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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成31年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

前林 孝一良 議員

質問分類

代表質問

質問日:

02/19/2019

会派名:

公明党静岡県議団


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について
(1) 未来を担うひとづくり
2 平成三十一年度当初予算編成について
3 市町の地震・津波対策の推進について
4 公文書管理のあり方について
5 県庁における高齢者の雇用促進について
6 気候変動影響への適応について
7 本県の魅力づくりへの取り組みについて
8 文化財の保護と活用について
9 持続可能な介護保険制度について
10 資源としての竹の活用について
11 サクラエビの不漁対策について
12 開港百二十周年を迎える清水港について
13 教育行政について
(1) 魅力ある県立高等学校づくり
(2) 夜間中学
(3) 県立高等学校への空調設備の整備
14 あおり運転防止への取り組みについて


○議長(渥美泰一君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第一号から第百三号までを一括して議題とします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により七十一番 前林孝一良君。
       (七十一番 前林孝一良君登壇 拍手)
○七十一番(前林孝一良君) 皆さんおはようございます。
 私は、公明党県議団を代表して通告に従い県政の諸課題について知事、副知事、関係部局長、教育長、教育部長並びに警察本部長に一括方式で質問をいたします。
 質問に入る前に一言述べさせていただきます。
 一月十二日、哲学者の梅原猛先生が亡くなられました。九十三歳でした。先生の著書「隠された十字架」が単行本として発刊されたのは昭和四十七年のことでした。既成概念にこだわらないという大胆な歴史観に私はショックを受けました。当時私は大学進学を目指して浪人中でしたが、後に日本史を専攻することになったのも先生の影響が大きかったと思います。通説と呼ばれるものをまず疑ってかかるという精神を先生から教えていただきました。先生の教えに感謝するとともに心から御冥福を祈らせていただきます。
 それでは質問に入らせていただきます。
 私は、大学卒業後高等学校の社会科教師として採用され、以後二十一年間にわたって教育にかかわってまいりました。未来を築くのは若者たちとの観点から、議員になってからも一貫して青少年の健全育成を初めとして、人づくりを活動の柱としてまいりました。今回最後の質問ということで、このテーマに関し知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 毎年三月、地域の小学校の卒業式に参加させていただきます。私の母校につながるこの小学校では卒業生、卒業証書を受け取る前にステージ上で保護者、在校生に向かって将来の夢を語ります。男子児童はJリーガー、プロ野球の選手、警察官など。女子児童は看護師、幼稚園教諭、パティシエなどが挙がります。胸を張って元気よく宣言する姿に心が温まる思いがいたします。
 ドリームズ カム トゥルー、静岡県新ビジョンのキーワードです。子供のころ人は皆、夢を抱きます。そしてその夢の実現のために努力します。私にも小学校時代大きな夢がありました。しかし中学校、高等学校と進むにつれ現実という大きな壁にぶつかり夢は遠くに消え去ってしまいました。夢をかなえるために努力する姿が美しいとよく言われますが、そのとおりかもしれません。
 十二月定例会初日の議員研修会で、NHKサッカー解説者の山本昌邦さんは、大切なのは勝つことではない、勝ちたいと思うことが大切である、諦めた瞬間に終わる旨の発言をされていました。夢を抱き努力して夢をかなえる人もいます。しかしほとんどは夢かなわず別の道を歩みます。だからといって人生に敗北したわけではありません。全ての若者が志を大きく抱いて、果敢に人生を切り開いていけるような人間に成長してほしいと思います。
 近代トルコの父、初代大統領のケマル・アタチュルクは私の全ての希望は青年たちにかかっていると述べました。平成が終わり新しい時代がスタートする節目の今、知事は県のリーダーとして本県の青少年にどのような期待をされているのか、また未来を担う人づくりにどのように取り組んでいかれるのか、所見を伺います。
 次に、平成三十一年度当初予算編成について伺います。
 政府の一月の月例経済報告によれば、景気は緩やかに回復しているとされています。先行きについては緩やかな回復が続くことが期待されるものの、通商問題の動向が世界経済に与える影響や中国経済の先行きなどが海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要があるとしております。本県の財政状況は昨年十二月の部局調整案提出時点で二百四十六億円の財源不足が見込まれるなど引き続き厳しい財政状況の中での予算編成となりました。
 一方で、平成三十一年度は新ビジョンの二年目となり、県民の安全・安心に加え持続可能な開発目標SDGs、誰一人取り残さないとの理念の実現を目指し人づくり、切れ目のない子育て支援、医療・介護の充実、中小企業支援策の拡充など県民生活へのサービスを低下させることなく積極的に対応することが求められています。
 私たち公明党静岡県議団は、昨年十二月二十一日に知事に対し安全・安心社会の実現、夢あふれる社会の実現、健康長寿社会の実現、活気あふれる社会の実現、調和のとれた社会の実現、行財政改革の実現の六つのテーマのもと中項目十六、小項目二百五十四にわたる予算要望をいたしました。特に地震防災対策においては自助の強化推進、少子化対策ではこども医療費助成の拡充、文化政策では県民の文化活動参加の促進、教育関係ではICT教育機器の導入、医療関係では医療人材の確保、産業関係では事業継承への支援の拡充、雇用対策ではユニバーサル就労の推進、環境対策では鳥獣被害対策の強化、その他障害者の県職員への採用拡大と環境整備などについて強力な取り組みを求めたところであります。
 平成三十一年度当初予算編成に際して、我が会派の要望をどのように反映させ新ビジョンの着実な推進に向けてどのように取り組んでいかれるのか、知事の所見を伺います。
 次に、市町の地震・津波対策の推進について伺います。
 公明党では、防災、減災、復興を政治の主流に据えると昨年の党大会で決め、さまざまな政策提言、政策実現に向け出発いたしました。東日本大震災の発生から八年目の三月十一日を迎えようとしておりますが、静岡県には多くの地震災害からさらに学び、県民の命と財産そして生活を確実に守る責務があります。
 過去の静岡県における地震防災対策を振り返ると、昭和五十一年に東海地震説が公表されその翌年に静岡県大震火災対策施設等整備助成金が創設され、全市町村に対する県の防災対策交付事業が開始されました。その後被害想定が数回にわたり検討され、それに見合う対策として地震・津波対策アクションプログラム二〇〇一、二〇〇六、二〇一三と変遷をし現在に至っております。その間昭和五十四年から四十年間にわたり地元企業に法人事業税の超過課税をお願いし、その貴重な税を財源としてさまざまな対策に活用させていただきました。まさに地域と一体となった地震防災対策が推進され、地震防災先進県として全国をリードしてきました。国の支援との合わせ技でさらなる対策を推進するとともに市町のニーズに合った、また県の目指す防災・減災対策をさらに進捗させるための交付金制度の持続が必要と考えます。
 そこで、まず今年度で終了する緊急地震・津波対策等交付金により地震・津波対策アクションプログラム二〇一三がどのように推進されてきたと総括されているのか、またどのような課題認識を持っておられるのか伺います。さらに地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の総仕上げに向けて、その総括に基づき残り四年間市町に対しどのような交付金を用意し地震・津波対策を確実に推進していこうとしているのか、県の所見を伺います。
 次に、公文書管理のあり方について伺います。
 公文書管理のあり方については、十二月定例会でふじのくに県民クラブの鈴木智議員から質問があったところですが、私は自身の経験を踏まえて質問をさせていただきます。
 本県が県史編さん事業に取り組んだのは昭和六十年のことでした。十三年間、資料編、通史編合わせて三十五巻、総事業費十五億円という内容でした。私は近現代部会のスタッフとして任用され、大学の研究者で構成される専門委員、高校教員や郷土史研究者などで構成される調査委員でチームを組み県史編さん事業をスタートさせました。当初の事業は資料編を構成するための基礎資料を収集することでした。静岡大火や空襲を経験していることも関係しているかもしれませんが、県では明治初期に出された通達類を一切保存しておりませんでした。国には国立公文書館があり太政類典、公文録など明治初期の国と地方を行き来した記録が残っています。静岡という地名が決定されたいきさつも公文録に記録されておりました。県内での県と各役所とのやりとりを知るために県内市町村の市役所、役場を調査する必要がありました。
