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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成28年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

曳田 卓 議員

質問分類

一般質問

質問日:

09/29/2016

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 熊本地震を踏まえた避難所の運営について
2 伊豆半島ジオパークの推進について
3 先端農業推進プロジェクトについて
4 中小企業支援のあり方について
5 静岡県を支えるものづくり人材の育成について
6 交差点における交通安全対策について


○副議長(藪田宏行君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、三十番 曳田 卓君。
       (三十番 曳田 卓君登壇 拍手)
○三十番(曳田 卓君) 質問に先立ち、先ほどの熊本地震で亡くなられた方の御冥福と、それから被災された方に一日も早い回復を御祈念申し上げます。
 私はふじのくに県民クラブの所属議員として県政の諸課題について通告に従い、知事、副知事並びに関係部局長及び警察本部長に一括質問方式にて質問をいたします。
 初めに、熊本地震を踏まえた避難所の運営について伺います。
 大規模な災害では数多くの方が避難生活を余儀なくされます。避難者数は平成七年の阪神・淡路大震災では約三十一万人、東日本大震災では約四十七万人となっています。また避難生活の期間では阪神・淡路大震災で避難所の閉鎖までに約六カ月、東日本大震災では岩手県では七カ月、宮城県では九カ月を要しており、半年以上の期間で避難生活が続いています。
 避難所は、災害によって自宅が被害を受け、また受けるおそれがあるためやむを得ず自宅で生活することができない被災者等に対し市町村が応急的に確保する場所です。このため避難所にはまず地震後にも使用するため耐震性が確保される必要があります。耐震性の確保では、県内では主に避難所として使用される公立小学校、中学校は耐震化率が平成二十七年四月一日現在で九九・七%と進んでいます。
 しかし、避難所が半年以上の期間で使用されることを考えると避難生活の質の確保にも配慮が必要と考えます。水や食料、毛布などの物資に加えトイレの確保など命をつなぐために必要なものの確保は当然のことです。加えて避難所では多くの方が狭い空間にいなければならなくなりますことから、プライバシーの確保や感染症の防止などの衛生環境の維持、暑さや寒さの対策など避難所の環境を確保する必要があります。
 また、これらについては画一的に対応すればよいものではなく、避難者には高齢の方や女性、妊産婦、子供などもいることからこうした方々への配慮も必要となります。これまでの災害では、トイレ環境がよくなかったため高齢者が水を飲むのを控えた結果体調を崩すことや女性が着がえをしたり乳児への授乳スペースがなく困ったこと、また小さな子供が泣いたりして親が周囲に気を使わなければならなかったことなど避難所においてはさまざまな問題が発生しています。また避難所以外で避難される避難者もいることからこうした方々への対応も求められます。
 本年四月に発生した熊本地震は活断層による直下型の地震でその規模は本震でマグニチュード七・三でありました。これに対し本県で想定している南海トラフ地震は海溝型で最大の場合マグニチュード九と大きく異なります。この点で熊本地震と本県の地震対策とは直接比較することはできない面もあろうかと思います。が、避難所の運営においてこれまでの災害を踏まえ本県として学ぶことは多々あろうかと思います。
 そこで、県としてはこの避難所の運営をどのように考えているかを伺います。
 次に、伊豆半島ジオパークの推進について伺います。
 今月の九日、日本ジオパーク委員会において、領域を拡大して新たに神奈川県の箱根、青森県の下北、秋田県、山形県にまたがる鳥海山、茨城県の筑波山地域、群馬県の浅間山北麓の五地域が日本ジオパークとして認定され、伊豆半島も含め日本ジオパークは四十三地域となりました。そのうち八地域は世界ジオパークにも選定され世界の扉を開いたわけでありますが、我が伊豆半島ジオパークにつきましては昨年度兵庫県と鳥取県を中心に開催された第四回アジア太平洋ジオパークネットワーク山陰海岸シンポジウムにおいて世界ジオパークネットワークへの加盟は保留となり、まことに残念な結果となってしまいました。
