な増加を招いた環境省の失態を思い起こします。早急に対策を講ずるべきと考えます。
 特別天然記念物の指定そのものは文化庁の所管と承知はしておりますが、県としてもできることがあるはずです。珍しくもない特別天然記念物は存在する意味はなく、カモシカによる被害軽減に向けた管理について、県の所見を伺います。
 次に、林野火災への対応について伺います。
 本年五月一日に天竜区水窪町において大規模な林野火災が発生をいたしました。延焼が広範囲にわたり一時は火が人家に迫ってきたため対象地区の住民に避難を呼びかける避難準備・高齢者等避難開始を発令するなど緊張が高まりましたが、地元消防による懸命な消火、延焼防止活動のほか、県の要請を受け出動した陸上自衛隊のヘリコプターや県、浜松市、静岡市の消防防災ヘリによる空中からの消火活動などにより発生から三日後の五月四日に無事鎮火することができました。また鎮火を確認する際も目視では立木が視界を遮り状況が把握できないことから、空からヘリコプターに搭載した赤外線カメラによる確認作業を行ったと聞いております。焼けた範囲は約二十一ヘクタールに及んだものの、幸いにも人的被害もなく鎮火できたのは自衛隊の迅速な出動と地元消防団、警察、自治体など関係機関による果敢な活動によるところが大きいものと考えております。
 浜松市消防局の幹部職員から、県の危機管理部に自衛隊の出動要請をお願いしたところ間髪を入れず行動していただき非常にありがたかったと感謝の言葉が私に対し寄せられました。自衛隊のヘリは一度に五千リットルの放水が可能であり、県や政令市のヘリはその約十分の一で能力の差は歴然です。消火活動等に従事していただいた関係機関の皆様に対し、この場をかりて深く感謝を申し上げます。
 林野火災については未然防止が大事なことは言うまでもありませんが、今回の出火の原因は落雷によるものと考えられており、入札と同様どこへ落ちるのかわかりません。一度出火してしまった場合にはその消火は容易ではなく、特に今回のように火災現場が急峻な山奥の場合は地上からの消火活動は極めて困難であるケースが大半であり、ヘリコプターによる空中消火に頼らざるを得ない状況が発生をいたします。
 そして、最後の鎮火確認の作業として私も経験がありますが、ジェットシューターという背中に水を入れた十キログラム以上の袋を背負い急な斜面を歩きながら水鉄砲のようにくすぶっている木の根を集中的に消火する人海戦術が原始的ですが絶大な効果を発揮し、今回も一役買ったと聞いています。県、関係市町を初め自衛隊などの関係機関による緊密な連携のもと林野火災に迅速かつ円滑に対応していくことが大切であるとともに、発生を想定した事前準備なども重要と考えます。
 森林は、一旦火災などで失われると大切な資源が失われるだけでなく、その機能が回復するまでには長い年月と多大な労力や復旧経費を要することになります。このようなことからも今回の水窪町での林野火災における経験を今後に生かし、これを教訓に林野火災による被害を最小限に食いとめていくための日ごろの備えが不可欠と考えます。
 そこで、今回の林野火災の対応において明らかになった課題や教訓を生かした今後の対応について天竜区の山間地に生を受けた危機管理部長に伺います。
 次に、過疎地域の活性化に向けた取り組みについてであります。
 先月、浜松市天竜区は住民基本台帳による人口が三万人を割り込むという全国の政令市行政区で初の事態となりました。天竜区が設定された平成十九年四月の時点では三万七千六百六十八人を数えましたが、わずか十年で八千人弱減少することとなりました。八千人といえば旧佐久間町と旧水窪町を合わせた規模と同等であり、まさに地方消滅という言葉を想像してしまいます。
 しかし、この状況は天竜区ばかりの問題ではありません。この四月から下田市が新しく過疎地域に追加されることとなりました。平成二年の三万八十一人から平成二十七年には二万二千九百十六人と、大きく減少したことが要因となっています。
 しかし、過疎地域においては座して人口が減るのを待っているわけではありません。天竜区龍山町では過疎地域等自立活性化推進交付金を活用し休止キャンプ場の再生や特産品開発に取り組んでいます。また天竜区佐久間町ではアワビの陸上養殖の取り組みが進められ、地元の食堂で出されるアワビカレーは絶品であります。また春野町ではキャビアの生産を目指してチョウザメの養殖がスタートするなど、活性化に向け地域の創意工夫が進められています。
