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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成22年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

伊藤 育子 議員

質問分類

代表質問

質問日:

07/12/2010

会派名:

自由民主党県議団


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について                     
 (1) 知事マニフェストの評価を踏まえた取り組み           
 (2) 事業仕分け                          
2 県の財政運営について                      
 (1) 今後の財政運営                        
 (2) 個人県民税の収入確保対策                   
3 富士山静岡空港について                     
 (1) 空港の機能の向上                       
 (2) 新幹線新駅の設置                       
 (3) 空港を核としたガーデンシティ構想               
4 指定管理者制度について                     
5 医科大学の誘致、設置について                  
6 障害のある方の支援について                   
 (1) 地域生活支援                         
 (2) 障害者働く幸せ創出センター                  
7 静岡茶の未来について                      
 (1) お茶の世界戦略                        
 (2) 多様なお茶づくり戦略                     
8 森づくりの推進について                     
 (1) 間伐材の活用                         
 (2) 森の力再生事業                        
9 企業局次期中期経営計画について                 
10 特別支援学校の今後の整備方針について              
11 高齢者の交通事故防止対策について



    ○副議長(岩瀬 護君) ただいまから会議を再開します。
     質疑及び一般質問を続けます。
     通告により、二十八番 伊藤育子君。
           (二十八番 伊藤育子君登壇 拍手)
    ○二十八番(伊藤育子君) 皆様こんにちは。私は自由民主党県議団を代表しまして当面する県政の諸課題について、知事並びに関係部局長、教育長、警察本部長に質問をいたします。
     質問に入ります前に、去る六月十八日、県立三ケ日青年の家において愛知県の中学生西野花菜さんのとうとい命が失われましたことに対し謹んで哀悼の意を表しますとともに、事故に遭われた皆様方の御回復を心よりお祈り申し上げます。またこれを教訓として二度と惨事を招くことがないよう県有施設の安全管理について万全を期すようあわせて要望いたします。
     それでは質問に入ります。
     初めに、知事の政治姿勢についてのうち、知事マニフェストの評価を踏まえた取り組みについて伺います。
     マニフェスト「静岡に“日本の理想”を創ろう!!」川勝平太の政策提言を掲げて川勝知事が当選されてから早いもので一年が経過しました。去る四月には初年度を総括する形でみずからのマニフェストについて工程表を作成され、その進捗状況を公表されました。私も資料を拝見いたしましたがマニフェスト九十六項目の九五%について「実施」または「進行中」とされており、知事就任から一年に満たない期間における進捗としては大変良好な状況と見せていただきました。川勝知事といえば行動力という評価が県民に定着しつつある中で、引き続き主役はオール県民の視点に立ちスピード感のある県政運営に取り組んでいただきたいと思います。
     さて一方で、マニフェストを作成された当時、学者川勝平太として外から見ておられた立場と内に入りそのトップたる知事として三百八十万県民の福祉に責任を担う立場とでは、おのずと差異が生ずることもあろうかと思います。このため実際の行政運営において知事就任後に経験された現実を踏まえ見直して取り組むべきと感じられることも当然あるのではないでしょうか。
     私は、政治家は発言した言葉に責任を持つことは当然と考えますが、マニフェストに掲げた事柄に拘束され現実や現場に即した県民本位の政策が展開されないとしたら本末転倒ではないかと考えます。重要なことは県民のためにどうなのかを評価基準とし、もし見直しが必要な場合にはその状況を県民に説明して理解を得ながら見直しへの取り組みを進めていくことではないでしょうか。
     新総合計画の策定に当たっては私どもも要望書を出させていただきましたが、就任後一年を経た現在の時点で知事は御自身のマニフェストに関して今後どのように対応されるのか、その所見を伺います。
     次に、事業仕分けについて伺います。
     昨年度、県で実施した事業仕分けですが、県民に大きな反響を呼びその後に実施された国の事業仕分けについても大きくクローズアップされました。今年度も県は静岡方式による仕分け第二段を九月に行うと発表しました。事業仕分けという手法で事業の必要性について公開の場で議論しチェックするということは、これまでにない斬新な取り組みであり特に県行政への関心の高まりという点では高く評価するものです。
     しかし、こうした事業のチェック機能というものはこの県議会の大きな役割の一つです。例えば決算特別委員会という委員会が設置されて前年度の事業が本当に効率的に執行されたのか、目的が達成されたのか、費用対効果はどうだったのかなどいろんな議論を行っております。事業仕分けの実施はいわば議会のそうしたチェック機能を軽視しているように受け取られるのですが、いかがでしょうか。
     県の予算事業は知事の施政方針を受けてそれぞれの施策に最も詳しい職員が組み立てたものです。それらの事業は予算編成において財政課などを中心に十分吟味されて構築されています。さらに県民の代表である私たち県議会議員も大いに議論して成り立っていると思っています。このように行政の専門家や県民の負託を受けた私たち議員の幾重にもわたる審議を通してできた事業を、外部の仕分け人や一般の県民に事前説明しているとはいえ、わずか三十分、実質二十分という短い時間で評価させるというのはこうした予算編成や議会の審議過程を軽視したものではないかと思います。
     私たちも議員という立場から県民目線でいろいろと考えまた現場を見たり話を聞いて、その上で県当局に提案もしてまいりました。事業の評価に当たっては議員からの意見、提案を最優先すべきと考えますが、事業仕分けと議会の関係について県当局はどのように考えているのか伺います。
     次に、県の財政運営についてのうち、今後の財政運営についてです。
     最近、ギリシャの財政破綻に端を発した欧州の経済危機等により債務残高とその管理に対する関心が高まっています。
     我が国の債務残高は平成二十二年度末の時点で国と地方を合わせて八百五十兆円を超える見込みであり、対GDP比では一九七%と先進諸国の中でも飛び抜けて悪い状況です。これは我が国が構造的な赤字体質であることに加えてまたまた赤字国債を大量に増発したことによるものです。
     さて、本県では他県に先駆けて平成十二年度から財政健全化に取り組み、通常債の県債残高については上限とした二兆円を下回っており将来的にも減少していく見通しが示されています。しかし国が大幅な財源不足にある中で地方交付税の身がわりとして地方に借金をさせる臨時財政対策債等を加えた県債残高は平成十四年度以降一貫して増加を続けており、平成二十二年度末には二兆四千八百億円余となることが見込まれています。臨時財政対策債は国の都合で地方が発行するものであり、その償還はすべて地方交付税で財源措置される約束になっていますが、現在の税収の動向や国の財政状況を考えますと今後も本当に大丈夫なのかと心配になってきます。
     臨時財政対策債を含めた県債残高が増加していく中で引き続き健全財政を堅持していくため、今後、本県の財政運営をどのように行っていくのか所見を伺います。
     次に、個人県民税の収入確保対策についてです。
     本年度予算では、景気悪化に伴う企業収益の減少等により税収は約三千七百億円となりましたが、これは当初予算比較では昭和六十三年度の三千九百三十億円以来、平成になって初めて四千億円を下回るという非常に厳しい事態です。歳出のスリム化と歳入確保努力により本年度は百八十七億円程度の財源捻出ができているということですが、自主財源である県税を確実に確保していくことこそが極めて重要と考えます。
     そして、民主党の言う「地域主権」、自民党政権下で長年使われてきた「地方分権」と実質的には変わるところはないと思うんですが、その実現には国からの権限と財源の移譲が欠かせないものです。その意味では自公政権下、平成十九年度に行われた国から地方への税源移譲にも大きな意義があったと考えています。
     この税源移譲は所得税から住民税へのシフトということですから、地方自治体にとっては確保すべき税額が増えたわけです。ところが県民だより六月号を見ますと税源移譲された個人住民税の滞納額が三百四十五億円で県と市町の滞納額全体の五四%を占めるとありましたし、昨年度の決算特別委員会の資料などを見てもせっかく税源を移譲をされた個人県民税が十分に確保されていない状況です。正直者がばかを見る世の中であってはなりません。