 その後も各地では、認定に向けたさまざまな取り組みを進めているところであり、私の住む沼津市においても来月十日から「プラサ ヴェルデ」で開催される日本ジオパーク伊豆半島大会に彩りを添えるため、前夜祭と銘打って伊豆の地ビールなどを楽しんでもらう伊豆オクトーバーフェストを「キラメッセぬまづ」において開催します。この前夜祭を通じて日本全国のジオパーク構成市町村の関係者、学術関係者、ジオガイドの皆様をもてなすほか、地域の皆様には大会を周知するとともに伊豆半島ジオパークの世界認定に向けてさらなる機運醸成が図られるものと期待しております。さらにはオクトーバーフェストが地元に定着し、期間、規模を拡大しながら息の長い取り組みとなるよう切望しているところであります。
 さて、知事は、加盟の保留が決まった直後の平成二十七年九月定例会において、伊豆半島ジオパークの世界ジオパークネットワーク加盟は先送りになりました、まことにもって残念でございました、今回の結果を伊豆半島が一つとなって発展するためのいわば産みの苦しみであると捉え返しまして地元の皆様とともに再チャレンジをしてまいりたいと考えていますとの答弁がありました。この間に世界ジオパークは昨年十一月に開催されたユネスコの総会でユネスコの正式事業に採用され、ユネスコグローバルジオパークと新たな装いとなりました。
 伊豆地域においては、捲土重来を期し新たなストーリーやテーマの掘り起こし、地域の一体感の醸成などを図ってまいりましたが、気がかりなのはユネスコグローバルジオパークとしては初めての申請になることであります。伊豆半島ジオパークのユネスコグローバルジオパーク認定は地域の悲願です。今度こそ世界の仲間入りをしたいと願ってやみません。今まさに最終コーナーの局面であり取り組みに当たっては万全を期す必要があります。
 そこで、ユネスコグローバルジオパーク認定に向けどのように進めていくのか、意気込みも含め、県の所見を伺います。
 次に、先端農業推進プロジェクトについて伺います。
 本県の農業は、これまでチャレンジ精神あふれる経営体の育成、農地中間管理機構を活用した農地集積、非農家出身の新規就農者の支援、六次産業化やブランド化の推進など各種政策を展開しビジネス経営体を核とした農業構造の構築に取り組んでまいりました。その結果平成二十六年度にはビジネス経営体の販売額シェアが二五%に及ぶなど一定の成果を上げていると認識しております。しかし静岡県の農業産出額は昭和五十六年の三千四百億円をピークに平成二十一年までこの三十年間減少の一途をたどってまいりました。近年はお茶の減少が続く一方で野菜や畜産などがやや増加しており二千百億円程度で堅調に推移しておりますが、かつてのような力強さが影を潜めております。
 そして国では、雇用や所得環境が改善する中で新興国の経済に陰りが見えるなど世界経済の低迷や成長の減速のリスクが懸念されていることから、内需を下支えするとともに少子高齢化社会を乗り越えるため潜在成長力を向上させる構造改革を進めていくこととして、平成二十八年八月に未来への投資を実現する経済対策を閣議決定いたしました。この中で民需主導の持続的な経済成長と一億総活躍社会の着実な実現につながる施策を中心に未来への投資の加速を目的とする総合的かつ大胆な経済対策を講ずることとしております。特に農林水産業に関しては農は国の基であり地方が誇る魅力の源であることとし、環太平洋パートナーシップ――TPP協定の発効を見据えて農林水産物の輸出促進と農林水産業の競争力強化を打ち出し攻めの農林水産業の実現に向けたイノベーションなどを進めることとしたところです。
 そして本県においては、農業経営体は小規模な農家を中心に減少する一方で大規模な農家や農業法人が着実に増加するなど経営力が高まりつつあります。また多彩で高品質な農芸品ともいえる農産物が数多く生産されているほか、果物では全国で初めて機能性表示食品として届け出が受理された三ケ日ミカン、二十年以上にわたりお茶の輸出に取り組み農林水産祭天皇賞を受賞した茶の農業生産法人など商品力、販売力の高いことも本県の強みであります。こうした強みを生かすとともに、これまでの施策に加え技術力や生産力を向上させるといった農業に革新をもたらす新たな展開が必要であると考えます。
 県は、私の地元であります沼津市にある東海大学の旧開発工学部校舎を改修し農業の生産性革新に取り組むための農業版オープンイノベーションの拠点を整備することとしていますが、この拠点の整備内容や今後の先端農業推進プロジェクトの取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、中小企業支援のあり方についてお伺いをいたします。
