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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成29年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

森 竹治郎 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/02/2017

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 地方自治の推進について
 (1) 地方分権の推進
 (2) 道州制
 (3) 国の権限・税財源の地方への移譲
 (4) 臨時財政対策債
2 静岡県の道路整備について
 (1) 道路予算の確保
 (2) 交通インフラの老朽化対策
 (3) 伊豆半島の道路整備促進
3 静岡県の水産漁業の振興について
 (1) 水産業の競争力強化
 (2) 伊豆地域の沿岸漁業の振興策
4 伊豆半島南部地域の活性化について


○議長(鈴木洋佑君) これで林芳久仁君の質問は終わりました。(拍手)
 次に、六十番 森 竹治郎君。
       (六十番 森 竹治郎君登壇 拍手)
○六十番(森 竹治郎君) 知事、副知事及び関係部局長の皆様に通告の順序に従いまして一括質問方式で質問をいたします。
 まず最初に、地方自治の推進についてであります。
 このうち、地方分権の推進について質問をいたします。
 私たちの日本の国は戦後七十二年を経過いたしました。日本の国の長い歴史の中で考えますと、太平洋戦争後の焼け跡の中から国民の血と汗の奮闘努力により瞬く間に今日の繁栄を実現してまいりました。さらに現実的なそして巧みな外交と防衛政策によりひたすらに平和国家の道を邁進してまいりました。またすぐれた日本の科学技術は家庭電化製品、医薬品、自動車等々を世界の多くの国々に輸出し、人々の生活の向上に大いに貢献をしてまいりました。世界の数多くの国々から日本の戦後の成功は畏敬されるようになりました。
 しかしながら戦後七十二年も経過をいたしました。日本の国の形も各分野、各方面にわたって制度疲労や変化を生じてまいりました。近年それは少子高齢化、人口の減少、経済成長から経済の停滞、財政事情の悪化等々の面にあらわれてまいりました。一方では日本を取り巻く厳しい防衛安全保障の環境への対応や発展途上国への経済援助、技術援助など日本がこれから果たしていかなければならない重い国際的な役割や責任など大きく変わってまいりました。これから日本の将来を考えますと日本の国の形や日本の国のあり方を変えていかなければなりません。その一環として地方自治はより一層推進をしていかなければなりません。太平洋に浮かぶ庭園の島日本をつくり上げるためにも必要なことと私は思います。
 知事は、昨年九月二十日の県議会本会議において、「東京はアメリカン・ウエー・オブ・ライフを受容してきた日本の中心であります。ジャパニーズ・ウエー・オブ・ライフを体現するのはポスト東京時代の新しい理想郷を築いてきた静岡県をおいてほかにありません」、「国の象徴である富士山を擁し日本を代表する豊かな自然や文化に満ちあふれた静岡県こそジャパニーズドリームを実現する地にふさわしく、その先頭に立ちたいと思っております」と述べられました。このことは背景に地方分権推進の考え方がおありなんでありましょうか、お伺いをいたすところであります。
 私は、今まで国の地方分権については国は地方分権改革について提案募集方式を導入し第五次一括法、第六次一括法を成立させてまいりましたが、ややもするとお仕着せの地方分権ではなかったかと思っております。一方先ほども林議員が触れられておりました。私たち静岡県は、地域の自立や将来の自治体のあり方に向けて平成十年度から三年ごとに権限移譲推進計画を策定し権限移譲を推進してまいる、本年度からさらに三年間の計画を進めていると聞いております。地方分権推進の機はさらに満ちてきたとも考えます。
 地方分権推進に対する知事のお考えをお尋ねする次第であります。
 次に、道州制についてお伺いをいたします。
 道州制については、長い期間にわたって話題に上がってきておりますが、今日までそれぞれの関係者がさっぱり前進しておりません。国会では道州制推進基本法案が国会に向けて与野党議員において動き始めた様子であります。
 国全体で債務が一千五十兆円を超え、世界先進諸国の中で最も財政が厳しい我が国の国家経営のスリム化や地方自治の本旨の推進などに大いに期待される一方では、東京都及びその周辺と北海道、九州、四国などとの財政的、経済的な格差が広がってしまうのではないのかなど心配する向きもあります。将来この国のあり方を踏まえて大いに議論し実現に向かってほしいものであります。
 知事は、道州制について日本を四つに区分する構想を提唱されており、北海道、東北を森の洲、関東を野の洲、西日本を海の洲、そして北陸や中部を山の洲としております。将来的に静岡県は北アルプス、中央アルプス、南アルプスを中心とした山の洲の州都になり得ることを考えておられる様子であります。このことは静岡県の将来について国の内外に向けて大いに明るい構想であると期待がわいてまいります。
