• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和4年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

鳥澤 由克 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/03/2022

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 “ふじのくに”のフロンティアを拓く取組について
2 静岡県一般廃棄物処理広域化マスタープランの策定について
3 農業分野における新品種の育成について
4 関係人口の拡大による農村振興について
5 御殿場・裾野地区特別支援学校新分校の設置について
6 裾野市十里木地区における国道469号の改良について
7 静岡がんセンターの今後の展開について


○議長(宮沢正美君) 次に、四十番 鳥澤由克君。
       (四十番 鳥澤由克君登壇 拍手)
○四十番(鳥澤由克君) 私は、自民改革会議の所属議員として当面する県政の諸課題について通告に従い知事、副知事、関係部局長、がんセンター局長並びに教育長及び教育部長に一括質問方式にて質問をいたします。
 初めに、ふじのくにのフロンティアを拓く取組について伺います。
 ふじのくにのフロンティアを拓く取組は、東日本大震災の教訓と新東名高速道路の本県区間開通を契機として安心・安全で魅力ある県土の実現を目指し、沿岸部と内陸部の発展とそれらをつなぐ多層的な連携軸の形成を基本戦略に掲げ平成二十五年度から三期十五年を構想期間として開始されました。県土形成の大きな方向性に基づき市町がその特徴や課題を鑑み策定した事業計画を県と市町が一体となって進めていくこの取組は、地域づくりに果たす役割が極めて大きいことから私自身その進に強い関心を持ってきました。
 第一期計画では、県内全ての市町に防災・減災と地域成長が成立する地域づくりの拠点となるフロンティア推進区域を指定し、誰もが安心して住める県土形成とともに新たな産業、雇用の創出や農林水産業の振興、ゆとりのある住空間の創造等が図られました。
 第二期計画では、人口減少や革新的技術の進展を見据え推進区域等の拠点間の機能を連携することで地域の魅力をさらに高めるフロンティア推進エリアの形成に取り組み世界レベルの自然、温泉資源を活用したワーケーション推進の取組や企業バスを地域交通に活用しMaaSにより利便性を高めるなど各地で多彩な取組が進んでいます。フロンティアの取組が開始してから九年がたとうとする中で、まさにこの事業の真価が問われる時だと感じています。
 こうした中、県は全体構想を改定し、第三期計画においてこれまでの取組に加えて脱炭素社会やSDGsの実現に向けて地域循環共生圏の形成を目指すとともに開始時期を一年前倒しをし、令和四年度から着手する方針を明らかにしました。新たな方針によりコロナ禍で閉塞感を感じている県民に対して、それを打開し地域に希望と活力をもたらす持続可能な地域づくりを推し進めていくべきだと考えます。
 一方で、フロンティアを拓く取組のうち推進区域については事業が完了した区域が約七割にとどまっていることから、事業実施の確実性の向上とともに現在進めている推進エリアについてもさらなる促進が前提であるべきだと考えます。
 そこで、既存事業と並行して地域循環共生圏の形成に着手する理由と具体的に第三期計画にどのように取り組みどのような県土を形づくっていこうとしているのか伺います。
 次に、静岡県一般廃棄物処理広域化マスタープランの策定について伺います。
 家庭から排出されるごみの処理は市町の自治事務であるとされていることから、市町は焼却、リサイクルなどの一般廃棄物処理施設を設置し処理を実施しております。過去における広域化の動きは、一九九〇年代後半に毒性の高いダイオキシン類が社会問題化したことから国はダイオキシン類の発生が少ない大型の焼却施設への転換を推進したことを受け、本県においてもごみ処理広域化計画を策定したと記憶しております。
 市町のごみ処理を取り巻く近年の状況は、これまで経験したことのない人口減少が進展するとともにリデュース、リユース、リサイクルの取組によるごみ量のさらなる減少が見込まれることから将来における持続可能なごみ処理体制の確保が新たな課題だと考えています。
 私の住んでいる裾野市の焼却施設は、稼働から三十年以上経過し今後の在り方を検討していると聞いていますが、ほかにも同じ状況にある市町があるのではないかと推測をされます。財政状況が厳しい中、稼働率の悪くなった施設の今後の対応策や施設の建て替え時期や整備に要する財源の検討も市町の共通した課題でもあります。新たな広域化の実施には市町ごとで違うごみの分別ルールの住民との合意形成や実施時期などの検討過程で調整が難航し、市町間の話合いが中断してしまうことが危惧されます。
