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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成25年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

中澤 通訓 議員

質問分類

一般質問

質問日:

07/23/2013

会派名:

富士の会


質疑・質問事項:

1 “富士の国”づくり国民の会(仮称)について           
2 内陸フロンティアにおける物流拠点の形成について         
3 富士山世界文化遺産登録について                 
 (1) 構成資産における来訪者への情報提供              
 (2) 三保松原の海岸保全と景観                   
4 防災対策について                        
 (1) 緊急輸送路等の整備                      
 (2) 県民の緊急物資備蓄の促進                   
 (3) 原子力災害に係る避難計画                   
5 教育行政について                        
 (1) 三ケ日青年の家ボート事故の責任                
 (2) 教員の採用問題                        
6 高齢者の死亡事故抑止対策について


○副議長(渥美泰一君) 再開に先立ち、御報告いたします。
 本日は、説明者として橋教育委員会委員長が出席しておりますので、御承知おき願います。

○副議長(渥美泰一君) ただいまから会議を再開いたします。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、七十番 中澤通訓君。
       (七十番 中澤通訓君登壇 拍手)
○七十番(中澤通訓君) それでは質問に入ります。
 去る六月十六日に行われました県知事選挙では、川勝知事は五〇%を割る投票率にもかかわらず、得票率七二・六一%、百八万票もの大量得票をされ見事再選されました。静岡県政では初めての学者出身知事で当初はこの行政手法に職員を初め戸惑いを感じた人も多かったこともありましたが、富国有徳の理念のもと日本の理想郷ふじのくにづくりに精力的に県内はもとより国内外を走り回り、着実に前進しているさまを感じさせてきたことが県民に正しく評価され、あわせて今後への期待のあらわれとして託されたものと思われます。新たな四年間がスタートしました。社会経済のグローバル化により予測困難な時代ではありますが、県民が安心し、かつ将来への希望を持ち続けられるような県政進展へのリーダーとしての活躍を大いに期待し、質問に入ります。
 まず、“富士の国”づくり国民の会(仮称)について伺います。
 知事は、知事選再選直後から“富士の国”づくり国民の会(仮称)を立ち上げ、国民運動としたいと言われました。全国知事会、日本記者クラブでの講演でも発言されております。資料によれば、富士山の世界文化遺産登録を契機に富士山を国土のシンボルとして地球環境の保全、地球社会の平和に貢献することを目指しているとされていますが、その内容、今後どのような位置づけにして進めていくのかお伺いします。
 次に、内陸のフロンティアにおける物流拠点の形成について伺います。
 知事が最優先の課題として取り組む内陸のフロンティアを拓く取り組みは、六月二十八日に総合特区の計画認定を受け計画の具現化が図られるものと期待しているところであります。今回の計画認定では、物流企業の立地を促進するための利子補給が認められたということでありますが、立地に至るまでには用地の選定や取得、造成だけでも少なくとも三年程度はかかることから総合特区の目標達成のおおむねの期限とされている五年間では、どれほどの効果が見込めるのでしょうか。新東名は、渋滞もなく災害にも強いことは企業誘致にとっては強みであります。また平成二十九年には中部横断自動車道の中央自動車道との連結が見込まれ、山梨県や長野県はもとより関東一円が清水港のエリアとして視野に入ってくることとなり、本県の拠点性はさらに高まってまいります。しかしながら新東名が開通して一年余りが経過した現在、新規立地の動きはまだまだ十分ではないように思われます。
 そこで内陸のフロンティアにおける県内の物流拠点の形成に向けた具体的な取り組みについて伺います。
 次に、富士山の世界文化遺産登録についてのうち、構成資産における来訪者への情報提供についてであります。
 カンボジア・プノンペンにおいて開催された第三十七回世界遺産委員会におきまして、富士山が三保松原を含めて世界遺産一覧表に記載されました。三保松原につきましては、除外というイコモスの厳しい勧告にもかかわらず、世界遺産委員会においては構成資産として欠くことのできないものであることについて理解を得ることができ、地元の人間としても大変うれしく思っております。五月二十六日には、三千人を超えるボランティアの参加を得て名勝三保松原クリーンアップ大作戦が行われ、世界遺産登録を目指す地元の皆様の熱い思いが伝わったのではないかと思っております。これまでの関係者の御努力に敬意を表するとともに、改めて感謝申し上げる次第であります。
 さて、富士山には三保松原を含め二十五の構成資産があり、それぞれ多様な歴史や価値を持っております。これまで地元の皆様のたゆまぬ御努力により、その価値が守られてまいりました。富士山を訪れる来訪者には、構成資産を見学するということだけではなく大事に守られてきた構成資産の本来の姿や世界遺産としての価値を十分に理解していただく必要があるのではないかと思います。
 そこで県は、来訪者に対する富士山の構成資産に係る情報提供についてどのように取り組んでいくのかお伺いします。
 次に、三保松原の海岸保全と景観について伺います。
