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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成31年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

鈴木 利幸 議員

質問分類

一般質問

質問日:

02/21/2019

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 本県一次産業に対する支援について
2 食肉センターの早期整備について
3 茶の有機栽培拡大に向けた県の取り組みについて
4 園芸作物の生産振興と基盤整備の強化について
(1) 園芸作物の生産振興
(2) 柑橘樹園地の基盤整備の強化
5 土地改良区の運営体制の強化について
6 住宅街等生活道路の交通安全対策について


○副議長(落合愼悟君) これで曳田卓君の質問は終わりました。
 次に、五十二番 鈴木利幸君。
       (五十二番 鈴木利幸君登壇 拍手)
○五十二番(鈴木利幸君) 私は、自民改革会議の所属議員として県政の諸課題について通告に従い知事、副知事、関係部局長並びに警察本部長に一括質問方式にて質問いたします。
 初めに、本県一次産業に対する支援について伺います。
 平成十九年度の組織改正により商工労働部と農業水産部が再編され、一次産業から三次産業まで産業全般の振興を一元的に担う経済産業部が設置されてから十二年がたちます。また私が委員長を務めた静岡県議会農林水産・観光交流特別委員会からの提言が実現し今年度交通基盤部から農地局が移管されましたが、以前にも増して大きな組織となっております。
 ものづくり県と称しております我が県でありますので、一次産業のみならず二次産業もしっかり活性化させていかなければなりません。そのためには国との連携を強化し、より強力におのおのの産業を支援していく必要があると思いますが、やはり私は国の組織が農林水産省と経済産業省となっているように、県の組織も農林水産業と商工業を分けた方が望ましいのではないかと考えております。
 そうした中、去る二月八日に知事より平成三十一年度の組織改編における記者発表がありましたが、その中で経済産業部から一次産業部門を分離する内容が含まれていなかったことについてはまことに残念であると思っています。平成十九年度の組織改編の目的は農林水産業と商工業の連携を強化し、いわゆる農商工連携のもと産業を活性化させるということでありましたが、本県の一次産業の現状を見るとどうでしょうか。
 例えば、農業においては本県では多彩で高品質な農産物が生産されているのにもかかわらず農業産出額は年々減少を続け、平成二十一年の二千八十六億円を底にここ数年では下げどまりを見せ平成二十九年には二千二百六十三億円まで回復しているものの、その勢いは十分とは言えません。本年度からスタートした静岡県の新ビジョンでは農業産出額を二千四百億円まで増加させる狙いのようですが、そのためにはビジョンに掲げている農業の生産力強化が課題であると考えます。
 林業においては、平成二十四年度から県産材の需要と供給を一体的に創造するふじのくに森林・林業再生プロジェクトに取り組んだ結果、木材生産量は平成二十八年に十九年ぶりに四十万立方メートルを超えましたが、需要者のニーズに対し年間を通じて安定した丸太の供給ができるか課題としてあります。
 また、水産業においては漁業生産量が長期横ばい傾向で短期間での増大傾向への転機が見込めない中、漁業所得の向上につながる対策が求められております。
 このような状況の中、この先も生産者にやる気を持って一次産業に携わっていただくことが重要であります。
 そこで、本県一次産業をさらに活性化させるために県としてどのように支援していくのか伺います。
 次に、食肉センターの早期整備について伺います。
 本県には、県下統一ブランド「しずおか和牛」や県で改良を重ねた「フジキンカ」といったおいしい牛肉、豚肉が生産されています。食肉センターは本県で生産されるこれらの牛肉、豚肉の生産振興につながるだけではなく、県民に県内産の新鮮で安全・安心な食肉を提供するという非常に重要な役割を担っており必要不可欠な施設であります。県内の食肉センターは現在浜松市食肉地方卸売市場と小笠食肉センターの二カ所となっており、この二つの施設は老朽化が進んでいるため、平成二十六年度から静岡県食肉センター再編推進協議会において県内一カ所に再編整備する検討が進められています。
 そこで、全国の食肉センターの取り組みを我が会派の畜産振興議員連盟とJA静岡経済連で約五年間をかけて視察してまいりました。特に販売営業を中心に勉強させていただきました。視察の中では悪い事例とよい事例がありました。
