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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和元年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

中谷 多加二 議員

質問分類

一般質問

質問日:

09/27/2019

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 本県の林業について
 (1) 森林経営管理制度を活用した木材の増産
 (2) 県産材の需要拡大
2 政令指定都市である浜松市天竜区における課題について
 (1) 政令指定都市の中にある過疎地域
 (2) 山間過疎地の情報基盤整備
 (3) 国民健康保険佐久間病院への支援
 (4) 観光振興
 (5) 中山間地域における小規模校の教育


○議長(鈴木利幸君) これで佐野愛子君の質問は終わりました。
 次に、六十一番 中谷多加二君。
       (六十一番 中谷多加二君登壇 拍手)
○六十一番(中谷多加二君) 九月定例会の締めの質問をさせていただきます。
 さて、今回も私のライフワークである森林関係と地元浜松市天竜区にかかわる質問を知事、二人になった副知事、関係部局長そして教育長、教育部長に一括質問方式にて伺います。
 初めに、本県の林業についてのうち、森林経営管理制度を活用した木材の増産について伺います。
 県内の森林の多くは木材として利用可能な時期を迎え、切って使って植えるといった循環利用をしていくことで森林資源を適切に管理し、先人の築いた豊かな森を将来に引き継いでいくことが重要となっています。しかし私の住む伝統ある林業地天竜区においても、不在村地主が所有する山林や所有境界のわからない森林所有者の増加などといった課題も見られるようになりました。また有力な山林所有者も後継者の見通しが立たないといった事態を心配する声も多く聞かれます。
 その一方で、木材増産に意欲的な林業経営体の多くは事業規模拡大に向けて事業地つまり山林の確保に積極的に取り組んでおり、森林の管理を委ねたい森林所有者と林業経営体とのマッチングが求められております。
 こうした中、本年四月一日から森林経営管理法がスタートし森林所有者みずからが適切な経営管理を行うことが困難な場合、市町が森林を集積して林業経営に適した森林は林業経営者に再委託するとともに、林業経営に適さない森林は市町による公的管理も行うことができるようになりました。市町がこの制度の運用により、これまで小規模で分散していたため林業経営を行うことが困難な森林を集約化し施業していくことで効率的な整備や管理ができ、長期的な計画のもとで木材生産が進められるようになります。これまで県が進めてきた木材生産五十万立方メートルに向けた取り組みと連携することにより一層の木材増産につながり地域の活性化にも寄与するものと大いに期待しているところであります。
 しかし、森林経営管理法では市町が中心的役割を担いますが林業の専門職員はほとんど配置されておらず、規模の小さな市町では限られた人員でさまざまな業務を担当していることからこれまでの業務に加えて経営管理集積計画の作成など新たな業務負担が生じることに不安や戸惑いの声が出ております。このため森林経営管理法に基づく業務の円滑な執行には県による市町の実施体制の支援が必要と考えます。また林業経営に適した森林については市町がいわゆる意欲と能力のある林業経営者に経営を再委託することとされていることから、この受け皿となる林業経営体の育成確保が急務です。
 そこで、県は木材増産に向けて森林経営管理制度を活用した市町への取り組みをどのように促進していくのか、所見を伺います。
 次に、県産材の需要拡大についてであります。
 開催が間近となった東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックは、日本の伝統文化を発信する絶好の機会であることから日本の木の文化のすばらしさや木材利用の技術力を世界にアピールするため、関連施設の建築資材に国産材が積極的に利用されています。本県産材も既に杜のスタジアムと言われる新国立競技場の軒やひさし、有明体操競技場の外装に使われています。
 去る九月十日、知事、林業・木材産業関係者御出席のもと私も出席し県庁本館前において選手村ビレッジプラザの建設に提供する県産材の出発式が行われたところであり、柱や床に使われることになっています。このようなオリンピック関連施設の利用に加え、民間の商業施設やオフィスビルでも新たな工法や技術を駆使し従来は困難だった中層建築物を木造化した先進的な取り組みを報道で見聞きする機会もふえたことから、全国的な国産材利用の機運の高まりを実感しています。
