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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和4年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

田内 浩之 議員

質問分類

代表質問

質問日:

09/26/2022

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 保育施設、教育施設の送迎バスの安全管理について
2 熱海市伊豆山土石流災害の被災者への住宅関連支援について
3 盛土条例施行に伴う建設発生土の処理について
4 リニア中央新幹線静岡工区に関するJR東海との対話について
5 浜松市沿岸域防潮堤の「みんなで守る防潮堤」の実現に向けた将来像と取組方針について
6 遠州灘海浜公園篠原地区野球場の整備について
7 カーボンクレジットの導入促進について
8 浜名湖について
(1)浜名湖湖岸堤の整備
(2)アサリの資源回復
(3)県立自然公園の保護、利活用
(4)浜名湖花博20周年記念事業
9 シラスウナギの持続的な採捕に向けた取組について
10 スタートアップ支援について
11 耕畜連携の推進について
12 医療分野における個人番号制度の活用について
13 外国人施策の一体的な推進について
14 高校の入試改革について
15 警察業務におけるDXの推進について


○議長(藪田宏行君) 再開に先立ち、御報告いたします。
 説明者として難波静岡県理事が出席しておりますので、御承知おき願います。
 
○議長(藪田宏行君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、三十番 田内浩之君。
       (三十番 田内浩之君登壇 拍手)
○三十番(田内浩之君) 質問に先立ちまして、一言申し上げます。
 本県を襲った台風十五号により被災された皆様にお見舞い申し上げますとともに、お亡くなりになられました方々の御冥福を心よりお祈り申し上げます。県におきましては県民に寄り添った迅速な対応をお願いいたします。
 それでは質問に入ります。
 私は、ふじのくに県民クラブを代表し当面する県政の諸課題につきまして通告に従い知事、副知事及び関係部局長並びに教育長、教育部長、警察本部長に一括質問方式にてお伺いいたします。
 初めに、保育施設、教育施設の送迎バスの安全管理について伺います。
 去る九月五日、牧之原市内の認定こども園の送迎バス内で園児が車内に炎天下の中、五時間も取り残され幼い命が失われる痛ましい事故が起きました。この事故はずさんな出欠管理やチェック体制の甘さなどのあってはならないヒューマンエラーで起こってしまった悲劇であることは明白になっていますが、今後このような悲劇を二度と繰り返さないように県内の保育施設等の安全管理体制のチェックや調査を徹底するとともに、できる限りの対策強化を全国に先駆けて行うべきと考えます。
 韓国では、二〇一八年に法改正をして送迎バスのエンジンを切った後三分以内に決められたチェックをしないと警報音が鳴るなどの装置の導入を求めたほか昨年からは窓ガラスの透明度の検査を義務づけるなど安全対策を徹底しています。また安全装置の導入のための助成制度も設けています。
 これらの事例を参考にしつつ送迎バスの安全管理について現場目線での対策を国に働きかけるとともに、自動車や光関連の企業が多い本県の特性を生かし民間企業とも連携を図りながら県として率先して対策を講じていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、熱海市伊豆山土石流災害の被災者への住宅関連支援について伺います。
 熱海土石流災害から一年がたちました。災害現場での心配される残りの盛土の除去や安全対策の速やかな実施、そして被災された皆様に一日も早く安心と希望をお届けしていくことが我々の役目であると実感しています。
 そこで、被災者対策として御提案いたします。
 災害救助法以外の住宅関連支援として、全国の災害地での復興において住宅金融支援機構と連携した住宅の取得、改修に係る融資の利子補給や県、市町村による民間賃貸住宅の家賃補助、移転費補助などの支援をした事例があります。基本的には被災地が単独市町の場合は広域災害ではないことから都道府県が支援している例は多くありませんが、熱海土石流災害については人災とも言える部分は否めないだけに静岡県としても積極的に熱海市と協働して被災者支援策を講じていくべきと考えますが、お考えをお伺いします。
 次に、盛土条例施行に伴う建設発生土の処理について伺います。
 熱海土石流災害を受けて、甘さが指摘されていた静岡県の条例を迅速に改正したことについては評価をしています。一方で関係者への説明不足による混乱や現場感覚からすると現実的でない部分があることは我が会派としても各方面からのヒアリングや現地調査から認識をしています。大切なのは、これらに対しても迅速かつ的確な対応をしていくことだと考えています。
 今議会では、いずれにしても大きな問題点となる建設発生土処理について大胆な提案をさせていただきます。
 まずは建設発生土を分別する施設を設置すること、そして県事業に積極的に活用すること。例えば御前崎港の埋立事業に活用するなど廃棄から再利用に転換する循環型の公共事業のシステムを描いてみてはどうでしょうか。
 我が会派が追求し提案を繰り返しているサーキュラーエコノミーの姿をつくり出すのは県としての大胆な取組が必要だと考えています。そもそも建設発生土を処理することは事業者の責任となっていますが、県内事業者が建設発生土を処理する場所を確保していくことは県としても条例を厳格化するのであれば同時に考えていくべきだと思います。
 そこで、将来的に県の計画する事業用の土砂として使っていくシステムを構築したらどうでしょうか、所見をお伺いいたします。
 次に、リニア中央新幹線静岡工区に関するJR東海との対話について伺います。
 リニア中央新幹線整備に伴う大井川水資源問題の大きな論点であるトンネル湧水の全量戻しについて、JR東海は県の地質構造・水資源専門部会において、県外流出量と同量を大井川に戻す方策として県外流出するトンネル湧水と同量の田代ダムでの取水を抑制することで大井川に還元し減少分を補するという案を提案しました。JR東海が自信を持って提案したこの田代ダム案については実現性を検証するためその後の専門部会の中で詳細なデータ等に基づいた科学的な議論が展開されるものと思っておりましたが、七月二十日に開催された専門部会におけるJR東海の田代ダム案に関する説明は田代ダム取水口の河川流量や取水量など基礎データが不十分で、水利権の法的課題も確認ができていないなど具体的な議論に至ることなく各委員からも苦言が相次ぐ大変お粗末なものでした。また七月十三日、我が会派が田代ダムを視察した際東京電力の担当者からは、JR東海が大井川下流域の関係者や河川管理者の理解をもらえれば東京電力としても協力できるかどうか考えるがJR東海からは何の提案もないとの説明がありました。とするならば四月の専門部会において、東京電力に対し協力要請することなく田代ダム案を記者発表してまで提案したJR東海の姿勢は全くもって理解し難いものであります。
 一方、七月の専門部会では発生土置場についての対話も行われました。委員からの指摘に対しJR東海のちぐはぐな回答の繰り返しにより議論がかみ合わない場面を見ると大規模な盛土が計画されている燕が残土置場として適しているのか、本当に安全は確保されるのかという不安や懸念を一層大きくさせたのは私たちだけではないと思います。JR東海には国の有識者会議が指導した双方向のコミュニケーションを十分に行い地域の不安や懸念が払拭されるよう真摯な対応を継続するという姿勢が全く見られない状況であります。
 このようなJR東海の姿勢に対し、県は今後どのような方針で対話に臨んでいくのか伺います。
 次に、浜松市沿岸域防潮堤の「みんなで守る防潮堤」の実現に向けた将来像と取組方針について伺います。
 浜松の防潮堤は地元民間企業や市民の多大な寄附と熱い思いにより完成した経緯がございます。現在は仕上げとも言える馬込川河口の津波対策水門の建設が着々と進んでいます。
 ところが、この防潮堤設置場所は異常なまでの集中豪雨の発生などに加えもともと西風の強い沿岸地域であることもあり防潮堤の一部において変状が生じています。県の迅速な対応で処置はなされているものの、今後の維持管理の問題は重大事であると言えます。