 予備調査の結果わかったことは、ほとんどの市役所、町役場では庁舎の建てかえのときに古い公文書を処分しているということでした。辛うじて庁舎もしくは倉庫の残っていた現在の浜松市天竜区に属する旧二俣町役場、旧浦川町役場そして磐田市に属する旧敷地村役場などで、断片的ではありましたが太平洋戦争前の公文書を収集することができました。活字版の静岡県公報が発行されたのが西暦一九〇〇年、明治三十三年四月六日のことです。それ以前の県と県内自治体のやりとりの全体像は今でもわからない部分があります。
 公文書館もしくは文書館を整備している都道府県が三十五あります。その中で県史編さん事業と同時に整備した県が十県あります。本県でも議論はありましたし調査費が計上されたこともありましたがそのままになっております。後世に記録を残すことは重要なことです。今からでも遅くはありません。百年後、二百年後の県民に県政情報を残すためにも専門職員を置いた公文書館を整備すべきと考えます。県立中央図書館が移転新築されることが決まっている今こそチャンスと考えますが、県当局の所見を伺います。
 次に、県庁における高齢者の雇用促進について伺います。
 知事は、ふじのくに型人生区分において四十六歳から七十六歳までを壮年期と位置づけ、経験を積みさまざまなことに熟達し社会で元気に活躍する働き盛り世代とするなど、いわゆる後期高齢者でも元気に働く方々を応援するとの見解を示されています。
 県内の六十五歳以上の新規求職者は、平成二十二年の九千四百三十六人から平成二十九年度は一万五千四十五人と五九・四%ふえており、高齢者の労働意欲は高まっております。また就職率の推移を見ると、平成二十二年度の一四・八%から平成二十九年度には二二・六%となり就職率も上昇傾向にあります。しかしながら新規求職者のうち七割を超える方が職につくことができていないのが現状であり、就職できる高齢者は限られていることがわかります。
 これらのデータが示すように、現実的には働きたくても雇用がなければ働くことができません。雇用の場の提供が大事だと考えます。民間企業では七十歳以上まで働くことができる制度を有するところもあると聞いております。
 県においては、非常勤職員などを六十六歳以降も採用している実績はあるようですが臨時や非常勤においても県職員のOBだけではなく高齢者を広く一般的に採用すべきと考えます。各種相談業務などむしろ高齢者の持つ知識、技能、経験が適する業務もあるのではないでしょうか。
 ついては、障害者雇用率と同様に高齢者雇用率を設定するなどして県が率先して取り組み、市町や民間にも波及させていくべきと考えます。公務員の定年も六十五歳まで延長するとの議論もありますが、六十六歳以降はどうなっていくのでしょうか。生活のためだけではなく生きがいとして雇用の場を提供すべきだと思います。そうすることで県民の健康長寿にもつながっていくのではないでしょうか。
 そこで、高齢者の雇用促進について県庁が率先して取り組むべきと考えますが、県の所見を伺います。
 次に、気候変動影響への適応について伺います。
 昨年十月に、国連のIPCC――気候変動に関する政府間パネルがいわゆる一・五度特別報告書を公表いたしました。報告書によると産業革命前と比較して地球の平均気温は現在既に一度上昇しており、今のまま地球温暖化が進めば今世紀中ごろには一・五度まで上昇する可能性が高く、異常気象や海面上昇が生じ生態系や人間の経済活動へ深刻な影響が生じると指摘しております。
 二〇一五年に採択され、二〇一六年に発効した気候変動に関する国際的枠組みであるパリ協定において、各国は温室効果ガスの排出削減対策だけでなく今後予測される気候変動による被害の回避、軽減を図る対策すなわち適応策にも取り組んでいく必要があることが盛り込まれました。地球温暖化を主な要因とする気候変動の影響は既に世界各地で顕在化しており、我が国も例外ではありません。
 実際、昨年の夏には平成三十年七月豪雨が起き西日本に多大な被害をもたらしました。また全国各地で観測史上最高の高温となり、気象庁が命の危険があると表現するほどの猛暑ともなりました。全国の熱中症による救急搬送者数は九万五千人を超え前年の二倍近くに増加し過去最多になりました。静岡県内でも二千五百二十八人が熱中症で救急搬送されています。
 気象庁気象研究所などの研究者チームは、七月豪雨の降水量の約七%は地球温暖化が原因で増加していたとのこと、それから地球温暖化の影響がなければ今回の猛暑はほぼ起こらなかったことをそれぞれ研究成果として発表しており、地球温暖化が進むとこのような豪雨や猛暑が珍しいことではなくなる可能性があると指摘しております。このため我が国では昨年十二月に気候変動適応法が施行され国、地方自治体、事業者、国民が連携して適応策に取り組むこととなりました。都道府県も地域特性に応じた適応策の推進が努力義務とされております。
 東京管区気象台のレポートによると、世界の経済成長が現状のまま続いた場合今世紀末には県内の平均気温は三度程度上昇することが予想されるなど、本県においても気候変動の影響とその対応は避けられない課題であると考えます。
 そこで、気候変動適応法の施行を踏まえ気候変動影響への適応について県として具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、本県の魅力づくりへの取り組みについて伺います。
 深刻な人口減少問題と東京一極集中の加速により、地方では若者離れで高齢化が進み大都市との格差が広がっています。その流れに歯どめをかけ、将来にわたって活気ある地域をつくっていくことが地方創生です。地域を活性化させ活力を維持していくためには、地域の魅力を高めその魅力を生かして観光客を初めとする人を呼び込み、地域が稼ぐという好循環をつくるための仕組みが必要です。
 静岡県は、知事が繰り返し発信しているとおり多くの世界水準の地域資源を有しています。ブランド総合研究所が公表した都道府県魅力度ランキング二〇一八では、本県は昨年から一つ順位を上げ十三位でした。しかしながら本県のポテンシャルを踏まえればもっと上位に位置してもおかしくないと思います。またこの調査で茨城県は六年連続の最下位となっていますが、日本総合研究所が実施した都道府県幸福度ランキングでは茨城県は十一位にランクされています。これを見ると実際に住んでいる人が感じている魅力が県外の方々に伝わっていないのではないかと考えます。幾らすばらしい地域資源があったとしても、それを磨き上げ発信しないことには魅力を感じてもらえないのではないでしょうか。観光客を呼び込むためにはニーズを踏まえた魅力あるものをしっかりとつくり上げ、効果的に情報発信することが必要なのです。
 こうした取り組みの成功事例といえば、昨年十一月に開館した日本平夢テラスが挙げられます。夢テラスは約二カ月間で来館者数の年間目標三十万人を突破しました。ここから望む富士山、三保松原、伊豆半島などの三百六十度のパノラマはここでしか見ることができない日本を代表するすばらしい景観です。報道によると団体客が多く訪れているほか隈研吾氏がデザインした建物が美しいと評判になり、若者がインスタグラムなどで情報を拡散することにより新たな来館者が訪れているとのことです。
 本県では本年九月にはラグビーワールドカップ二〇一九が、また来年には東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック自転車競技の開催が控えており、国内外から観光客を取り組む絶好の機会を迎えています。
 そこで、県は今後より多くの観光客に本県を訪れてもらうためどのように魅力ある観光地域づくりに取り組んでいくのか伺います。
 次に、文化財の保護と活用について伺います。
 県内の文化財は、本県の歴史や文化の理解のために欠かすことのできない貴重な県民の財産であり、将来の文化の発展、向上の基礎となるものであります。平成二十八年八月、防災士の研修会で地震発生から四カ月後の熊本市を訪れました。熊本城の被害を目の当たりにし耐震化などの適切な保存の必要を実感いたしました。また貴重な文化財を復興しようという地域のきずなも生まれており、地域における文化財の重要性を改めて認識いたしました。かの姫路城も平成の大改修が行われ耐震補強が行われたそうであります。
 県内にも国宝を初め多数の文化財が存在しますが、文化財保護行政によりこうした文化財の価値を後世に継承することは地域にとって重要課題と考えます。また本年四月からは文化財保護法が改正され文化財を地域の多くの人々が親しみ、地域づくりの核としての活用の観点を取り込み、文化財の計画的な保存活用の枠組みが明記されました。
 本県では、これからラグビーワールドカップやオリンピック・パラリンピックの開催さらにはデスティネーションキャンペーンも控えており、本県の文化力を発信するチャンスであります。この法律改正を受けて早速、県では本議会の議案にもあるとおり文化財保護行政の所管を教育委員会から知事部局の文化・観光部に移管するとのことでありますが、新しい体制により本県の文化財保護行政が担ってきた文化財を守る、育てる、つなげるの体制を引き継いだ上で、文化財を観光やまちづくりへさらなる活用を進めることが期待されるところであります。
 そこで、教育委員会が実施してきた文化財保護行政が円滑に知事部局に移管できるのか、また今後県民共有の財産である文化財をどのように守り後世に伝え活用につなげていくのか、県の所見を伺います。
 次に、持続可能な介護保険制度について伺います。
