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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成27年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

前林 孝一良 議員

質問分類

一般質問

質問日:

02/26/2015

会派名:

公明党静岡県議団


質疑・質問事項:

1 家康公顕彰四〇〇年と県文化施設の連携強化について        
2 越波式波力発電について                     
3 有害鳥獣として捕獲されたニホンジカ、イノシシの食肉利用について                            
4 大規模災害時における歯科医師との連携について          
5 定時制、通信制教育の充実について 


○副議長(伊藤育子君) これで東堂陽一君の質問は終わりました。
 次に、六十九番 前林孝一良君。
       (六十九番 前林孝一良君登壇 拍手)
○六十九番(前林孝一良君) 私は公明党静岡県議団の一員として、県政の当面する諸課題について知事、関係部長、教育長に一括質問方式で伺います。
 最初に、家康公顕彰四百年と県文化施設の連携強化について伺います。
 一月十七日、静岡浅間神社において寒風の中、徳川家康公顕彰四百年記念事業オープニングセレモニーが開催されました。このセレモニーには徳川宗家第十八代徳川恒孝氏を初め紀伊徳川家、水戸徳川家の御当主が御夫人同伴で参加をされておりました。第十五代将軍徳川慶喜公が政権を朝廷に返上してから約百五十年。明治に入り、俗に「菊は栄える 葵は枯れる」と歌われましたが、徳川家は決して枯れることなくその歴史を現代まで連綿として伝えている姿を目の当たりにして感無量でありました。
 さて、家康公は人質時代の十二年間を駿府で過ごし、その後浜松城に十七年間、五カ国大名時代の五年間、そして大御所時代の十年間と七十五年間の生涯の約六割を静岡県内で過ごしました。特に大御所時代の家康公は駿府城において江戸幕府の内政、外交を実質的に取り仕切り、戦乱の世であった日本を太平の世に転換し、朝鮮王朝を初め諸外国との平和な外交関係を構築いたしました。駿府城の家康公のもとには諸大名はもとより海外からの使節も訪れ、駿府は国際都市として繁栄しておりました。大御所時代はまた大御所文化の時代であり、駿府が一番輝いていた時代でありました。
 本年は、家康公の久能山東照宮鎮座四百年大祭という記念の年に当たり、家康公と縁の深い静岡市、浜松市、岡崎市などを会場として顕彰事業が官民連携のもと行われます。四月初旬に行われる第五十九回静岡まつりでは大御所家康公を再現した豪華けんらんな大御所花見行列をメーンとしたイベントが開催されますし、秋恒例の大道芸ワールドカップも家康公にちなんだ内容が企画されており、今から楽しみであります。この記念事業を契機として家康公と本県とのかかわりを国内外にアピールすることは本県の魅力を発信することにつながり、大きな意義のあることだと思います。情報発信に際しては、家康公だけでなく本県の他の文化資源との連携を図り相乗効果を狙うべきであります。
 本県には世界的に知名度が高いSPACがあります。SPACは昨年七月に世界の演劇人の目標と言われているフランスのアヴィニョン演劇祭に招聘され、日本人の演出家による作品を二十年ぶりに上演しました。また昨年九月にはSPACが指導している劇団静岡県史が舞台芸術公園の野外劇場でしずおか家康公ものがたりを公演し、大変好評でありました。
 また、県立美術館は有度山に所在する久能山東照宮や日本平動物園などと連携し、首都圏や近畿圏へのPR活動を行っており、芳賀徹館長は徳川みらい学会の会長としても活躍をしております。
 本年開催されるさまざまな記念事業を契機とし、家康公や歴史に関心のある人々が全国から、もしかしたら海外からも本県を訪れてくださることを期待しておりますが、そのためにはSPACの知名度を活用するとともに、県立美術館など文化施設が連携してアピールすることが必要であると考えます。県の所見を伺います。
 次に、越波式波力発電について伺います。