 そこで、道州制の実現に向かって国会の動向や全国知事会の取り組み、そして今後の知事の構想実現に向けての取り組みについてお伺いをする次第であります。
 次は、国の権限や税財源の地方への移譲についてであります。
 政府は、地方分権改革推進委員会の勧告に基づき一括法を成立させて義務づけや枠づけの見直しや国から地方への権限の移譲を推進するとともに、第三十次地方制度調査会の答申に基づき基礎自治体の行政サービス提供体制整備などに取り組んできたところでありますが、しかしながら私はまだまだ十分とは思っておりません。地方団体の財政の運営については、今日依然として国の地方財政制度に大きく依存しております。
 現在の国と地方の役割分担のもとで、ますますふえてきている社会保障関係予算等の義務的経費の増額により地方財政は厳しくなる一方であります。現時点では地方自治の本旨から地方が主役となるべき姿と、そしてそれを実現するための税財源が足りません。静岡県の財政当局も毎年予算編成時には財源不足に苦慮されております。国においてさらなる税財源の移譲について具体的な日程やその内容が明示されておりません。真の地方分権の確立にはまだまだ道遠しの感があります。
 国の権限や税財源のさらなる地方への移譲について知事はどのように考え、今後どのように取り組むお考えであるのかお聞かせをいただきたいと思います。
 次は、臨時財政対策債についてお伺いをいたします。
 地方の財源不足を補うため、特別措置である臨時財政対策債は平成二十八年度の地方財政対策に大幅に抑制されましたが継続をされ、地方は残高が増加の一途をたどっております。
 そこで、その廃止と償還財源の確実な確保が必要であります。静岡県では財政健全化対策から通常債発行二兆円以内を目標として当局の努力により着実にこれを減額してきております。一方では平成二十七年度の県債発行額の五割を臨時財政対策債は超えてきております。平成二十九年度も七百八十億円を見込み既に県債発行残高の四割を超えるまでになってきております。
 地方公共団体の組織及び運営を健全にしさらに強化するためにも臨時財政対策債の廃止と償還財源の別枠での確実な確保が必要であります。知事はこのことについてどのようにお考え、国への働きかけを行うのかお伺いする次第であります。
 次に、静岡県の道路の整備についてお伺いをいたします。
 道路予算の確保についてであります。
 平成二十四年四月には県内東西百六十二キロメーターの新東名高速道路、これのアクセス道路が開通したことにより新たな観光客のにぎわいや大型物流施設の建設、企業の進出、そして雇用や税収の増加などストック効果があらわれてまいりました。しかし伊豆縦貫自動車道路、中部横断自動車道路、三遠南信自動車道路などまだまだこれからであります。
 国の平成十三年度の道路予算は二兆四千七百六十七億円余りでありましたが、平成二十七年度ではこれが一兆三千二百八十億円余りと激減をいたしております。現在国会で審議中の平成二十九年度の国の道路予算は平成二十八年度とほぼ同額の一兆六千六百六十一億円であります。これは道路整備水準の一定の向上もありましたが、国の財政状況の厳しい悪化により道路特定財源が平成二十一年度より全て一般財源化してしまったことにあります。
 静岡県の道路事業予算は、平成七年度はおよそ一千四百五十億円でありましたが平成二十九年度の当初予算を見ますと約これが四百七億円と大激減となっております。この原因は公共事業予算、国の予算であります。以前の半分となったり道路特定財源が一般財源化されたり静岡市や浜松市が政令市となり道路事業が県から政令市に移行されたり、高規格幹線道路やこれに伴うアクセス道路が近年整備が進んできたことなどが考えられます。それにしてもこれは極端であり、まことに残念と言わざるを得ません。
 国が進めている高規格幹線道路や主要幹線道路の整備は静岡県の今後の発展のために重要な事業であります。社会資本整備総合交付金や防災安全交付金などなどの確保に向けて、より一層の決意を持って国に当たるべきものと考えますが、その決意のほどを改めてお聞かせいただきたいと思います。
 次は、交通インフラの老朽化対策についてであります。
 県内の道路やトンネル、そして橋の多くは高度経済成長期につくられました。供用開始から四十年から五十年が経過してまいりました。トンネルの六割以上、橋の八割以上が財政規模の小さい市や町の管理下にあると言われております。これらのトンネルや橋のほとんどは地域の住民の生活に欠かせないインフラであります。
 平成二十四年に起きた山梨県内の笹子トンネルの天井板落下事故により九名の方々が亡くなった事故は、今なお記憶に新しい事故であります。この事故を契機にトンネルや橋梁などの点検が義務化され、昨年六月に公表された平成二十七年度の点検結果によれば県内に四百二十八本あるトンネルについて四十八本が五年以内の措置が必要と判定をされていると聞いております。
 県内の三万本を超える橋については六橋が老朽化により直ちに措置が必要で、六百八十四橋が五年以内の措置が必要と聞いております。このほかにも落石や岩盤崩落のおそれがある道路ののり面については千百六十三カ所が要対策、二千二百八十九カ所が経過観察と聞いております。
 今後、交通インフラの老朽化対策にどのように県当局は取り組んでいくのか、お伺いをいたす次第であります。
 次は、伊豆半島の道路の整備促進についてであります。