     地方分権を進めるためには移譲された税の確保が地方にとっての責務と考えますが、この責任を果たすため県としてどのように取り組んでいくのか伺います。
     次に、富士山静岡空港についてのうち、空港の機能の向上について伺います。
     富士山静岡空港が開港して一年が経過しましたが、この間、県と県民が一体となって需要の拡大に努力してきたことをまず評価したいと思います。開港一周年の報道番組では赤字問題がよく取りざたされましたが、年間六十三万人以上の方が利用していることを考えれば県のグランシップなどその他の公共施設と比較して優秀と言えるのではないでしょうか。
     とはいえ、やはり課題も明らかになってきています。一つはターミナルビルの使い勝手の問題です。搭乗前の保安検査で長く待たされること、待合いスペースが少ないことなど多くの声が寄せられています。富士山静岡空港においては、コンパクトな地方空港という特徴を生かしてすべてがさっとできる、すなわちお客を待たせないスムーズな利用ができる基盤整備が需要拡大につながると考えます。
     さらに、ビジネスジェットの受け入れ体制を充実することも必要ですし先ごろアシアナ航空から申し入れのあった国際貨物利用に向けた取り組みも重要です。また路線の拡大のためには成長を続けるローコストキャリアの誘致も当然考えるべきです。中国との交流二十五周年記念の際には春秋航空の社長さんが静岡空港に大変な興味を示していらっしゃいましたが、残念なことに県はLCCを考えていないということでこの話は進みませんでした。バッティングしない航路については考えてもいいのではないかと思います。格安航空で人々のライフスタイルも変わってきており今まで利用しなかった人がどんどんふえていくことが期待されますし、ローコストキャリア路線が充実すれば首都圏空港の一つとしての役割を担う空港へと発展することも夢ではありません。
     将来的には空港への管制官の配置や計器着陸装置の高度化――CATVへの取り組みなどによる一層円滑な離着陸の実現についても大きな課題です。今後、短期的、長期的な視点で空港の機能の向上にどのように取り組んでいくのか伺います。
     次に、新幹線新駅の設置についてです。
     静岡空港に新幹線新駅が設置されると空港利用圏域が飛躍的に拡大し首都圏空港の補完機能を果たすことができることを初め、より大きな効果が期待されます。
     昨年の五月、志太榛原・中東遠地域シンポジウムで講演された法政大学大学院の黒川和美教授は、新幹線品川駅と新横浜駅が直線距離にして十七・六キロ、走行時間十一分という例と比較して、空港直下の新駅と掛川駅との距離は十五・六キロ、現在バスで三十分かかるけれども新幹線なら十分で移動できるということを述べられました。また新駅が完成すれば三時間圏域が飛躍的に拡大すること、二時間圏域のポテンシャルについては羽田、成田、伊丹空港に次ぐ国内四位の背後地人口を有することになることを挙げて新駅設置を地域活性化の条件とされました。
     以前の質問の際にも、ルフトハンザ航空とドイツ鉄道が提携したエアレールサービスについて私お話しましたが、こうした例からもうかがわれるように航空と鉄道は決して敵対するものではなくて、それぞれの特徴を生かしてうまく絡み合えばお互いに共存共栄が可能で、旅行者にとっても周遊の幅が広がりますしさまざまな利便性をもたらすことになります。
     こうした中で、去る七月二日、国土交通省の交通政策審議会中央新幹線小委員会での沿線都府県のヒアリングにおいて、本県を代表して川勝知事がリニア中央新幹線の開通と同時に静岡空港新駅が開業できることを新駅設置費用の県負担も含めて提案されました。県民の長い間の熱い思いにきっちりとこたえられた知事の意気込みに拍手喝采を送りますし、新駅設置への大きな一歩を踏み出したと地元のさまざまな会合で大変な話題になりました。
     そこで、空港新駅の設置について改めて知事の所見と決意について伺います。
     次に、空港を核としたガーデンシティ構想についてです。
     今後、富士山静岡空港の効果を最大限に発揮し本県の産業振興や地域振興、さらには空港の利用促進等を図る上で本県が進めるべき地域戦略として、島田市が構想する大規模な多目的産業展示施設は、世界を静岡に招き入れ世界に静岡を発信するツールとして空港周辺整備に必要不可欠なものと考えています。こうしたことがもたらす効果は、空港周辺の地域にとどまらず県内全域に波及するものであり、需要の拡大をもたらすとともに経済面でも大きなメリットを発揮させることができると考えています。
     現在、富士山静岡空港の魅力を高める有識者会議の中でエアポート楽座などの整備を盛り込んだ空港周辺のグランドデザインが検討されています。エアポート楽座については第二ターミナルビルを拡張し、今度は公設公営で一階を楽座に二階はオフィス、三階をレストランにという地元住民の強い要望も伺っています。
     そこで、空港周辺地域のグランドデザインについて構想の計画の範囲と現在の進捗状況について伺います。
     次に、指定管理者制度についてです。
     本県で指定管理者制度を導入して以来七年目を迎えており、これまで四十四の公の施設に指定管理者制度を導入しています。私はこの件に関して一昨年の六月議会でその更新について質問しましたが慎重に対応しているとの答弁がありました。その後、その結果を伺いますとすべてが更新されたとのことでした。
     私は、会館管理業務のようなものについては積極的に指定管理者制度を導入し民間のノウハウを活用することによって利用者のサービスを向上させ、経費の節減を図っていく必要があると思っています。しかしながら今回事故の起きた県立三ケ日青年の家などの教育施設や公園といった利用者の安心・安全を第一に確保しなければならない施設については、制度導入に当たって二重にも三重にも判断した上で決定すべきと考えます。
     本県では、指定管理者制度を導入するに当たり管理形態についてどのような検討を行った上で決定しているのか伺います。
     次に、医科大学の誘致、設置についてです。
     本県の医療施設に従事する医師数は全国でも下から十番目に低い状況です。また診療科別で見ても特に産婦人科、小児科等において医師不足は大変に深刻です。こんな実情の中でも六十五歳以上の県民の入院受療率は大変に低く全国では下から三番目、一人当たりの老人医療費は低いほうから五番目、介護を要しない自立高齢者の割合は高いほうから四番目というように大変健康であり、病院の一般病床の平均在院日数は短いほうから二番目とこれまた質の高い医療提供を裏づけるようなデータです。
     こうした状況の中、知事は県の東部地域に医科大学を誘致するとの方針を示されました。全国の医学部の定員については、医師が過剰とならないように平成十五年度には七千六百二十五人まで引き下げられていましたが、昨今の医師不足問題を受け平成二十年度からは定員増が図られて本年度は過去最高の八千八百六十四人となっています。その一方で医学部の新設は昭和五十六年に開学した琉球大学以降、現在に至るまで全く認められていません。
     ところがつい先日、文部科学副大臣が大学医学部の新設を解禁する検討を始めるとの報道がなされました。これによれば文部科学省は厚生労働省などと医師養成のあり方を検討する場を設け新設を認めていない現在のルールのあり方を検討すること、また新設を認める場合でも既に医療系の学部を持つ大学に限ることとされています。これに関して県内私立大学の医学部等の設置検討という動きや東部地区では大学誘致のための署名運動が展開されるなど、県民の関心は一層高まっております。
     そこで、医科系の大学の誘致について今後どういう方向で進めていくのか、手法や場所等を含めて今後の方針を伺います。
     次に、障害のある方の支援についてのうち、地域生活支援について伺います。
     障害のある方を支援している御家族の日々の介護を初め将来に対する悩みや不安などを思うとき、何とかこの負担を軽減しなければという思いは私たちのだれもが持っていることと思います。介護保険ではケアマネージャーが高齢者とその家族の相談に乗りサービス利用計画をつくって、それをサービスにつなげていくという仕組みが確立していますが、障害のある方についてはその体制が十分整っていない状況にあります。またサービスの内容についても介護制度のように多様なサービスが用意されていません。
     障害を負うリスクはだれにでもあります。そのことを踏まえれば障害者が健常者と等しく権利を行使できる仕組みが必要です。ましてやユニバーサルデザインを標榜し「住んでよし 働いてよし」の理想郷ふじのくにというのであれば、当然障害のある方にとってもそうでなければなりません。
     これらのことから、相談支援体制とサービス供給体制の一層の連携強化が必要であると考えますが、県の所見と対応について伺います。
     また、障害のある方の地域生活の拠点として、御家庭のほかアパートやグループホーム、ケアホームなど暮らしの場を確保していくことが必要です。しかしながら特に精神障害のある方については地域で生活するために不可欠である住宅の確保が困難で大きな課題となっています。岡山県では、二〇〇八年度から五年間で社会的入院患者約千三百人の退院を目指し住宅関係者に精神障害のある方を理解していただくため、「不動産屋さん・大家さんのためのハンドブック」を作成し無料配布していると聞いております。
     また、うまく住居確保ができたとしてもその費用の問題も残ります。精神障害のある方にとっても「住んでよし」のふじのくにであるために県はどのような取り組みをしているのか伺います。
     次に、障害者働く幸せ創出センターについてです。
     五月二十一日に障害者働く幸せ創出センターが静岡市内の中心地呉服町にオープンしました。開所式には知事、副知事、教育長が出席され、知事の「複数の分野にまたがる調整やサービスのコーディネートを行うセンターの取り組みをオール県庁、オール静岡でサポートしていく」というごあいさつに対しては私も深い感動と心強さを覚えましたし、涙がとまらなかったという関係者の話も伺いました。
