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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成25年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

森 竹治郎 議員

質問分類

一般質問

質問日:

10/04/2013

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 静岡県の観光施策について
 (1) 大型観光誘客・デスティネーションキャンペーンの実施
 (2) 富士山世界文化遺産登録と東京オリンピック開催決定を契機とした観光誘客
 (3) 伊豆半島ジオパークを活用した観光誘客
2 静岡県の水産業の振興について
 (1) 沿岸漁業の振興策
 (2) 漁業とTPP
 (3) 県温水利用研究センター
3 伊豆縦貫自動車道等の建設促進について


○議長(中谷多加二君) これで、池谷晴一君の質問は終わりました。
 次に、六十番 森 竹治郎君。
       (六十番 森 竹治郎君登壇 拍手)
○六十番(森 竹治郎君) 九月定例県議会も私が最後の質問登壇となりました。
 それでは通告順序に従いまして質問をいたします。知事並びに関係部長におかれましては、簡潔にして明瞭な御答弁をお願いをいたします。
 最初に、静岡県の観光施策についてのうち、大型観光誘客――デスティネーションキャンペーンの実施についてであります。
 先日、県観光政策課が発表した平成二十四年度の観光交流客数並びに宿泊客数では、前年比でプラスとなり、少しずつではありますけれども明るい兆しが生じてきたものと思います。このことは東日本大震災直後に県当局が機動的に実施しました各種の緊急の誘客対策、具体的に申し上げますと首都圏や中京圏を対象としたふじのくに観光大商談会の開催や県内宿泊客を対象とした交通利用料金の半額キャンペーン。こういうものが観光誘客施策として功を奏したものと私は思っております。
 岩手県では、平成二十三年六月に平泉の世界文化遺産登録が実現し、東日本大震災からの復興をテーマにJR六社と連携して全国規模の誘客プロモーション、いわゆるデスティネーションキャンペーンを翌年の平成二十四年の四月から六月にかけて行いました。いわてデスティネーションキャンペーンの取り組みには、岩手県庁の行政、観光関係者のみならず岩手県の商工業、農林水産業、交通関係者なども参画し、被災した市町村からもデスティネーションキャンペーンをやろうではないか、このような声が上がり観光誘客に加えまして、大震災の復旧・復興にもがんばろう岩手と宣言、大きな効果があったと聞き及んだ次第であります。
 本県におきましても、一九九二年、二〇〇〇年の二回開催し、JR六社あるいは旅行会社などと協力して大きな実績を上げております。本年は富士山の世界文化遺産登録が実現したほか、二〇二〇年七月の東京オリンピックの開催決定、リニア中央新幹線計画の発表に伴う富士山静岡空港の新幹線新駅の実現可能性の高まり、伊豆ジオパークの世界認定への取り組みなど静岡県の観光にとっては大変明るい材料が生じてきておるとこのように思います。今こそ全国規模のデスティネーションキャンペーンを実施しまして、強力に本県への誘客を図ることは重要と考えております。
 今後のデスティネーションキャンペーンは、既に二〇一五年まで実施計画が決まっているとのことであります。本県は二〇一六年のプレデスティネーションキャンペーン、二〇一七年のデスティネーションキャンペーンの本番を目指して今から取り組みを開始し、本県観光業界に明るい話題を提起し本県観光業界に元気づけを与えるべきものと私は考えるものであります。
 本県でもそれぞれの観光地の地域の魅力づくり、そしてそれぞれの自治体と観光業界、JR各社との相互の理解、連携、県民の皆さんの観光に対する理解の深まり、地元産業経済の活性化、そしてさらに鉄道、バス、タクシーなどの公共交通機関の利用の拡大などなどの期待が高まってくるわけであります。県当局の決意のほどをお伺いする次第であります。
 次に、富士山世界文化遺産登録と東京オリンピックの開催決定を契機とした観光誘客についてであります。