 本県は、人口減少、高齢化、国内外の競争の激化、地域経済の低迷等の構造変化に直面しており、地域の経済・雇用に大きな影響をもたらしています。こうした諸課題を克服し地方創生を図る美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生総合戦略では、誰もが活躍できる安定した雇用を創出する取り組みとして産官学金の連携による産業成長戦略を推進し次世代産業の創出を進めるとともに、経済活動の影響を受けにくい多極的な産業構造への転換や成長産業分野への地域企業の参入促進、六次産業化の推進など産業の振興と雇用の創出を図ることとしております。
 具体的には、医療健康産業、食品関連産業、光・電子技術関連産業といった静岡新産業集積クラスターの推進に加え、産業戦略推進センターオープンイノベーション静岡における本県経済を牽引する可能性のある企業への集中的な支援、さらには次世代自動車、航空宇宙産業、医療・福祉機器、ロボット、環境、光など成長産業分野への参入支援、産学官のネットワークによるCNF製品の開発支援があります。さらには金融機関との連携によるベンチャー企業の起業や事業化の促進、ものづくり革新インストラクターによる中小企業の生産性向上の支援などが主な施策として位置づけられ、官民が一体となって産業成長戦略の着実な推進に取り組んでいるとのことであります。
 しかしながら、こうした企業支援の視点については海外で戦えるグローバル企業や資本力のある企業が中心であり、中小企業に対する支援の内容が見えにくくなっております。本県の九九・八%を占める中小企業は地域の特色を生かした事業活動を行い、就業の機会を提供することにより地元の需要に応え雇用を担うなど地域経済の安定と地域住民の生活の向上、交流の促進に寄与する極めて重要な存在です。そのため中小企業がその活力を最大限に発揮し成長発展するのみならず、事業を持続し地域を支え続けることが経済の好循環を生み出すために必要不可欠と考えます。
 こうした状況を踏まえ平成二十六年に成立した小規模企業振興基本法では、まさに地域で雇用を維持して頑張る小規模事業者を正面から支援したいとの考え方のもと、成長発展のみならず事業規模や売り上げの拡大に限らず技術、ノウハウの維持向上、安定的な雇用の維持といった事業の充実を図る持続的発展が基本原則として位置づけられました。
 本県においても、小規模企業を含めた中小企業が産業構造の基盤をなし、企業家精神発揮の場として、あるいは消費者に密着した商品、サービスの提供を通じて経済の活力の基礎になっていることを考慮しますと、その経営の改善発達は緊急の課題となっております。中小企業、小規模企業は新産業の創出や社運を左右するようなイノベーションより地道な支援を望んでいます。
 このような声を受けてどのように取り組んでいくのか、県の所見を伺います。
 次に、静岡県を支えるものづくりの人材の育成について伺います。
 本県の製造業は、平成二十六年の工業統計調査によれば全国順位が製造品出荷額が四位、事業所数が五位、従業者数が三位となるなど全国でも有数のものづくり県となっています。一方で少子高齢化と人口減少社会が進む中、国立社会保障・人口問題研究所は、本県の十五歳から六十四歳までの生産年齢人口が平成二十二年に二百三十五万人余であったものが平成四十二年には百八十八万人余になりこの二十年間で約四十七万人減少すると推計しており、ものづくりを支える人材の減少が危惧されています。
 しかし、人工知能、ロボット、IoTなどの技術革新はものづくりの現場にも大きな変化をもたらし、これまで人が携わってきた仕事がなくなったり逆にこれまでなかった仕事が生まれることも想定され、これに伴いものづくり人材に求められる知識や技能も変化をしていくと考えられます。このような状況の中で本県のものづくり産業が今後も成長を続けていくためには、働く方一人一人の能力を高め生産性を向上させていくなど人材の育成が最も重要であると考えます。
 人材の育成については、企業もその重要性を十分認識しみずからの努力によりさまざまな取り組みを行っておりますが、地域産業の中核的な役割を担っている中小企業の中には教育訓練を行う指導者が不足していたり人材育成に時間と費用をかける余力がないところも少なくないと聞いております。
 県では、私の地元の沼津技術専門校を初め県内三カ所の技術専門校で若年層や離職者のほか企業に在職している方の職業訓練を実施し企業の人材育成への支援を行っていることは承知はしておりますが、今後はさらに新技術への対応など新たな訓練ニーズに的確に対応し新分野への進出や新製品の開発に挑戦する企業を支援していくことが求められていると考えます。これらのニーズに対応するためには技術専門校と企業との連携をより一層強化することが重要であるとともに、職業訓練に関するさまざまなノウハウを蓄積している国のポリテクセンターと連携を図り企業の人材育成を支援していく体制を構築していくことが必要であると考えます。