     この障害者働く幸せ創出センターの取り組みに関し、私は特に次の二点に期待を寄せて質問します。
     まず一点目は就労継続に対する支援です。就職は自立へのスタートであり障害のある方にとって就職も大変なんですが苦労して就職した仕事を続けていくということはそれ以上に大変なことで周囲のサポートが重要です。仕事を中途でやめることなく就業が安定するための支援を、県は障害者働く幸せ創出センターを活用してどのように行うのか伺います。
     二点目は授産製品の販路の拡大です。作業所でつくられる授産製品は現在、特定の場所でしか販売しておらずほとんどの人はその詳しい内容を知らないというのが現状です。秋田県ではコンビニのローソンと提携して、一部店舗において障害のある方が作業所で製造した日用品等の店頭販売を昨年の秋から始めました。また日本財団は、日本セルプセンターと連携して全国のすぐれた授産製品を「真心絶品」としてブランド化したショッピングサイトを立ち上げてネット販売を行っています。より多くの人に授産製品を知ってもらい販路を開拓することは平均月額一万三千円という工賃水準の向上に大変効果的と考えます。
     そこで、障害者働く幸せ創出センターを拠点として授産製品の販路拡大にどのように取り組むのか伺います。
     次に、静岡茶の未来について質問します。
     今年の三月三十日の茶の凍霜害は、県内茶園の六五%が影響を受け昭和五十四年の凍霜害にも匹敵する甚大な被害が心配されました。しかし茶農家や茶業関係者の懸命な努力により多くの茶園が見事な回復力を見せ、県全体では著しい減収は回避されたと伺いひとまずほっとしました。
     今回の凍霜害では、生産流通販売に至る茶業の様々な課題が浮き彫りになりました。県は現在、次期の茶業振興計画の策定の準備を進めているようですが、本当に茶農家の経営が安定し未来が明るくなる計画となるよう本気で取り組んでいただきたいと思います。
     まず、お茶の世界戦略について伺います。
     昨今の消費者のライフスタイルの変化や嗜好の多様化などで、一世帯当たりの緑茶の年間購入量が平成二十年に初めて千グラムを割るなど国内のお茶消費は相変わらず減少傾向にあります。一方で、海外では日本食レストランが二万五千に増加するほどの日本食ブームで緑茶が大人気となり、世界全体の緑茶の生産量は最近十年間で七六%増加しています。こうした世界のトレンドをにらんで今後は本格的に海外に目を向けた戦略が必要であると考えます。
     実際、今年の三月にサンフランシスコのJFCの役員をやっている私の友人からフィンランド航空とスイスの大手スーパー用のオーガニック緑茶を欲しいという話がありました。県の産業部の力もお借りして随分探したのですが、県内ではアメリカやヨーロッパ向けの有機認証を取得している生産者がほとんどなくてせっかくのオファーに対応できず、結局中国で調達してもらったということがありました。
     中国茶といえば農薬と私は思っていたのですが、数年前からいち早く世界対応しており現在ではヨーロッパの厳しい基準をクリアするオーガニック茶に完全に対応しているそうです。お茶の国内市場が縮小傾向にあるのは今始まったことではないにもかかわらず海外へ静岡茶を輸出している茶商工業者は少なく、静岡の茶業界の多くはいまだに世界で売れるお茶に対応していこうとする姿勢が弱いように思います。
     世界を視野に入れた本県の茶業振興に県ではこれまでどう取り組んでこられたのか、今までの世界の緑茶の中心地しずおかづくりの成果とこれからの世界戦略について伺います。
     次に、多様なお茶づくり戦略についてです。
     ことしの三月末に中国のお茶の視察に浙江省に行ってまいりました。中国茶は緑茶以外に青茶、黄茶、白茶、黒茶、紅茶があり、その種類が八百種とも言われているほど豊富なことは御案内のとおりです。またそれに加えそれぞれの産地、品種、製造の仕方があるので茶葉の形、味、香りはどれも違います。その中で銘茶と言われるものが百種類ほど存在すると現地で伺いました。さらに入れ方、茶器、喫茶の文化、銘茶にかかわる物語や歴史に至るまで徹底してお茶を売ろうとするそのしたたかさにいつものことながら感心してしまいます。
     翻って、日本の茶業の中心地である静岡県の状況を見ますと、最近では各地域で特徴のある品種が少しずつ導入されてはきたものの、嗜好品としてはバラエティーに欠け消費者が選ぶ楽しみが少なく、母の日や誕生日のプレゼントに素敵なお茶をなどという話は余り聞いたことがありません。特に生産の機械化が難しく生産効率が低い中山間地域では、平坦地と同じタイプのお茶を生産してはコスト競争において不利になるのは明らかです。
     私たちは、今後の静岡茶に活用するため浙江省と調整の上、銘茶の代表格であり日本にはまだ入っていないと思われる「安吉白茶」を調査してまいりましたが、今後の静岡茶の新しい商品づくりにぜひ活用していただきたいと思っています。
     そこで、世界も視野に入れたお茶の消費拡大のために多様化する消費者の嗜好に対応してお茶の商品づくりをどのように推進するのか伺います。
     次に、森づくりの推進についてのうち、間伐材の活用についてです。
     私は森林整備のボランティア活動にときどき参加するのですが、立派な丸太が転がっている間伐の現場をよく見かけます。地元の方によれば間伐材を搬出してもコストがかさみ赤字になるから放置されたまんまになっているそうです。
     戦後植林した杉、ヒノキ人工林の九割は既に三十六年生以上ですので間伐材でも十分木材として利用可能なのですが、その約六割が森林内に切り捨てられているとも聞きます。利用される木材と放置されている利用可能木材がほとんど同じ量だとも聞きました。もったいない話です。
     このような放置されている間伐材を搬出して木材資源として有効に活用することは、森林整備の動機づけとなって森林整備が進んで森林の公益的機能が高まりますし、また間伐材を搬出するための新たな雇用を農山村に生み出します。さらに搬出された木材は私たちの日常生活の中で木製品として二酸化炭素を長期に固定し続けるので地球温暖化防止を図る上でも重要な取り組みです。
     そこでまず、森林整備を推進するには間伐材の生産コストの低減を図ることが必要と考えますが、県の取り組みの現状と今後の見通しについて伺います。
     また、搬出された間伐材を有効に活用する仕組みが必要と思いますが、県の取り組みについてあわせて伺います。
     次に、森の力再生事業についてです。
     平成十八年度に森の力再生事業が導入された結果、今までの施策では対応できなかった荒廃した森林の整備が着実に進み森の力の回復の兆しがあらわれているようです。また従来は森林組合など林業のプロ集団に限られた森林整備をNPOや建設業にまで門戸を広げることで新たな森林整備の担い手をつくり出したことは、森の力再生事業の大きな功績の一つであると思います。
     私自身もこの事業に興味を持ちNPO里山どんぐりの会を立ち上げて、この事業に参画し荒廃している森林の再生にかかわっている一人です。社会経済環境の変化から森林所有者だけでは整備が困難な森林に着目したこの事業は、県の森林・林業施策の中でも特に有意義な取り組みだと思っています。また事業を実施した森林所有者からは、「今まで気になりながらも手をかけられなかった森林が生き返った」とか、「高齢化が進みますます手が入らない山がふえている。これから先もこの事業が続くことを願っている」など評価が非常に高いようです。
     本年度、県はタウンミーティングやアンケート調査で得た森の力再生事業に関する県民の意見、意向を集約して事業の継続や内容に見直しをかけていくということですが、県民からはどのような意見があり今後どのように対処していくのか伺います。
     次に、企業局次期中期経営計画について質問します。
     先ごろの新聞記事によりますと、厚生労働省が行った全国調査では全国の水道の主要な管路のうち耐震適合性のある管は約二八%にとどまっています。企業局が行っている水道用水供給事業では三四・六%、工業用水道事業では一六・三%の管路しか耐震適合性がないとのこと、耐震化がなかなか進んでいない状況と言えます。
     本年一月、静清工業用水道において送水管が破断する事故が発生し近隣の家屋が浸水被害に遭っただけでなく、二日間にわたって給水停止し工場等の操業停止という事態にもなりました。近隣の住民や受水する企業に対する事故原因の説明では昨年八月十一日に発生した駿河湾沖地震も影響している可能性もあるということでした。予想される東海地震が発生した場合、水道の供給停止は住民生活に大きな影響を及ぼします。北海道や新潟県の被災地の視察でも、「何といっても、まず水」ということでした。
     住民に対する水道水の供給は市町等の水道事業者ですが、その市町に水を供給する企業局の水道用水供給事業の責務も非常に重要と考えます。また工業用水の供給停止は企業の経営にも大きな影響を与えることになり、静岡県の経済活動はもちろん日本全国の経済活動に多大な影響が出るのは必至です。
     現在、企業局が所管する水道用水施設、工業用水道施設は、その多くが昭和四十年代前半に給水が開始されており適切な更新や維持管理が必要な時期となっています。あわせて近年の節水意識の高まりや水リサイクル技術の進展により水道用水や工業用水の需要は減少しており、今後の経営状況は厳しくなることが予想されます。
     企業局では、静岡県企業局中期経営計画に基づきすべてのユーザーの満足度日本一を目指しているとのことですが、この厳しい状況の中、水道等の施設の耐震化等を踏まえた次期中期経営計画をどのような方針で策定していくのか伺います。
     次に、特別支援学校の今後の整備方針についてです。