 川勝知事には知事就任以来、今日も伊豆縦貫自動車道建設促進期成同盟会会長を務めていただき、一九九六年以来十八年間の長きにわたって国土審議会委員を務められた国交省との強いきずなをフルに活用していただいております。国交省への要望活動では毎年私どもの先頭に立って国土交通大臣を初め幹部の皆様に熱心に働きかけを行ってくれ、その姿勢は力強く感じておった次第であります。その効果が伊豆縦貫自動車道の国交省の予算にあらわれてきているところでもあります。交通、通信、情報基盤なども社会資本のインフラが整備されれば僻地問題の大半は解消される。二十一世紀はネットワークの時代であり、ネットワークのメリットは過疎地において際立つとも述べております。
 そこで、今後の事業の見通しや取り組みについてお尋ねをいたします。
 平成二十六年二月に開通した伊豆縦貫自動車道の一部区間である東駿河湾環状道路や平成二十六年六月に供用開始された圏央道により、伊豆北部地域においては観光交流客数の増加や企業立地などのストック効果が既にあらわれてきております。一方伊豆半島の南部地域では整備の効果が顕著にあらわれるのはまだまだ先であり、伊豆縦貫自動車道に期待される大きな役割が発揮されるのは全線が開通をして伊豆半島が一本の基軸で結ばれてからとなります。
 そこで、天城北道路についてであります。大平インターチェンジから伊豆市矢熊までの五・一キロメーターは平成三十年度には供用開始ができると伺っておりますが、今後の確かな見通しについてお尋ねをいたします。
 次は、天城湯ヶ島から河津町梨本までの十五キロメーターの天城越え区間についてであります。
 国土交通省が平成二十七年十一月に計画段階評価に着手をいたしました。当該区間の早期事業化や早期整備を望む次第でありますが、今後この見通しについてお尋ねをいたします。
 次は、河津下田道路のうち河津町梨本から下田市箕作までのU期工区についてであります。
 現場の工事の状況を見ておりますと何かしら手応えを感じる状況となってまいりましたが、この区間の今後の見通しをお尋ねする次第であります。
 さらに、下田市六丁目から下田市箕作までの五・七キロメーターのT期工区についてであります。この区間の現在の取り組みの状況についてお尋ねをする次第であります。
 次に、静岡県の水産漁業の振興についてお伺いをいたします。
 初めに、水産業の競争力の強化についてであります。
 近年、水産業を取り巻く環境は魚価の低迷、漁業者の高齢化、そしてキンメダイやアサリに見られるように漁獲量の減少など厳しい状態が続いております。
 こうした中、漁村では浜の活力再生プランを策定し、五カ年で一〇%以上の漁業所得向上を目標に地域が一体となり浜の実態に見合った水産物の高付加価値化やコストの削減などに取り組んでいるところであります。さらに国の各種の補助事業を活用するなどして競争力の強化に取り組んでおります。
 全漁連が全国の向こう三年間の需要調査をまとめたところ、漁船エンジン等導入事業には約一万件で六百六十億円超の事業規模に達する要望が、また漁船リース事業には約三千件、事業規模にして約九百五十億円の要望があることが明らかとなりました。また本県においてもとりわけ漁船リース事業には昨年の七倍以上の要望があると聞いております。このためJFグループでは水産業競争力強化緊急事業の大型予算確保及び事業の大幅拡充を図るよう国に強く求めております。本県でも昨年静岡県の漁協組合長会議においてこれらの確保、拡充を求める特別決議がなされたところであります。
 TPPの協定は、現在のところ発効される見込みには立っておりませんが、本県漁業界の置かれた厳しい状況を鑑みるとその発効いかんにかかわらず水産業の競争力の強化は待ったなしの課題であると認識しております。
 県におかれましても、我が国水産業の競争力の強化に係る予算措置の大幅拡充について国に強く働きかけるべきと考えます。また県当局においても一層の支援策を実施すべきものと考えますが、お考えを伺う次第であります。
 次に、伊豆地域の沿岸漁業の振興策について伺います。
 本県は、我が国でも有数の水産県であり、平成二十六年の海面漁業における生産量は十九万七千トン余りで生産金額は五百九億円であります。これは全国第三位、全国シェア五・三%を誇るものであります。しかしながら漁業生産の長期的な傾向を見ますと全体的には右肩下がりの状況であり、漁業者の収入安定化に向けた積極的な取り組みが重要であると認識しております。
 伊豆地域の沿岸漁業に目を向ければ、特産のキンメダイについても平成二十八年生産金額は二十二億円で、直近十年間でも平成二十一年のピーク時の三分の二程度になってきております。キンメダイだけに頼らない新たな漁業への取り組みは将来的には必要であると考えるわけであります。
 先般の新聞やテレビ報道によりますと、東京湾内ではトラフグの漁獲量が単年度の過去最高を更新し、江戸前の新たな名産への期待が膨らんでいるとのことであります。伊豆半島沿岸の現場からはこれまでトラフグが獲れてもトラフグ漁の経験も販路も乏しいため前向きに取り組めなかったとの意見も聞いております。
 そこで、伊豆地域の沿岸漁業の振興策として、中長期的な観点から本県西部地域の特産でもあるトラフグ漁を伊豆地域で行う可能性について販路の確保も含め、県の所見をお伺いをいたします。
 結びに、伊豆半島南部地域の活性化についてお伺いをいたします。