 このような中、本年六月に改正、施行された建築基準法では木材利用の促進に向けた規制の合理化が行われ木造建築物に耐火構造が必要となる高さと階数の規制が緩和されるとともに、規制を受ける場合も対策を講じることにより建物内部の木材利用や柱やはりの木材をそのまま見せるあらわしが可能となるなど、主に中層建築物の木造化、木質化の可能性が広がりました。さらに今年度から間伐や木材利用の促進、普及啓発など森林整備やその促進に必要な財源として国税の森林環境譲与税が全国の市町村に配分されています。譲与額は市町村の私有林人工林面積、林業就業者数のほか人口により算定されます。このため東京二十三区や横浜市など人口が多く森林の少ない都市部では譲与税が木材利用のために使われると見込まれることから、建築物の木造化、木質化が進むことが期待されています。
 国産材利用の機運が高まるとともに都市部の木材利用の拡大が期待される中、県産材の需要拡大に向けてどのように取り組んでいくのか県の考えを伺います。
 次に、政令指定都市である浜松市天竜区における課題についてのうち、政令指定都市の中にある過疎地域について伺います。
 天竜区は、平成十七年の国勢調査で三万七千五百二十人の人口を有していましたが、直近の令和元年八月一日現在推計人口では二万七千四百五十六人と実に一万人、二六・八%の人口減少に直面しています。同時期の県全体の人口の推移を見ると三百七十九万二千人余から三百六十四万二千人余と減少はしたものの減少率は四%にとどまっており、過疎地域を含む天竜区の人口減少が急速に進んでいる実態が明らかとなっています。
 こうした中、地元ではアワビやチョウザメの養殖、休止キャンプ場の再生や特産品の開発などの産業振興のほか、地域の足となるNPOタクシーの運営など地域活性化に向けた努力を懸命に続けてまいりました。過疎関係法は昭和四十五年の議員立法により十年間の時限として制定され、以後おおむね十年ごとに制定されてきたところでありますが現行法は来年度末までとなっており、ますます厳しさを増す過疎地域の現況を踏まえれば継続は当然と考えますが、平成の大合併により政令指定都市の一部となった今果たして旧市町村単位が過疎地域と見なされるのかどうかは不安も感じるところであります。
 浜松市の区再編問題に口を挟む気持ちはありませんが、例えば現在の天竜区とその他の六区を複数区に再編し合区することによって生じた資金の一部を天竜区の活性化に使っていただくというのもある意味一つの考え方だと思います。天竜区とその他の区を合区すると人口の減少を初めとする各種のデータにおいて天竜区の厳しい状況が数字にあらわれなくなり、今以上に末期的な状況に追い込まれる危険性があります。
 また、まち・ひと・しごと総合戦略は今年度で五年間の対策を終わろうとしていますが、この間も東京一極集中はさらに進み、都会人にとってたまに行く心地よい田舎は疲弊し続けていきます。昔から、いつまでもあると思うな親と金と田舎とよく言われます。最後は私が加えたものでありますが、ありがたいものは都合よくいつまでも存在はしません。
 浜松市の問題ではあるものの、政令指定都市を積極的に生み出してきた県として政令指定都市の中にある過疎地域のあり方やその振興について現在どのような見解を持っているのか伺います。
 次に、山間過疎地の情報基盤整備についてであります。
 その昔、あるところのマニフェストに県内の光ファイバー整備率一〇〇%という目標がありました。あるところとは本県ですが、いつの間にかその目標は消えてしまいました。消える直前の整備率は八三%だったと思います。なぜ消えてしまったかは恐らく一〇〇%にはならないと判断したからだと思いますが、その要因は私の地元天竜区にあったのではないかと思います。
 光ファイバーの整備は本来通信事業者が行うものでありますが、当然民間事業者でありますから採算優先であります。人口が少なく山間地で導入コストがかかるという理由により導入が見送られていると考えられます。ただ光ファイバーに関しては伊豆半島地域の整備率は比較的高く、市町の支援の取り組みの熱意にも差があると思われます。光ファイバーなど高速通信網が整備されれば、田舎にいても今の世は全ての世界とつながることができます。
 川根本町では、情報基盤の整備成果として海外企業も進出してきている状況です。歴代の町長さんの先見性に敬意を表したいと思います。この後、国民健康保険佐久間病院の窮状についての質問もいたしますが、情報基盤の整備は過疎地の医療の質の向上にもつながるものです。遠隔画像診断や遠隔操作によりエコー検査や手術さえも可能になると言われています。また今後実用化されていく自動運転の導入促進にもなるものと思います。
