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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成29年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

早川 育子 議員

質問分類

代表質問

質問日:

02/27/2017

会派名:

公明党静岡県議団


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について
 (1) 平成二十九年度当初予算編成
 (2) 人口減少対策
2 仕事と生活が調和した誰もが働きやすい社会の構築について
 (1) 女性が輝く社会の実現に向けた取り組み
 (2) 県職員が働き続けるための環境整備
3 東京オリンピック・パラリンピック文化プログラムについて
4 富士山世界遺産センター(仮称)について
5 妊娠から出産、子育てまでの切れ目ない支援について
6 地域で支える福祉サービスの充実について
 (1) 地域包括ケアシステムの構築
 (2) 重症心身障がい児・者の在宅支援
7 セルロースナノファイバー(CNF)の拠点づくりについて
8 茶業振興について
9 県産材の利用拡大に向けた取り組みについて
10 田子の浦港の利活用について
11 避難所運営マニュアルの見直しについて
12 子どもの体力向上について
13 認知症にある行方不明者の早期発見に向けた取り組みにつ
 いて


○議長(鈴木洋佑君) 開議に先立ち、御報告いたします。
 本日は、説明者として萩原人事委員会事務局長が出席しておりますので御承知おき願います。

○議長(鈴木洋佑君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第一号から第八十一号までを一括して議題とします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、二十八番 早川育子君。
       (二十八番 早川育子君登壇 拍手)
○二十八番(早川育子君) おはようございます。私は公明党静岡県議団を代表し、当面する県政の諸課題について知事並びに副知事、関係部局長、人事委員会事務局長、教育長、警察本部長に一括方式で質問いたします。
 初めに、知事の政治姿勢についてのうち、平成二十九年度当初予算編成について伺います。
 県内の経済状況は、緩やかに回復しつつあるというもののその足取りは全国の中で決して速いとは言えず、円高や海外景気の下振れリスクなど先行きには依然として不透明な部分があります。このような環境の中、来年度予算編成に当たり一部の経費について一律二〇%カットのシーリングを設定したものの、部局調整案提出段階では六百三十二億円の財源が不足するという厳しい財政環境でありました。
 一方、来年度は後期アクションプランの最終年度としてふじのくにづくりの総仕上げに当たり、川勝県政にとって正念場の年になると言えます。ポスト東京時代の理想郷実現に向け新たな施策展開も期待されるところです。
 公明党静岡県議団では、このような厳しい財政状況においてこそ県民の安全と安心を確立するとともに希望がゆきわたる調和のとれた活気ある社会の実現が必要であるとの観点から、六つのテーマのもと百一項目の重点要望、二百五項目にわたる人が生きる地方創生の実現を知事に要望しました。
 知事は、厳しい財政環境の中、財源不足解消に向け歳入の確保、歳出のスリム化にどう取り組み、そして我が会派の要望を平成二十九年度当初予算にどのように反映したのか伺います。
 次に、人口減少対策について伺います。
 本県の直面する最大の課題は急速に進む少子高齢化を背景とした人口の減少であります。総務省が一月三十一日に公表した資料では、昨年本県の人口移動は六千三百九十人の転出超過で全国ワースト四位、平成二十七年は六千二百六人でワースト五位、二十五年と二十六年はワースト二位と社会的な要因による人口流出は全国と比較しても非常に厳しい状況が続いています。
 年齢構成で見ると十五歳から十九歳までと二十歳から二十四歳までの年齢層における転出超過が飛び抜けており二つの世代で全体の七五%を占め、地域的には県東部地域における転出の超過が目立っています。
 県は、平成二十六年に少子高齢化と人口減少は社会にとって大きな脅威であり、安全で快適な生活維持や自然災害に対しても脆弱な社会になるとの危機意識から人口減少問題に関する有識者会議を設置し、その提言をもとに長期人口ビジョン、総合戦略を平成二十七年十月に策定、公表し人口減少社会の克服に向けた取り組みを行ってきました。
 しかし、成長指標の現状推移を見る限り、どの項目についても思ったような成果に結びついていない状況であります。人口減少対策については原点である有識者会議の提言に立ち返り、人口減少の抑制戦略と人口減少社会への適応戦略の二面から政策の実効性、推進体制の構築などを進めるべきと考えます。
 例えば、庁内の推進体制の構築は従来型の発想や縦割り組織での対応は困難であり、全庁横断的に取り組むことが提言されていますが、この取り組みについて知事のもとに開催される本部会議で重要テーマとして議論され検証されているのでしょうか。
 また、静岡県の将来を担う学生を初めとする若い世代や女性、地域で活動するNPOなどの意見を幅広く聞き地域の未来をともに考える機会を設けていくことが大切との提言で、次代を担う若者たちによる県民会議が設置され、昨年から二回開催されさまざまな角度からの意見が出されたものの、どの意見が有効で県の施策に反映させるべきなのか明確な方針は出ておりません。
 地域活性化や地域振興に若者の力を活用する取り組みが全国各地で行われています。専修大学出版の「大学生、限界集落へ行く」には新潟県南魚沼市辻又集落の活性化プロジェクトで学生がフィールドワークを通し特産の米をライスミルクとして商品化し、ミョウガを使ったおにぎりを都市型マルシェに出品することにより活性化の一翼を担ったことが紹介されています。現場に行ってこそ初めて現実の課題が理解されるという面からは、大学のゼミとの連携なども実効性の高い手法として検討していくことも必要と考えます。
 人口減少対策には特効薬はありません。地道な努力を続けていく以外にないとは思いますが、提言に基づく施策を真に実効性のあるものとするため県はどのように取り組んでいくのか、知事の決意を伺います。
 次に、仕事と生活が調和した誰もが働きやすい社会の構築について伺います。
 初めに、女性が輝く社会の実現に向けた取り組みについて伺います。
 一昨年、クリスマスの夜に大手広告会社勤務の新入社員高橋まつりさんが過労を原因として自殺したとのニュースに日本中が衝撃を受けました。改めて御冥福をお祈り申し上げますとともに、二度とこのような悲惨なことが起こらぬよう願います。
 彼女の母は手記で「まつりの死によって、世の中が大きく動いています。まつりの死が、日本の働き方を変えることに影響を与えているとしたら、それは、まつり自身の力かもしれないと思います。でも、まつりは、生きて社会に貢献できることを目指していたのです」と語られました。一人の女性がみずからの命を賭して働き方の改革を訴えたとしたら、この思いを決して無駄にすることなく社会を変えていかなくてはならないと実感しているところであります。
 私は、働き方の改革はこれまで取り組んできたワーク・ライフ・バランスの実現そのものであると考えておりました。昨年十一月に県が主催したふじのくにさくや姫サミットに参加した折、講師の堂薗稚子さんが、ワーク・ライフはバランスではなくインテグレーション、つまり高次な統合の時代に入ったと述べられ衝撃を受けました。働く女性の価値観が超多様化する中で「働きやすさ以上に働きがいと成長を求めていく姿勢も大切である」との言葉に、これからの働き方改革や女性の活躍推進につながるキーワードであると思いました。
 先日、男女が共に創るしずおか議員連盟で興津螺旋株式会社を視察してまいりました。ねじ製造業の生産現場はもともと男性の職場でしたが平成二十四年から女性が登用され「ねじガール」として活躍、育休取得や育休明けの復帰支援や時短勤務など個別にも対応されるなど配慮されておりました。女性でも重労働がこなせるように工具や機械を工夫した結果、女性だけでなく男性の労働負担も軽減でき、女性が働きやすくなることは高齢者、障害者、また男性社員にとっても働きやすい職場になる、女性社員のポテンシャルは高く評価され、会社全体のレベル向上に貢献していると社長みずから実感したとのお話を伺いました。
 また、独創的で発展性のあるビジネスを展開している国内の女性起業家をたたえる二〇一六年度のJ三〇〇アワードで富士市の菜桜助産所堀田久美さんが最高賞を受賞されました。ライフスタイルに応じた多様な生き方を支えていくことが女性活躍の大きな原動力になると実感しました。
 昨年十二月議会で蓮池議員が女性活躍推進について質問したところ女性活躍推進法に基づく推進計画を策定するとの答弁があり、過日静岡県の女性の職業生活における活躍の推進に関する計画が公表されました。この計画が速やかに実行され、全ての女性が生き生きと輝く社会が実現されることを望みます。