 県畜産公社等が実施している発展のない行政に依存した悪い施設がある一方、衛生レベルを高めることにより新鮮で安全・安心な高付加価値の食肉を生産し国内外の販売に困らない施設運営を行っているよい施設もありました。このよい施設は昨年十二月三十日にTPPが、そしてことしの二月一日にEUのEPAが発効しましたが、今後ますます厳しくなる国内外における食肉の販売競争や海外に輸出する際に相手国から要求される厳しい条件に対応できるものでした。静岡県には畜産農家の生産振興と県民の食生活を根底から支えることのできるよい施設を目指してほしいと感じました。
 現在、小笠食肉センターを運営しているJA静岡経済連は協議会で検討してきた新食肉センターの経営計画を検証し再編整備の実現性を高めたいと望んでいます。
 そこで、畜産振興を図り県民に新鮮で安全・安心な食肉を提供するために食肉センターの再編整備を早期に実現させる必要があると考えますが、県の見解を伺います。
 次に、茶の有機栽培拡大に向けた県の取り組みについて伺います。
 近年、お茶の消費構造が大きく変化し国内におけるリーフ茶の消費低迷が続いています。以前は茶の間でお茶を飲みながら家族団らんのひとときを過ごしたり、お歳暮、お中元にも頻繁にお茶が用いられるなどリーフのお茶は私たちにとって身近な存在でありましたが、生活スタイルの変化に伴い緑茶を取り巻く状況は刻々と変化しております。急須のない家庭も多くなっていると聞きますが、総務省家計調査年報によると、一世帯当たりのリーフ茶に対する年間支出金額は平成十九年の約五千四百円から平成二十九年の約四千百円へと十年間で四分の三程度まで減少しました。
 一方、海外においては和食ブームや健康志向の高まりから米国やEU諸国、アジア等を中心に緑茶の需要が増加しています。全国における緑茶輸出量は、平成二十四年の約五十一億円から平成三十年の約百五十三億円へと六年間で約三倍に増加するなど急速に拡大しており、国内の需要の減少を補う有望な市場になると期待されています。特に輸出先ごとに異なる残留農薬基準に広く対応が可能な有機栽培茶については、輸出事業者から引き合いが強まっているとのことです。
 実際に海外に赴き欧米のショッピングセンターやスーパーマーケットに入りますとオーガニックに関する商品が多く陳列されており、その中に有機JASを表示した日本茶の商品を目にすることがあります。しかしながら農薬の使用が制限されている有機栽培は、発生した害虫や雑草を主に人の手で除去する必要があります。特に雨が多く気温の高い夏季にこれらの発生が多くなることから慣行栽培と比べ労働負担が大きいこと、流通に必要となる有機JAS認証を取得するための費用負担が大きいことなどの課題があり、本県においては茶の有機栽培の取り組みが余り広がっていないと聞きます。
 今後、本県において有機栽培茶の生産を促進しさらなる緑茶の輸出拡大及び生産者の収益確保を図るためにはこれら課題の解決に取り組む必要があると考えますが、どのように対応していくのか県の取り組みについて伺います。
 次に、園芸作物の生産振興と基盤整備の強化についてのうち、園芸作物の生産振興について伺います。
 静岡県は温暖な気候を生かした園芸作物の産地であり、園芸作物は農業産出額の約半分を占めています。園芸作物のうち温室メロンでは近年生産者数、販売量は減少傾向にありますが、若手生産者グループが生産拡大のためマーケティングや技術習得研修などに意欲的に取り組んでいます。温室メロンは冬にたくさんの日光を取り入れるためのスリークオーター型構造のガラス温室や、土壌水分を調整するための地面から離して育てる隔離ベッドといった静岡県独自の生産施設を導入しています。また夏は、寒暖の差で品質を高めるため地下水を利用して夜間温度を下げるといった特徴的な生産方法も取り入れているため、どうしても施設費は高額になってしまいます。しかしこうした温室メロンならではの施設の特徴が国の補助金採択要件に当てはまらないため、規模拡大に当たって資金面で十分な支援が受けられません。
 こうしたことから、特に若手生産者に対する県の経営的支援について伺います。
 次に、花卉類です。花卉類では全国一位の産出額であるガーベラや第二位のバラなど切り花のほか多様な鉢物類を生産しているところでありますが、農林水産省によると平成三十年は切り花の輸入量が過去二番目に多い規模であるとの報道がありました。また消費県としては依然と低迷県であります。
 こうした状況も踏まえ、これからの本県花卉の生産振興や消費拡大の方策について伺います。