 県は、今議会に静岡県過疎地域における県税の特例に関する条例を提案しています。私はこの条例制定に賛意を示すものでありますが、実は他県においては既にほとんどの団体が制定しているものであり、遅きに失したとまでは言いませんがなぜこれまで制定してこなかったのか不思議でなりません。また条例を制定しただけではただの姿勢を示したのみであり、具体的な施策を打っていく必要があります。
 そこで伺いますが、知事は条例の趣旨をどのように実現しようとしているのか、また過疎地域の姿をどう描いていこうとしているのか伺います。
 次に、ラグビーワールドカップを契機としたラグビーの普及と競技力向上について伺います。
 先月十七日、袋井市のエコパスタジアムで日本代表とアイルランド代表のテストマッチが開催され、私も現地で観戦いたしました。残念ながら試合には負けてしまいましたが、日本代表の頑張りに客席ではウエーブが起こり、試合終盤に日本代表がトライした瞬間には割れんばかりの歓声が上がるなど大いに盛り上がり、改めてラグビーの魅力、楽しさを実感いたしました。
 前回二〇一五年のラグビーワールドカップで日本代表が活躍した際には、五郎丸選手のあのお決まりのポーズが話題になるなど全国的にラグビー人気が高まりました。しかしながら昨年、本県のヤマハ発動機ジュビロがラグビートップリーグで首位争いをしていたにもかかわらず、観客数が前年より減少しました。また今回のテストマッチでも観客数四万人の目標数を達成できなかったことなど、本県におけるラグビーへの関心は決して高いものとは言えないのが現状ではないでしょうか。
 今回、エコパスタジアムに集まったファンの中には県外の方々も多く、駐車場には他県ナンバーの車も見受けられました。二〇一九年にラグビーワールドカップが本県で開催されることを契機に、ラグビーへの関心を高めるため小中学生などジュニア世代からラグビーに触れる機会をふやし競技人口の拡大を図っていくとともに、能力の高いジュニアを育成し競技力の向上を図っていくことが必要であると考えます。
 そこで、県はラグビーの普及、競技力向上についてどのように取り組んでいるのか伺います。
 次に、開業三十周年を迎えた天竜浜名湖鉄道についてであります。
 天竜浜名湖鉄道は、昭和六十一年に旧国鉄から県及び周辺市町などが運営する第三セクターとなり、翌年三月に営業を開始してからことしで三十年の節目を迎えました。この間旅客輸送実績は平成二年度の二百三十四万人をピークに年々減少しましたが、近年は二年連続して増加に転じました。これは一つにはNHK大河ドラマ「おんな城主直虎」の放映に合わせたさまざまな企画が奏功している面がありますが、会社が独自に取り組んでいる天浜線フェスタなどの天浜線ファンづくりの取り組みが効果を発揮しているものと考えています。
 しかし、輸送人員は若干増加したもののピーク時の七割弱となっており、維持管理費の増加により収支の状況は依然として厳しく、県及び沿線市町からの多額の支援を受けつつもここ数年は数百万円程度の黒字を辛うじて確保している状況となっています。さらに旧国鉄二俣線から引き継いだ線路、踏切、安全装置、駅舎など基幹的な施設は相当な年数が経過しており、今後安全な運行のためには修繕や維持管理に必要な経費が増加しますます経営状況が厳しくなることが予想されます。
 このような中、平成二十六年度から始まった現在の中期経営計画は今年度を含めあと二年となる今、次期経営計画について天竜浜名湖鉄道を中心に県及び関係市町が連携して策定に向けた議論を始める時が来ているのではないでしょうか。私は安定的な経営のためには安全対策は欠かせないものであり、次期経営計画においてもこの考え方は継続し支援を充実していく必要があると考えています。
 そこで県として、現状の天竜浜名湖鉄道の経営状況をどのように捉えているのか、また次期経営計画に大きくかかわる安全対策の課題について今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、水道施設更新マスタープランについて伺います。
 企業局が管理する工業用水道や水道の施設は、その多くが高度経済成長期に建設され、昭和四十年代の給水開始以来工業用水道は産業の血液として企業の経済活動を、水道は地域の住民生活や都市活動を支えてきました。しかし建設から四十年以上が経過し施設の老朽化が進んでいると思われます。
