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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成23年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

谷 卓宜 議員

質問分類

代表質問

質問日:

02/18/2011

会派名:

公明党静岡県議団


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について                     
2 平成二十三年度当初予算について                 
3 行財政改革の推進について                    
 (1) 新しい行財政改革大綱                     
 (2) 今後の県債残高                        
4 少子化対策について                       
5 県営住宅の将来計画について                   
6 ふじのくに芸術回廊について                   
7 交流人口の拡大について                     
8 がん対策の推進について                     
9 新しい福祉社会ビジョンについて                 
 (1) 地域福祉支援計画の評価と今後の対応              
 (2) うつ病対策                          
 (3) 難病患者の支援                        
10 就労問題について                        
 (1) 学生と企業のマッチング支援                  
 (2) 障がい者の就労移行支援事業                  
11 清水港港湾整備計画と周辺整備事業の進展について         
12 危機管理体制について                      
 (1) 県民の初動対応                        
 (2) 災害情報の共有化                       
13 これからの人づくりについて                   
14 交通安全対策について                      
 (1) 第九次静岡県交通安全計画                   
 (2) 高齢運転者に対する事故防止への取り組み



    ○副議長(岩瀬 護君) ただいまから会議を開きます。
     議事日程により、知事提出議案第一号から第八十七号までを一括して議題とします。
     質疑及び一般質問を行います。
     通告により、三十五番 谷 卓宜君。
           (三十五番 谷 卓宜君登壇 拍手)
    ○三十五番(谷 卓宜君) 私は公明党県議団を代表して当面する県政の諸課題について、知事並びに関係部局長、教育長、警察本部長にお伺いいたします。
     このたび、私ども公明党は新年度を迎えるこの時期に当たり「支え合う社会へ」をキーワードとして、一、議会改革――身を切る改革、地域のために、二、経済・雇用――活力あふれる地域のために、三、社会保障――一人ひとりの安全・安心のために、この三項目を重点目標として掲げたところです。人がもっと支え合う地域社会の実現を目指すこの重点目標と、県がこれから打ち出す新しい総合計画の基本理念「徳のある、豊かで、自立した」地域づくりとは、県民目線に立った考え方に大きな違いはないと思っております。これらを踏まえて質問させていただきますのでよろしくお願いをいたします。
     初めに、知事の政治姿勢について伺います。 
     川勝知事は、一昨年七月に就任されて既に一年七カ月が経過いたしました。この間知事はくまなく県内各地を訪れ、さらに国内外にわたる短時日とは思えぬ精力的な活動の結果、知事の知名度は一気に広がった感がいたします。マニフェストの実現を目指しながら富国有徳の理想郷“ふじのくに”のグランドデザイン、御自身の深い思いが名称となったこの新しい静岡県総合計画の策定も進み、いよいよ知事の思いを実行する時節到来となりました。
     しかし、現下の我が国を取り巻く情勢は非常に険しいものがあります。外交面では四面楚歌の状況が続いていますし、厳しい景気・雇用環境に加え少子高齢化が進む社会構造はそれに伴う経済活動の減速のおそれにつながり、さらに国、地方とも膨大な財政赤字を抱えるなど懸念材料は一向に絶えることがありません。このような中で進めるふじのくにづくりは、基本理念が徳のある人材の育成、そしてふじのくにの豊かさと自立の実現を目指して県民幸福度の最大化を目標とし、県民が誇りと希望を持って活躍する社会の実現を図るとなっています。
     こういう時世での厳しい船出ではありますが、意欲あふれる川勝知事に任期の折り返し点を迎える平成二十三年度の抱負と決意を改めてお伺いいたします。
     次に、平成二十三年度当初予算についてでございますが、このたびの当初予算案は知事の任期三年目を支える予算でもあり、新しい総合計画の裏づけとしてスタート台に立つ予算です。このようなことから十分な手ごたえを感じていると思いますが、まず新年度の県税収入の見込みについてどうなのか伺います。
     平成二十二年度の県政世論調査を見ますと、県に望む施策として、まず地震や健康被害などに備えた危機管理体制の強化、次に安心して子供を産み育てられる環境整備、そして長寿者が生き生きと暮らす社会の実現、以上が一位、二位、三位となっておりました。また当初予算編成に先立つ昨年末には、知事に対し公明党県議団として百五十二項目にわたる予算要望をいたしました。
     その中で我が党は、財政健全化の課題を抱える中、限られた財源の有効活用するのは当然として、福祉面など県民が生活の豊かさを実感できる施策へ重点的に配分することも必要であり、ぜひ予算に反映されるようにと申し入れいたしました。
     そこで、公明党県議団の要望とそれに加えて県民世論調査から県民意識を把握した上で、予算編成上どのように対応されたのか、知事の御所見を伺います。
     次に、行財政改革の推進について、初めに新しい行財政改革大綱について伺います。
     知事が標榜する富国有徳の理想郷“ふじのくにづくり”は、県民による「徳のある、豊かで、自立した」地域づくり、先ほど申し上げましたが、そこにございます。このたびの静岡県行財政改革大綱案によりますと三つの基本姿勢として、一、県民本位、二、行政の生産性の向上、三、手段の最適化を掲げています。さらにふじのくにの自立に向けて地域が自立できる行政体制の整備を図ることが重要であり、県はそのために三つの戦略を柱として立て、それぞれに新しい機軸を打ち出すとしています。
     そこで伺いますが、今回の大綱における三つの戦略と新しい機軸とは具体的にどのようなものかお示しいただきたい。またそれが県民幸福度の最大化にどうつながっていくとお考えかお尋ねをいたします。
     次に、今後の県債残高でございますけれども、行政改革は財政の健全化との両輪で進める必要があります。
     県では、平成十二年度当初予算において、財政健全化の指標の一つとして県債残高の上限を二兆円程度と設定いたしました。もうそれから十年以上経過しており、平成二十三年度の残高見込みは臨時財政対策債、病院債を含めますと二兆五千億円を超える額になり、いささか心配になってまいります。現在パブリックコメントが進められている行財政改革大綱案でも、県債残高の目標は引き続き二兆円が上限となっております。
     そこで、今後の県債残高についての考え方と県民が将来にわたる不安を持ち越さなくて済むために、現時点でどうされようとしているのかお尋ねいたします。
     次は、少子化対策についてお伺いします。
     国立社会保障・人口問題研究所の都道府県将来推計人口――二〇〇七年五月推計――によりますと、静岡県の推計人口は二〇三五年に三百二十四万二千人、減少率で言いますと一四・五%になると見込んでおり、少子高齢化が急速に進む人口減少社会の到来が予想されています。
     同人口問題研究所によると、合計特殊出生率の低下は一九七〇年ごろから始まり、今後少子化時代以降に生まれた子供たちが親世代になることによる縮小、夫婦の出生力の低下、そして結婚の低迷と合わせてトリプルパンチとなって子供が減っていく、これが日本の人口減少の姿と言われています。
     二〇〇六年公表の日本の将来推計人口は、二〇〇五年の一億二千七百七十七万人のピーク時から五十年後には八千九百九十三万人と約三割の減少、そして今から百年後には四千四百五十九万人と今の三分の一にまで減少するとのショッキングなものでした。少子化の進行は、将来にわたる労働力人口の減少に伴う経済成長の鈍化、社会保障の負担増など社会の活力低下につながるとのマイナス面の心配を否定することができません。
     この日本の人口減少を考えると甚だ無力感に襲われますが、新しい総合計画では静岡県が「生んでよし 育ててよし」の理想郷を目指し、おおむね十年後の合計特殊出生率の目標を二・〇にいたしました。他県はどうあれ理想郷を目指す我が県は、どこまでも挑戦する気概を失わず進むためこの目標値を宣言したんだと私は受けとめました。
     県は、平成十七年に作成したしずおか次世代育成プラン前期計画において四十三の数値目標を掲げ、各部がそれぞれ少子化の流れを変えていく施策の推進に取り組み進捗管理を行ってきました。既に次世代育成プランの後期計画はスタートいたしましたが、前期計画の目標達成の状況と今後の少子化対策の進め方について、どのように目標を目指していくのか伺います。
     次に、県営住宅の将来計画について伺います。
     静岡県住宅マスタープランにある基本理念には、「安全・安心・快適住空間しずおか〜豊かさが実感できる住生活の実現を目指す〜」とあり、住宅はそれぞれ県民生活の基盤であり県民共有の財産であるとしっかり書いてあります。人口減少社会を迎える中でも核家族化と高齢化は進み、ひとり暮らしのお年寄りがふえる傾向に変わりはありません。