     県教育委員会は、小学校低学年への支援員配置、小学校高学年における理科専科教員の配置など学校教育関係の施策を拡充してきました。これらは教育的に大変効果が高いものと思っています。しかしながら知的障害者を対象とする特別支援学校の現状を見ますと、平成十八年に策定された基本計画によって整備が進められてはいますが、その後も在籍者数の増加が続いています。その結果、学校の大規模化、施設狭隘化の解消や児童生徒の通学負担の軽減はいまだに解決されていない地域があり、これらの改善への強い要望が出されています。
     さらに、肢体不自由者を対象とする特別支援学校では校舎等の老朽化が進むとともに、学校整備当初に比べ障害の重度・重複化や多様化が進んでおり、現場を見ればその対応状況は大変なもので抜本的な施設整備が必要です。ユニバーサルデザインを県政の基本方針に据え共生社会の実現を目指す静岡県において、障害を持つ子供たちにとっても「学んでよし」の教育環境でなければなりません。
     そこで、今年度新しく着任された安倍教育長は、現在の特別支援学校の課題をどうとらえどのように対処していこうとされているのか伺います。
     最後に、高齢者の交通事故防止対策についてです。
     平成二十一年中の県内における交通事故は、官民一体となった取り組みにより発生件数、死者数及び負傷者数がいずれも前年と比べ減少するトリプル減となりましたが、本年六月末現在の発生状況は前年と比べて死者数こそ減少はしているものの、発生件数、負傷者数ともに増加しています。また高齢者の関係する事故の件数や死者数も昨年を上回り、事故で亡くなられた七十六人のうち実に半数以上に当たる四十二人の方が六十五歳以上の高齢者であるなど高齢者を取り巻く交通情勢は厳しい状況にあります。
     県警では、さまざまな高齢者対策を推進していると聞いてはおりますが高齢者の関連する事故は後を絶たず、中には高齢者が運転する車が道路を横断している高齢者をはねてしまう事故など高齢社会の縮図のような悲惨な交通事故も発生しているようです。
     今後ますます高齢社会が進むと予想されている中で高齢者の交通事故を防止することは社会全体の重要な課題です。こうした状況を踏まえ高齢者に優しく安全な交通社会の実現に向け、高齢者の交通事故防止にどのように取り組んでいくのか伺います。
     以上、よろしくお願いいたします。(拍手)
    ○副議長(岩瀬 護君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 伊藤議員にお答えいたします。
     初めに、私の政治姿勢についてのうち、知事マニフェストの評価を踏まえた取り組みについてであります。
     みずからのマニフェストに掲げた事柄のみに拘束されて、現場に即した政策が展開されないといたしましたらば本末転倒です。県民の皆様のためにどれほど役に立っているのかを評価基準として必要ならば見直しも行うべきであるという県議の御指摘には、私も同感です。
     このため、去る四月に公表いたしました初年度の取り組みの中には、マニフェストでは「検討する」としていた例えば「県直轄事業に係る市町村負担金の廃止」といった項目に対しましてこれを前倒しして「一部実施」へと踏み込んだ項目があります。その一方で民間、市町の意向を再度検証いたしまして、マニフェストでは「光ファイバー網の普及率を二年以内に一〇〇%とする」としていたものをより現実的な目標に改めたものなどもございます。これは回線利用者の選択を考慮いたしまして「普及率」を「利用できる地域のカバー率」という言葉に修正したほか、そのカバー率として「平成二十五年度末八六%」といったような見直しをした項目もございます。
     加えまして、私が候補者としてやるべきであると考えました主な取り組みを掲げたマニフェスト、これは県民の声に対応したすべての施策を網羅しているものではありません。知事就任後に改めてその重要性を学んだ一つとして命を守る危機管理がございます。あるいはマニフェストに掲げた政策以外にも喫緊の課題である緊急雇用・経済対策、障害のある人の自立と社会参加など、今後さらに力を入れて取り組むべき県民本位の政策があるというふうに考えております。このため現在策定中の新しい総合計画におきまして、マニフェストの内容を含めて主役はオール県民の視点から必要な施策をすべて盛り込んでさらに具体化していくという考えに立っております。
     今後は、総合計画の策定過程、策定後の進捗管理を通して県民の皆様にその状況などをわかりやすくお示し申し上げまして、理解を得ながら取り組みを進めてまいる所存でございます。
     次に、事業仕分けについてであります。
     事業仕分けは、公開の場で外部の第三者や県民の皆様に県が実施する事業のそもそもの意義は何か、またその必要性は何か、実施主体の妥当性は適当かというようなことを説明し評価していただくものでございまして、業務を継続的に見直す、いわゆるプラン・ドゥー・チェック・アクションというPDCAサイクルのうちのチェックの一環として翌年度の方向性を決定する議論の前の段階で実施しているものでございます。
     事業仕分けでいただきました御意見、結果に関しましては、これらを踏まえて各部局におきまして再度検討を行い、最終的に私が判断いたしました上で必要に応じて翌年度の予算編成などに反映させてまいります。こうして編成されました予算案等につきましては、議会にお諮りをし審議をしていただいた上で最終的に決定されるということになります。
     このように事業仕分けは、議会における審議、決定という代表制民主主義のシステムをしっかりと維持した上で行われているものでございます。外部評価や県民参加という視点を取り入れた事業評価の一手法でございます。県民の皆様に県の事業を知っていただくとともに、県政への参加意識を高めていく上でも効果的な取り組みであります。事業仕分けにつきましてはその効用を今のように考えているわけでございます。
     ことしもやりますけれども、事業仕分け人は外からいらっしゃるということで、本県では棚卸し、PDCAサイクルやってるわけですけれども、例えば沼津で事業仕分けをなさろうという、本庁ではそれができる事業仕分け人がいるのが望ましいのではないかとも思っておりまして、事業仕分けのノウハウを全部そっくりいただこうという計画も持っておりまして、構想日本の中に人を送り込みまして他流試合をしっかりしていただいて本県の中に事業仕分け人も育成してまいりたいというふうに思っております。
     次に、富士山静岡空港についてのうち、新幹線新駅の設置についてでございます。
     富士山空港への新幹線新駅の設置は飛行機と新幹線が一体的に利用できるということになりますので、日本初の交通体系モデルを提供することになるであろうと思います。また富士山空港新幹線新駅ができますと首都圏や中京圏とのアクセスの飛躍的な向上も見込めます。そして新東名高速道路も一両年後には供用、少なくとも静岡県下におきましては供用可能でございます。そしてその整備とともに、御前崎港も重点港湾になりますと陸・海・空の交通ネットワークが志太榛原・中東遠に構築されることになります。これは本県全体の発展の核となるというふうに見ております。
     私はリニア中央新幹線の開業によりまして「のぞみ」の機能が移転するということでございますので、そのときと機を一にして空港新駅を開業するのが最もふさわしいというふうに考えております。そうした考えのもとに先日、国の中央新幹線小委員会においてその旨を強く要望してまいった次第でございます。
     しかし、新駅設置の実現にはJR東海の御理解を得ることが不可欠です。経営上必要な新駅の利用者が見込めるようにすることが何よりも重要だからです。このために交流人口の拡大が肝要でありまして富士山空港の利活用の促進、交流の基盤となる金谷御前崎連絡道路の整備、空港を核としたガーデンシティ構想の推進等により国内外から人々を引きつけ「憧れ」を呼ぶ“ふじのくに”づくりを積極的に今推進しているところでごさいます。
     このような形で現在六十数万の乗降客、百万人を超す見学客、それが二百万単位になりますと、そのような客観的な数字これはJR東海にお示しするにふさわしい数字であると思うのでありますがそれだけでも不十分です。やはりJR東海の経営者との信頼関係がないといけないと。現状のようなややルーズ・ルーズの関係はまずいと思いまして両者がウイン・ウインの関係になり得るということを第三者の目で見ていただけるように委員会も設置いたしまして、空港新駅の持つ可能性、将来性、こうしたものについて客観的な御判断をいただいた上で信頼関係を構築して、新幹線新駅を二〇二五年から七年ぐらいのころに新幹線新駅ができるように推移してまいりたいと。
     そうしますと長泉まで――仮に三島から乗っていただければ――三、四十分乗っていただければそのまま空港に上れるということですね。ですから東部の人も、浜松の人も浜松駅から新幹線駅まで二、三十分ということになりますね。そしてまた今、議員が新横浜と品川駅ですかと言われましたが三島と熱海も十六キロぐらいですね。ですから掛川と新駅との間も十六キロ弱でございますので特段にそこが短いというわけでもありません。またJR西日本の三原駅に近い駅では十一、二キロのところもございますね。ですので決してそこだけが近いというわけでもないわけでございます。十分に見込みがあるというふうに思っております。
     次に、指定管理者制度についてであります。
     指定管理者制度を導入するに当たりましては、従前の施設の管理運営状況について点検した上で、業務の専門性、施設利用の公平性、利用者の満足度、運営の効率性、そして当然利用者の安全性などさまざまな観点から県民サービスの質の向上を図るとともに、適正かつ効率的な運営が可能かどうかなどを検証して最も望ましい管理形態を選択するということとしております。したがいまして検討の結果、施設によっては制度の導入に至らず引き続き県が直営で管理運営するところもございます。
     また、指定管理者を選定する場合には、申請者の事業計画などを多面的に評価するため行政関係者のほか外部委員を含む評価委員会等を設置いたしまして、外部の視点も含めてさまざまな観点から審査を行っております。さらに指定管理者制度を導入している施設が指定を更新する場合におきましても制度導入の効果を検証の上、施設の設置目的に立ち返り民間の創意工夫が生かせるかなどゼロベースから検討を行っております。
