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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和5年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

市川 秀之 議員

質問分類

一般質問

質問日:

09/28/2023

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 有徳の人づくりについて
(1)社会総がかりの人づくり
(2)教育現場における生成AIの利用
2 県職員の人材確保と組織の維持運営について
(1)人材の確保に向けた戦略と対応策
(2)職員の健康に配慮した組織運営
3 カーボンクレジット制度の普及に向けた支援について
4 浜名湖花博2024における本県花卉の生産振興、消費拡大に向けた取組について
5 馬込川上流部の治水対策について


○議長(中沢公彦君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第百四号から第百三十三号まで及び令和四年度静岡県一般会計、特別会計、公営企業決算全部を一括して議題とします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、四十七番 市川秀之君。
       (四十七番 市川秀之君登壇 拍手)
○四十七番(市川秀之君) 私は、自民改革会議の所属議員として通告に従い一括質問方式で知事、副知事、関係部局長、人事委員会事務局長並びに教育長、教育部長に当面する県政の諸課題について伺います。
 初めに、有徳の人づくりについてのうち、社会総がかりの人づくりについて伺います。
 本年三月八日から三月二十二日まで日本はもちろん世界を熱狂させたワールド・ベースボール・クラシック  WBCが開催されました。大谷翔平選手をはじめ三大会ぶりに優勝した日本チームの侍ジャパンの勇姿は半年が経過した今も鮮明にまぶたに残っていることと思います。投打の二刀流の大谷選手のほか、投手ではダルビッシュ有選手、佐々木朗希選手、山本由伸選手、野手では吉田正尚選手、村上宗隆選手などメジャーリーグに所属する選手を含め日本球界の至宝とも言える選手たちが惜しげなく投入され、日本中を大いに盛り上げ元気にいたしました。
 専門家は今年のWBCの日本における経済効果について六百五十億円にも上ると試算しており、その効果は幅広い分野に及びます。WBC終了後も野球史に輝く活躍を続ける大谷選手は、一挙一動が注目され次代を担う子供たちをはじめ世代を超えて多くの人々へ夢や希望を与え続けております。
 ところで、日本チームを指揮した栗山英樹監督も今回のWBCで脚光を浴びた一人であります。WBC開催後日本のどんな小さな書店でも入り口などに配置されている平台には栗山氏に関係する本が陳列されていたと思います。大型店など書店によっては栗山氏に関する本が五、六冊、平台の一角を占めて「面陳」され来店者が目を留めておりました。
 私はこれらの中から少し前に刊行された「栗山ノート」と「育てる力」を購読しました。「栗山ノート」は四書五経など古典や経営者の著書に書かれた言葉とその日の出来事を結び、勝敗の理由などを先人に学ぶマネジメント術を著したもので、「育てる力」はこれに加え強い人材を育成するためのコーチングや組織論を自身の経験を踏まえ展開しております。
 栗山氏は東京都出身の六十二歳で、東京学芸大学を経て一九八四年にヤクルトスワローズに入団しました。俊足巧打の外野手で一九八九年にゴールデングラブ賞を受賞しましたが、けがや病気が重なり選手としては短命で一九九〇年に現役を引退いたしました。引退後は解説者やスポーツジャーナリストとして活動すると同時に大学教授として教育、学術に携わり北海道日本ハムファイターズと日本代表の監督を歴任されました。
 栗山氏は指導者として大谷選手をはじめ多くの人材を超一流選手に育てるとともに、WBCでは指揮官としてチームを統率し選手起用や戦術で最大のパフォーマンスを引き出しました。現在の大谷選手の活躍や日本のWBC優勝には栗山氏の存在が大きいと考えます。