     最近の県営住宅の応募状況を見ますと、地域差はありますが倍率四十倍に達する人気の団地から借り上げ住宅では五十九倍という倍率までありました。限度ある一定収入のもと住宅に困窮する方々にとっていつまでも入居できない状況が続くのは深刻な問題です。入居希望者への対応に万全を尽くすのは当然の義務でありますから、県当局は引き続きセーフティーネットとしての立場から十分なる対応を願うものです。
     供給すべき住宅の中には昭和四十年代建設の棟もいまだ残っており、それらの建てかえやあるいは内装の手直し工事、エレベーター設置などのユニバーサルデザインの取り入れまで、さまざまな対応が必要になってまいります。平成十八年施行の住生活基本法では量から質へと住宅政策の転換をしましたが、今後の県営住宅の整備方法について伺います。
     さらに、県営住宅団地そのものが魅力的な活力あるまちづくりの場となるよう若年の子育て家庭が入居しやすいことも必要であり、多様な年齢層による入居をさらに推進すべきと思いますが、どのように進めておられるか伺います。
     そして、多様な住宅ニーズに対応できる県営住宅の需要見通しと今後住宅を供給していく上での基本的考え方について伺います。
     次に、ふじのくに芸術回廊について伺います。
     来る二月二十三日、第二回目を迎える富士山の日にふじのくに芸術祭二〇一一が開幕し、絵画、書道、写真の優秀作品展覧会を皮切りとして、約一年間芸術の祭典が全県を舞台に開かれます。二月二十日にはふじのくに芸術回廊フェスティバルが開会します。ぜひ多くの県民に御参加いただき実りあるものにと願っています。
     県内地域には潜在的なすばらしい文化が存在します。これらを地域に住む人が改めて誇りを持って広めようとしそれが次の持続的な交流につながっていく、この流れこそがふじのくに芸術回廊であると私は理解いたしております。新しい総合計画に「多彩な文化の創出と継承が新たな価値を生み出す」とあり、まさに本県の産業振興の起爆剤にしていくためにも文化の県民運動を積極的に促す環境づくりを目指すべきと思っております。平成十八年施行の静岡県文化振興基本条例には、「文化を創造し享受し又はそれらの活動を支えるのは県民の権利」とあるとおりでございます。
     そこで、県として芸術回廊の文化資源を守り支える人材を育成し、あわせて地域の子供たちが本物の文化に触れる機会の提供が不可欠と考えますが、これらについてどう取り組まれるかお伺いいたします。
     SPAC――静岡県舞台芸術センターは、県立の文化事業集団として目覚ましい活躍を続けてきました。専属の俳優とスタッフが専用劇場で数多くの上演を行い、県内の中学・高校生の無料招待や県民参加体験創作劇場など、県民との触れ合いを大事にしながら多彩な事業を展開してきました。
     しかし、舞台芸術が多数の県民になじんでいるかといえば、まだまだその余地を残しているというのが現状でしょう。外郭団体見直しの方向性の中で指摘があるとおり、SPACはこれから力強く自立を目指すときであり、芸術のプロ集団にふさわしい職員の養成と自主財源の確保に向けた企画、芸術家同士の厳しい競り合いが必要です。地元の公演だけではなく全国各地で公演の機会をふやして力を蓄え、静岡県の代名詞のようになって勝ち残ることを願っています。
     そこで、SPACの今後の活動のあり方について、県当局の考え方を伺います。
     次に、交流人口の拡大について伺います。
     一月十四日、ふじのくに交流会にFDA松本経由で札幌に行きました。私たちは市内のホテルでの「食」をテーマにした産業交流セッションに参加しましたが、同時にショッピングセンターで行われたしずおかフェアでは静岡県産品の紹介と販売が行われ大変に好評であったと聞きました。北海道と静岡県の間で食品をもとにした産業交流の可能性を探った点において、観光とその後の人的交流、両面に広がっていく期待が大きく膨らんだ大変有意義な会であったと思います。
     ただ、これ一回だけでは富士山静岡空港を基点とするFDAと全日空の搭乗率に追い風になったかどうかはまだはっきりいたしません。北海道からは多くの国内便が出ていますが、まだまだ富士山静岡空港便に対する認知度は低いように感じました。今後もお互いに斬新なアイデアをもって交流を継続していくべきと思います。
     常に大きく変化している国内の旅行需要の見込みと世界各国からのインバウンド、旅行形態が団体から個人旅行へ移行していることへの対処など一層の取り組みが求められます。そして静岡県が誇る富士山を初めとする景観の紹介、魅力ある温泉地、ほかの地域へ移動する利便性など、さらにほかにはない独特の歴史を誇る静岡へのいざないを工夫しながら、観光情報の発信を惜しまず行い続けるべきと思います。
     県は、ふじのくに観光アクションプランを策定して、十年後の本県観光の姿と三年間の具体的な行動計画をまとめると発表しています。観光の発展が富士山静岡空港の利用拡大にも寄与することから、今後どのような手順と方策をもって交流人口の拡大を図るのか、県当局の考えを伺います。
     次は、がん対策の推進について伺います。
     名実ともにがん先進県を誇る静岡県ですが、これも静岡がんセンターや県立病院機構、そして県内医療機関の熱心な検診と治療のおかげと日々感謝いたしております。
     平成十九年に施行されたがん対策基本法は、がん対策の総合的、計画的推進を目的としており、この法律に基づき県は平成二十年に静岡県がん対策推進計画を策定し取り組んできたところです。国民の死亡原因は、多いほうから悪性新生物、つまりがんであり、脳血管疾患、心疾患の順位となって、がんはもはや人ごとではありません。
     我が党はこれまで率先してがん対策に取り組んでまいりました。一昨年スタートしたがん検診の無料クーポン配布事業は、子宮頸がんと乳がん検診のまさに女性特有のがん撲滅を目指すものでした。この動きは大きく広がり、幸いにもこのたびの子宮頸がんその他の予防ワクチン接種にまで進展いたしました。
     特に、若い女性の早期発見が大事と言われる子宮頸がんは、二十歳の受診者数が無料クーポン実施前の九・六倍に上り、がんになる一歩手前の異常発見が五千十九人、がんそのものの発見は九百四十七人で、いずれも過去最高であったと日本対がん協会が発表しています。日本のがん治療の技術は世界トップクラスでありながら、検診率の低さではがん対策後進国と言われるレベルのようで、静岡県民のため、がん検診率の向上を目指しだれもが検診を受けやすくする仕組みづくりを早急に講ずるべきであります。
     また、がんは食生活などの生活習慣や加齢により発症リスクが高まるなど、高齢化社会に応じた対策の充実が求められます。これまでずっと取り組みのおくれを指摘してまいりました地域がん登録については、ようやく来年の当初予算に計上しスタートすることになりました。県内がん患者のデータ整理が進み、検診・治療の前進に大きく寄与すると確信しております。
     そこで、がん登録の事業内容についてと静岡県におけるがん対策推進計画の取り組み、さらに今後の対応について伺います。
     次は、新しい福祉社会ビジョンについてでございます。
     初めに、地域福祉支援計画の評価と今後の対応について伺います。
     公明党は昨年末、新しい福祉社会ビジョンの中間取りまとめを発表いたしました。これは年金、医療、介護、子育て支援、障害者福祉等々の以前から取り組んできた社会保障制度の見直しと、それに加えて虐待、引きこもりなど、新たな社会的病理への対応を加えた新しい福祉として、総合的な検討が必要であると主張したものです。
     今や地域や職場、家庭での人間的なつながりが薄れてきて、暴力、虐待、いじめが起こり、他殺や自殺、さらには引きこもり、不登校、心身症、うつ病などが多発しております。よって当ビジョンでは、これらの解決のため孤立社会から支え合いの社会を目指し、あらゆる仕組みの改革をしていく必要があると訴えています。
     さて、県ではこれまで静岡県地域福祉支援計画を策定して進めてまいりましたが、この計画に対する評価とともに、私どもの提唱している新しい福祉への県の考え方と対応について、お伺いをいたします。
     次に、うつ病対策について伺います。
     我が国の年間自殺者が平成十年から十三年連続して三万人を超えたとの発表がありました。原因はさまざまですが、家庭問題、経済・生活問題など数ある中、最も多い原因が健康問題でした。
     健康問題の中ではうつ病が原因、動機と見られる人が最も多くうつ病対策は喫緊の課題です。うつ病を含む気分障害の患者は、この十年間で四十四万人から百四万人と倍増し、またうつ病の生涯有病率は六・三%で、国民十五人に一人が経験しているいわゆる国民病です。働き盛りの四十歳代から五十歳代が男性自殺者の約四割を占め、また中年男性の死因順位では自殺が四十歳代死因の第一位、五十歳代死因の第三位であり、いわゆる三大疾患に匹敵する大問題であるがゆえに原因者たるうつ病対策はまさに待ったなしです。
     県が富士市で取り組んできた働き盛り世代のうつ病の早期発見、早期治療を促す富士モデル事業は成果を上げ、全国的にもよく知られています。「二週間以上の不眠はうつのサイン」との睡眠キャンペーンの広報は極めて効果的でした。
     富山市の理・美容師会の方たち約七十人が、お客の悩みの聞き役になってください、そして元気がない客にはぜひ声をかけてくださいとの市の依頼にこたえて立ち上がりました。精神科医と臨床心理士から基礎知識を学んで、店にメンタルヘルスサポート協力店と書かれたステッカーを張り、うつ病体策の一助にと活動しています。これは会の方たちが散髪客との接客時間が長く、常連客の変化に気づきやすい点を富山市が着目して依頼したというものです。
     先月公明党県議団は知事に対し、うつ病対策強化に関する要望をしたところです。その中では医療体制強化の申し入れとともに薬物に頼らない精神療法を取り入れた認知行動療法、この療法を早期に県立病院で対応されるよう提案をしています。
     そこで、うつ病に対する県当局の認識とこれからの取り組みについて伺います。
     次は、難病患者の支援です。
     NPO法人静岡県難病団体連絡協議会は、静岡市清水区に事務所を置き難病患者とその家族、支援者など五千八百人会員のために精力的な活動を行っております。症例数が少なく原因不明で治療方法が未確立である、いわゆる難病の研究対象となっている難治性疾患克服研究事業は現在百三十疾患です。このうち医療費が公費負担になる病気はわずか五十六疾患で、それ以外の方々は病気に対する不安とともに、生涯にわたる高額の医療費負担や就労を初め生活全般にわたっての大きな不安と困難を抱えて生活しているであろうことが容易に推察できます。