 去る六月、私たち県民がひとしく待ち望んでおりました富士山が世界文化遺産として登録をされました。日本一の富士山からいよいよ世界の富士山となり、これから国の内外から大勢の観光客が訪れることが期待されます。富士山の周辺には各浅間神社や白糸の滝、三保松原などすばらしい構成資産があります。海の県道駿河湾カーフェリーからの眺めなどなど観光資源として大いにこれから活用が期待されるところでもあります。これらをめぐる周遊旅行商品の造成、修学旅行の誘致、海外エージェントへの誘客活動など今後どのように取り組んでまいるのか、お伺いする次第であります。
 さらに、誘客活動にあわせて受け入れ体制の整備についてであります。
 道路案内や駐車場、観光トイレや今般富士宮市に建設が決まったビジターセンターなどについて、それぞれデザインや色彩、多言語の案内、景観の形成等々、世界の富士山にふさわしい格調の高い施設整備を進めていく必要があろうかと思います。スイスやオーストリアの観光地に匹敵する高度の施設整備を私は行うべきものと思います。お考えをお伺いする次第であります。
 先月九月八日の早朝、二〇二〇年の東京オリンピック開催が決まりました。日本中が大変喜んだところであります。近年の日本は大震災、豪雨災害、景気の低迷等々ややもすると暗い話題が多かったのであります。これで日本が確実に私は元気を取り戻すことができるものと思います。
 顧みますと昭和三十九年十月の東京オリンピックのときには、新幹線、高速道路の開通、東京都内では環状線道路や地下鉄の整備、そして大型ホテルの新築などがありました。伊豆でも熱海や伊東ではホテルの新築や増築が相次いだものでありました。外国から大勢のオリンピック関係者や観光客が東京のみならず箱根や伊豆にも大勢やってまいりました。
 今回の東京都の試算――試みの試算によりますと三兆円の経済波及効果があると言われております。東京だけでなく私は地方への経済波及効果を考えてみますとこれはその数倍に及ぶものがあるのではないかと期待する一人であります。今日の日本は昭和三十九年当時と異なり、経済先進国であり成熟社会にもなりました。このことを考えますと静岡県も県内の観光地について、それぞれ地域の持つすばらしさに一層磨きをかけグレードの高い観光地として、これから進めていかなければいけないと思いますし、観光人材の養成も当然必要になってくるものと思います。
 七年先の東京オリンピックに向けて県当局はこれからどのように取り組んでまいるのか、御所見をお伺いする次第であります。
 次に、伊豆半島ジオパークを活用した観光誘客についてであります。
 去る九月九日、世界ジオパークネットワークは、済州島での会合において隠岐諸島について世界ジオパーク認定すると発表をいたしました。国内では洞爺湖有珠山、糸魚川、島原半島、山陰海岸、室戸に続き六地域目となりました。これらの地域は既にそれぞれの地域の教育効果に加えて観光誘客にも大きな実績を上げてきております。
 次はいよいよ伊豆半島であります。来年四月に申請し平成二十七年度の世界ジオパーク認定を目標とされているとのことであります。県は伊豆半島ジオパーク推進協議会と連携し世界ジオパーク認定に向けて、これからどのような取り組みを進めてまいるのか、お伺いをいたします。
 ジオパークを紹介する地域ごとのビジターセンターについては、各市町が一カ所ずつ整備する計画となっておりますが、県の市や町に対する補助制度において補助率を従来よりアップしたことから昨年七月の南伊豆町を皮切りに、今年度には三島市や伊豆市にも整備されるなど現在も順調に整備が進んでいると伺っております。私はこのビジターセンターが地域のジオサイトやジオポイントを案内する拠点となることはもとより、観光誘客の核となっていくものと思っております。今後は、ジオパークが伊豆半島の観光の活性化に大いにつながり地域経済に寄与するようにジオパークを活用した旅行商品の造成を進めるなど誘客の促進に役立てるソフト対策を進める必要も出てくるものと思います。
 県としては、伊豆半島ジオパークを活用した観光誘客をこれからどのように推進をしていくのかお伺いするところであります。
 次に、静岡県の水産業の振興についてお尋ねをいたします。
 初めに、沿岸漁業の振興策についてであります。