 一方で、指導者による体罰や厳しい言葉の叱責などハラスメントによって心身に大きなダメージを負い、若い才能が実を結ばず散ってしまった例も報道でよく目にします。指導者によって人の将来は大きく左右されることを栗山氏は教えてくれています。優れた指導者は直接指導や指揮するだけでなく育てた人材や成果を通してその理念や考えが広く波及していくと私は考えます。
 スポーツに限らず芸術や文化活動などとの出会いは、多くの場合小中学校や高等学校が人生においてその最初のきっかけとなっています。もちろんそこから前述したようなトップクオリティーを持つ選手も生まれるでしょうし、そこまで達せなくても丈夫な心と体を育んだり生涯スポーツや趣味、娯楽として人生を豊かにすることもあるでしょう。
 今後、教員の負担軽減等のため部活動の地域連携並びに地域クラブ活動への移行が進められていきます。ここで危惧されるのは地域によき指導者が存在しなかった場合の子供たちが受ける不利益や不公平であります。才能ある選手や感性あふれる若き芸術志望者が、よき指導者に巡り会えず満足な成長ができないことも不幸なことでありますが、それ以上に本来であれば部活動として存在していれば出会えたはずのそれらの事柄に、その地域に指導者がいないということだけで出会うチャンスさえなくなってしまう可能性があります。部活動に限らず優れた指導者に巡り会えるかどうかは子供たちにとって大切な意味を持ちます。
 静岡県ふじのくにの教育理念はふじのくに有徳の人づくり大綱に示されています。これは指導者を含め広く県民に対して社会総がかりで人づくりを進めていくことを宣言したものでありますが、今後優れた指導者の育成確保など社会総がかりの人づくりの推進に向けて、県はどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次に、教育現場における生成AIの利用について伺います。
 チャットGPTは オープンAI社が二〇二二年十一月に公開した人工知能チャットボットであり、生成AIの一種であります。大変便利なツールであり、質問を入力すると人工知能がインターネット上の様々な既存の資料や文献を検索して実に人間が書いたような自然な文章を生成して書いてくれます。文章が書くのが苦手な人や何か突然の事柄について急いで調べて文章を作らなくてはならないときに大変便利であると急速に利用が拡大しています。
 一方で、教育の現場や子供たちの学習にどのように利用したり制限をするのかが大きな課題と言われています。
 昨日の遠藤議員と同様に、私は実際に以下の質問をチャットGPTに問いかけてみました。子供たちの作文や読書感想文における生成AI利用の課題や問題点は。すると、ものの二十秒ほどで千文字弱の回答が送られてきました。ここでは時間の都合で要約してお話しします。
 子供たちの作文や読書感想文に生成AIを利用することは教育の分野で有望な側面もありますが、幾つかの課題や問題点も存在します。一、創造性と思考力の低下。生成AIはテキストを生成する能力が高い一方、創造性や独自の思考力を欠いています。子供たちがAIを使って文章を書くことが多くなると自身の創造力や独自の視点を発展させる機会が減少する可能性があります。
 以下、二つ目として盗作のリスク、三、文章構造の理解不足、四、偏った情報源の影響、五、テクノロジー依存の促進、六、教育の目的との整合性の問題について課題等が述べられ、最後に、AIを教育に活用する際には教育者や保護者が適切なガイダンスと監督を提供しAIをツールとして使う際の適切な使い方を教えることが重要と結んでいます。
 有徳の人の育成に向けた重点取組方針の一は、知性、感性を磨く学びの充実として、ICTを効果的に活用した協働的、探求的学びを実践するとあります。生成AIの出現によりICTを活用することで逆に探求的な学びが阻害するおそれがあると危惧されます。さらに文章を作る際の構成力や表現力、語彙力、創造力などについても、その学び及び実践の機会を奪うおそれがあります。
 文部科学省は七月四日、初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドラインを公表しましたが、県教育委員会はこうした状況を踏まえ飛躍的なスピードで進展する生成AIと教育現場でどのように向き合っていくのか、教育長の認識を含め伺います。