 我が国の人口動態を見ますと、団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年に向け高齢者人口が急速に増加し、その後の伸びは緩やかとなるもののふえ続ける一方で、既に減少に転じている生産年齢人口はさらに減少が加速することになります。こうした状況を見据え社会全体で高齢者の生活を支え、たとえ介護が必要になっても住みなれた地域で過ごし続けたいとの思いをかなえるため平成十二年四月に介護保険制度がスタートいたしました。制度開始から十八年が経過し開始当時には考えられない数の介護施設が整備され、そのサービス利用内容も充実してきております。
 一方で、慢性的な介護人材不足が深刻化し処遇の課題は年々改善してきているとはいうものの十分とは言えません。静岡県老人福祉施設協議会の実態調査によると集計対象とした三百八十二事業所のうち職員、特に介護職員不足により何らかの形でサービス制限をせざるを得ない事業所は約一割もあり、特に開設三年未満の十一事業所のうちサービス利用制限は五割強を占める状況にありました。介護人材不足のため全面的にサービス利用を中止せざるを得ない事業所も四カ所見られ深刻な事態となっています。
 こうした状況を打開するため外国人の労働緩和がなされましたが、対人関係が重視される介護分野ではさまざまな課題が山積しております。また昨年より本格的に開始となった地域包括ケアシステムも介護予防や比較的軽度と言われる要支援者に対するサービスについては各市町の運営に任されていることになっていて既に格差が出始めております。さらに二〇二五年には認知症の方が七百万人に達するとされ新オレンジプランに基づき対策を推進していることは十分承知しておりますが、まだまだ認知症の方にとって暮らしやすい生活環境が整っているとは言えません。
 こうした状況を打開するためにはこれまでの既成概念にとらわれず、例えば福祉人材養成学校で外国人留学生の受け入れ支援やICT、ロボット導入への大幅な補助、介護保険を利用しないお元気な高齢者へのポイント特典、生活支援事業参加のための人材の育成など柔軟で具体的な対策を推進する必要があると考えます。
 そこで、持続可能な介護保険制度を推進するため県はどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、資源としての竹の活用について伺います。
 海外からの安価なタケノコの輸入やプラスチック製品の普及などにより竹林が利用されなくなり、この結果、管理放棄された竹林が増大し周辺の農地や森林に侵入して影響を与え、また景観が悪化したり一部の放置竹林においては土壌の流出による災害の発生が危惧されるなどの問題が生じております。
 こうした中、本県ではもりづくり県民税を財源とする森の力再生事業により竹林整備を実施していますが、放置竹林全体から見れば一部であって伐採後の竹の活用の視点でも取り組みは十分ではありません。このため昨年度の十二月県議会において、我が会派の盛月議員から竹を活用する産業の創出を県として検討することを提案したところであります。
 公明党静岡県議団においても、昨年八月熊本県南関町において始まった先進的な取り組みであるバンブーフロンティア事業の現地調査を県と合同で行いました。本取り組みは竹材の伐採、収集から竹の繊維を原料とした新建材の開発、製造、さらに竹チップによるバイオマスエネルギーの熱電供給など工業レベルで竹を包括的に利用することで新たな竹産業を興すことを目指しており、このために新たに立ち上げた三つの会社が中心となって連携して取り組んでおります。取り組みの中で南関町では、伐採竹林の確保のため竹林所有者と会社と町の三者で竹林整備に関する協定を締結して支援するとともに、タケノコ生産者の農業所得の向上のための竹材収集経費の補助などに取り組んでおり、企業、タケノコ農家、町など地域関係者が一体となり竹の活用を進めております。この取り組みは始まったばかりのため、つくった製品の販路拡大や製造工程での技術改善などの課題が残っております。また三年後に工場が必要とする年間二万トンにも及ぶ大量の竹材を安定的に確保する体制の構築は大きな課題と考えられますが、今後こうした課題が解決されれば新たな産業の創出が期待されます。
 このように、竹の資源としての新たな用途はさまざまな分野で開発されつつあり少し異なった視点に立つことにより貴重な資源となる可能性を秘めているとともに、竹の活用を進めることで地域の活性化や放置竹林にもつながるのではないでしょうか。
 そこで、資源としての竹の活用に今後どのように取り組んでいくのか、県の所見を伺います。
 次に、サクラエビの不漁対策について伺います。
 今から二十五年ほど前にサクラエビ漁に参加させていただいたことがあります。夕方由比漁港を出港。小型漁船二隻ずつがペアで船団を組んでサクラエビを求めて焼津沖に向かいました。魚群探知機で魚群を探しながら移動、魚群を発見したところでもって網を入れました。網を手繰り寄せる作業が終わり海上にあらわれたサクラエビは照明を浴びてキラキラと輝き、その美しさに感動を覚えたところであります。
 海の宝石と呼ばれるサクラエビは、日本国内では駿河湾でのみ漁業が行われている本県を代表する特産品であります。また漁獲されたサクラエビは主に素干しや釜揚げなどの加工品として利用されることから、地元の加工業者にとっても重要な特産物となっております。
 サクラエビの漁は、明治中期から行われている歴史ある漁ですがその年間漁獲量は三千から八千トンと大きく変動しておりました。その後昭和五十二年には漁業者同士による過剰な漁獲競争の排除などを背景として全てのサクラエビ漁業者が共同操業を行い、水揚げ金額をルールに基づき配分するプール操業が実施されるようになりました。このサクラエビのプール操業は先進的な資源管理型漁業として全国的に有名な事例となっており、実施以降の年間漁獲量はおよそ二千から三千トンの間で変動していました。
 しかしながら、平成二十一年以降年間漁獲量が一千トン前後となり、ついに昨年には春漁で三百十二トンと大きく低迷しました。さらに秋漁では漁獲対象にできる群れが見つからず商業操業が中止されることとなりました。このような事態は、サクラエビ漁の歴史上初の事態であります。
 このため、このような事態に陥ったサクラエビ漁を復活させることが地域の漁業者はもちろんのこと、地域経済全体やサクラエビが我が国では駿河湾で唯一漁業として成立していることを踏まえれば我が国全体の大きな課題となっております。
 そこで、このような極めて重要なサクラエビの不漁対策について県はどのように考えられておられるのか、所見を伺います。
 次に、開港百二十周年を迎える清水港について伺います。
 あと二月ほどで平成という一つの時代が終わり新たな時代が始まろうとしております。私が静岡県議会議員に初当選したのは今から二十年前の平成十一年でした。当時日本は平成二年になって生じたバブル崩壊による平成不況の真っただ中であり、後に失われた二十年と呼ばれる経済低迷期でありました。県内では平成の市町村大合併に向けて、当時の静岡市と清水市が合併の協議を始めたころです。
 旧清水市を所在地とする清水港は、一八九九年の開港場に指定されてからちょうど百年目を迎え、八月四日には開港百周年の記念式典が盛大に開催されたのを記憶しております。そのころの清水港は新興津コンテナターミナル第一バースの整備が急ピッチで進められており、ITバブル崩壊直前でまだ景気のよかった北米やユーロが誕生した欧州などとのコンテナ貨物の取り扱い等により順調に貨物量を伸ばしているところでありました。
 それから二十年、今日に至るまで清水港は一時的な貨物量の減少などがあったものの、港背後の新東名高速道路等の高速道路網の充実などにより着実に取り扱い貨物量を伸ばし、一昨年のコンテナ取扱量は五十四万一千TEUを超え過去三番目の取扱量を記録するなどものづくり県静岡の海の玄関口として順調に発展を遂げてきたところであり、来年度中に開通が予定されている中部横断自動車道は清水港の一層の利用拡大にはずみをつけるものであります。
 一方、清水港は物流だけでなく平成二年に「クイーンエリザベス二世号」が初入港したのを機に設立された清水港客船誘致委員会などの活躍でここ数年は大型クルーズ船の寄港が年々増加しており、平成二十九年七月には国際旅客船拠点形成港湾の指定を受け、今後はクルーズ船の受け入れ環境がますます整備されていくことで県内のみならず海外の方々との交流、にぎわい創出の場としての機能拡大が期待されています。
 ことし二〇一九年は清水港開港百二十周年を迎え、記念行事のほかにこの夏には海フェスタの開催により清水港の魅力を全国に発信することとなると伺っています。開港百二十周年の節目を迎えるに当たり、県は港湾管理者として今後の清水港の発展に向けどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次に、教育行政についてのうち魅力ある県立高等学校づくりについて教育長にお伺いいたします。
 昨年の夏の高校野球、甲子園大会は百回目という節目の大会でありました。昨年も数々のドラマが生まれましたが、一番の話題は秋田県代表の金足農業高校が決勝まで勝ち抜いていったことでした。公立高校でありしかも全員が秋田県出身とあって話題をさらいました。決勝戦は春夏連覇を狙う大阪桐蔭、私学全盛時代を象徴する大阪桐蔭との戦いに大差で敗れはしましたが金足農業の健闘をたたえる声は秋田県のみならず全国に広がりました。