 本県は、伊豆半島の沿岸であります駿河湾、遠州灘、浜名湖、これらの豊かな漁場を有し、さらに沿岸だけではなく沖合、遠洋の漁獲物も多く水揚げをされております。漁業生産量を見ましても近年では常に全国で第五位以内の水揚げを誇っておる屈指の水産県と言うこともできようかと思います。このように恵まれた自然環境にあるものの、漁業を取り巻く情勢は日に日に厳しくなってきております。近年の円安は燃油価格の高騰に拍車をかけております。以前は軽油が一リッター六十円から八十円でした。昨年の年末はこれが九十円でした。今日は百五円から百六円になっております。
 さらに、本県沿岸漁業の主力であるシラスの船曳網漁業。これは黒潮の大蛇行で黒潮が岸から遠く離れて流れておる現象が出ており、この夏の盛漁期には大変な不漁が続きました。ようやく九月の下旬に至り復調の兆しを見せてまいりました。しかしながら先行きについては何とも不透明とそんな状況であります。また資源管理の優等生でありますサクラエビも漁獲量や魚価とも伸び悩んでいる状況であります。下田港のキンメダイも三十年前はおよそ三十億円ほどの水揚げを誇っておりましたが、現在は漁船数も激減し水揚げも日本一には変わりありませんけれども、二十三億円程度に減ってきております。
 こうした逆風の中、今後も本県の漁業が営み続けていくために県も漁業者と手を組んでこの困難に立ち向かっていく強い決意が私は必要と思います。本県の沿岸漁業をより振興させるために、県当局はどのようにお考えを持っておるのか、お伺いする次第であります。
 次に、本県の漁業とTPPについてお伺いをいたします。
 静岡県議会は、過去二回にわたりTPPの交渉に関して政府に対し、国民生活の安定などを最優先として安易な妥協などはしないで、国益を損なうような協定は認めないなどの固い決意を持って取り組むように意見書を提出いたしました。今もって交渉内容については明確にはわかりませんが、最大の焦点である関税を扱う物品市場アクセスや知的財産権、あるいは漁業の補助金問題の環境。こういう課題が今正念場を迎えておるようであります。
 近年の水産物の貿易を見ますと外国からの魚介類の輸入額は年間一兆五千億円程度になっております。国内の年間漁業水揚げ金額は一兆四千億円程度でありますから、ほぼ同額ということが言えようかと思いますけれども、既に外国からの水産物のほうが多くなっておると。こういう状況であります。魚介類の種類によっては異なりますけれども、この輸入魚介類には五%から二〇%ほどの関税が今かかっております。この関税がなくなりますと輸入がさらにふえ、国内の魚価をさらに安くさせてしまいます。その結果としてますます漁業の経営というものは厳しくなる心配が生じてまいります。
 八月末のブルネイでの交渉で最も困難であったテーマは、漁業補助金のかかわる環境分野であったと。このような報道もあります。昨日の新聞報道によればアメリカがこの主張を一部軟化してきたとの報道もありますけれども、アメリカやオーストラリアなどからは、日本が各種補助金で漁業者を助け、漁港を整備するようなことは魚の乱獲を奨励していることにつながっている。このようなまさに牽強付会の主張の様子を呈しております。水産庁の二十五年度の予算は千九百三十一億円であり、そのほとんどは補助金であります。本県もこの補助金で漁港を整備し、魚礁を設置したり資源管理を行ったりやっているわけであります。この漁業補助金が打ち切られますと漁業を続けられない漁業者が続出してしまう心配があります。
 十月一日、宮沢正美県議のTPPに関する質問に対し吉林企画広報部長は、これから庁内の連絡会議を設置して対応してまいりたい。このように答弁をされました。県当局はTPP交渉の情報を的確に入手しまして、今後も県の漁業振興について早目早目に対応策を私は講じていくべきものと考えております。
 宮沢県議に引き続いて、私からも重ねて県当局の御所見をお伺いする次第であります。
 次に、県温水利用研究センターについてであります。
 県温水利用研究センターは、昭和四十七年に日本で唯一本格的に原子力発電の冷却用温排水を利用して放流種苗を量産する施設として設立されました。しかし一昨年の東日本大震災、福島原子力発電所の事故を受け、浜岡原子力発電所は当時の菅総理の強い要請を受けて一昨年五月に運転停止となりました。この結果県温水利用研究センターへの給水も危ぶまれるところとなってしまいました。