 伊豆半島南部地域は事業所数の減少が顕著であり、雇用の場の減少は進学を機にふるさとを離れた若者が戻らないという悪循環を生み、人口の減少が極めて深刻な状況となってきております。
 県では、平成二十七年度から賀茂地域を初めとする条件の不利地域の半島振興計画をスタートしており、市道、町道などの代行整備や医師の派遣など重点的な支援を行っているところであり、引き続き県における地域の活性化につながる支援を期待しているところでもあります。
 一方こうした中、去る二月の十四日、我が自由民主党が今国会に議員立法で提出する過疎地域自立促進特別措置法の改正案を了承しました。この中で賀茂地域の中核をなす下田市の人口の減少に歯どめがかからない結果、過疎地域に指定されるとの新聞報道は地域へ大きな衝撃を与えたところであります。このように依然として伊豆半島南部地域の厳しい状況はなかなかとまらない状況にある中、新しい動きが出てきております。
 御存じの二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの自転車競技の伊豆市開催に加え、昨年十一月にはユネスコに対しジオパークの世界認定に向けた申請を行い来年の世界認定への道筋が見えてくるなど、今後の観光交流の拡大に向けた光明が見えてきたところでもあります。こうした将来の動きに加え、今まさに東京オリンピックやジオパーク、伊豆縦貫自動車道の整備など観光産業を初めとする民間投資も喚起される環境が整ってきているものと考えます。
 この機会を逃すことなく伊豆半島地域の活性化を図っていくため、半島地域のより一層の取り組みの強化を図る中長期的ビジョンを策定し取り組んでいく必要があるのではないでしょうか。例えば基幹産業である観光産業を初めとする地域産業の活性化を図る産業振興促進計画を半島地域の市や町と一体となって作成し県、市や町の共通の目標として取り組むことも有効であると考えます。
 伊豆半島南部地域において、まさに待ったなしの状況にある地域の活性化をどのようにこれから進めていくのか、県の御所見をお伺いする次第であります。以上であります。(拍手)
○議長(鈴木洋佑君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 森議員にお答えいたします。
 私は、国を背負われてきた、また現在も背負われている森先生とは肝胆相照らす仲ではありますが、本県にも立派な森先生がいらっしゃるということを今、大所は大観する、また御地元の下田を中心にした伊豆あるいは御専門の水産業など細かなところはきっちりと細観するというそのような立派な御演説を拝聴いたしまして感服しているところでございます。
 地方自治の推進についてのうち、地方分権の推進についてであります。
 議員が御指摘の日本の国の形、日本の国のあり方を変えていかねばならないというお考えと全く同感でございます。日本は国力を上げるために明治維新期、明治四年に従来の三百余藩を廃止いたしまして廃藩置県にかわりました。これによりまして中央集権の指令が津々浦々まで及ぶ中央集権体制が確立することになりました。それは分散していた国力を一つに集めるという極めて正しい国のあり方であったと思います。
 しかしながら、今東京に集中しているこのシステムが国力を下げる状態になっているという認識を持っております。と申しますのも今日日本は人口減少社会を迎えておりますけれども、東京の合計特殊出生率は日本で最低でありますにもかかわらず東京の人口は増大しております。それはどうしてかといいますと東京以外の地域から東京に人口が流入しているからであります。東京に入り込むや東京的ライフスタイルになるや三世帯で一緒に住むことは極めて困難であり、こうした点からも国力を上げるためにもポスト東京時代を開かねばならないというように思っておりまして、現在の危機的な様相を念頭に置きながらこの東京に集中した中央集権体制から脱却し地方が自立して新しい時代を開くためには、地方におけるミニ東京ないし東京化を見直し地方が持つ特色を生かした地域づくりを念頭に進めていかねばなりません。
 国におかれましては、平成十一年の小渕内閣における地方分権一括法制定以来地方分権改革の取り組みが進められてきましたものの、依然として国の関与が多く地域の自立の実現はいまだ道半ばであります。改めて国は真の地方自治の実現に向け、住民に身近な行政は地域に委ね地域のことは地域が決めるという考えに立ち、今まさに国みずからが身を切る覚悟で地方分権を推進する必要があると考えております。
 ポスト東京時代の日本の理想郷づくりは、こうした地方分権社会を見据えて新しい国づくりの先導役を担う取り組みであります。
 ジャパニーズドリームと地方分権とのかかわりをお尋ねでございました。日本は国の顔をこれまで変えてまいりました。奈良、京都、鎌倉、室町京都、江戸のようにです。この中心が複数にわたっているというのは世界でも珍しいものであります。一は二を生じ、二は三を生じ、三は万物を生じるというふうに言いますけれども、三というのは多いということでございまして日本は多中心の国柄であるというふうに思います。そのような多中心の一つにどの地域もなれるというふうに思っております。