 世の中は五Gという次世代通信技術により世界が大きく変わるとされていますが、私の住む天竜区はまた一世代に取り残されないか心配しています。むしろ過疎地域だからこそ早急に光ファイバー網を整備するべきです。
 そこで、県として山間過疎地の情報基盤整備についてどのような考えを持たれているのか伺います。
 次に、国民健康保険佐久間病院への支援について伺います。
 国民健康保険佐久間病院は天竜区の特に佐久間町、水窪町の地域医療を支える病院として長きにわたり貢献してきました。奥深い佐久間の地にあるこの佐久間病院を支えてきたのは自治医科大学卒業の医師の方々です。これまでに合計五十四人の自治医科大学卒業の先生方あってのものでありました。現在は常勤医師四名、非常勤医師八名という体制であり、数年以内には義務年限を終了して常勤医師が半減すると見込まれており医師の確保について苦境に立たされています。
 というのは、国は今年度医師確保計画の策定を都道府県に求めており、その中で本県は全国の中では医師少数県とされているものの、県内を二次医療圏ごとに見ると佐久間病院が含まれる西部医療圏は浜松市中心部の医療機関の充実度合いが高いことから医師多数区域と位置づけられています。国が示す医師確保計画策定ガイドラインでは医師多数区域は原則として他の地域から医師の確保を行わないこととされており、現在佐久間病院は医師確保が非常に厳しい状況に置かれているということなのです。
 これも一つの合併による不利益です。合併前は北遠医療圏が単独であり手厚い支援がされてきたものが合併した結果、医療圏も西部医療圏に合併となりその結果として支援が薄くなる、何ともやりきれないものを感じます。
 先日、今年度の海外派遣の視察先スタンフォード大学の池野文昭教授とお会いしました。県庁で講演をするため一時帰国されていました。彼は浜松市出身、自治医科大学を卒業、佐久間病院浦川診療所での四年間勤務など九年間僻地医療の最前線を経験されシリコンバレーに渡った医師です。佐久間病院に関する質問をしますと申し上げたらぜひやってくださいと励ましの言葉をいただきました。蛇足ですがお酒が好きですとビール片手におっしゃってもいました。いいことです。
 一義的には、佐久間病院の開設者である浜松市が同じ公立病院である浜松医療センターを活用し人員配置の支援などを検討すべきでありますが、市は数年前からこのような状態になることを予見できたはずです。しかし事ここに至っては県としてもこれまでどおりの医師の派遣が可能となる方法などについて検討すべきではないかと思います。
 県として、あらゆる手法を駆使して窮地に陥っている国民健康保険佐久間病院の支援を行うべきと思いますが、考えを伺います。
 次に、観光振興について伺います。
 本県の観光交流客は、平成二十五年度には一億四千四百九十万人であったものが平成二十九年度には一億五千六百四十万人と八%ほど増加しています。天竜区の状況だけを示した資料はないようですが、同じ期間の浜松市の状況は二割増加しているという好結果となっています。大河ドラマの効果が大きかったものではないかとも思います。ただ天竜区の状況はこの浜松市と同様の状況なのかと考えるとそうではありません。今春の静岡デスティネーションキャンペーンを見ても、その取り組みは浜名湖周辺地域に偏っていると感じています。私は観光における南北問題と捉えても大げさではないと思っております。
 御存じのとおり、天竜区には二俣城跡、清龍寺、山住神社などの由緒ある歴史史跡があり、私の地元では県内でも最大規模を誇る大型前方後円墳光明山古墳の発掘が本格化されようとしています。また美しい自然や水窪祭り、鹿島の花火などのイベント、鹿、熊などのジビエやアユなど多種多様な素材がそろっている地域です。ただ素材があってもこれをうまくアピールするとともに魅力や味わい方を知ってもらうことが必要です。
 アピールということでは皆さん、まるかわさんという漫画家を御存じですか。静岡文化芸術大学を卒業された方で、妖怪を題材に「よろずの候」という漫画をお描きになっています。この漫画の舞台は実は天竜区なのです。初刊においては天竜区二俣本町の町並みなどが描かれております。地元の方でないとなかなかわからないかもしれませんが、吉林副知事はおわかりいただけると思います。味わいのある町並みに描かれており、こういうものをうまく活用してアピールするのも一つの手ではないかと思います。魅力や味わい方という点では、一つ一つの魅力のあるものをつなぎ合わせて新しい魅力を提示するなどの取り組みも必要ではないかと思います。