 次に、果樹では県内の果樹類の八割以上を占める温州ミカン以外にも柿、キウイフルーツ、ブドウなどの落葉果樹の産地がありますが、高齢化が進み産地の維持拡大が課題となっています。また清水に一カ所にまとまった果樹研究センターではどのような研究をしているのか、生産農家には伝わっていません。
 こうしたことから、果樹研究センターの研究成果を生かした落葉果樹の産地支援策について伺います。
 次に、園芸作物の生産振興と基盤整備の強化についてのうち、かんきつ樹園地の基盤整備の強化について伺います。
 平成三年にかんきつの輸入自由化がされて以降、安価な輸入かんきつとの競争やそれに伴う国産かんきつの需要減少に対処するため、農家は温州ミカン等の優良品種系統への改植や園地改良、ネーブルや清見等の食味がよい中晩柑類への転換、多様化する消費者ニーズや機能性を踏まえた広告宣伝、流通形態に応じた新規需要開拓等並々ならぬ努力を重ねてまいりました。その結果平成二十八年の本県かんきつの産出額は自由化前の平成二年から約二割増の二千九十億円となり、茶と並ぶ本県の主要な農産物となっています。
 中でも、本県の温州ミカンは青島温州を中心とした貯蔵産地として年明け市場では国内流通量の三割から五割のシェアを占めており、高品質なかんきつの安定供給を背景に全国トップクラスの価格で取り引きされる等ブランドが確立されています。また本県の果樹栽培面積約八千四百ヘクタールの八割を占めるかんきつは、他の作物の栽培が困難な傾斜地を中心に栽培されております。生産活動を通じて県土の保全や土地の有効利用、景観形成等の面でも大変重要な役割を果たしています。
 一方で、かんきつの中心となる温州ミカンの生産現場に目を移しますと、他県では温州ミカンから中晩柑などの雑柑に変える産地、高齢者対策ができず荒れた産地、災害で崩壊した産地もあり全国的には温州ミカン生産は減少しています。本県において、三ケ日のようにブランド戦略が功を奏した一部の地域で経営面積が五ヘクタールを超える農家が見受けられるようになったものの、一ヘクタール未満のかんきつ農家が五割以上を占め、販売農家数も高齢化等により減少し高生産体制の脆弱化が大変危惧されています。
 こうした中、かんきつ生産を維持、発展させていくためには効率的な農業経営が行えるよう地域の中心となる担い手への農地集積・集約化を一層推進することが重要であります。
 県は、これまでかんきつ産地の体質強化に向けて静岡市清水区庵原地域での大規模な樹園地整備のほか県内各地でさまざまな基盤整備を進めてきたところでありますが、かんきつ樹園地の多くが中山間地域の傾斜地にあることから、生産性を向上し継続的な利用を図る上で生産基盤の整備をより一層強化することが必要であると考えます。
 そこで、かんきつ農家の持続的な発展に向け、今後県はかんきつ樹園地の基盤整備の強化にどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、土地改良区の運営体制の強化について伺います。
 平成三十一年度の国の農業農村整備関係予算は四千四百十八億円が計上され、臨時、特別の措置の五百四十六億円を加えると四千九百六十三億円となり対前年比一一四・一%となりました。さらに三十年度補正予算千四百八十八億円を加えると六千四百五十一億円となり、平成二十二年度に民主党政権が大幅に削減した予算がようやく復活、確保され、全国の農業者の要望に応えられる予算規模となりました。
 しかしながら、農業農村整備事業を推進する中核的な団体である土地改良区においては、日常の水利施設の管理や賦課金徴収事務に加え地域農業の担い手確保や老朽化が進む農業施設の補修、更新計画の策定など業務が増加の一途をたどっております。その一方で農業者の高齢化や後継者不足、土地持ちの非農家の増加等に伴うマンパワーの不足やリーダーの不足等により組織が弱体化してきており、時代に合わせた基盤整備を推進することが困難となってきているのが現状です。この傾向は末端の土地改良区ほど顕著となっております。
 農業農村整備事業の予算を有効に使い本県農業の競争力強化のための基盤整備を効率的かつ効果的に進めるためには、土地改良区の組織のあり方を見直す必要があると考えます。土地改良にかかわる組織としては、昨年度の全国土地改良大会静岡大会において、本県の優良事例として発表のあった清水農業協同組合の取り組みが思い起こされます。これは全国的にも例のないJA組織の中に農業基盤整備部門を有するもので、管内の十七土地改良区の事務や換地業務を担いながら基盤整備を契機に攻めの農業に転じた結果、清水ミカンの復活を遂げることができました。時代に応じた農業農村整備を推進している理想の姿であると思います。