 平成の三十年間で公立高校が決勝に進出したのは五回、その中で優勝を手にしたのは第八十九回大会の佐賀北高校のみです。全国から有望な選手を集めることができる私立高校が圧倒的に優位な位置を占めていると言わざるを得ません。甲子園に出場し活躍して末はプロ野球選手というのが野球少年の夢である以上、彼らが強豪校への進学を希望するのは当然であります。
 一方、生徒、保護者の大学進学へのニーズに応えるという点でも私立高校の努力は注目に値します。塾に通わなくても現役で国公立大学へ進学できるということをうたっている高校もありますし、高校生が憧れる私立大学に二十人の指定校推薦枠を持っていることを宣伝している一貫校もあります。今の時代に生徒を確保し、盤石な経営を継続することに関する私立高校の努力には敬意を表したいと思います。
 さて、かつては経済的な問題、具体的には高い授業料に対応できないという理由で私立高校を敬遠するという風潮が特に地方においては顕著でした。しかるに東京都において私立高校の授業料の無償化が実現したことがきっかけになって、政府でも公立と私立の格差をなくすべく再来年度から年収五百九十万円以下の世帯に対し私立高校の授業料を実質無償化することが決まりました。保護者の経済的負担が公立と私立とで平均化される中、受験生とその保護者が求めるのはその高校の持つ魅力です。経営努力を進めてきた私立高校に対して公立高校がどこまで対抗できるのか、私は注目したいと思います。
 今後、県立高等学校の魅力づくりにどのように取り組んでいかれるのか、教育長の所見を伺います。
 次に、夜間中学についてお伺いいたします。
 平成二十七年の秋、神奈川県三浦市でフィリピン国籍の十六歳の少女が亡くなりました。命を奪ったのは日本での生活に疲れ心を病んだ母親でした。フィリピンで義務教育を終えた少女は病気の母親の容態を心配し来日します。少女は日本語を勉強し高校に行くことを決意しますが、少女は中学校を卒業しているため公的に学べる場所はありません。横浜市のフリースクールに行きつきますが三十人の定員枠は既に埋まっていました。ようやく中学生向けの学習支援教室が見つかり、そこへ学び始めて一カ月後に起こった惨事でした。もし少女が来日直後に日本語を学べる場所に出会っていたら、このような惨事は起こらなかったと思うと残念でなりません。
 さて、平成二十七年六月の定例会で我が会派の早川育子議員が夜間中学について質問しております。その前年の参議院文部科学委員会での大臣答弁を踏まえ、学び直しを希望する日本人や日本語学習を希望する外国籍の方々を対象とした夜間中学を本県でも設置すべきとの内容でした。これに対し木苗教育長は、今後の国の動向を踏まえながら各市町におけるニーズの把握に努めるとともに義務教育未修了者の学習機会の一つとしてその研究に取り組む旨答弁されました。それから三年半が経過しましたが、その間の調査研究の成果はいかがだったのでしょうか。
 昨年十二月には、外国人材の受け入れを拡大する改正出入国管理法の成立を受け政府が受け入れ、共生のための総合的対応策を決定、この中でも日本語教育などの充実へ夜間中学の設置促進が明記されました。こうした動きを踏まえ今月五日には文部科学省が東京都内で自治体向けに設置推進説明会を開催、七日には大阪でも開催され夜間中学の設置を検討する都道府県及び政令指定都市また市区町村合わせて七十二の自治体が参加したと聞いております。この四月からは埼玉県川口市と千葉県松戸市で新たに設置されるそうです。
 国の流れに取り残されないように本県でも夜間中学の設置に向けた取り組みを始めるべきと考えますが、教育長の所見を伺います。
 次に、県立高等学校への空調設備の整備について伺います。
 昨年の夏は、気象庁が一つの災害と指摘するほどの記録的な猛暑が日本列島を襲い、七月には隣の愛知県で校外学習から学校に戻った小学校一年生の男子児童が空調の設置されていない教室で亡くなるという痛ましい事故が発生するなど児童生徒の命にかかわる深刻な事態となり、全国的にことしの夏に向けた空調設備の整備が進んでおります。
 そこで、本県の状況を見ると公立学校の普通教室及び特別教室における空調設備の設置率は平成三十年九月一日現在、小中学校は全国が四九・九%のところ本県は一四・六%で全国四十一位、特別支援学校は七七・八%に対し五二・一%で三十九位、高等学校は五四・一%に対し四六・九%で三十六位といずれも全国平均を下回り、順位も下位に位置し不十分な状況でありました。
 昨年十一月、国はことしの夏の暑さに備えるため平成三十年度補正予算において新たな交付金制度であるブロック塀・冷房設備対応臨時特例交付金を創設し、各自治体に対し早期に教室への空調設備の設置を促しました。これを活用して本県の小中学校及び特別支援学校については、設置者である市町及び県が教室へ空調を設置する補正予算を組みことしの夏に向けた整備を進めております。日本全国で一斉に空調設置に動き出したことからエアコンの生産数や設置業者数が限られているため急増した需要に対応できるか心配ではありますが、ここ一、二年で確実に本県の小中学校及び特別支援学校の空調設置率は上がることになるので一安心であります。
 しかしながら、高等学校に目を移すと空調設置に向けた県の独自予算は明確には計上されていないように後回しになっている感があります。生徒の健康管理や適切な学習環境を確保するために高等学校についても空調未設置の普通教室及び特別教室をなくしていくことは、義務教育と同じく早急に対応すべき課題と考えます。
 そこで、県教育委員会は県立高等学校への空調設備の整備についてどのように進めていく考えか伺います。
 最後に、あおり運転防止への取り組みについて警察本部長に伺います。
 「これは事故ではなく事件であり殺されたとしか思えない。被告には一生刑務所に入っていてほしい。私の何倍もの苦しみを味わってほしい」。これは先日東名高速道路で発生したあおり運転をきっかけにして死亡した被害者の御遺族にお会いした際、御遺族が発せられた言葉です。あおり運転防止が叫ばれる中、昨年七月に大阪でまたもあおり運転の末にバイクの学生を死亡させる事件が発生しました。これについて検察は加害者を殺人罪で起訴しています。
 さて、県内の交通事故の発生状況に目を向けると平成三十年中は発生件数、死者、負傷者ともに大幅に減少しました。これは官民一体となった対策の成果と言えます。一方、交通事故や違反など交通に関連する一一〇番通報は増加していると聞きます。この中にあおり運転に関するものが存在することは容易に想像できます。
 あおり運転は、相手に恐怖を与えて追い詰めるなど悪質きわまりない行為です。ひとたび事故が発生するとその結果は重大で、被害者そしてその御家族の人生を狂わせるほど社会を震撼させ安全・安心に影を落とします。県警察では防止対策の一環として車間距離不保持の取り締まりを強力に進めるとのことであり、事実昨年末の新聞には本県警察が兵庫県、愛知県に次いで全国第三位の取り締まり件数を挙げたことが掲載されていました。県民の安全・安心のために事故防止対策の最後のとりでとなる取り締まりを県警察を挙げて推進していることに感謝いたします。
 しかし、視点を変えると車間距離を詰める、つまりあおり運転と捉えられる運転をする者がまだまだ存在しているとも言えます。遺族となってしまったお子さんは「どれだけたくさん涙を流しても両親は戻ってこない。一緒に死んでしまえばよかった」との言葉を検事に預けました。公判で代読した検事も言葉を詰まらせるほどで、その悲しみははかり知れません。私がお会いした御遺族は涙を浮かべながら「二度と起きてほしくない」と、強く訴えておりました。
 発生してからでは遅い。大切なのは被害者を生み出さないことであります。そのためには危険な運転をするドライバーに警鐘を鳴らし、時には路上から排除して安全・安心な交通環境を守ることです。
 教育、広報啓発、取り締まり等の対策のほか被害に遭わない方法や遭遇時の対処方法を周知する必要性もあると考えますが、二度と同じような被害者を出さないためにあおり運転防止に向けた県警察の取り組みについて警察本部長に伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(渥美泰一君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 前林孝一良議員におかれましては、平成十一年から丸二十年に及ぶ県議生活に終止符を打たれるとのことでございます。私は平成二十一年に知事職をあずかることになりました。議員生活の後半部分を御一緒することができたのは光栄でございます。常に市民、県民なかんずく生活者そして弱い人たちの立場に立ってのさまざまな御発言には、学ぶところが多大でございました。
 前林議員は、大学御卒業後二十年間高校生の人材育成に当たられました。そしてその次の二十年間は県民のための県議の生活を送られました。昭和二十八年九月生まれの前林議員におかれましては現在は満六十五歳、静岡県の人生区分で言えば壮年盛期の最終年でございます。この秋に六十六歳になられて壮年熟期、七十六歳までが熟期でございまして壮年熟期それから初老、中老、長老となられていく二十年間、これまでの最初の二十年そして現在の二十年、次の二十年これまでと同じように立派な仕事をされることは確実だと私は思っております。立派な青少年を育て、また御家庭におきましても今回の御勇退の話を承りました折、優しい奥様そして明るく美しい御令嬢にもお目にかかることができまして立派に御家庭を営んでこられたということに対しましても敬意を表します。これからも先生の生活が幸せに満ち、またその幸せを多くの人たちに分かち合うものでありますようにお祈り申し上げまして御礼の言葉にかえたいと思います。