     今回の三ケ日青年の家における事故にかんがみまして直ちに各施設の安全管理体制などの検証及び見直し、さらには事故を想定した訓練の定期的な実施、検証などを指示したところでございます。
     一方、指定管理者制度自体につきましては、制度導入から六年が経過しておりますことからこれまでの成果と課題を検証するとともに、制度の運用のあり方につきまして今年度立ち上げましたふじのくに行財政革新戦略会議において検討してまいります。
     次に、医科大学の誘致、設置についてであります。
     現在、国におきましては厚生労働省が必要医師数実態調査を行っています。この結果等を踏まえて国として医師不足問題にどのように対処するか検討を行っていくものというふうに考えております。
     医学部の新設につきましては、その一つの方法として文科省が関係省庁と協議の上、何らかの方針を示されていくと思われますけれども、その時期や方向性は今のところまだ明らかではございません。最近、文部科学副大臣が医学部の新設を解禁していない現在のルールのあり方を検討する考え、これを明らかにされました。そこからこれまで以上に国の動向を注視するとともに、県議会を初め関係する方々の御意見を伺いながら実現に努力してまいります。
     県といたしましては医科大学の設置について私立大学の誘致を基軸に考えております。設置場所につきましては、県東部地域の中で駅に近く、学生や教職員の方々が居住するわけでございますから街のにぎわいが創出されるような場所がふさわしいであろうと考えております。それからまたその面積ですけれどもやはり高校の二倍ぐらいの広さが要ります。五ヘクタールというのが高校の基準ですけれども十ヘクタール前後が要るということでございます。こうした考えのもとで複数の大学、病院関係者と直接お会いし設置の可能性を探っています。
     つい数日前も二カ所ぐらい、十ヘクタールをはるかに超えるところを回っております。もっともそこが候補地になるかどうかは相手のあることでございましてなかなかすぐにはいかないと。また私立大学のトップともこれも一週間ほど前にお話をしているところでございますが、ともかく病院と大学というのはお医者様と医学部を卒業した学生さんとの関係がありまして、こちらに病院があるからこちらに大学をつくればいいというものではございませんで病院の先生と大学との密接な関係というものを踏まえた上でなされる、決定しなくちゃなりませんので、今絞り込んではおりますけれども、私のほうとしましては国の動きを待たないで、あるいは国が医学部設置を認めるときにはもうすぐに行動が起こせるような、そのようなつもりでいずれ明確にお答えできる日が早く来るように願っているところでございます。
     次に、静岡茶の未来についてのうち、お茶の世界戦略についてであります。
     県では、世界の緑茶の中心地しずおかづくりに向けまして二〇〇一年に世界緑茶協会を設立いたしました。また世界に先駆けた国際的な茶の総合イベント世界お茶まつりを開催するなど国内外への積極的な情報発信を始めるとともに、この十年間で世界十カ国の国際食品見本市へ出展し静岡茶の販路拡大を図ってまいりました。
     また、これまでに三回開催いたしました世界お茶まつりでは海外三十四カ国からも約一万人の茶業関係者や研究者などがお集まりいただきまして、世界緑茶協会のホームページには海外からも一日当たり何と約七百件のアクセスがございますなど世界に向けた情報発信が着実に進みつつあります。
     このような県の取り組みにあわせ県内の茶商などが緑茶の輸出に積極的に取り組んだことにより、輸出量はこの十年間で約三倍に増加いたしました。今後、日本茶の消費が著しく伸びるであろうと予想されるアメリカ、また緑茶の人気が高まっている韓国などへ輸出促進に向けて取り組んでまいります。
     今年十月に開催し二十八の国・地域から十万人の参加を見込む第四回世界お茶まつり二〇一〇では、世界からバイヤーが集まる商談会、現代の生活スタイルに合ったお茶の楽しみ方の提案、効能など世界最先端の研究発表などを行い、お茶に関する人・物・情報を静岡に集積させ世界の緑茶の中心地しずおかを世界に発信してまいります。
     と申しましたがまだ本県の静岡茶業、あるいは静岡茶の国際化というのは不十分です。言いかえますと相当に可能性があるというふうに見ております。これは県全体について言えるかもしれませんけれども比較的出不精になりがちな、温暖で住みよいところでございますので、したがって学校の先生、それから茶業関係者を含め県民全体の方々が中国の茶の、先生のように現状を見て、そしてそこから本県のよさを発信する工夫をしていくというようなことが求められると思います。
     私もそれを痛感しておりまして韓国でも中国でもさらにアメリカでもこれからその大きな人口が日本の西側、東側にありますし、先生御指摘のように日本食、これが健康ブームに乗って世界的に広まっておりますのでこれに合う日本茶、緑茶を推進してまいりたいと。この間も菅総理がサミットでオバマ大統領が緑茶アイスが好きだと、抹茶アイスが好きだということを言われてオバマ大統領大変うれしそうに菅氏とほほえまれたそうですが、私はオバマ大統領だけでなくて……。緑茶これがしっかりと科学的にどういうものに効くか、しかもお茶も幾つもの種類がございますからそれぞれの種類に応じてその効用が違うんです。腹を、何て言いますか、腰回り小さくする言葉――メタボを下げるとか、それぞれ、「やぶきた」だ何茶だということで効用が違います。
     本県では「やぶきた」一本にどちらかというと特化しているようにも見えますので、そうした科学的な調査をしっかりと踏まえて、それを研究するための機関もあわせてしっかりと備えつつきっちりと科学的な調査を踏まえて発信していきたいということでございまして、私どもはこのお茶の発信につきましては、茶価の決定の仕方についても改めて検証することを通じて静岡茶の内外に向けての発信に今年度から特に力を入れて、チーム川勝として取り組んでまいりいたいというふうに思っているところでございます。
     なお、その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁申し上げます。
    ○副議長(岩瀬 護君) 丸山経営管理部長。
           (経営管理部長 丸山康至君登壇)
    ○経営管理部長(丸山康至君) 県の財政運営についてのうち、初めに今後の財政運営についてお答えいたします。
     本県財政は、平成十二年度以降県独自の健全化目標を設定し財政運営を行っており、平成二十年度の決算におきましても財政健全化法の健全化基準、これをすべてクリアするなど健全性を確保しております。しかしながら三位一体の改革による大幅な地方交付税の削減以降、リーマンショック後の大幅な景気後退も相まって地方全体の財源不足額は年々増加しており、地方交付税も原資となる国税収入が減少し必要額を確保できないことから臨時財政対策債の発行額は増加の一途をたどっております。
     本県におきましても、県みずから発行量をコントロールできる通常債は健全化目標を堅持しておりますが、地方交付税の身がわりである臨時財政対策債の発行は年々増加しており県債残高総額を押し上げる要因となっております。
     県といたしましては、引き続き健全財政の枠組みを堅持しつつ必要な県民サービスを確保するため、静岡型事業仕分けを活用した事業の見直しなどによる歳出のスリム化を初め、市町と協働した税収の確保や未利用財産の売却など歳入の確保に取り組むとともに、持続可能で予見可能性の高い地方税財政制度の構築を国に働きかけてまいります。
     次に、個人県民税の収入確保対策についてであります。
     平成十九年度に税源移譲されました個人県民税の滞納額は年々増加しており、平成二十一年度決算における県税の滞納額百九十四億円のうち個人県民税は百五十二億円で全体の約七八%を占めるなど深刻さが増しております。個人県民税は、制度上、個人市町村民税とあわせて市町村が課税と徴収を行っておりますが、その滞納額の増加は県と市町がともに重点的に取り組む課題であると認識しております。
     県といたしましては、市町に対して静岡地方税滞納整理機構への徴収困難事案の移管を働きかけるとともに、各地域の個人住民税対策協議会の活動を通じて徴収及び滞納抑止の対策を講じてまいりましたが、昨年度、市町とともに設置いたしました地方税徴収対策ワーキンググループ、この検討結果を踏まえ今年度はより実践的な徴収対策のノウハウの普及に取り組むこととし、県と市町との徴収職員の人事交流も五市に拡大したところであります。
     さらに、本県では、事業所等が特別徴収義務者として従業員の毎月の給与から税金分を天引きして市町村に納入する特別徴収制度の実施率が低いことが、滞納額増加の一つの原因と考えられております。
     そこで、法令遵守と納税者の税負担の公平性の確保の観点から県内のすべての市町で特別徴収義務者の指定促進に向けた取り組みを行うこととし、下田財務事務所管内の市町は先行して平成二十三年度に、その他の地域では平成二十四年度に特別徴収義務者の指定を徹底することを目標に、現在、制度の周知を図るとともに市町との調整を進めているところであります。
     今後とも、市町との連携を強化し個人県民税の収入確保対策に積極的に取り組んでまいります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 岩ア静岡県理事。
           (静岡県理事 岩ア富夫君登壇)
    ○静岡県理事(岩ア富夫君) 富士山静岡空港についてのうち、空港の機能の向上についてお答えいたします。
     社会資本としての富士山静岡空港を大いに活用していただくためには、空港の利活用促進に取り組むとともに、議員御指摘のとおり空港機能の向上に取り組むことも大変重要であると考えております。