 また、我が会派は宮城県岩沼市の緑の防潮堤を視察しましたが、完成後十年足らずの防潮堤には緑の木々が生い茂り市民の憩いの場になっていました。その緑の防潮堤づくりは市民参加による植林を繰り返した結果であり、維持管理にも市民参加が続いているとのことでした。やはり緑の防潮堤づくりの第一歩はみんなで守る防潮堤の体制づくりからだと痛感してまいりました。
 そこで提案をいたしますが、浜松の防潮堤の建設に地元の力をお借りしたのであれば維持管理と利活用についても地元主導にしたらいかがでしょうか。浜松地域では建設費寄附集めに奔走された経済界、防潮堤建設に携わった建設会社、造園業者、植林に関わった市民の皆様などおらが防潮堤意識が根強くあられます。その気持ちを再度、みんなで造った防潮堤をみんなで守るという形にできたらいいと思います。
 また、東日本大震災の復興事業では多岐にわたる事務の煩雑化や効率性が業務遂行上の課題となったことを契機に仙台建設業協会が宮城県など復興事業を包括的に請け負うためにつくった杜の都建設協同組合のような形があります。この形であれば現場の状況や課題に応じて防潮堤や現場の状況を熟知した傘下の組合員が適時適切に維持管理に当たれることになりますし、大規模修繕が必要となる前に適切な補修をすることでコスト縮減や施設の長寿命化も期待できます。さらには再び浜松経済界の御協力を得られれば市民への維持管理についての啓蒙活動などの活性化も期待できますので、この際県としてみんなで守る防潮堤のスキームを構築し浜松市、浜松経済界、建設業、造園業界、教育機関等にも働きかけていく必要があるのではないかと考えます。
 そこで、浜松市沿岸域防潮堤についてこれまでの建設経緯や現在の課題等を踏まえ地域の財産として将来像をどのようにイメージしているか、また目指す姿に近づくための取組の方向性についてどのように考えているか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、遠州灘海浜公園篠原地区野球場の整備について伺います。
 遠州灘海浜公園篠原地区野球場の整備についてはこの夏、浜松市、浜松商工会議所、静岡県野球協議会から陳情を頂いていますので、この球場整備と関連する課題整理について会派としての提言も含めて質問いたします。
 我が会派のプロジェクトチームでは建設予定地の現地調査や他県の野球場の調査研究を重ねてきましたが、現時点での中間取りまとめの段階では浜松市並びに浜松商工会議所の要望内容に近い結論に至っています。県西部には現在の浜松市営球場の老朽化によりプロ野球や社会人野球、高校野球の決勝戦の行えるような設備を十分に備えた野球場がないのが現実であり、県西部地域にとって県営野球場の新設は悲願でありできるだけ大規模球場の建設については思いを同じくするものです。
 一方で、全国の野球場の研究を重ねる中で野球場単体での黒字経営が難しいことやドーム型の球場は初期建設費が通常型の野球場に比べてかなり割高になることも分かってきました。しかしながらドーム型にすることで多目的化が図られ経営面でのプラス要素が大きいことも同時に分かってきました。であれば野球場を主とした多目的利用ができるドーム型球場の建設を模索すべきではないかと考えます。
 日本にあるドーム型の球場は三万五千人を超えるプロ野球仕様の大型球場と一般利用型の五千人規模の小型野球場に大別されますが、今回浜松での建設を目指す野球場はその中間に位置する規模となりますので経営面では様々な利活用の可能性が生じると考えます。また遠州灘に上陸し産卵するアカウミガメの保全問題についても光の漏れにくい形状のドーム型にすることで問題解決がなされると考えます。もう一つの静岡県野球協議会の御要望の練習用のサブ野球場の整備についても広大な面積がある遠州灘海浜公園ですので実現可能かと考えます。
 さらに、今後同時並行せねばならない大切な課題も幾つかあると考えます。
 一つは、高塚駅からのアクセス整備並びに面的な周辺整備です。公園そのものにマリンスポーツやアウトドア機能を持たせ集客力を高めることももちろんですが、まちづくりの観点から面的なにぎわいづくりを描くことは欠かせない要素となると思います。
 二つ目は、本来の野球場の利活用促進策としての日本野球機構――NPBへの働きかけです。現在の十二球団を十六球団に増やすという動きがあることは広く知られていますし、現在の十二球団でも寒冷地に本拠地を置く球団の春先や秋の試合開催誘致などNPBに対する働きかけなどを野球場建設と並行してやるべきです。
 三つ目は、御要望を頂いた皆様にもお願いして浜松地域の新球場建設への機運の盛り上げよりよい野球場を建設するための調査研究を促進する研究会、協議会の設置を呼びかけることも必要だと考えます。
 以上、同時並行しつつこの新球場の建設計画の推進をしていくべきと考えますが、御所見を伺います。
 次に、カーボンクレジットの導入促進について伺います。
 グリーンカーボンとブルーカーボンによるカーボンクレジット制度の導入促進について提言をいたします。
 まずブルーカーボンですが、六月議会の公明党静岡県議団の代表質問において水産部局がブルーカーボンの取組について前向きな答弁をされていましたがブルーカーボンは水産分野だけではありません。我が会派では国土交通省が実証実験に取り組んでいる釧路港の海草や藻場の整備状況を視察し県内各地での藻場育成の可能性は十分あるのではないかという手応えをつかんできました。
 例えば、御前崎港をはじめとする県内港湾の防波堤周辺や浜名湖の浅瀬など県内のブルーカーボンの養成に適した地域は数多くあるように感じますので、約五百キロの海岸線を持つ静岡県の強みを生かせるところでもありますので精力的に取り組むべきと考えます。
 また、グリーンカーボンについても五十万ヘクタール弱の森林面積がある静岡県としたらカーボンクレジット化を促進していくべきであると考えます。
 クレジット化に向けては森林のCO2吸収量のモニタリングが問題になりますが、静岡県の誇る三次元点群データ技術などを使ってデータを算出できるシステムを確立できるようFAOIプロジェクトでの取組を進めていくべきと考えます。またあわせて森林・林業局においては県内の森林管理において森林経営活動、植林活動、再造林活動がうまく進むように研究指導をしていくべきと考えます。
 現在、カーボンクレジットの導入促進についてはおのおのの所管課で取り組んでいますが、静岡県の持つポテンシャルを生かしたブルーアンドグリーンカーボンのクレジット化を一層推進していくために横の連携を強化して取り組んでいくべきと考えますが、それぞれについて所見を伺います。
 次に、浜名湖についてのうち、浜名湖湖岸堤の整備について伺います。
 約四年前に一般質問において、浜名湖岸は老朽化が進んでおり浜名湖岸の老朽化対策を早急に進めてほしい旨の要望をいたしました。私の地元湖西市におきましても、背後に住宅を抱えた新所・入出地区や新居中野郷地区の老朽化が激しく地域住民は高潮や津波等による被害に対して不安を募らせております。
 湖西市の浜名湖岸の管理割合は民間の所有が約四割、官の管理が残りの約六割であり、官の管理も湖西市や県の河川、港湾、農林等に分かれているため様々な課題はありますが県として具体的な対策を行うための調査等を進めてくださっていると聞いております。
 今後、調査結果に基づき計画的に具体的な事業が展開されると思いますが、背後に住宅を抱えた地区の対策を最優先に行っていただくことをお願いするとともに、地域振興につながる整備をぜひお願いしたいと思います。
 例えば、湖西市新所・入出地区は浜名湖サイクリングルート沿いに位置しており、再整備する護岸の管理道を自転車道として活用することは地域振興に大きく寄与すると考えています。
 そこで、高潮や津波等による被害から地域を守るため県として浜名湖岸湖岸堤の整備について今後どのような取組を進めていくのか、所見を伺います。
 次に、アサリの資源回復について伺います。
 アサリの二〇二一年の漁獲量は百トンで前年を八五・九%下回り三年連続で過去最低を更新しました。一九八九年以降で最も多かった二〇〇九年の六千七トンに比べると六十分の一の水準にまで激減しました。私の地元の漁業者は漁協に所属しながら期間工の仕事やアサリ以外の漁の手伝いをして何とか生活している現状です。