 例えば、水道管路は既に耐用年数の四十年を経過しており、適切な維持管理により施設の長寿命化を図っているとはいえ近い将来更新の時期を迎えることになります。水道管路の総延長約七百キロメートルのうちのおよそ四九%が既に法定耐用年数を経過しており、さらに平成三十一年度末にはこの割合が五七%を上回るとのことであります。これらの水道管路の更新に莫大な費用がかかることは容易に想像できます。
 一方、社会経済活動の変化、それに伴う企業の撤退や生産縮小、人口減少や節水技術の向上などにより近年水の需要量は減少傾向にあり、現有の水道施設の能力に余剰が生じています。このような傾向は今後も続くと考えます。将来にわたり企業や市町に安価で安全な水を安定的に供給していくためには、施設の更新整備に当たってその財源の確保とともに、施設規模の適正化等によりいかに計画的、効果的に進めていくかが重要となります。
 このような中、企業局では平成二十五年度から五つの工業用水道施設及び三つの水道施設の水道施設更新マスタープランの策定に取り組み、平成二十八年度末に策定を終えたと聞いております。
 企業局の努力の結晶であるこのプランはどのようなものか、その概要について伺います。またこのプランを踏まえて今後どのように施設の更新を進めていくのか、その意気込みを含め伺います。
 次に、中山間地域における高校教育のあり方について伺います。
 子供の減少に伴い、県教育委員会ではこれまで県立高等学校長期計画を第二次まで策定し高等学校の再編整備を進めてきました。平成二十七年度に開校した浜松湖北高校をもって第二次計画が終了したことに合わせ、昨年度から第三次計画の策定に取りかかっております。これまでの間、天竜区におきましては四校あった本校が一校になる再編が進められました。ここまでの経過は子供が少なくなる中やむを得ないものと思わざるを得ませんが、これから先一層子供の数が減っていくことを考えると、過疎や中山間地域における子供たちの教育機会の保障という観点からどのように考えていけばよいのかと思いをはせざるを得ません。
 分校は、一学年一クラスで編制され定員は四十人となりますが、例えば子供が減少し二十人以下となったときに学校として存在できるのでしょうか。また分校規模では教員の数も少なくなり全教科を教えるだけの教員をそろえることはほぼ不可能であり、そのしわ寄せは生徒の学力低下に結びついてしまわないか心配であります。長期計画というと生徒数に合わせた高校再編計画というイメージが強いですが、既にこれまでの間に再編が進められた過疎や中山間地域においてはもっと深刻な課題があるという認識を教育委員会は持たれているのでしょうか。
 五月の末に、長期計画の検討委員会の第七回会合が開かれ最終報告案について議論が交わされたとの新聞記事がありました。
 そこで、教育委員会として検討委員会で交わされた意見をどう受けとめ長期計画に反映していきたいと考えているのか、教育長の所見を伺います。
 先ほども議論がございましたが一言申し上げたいと思います。
 ところで、知事はこれから三期目の県政運営を担っていくわけです。過日マスコミのインタビューや県幹部職員の前で、「けんかは両成敗、決して怒らず、いつも静かに笑っている。あらゆることに自分を勘定に入れず、よく見聞きしてわかり、そして忘れず、東西南北いろいろな問題があればそれを助けに行く、それに徹したい」と、「宮沢賢治さんの詩の心に徹するということですね。誰からもほめてもらわなくていいんです。でくのぼうでいいんです。これをもう一度心の中に書きまして、それを実践してまいります」と、こう述べておられます。例によって仏の川勝になるとも言われました。
 では、今までの知事をどのように表現されるのか気になるところではありますがそれはさておき、これは知事の政治姿勢にかかわることです。本当にそうなるのかいささか疑問だという声が、すぐには変われないだろうなどという意見も耳にしますが、とりあえず知事としての度量を示す決意であると思います。雨にも負けず、その言葉どおり行動されんことを祈り、この発言をしかと私の心にとどめ質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(杉山盛雄君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 中谷議員にお答えいたします。
 森林資源の循環利用についてであります。