     このため県におきましては、空港の利便性向上を図るため開港後に設置した富士山静岡空港の魅力を高める有識者会議や知事を本部長とする富士山静岡空港利活用戦略本部会議を中心として全庁的に取り組むとともに、実務者で構成する空港利用者満足度向上検討会や空港関係機関で構成する連絡会においてターミナルビルを含めた空港関連施設の使い勝手の改善について鋭意取り組んでいるところであります。
     具体的には搭乗待合室、ロビーへの座席の増設や保安検査場における待機時間縮減に向けた検査手法の工夫等、開港以来、順次改善に努めてきたところでありますが、引き続き空港運営のパートナーであります富士山静岡空港株式会社との連携のもと利便性の向上に努めてまいります。
     空港機能の向上策といたしましては、駐機場の混雑解消を目的として三スポットの増設工事に着手することとしており、さらには空港の運用時間を十三時間に延長するための所要の手続を進めているところであります。中長期の課題としましては、より確実な飛行の定時性の確保やスムーズな離着陸を可能とすることが重要であると認識しており、現在、他空港の事例研究を初め関係機関からの情報収集に努めているところであります。
     今後とも、富士山静岡空港が我が国における特色ある地方空港として発展していくことができるよう、空港機能の向上について積極的に取り組んでまいります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 出野文化・観光部長。
           (文化・観光部長 出野 勉君登壇)
    ○文化・観光部長(出野 勉君) 富士山静岡空港についてのうち、空港を核としたガーデンシティ構想についてお答えいたします。
     空港ガーデンシティ構想はお茶をキーワードに空港周辺の魅力を一層高めることによりにぎわい創出と空港利活用の促進を図るものであり、現在、富士山静岡空港の魅力を高める有識者会議において御検討いただくとともに、島田市、牧之原市、吉田町の地元関係者から成る地元検討会を開催し幅広く御意見を伺っているところであります。
     この構想では、空港を核として旬の農産品をそろえた特産品直売所とカフェを兼ねたエアポート楽座を中心とする空の道――エアポートロード、県内有名茶産地のお茶を味わい憩えるあずまやを備えた散策路としての茶の道――ティーロード、蓬莱橋、島田の川越遺跡、金谷の石畳坂などの史跡とお茶の郷などの既存施設を結ぶ風の道――ウインドロードに加え空港周辺と吉田公園を結ぶ海の道――オーシャンロードなどを検討しております。また計画範囲につきましては東を吉田公園、西は旧東海道金谷宿の石畳坂までと当面位置づけたところであります。
     今後とも、有識者会議や地元検討会での議論を深め中核施設のエアポート楽座の整備などについての基本方針を秋ごろまでには取りまとめ、陸・海・空の交通ネットワークと多彩な地域資源を生かしたふじのくにの玄関口にふさわしい、国内外との交流を促進する魅力的な地域をこの周辺において創造してまいります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 石川健康福祉部長。
           (健康福祉部長 石川俊一君登壇)
    ○健康福祉部長(石川俊一君) 障害のある方の支援についてのうち、初めに地域生活支援についてお答えをいたします。
     障害のある方が地域で自立して暮らしていくための支援は、日常生活の介護にとどまらず住まいの場の確保や就労、社会参加へ向けた支援など非常に幅広いことから、一人一人のニーズに応じた形でサービスをコーディネートする相談支援事業の役割は大変重要なものと認識をしております。
     障害者自立支援法では、介護保険制度と異なりサービス利用計画の作成は重度障害のある方に複数のサービスを提供する場合などに限定されており、障害のある方のニーズと事業者が提供するサービスをつなぐシステムとしては十分でなく制度的な課題があると考えております。このため県では、国に対してサービス利用計画作成対象者の拡大を働きかけるとともに、相談支援従事者の計画的な養成や現に相談支援に従事している方のスキルアップ研修など県全体の相談支援体制の強化に努めているところであります。
     暮らしの場の確保についてでございますが、県ではグループホームなどを整備する事業者に対して建設費や民間アパート等を借り上げる際の敷金、礼金を助成し住まいの確保に努めております。あわせて仲介業者や家主の精神障害のある方への一層の理解が必要であることから、今般、県宅地建物取引業協会沼津支部の協力をいただきまして初めて障害のある方との交流会を実施したところであります。今後はこうした交流機会を県内に拡大してまいりたいと考えております。
     経済環境が厳しい中、今後ともグループホームなどの利用者の収入確保のため就労促進や工賃収入の増額を図るとともに、国に対して家賃補助など住居費の負担軽減を要望するなど精神障害のある方の暮らしの安定に努めてまいります。
     次に、障害者働く幸せ創出センターについてであります。
     障害のある方が安定した就労を続けるためには雇用先の理解が何よりも重要でありますことから、障害者働く幸せ創出センターでは下請業務受注、就労先、実習先の開拓など福祉と産業界をつなぐ取り組みを通して障害のある方の働く意義や雇用事例等の情報を伝え、企業の雇用に対する理解を深めてまいります。
     また、労働、福祉、教育を所管する各部局がセンターとかかわっている利点を生かし直接の就労支援を担う障害者就業・生活支援センターや福祉作業所、特別支援学校等の関係機関との情報交換や研修を行い就労継続の支援強化につなげてまいります。
     授産製品の販路拡大につきましては、東・中・西部の直営販売店を拠点といたしましてショッピングセンターや観光施設、工場等の協力のもと、販売コーナーの設置や各地で開催されるイベント等への出展により多くの方に知っていただくほか売り上げ傾向を分析し作業所等へ還元することで品質向上や新製品の開発につなげてまいります。
     また、センター内に三百点以上の授産製品を展示して顧客用の景品や記念品等の商談に利用したりインターネットによる製品紹介や販売等により販路拡大に努めるなど、今後とも障害者働く幸せ創出センターの機能を積極的に活用しながら障害のある方の工賃水準の向上に取り組んでまいります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 堀川経済産業部長。
           (経済産業部長 堀川知廣君登壇)
    ○経済産業部長(堀川知廣君) 静岡茶の未来についてのうち、多様なお茶づくり戦略についてお答えいたします。
     お茶の消費拡大を図るためには、気象や地形、蓄積された技術など本県の持つ場の力を最大限に生かし国内外の多様な消費者ニーズに対応した魅力ある商品を開発し提供し続けていくことが重要であります。このため今年度からは新たに本県でしかつくることのできない味や香り、色や形に特徴を持った個性ある百銘茶づくりを進めております。
     既に意欲ある若い生産者たちによって中山間地域の冷涼な気象を生かしてじっくり発酵させたほんのり甘いお茶づくりなどが始まっており、この十月に開催する世界お茶まつりなどでこれらのお茶を国内外からのお客様に味わっていただくこととしております。また今月二十二日には牧之原において静岡文化芸術大学の熊倉学長のお茶の話と本県の風土と技がつくり出した銘茶を楽しむ会を開催するなど、静岡らしいお茶会にふさわしい銘茶づくりを積極的に進めてまいります。
     今後も本県のお茶にかかわる場の力を最大限に活用し多様なお茶の商品づくりを積極的に推進することで、新たな需要の創出を図り茶の消費拡大に努めてまいります。
     次に、森づくりの推進についてのうち、間伐材の活用についてであります。
     間伐材の生産コストの低減を図るためには小規模で分散した森林の集約化、高性能林業機械の導入、作業道の整備などによる効率的な生産システムの普及が必要であることから、県では富士市や北駿地域において集約面積が二百ヘクタール以上の規模の先進的な取り組みを支援をしており、さらに全県に普及するため本年二月に静岡県集約化推進に係る基本指針を策定したところであります。
     これらの取り組みにより伐採した木材をすべて搬出することで、生産性を大幅に向上し、真っすぐな木材は柱材、これまで林内に残されていた曲がった木材は合板や集成材などの加工用、それ以外はチップにするなどすべて利用することとしております。県は昨年度、森林組合などの林業事業体と木材流通業者の連携により曲がった木材など間伐材を宮城県の工場に直送しそこで加工した合板を県内で流通させる仕組みづくりを行い、この六月から静岡県産材一〇〇%合板の供給が始まっております。
     今後は、県産材が木造住宅の建設などに幅広く利用されるよう、県内全域への低コスト木材生産システムの普及や生産性の高い製材工場の整備などを積極的に支援してまいります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 森づくりの推進についてのうち、森の力再生事業についてお答えいたします。
     本事業は、もりづくり県民税を財源として荒廃した森林の整備を十年間で行うもので五年目を迎える今年度末には全体計画一万二千ヘクタールのうち約六千ヘクタールの整備を終え、下草や若い広葉樹が表土を覆うなど荒廃した森林の回復の兆しもあらわれているところであります。