 三保松原につきましては、清水区三保半島にある景勝地であり古くは歌川広重の浮世絵にも描かれ、大正十一年には国の名勝にも指定されています。その美しさから日本新三景、日本三大松原の一つとされ、古くから静岡県のみならず日本の風景として愛されてきました。このたび構成資産になったことで三保松原に訪れる観光客が前年の同じ時期に比べて一割から五割もふえているという発表があり、その効果が確実にあらわれているものと感じております。
 委員会に先立ちユネスコの諮問機関であるイコモスからは、富士山からの距離に加え消波ブロックなどの景観が好ましくないとの理由から、三保松原を構成資産から除外するよう勧告も受けておりました。今後は世界文化遺産にふさわしい文化的景観の形成、維持のために、イコモスの勧告時に指摘を受けた海岸の景観の改善が必要であると考えますが、三保松原は砂浜の侵食に加え外洋に面し波浪の条件が厳しい場所であることから、保全と景観の両立は大変難しいものと考えております。このような中で県は、三保松原周辺の海岸の保全と景観の改善にどのように取り組んでいくのか伺います。
 また、今回の登録に当たってイコモスの勧告もあって三保松原の構成資産が危惧されていましたが、多くの人の御尽力でなされたものと思われます。中でも近藤誠一前文化庁長官は、外交官出身ということもあり精力的にロビー活動をされ、そのことが功を奏したとも言われています。近藤前長官の卓越した見識を今後の県政執行に協力いただくことも必要と考えられますが、知事のお考えをお伺いします。
 次に、防災対策のうち、緊急輸送路等の整備について伺います。
 東日本大震災で従来の想定をはるかに超える巨大な地震と津波が発生したことを踏まえ、先月二十七日、本県ではあらゆる可能性を考慮した最大クラスの巨大な地震・津波を含め、今後の地震・津波対策の基礎資料とする静岡県第四次地震被害想定の第一次報告を公表しました。その中で、駿河トラフ・南海トラフ沿いで発生するマグニチュード九クラスのレベルツー地震・津波については、内閣府が昨年示した南海トラフ巨大地震を対象としており、東海地方から九州地方にかけて甚大な被害が発生する超広域災害が想定されております。
 東日本大震災の悲惨な状況を見て現在津波対策ばかりに目が行きがちでありますが、この超広域災害に対応するには、自衛隊、国、他県等からの応援を円滑に受け入れられるよう緊急輸送路の整備等の災害対策の充実も同じように必要であると思います。県では、静岡県第四次地震被害想定の第一次報告と同時に、推計された被害をできる限り軽減するための静岡県地震・津波対策アクションプログラム二〇一三を公表したところであり、このプログラムには、広域支援を円滑に受け入れるため、重要路線等にある橋梁の耐震対策や緊急輸送路上の要対策箇所の整備等が盛り込まれております。想定される被害をできる限り軽減し一人でも多くの県民の命を守るためには、このアクションプログラムを確実に進めていくべきと考えます。
 そこで、今後県は橋梁の耐震対策や要対策箇所の整備についてどのように取り組んでいくのかお伺いします。
 次に、県民の緊急物資備蓄の促進について伺います。
 平成二十三年八月に内閣府に設置された南海トラフの巨大地震モデル検討会において、最大クラスの地震・津波は、関東から四国・九州にかけての極めて広い範囲で強い揺れと巨大な津波をもたらすと想定されました。これを受け、ことし五月二十八日に中央防災会議が公表した南海トラフ巨大地震対策についての最終報告では、超広域にわたる被害への対応として、地域で自活するという備えが必要であり、食料や飲料水、乾電池、携帯電話の電池充電器、カセットコンロ、簡易トイレ等の家庭備蓄を一週間分以上確保するなどの細かい具体的な対応を推進する必要があると提示しております。県は、従前から家庭での食料七日分、うち持ち出し用の非常食三日分を備蓄するよう呼びかけてきましたが、平成二十三年の県の調査では三日以上の備蓄率は三九・六%にとどまっております。県民の中には、どのように七日分の備蓄をすればよいのか戸惑っている方もいると聞いております。
 県がこのたび公表したアクションプログラム二〇一三においても、七日以上の食料・飲料水の備蓄をしている県民の割合を一〇〇%とするアクションを盛り込んでおりますが、このアクションを達成するためには県はどのように取り組んでいくのかお伺いします。
 次に、原子力災害に係る避難計画について伺います。
 県は、浜岡原子力発電所から半径三十一キロメートルを緊急防護措置を準備する区域、いわゆるUPZと位置づけました。この区域には十一市町が含まれ区域の人口は八十六万人に上ります。一旦原子力災害が発生すれば天候などにより多数の住民の避難や屋内退避が必要となります。
 県は、このたび公表したアクションプログラム二〇一三において、平成二十五年度末を目標に避難計画を策定するとしております。災害時要援護者の方々も含め多数の住民が円滑に避難するためには、地域の特性に配慮したわかりやすい避難計画でなければならないと考えます。
 現在、避難計画を策定中であることは承知しておりますが、県ではどのような方針で計画を作成していくのか伺います。
 次に、三ケ日青年の家ボート事故の責任について伺います。
 平成二十二年六月に野外訓練中の事故で豊橋市の女子中学生が死亡、二十四年一月には国土交通省運輸安全委員会の事故報告書において県教育委員会、指定管理者双方の過失が指摘されました。また海事審判において指定管理者の所長には有罪の判決が下されております。女子中学生の両親との損害賠償の和解は昨年十二月県議会で可決し、その折にも県教育委員会の処分について質問をしておりますが、警察の捜査の推移を見てから行うとして見送っております。
 本年二月に県警は、当時の社会教育課長と担当職員、中学校長、指定管理者の所長と二名の職員の計六人の書類送検が行われましたが、五カ月が過ぎている今日いまだ処分が決まっていない状態であります。県教育委員会としての処分はどのように考えているのか改めてお伺いいたします。
 豊橋市の中学校長も書類送検されておりますが、施設の野外訓練を信頼して参加をしての事故で県教育委員会の不誠実さによってもたらされた事故であり、そして書類送検もされております。それについてどのように考えているのか伺います。