 そこで、女性が輝く社会の実現に向け本計画の目指すところ、また今後の展開について知事に伺います。
 次に、県職員が働き続けるための環境整備について伺います。
 人口減少社会においては、優秀な人材を採用するだけでなくこれまで以上に一人一人が能力を伸ばしこれを最大限に発揮していくことが重要になってきます。県職員においても社会の多様な課題に対応できるよう、男女を問わず職務におけるキャリアを形成するとともに、地域活動や家庭生活を通じて人生経験を積み重ね個々の資質を高めることが求められます。
 こうした中、県では一月にふじのくにワーク・ライフ・バランス推進計画に基づき仕事と生活の調和を実現し誰もが働きやすい職場環境づくりを推進するために、知事を初めとする幹部職員がイクボス宣言を行ったと伺いました。職員が働きがいを感じながら十分に能力を発揮し組織を活性化させていくこのような取り組みは、今後の県政を推進する上でも非常に重要であると考えます。
 一方で、少子高齢化の進行や女性の就業増加に伴い、男性も女性も仕事をしながら子育てや親の介護にかかわることが多くなっていくことが予想されます。このため職員の仕事と生活の両立を支える仕組みをつくり、育児や介護のための離職によって貴重な人材が失われることがないように配慮することが必要です。
 職員の勤務条件等についての勧告を行う立場である人事委員会として、職員が仕事と生活を両立しながら働き続けるための環境整備についての所見を伺います。
 次に、東京オリンピック・パラリンピック文化プログラムについて伺います。
 IOCのオリンピック憲章では前文に続いてオリンピズムの根本原則が記載されておりますが、そこでオリンピズムとは「スポーツを文化、教育と融合させ、生き方の創造を探求するものである」と定義しています。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック開催に向け準備が進んでおりますが、私たち会派では同時に文化プログラムの重要性を訴え、平成二十七年九月議会にて田議員が県の取り組みを質問しました。その後、県は国に先駆けて準備委員会を設置し県内の文化資源とその活用について調査を実施し、今年度に入り準備委員会を推進委員会に発展させ基本方針の具体的例示とプログラムの担い手や推進委員会等の経験蓄積を目的にモデルプログラムを実施しました。
 昨年十一月には、私の地元富士市でも富士の山ビエンナーレ二〇一六が市民有志により開催されました。行政区を越え地域に点在する歴史的建造物と現代アートのコラボは斬新で、多くの市民が訪れました。地域の魅力を最大限に発揮しようとの思いが伝わり、会場提供された方や周辺の皆さんから多くの方に来ていただくことにより自分たちの地域をもう一度振り返るよい機会となったとの感想をいただきました。
 まさしくこれがオリンピック・パラリンピック文化プログラムの目指すところではないだろうかと実感したところです。東京大学吉見俊哉教授は、単に著名な美術品や音楽を鑑賞するだけでなく、本来のcultureは生活と教育、文化が結びつくものである。私たちは私たち自身の社会が持っている土壌を耕すことで、持続的にすぐれた文化的な価値が生まれてくるようなプロセスをつくらなければならない。この話が、二〇二〇年の東京オリンピックのテーマである「レガシー」につながっていくと述べております。
 地域の持つ多様な文化を次代に伝え、人材を育成し、さらに新たな雇用や産業を生み出していく絶好のチャンスであり、多くの人に静岡県の文化力の広さを知っていただくチャンスであると考えます。またこのモデルプログラムでは障害のある方による施設と地域の接点をつくる取り組みも見られ、幅広い活動が期待されております。
 そこで、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック文化プログラムに向けて、県は今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、富士山世界遺産センター――仮称――について伺います。
 いよいよ、富士山世界遺産センター――仮称――が十二月のオープンに向け準備が進められております。富士山の普遍的価値を次代に継承し、「守る」、「伝える」、「交わる」、「究める」という四つのコンセプトを掲げ観光、学術、芸術など富士山を通じたさまざまな交流の拠点とし、それらを富士山学として体系化していく重要な役割が期待されております。
 昨年十二月、会派で山梨県世界遺産センターを視察しました。既に機能していた富士山ビジターセンターに併設する形で設置された同センターは資料も十分備え、見せ方にもこだわり、中央に設置された富士山のモニュメントに向かい歩きながら展示を楽しむ様子はさながら富士登山をしているかのようでした。観光地が近隣にあるということもメリットの一つで、来館者がわざわざ足を運ぶというより観光コースの一つになっているようでした。ただしビジターセンターは無料である一方遺産センターは入場料が必要ということで、入館しないで帰られる方もいらっしゃるとのことでした。
 展示内容を見るにつけ、静岡県らしさをどのように伝えていくのか、特徴はどこに持たせるかが重要であると考えました。愛称やロゴマークを募集して県民に親しまれる存在であると同時に富士山学の拠点として調査研究や若手研究者の育成、芸術の発信地としてのより専門的な役割も期待いたします。
 そこで、富士山世界遺産センター――仮称――の今後の展開について、県の取り組みを伺います。
 次に、妊娠から出産、子育てまでの切れ目のない支援について伺います。
 少子高齢化が進む中で本県のさらなる活性化には女性の活躍が不可欠であり、そのためには出会い、結婚から妊娠、出産、子育てまでの切れ目のない支援と先ほど述べました働く女性への支援を一体的に進めることが重要です。県の総合計画では合計特殊出生率二を目標に掲げていますが、その実現に向けて一人でも多くの若者たちの結婚や出産の希望をかなえ、安心して子供を産み育てられる静岡県にしていくことが重要と考えます。
 その中で、不妊症、不育症患者に対する相談事業や医療費助成事業の拡充が図られたことは高く評価できます。少子化の流れを変えるためには、今後さらに結婚を希望する若者への支援、保育の現場を支える保育人材の確保や全ての子供が夢に向かって頑張ることができるようひとり親家庭への支援の充実なども含めさまざまな施策に総合的に取り組む必要があります。
 妊娠、出産、子育てまでの切れ目のない支援については、平成二十八年六月の母子保健法の改正においてフィンランドのネウボラを参考に日本版ネウボラとして妊娠から出産、子育てまで一貫して子育てを支える子育て世代包括支援センターの設置規定が盛り込まれ、全国展開が進められることになりました。また核家族化や産後の早期退院化により出産直後から母親がひとりで育児を抱える時代になり、育児不安や健康回復など退院後の母子に対する心身のケアなど充実が求められるようになりました。公明党がこれまで進めてきた母子の健康と子供の健やかな成長を目指した施策の充実を図るため、国においては産後鬱予防のために市町村が実施する産婦の健診費用の助成制度が平成二十九年度から新たな事業として実施される方針が示されております。
 昨年富士保健所主催のセミナーに参加しました。支援機関が顔の見える関係となりネットワークを構築し、母子支援連絡票を活用することにより妊産婦や母子が孤立することなく産後鬱、育児放棄、虐待などを早期に発見することができ非常に効果があるとのことで、今後さらに充実することを期待いたします。
 本県では平成二十七年度に三市で子育て世代包括支援センターが設置されていましたが、県として市町のセンター設置の推進を図るためどのような取り組みを行っているのか、また県として妊娠、出産、子育てまでの切れ目のない支援を今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、地域で支える福祉サービスの充実について伺います。
 初めに、地域包括ケアシステムの構築について伺います。
 日本は急速なスピードで高齢化が進行し、六十五歳以上の人口は現在三千万人を超え国民の四人に一人が高齢者となり、二〇四二年にピークを迎えてもその後も七十五歳以上の人口割合は増加し続けることが予測されております。
 このような中、介護が必要となっても可能な限り住みなれた地域で自分らしい生活を人生の最後まで続けることができるよう、地域の中で住まい・医療・介護・予防・生活支援を包括的に提供する地域包括ケアシステムの構築が推進されてきました。地域の独自性や主体性に基づき整備されておりますが、特に高齢者が住みなれた地域で暮らしていくためには生活支援サービスの充実と高齢者自身の社会参加や地域住民が支え合う仕組みづくりが必要となってきます。
 改正介護保険法における新しい地域支援事業への移行期間最終年度である平成二十九年度は、各市町にとっても正念場とも言えます。しかしながら取り組むべき課題は認知症対策、医療と介護の連携、介護人材の確保、予防事業の推進、相談体制の整備、成年後見人制度の推進や人材確保、住まいのあり方などどれを取っても欠くことのできない重要課題ばかりです。地域間の格差が心配され特に人材不足は深刻です。