 もう今は遠い昔になったようにも思いますけれども、昭和二十五年春、天竜に元気な男の子が生まれました。この子は足柄山の金太郎よりももっと元気になるだろうという期待を持って生まれた子が二歳になったとき、昭和二十七年、戦争により荒廃した森林を復興するために天皇陛下が静岡県下に行幸あそばされまして、第三回全国植樹祭が開催されたのでございます。このとき先人たちが県内各地にお植えになった苗木は今、六十年余りを経て立派な森林となりまして木材資源として十分に成熟しております。こうした恵みを最大限に生かし次世代に引き継いでいくには、議員御指摘のとおり切って植えて育てるという森林資源の循環の輪を構築することが重要であります。
 本県におきまして、この循環の輪を構築していくには杉、ヒノキ人工林における年間の成長量から見まして、五十万立方メートルの丸太生産が適正であると考えます。このことからこの五十万立方メートルを目標とした安定生産と需要を実現させる施策を進めているところであります。需要につきましては関係者の御協力によりほぼめどが立ちました。一方生産におきましては議員御指摘のとおり偏った林齢構成の平準化を進めなければなりません。主伐、間伐のうち、これまでの利用間伐からより生産性の高い主伐、再造林による木材生産へ転換していくことが必要であります。今後主伐を主体とした木材生産を進めるには、林業関係者の主伐への意欲が高まる環境と再造林に必要なすぐれた苗木の確保が不可欠であります。
 そこで、林道や作業道などの基盤整備を進めることにより主伐の生産性をさらに向上させ収益性を高めてまいります。また再造林に必要なすぐれた苗木を確保するために森林・林業研究センターが選抜した、成長が早く伐採までの期間を三分の二に短縮でき育林コストの低いエリートツリー品種の実用化を進めております。この品種の数は六品種ございますけれども、国の研究機関以外では全国初のものであります。このエリートツリー品種の安定供給体制を早急につくり上げてまいります。
 県といたしましては、これまでの取り組みに加え東京オリンピック・パラリンピック関連施設での木材利用を契機とした新たな需要を確実につかむことにより森林資源の循環利用の流れを構築し、経済、社会、環境が調和した世界に誇れるもりの都づくりを実現してまいる決意であります。
 次に、過疎地域の活性化に向けた取り組みについてであります。
 過疎地域、これは四季折々に変化する美しい自然、景観、地域固有の歴史、文化を有し水源の涵養や県土の保全など公益的機能を担う重要な役割を果たしております。一方過疎地域は若者を中心とした人口流出や高齢化が加速し、雇用の場も減少するといった深刻な課題に直面しております。
 県はこれまで、過疎地域自立促進計画に基づきまして市町とともに都市と過疎地域がともに支える地域づくりを目指し社会基盤整備や産業の担い手確保等の施策を総合的に進めてまいりました。一方本格的な人口減少社会への突入、ヒト・モノ・カネが東京圏に一極集中する中、課題解決には関係者が知恵や各種の施策を結集して取り組んでいく必要がございます。
 このような中、三遠南信自動車道などの交通ネットワークの整備の進展、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開催、二〇一九年を目途といたしますJR六社による静岡デスティネーションキャンペーンの展開など民間の投資意欲が喚起される環境が県内に整いつつありまして、これを地域活性化の大きなチャンスと捉えております。今回の条例案はこうした状況を踏まえまして県の事業税や不動産取得税等の特例制度を創設し、国の法人税や市町の固定資産税の特例制度との一体的運用により過疎地域における旅館業や製造業、農林水産物販売業等の活性化並びに雇用の創出、ひいては人口流出の抑制を図るものでございます。積極的な活用を促しまして制度の効果が発現されるよう商工団体や金融機関など関係者に広く周知することとしております。
 また、県産品の販路開拓、六次産業化の支援といった施策を今展開しておりますが、一方でいい動きもございます。川根本町におきまして世界的IT企業のサテライトオフィスの設置がなされました。またきょうの新聞にも紹介されておりましたが、伊豆地域に豪華観光列車が運行されます。こうした新しい動きがございますので、これらを地域活性化の推進力として取り込み過疎地域に住む方々の住み続けたいとの思いを実現し、一方で都市部に住む方々からは住んでみたいと憧れられるように施策を進めてまいります。県としましては、過疎地域における産業の創出や地域のブランド力を強化し新たな価値の創造と発信に努めなければならないと思っております。