 次に、教員の採用問題について伺います。
 三月七日に開かれた平成二十四年度第二十三回県教育委員会定例会の議事録に非公開審議として、二十三年度採用教員の勤務状況の報告事項がありました。内容を確認したところ二十三年四月採用の教員が、四月から三カ月間勤務し七月から特別休暇を繰り返し二十四年度からは一年間休職、本年度復職したとのことであります。教員は、新採用で一年間の条件つき採用つまり試用期間であって、その間に不適応であれば採用取り消し可能であります。この場合何ゆえにそのまま採用となったのか教育長に伺います。
 教員にメンタルヘルスによっての休暇、休職者が多いと言われています。多様化している教育現場だからとも言われていますが、採用時点での試験方法に問題はないのか、その実態と改善策について伺います。
 次に、高齢者の死亡事故抑止対策について伺います。
 静岡県では、新東名高速道路という新たな大動脈を軸に今後ますます道路交通網の整備が期待されている一方で、静岡県内において交通事故により亡くなられた方は、警察発表によりますと、ことし六月末現在で八十八人と全国ワーストワンの愛知県に次いで二番目の多さという極めて憂慮すべき現状にあります。中でも八十八人のうち実に五十人が六十五歳以上の高齢者ということでありました。昨日の県警本部長の議会答弁で、死亡者百人を超えたということもありました。
 この厳しい現状は、警察による過去十年の各年上半期における死亡事故者数をまとめた統計によりますと最高であった平成十六年と平成十八年の五十二人だった年に匹敵する結果であり、本年がまさに交通死亡事故多発年であることは明らかであります。
 事故の形態に目を向けますと高齢運転者が起因となる死亡事故者数は二十六人。歩行中に事故に遭われ亡くなられた方三十一人のうち二十一人が、また自転車運転中の死亡事故者十三人のうち十一人が高齢者であります。こうした厳しい情勢を打開していくためには、警察がリーダーシップをとった交通安全活動がますます重要な課題と思われます。過去には静岡県では、平成二年以降六年間、人口十万人当たりの人身交通事故発生件数全国ワーストワンが続いたことから、厳しい情勢に対処するため平成八年を交通事故総量削減元年と位置づけ、官民を挙げた交通事故ワーストワン脱出作戦を推進し、翌年の平成九年には総量削減に成功しワーストワンの汚名返上をなし遂げた実績があります。
 ぜひとも県警の強力なリーダーシップにより、県民一人一人が死亡事故の抑止に関心を持ち、みずからが交通事故防止に努めるとともに交通事故防止活動に積極的に参加するような機運の醸成を図っていただきたいのであります。現在警察は、高齢者の事故防止に的を絞った交通安全機材を活用しての参加体験型の交通安全教育を推進しているほか、高齢者を対象とした家庭訪問による個別指導、高齢者事故の発生が懸念される夕暮れどきから夜間における視認性を高めるための自発光式の反射材の普及促進を図っていると承知しております。今後、さらなる高齢者の交通安全対策をソフト・ハード両面で加速させ、下半期において高齢者に係る交通事故を抑え込む必要があります。
 そこで、高齢者の死亡事故抑止対策の現状と今後の取り組みについて警察本部長に伺って質問を終わります。
○副議長(渥美泰一君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 中澤通訓議員にお答えいたします。
 初めに、“富士の国”づくり国民の会(仮称)についてであります。
 私どもの愛する富士山が去る六月二十二日、世界文化遺産に認定され正式に登録されました。この富士山を世界文化遺産にするにつきましては、県議会の皆様を初め県民の各層そして国民、内外の人々の厚いサポートがあったから可能になったわけでございます。六月二十二日までは、まことに富士山を世界遺産にするための我々は努力を傾注してきたと言っていいと思います。しからば富士山が世界文化遺産になった後、すなわち現在我々は何をなすべきかということが問われていると存じます。
 富士山は、日本の国土のシンボルであります。まさにそのシンボルに恥じないような地域づくり、国土づくりというのが求められているのではないかというふうに存じます。そしてそれを進めるに当たりまして、どのような理念に基づくべきかということが問われると存じます。
 これは、私どもが平成二十三年二月二十三日の富士山の日にふじのくにづくり宣言として世に問うたものがベースになるかと存じますけれども、富士山は活火山です。ですからやはり第一に自然に対する畏怖の念、あるいは平時においては美しゅうございますから広く畏敬の念と言っていいかと存じますけれども、やはり第一に自然に対する畏敬の念を失わないことというのが出てくるかと存じます。またそれと裏腹をなしますけれども天災は、あるいは火山の噴火は、いつ襲ってくるかわからないということでございますので、第二に危機管理というのを怠らぬことというのが出てくると存じます。第三に富士山は、いつ、誰が、どこから見ても最高のものであり美しゅうございます。したがって、これは生活環境あるいは自然環境、また心も含めて美しくあるべきことというのが第三の理念として出てくると存じます。先ほど申しましたごとく富士山は人、ところ、場所を問わず時を問わず永遠の芸術とも言われるように誰にとっても最高の存在でありますから、まさに多様性の和というように言えますから、第四に和というものを大事にするということが出てくると存じます。第五にやはり今のように富士山が荒々しい赤茶けた姿を出されるときから、初冠雪を経て、そして白雪をかぶるような時期が来ます。すなわち四季の姿が違うということでございますので、四季の変化に対して鋭敏な感受性を涵養するべしというのが第五に出てくると存じます。また第六には富士山の白雪というのは水でございますので、水が太陽と合わせますと生命を生みます。その自然の恵みというのを大切にするというのが第六の理念になると存じます。また富士は「不死」とも書きますから健康長寿、健康寿命というものを大切にすべしというがのが第七の理念になると存じます。また富士山は今のように「富」という字と徳のある立派な人という意味での「士」というのを書きますので、富国有徳というのが第八の理念として出てくるかと存じます。ほかにも出てくるかと存じますけれども、差し当たって富士山の姿が末広がりの八と連動しているということで、こうした八つの理念をベースにした地域づくり、国土づくりをしなくちゃならんというふうに思うわけでございます。