 エネルギーは県民生活や企業活動にとって欠くことのできない重要な基盤であり、小規模分散型のエネルギー体系の構築を進めていくことが求められています。静岡県では総合計画後期アクションプランにおいてエネルギーの地産地消を八つの重点取り組みの一つとして位置づけ、従来の大規模一極集中型から小規模分散型のエネルギー体系への転換によるエネルギーの地産地消を推進するとしています。このため地域の特色ある自然資源を活用したエネルギー等の導入を進めており、全国屈指の日照環境を生かした太陽光発電、太陽熱利用設備導入に対する支援や小水力発電の導入などに積極的に取り組んでいます。このような取り組みの結果、本県における新エネルギー等の導入率は平成二十五年末時点で七・八%と、総合計画に掲げる平成二十九年度に一〇%の目標達成に向け、太陽光発電が牽引する形ではありますが全体として着実に推移しております。
 このような中、静岡市内で産学が連携して進めている研究プロジェクトがあります。それは越波式波力発電事業です。越波式波力発電とは既設の防波堤などの岸壁に発電装置を取りつけ、海岸に押し寄せる波のエネルギーを利用して発電するシステムのことです。発電装置には波が上がりやすい傾斜をつけた横幅二十メートル、長方形の四枚の板を波に向かって垂直に設置。この傾斜板を乗り越えた波が下部の貯水槽に落下するときの水流で特殊水車を回し発電するという仕組みであります。
 この発電システムは、東海大学海洋学部の田中博通教授が考案、平成二十四年九月にNEDOの海洋エネルギー発電システム実証研究として採択され、発電装置の技術開発、設計などを民間企業三社が担当して東海大学海洋学部の実験施設で実験がスタート、研究が進められてきました。従来、波力発電は効率が低いと言われていましたが、発電効果が四六%という、他の波力発電の倍以上の成果を上げることができたと聞いております。岸壁に安いコストで設置できること、大型台風にも耐えられる強度があること、そして波がある限り二十四時間発電できることが大きな特徴であります。幅二十メートルの発電装置一台の出力は最大百キロワット。一般家庭約二百軒分の電力を賄えるということですが、海洋大国である我が国にとって注目すべきシステムであると考えます。
 実験施設での実証研究はこの三月で一応終了し、次は海域での実証実験を待つばかりという段階であります。
 静岡発の新エネルギー技術である越波式波力発電に対する県の所見を伺います。
 次に、有害鳥獣として捕獲されたニホンジカ、イノシシの食肉利用についてお聞きいたします。
 近年、野生鳥獣による農林産物被害は全国的な問題となっており、その被害額はおよそ百九十九億九百万円に上ると報告されています。本県においても野生鳥獣による農林産物被害は深刻で平成二十一年度には被害額は約七億円に上り、平成二十五年度においても四億円を超える被害額が報告されており、特にニホンジカとイノシシによる被害が際立っている状況にあります。またニホンジカの食害は農林産物にとどまらず希少な植物の消滅など自然植生にも大きな被害を与えるとともに、生態系にも影響を及ぼしています。
 このため、県や市町などでは管理捕獲や有害捕獲によりニホンジカとイノシシを主体とした捕獲を行い、その個体数の削減に取り組んでいます。この問題については先日自民改革会議の和田議員が、そして先ほど東堂議員が一般質問で取り上げたところであります。その捕獲数を見ると平成二十四年度ではニホンジカ七千百七頭、イノシシ七千五百四十一頭、平成二十五年度ではニホンジカ八千七百二十二頭、イノシシ五千四百七頭となっています。その捕獲個体のほとんどが埋設や焼却により処分されているということであり、私はこの状況を非常に残念に思っております。
 昨年、ジョン万次郎の生涯を描いた小説を読みました。伝統的な鯨漁を行っていた土佐では、鯨が一頭とれれば七つの村が潤うと言われ、捕獲した鯨をたんぱく源としてのみならず油、骨に至るまで有効活用しておりました。それに比較してアメリカの捕鯨船は、鯨を捕獲すると油をとった残りは全て海中に投棄するというある意味では合理的な、しかし残酷な扱いをしておりました。ここに動物に対する文化の違いがあると私は思います。
 ことし二月六日に、第一回日本ジビエサミットが鳥取市で開催され、有害捕獲されたニホンジカやイノシシを食用に活用する動きを加速させようと全国の地方自治体や飲食業、食肉処理業の関係者約三百四十人が集まりました。ジビエとは狩猟で捕獲した野生鳥獣の肉を意味するフランス語です。近年野生鳥獣を利用活用するジビエ料理に注目が集まるようになり、国においても公明党の谷合正明参議院議員の提案により昨年十一月に獣肉――けもの肉ですね、獣肉の衛生管理に関する指針が策定され、ハンターや獣肉処理施設の責務が明確になりジビエ普及への道筋がついたところです。