 次に、県職員の人材確保と組織の維持運営についてのうち、人材の確保に向けた戦略と対応策について伺います。
 人事院が五月十二日に本年度の国家公務員採用試験の申込み状況を公表しました。一般職、大卒程度の申込者数は二万六千三百十九人で昨年度に比べ千七百八十四人、六・三%減少しています。昨年度六年ぶりに増加したもののまた減少に転じたということであります。
 総合職については十年前のおよそ三分の二という状況で、有識者は国家運営上危機的状況であると指摘しています。志願者が減少している理由として長時間労働やキャリア形成、やりがいへの不安などが挙げられております。
 一方、静岡県職員採用試験の本年度の大学卒業程度の試験の全体の申込み状況は千百八人と昨年に比べ二十二人減少しており、近年における申込み倍率は減少傾向が続いているということです。職種によって状況は異なりますが特に建築や工業、研究職などの技術系職種は、近年民間企業の採用意欲が強いことから県職員採用試験の申込者が減少し申込者数が公募数に満たない場合もあるとのことであります。
 IoTや自動車のEV化等が急速に進む中、こうした分野における中小企業の技術的な課題に対応した頼もしい人材の確保は喫緊の課題と言えます。技術系に限らず、志、意欲、能力のある優秀な人材の確保は、県の行財政の運営ひいては静岡県の発展と県民福祉の向上に不可欠な課題であります。
 そこで、県職員の人材確保に向けた戦略と具体的な対応策を伺います。
 次に、職員の健康に配慮した組織運営について伺います。
 県が最適な組織運営と人材の活性化を目指し働き方改革や風通しのよい職場づくりなどに取り組んでいることは承知しておりますが、一方で事故や病気等による心身の不調、特に鬱病などのメンタルヘルス疾患により百十九人もの職員が昨年度長期にわたって職場を離脱されています。これは教育委員会や警察等除く県職員約六千人の一・九八%に当たります。この割合はほかの都道府県との比較では平均的水準にあるようですが、こうした不調により療養した職員の数は現状で増加しているものと思います。
 メンタルヘルスの不調は、県の組織に限らずまた誰にでも起こり得ますが、内面の問題で目に見えないため周囲が気づくことは難しい面があります。そして一旦不調に陥ってしまった場合、治療や療養はもちろんですが職場復帰に向けた準備やトレーニングはとても大変だと聞いております。不調により長い期間職場を離れることは、当該職員やその家族にとって将来に向かってとても不安であり本当につらいことだと思います。
 また、不調者が発生した場合、年度途中の人材の補充が行われるとしても補助的な業務処理を行う会計年度任用職員を採ることが多く、人工の不足分は班や課を超えた分担の見直しや応援体制により対応するということです。職員が職場に復帰した後もすぐにはそれまでのパフォーマンスを発揮できない場合もあり一定の配慮が求められます。組織全体で継続的にサポートする必要があるため、組織機能の維持という観点から所属する職場に与える影響も大きく、所属や職種によっては余力がなく共倒れや負の連鎖が心配されるところです。
 県が年度途中での異動など弾力的な人事や業務のアウトソーシング化を行っていることは承知しておりますが、私自身中小企業経営の経験からさらなる高齢者の活用も検討すべきと考えます。職員の健康に配慮した組織運営を図り誰もが生き生きと働ける職場環境を整えることは人材の確保と定着にもつながります。
 そこで、組織の運営に影響を与える長期休暇、休職者の状況と発生を未然に防止する対策、また職場復帰後を含めた組織の維持運営のための対応について所見を伺います。
 次に、カーボンクレジット制度の普及に向けた支援について伺います。
 私は本年二月定例会一般質問で、高騰する電気料金に苦しむ中小企業の支援の観点からGX  グリーントランスフォーメーション  に対応した本県のエネルギー政策と中小企業の経営支援について質問を行いました。今回はGXを推進する仕組みとして注目されているカーボンクレジットを取り上げたいと思います。