     県内には約二万人の難病あるいは特定疾患の患者がおり、社会的支援のない慢性疾患の患者はさらに数万人と推定されています。二〇〇五年に県事業として発足した静岡県難病相談支援センターは、このような方々の悩みや相談を受け具体的な支援ができるようにと、前述のNPO法人難病団体連絡協議会が受託、運営しています。年々多くの方々の信頼を得て相談に応じていますが、病気のこととそれ以外、特に生活そのものの相談が多く、もっと具体的な対応をしてあげたくても資金的な限界から思うように進まない、この辺が課題であると聞いています。
     このような現実的な訴えに対して県はどのような認識をお持ちであるかまず伺います。
     障害を抱える人たちの就労は常に困難を伴っています。特に内部障害である難病・慢性疾患患者は、はっきり見えないこともあって生きる困難さを社会に理解されにくく、ハローワークでの障害者認定も極端に少ないこれまでずっと不利な扱いを受けてきました。またそれをカバーする対策がずっとおくれていたことも否めません。
     国は、平成十九年に難病百三十疾患患者の雇用主に助成金を、また患者からの就労要望を調査することを目的とした難病患者就業支援事業を開始いたしました。実施主体は都道府県ですが静岡県の取り組みはまだ始まっておりません。難病・慢性疾患患者の皆さん方は、「私たちは病気の不安におびえて泣いているばかりではありません。一生懸命働きたいのです。だから就労できるように何とかお手伝いをお願いしたい」と、このようにおっしゃっております。
     県はこの際、難病患者就労支援事業について、速やかに開始すべきと思いますが、考えをお聞かせください。
    次は、就労問題について伺います。
     初めに、学生と企業のマッチング支援です。
     今春卒業予定の大学生、高校生の若者がいまだ企業の内定が得られず、焦燥感を抱きながら必死の思いで就職活動していることを聞いております。最後まで絶対あきらめないで頑張ってとしか申し上げようがありませんが、景気低迷が長引く中今春卒業見込みの大学生の就職内定率は昨年十二月一日時点で六八・八%にとどまり、調査を開始した一九九六年以降最低になったとの報告がありました。
     企業が採用を絞る傾向が続いている中、千人以上の大企業の求人倍率が〇・五七倍に対し三百人未満の中小企業のそれは四・四一倍でまだまだ人材は不足しており、ここにミスマッチがあり内定率低迷の一因と指摘されています。
     マッチング事業に関しては、人材確保に苦戦する中小企業と大学生をウエブで結ぶ政府事業のドリーム・マッチプロジェクトが昨年五月に始動いたしました。また魅力発見ツアーは、学生たちが宿泊つきのバスツアーを利用して直接中小企業の働く現場を肌で感じ、また企業トップと熱く語る場も経験して新たな生き方を発見したという、そういう声にもあるように多くの学生を採用に結びつけ実績が出ております。
     このことから、県内地域企業と学生を結びつけるマッチング事業の一層の取り組みがあれば、さらに好結果が望めると思いますが、県当局はいかがお考えか伺います。
     次に、障害者の就労移行支援事業でございますが、これは障害者自立支援法に基づくもので、障害者が企業で働く一般就労を目指して二年間に限り施設内訓練や企業研修を行うという国の支援事業です。当然企業側の協力が不可欠ですが、企業にとっても障害者の方々の適性に合った職場探しをし、それができたとなればいい人材を獲得できるプラスの効果を得ることになり、双方にとって大事な事業です。
     静岡県における就労移行支援事業について、現在どのように行われているのか、また一般就労に至った実績と今後の課題について伺います。
     次に、清水港港湾整備計画と周辺整備事業の進展について伺います。
     過日行われたふじのくに物流シンポジウムでは、物流産業が本県の新たな主力産業となる可能性について多方面から論じられました。今や物流産業は単なる移動、運搬を担うだけの存在ではなく、産業界のあらゆる要請に積極的にこたえていく存在として大変重要視されているとこのシンポジウムで詳しく知ることができました。
     さて、日本書紀の記述に飛鳥時代から出てくる清水港ですが、江戸、明治、戦後と大きな歴史の流れにあって、駿府そして静岡県の港湾としての存在感をずっと発揮してまいりました。明治三十九年に開始したお茶の輸出、大正から昭和にかけての木材の輸入、そして昭和初期のマグロの油漬け缶詰の輸出など清水港は徐々に世界的に有名な港になってきました。
     戦後の復興では、昭和二十七年に特定重要港湾に指定され、興津地区、袖師地区に埠頭を設置してコンテナ船対応が始まりました。平成二年のクイーンエリザベス二世号の入港後豪華客船や有名帆船などの入港が相次ぎ、市民による歓迎式典が一般化いたしました。さらに昨今は開かれた港湾として親水空間の機能を発揮するようになり、アミューズメント施設の開館で市民の憩いの場となっております。
     開港百十周年を過ぎ新たな発展を期す物流拠点としての清水港、新興津地区国際海上コンテナターミナル第二バースの建設工事は清水港の中心的役割をなす地域の工事でもあります。この建設工事の進展と完成時期について伺います。
     また、みなと振興交付金事業採択を受けた新興津船だまりは、漁港レクリエーション拠点として、さらに港湾環境整備事業として新興津地区の人工海浜を中心とする港湾緑地の整備が進められています。この事業は、埠頭設置により喪失した興津、袖師地区の美しい海岸の復元を望む多くの市民の声にこたえようとしたものです。これまでかなり時間が費やされていることから、本当に実現するのかと心配の声が寄せられることもあります。
     そこで、これらの建設計画の進展と完成時期について改めてお伺いいたします。
     清水港と田子の浦港は、連携、相互補完することによる国際バルク戦略港湾の選定を受けるべく検討委員会に計画書を提出していますが、選定作業がおくれていると聞きます。両港は穀物の扱いに専門性を有しており、その特性を生かして連携を強化し集中投資をすることによって港湾機能を高めることになります。大幅な輸送コスト削減を図る国策を担うわけですから、ぜひ選定されることにより両港の礎を今後とも強固に築いていきたいものです。
     そこで、国際バルク戦略港湾選定に向けての現況と今後の見通しについて伺います。
    東名高速道路と新東名、そして中部横断自動車道、国道一号静清バイパスと、大変重要な道路網の結節点、これが清水です。それぞれ完成年度を目指し道路の整備と計画を進めていますが、やはり物流拠点としての清水港へのアクセスを含めて一体的な整備をしなければなりません。今後も国と静岡市との連携を一層強めて整備に向けた確実な流れができ上がるよう、県としての適切な対応を求めます。
     外国貿易コンテナ取扱量八位を誇る特定重要港湾清水港は、リーマンショックによる世界不況の影響がまだいえておりません。静岡県を代表する港湾として一日も早く活発な物流拠点に戻るよう、コンテナ航路誘致や国内外へのポートセールスに全力を挙げることが最も大事なことと思います。
     そこで、静岡県の経済発展に寄与する物流拠点として清水港の整備をどのように進めるか、またポートセールスの具体的な目標設定はどのようにしているのか伺います。
     次に、危機管理体制について伺います。
     初めに、県民の初動対応です。
     危機管理部が発足以来、部の積極的かつ緊張感あふれる対応は大変評価いたします。折しも九州南部と愛知県などの鳥インフルエンザの発生による関係者の皆さん、また霧島連山新燃岳の噴火にいまだ困難な生活を強いられている方々に心からお見舞い申し上げます。
     ところで、昨年二月二十七日に南米チリで起こった地震による津波警報により、翌二十八日は日本の太平洋沿岸は大騒ぎになりました。清水区の由比地区では東名、国一バイパスともに通行どめが九時間ほど続き、その影響による混雑は市街地にあふれ大混乱となりました。そのように交通規制は着実にしいたものの津波の避難勧告に対しては全国的に避難した人は極端に少なく、大きな課題が残りました。行政の危機管理部門が直ちに体制を組み対応することは当然として、県民がみずから行動できないとなれば何をか言わんやであります。これが東海地震の注意情報や予知情報を全く無視して従わなかったなら、これまで延々と準備してきた地震対策、危機管理対策が無に帰してしまいます。これから東海地震、超特大の風水害、火山噴火、細菌ウイルス、国民保護に関することなど今まで予想していなかったものまで出てくるかもしれません。
     今後、危機管理による指示、勧告や危機情報が出た際に県民が一つになった初動対応ができるよう、ふだんからの準備が重要と考えますがいかがでしょうか、その対応策について伺います。
     次は、災害情報の共有化について伺いますが、地震等の危機事案が発生したとき人命救助を行える時間は七十二時間と言われます。そのわずかな時間内に救助ができるよう市町を初めとする防災関係の各機関は、ふだんの訓練を生かしいずこの地にあっても同様の体制が維持されていることが重要です。そのためには必要となる最新データが常にそろってリアルタイムで準備できるかどうかが肝要と思います。
     来年度で二年目を迎える災害情報の共有化事業ですが、現在どのような体制を構築しているのか今後のスケジュールを含めて伺います。
     次は、これからの人づくりについて伺います。
     近年、日本へは多くの外国人学生が留学する一方で海外への日本人留学生の減少が指摘されており、我が国の若者は他国の青年と比べて内向きになっていないかと危惧する声があります。
     アメリカでツアーガイドをしている方――日本人ですが――この方の話によると、いつでもどんな田舎へ行っても旅をしているのが中国の若者。また自然の中でアウトドア生活を何の苦もなく楽しんでいるのは韓国の若者。それに比して日本の若者は数も少ないですが有名観光地を見るだけでさっさと帰ってしまうと、それぞれの特徴をイメージ的に語っていただきました。
     日本人学生が極度の就職難に直面している一方、一部の日本企業では外国人の採用枠をふやしているとの報道がありました。さまざまな解説記事によりますと、企業の人事担当いわく、日本の学生は一体何をしたいのかはっきり言わない、自己主張が弱い、また職に対する熱い気持ちを発する学生が非常に少ないとのようなことを聞いております。もちろん優秀な青年も数多くいる中、日本の若者かたぎを簡単に言いあらわすことなどできませんが、どこかに何かしらの原因が潜んでいるのかもしれません。