 そこで、県として企業からの多様な訓練ニーズに対応しものづくりの人材を育成するためにどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、交差点における交通安全対策について伺います。
 本県では、本年から平成三十二年までの五年間の交通事故抑止対策として、第十次静岡県交通安全計画に掲げた平成三十二年末までに年間死者数を百人以下、人身事故発生件数を三万件以下の目標達成に向け道路交通環境の整備、交通安全思想の普及徹底、道路交通秩序の維持などさまざまな諸対策を強力に推進していると伺っております。
 このような中、本年八月末現在県内における交通事故による死者数は八十一人で前年から十七人の減少を見ています。また件数、負傷者数ともに同様の傾向にあるとのことでありまして、県警察を初め交通事故防止対策に取り組まれております関係機関、団体の皆様の不断の御努力により悲惨な交通事故が減少しているものと認識しております。
 さて、本県を初め全国の警察におきましては、交差点を横断中の歩行者が右左折する車両にはねられる歩行者事故の発生が後を絶たないことから、その対策の大きな柱の一つとして歩行者と車両の通行を物理的に分離する歩車分離式信号機の整備を進めていると聞き及んでいます。交通事故の件数が年々減少傾向にある中、本県の昨年中の信号交差点における歩行者事故の発生実態を見ますと、歩行者に法令の違反が認められない交通事故の発生が九割を占めていること、また事故件数においては前年比増加している現状を見ますと、歩行者事故防止をする上で歩車分離式信号機の必要性は極めて高く歩車分離式信号機の早期整備が望まれているところでございます。
 しかし、他県においては、この歩車分離式信号機の導入により歩行者の安全性が向上したものの車両の待ち時間が延長したことにより周辺道路において渋滞が発生するといったマイナス効果もあるとの調査結果が報告されています。
 また、この渋滞による弊害のほか、私が住む沼津市内の歩車分離式信号が設置された交差点におきまして信号のサイクルが歩車分離式に変更されたこと自体を認識せず赤信号であるにもかかわらず見切り発車するドライバーや横断を始める歩行者が散見されるなど、利用者への周知がなされてない側面も見受けられます。人命は何よりもとうといものであることは言うまでもありません。県警察におきましては道路管理者との連携のもと、交通の円滑を確保しつつ道路環境に応じた歩車分離式信号機の整備を推進していただき、交差点における歩行者の安全対策の徹底を図っていただきたいと考えます。
 そこで、県内におきます交差点における交通安全対策に係る歩車分離式信号の整備状況とその効果及び今後の取り組みにつきまして警察本部長にお伺いをいたします。以上、答弁を求めます。
○副議長(藪田宏行君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 曳田議員にお答えいたします。
 先端農業推進プロジェクトについてであります。
 私の基本的な認識は、知事就任以来大地の恵みを大切にしない文化、文明は必ず衰退するというもので、農業の振興は基本的な政策の柱でございました。特に今年度はTPP絡みで農業の振興、さらに五輪絡みでスポーツの振興、そして地域外交もこれまでの成果が新しいステージに入ったということで地域外交の強化充実というのを柱としておりますが、この農業の振興の中で立ち上げたプロジェクトの一つが議員御指摘の先端農業推進プロジェクトでございます。このプロジェクトは先端科学と製造業が持つものづくりの技術とを農業分野に応用することによりまして農産物の品質を高める、機能性を高める、収量を高める、コストを削減する、生産性を向上させるといった目的を持ったものでありまして、一言で言えば農業の競争力の強化に取り組むプロジェクトであります。
 また、農業生産額の増加にとどまらず医食同源、あるいは木苗先生述べたと思いますけれども薬食同源といった言葉がありますように健康――世代、人生の全ての段階における健康、そしてとりわけ健康寿命を延伸する、そうしたニーズに対応した健康増進効果の高い農産物やその加工品の生産拡大、付加価値向上も図ろうとするものであります。
 現在、世界の農業を見ると欧米を中心に農業関連の大型企業買収が相次いでおります。今後、IoTやビッグデータ、AIいわゆる人工知能を活用し、生産性の大幅な向上が急速に進んでいくものと予想されます。農林水産省においてもこうした状況を踏まえスマート農業の確立、普及に向けた取り組みを強力に進めております。従来と農業のイメージが全く変わったということでございます。