 カーボンニュートラルを宣言する国や組織が増加し、排出削減と経済成長をともに実現するためGXに向けた投資競争が激化してきています。岸田総理が議長を務めるGX実行会議は、昨年十二月に官民協調により今後十年間で百五十兆円を超える投資実現を目標とするロードマップを示しました。国はその巨額の投資を実現するための基本方針を今年二月に閣議決定。五月にはGX推進法を成立させ、成長志向型カーボンプライシング構想を具体化しました。さらに七月にはこれを実行するための戦略を定めたところであります。この戦略の中ではカーボンクレジットについて炭素の排出に値付けをすることでGX関連製品や事業の付加価値を高めるカーボンプライシングの一環として位置づけております。
 こうした国の動きを受け、東京証券取引所は企業や自治体などが二酸化炭素排出量を取引するカーボンクレジット市場を十月十一日に開設すると発表し、全国的に市場への期待が高まっています。宮崎県ではICTを活用して先進的な民有林の集約化によってJクレジット登録を申請するといった取組が行われています。県内でも浜松市が市内の森林資源を生かしたJクレジットの地域展開などについてしずおかフィナンシャルグループと協定を締結し、藤枝市ではJクレジットへの登録等を行う場合に経費の一部を補助するなど取組が広がりを見せています。
 地球温暖化による熱中症対策を強化するため改正気候変動適応法が四月に成立しました。地球温暖化対策はまさに待ったなしの状況であります。
 県としても、省エネルギーの推進や再生可能エネルギーの拡大はもちろんのこと、こうしたカーボンクレジット制度普及への支援にも注力すべきと考えますが、どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、浜名湖花博二〇二四における本県花卉の生産振興、消費拡大に向けた取組について伺います。
 浜名湖花博二十周年記念事業、浜名湖花博二〇二四が来年三月から六月にかけて浜名湖ガーデンパークと浜松フラワーパークにおいて開催されます。開幕まで半年となり浜名湖花博の感動を抱き続けている県民をはじめ多くの人々が期待に胸を膨らませていると思います。
 昨年七月に基本構想が策定され、十月には基本計画が、そして今年四月には様々な会場のゾーニングや集計計画、イベント企画、交通輸送や警備計画、スケジュールなどを落とし込んだ実施計画が作成され浜名湖花博二〇二四の具体像が見えてきました。本会議ではこれまでに会場整備や交通対策、広報等運営に係る準備状況に関する質問が行われてきましたので、私は今回、本事業を通した本県花卉の生産振興や消費拡大に関する考え方や取組について質問をしたいと思います。
 本県は、二〇二〇年調べで産出額百五十三億円で全国第四位の花の生産県であります。歴史ある関東東海花の展覧会では、毎年本県の生産者が情熱と技術を注いで育てた花卉が農林水産大臣賞をはじめ権威ある賞を受賞し生産者のみならず産地としての名声を高めています。一方、総務省の家計調査によると本県花卉の消費動向は県庁所在地における一世帯当たりの切り花年間購入額が全国四十二位と低迷しています。
 今回の浜名湖花博二〇二四は「人・自然・テクノロジーの架け橋〜レイクハマナ デジタル田園都市」をテーマに花、緑にあふれた環境と先端技術との融合による心豊かな暮らしを推進していくものと聞いています。基本計画や実施計画では今回の浜名湖花博二〇二四において特別な花壇づくりを行い、さらに会場の魅力を高めていくとしていますが、花、緑の生産振興に関しての具体的な事業内容が見えてこないことに私は疑問を感じました。
 全国有数の産出額を誇るガーベラやバラをはじめとした豊富な県産花卉の展示をはじめ来場者に本県花卉のすばらしさをPRし消費の拡大につながるような産地で行う花のイベントならではの企画を検討したらどうかと考えます。
 そこで、浜名湖花博二〇二四における本県花卉の生産振興、消費拡大に関する考え方や取組について伺います。
 最後に、馬込川上流部の治水対策について伺います。
 その昔、天竜川は暴れ天竜と呼ばれ東は磐田原台地、西は三方原台地を形成しながらその間を大きく蛇行していました。その流れは時に大きな災いを引き起こしましたが、長く深い山あいを抜けてきた肥沃で良質な命の水は、何万年という時を重ね浜北地区以南に全国的にもまれな広く平坦でなだらかな勾配の浜松平野をつくり上げました。新東名浜松浜北インター付近から南を見ますと、山どころか小さな丘すら見えないような状況で本当にその平らさがよく分かります。