 本年度、国は近年の農業農村をめぐる情勢の変化に対応するとともに土地改良区の業務運営の適正化を図るため、事務の効率化や財政基盤の改善に向けた土地改良法の改正を行ったと聞いております。このことからも本県として予算の確保と同時に土地改良区の運営体制の強化は急務であります。
 そこで、県は農業基盤整備の推進母体である土地改良区の運営体制の強化に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、住宅街等生活道路の交通安全対策について伺います。
 本県では、新東名高速道路の開通以降高速道路における過度な渋滞は大幅に改善され、その影響もあってか主要幹線道路の渋滞も緩和されていると感じています。しかしまだまだ恒常的に渋滞が発生している箇所も多く見られます。特に浜松市では大手企業の工場移転などの影響もあり、交通の流れが変わってこれまで余り渋滞のなかった地域で交通渋滞が発生するようになってきています。こうした渋滞を回避するために、特に通勤・通学時間帯を中心として住宅街などの生活道路に車が流れ込む現象は少なからず発生していることから、住宅街の生活道路における交通安全対策は重要性を増していると考えます。
 現状抜け道として住宅街を通る車は、信号のないのをよしとしてかなりのスピードで走り抜ける者も多く非常に危険を感じます。ただでさえ住宅街であり通学中の生徒・児童や高齢者の往来も多く、こうしたいわゆる交通弱者が危険を感じるような状況はふえているのではないかと感じます。過去には通学路において登校中の児童の列に車が突っ込むという事故が多発し、警察や教育委員会、道路管理者が合同で全国的に通学路点検を実施し危険箇所を洗い出した上でハード・ソフト両面の対策を実施した結果、このような悲惨な事故の発生は最近では聞かれなくなっています。しかし交通の流れが変わったことによってこれまでと違った危険箇所が新たに生まれるということも十分に考えられるので、対策が行き届いていない場所があるのではないかと危惧されます。
 ドライバー側は、渋滞を避けたいという一心で住宅街等の生活道路を迂回路として利用しているものと思いますが、そうした行為は地域住民にとってはとても迷惑な行為であるという意識は希薄なのではないかと思います。このようなドライバーの意識改革も必要だと考えます。ドライバーに対する啓発や総合的な交通渋滞対策は道路管理者の所管するところであるものの、現状の危険な交通渋滞を早期に改善する必要があると考えております。そのためには道路管理者のみならず警察による交通安全対策は不可欠であると思っています。
 このような住宅街等生活道路における交通安全対策について、県警察は今後どのように取り組んでいくのか伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(落合愼悟君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 鈴木議員におかれましては、第一次産業を中心にした御質問をいただきましてありがとうございました。
 私は、第一次産業は大地の恵みにかかわることであり、これを大切にしない文化・文明は必ず滅びるという確信を持っております。そうしたことから第一次産業を最も重視していると言っても過言ではありません。
 今、日本の第一次産業を取り囲む環境は激変を遂げつつあります。昨年暮れ、先ほど議員御指摘のとおり十二月三十日にTPP11が発効いたしました。そして今月一日には日本とEUとの間でEPAが発効したということです。このTPP11とEUとを合わせますと世界のGDPの四割弱を占めます。言いかえますとアメリカよりも中国よりも大きいと。しかもこの両者は日本政府が積極的に進めたものであります。
 こうした中で、いわば世界最大の自由貿易圏が成立したということでございます。こうした大きな環境変化の中で本県の品質の高い農林水産物の生産、また供給体制の充実が求められているという認識を持っております。
 さて、こうした大きな環境変化に的確かつ迅速に対応していくために、私どもは第一次産業から第三次産業までの産業全般の振興を経済産業部が担っているということでございます。農業におきましては担い手や経営体の育成、農地集積、基盤整備の着実な推進のほか六次産業化や農芸品の海外輸出の促進などに積極的に取り組んでおります。そうした結果販売農家一戸当たりの農業産出額は増加をしておりまして、農業産出額全体も平成二十二年度以降回復傾向にあります。
 林業におきましても、議員御紹介いただきましたとおり需要者のニーズに応じた生産をいたしまして平成二十二年には年間約二十五万立方メートルでございましたが、その木材生産量は平成二十九年には約四十六万立方メートルにまで増加いたしました。森林組合では収益状況が大幅に改善してきております。