 本県も、こうした世界の潮流をいち早く捉えまして、第一に、慶應義塾大学、理化学研究所と連携をいたします。第二に、農業情報科学による篤農家の暗黙知――いわば顕在化していない、体に身についている知識、技能というのがございますが――こうした暗黙知となっている栽培技術の見える化、学習システム化に取り組みます。第三に、高度な環境制御技術を活用した革新的栽培実験装置の開発も進めてまいります。これらの取り組みをさらに発展させるために、沼津市の東海大学の旧校舎を活用し先端農業の推進と農と食と健康、この三つを合わせました農食健科学・産業の振興を図る拠点を平成二十九年夏の開所を目指して整備することといたしました。
 この拠点施設には、温度、湿度、光、風量、炭酸ガスなどの栽培環境を数十万通り再現する実験装置を備えた次世代型栽培研究室を設けまして、マーケットの要望に応じた農産物生産のために最適な栽培条件の探求や種苗開発の支援などを行います。この成果を現場に導入することで生産性革命を起こし生産者の収益性を向上してまいります。この拠点は単なる研究拠点にとどまらず、いわゆるオープンイノベーションによる産業の振興の拠点とする予定でございます。拠点施設には企業、農業法人など民間事業者等へ貸し出す供用研究室や高度な分析機器を設置いたしまして、これら関係する事業者や支援機関として入居する県内外の研究機関が互いの技術力、開発力、アイデアを用いることにより新しい価値を創出していくことを期待しております。
 県といたしましては、この拠点に県内外の学術研究機関、企業、農業法人などが相互に連携できるプラットホームを形成し、さまざまなプレーヤーが集まってイノベーションを生み出す日本を代表する知の拠点としての機能を発揮させ、世界に打って出る攻めの農業を推進してまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長から御答弁を申し上げます。
○副議長(藪田宏行君) 土屋副知事。
       (副知事 土屋優行君登壇)
○副知事(土屋優行君) 伊豆半島ジオパークの推進についてお答えいたします。
 昨年九月に伊豆半島の世界ジオパークネットワークへの加盟が、地域の皆様の熱い期待にもかかわらず残念ながら保留となりました。このため現在伊豆半島ジオパーク推進協議会と一体となって課題として指摘された事項に対応するとともに、本年十一月末までにユネスコに対しユネスコグローバルジオパーク認定に向けた申請書を提出すべく全力で取り組んでおります。
 その中でも最重要の課題であります地質遺産の国際的な価値の証明につきましては、まず本年七月に火山、地質等の専門家十七人で構成する学術部会を開催し、申請書の記載方針及び盛り込むべき内容等について御意見を伺いました。さらに伊豆半島の価値をより一層明確に示すため、海底火山や活断層などの分野で国際的に高名な学者三人による評価もいただきながら記載内容のさらなる充実を図っているところであります。
 なお、懸案でありました中央拠点施設の整備につきましては、本年四月伊豆市修善寺に伊豆半島ジオパークミュージアム「ジオリア」が開館し、県内外から訪れる多くの方々に対し地質や地形を通した伊豆半島の魅力を伝える役割を果たしております。このジオリアを活用しジオガイドのスキルアップ研修や小中高校生向けのジオ教育などを実施することにより、伊豆半島地域全体でのジオパークに関する知識の共有化を図っております。
 その他の指摘された事項につきましては、エリア内での情報提供の充実を図るため主要道路へのウエルカムサインや解説板の設置を進めるほか、イルカの追い込み漁につきましては認定とは直接関係ないものと考えておりますが状況に応じて適切な対応がとれるよう準備をしております。
 なお、現在イギリスでユネスコグローバルジオパーク国際会議が開催されておりますが、会長であります伊豆市長を初めとする推進協議会のメンバーとともに、県の職員も参加しユネスコ等の関係者との情報交換や状況説明を行っているところであります。
 議員からも御紹介いただきました来月「プラサ ヴェルデ」で日本ジオパーク伊豆半島大会が開催されます。県といたしましてはこの機会を捉えて伊豆半島ジオパークを国内外に情報発信していくとともに、申請後に行われますユネスコの書類審査や現地審査に十全に対応していくことで伊豆半島のユネスコグローバルジオパーク認定に向けて万全を期してまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 外岡危機管理監。
       (危機管理監 外岡達朗君登壇)