 一方で、近年地震や豪雨などの自然災害が頻発していることから災害時に大量に発生する災害廃棄物を周辺市町と協力して処理できるようその対応においても市町間の話合いは必要であると考えます。
 こうした社会状況の中、環境省が平成三十一年三月ごみ処理の広域化、施設の集約化に係る計画策定を求める通知を都道府県に発出したことを受け、県は令和四年度からの十年間を計画期間とした静岡県一般廃棄物処理広域化マスタープランを策定すると聞いております。
 ついては、県のごみ処理の広域化推進に対する考え方及び広域処理の実現に向けた今後の取組について伺います。
 次に、農業分野における新品種の育成について伺います。
 本県は温暖な気候に恵まれお茶やミカン、ワサビ等の代表的な産地があり、イチゴやメロン、花卉等の施設園芸も盛んに行われています。このように県内各地で多彩な農業が実践されている背景には、農業者の御努力はもとより産地に適した優れた品種が開発されその品種に合わせた栽培技術の普及が進められてきたものと考えます。
 しかし、昨年十二月に公表された本県の令和二年農業産出額は一千八百八十三億円と平成二十八年の二千二百六十六億円から四年連続で減少しております。本県農業を取り巻く状況は厳しさを増しており、農業者の高齢化や労働力の不足に加えて温暖化などの気候変動やグローバル化などの外的要因への対応も必要です。
 このような厳しい状況の中、本県農業が持続的に発展していくためには各産地において収益性の高い魅力ある農業が実践できるよう研究機関が技術開発を進めていくことが大切でありその役割が一層重要になっていると考えます。
 特に、農産物のブランド力を支える新品種の育成は重要でありこれまでも本県農業の発展に大きく貢献してきました。本県が育成したイチゴの「きらぴ香」は市場での評価も高く高単価で取引されイチゴ産地を支えています。また先般従来の育種方法と異なる先端技術を駆使した方法により品種登録の出願が公表された温州ミカン「春しずか」も、今後本県貯蔵ミカンとして全国に流通され農業者の所得向上につながることが期待されます。
 さらに、近年では新品種の育成目標が多様化し、収量や品質を高めることに加え温暖化に対応できる品種や県民の健康な生活を応援する機能性成分の高い品種等多様なニーズに応じた品種の育成が求められています。
 このように新品種の育成には大きな期待が寄せられている一方で、長い年月と労力が必要です。地道で継続的であることは承知をしているものの、やはりニーズを的確に捉えてスピード感を持って取り組むべきだと考えます。農業が置かれた厳しい状況下でも農業者が活路を見いだし希望を持って農業に取り組むためにはニーズに応じた世界に誇れる魅力ある新品種が必要と考えます。
 そこで、農業分野における新品種の育成について今後どのように取り組むのか伺います。
 次に、関係人口の拡大による農村振興について伺います。
 少子化と人口減少により我が国は超高齢化社会への歩みを進めており、今後の農村振興は新たな時代に対応していくことが求められています。農村では農業者の減少により農村の集落機能が低下している一方で、新型コロナウイルス拡大をきっかけに田園回帰の志向が高まり農村の持つ価値や魅力が再評価されています。今後農村地域が活力を保持していくためには地域の支えとなる地域外からの人材や組織の裾野を広げ、いわゆる関係人口の拡大を進めていく必要があります。
 そのためには、都市部の人々が農村との関係性を深めていく機会を創出しこれまで農村地域に居住し活動を続けてきた人たちと新たに都市部から入ってきた人々の思いが一致し農村と都市双方に効果や成果を感じることのできる協働活動を持続していくことが重要であると考えております。県が次年度からの羅針盤として策定を進めている新ビジョン後期アクションプランや経済産業ビジョンにおいても活力ある農村の創造に向けて多様な人材と地域をつなぐ関係づくりや交流促進に向けた取組が見込まれており、今後の具体的な施策に大いに期待しているところであります。
 私の地元である裾野市のパノラマ遊花の里としてふじのくに美しく品格のある邑に登録されている須山地区はかつて農業後継者不足等により荒廃農地が増加しましたが、今では活動の趣旨に賛同する市民団体や地元企業などの参画により菜の花やコスモス等の四季折々の景観作物を植栽し、富士山と花畑の景観を楽しみに市内外から多くの皆様が訪れるようになりました。この取組は新たなコミュニティーを築いて活動した結果だと思います。
 このような多様な主体との連携による取組が重要度を増している中で、県は今後どのように農村振興を進めていこうとしているのか、方針を伺います。
 次に、御殿場・裾野地区特別支援学校新分校の設置について伺います。