 水産業におきましては、六次産業化などによる水産物の高付加価値化や新たな流通体制の構築などによりまして一経営体当たりの漁業生産額は平成二十五年に七百八十九万円と底を打ちました。ところが平成二十六、二十七、そして二十八年と増加いたしまして、ついに一千万円台の大台に乗りました。過去十五年間で最大、最高額でございます。そうした上昇傾向にあるということでございます。
 さらに今後は、AI、ICT、またバイオテクノロジーといった科学技術の著しい進展を踏まえまして、庁内横断的な取り組みによりものづくり技術や最先端の科学技術の農林水産業への活用を積極的に進めます。そのことによりまして生産性を高め、人材不足対策や生産力、競争力の強化、所得の向上などに着実に取り組んでいきたいと考えております。
 農業では、生産力の一層の強化に向けて農業基盤整備や園芸施設整備への支援の強化、畜産クラスター事業の推進などに取り組みます。それとともにAIやロボットなど革新的な技術の農業現場への導入を進めます。
 また、林業では木材のさらなる増産と林業の生産性の向上に向けましてエリートツリー――早く育つツリーでございます。あるいは花粉を余り出さないツリーでございますが、こうしたエリートツリーなどを活用した低コスト主伐、再造林を促進いたします。また丸太の安定的供給に向けて、ICTを活用した新しい流通システムの構築に取り組みます。
 さらに、水産業では漁業者の所得の向上と水産業の振興を目指しまして、漁業者などが専門家のアドバイスを得ながら新しい生産、加工、販路開拓に挑戦する仕組みを構築いたします。そのほか革新的なマリンバイオテクノロジーを活用した資源増殖技術の開発などの取り組みも進めてまいります。
 県としましては、第一次産業の一層の活性化を図るために生産基盤の強化などとともに農商工連携や革新的技術の活用により、生産性、収益性の向上、その向上に資する支援に重点的に取り組み、第一次産業の皆様が希望を持って生産活動に従事できるように全力で取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長から御答弁を申し上げます。
○副議長(落合愼悟君) 難波副知事。
       (副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) 茶の有機栽培拡大に向けた県の取り組みについてお答えをいたします。
 近年、海外では有機栽培茶の需要が拡大傾向にあり、県内でも有機JAS認証を取得し有機栽培に取り組む生産者が増加をしております。荒茶の取り引き価格も国内向けに比べて輸出向けの有機栽培茶は高水準で推移しており、県では生産者の収益確保につながるものとしてその輸出拡大に向けた取り組みへの支援を強化しているところであります。
 しかしながら、議員御指摘のとおり有機栽培には大きく二つの課題があります。
 一点目は、農薬等の使用に制限があるため病害虫対策や雑草対策に要する労働負担が大きいことです。
 二点目は、有機JAS認証の取得にかかる費用負担が大きいことです。これらが生産者にとって有機栽培への参入を阻む大きな課題となっています。
 このため、病害虫対策につきましては茶業研究センターを中心に茶樹の剪定の時期や刈り込みの深さを工夫することにより、炭そ病やハマキムシ類など茶樹に深刻な被害を及ぼす病害虫の発生を抑制する管理技術を開発したところです。今年度中に対策マニュアルを取りまとめ有機栽培を手がける生産者を中心に普及を図ってまいります。
 また、雑草対策につきましては国の研究機関などが蒸気を活用した除草技術の開発に取り組んでおりますが、県におきましてもこうした人海戦術に頼らない技術開発の可能性を検討しております。あわせて本県特有の茶草場農法で行っている畝の間へのススキ等の敷き込みが雑草抑制に効果があると考えられますことから、これらの検証を含め雑草対策の有効な手法を確立できるよう研究してまいります。
 次に、有機JAS認証取得費用についてでありますが、認証取得のためには茶園だけでなく荒茶加工施設についての取得が必要であり、生産者にとっては大きな負担となっております。このため県では平成二十九年度に独自の制度を創設したところでありますが、これらについてまだ十分な認知がされていないという問題もありますので、それについては丁寧に御説明を申し上げ利用の拡大を図っていただきたいというふうに思っております。
 こうした取り組みを続けまして、有機栽培の拡大に向けて全力で取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 芦川農林水産戦略監。
       (農林水産戦略監 芦川敏洋君登壇)