 超高齢社会において地域の特性を生かし支え合う地域を構築することは、単に高齢社会対策に終わることなく地域を再生していくことになります。まさに地域包括ケアシステムの構築は地方創生の一翼を担っていくと言えます。その意味において単独での推進が困難な市町に対し広域的に支援していくことが求められます。
 一方、年齢や障害の有無に関係なく地域の施設に通えるふじのくに型福祉サービスを議会で提案させていただき、県内でもさまざまな形で取り組む事業所がふえてきております。共生社会を構築する上で理想の形でありさらに推進されることを望みます。先日会派で掛川市にある希望の丘を視察してまいりました。掛川市の将来を見据えた計画に基づいた総合的な在宅支援の地域拠点施設として、また地域住民も巻き込んだネットワークに大変感銘いたしました。
 そこで、これからの地域包括ケアシステム構築に向け、県は市町への支援も含めてどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、重症心身障害児・者の在宅支援について伺います。
 「この子らを世の光に」とは障害者福祉の父、糸賀一雄先生の言葉です。一人一人が光り輝く存在にと生涯訴え続けられました。
 昨年四月、障害者差別解消法が施行され、いよいよ障害の有無に関係なく全ての人が自分らしく生きていくインクルージョン社会の実現への扉が開かれたと実感しました。今議会でも静岡県障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例が上程され、具体的に進んでいくことに期待が寄せられます。一言申し上げれば、障害の害は漢字ではなく平仮名表記にしていただきたいと思います。
 昭和五十六年国際障害者年に初めて車椅子の友人とアメリカを訪問した際、完全参加と平等を求めて多くの障害のある方がデモ行進を行っておりました。その姿が大変生き生きとしていて印象的でした。重度な障害がある方でも電動車椅子を操作しひとり暮らしをしていることや介助犬の存在を初めて知り、どんなに重い障害があっても自立したいとの思いがあり、それをしっかり受けとめ支えていく社会こそ共生社会であると実感しました。私の福祉の原点となっております。
 静岡県では、人口が減少する一方重症心身障害児・者の数は増加傾向にあり、特に在宅の重症心身障害児・者の増加が顕著となっております。年齢構成を見ますとその約六割が成人期に達しており、家族にかかるケアの負担は増大しております。
 また、県内の特別支援学校における医療的ケアが必要な重症心身障害児は百七十八人で、平成十年と比較して十一倍に増加しております。医療的ケアが必要なお子さんは片時も目を離せないことから、介護者である御家族の負担は推しはかることができません。特別支援学校に通う人工呼吸器が必要なお子さんのお母さんから相談を受け、平成二十六年六月議会において人工呼吸器が必要な児童生徒の学校生活における支援について質問いたしました。その後学校での支援が可能となり関係者の皆さんに大変喜んでいただきました。在宅の重症心身障害児・者に対してこれまでもさまざまな施策を実行してきたことは承知しておりますが、地域によってサービスの水準が異なるのが現状です。医療的ケアが必要な重症心身障害児・者が在宅で自分らしく生き生きと生活していくためには、身近な地域で病院や診療所などを含めた地域に密着した関係機関相互の連携や御家族を含めた支援の充実がまだまだ必要であると思われます。
 そこで、県は重症心身障害児・者の在宅支援について今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、セルロースナノファイバー――CNFの拠点づくりについて伺います。
 セルロースナノファイバーいわゆるCNFは、木材などの植物繊維を超微細に解きほぐした新素材で鋼鉄の五倍の強度で軽さは五分の一などのすぐれた特徴があり、さまざまな分野への活用が期待されております。また天然資源であることから環境負荷の少ない素材として新しい時代に向けた夢のような素材と言えます。
 県では、これまでCNFの産業のメッカとなることを目指し、富士工業技術支援センターを中核的支援機関として最新情報の収集や提供、技術コーディネーターを配置して多くの企業に対して製品開発への支援を行ってきました。さらに全国に先駆け産学官が連携したふじのくにCNFフォーラムを設立し、顧問には技術的な道を開いた第一人者であり本県出身の磯貝明東京大学教授が就任されました。そのほかCNFサンプル企業展示会やセミナーを開催し毎回大変多くの方が全国から参加する様子を伺うにつけ、CNFに対する関心の高さと新素材の利用に関する意欲が伝わってきます。また本年六月には日本製紙が富士市にCNFを使った強化樹脂の量産に向けた実証生産設備を稼働していくとの予定も発表され、地元では大きな期待の声が上がっております。それだけに、本県がスピード感を持って名実ともにCNFの拠点整備を進めていく必要があると思います。
 昨年、もっと県民に身近に感じてもらえるよう製品の展示を提案したところ、早速知事室入り口と東館二階ロビーに展示していただき大変好評を得ております。先日富士市ものづくり交流フェアに参加し、CNF製品の展示や消臭力がどのくらいあるのか体験し、改めてその実力に感銘しました。と同時に富士市と静岡県のものづくりの力強さを実感しました。例えばトヨタ、ホンダ、スズキと日本の自動車メーカーは静岡県から生まれました。昨年急逝されたエッチ・ケー・エスの長谷川社長はターボチャージャーを開発し世界のエンジンに革命を起こしました。自動車関連を少し挙げただけでも世界に誇る技術力が静岡県にはあります。
 私がスピード感を持ってと言いましたのは、静岡県がCNFのメッカにと宣言しても、またすばらしい技術力があったとしても研究、開発、商品化にはお金も時間もかかります。県を挙げて技術力を結集し、産学官金労一体となり進めていかなくてはなりません。
 国でも国家戦略の一つとしてオールジャパンの体制でCNFの実用化に取り組むことになっておりますので、日本のというより世界のメッカを目指し拠点づくりを行っていくべきと考えますが、県の取り組みを伺います。
 次に、茶業振興について伺います。
 美しい日本の原風景を思い描くとき、私は富士山と茶畑、桜が浮かんできます。茶業は静岡県を象徴する産業の一つであり、生産量及び流通量が日本一であるとともに消費量も多く子供のころからなれ親しんでいる飲料です。しかしながら近年ペットボトルが主流となりつつありリーフ茶の消費は低迷し、生産出荷高は日本一を誇っていてもピーク時の平成四年八百六十二億円に比べ三百五十六億円であり、茶栽培農家も九千六百十七戸と五年間で四千三百戸以上激減しているのが現状です。特に年間の荒茶生産額に対する割合が七割から八割前後と高い一番茶は価格下落幅が大きく、荒茶価格は低迷し生産者の収入は減少傾向にあります。他方海外での緑茶の需要は拡大しており茶の輸出量も増加していると伺い、期待が寄せられます。
 先日、農協青年部の方から担い手不足に悩んでいる、最近は機械化が進み農業がきつい仕事と思われるのは誤解である。やはり収入が問題。もうかる農業を展開しなくては魅力がない、それには個人だけでは限界があるとの意見をいただきました。いかに消費者のニーズに即した商品をつくり販路拡大につなげていくかという課題は茶業にも通じているということです。
 そうした中で、第六回世界お茶まつりに参加したときに若い経営者がカフェ風のおもてなしやおしゃれなラッピング等工夫を凝らしており、これまでにない新鮮さを感じました。もちろん茶文化の歴史を感じさせる煎茶のおもてなしも堪能し、お茶の持つ深さを改めて実感しました。
 先日、ワインソムリエのステファン・ダントンさんが経営する日本茶店、おちゃらかCOREDO室町店を視察しました。ステファンさんは日本茶は日本の宝、日本茶のポテンシャルは高く、その色・味・香りの持つ深さと複合的な味わいはもちろん、健康効果も非常に高いとして、日本茶をもっと多くの人に味わってほしいとの思いから日本茶を楽しむ入り口としてフレーバー茶を開発し販売されております。若者や最大の消費者である女性の意見を反映すること、ワインの産地の経営を学んだらどうか、助成金を出すのではなく頑張っている農家への応援金にすべき、お茶の伝統は大切だが時代のニーズに対応し柔軟な発想で販路開拓したほうがよいなど貴重な御意見を伺い、お茶に対する熱い思いが伝わってきました。
 また、私の地元では富士農林事務所が富士山と茶畑の景観がよい大淵笹場地区の保全と活用について取り組むほか、不二乃香茶(ふじのかおりちゃ)研究会、富士地域有機てん茶推進協議会、天下富士の支援などさまざまな取り組みを展開し、さらにグリーンツーリズムが求める情報が満載の観光冊子を作成し地域振興を図っております。お茶を愛する人たちが知恵を寄せ合いこの苦境を突破しようと努力されている姿に触れるにつけ、努力が必ず実を結ぶことを願ってやみません。