 そして、それが国民の会というような広がりを持つ理由は何かといいますと日本の各地には、富士山への憧れから北海道の蝦夷富士、あるいは鹿児島の薩摩富士等々富士と名のつくふるさと富士が三百四十座以上あるということが根拠でございます。それぞれの山には富士山のシンボル性が託され、それぞれの地域の自慢の文化まさにおらが富士という言葉があらわしていますように、それぞれの地域の歴史、文化、伝統のシンボルでもあるわけでございます。
 さて、そうした地域づくりを何と呼ぶかといったときに我々は、誰が言うともなくふじのくにというふうに自称してきました。もうその歴史は三十年以上になります。ところが隣の山梨県もまた富士の国と自称しているのであります。この間、文化庁長官に新しくなられた青柳さんのところに御挨拶に参りましたらば、漢字で「富士の国」というのぼりが立っているのでびっくりしましたところ、陰に隠れて見えなかったのが山梨県、「富士の国やまなし」と漢字で書いてあったわけですが、ことしは国民文化祭をやっているということで、山梨県の人もそこにいたので、「あんたのところは甲斐の国ではないのか」と言ったら、「それは武田が支配した時代であって、今は富士の国と自称している」ということでございました。同じように私どももふじのくにという尊称を持っているわけでございます。
 そこで、山梨県と静岡県とは、これまで富士山を世界文化遺産にするために共同歩調をとって今は本当に二人三脚の状態でございます。そしてまた議員御指摘のように五、六年後には中部横断自動車道が清水から甲府の双葉ジャンクションのところにまで通じます。そうしますと、ますます一体感というものが広がるでしょう。そうしたことから富士の国づくりというふうに言うことができるということでございます。この富士の国づくりにつきましては、これまで富士山の清掃活動にたくさんの人がかかわってこられましたし、また王貞治元巨人軍監督のように地域の富士山の清掃活動に尽力されてきた方もいらっしゃることを最近私は知ったわけでございますが、そうした全国の自治体、NPO、さらに今回の電通のように企業の方々にも参加を呼びかけまして、富士の国づくりを国民全体の運動として展開したいというふうに考えております。差し当たっては、霊峰富士が位置しております山梨県と静岡県に事務局を置くと。そして主な事務は、私どもが言い出しっぺになりましたので静岡県が行うということで同意を得ているわけでございます。まだ組織というものはございません。これからできれば来年の富士山の日を目指して、何らかの組織体にしていきたいというようなことでございます。差し当たって最高顧問には文化勲章を受章されました、「草木国土悉皆成仏」、「国土は富士なり」というお言葉があります梅原猛先生が御内諾をいただいているというところでございます。
 この国民運動を展開することによりまして、この近代の時代が革命と戦争の時代であったと。我々はこの二十一世紀、環境の世紀と言われるように、自然と人間とが相調和して持続可能な環境を保持していかなくちゃならんということでございますので、こういう時代を開くために、すなわちポスト近代、あるいはその近代の日本における拠点であったのが東京でありますので、ポスト東京時代を開くという志を持つということです。そして、もちろん富士山が各地域にそれぞれの歴史、文化、伝統を持ったものでありますから、地域自立というものの拠点にするということでもあります。
 そうしたことで、我が国が育んできた自然と共生する気持ちを呼び起こして、富士の姿にふさわしく世界から尊敬される、気高く強靱で美しい国づくりを目指してまいりたいということでございます。
 次に、富士山世界文化遺産登録についてのうち、三保松原の海岸保全と景観についてであります。
 三保松原の海岸では、昭和六十年ごろから安倍川の土砂供給の減少が要因となりまして海岸の侵食が進んでいます。これまで静岡県では、学識者などから成る清水海岸侵食対策検討委員会というのを立ち上げておりました。その議論を踏まえて景観にも配慮し、突堤や消波堤などの必要最小限の構造物設置と継続的な養浜を組み合わせた対策を実施してまいりました。
 ところが、こうした対策の結果出てきた景観というものがあります。これが昨年の秋にイコモスの調査員がお越しになられて景観的によくないという御印象をお持ちになり、かつことしの四月末、日本時間で五月一日のイコモスの勧告によれば、三保松原の景観はよくないということを明確にうたわれています。かなり強い調子でうたわれているわけでございます。したがって、この三保松原をどうするかというのは、この三保松原が富士山世界文化遺産の構成資産として登録されただけに極めて重要な課題として我々に迫っているわけでございます。そのことで私どもは、二〇一六年二月一日までに保全状況報告書を提出しなければなりません。世界文化遺産にふさわしい景観改善への道筋を明らかにすることが義務になっているわけでございます。
 この課題を解決するためにどうすればいいか。高潮災害などに対する地域住民の皆様の安全・安心の確保というのがこれまでの海岸に対する、三保松原に対する態度だったわけです。一方、世界遺産としての価値の保全をもしなくちゃならない。つまり景観に配慮しなければならないということになりました。このため、海岸工学や景観の専門家と国、県、市から成る新たな組織を立ち上げる必要を感じまして、それを立ち上げることにいたしました。差し当たって、その名称は(仮称)三保松原白砂青松保全技術会議ということになっております。三保の海岸の将来像といたしましては、砂丘の自然回復により、かつての景観を取り戻すことを目標としています。それまでには多くの年月を要すると見込まれますので、砂浜が回復するまでの間、構造物の高さや浜を養生する養浜方法の見直し、消波堤にかわる景観のすぐれた工法などさまざまな観点からの検討を進めて、海岸保全と景観改善の両立を図ることにいたしました。