○農林水産戦略監(芦川敏洋君) 食肉センターの早期整備についてお答えいたします。
 本県畜産業の競争力強化のため、県は規模拡大や生産性向上への支援に取り組んでおりますが、県内で生産された牛と豚を安全で良質な食肉として県民の皆様に提供するためには食肉センターは重要な施設であります。あわせてTPP11や日EU・EPAの発効による貿易自由化に対応していくためには、食肉センターは欧米並みの高度な衛生管理基準が求められており、輸出対応仕様の施設を整えることが畜産振興に大きく寄与するものと考えます。
 こうした中で、県内に立地する二つの食肉センターは築四十年ほど経過し老朽化が進んでおりますことから、県は生産者団体や市町などで組織する協議会を設けJA静岡経済連が運営している小笠食肉センターの再編整備を前提に協議を進めてまいりました。今年度は、新しく整備し運営していくに当たっての収支計算や家畜の集出荷見通しなどの経営計画を検討してきたところであります。来年度は、県と経済連が連携してこうした経営計画の妥当性を検証するとともに、設計、工事を進める上で基本となる新しい食肉センターとして必要な機能や施設規模と工事の進め方の整備方針を取りまとめて基本計画を策定することとしております。
 県といたしましては、こうした取り組みを踏まえ県内で生産され加工された新鮮で安全安心な食肉を県民の皆様に安定供給できるよう、生産者団体や市町と十分連携を図り新しい食肉センターの早期整備に努めてまいります。
 次に、園芸作物の生産振興と基盤整備の強化についてのうち、園芸作物の生産振興についてであります。
 県は、マーケットインの視点で売れ筋の農産品を生産拡大していくこととし、園芸作物の分野におきましても需要が旺盛な果物や花卉などの生産振興に取り組んでおります。
 温室メロンの若手生産者に対する経営的支援についてでありますが、議員御指摘のとおり県内に多い温室メロン用のスリークオーター型のガラス温室は国の産地パワーアップ事業などの補助対象にならない状況であります。このため県では、本年度から施設園芸の規模拡大を支援する本県独自の助成制度を設けガラス温室の新増設も助成の対象としております。加えてICTを活用した栽培環境制御技術導入のためのセミナー開催や輸出を念頭に入れたマーケティングの面での支援など、意欲的な若手生産者を支えてまいります。
 また、花卉の生産振興と消費拡大の方策についてでありますが、輸入花卉に負けない競争力を強化するためガーベラやバラの生産者向けに施設内の温度や二酸化炭素などの環境を制御する機器の導入を支援し品質の向上と生産量の増加を図るとともに、生産者の研究グループの勉強会を通じて環境データなどを活用した新たな栽培技術を普及してまいります。あわせて本年春開催の「〜浜名湖花博十五年目の春〜浜名湖花フェスタ二〇一九」の準備のため、最新品種を使った寄せ植えづくりや県が育成したマーガレットを用いた庭園づくりのワークショップを展開し、多くの参加者に花を楽しむことへの関心を高めていただき県産花卉の消費拡大につなげてまいります。
 さらに、落葉果樹の産地支援策についてでありますが、果樹研究センターではキウイフルーツの新品種「静岡ゴールド」や低い樹高で作業能率を上げるための柿の台木用品種の育成など生産者の要望や消費者ニーズを踏まえた研究開発に取り組んでおります。本年度は落葉果樹の受粉効率を高める静電式受粉機を開発したところであり、今後は梨やキウイフルーツの県内各産地での実用化に向けて現地試験を実施することとし、こうした研究開発成果を生産者の皆様広くに活用していただくよう努めてまいります。
 県といたしましては、引き続き園芸作物の生産拡大や生産性向上につながる施策を展開し、全国に誇る園芸産地づくりを進めてまいります。
 次に、かんきつ樹園地の基盤整備の強化についてであります。
 本県のかんきつ生産は中山間地域における傾斜地での栽培が多く、今後従事者の高齢化とともに営農継続が難しくなる樹園地がふえることが懸念されますことから、かんきつ農業の持続的な発展に向けて意欲ある担い手への農地の集積・集約化とともに、営農作業の省力化や農産物の高品質化を支える基盤整備を効果的に進め経営体質を強化することが重要であります。これまでも三ケ日地区では、浜名湖北部用水を利用した広範囲にわたる畑地かんがい施設整備、清水地区では急傾斜樹園地の平坦化や大区画化を図る区画整理事業、沼津市西浦地区では収穫や運搬コストの低減をもたらす農道整備を実施するなど各産地の地形条件や営農特性に応じた基盤整備に取り組んでまいりました。今後も次代を担う若手農業者を中心とした担い手が収益性の高い農業経営が展開できるよう、こうした基盤整備を着実に進めるとともにかんきつの品質向上効果をもたらす点滴かんがい施設や自走式防除機のスピードスプレーヤーを導入可能とする園内道路網などきめ細やかな整備を進めてまいります。