     最近の教育の状況を聞きますと、相変わらず学力の向上のみが第一義とされているようで、本来希望あふれて小学校や中学校の生活を始めるはずが、小一プロブレムとか中一ギャップなどの言葉で示されるように、新たな環境に適応できず悩みや問題を抱えてしまう子が多いという現実の課題があるようです。
     学力は確かに大事ですが、こうした状況であればこそ、単に学力を身につけるだけが目的の教育ではなく、積極的に新しい環境や多様な人間の中に入ってもまれて、その中から自分の可能性を見つけ出し社会に巣立ち活躍をしていく、そのような教育にならないものでしょうか。青年にたくましい順応性と適応力が備われば、それがひいては学問の修得にさらに大きく生かされていくと思いますがいかがでしょうか。
     そこで、これに対する教育長のお考えと現在策定中の教育振興基本計画においてどのように位置づけられているのか伺います。
     次に、交通安全対策について伺います。
     初めに、第九次静岡県交通安全計画です。
     交通事故は、一たび発生したときに、被害者はもちろん加害者も含めた当事者にとって身体、精神に重大な結果をもたらすことは自明であり、関係者に近い人は全く悲しく悩ましいものでもあります。平凡な生活も一瞬にして不幸な事態に巻き込まれること、それは決して他人ごとではない現状が恐ろしくさえあります。
     県民の安全・安心の暮らしを守る社会の実現にはまず交通安全の確保です。これまで悲惨な交通事故を減らすため県、市町、警察などさまざまな機関がこれに当たり取り組んできました。その結果交通死亡事故の死者数も事故件数も減少していることはこれまでの関係者の努力のたまものです。今後一層油断なく交通事故の少ない社会の実現のために、より有効な施策の展開が不可欠であります。
     そこで、県はこれまで取り組んできた第八次静岡県交通安全計画をどのように評価し、策定中の第九次計画においてはどのような目標のもと計画策定に取り組むのか伺います。
     次に、高齢運転者に対する事故防止への取り組みについてですが、交通死亡事故の死者数は昭和二十八年以降最少となり関係者の皆様の取り組みに改めて敬意を表します。
     ところで、その中でも最近の傾向としてお年寄りの事故が大変に多くなって、高齢者が全死者の半数を超え事故件数も高齢者関連が大変に多くなっています。高齢者は加齢による運転技術の衰えを否めません。もちろん御本人の技術、そして精神的な差異など事情はさまざまで一概には言えませんが、運転免許証の返納制度についての周知と恩典ある対応に努める必要があります。また安全教育の徹底と同時に、乱暴な運転手、幅寄せなど高齢者にいやがらせをする悪質ドライバーは厳しく取り締まるべきです。
     そこで、警察本部長に高齢運転者に対する事故防止方策と一層の取り組みについて伺います。
     最後になりますが、私は今議会をもちまして引退をいたします。知事初め県職員の皆様には長年にわたり大変お世話になりました。ありがとうございました。
     また、県議会の皆様、先輩議員、同僚議員の皆様には、さまざまな御指導、御厚誼を賜り心より感謝を申し上げます。皆様には引き続き県民のために御活躍いただきたいと思います。そのためにもぜひ選挙戦を勝ち抜いて、全員が必ずこの場にお戻りになられるよう心からお祈りいたしております。大変にありがとうございました。(拍手)
    ○副議長(岩瀬 護君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 谷議員にお答え申し上げます。
     初めに、私の政治姿勢についてであります。
     私は一昨年の七月七日に知事に就任いたしました。政治姿勢は現場主義でございます。その七月七日から先月一月三十一日まで現場主義を常にみずからに言い聞かせ現場に赴くということを実践してまいりまして、県内各地四百九十八回、県外、国内では百三十七回、そして国外には九回、いずれも公務で出ております。
     国外におきましては、友好的な互恵・互助というこれを形あるものにするために、中国三七七六友好訪中団、あるいはモンゴルとの間ではことしの間に友好提携ができる、また忠清南道ともそのような方向が今生まれつつございます。さらにこれを東アジアを中心に対外的に本県のPRと互恵・互助の、特に防災先進県としての、また農産物が豊かな、自然の豊かな地域への観光、これを打ってまいりたいと思っております。
     また、国内の県外に関しましては、ネットワークを深めることによりまして地域力をそれぞれが高める、そのようなことを基本姿勢としてやっております。また県内におきましては、現場に出かけまして現場で学ぶ、現場で一緒に考え現場でできる限りその場で解決するという現場主義を貫いてまいりました。
     このように県内各地を回っておりますと、本県がまことに豊かで美しい自然を持って多彩な文化、産物、高度な技術があるということを再認識している次第でございます。まさにこの地域は地理的にはもとより文芸史的、歴史的にも中心に位置すると、あるいは中心になり得るという確信をさらに強めております。そのようなこの地域の持っている潜在力、場の力を活用いたしまして、ふじのくにとして地域自立のモデル、あるいは新しい日本の先導役となるにふさわしい地域であるというそういう思いでこれを形にしてまいりたいと、強く決意している次第でございます。
     こうした私の思いをチーム川勝並びに職員のすべてとは言いませんが多くが共有して積極的に受けとめてくれているものと思っておりまして、信じておりまして、それらの最良の知恵を結集いたしまして、県民の皆様の御意見や県議会からちょうだいする御提言を踏まえて、新総合計画の富国有徳の理想郷“ふじのくに”のグランドデザインを策定したところでございます。新年度からはこの計画を県政運営の基本に据えまして、チーム川勝一丸となって実現に邁進してまいります。
     この計画は四つの柱から成っております。命を核とした危機管理、そして徳のある人材の育成、そして豊かさの実現、そして自立ということでございます。これはいずれも富士山から来ております。ふじのくにづくりの核にあるのは富士山でございます。
     富士山というのは活火山でございますから、したがって危機管理ということを我々怠ることができません。命を大切にするということがそこから出てくるわけでございます。富士山は孤立峰でございます。どこから見ても美しい、そのような形で自立ということが出てくる。さらにまた富士の「富」という字は豊かさをあらわす言葉です。さらにまた富士の「士」というのは立派な人間ということを意味することでございます。そうしたことから命を重視した危機管理、豊かさの実現、人材の養成、そして地域の自立というそうした四本柱が出てきているわけでございます。
     一方、現下の雇用・経済情勢は極めて厳しゅうございますので、経済的自立が現状で困難であったり若い方々が就職できずに将来に向かって希望を失うといったようなことのないように、万全の体制を今整え喫緊の課題にもスピード感を持って対応しつつ、ふじのくにづくりに向けまして総合計画に掲げた取り組みが少しでも前倒して、前倒しをして実現できるように全力を尽くしてまいります。
     次に、平成二十三年度当初予算についてであります。
     まず、県税収入につきましては企業収益の改善により法人二税の増収が見込まれます。一方エコカー補助金が終了いたしましたので自動車取得税が減収になるだろうと、また金利の低下の影響で利子割県民税も減収が想定されますので、平成二十二年度の年間見込額とほぼ同額の三千九百五十億円を計上いたした次第でございます。
     昨年末に決定されました国の地方財政対策によりまして、一般財源総額が前年度と同額に据え置かれております。一方社会保障関係費が増加しております。厳しい財政環境下での編成となったわけでございますが、実質的な初年度である新しい総合計画の推進、厳しい雇用・経済状況への万全の対応及び“ふじのくに”づくりと財政健全化の両立という、この三つの方針を掲げて予算を編成いたしました。
     公明党県議団からいただきました御提案並びに県民世論調査からの要望が強かった項目のうち、危機管理体制の整備充実では県立学校の耐震化を来年度には完了させます。救急搬送路の整備や孤立集落の支援のための道路整備を進めます。それとともに木造住宅の耐震化を進めるためにプロジェクト「TOUKAI―0」を引き続き推進してまいります。
     少子化対策の推進では、子育て支援の充実に意欲的に取り組む市町への支援を強化いたします。静岡式三十五人学級編制を平成二十五年度の完成に向けて計画どおり小学五年生に拡充いたします。長寿者がいきいきと暮らす社会の実現のために、高齢者を地域全体で見守って支える体制づくりを進めてまいります。
     また、循環型社会の構築におきましては、本県が提案いたしましたふじのくにEV・PHVタウン構想が国の選定を受けました。それに合わせまして富士山静岡空港など六カ所への充電器を設置いたします。また電気自動車・プラグインハイブリッド車の率先導入をいたします。循環型社会の構築の実現に向けまして、官民の協議会において普及啓発にも努めることにしております。
     医師、介護師確保策の推進におきましては、本年度設置いたしましたふじのくに地域医療支援センターを核にいたしまして医師確保対策を進めます。県内の医療機関と協力して地域がん登録を始めるなどがん対策の推進にも取り組んでまいります。
     このほか、七千五百人余りの雇用創出や就職状況の厳しい新卒者の就職支援などの雇用環境の改善を図ります。研究開発や販路開拓に対する支援などの中小企業支援策も拡大いたします。環境や食品分野における新しい商品開発支援など新成長分野への参入促進にも取り組みます。頻発するゲリラ豪雨などに対応するために河川維持管理の促進と治水対策を推進いたします。国道四百七十三号を初め地域高規格幹線道路の整備など高規格幹線道路の整備促進や、信号機の設置などの交通安全施設の整備も進めます。
     次に、少子化対策についてであります。