 また、あわせて尊敬しております梅原猛先生の思い出も語っていただきありがとうございました。梅原先生が「隠された十字架」を書かれたのは四十代のことでした。そして彼は「梅原猛著作集」一期、二期それぞれ二十巻ずつございます。そしてこうした数百冊以上の御本の最後を飾る単著は「人類哲学序説」というものでありました。「隠された十字架」はそのタイトルが示しておりますように法隆寺を建立した聖徳太子にキリスト教の気配を感じ取ったものでございます。そうしたこの梅原哲学の終着点は草木国土悉皆成仏というものでございました。言いかえますと仏教になったということでございます。
 私は、この仏教にはシルクロードを経て正倉院のさまざまな宝物にあらわされておりますように一神教の思想、一神教になった人々さらにヒンズー教にかかわる思想も仏教という大きな風呂敷の中に入っているというふうに思っております。そうした先生の仕事に対しまして静岡県では梅原猛氏を最高顧問にお引き受けいただきまして、そのお話を私はじかにお聞きする機会を得ました。それは「日本思想の古層」と、古い層ということですけれども一昨年の夏に本になりました。これが梅原先生の名を冠した本としては最後の本になったのではないかというふうに思っております。また静岡県には草木国土悉皆成仏、国土は富士なりと、つまり富士がその思想を体現しているという石碑も建てることを許していただいたわけでございます。思い出深い梅原先生との先生の思い出を語っていただきましたことに対しても御礼を申し上げます。
 さて、前林議員の御質問、最初の御質問は私の政治姿勢なかんずく未来を担う人づくりについてであります。
 先生もそうでありますが、私も大学生を預かって人づくりの仕事をしてまいりました。生物界の原理というのはより多くの子孫、よりよい子孫をより多く残すということにあるのではないかと思います。それが人においてはよい人材を残すということになるのではないかというふうに思うわけでございます。したがって子育てすらこれは人材づくりだと、子育ては命を育む幸せの愛を育む尊い仕事という歌もございますように、まさにこれは大事な仕事であるというふうに思っております。
 未来を担う人づくり、本県の目指す人づくりは霊峰富士の姿のように気品をたたえ調和した人格を持ち、豊かな富を創出する有徳の人づくりでございます。とりわけ本県の宝であり、県民に希望をもたらす子供たち、若者たちの健やかな成長は全ての県民の願いであります。そしてまた、ふじのくにづくりの基礎をなすものであります。
 今後ますます予測困難で変化の激しい時代におきましては、本県が直面する課題を解決していくために才と徳を兼ね備えた才徳兼備の人材を一人でも多く育成してまいります。特に十歳前後の子供たちは将来の夢、志を抱く年齢でございます。先生の夢は何だったのでしょうか。将棋の藤井聡太さん、このたび朝日杯で二連覇を達成されました。卓球の伊藤美誠さん、若干古くなりましたけれども岩崎恭子さん、皆十代です。またさらに最近では仲邑菫さん、まだ九歳です。そして囲碁の道を志されるということをされております。
 私どもは、文武芸三道の鼎立という考えのもとで知性を高める学習は大切ですけれども技芸を磨く実学も同じように大切であるということで、どちらかといえば日本の教育システムにおきましては知性よりも低く見られたように思われる技芸に重点を移しましてすぐれた資質を十分に伸ばす才徳兼備の教育を行い、一人一人が実現すべき夢を明確に持つことができるようにしたいと思っております。
 さらに一言つけ加えますと、学歴社会は終わったという認識を持っております。高い学歴すなわち大学の学士になるということが珍しい時代は明治時代、大正、昭和の前期、中期ぐらいまででありましたけれども、今やほぼ全ての人が望めば大学に行ける時代であります。すなわち学歴によって人はもはや差別化できません。むしろ将棋や囲碁やバレーやスポーツなどのように技芸によってかえって生きる道を目指すことができると。ですから学歴よりも技芸歴のほうが大切であると。十代の前半まで、義務教育の終えるまでに子供たちのどのような才能を伸ばすか、社会全員の大人がその模範となって、背中を見て子供たちが夢を抱けるようにする時代が来ているというふうに思います。ただに小学校、中学校の先生のみならず全ての大人たちが何らかの形で先に生まれた先生であるという、そういう思いを持って自分たちの職業あるいは自分たちの持ってきた経験を子供たちに伝えることが大切だと。技芸歴を重んずるような社会に軸芯を移したいと考えております。
 本年はラグビーワールドカップ二〇一九が本県で開催されます。その哲学はワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンとあります。一人はみんなのためにみんなは一人のために、このラグビーの精神を有徳の人づくりの一つの静岡県ふじのくにづくりの精神として広めていきたいと考えております。
 富国有徳を県政運営の基本理念に掲げる本県におきましては、誰もが努力をすれば人生の夢を実現でき幸せを実感できる地域、ドリームズ カム トゥルー イン ジャパンの拠点になることを目指しております。今後とも本県の子供たち、若者たちが富士山のように高い志を抱き夢に向かってはばたいていけるように、地域ぐるみ、社会総がかりでふじのくにの未来を担う才徳兼備の人づくりに全力で取り組んでまいります。
 次に、平成三十一年度当初予算編成についてであります。
 公明党県議団の皆様から御要望いただきました六つの大きなテーマ、そして二百五十四項目にわたる御要望、しっかり受けとめました。静岡県の新ビジョンの取り組みを積極果敢に進める予算編成をその御提言に基づきながら組みました。
 要望の大きなテーマの一つ目安全・安心社会の実現につきましては、防災先進県である本県の防災力の啓発、発信拠点として地震防災センターのリニューアル工事を三十一年度の開館に向けて本格化してまいります。また市町の地震・津波対策の実効性を高めるため避難所運営訓練や避難訓練などを新たに支援する地震・津波対策等減災交付金を創設いたします。
 二つ目の夢あふれる社会の実現につきましては、こども医療費助成の助成要件につきまして所得制限を撤廃いたします。それとともに政令市に対しましても高校生世代を対象に期間を限定して助成を行い県内どこでも安心して出産、子育てができる環境づくりを進めます。また子供たちが新しい時代に求められる能力が備わるように、全ての県立学校へのICT機器の導入及び活用を促進しICTを活用した授業改善を図ってまいります。
 大きなテーマの三つ目、健康長寿社会の実現につきましては、認知症の御本人が認知症の人やその家族を支えるいわゆるピアサポート活動に対する支援活動を行うなど、認知症の人とその家族が安心して暮らせる地域づくりのために取り組んでまいります。また新たな妊孕性温存やウィッグなどの――かつらでございますが――医療用補整具の購入に対する支援制度を創設いたしまして、現在公的な支援が行き届いていない若年者を初めとするがん患者に対する支援をしっかりと行ってまいります。
 四つ目の大きなテーマ活気あふれる社会の実現につきましては、本県経済の活力の源である中小企業、小規模企業を支えるために金融機関や商工会など関係機関と連携し、円滑な事業承継を推進してまいります。また高齢者や障害のある方の就労を促進するため、企業とのマッチング支援を行うコーディネーターを配置しユニバーサル就労の推進に努めます。
 五つ目の大きなテーマ調和のとれた社会の実現につきましては、計画的な捕獲計画に基づきより人家に近い里山における鹿の集中的な捕獲を実施するなど鳥獣被害対策を強化いたします。また多文化共生社会の形成に向けて外国人の県民が身近なところで日本語の学習ができる環境整備に向けて取り組むとともに、安定した生活の実現のため正社員化を促進するコーディネーターを配置するなど衣食住にかかわる支援を充実してまいります。
 六つ目の大きなテーマ行財政改革の実現につきましては、社会保障関係経費などの義務的経費が増加する中、歳出の不断の見直しと歳入確保に努めた結果、財源不足額を昨年度と同額程度の二百三十億円に抑制することができました。また活用可能な基金につきましても三百七十四億円を確保し、来年度以降に向けて健全財政の礎を築くことができたものと考えております。
 今後とも、不断の行財政改革により健全な財政運営を堅持しつつ、世界共通の目標であるSDGsの理念を体現したフロントランナーとしての自覚を持って、静岡県を誰もが努力をすれば夢を実現して幸せを感じることのできる地域とするため新ビジョンの取り組みを積極果敢に進めてまいります。
 次に、本県の魅力づくりへの取り組みについてであります。
 ふじのくにづくりにおきましても、日本国づくりにおきましても大切なものが三つございます。
 一つは力を持つこと、力の体系であります。もう一つは利益の体系であります。それぞれ防災力ないし軍事力、もう一つは経済力と言えるでしょう。特に軍事力とか経済力というのは外に向かって及ぶ力であります。もう一つ大切な体系が国には必要です。それは価値の体系であります。言いかえると文化力であります。文化力というのは外に向かうというよりも引きつける力であります。この引きつける力を持つことが本県の魅力づくりの取り組みの基本的な考え方であります。その指標が観光客数にあらわれます。