 明治以降、金原明善翁の献身的な活動によって天竜川の治水・利水が行われ、この地域の農業、工業の発展のみならず大雨時でも安心して住むことができる居住環境の整備につながってきました。その広く平坦な土地は平らであるがゆえに現在大変な水災害に見舞われていると言えます。昨年の九月に二回、今年に入ってからも六月と八月にそれぞれ一回、この一年間に合計四回の大規模な道路、農地の冠水や住宅の床上・床下浸水の被害が発生しています。原因は台風などによって形成された発達した積乱雲による豪雨でありますが、近年は地球温暖化の影響か降雨量は多く、降雨時間は長く、そして回数も頻繁になっています。
 浜松市内を流れる県管轄の河川である馬込川では、これまで堤防の補強やかさ上げ、川底のしゅんせつなどによって多くの地域の人々の命や財産が守られてきました。しかしこの一年間の堤防からの越水や排水先の水位上昇による内水氾濫などの状況に照らしますと、従来の河川対策の強化では限界に達しているのではないかと考えます。
 河川の対策は下流域からという原則は十分理解されており、初回の氾濫時は地域の方々ともあれだけ降ればあふれても仕方がないとお互いの立場を気遣っていましたが、僅か一年足らずのうちにこうも頻繁に被害が発生するとなれば想定外ということで片づけられません。
 大雨の予報や台風の進路が心配で夜も眠れないとこぼす人たちを思うと、もはや上流域対策は後回しでは納得することができません。近年よく言われる流域治水の考え方によれば、流域全体で水を受け止めて水害を減らすとあります。確かにこのことが実践できれば下流域へ送る水量も減少させ、氾濫を抑制することができると思います。
 水害から地域住民の生命と財産を守り日々の生活による安心を確保することは行政の最も基本的な責務であります。馬込川上流地域の治水について、小規模河川を管轄する浜松市とも連携して今後どのような対策を行うのか、県の所見を伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(中沢公彦君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 市川議員にお答えいたします。
 有徳の人づくりについてのうち、社会総がかりの人づくりについてであります。
 本県の教育の基本理念は、霊峰富士の姿のように気品をたたえ調和した人格を持つ有徳の人の育成であります。私は地域づくりの礎は人にあるという視点に立ち、よりよい教育環境の実現に取り組んでおります。議員御指摘のとおり、指導者が確保できず子供たちに不利益や不公平が生じることは避けなければなりません。家庭、地域の全ての県民が子供たちの指導者となり、地域ぐるみ、社会総がかりで子供たちの才能や能力を伸ばす教育に取り組むことが何よりも重要であります。
 地域自立のための「人づくり・学校づくり」実践委員会や総合教育会議の場においても、指導者育成の重要性はもとより家庭、地域と連携した取組の必要性について御意見を頂いております。こうした御意見も踏まえて県では、一流アスリートの指導を受ける機会の提供や外部人材を活用した部活動指導員の配置の取組、文化芸術分野では令和六年度に演劇専攻を設置する清水南高校においてSPACによる専門性の高い指導を行っております。また本年度からは、陸上選手として世界で活躍しスポーツ教室等を行う飯塚翔太氏に実践委員会の委員に加わっていただきました。飯塚委員の豊富な実績や知見を本県の教育施策に生かしていきたいと考えております。
 本県が東アジア文化都市に選定された本年は、十一月に世界文化遺産である富士山の麓で武道シンポジウムを開催いたします。文化の首都静岡県から武道を世界へと題しまして柔道の山下泰裕氏をはじめ優れた武道指導者の方々にお集まり頂き、人材育成、地域活性化、ツーリズムの活用など武道の様々な効用を国内外へ発信いたします。
 全ての武道は礼に始まり礼に終わります。相手や自然への畏敬の念を重んじる精神は本県の教育理念に掲げる有徳の人に通じます。霊峰富士から武道を発信するこのシンポジウムは重要な機会になると考えております。