 さらに、優良樹園地に隣接する谷あいの未利用地を活用したオーダーメード型の農地造成を普及し樹園地の集積・集約化を図ってまいります。
 県といたしましては、収量増や品質向上といった樹園地の生産性を高める基盤整備を担い手の方々の要望にスピード感を持って対応することにより、本県かんきつ農業の競争力を強化してまいります。
 次に、土地改良区の運営体制の強化についてであります。
 県内には計七十九の土地改良区が活動しており、その形態は国営や県営で整備した基幹的農業水利施設を譲与または委託を受けて維持管理する改良区や農地の区画整理、農道の整備を目的に設立し事業完了後に農道や用排水路等の施設を地元市町に移管し解散する改良区など、事業目的や規模の大小によりさまざまであります。このうち土地改良施設の継続的な維持管理を目的とする改良区は約八割ですが、専任事務員が一名以下で技術職員が不在など事務局体制が脆弱な改良区が約半数に及び、こうした改良区の運営体制の強化が重要な課題となっております。
 このため、県は土地改良区の合併や事務の統合に向けた調整を進めるとともに、財務会計に複式簿記を導入するための研修会開催や的確な資産評価、維持管理計画作成への支援などを行っているところであります。あわせて今般の土地改良法の一部改正は耕作者の意見が適切に反映される運営体制への移行を目指しており、この方向性のもと樹園地の高機能化や水田の汎用化などに取り組む改良区に対しまして、地域の産地戦略を支える基盤整備を中核的に担っていただくよう地元市町やJAと連携した土地改良区の事業推進体制の構築にも取り組んでまいります。
 県といたしましては、こうした取り組みを着実に積み重ねることで土地改良施設の適正な維持管理や新規基盤整備の円滑な推進を担う土地改良区の運営体制を強化し、地域農業の発展に努めてまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 小嶋警察本部長。
       (警察本部長 小嶋典明君登壇)
○警察本部長(小嶋典明君) 住宅街等生活道路の交通安全対策についてお答えいたします。
 企業の移転等に伴う交通渋滞対策につきましては、その道路交通環境の変化に応じ信号機の運用を随時見直しております。具体的には交通の流れを考慮した信号秒数の変更や信号交差点での停止回数をなるべく減らす信号制御の設定などを行い、スムーズな交通の流れの確保に努めているところであります。
 また、住宅街等の生活道路につきましては子供や高齢者などのいわゆる交通弱者の通行の安全が確保されるべき道路であることから、車両等の通過交通を可能な限り抑制するため区域内の速度抑制と通過交通排除に効果があるゾーン三〇の整備を推進しています。ゾーン三〇とは最高速度三十キロメートル毎時の区域規制を行うとともに、その区域における道路交通の実態に応じて一方通行や通学時間帯の通行禁止規制等を実施することや、道路管理者と連携して視覚効果の高い路面表示、車両の低速走行を促すための道路に設ける盛り上がりや狭窄といった物理的デバイスを設置することなどにより区域内における速度抑制や通過交通の抑制、排除を図るものであります。
 また、運転者への対策としましては子供や高齢者の保護を意識させる交通安全教育を推進しているほか、歩行者・自転車事故防止に効果が高い横断歩行者妨害や一時不停止等の指導取り締まりの強化と本年度導入した可搬式速度違反自動取締装置の効果的な運用により、生活道路、通学路における危険運転者の排除に努めているところであります。
 県警察といたしましては、今後も引き続き関係機関団体及び地域住民の方々とも連携して住宅街等生活道路における交通安全対策を進めてまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) これで鈴木利幸君の質問は終わりました。(拍手)
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会の議事日程を申し上げます。
 二月二十二日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会します。

お問い合わせ

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静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

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