 本県の観光交流客数は、平成二十五年度以降五年連続で過去最高を記録しております。一億五千万を超えております。今後ラグビーワールドカップ二〇一九や東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの開催などによりさらに多くの来訪が期待される中、本県の有する地域資源の魅力を一層磨き発信することによって国内外の観光客の需要を一層取り込み、本県経済の発展につなげていくことが重要であります。
 また、観光客のニーズが名所、旧跡をめぐる物見遊山型のモノ消費から、そこに暮らす人や地域の営みに触れるいわゆるコト消費へと変化しております。こうした新しいニーズを的確に捉えそれに対応していくことが肝要です。
 このため、県では地域の歴史・文化や食などのさまざまな地域資源をより多く活用した体験型プログラムを充実させることで、訪問滞在の満足度や地域の稼ぐ力を高める観光地域づくりに取り組んでいるところであります。
 こうした中、本年四月に本番を迎えるデスティネーションキャンペーンは効果的な情報発信とともに地域資源の魅力を高める絶好の機会であります。そこで県内DMO等を中心に地域の関係者が各地域の観光素材の掘り起こし、並びに磨き上げを行い静岡DCの特別企画として商品化したところでございます。JRの広報媒体やテレビCM、SNSなどを活用しながら全国に向けて本県の魅力を効果的に発信してまいります。
 静岡DCにおきましては、春のキャンペーン終了後も年間を通じまして取り組みを継続いたします。そのことで地域の人材育成や県内のDMO等の体制強化を図り、将来にわたる県内の観光地域づくりのプラットホームづくりにつなげたいと考えております。また県域DMO、TSJ――静岡ツーリズムビューローのことでございますが――TSJと連携をいたし海外の専門家等の評価を通じて地域の魅力に気づく機会を提供するとともに、その魅力を商品化するノウハウなどを伝えていくことで質の高い商品づくりを促進してまいります。これに加え磨き上げた地域の魅力をSNSやTSJの海外向け予約サイト、マウントフジトラベルなどで継続的に発信することで商品企画から効果的な情報発信まで一貫した取り組みを行ってまいります。
 こうした取り組みを通じまして、住民の地域への愛着、誇りの醸成、交流人口の拡大、地域経済の活性化などを図り「住んでよし 訪れてよし」の好循環を生む持続可能な観光地域づくりを進めてまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を申し上げます。
○議長(渥美泰一君) 難波副知事。
       (副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) 開港百二十周年を迎える清水港についてお答えをいたします。
 清水港は、平成十一年の開港百周年以降も新興津地区国際海上コンテナターミナルの完成などにより利便性を高めコンテナ取扱量の拡大など着実に発展を続けてまいりました。このような発展をさらに飛躍させるため開通が目前に迫った中部横断自動車道を加え、拡充する交通ネットワークとともにAIやIoTなどの新たな技術を最大限に生かして革新的かつスマートで美しい港としていくことが重要であります。
 また、近年では富士山の世界遺産登録、駿河湾の世界で最も美しい湾クラブへの加盟、伊豆半島のユネスコ世界ジオパークへの認定とともにクルーズ船寄港回数の大幅増加など清水港の魅力はますます高まっており、世界から憧れられ人々を引きつける港、世界のモデルとなる港になると考えております。
 このため、現在有識者による検討委員会を設置して清水港の長期構想の策定を進めています。本年三月末までに、知と美を柱とする基本理念や今後取り組む施策などについて取りまとめる予定です。具体的には物流、産業面では新興津地区を中心として革新技術を活用したコンテナターミナル等の自動化、遠隔操作化に取り組むとともに、貝島地区などの利活用を図ってまいります。またクルーズ・交流面ではクルーズ船の目標寄港回数を年間百七十五回とし、日の出地区の国際クルーズ拠点整備を推進することに加え江尻地区への駿河湾フェリーの移転、三保・折戸地区での海や浜を楽しむ拠点の創出などを目指してまいります。来年度は構想を具現化する計画の策定に着手することとしており、関連する予算を今議会にお諮りしているところであります。
 県といたしましては、世界遺産富士山を仰ぎ開港百二十周年を迎える富国有徳の美しいふじのくにの海の玄関口である清水港が知と美で世界から憧れられる港として飛躍するよう全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 金嶋危機管理部長。
       (危機管理部長 金嶋千明君登壇)
○危機管理部長(金嶋千明君) 市町の地震・津波対策の推進についてお答えいたします。
 県では、南海トラフ地震の想定犠牲者の八割減少を目指し市町と連携してハード・ソフトを適切に組み合わせた地震・津波対策を着実に推進してまいりました。その結果平成二十九年度末時点で約四割の減災効果が認められ、緊急地震・津波対策等交付金はその実現に大きく寄与したものと考えております。
 一方、減災目標の達成のためには犠牲者の大半を占める津波被害者の減少に向けてなお一層の津波対策の推進が求められております。また県外の被災地支援を通じて避難所運営や住家被害認定調査など被災直後の生活支援対策の重要性も学んだところであります。
 このため、地震・津波対策等減災交付金を創設し津波からの避難対策を積極的に進める市町に対して補助率をかさ上げするなど津波による犠牲者防止に重点的に取り組むとともに、被災者の生活支援対策など補助対象の拡充を図り市町の取り組みを支援することとしております。
 県といたしましては、新たな交付金制度を活用して市町が行う地震・津波対策に対し今後四年間で百億円程度を支援することとし、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の目標達成に向け全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 杉山経営管理部長。
       (経営管理部長 杉山行由君登壇)
○経営管理部長(杉山行由君) 公文書のあり方についてお答えをいたします。
 歴史的に価値のある資料は県民共通の貴重な財産であり、これを適切に保存し後世に継承していくことは県の責務であると認識しております。
 県では、保存期間が満了した公文書から歴史的に価値のあるものを選別し現在までに五万二千五百四十一冊を歴史的公文書として管理しているところであります。葵文庫、久能文庫などの歴史的資料や第一次及び第二次県史編さん資料は県立中央図書館などで管理する一方、第三次県史編さん資料及び歴史的公文書は田町文庫などで管理していることから、これらを一括して管理することが課題となっております。
 現在、新県立中央図書館の整備に向けた検討が進められております。この基本計画案におきましては文献としての価値を持つ葵文庫や県史編さん資料などを一元的に管理し公開することとしております。また歴史的公文書につきましても図書館内に閲覧受付窓口を設け館内で閲覧できるようにし、県民の皆様が利用しやすい体制の整備を図ることとしております。
 御提案の公文書館につきましては、現在の田町文庫が河川増水時に浸水するおそれがありますことから、これにかわり安全かつ安定的に公文書を保存管理できる施設の整備が必要であると考えております。このため未利用となっている県有施設の再整備や今後予想される県有施設の空きスペースの有効活用なども含め早期に実現可能な整備手法を鋭意検討し、県民の皆様が将来にわたって歴史的資料を利用していただけるよう努めてまいります。
 次に、県庁における高齢者の雇用促進についてであります。
 ふじのくに型人生区分では四十六歳から七十六歳までを壮年としており、その中で六十六歳から七十六歳までの壮年熟期の方々にも豊富な経験を生かして社会で元気に活躍いただけることを目指しております。
 県庁におきましても、高度な識見に基づく意見や提言をいただくリーディングアドバイザーとして多くの壮年熟期の方々に御活躍いただいております。また県の施策に関する重要事項を調査、審議する審議会の委員につきましても七十歳としていた年齢の上限を平成二十七年度に撤廃し、より多くの方々からの専門的な知見を県の施策に反映していただいております。
 さらに、豊富な知識や経験を業務に活用するため常勤の職として六十五歳を超える医師を任用しているほか、消費生活や交通事故に関する相談業務などにおきまして臨時職員や非常勤職員として壮年熟期の方々を百四十七人任用し活躍いただいているところであります。
 今後は、障害者の業務支援を行うジョブコーチ、福祉施設等の指導監査業務など豊富な経験や知識を県民サービスの向上に活用することが期待できる業務を中心に職域開発を進め、高齢者雇用のさらなる促進に県が率先して取り組んでまいります。こうした取り組みを通じて壮年熟期の方々に活躍の場を提供することにより、こうした方々がいつまでも現役として活躍できる社会の実現につなげてまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 鈴木くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 鈴木 亨君登壇)
○くらし・環境部長(鈴木 亨君) 気候変動影響への適応についてお答えいたします。