 県としましては、海岸だけでなく周辺の松林や駐車場、売店など全体の景観の改善に国、市と連携して取り組み、三保松原をさらに富士山世界文化遺産の構成資産としてふさわしい状態で未来に引き継ぐという決意を立てたところであります。 
 そこで、先ほど議員からその功績をたたえられました近藤前文化庁長官に依頼をいたしまして、先ほどの(仮称)三保松原白砂青松保全技術会議の座長をお引き受けいただく御内諾を得たところでございます。そしてこの近藤前長官を座長といたしまして、本県からはトップ、すなわち元建設省の森山副知事、また市のほうからは国交省の副市長、そしてまた国のこの方面における最高の技術審議官等をお招きして、今年度末までにはどういう工法でやるのがいいかという、そうしたことを県民の皆様方にあるいは広くお見せをいたしまして、そしてまたパブリックインボルブメント等をいただいた上で、そして海浜の養生に、また景観の改善に入ってまいりたいという、そういう考えでおります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長及び教育委員長から御答弁を申し上げます。
○副議長(渥美泰一君) 池谷静岡県理事。
       (静岡県理事 池谷 廣君登壇)
○静岡県理事(池谷 廣君) 内陸フロンティアにおける物流拠点の形成についてお答えいたします。
 物流は、新東名高速道路の開通などにより、また将来的には中部横断自動車道の開通等により三大都市圏の中間に位置する本県の立地優位性を生かすことのできる産業であり、さらに有事には地域における緊急物資の供給拠点となり得ることから、内陸のフロンティアを拓く取り組みにおいて物流拠点の整備に積極的に取り組んでおります。現在、富士市など七つの特区地域で物流拠点の計画が進められるとともに、県内全域を対象に物流ネットワークの形成を図ることとしております。
 具体的には、新東名長泉沼津インターチェンジや新清水インターチェンジ周辺において物流施設の新規立地が計画されるなど県内各地において動きが出始めております。さらに本年五月に設立された内陸のフロンティアを拓く取り組みに民間サイドで協力し、ともに推進する内陸フロンティア推進コンソーシアムには、物流関連企業が多数参画しており、今後ますます物流関連企業の立地が進むものと期待しております。
 こうした中で、先月には総合特区計画が認められ事業者が物流施設を整備する場合、国の利子補給を受けることができるようになりました。また県でも昨年度から企業立地の助成対象に物流施設を加えるなど物流関連企業の立地に対する支援を強化いたしました。今後は特区地域を初めとして、県内全域で物流企業の立地の受け皿づくりを推進するとともに、大都市圏での物流関連フェアへの出展や個別企業訪問等により新たに認められた利子補給制度など企業誘致の支援策を周知、活用して、物流拠点の形成に努めてまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 下山文化・観光部長。 
       (文化・観光部長 下山晃司君登壇)
○文化・観光部長(下山晃司君) 富士山世界文化遺産登録についてのうち、構成資産における来訪者への情報提供についてお答えいたします。
 世界遺産富士山の二十五の構成資産は、地域の皆様の手で長い間大切に守られてきたかけがえのない財産であり、訪れる皆様に一つ一つの構成資産の歴史と価値を説明することで、世界文化遺産としての富士山の価値について理解を深めていただけるものと考えております。このため来訪者に構成資産の価値をわかりやすく伝える富士山世界遺産ガイドをこれまで八十三名養成してまいりましたが、今後三年間でさらに二百名を養成する計画であります。現在、地元市町と連携し各構成資産へのガイドの配置を進めておりますが、既に三保松原では世界遺産ガイドを中核とするボランティアガイドグループ――三保松原案内人が、三保松原の歴史や価値について来訪者に満足度の高い案内を行っております。
 今後もおもてなしの心を持ったガイドを養成するとともに、案内看板や解説板なども整備し、来訪者の皆様が信仰の対象と芸術の源泉としての富士山の価値を理解し、富士山を後世に継承する担い手となっていただけるよう、構成資産における情報提供に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 長島交通基盤部長。
       (交通基盤部長 長島郁夫君登壇)
○交通基盤部長(長島郁夫君) 防災対策についてのうち、緊急輸送路等の整備についてお答えいたします。
 本県では、大規模災害発生時の救急・救援活動に重要な役割を果たす緊急輸送路等において、橋梁の耐震対策や落石のおそれがある斜面等の要対策箇所の整備を重点的に進めてきております。
 橋梁の耐震対策については、平成七年の阪神・淡路大震災を教訓として落橋等の重大な被害を防ぐため、昭和五十五年の耐震基準より古い基準で設計した緊急輸送路にある二百四十七橋に加え、鉄道等をまたぐ橋梁四十六橋の計二百九十三橋について耐震対策を優先的に実施してきており、昨年度末までに二百七十橋で耐震対策が完了しております。今後は残る二十三橋に加え緊急輸送路のさらなる信頼性向上のため、平成八年の耐震基準より古い基準で設計した橋梁や緊急輸送路以外で交通量が多い、迂回路がないなどの重要路線にある橋梁約二百七十橋を新たに対象として耐震対策を実施してまいります。
 斜面等の要対策箇所については、緊急輸送路で落石等に備え雨量に応じて通行どめを行う区間にある百八十七カ所を優先的に整備してきており、昨年度末までに百十五カ所の対策が完了し、残る七十二カ所のうち今後バイパス整備等により緊急輸送路から外れる三十カ所を除く四十二カ所について整備してまいります。