 先日、静岡市中心部にジビエ料理を提供するレストランがオープンいたしました。オーナーシェフは富士宮市在住で、みずからしとめたキジやカモ、ニホンジカの獣肉と地元の生産者が丹精込めて育てた野菜を使い、フレンチを中心とした料理を提供しています。こだわりは食材の地産地消と旬のピークということで、オープンして二カ月、客の入りはまずまずだそうです。また藤枝市にはニホンジカの肉を利用し商品開発に取り組んでいる店が開店をいたしました。新商品はウインナーとベーコンで低カロリーであっさりした味わいが特徴だそうです。ジビエ料理は着実に普及しつつあるように感じています。
 野生であるがゆえに捕獲した個体の利活用には難しい課題もあると聞いておりますが、鳥獣の命を無駄にせず食肉として利用するなど自然の恵みとして享受することこそ日本人の食文化であると私は考えます。
 ニホンジカ、イノシシの食肉としての利用促進への取り組みについて、県の所見を伺います。
 大規模災害時における歯科医師との連携について伺います。
 間もなく四年目の三・一一を迎えます。改めて東日本大震災で犠牲になられた方々の御冥福を祈らせていただきます。東日本大震災では地震や津波により一万五千人を超える方々が亡くなりました。まだ行方のわからない方も約二千六百人あり、現在も身元の確認できない御遺体もあります。通常、遺体の身元確認は遺族による遺体や所持品の確認で行われますが、東日本大震災では遺体が損傷している上決め手となる所持品がない事例がたくさんありました。
 この場合、個人を特定できる生体特徴として歯科所見――歯の特徴、そして指掌紋――指紋や手のひら、DNA型などがあります。東日本大震災における身元確認の照合率は歯科所見が七・〇%、指掌紋が二・五%、DNA型が〇・七%だったということです。歯は死後変化の影響を受けにくく、個人識別において歯科所見の果たす役割が極めて重要であることが証明されました。
 東日本大震災では岩手県、宮城県及び福島県で延べ千六百人の派遣歯科医師が地元の歯科医師とともに生前情報と死後情報の照合・鑑定作業を行いました。しかし歯科医療機関が所有するカルテやエックス線写真などが津波で流出したため、情報を収集する作業と収集した情報をパソコンへ入力する作業は困難をきわめたということです。本県で想定されている大規模災害では相当な作業が必要になることが予想されます。しかしこの問題は今まで余り考慮されなかった部分であり、歯科医師の協力を最大限受けられるよう早急な取り組みが必要になると考えます。
 被災により歯科所見が失われる危険性を回避するためには、平時より各歯科医療機関が所有する歯科所見をデータベース化することが考えられますが、フォーマットの統一化などの課題がありまだ実現には時間がかかりそうな状況です。しかし遺体の身元確認については発災後の対応として不可欠なものであります。これは県が直接行うことではありませんが、歯科医師会の協力を得て現場で少しでも円滑な対応ができるように県としても取り組みが必要と考えます。
 大規模災害時における歯科医師との連携について、県の所見を伺います。
 最後に、定時制・通信制教育の充実について教育長にお聞きいたします。
 定時制・通信制の課程は、昭和二十三年発足当時は勤労青少年に対して高等学校教育を受ける機会を与える制度でした。しかしその後も社会の変化に伴い不登校経験者、外国人生徒、そして全日制課程の中途退学者が学ぶようになっております。また近年では、このような生徒に加え特別な支援を必要とする生徒が増加していると聞いております。定時制・通信制の高等学校においては、このような多様な学習歴を持つ生徒の多様な学習ニーズにきめ細かく対応することが必要とされます。全ての生徒が共通に身につけるべき資質能力の育成も求められており、定時制・通信制教育の果たす役割は一層重要になると感じております。
 静岡中央高校通信制課程で頑張っている生徒さんを支援している方のお声をもとに、私は平成十六年二月定例会においてきめ細やかな教育的配慮を必要とする通信制課程の生徒たちを大切に育てていただきたいと一層の支援をお願いいたしました。当時の鈴木善彦教育長からは、法律によって定められている標準教員数を超える教員を配置するとともに、レポートの添削指導やスクーリング指導をよりきめ細かく行うための非常勤講師を充てるなど生徒の学習指導の充実に努めている、また生徒の相談に応じやすいように留意するなど心のケア等にも留意して、通信制教育の一層の充実を図っていくとの答弁がありました。