 県は、茶の都しずおかの拠点づくりとして島田市お茶の郷の活用を推進しております。それはそれで大変重要であると思いますが、あわせて県内各地に存在する茶農家がそれぞれ主体者となり販売まで事業展開できる支援が必要と思われます。
 そこで、茶振興に向け茶生産の構造改革にどのように取り組んでいくのか、県の考えを伺います。
 次に、県産材の利用拡大に向けた取り組みについて伺います。
 静岡県はその六割が森林に覆われているいわば森のくにであると言えますが、意外に県民に知られておりません。木は触れる人の心を大地につなげる不思議な力を持っていると思います。そのよさや利用の意義を学ぶ教育を木育と呼び、子供や市民の木材に対する親しみや木の文化への理解を深めるためさまざまな関係者が連携協力し取り組みが進められております。
 例えば、木製のロボット、ロボ木ーが子供と一緒に森に行き爽やかな空気に触れ、光合成の不思議さや木の利用が地球温暖化を防止することを学ぶ木育絵本が子供たちへの読み聞かせに活用されております。また東京おもちゃ美術館を運営する認定NPO法人日本グッド・トイ委員会は、子供たちに木の持つ魅力を伝える活動として子育てサロンの木質化や赤ちゃんが生まれたときに木のおもちゃをプレゼントし木のぬくもりや魅力を知ってもらうウッドスタートという活動を東京都新宿区や岐阜県美濃市などと連携し進めております。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催は全世界が注目しており、関連施設の建設に木材を積極的に活用する方針が示されており、本県でも各地の製材工場等がネットワークを構築してパンフレットを作成し県産材の販路拡大に向け活発なPRを行っています。既に競技会場として決定した伊豆市のベロドロームは木の持つ美しさに加え、やわらかさが選手にも好評であると伺っております。草薙体育館など公共建築物への県産材活用も各地から大変注目されており、富士山世界遺産センター――仮称――を先日建設現場を会派で視察しましたが、すばらしい姿に完成を楽しみにしております。
 私は、東京オリンピック・パラリンピックを契機にそれ以降を見据えた県産材の利用拡大を図っていくことが重要であると考えます。以前我が会派の盛月議員もこの点について質問をいたしましたが、さらに木材に触れ合える環境整備と県内の木材利用の意義などを理解を深める木育への取り組みを推進するとともに、公共建築物だけでなく企業や個人住宅などさまざまな利用拡大に取り組むべきと考えますが、県の取り組みを伺います。
 次に、田子の浦港の利活用について伺います。
 昨年十一月、駿河湾が世界で最も美しい湾クラブに加盟決定したとのうれしいニュースが届き、折しも田子の浦港開港五十周年の佳節と重なり二重の喜びとなりました。田子の浦港は開港以来高度成長期には富士市のみならず県内の産業発展に寄与してきましたがリーマンショック以降世界的な不況のあおりを受け、また産業構造の変化に伴い年々取り扱い貨物量が減少しております。
 一方、田子の浦みなと公園の整備が進み世界遺産である富士山と駿河湾の眺望が楽しめることから休日を中心に多くの人でにぎわっており、交流の拠点としての役割が期待されます。今年度中に「ディアナ号」の開設、展望台の完成も来年度中ということで市民一同完成を心待ちにしております。この公園は地元NPOの皆さんがボランティアで清掃から管理運営まで行い、まさに地元に愛され地元に育てていただいていると実感いたします。
 昨年、開港五十周年記念事業では帆船「日本丸」が寄港し、四日間で約二万五百人の来場者がありました。私も寄港時お出迎えをした際、刻々と近づいてくる「日本丸」に心が躍り港が持つ魅力に感銘いたしました。私は田子の浦港は富士山の海の玄関口としてすばらしいポテンシャルを持ち、持続可能な循環型経済活動を目指す取り組みを支援し環境に優しいエコな港としてさらに発展してほしいと思っております。そのためには積極的な戦略が必要となってきます。
 そこで、開港五十周年を迎え次なる百周年に向けて、県は田子の浦港の利活用にどのように取り組んでいかれるのか伺います。
 次に、避難所運営マニュアルの見直しについて伺います。
 東日本大震災から六年が経過しようとしています。また熊本地震からも一年を迎える時期になります。
 静岡県は、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三でさまざまな対策の目標を数値化し県民の命を確実に守るための事業を推進していることは評価できますが、近年の大地震では地震による直接的な被害だけではなく災害関連死なども発生しており、ここから得た教訓を風化させることなく私たちの防災・減災対策に生かしていくことが今こそ必要であります。特に発災直後から社会全体で対応していくことが重要で、会派としても繰り返し訴えている確実な自助、近助、共助の構築が必須であり、その上に明確なルールを決め想定どおりに対応していく必要があります。
 このため、我が会派では熊本地震の直後に三名が代表として現地を訪問しさまざまな課題をお聞きし、避難所運営についても課題として強く感じた事柄が多くありました。例えば避難所の運営主体にいつまでも行政職員や教職員が携わると本来の業務ができず、結果として罹災証明の発行に支障を来し住民に大きな迷惑をかけたこと、衛生管理、トイレ管理では皆が人任せになってしまい環境の悪化を招いたこと、避難所内に福祉避難所的な機能を併設する必要があること、妊産婦の居住空間や感染症罹患者の隔離部屋を確保し避難所となった学校の再開を考え活用する教室等の場所を想定しておくこと、犯罪を発生させない対策が必要であることなどについても教えていただきました。
 これらの課題に対応するためには、まず避難所の運営は自主防災組織が中心となり事前に決められたことが一〇〇%予定どおりに実施できるように共通事項を明確にしておく必要があります。具体的には短時間で確実に避難所の開設がスタートできるように応急危険度判定士による建物の安全性の確認を行い安心・安全な避難所としての運営をスタートさせ、最終的に避難所を閉鎖するまでの工程を明確にするとともに、変化し続ける避難所の環境を時系列で想定し適切に対応できる準備を進める必要があります。
 平成十九年に県が作成した避難所運営マニュアルは、自主防災組織が主体となって避難所を運営していくために作成されておりこれを引き続き進めるとともに、熊本地震などにおけるさまざまな課題を克服していくため今年度から避難所実態調査などに着手していると伺っております。
 震災関連死などを絶対に発生させない良好な避難所運営をさらに進めていくためにも避難所運営マニュアルを見直す必要があると思いますが、県の所見を伺います。
 次に、子供の体力向上について伺います。
 学校教育の歴史を振り返ると、昭和三十年から四十年の高度成長期は受験戦争を勝ち抜いて高い学歴を得るいわゆる学歴至上主義、知識偏重の時代であり、昭和五十年から六十年代は安定成長期と言われ知識偏重主義の弊害が表面化し学級崩壊や不登校、いじめ等が顕著となりました。
 その反省のもとに新たな教育改革への取り組みが始まり、教科を超えた総合的な学習の導入、体験学習やキャリア教育の実施や読書運動の推進などさらなる教育改革が推進され、心の教育への取り組みが注目されるようになりました。教科としての道徳の授業が数年後に開始される一方、知育、徳育とともに重要なのが体力であり、健全な体に健全な魂が宿るとの考えから健全な体づくりが推進されることになりました。
 全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果を見ますと、小学校五年生男子の八種目のうち五種目で本県は全国平均を下回っており、特にソフトボール投げでは全国四十六番でありました。子供たちの体力の低下が懸念されます。
 東京都では教職員研修センターが、児童生徒の体力や運動、日常生活等に関する各種調査から日常生活の身体活動量の減少や姿勢を正しく保持できない状況等があることを踏まえ、その改善のための研究を進めました。そして日常生活における継続的な取り組みの一方策として体幹を鍛えることに注目した実践プログラムを開発し、朝の会や授業の挨拶のときに身体活動量をふやす取り組みを進め一定の評価が得られております。
 本県では、これまで体を動かす楽しさを味わうことを通して生涯にわたる豊かなスポーツライフ及び健康の保持増進のための基礎を培うとともに体力の向上を図ることを目的に、体力アップコンテストしずおかや新体力テストを実施しています。今年度から新体力テストにおいて優秀な成績をおさめた小学校を表彰しており、優秀校として表彰を受けた富士市立富士第二小学校の校長先生にお伺いしたところ、毎週金曜日の朝の時間を体力づくりの日と決め全校で取り組んでいる、子供たちもこの日を楽しみにしているとのことでした。さらに事業の成果が上がることを期待いたします。
 そこで、県として児童生徒の体力の現状についてどのように認識しているのか、また体力向上のために今後どのような取り組みを進めていくのか所見を伺います。
 最後に、認知症にある行方不明者の早期発見に向けた取り組みについて警察本部長に伺います。