 しかし、人口減少に歯どめがかからない中、地元みずからの取り組みだけでは限界があります。県は、広域的な誘客の視点で天竜区を初めとした中山間地域の観光振興の課題をどう捉えどのように取り組んでいくのか伺います。
 最後に、中山間地域における小規模校の教育について伺います。
 全国的に中山間地域では過疎化や少子高齢化が急速に進んでいますが、地域の学校がなくなることによって子育て世帯が都市部に流出し地域の衰退に拍車をかけています。
 天竜区にある浜松湖北高等学校佐久間分校はその名のとおり分校であります。平成二十八年度まで県立佐久間高校として本校でありましたが、生徒数の減少により平成二十九年度から県立浜松湖北高校の分校となったものであります。しかし入学者の減少に歯どめがかからず今年度の入学者数は十四人となりました。
 昨年三月に県教育委員会が定めたふじのくに魅力ある学校づくり推進計画では、方策等を行った上でも二年連続で入学者が十五人を下回った場合には募集を停止するとしています。このため地域や学校も危機感を持ち、PTAや同窓会、浜松市教育委員会や地元のNPOなどによって組織された佐久間分校魅力化推進協議会を立ち上げ七月九日に初会合が持たれました。そこでは地域を維持するためには佐久間分校は存続させるべきという地元からの強い思いが出されたと聞いています。
 習熟度別授業や多様な部活動などの高等学校教育の質を保障するためには、一定数の生徒数が必要です。この教育の質の保障は大切だと思いますが、一方で中山間地域など交通基盤、手段の脆弱な地域の生徒に教育を受ける機会を保障することも公教育には求められていると考えます。旧天竜市が浜松市と合併する際には六校あった中学校を二校に統合した経験をしており、教育の質の保障と教育の機会の保障の両立は簡単ではないことは百も承知をしています。地域の危機感はこれまでで最大のものとなっており、県教委としても単に計画に基準を設定したからはい募集停止ですということのないようにしてもらいたいものです。
 天竜区には佐久間分校を初め天竜高校春野校舎もあります。県内においては、県立川根高校も同様の危機感から行政の手厚い支援と地域住民の協力を得てよみがえりの兆しが見えてきております。
 こうしたことを踏まえ、佐久間分校の存続を含めて中山間地域における小規模校の教育環境の充実について教育長の所見を伺います。
 申し上げましたように、天竜区にはさまざまな課題が山積をしております。このようなことから政令市になっていなければという声を聞く機会が最近とみにふえてきました。私が利用する地元のタクシーの運ちゃんは、お客さんが政令市になったのは失敗だったのではないかと口をそろえて言います、何とかなりませんかと。この閉塞感を打ち破る方策はないものかと頭の痛い日々です。薄くもなります。
 過激な意見として、天竜区独立運動があります。人口の少ない自治体でも頑張っている現実を見聞きするにつけ、そういった声は大きくなってきました。法律的には可能で、政令市誕生と逆の気の遠くなるようなプロセスを経なければなりませんし国、県、市の了解も得なければなりません。しかしながら天竜区民の思いは同じ方向を向きつつあるような気がしてなりません。
 天竜区の行く末を案じつつ、答弁を求めます。
○議長(鈴木利幸君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) この九月議会も、中谷議員の御質問をもって幕を閉じるということになりました。御地元の天竜区を中心にしたさまざまな課題について教えていただきました。
 静岡県にふじのくに地球環境史ミュージアムというのがありまして、今数々の国際賞に輝いております。その館長は安田喜憲先生であります。スウェーデン王立アカデミーのメンバーでありますが、彼は人類の文明を二つに分けています。森を壊す文明と森をつくる文明であります。そして森を壊す文明の中に西洋全体そして中国も含んでおり、森をつくる文明のモデルとして日本を挙げられております。
 森は命の揺りかごです。と同時にまた山は高きが故に貴からずと言われるように森は山でございます。そこで水を涵養し命を育んでいるということでこれは人類の宝物であり、本県はそのうちの一つとして天竜を持っているんだという私は認識をしておりまして、しかしその天竜区がさまざまな困難を抱えているということでございました。
 そうした点のうち、私はまず本県の林業について、県産材の需要拡大についての御質問にお答えをいたします。