 県議会でも論議をされました。県知事を初め県当局も国に積極的に働きかけていただきました。原発停止後三年を限度に種苗生産に必要な施設の整備、設備の維持管理費用として十億円が補正予算化され、国の支援が行われることになりました。県議会もこの予算を受け入れ議決した経緯があります。その後県温水利用研究センターは、国のこの交付金を活用し従前どおりの種苗生産を継続してまいりました。しかし今年度に入り、復興関連予算が被災地以外の事業に使用されているとの批判が高まり、全国的に国から返還要請がありました。この要請を受けて今回の九月の県議会では、復興関連予算造成基金返還金として県温水利用研究センターにかかわる未使用の三億二千六百万円を国に返還する補正予算が上程されたところであります。今回の国の対応には私はいささか釈然としないものがあります。県温水利用研究センターは、県内唯一の種苗生産施設として本県栽培漁業の中核的な役割を担って大きな実績を上げており、沿岸漁業振興のために今後も種苗生産を継続していくべきものと考えます。
 県当局におかれましては、今後この県温水利用研究センターの取り扱いをどのようにしてまいるのか、お尋ねをする次第であります。
 最後に、伊豆縦貫自動車道等の建設促進についてお尋ねをいたします。
 伊豆縦貫自動車道路は、東名高速道路及び新東名高速道路と連絡をすることにより、伊豆地域への高速サービスを提供することを目的とした沼津と下田を結ぶ六十キロメートルの自動車専用道路で現在三カ所で整備が進められております。
 東駿河湾環状道路についてでありますが、沼津の岡宮インターチェンジから三島塚原インターチェンジまでの十キロメートルが四年前に供用開始となり大変便利となりました。ここから先の函南塚本インターまでの当初の計画については、新東名供用開始に合わせて完成させるとの説明でありました。しかし橋梁工事の基礎地盤が極めて軟弱であることがわかり少し遅れてきたわけでありますけれども、今年度内の供用に向けて整備が進められておると伺っております。
 天城北道路については、既に修善寺から大平までの一・六キロメートルは供用され、その先の仮称天城湯ヶ島インターまでの五・一キロ区間において整備が進められておりますが、この間の用地の取得の状況やトンネル工事の状況、供用開始の見通しはいかがでしょうか、お伺いをいたします。
 河津下田道路のU期区間六・八キロメートルについては、昨年度事業化され河津町梨本から河津町逆川までの三・四キロメートルについて、早期に河津下田道路U期区間の事業効果を実現するために現在国において、橋梁やトンネルの設計、地質調査、測量等が進められてきております。現在都市計画の手続が進められている河津下田道路T期区間については、百軒から二百軒もの移転対象家屋があると思われ、これに加えて環境の問題などもあり整備完了までは今後大変な日時を要することが心配されてきております。
 伊豆縦貫自動車道路のそれぞれの区間の進捗の状況と二十五年度に供用する東駿河湾環状道路に投下されていた予算を来年度以降、天城北道路、河津下田道路に加算することにより、計画よりも早く供用開始ができるのではないかと思います。このこともあわせて今後の見通しをお尋ねする次第であります。
 伊豆縦貫自動車道路計画から遠く離れているのは南伊豆町です。南伊豆町の地震防災避難道路としての役割を担うとともに、過疎化対策としての効果も期待できる南伊豆町一条から下田市箕作の間の伊豆縦貫自動車道路へのアクセス道路構想について、県当局もより積極的に私は推進すべきものと考えるわけであります。県当局の積極的な御答弁を御期待するところでもあります。
 以上について、簡潔明快な御答弁を求めまして私の一般質問を終わります。よろしくお願いします。ありがとうございました。(拍手)
○議長(中谷多加二君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 森議員にお答えいたします。
 静岡県の観光政策についてのうち、大型観光誘客いわゆるデスティネーションキャンペーンの実施についてであります。
 デスティネーションキャンペーン。これは旅行者のニーズが多様化して観光地間の競争が激化する中、旅行先として選ばれるための手法として大変有効であると認識しておりますし、またこれまで大きな役割を果たしてきました。
 御案内のとおり、これは地方自治体、JR六社、旅行会社、協賛会社等が協力して実施する日本最大規模の観光キャンペーンです。そして開催地について集中的なPRを実施し全国からのお客様の誘客を図り、地域を活性化させることを目的といたしまして開催地は地方自治体、JR各社の立候補を受けJRグループが選定するということでございます。