 それから十一年がたちました。私は本県の定時制・通信制教育は、さきの教育長答弁に示された方針のもとに充実した内容で運営されているものと信じておりましたが、昨年十月十六日に文部科学省が公表した平成二十五年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査を目にしてショックを覚えました。
 静岡県の高等学校定時制の不登校生徒数七百三十七人、これは全生徒数の二二・一%に当たります。前年比プラス百十人、四・五二ポイント増です。全国平均が一七・三%ですから四・八ポイント高いことになります。また退学者は定時制三百八十八人で退学率一一・六%。通信制は二百五十二人で退学率一四・五%。特に通信制の退学者の全国平均は五・一%ですから本県の通信制の生徒の退学率がいかに高いかがわかります。教育長はこの実態を御存じなのでしょうか。まず伺います。
 退学者の約半数が学業不振、学校生活・学業不適応等を理由に挙げております。さきに述べましたように定時制・通信制に学ぶ生徒は多様化しており、全日制の生徒以上にきめ細やかな支援が必要とされます。自学自習、レポート作成が通信制の基本ですが、この世代が最も不得意としているのがこの分野です。本を読まない、自分の頭で考えない、自分の言葉で表現できない、そんな風潮の中で通信制に学ぶ生徒たちに求められている理想像は余りに高いと言わざるを得ません。苦労して提出したレポートに加えられた赤ペンの一言が生徒を激励することにもなるし、また絶望につながることにもなります。
 定時制・通信制にこそ、すぐれた教育力を備えた教師が必要であります。またカウンセリングマインドに富んだ人間味あふれる教師が必要です。また行き詰まった生徒をいち早く発見し、的確な助言を与えるカウンセラーが常駐すべきと私は考えます。
 現在、静岡中央高等学校の通信制課程には十五歳から八十二歳までの生徒が千五百九十一人在籍しております。また来年度、定時制課程で学びたいと進学を希望している生徒は現在のところ千二十六人に上っております。私は前向きな生き方を求めていらっしゃるこれらの方々に心からエールを送りたいと思いますし、教育委員会として定時制・通信制教育の置かれた現状を一刻も早く改善していただきたいと思うものでありますが、教育長の所見を伺います。以上について答弁を求めます。(拍手)
○副議長(伊藤育子君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 前林議員にお答えいたします。
 家康公顕彰四百年と県文化施設の連携強化についてであります。
 ことしは家康公薨去四百年目に当たるということで、県を挙げまして年間を通じさまざまなイベントがめじろ押しでございます。県の施設、議員御指摘のSPACでは、既に昨年県民劇団SPACによります「しずおか徳川家康公ものがたり」の公演を成功裏に終えられました。またSPACは、ことしの五月、家康公の居城駿府城公園を会場にアヴィニョン演劇祭に招聘され大喝采を博した「マハーバーラタ〜ナラ王の冒険〜」の公演を、いわば凱旋公演を三日間にわたって行うことになっております。さらに県有施設のグランシップにおきましては、高松宮妃喜久子様が御成婚の際に徳川家からお持ちになられました京びなを高松宮妃のおひなさま展として御披露を申し上げる次第でございます。高松宮妃は徳川慶喜公の孫に当たられまして、今から八十年ほど前の昭和五年二月四日に御成婚の際にお持ちになった、その京びなの展示を行うというものでございます。
 また、県立美術館におきましては、これは来年になりますけれども県立美術館がちょうど開館三十周年を迎えるということもございまして、ディスカバー徳川日本としての特別展の開催も計画されております。この県立美術館の館長の芳賀徹先生は日本を代表する学者であり文化人でございますが、同時に、二年前に設立されました徳川みらい学会の会長でもあります。学会といいますと何となくかた苦しい感じがありますけれども、静岡県の有名なやきそば学会と。ややこれは遊びの要素がありますけれども、なかなかにいい命名ではないかと思いますが、このみらい学会は学者も入っておりますし、また民間の財界の方たち、さまざまな方たちが入っておられるという意味では開かれた学会でございます。私はこうした学会が、今この二年近くの間、大いに活躍されていることを大変喜ばしく存じます。