 県といたしましては、県民の皆様の命と暮らしを守るため、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に位置づけた橋梁の耐震対策や要対策箇所の整備を積極的に進め、災害に強く信頼性の高い道づくりを目指してまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 小川危機管理監。
       (危機管理監 小川英雄君登壇)
○危機管理監(小川英雄君) 防災対策についてのうち、初めに県民の緊急物資備蓄の促進についてお答えいたします。
 県の第四次地震被害想定でお示ししましたように、本県から九州の太平洋岸に及ぶ広範囲の地域が大災害に見舞われますと救援物資が届くまでにこれまで以上に日数がかかると考えられますことから、各御家庭において七日分程度の水や食料などを備蓄することが必要となります。これらの防災対策は、自助の基本として各自で取り組んでいただくことが原則でありますが、七日分の食料の備蓄は、非常食だけではなく日常的に利用している無洗米やレトルト食品など簡単な調理で食べられる食品を組み合わせたり、飲料水についてもポリタンクに常時水道水を蓄えておき、古くなったらこまめに交換するなどといった工夫も有効な対策になり得ると考えられます。
 そこで、県といたしましては各御家庭で実際に取り組まれている事例を広く募集し、それぞれの家族構成に合ったすぐれた備蓄方法を事例集にまとめ、周知していくことなどにより全ての世帯で日常生活の延長として知恵と工夫を生かし、七日分の備蓄が達成できるように取り組んでまいります。
 次に、原子力災害に係る避難計画についてであります。
 浜岡原子力発電所から半径五キロメートルの区域であるPAZには五万人、半径三十一キロメートルの区域であるUPZには八十六万人が居住し、これらの区域を含む十一市町の総人口は九十六万人となります。原子力災害が発生した場合には、これら多くの住民を放射線から守ることが最も重要でありますので、まずは原子力発電所から最も近い位置に居住するPAZ内の方々を避難させ、続いてUPZのうち放射線量を測定して避難が必要となった地域の方々を可能な限り短時間でUPZ外へ避難できるよう検討しており、その際災害時要援護者の方々につきましては、早目に避難できるように配慮してまいります。
 また、避難方法につきましては、短時間で行動する必要がありますことから自家用車による避難を原則と考えますが、災害時要援護者や自家用車をお持ちでない方々のため、バスなどの確保も行ってまいります。避難者にとりましては、どこに逃げればよいのか事前に明確になっていることが大変重要でありますので避難ルート、避難先などを具体的に示し実効性のある避難計画を策定してまいります。なおその際には、できるだけ既存のコミュニティーを壊さず、自治会単位などで避難先を確保できるよう配慮してまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 橋教育委員会委員長。
       (教育委員会委員長 橋尚子君登壇)
○教育委員会委員長(橋尚子君) 教育行政についてのうち、三ケ日青年の家ボート事故の責任についてお答えいたします。
 まずは、亡くなられた西野花菜さんの御冥福をお祈りするとともに、御両親に改めておわびを申し上げます。
 先日御遺族である御両親から、事故の記録冊子「学校が守るべきいのち」を寄贈していただきました。冊子を県内の全市町教育委員会、社会教育施設など関係機関に配付し、二度とこのような悲劇を繰り返すことがないようにしてほしいという、御遺族である御両親の強い思いをお伝えする予定でおります。
 県教育委員会としての処分についてでありますが、本年二月六名の関係者が静岡地方検察庁浜松支部に書類送検されていることから、司法の判断を踏まえて対応したいと考えております。また三ケ日青年の家を信頼し御利用いただいた学校関係者に対しましては、まことに申しわけなく思っております。
 今後、二度とこのような事故を起こさないことが県教育委員会としての責任であると考えており、安全対策のさらなる充実強化を図ってまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 安倍教育長。
       (教育長 安倍 徹君登壇)
○教育長(安倍 徹君) 教育行政についてのうち、教員の採用問題についてお答えいたします。
 本県の教員採用選考試験におきましては、筆記試験の成績だけではなく教員という職に対する使命感や豊かな人間性なども評価する選考を行っております。面接試験におきましては、面接委員に民間企業で人事を担当されている方などをお願いし人物の多面的な評価に努めており、また集団討論と個人面接を組み合わせたり、面接時間をふやしたりするなど工夫しております。さらに適性検査につきましても、昨年度からストレス耐性やコミュニケーション能力をはかる検査を新たに導入いたしました。
 条件つき採用期間中の教員の中には、メンタルヘルスの不調で休む者もおりますが、そのことのみを理由に採用を取り消すことは非常に困難であります。議員御指摘の事例につきましては、勤務時の状況やメンタルヘルスの不調に至った原因、教職に対する適性等を総合的に判断し、正式採用としたものであります。
 今後も、心身ともに健康で人間性豊かな教員を採用できる選考試験の実施等に努めてまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 島根警察本部長。
       (警察本部長 島根 悟君登壇)
○警察本部長(島根 悟君) 高齢者の死亡事故抑止対策についてお答えいたします。
 まず高齢者事故防止対策の現状でありますが、その歩行者及び自転車対策といたしましては、参加・体験・実践型の交通安全教育の充実、高齢者宅への個別訪問の実施、歩行者妨害違反に対する指導取り締まりの強化、自発光式反射材普及のためのバスの車内広報や各種優遇制度導入の働きかけといった対策を推進中であり、高齢ドライバー対策といたしましては、普通免許を取得している高齢者を対象とした参加・体験・実践型の安全運転体験講習、免許証を自主返納しやすい環境整備等を実施してまいりました。