 このアサリの不漁には様々な要因が考えられますが、浜名湖は二〇一八年、水産用水基準の全窒素、全リンが下限値を下回っており全体としては貧栄養化が進行していることも原因の一つとして考えられます。
 海の水の色が緑色から青色になり湖に入れば足にからまっていたアマモはなくなりましたので、私も浜名湖はきれいになりすぎたと肌で感じています。ただしプランクトンの餌となる無機態窒素は減少していないことから早急な結論は下せないのが現状です。しかし他県では浄化センターの能動的な管理により栄養塩類を海に流す取組を進めていますので浜松市と湖西市の協力を頂いて試験的に行う必要があると考えます。また先ほどのブルーカーボンの質問でも取り上げましたアマモを増やすことはアサリの資源回復の観点からとても重要な取組だと考えます。
 アマモ場は魚類などの産卵場や稚魚の成育場所として貴重な場を提供するとともに、プランクトン等が豊富に生息するため餌場として、また捕食者からの隠れ場所としても優れています。クロダイやスズキといった地先性の魚類だけではなくマダイ等の産卵入り込み種にとっては、さらにはエビ類、ガザミ類、イカ・タコ類など産業上重要な多くの魚介類に利用されています。また漁場としての価値も高く、アマモ場単位面積当たりの漁業生産性は一般海面の五から十七倍にも及ぶと試算されています。
 視察に伺った岡山県日生では、一九八五年に小型定置網漁業者がアマモを増やす活動を開始し十二ヘクタールまで減少していた日生海域の藻場を二百五十ヘクタールまで拡大させて環境改善の取組を進めており、浜名湖でも同様の取組が必要だと考えていますし、アサリを浜名湖内で増殖する養殖の取組も拡大する必要があると考えています。
 現在、浜名漁協では県の水産・海洋技術研究所浜名湖分場の協力の下クロダイやツメタガイなどの食害生物の駆除のほか産卵する親貝を守るために漁場の一部を網で囲って保護区を設置するなどアサリの資源を少しでも回復させるため活動に取り組んでいると聞いています。令和四年のアサリの漁獲量は七月末時点で前年一年間の総漁獲量を十九トン上回ったものの、資源の水準は依然として低く回復への道のりはまだまだ厳しい状況となっています。
 そこで、県はアサリの資源回復についてどのように考え取組を進めていくのか、御所見を伺います。
 次に、県立自然公園の保護、利活用について伺います。
 私の地元には湖西市とお隣の豊橋市にまたがっている湖西連峰というすばらしい資源があります。登山初心者の方や気軽にトレッキングをするには最適な低山であり、シーズン時には一日百人を超える多くの登山客をお迎えしております。私も若かりし頃空手のトレーニングで湖西連峰を走り、現在も家族で山に登ったり個人的にも大変思い入れのある場所です。
 しかし、最近豊橋市側の登山道が広範囲にわたって閉鎖されてしまうというショッキングな出来事が起こりました。豊橋市側の登山道の整備をボランティア組織が長年行ってくださっていたのですが高齢化に伴い会が解散してしまったことによるものです。現在湖西市側も梅田地区の自治会や市民団体の御厚意で、そして市の職員さんも頑張っていただいておりますけれども、整備を行っていますが負担が大きく、また利用者の増加による駐車場のキャパシティーオーバーの問題もあり利用者等へ相応の負担を求める声も上がっています。こういった問題は湖西連峰を含む県立浜名湖自然公園だけではなく、保護と利用の課題は県下全域の県立自然公園共通の課題だと考えます。
 現在、県立自然公園ごとに公園計画があり協議会も設置されていますが十分に機能しているとは言えない状況です。協議会の活動をより活発化するとともに、保護、利用両面で目に見える動きが必要です。
 長野県においては、自然公園施設整備にかかる予算を確保し登山道の整備や補修にも県が前面に出て支援も行うと同時に自然公園の利活用に対して民間事業者と対話して課題等を把握するサウンディング調査を行うなど先進的な取組が展開されています。
 そこで、県として今後県立自然公園の保護、利活用にどのように取り組むのか、県の所見を伺います。
 次に、浜名湖花博二十周年記念事業について伺います。
 浜名湖花博二十周年記念事業について会派として浜名湖ガーデンパークを視察し、舘山寺観光協会をはじめとする関係者との意見交換も重ねてきました。その上で、事業を計画していく上で以下について提案いたします。
 まずは園内施設のリニューアルについてです。
 開園から二十年となると施設の劣化やエリアコンセプトの見直しが必然です。具体的には、国際庭園は老朽化が目立つ上に設置テーマが不明瞭になってきていますので撤去も視野にエリアコンセプトを刷新すべきと考えます。また公園内に食事施設がほぼなかったということは以前より課題とされてきました。この際この食についても、例えば期間中にダイニングアウト、いわゆる野外レストランを開催し高品質の県産食材と一流の料理人の売り出しをするなど大胆なエリアコンセプトの見直しの中できちんとした位置づけが必要と考えます。
 さらに、エリアコンセプトをつくり直す中でSDGsの実践、DXの導入、舟運や自動運転など移動圏拡大の実証、アウトドア機能・学習機能、浜名湖のマリンスポーツやゴルフ場、芝生広場との連携したスポーツ機能、ワーケーション機能などの要素の組み込みが必要だと考えます。そしてこれらが二十周年記念事業の一過性のものに終わらず理想の公園の在り方を追求する姿として具現化することが望ましいと考えます。
 以上の提案について、所見を伺います。
 次に、シラスウナギの持続的な採捕に向けた取組について伺います。
 現在、漁業法の改正によりシラスウナギの採捕が従来の種苗採捕許可から知事許可漁業に移行し特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律がシラスウナギに適用される動きがあります。
 私の地元浜名漁協におけるシラスウナギ採捕は、二百人余の組合員が従事し多くの組合員の重要な生業になっています。今回の改正はシラスウナギ採捕の持続性を担保するため流通や売買の制度を整えるよい機会だと考えていますが、新たな制度づくりのために三つの視点が重要になってきます。
 まず一点目は、県外向けの流通に関する規制についてです。
 シラスウナギは日本のみならず国際的に流通しており、県内養鰻業者は自由に県外から購入しているにもかかわらず県内で採捕されたシラスウナギは県内養鰻業者のみ購入が認められ県外へ流通させない仕組みとなっています。そのため県内のシラスウナギの価格は県外のものより安い場合も多く不正の温床になっていると指摘されています。
 二点目は、採捕許可数量の増加についてです。
 県内の養鰻業者全ての需要を満たすには二・四トン程度が必要となりますが、現在の許可数量は一・七トンにとどまっています。シラスウナギの採捕量は年変動が大きく産地間においての採捕量の変動があります。国内全体の需給調整に参加することで県の枠の撤廃等を検討することが必要です。
 三点目は、公平性のある売買の場の確保です。
 価格競争を促して公正な価格決定がなされる仕組みが必要です。
 そこで、県はシラスウナギ採捕の持続性を担保するため流通や売買の制度を今後どのようにつくっていくのか、また利害関係者との協議の場をどのように設けていくのか、県の所見を伺います。
 次に、スタートアップ支援について伺います。
 スタートアップとは急成長をする組織のことであり、僅か数年間で数千億円の価値評価がつく会社や数十年で世界を変革するような事業を行おうとしている会社などを指します。
 今年六月に公表された政府の経済財政運営と改革の基本方針二〇二二、いわゆる骨太方針にはスタートアップが重点投資分野に位置づけられました。政府は今後五年でスタートアップへの投資額を十倍に増やすとの目標を掲げスタートアップへ支援を強化していく方針を打ち出しており、静岡県内では浜松市はスタートアップ支援において全国的に見ても注目すべき施策を展開しています。
 例えば、市が認定したベンチャーキャピタルによる市内スタートアップへの投資に対し市が協調して交付金を出すなどベンチャーキャピタルが市内スタートアップに投資しやすくし市内スタートアップにとって資金調達手段を増やすことを目的に実施しているファンドサポート事業は、よい意味での行政の枠を超えた先進的な事業です。早くも浜松市では様々な成果が出ていますので人材不足、資金調達等のスタートアップの課題解決に向けた支援事業を県下全域にも展開するべきと考えます。
 そこで、県としてスタートアップ支援についてどのように考え支援を行っていくのか、県の所見を伺います。
 次に、耕畜連携の推進について伺います。