 しかも、日本は京都を中心とした時代に東洋の文明をほぼ自家薬籠中のものにいたしました。そしてまた今日まで、東京を中心とした時代に西洋の文明もまた自家薬籠中のものにして今日を迎えていると存じます。そして東洋の文明も西洋の文明も、昨日羽織はかまでこちらに御登場なさっても全く違和感がなく、森先生も私どもも洋服を着ておりますが洋服も文字どおり我々の日常の衣料文化の一つになっております。これは北は北海道から南は沖縄に至るまで変わりません。その意味において私は今の日本には世界性があるというふうに認識をしております。
 そうした中で、アメリカンドリームに陰りが見えている中、日本はこの国の持っている潜在力を北は北なりに南は南なりに日本海側は日本海側になりに太平洋側は太平洋側なりに発揮するというそういう時代を迎えていると。そして日本の象徴は天皇陛下であらせられると同時にまた日本の国土の象徴は富士山でもあります。そしてふじのくにと称することは日本の国の代名詞でもあるわけでございます。
 そうした中で、ふじのくにづくりというのはそれぞれのいわばふるさと富士を軸とした地域づくりということでございまして、これがいわば金太郎飴的なミニ東京をつくり上げていく、そういう一極集中いわばピラミッド型の時代から多様性の和としての日本を世界に顕示できる時代になったと、そうしたことが実際観光客の数千万人という数字になってあらわれておりまして、そして軍事力や防衛力によってではなくて今回のトランプ大統領は「ウイ アー フリー、ウイ アー ストロング、ウイ アー プラウド」と言っております。
 ストロング、すなわち経済力、軍事力において強いということが一つの国のアトラクティブな要素の一つになっておりますが、私どもは経済力もそれなりに備え防衛力もそれなりに備えておりますが、もう一つ人を引きつける力である文化力というものを北は北なりに南は南なりに列島三千キロの中に十分に宿しているわけであります。この多様性を発揮していく時代が来てる。まさにこれは地域分権の時代であるということでございます。
 そうした中で、本県は富士の国の中のふじのくにとして世界クラスのものが人を含めて四十六件ものものがこの二年半余りで登録されるまでになっているということから、本県がその先頭に立とうではないかということでございます。
 今後とも、新しい地方分権社会のモデルを私どもが示していくんだという強い気概を持って、県民のどなたもが幸せに暮らすことのできる理想郷を築くべく全力を傾注してまいりますので、先生を初め県議会の皆様の御支援、御協力を賜りますようお願いを申し上げます。
 次に、道州制についてであります。
 地方が地域の多様性や住民の主体性を最大限に発揮しその地域力を高めていくべき時代にありまして、地域分権社会を実現するために国と地方自治体の双方を再構築し道州制を導入する必要があるという、恐らく先生もそのようなお考えだと存じますが私も同様の考えを持っております。
 国では、平成十八年の第二十八次地方制度調査会の道州制のあり方に関する答申以降も検討が進めてられておりますが、いまだ議論は活発化しておりません。現在自民党におかれて道州制推進基本法案の国会提出に向けた検討がなされておりますが、法案には将来の国の形のビジョンや道州や基礎自治体の姿などが明確に示されておりません。また全国知事会も官僚出身の特に総務省出身の方が多く、言ってみれば自治省の方たちの役人の最後の上がりは知事職ではないでしょうか。ですからこの職を別のものに変えていくというのは相当に大きな勇気がいると存じます。また知事会、一枚岩とは到底言えない状況にございまして、道州制の実現に向けましては国を挙げた議論をより一層喚起することが必要であり、議論の帰結にはまだ多くの時間を要するものと考えております。
 しかしながら、国力をそぐことなく、いやむしろ国力が上がることをきちっと見越した上で着地点を描いておくことが大切です。そこに至る道のりは長くても最終的な絵を描いておくということが極めて重要でございまして、二十一世紀は環境の時代でございますので環境というのは景観として目に見えますものですから北海道、東北は豊かな森があります。関東は日本一大きな平野であります。そしてこの中部日本は文字どおり山の国、日本のそのものであります。そして西日本というのは三海二山とも言いますけれども、日本海、瀬戸内海、太平洋、東シナ海等こうした津々浦々の海というものが中心の地域でございます。
 こうしたものを前提にしながら人口並びに経済力、そして現在国を担ってられる人材が国を経営するぐらいの経済力と人口というものを持ったところでその力を発揮していただくということで、森の洲、野の洲、山の洲、そして海の洲というものを構想することができるということでございます。もちろん全体の国の首都についてこれと表裏一体のものであります。それについては既に一九九九年度国会等移転審議会の報告書が出ておりまして、足かけ十年にわたった検討の結果、那須野ヶ原が一番だというふうになっております。そこには防衛とか外交とか全体の調整とかそうしたものがまた大体六十万人規模の首都としてでき上がるということになっております。