 裾野市、小山町、御殿場市を学区とする御殿場特別支援学校は「学びあい ともに輝き 未来を創る」を教育目標に掲げ障害のある児童生徒の社会自立に向けた教育を推進し地域の特別支援教育の拠点となっております。しかし現在児童生徒数の増加により施設狭隘化が課題となっており、その改善が求められていたところであります。
 このたび県教育委員会から、静岡県立特別支援学校施設整備基本計画に基づき課題解消に向けて小山高等学校内に高等部分校を整備する方針が示されました。この分校の設置により御殿場特別支援学校の狭隘化の解消が図られるとともに、職業教育の充実を望む生徒の教育的ニーズにも応えることができ御殿場特別支援学校が掲げる児童生徒像の「いっしょうけんめいに なにかが できる人」の育成につながるものと大変期待しているところであります。
 同世代の生徒が、障害の有無にかかわらず同じ場で学ぶことを当たり前のことと捉えお互いの個性を理解することは共生社会の構築に向けて非常に重要であります。高等学校内への特別支援学校高等部分校の設置はその学びの場の提供であり、ぜひとも両校の教職員がこのことの共通認識を持って共生・共育の推進に取り組んでいただきたいと思います。
 また、県教育委員会ではこれまで十校の高等部分校を設置し、それぞれが設置した高校や地域の特性を生かした教育を展開していると認識しております。新たに設置される高等部分校ではこれまで設置してきた分校での教育のノウハウを生かしつつ、地域とのつながりを大切にし豊かな自然や地域の産業を生かして多くのことを学び「いっしょうけんめいに なにかが できる人」として卒業後に地域の一員として活躍してほしいと願うところであります。
 そこで、県教育委員会では小山高等学校内に設置する新たな分校で県の目指す共生・共育をどのように推進していくのか。また地域とどのようにつながりを持ちながら教育活動を展開していくのかについて伺います。
 次に、裾野市十里木地区における国道四六九号の改良について伺います。
 国道四六九号は、富士南麓地域の経済活動や関東甲信越方面との交流促進を支える重要なインフラとしてこれまで幅員が狭い箇所から順次整備がされてきました。令和三年四月には新東名高速道路新御殿場インターチェンジと、そのアクセス道路となる国道四六九号御殿場バイパスの一部区間が開通し周辺工業団地や観光地へのアクセスが一段と向上しました。また令和三年七月には東京オリンピック自転車競技ロードレースが開催されたことにより世界トップクラスのサイクリストが覇を競ったコースとしても注目されています。このように産業面や観光面における本路線の重要性がますます高まっております。
 近年、沿線エリアには工業団地の造成が進み本路線を利用する大型車も増えてきたと感じております。幅員が狭くカーブが連続する裾野市十里木地区は交通量が増えて朝夕に自宅から車を出せない、騒音、振動などが酷いと生活環境の改善を切実に訴える声が地元から上がっております。実際に集落では交通事故も頻発し、令和二年三月には痛ましい死亡事故も付近で発生するなど非常に危険な状況と聞いております。現地調査の際大型車がセンターラインをはみ出して勢いよく目の前を通過する様子を目の当たりにし、地区住民の方々が抱く思いを共有し実感したところであります。
 今後、工業団地等への新たな企業進出や新東名高速道路の全線開通も予定され本路線は交通量のさらなる増加が見込まれる中、課題の多い十里木地区では沿線市町による国道四六九号富士南麓道路建設促進期成同盟会が要望しているバイパスルートの検討を進め早期に事業化に取り組むべきだと考えます。
 そこで、県では十里木地区における国道四六九号の改良に向けてどのように取り組むのか伺います。
 最後に、静岡がんセンターの今後の展開について伺います。
 静岡がんセンターは平成十四年九月に開院し、本年は開院後二十年目の節目の年に当たります。病床数は開院当時の三百十三床から令和二年四月には全床開棟で六百十五床。外来延べ患者数は平成十五年度の約十二万五千人から令和二年度には約三十万三千人に増加。入院延べ患者数も平成十五年度の約十二万八千人から令和二年度には約十八万三千人となるなど病院機能は着実に成長してきたと承知をしています。
 この間、平成二十七年に発行のダイヤモンド誌の記事ではがんに強い病院ランキングとして静岡がんセンターは全国二位に挙げられるとともに、世界的な雑誌ニューズウイークなどが令和二年に世界二十か国以上の医師や医療従事者等の評価においてがんの領域で世界五十位であり、その医療は高く評価されているところであります。