 長期化する新型コロナウイルス感染症の影響やウクライナ情勢などによって飼料や肥料の価格が高騰し米、野菜などを生産している耕種農家や生乳、肉などを生産している畜産農家の経営に大きな影響を及ぼしています。現在飼料や肥料については海外からの輸入に頼らざるを得ない状況にありますが、今後は外的要因に左右されにくく安定的に農業経営ができる環境を整えることが不可欠であると思います。
 先月、我が会派では浜名湖畔にある浜名酪農業協同組合のTMRセンターを視察しました。同センターでは果実の絞りかすなどの植物由来の食物残渣を有効活用することで良質で安価な飼料を製造しています。これは食品産業では廃棄物となるものが畜産農家にとっては貴重な資源として有効活用できることを示す好例で、サーキュラーエコノミーの実践としてとてもすばらしい取組であると思います。
 農業においては水稲農家から出たわらは家畜の飼料として利用され畜産農家が家畜のふん尿から生産する堆肥は耕種農家の貴重な肥料の一部となっています。私の地元の湖西市はもともと養豚場が多く、さらに今回視察した浜名酪農協による千頭クラスの牧場が整備されたことにより莫大な堆肥が発生することになります。これらを耕畜連携で肥料の一部として活用することなどができれば両者の安定した経営につながるとともに、お互いの経営の中では利用が難しい生産物を融通し合い有効活用する仕組みを構築することで地域におけるサーキュラーエコノミーのモデルになり得る取組に発展することも期待できます。
 耕畜連携の一層の推進に向けたこの提案について県としてどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次に、医療分野における個人番号制度の活用について伺います。
 現在あらゆる分野でDXが加速していますが、劇的に変化する可能性を秘めているのは医療分野です。社会保障審議会医療保険部会でも全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大について議論が活発に行われております。全国どこでも安心して自身の保健医療情報が医師などに安全に共有されることにより通常時に加え救急や災害時であってもより適切で迅速な診断や検査、治療等を受けることを可能にすることが目指すべき姿となります。
 国においてもマイナンバーカードを利用し令和三年七月からは特定健診情報を、同年十月からはレセプト記載の薬剤情報を、そして本年九月からは放射線治療や画像診断等の医療情報を確認できる仕組みの運用が開始されています。この仕組みの拡大にはマイナ保険証の普及率の向上、診療所等へのカードリーダーの普及、電子カルテなどの課題が多くありますが静岡県としても他県のモデルになる先進的な取組を進める必要があると考えます。
 そこで、県として個人番号制度を活用し医療情報を確認できる仕組みの拡大についてどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次に、外国人施策の一体的な推進について伺います。
 本年七月に浜松市で開催された知事広聴において、静岡文化芸術大学の四年生が自らの体験を基に、国籍や肌の色の違いなどで日本人は外国人を見た目で判断することがあると話されていました。本県には多様な国籍や在留資格を持つ約十万人の外国人県民が居住しており、誰もが暮らしやすい静岡県としていくためには外国人と日本人とが互いの文化や習慣を理解し共に多文化共生の地域づくりを進める必要があります。
 一方で、日本国全体の課題である人口減少や少子高齢化は本県も直面している喫緊の課題であり、生産年齢人口の不足に伴い外国人労働者に対する需要は増しています。
 このような中、新型コロナウイルスの感染拡大により海外との往来が制限され海外との交流事業の中止、延期が相次いでおり、今年三月に改定した静岡県地域外交基本方針では地域外交の新たな取組として世界から選ばれるふじのくにを目指して外国人材や外資系企業の誘致に力を入れるとしています。そのためには地域外交の持つネットワークを生かして多くの高度人材を呼び込むことはもちろんのこと、取り込んだ外国人材が互いの文化や習慣を理解して地域に溶け込む視点を持ったことも重要であり、海外からの活力取り込みを図る地域外交と県内の外国人材の受入れ共生を担う多文化共生課が一体的に取組を推進することが必要だと思います。
 そこで、今年度から新たに掲げた世界から選ばれるふじのくにを目指して、どのように取り組むのか、県の所見を伺います。
 次に、高校の入試改革について伺います。
 令和三年六月県議会の本会議において、子供たちが内申点を過度に意識することがないよう内申偏重の入試制度の見直しを検討してほしいと要望させていただきました。それを受けて県の教育委員会は昨年度静岡県公立高等学校入学者選抜制度に関するアンケート調査を実施してくださり、アンケート結果の御報告も頂きました。
 そこでは学力検査、面接等調査書の何を入試で重視をしてほしいですかとの設問があります。この設問への回答を見ると中学生、中学生保護者及び高校生保護者では学力検査を重視してほしいとの回答は約三割にとどまり調査書を重視してほしいとの回答の約四割を下回っています。
 一方で、受験を経験した高校生の約半数、中学校教員と高等学校教員の約六割が学力検査を重視してほしいと回答しています。平成十八年のアンケート結果と比べ全体として学力検査を重視してほしいという傾向があると思います。
 時代の変化により生徒さんも学校の先生も保護者も考え方が変わっていると思いますので、外部の有識者等も交えて時代に即した入試制度とは何かを議論する場をつくって制度の変更をしていく必要があると考えています。
 そこで、昨年のアンケート結果の主たる結果報告、また結果をどのように分析され今後に生かしていくのか、御所見を伺います。
 次に、警察業務におけるDXの推進について伺います。
 現在、民間企業、行政機関など様々な分野においてデジタル化の動きが加速しています。警察においても社会の変化に伴う新たな事件に対応していくことや警察職員の働き方改革、業務運営の合理化、効率化を図るため、そして県民から見た警察関連諸手続の利便性の向上のためにデジタル化の取組を進めることが必要です。
 既に、県警察においては署長会議などの部内会議をオンラインで実施し道路使用許可申請などに利用できる警察行政手続サイトの運用を開始するなどの取組を進めています。さらに事件解決や警察職員の負担軽減に効果が期待できる事故事件へのドローン活用やAIによる画像解析、出張報告などの各種部内報告のデジタル化、県民の日常生活に欠かせない運転免許に関する各種手続のオンライン化など一層の取組が期待されるところです。
 そこで、今後どのように警察業務のDX化を進めていくのか、御所見を伺います。
○議長(藪田宏行君) 川勝知事。 
○知事(川勝平太君) 田内議員にお答えいたします。
 保育施設、教育施設の送迎バスの安全管理についてであります。
 子供の命と健康が守られるべき認定こども園の送迎バス内において、このたび園児死亡事故が発生いたしました。大変痛ましく県として決して看過することができません。
 県では、今回の事故を重く受け止め牧之原市と共に当該施設に対する特別指導監査を行い原因究明に努めるとともに、政令市とも連携し送迎バスを運行する全ての保育施設等に安全管理体制の書面調査を実施いたしました。その結果を踏まえ明日二十七日から立入調査を行い再発防止に向けた個別指導を実施してまいります。
 さらに、バス送迎時における子供の安全対策を強化するために国が検討を進めている緊急対応策の内容を踏まえつつ、県独自で子供のバス送迎に係る安全管理指針を早急に整備いたします。策定に当たりましては有識者から御助言を頂きながらバス乗降時や登園時における子供の人数確認、ダブルチェック体制の徹底、運転手以外の同乗者の配置、関係者間での情報共有等具体的な手順を盛り込んでまいります。
 今後は、ヒューマンエラーを回避するために人の動きを検知するセンサーやアラーム等の警告機器など安全装置の導入についても民間企業の協力を得て研究を行ってまいります。有効なものにつきましては、施設へ周知し活用を促すことにより事故の確実な防止につなげてまいります。
 県といたしましては、全ての子供の安全が守られ健やかな成長が確保されるよう保育施設等における送迎バスの安全管理を徹底してまいります。
 次に、浜松市沿岸域防潮堤の「みんなで守る防潮堤」の実現に向けた将来像と取組方針についてであります。