 家康公の薨去四百年としての節目をしっかりとお祝いすると。記念行事を無事こなすということも大切でございますけれども、あわせて徳川時代、一六〇三年から一八六八年のこの時代が、ほぼその大半が平和であったということに思いをいたし、この徳川みらい学というものを静岡県の誇る自生的な学問と、みずから育つ学問として育てていくということも大切ではないかと。言いかえますと自分たちの先人に学ぶということでございます。
 何といいましても、戦乱の世を平和に変えました徳川の平和――パクス・トクガワーナというふうに言われて、これはそのままアルファベットに直せますので、パクス・トクガワーナと言えば、すぐ多くの方々はパクス・アメリカーナ――アメリカの平和、パクス・ブリタニカ――イギリスの平和、パクス・ロマーナ――ローマの平和というものを連想することができます。これらは武力による世界秩序でございました。武力によって支えられた秩序でございました。一方、パクス・トクガワーナというのは先端の技術であった、武器であった鉄砲を、これを花火にかえるような、文化財に変えたということがあります。さらにまた日本全体として海外に侵略をしない、言いかえますと究極の循環型社会であったという面もございます。
 さらに、家康公は朝鮮王国、さらにまた、うまくいきませんでしたけれども明との通商もなさろうとされました。また三浦按針のようにイギリス人を顧問とし、最終的にはこれはオランダとの通商ということになりました。こうした対外関係を模索された方でもあります。
 加えて、学問を大切にされたということがやはり大事であると思います。しかも特定の学問を強制するというのではなくて、御自身も、さまざまな学者、例えば天海ですと天台宗です。あるいは承兌だとか崇伝というような方は、これは禅宗でございますし、また御幼少のころには臨済寺で外交ほか日本の仏教を深く学ばれたということです。
 そして、静岡県を初め日本全体にさまざまな分野の学者が出てくることの環境をつくられたと思います。そこには神道も、いわゆる講学もさまざまなものがあった。それは自由に研究できたということがとても大事だというふうに思うのであります。やがてこれは寛政異学の禁のように少し窮屈にはなってまいりますけれども、こうしたところにも学ぶものがあるということで、このことしの徳川四百年祭をことし限りのものにするのではなくて、これから少なくとも徳川時代、二百数十年間ありましたのでそうしたものをもう一度、日本ルネサンスは実は吉田松陰に学ぶということではなくて、吉田松陰を生むような、吉田松陰それ自体が佐久間象山に学んでおります。あるいは江川太郎左衛門もそのようです。ですからそのような全ての人たちを生んだ、そういう静岡県の元になったこの偉人に学び遺徳をしのぶと。二百年間以上続けるつもりでやるということが、真のこの徳川家康公の遺徳に報いることではないかというふうに思う次第であります。
 そういう意味で、ぜひ前林先生にもみらい学会にお入りいただきたいというふうに思う次第でございます。今後とも家康公顕彰四百年の関連事業と県の文化施設との連携を積極的に図りつつ、家康公にゆかりの深い本県の魅力を国内外に情報発信し平和をつくる。パクス・トクガワーナに学び平和をつくっていくのだという決意を新たに、国内外から憧れを呼ぶふじのくにづくりの実現を目指してまいります。
 次に、有害鳥獣として捕獲されたニホンジカ、イノシシの食肉利用についてであります。
 有害鳥獣として捕獲された野生動物の肉を食肉として利用するためには、捕獲から処理施設への搬入、加工処理、保管までの作業を適切に行った安全な食肉として供給することが必要です。
 このため、国に先駆けて本県独自で策定いたしました野生動物肉の衛生及び品質確保に関するガイドラインに基づいた施設として、県が整備を支援した伊豆市の食肉加工施設イズシカ問屋のほか八つの施設でニホンジカやイノシシが食肉として処理されております。食肉として処理されたニホンジカやイノシシの肉がレストランや宿泊施設、御家庭などにおいて食材として広く利用されることは、議員御指摘のとおり自然の恵みを享受することのみならず地域振興にもつながるものです。
 このため、県では獣肉を県民の皆様に身近な食材として知っていただき利用が促進されるよう、食の都仕事人が作成したレシピをホームページで紹介するほか、昨年十二月には仕事人と連携し二十を超える店でジビエ料理を提供したところであります。
 今後も、ガイドラインに基づく安全な食肉の提供を事業者等に指導するほか獣肉の食肉利用に関する情報を県民の皆様に提供し、鳥獣被害の軽減につなげてまいります。