 今後とも教育委員会と十分に意思疎通を図り、本県の子供たちが高い志を抱き、夢に向かって羽ばたいていけるようふじのくにの未来を担う有徳の人づくりに全力で取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を申し上げます。
○議長(中沢公彦君) 森副知事。
○副知事(森 貴志君) カーボンクレジット制度の普及に向けた支援についてお答えいたします。
 省エネや再生可能エネルギー設備の導入、森林管理等による二酸化炭素削減・吸収効果をクレジットとして認証するカーボンクレジット制度は経済と環境の好循環を形成する手段として効果的であると認識しております。
 大企業を中心にクレジットへの関心が高まっているものの需要に対して供給が不足している状況を受け、県では今年度脱炭素化を模索する中小企業等を対象にあらゆる産業分野におけるクレジットの創出を支援しております。
 まず、水産分野では南駿河湾漁協による榛南海域における藻場再生活動が、ブルーカーボン・オフセット・クレジットとして認証を受けております。その効果としてクレジットの売却により約三百万円の収入を得たところであります。また森林分野では下田市の県営林で本県の持つ三次元点群データの解析により、森林が吸収した二酸化炭素量が適正に評価できることから今年度中にプロジェクトとして登録される見込みです。さらに農業分野では水稲栽培における中干し期間の延長によるクレジット申請に向け現在準備を進めています。
 加えまして、県内の中小企業や金融機関、企業脱炭素化支援センターなどと連携し、個々の企業が行う小規模な太陽光発電設備の導入による二酸化炭素削減活動をまとめてクレジット化する取組をモデル的に実施しております。なおクレジットの認証取得に要する審査費用を国の補助制度に上乗せして助成する制度についても今年度開始したところであります。
 地球温暖化への対策、そして脱炭素化に向けた取組は我々に課せられた大きな課題であるとともに新たな経済成長のチャンスでもあります。これまでに取得したノウハウの県内普及を図るなど今後とも引き続き関係機関の強固な連携の下、全ての産業分野におけるクレジット創出の取組を後押ししてまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 池上教育長。
○教育長(池上重弘君) 有徳の人づくりについてのうち、教育現場における生成AIの利用についてお答えいたします。
 GIGAスクール構想の推進により、一人一台端末が整備され授業にICT機器やデジタルコンテンツが導入されるなど教育現場が大きく変わる中、急速に社会で進む対話型の生成AIの利用が教育への新たな課題として浮上しております。
 特に生徒が生成AIを利用する場合には批判的思考力や創造性、学習意欲への影響などが指摘されております。しかしながら生成AIのような急速に進展するICTを効果的に活用する能力を育成していくことは協働的な学びや探求的な学びを充実させていくために重要であると考えております。
 一方、生成AIの利用は業務負荷の軽減に効果的であります。まずは教職員の働き方改革につなげるよう本年七月にガイドラインを策定してメールの作成や文書の要約、テスト問題の作成などの場面において活用を始めたところであります。また生徒の利用に当たっては生成AIの基礎知識や注意点、適切な使い方などをまとめたチラシを配布し情報漏洩などリスクへの対応方法を身につけることができるよう適切な指導を行ってまいります。
 あわせて、本県が推し進める探求活動において生徒が主体的に考え意見を出し合って探求を深めることができるよう、生成AIを情報収集や新たな視点に気づかせる教材とするなど活用方法を検討してまいります。さらに生成AIに対する各市町教育委員会の向き合い方を尊重しながら利活用についての情報提供や研修など支援をしてまいります。
 県教育委員会といたしましては、思考力や判断力、表現力の育成を阻害しないよう注意しながら生成AIを効果的に活用する力を育むことで、AI時代においても自ら積極的に未来を切り開いていく有徳の人の育成を進めてまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 縣人事委員会事務局長。