○危機管理監(外岡達朗君) 熊本地震を踏まえた避難所の運営についてお答えいたします。
 県では、従来から避難所運営マニュアルを作成するとともに、県が開発した避難所運営ゲームHUGを活用した講座を開催するなど自主防災組織等による自主的な避難所運営がなされるよう取り組んでおり、今月四日に開催した県・掛川市総合防災訓練においても掛川市内四十二の全ての避難所で自主防災組織が主体となった避難所運営訓練を実施したところであります。
 熊本地震における避難所の課題としては、特に被災当初において避難者による避難所運営が自主的にできなかったこと、避難所内のプライバシー確保や衛生管理、健康管理が徹底できなかったことなどが挙げられております。また余震が長期にわたり多く発生したため就寝時の不安から夜間に自家用車などに避難された方も多く、避難所以外にいる被災者の把握や支援方策など新たな課題も明らかになりました。
 県といたしましては、今後熊本地震の避難所運営に関する現地調査を実施し、これまで先進的に取り組んできた当県の視点で避難所運営の課題を明らかにした上で本県の避難所運営の準備状況に照らした調査分析を行い、これらの結果を踏まえ避難所運営マニュアルの見直しを行うなど地震対策に反映させてまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 篠原経済産業部長。
       (経済産業部長 篠原清志君登壇)
○経済産業部長(篠原清志君) 中小企業支援のあり方についてお答えいたします。
 国は、平成二十六年六月に小規模企業振興基本法を制定し、中小企業への支援に加え小規模企業が事業の持続的発展を図り円滑な企業運営ができるよう支援することとしております。本県においても中小企業、小規模企業の振興は重要であることから新たな条例を制定することとし、現在県民に対するパブリックコメントを終え平成二十八年十二月議会にお諮りすべく準備を進めております。
 条例案では、小規模企業に対する持続的発展のための取り組みの支援と商工団体によるきめ細かな支援を規定し、関係団体の役割や求められる施策、制度を明確にしてまいりたいと考えております。この趣旨に対応し資金や人材といった経営資源に制約がある中小企業、とりわけ小規模企業においても新事業にチャレンジすることができるよう新たな支援策についても検討してまいります。
 県はこれまでも、中小企業に対して新産業への参入や販路開拓、県制度融資、経営革新の促進、人材の確保・育成などをきめ細かく支援しておりますが、新条例の制定を契機にさらに中小企業、小規模企業の振興策を充実してまいります。
 次に、静岡県を支えるものづくり人材の育成についてであります。
 これからの職業訓練におけるトップレベルの技術の習得のためには、最先端分野でしのぎを削っている企業の技術者や設備を活用していくことが必要不可欠であると考えております。このため本年七月全国で初めてものづくり人材育成協定を東芝機械株式会社、株式会社オーミの二社と締結し、それぞれの会社の最先端の機器を利用した職業訓練を実施しているところであります。
 また、国のポリテクセンターとの連携では、指導員の能力向上のための合同研修の実施やIoT技術に関する訓練をともに実施するなど協力体制を強化しております。さらに企業の人材育成の拠点である技術専門校の強化が重要であることから、即戦力となる人材を養成している技術専門校の機能をさらに高めより高度な内容の訓練を行えるよう老朽化している技術専門校の再整備や短期大学校化について検討してまいります。
 県といたしましては、ものづくり現場で生き生きとみずからの技術、技能を発揮できる人材の育成を進め、世界から憧れを持っていただくような技術立国ふじのくにの実現を目指してまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 筋警察本部長。
       (警察本部長 筋 伊知朗君登壇)
○警察本部長(筋 伊知朗君) 交差点における交通安全対策についてお答えいたします。
 初めに、歩車分離式信号機の整備状況でありますが、県警察では信号交差点における横断歩行者の安全を確保するため整備を進めており、これまでに斜め横断が可能なスクランブル方式を二十八カ所、斜め横断はできないタイプのものを八十四カ所、合計百十二カ所整備しております。
 歩車分離式信号機の導入効果についてですが、平成二十年以降に導入した六十八カ所における導入後一年間の歩行者事故の発生件数が全体で二件となるなど歩行者事故の抑止効果が見られるところであります。
 次に、歩車分離式信号機の整備についての今後の取り組みでありますが、今後も歩行者や右左折車両の通行が非常に多く事故の発生が懸念される交差点、通学路や公共施設付近等で子供、高齢者等の通行が多い交差点等を対象に地域住民からの要望も踏まえ検討を加え、必要な箇所に整備してまいりたいと考えております。