 議員に御紹介いただきましたとおり、本県におきましては年に四回春夏秋冬とあるわけですけれども、一九九二年の秋にそして平成十二年――二〇〇〇年の春に行いました。平成十二年の伊豆新世紀創造祭とあわせて実施したわけでございます。このキャンペーンを実施するには県内全域の観光関係者の皆様の情熱が要ります。誘客に向けた機運が盛り上がることが大切です。加えて多額の費用を要するものであります。平成十二年のときでございますが、十一年のプレ、本番両者の合計は二億六千八百万円と。こうした費用が要るということであります。
 本県では、この二〇〇〇年のデスティネーションキャンペーンの後、各市町、観光協会、観光事業者などと組織した協議会によりまして、県全体で「富士山・食・みち」などの統一テーマを掲げて、効果的な誘客活動を行う大規模観光キャンペーン推進事業を展開してまいりました。具体的には本県の豊かな自然、温泉、多彩な食などを素材といたしまして宿泊予約サイトを活用した宿泊キャンペーンを実施するとともに、富士山静岡空港の就航先のメディアを活用した誘客活動などを行い、成果を上げてきたわけでございます。
 今月、JTBグループが「日本の旬 富士のくに」という誘客キャンペーンを行っております。これは富士山、箱根、伊豆半島、そして南アルプス、そして甲府、そして浜名湖まで入れまして、こちらが何も申し上げていないにもかかわらず「日本の旬 富士のくに」としてキャンペーンを張られているわけであります。これは富士山の世界遺産登録を記念して、本県向けの旅行商品を国内はもとより海外のJTB拠点でも販売するということで、観光交流人口の拡大に寄与するものと期待しているわけでございます。
 そうしたことで、なるほどデスティネーションキャンペーンにつきましては、これまでの実績からすると重要ではありますけれども、まずは経費が数億円と高額であること。それから本県への利用交通手段が自動車が圧倒的に多うございまして、その割合は七八%、八割。五人に四人ということでございまして鉄道のみのキャンペーンでは効果があまり期待できそうにないと。それからまた本県訪問者の居住地が主には首都圏、中部圏、近畿圏ということで全国的規模とするよりも限定したほうが効果的であるという、そういう総括もなされております。何よりもデスティネーションキャンペーン以外のキャンペーン手法が数多く出現して、効果的なキャンペーンの選択肢がふえているということでございます。
 しかし森先生、熱意を込められましてデスティネーションキャンペーンにつきまして御提言いただきましたので、これらの課題を勘案いたしまして、これを追い風としてキャンペーンを打つのがいいのかどうか検討させてください。早急に答えを出します。
 続きまして、静岡県の水産業の振興についてのうち、沿岸漁業の振興策についてであります。
 本県の沿岸海域では、変化に富んだ海岸線と黒潮によって育まれた水産物の宝庫です。こうした恵まれた自然条件を生かしまして沿岸漁業が将来にわたり発展を続けるためには、持続的な漁業生産を可能にするための適切な資源管理と魅力のある水産物づくりが重要です。
 このため本県では、漁業者と連携を図りながらサクラエビ、トラフグなどの主要魚種につきまして魚の大きさや群れの分布状況などから資源状況を推定し、適正な漁獲量を設定する資源の持続的活用に加えて種苗生産したマダイやヒラメ等の放流や新たな漁場をつくり出す人工魚礁の設置など水産資源の積極的な増産に取り組んでいます。
 また、魅力ある水産物づくりのため、六次産業化や水産物のブランド化、観光業との連携など売れる仕組みづくりに積極的に取り組んでおります。
 例えばいとう漁協では、県、市の助成を受けられて魚のすり身の製造機械を整備なさいまして、製造した魚のすり身を学校給食、高齢者介護施設等向けに販売を開始され、またスーパーや外食チェーン店ですり身を使ったハンバーガーとか総菜の販売を開始されました。これまでキログラム当たり――大体廃棄とか飼料向けでございましたので――たかだか三十円ぐらいだった魚を七百円から千円という販売を目指される、こうしたところにまで至っております。あるいは戸田漁協におきましては新たに移動販売車を導入されまして、二十二年からは移動販売を開始されております。現在JAと漁協が一緒に組まれるということでJA農産物直売所など三カ所で毎週三回販売されて、年間六百万円程度の純利益を上げられているわけであります。まさにこの新しい活動が始まっているということでございます。