     議員御指摘のように百年後に人口が三分の一になるという推計もございますが、私はそういう推計に対しまして疑義を持っております。一九六六年に人口が落ちておりますけれどもこれはひのえうまであると、その統計の背後には人間の意思があるということでございますので、私はそうしたことからこの本県の人口が二〇三五年には三百二十四万二千人になるというようなことを政策的に、あるいはふじのくにの県民とともにとめるという強い意志を持っております。
     平成十七年四月に策定いたしましたしずおか次世代育成プラン前期計画の目標達成状況は、四十三の指標のうち三十三の指標について「目標達成」または「おおむね目標を達成」という状況になっております。ただこの間の本県の合計特殊出生率は――これは女性が五十歳前後まで何人子供を産むかというそういう数字でございますが――平成十六年の一・三七を底にいたしまして回復の兆しが出て平成二十年には一・四四に回復しました。残念ながら平成二十一年には一・四三と下っております。出生率をさらに上昇させるには一層の施策の推進が必要でございます。
     だれもが安心して希望する人数の子供を産み育てることができる環境を整備しなければなりません。就職、結婚、出産、育児といったライフステージと各地域の特性に応じて総合的な対策が必要でございます。
     県といたしましては、昨年三月に策定いたしましたしずおか次世代育成プラン後期計画に基づきまして、しずおか「富2(じ)3(さん)っ子」応援プロジェクト事業など子供と子育ての家庭への支援をしてまいります。「富2(じ)3(さん)っ子」はもちろん富士山にかけた言葉でございますけれども、これはサンプル調査におきまして青年たちが幸せな家庭を築いたときには二、三人の子供が欲しいという、そういう主体的な希望がかなえられるようにという、そういうプロジェクトでございます。そしてまたそのためには仕事と生活が調和しなくてはなりません。ワーク・ライフ・バランスを実現するための働き方の見直しなども、これは強力に進めなければなりません。
     平成二十三年度におきましては、当初予算案におきまして子育て理想郷“ふじのくに”地域モデル事業費として一億円を計上いたしました。地域の特性や実情を踏まえて少子化対策に意欲的に取り組む市町の支援などを重点的に行います。
     現在、合計特殊出生率は本県におきまして一・四を少し上回る程度でございますが、しかし三十五の市町におきまして地域差がございます。一・六〇という数字を持っているのが御殿場、袋井、裾野、御前崎の四市並びに河津、長泉、吉田の三町でございます。これらはそれなりに子育てをしやすい環境を地域として持っておられる。一方一・三〇以下というのが静岡市、熱海市、伊豆市でございます。ここは子育てがしにくい環境があるということでございます。したがってこの数字は県民手帳にもございますので、それぞれの地域の代表の皆様方並びに首長、そして地域のリーダーの方々が、子供たちが少なくとも望めば二、三人は持てるような、そういう環境を積極的にいいところから学んでいただきまして、目標としている二・〇七、ほぼ二ですね、合計特殊出生率二というところを目指していただきたい。
     私は、そうしたところについては一点突破全面展開で大きく宣伝をし、そして支援をしてまいりたいというふうに思っております。底上げをするにはどこかからやっていかなくてはなりません。そのいいところを励ますということなので、特に低いところは猛省を促してしっかりとその面について、お金だけではなくて気持ちの上でも、また地域のコミュニティーづくりにおきましてもやることはたくさんあるはずですので、そのようなことをして「生んでよし 育ててよし」の理想郷の実現に御協力を賜りたいと存じます。
     次に、ふじのくに芸術回廊についてでございます。
     県では、ふじのくに芸術回廊を実現するために、現在策定中の第二期文化振興基本計画におきまして、「みる」、「つくる」、「ささえる」という三つの観点から子供たちが本物の文化に触れる機会、これを充実する、そして世界的な創造活動を推進する、そしてささえる人材団体のネットワークづくりをする、そうした六つの重点施策を掲げております。
     特に大切なのは人材の育成でございます。これは中長期的な観点からなさねばなりません。静岡文化芸術大学はそのためにもつくられた大学でございます。ことしの倍率は十一倍弱ということでそうした文化政策への関心、また文化政策を学ぼうという若者がおります。そこで引き続きアートマネージャー養成講座を開催いたします。来年度からは県文化財団がふじのくに文化芸術振興補助金によって地域の文化事業を支える活動を実施いたします。そうした活動団体がまた人材や運営ノウハウを獲得して、自立に向けた活動ができるように支援を惜しみません。
     将来の文化の担い手となる子供たちへの本物の文化に触れる機会の提供につきましては、県立美術館芳賀先生がリーダーとなってそういう方向で県有施設の活用をしてくださる、これに期待をしそういうところでの学校での鑑賞、学校による学校の子供たちによる鑑賞、また体験事業を引き続き行っていただくとともに、静岡文化芸術大学文化・芸術研究センター長に三枝成彰氏をお招きいたしましたので、三枝先生をふじのくに子ども芸術大学学長として地域の子供たちを中心にいたしまして、文化施設などさまざまな地域の施設を会場といたしまして、体験、創造を通じた文化芸術に出会ってもらってそして感性を豊かにしていただく、そのような機会の充実を図ってまいります。
     また、SPACは本県が四十七都道府県の中で唯一劇場と劇団をあわせ持つその中心でございます。SPACは世界的な創造活動の推進を図る上で中心であるというふうに位置づけておりまして、今後の活動のあり方につきましては、SPACでは質の高い舞台芸術作品の創造に加えて県民とともに作品を生み出す取り組み、あるいは戯曲の朗読会など多種多様な事業展開を行っていただくことで、人材育成や舞台芸術に親しむ県民のすそ野を一層広げることとしております。
     二月二十三日には、例えば謡曲「羽衣」をSPACと協働をして上演をするといったような新しい試みにも活発に参加していただくことで、その上演を楽しみにしております。国の助成金を仰ぐだけでなくて企業の協賛金などをも獲得いたしまして、世界に向けた公演活動の展開や情報発信により国内外における顧客層の拡大を図ることとしております。こうした活動は積極的に支援してまいります。
     文化芸術立国と、そして自然それ自体がいわば文化景観、自然博物館、丸ごと博物館というような借景の中で、こういう文化芸術回廊というものを積極的に二月二十三日から、春の訪れから夏の活発な人間活動をことほぐ夏祭り、そして収穫を中心にした秋祭りなど、芸術祭を本県でことしから新たに出発させたいと思っております。
     次に、清水港港湾整備計画と周辺整備事業の進展についてであります。
     新東名高速道路の開通が間近に迫りました。また富士山静岡空港など陸・海・空のネットワークの整備が著しく進んでおります。ヒト、モノの流れを取り巻く環境が飛躍的にこれから変わることが予想されますので、産業の活性化や多様な交流を通じてふじのくにが世界に向け飛躍する絶好の機会を今迎えております。
     ものづくり県である静岡県にとりまして、港湾は地域経済を支える重要な基盤であります。県では駿河湾港という名称によりまして清水港、田子の浦港、御前崎港を一体的にとらえ、それらの役割分担を考えながら整備運営していくという方針を立てております。現在地方港湾審議会におきまして各港の役割分担や民の視点による港湾経営のあり方などを審議しておりまして、三月を目途に駿河湾港アクションプランとして取りまとめることにしております。
     議員御指摘の清水港につきましては、本県の港湾物流の中心的な役割を果たしていますから、平成二十四年度内の一部完成を目指しまして、国際コンテナターミナル第二バース、クレーン二基の整備を推進いたしまして港湾機能の強化を図ります。また漁船と船舶とがふくそうするのを避けるために、小型船の船だまりと緑地の整備を進めます。当面は第二バース背後の緑地について、平成二十五年度内の完成を目途にしております。また水産業の振興や港のにぎわいづくりにも取り組んでおります。
     清水港や田子の浦港は穀物やチップなどのばら積み貨物の陸揚げ機能を担っております。そうしたことから重点整備が可能となる国の国際バルク戦略港湾に応募しており、年度内に予定されている選定に向けまして、目下従来に引き続き指定されるように強力に国の関係者に働きかけているところでございます。
     県といたしましては、ものづくり産業への支援や主要産業としての物流産業の振興に資する港湾の基盤整備を進めていくとともに、来年度策定されるふじのくに戦略物流ビジョンとも連携いたしまして、成長が著しいアジア域内の新規航路の開拓に重点を置いて、港湾使用料等の新たなインセンティブの導入や民と一体となったポートセールス活動を通じて、駿河湾港を国際競争に耐え得る港として育ててまいります。
     御前崎港は西部の荷物を中心に東アジア、東南アジアというような地域を中心にする。田子の浦港はバルク港湾として、清水港はこれは世界各地に開かれた、同時に中部横断自動車道が完成いたしますとこれは山梨県、また長野県の物産が入ってき、またそちらに物を送ることができます。そのような地域の特性を仕向け地並びに供給源とあわせて物流の役割を分担して、全体としての駿河湾港の物流力を高めてまいるという考えでおります。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁申し上げます。
    ○副議長(岩瀬 護君) 丸山経営管理部長。
           (経営管理部長 丸山康至君登壇)
    ○経営管理部長(丸山康至君) 行財政改革の推進についてのうち、初めに新しい行財政改革大綱についてお答えいたします。
     新しい大綱では、中央集権から地域主権への転換を目指していくため、三つの戦略とそれぞれに主な取り組みを新機軸として打ち出したところであります。
     一つ目の戦略の透明性の高い行政運営では、県民がみずから地域の発展のために考え行動できるよう、新機軸として行政に参画できる環境づくりを掲げまして、県民参加型の行政評価の導入などを進めてまいります。
     二つ目の戦略の効果的で能率的な行政運営では、地域の課題は地域で解決できる体制づくりのため引き続き権限移譲の推進や適切な定員管理に努めますとともに、新機軸としてはいわゆる新しい公共の担い手との連携を掲げ、県の業務についてNPOとの協働の拡大などを進めてまいります。