 地球温暖化対策として、省エネルギーの推進や再生可能エネルギーへの転換による温室効果ガスの排出抑制などの緩和策に取り組んでおります。
 近年、気温の上昇や局地的大雨の頻発等の気候変動により農作物の品質低下、健康被害や災害リスクの増加等の影響が顕在化してきております。こうしたことから県では気候変動影響による被害を回避、軽減するため本年度末を目途に適応取り組み方針を策定しているところであります。
 具体的には、本県の特産品であるミカンやワサビ等の暑さに強い品種への改良と普及、熱中症リスクを低減する園庭等の芝生緑化、住民の安全を確保するハード・ソフトが一体となった土砂災害対策等を実施してまいります。また県民や事業者の皆様に熱中症予防の徹底や集中豪雨に備えた事業継続計画の策定等に取り組んでいただくよう、情報収集や提供等を行う気候変動適応センターを立ち上げ気候変動の影響の重大さや適応の必要性を周知してまいります。
 県といたしましては、温室効果ガスを排出抑制する緩和策とともに、新たに策定する気候変動影響への適応取り組み方針をもとに県民や事業者の皆様と一体となって適応策に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 渡邉文化・観光部長。
       (文化・観光部長 渡邉眞一郎君登壇)
○文化・観光部長(渡邉眞一郎君) 文化財の保護と活用についてお答えいたします。
 県内には有形無形の数多くの文化財が存在しており、県民の貴重な財産でありますことから県ではこれまでその保護に取り組んでまいりました。
 こうした中、例えば久能山東照宮は平成二十二年に本殿などが国宝に指定され来訪客が大幅に増加いたしました。また昨年十一月、名勝日本平に日本平夢テラスを整備いたしましたところ来館者数は既に年間目標の三十万人を突破しており、これらの事例から文化財の魅力を効果的に発信していくことが交流人口の拡大につながることを確信したところであります。
 そこで、県では今回の文化財保護法等の改正を受け文化財の保存、継承を着実に行い、その価値を損なわないよう配慮しつつ地域の新たな魅力として活用していくため、文化財保護行政の所管を文化の振興及び観光地域づくりを担う文化・観光部に移管し保存と活用を一元的に推進することといたしました。移管に当たりましては文化財の指定や埋蔵文化財の調査等、文化財保護の事務を今後も着実に実施するため引き続き専門的な知見を持つ職員を配置いたしますとともに、県教育委員会や市町と緊密に連携し新年度からの業務に影響が生じないよう万全を期してまいります。
 また、来年度中に外部の有識者の御意見も伺いながら県における文化財の保存と活用の基本的な方向を明確化するための大綱を策定し社会総がかりで文化財の継承に取り組むとともに、文化財を核とした魅力ある地域づくりを進めてまいります。
 今後、デスティネーションキャンペーンを初めラグビーワールドカップ二〇一九、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの開催を控え本県の文化力を発信する絶好のチャンスを迎えます。この機を捉え文化財を守る、育てる、つなげる体制を維持しつつ多彩な文化資源に恵まれた本県の魅力を国内外に向けて発信をし交流人口の拡大に努めてまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 池田健康福祉部長。
       (健康福祉部長 池田和久君登壇)
○健康福祉部長(池田和久君) 持続可能な介護保険制度についてお答えいたします。
 介護保険制度は、介護が必要となっても安心して日常生活を送ることができるよう社会全体で支える仕組みとして創設され、介護需要の増加と多様化に伴い提供されるサービスも充実されてまいりました。高齢化のさらなる進行により今後の介護需要はますます高まり、介護予防から施設介護までさまざまなサービスの提供にはこれまで以上に多くの人材が必要になると見込まれております。
 需要に即した効果的な人材確保対策を進めるためには、新たな手法や工夫した取り組みが必要であります。このため新たに外国人介護人材を本県に誘導するためのリクルートチームの海外派遣や元気な壮年世代の皆様を資格を必要とせずに介護業務の一部を担う介護サポーターとして育成し、就業につなげる事業を実施するなど介護サービスの新たな担い手の確保に取り組んでまいります。また介護職員の身体的・精神的負担を軽減し職場定着の促進を図るため、介護業務の効率化を図るICT機器の導入支援業務を拡充し新たに介護記録の共有やサービス内容の分析、介護報酬の請求などを一括して行う業務改善システムを取り入れる事業所の支援を開始いたします。
 さらに、市町が提供する生活支援や介護予防サービスでは住民やNPO、民間事業者の参加が重要であるため市町と民間事業者等とのマッチングや住民参加による移動支援サービスの取り組みなど多様な人材が支えるサービスの創出を支援してまいります。
 県といたしましては、年齢を重ねても県民の皆様がいつまでも元気に社会で活躍できるよう市町が住民や事業者等と連携しながら進める介護予防を支えるとともに、必要とされる介護サービスがいつでもどこでも受けることができる体制の構築に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 芦川農林水産戦略監。
       (農林水産戦略監 芦川敏洋君登壇)
○農林水産戦略監(芦川敏洋君) 資源としての竹の活用についてお答えします。
 県は、竹を資源として活用するためには竹材の有効活用策と安定供給策を一体的に進める必要があると考え、議員から御例示いただきました熊本県南関町の取り組みを含め県内外で注目すべき取り組み事例の調査を行うとともに県内の竹林状況の把握に取り組んでまいりました。この結果として九州地方の中では比較的地形が緩やかでタケノコ生産が盛んな地域において、竹林の手入れにより大量発生する伐採竹の処理を背景に竹繊維の粉末と樹脂を混合した竹プラスチックや竹チップと杉チップの混合ボードの開発、製造に取り組まれているという有効活用事例がありますが材料となる竹材の安定供給が課題とのことでした。
 一方、本県ではカキ養殖棚への利用や牛の飼料用の竹パウダーの販売を手がける事業者はおりますが竹林の場所は急峻な地形が多いということで、タケノコ生産は九州に比べごく少なく伐採竹の利用はほとんど実績がない状況であります。また森の力再生事業による放置竹林の整備に関連して土木用資材として活用する事例での搬出コストの調査によると、熊本県の事例に比べおおむね七倍もの経費を要する結果となり竹材活用への実用化にはいかに搬出コストを削減するかが大きな課題となります。
 このため、県といたしましては森の力再生事業の竹林再生整備の現場を活用して機械導入などによる搬出コストの削減策を研究するとともに、今後森林環境譲与税を財源にして放置竹林の整備に取り組む市町に対しこうした成果を情報提供し竹材活用の安定供給策として実践されるよう働きかけてまいります。
 次に、サクラエビの不漁対策についてであります。
 大変厳しい資源状態となっているサクラエビ漁への対応といたしましては、漁業者や水産加工業者などの関係者間の合意形成に基づく資源管理対策とともに、収入や売り上げの減少に伴う経営支援対策を効果的に講じていくことが重要と考えております。
 このため、まずは資源管理対策としまして県の水産技術研究所と漁業者の連携による漁期前の調査操業を行っているところであり、特に昨年の秋漁の時期からはサンプル数や調査回数を大幅に拡充して調査を実施しております。こうしたエビの大きさや密度といった資源量に関する精緻な調査結果を関係者間で共有し操業の方向性を主体的に判断できる体制を整えてきたところであります。あわせて経営支援対策として漁業共済といった減収補填制度の確実な運用を図るとともに、漁業者及び水産加工業者向けの相談窓口を関係金融機関と連携して設置し、運転資金に対する新たな低利融資制度の利用促進や漁業近代化資金の既貸付金の償還期間延長などの特例措置を図っております。
 次の春漁に向けましては、本年一月以降も月一回のペースで漁業者との共同資源調査を継続するとともに漁業者や水産加工業者、専門家、関係行政機関が一堂に会する連絡会を設け情報交換を図っております。サクラエビの資源状態に関する最新情報を踏まえて資源回復を前提として春漁の方向性が決定されるよう地域一丸となって取り組んでまいります。
 県といたしましては、サクラエビの資源量推定の精度を高めながらこうした不漁対策を継続し駿河湾産サクラエビ漁の回復に努めてまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 教育行政についてのうち、魅力ある県立高等学校づくりについてお答えいたします。
 私立高校における授業料の無償化は県立高校に大きな影響を与えることが予想されます。このため各県立高校では、その歴史や伝統を生かしつつ中学生や保護者に選ばれるよう魅力を高めていくことが重要であります。
 既に、多くの県立高校が地域や行政、地元企業と連携し主体的、対話的で深い学びを実践し魅力の向上に努めております。具体的には川根高校における情報系企業と連携したインドへの留学制度の創設や藤枝北高校における水窪町での天然麹菌を利用した商品開発や高校生民宿、袋井商業高校での袋商ショップ、熱海高校の高校生ホテルなどの例が見られます。