 これまでの価値は都市に置かれていたのではないでしょうか。近代日本の発展の先にあるのは都市であるというふうに思われてきました。私はこの前提が今見直されなければならないと思っております。本来、明治の元勲たちが二年余りをかけましてイギリス、ヨーロッパをめぐったわけでございますが、特に当時の最先進国であったイギリスにおきまして、マンチェスターやロンドンにおける煙をもうもうと上げる工業地帯こそが発展のシンボルであるというふうに即断したわけです。しかしそこで働いている人たちにとっては、そこで産をなした後農村地帯に戻ってそこで緑に囲まれきれいな自然に恵まれた中で生活をする、そのことを目的のために都市で働いたということでございます。
 そうした中で今、東京都も私どもが青年時代には文字どおりビルディングフォレスト、それ自体でございましたけれども、丸の内をごらんになりましても緑が極めて豊かになってまいりました。また都市における山村留学という、そういう動きも出てまいりました。これは都市化からいわばその反対、どういうふうに言ったらいいのかわかりませんが、農芸化といいますか緑への回帰が起こっているというふうに思っております。こうした動きは新しい価値をはらんでいると思っておりまして、そうした農芸化あるいは緑に手入れをしていながらそこで生きている、そのような地域がまさに天竜であり、あるいは静岡県下さまざまに今、カモシカとともに生活をしていると言うとちょっと語弊がありますが、そうした野趣あふれる生活景観ではないかと思います。我々は動物ともすみ分けをしなければなりませんけれども、こうした自然界と接触できるというのはやはり静岡県はぜいたくな環境に恵まれているという見方もとることが大事かと存じます。
 これからは、市町や民間と連携してこうした新しい価値の創造と発信に取り組み地域の人口減少に少しでも歯どめをかけるとともに、東京は決して人生のついの住みかになるところではないといったようなPRもいたしまして交流人口の拡大も図り、過疎地域の自立促進に全力で取り組んでまいります。
 姿勢は仏の川勝です。では仏の川勝の前は何であったのかと。仏の前にある境遇は菩薩というそうです。菩薩より低い境遇は修羅、それより低いのが畜生、さらに一番低いところにあるのは餓鬼と、さすがに餓鬼とか畜生からは卒業していたと存じますが、賢治は「春と修羅」の中で俺は一人の修羅なのだと言っております。しかしそれを恥じていたのでしょう。何としてでも人のために働きたいというその思いが、人のために書いたのではなくて死の床にいながら書きつづった、後に黒い手帳と言われるものの中にあの「雨ニモマケズ」の詩が書かれていたわけでございます。それは菩薩の生き方ではなかったかと思います。
 しかし私は、さらにその上があると。つまり仏だと。仏になることは死ぬことかとも思いますけれども生き仏という言葉もございますので、何とか少なくとも修羅の身から菩薩の行、菩薩の道というものを常にこの詩に感化されながら県政のために向こう四年間尽くしてまいりたいと存じます。
 最後に、励ましの言葉をいただきましてまことにありがとうございました。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
○議長(杉山盛雄君) 木くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 木利夫君登壇)
○くらし・環境部長(木利夫君) 特別天然記念物のカモシカの管理についてお答えいたします。
 カモシカは、特別天然記念物であることから生態系を維持するために的確な管理が求められております。繁殖力が低く現在の推定生息頭数は約四千九百頭と減少傾向にありますが、近年生息域を南アルプスの保護地域から南下させております。このことから保護地域外の県中西部地区で増加していると考えております。
 現在、鳥獣保護管理法に基づくカモシカの管理計画では、保護地域に隣接し農林産物に被害の多い静岡市と川根本町の全域、浜松市と島田市の一部を捕獲できる区域として指定しております。県が設置いたします有識者から成るカモシカ管理検討会において、毎年農林業被害に応じて捕獲頭数を慎重に評価していただいており、昨年度は県全体で百七十八頭を捕獲いたしました。今後もカモシカ管理検討会において地域に根差した情報や農林業被害など現場に即した捕獲の可否について検討いただくとともに、被害が拡大し捕獲の必要性があると判断される市町に対しては、県としてカモシカの被害防止や捕獲に関して助言を行ってまいります。