 と、御答弁した上で申し上げるわけですが、議員がジョン万次郎の鯨に対する日本人の態度について、特にアメリカとの比較で御紹介をいただきました。この土佐のみならず和歌山、あるいは有名なところでは山口県でも鯨をとって食したわけですが、鯨については位牌もあります。お墓もあります。そして山口県の生んだ金子みすゞという、わずか二十数歳で夭折した金子みすゞに、鯨法会という詩がございます。ちょっと御紹介しますと鯨の法会ですね。法要です。鯨法会は春の暮れ、海にトビウオとれるころ、村の漁師が羽織着て、浜のお寺へ急ぐとき、沖で鯨の子が一人、寺の鐘を聞きながら、死んだ父様、母様を、恋し、恋しと泣いてますと。こういう、鯨をいただきながら、ありがたく本当にありがとうと。しかしそのお父様、お母様を失った鯨の子を悼むそういう心情を日本人は持っていると思います。
 ちなみに、大漁という詩もございますが、これは何万匹という大量のイワシがとれたと。そうすると海の中では何万ものイワシの弔いが今行われているというふうな歌もございます。
 ですから、日本は平安時代以来、鳥獣戯画にもございますように、けものを人のように扱うといいますか、そのような魂の連続を持つものとして認めてきたということを忘れてはならないと。草木国土悉皆成仏であるというふうに思う次第で、そうした国土の統合のシンボルが富士山でございますので、私どもはこの鳥獣などとすみ分けをしながら、しかしながら人間のさがとしてそれをいただくときには感謝の気持ちを持っていただくという気持ちを忘れてはならないというふうに思う次第でございます。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
○副議長(伊藤育子君) 白井企画広報部長。
       (企画広報部長 白井 滿君登壇)
○企画広報部長(白井 滿君) 越波式波力発電についてお答えをいたします。
 四方を海に囲まれた我が国において、豊富にある海洋再生可能エネルギーはまだまだ未開発で、新たな産業の創出に結びつく可能性の高い分野であります。厳しい気象、海象条件の中で安全に稼働する設備の信頼性の向上、発電コストの低減等の技術的課題の克服や、導入に適した海域の確保が急がれております。
 海洋再生可能エネルギーのうち、議員から御紹介のありました越波式波力発電の県内の状況でありますが、民間事業者がNEDO――独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の助成を受けながら、東海大学や県、漁業協同組合等から成る越波式波力発電実証試験推進委員会を設置をいたしまして、海域での実証試験に向けた検討などを行っております。
 一方、海域での実証試験に当たりましては、漁業関係者等の海域利用者との調整や港湾機能への影響などの課題も残されております。今後これらの課題が解決され海域での実証試験が成功しますれば、静岡発の新エネルギー技術として確立するものと考えております。
 県といたしましては、導入可能性のある海域沿岸の市町や海域利用者等に対しまして、越波式波力発電の重要性や経済効果等についての理解促進に推進委員会と連携して取り組むなど導入を支援してまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 岩田危機管理監。
       (危機管理監 岩田孝仁君登壇)
○危機管理監(岩田孝仁君) 大規模災害時における歯科医師との連携についてお答えいたします。
 東日本大震災では、津波で流され居住地から離れた場所で発見されたり所持品を失われた犠牲者が多数に及び、身元の特定において歯科医師が果たした役割は大きかったと認識しております。
 本県では、検視や身元確認を行う警察本部が県歯科医師会と東海地震などの災害時等における歯科医師の協力に関する覚書を平成八年に交わしており、市町においても例えば本年度賀茂地域で行いました総合防災訓練におきまして、遺体収容所の運営を地元の歯科医師会の協力を得て警察と共同で実施するなどこれまでも連携確保に努めてきたところであります。歯科の診療記録がデータベース化されれば犠牲者の身元の特定に大変役立つものと思われますので、現在国が進めている歯科診療情報の標準化の早期実現に期待するところであります。