 開院以来、静岡がんセンターは陽子線治療や手術支援ロボットダビンチなどを用いた高度先進医療を提供するとともに、がん診療連携拠点病院として本県のがん診療の中心的な役割を果たしています。特に本県の東部地域は大病院が少なく静岡がんセンターが東部地域のがん医療に果たす役割は非常に大きいものと受け止めています。また開院以来の取組であるよろず相談や患者家族支援センターでは、患者やその家族の悩みに寄り添ったきめ細やかな支援が行き届き大変心強く思っており病院の高い評価につながっていると感じています。
 さらに、平成十七年に開所した静岡がんセンター研究所ではがんの早期発見、治療技術を開発する研究が幅広く行われており日本のがん医療を牽引する役割を果たしています。
 今後も、がんセンターには医療と研究の融合に向けて取り組まれるとともに、ファルマバレープロジェクトの中心的存在として歩み続けていくことを希望します。
 日本人の二人に一人ががんにかかると言われている中で静岡がんセンターが果たす役割は今後も非常に大きいと考えられますが、静岡がんセンターの今後の展開について、所見を伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(宮沢正美君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 鳥澤議員にお答えいたします。
 ふじのくにのフロンティアを拓く取組についてであります。
 ふじのくにのフロンティアを拓く取組は、東日本大震災の教訓を踏まえ防災・減災と地域成長の両立を図り県民の皆様に新しいライフスタイルを提案することを目指した取組であります。二〇一三年度から一期五年間で、三期十五年間を全体構想期間として取組を推進しているところであります。
 当初は、これを内陸のフロンティアを拓くというふうに銘打ったために新東名だけに関心が集まったわけですが、当初からこれは四つの戦略から成っておりまして沿岸都市部のリノベーション、内陸部のフロンティアの開発、そして両者を結ぶ地域連携軸の形成、そして多様なライフスタイルの提供というこの四つの柱から成っているプロジェクトでございます。このプロジェクトを各市町と協調しつつ地域特性を生かした拠点整備を進めてまいりました。
 二〇一八年度から第二期目がスタートいたしまして、拠点間の有機的な連携を実現しより広域的な推進エリアの形成に取り組んでいるところであります。拠点整備につきましては今年度末で七十四区域のうち五十二区域で事業が完了いたしました。残りの二十二区域につきましても市町との連携の下、計画的に整備事業を推進してまいります。
 また、推進エリアにつきましても十一エリア、十八市町の取組を認定いたしました。引き続き市町のエリア形成に向けた取組を積極的に支援してまいります。これまでこのプロジェクトは内閣府のほうから複数回にわたって高い評価を受けているものでございます。
 さて、第三期目の取組でございますけれども、当初二〇二三年度からこれまでの取組をより重層的にかつ高次元で実現する、いわゆる対流型都市圏の形成を目指していくものとしておりました。しかしながら現下のこのコロナ禍によりまして社会経済を取り巻く環境は一変いたしました。深刻化する地球規模の気候変動危機への対応も待ったなしの状況となっております。
 このため、このフロンティアを拓く取組におきましてもこれまでの対流型都市圏から脱炭素と持続可能な開発目標であるSDGsを実現する地域循環共生圏の形成へと発展的な展開を目指すものとし、その計画を一年前倒しをいたしまして来年度から取り組むことといたしたわけでございます。
 本県が将来にわたって持続可能な発展をしていくために、SDGsの三つの側面――環境・経済・社会の統合的な向上を目指す地域循環共生圏の形成が鍵となります。
 県では、伊豆、東部、中部、西部の四圏域ごとに目指す将来像をお示し申し上げ市町とスクラムを組んで防災・減災と脱炭素、SDGsの実現に向けた地域成長の取組を着実に展開してまいります。
 具体的に申し上げますれば、県と市町が目指す姿をまず共有しなくてはなりません。その下で循環共生圏の形成に向けた取組の実効性を高めるため県庁内に相談窓口を設置いたしまして、県地域局も交えて市町との政策協議を重点的に行います。そのほか市町の計画策定費や循環共生圏の形成事業への助成制度を創設いたしまして推進体制を強化してまいります。
 県といたしましては、こうした取組により安全・安心で強靱な県土づくりとともに、県と市町が一となりましてDX――デジタルトランスフォーメーションに代表される社会経済の大きな変化に的確に対応し、またメンションしていただきました美しく品格のある邑づくり、こうしたものをベースに現在起こっておる人々の田園回帰も受けまして国の目指されているデジタル田園都市化、あるいはデジタルガーデンシティ化と、そのモデルになろうというそういう志を持って将来にわたり持続可能な発展を可能とする魅力ある県土の実現を図ってまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を差し上げます。