 県といたしましては、カモシカの生息状況や農林業被害の実態を踏まえ捕獲のあり方について国と協議を進めカモシカと人との共生を目指した管理を進めてまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 杉保危機管理部長。
       (危機管理部長 杉保聡正君登壇)
○危機管理部長(杉保聡正君) 林野火災への対応についてお答えいたします。
 林野火災は、地上からの消火活動が困難な場合が多くヘリコプターによる空中消火が非常に有効であります。今回の火災では県と浜松市、静岡市の県内の消防防災ヘリコプターに加え早い段階から自衛隊に応援を要請し、複数の自衛隊の大型ヘリコプターによる集中的な空中消火活動の結果幸いにも人命や家屋を失うことなく鎮火することができました。一方大型ヘリコプターの受け入れに際し、火災発生現場の近くにおいて消火活動に必要な大型消火バケットを装着するための離着陸場の確保や消火用の水の給水場所の選定に時間を要したこと、消火バケットの数に限りがあるため多数の機体が活動する場合に消火バケットの確保に課題があることが明らかになりました。
 県といたしましては、今回の火災を教訓に林野火災が頻発する来年の春先までに大型ヘリコプターの運用を念頭にした離着陸場所や給水場所をあらかじめ市町や関係機関と連携して選定しておくとともに、消火バケットの確保策についても検討し林野火災から県民の生命や財産、森林資源を守るための体制を強化してまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 西田文化・観光部長。
       (文化・観光部長 西田郁夫君登壇)
○文化・観光部長(西田郁夫君) ラグビーワールドカップを契機としたラグビーの普及と競技力向上についてお答えいたします。
 先月の日本代表のテストマッチでは、一体感のあるすばらしい雰囲気の応援が繰り広げられました。一方で議員御指摘のとおり、ラグビーワールドカップ二〇一九本県開催を盛り上げ大会のレガシーとしてラグビーを本県に根づかせるためには、県内のラグビーファンや小中学生世代からのラグビー人口の裾野の拡大が課題であると認識しております。
 このため、県といたしましては本県唯一のトップリーグチームであるヤマハ発動機ジュビロの試合への観戦勧奨事業を実施するほか、ワールドカップ二年前の記念イベントなどで子供たちがラグビーボールに触れラグビーを気軽に体験できる機会を積極的に設けてまいります。また小学生世代からラグビーに親しむ環境づくりを目的に小学校教諭やスポーツ推進委員を対象としたタグラグビー講習会や元日本代表選手などを講師に招いたタグラグビー教室の開催などの取り組みを推進するとともに、今年度は県内市町の小学生によるタグラグビー交流大会の実施を予定しているところです。
 さらに、中学生・高校生世代における競技スポーツとしてのラグビーの普及と競技力向上を図るため、今年度開始したジュニアアスリート発掘・育成事業によりジュニア世代の競技人口の拡大とすぐれた能力を持つ選手の発掘、育成を推進するとともに、県教育委員会が実施している磐田市での地域スポーツクラブ推進事業やスポーツ人材バンクの活用による指導者の派遣事業などと連携してまいります。
 県といたしましては、ラグビーワールドカップ二〇一九の本県開催を絶好の機会と捉え、静岡県ラグビーフットボール協会や地元ヤマハ発動機ジュビロなどラグビー関係者と協力しながら本県におけるラグビーの普及と競技力の向上を積極的に推進してまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 鈴木交通基盤部長。
       (交通基盤部長 鈴木克英君登壇)
○交通基盤部長(鈴木克英君) 開業三十周年を迎えた天竜浜名湖鉄道についてお答えいたします。
 天竜浜名湖鉄道は、開業以来地域住民の通勤や通学などの生活路線として、また沿線地域を訪れる観光客のアクセス手段として地域振興にも貢献するなど地域の重要な公共交通機関として大きな役割を担っており、県では沿線市町とともにその経営を支えてまいりました。輸送人員は現在の中期経営計画における目標数値を大きく上回り一定の成果を上げておりますが、一方で平成二十八年度の修繕費用が前年度に比べ約一七%増加するなど鉄道施設の老朽化が目立っており、今後さらに進行する劣化に対して抜本的な対応が必要になると予想されます。またその対策には多額の経費を要することから、今後の経営環境はますます厳しくなるものと考えております。