 このような対策を進めてまいりましたが、本年は極めて厳しい状況が続いておりますことから、まず歩行者及び自転車対策としましては、デザインコンクールを開催するなど自発光式反射材のさらなる着用促進を図るほか、トラックやタクシードライバーの協力をいただきまして一一〇番通報制度高齢者見守り隊の運用、また高齢ドライバー対策としましては、指定自動車教習所と警察との協働によります参加・体験・実践型の高齢者いたわり交通教室などの新たな取り組みを始めたところであり、さらに地理的条件などから免許の自主返納が進まない地域における出前型交通安全教育といったものも推進してまいります。
 また、これらソフト面の対策と並行いたしまして、ゾーン三〇や光る横断歩道の整備など、ハード面の対策もあわせて推進しているところであり、県警といたしましては今後も関係機関・団体と連携し、高齢者に対する継続的な交通事故防止対策を強力に推進していく所存であります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 七十番 中澤通訓君。
       (七十番 中澤通訓君登壇)
○七十番(中澤通訓君) 教育問題で再質問いたします。
 三ケ日ボート事故について伺いますが、先ほど教育委員長の話ですと今、書類送検をされて司法の判断を待っているということであります。結局、今私個人的に考えると随分タイミングがずれちゃっているなという感じがいたします。いずれにしても一人の子供さんが亡くなったという事実は残っているわけで、このことに対して、そのことはもうそのことで一応示談も終わっていますよと。処分は警察の沙汰待ちですと。沙汰待ちだけで済むことなのかなと私はまず教育委員会の基本的なスタンスに疑問を感じているわけです。
 もし、それでは沙汰を待ってからするということであって、先ほど来の書類送検された以外にも当然出ているかもしれませんが当時の社会教育課長は書類送検をされております。その後、浜松市立の小学校長となって、本年三月に早期退職をしております。政令市への身分切りかえとなっていて、今となっては処分対象ではないんですね。教育委員長はそのことを知っていて処分を先延ばししていたのかと思っている人もいるのではないかと思いますが、見解を伺います。
 次に、採用教員について伺いますが、採用に必要なのは教員として力量ある人を採用することであって、教育はまさに人材が全てであります。筆記試験をやってそして面接試験を一、二度やって適材で教員を選抜することが果たして可能なのかなと。いずれにしてもそれぞれの努力は、過去いろいろ変えてきているということはわかりますけれども、そういう中でメンタルヘルスでの休職者、休暇者が多いということは、どこかに問題がある。そういうことに対して現状の採用方法だけでなく幾らか変えていく必要もあると思いますが、そのことについてお聞かせをください。
 学力の優秀な方も当然必要であります。しかしそれ以上に子供と寄り添う気持ちがどれだけその人にあるか。そして一人一人の心に寄り添ってその子供を教え導いていく教員という職業ですから、それに合わせた適材な人を採用することが本来の姿でありますから、そういうことの努力もこれからもしなくちゃいけませんし、そのことに対しての御意見があれば言ってください。
 今回の例ですけれども特別休暇中は、百八十日は一〇〇%、次の九十日は五〇%、休職中は八〇%の給料が支給されております。休暇・休職中の一年九カ月間、期末手当三回を含めて支給総額は四百五十一万円を超えています。しかも本年四月の復職時に基本給が約五千円アップしているんですね。これが条例どおりの支給ということであるならば、条例に問題があるのではないか。国がつくったモデル条例に合わせていることでしょうが本来、問題のない教員対象の条例であって、今回の場合は不適応と私は思います。教育長の見解はどのようなものなのかお聞かせください。
 それから、新採用三カ月後から長期の休暇・休職の実態把握に教育委員会事務局のチェックが甘過ぎたのではないかと私は感じます。全く問題がなかったのか。そういうことで休暇と休職を続けてきたのか。今後の対応を含めて見解をお聞かせください。
○副議長(渥美泰一君) 橋教育委員会委員長。
       (教育委員会委員長 橋尚子君登壇)
○教育委員会委員長(橋尚子君) 本件の社会的影響を考えたとき、指揮監督する立場にある者が責任を明確にする必要があり、再発防止に万全を期す、このことを強く要請する意味から、教育長などに対し何らかの措置を行うことが適切であると考えております。
 当該職員につきましては、県事務局勤務となって三年が経過したこと、定年退職までの残り三年間であること、そして何より当該職員の教育者としての資質の高さから、処分の可能性を理由に学校現場への帰任をおくらせるのは、県民、特に子供たちの利益を損なうと判断いたしました。処分の必要性が確定した場合には、浜松市に対し処分相当である旨を通知することを想定した上での異動であり、判断に特段の問題はなかったと考えております。以上です。
○副議長(渥美泰一君) 安倍教育長。
       (教育長 安倍 徹君登壇) 
○教育長(安倍 徹君) 教員採用について、三つ再質問があったかなというふうに思います。
 一つは教員、まさに教育は人材。それが全てであるというお話もありまして、全くそれは私も同感であります。そのためにより適切な方法で教員を採用していくというのは私たちに課せられた責務であります。先ほどの答弁の中にもありましたように、昨年度から特にメンタル面で弱い教職員を採用しないというためにも、ストレス耐性をはかる適性検査やあるいは最近の若者は、教育の根幹であるいわゆるコミュニケーション能力というものが求められているわけですけれども、そういうものが苦手な受験生については、そういうものもチェックするというような、そういう検査も新たに導入しております。この効果がどうなっているかということは、これから追跡調査をする中でより適切な対応を図っていきたいと思いますし、これも先ほど答弁申し上げましたように個人面接だけではなく、集団討論をさせる中で集団の中で自分がどういう今位置にいて、何を今ここで話をしなければいけないかというような、そういうようないわゆる状況を把握するというような力も集団討論で引き続き見ていきたいなと思っております。