 本県ではこれまで公共建築物における県産材の率先利用を推進してまいりました。県産材を使用した住宅新築等に対する本県独自の助成制度の創設あるいは店舗、社屋等の非住宅分野での利用促進に向けた優良建築物表彰などに取り組んでまいりまして、県産材の需要拡大を積極的に進めてきたところであります。
 こうした中、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック関連施設での木材利用を契機に国産材利用の機運が全国的に高まっているのはいい知らせであります。いい流れでないかと思っております。本県におきましても、オリンピック・パラリンピック選手村ビレッジプラザの建築に必要な木材を県内七地域の森林認証林から提供をいたしました。本県の森林認証林の面積は全国で今や第四位にまでなりました。こうした取り組みを通じて、県産森林認証材の高い品質と安定した供給力を首都圏を初め国内外に情報発信してまいります。
 また、今般の建築基準法の改正により耐火基準が見直され、中層建築物への木材の使用が認められました。そのことから都市部の建築物の木造化、木質化が一層進むことが期待されます。こうした木材利用を取り巻く環境変化に対応いたしまして首都圏等の新たな需要を確実につかんでいくためには、需要の現場で何が求められ何が課題となっているかを分析しそれに対応していくことが必要であります。
 このため、県では現在学識経験者や木材の加工、流通関係者など広く御意見を承って県産材製品需要拡大戦略を策定しております。その中で主な課題として二つが明らかになりました。
 一つ目は、県産材を非住宅建築物で利用するためには構造計算が可能な製品の供給が求められます。そこで構造計算に必要となるJAS認証の取得を促進すること、また木材乾燥機や強度測定機などの整備によるJAS製品等の供給体制の強化を戦略の柱に掲げていくこととしております。
 二つ目といたしまして、首都圏に向けた県産材の販路が十分に築かれていないことが挙げられます。このため県内の製材業者と首都圏の木材販売業者、建築設計者とのマッチング機会の創出を進めます。これにより木材利用の拡大が見込まれる首都圏等都市部の新たな販路開拓に取り組んでまいります。
 さらに、本年度からは森林環境譲与税が都道府県と市町村に配分され、木材利用の財源としての活用が可能となりました。この財源を活用いたしまして、県では市町の建築担当職員向け研修会や日本平夢テラスあるいは富士山世界遺産センターなどの模範となる施設見学会の開催、市町における施設整備への専門アドバイザーの派遣など県産材需要拡大に向けた支援を強化いたします。
 県といたしましては、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックや木材利用の促進につながる関係法令の改正、森林環境譲与税の市町への配分開始などを県産材の需要を拡大する好機と捉えまして、関係団体や市町などと密接に連携をいたしながら全力で取り組んでまいる所存であります。
 次に、政令指定都市である浜松市天竜区における課題についてのうち、政令指定都市の中にある過疎地域についてであります。
 人口減少、少子高齢化が進展しており、東京と地方、人口集中地区と過疎地域など地域格差はますます拡大しているのが現状です。地方の荒廃を防ぎ国土形成計画がうたう国土の均衡ある発展を実現していくためには、都市と農山漁村の人材交流の活性化や連携の強化、地域資源を生かした産業の振興などを通じて末永く住み続けられる地方を創生していくことが重要な課題です。
 こうしたことから、県では過疎地域自立促進計画に基づきましてハード、ソフトの両面からの総合的な過疎対策に計画的に取り組んでいるところです。北遠地域が浜松市の政令指定都市移行により天竜区となってからも、林道あるいは農業農村整備など県単独事業を継続し支援しているところであります。
 一方、議員御指摘のとおり現行の過疎地域自立促進特別措置法は令和二年度末までとなっております。国では現在新しい法律、新法制定を見据え支援策や要件等の議論を進められていますけれども、現行法で合併前の旧市町村を過疎地域とみなす一部過疎につきまして対象から除外する見直しの可能性が危惧されているところであります。
 過疎地域は我が国の国土の過半を占めておりまして、しかしながら豊かな自然、歴史、文化を有するふるさととも言うべき、議員の言葉で言えば懐かしい田舎であります。都市に対し、また食料、水、木材ほかエネルギーの供給、国土、自然環境の保全、森林による地球環境温暖化の防止など果たしている多面的機能また公益的機能は国民共有の財産とも言うべきものでそう自覚する必要があります。