 このほか、今年度創設したコアスクール事業では浜松北高校における医学部への進学に特化したセミナーの実施や三島北高校における英語漬けの授業やポスターセッション大会の開催のほか、多くの高校で外部人材等による難関大学への進学指導などの取り組みを進めております。
 さらに、専門高校におきましては社会に出てから即戦力となることを目指して最先端の機械の導入や外部人材による技術指導などにより必要とされる資格や技術の習得に力を注いでおり、求人数は就職希望者をはるかに上回り大手企業を初め就職率が高いことが魅力の一つとなっております。
 今後とも、各校の魅力を高める取り組みを一層推進するとともにICT環境や計画的な施設整備など学ぶ環境を整備していくこととしております。さらに観光、スポーツ、演劇など新しい学科や国際バカロレアの具現化にも取り組み、中学生が自分の目指す道として選択できる県立高校となるよう取り組んでまいります。
 次に、夜間中学についてであります。
 平成二十二年の国勢調査によりますと、小学校に在学したことのない人や卒業していない人の数は県内で二千五百人を超え、また近年外国籍の人や不登校の児童生徒が増加しておりますことから夜間中学への一定のニーズはあるものと考えております。
 県教育委員会では、平成二十七年度以降他県の夜間中学の先進的な取り組み事例の研究や政令市を含む市町教育委員会を対象とした設置希望に関する調査を行ってまいりました。さらに今月開催された文部科学省主催の設置推進説明会に参加し情報収集に努めております。
 また、本年度は具体的なニーズを把握するため、外国籍の人や不登校・ひきこもり傾向にある人を対象に面談による聞き取り調査を行いました。その結果、調査対象者百八人のうち八割以上の人が学び直しを希望し、六割以上の人が夜間中学への入学を希望しているという回答が得られました。このため来年度はこれらの調査研究の結果を踏まえ、市町と県との役割分担や連携の仕組みなど具体的な設置のあり方を検討していくこととしております。
 県教育委員会といたしましては、夜間中学の果たす役割を十分に認識し市町教育委員会と連携して県内に住む全ての方々に義務教育の機会を提供することができるよう積極的に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 鈴木教育部長。
       (教育部長 鈴木一吉君登壇)
○教育部長(鈴木一吉君) 教育行政についてのうち、県立高等学校への空調設備の整備についてお答えいたします。
 県教育委員会には学校の設置者として県立学校の教育環境を整備する責務があり、近年の夏の猛暑を考えますと適切な環境で授業を受けるために空調設備は必要不可欠と考えております。県立学校のうち特別支援学校につきましては、議員御指摘のとおりことしの夏までに全ての普通教室に、また平成三十二年度末には全ての特別教室に空調設備を設置することとしております。
 一方、高等学校につきましては空調設備未設置の教室が約二千六百室と特別支援学校の五倍に上り、設置に多額の費用を要し概算で光熱費が年間一億五千万円程度かかると見込まれております。またPTAや後援会等の御協力により既に設置してある高校があり、設置費用や維持管理費の負担の考え方を整理して対応する必要があります。
 このため、高等学校につきましては教室環境の実態を把握し各教室の整備の優先順位や経費を平準化して効率的に導入する手法を他の自治体の事例を参考にしながら検討しているところであります。
 猛暑は一つの災害であるとも言われております。県教育委員会といたしましては生徒が安全に安心して学べる学校となるよう、空調設備を整えた教育環境の実現に向け取り組んでまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 小嶋警察本部長。
       (警察本部長 小嶋典明君登壇)
○警察本部長(小嶋典明君) あおり運転防止への取り組みについてお答えします。
 いわゆるあおり運転等の悪質、危険な運転に対しては、指導取り締まりの強化や関係機関・団体と連携した交通安全教育、広報啓発活動を推進するなどさまざまな手段を講じて抑止を図っているところであります。
 具体的な取り組みにつきましては、あおり運転等を未然に防止するためあおり運転等の発生が多い高速道路を中心に車間距離不保持、進路変更禁止違反等に対する指導取り締まりを強化するとともに、あおり運転等の危険な運転行為による交通事故事件を認知した場合は道路交通法違反のみならず危険運転致死傷罪、暴行罪等の適用も検討して厳正な取り締まりを行っています。
 また、高速道路においてはヘリコプターと連携した取り締まりが効果的であることから昨年一月以降数回にわたり県警ヘリコプターを活用した取り締まりを行っています。加えてあおり運転等を行う悪質、危険な運転者を早期に排除するため悪質、危険な運転を行う運転者には迅速、的確な行政処分に努めるとともに、あおり運転等に起因して暴行、傷害、脅迫、器物損壊等が発生した場合には危険性帯有として点数制度によらない運転免許の停止の行政処分も行っています。
 次に、あおり運転等に関する交通安全教育や広報啓発についてですが、運転免許の更新時講習、違反運転者講習や関係機関と連携した各種講習会等の機会を通じ運転者に対しあおり運転等の危険性や違反行為に対する厳しい取り締まりを行っていることを周知しているほか、関係機関と連携してサービスエリア等においてあおり運転等の防止に関する広報啓発活動も行っています。またあおり運転等を行う危険な運転者に追われるなどした場合には、みずからの安全を確保した上でちゅうちょすることなく一一〇番通報するよう呼びかけております。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 前林孝一良君。
       (七十一番 前林孝一良君登壇)
○七十一番(前林孝一良君) それぞれに御答弁をいただきましたけれども、要望を一点、再質問を二点お願いします。
 まず最初に要望ですが、今の警察本部長からあおり運転防止についてのお話をいただきましたけれども、やはり今後一人も犠牲者を出さないように今警察本部長が言われた取り組みをさらに進めていただきたいことを強く要望いたします。よろしくお願いします。
 それから、再質問ですけれども経営管理部長に質問をいたします。
 最初に公文書管理の話なんですけれども、田町文庫の話もありましたが私がお願いをしたのはこの公文書を保存するための施設をつくってくださいという話ではなくて、あくまで公文書法に基づいた公文書館をつくってほしいという内容であります。静岡市には静岡市文書館という建物があります。葵区の産女という場所にありますけれども、文書館という名前はありますがこれは単なる倉庫です。非常に恥ずかしいと私は思っております。そういう意味でしっかりこの公文書館のあり方を学んだ上でもって公文書館を設置していく方向に何とかならないかと期待をしているんですけれども、まず一点この点についての答弁をお願いいたします。
 それから高齢者の雇用促進ですが、私は高齢者の雇用状況を聞いたわけではありません。高齢者が働けるような環境をまず県庁からということでもって質問させていただき、その中では障害者雇用率のように高齢者雇用率もしっかり決めて雇用すべきであるという提案をさせてもらいましたが部長のほうからは高齢者雇用率、一言も発言がございませんでした。その辺を改めて質問をさせていただきます。以上二点、答弁を求めます。
○議長(渥美泰一君) 杉山経営管理部長。
○経営管理部長(杉山行由君) 再質問にお答えします。
 まず、公文書館の設置でございます。
 答弁で申し上げましたとおり、今現在、新県立中央図書館でのいわゆるその歴史的資料の閲覧これを一元的にやっていく。一方でこの公文書、これから発生する公文書さらに過去の歴史的公文書これらを安定的、恒久的に収蔵できる施設、これをどのように今後整備していくかということについては重要な課題であると認識しております。その際公文書としてきちっと保存、管理していくためには専門的な知識を持った職員の養成も必要と考えます。それらとあわせて公文書館のあり方について検討していきたいというふうに考えております。
 二点目の高齢者雇用についてでございます。
 議員の一つの御提案でございます雇用率でございますけれども、どのようなものを分母にしどのような分子にするかということいろいろございます。これらについても私どもとしても十分重要な検討課題として今後研究をしてまいりたいと考えております。以上でございます。
○議長(渥美泰一君) 前林孝一良君。
       (七十一番 前林孝一良君登壇)
○七十一番(前林孝一良君) 今の答弁について一言要望という形で述べますけれども、やはり公文書というものはただ保存しておけばいいというものではないということから、ぜひこれから公文書館というものも見据えた上での検討をお願いしたいと思います。
 それから、高齢者の方々は働く環境づくりが非常に大事なことでございますのでこれは曖昧にならないように、明確に高齢者の方々が働ける環境がやっぱり県庁にあるということは大事だと私は思っておりますのでよろしくお願いします。
 これで私にとって最後の質問になりますけれども、県のさらなる発展を期待をし質問を終わります。(拍手)
○議長(渥美泰一君) これで前林孝一良君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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