 六十五歳以上の高齢者のうち認知症を発症している人は推計で一五%、二〇一二年時点で約四百五十二万人に上ることが厚生労働省研究班の調査で明らかになっております。認知症の前段階である軽度認知障害の高齢者も約四百万人いるとされ、合わせると六十五歳以上の四人に一人が認知症とその予備軍になるとの計算になります。この数は年々増加し、団塊の世代が七十五歳に達する二〇二五年には現在の約一・五倍の約八百万人に達すると予測されます。軽度認知障害の方を加えると一千三百万人となり、六十五歳以上の三人に一人が認知症とその予備軍という時代に入っていくことになります。
 介護保険制度が導入され、多くの認知症の方は介護サービスを受けながら在宅生活を送られておりますが、自宅にいても帰宅願望が生じ、出かけたまま帰り道がわからなくなり行方不明になるケースが年々ふえてきております。以前行方不明届け出者と身元不明のまま高齢者施設に保護された方の照合が全国で展開されたことも記憶に新しい出来事です。
 私も在宅介護支援センターに勤務していた折、担当エリアで行方不明の方が出ると警察や民生委員さん、市の職員とともに見つかるまで探し回ったことが何度もありました。現在も時折行方不明の高齢者の案内が市の広報で流れると、家族の気持ちを思い、いても立ってもいられなくなります。市町によって宅配業者や運送業界の方に認知症の方が行方不明となったときに協力していただくよう提携を結んで協力を仰いでいるところもありますが、当てどなく徘回する高齢者を探す労力ははかり知れません。
 特に、市民の安全を守るため日夜御尽力いただいている警察官には発見されるまで親身になって捜索してくださり、業務とはいえ頭が下がります。と同時に他の業務を押して捜索に当たる負担も何とか軽減できないだろうかと考えます。他県では早期発見に向け警察犬を積極的に導入して効果を上げているところもあると伺っております。
 そこで、本県の認知症にある行方不明者の現状と早期発見に向けた県警察の取り組みについて警察本部長に伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(鈴木洋佑君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 早川議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてのうち、平成二十九年度当初予算編成についてであります。
 公明党県議団の皆様からいただきました六つのテーマ、二百五項目にわたる御要望をしっかりと受けとめ、これに十分お応えできる予算編成ができたものと考えております。
 要望テーマの一つ目、安全・安心社会に向けてにつきましては、木造住宅の安全性を高めるため従来の耐震補強に加え非耐震の住宅の解体を支援することで住宅の建てかえや住みかえを促進するほか、緊急地震・津波対策等交付金のメニューに寝室など家屋の一部の耐震補強への助成を追加するなど、引き続き市町、関係団体と連携を図りながら住宅・建築物の耐震化を進めてまいります。
 要望テーマ二つ目、夢あふれる社会に向けてにつきましては、二人から三人のお子様を持ちたいという県民の皆様の希望をかなえるためふじのくに少子化突破戦略の羅針盤に基づく市町の効果的な取り組みを支援するほか、これまでの不妊症治療に対する支援に加え不育症治療に対する助成制度を創設いたします。二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けましては多彩な文化プログラムを県内各地で本格的に展開し、国内外へ本県の魅力をアピールしてまいります。また選手強化におきましてはパラリンピックを目指す障害者選手の強化費を健常者と同額に増額し支援を充実してまいります。
 要望テーマ三つ目、健康長寿社会に向けてにつきましては、地域包括ケアシステムの構築に向けて在宅医療に取り組む診療所を拡大するため、推進員の増員や施設・設備整備に対する支援を行います。また浜松医科大学に女性医師支援センターを設置し、復職トレーニング、就職相談等により女性医師への支援体制を充実いたします。そのほか県ナースセンターに再就業専任のコーディネーターを増員し、看護職員の再就業を支援するなど医療人材の確保に努めます。
 要望テーマ四つ目、活気あふれる社会へにつきましては、マーケティング戦略に基づきお茶、ワサビ、温室メロンなどの本県の強みがある九品目を中心に本県産農林水産物のブランド力を高めるほか、首都圏に県産品の魅力を発信する拠点を設置する準備を進めておりまして、国内外への販路開拓を図ります。またプロフェッショナル人材戦略拠点による県内企業と県外人材のマッチング支援、インターンシップの受け入れ支援等によるUIJターン就職の促進により企業の人材確保を支援してまいります。
 要望テーマ五つ目、調和のとれた社会へにつきましては、エネルギーの地産地消を進めるため最新のIoT技術を活用した新たな電力需給システム――バーチャルパワープラントの構築や小型メタン発酵プラントの事業化、普及に取り組んでまいります。また官民共同の基金を公益財団法人静岡県国際交流協会に設置いたしまして外国人のお子様の日本語教育を支援し、誰もが安心して活躍できるような多文化共生社会――これは言いかえると多民族共生社会ということでございますが――その形成を進めます。
 要望テーマ六つ目、行財政改革への取り組みにつきましては、専門事業者を活用した未利用財産の売却や新たな返礼品コースを導入しふるさと納税を促進するなど財源確保のための新たな取り組みも行います。財源不足の解消に向けましては事務事業の徹底した見直しと、選択と集中による事業の優先化、重点化による歳出のスリム化、未利用財産の売却などによる歳入の確保で百五十一億円の財源を捻出いたしました。その圧縮に努めたところであります。また二十八年度の財政運営におきましては事業の効率的な執行や節約等で活用可能な基金を積み増しすることができましたので、当初予算編成における財源に充当して財源不足額を解消したところです。
 健全な財政はふじのくにの自立の基礎であります。今後も安定的な財政基盤の確保に留意しつつ、富国有徳の理想郷“ふじのくに”の実現に向け着実に施策を実行してまいります。
 次に、富士山世界遺産センター――仮称――についてであります。
 富士山世界遺産センター――仮称――の整備は順調に進んでおります。本年七月の建物本体の竣工後展示機器の据えつけ、また外構工事を行いまして十月末に施設全体が完成する予定です。管理運営につきましては県議会六月定例会へ設置管理条例を提出し御審議いただく予定でございますが、本年十二月二十三日の開館に向けて着実に準備を進めております。
 逆円錐形の外観が特徴的なこのセンターでは、建物内にらせんスロープを設置いたしまして駿河湾越しの富士山から始まる映像を見ながら擬似登山を体験していただけるとともに、最上階に上っていただきますとその展望スペースから雄大な富士山を堪能していただくことができます。このほか参詣曼荼羅図、富士山絵画などをごらんいただける企画展示室や二百六十五インチの映像シアターを配置するなど多くの方々を引きつける魅力あふれる施設となるものと考えております。
 こうした施設の特徴を最大限に世界に向けて情報を発信するため、専任の研究員五人をセンターに常駐させます。先般の富士山の日におけるこの五人の方々の、短い時間ではございましたけども発表のレベルの高さを皆様方とともに認識することができまして御同慶の至りであります。これら研究員五人を常駐させながら富士山の歴史や文化などに関する総合的、学際的、国際的な調査研究を進めます。また絵画などの研究資料の収集を進めてまいります。研究員の活動成果は企画展示や国際シンポジウム、富士山を守る人材の育成などに生かしてまいりまして、富士山学の拠点として世界水準の事業活動を目指してまいる所存であります。
 またその一方、県民の皆様を初め多くの方に親しみを持っていただけるようシンボルマークの登録作業を進めるほか、地域との連携を強化するため富士山かぐや姫ミュージアムなど周辺施設との企画展やセミナーの共同開催、周遊プランの作成など地域が一体となって来訪者をお迎えする体制を整えてまいります。
 日本の国土統合の象徴であり世界の宝でもある富士山にふさわしく、本県を代表する施設の一つとして国内外から多くの方にお越しいただけるように開館に向けて着実に整備を進めてまいります。
 次に、セルロースナノファイバーいわゆるCNFの拠点づくりについてであります。
 本県は、CNF産業の振興を図るため製造拠点の形成、研究開発の強化、CNFを活用した新製品開発の支援、これらを三本柱として取り組んでおります。
 こうした中、県のこれまでの取り組みが功を奏しまして、昨年十二月県議会、議員先生も御紹介いただきましたけれども日本製紙株式会社による富士市内への実証生産設備の設置が決まり、また研究所の東京からの移転も決定いたしました。県内にCNF製造企業の事業拠点が立ち上がることで地域企業による自動車、建材、家電など幅広い分野への参入に弾みがつくものと期待しております。今後本格的な製造拠点の立地についても働きかけてまいります。