 県といたしましては、全国知事会や全国過疎地域自立促進連盟とも連携をいたしまして、現行法の本県過疎地域が自治体の大小にかかわらず引き続き新法による支援を受けられるよう国等に対して積極的に働きかけてまいります。また産業振興や交通通信体系の整備など過疎地域が自立することができるよう過疎地域自立促進計画に基づく過疎対策を着実に進めて、過疎地域の魅力また強みを生かした持続可能な地域社会の実現に取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
○議長(鈴木利幸君) 志村農林水産担当部長。
       (農林水産担当部長 志村信明君登壇)
○農林水産担当部長(志村信明君) 本県の林業についてのうち、森林経営管理制度を活用した木材の増産についてお答えいたします。
 森林経営管理制度は、適切な経営管理が行われていない森林について市町の主導による経営の効率化と森林の適正な管理の促進を目的として創設されました。本制度に基づいて所有者の経営意欲が十分でない森林を市町が集積し林業経営体の木材生産活動に結びつけていくためには、制度を運用する市町の実施体制の整備と林業を担う経営体の育成確保が重要と考えております。このうち市町の実施体制の整備につきましては、市町に林業の専門職員が少ないことなどが課題であるため、県は富士市など三市町をモデル地域に位置づけまして地域の林業に精通したふじのくに森林整備アドバイザーを派遣して森林整備の計画づくりや所有者の経営意欲の確認などについて重点的に支援しております。この結果森林の集積が進んだことから、この情報を他の市町に提供したところ制度の有効性の理解が進み県内二十三市町が本制度に取り組むこととなりました。
 また、林業経営体の育成確保につきましては生産性の高い作業方法を学ぶ研修会の開催、中小企業診断士などによる経営指導、高性能林業機械の導入支援などに取り組んでおり、これらを通じて林業経営体の技術力の向上と経営力の強化を図ってまいります。
 県といたしましては、今後とも市町の実施体制の整備と林業経営体の育成確保を通じて市町の森林経営管理制度の取り組みを促進し県産材の増産を図ってまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 鈴木経営管理部長。
       (経営管理部長 鈴木宙志君登壇)
○経営管理部長(鈴木宙志君) 政令指定都市である浜松市天竜区における課題についてのうち、山間過疎地の情報基盤整備についてお答えいたします。
 高速な通信ができる光ファイバー網は、AIやIoTなど新世代ICTの積極的な利活用を目指す昨今の社会におきましてはこれまで以上にその重要性が高まってきております。
 本県では、平成二十年度に独自の補助制度を創設し過疎などの条件不利地域における光ファイバー網の整備を進めてまいりました。この結果光ファイバー網を利用できる世帯の率は平成二十年度の八二・八%から令和二年三月末には九九・一%にまで拡大する見込みでありますが、引き続き山間地などに残る未整備地域の解消を図る必要があります。
 このため、国に対し山間地などの事業採算性の悪い地域でも民間事業者が光ファイバー網の整備を行えるよう補助制度の拡充を求めてきたところ、本年度から民間事業者も補助対象に加えられるとともに本県の補助率を上回る制度が創設されたところであります。
 今後、関係市町や民間事業者に対し国の制度を有効活用するよう積極的な働きかけを行い、天竜区の山間部など未整備地域における光ファイバー網整備を促進してまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 池田健康福祉部長。
       (健康福祉部長 池田和久君登壇)
○健康福祉部長(池田和久君) 政令指定都市である浜松市天竜区における課題についてのうち、国民健康保険佐久間病院への支援についてお答えいたします。
 佐久間病院は、議員御指摘のとおり県が派遣しております自治医科大学卒業医師二名を含む常勤医師四名、その他浜松医科大学附属病院を初めとする県内各病院からの非常勤医師により外来、入院、訪問診療等の医療を提供しております。佐久間地区全体の人口減少に伴い患者数は減少しているものの、今後もこの地域にとりまして重要な役割を果たしていくと認識しております。
 一方で、県内でも医師不足が特に深刻な伊豆地域の病院から県に対し自治医科大学卒業医師のさらなる派遣を要請する声が高まっていることに加え、昨年度の専門医制度の開始に伴い派遣できる医師が一時的に減少しておりその調整に大変苦慮しております。