○人事委員会事務局長(縣 茂樹君) 県職員の人材確保と組織の維持運営についてのうち、人材の確保に向けた戦略と対応策についてお答えいたします。
 本県の職員採用試験の申込者数減少につきましては、若年層の人口減少や民間企業等の動向を主たる要因と捉えており、官民問わず人材獲得競争が激化する中、人材の確保は喫緊の課題と認識しております。
 これまでも人事委員会では、土木等の採用困難な職種の試験内容や時期の見直しなど試験制度の改善や各種説明会などの広報活動、SNSを活用した情報発信といった応募者確保対策を進めてまいりました。今後はさらなる人材獲得競争の激化を踏まえ、採用試験申込者数の増加を図るためには多様な就業希望者の受験を可能とする試験の実施や県職員の仕事の魅力についてより理解を深められるような広報活動など、就業希望者の目線に立った取組を進めることが重要と考えております。
 このため、人事委員会では早期試験や職務経験者試験の拡充、技術職種の試験内容の見直し、応募手続のオンライン化など試験制度の改善を検討するとともに、若い世代の職員が就業希望者と共に現場に赴き直接説明を行うなど対話を重視した広報を実施し人材の確保に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 京極経営管理部長。
○経営管理部長(京極仁志君) 県職員の人材確保と組織の維持運営についてのうち、職員の健康に配慮した組織運営についてお答えいたします。
 メンタルヘルス不調により連続して三十日を超える休暇等を取得した職員は、令和三年度百八人、四年度百十九人と増加傾向にあります。不調に至る要因は仕事の量や内容、人間関係、家庭の事情など様々でありますけれども、深刻な事態に至る前に防止できる体制が重要であります。
 このため、職員本人の気づきを促すストレスチェックや気軽に利用できる相談窓口の設置、長時間労働をした職員に対する医師の面接指導、管理職をはじめ職員全員が心の健康に関する理解を深めるためのメンタルヘルス研修など総合的な対策を講じております。
 長期療養職員が発生した場合は、まずは治療に専念するよう要請しております。その上で療養中はもとより職場復帰後も所属の管理職員と保健師等が主治医と面談する機会を設け職員の状況を丁寧に把握しながら業務分担の柔軟な見直し、人事異動での配慮、会計年度任用職員の配置など適切な職場の体制づくりに努めております。
 近年は再任用のベテラン職員も増えておりますので、即戦力に加え経験に基づくアドバイスも期待しながら、所属長を中心に職場全体のコミュニケーションの充実を図り、誰もが生き生きと能力を発揮して働ける風通しのよい職場づくりを目指してまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 櫻井農林水産担当部長。
○農林水産担当部長(櫻井正陽君) 浜名湖花博二〇二四における本県花卉の生産振興、消費拡大に向けた取組についてお答えいたします。
 本県は産出額全国第一位のガーベラをはじめバラや切枝、観葉植物など多彩な品目が生産される全国トップレベルの花の産地であり、来春開催の浜名湖花博二〇二四は本県が誇る高品質な花卉の生産振興と消費拡大を喚起する絶好の機会と捉えております。
 このため、生産振興に向けましては、広大な浜名湖ガーデンパーク会場を花や緑で華やかに彩るため県内の生産者と卸売市場が連携した組織を立ち上げ、二十六万株にも及ぶ苗の生産を進めております。この中には県内の生産者限定で取り扱うマーガレットが二十二品種、約二万五千株含まれており、本県ならではの花のガーデンとしてPRすることで生産拡大を後押ししてまいります。
 また、消費拡大に向けましては全国規模の品評会で受賞経験のある生産者とフラワーデザイナーが連携し、四月十八日のガーベラをはじめ花の記念日に合わせ切り花やフラワーアレンジメントの創作展示を行うなど花の魅力を満載した情報発信に取り組んでまいります。さらに、千人以上の県民が体験できるデザインレッスン花壇など県民参加型の花壇づくりを通じて来場者が多彩な花に直接触れる機会を提供し家庭での日常的な消費拡大につなげてまいります。