○議長(宮沢正美君) 難波副知事。
○副知事(難波喬司君) 静岡県一般廃棄物処理広域化マスタープランの策定についてお答えをいたします。
 国は、今後の人口減少社会における一般廃棄物処理施設の在り方として処理体制の広域化を進めていく方針を示しています。県としても人口減少のさらなる進展や3Rの推進によるごみの排出量の減少、施設の老朽化や稼働率の低下などの課題に対応していくためにはごみ処理体制の広域化、これを推進する必要があると考えております。
 このため、県では広域化の基本方針であり十年間を計画期間とする静岡県一般廃棄物処理広域化マスタープランの策定を進めております。昨年度は県内を賀茂、東部、中部、西部の四つのブロックに分けて長期的な広域処理体制のシミュレーションを実施しました。今年度はシミュレーション結果を基にブロックごとに市町との意見交換を重ねてまいりました。今月中に市町等の意見を取りまとめましたプランを決定する予定です。
 今後、このマスタープランに沿って市町が処理体制の広域化を具体的に進めるに当たりましては収集運搬距離の延伸によるコストやCO2の増加等の課題があります。また共同で設置する処理施設の整備時期の調整や設置場所の選定、分別ルールの統一、災害廃棄物の広域処理体制の構築など市町にとって調整が困難な課題もあると考えております。
 県といたしましては、市町間での協議が円滑に進むよう広域化を実現した具体的な事例の紹介や専門家を招いた意見交換会の開催、協議の場の設定と協議への参加など積極的に市町を支援しごみ処理体制の広域化の実現に向けて取り組んでまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 細谷農林水産担当部長。
○農林水産担当部長(細谷勝彦君) 農業分野における新品種の育成についてお答えいたします。
 県の研究機関による新品種の開発は、付加価値の高いオリジナル品種によるブランド価値の向上や病害虫抵抗性等による生産性の向上など県内農業の発展に大きな役割を担っております。これまでにイチゴや茶、マーガレット、ミカンなどで八十三品種が育成され県内生産者に広く利用されております。
 例えば、イチゴの「紅ほっぺ」や「きらぴ香」の栽培面積は県内JAが扱うイチゴの約九割を占め静岡イチゴのブランドの確立に貢献しております。酒米の「誉富士」は県内酒蔵の約九割で利用されておりますが、より収量が多く品質の良い酒づくりに適した後継品種を開発し現在品種登録の出願中であります。
 さらに、本年度から生産者や消費者のニーズに応じて早期に新品種を開発するため静岡大学と共同でゲノム情報を活用したスマート育種技術の実用化に取り組んでおります。
 具体的には、農林技術研究所が保有する茶やイチゴ、ワサビなどの多数の遺伝資源から味や香り、耐病性など農業上有益な形質と相関のあるゲノム内のDNA配列をマーカーとして選定いたします。これを活用して発芽後間もない時期から目的の形質を持った個体を早期に選抜してまいります。
 県といたしましては、こうしたスマート育種技術を活用して多彩なニーズに応じた世界に誇れる魅力ある新品種を継続的かつ短期的に開発し本県農業の競争力の強化につなげてまいります。
 次に、関係人口の拡大による農村振興についてであります。
 人口減少や高齢化が急速に進む農村では、農地や農業用水路等の地域資源を保全する集落機能の低下が危惧されております。こうした中、地域課題の解決や地域づくりに関わる人や企業、大学など多様な関係人口を拡大していくことが求められております。
 県内では、議員から御紹介のありました裾野市のパノラマ遊花の里をはじめ百四十五地域がふじのくに美しく品格のある邑に登録し都市住民や企業と連携した協働活動に取り組んでおります。県では県内四か所にむらづくりワンストップ窓口を設置し、地域づくりアドバイザーによる相談やSNSによる地域の魅力の情報発信に加え協働活動に参加したい個人や法人をしずおか農山村サポーターとして登録するなど地域の協働活動を支援してまいりました。
 一方で、協働活動に実際に参加した人や企業、大学等の皆様からはより積極的に農村地域に関わりたい、より多くの地域活動に参加したいなどとの意見を伺っております。
 このため、県では来年度地域の活性化や新たなビジネスの創造につながるアイデアを企業や大学と農村地域が共有する場としてデジタル技術を活用した都市・農村連携プラットフォームを新たに創設いたします。
 県といたしましては、このプラットフォームを活用して多様な主体が参画する協働活動の強化を図り関係人口の拡大による農村振興を進めてまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) 御殿場・裾野地区特別支援学校新分校の設置についてお答えいたします。