 県といたしましては、中山間地域である天竜区の医療のあるべき姿について早急な検討が必要と考えており、関係者による協議の場の設置につきまして浜松市に対し働きかけを行っているところであります。協議に際しましては、佐久間病院の現状を踏まえ地域の医療資源の活用、ドクターヘリによる広域搬送や情報基盤整備に伴う遠隔診療など中長期的な視点も含め多角的に検討してまいります。
 今後も、佐久間地区の住民の皆様が安心して住み続けることができるよう地域の特性に配慮した医療提供体制の確保を積極的に支援してまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 植田文化・観光部長。
       (文化・観光部長 植田基靖君登壇)
○文化・観光部長(植田基靖君) 政令指定都市である浜松市天竜区における課題についてのうち、観光振興についてお答えいたします。
 県土面積の約三分の二を占める中山間地域は、豊かな自然や伝統芸能など多種多様な素材がそろうまさに地域資源の宝庫であります。中でも天竜区は天竜美林や美しい棚田などの自然景観、由緒ある神社仏閣、地域固有の食材などに恵まれた魅力的な地域であります。
 一方で、人口減少や高齢化の進展が顕著な中山間地域の活性化を図るためには宿泊施設等の受け入れ環境の充実に加え、近年海外の方にも大変人気がある農山村の生活体験、住民との交流などの魅力を効果的に発信するとともに自然環境を生かした体験型商品を一層充実する必要があります。このため県では農家民宿等の開業支援を行い、昨年度は春野町の一軒を含む六軒が開業し県内三十六軒に拡大いたしました。加えて地域特有の自然体験や郷土料理などを楽しむことのできる百五十施設を紹介したしずおか農泊ブックを作成し、県内外へ広く発信しております。
 また、静岡デスティネーションキャンペーンにおけます地域の取り組みなどを通じ新たな体験型商品づくりを積極的に支援しております。例えば天竜区におきましては、天竜川水系での川下りや滝つぼダイブができる天竜川キャニオニング、天竜浜名湖鉄道二俣駅から豊かな森林内を走行する天竜マウンテンバイクツーリズムなどの旅行商品化を図り誘客促進に取り組んでいるところであります。
 県といたしましては、地域の皆様が主体となって取り組む、中山間地域のさまざまな観光誘客事業を市町や地域連携DMO、関係団体等と連携し積極的に支援することで多くの方に訪れたいと感じていただける観光地域づくりを進めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 政令指定都市である浜松市天竜区における課題についてのうち、中山間地域における小規模校の教育について、いろいろ検討されているのですが私のほうからお答えいたします。
 中山間地域など人口が減少する地域にありましても、子供たちに教育を受ける機会を保障することは県教育委員会の責務であります。
 昨年三月に策定したふじのくに魅力ある学校づくり推進計画では、議員御指摘のとおり分校の募集停止について述べておりますものの、中山間地域の小規模校につきましては再編整備による教育環境の改善充実が困難な場合には教育を受ける機会を保障する観点等を踏まえ、教育環境の充実に努めることを基本としております。佐久間分校では、ICTを活用した遠隔教育や生徒が主体的に活動する課題解決型学習の実践など教育内容の魅力化を図っておりますほか、入学者増加に向け来年度から学校裁量枠の新設や高校生と県の教育委員会の若手チームによる若者が強い関心を示すホームページや広報媒体の作成に取り組んでいるところであります。
 また、御紹介いただきました魅力化推進協議会はPTAや同窓会、自治会、地元小中学校長やNPO、行政などが参画し地域が一体となって存続に向け取り組んでいくこととしております。七月の会合では、分校の魅力を向上させ地元以外からも積極的に生徒を受け入れるために閉鎖中の寄宿舎の再開を求める意見等が出されております。私も先日伺いました。そして宿舎のほうも見ました。ちょっと手を入れるだけで使えるということもわかりました。
 中山間地域にある高校は地域の核となるものと考えております。県教育委員会といたしましては、地域の方々の強い思いを真摯に受けとめながら地元自治体と連携して中山間地域の小規模校が中学生に選ばれる高校になるよう魅力を向上させ、教育の質を担保しつつ教育を受ける機会を保障する責務を果たしてまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 中谷多加二君。
       (六十一番 中谷多加二君登壇)
○六十一番(中谷多加二君) ありがとうございました。