 県といたしましては、浜名湖花博二〇二四の開催を通じて本県の多彩な花卉の魅力を県内外に発信し生産振興と消費拡大につなげることで本県花卉産業の持続的な発展を実現してまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 勝又交通基盤部長。
○交通基盤部長(勝又泰宏君) 馬込川上流部の治水対策についてお答えいたします。
 馬込川では令和二年に河川整備計画を策定し、下流部の河床掘削などによる河川改修を集中的に実施するとともに、上中流部では断面狭小部の局所的な改良や堆積土砂の撤去などの治水対策を進めております。
 しかしながら、馬込川上流部は度重なる豪雨に見舞われ浸水被害が頻発したため、下流からの河川改修を待つことなく被害軽減が期待できる対策を優先して実施する必要があります。このため昨年五月に策定した馬込川の上流、中流における水災害対策プランを見直し流域一体となったハード・ソフト対策を迅速かつ確実に実施してまいります。
 具体的なハード対策としては、堤防からの越水発生箇所の下流に当たる矢矧橋周辺の河床掘削や河道内の樹木の伐採、流下能力が著しく低い雷神橋から五反田川合流点までの区間の河道改修などを実施してまいります。また浜松市と連携し校庭を活用した雨水貯留浸透施設の整備などの流域対策にも早急に取り組んでまいります。
 県といたしましては、馬込川上流部における浸水被害を軽減するため浜松市や流域住民等と連携して流域治水を強力に推進し、安全で安心して暮らせる地域づくりに努めてまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 市川秀之君。
       (四十七番 市川秀之君登壇)
○四十七番(市川秀之君) それぞれ御答弁を頂き、ありがとうございました。
 意見、要望を一点、そして再質問を一点お願いしたいと思います。
 馬込川の上流部対策、今大変強いお言葉で頂きました。ぜひですね、本当に地域住民、何回も家が水に浸かるというのは本当に不安でつらい思いをしております。一日も早く手をつけていっていただきたいと思います。要望いたします。
 そして再質問です。
 先ほど池上教育長、生成AIについてお話を頂きました。昨日デジタル戦略担当部長が、業務の一層の効率化や県民サービスの向上に寄与できるよう職員に対しては生成AIのさらなる事業の活用に取り組んでいくという答弁がありましたが、私は大人はそれでいいと思っています。ただ子供たちに関しては、やはり今回の生成AIの出現というのは非常にちょっと心配でありまして、何よりも池上教育長が就任以来探求的な学習ということを申し上げられてずっと学びを充実させていくということでございましたが、探し求めていくというのは今までの検索エンジンでは非常にそれがいいICTの活用だと思います。
 しかし、今回の生成AIはもう問題を入力するとすぐ答えが出てきてしまうので、いわゆる探求的というよりもいきなり答えが出てしまうので、本人がどれだけそこを探していけるか非常に不安に思います。先ほどの学習のことに関しても同じような意味合いを持つと思います。その辺について、いま一度どのようにお考えなのかお答え願います。以上、答弁求めます。
○議長(中沢公彦君) 池上教育長。
○教育長(池上重弘君) 教育現場における生成AIの利用についての再質問に関してお答えいたします。
 議員御懸念のとおり、探求活動においてそのアウトプット、最終的な答えを生成AIで導き出すというのは明らかに間違っていると思いますし、教育上よろしくないことであろうと私も認識しております。
 一方で、子供たちの認識だけではなかなか立ち上がらない問いをこの生成AIを利用することで気づくというのも一つ大事な教育活動ではないかと私どもは考えております。したがって最終的なアウトプットではなくそこに至る過程の情報収集、あるいは新たな視点の獲得等にこのAIを活用していく方向で指導してまいりたいと考えております。以上であります。
○議長(中沢公彦君) これで市川秀之君の質問は終わりました。(拍手)

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