 したがいまして、それ以外のものはそれぞれの州に移るということになりますが、その州都をどこにするかにつきまして、この山の洲につきましては日本海側は豪雪地帯でございますので人々にとって不便なときが必ず来ると。そういう観点から言いますればその真ん中にある山の中心地域も同じであります。甲府盆地におきましてはつい数年前三日三晩交通が途絶するという事態になりました。そうした中で比較優位があるのは、私はこの富士山のあります、山の洲のシンボルである富士山のございます静岡であるというふうに思っておりまして、州都はここになる可能性が高い、いやここを州都にするというそういう期待を持ってこの山の洲づくりをしていかなければならない。そうした中で私ども今新潟、長野、山梨、静岡で四県サミットいわゆる中央日本サミット、これ山のサミットと実態同じであります。また一方箱根を中心とした神奈川県と山静神サミットというのもしておりますけれどもこれも山絡みでございます。
 こうしたものを通じて広域連携をしていくということがございます。一方内陸のフロンティアというのは、我々にとって内陸というのは日本海側に向かうことでございます。そうして私ども三十五市町七十八区域、これが今内陸のフロンティアにそれぞれの地域性を生かした取り組みをなさっておられますがこれを山梨県にも長野県にも愛知県にも神奈川県にも及ぼしていこうということで、この内陸のフロンティアを開く取り組みをこれからそうした地を招いてやっていくという試みが今月たしかシンポジウムが開かれるはずでございます。
 一方、それとともに基礎自治体の力がそがれてはなりません。本県には県と同じ権限を持つ政令市が二つございますが、そのうちの一つ浜松市におきましてはこれは三遠南信の連携が進んでおりますのでこうしたところでの県境を越えた試みを支援していくということが重要になって……
○議長(鈴木洋佑君) 川勝知事、答弁は簡潔に願います。
○知事(川勝平太君) はい、わかりました。
 本県におきましては、こちらの静岡市におきましては大都市制度のうち特別区を選択できるような環境づくりが必要であるということで、また市町への権限移譲の推進も日本一でございますが取り組んでいるところであります。
 今後とも、本県が新しい国づくりの先導役を担うという気概を持ちまして、地域が持つそれぞれの潜在力、場の力を最大限に発揮し、品性の高い徳のある豊かで自立した日本の理想郷づくりに全力で邁進してまいります。長くなりまして大変失礼しました。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長から御答弁を申し上げます。
○議長(鈴木洋佑君) 土屋副知事。
       (副知事 土屋優行君登壇)
○副知事(土屋優行君) 伊豆半島南部地域の活性化についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、深刻な人口減少と急速な高齢化に直面する伊豆半島南部地域でありますが、世界に誇れる美しい自然を活用したスポーツツーリズムの振興に向け、ユネスコグローバルジオパークの認定に向けて取り組み、東京オリンピック・パラリンピック自転車競技の開催という全世界に向けこの地域を発信できるまたとないチャンスが到来しております。
 このため、平成二十九年度当初予算においてオリンピック・パラリンピック自転車競技の開催機運の醸成やバイシクルピットの伊豆地域への先行設置、ジオサイトを活用したトレッキングルートの開発などスポーツを通じた交流拡大に取り組んでまいります。
 さらに、良好な景観を形成するための違反広告物の撤去、伊豆半島内の道路ネットワークの構築などにも重点的に取り組み、地域の活性化を図ってまいります。一方、今年度実施いたしました賀茂地域の小中高生に対する意識調査では地域に対する愛着は強くあるものの、仕事や夢のため将来は他の地域へ住みたいと考えている方が過半数を占めました。地域に愛着を持っている子供たちが将来にわたり安心して住み続けることができ、一旦進学等で故郷を離れても戻って来ることができる地域にするためには仕事の場の創出が重要であります。
 伊豆縦貫自動車道の整備の進展が目に見えるようになり、加えてホテル・旅館等の耐震化の改修など民間投資が喚起される環境が整った今こそ、地域産業の活性化に向けて県と市町が連携して取り組む必要があると考えております。
 このため、半島振興地域の市町の皆様と産業振興に向けた勉強会を立ち上げ全市町が足並みをそろえて中長期的視点に立った産業振興促進計画の策定を進めており、本年四月に成案を得ることを予定しております。この計画が策定されますと農林水産物等販売業や旅館業等の振興に有効な農地法等の許認可の迅速化あるいは税制上の優遇措置などが国の支援を受けることが可能となります。
 県といたしましては、伊豆半島地域の市町と一体となって国の支援措置を最大限に活用しながら、ユネスコグローバルジオパークや東京オリンピック・パラリンピック開催後のレガシーを生かした新たな観光需要の創出と産業振興、雇用創出に向けた地域総かがりの取り組みを進め、世界レベルの魅力あふれる地域を、自然を生かした観光交流圏を形成してまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 森政策企画部長。
       (政策企画部長 森 貴志君登壇)
○政策企画部長(森 貴志君) 地方自治の推進についてのうち、国の権限、税財源の地方への移譲についてお答えいたします。