 浜松市沿岸域防潮堤は、地元浜松を創業の地とする篤志家による多額の寄附が契機となり「みんなで実現!未来を支える防潮堤」のスローガンの下、市民、企業、団体等がオール浜松の体制を構築し安全・安心のランドマーク一条堤として令和二年三月に竣工しました。篤志家がお始めになってオール浜松で造り上げられた一条堤築堤の事業は金原明善翁の治山事業に匹敵するものと考えております。
 現在は、津波に対する地域防災力の向上はもとより散策やウオーキングなど健康増進の場として利用され、防潮堤から望む海岸線や中田島砂丘などは雄大な景観を楽しむ新たな観光スポットとなるなど多くの人々に親しまれております。
 一方、中田島砂丘や舞阪周辺では雨水の集中や強い西風により施設の変状が確認されており、保安林区域内の植栽木の適切な保育等と併せ防潮堤が有する機能の維持管理や利用における課題となっております。現在の利用状況や防潮堤が整備されたこれまでの歴史を踏まえますと、当防潮堤が浜松市域を守る防災上の役割だけでなく平時における憩いやにぎわいの場、防災や環境を学ぶ場として多様な役割を担うことで市民がこれまで以上に誇れる施設となることが防潮堤の将来像であると考えております。
 また、かつて天竜川の治水事業など国家社会公共のために一生を捧げられた金原明善翁の私財を投じて治山・治水に尽力された歴史が令和の時代においても語り継がれていますように、市民一人一人が防潮堤を保全する役割を担い市民の手で後世に継承していくことでこの将来像を目指してまいります。
 そのために、市民や地元企業などと将来像を共有しその実現に向けた手法などについて議論する仮称ですが、防潮堤みらい懇話会を立ち上げます。この懇話会の立ち上げに際し県では農林事務所、土木事務所が協働で主導しまずは防潮堤建設に携わった市や建設業界などを交えた準備会を年内に開催し意見交換を行います。また市民や企業と協働で施設点検パトロールなどを行う啓発イベントを定期的に開催し、浜松市域共有の財産である防潮堤を市民自らが守る意識の啓発を図ってまいります。
 県といたしましては、地域の安全・安心のために尽力した金原明善翁の精神と同様この十七・五キロに及ぶ一条堤が浜松市域の安全・安心を担い市民が新たなにぎわいや交流の場として関心を寄せ市民による主体的な取組、いわゆるシビックプライドの醸成が継続的に行われるように努めてまいります。
 次に、浜名湖についてのうち、浜名湖湖岸堤の整備についてであります。
 浜名湖地域は、遠江八景に代表される美しい景観や海や山の魅力ある食材、四季折々に咲き誇る花々、豊かな自然を生かしたマリンレジャー、あるいはサイクリングなど多彩な地域資源に恵まれております。この魅力あふれる浜名湖の湖岸堤につきましては、議員御指摘のとおり地域住民から施設の老朽化、高潮・津波に対する不安の声が寄せられておりますことから、県は平成三十年度に浜松市や湖西市などと共に勉強会を設置し計画的な整備に向けた検討を進めてまいりました。勉強会では想定される高潮や津波への対策が必要な区間の抽出や浸水想定区域の把握、施設所有者の調査など主に防護面における検討を行ってまいりました。その結果湖西市における浜名湖岸は民間所有が四割とのことでございましたけれども、浜名湖全体、湖岸全周約百二十キロメートルのうち約八割で高潮や津波に対する高さが不足していることや民間所有の湖岸施設が約五割存在していることなど湖岸堤の整備を進める上での実態並びにそれに伴う課題が明らかになっております。老朽化が進み防護面で課題がある浜名湖湖岸堤は抜本的な改修、整備を計画的に進める必要があります。
 このため、県ではこれまでの防護に関する検討に加え観光や水産振興等の利用、景観や自然環境等の環境など様々な視点から検討を行い令和五度中を目途に仮称でございますが浜名湖水辺整備計画を策定することといたしました。
 この計画の策定に向けて今年度、県、浜松市、湖西市、観光や漁業に関する団体などにより構成する検討組織を設置いたしまして浜名湖の多彩な魅力を最大限引き出すための湖岸堤の整備の在り方などにつきまして検討を進めます。あわせてこの計画に定める整備の優先順位につきましても、高潮や津波により想定される被害の大きさや既存施設の老朽化の度合い、地域振興策との連携などを地区ごとに総合的に評価し設定いたします。計画策定後は優先順位が高い地区から順次整備を進めてまいります。
 今後策定する仮称浜名湖水辺整備計画に基づき防護、利用、環境、これら三つの調和の取れた浜名湖の水辺空間の整備を進め浜名湖岸の安全度の向上と周辺地域のさらなる魅力向上、振興に取り組んでまいります。
 次に、スタートアップ支援についてであります。
 経済成長の原動力であるイノベーションを生み出し社会課題の解決にも貢献し得るスタートアップは、日本経済の新たな牽引役として期待される存在です。こうした企業が自律的に創出され成長できる環境を整備することが重要であると認識しております。
 御紹介がありました浜松市では早くからスタートアップの育成・支援に取り組まれており、二〇二〇年七月に愛知県や名古屋市と一体で国が認定するグローバル拠点市の一つに選ばれました。ファンドサポート事業のほかにも環境整備や人材育成など様々な支援策が展開されていると承知しております。
 一方、本県では大学の先端的な研究シーズに着目し大学発ベンチャーを継続的に創出する仕組みを構築してまいりました。
 具体的には、大学のシーズと地域企業のニーズを結びつけるコーディネーターを配置するとともに、スタートアップの育成に実績がある民間事業者が伴走支援を行っています。さらには試作品の製作や市場テスト等への補助を行うことで近年静岡大学や県立大学などを中心に起業件数が増加するなど着実に成果を上げております。
 加えて、TECH BEAT Shizuokaの開催を通じまして首都圏に集中するスタートアップによる県内企業等との協業や本県への進出を後押ししております。
 このほか、県内では金融機関をはじめとする民間事業者が独自に支援拠点を開設する事例やベンチャーキャピタルによるファンドの組成など新しい動きも見られております。
 県といたしましては、大学発ベンチャーなどの創出及びその育成と首都圏スタートアップの誘致に取り組むとともに、年内にも策定される国の育成五か年計画を踏まえて民間事業者の動向や浜松市の先進的な取組も視野に入れ県内全域での効果的なスタートアップ支援の在り方を検討いたします。
 なお、その他の御質問につきましては副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を申し上げます。
○議長(藪田宏行君) 森副知事。
○副知事(森 貴志君) 遠州灘海浜公園篠原地区野球場の整備についてお答えいたします。
 遠州灘海浜公園篠原地区野球場につきましては、先日浜松商工会議所、浜松市長及び静岡県野球協議会からそれぞれ御要望を頂きました。その際それぞれの立場から、地域振興の起爆剤として西部地域のスポーツの拠点にふさわしい施設を、アマチュア野球の振興を通した青少年育成になど皆様の御期待と熱い思いを届けていただきました。
 県では、皆様の御期待にお応えできるよう野球場の規模及び構造のタイプごとに建設費、維持管理費及び経済波及効果等を算出し取りまとめたところであり、引き続きアカウミガメが産卵、ふ化する環境を保全し海の豊かさを守るSDGsの視点なども取り入れながら選定を進めてまいります。
 議員からの御指摘のありました課題のうち、まず高塚駅から公園周辺に至る地域のまちづくり、にぎわいづくりにつきましては浜松市からの要望の際に鈴木市長から市で責任を持ってやっていきたいとの力強いお言葉を頂きましたことから県と市で情報共有を図りながら連携して取り組んでまいります。また利活用促進策につきましてはプロ野球のエクスパンションの動向を注視していくとともに、本県への試合等の誘致に向けた検討や調整を日本プロフェッショナル野球組織など関係者と連携しながら進めてまいります。
 さらに、よりよい野球場を建設するための取組につきましては、利用者の目線で望まれる野球場の姿を研究し整備に向けた機運醸成を図るため関係者が集い勉強する場の設置について検討してまいります。野球場整備の早期実現と効果向上のためには御要望頂いた団体をはじめとする地元の皆様、野球に関わる皆様と連携して戦略的に取組を進めていくことが極めて重要であります。