 来年度につきましては、第一に研究開発、第二にCNFを活用した新製品開発への地域企業の参画、参入、第三にCNF専門人材の育成を図る、これらを目的に静岡大学にCNF研究の寄附講座を開設いたします。また富士工業技術支援センターと静岡大学との連携体制を充実させます。加えまして磯貝先生が御在籍の東京大学との連携体制に加え、また京都大学との連携体制も充実させまして研究開発拠点としての強化を図ってまいります。またこの富士工業技術支援センターには販路開拓を支援するコーディネーターを配置いたします。引き続きサンプル企業展示会や技術講演会も開催いたします。またCNF製造企業と地域企業とのビジネスマッチングを拡大するなど新製品開発をも支援いたします。昨年十二月には静岡県が主導して静岡県、京都市産業技術研究所、四国四県のCNFフォーラムとの連携協定を締結いたしました。広域での協力体制も構築したわけでございます。今後は地域を超えた企業間のマッチングにも取り組んでまいります。
 県内には多彩な産業が集積しており、CNF産業をリードしていく場の力がございます。引き続きCNF産業の拠点づくりを進め、CNFの世界的拠点を目指そうと考えております。
 次に、茶業振興についてであります。
 近年、ライフスタイルの変化や嗜好の多様化によりましてリーフ茶の消費が減少し、荒茶価格が低迷しております。こうしたことからこれまでのように全ての産地が一律に一番茶だけに重点を置き年間販売額の七五%を依存するという生産体系では茶業経営が成り立たなくなってきているのが現状です。
 一方、県内には条件の悪い中山間地でも顧客の高い評価を受け、自園自製の煎茶を販売している農家もございます。海外の緑茶人気を踏まえ米国やEUなどで着実に販売実績を伸ばしている事業者もございます。国内メーカーの飲料原料を主体に大規模生産を展開している法人もございます。また茶業の枠組みを超えた取り組みとして、議員御紹介の富士市大淵笹場地区のように美しい茶園景観を生かした体験型の旅行やイベントを開催し新しい静岡茶のファン獲得に努めている産地もあります。
 県は、このようなさまざまな情勢を踏まえまして、本年二月にマーケットイン――市場の中に入っていくということでございます――何をどのようにいつ売るかということで市場を取り込む形での戦略、マーケットインの考え方に基づく主要農林水産物のマーケティング戦略を取りまとめました。お茶につきましては海外戦略として抹茶と有機認証茶の生産拡大、国内戦略としてドリンク需要への対応、さらには県内戦略として若い世代の喫茶機会の確保等を定めたところであります。
 この戦略に基づきまして、まずは茶産地の生産構造改革を促すため流通販売業者と連携して抹茶、有機茶、緑茶飲料などの需要に応じた生産に取り組む経営体を後押しする茶産地構造改革事業費助成を創設いたしました。この創設について本議会にお諮りしているところでございます。
 具体的には、抹茶の生産に必要な被覆施設、二番茶や三番茶による飲料原料の大量生産につなげるための効率的な施設整備の導入支援などでございまして、これらにより生産から販売まで一貫したビジネスモデルを県内産地に育成して、これまでのプロダクトアウト――生産物をつくって後は流通業者にお任せというプロダクトアウト型の生産構造からプロダクトをアウトしつつ、かつマーケットインにまで取り込んでいくというそうした方向に向けての改革を目指してまいります。
 県といたしましては、今後とも「山は富士 お茶は静岡 日本一」の茶の都であり続けるように関係者と一丸となりまして茶産地の構造改革を推進し、県内茶業の発展に努めてまいります。
 なお、その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を申し上げます。
○議長(鈴木洋佑君) 吉林副知事。
       (副知事 吉林章仁君登壇)
○副知事(吉林章仁君) 仕事と生活が調和した誰もが働きやすい社会の構築についてのうち、女性が輝く社会の実現に向けた取り組みについてお答えいたします。
 今年度県が策定した静岡県の女性の職業生活における活躍の推進に関する計画は、平成三十二年度までの五年間を第一期とし、みずからの希望により働きまたは働こうとする全ての女性があらゆる職業生活において個性と能力を十分に発揮して活躍できる社会の実現を目指すものであります。
 この計画におきましては、民間企業の女性課長相当職の割合を一一・九%から一五%に、男性の育児休業取得率を二・九%から五%に引き上げるなど十二項目の数値目標を定めまして県を挙げて施策を展開することとしております。女性の活躍推進には事業主の姿勢が何よりも重要であります。このため「トップが先頭に立って意識改革・働き方改革を行う」、「女性の活躍の意義を理解し、女性の活躍推進に積極的に取り組む」など事業主の取り組みに必要な五つの視点を明確にお示しをしました。
 具体的に事業主の意識改革を進めるには、議員が指摘された興津螺旋株式会社のように女性の活躍による業績の向上、働き方改革による優秀な人材の確保などの成果を上げている先進事例を紹介することが効果的でありますことから、ホームページや新聞など多様な媒体による情報発信を行ってまいります。また女性活躍の輪を広げる意見交換会ふじのくにさくや姫サミットや先進企業間の交流を行うしずおか女性活躍先進企業サミットの開催、中小企業へのアドバイザーの派遣などを実施いたしまして県内企業の取り組みを促進してまいります。
 加えまして、職業生活と家庭生活の両立実現に向けては働き手の意識と職場風土の改革が必要でありますことから、先月には知事と幹部職員が宣言を行いましたイクボスの普及を初め男女がともに主体的に家事、育児、介護等に参加する意識の啓発、子育て、介護を支援する環境の整備などを推進してまいります。
 今後、官民一体のネットワーク組織でありますふじのくに女性活躍応援会議の充実強化を図り、女性活躍に積極的に取り組んでいる企業、経済団体とともにさまざまな分野で女性が輝くジャパニーズドリームの実現に向けまして全力を挙げて取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 森政策企画部長。
       (政策企画部長 森 貴志君登壇)
○政策企画部長(森 貴志君) 知事の政治姿勢についてのうち、人口減少対策についてお答えいたします。
 県では、総合戦略に掲げる人口減少の抑制戦略と人口減少社会への適応戦略の着実な進捗を図りその実効性を高めるため、美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生県民会議及び五つの圏域ごとの地域会議において全庁はもとより各界各層の皆様との連携を図り、オール静岡で施策の推進に努めているところであります。
 本年度は、八月に県民会議及び地域会議を開催し取り組んだ施策の進捗状況を検証いただき、改善策について御議論いただいたところであります。その検証結果を踏まえ、合計特殊出生率二の実現に向けた市町の創意工夫による取り組みへの助成制度の創設や移住・定住の促進に向けた首都圏での市町合同の相談会の実施など、来年度当初予算案に反映したところであります。
 また、若い世代の転出超過の抑制に向けて次代を担う若者たちによる県民会議を開催し、若者の意見の施策への反映に努めております。議員御指摘のとおり現場に即した議論を深めていくことが重要でありますことから去る二月五日、若者主体のワークショップを立ち上げ新たに地域の高校生や大学生、社会人に参画いただき、加えて東部、中部、西部の地域ごとのワークショップを開催し地域特性を踏まえた議論を深めております。ことしの夏ごろをめどに県への提言を取りまとめていただき、その結果を積極的に施策に反映してまいります。
 さらに、移住・定住や子育て支援などをテーマとした民間企業との包括連携協定や県外の大学とのインターン就職支援のための協定などさまざまな主体との連携をより一層深めながら、人口減少の克服に向けた実効性の高い戦略を社会総がかりで強力に展開してまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 萩原人事委員会事務局長。
       (人事委員会事務局長 萩原綾子君登壇)
○人事委員会事務局長(萩原綾子君) 仕事と生活が調和した誰もが働きやすい社会の構築についてのうち、県職員が働き続けるための環境整備についてお答えいたします。
 人事委員会では、県職員が自治体政策の重要な担い手として個々の能力を伸ばしながら働きがいや生きがいを持って働き続けられる職場環境を整えていくことは極めて重要な課題と認識し、これまでも仕事と生活の調和の実現に向けてさまざまな提案を行ってまいりました。
 近年、職員の勤務が長時間に及び家庭生活への影響が憂慮されることからより一層の取り組みが必要と考え、本年度は任命権者に対し過度な時間外労働の是正とともに、子育てや介護の実態に即した利用しやすい支援制度への早急な見直し等を強く求めたところでございます。こうした要請を受け、任命権者においては時間外勤務の縮減に向けた対策の強化及び職員配置の見直しに加え介護休暇の分割取得や介護のための時間単位の休暇制度の導入などが現在進められております。実際に職員が仕事をしながら子育てや介護を担うには大変な苦労を伴います。県職員にはそうした中でも努力を重ねてキャリアを積み、仕事の喜びを、そして人生に楽しみを感じてほしいと考えております。