 このような取り組みをさらに拡大していくために、リーダー的な役割を担う漁業士を育成するということでございますが、私は漁業士は大学教授並みに偉いと。それにもまさると。教養ではありません、これは実用です。学力にも匹敵する、こういう身につける実学を子供たちにも身につけさせることが大事だというふうに同じくらい重要だと思っております。こうした漁業士のもとで漁協の中堅職員などを対象に経営感覚や企画力を身につけるための人材育成事業を実施してまいりたいと思っております。
 本県といたしましては、今後も漁業者などと一体となりまして本県沿岸漁業の振興に取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長から御答弁を申し上げます。
○議長(中谷多加二君) 下山文化・観光部長。
       (文化・観光部長 下山晃司君登壇)
○文化・観光部長(下山晃司君) 静岡県の観光施策についてのうち、まず富士山世界文化遺産登録と東京オリンピック開催決定を契機とした観光誘客についてお答えいたします。
 富士山の世界遺産登録は、本県の知名度を高める絶好の機会であり富士山静岡空港の国内外の就航先のメディアや旅行会社を誘致し、富士山を初めとするすぐれた観光資源の情報発信や周遊型旅行商品の造成を働きかけるなど国内外に向けた誘客活動に積極的に取り組んでまいりました。また構成資産の駐車場や景観に配慮した観光トイレ等を市町が整備する際には、観光施設整備補助事業を活用し積極的に支援することで受け入れ体制を整備してまいりました。
 今後も引き続きこうした取り組みを積極的に進めるとともに、地元のNPOと連携を図り富士山周辺の雄大な自然を生かした体験プログラムの開発やガイドの養成に取り組むなど富士山の魅力を満喫できる観光地を目指してまいります。
 二〇二〇年の開催が決定した東京オリンピックにつきましては、世界各国の旅行会社に対し世界遺産富士山などすぐれた観光資源を生かした本県の周遊ルートとオリンピック観戦を組み合わせたツアーの造成を働きかけてまいります。
 また、外国人観光客には、インターネット等を通じた観光情報の御案内や本県の魅力を堪能できるオプショナルツアーの販売を促進するとともに、宿泊施設や交通事業者の従業員などに静岡流おもてなしの研修を実施してまいります。
 富士山の世界遺産登録と東京オリンピックの開催の効果を生かし、国内外から多くの人々が本県を訪れ、ふじのくに静岡の魅力を体感できるよう誘客活動に取り組んでまいります。
 次に、伊豆半島ジオパークを活用した観光誘客についてであります。
 世界ジオパークの認定には、日本ジオパーク委員会の推薦が必要となりますが、日本国内の競争が激化しており評価基準を満たすことはもちろんのこと、世界ジオパークネットワークの評価を得るための取り組みが大変重要になってまいります。このためジオガイドの養成やビジターセンターの整備、ジオサイト案内板の設置、地元企業との協働による誘客活動など評価基準を高い水準でクリアする取り組みを重点的に進めてまいります。また研究成果の国際会議での発表や外国語対応のホームページを活用した広報など海外への情報発信を強化するとともに、四カ国語対応の看板やパンフレットの整備、通訳ガイドの養成など外国人の受け入れ体制も整備してまいります。
 伊豆半島ジオパークを活用した観光誘客につきましては、ジオサイトを自転車でめぐるジオサイクリングや海の中のジオサイトを体験するスキューバダイビングなどさまざまな旅行商品の造成が進み、積極的な営業活動を通じて着実な販売につながっております。さらに地層や溶岩などを模したお菓子ジオガシや近海の新鮮な魚介類を使ったジオ丼などジオパーク関連商品も次々に開発されており、伊豆半島のPRと誘客に一役買っているところであります。
 県では、地元自治体や観光事業者、商工団体、学校関係者などの皆様の力を結集し、伊豆はひとつの合い言葉のもと平成二十七年の世界ジオパーク認定を確実なものとし伊豆半島ジオパークを最大限活用した観光誘客を進めてまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 渥美経済産業部長。
       (経済産業部長 渥美敏之君登壇)