 県といたしましては、引き続き関係する皆様と力を合わせ遠州灘海浜公園篠原地区において地元に愛されにぎわいをもたらす野球場の実現に向け着実に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 難波静岡県理事。
○静岡県理事(難波喬司君) 熱海市伊豆山土石流災害の被災者への住宅関連支援についてお答えをいたします。
 熱海市土石流災害により現在百三十世帯が自宅に戻れず県営住宅や市営住宅、県が借り上げた民間賃貸住宅などの応急的な住まいで避難生活を送られています。県営住宅等に入居の被災者の皆様は入居から二年間は家賃負担がありません。災害発生から約二年後となる令和五年の夏頃までには警戒区域が解除される見込みです。それにより自宅に戻れる方がいる一方で、新たに宅地造成が必要な場所については造成に時間を要することなどから家賃負担のない期間を超えて自宅に戻れない方もおられます。これらの方々については民間及び公営住宅の入居期間や家賃補助の延長とできるだけ早く恒久的な住まいに移行できるように環境を整えることが何よりも重要であります。
 そのため、県は恒久的な住まいの選択肢となるよう県営住宅七尾団地の建て替えを予定より一年前倒しをし令和六年六月を目途に進めております。あわせて熱海市が国の補助を活用して行う被災者向け賃貸住宅の整備などが進むよう国と市との調整を積極的に行っております。
 熱海市は、被災者向け説明会において応急的な住まいで生活されている方への支援として恒久的な住まいに移るまでの間の民間賃貸住宅への家賃補助や市営住宅の家賃無料期間の延長、被災区域の宅地の造成、引っ越しに係る費用の負担などの支援策を示しました。県といたしましても県営住宅入居世帯についても市営住宅と同様に自宅に戻れるまでの期間の家賃を無料にすることも必要かと考えております。また議員から御提案頂いた住宅の新築や改修に係る融資の利子補給も含め支援策を検討してまいります。これらの実施には財源の裏づけが必要となるため熱海市と相談しつつ期間や対象範囲等について今後調整を進めてまいります。
 県といたしましては、被災された方がそれぞれの意向に沿った恒久的な住まいを得て一日も早く日常を取り戻していただけるよう全力で取り組んでまいります。
 次に、リニア中央新幹線静岡工区に関するJR東海との対話についてであります。
 国の有識者会議が取りまとめた中間報告の中では、JR東海に対して地域の不安や懸念が払拭されるように真摯な対応を継続することが求められました。県としましては、この国の有識者会議からの指導を受けJR東海が双方向のコミュニケーションを行うことを大いに期待をしていたところであります。
 しかし、七月二十日に開催した地質構造・水資源専門部会におけるJR東海の説明は、議員御指摘のとおり田代ダム案の実現性について十分な検討がなされておらず対話を進める状態になりませんでした。その一方でJR東海が住民への説明用として七月十三日から配布している冊子には、山梨県への流出と同時期に実現可能な案ですと記載されていました。その姿勢は従前の自らの考えを理解させようとする説得型のコミュニケーションであり、地域の皆様の不安を理解した真摯な対応であると言えるものではありませんでした。
 さらに、自然由来の重金属等を含む要対策土を藤島に盛土しようとする発生土処理計画については、七月一日に施行した静岡県盛土等の規制に関する条例に基づき盛土は認められない旨を説明しているところであります。しかしJR東海は適用除外の考え方を県に確認したいと述べるのみで専門部会が求めるオンサイト処理へ計画を変更する姿勢は見られません。
 現在、直近二回の専門部会においてJR東海の回答が不十分であった六十四項目について文書での回答を求めておりますが、JR東海には双方向のコミュニケーションとなる真摯な対応を求めたいと思います。
 県といたしましては、今後ともリニア中央新幹線の早期実現と大井川の水資源及び南アルプスの自然環境の保全との両立を図るためJR東海との円滑な対話の促進に努めてまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 太田交通基盤部長。
○交通基盤部長(太田博文君) 盛土条例施行に伴う建設発生土の処理についてお答えいたします。
 建設発生土につきましては、まず現場内で発生抑制を十分に検討し、やむを得ず現場から搬出する場合でも五十キロメートル以内の建設工事への搬出を原則とする公共建設工事におけるリサイクル原則化ルールに基づき建設資材として有効利用することを推進しております。
 県では、公共工事間での利活用促進を図るため国や県の発生土情報交換システムにより関係者間で情報を共有する取組を進めておりますが、土砂の発生と利用時期及び必要となる土砂の質や量のミスマッチで利活用できない場合があり令和三年度の県発注工事では建設発生土の約三割が残土処分場で処分されている状況です。こうしたことから建設発生土の再利用を一層推進するため建設発生土利活用ルールの周知徹底に加え民間事業者も利用しやすい県独自の発生土情報システムを開発するとともに、新たな土壌改良技術の活用促進や仮置場などの活用を検討するなど処分される発生土の全体量の低減に取り組んでまいります。
 県といたしましては、盛土条例施行以降の建設発生土の処理状況を定期的に把握するとともに、環境負荷の軽減と循環型システムの構築に資する持続可能な建設発生土の処理の仕組みづくりを進めてまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 櫻井農林水産担当部長。
○農林水産担当部長(櫻井正陽君) カーボンクレジットの導入促進についてお答えいたします。
 カーボンニュートラルの実現に向けてCO2の吸収源対策を推進するためには、吸収量の取引が資源保全につながるカーボンクレジット制度の活用が重要であると考えております。
 ブルーカーボンにつきましては、榛南地域のカジメ藻場について県が藻場面積の簡易計測手法を開発中であり、漁業者が認証手続の準備を行っているほか県では御前崎港周辺のコアマモについても検討を進めております。こうした先行モデルの取組を県内各地へ横展開し藻場保全活動の活性化につなげてまいりたいと考えております。
 グリーンカーボンにつきましても、県と協定を結んでいる日本製紙株式会社が三次元点群データを活用した簡易で正確な手法を用いてモニタリング調査に取り組んでおります。こうした先進的な取組についてFAOIプロジェクトを通じた技術的アドバイスにより林業経営体等への普及拡大を図るとともに、クレジット対象となる森林経営活動などが着実に進むよう主伐、再造林等の森林整備を支援してまいります。
 こうした取組を全ての産業分野において普及するため、昨年度策定したふじのくにエネルギー総合戦略においてはCO2の吸収源対策を重要な施策と位置づけ部局横断的に推進することとしております。
 県といたしましては、脱炭素社会の実現に向けてカーボンクレジット制度の導入を促進してまいります。
 次に、浜名湖についてのうち、アサリの資源回復についてであります。
 浜名湖のアサリの漁獲量は近年著しく低迷しており、漁業者の経営は大変厳しい状況にあります。漁獲量の低迷はプランクトン量の減少や湖内の潮流の変化など複数の環境要因が複雑に絡み合って起きているものと考えられます。
 議員御指摘の浄化センターの能動的管理に関しましては、アサリの餌となる植物プランクトンの成長に必要な無機態の窒素やリンの量が過去四十年間減少していないことや、下水処理能力を引き下げてさらに栄養塩を供給する場合には水質など環境面への配慮が必要となることを踏まえて関係機関と連携し慎重に検討を行ってまいります。
 また、浜名湖内で減少傾向にあるアマモについては海のゆりかごと呼ばれ稚魚の隠れ家となるなど水産生物を育む役割があるとされており、浜名湖のアサリの生育にアマモ場が果たす機能等の調査研究を進めてまいりたいと考えております。
 アサリの増殖の取組につきましては、漁業者と連携をして囲い網などを設置することで一定量の親貝や稚貝が確保されるなどの成果が見られております。またアサリの減少要因の解明や増殖技術の開発に向けた研究を強化するとともに、クロダイの食害対策も引き続き進めてまいります。
 県といたしましては、有効と考えられるあらゆる対策を講じてアサリの資源回復に全力で取り組んでまいります。
 次に、浜名湖花博二十周年記念事業についてであります。
 本事業のテーマである人・自然・デジタルの架け橋レイクハマナデジタル田園都市の具現化に向け、浜名湖ガーデンパークにつきましては事業の終了後も見据えた上で公園の在り方を検討しております。