 本委員会といたしましては、中立、専門的な機関として勤務実態の把握と各種制度の調査研究に努め、職員一人一人が仕事と生活を両立しながら生き生きと活躍し、心も体も健康で安心して働き続けることができる職場となるよう引き続き任命権者に働きかけてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 西田文化・観光部長。
       (文化・観光部長 西田郁夫君登壇)
○文化・観光部長(西田郁夫君) 東京オリンピック・パラリンピック文化プログラムについてお答えいたします。
 本県では昨年五月、他県に先駆けて市町や文化、観光、産業、教育、福祉などオール静岡の体制による推進委員会を設立いたしました。この委員会では「地域とアートが共鳴する」をテーマとして掲げ、地域のさまざまな文化資源や人的資源等を基盤として文化芸術振興を図るとともに、地域や社会が抱えるさまざまな課題にも対応していくことを目指しており、現在十件のモデルプログラムを実施しております。
 このうち議員から御紹介のありました富士の山ビエンナーレでは、市民の有志によって市町を超えた実行委員会が結成され、商店街や企業、住民の協力のもとで場の力を生かした芸術家の作品の展示を通じて地域の魅力を発信したところであります。
 こうした文化芸術を軸に地域の魅力を最大化する取り組みは交流人口の増加につながり、さらには才能ある人材が引きつけられ新たな産業や雇用を生み出す原動力となっていきます。文化力をさまざまな分野と協働させていくために専門家であるプログラムコーディネーターを配置した本県の取り組みは先進的なモデルとして全国的に注目されており、欧米やアジア諸国において設置されている文化芸術振興の専門組織であるアーツカウンシルの機能にもつながるものであります。
 来年度からは人員体制を充実させたプログラムコーディネーター等の専門家が、長期的ビジョンを持つ公募プログラムを中心に県内各地の担い手や参画希望者に対する支援、担い手相互の交流促進等に取り組み文化プログラム推進の基盤を広げてまいります。さらにオリンピックと文化芸術に関するフォーラムの開催等積極的な情報発信を通じてより多くの県民の皆様が関心を寄せ、二〇二〇年に向けた多様な文化プログラムの展開が可能となるよう取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 山口健康福祉部長。
       (健康福祉部長 山口重則君登壇)
○健康福祉部長(山口重則君) 妊娠から出産、子育てまでの切れ目のない支援についてお答えいたします。
 核家族や地域のつながりの希薄化により妊産婦や母親の孤立感と負担感が高まっており、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援を行う子育て世代包括支援センターの役割は大変重要なものとなっております。
 県では、市町の保健師を対象に妊産婦に対する個別支援計画の作成や周産期におけるメンタルヘルス対策などの専門的な研修を行い、センターに従事する妊娠・出産包括支援員の養成に努めております。またセンターに係る運営費を助成し専門職による相談体制の充実を図るなど市町の子育て世代包括支援センターの整備と運営の支援に努め、設置の推進に取り組んでいるところでございます。
 来年度からは、本県が作成する産後鬱予防のための自己チェック表を活用し心身の不調や育児の不安があり手厚い支援が必要な妊産婦を早期に発見し、産後ケア事業や精神科医への受診など必要な支援につなげられる仕組みをつくり、産後鬱の発症予防を図るなど一層のきめ細かな支援に努めることとしております。
 県といたしましては、今後も妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援により妊産婦や母子が地域で孤立することなく心身ともに安心して子供を産み育てられる、そして全ての子供が夢に向かって頑張ることのできる「生んでよし 育ててよし」のふじのくにづくりに取り組んでまいります。
 次に、地域で支える福祉サービスの充実についてのうち、地域包括ケアシステムの構築についてであります。
 地域包括ケアシステムの構築に向けては、医療・介護等に係る専門職の連携強化と住民が互いに支え合うことのできる地域をつくっていくことが重要であるため、県は市町や関係機関と連携を図ることにより地域での取り組みを支援しております。
 医療や介護等に係る専門職の連携につきましては、今年度から保健福祉圏域ごとに医療や介護の関係団体等から成る地域包括ケア推進ネットワーク会議を設置し、団体間の情報共有や市町支援策の検討を行うなどさまざまな関係者が協働して支える取り組みを推進しております。また掛川市の希望の丘のようにさまざまなサービスを提供する施設が一カ所に集約され福祉サービスのネットワークができ、包括的に支援を行うふじのくに型福祉サービスの一層の拡大を図り、医療と介護と福祉が一体となって地域での生活を支援する体制の整備を推進することとしております。
 住民が互いに支え合う地域づくりにつきましては、市町が住民を初めNPOや民間企業などさまざまな人材にかかわっていただき、地域の特性に合った取り組みを行うことが必要であります。単独の市町では地域づくりの推進役となる人材の養成が困難なことから、県において生活支援サービスの担い手や助け合い活動推進の核となるコーディネーターを養成するなど広域的な人材養成を進めております。またふじのくに型人生区分における壮年熟期の方々にも住民同士の支え合いに積極的にかかわっていただくための講習や体験会を実施するなど地域活動への参加を促進してまいります。これらの取り組みにより多様な担い手を養成し、地域における支え合いの体制づくりを支援してまいります。
 県といたしましては、今後も地域包括ケアシステムが県内各地域で早期に構築されるよう市町での体制整備を支援し、県民の皆様が住みなれた地域で安心して暮らしていける社会を目指してまいります。
 次に、重症心身障害児・者の在宅支援についてであります。
 重症心身障害児・者の方やその家族が住みなれた地域で安心して暮らしていくためには、必要なときに必要なサービスや医療的ケアを身近な地域で利用できる体制を整えることが重要であります。
 県では、これまで重症心身障害児・者の方々のホームヘルプサービスを初めとする福祉サービスの拡充に努めてまいりました。また在宅支援を担う看護師を初め福祉・介護職員の熟練者や包括的な相談支援を行うケアマネジャーの養成など専門的な支援ができる人材の育成と確保に取り組んでまいりました。
 医療的ケアが必要な重症心身障害児・者につきましては、診療可能な医療機関の公表や身近な地域で受診できるかかりつけ医の養成を行うほか、医療や福祉等にかかわる多職種の方々から成る合同研修を行うなど関係機関相互の連携体制を構築しております。また在宅でみずから医療的ケアや介護を行う御家族の負担を軽減するため、医療機関で短期入所サービスが利用できる助成制度を来年度より新たに実施するなど身近な地域で充実した在宅支援サービスが利用できるように取り組んでおります。
 今後も福祉と医療の両面から総合的な支援に努め、重症心身障害児・者の方々の自立への思いを受けとめ支えていくとともに、重度な障害があっても将来にわたって自分らしく生き生きと暮らしていける共生社会の実現を目指してまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 若原農林水産戦略監。
       (農林水産戦略監 若原幸雄君登壇)
○農林水産戦略監(若原幸雄君) 県産材の利用拡大に向けた取り組みについてお答えいたします。
 子供や市民の木との触れ合いにつきましては、富士ヒノキの魅力を伝える富士地区林業研究会女子部や木に親しむ体験イベントを行う株式会社玉川きこり社など県内のさまざまな企業や団体による地域の特色を生かした活動が広がっております。県はホームページ「しずおか木使いネット」での発信や木製玩具メーカーと連携した人材育成などによりこうした活動を支援してきております。
 また、県自身の取り組みといたしまして木育の普及に取り組む認定NPO法人日本グッド・トイ委員会――議員御案内でございますけども――こちらの監修によりましてふじのくに地球環境史ミュージアムのキッズルームに木製の滑り台や木のボールを敷き詰めたプールなどを設置いたしまして、木のおもちゃを通して自然への興味を育むなど児童・幼児期から木と触れ合うことができる環境を整備しております。
 企業の県産材の利用拡大につきましては、森林認証材を活用した浜松信用金庫於呂支店など既に先進的な取り組みが県内各地で進んでおります。県といたしましてはこうした木材利用の模範となる建築物の表彰や建築士を対象とした木造・木質化に関する講習会を開催し、県内企業への普及を図ってまいります。さらに個人住宅につきましても住んでよししずおか木の家推進事業を引き続き推進し、一層の利用拡大を図ってまいります。