     三つ目の戦略の未来を見据えた戦略的な行政運営では、本県が有する場の力を生かして時代を切り開いていくため、県みずからが戦略を立て進めていくための人材育成や財政運営などに努めまして、新機軸として地域外交などの地域主権の時代にふさわしい独自施策を推進してまいります。
     厳しい行財政環境の中、こうした取り組みを着実に推進し新しい総合計画の基本理念の一つであります“ふじのくに”の自立、これを実現することが富国有徳の理想郷を目指すことになり、本県が目標といたします県民幸福度の最大化につながるものと考えております。 
     次に、今後の県債残高についてであります。
     新しい大綱においては、県債残高の目標について県みずからがコントロールできる通常債の残高を二兆円程度を上限としておりますが、通常債の削減に努めつつ県債の発行を行いますが、特に国の財政状況や税収の動向に伴う特別な起債を除いた建設事業債の残高を計画期間中に着実に削減すると明記いたしました。
     これまでも財政健全化のため県債発行に対して慎重な財政運営に努めてまいりましたが、国、地方を通じた厳しい財政状況のもと国において必要な地方交付税額を確保することが困難でありますことから、平成十三年度以降交付税の身がわり措置として制度化されました臨時財政対策債の発行が続いておりまして、県債残高総額が増加している原因となっているのが現状であります。
     このため、社会保障を初めとする県民生活に必須の行政サービスを安定的に提供していくため不可欠な一般財源総額の確保や地方消費税等の税財源の充実を含む税制の抜本改革について、これまでも国に対して提言してまいりましたが、今後も引き続き県民が将来に向けて不安を感じない地方財政制度の確立を促してまいります。また二十二年度二月補正予算では退職手当債の発行を二十億円減額し、二十三年度当初予算におきましても極力県債発行の抑制を図ったところであります。
     今後も行財政改革を不断の努力で取り組みますとともに、投資的経費の水準や県債の発行と償還のバランスに配慮しつつ、通常債の残高を削減するよう努めてまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 松浦くらし・環境部長。
           (くらし・環境部長 松浦敏明君登壇)
    ○くらし・環境部長(松浦敏明君) 県営住宅の将来計画についてお答えいたします。
     県営住宅につきましては、平成十八年度に策定した県営住宅再生計画により、平成二十七年度までの十カ年で高度経済成長期に建設された老朽住宅のうち三分の二に当たる約六千戸を計画的に整備、改善しているところであります。
     整備に当たっては建てかえに加えて三つの手法をとっています。一つは全面的改善でコンクリートの構造体以外を一新して間取りの変更やエレベーターの設置などを行うもの、二つは居住改善で住戸内の設備改修を行うもの、三つは民間賃貸住宅を借り上げる方式で、これらの手法を組み合わせ、また手すりの設置、段差解消などのユニバーサルデザイン化、浴槽や給湯器の設置などの機能性の向上も図っています。
     多くの団地では、高齢化が進み自治会活動の低下やコミュニティーの崩壊が危惧されています。このため建てかえや全面的改善に当たっては、単身世帯、二人世帯、ファミリー世帯といった多様な間取りを用意するとともに、高齢化率の高い団地を対象に子育て世代の優先入居枠を設けるなどさまざまな世代が居住する活気にあふれた団地を目指しております。
     需要見通しとしては、平成三十二年には世帯数が減少に転ずると見込まれていることから、県営住宅の管理戸数は当面現状を維持するとともに、空き家募集を毎月行うことで空き家期間を短縮してより多くの住宅を供給し住宅のセーフティーネットとしての役割を担ってまいります。
     次に、交通安全対策についてのうち、第九次静岡県交通安全計画についてであります。
     平成十八年度から平成二十二年度までを期間とする第八次静岡県交通安全計画では、交通事故死者数二百人以下、交通事故発生件数三万九千件以下を目標とし、交通安全対策に取り組んでまいりました。この結果平成二十二年の死者数は百六十五人、事故発生件数は三万六千七百五十一件と目標を達成し、着実な成果を上げているものと認識しております。
     しかしながら、少子高齢化が今後さらに進む中で、交通事故死者数に占める割合の高い高齢者への安全対策や安心して子供を産み育てることができる社会の実現が課題となっています。このため第九次計画におきましては人優先の交通安全思想を基本とし、高齢者と子供の安全確保、歩行者及び自転車の安全確保、生活道路及び幹線道路における安全確保を視点に計画を策定しているところであります。
     具体的な数値目標は、究極的には交通事故のない社会を目指しつつ、国の交通安全基本計画中間案に示された目標値、交通施設整備状況等を勘案し、平成二十七年までに死者数を百二十人以下、事故発生件数を三万三千件以下と定め、警察や市町、関係団体と連携し効果的な交通安全対策を講じてまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 出野文化・観光部長。
           (文化・観光部長 出野 勉君登壇)
    ○文化・観光部長(出野 勉君)交流人口の拡大についてお答えいたします。
    近年、国内の観光需要が低迷する中で、中国を初めとするアジアの経済成長によりまして東アジアを中心とする外国人観光客が増大するとともに、観光の形態やニーズも団体から個人、あるいは体験型へとシフトするなど我が国の観光を取り巻く環境は大きく変化してまいっております。
     こうした変化に的確に対応して交流人口を拡大していくためには、県では現在策定中のふじのくに観光アクションプランにおきまして、特に世界に誇れる観光ブランドの創出、海外からの誘客強化、新しいツーリズムの推進を今後三年間で重点的に取り組むこととしております。具体的には伊豆半島ジオパーク構想等を推進するとともに、本県の自然や温泉、歴史、産業などの多彩な資源を磨き上げふじのくにブランドを構築するほか、東アジアなどへの重点的なセールスの展開や多言語の標識整備など外国人受け入れ態勢の充実、新しいツーリズムを創出するための人材の育成などを推進してまいります。
     施策実施に当たりましては、来訪者の満足度向上を第一といたしまして、意欲的で先進的な取り組みを行う事業者や観光地域づくりを進める方々を積極的に支援いたしまして、すぐれた事例を他地域へ広めることにより本県観光全体の底上げを図るとともに、県内の地域間や隣接県、あるいは航空ネットワークの活用によります就航先との連携が不可欠でありますことから、市町を初め観光協会や観光事業者、まちづくり団体などさまざまな関係者と協働を推進してまいります。
     また、現在取りまとめております富士山静岡空港の経済波及効果におきまして、総額二百四十五億円のうちインバウンドによる効果が二七%を占めることが判明いたしましたので、定期便はもとより積極的にチャーター便を誘致するなど空港の一層の活用によりまして国内外からの交流人口の拡大を図り、本県の発展に努めてまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 石川健康福祉部長。
           (健康福祉部長 石川俊一君登壇)
    ○健康福祉部長(石川俊一君) がん対策の推進についてお答えをいたします。
     本県のがん対策につきましては、静岡県がん対策推進計画におきまして、ふだんから県民の皆様に意識していただきたいこととして、正しい知識を持ちがんの予防に注意を払い定期的にがん検診を受診する、そしてがんの疑いのある症状がある場合には早期に医療機関を受診するなど早期発見、早期治療に努めることを明示しております。
     このため、県民の皆様が予防や検診受診率向上などに取り組んでいただけるよう、本年度は子宮頸がん予防ワクチン接種事業への助成を開始いたしました。また企業と連携したがん検診の受診促進等、県といたしましても積極的に支援をしてまいりました。一方で本県の実態に応じたがん対策を効果的に進めるためには、がんに罹患した方のお住まいの地域や性別、診断時の年齢や部位、発見のきっかけなどの情報を収集、分析することが重要でありますことから、県内の医療機関に協力を求め平成二十三年度中に地域がん登録を開始することといたしました。
     県といたしましては、こうした取り組みを通じまして効率的かつ効果的ながん対策を実施することにより、計画の最終目標であります七十五歳未満の年齢調整死亡率――この年齢調整死亡率というのは年齢構成の影響を除いた死亡率でございますけれども――この二〇%減少の達成を目指しまして予防から医療、研究開発まで総合的に取り組んでまいります。
     次に、新しい福祉社会ビジョンについてのうち、まず地域福祉支援計画の評価と今後の対応についてであります。
     本県では、平成十七年度に静岡県地域福祉支援計画を策定し、市町の地域福祉計画の策定とその取り組みの推進を支援してまいりました。その結果市町村の地域福祉計画の策定率が一〇〇%に達している都道府県が少ない中、本年度までに県内の全市町において策定されることとなり、各市町において地域福祉活動が積極的に推進をされております。
     現在、本計画の改定作業を進めているところでございますが、改定計画におきましては、近年顕在化しております高齢者や子育て家庭の孤立などに象徴されます地域のきずなや支え合いの弱体化を大きな課題としてとらえ、地域において支え合う仕組みづくりを推進するための取り組みを進めることとしております。
     具体的には、地域福祉の担い手となります人材養成や福祉教育などを引き続き推進するとともに、高齢者の見守り体制の充実など地域の支え合いを進めるための取り組みを行う市町やNPO法人等に対し財政的な支援を強化することとしております。また介護や子育て支援、障害者福祉に関して分野ごとに策定されている計画、例えば長寿社会安心プラン、次世代育成プラン、障害者プランなどといった計画を積極的に推進するとともに、これらの計画と連携を図りつつ地域福祉支援計画を推進することによりまして、人と人が支え合う共助の社会づくりを進めてまいります。
     次に、うつ病対策についてであります。
     自殺に至る背景には経済問題や健康問題などさまざまな要因がありますが、うつ病が引き金となることが多いとされていることから、その早期発見、早期治療のための取り組みが非常に重要であると考えております。