     森の力再生事業の前期計画が今年度で完了することから、後期に向けて事業継続の是非や事業のより効果的な進め方について広く県民の意見を伺うため、タウンミーティングとアンケート調査を四月から六月にかけて実施してまいりました。県内二十八カ所で開催したタウンミーティングでは九割の方が事業の継続に賛成しており、また主な意見としては手入れの行き届かない竹林等の整備の拡大や事業採択要件の緩和などがありました。また昨年実施した県政世論調査に加え事業の是非などさらに精度を高めるため県民五千五百人を対象に実施したアンケート調査では、約千八百人から回答が得られ七割の方から事業継続に賛成の回答をいただきました。
     県といたしましては、事業を継続し全体計画の残りの六千ヘクタールの荒廃した森林の整備が必要と考えており、これまでのタウンミーティングやアンケート調査に加え市町や商工団体などの意見も八月中に集約し、今後の事業の推進について効果や運用方法などを含めさまざまな観点から検討してまいります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 小泉企業局長。
           (企業局長 小泉英五郎君登壇)
    ○企業局長(小泉英五郎君) 企業局次期中期経営計画についてお答えいたします。
     企業局では、東海地震発生後においては水道施設の給水機能の早期確保と破損等から起こる二次災害の防止を基本方針として、被災後の復旧に長い時間を要する重要度の高い管理施設、浄水場、水管橋など基幹施設の耐震工事を進めてまいりました。
     管路につきましては、東海地震の被害想定に基づき復旧用の資材を備蓄し早期復旧を図ることとしてまいりましたが、基幹施設の耐震工事がほぼ完了いたしましたので、今後は緊急度、重要度の高い管路から耐震化を進め対処療法的な対応から予防保全的な対応に重点を移してまいりたいと考えております。
     現在、策定作業を進めている次期中期経営計画では、持続可能な経営基盤、サービス提供体制の確立を経営理念とし、安心・安全の追求を基本方針の一つとして事業運営を行っていくことを考えております。次期中期経営計画の収支見通しでは、企業局の経営環境は今後さらに厳しくなることが予想されますが、管路につきましては腐食の進行状況などを調査し最適な時期に効率的な投資を行っていくアセットマネジメントの手法を導入して耐震化を進めてまいります。
     企業局といたしましては、予想される東海地震発生後においても水道用水や工業用水を安定的に供給できる経営体制の確立を目指してまいります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 特別支援学校の今後の整備方針についてお答えいたします。
     県教育委員会では、平成十八年に策定しました基本計画に基づき特別支援学校の整備にスピード感をもって対応し、平成二十年度から本年度までに本校二校、分校三校を開校し、さらに三つの学校において校舎増築を行い、現在は来年四月に向け高等部の分校三校の開校準備を進めております。
     しかしながら、基本計画策定後も特別支援学校では児童生徒数の増加が続いており、議員御指摘のとおり、知的障害者を対象とする特別支援学校の大規模化、施設狭隘化や通学負担、さらには肢体不自由者を対象とする特別支援学校の老朽化への対応が大きな懸案となっております。
     障害のある子供たちに対し可能な限り身近な地域においてより良好な教育環境を提供することは、教育施策の中で大変重要な課題であると認識しております。一人一人の子供の幸せがその子を見守り応援してくれている家族を初めとした何人もの方々の幸せにつながっているということを思うと早急に取り組むべきとの意を強くしております。
     現在、県教育委員会では、今後の県立特別支援学校の施設整備に向け基本計画に続く新たな計画の策定に取り組んでおり、特別支援学校におけるより充実した教育の実現を目指してまいります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 安村警察本部長。
           (警察本部長 安村骼i君登壇)
    ○警察本部長(安村骼i君) 高齢者の交通事故防止対策についてお答えいたします。
     議員御指摘のように高齢者を取り巻く交通情勢は非常に厳しいものがございまして高齢者が関係する交通事故は現在年々増加傾向にございます。警察では高齢者の交通事故防止を本年の最重点と位置づけまして関係機関・団体と連携した取り組みを行っているところでございます。
     具体的な取り組みでございますが大きく三点ございまして、一つ目は高齢者に対する交通安全教育の推進であります。高齢者事故を防止するには高齢者の方に加齢に伴う身体機能の低下が歩行や自動車の運転に及ぼす影響について理解してもらうことが肝要でありますので、交通診断機器の活用、反射材の効果を体験する実験等による参加・体験・実践型の交通安全教育を実施しております。
     二つ目は、交通安全施設の整備についてでございます。信号灯器のLED化や交通規制標識の大型化、高輝度標識の導入による視認性の向上、歩行者が安全に横断できる歩車分離式信号機の導入や道路管理者と連携した横断歩道への照明の設置など高齢者事故防止に効果のある交通安全施設の充実、整備に努めているところであります。
     三つ目は高齢者事故の原因となっている違反に対する指導取り締まりの強化についてです。高齢者事故の主な原因となっている横断歩行者妨害、交差点関連違反等の指導取り締まりを強化するとともに、高齢運転者標識の表示促進と表示車両に対する保護義務の周知徹底を図っているところであります。
     この高齢者の交通事故防止については警察として最善の努力を尽くしているところでありますけれども、ひとり警察の力だけで達成できるものではありませんので今後も市町や関係機関・団体と連携した総合的な高齢者事故防止対策を推進してまいりたいと考えております。
    ○副議長(岩瀬 護君) 二十八番。
           (二十八番 伊藤育子君登壇)
    ○二十八番(伊藤育子君) 御答弁ありがとうございました。
     まず一つ目、事業仕分けについて再質問いたします。
     仕分け人の育成ということを知事、御答弁くださいました。私はその仕分け人について非常に疑問を持っているわけです。と申しますのは昨年のあの事業仕分けに立ち会わせていただきまして仕分け人の仕分けが必要だなというふうに思ったところでございます。
     というのはこの仕分け人というのは、例えば今年の場合は知事の施政方針をきちっと理解し知事の熱い県づくりへの思い、そしてそれに基づく施政方針をきっちりと理解してその上で事業が見分けられるというふうな……。その事業に関する、それからその背景もあるわけですね。県民の思いもあるわけですね、そういうふうな事業の。それからそれに対する今度は議員の過去の審議の経過もあるわけですね。というふうなことを理解された上でそして切るものは切ってほしいというふうに思うわけなんですがどうもそういうわけにはいってなかったと。ですから本当のことを言えば、一回不要、廃止となったものでも、別な形を変えて別の名前で復活というふうなことも必要になってくるわけです。
     というふうに考えますとこれは仕分け人を育成されるのもよろしいのですが、仕分け人をどういうふうな方にお願いするのかというふうなことが大変大事だというふうに思ってます。新たに静岡方式の中に有識者を入れるというふうな項目がございましたけども、どのような有識者をこれから新たに入れることが静岡方式になるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
     それから二点目なんですがグランドデザイン、ガーデンシティ構想の件です。最終的には秋ごろまでにまとめるというふうな御答弁をいただきました。ということは逆に島田市は多目的産業展示施設について秋ごろまでにとにかく宙ぶらりんの形で待っていればよろしいということなのでしょうか。というのは過去二年間、島田市は県との役割分担において土地の収用、それから整備に多大な予算とそれから人材を投入してきたわけですね。そしてその結果、今非常に言ってみれば生殺しの状態で待たせられているわけなのですが、これについては地主との話し合いももうつけて用意すべき土地は用意してあるわけですね。それについて秋ごろまでに待てば結論が出るということでそれまで待てということなんでしょうか。それから範囲につきまして大井川流域、金谷というふうにおっしゃいましたけどガーデンシティ構想に基づくグランドデザインというふうに考えますと、金谷のみならず川根本町あたりまで入れていただけないかなというふうな思いを持っているんですがいかがでございましょうか。
     それからもう一点、お茶です。お茶の世界戦略なんですが、そっちこっちアメリカなりシンガポールなり何なり見てみますと、世界の緑茶の中心地しずおかというよりは世界の緑茶の端っこしずおかというふうな感じなんですね。知事がおっしゃいましたとおりこれからど真ん中に出るのかなあと思うんですが、そのためには私は世界の緑茶に対するニーズをきちんとつかまえる必要があるだろうと。こちらからあるものをどんどん発信するだけではなくてニーズをつかまえないとどうも今回のオーガニック緑茶みたいなことになるのではないかと。ということなんですが世界のニーズを調査するということをやっていらっしゃるのかどうか。以上、再質問いたします。
    ○副議長(岩瀬 護君) 丸山経営管理部長。
           (経営管理部長 丸山康至君登壇)
    ○経営管理部長(丸山康至君) 事業仕分けに関する再質問にお答えをいたします。
     議員御指摘のとおり、確かに事業を予算化するということにつきましては、いろんな背景、思いが当然あってできているものだというふうに思います。ですからそのことを決してないがしろにするということではもちろんないわけですけども、ただそれがあるおかげである意味でしがらみにとらわれてしまうということも物によってはあるんではないかというふうに考えてます。そういう意味からするとそういうことのない第三者的な仕分け人ということの意見を聞くというのも一つの意味があるんではないかというふうに思ってます。