 国は、六次にわたる地方分権一括法により地方への権限移譲を推進してまいりましたが、地方が求める権限の一部の移譲にとどまっているほか地方が自立した税財政運営を可能とする十分な税財源の移譲がされていない現状にあります。真の地方分権社会の確立のため、国は本気で権限と税財源のさらなる移譲を推進すべきであると考えております。
 県では、こうした現状に対し国が平成二十六年度に新たに創設した地方分権改革に関する提案募集の制度を活用して提案を行っております。実例といたしましては、土地利用に大きな力となる四ヘクタールを超える農地の転用許可権限がこれにより県に移譲されることとなりました。国に対し地方へのさらなる権限移譲に向け毎年度継続して要請活動を行うなど現在も積極的な対応を図っております。また移譲された権限に対しての適切な財源を措置することはもちろん、増大する社会保障関係費に見合った税財源を移譲するよう全国知事会等とも連携し、国への提案を粘り強く行っているところであります。
 地方自治の本旨である国から独立した地方公共団体による自主的な行政運営の実現に向け、今後ともあらゆる機会を捉え地方自治体の政策決定における自由度の向上や安定的な地方税財政制度の構築が着実に進むよう、強力に国に働きかけてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 伊藤経営管理部長。
       (経営管理部長 伊藤篤志君登壇)
○経営管理部長(伊藤篤志君) 地方自治の推進についてのうち、臨時財政対策債についてお答えいたします。
 臨時財政対策債は、毎年度の地方財政対策において地方交付税の代替、身がわりとして措置されており、県といたしましては県民に必要な行政サービスを提供するためにやむを得ず発行しているものであります。
 平成十三年度に三年間の臨時措置として始められたものがその後も延長を繰り返し十七年間にわたり継続されております。またその償還財源を臨時財政対策債で手当をする、すなわち借金を借金で返しているという実態は正常な姿ではないと言わざるを得ません。その結果本県の県債残高全体の四割を占めるに至っております。こうした現状は本県はもちろんのこと地方自治体全体の財政運営上大きな課題であると認識しております。
 県では、これまで臨時財政対策債の廃止と償還財源の確保について国に重ねて要請をしてまいりました。この結果平成二十七年度から地方交付税の原資となる国税の法定率の見直しがなされ、地方税の増収に伴う財源不足額の縮小等とも相まって臨時財政対策債の発行が大幅に抑制されました。
 具体的には、平成二十二年度から平成二十六年度まで千二百億円から千五百億円の発行額であったものが平成二十七年度は八百三十八億円、本年度の決定額は七百五十億円とピーク時の二分の一となりました。一方、平成二十九年度の地方財政計画では地方交付税の原資となる国税収入の伸び悩み等に伴い臨時財政対策債の全国総額が前年度と比べ〇・三兆円増加の四兆円とされました。これを踏まえ本県の二十九年度当初予算においては本年度の決定額より三十億円増加となる七百八十億円と見積もり、計上したところであります。
 県といたしましては、危機感を新たにし引き続き国に対し臨時財政対策債の廃止、償還財源の別枠での確実な確保を強く求めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 村松交通基盤部長。
       (交通基盤部長 村松 篤君登壇)
○交通基盤部長(村松 篤君) 静岡県の道路整備についてのうち、道路予算の確保についてお答えいたします。
 高規格幹線道路ネットワークの未整備や深刻な渋滞、交通事故の発生、災害による通行どめの多発等依然として県内の道路は質、量ともに不十分な状況にある中、老朽化施設の急増、厳しい財政事情等も加わり道路を取り巻く環境は厳しさを増しております。
 このため県では、新たな整備と既存施設の保全活用をバランスよく行う道路マネジメントを積極的に推進するとともに、事業化に先立ち計画について地元と合意形成を図る事業着手準備制度の導入により着手後の早期完了を目指すなど効果的かつ効率的な道路予算の執行に努めているところであります。また国への提案、要望を初め全国知事会や期成同盟会の促進大会などを通じて道路整備のストック効果を積極的に発信し総額の確保を国に働きかけるとともに、国の予算配分等を研究分析し重点配分を踏まえた要望を行い、本県に必要な予算の確保に全力で取り組んでいるところであります。
 県といたしましては、引き続き県民の皆様の命と暮らしを守る重要な社会基盤である道路整備を確実に進めるため、本県選出の国会議員や県議会の皆様のお力添えをいただきながらこれまで以上に国に対して必要な予算の確保を積極的に働きかけてまいります。
 次に、交通インフラの老朽化についてであります。
 県では、高度成長期に建設された県管理施設の維持更新費用の増大に備え、平成十七年度から橋梁、トンネル、舗装の点検に順次着手し、平成二十二年度からは劣化が著しい橋梁、トンネル附属設備、舗装について一定レベルまで状態を改善させる緊急対策事業を実施してまいりました。今年度で緊急対策が完了するため、橋梁、トンネル、舗装などにつきましては来年度から全国に先駆け損傷の推移を適切に予測し計画的な補修を行って長寿命化を図る予防保全管理へ移行してまいります。