     このため、県では眠れないなどのうつ症状を訴える方が初めに受診することが多いかかりつけ医に対して、うつ病に関する理解を深めてもらうための研修会を精力的に実施しているところであります。今後はこの研修を継続するとともに、市町や医師会を通じてかかりつけ医と精神科医の連携強化の拡大を図り、うつ病に悩む方々への支援体制の充実強化に努めてまいります。
     また、認知行動療法につきましては、県立こころの医療センターにおいて研究をしているところでありますが、海外事例で見られるような、特に初期の患者に行っているこの療法が、中・重度の患者の多いこのセンターにおいて最適であるかの見きわめがいま一つ必要であろうと考えております。この療法に習熟した医師は全国的に少ないことから、広く医療関係者等を対象といたしました研修会を開催するなどまずは普及啓発を進めてまいります。
     次に、難病患者の支援についてであります。
     静岡県難病相談支援センターは、難病患者や家族の皆様の日常生活における相談支援、地域交流活動の促進や就労支援などの活動の拠点として、医療機関の紹介を初め医療費助成や患者会、就労についての情報提供などを行っており、業務を受託していただいております難病団体連絡会におかれましては、一人一人のニーズに対応したきめ細かな対応をいただいているところであります。
     こうした中で、就労につきましては特に切実な相談が寄せられておりますことから、県といたしましては支援の必要性が高まっていると考え、保健所、ハローワーク、専門医、患者団体などで構成をいたします就労支援検討会を設置し、難病患者就労支援事業の活用を含めて検討してまいりました。当該事業は、他県においても個別具体の事情に応じた就労につなげることが難しいと伺っておりますことから、本県においてはまずは今年度中に個々の病状や日常生活上の制約などを記載いたしました共通の相談シートを作成し、関係機関において活用することによりまして雇用側との共通理解を深め、難病患者の就労支援に役立てることとしております。
     さらに、県民だよりや患者会の会報等を通じまして、このセンターの一層の周知を図り最寄りの保健所との連携体制を強化するとともに、患者会の活動を支援するためのOA機器を配置するなど相談体制を初め就労支援等の機能の充実も図ってまいりたいと考えております。
     次に、就労問題についてのうち、障害者の就労移行支援事業についてであります。
     県内で就労移行支援事業を行っております事業所は二月一日現在で五十一カ所あり、特別支援学校高等部を卒業された方や離職者など約五百人の方が、一般就労へ向けて金属加工や部品組み立てなどの職業訓練や職場紹介などの支援を受けております。
     平成二十一年度の実績として、利用者の約二割に当たる百七人の方が企業などに就職されましたが、厳しい経済情勢、雇用情勢にあることから、さらなる就職率の向上には就職先の新規開拓や企業などの採用ニーズに応じた訓練内容の充実などが課題であると考えております。このため県といたしましては、来年度も二十名の障害者求人開拓専門員を配置いたしまして就職先を開拓するとともに、就労移行支援事業所が行うビジネスマナーや基本的な生活ルールを学ぶ職場適応訓練への助成を行い、障害のある方が一人でも多く一般就労できますよう支援してまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 堀川経済産業部長。
           (経済産業部長 堀川知廣君登壇)
    ○経済産業部長(堀川知廣君) 就労問題についてのうち、学生と企業のマッチング支援についてお答えいたします。
     本県においても大学生の就職内定率が低迷している一方で、情報サービス、機械製造、観光、食品関連など中小を含めた県内の地域企業は就職フェアなどの面接会に積極的に参加をしており、また企業訪問をいたしますと優秀な人材を確保したいという声がありますので、県といたしましては、地域企業への学生の関心を高め就職に導く取り組みが重要であると認識しているところであります。
     このため、県では学生が企業の現場を直接見聞きし選択の幅を広げ中小の企業にも目を向けるよう、今年度七十社が参加した企業見学会を来年度も拡充して実施をしていきます。また毎月五千件以上のアクセスがあります県の就職情報サイトの登録企業数を、現在の千二百社からさらに増加させてまいることとしております。
     また、インターンシップの受け入れ企業の拡充を図るほか、来年度新たに首都圏の学生を対象に県内企業を紹介する説明会と東・中・西の企業を訪問するバスツアーを開催することとしております。さらに就職面接会を集中的に実施するなど、一人でも多くの学生が人材を求めている地域企業に就職できますよう学生と企業のマッチングの強化に積極的に取り組んでまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 小林危機管理監。
           (危機管理監 小林佐登志君登壇)
    ○危機管理監(小林佐登志君) 危機管理体制についてのうち、初めに県民の初動対応についてお答えいたします。
     危機発生時における県民の初動対応の基本は、みずからの命はみずから守る自助、みずからの地域は皆で守る共助にあります。こうした考えを徹底するためには、県民一人一人の防災意識を高め、自主防災組織などを中心とした地域連携を強化していくことがますます重要となっております。
     本県には五千を超える自主防災組織がありその結成率はほぼ一〇〇%となっておりますが、少子高齢化や地域のつながりの希薄化などにより活動内容の濃淡がここに来て拡大しつつあります。昨年九月に県内を襲った台風九号では小山町が大きな被害を受けましたが、自主防災組織などの活躍もあって人的被害をゼロに抑えることができました。この事例は自主防災組織の役割やその組織を束ねるリーダーの存在の重要性を改めて認識させるものでございました。 
     県では、自主防災組織で活躍するリーダーなどを育成する地域防災力向上人材育成事業により防災士や地域防災指導員等に加え、今年度からはふじのくに防災マイスターやふじのくに防災フェローなど、新たな地域防災の核となる人材の育成に取り組んでおります。
     今後とも県では、みずからの命はみずからが守るという県民の防災意識を高めるため、住宅の耐震化や家具の固定などみずから取り組むべき防災に関する情報を繰り返し発信してまいります。また自主防災組織を中心としてそれぞれの地域が力を合わせて適切な初動対応がとれるよう、組織力の強化とリーダーの育成に努めてまいります。
     次に、災害情報の共有化についてであります。
     現在開発中のシステムにつきましては、災害に関連するさまざまなデータを電子地図上に表示して情報を見える化することにより、関係機関との間で災害関連情報をリアルタイムで共有化し活用することを目指しております。
     県では、このシステムを開発するため、危機管理部内に若手職員を中心としたワーキンググループを立ち上げ、市町や自衛隊等の防災関係機関の意見も十分取り入れながら、使いやすいシステムとなるよう整備に取り組んでおります。特に生死の分岐点と言われる発災から七十二時間に焦点を当て、発災初期の対策に重要な役割を担う道路、ヘリポート、避難所、救護所の四つのデータベースの整備を優先して進めております。
     これらの情報は、関係機関の間で平常時には静的情報として計画づくりや訓練などに活用できるようデータを公開し、災害発生時には動的情報として災害現場の写真や道路の通行の可否、施設の開設状況などを電子地図上に表示し、リアルタイムで共有化することで、迅速かつ円滑な応急対策に役立てようとするものでございます。
     なお、本システムにつきましては、整備ができたところから順次活用を図り平成二十四年度から全面的に運用をしてまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) これからの人づくりについてお答えいたします。
     議員御指摘のとおり、新たな環境に適応できない子供や自分のしたいことが見つけれられない若者など、自分の未来を切り開いていくことが苦手な子供、若者がふえていることについて、私自身も危惧しているところであります。
     人は他者とかかわり合う中で、壁にぶつかったり自分のよさに気がついたりする経験を重ねていくことを通して自己肯定感を高めることができ、それがさまざまなことに挑戦しようとする意欲や気概につながっていくものと考えております。そこで教育振興基本計画では、徳のある人間性の育成、健やかでたくましい心身の育成等を教育の重要な柱として位置づけ、さまざまな体験活動や青少年のリーダーの養成に向けた国際交流、部活動の推進などを通して、多くの人やさまざまな環境に接し、困難や課題を乗り越え達成感を得ることのできる機会の充実に努めてまいります。
     そして、これらの活動を通して子供に他者や社会とかかわり合うことの大切さに気づかせ、子供の意欲や自信を引き出していくとともにコミュニケーション能力等を育成し、みずからの人生をたくましく歩んでいく生きる力を持った徳のある人づくりを進めてまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 安村警察本部長。
           (警察本部長 安村骼i君登壇)
    ○警察本部長(安村骼i君) 交通安全対策についてのうち、高齢運転者に対する事故防止への取り組みについてお答えいたします。
     初めに、高齢運転者に対する事故防止方策ですが、一つ目は高齢運転者に対する交通安全教育の推進であります。高齢運転者については、その機能の低下の状況に応じて自動車を安全に運転するための技能と知識を習得してもらうことが肝要であります。このため運転免許更新時の高齢者講習の充実を図るとともに、高齢運転者を対象とした参加・体験・実践型の交通安全教育を推進しております。
     二つ目は高齢運転者支援の推進であります。身体機能の低下などにより運転免許証を自主的に返納したいと考えている高齢者及びその家族からの運転適正相談に対し、きめ細かな対応をしていくとともに運転免許証の自主返納制度の周知を図っております。
     次に、高齢運転者の事故防止に対する今後の取り組みでありますが、高齢運転者の安全意識を高めるため、本年二月に施行された新たなデザインの高齢運転者標識の表示促進を図るとともに、高齢者以外の運転者には高齢運転者の特性を理解させ、高齢運転者に対する保護意識を高める交通安全教育や広報啓発をさらに推進してまいります。