 県といたしましては、大規模災害時において犠牲者の身元の特定が少しでも円滑に行われるよう、引き続き歯科医師との連携について市町に積極的に働きかけてまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 安倍教育長。
       (教育長 安倍 徹君登壇)
○教育長(安倍 徹君) 定時制・通信制教育の充実についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、定時制・通信制の高校では不登校生徒や中途退学者の数が多いことが課題であると認識をしており、多様な学習歴を持つ生徒の心身や生活環境の状況に合わせより一層きめ細やかな学習指導、生徒指導などを行っていくことが重要であると考えております。
 各学校におきましては、基礎学力の定着に加え社会人としての実践的な能力を育成するため独自の科目を設定するなど生徒の実態を踏まえた教育を実践しております。また定時制の高校では来年度新たに外部人材を活用した補習等のための学習支援を行う予定であり、通信制の高校におきましては本年度からスクーリング以外に学習支援日を設定し学習進度に応じた個別支援を行っております。
 さらに、生徒の心の健康やいじめ、不登校等に対する相談体制の充実を図るため定時制・通信制の高校に重点的にスクールカウンセラーを配置しており、また発達障害などにより学習や人間関係等に問題を抱える生徒を支援するため、コミュニケーションスキル講座を静岡中央高校など県内四カ所で実施をしております。
 今後とも、このような取り組みを着実に実施していくことにより、定時制・通信制の高校の生徒が有意義な高校生活を送り、将来自立した、たくましい社会人に成長できるよう学習面、生活面の両面から支援体制の充実に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 六十九番 前林孝一良君。
       (六十九番 前林孝一良君登壇)
○六十九番(前林孝一良君) それぞれ御答弁ありがとうございました。
 まず、越波式波力発電についてでございますけれども、これは公明党としても非常に注目している取り組みでございます。今、部長のほうから今は産学連携で行っている事業ですけれども、県としてもしっかり支援していくというお言葉をいただきました。ありがとうございます。さらなる積極的な支援をお願いをいたします。要望でございます。
 教育長のほうから定時制・通信制教育の充実についてお言葉を賜わりましたけれども、やはりこれは数字が全てを物語っておりますので、ぜひ効果のある取り組みとして取り組んでいただきたいと思いますのでよろしくお願いします。
 加えて再質問をさせていただきますが、先日新聞に発達障害のある通信制生徒に自宅を開放してレポート作成のサポートをしているという方の声が掲載をされておりました。発達障害がありながら高校卒業を目指している生徒がいるということを知ってほしい、そして行政はしっかり応援してほしいと結んでおりました。発達障害に関しては十分な理解のある教員の配置が必要と私は考えますけれども、教育長の御所見を求めます。
○副議長(伊藤育子君) 安倍教育長。
○教育長(安倍 徹君) 定時制・通信制教育の充実についての再質問にお答えいたします。
 発達障害のある生徒への対応につきましては、御案内のとおり定時制・通信制のみならず全日制の課程においても今日的に大きな課題であるというふうに考えております。そういう中で県の教育委員会では、高等学校の特別支援教育の体制研究事業ということで県内の幾つかの地域で臨床心理士であります学校支援アドバイザーを招聘して教員の資質向上を図るという取り組みを中学校や、あるいは特別支援学校と連携しながら取り組んでいるところであります。
 また、全ての公立高校には特別支援教育コーディネーターも配置をしておりますので、このような体制の中で研修を進めることにより教員の資質向上をより高めていきたいなというふうに思っております。
 そういう中で、先ほど申しましたように、通信制の高校だけではなくて全ての高等学校におきまして子供たち一人一人の実態に応じた指導を行っていければというふうに思っております。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) これで前林孝一良君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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