 また、笹子トンネルの天井板崩落事故を受け、国が平成二十五年に道路法を改正し橋梁やトンネル、横断歩道橋、大型カルバート、門型標識等について五年に一回近接目視による点検を行うよう義務づけたことから、県ではこれまでの取り組みに加え法令に基づく点検を行い、措置が必要とされた箇所に対しては計画的に対策を実施しております。
 市町の管理施設につきましては、財源や技術者の不足など市町が抱える課題に対応するため平成二十六年に国を初めとする各道路管理者で構成する静岡県道路メンテナンス会議を設置し、県管理施設と市町管理施設の点検を合わせて発注する地域一括発注を実施するほか、技術的な助言を行うなど市町の道路施設の適正な管理を支援しております。
 県といたしましては、限られた財源を有効に活用して適切な老朽化対策を実施していくとともに、引き続き国と連携して市町の支援を行い、社会資本として重要な道路の安全・安心を確保してまいります。
 次に、伊豆半島の道路整備促進についてであります。
 伊豆縦貫自動車道のうち天城北道路につきましては、いずれも仮称でありますが湯ヶ島第二トンネルが今月末には貫通する見込みとなり、湯ヶ島第三トンネルに続き湯ヶ島第二及び第三高架橋の上部工に順次工事着手するなど平成三十年度の開通に向け順調に工事が進められております。
 天城湯ヶ島から河津間の天城峠を越える区間につきましては、同区間における国道四百十四号の課題等に関するアンケートやヒアリング調査が昨年十月に終了し、今月末には複数の概略ルート帯の公表が予定されており、計画段階評価の手続が着実に進められております。
 河津下田道路のうちU期区間につきましては、いずれも仮称でありますが河津インターチェンジから逆川インターチェンジまでの先行事業区間において早期開通に向け橋梁等の工事が進められており、T期区間につきましては昨年九月までに地元説明会が終了し、現在測量や設計等の調査と並行して用地交渉が進められております。
 県といたしましては、引き続き関係市町や地元関係団体と連携して伊豆縦貫自動車道の一日も早い全線開通を国に働きかけるとともに、関連するアクセス道路の整備を進め、伊豆地域の産業振興や住民の皆様の安心・安全の確保の基盤となる道路ネットワークの構築に努めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 若原農林水産戦略監。
       (農林水産戦略監 若原幸雄君登壇)
○農林水産戦略監(若原幸雄君) 静岡県の水産漁業の振興についてのうち、水産業の競争力強化についてお答えいたします。
 漁業生産の長期的な減少傾向や漁業者の高齢化が進む中、県内の漁業経営は厳しさを増してきております。
 県といたしましては、施策目標に掲げます新たな水産王国静岡の構築のためには市場や生産施設などの機能向上を図るとともに、販路拡大や六次産業化に積極的に取り組む意欲ある漁業者を強力に支援することにより、水産業の競争力強化を図り漁業者の所得向上を目指すことが喫緊の課題だと考えているところでございます。
 県内の漁村におきましても、浜の活力再生プランや複数の漁村地域が連携いたしました浜の活力再生広域プランを核に国の支援制度を活用し、これまでに省エネ機器導入では二十三件、漁船導入では二件が承認されるなど意欲ある中核的漁業者の育成を推進しているところでございます。
 このため県といたしましても、今後も国に対して水産業の競争力強化に係る施策の充実が図られるよう強く重ねて要望していくとともに、県独自の施策といたしましても水産業界の関係者と連携の上、施設整備を初めといたしまして観光との連携、輸出促進、担い手の育成など多方面からのアプローチにより水産業の競争力強化を図ってまいります。
 次に、伊豆地域の沿岸漁業の振興策についてであります。
 本県のトラフグ漁は、遠州灘を主な漁場といたしまして静岡、愛知、三重の東海三県における沿岸漁業者の冬場の貴重な収入源となっておりますが、資源の特徴といたしまして年によって漁獲量が大きく変動しております。このためトラフグ漁を含む県内全域の漁業者は静岡県フグ漁組合連合会を組織いたしまして、操業時期及び漁具漁法等の制限や漁獲した小型魚の再放流などの資源管理に加えまして人工種苗放流による資源培養にも取り組むことでみずから資源の維持と増大に努めております。県においてはこれまで人工種苗の供給や放流適地の選定などを支援してまいりました。
 伊豆地域に関して申し上げますと、トラフグの増殖や定着に必要な干潟や広大な砂浜域が少ないといった地理的な環境がございまして、安定的にトラフグ漁を行うには現状におきましては乗り越えなければならない課題も存在しているというふうに認識をしております。
 県といたしましては、伊豆地域の漁業者等の意見を踏まえまして、まずはトラフグ漁に関する知見の共有化を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。なお販路の拡大につきましては、来年度から需要喚起や供給体制の整備により地場水産物の利用を促進する新たな事業を行うことで、高鮮度の地元産の水産物を観光客を含め多くの消費者に提供できるような取り組みを進めてまいりたいと考えております。以上でございます。
○議長(鈴木洋佑君) これで森竹治郎君の質問は終わりました。(拍手)
 以上で、本日の質疑及び一般質問を終わります。

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