 御殿場特別支援学校の施設狭隘化の解消を図るため裾野市、御殿場市、小山町を学区として小山高校に整備する高等部の分校につきましては、令和六年四月の開校を目指し準備を進めているところであります。高等部の分校では生徒の障害の程度や特性を踏まえ将来社会で自立できるよう職業教育を中心とした教育課程を編成しきめ細かな進路指導を行っており、新たに設置する分校におきましても生徒の進路希望の実現に向け個々に応じた支援を行ってまいります。
 子供たちが、障害の有無にかかわらず居住する地域の中で共に支え合い育つことがインクルーシブ教育の理念であり共生・共育の目指すところであります。小山高校におきましても議員御指摘のとおり両校の教職員が共通認識の下で、それぞれの生徒にその気づきを促す教育に力を入れ積極的に交流を行い共生社会の実現に貢献する人づくりに努めてまいります。
 また、小山高校では小山町と協定を結び生徒が地域のイベントやボランティア活動に参加するなど地域との連携を大切にした教育を行っております。
 新たな分校におきましても、地域の豊かな自然や首都圏に近く多くの企業が立地する環境を生かし農業体験や多種多様な企業の職場で実践的な学習を行うなど、地域を教室として地域の力を借りた教育の実践に取り組んでまいります。
 県教育委員会といたしましては、特別支援学校の生徒が自分のできることに一生懸命に取り組み自信を持って社会に出て地域の一員として活躍できるよう、持てる力を最大限に伸ばす教育の充実を図ってまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 和田交通基盤部長。
○交通基盤部長(和田直隆君) 裾野市十里木地区における国道四百六十九号の改良についてお答えいたします。
 国道四百六十九号は御殿場市を起点とし山梨県南部町に至る県東部地域の幹線道路であり、富士南麓の工業団地などに向かう多くの車両に利用され地域の経済活動を支える重要な役割を担っております。
 このうち、沿道に人家が連担する十里木地区では連続するカーブ区間において大型車のすれ違いに必要な幅員が確保されておらず見通しも悪いことから、車両や歩行者の安全確保に向け通行車両の速度抑制を促す看板や減速マークの設置などの対策を実施してまいりました。これらの対策により車両の走行速度が低下するなど一定の効果は得られておりますが、追突や出合い頭事故などが過去四年間で八件発生しておりさらなる対策が必要と考えております。
 また、十里木地区では交通に占める大型車の割合が県内平均を大きく上回っていることから大型車両の円滑な走行と沿道住民の安全確保のため、来年度から本地区を迂回するバイパスルートの測量や設計を実施してまいります。
 県といたしましては、富士南麓地域における幹線道路のネットワーク強化と安全・安心の確保に向け十里木地区における国道四百六十九号の整備に積極的に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 内田がんセンター局長。
○がんセンター局長(内田昭宏君) 静岡がんセンターの今後の展開についてお答えいたします。
 静岡がんセンターは、平成十四年の開院以来患者さんの視点の重視を基本理念と定めがんを上手に治す、患者・家族を徹底支援する、そして成長と進化を継続する、この三つを掲げ全人的医療の実践に努めてまいりました。がんの診断・治療技術は年々進歩しておりますが静岡がんセンターではロボットによる低侵襲性手術、放射線や陽子線による高精度照射、病状に合わせた分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬による薬物療法や臨床試験など患者負担の少ない治療技術を追求してまいりました。
 今後とも、こうした最先端の医療を追求するとともに診療システムとしての多職種チーム医療の強化を進め、開院以来実行してきた患者からの学びを生かし包括的患者家族支援体制の充実を図ってまいります。
 がんゲノム医療につきましては、新しいがん診断・治療法の開発につなげる臨床研究プロジェクトHOPEを推進しております。この成果といたしまして新たな遺伝子パネル検査ふじのくにHOPEオンコパネルの製造承認申請を間もなく行う予定であり、また抗がん剤副作用を和らげる薬剤の製品化も間近となっているところです。来年度からは研究体制強化のため研究所の地域資源研究部をゲノム解析研究部に改編してゲノム医療のさらなる推進を図り、がん患者さんに対して個々に最適な医療を提供する研究を加速してまいります。
 また、人材育成につきましてはがん専門医レジデント制度や認定看護師教育課程、連携大学院制度を設けて医療人材の育成に努めてまいりましたが、がん医療を担う高度専門人材のさらなる育成が必要なことから今後職員や地域の医療従事者、医療健康産業を担う技術者などを対象とした教育を行う大学院大学構想の検討も行ってまいります。