     また、議員御指摘の点でありますが、引き続き関係機関・団体と連携し、バス、タクシーの運賃割引制度の拡大など運転免許証を自主返納しやすい環境を整えてまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 三十五番。
           (三十五番 谷 卓宜君登壇)
    ○三十五番(谷 卓宜君) 三点ほどお伺いいたします。
     今、教育長からお話がございました若者の他者とのかかわりの困難さ、そういうものがあるというお話でございました。その辺をしっかり克服する生きる力を持たせるというお話がございました。それは教育長への質問でございましたけれども、知事の政治姿勢に当たりまして富国有徳の人づくりということを最初にお話になったわけでございますし、知事の第一の改革は教育改革であると、そして心身の調和した徳のある人を育てる文武芸三道の鼎立と、そういう知事の理想像をずっとお話になっているわけでございますが、この辺も含めまして静岡県の若者が世界に通用する人になっていくようにそのようにやっていただきたいと思いますけれども、その点に関しまして御所見ありましたらお伺いしたいと思います。
     もう一点は、少子化対策についてお話いただきました。各三十五市町の合計特殊出生率をもととして、子育て対策に力を入れさせるという知事のショック療法といいますか、これはなかなか頑張るんじゃないかと思いますけれども、合計特殊出生率の計算――私詳しいことはわかりませんけれども――たしか十五歳から四十九歳までの女性がその間に生まれる人数を割ると、分母が女性の十五歳から四十九歳までになっております。
     どうなんでしょうか、最近日本の法制上なかなか結婚しない人が子供を産む厳しさがある中でありますので、分母の女性の部分を結婚した人の数という、そういう計算ができないのかちょっと前から疑問に思っておりました。そうすれば市町による数値はまた少し異なってくるんではないか。そういう中での取り組みがなされていくんではないかという感じがします。そうでなければ二・〇はかなり厳しいんではないかと私ども危惧しておりますけれども、その辺の数値の見方とこの取り扱いについてお伺いしたいと思います。
     教育長に再度お伺いいたしますけれども、体験とか一校一農園とか土に触れるさまざまな教育方針があろうかと思いますが、やはり普通高校で学業だけで次の大学を目指すというだけの教育では、その多感な時代にいい効果が上がらないかもしれません。私はそういう意味で実業高校といいますか、農業、工業、商業各ありますけれども、この大事な時期にこの学校を通り越えていく生徒さんたちの力というのは、大変な生涯にわたって大きなものになると思います。特に農業高校等の果たす役割といいますか、そういうものももう少し見直してあげるべきではないかと思いますので、実業高校の果たしてきた人間教育のよさを再度見直すべきと思いますけれども、その点に対してのお考えをお伺いしたいと思います。以上でございます。
    ○副議長(岩瀬 護君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 御質問ありがとうございました。
     まず、最初の人材の育成についてでありますけれども、議員御指摘のように偏差値教育に偏して知力だけを重んずるというのは私は誤りであると思います。しかしながらもちろん知力は極めて重要であるというふうに思っております。しかし人間の力というのは、知力だけではなくて心というのは知・情・意から成るというふうに言われます。「知」というのは知性ですが「情」は感性、「意」というのはやる気です。意欲です。意志です。こうしたことがいろいろな形で涵養されるというふうに思うのですが、知力はこれは数学とかあるいは本をしっかり読むとかということが大事ですが、情というのはこれは感動する力ということでございますので、そうした機会を芸術であるとか、あるいは自然の中に出るとか、そうしたことを通して持つことができると。
     意欲というのはこれは頑張るということが大事です。あるいはチームワークということで、一緒にやることが大切だとしたようなことはですね、これはスポーツで鍛えられるということでございまして、昔で言う文武両道に引っかけて言えば文武芸三道鼎立と、学問も大事、芸術も大事、そしてスポーツも大事ということです。
     私はしかしながら、それの一流になるということはこれは持って生まれた能力というものもございますから、すべての人が一流になれるとは思わない。しかし学問を大切にするという気持ち、それから芸術ができる人たちに対してそれをすばらしいと思う気持ち、またスポーツについてもそれができる青年に対して、あるいはそういう人に対して敬意を持つ気持ちというのが大切であるというふうに思っております。
    最近ですと、サッカーで本県出身の選手たちがめざましい活躍をしております。あるいは音楽の世界賞と言われるグラミー賞で、本県出身の内田光子さん、ピアニストですね、モーツアルトでいろんな賞を取られていらっしゃいますけれども、あるいは上原さんですね、ジャズの。そうした人たちは青年たちのあこがれになります。だから必ずしも学校で勉強ができるということだけではだめだと思っておりまして、そうした意識を教師が持つことが問題だというふうに思っております。
     したがって、教師それ自体がいわばもし内向きであるとするならば、外に出なくてはならないというふうに思います。いつでも机の前で評価表だけ見てるようではだめで、みずからが山野に出かけるなりあるいは土に親しむなり、そうしたことをしない限り私は子供はよく育たない。
     さらに、本県には例えばブラジルの方々、ペルーの人々、こうした南アメリカの方々がたくさんいらっしゃいます。そうした外国の子供たちに偏見をもし持つような日本中心主義的な教育しかできないようであれば、外国の子供を特別視するようであれば、それは必ず子供に影響するということで教師それ自体の人格力をもっと磨かねばならないと、今は問われているのは教師である。さらに言えば教師は学校で教えるのが仕事ですけれども、学校外で地域の大人が地域の子供を育てるということで皆それぞれが教師になり得ると。
     例えば、今回食の都の仕事人というのを認定いたしましたが、彼らは食の芸術をつくる名人です。その意味でそうしたものもまた私は教師の一人であるというふうに思っております。その教師、食の都の仕事人における教師というのは主婦の先生でもあります。旬のものを大事にするというそういうことにおける名人というのはすべての人が学ぶに値すると。互いに学び合うというそういう生涯学習の社会をつくって、人材をつくっていくということそれ自体が最高の目的であると。そしてそのときに人の役に立てないということ、言いかえると仕事がないということが最大の不幸ですから、そこに第二の質問であります少子化の問題がかかってきます。
     なるほど結婚した人は大体二、三人産んでいることは私も承知しております。しかし全体の合計特殊出生率が二・〇七をたしか昭和三十年代に切りました。それ以降人口が減少してきているわけです。その人口減少ということをとめるためには、やはりなぜ未婚が多いのか、なぜ晩婚になっているのか、なぜ少子化になっているのかということをやはりすべて総合的に考えねばなりません。ですから私は、そういう結婚した人たちが二、三人産んでいるからそれでいいということにはならないというふうに思っておりまして、すべての人が必ずしもいわゆる一夫一婦制という形での結婚でなくても、いろいろな形のパートナーであるとか、あるいは母子家庭であるとかいろいろなものがあると思いますが、そうしたことに対する偏見もあわせて克服しながら、一人の人間が社会的に生きていることへの温かいまなざしをもって地域の子供を地域で育てていくという、そうした社会をつくり上げてまいりたいというふうに思っております。
     ただし、本当に愛し合う形になりますと一夫一婦制になるのが、私は人類史から学ぶべき教訓ではあるとは思っておりますが、それだけが唯一の人間の幸せのあり方であるとは思っていません。母子家庭、父子家庭でしかいられない人たちもいることが現実であるからでございます。
     いずれにしましても、この二・〇というのは本県が人口力と、人口というのは力と質です。力というのは数です。一方、質というのがまさに文武芸三同鼎立というふうな形ですべてのものに全体としてバランスがとれているような、そういう人材をそろえるということにおいて、質ということもあわせて、いや量にも増して重要であるというふうに思っているわけでございます。以上、お答えいたしました。
    ○副議長(岩瀬 護君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 実業高校、いわゆる専門高校のよさを再度見直すべきではないかという御質問でございますけれども、私も多感な若者、高校生が自分の存在感というものを確認するのは、社会とのかかわり、あるいは人とのかかわりの中で自分は確かに生きているんだなということをやっぱり実感する、そういう体験を持たせることが必要ではないかなというふうに思っております。そういう意味では、専門高校での教育というのは普通科高校にあっても大いに見習うべきところがたくさんあるのではないかなというふうに思っております。
     先ほど、一校一農園というお話もありましたけれども、来年度から新規事業で大地に学ぶ農業体験推進事業というのをやりますけれども、これはいわゆる農業高校を中心にしまして、小中高、普通高校、あるいは特別支援学校に、農業高校のノウハウを生かしたそういう体験活動を広めていくという意味では、議員から御指摘のありました専門高校のよさを再度見直すということにつながっていくのではないかなというふうに思っております。
     また、先ほど知事からもございましたように、こういうことを進めていく中ではやはり教師の人格力というのも非常に必要ですので、教師も子供たちと一緒になって大地に学ぶという、そういう姿勢も貫いていきたいなというふうに思っております。以上でございます。
    ○副議長(岩瀬 護君) これで谷卓宜君の質問は終わりました。
     議事の都合により休憩します。

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