     しかしながら、それはやはり先ほども知事から答弁ありましたように、絶対なものではなく一つの意見であるということでございますので、それを十分踏まえて部でまた再度検討すると。それをさらに財政当局のチェックも受け知事の判断を仰いで最後はまた議会の皆さん方のチェックを受けるという形でやっていきたいと思いますので、先生が先ほどおっしゃいました不要とされたものであっても復活というようなことも十分あるんではないかというふうに考えております。
     したがいまして、仕分け人の構想日本が持っているノウハウこれを何らかの形で県の職員の中に取り込むということも一つのおもしろい試みだというふうに我々は考えておりまして、今そんな方向で働きかけをしたいなあというふうに考えております。
     それからもう一点、有識者を入れるということについてでございますが、これについては例えば教育の分野なんかも今度は仕分けの一応対象になるわけでございますけども、そういうものについてはやはり非常に高い見識も特に必要でしょうしそれからいろんなことを御理解いだたいて、しかも経費の効率的な使用という点も含めて見識のある人を選びたいというふうに考えておりますけども、一つの例としてはリーディング・アドバイザーというのを既に何人か委嘱をしてございますのでその中でその分野の適当な方をチョイスをして充ててくというような方向で今検討をしております。以上でございます。
    ○副議長(岩瀬 護君) 大須賀企画広報部長。
           (企画広報部長 大須賀淑郎君登壇)
    ○企画広報部長(大須賀淑郎君) 島田市には旧金谷中学校の跡地とそれからその周辺の土地の取得につきまして大変御苦労をおかけしているところでございます。さきの答弁にもございましたとおり現在、空港の魅力を高める有識者会議、それから地元の住民の皆さんとの懇談会、こうしたものを開催をいたしましてガーデンシティ構想を大車輪でまとめているところでございまして、その構想が秋ごろまでにはまとまるということでございますのでそれまでお待ちいただければというふうに考えております。
    ○副議長(岩瀬 護君) 出野文化・観光部長。
           (文化・観光部長 出野 勉君登壇)
    ○文化・観光部長(出野 勉君) 空港ガーデンシティ構想についてのうちの大井川流域についての再質問についてお答えいたします。
     現在、構想の計画範囲につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように空港を核といたしまして吉田公園から金谷の石畳坂までということを当面のエリアとして位置づけております。ただこのガーデンシティ構想の本来の目的は空港を核として周辺地域がいかに活性化していくかということにございますので、そのエリアの拡大というのは今後、関係部局とも相談しながら検討していきたいというふうに考えているところでございます。
    ○副議長(岩瀬 護君) 堀川経済産業部長。
           (経済産業部長 堀川知廣君登壇)
    ○経済産業部長(堀川知廣君) 緑茶の世界のニーズをしっかりつかんでいるのか、これからどうするのか、そういう話の御質問でございます。
     世界の緑茶の生産量は最近急激に伸びていまして二〇〇一年が約七十万トン、これに対しまして二〇〇八年は百十六万トンですから、この六、七年の間に五十万トン近くふえている。それだけ世界で緑茶が多く飲まれるようになってきたと。これをチャンスと見ることは大変重要だというふうに考えているところでございます。
     そういうこともありまして、県では世界お茶まつりも実施しているわけでございますけども、最近の世界お茶まつりの海外からの出展状況等見てみますと例えばメッセには二〇〇一年に十カ国だったのが二〇〇七年の三回目には三十一社から出てますし、それからメディアの数も大変多くなってまして二〇〇一年に十社の海外メディアだったものが二〇〇七年には二十社となっています。今度の第四回目の世界お茶まつりにはこれを上回るメッセへの出展、それからメディアの取材が期待されるわけですけども、こういうものを通して静岡のお茶を十分にPRしていくのと同時に我々のほうも海外から来たお客様やそれからメディアを通して海外でのお茶の消費がどうなっているのかということについて情報収集することが必要だと思っております。
     これに加えまして海外の市場開拓にも積極的に出るようにしてまして、二十一年度は東南アジアではシンガポール、香港、韓国など、欧米ではドイツ、アメリカ、本年度もシンガポール、タイ、台湾に加えましてフランスとアメリカに出展をして静岡のお茶のPRをしたいと思ってます。こういう場を通じまして静岡のお茶のPRとそれから海外での緑茶の消費動向等の情報を積極的につかんでまいりたいと思ってます。
     それから、こういう使っている側からの情報も大変重要でありますけども静岡でつくっているお茶、あるいはこれから新しくつくろうとしているお茶の提案も大変大事だと思ってますので、こういう両方の機会にあわせて提案もしていきたいというふうに考えているところです。
    ○副議長(岩瀬 護君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 再質問のうち、島田のメッセについてでございますがこれはそこに建てればお客さんが来るというような筋のものではないと思っています。駐車場をどうするのかというようなこともございます。何を置くのかということもございます。それから例えばそこで何かイベントした場合に宿泊所をどうするか、それからまたそこでの飲食はどうするのかと、こういう総合的に考えなければなりません。
     そうした中でガーデンシティ構想というのは、有識者会議におきましては、空港それ自体の核になるところとそれから周辺にビオトープもありますし、あるいは蓬莱橋もあるし、それからお茶の郷もあるし、それから金谷からは列車も出てますね、それから川根本町千頭まで行ってるということがあります、そうした大井川流域全域をとらえていることなんですが、秋までにどこまで定められるかということがあります。
     しかし、七月の二日に――ある意味で突然ですね――新幹線駅構想というものを国から発言できるような機会をいただいた。これはもちろん五月における中央新幹線の会議におきましてそこで今、一時間に十三本ぐらいの新幹線が走っているわけです。そのうち「のぞみ」が九本、「ひかり」が二本、そして「こだま」が二本ということでこれは「のぞみ」中心のダイヤが組まれているわけですね。フルにダイヤが活用されててこれ以上ふやすことはほとんど不可能という状況なわけです。その「のぞみ」は遠いところを短い時間で結ぶのがポイントですから残念ながら本県六つの駅のどこにもとまらないということなんですが、それがリニア新幹線のほうに移りますとそうすると仮に九が全部なくなりますとそうすると一時間に十三本走っているうち「のぞみ」を除きますと「ひかり」と「こだま」ということになります。
     そうしますと仮に新幹線駅ができたとします。それは空港とは全く違う需要が出てきます。例えば岐阜羽島をごらんくださいませ。全くの田んぼの中に駅ができました。それが今はものすごく大きな町になってます。そこに住む人が出てくるわけです。
     ですから、仮に新幹線駅を構想しなくちゃならないとなればこれはもう十年、十五年後のことですから。そうしますとそうしたことを踏まえて絵を描かなきゃいけない。そこにお茶の郷がある。これは世界トップクラスの世界お茶の博物館ですね。そこと目と鼻の先、恐らく八百メートルぐらいのところに金谷の中学校の跡地があるわけですね。これはやっぱり一体的に考えなければなりません。
     そうした中で、静岡文化芸術大学の学生さん、あるいは先生方がこれはお茶の郷との関係ではこういうものをしたほうがいいでしょうというものも出ています。島田の桜井市長ともこの点については意思疎通を図っておりまして、例えばまだ農地が約一ヘクタール取得できてないと、これどうしたらいいか。これはしかし、きっちりと目的が定まらない限り取得はできません。目的をしっかり定めるためには、やはり空港から金谷も含めさらに広くは川根本町まで含めるぐらいの全体のデザインの中で何が一番ふさわしいかということをやはり言うべきことでありまして、メッセができる、はい、にぎわいができるというような単純なものでないということだけは御理解賜りまして、秋ぐらいまでにできるであろうものは、そこに人が百万近く――これ見物客を含めてですけれども――出入りされているのでその方たちの需要にこたえるということ。その建物に関しましては新幹線駅が仮にできた場合その方たちが上がってくる場所がありますね。その動線とのかかわりでどこに品物を売る場所、どこに休憩をする場所というふうに考えねばなりません。さらにまたそこには農作物を冷蔵するといいますか、保存するような場所も考えねばなりません。
     そうしたことから、一気に島田のメッセのところに何ができるということまではいかないにしましてもそこに建物ができるであろうことはまず確実です。ですから決して宙ぶらりんではない。そこをちゃんと視野に入れながらやっています。しかしメッセができるというような形にはなかなかならないと。それは議論しなくちゃなりませんから。そういう意味で中途半端ですけれども、しかし絵をかかないと結果的につくったものが有効活用できないということでございます。
     秋ぐらいにできるのはエアポート楽座の近辺の絵が明確にわかるということとして御理解賜りまして、しかし大きな構図の中でそれは描かれるであろうというようなことで全部の絵が全部そこででき上がるというものではないわけです。以上、補足いたしました。
    ○副議長(岩瀬 護君) これで伊藤育子君の質問は終わりました。
     以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。

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