 公園内のエリアにつきましては、参加・交流・体験エリア、スマート農業推進エリア、人と自然の共生エリア等の七つに分けそれぞれの特徴を生かしたコンセプトを設定し老朽化した施設の撤去等の基盤整備や花の修景を行ってまいります。
 今後は、花緑を通じた交流に加え食と農、福祉、多文化共生の視点を盛り込むことにより公園の機能強化を図ってまいります。具体的には公園内で生産した農作物の園内カフェでの提供や多様な人々が楽しめるユニバーサルガーデン、ワーケーションなど新しい暮らしの提案にも力を入れてまいります。
 県といたしましては、公園の再整備に当たっては今後の都市公園の在り方のモデルとなるよう持続可能な公園を目指してまいります。
 次に、シラスウナギの持続的な採捕に向けた取組についてであります。
 本県では、県内養鰻業への種苗の安定供給を目的として養殖用のシラスウナギに限って採捕を許可してまいりましたが、漁業法の改正に伴い令和五年十二月の漁期から漁業許可制に移行することとなっております。移行後は種苗の販売先の制限が撤廃され県外への流通が可能となります。
 一方で、県内養鰻業への流通量の減少も懸念されていることから新たな制度設計に当たっては採捕数量の拡大を検討してまいります。その際にはウナギ成魚の漁業者への影響、過度な採捕の予防などの様々な観点や漁業取締りの実効性を高めるための集荷先の運用にも留意してまいります。またシラスウナギの売買につきましては、公平性や透明性が確保され関係者が安心して取引を行うことのできる健全な仕組みづくりに取り組んでまいります。
 県といたしましては、シラスウナギの採捕者や養鰻業者、成魚の漁業者、流通業者といった多様な利害関係者との協議の場を年内に設け御意見を丁寧に伺いながら流通の適正化と水産資源の保護が両立できるよう慎重に制度設計を進めてまいります。
 次に、耕畜連携の推進についてであります。
 国際情勢の不安定化等により輸入飼・肥料の価格が高騰し農業経営が迫する中、議員御指摘のとおり耕種農家と畜産農家が連携し国産の未利用資源を循環利用する耕畜連携の取組は持続可能な農業経営を実現する上で大変重要であると考えております。
 県では今年度、関係各課で構成する耕畜連携検討ワーキング会議を立ち上げ国産飼料の安定的な供給方法や畜産堆肥の特性に応じた効果的な利用方法について具体的な検討を進めております。また耕種農家が堆肥を利用する時期が限定されることや堆肥の散布には大きな労力がかかることから、現在畜産技術研究所において流通や保管が容易で散布しやすい粒状堆肥の研究開発にも取り組んでおります。
 今後は、JAの生産部会等と連携しながら稲わら等を供給する耕種農家と畜産農家を広域的にマッチングする仕組みを構築するとともに、堆肥の利活用が定着するよう先導モデルとなる展示圃場の整備や農林事務所による栽培指導を強化してまいります。
 県といたしましては、地域資源を有効活用する耕畜連携を推進し生産性と持続性が両立した次世代農業を実現してまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 高畑くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(高畑英治君) 浜名湖についてのうち、県立自然公園の保護、利活用についてお答えいたします。
 県では、美しい湖岸景観と森林景観を有する浜名湖県立自然公園をはじめ県内四か所の優れた自然の風景地を県立自然公園に指定しそれぞれの公園計画を定め保護と利用の取組を進めております。この取組を促進するためには行政と地元関係者等で構成する協議会が中心となって継続的に活動を展開していく必要があります。
 このため地域で活動する協議会等が有している登山道の維持管理などに関する課題や先進的事例を共有し連携してその解決や展開を図るとともに、地域活動に関心のある企業や民間団体の参画を募り活動を支える仕組みづくりを行うなど協議会の活性化を促進してまいります。
 加えて、議員御紹介の長野県の取組を参考に公園利用者、観光関係者、環境団体等と対話し保護と利用のアイデアなどを聞き取り協議会の活動に反映させていく取組なども進めてまいります。
 県といたしましては、市町や地元関係者と連携し自然公園の保護と利用の増進を地域の実情に応じて進め県民の皆様に愛され利用される県立自然公園を目指してまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 八木健康福祉部長。
○健康福祉部長(八木敏裕君) 医療分野における個人番号制度の活用についてお答えいたします。
 個人番号制度の活用に当たりましては、特にマイナンバーカードを健康保険証として利用する、いわゆるマイナ保険証の普及が低調であることや医療機関でカードリーダーが広く活用されていないことが課題であると考えております。
 マイナ保険証の普及につきましては、令和四年八月現在全国の普及率はマイナンバーカード交付者のうち二九%であります。国では地方厚生局や社会保険診療報酬支払基金支部等で構成する連携会議を各都道府県に設置することとしており、県では市町や健康保険組合等の保険者と共に連携会議と協力しマイナ保険証の広報に着実に取り組んでまいります。
 また、国は補助制度を拡充し来年度から医療機関でカードリーダーを利用したシステム導入を義務化する方針であります。県では今年度から医療機関での導入後の活用方法につきまして医師会、病院協会等の関係団体と連携し医療関係者が参加する会議で具体的な利用例をお聞きし関係者に周知するとともに、実効性のある取組を研究してまいります。
 県といたしましては、医療機関や保険者等と連携しマイナ保険証の利用により適切で迅速な診断や治療等につながることを県民の皆様に御理解頂くように努め、医療分野におけるマイナンバーカードの活用に積極的に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 山本地域外交担当部長。
○地域外交担当部長(山本 東君) 外国人施策の一体的な推進についてお答えいたします。
 人口減少や少子高齢化に伴い県内経済の成長が鈍化する中、本県が活力を維持、伸長していくためには世界中から憧れられ多くの人々が集う活力に満ちた地域を目指す必要があります。地域外交の持つ海外とのネットワークを活用しながら外国人材や外資系企業を取り込み企業支援や地域活性化に寄与することは重要であると考えております。
 これまで大都市圏在住の外国人材を対象にアンケート調査を実施したところ、本県の実情や優位性が十分に知られていなかったことから情報発信の強化に取り組みました。今年度は県内企業の要望に応えるため外国人材が県内企業に就業するための機会を創出する試行的な事業や外資系企業のサテライトオフィス誘致などを行っております。
 こうした取組を効果的に実施するためには、海外からの活力取り込みを図るとともに、県内で暮らす外国人県民が地域で活躍できるよう十分な支援を行うなど地域外交と多文化共生の施策を一体的に進めることで外国人材の能力が地域に生かされ、さらなる人材の取り込みにつながる好循環をつくることが必要であると考えております。
 このため、現在内閣府の地方創生推進交付金を活用し多文化共生の環境整備や留学生の受入れ、外国人材の就業支援を図る関係部局と共同で海外からの活力取り込みを推進しているほか地域外交局が中心となり関係部局と情報共有を図るための仕組みを整え今後取組を強化してまいります。
 県といたしましては、県民の皆様や県内企業が多くの恩恵を享受できるよう引き続き関係部局と連携し世界から選ばれるふじのくにの実現を目指してまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 池上教育長。
○教育長(池上重弘君) 高校の入試改革についてお答えいたします。
 現在の高校入試制度は、毎年軽微な変更はあるものの基本的には平成二十年度に制定した制度に基づき実施しております。時代とともに生徒や社会の価値観や学びに求める内容も変化していることから、中長期視点の中でどのような制度が望ましいかを検討する時期にあると認識しております。
 検討に当たっては、生徒、保護者、学校の意向はもちろんのこと、県として進めている画一的でない多様な学びへの改革に沿った制度にしていきたいと考えております。議員から御指摘頂いた選抜において何を重視すべきかといった事項も含めながら本質的かつ多角的な視点による検討を行ってまいります。