 二番目の給与につきましては、これは問題があるのではないかという御指摘ですけれども、私の知るところではこれは教職員だけではなく、県の職員の給与条例、規則にのっとった形でやっておりますし、これは国家公務員に準じた形で県の職員の給与条例が成り立っておりますのでその辺にもし問題があるとするならば、これは県全体で考えなければならない問題なのかなというふうにも思っております。
 最後三点目でありますけれども、チェックが甘かったのではないかということであります。この点につきましては、私たちも反省すべきところがあるわけですけれども条件採用の審査会というものを開いておりますので、ここでの情報を密にというんでしょうか、頻繁に情報を収集する中で、当該年度に採用された条件つきの教員のいろいろな状況を把握する中で最終的に三月末に正式採用するかどうかを判断していきたいということで常日ごろから情報を収集し、一人一人の教職員を把握するということに努めていかなければいけないかなというふうに思っております。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 七十番 中澤通訓君。
       (七十番 中澤通訓君登壇)
○七十番(中澤通訓君) 教育委員長に伺いますけれども、もし何かあったときには、その処分についてのことを該当の浜松市に連絡するということを想定して本人のことを考えて現場に帰したということでありますが、考え方の相違だからいたし方ないかもしれませんけれども、県教員の身分でない人を幾らこちらがもし処分するようになったって、できないんですよ。処分とは場所が変わったから通知だけすればいいって、それで責任逃れなんてできっこないんですよ。だからいずれにしてもタイミングを逸し過ぎている。そのことだけは事実ですから、そのことだけは強くお伝えいたします。
 亡くなった西野花菜さんは、事故の前日の研修会で同級生と将来の夢を語り合っています。医者になりたい、同級生の活躍を見てみたいと、しおりに書いてあったということであります。将来ある子供の夢を奪い取ってしまったことは事実であります。
 いずれにしても、今後どういう形になっていくかでありますけれども、今のような形で教育委員会が考えていることに対しては大いなる疑問を持っておりますので、そのことだけはあえて伝えさせていただきます。
 採用のことでありますけれども、条例どおりだから仕方ないじゃないかというふうに私はとれております。そういう国が、いわゆる通常の問題ない人に適用する条例だと私は思っております。問題があったとき、何もそれをそのまま使うということが果たしてどうなのかなと。
 それから、最初は要は特別休暇の繰り返しを三回もしたということの事実なんです。一年たったから休職がとれるから休職にした。それもおかしい。事務局が何にもしていないということなんです。ですから、この二十三年度から初めて気がついたようでありますけれども、それまではほとんど条件つき採用でこういうチェックをしていなかった事実が今日まであったということです。ですから教職員の休暇・休職者が多いということにもなる一つの原因だと私は思います。
 私は、そういう意味では二十三年度からはそういうことで気がつかれたそうでありますけれども、できる限り前にさかのぼってこれまでどんな状態だったか、条件つき採用の一年間の勤務体制が。そういう中で何も問題がなかったのか。できるだけそれを調査して議会に報告すべきだと思いますが、その用意について伺います。
 教育委員会定例会の議事録を見ますと非公開事項が多く見られます。基本的には情報公開ですから、今回のように審議が終わったら正しくそれを報告する。そのことを強く望んでおりますが、そのことについてお聞かせください。
 最後に知事に伺いますけれども、このような実態について知事が教育行政の改革について熱を入れていらっしゃることはわかりますけれども、この事態を見て何か一言があったらお述べいただければと思います。
○副議長(渥美泰一君) 安倍教育長。
       (教育長 安倍 徹君登壇)
○教育長(安倍 徹君) 二つ質問があったかなと思います。
 一点は要望ということで、これまでのいわゆる条件つき採用教員の状況については過去にさかのぼって提出せよということでありますので、その点については調査をしてまた提出をさせていただきたいなと思います。
 それから非公開案件のその後の取り扱いについてでありますけれども、これは御案内のとおり非公開にするには人事案件あるいは調整案件というものについては、その時点では非公開になっておりますけれども、時間が過ぎることによって人事案件は時間が過ぎてもこれは公開できないと思いますけれども、調整中の案件につきましては時間が過ぎたことによって公開ということも可能だというものもあると思いますので、その辺は今後教育委員会の透明性を図るという視点からも検討してまいりたいというふうに思っております。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 中澤議員にお答えいたします。
 私も教育委員会、教育委員会事務局に対して現行のままでいいと思ってはおりません。今回の三ケ日の花菜ちゃんが亡くなったことにつきましても、その当座から非常に疑問を持っておりました。容喙はいたしませんでしたけれども、議員と思いは同じくしております。差し当たって教育委員会並びにその事務局のあり方につきまして、教育の内容に容喙はしないで今検討をしていただいているということでございます。
 先ほどの具体的な教育委員会並びに事務局に対する御要望も、私自身も注目して今後の対応を見守っていきたいというふうに思います。以上でございます。

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