 天竜区のもろもろの問題を提示させていただきましたし、まだそれ以外にもあります。いわば言いたいことは山ほどあるわけですが一点、政令市の中にある過疎地域ということに絞ってですね、こういう話を耳にしたことがあります。旧の浜松市の一部の方がおっしゃっているんですが、天竜区ってお荷物だよねとこういう発言をされています。浜松の市議団が総務省に陳情に行ったときに、その担当の役人が天竜区ってお荷物だよねと同様の発言をしたということで私どもの仲間は憤慨して連絡をよこしました。どういう会話になったかというと、ならば目指そうじゃないかと、名前は天竜村でどうだと。そのプロセスで大いにその力をかしていただけるのは優秀な県幹部職員、天竜区の出身の方、OBの方、現役を含めて大勢いますのでそういう方々も含めて何とかこの道を進んでいくのも一つの選択肢ではないかというふうに思っておりますが、この考え方について知事、何かございましたら一つ御示唆を賜りたいと。
○議長(鈴木利幸君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 天竜村構想につきまして御紹介いただきまして、しかしその背景をお聞きするともっともなことだと。お荷物だと言うのは何事かということで天竜区の皆様方のお気持ち、共感いたします。
 この天竜村に至る道筋というのは決して生易しいものではないと思いますが、その志は持ち続けることが大切だというふうに思います。どういうふうにしていけばいいのかということですけれども、御案内のように政令市というのは府県から自立するということの目的でつくられました。基準は人口でして百万人以上ということでしたけれども、平成の大合併のときに本県にゆかりの深い片山虎之助先生が担当大臣で人口規模を七十万人にまで落とされました。その結果静岡市、浜松市が政令市の仲間になったと。それ以降平成の合併が終わりました後、今は人口規模が百万に戻されております。そういう観点からいくと浜松市も静岡市も極めて今厳しい政令市であると言わざるを得ないと。
 しかし、両者に共通するものがあります。面積がばかでかいということであります。浜松市は二十の政令市の中で最高、最大です。二番目が何と静岡市と。浜松市は人口が八十万余りですけれども静岡市は七十万を切りました。その結果いわゆる人口密度は例えば横浜と比べますと横浜は八千人以上です、一平方キロメートル当たり。しかし静岡市は五百人もいません。浜松市は五百人ちょっと強ですね。ですから目の行き届かないところができると。
 例えば、今天竜区の区長さんが誰かと。清水区の区長さんが誰だということを天竜区民は知っているか、あるいは清水区民が知っているかというと、その村のあるいは区民の意思が区長を通じて生きるというふうにはなっていないということで、そうしたことから大都市、言いかえると政令指定都市におきまして特別区を設けることができるという法律ができました。これは議員立法ができたものです。ただしこの法律、大都市地域特別区設置法というものですけれども条件がございまして二百万人以上というふうになっているわけです。そうしますと横浜市と大阪市とそして名古屋市しか当てはまりません。
 しかし、これは不平等ではないかと思います。私はこの二百万人以上というこの規定を取り除きさえすれば特別区というものがつくれると。東京の杉並区とか、墨田区とかいうああいうものが特別区と言われるものであります。そのためには、これは議員立法ですから議員さんにしっかり働いていただかなくちゃいけない。その点で言いますと天竜区は極めてすばらしい国会議員を出されています。また清水区もそれにまさるとも劣らない立派な国会議員を出されております。本当にその区民のことを思うなら、私はこの二百万人以上というこれを撤廃するという方向で動いていただくと、そうすると全ての政令市におきまして特別区というのを設置する選択肢ができるということであります。まずはそれが一番近い道ではないかというふうに思っております。
 同時に、政令市から独立するとなるとやっぱり広域的なメリットもございますし、メリットといいますかこれまでの経緯もございますので、広域性は失わないまま区民の基礎自治体の自立性を高めるという方向としてはまずは特別区設置というのを目指されてはどうかと。私はこういう運動をされるということであれば全面的に支持したいと、その運動の先頭にも立ちたいぐらいに思っております。以上であります。ありがとうございました。
○議長(鈴木利幸君) これで中谷多加二君の質問は終わりました。(拍手)
 以上で質疑及び一般質問を終わります。

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