 三月に実施したアンケートは、こうした認識の下、選抜で重視してほしい事項について調査いたしました。結果はおおむね保護者は調査書重視、教員は学力検査重視の傾向があり、生徒は中学生が調査書、高校生が学力検査重視と意見が分かれております。調査書重視については総合的に評価できる、三年間の積み重ねを評価できる、学力検査重視については客観的に評価できる、入試に向けて勉強した成果を評価できるなどの意見がございました。
 今後は、年内に外部有識者や大学生などに参加していただく入学者選抜制度を検証する場を設置しアンケート結果なども活用した検討を進めてまいります。また県立高校の在り方を検討する外部委員会と相互に意見調整を行うとともに、地域自立のための「人づくり・学校づくり」実践委員会などを通じて幅広い方々との意見交換を重ねてまいります。
 こうした検討を行い十分な周知期間を取った後に制度変更するまでには一定の期間が必要であることから、学校裁量枠の見直しなど現在の制度下における改善、改良は随時行ってまいります。
 県教育委員会といたしましては、社会や地域が求める人材の育成を図るため様々な関係者の御意見を伺いながら時代に合った入学者選抜制度の構築を目指してまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 大原警察本部長。
○警察本部長(大原光博君) 警察業務におけるDXの推進についてお答えいたします。
 警察業務のデジタル化は、新たな治安上の課題に柔軟に対処するという観点はもとより県民の利便性の向上や業務の合理化、効率化、職員のワークライフバランスという観点から重要課題として取り組んでいるところです。
 具体的には、平成二十九年一月から事件事故におけるドローン等の先端技術を活用しているほか本年四月静岡県警察DX推進本部を立ち上げて推進体制を強化したところであり、来年三月には電子決裁を導入する予定としております。また運転免許等の手数料の支払いについても、電子マネーなどによる支払いを可能とするキャッシュレス決済や優良運転者のオンライン更新時講習の導入等の検討を進めております。
 今後も、知事部局や民間企業とも積極的に情報交換を進め、外部の知見等も取り入れながら警察DXを強力に推進してまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 田内浩之君。
       (三十番 田内浩之君登壇)
○三十番(田内浩之君) 御答弁、どうもありがとうございました。
 三点要望をさせていただいて、二点再質問いたします。
 まず一点目、要望でございますけども、浜名湖岸堤の整備でございます。
 知事から大変前向きな御答弁を頂きましてありがとうございます。しっかり計画をつくって、もう事業も進めていただけるということで本当に心強く思います。
 一点要望させていただきたいのが、やはり結構浜名湖岸の整備となると大きな事業になりますので、そこに付随して人員と予算の手当というものもお願いをできればと思いますのでよろしくお願いいたします。
 要望の二点目です。野球場の整備についてです。副知事、御答弁ありがとうございました。
 二点要望させていただきますけども、まず一点目、やはり地域の要望に添ってということでお願いをしたいと思います。浜松商工会議所からも何度も足を運んでいただいて要望書を頂いていると思いますので、そこに添うような、しっかりと計画というものをつくっていただきたいと思います。
 二点目なんですけども、やはり野球以外でどのように稼ぐのかという観点でやはり御一考頂ければと思います。
 私たちも会派で新潟県に視察に伺いました。やはり野球以外で、特に新潟県においては大型のライブですとかコンサートの収益というものが大変大きいそうです。一回やっていただくともう億単位で収入が増えるということでお話も頂きましたので、他県の状況をしっかりと参考にしながら野球以外でどのように稼ぐのかという観点でもやはり研究をしていただいて、しっかり反映をしていただければありがたいなと思います。
 要望の三点目でございます。
 シラスウナギの件に関してでございますけども、利害関係者に御意見を伺っていただけるとは思うんですけども、やはりこのたたき台を相当のところまでつくり込んで示すのではなくてですね、もうある意味たたき台はそこまでつくり込まないでもう最初からやはり利害関係者の方に入っていただいてみんなで新しい仕組みをつくっていくということが非常に大事だと思います。
 浜名漁協様から要望を県のほうにも出させていただいてから、やはり意見交換しますといって多分半年以上はたっていると思います。早急な意見交換の場を設置を頂ければと思いますのでよろしくお願いいたします。
 再質問に移ります。
 県立自然公園の利活用でございます。
 先ほど、県立自然公園の協議会が設置してあってというようなお話も頂きましたけども、ここの協議会がやはり動いてないという印象を持っています。もちろん私の地元の浜名湖もそうなんですけれども、例えば議長の御前崎周辺も非常に県立自然公園としては魅力がいっぱいだと思います。やはり、その協議会をどのように動かしていくかというところに課題があるんですけども、現在動いていないと認識していますのでそこについてちょっと御答弁を頂ければと思いますのでよろしくお願いいたします。
 再質問の二点目です。
 医療分野における個人番号制度の活用についてでございますけども、やはりこのマイナ保険証の普及というのは県民の命を救う上で私とても大事なことだと思っております。マイナ保険証の広報をしていただけるという御答弁はありましたけども、具体的にどのように広報していくようなお考えなのかということは質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○議長(藪田宏行君) 高畑くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(高畑英治君) 県立自然公園の保護、利活用についての再質問にお答えします。
 協議会でございますけれども、県と地元の市町と行政関係者、それから地元関係者等各地の協議会によって様々でございますけれども、そういった方々で参加頂いて協議会を構成しております。各協議会、それぞれの地域の事情ございまして課題それから様々でございますので、そういうところの課題を把握して地元の市町と連携して活性化を図っていきたいと思います。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 八木健康福祉部長。
○健康福祉部長(八木敏裕君) マイナ保険証の広報についてお答えをいたします。
 広報につきましては、国で都道府県ごとに連携会議、これは国の機関が中心でございますがつくられることになっておりまして、まず私ども県、市町はそれと連携しながら取り組んでいきたいと思います。
 具体的には、現在県内三十の市町で国民健康保険証の更新時ですとか納入通知の発行時にリーフレット等を用いましてマイナンバーカードの取得の促進ですとか被保険者証の利用について周知、広報している状況にございます。こうした取組を全市町で着実に実施されるよう県からも働きをかけて県下全域でできるように努めていきたいと考えております。以上です。
○議長(藪田宏行君) 田内浩之君。
       (三十番 田内浩之君登壇)
○三十番(田内浩之君) 一点要望させていただきます。
 県立自然公園ですけども、やはり協議会を設置して、あとはいろんな計画をつくってはあるんですけども、先ほども申し上げましたけどもなかなか前にやはり動いていかないという印象でございます。そこに関しましてはやはり活用と保護、両面でやはり目に見える県としての成果、ただ県だけではできないと思いますのでもちろん地元の基礎自治体ですとか、あとは地元の団体さん等と協力してしっかりとした成果というものを保護、活用両面でお願いできればと思いますので取組をよろしくお願いいたします。
 それでは、質問は以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(藪田宏行君) これで田内浩之君の質問は終わりました。
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。

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