 県といたしましては、木育を通じて木材利用の意義などへの理解を一層深め東京オリンピック・パラリンピック以降を見据えた県産材の利用拡大を図り、もりの都を実現してまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 村松交通基盤部長。
       (交通基盤部長 村松 篤君登壇)
○交通基盤部長(村松 篤君) 田子の浦港の利活用についてお答えいたします。
 県では、田子の浦港を県東部地域の産業を支える重要なバルク貨物の拠点港と位置づけ物流機能の強化に取り組むとともに、水産業や地域資源を生かした港のにぎわいづくりを進めております。
 近年、製紙関連貨物の取扱量が減少する一方で石炭火力発電やバイオマス発電の燃料として石炭の輸入量の増加が見込まれており、県ではこのニーズに対応すべく埠頭内における石炭ヤードの拡張工事を進めております。また県、富士市、民間企業が連携して組織した田子の浦港ポートセールス実行委員会が主体となりポートマーケティングを展開して集荷を図ることでさらなる利活用につなげてまいります。
 年内の展望施設の完成をもって整備が完了するみなと公園は、富士山と駿河湾が一望できる絶好のロケーションを有し、さらに地域ならではの食であるシラスや最近人気の高まっている工場夜景など豊富な観光資源に恵まれております。今後富士市や関係団体と連携し、これらの資源を活用してクルーズ船の誘致に取り組むなど観光交流人口の拡大に努めてまいります。
 県といたしましては、引き続き県東部地域の経済や産業の発展に資するよう地域のニーズに即した物流機能のさらなる向上を図るとともに、駿河湾と富士山のブランド力を最大限生かした田子の浦港の戦略的な利活用を進め、地域協働による魅力あふれるみなとまちづくりを推進してまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 外岡危機管理監。
       (危機管理監 外岡達朗君登壇)
○危機管理監(外岡達朗君) 避難所運営マニュアルの見直しについてお答えいたします。
 県では、平成十九年に避難所運営マニュアルを作成し、避難所運営の組織づくりから食料・物資の確保、配給などの業務への対応、生活のルール等について定めています。また避難所運営ゲームHUGを開発し避難所の運営をイメージした訓練の実施を促進するなど災害時に避難者等による自主的な避難所運営が円滑に行われるよう取り組んでまいりました。
 熊本地震においては、避難者による自主的な運営ができなかったことや衛生環境の悪化などの課題があったほか、地震による直接の死亡に加え災害による負傷の悪化や避難生活等における負担による死亡いわゆる災害関連死も多数発生しております。
 このため、県では熊本地震における避難所運営の実態と県内の避難所運営の準備状況について調査分析を現在行っており、今年度中に結果を取りまとめます。これを踏まえ来年度には避難所運営マニュアルの改訂を行う予定であり、そのための経費を来年度の当初予算案に計上したところであります。
 県といたしましては、改訂に当たっては引き続き避難者を中心とした自主組織による避難所の運営を基本に据えながら、避難生活をされる妊産婦の方や車中泊、自宅避難等避難所以外での避難生活をされる方への配慮や安全対策などの新たな内容を取り入れた上で、避難所の開設から廃止までの一連の流れをイラストにより示すなどよりわかりやすく実践的なマニュアルを作成してまいります。あわせてマニュアル作成後にはこのマニュアルを活用し自主防災組織等が避難所運営訓練を実施するよう働きかけ、避難所の運営が円滑に行われ避難者の生活環境が向上するよう努めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 子供の体力向上についてお答えいたします。
 本県の子供の体力の現状は、小学生の男女において握力や立ち幅跳び、ソフトボール投げは低下傾向を示しており、筋力や瞬発力、投げる力が課題となっております。また小学生の運動実施時間が全国に比べ一週間に三十分程度少ないことから、日常の運動の実施時間の増加が必要とされております。
 そこで、県教育委員会では小学一年生から体を動かすことの楽しさを体験させるためクラスで長縄跳びやドッジボール等の種目に挑戦する体力アップコンテストしずおかを実施しており、今年度はその中に新種目としてみんなで的当てを導入し投げる力の向上に努めております。また体力向上への意識を高めるため、本年より県独自で実施している新体力テストが上位の小学校四十校を表彰しその取り組みの促進を図っております。さらに現在小学校の授業や休み時間、家庭においてもバランスよくさまざまな運動に取り組めるよう県内における指導の好事例を集約した子どもの運動プログラムを作成しており、それを映像資料として提供し各学校のニーズに対応して積極的に活用できるようにしてまいります。
 県教育委員会といたしましては、このように日ごろから運動に親しむ習慣を身につけさせる取り組みを一層充実させることにより子供の体力向上を図り、本県の未来を担う子供たちのたくましい心身の育成に努めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 筋警察本部長。
       (警察本部長 筋 伊知朗君登壇)
○警察本部長(筋 伊知朗君) 認知症にある行方不明者の早期発見に向けた取り組みについてお答えいたします。
 初めに現状でありますが、県警察では平成二十八年中認知症と思われる六十五歳以上の高齢者を延べ約二千百人保護いたしました。これらのうち家族等から行方不明届が出されていたのは延べ約百七十人で、その他は行方不明の届け出はされていないものの一時的に所在不明となり、警察官が直接または一般の方を介して保護したケースであります。認知症と思われる高齢者の保護件数は年々増加しており、昨年の取り扱いが初めて二千人を超え、五年前の約一・三倍となりました。
 県警察では、認知症と思われる高齢者の所在不明を認知した際には警察官の集中動員による捜索活動を行うほか、市町の同報無線による地域住民への呼びかけや市町が消防団、新聞配達の方々などで構築している高齢者見守りネットワークを通じての早期発見をお願いしているところであります。また警察職員に認知症の特性を十分に理解させるため、認知症サポーター養成講座を開催しているところであります。
 次に、早期発見に向けた今後の取り組みについてでありますが、ただいま申し上げた市町が構築している高齢者見守りネットワークとの連携を一層密にするとともに、捜索などの早期発見に向けた活動を引き続き行ってまいります。また御指摘のございました警察犬の活用につきましてはこれまでも効果的と認められるケースには警察犬を出動させてきたところであり、今後も必要に応じて警察犬を活用し行方不明者の早期発見に努めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 早川育子君。
       (二十八番 早川育子君登壇)
○二十八番(早川育子君) それぞれ御答弁いただきました。
 要望一点、質問二点。
 警察本部長に、警視庁では警察犬の養成を推進していると伺っております。ぜひ県直轄の警察犬養成を要望したいと思います。
 質問は、地域包括ケアシステムの構築についてであります。
 先ほど述べましたとおり地方創生の根幹となることでございます。ぜひ全庁を挙げての推進本部などを組織を立ち上げていただき全庁を挙げて取り組んでいただきたいと思いますが、これは知事にお考えを伺います。
 さらに、認知症対策は大変重要な課題であります。成年後見人育成講座、また認知症サポーター講座、これのステップアップ講座を設けてネットワークをつくるべきと考えますが、このあたりのお考えを質問いたします。以上、答弁を求めます。
○議長(鈴木洋佑君) 山口健康福祉部長。
○健康福祉部長(山口重則君) 地域包括ケアシステムの構築の再質問についてまずお答えさせていただきます。
 地域包括ケアシステムは、議員おっしゃるとおり各部門に大きくかかわってきますし、また地域の今後の発展のためにもなくてはならない仕組みでございますことから、今後全庁を挙げての仕組みをつくりましてしっかりと取り組んでいく次第でございます。
 それと、認知症サポーターの関係についての再質問についてお答えいたします。
 認知症サポーターは、県内の養成人数は現在二十六万人と、その目標数二十四万人を大きく上回っております。今後先ほども議員からの御指摘がありましたように認知症サポーターにつきましては、質の向上という面で今後取り組んでいきたいと考えております。認知症サポーター、先ほども答弁ありましたが警察職員の方も入っていただきまして幅広く取り組んでおります。目標数も大きく人数を超えてるところでございますが、今後この認知症サポーターを、サポーターの講師となるキャラバンメイトをさらに育成する研修等も行いましてこの認知症サポーターの質の向上に努めてまいります。以上でございます。
○議長(鈴木洋佑君) これで早川育子君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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