 このような中、安全運行を確保するためには緊急を要する修繕や設備更新を着実に実施するとともに、長期的視点に立って現有施設を適切に維持管理しライフサイクルコストの低減を図る必要があります。このため天竜浜名湖鉄道では施設の長寿命化計画を策定することとし、今年度全線にわたり施設の詳細な調査を実施した上で必要な対策工を選定し概算事業費を算出することとしております。
 県では、この結果を踏まえ天竜浜名湖鉄道とともに安全・安心な運行を実現するための取り組みやそれを支える県と市町の役割分担の考え方等を整理し、次期経営計画の基本方針として取りまとめてまいります。
 県といたしましては、文化財としての価値を持つ天竜浜名湖鉄道が日本の原風景とも言われる景観などの魅力あふれる地域をつなぎ、地域の皆様にいつまでも愛され、また全国からの観光客にも楽しんでいただけますよう沿線市町と緊密に連携し天竜浜名湖鉄道を引き続き支援してまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 黒田企業局長。
       (企業局長 黒田晶信君登壇)
○企業局長(黒田晶信君) 水道施設更新マスタープランについてお答えいたします。
 水道施設更新マスタープランは、五つの工業用水道事業及び三つの水道事業の施設を将来の水需要に見合う適正な規模に更新するため、受水企業の皆様や市町の意見、要望等を踏まえまして学識経験者等で構成する専門委員会から意見を伺いながらそれを取りまとめた、いわば施設の更新整備に係る基本計画となるものでございます。このプランでは管路更新の優先度、あるいは施設の統廃合や縮小などを定め、将来の施設能力を工業用水道事業全体で現有施設の約四六%、水道事業は約五三%に縮小することとし、その概算事業費は平成三十年度から六十年間でそれぞれ約二千六百億円、千九百億円が必要になると見込んでおります。
 今後の施設更新に当たりましては、本年度このプランをもとに実施計画である長期修繕・改良計画及び経営戦略を策定する過程で毎年度の投資額とその財源を明らかにしまして、計画期間内で収支均衡がとれ、なおかつ更新工事の平準化を図ってまいります。また経営戦略等の策定に当たっては利用者の皆様方に丁寧に説明し御理解をいただくとともに、更新整備に際しては新たな工法の採用、あるいは省エネ効率の高い機器の導入、こういったことによりまして維持管理を含めたトータルコストの縮減も検討しながら将来にわたって良質な水を安定的に供給できるよう事業を実施してまいります。以上でございます。
○議長(杉山盛雄君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 中山間地域における高校教育のあり方についてお答えいたします。
 県教育委員会では、学識経験者等で構成する検討委員会を設置し今後の高校教育のあり方や魅力ある学校づくりについて議論を重ね、八月下旬に最終報告を取りまとめていただくこととなっております。これまでの議論の中で普通高校においては、国際科においてグローバルな課題等に関して探究的な学習の充実を図ることやスポーツ振興に資する体育に関する学科の検討などの御提言をいただいております。また専門高校については新しい実学を奨励し農業、工業、商業などの学科において社会のニーズに対応した学科改善のほか、新産業の創出や実践的な職業人を育成するための教育内容の充実が必要であるなど基本的な方向性が打ち出されております。
 中山間地域に所在する小規模校においては、ICTを活用した他校との連携による多様な学習機会の確保に加え、地域資源等を活用した教育内容の充実が必要であるとの御意見をいただいております。また学校の適正配置については一学年四学級以下を再編整備の基準としながらも、通学の利便性や経済的負担等を踏まえ特に過疎地域等の実情に配慮することが必要であるとされたところでございます。
 県教育委員会といたしましては、検討委員会からいただいた御意見を尊重し、県内のいずれの地域においても高校生がみずから進路を選び夢に向かって学ぶことができるよう魅力ある学校づくりのための第三次長期計画を策定してまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) これで中谷多加二君の質問は終わりました。(拍手)
 以上で質疑及び一般質問を終わります。

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