 しかしながら、議員御指摘のとおり歩車分離式信号機を導入すると車両の青信号時間が短縮され渋滞が発生しやすくなることから、交通状況に応じて信号機の秒数設定をきめ細かく調整する、多数の歩行者が通行する時間が特定の時間帯に限られている交差点等については押しボタン式とすることなどにより渋滞の発生抑止に努めてまいります。
 また、歩車分離式信号機が設置された交差点は通常の交差点と通行方法が異なることから、関係機関と連携した広報活動や警察官による現場指導を行い正しい通行方法の周知徹底を図っていきたいと考えております。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 曳田 卓君。
       (三十番 曳田 卓君登壇)
○三十番(曳田 卓君) それぞれ御答弁いただきありがとうございました。
 時間がないので三点要望、一点再質問させていただきます。
 知事から先端農業推進プロジェクトについて御答弁いただきました。
 実は、今から四十年前、私もあそこ東海大学に海洋学部で一期生でおりましたので、茶摘みをしたりですね、田んぼの農業をしたりしたんですけども、そういう思いがあるもんですからやっぱり地元の方々がせっかく東海大学にそういうのが来ると、うんとやっぱり憧れと希望を持ってるわけですね。ですからその方々にやはり応える、何とか地元に応える意味でも本当にきめ細かく、ただ最先端、最先端ばかりでなくて、やっぱり地元に、農業の方々に還元できるような施策を進めていただきたいと思います。
 それから、中小企業の支援の件ですけれども、ことしの六月ですか、沼津の法人会の総会がございました。約四百人ぐらい集まりました。そこで、今よくテレビで出られています元通産官僚で岸博幸さんという人が講演したんですね。非常にイノベーション、リノベーションって高邁なお話だったもんですからすごいなと思って聞いたんですね。講演が終わってさあ四百人の方々に質問ありますかって聞いたら司会者が、そしたらある方が手を挙げて、わしゃ材木屋だけんが先生の話は本当にすごいだけんがわしらはやっぱりイノベーションだ、リノベーションってわからんと言うわけです。もう少しきめ細かい支援はないかという話をしました。さすが岸先生も、いや中小企業庁でもいろんな支援策ありますからという話をされたわけです。だからそういうことも含めて、それがやっぱりさっき言った小規模の本音だと僕は思うんですよ。ですからぜひその辺のところは御理解をいただきたいと。そういう意味で支援をきめ細かくやっていただきたいと思います。
 それから、歩車分離の件でございますけども、実は私、今話聞きました沼津のちょうど四一四、まさに幹線道路です、伊豆半島に行く道路ですが実は残念な、これ慢性的な渋滞なんですね。そうしますと私懸念するのはですね、やっぱり渋滞になった車が隘路に逃げちゃう。で、二次的な事故が起きる可能性がやっぱり感じるもんですから、ぜひそういうことを踏まえてこの施策を推進していっていただきたいと思います。
 再質問でございますけれども、熊本地震の件、アルピニストの野口健さんがテントを提供して話題になったんですが、私いつも思うんですけどもやはりすぐに、やはり段ボールの簡易ベッドとかそれからパーティションとかですね、やっぱりそういうすぐに対応、すぐにテレビで見ると必ず老人の方々が床に寝てるわけですよね。そういうことに対してやっぱり即対応できるような、そういう備蓄が僕は必要ではないかと思っています。ですからそういうことをですね、当然それは市町村レベルですけれども、県のほうとしてその辺の指導をどのように今後考えていくのかお伺いをして、私の質問を終わります。
○副議長(藪田宏行君) 外岡危機管理監。
○危機管理監(外岡達朗君) 熊本地震を踏まえた避難所の運営についての再質問にお答えいたします。
 避難所の備蓄についてでありますけれども、県ではこれまでも緊急地震・津波対策等交付金によりましてパーティションであるとか簡易トイレでありますとか市町が備蓄を行う、そういう事業を実施することに対して支援を行っているところでございます。
 今回の調査では、避難所にあらかじめ整備され役に立った備品類あるいは調達等で役に立った備品類についても調査を実施する予定でございます。この結果を踏まえまして避難者のさまざまなニーズに考慮した備蓄が進められますように市町に対する助言や支援等を行ってまいります。以上でございます。

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