○経済産業部長(渥美敏之君) 静岡県の水産業の振興についてのうち、まず漁業とTPPについてお答えいたします。
 本県には、マグロ、カツオ、シラスを初め、特産品のサクラエビ、キンメダイなど魅力ある水産物が数多くあります。本県水産業が今後とも発展するためには、水産物の価値をさらに磨き上げるとともに、操業コストの低減などに取り組むことにより競争力を高めていくことが重要であります。このため例えば稲取キンメ、須崎日戻り金目鯛をしずおか食セレクションに認定するなどブランド化を推進するとともに、マーケティングや衛生管理の専門家などの活用を図りながら高品質で価値の高い水産物を供給する六次産業化に向けた活動を支援しております。また漁業者が効率的な漁場探索等に活用できる海況図の提供に加え、今後は人工衛星を活用したカツオ等の漁場予測に関する研究等を進め、操業コストの一層の削減を支援してまいります。
 県といたしましては、TPP交渉における関税や漁業補助金に関する情報の収集に努めつつ本県水産業の競争力向上に向けた施策を適時適切に実施してまいります。
 次に、県温水利用研究センターについてであります。
 温水利用研究センターは、県内唯一の放流用種苗生産施設として年間おおむね一千万匹を超える放流用種苗を生産しており、マダイ、ヒラメ、アワビ等の沿岸漁業の主要魚種が県内全域に放流されております。例えばマダイでは、水揚げ量の三割を放流された魚が占めるなど本県漁業生産に大きく寄与しており、温水利用研究センターの種苗生産は沿岸漁業にとって必要不可欠となっております。
 このため、国からの要請による浜岡原子力発電所の運転停止後においても国の交付金を確保し、計画どおりの生産を実施してまいりましたが、今般国から本交付金が復興予算より措置されたものであったとして返還を求められたことに大変驚いているところであります。
 本県水産業の振興のためには、引き続き温水利用研究センターが栽培漁業の中核施設としての機能を発揮していく必要があることから、今後の対応について国及び中部電力と十分に協議を行い温水利用研究センターにおける種苗生産を安定的に継続してまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 長島交通基盤部長。
       (交通基盤部長 長島郁夫君登壇)
○交通基盤部長(長島郁夫君) 伊豆縦貫自動車道等の建設促進についてお答えいたします。
 東駿河湾環状線につきましては、三島塚原インターチェンジから函南塚本インターチェンジまでの区間におきまして、今月には舗装工事に着手するなど本年度内の供用に向け国と県が連携して順調に整備を進めております。
 天城北道路につきましては、先月末の用地取得率は九八%となっており本年三月に日向トンネルが貫通し、先月には湯ヶ島第一トンネルの掘削工事に着手するなど早期完成に向けて着実に整備を進めております。
 河津下田道路U期区間につきましては、先行区間の仮称河津インターチェンジから仮称逆川インターチェンジまでの区間におきまして、本年度はトンネル工事に必要な用地買収、工事用道路に着手する予定となっております。
 また、南伊豆町一条から下田市箕作間のアクセス道路構想につきましては、本年一月に下田市、南伊豆町と意見交換を行ったところであり、今後も継続して両市町とともに事業効果や整備手法などについて研究していくとともに、本道路構想は山間部に位置し多大な事業費と長期にわたる事業期間が想定されることから、引き続き河津下田道路T期区間の早期整備を国に働きかけてまいります。
 県といたしましては、伊豆中央道と修善寺道路において合併採算制や新たな割引制度の導入を図るなど利用しやすい南北軸の実現に努めるとともに、命の道として伊豆地域の広域救急医療を支え、地域活性化や観光振興等さまざまな効果が期待される伊豆縦貫自動車道の整備予算が本年度以上に確保され、一日も早く全線開通するよう関係市町と連携して国に強く働きかけてまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) これで森竹治郎君の質問は終わりました。
 以上で質疑及び一般質問を終わります。

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静岡市葵区追手町9-6

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