 さらに、静岡がんセンターではファルマバレープロジェクトの中核施設といたしまして医療介護機器開発やふじのくに先端医療総合特区の拡大に取り組んでまいりました。最近では宿泊、不動産などの事業者から医療・健康面を重視したまちづくり事業の計画立案への相談も寄せられており、メディカルガーデンシティ構想の実現に向けた取組にも一層注力してまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 鳥澤由克君。
       (四十番 鳥澤由克君登壇)
○四十番(鳥澤由克君) それぞれに御答弁を頂きましてありがとうございます。
 三つの要望と一つの再質をさせていただきます。
 まず要望でございますけれども、先ほど御答弁頂きました農業分野における新品種の育成についてということでございます。
 これからも新品種については、ただ商品価値を高めて消費者ニーズだけそのような分野だけではなくこれからの強い静岡県農業の確立のためには必要不可欠でもありますし、攻めの農業をこれからやっていくそれぞれの経営体、それぞれの業態、業種ありますけれどもそれについても大切な分野だと思います。
 私は、そういう農業分野の皆様が地道に着実に歩みを進めている姿をもっと広く県民の皆様に知っていただくこと、逆に消費者の側にもこの努力を知っていただくこと、これを私は常に、この情報発信が必要だなというふうに思いますのでこれからもたゆまぬ御努力を頂きたいというふうに思っております。
 二点目の要望でございますけれども、御殿場、裾野地区の特別支援学校の新分校の設置についてということでございます。
 新たな新分校ができて新たな教育の場ができるということで多くを期待して、これは地域社会全ての皆さんが期待しているところだというふうに思っております。私もいろんな様々な、それぞれの多くの皆様のところに行く機会がございます。そしてその障害を持たれる方の御家庭にたまたま行ったときに、鳥澤さん私は元気で今いるかもしれないけれどもこの子が行く末が心配ですとおっしゃる言葉を多く聞きます。この言葉を、皆さんそれぞれにどのように受け止められるでしょうか。これはやはり何と言っても、この子が自立をして社会に順応して一人で生きていく力を地域社会全体でつくっていただきたい、そのような思いがあっての言葉だというふうに私はいつも受け止めております。
 この機会を捉えて、地域社会でその障害を持たれる方の新しい分校として教育の当初の目的を果たされますよう教職員一緒になっての経験の中で積み重ねた中でしっかりとやっていただきたいなというふうに思っております。
 では、再質問に移らせていただきます。
 再質問は、先ほど知事から御答弁を頂きましたフロンティアを拓く取組の再質問でございます。
 先ほど、全体構想自体を本年度改定をして、かつ第三期計画を一年前倒しをして来年度から地域循環共生圏の形成に着手すると御答弁を頂きました。地域循環共生圏についての形成は、この本定例会においても各それぞれの議員の皆様が御議論を頂いているところでもあります。脱炭素社会への移行や循環型社会の形成、自然との共生の実現、SDGsの達成など本県を取り巻く様々な課題があるわけでございますけれども、その解消に向けた持続可能な地域づくりに必要不可欠であるというふうに私も確信をしているところであります。
 一方で心配になるのは、やはりこのように大きく状況が変わる緊急に変わるような中で心配になるのは実施の地域づくりの主体となる市町が県のスピード感についてこれるかどうかということもあります。地域循環共生圏の形成には、その地域内の固有の資源を活用して地域間の個性から生み出される人、もの、資源などの循環やそこから生じる地域の対流による地域の活力を生み出していくことが重要だというふうに私は思っています。
 これは当然、一つの市町だけで完結することは難しくて各市町を横断する取組が必要となります。各市町に県の考えを理解していただき、環境の世紀と言われるこの二十一世紀にふさわしい持続可能な新たな地域社会を形成していかなければなりません。そのためには市町の自主的な取組を促すだけではなく、知事自らがリーダーシップを発揮していただいて市町を引っ張っていくことが必要であると考えます。
 加えて、第一期計画、第二期計画の数多くの事業採択とともに現在進行中の、先ほど知事からの答弁にもございました現在進行中の事業が多くあり、これらの完全実施を含めて着実な歩みを続けることが大変重要だと思います。
 幾ら高い理想がありましても、熱い思いがありましても、それが実行されて県民と共に苦楽を共にしてこそ本来の意味を持つというふうに私は思います。
 そこで改めまして、県全体で地域循環共生圏の形成をしていくため地域づくりの直接的な担い手となる市町の取組を促すための具体的な方策、先ほど一部御紹介が、ノンストップの窓口等もありましたが現行の市町との連携体制にこだわらない新たな体制整備の構築に向けての具体策についてもう少し細かく御答弁を頂ければというふうに思います。再質問をいたします。以上、答弁を求めます。
○議長(宮沢正美君) 天野政策推進担当部長。
○政策推進担当部長(天野朗彦君) 地域循環共生圏に関わる再質問にお答えをいたします。
 コロナ禍によりまして人々の生活が生活様式や働き方が大きく変化しまして、しかも深刻化するこの地球の気候変動危機によりまして、この危機は単なるエネルギー問題にとどまらずに環境問題にとどまらずエネルギー問題にとどまらず経済社会問題にとどまらず、あらゆる分野でパラダイムシフトに直面しているわけでございます。これを一年前倒しして地域循環共生圏に取り組むというのはこれに、この危機に対応するためでございます。そのとき先生が今御指摘がありましたとおり、これ県単独ではとてもできません。これは市町との連携、それからその都市部と農村部だけじゃなくて市の境を越えて、あるいは県境を越えてもですね、連携をしてこの圏域づくりといいますか地域循環共生圏をつくっていかなければならないのではないかというふうに考えております。
 この危機を乗り越えて将来の持続可能な発展をできるようにするための礎を築いていくという取組でございまして、今先生がおっしゃられたように市町とは既に現段階で地域循環共生圏に取り組むための各市町がまず持っているポテンシャルと、今地域で抱えている課題の抽出をですね、県と地域局、市町が入りまして今協議をしてその抽出をやっているところでございます。
 こうした中から、知事も御出席していただいておりますこの地域サミットで各首長さんたちからも共通のその課題も出てきておりますので、そういうものをうまくこう組み合わせていって地域、市町にとって、地域にとって何が一番大きな課題でありどういうところを一緒になって解決していかなければならないかというようなことをやっていきたいと思います。ただ単に県が計画策定費とか形成事業に対するインセンティブとしての補助制度をつくるというだけではなくて、県がまさに変革の主体となって市町や企業やいろいろ一次産業の農林水産団体、それに従事している皆さんと積極的に意見交換して、そういったステークホルダーの皆さんと一緒になってスクラムを組んでこれを実現していきたいというふうに考えております。
 それで、これがですね、その鍵になるのはやっぱり技術革新でございまして、ただ単に農村と都市部でもののやりとりをすればいいということじゃなくてその技術革新の非常に重要な部分がデジタル技術の実装化だということだと思います。
 そして先ほど知事からも御答弁がございましたが、今岸田政権で打ち出したデジタル田園都市国家構想はデジタル技術の実装化によってその地域の田園都市化を進めるということでありまして、地域であってもそれで発展の可能性が大いにあるというものでございます。本県はですね、市町あるいは企業などのステークホルダー、あるいは一次産業従事をしている皆さんと一緒になってこの国のデジタル田園都市国家構想のモデルケースをここ静岡につくっていくと、それがこの脱炭素とかコロナ禍とかこの危機を乗り越えて地域を将来にわたって安全・安心な地域をつくり上げていくその基になると、そのために今言いましたように市町とか関係団体としっかりとスクラムを組んでやっていきたいと思います。既にそれに取りかかっておりますが、さらに体制を強化して頑張ってまいりたいと思います。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 鳥澤由克君。
○四十番(鳥澤由克君) 御答弁を頂きましてありがとうございます。
 この事業をよく考えてみますと、フロンティアを拓く取組についてはいろいろ時の、時代の変遷とともにその果たすべき役割が大きく変わりまた目的も変わってくるというふうに思っておりますが、この施策の実現の後に確立されたこの世界を生き抜くのはやはり未来を、これから現在の未来を生き抜く子供たちでありますし若い世代であります。今を担う私たち一人ずつがその責任を果たさなければならないと確信をしているところであります。
 この事業が次世代のための礎となるよう祈念をして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(宮沢正美君) これで鳥澤由克君の質問は終わりました。(拍手)
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
 議事の都合により休憩します。
 再開は午後三時十分とします。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp