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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和4年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

市川 秀之 議員

質問分類

代表質問

質問日:

06/16/2022

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について
 o リニア中央新幹線工事の水問題
2 熱海市伊豆山地区土石流災害を教訓とした対応について
(1)盛土対策の強化
(2)行政対応に関する知事の認識
3 デジタル田園都市国家構想の具現化に向けた取組について
4 多文化共生施策の充実について
5 中小企業の脱炭素化支援について
6 脱炭素社会の実現に向けた取組と静岡県のエネルギー政策について
(1)再生可能エネルギーの開発
(2)浜岡原子力発電所の再稼働
7 観光産業の復活について
8 遠州灘海浜公園(篠原地区)野球場の整備について
9 津波災害警戒区域の指定について
10 今後の教育行政の推進について
(1)教育長の所信
(2)教職員の不祥事の根絶
11 県警察による経済安全保障への取組について


○議長(藪田宏行君) 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、十三番 市川秀之君。
       (十三番 市川秀之君登壇 拍手)
○十三番(市川秀之君) 皆さん、おはようございます。
 質問に先立ち一言申し上げます。
 六月七日の議会運営委員会において当局から知事提出議案の説明があり、その際に示された補正予算案では非常勤特別職の対外関係補佐官として東郷和彦氏を任用する経費が含まれておりました。二月定例会における対外関係補佐官の関連予算を減額修正に当たって、我が会派は県民利益に直結した設置目的について説明を尽くすこと及び職務実態に応じた処遇とすることについて、県民の理解を得る必要があることを当局側に強く求めてきたところであります。
 一方で、今回の六月補正予算案に関する我が会派への説明において我々が求めてきた設置目的や任用の必然性に関する明確な説明がなく、候補者の選定においても県幹部職員の言葉を借りれば余人をもって代えがたしとしてほかの候補者を検討していないことなど、まさに東郷氏ありきと言わざるを得ない不適切な職設置であることが判明しました。
 これらの問題点をただすため代表質問で取り上げる予定で準備をしておりましたが、当局は東郷氏からの辞退の申出を理由に任用に要する経費を直前で取り下げました。議会運営委員会で説明した予算案の取下げは異例であり、議会と当局の信頼関係を損なう議会運営の根幹に関わるゆゆしき問題と考えます。
 報道によれば、現在空席となっている副知事の選任議案についても今議会への追加提案が見込まれるとのことであります。詳細な議論は議会への議案提出を待つことになると思いますけれども、対外関係補佐官任用時の混乱を見れば今回の副知事選任についても撤回されるのではないかと疑心暗鬼に陥ってしまいます。
 知事におかれましては今回の混乱を真摯に受け止め、議案の提出に当たって事前に十分な準備をすることはもちろん、何よりも県民目線に立った説明責任を果たしていただくことを申し上げ質問に移ります。
 私は、自民改革会議を代表して通告に従い当面する県政の諸課題について知事、副知事、関係部局長、教育長並びに警察本部長に一括質問方式にて質問いたします。
 初めに、知事の政治姿勢について伺います。
 昨年十二月に国のリニア中央新幹線静岡工区有識者会議が大井川水資源問題に関する中間報告を取りまとめたことを受け、四月二十六日県庁でリニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川水問題を協議する県の地質構造・水資源専門部会が再開されました。翌日の報道の扱いの大きさから、その重要性とともに本県のみならず全国的にも注目されていることがよく分かります。
 今回のリニア中央新幹線南アルプストンネル工事は、掘削時の湧水に備え作業の安全上の観点から山梨県側から上方向に傾斜をつけて掘ることが計画されています。したがって仮に湧水が発生した場合、水はトンネル内を下り山梨県側に流れ出てしまいます。この山梨県側に流れ出た水は本来大井川に流れるはずの水であるという観点から、本県や利水者はトンネル湧水の全量戻しができなければトンネル工事を認めないという主張をしてまいりました。
 この対策案としてJR東海は今回の専門部会において二つの案を提示しました。一つは、流出した水量と同じ量をポンプアップし先進坑を通じて大井川に戻す案で、昨年十二月に国土交通省有識者会議で示していたものに加えポンプアップする区間や期間の見通しを示したものです。もう一つは東京電力田代ダムを取水抑制する案であります。田代ダムは発電のため大井川上流の水を取水して山梨県側の富士川水系に流しておりますが、トンネル掘削時に山梨県側に流出する水量を計測し同じ量の取水を抑えることで相殺し、結果的に大井川水系の流量を維持するという発想です。
 この案を受けて、難波副知事は案として十分あり得る、これから議論を深めていかないといけないと一定の評価をしたほか、流域の島田市長、焼津市長、掛川市長、さらには山梨県の長崎知事、愛知県の大村知事はともにJRの案を評価し解決に向けた期待感を示しています。
 こうした見解が報道される中で四月二十八日、記者団の取材に応じた知事はJRの案に対して全量戻しにはならないと全否定いたしました。さらには会見で痛烈なコメントを発しています。多くの利害関係者との取り決めによそ者が入ってきておまえの水をよこせと乱暴なことをしている、JRは何回もの会議を重ねて合意した約束事を無視するかのごとく流量という数だけ合わせた、関係者が血のにじむ努力をして出した約束事が足蹴にされた感じと批判して、ポンプアップして大井川に戻す案に対しては水質の問題があると指摘し、全量戻しは破綻したと切り捨てとも取れる発言をしています。
 かねてから我が会派は知事の発言、首相に対する学歴発言、コシヒカリ発言、女性の容姿発言、職業発言などに対して苦言を呈し本県の不利益につながると忠告してまいりました。今回の発言も決して穏やかなものではなく、まさに乱暴な発言と言えるのではないでしょうか。県民の多くが知事の発言に対し混乱しているのではないかと思います。知事のこのような発言は、JRとはもとより国や周辺県、流域自治体との間の分裂や対立に発展しかねないものと危惧いたします。
 さらに分かりにくいのは、JRが主体となって東電に流している水をもっと豊かな形でこちらに流していただけるのなら関係者に喜ばれる、そういう議論をしてもらうのは問題ない、トンネル工事とは別次元の問題だが個別に議論できる、これはこれとして交渉したいという発言であります。JRが取水抑制に踏み込んだのはリニアの水問題解決が目的であることは誰の目にも明らかです。
 知事はこれまで一貫してトンネル工事で出た水を全て静岡県に戻す全量戻しにこだわってきましたが、今回の田代ダムの取水抑制というJRの提案は実現性の検証は必要ですが水量問題に対する現実的な解決策の一つであると考えます。本件のリニア問題の責任者であり土木に関するスペシャリストである難波理事や流域の首長が一定の評価をしているJRの提案に対して全く聞く耳を持たない姿勢は、日本の文化や思想とともに何事も万機公論に決するとした知事御自身の政治信条に反するのではないかと考えます。
 今回のJRの提案を否定するのであれば、全量戻しについてどのように解決するべきと考えているのか、一度拒まれた沿線九都府県でつくるリニア建設促進期成同盟会に再度加盟申請するほどのリニア推進論者である知事の見解を伺います。
 昨年七月三日、熱海市の伊豆山地区において盛土の崩壊により大量の土砂が町なかを流れ下り多くの貴い人命と財産が奪われた大災害から間もなく一年が過ぎようとしています。改めてお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、行方不明になられている方の捜索と家屋等の被害に遭われた皆様の日常生活の再建と回復を祈念するものであります。
 これまで何度も繰り返されていますが、二度と同様の災害を発生させることは許されません。この思いを胸に大きく二点質問をさせていただきます。
 初めに、熱海市伊豆山地区土石流災害を教訓とした対応についてのうち、盛土対策の強化について伺います。
 土石流の起点にあった盛土については、土地所有者などの責任の全容を解明するには熱海市議会の調査、司法の判断等を待つ必要があります。
 一方、県と熱海市の行政手続に関する検証を行ってきた逢初川土石流災害に係る行政対応検証委員会は先月十三日に最終報告を取りまとめ、悪質な業者に対し断固たる措置を取らなかった県と市の対応は失敗だったと結論づけました。これに対して同月十七日に難波副知事が記者会見を行い検証委員会の失敗との結論について異論はないと述べ、責任の一端を認めております。土石流を防げなかったことは深く反省しなければならない、災害防止という自らの使命を果たす認識が不足していたという言葉は、犠牲になった方々や被災された方々に寄り添った大変潔く適切なものだったと受け止めたところであります。
 今回の災害を受けて盛土への規制が強化されています。国においては宅地造成及び特定盛土等規制法が公布されました。この法では宅地、農地、森林等の土地の用途にかかわらず危険な盛土を全国一律の基準で規制することとされましたが、法の運用に当たっての詳細な内容は今後国から示されることになります。
 一方、県では盛土等の規制に関する条例が制定され来月一日に施行されます。条例の内容は、届出制を許可制に改め罰則を条例が定めることができる上限とするなど大変厳格なものであります。県は、今年度の組織改正で盛土対策課を設置し盛土等の規制や監視体制を強化したところであります。条例の施行による規制の強化、体制の整備は大事なことではありますが、行政対応検証委員会の指摘事項を踏まえ、さらに踏み込んだ実効性のある対策を行うことが重要であると考えます。
 そこで、条例による盛土対策の強化について県の取組の具体的な内容を伺います。
 次に、行政対応に関する知事の認識について伺います。
 今回の質問に当たり、熱海市に対して聞き取り調査を行いましたところ大きく分けて三つの課題が浮かび上がってまいりました。
 一点目は、森林法の対応についてであります。
 二〇〇七年に県は市の通報を受けて違反指導を行い、二〇〇八年八月に現状復旧させています。しかしその後、二〇〇九年以降林地開発許可違反の疑いのある状況が継続しているにもかかわらず県の森林部局は本件について積極的に関与しませんでした。県は本事案の経緯や性質上自分自身の案件として関与すべきであったのに継続的に事業者と向き合わず熱海市の案件として続けた結果、本災害を防げなかったことについて正面から認めて謝罪する必要があると考えます。
 二点目は、砂防法による規制区域指定と区域変更についてであります。
 そもそも下流域の安全性を考えれば砂防堰堤の捕捉容量をはるかに超える土砂が堰堤より上流部に運び込まれた状態を見過ごすことはできないはずです。源頭部への土砂の搬入は三年以上にわたって続けられており、堰堤管理者として危機意識を持っていれば、源頭部への土砂搬入が始まった時点で必要なチェック機能が働き規制区域の区域変更が検討され悪質業者の違法盛土を抑制することができた可能性があると考えます。
 三点目は、逢初川土石流災害に係る行政対応検証委員会の検証作業の公正性についてであります。
 委員会の検証結果を報告する記者会見では、委員会に向けられた質疑に対しその多くを難波副知事が答えています。委員会の見解を副知事が代弁する状況は普通に考えて不自然で、結論ありきで県が主導していたのではないかと捉えられても仕方がない状況であります。委員会の検証作業が客観的な立場で公平かつ十分な検証が行われたかについて疑義があると言わざるを得ません。これらの課題は県の行政手続に対する疑念につながっており、県として真摯な対応が必要であります。
 また、同委員会からの提言の中では、県と熱海市がそれぞれの行政姿勢を見直し県、市の連携を強化し適切な行政対応ができるよう不断の努力を行うよう求められています。この提言を踏まえれば、県と市が責任を押しつけ合うのではなく過去の行政対応を虚心坦懐に反省し同じ過ちを繰り返さないことが犠牲となった方々や遺族の皆様に報いることとなると考えます。
 そこで、今回の災害につながった行政対応における課題に対する知事の認識と同様の災害を二度と発生させないための決意について伺います。
 次に、デジタル田園都市国家構想の具現化に向けた取組について伺います。
 コロナ禍で地方をめぐる社会経済状況が大きく変化している中で、デジタルインフラの飛躍的な整備の進展やテレワークをはじめとしたデジタル技術利活用の浸透など地方に住みながら様々な情報、サービスを利用できる環境が整いつつあり、デジタル技術を活用する機運が急速に高まっています。
 このような状況を受けて岸田首相は昨年十月、国会における所信表明演説においてデジタル田園都市国家構想を打ち出しました。我が国では少子高齢化への対応、地方経済の活性化、東京一極集中の是正など地方における課題が山積しております。デジタル田園都市国家構想は、これらの課題を解決するためデジタルの力を活用し地方創生の取組を一層高度かつ効率的に推進することで、どこにいても都市と同様の働き方や質の高い生活が可能となる社会を目指すものです。本県においてもこれらの課題に対し様々な取組を行ってきましたが残念ながら人口減少には歯止めがかからず、知事の掲げるポスト東京時代の日本の理想郷づくりは十分な成果を得られていません。
 コロナ禍を契機としたテレワークの浸透や地方回帰の動きなどと併せて移住に対する関心が高まっている今こそ、国の打ち出したデジタル田園都市国家構想に呼応した取組を積極的に進めていくことで本県の課題解決と魅力の向上を図り本県への人の流れを創出する好機であると考えます。今月七日にはデジタル田園都市国家構想基本方針が閣議決定されました。このことにより国は構想実現に向け政策を総動員し取組をより一層加速化していくことと見込まれます。
 そこで、デジタル田園都市国家構想の具現化に向けて県はどのように取り組んでいくのか、知事の考えを伺います。
 次に、多文化共生施策の充実について伺います。
 このたびのロシアによるウクライナの軍事侵攻は何の罪もない多数のウクライナ国民が犠牲となった言語道断の非道行為であり、決して許すことができない蛮行であります。武力による現状変更は国際秩序の根幹を揺るがす行為であり、全世界が一体となり一刻も早くロシア軍の戦闘を止めなければいけません。国連難民高等弁務官事務所の発表によれば、ウクライナから国外に逃れた難民は七百二十万人を超え本県にも現時点で六組十六名の方が避難されていらっしゃいます。祖国から遠く離れた異国の地で祖国への帰還がかなうのかも分からず、先行きの見通せない毎日を過ごしている避難者の方には国境を越え、きめ細やかな支援が必要であります。県には避難されている方の要望を踏まえ必要な支援を継続していただくよう要望いたします。
 県内には約十万人の外国人県民が暮らしています。このような外国人県民の誰もが安心して快適に暮らしていける満足度の高い多文化共生社会を形成することが必要であります。
 外国人県民の皆さんが直面している最も身近な課題は言葉の壁と言われています。言葉が分からないために生活や防災上必要な情報を正しく得ることができず、地域や職場などでも必要なコミュニケーションが取れない方が大勢いらっしゃいます。また外国人であることを理由に住まいの確保が難しいケースや雇用の面でも非正規労働者が多いといった課題も存在しています。社会の一員として日本人と同等の扱いや活躍できる機会などが与えられる社会が求められています。
 外国人にとって住みやすい静岡県と評価される社会を実現するためには、このような課題を解決する多文化共生施策を一層充実させることが必要と考えますが、県の所見を伺います。
 次に、中小企業の脱炭素化支援について伺います。
 第四次静岡県地球温暖化対策実行計画は、二〇五〇年までにカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを長期目標とし、それに向けて二〇三〇年までに温室効果ガスを二〇一三年度比で四六・六%削減することとしています。大企業はサプライチェーン全体での脱炭素化を目指す方向性を強めており、脱炭素経営への転換に対応できない中小企業は今後受注を失うリスクを抱えることとなります。また一部の中小企業では既に発注元等から脱炭素化の要請を受けているところもあり、今後多くの中小企業が脱炭素化に取り組まざるを得ない状況になってくるのは明らかです。
 しかし、現時点においては脱炭素化の必要性は感じているものの、まだ具体的な取組には至っていない中小企業が多いのが現実です。取組が進まない理由として脱炭素に関する専門的人材や知識の不足に加え、省エネや再生エネ設備等を導入するためのコストの問題も挙げられます。このように中小企業にとって脱炭素化への取組は経営上の大きな負担を伴うものであり、各企業の努力だけでなくオール静岡の体制で取り組んでいくことが不可欠です。
 県は、令和四年二月議会で企業脱炭素化支援センターを設置すると表明しました。脱炭素化に向けた取組に不安を抱く中小企業をオール静岡でサポートするセンターの設置に期待が高まります。
 そこで、センターの本格稼働に当たり中小企業の脱炭素化支援にどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、脱炭素社会の実現に向けた取組と静岡県のエネルギー政策についてのうち、再生可能エネルギーの開発について伺います。
 二度にわたるオイルショックを受け一九七〇年代から八〇年代にかけて資源に乏しい我が国では国産エネルギーへの期待が高まり、地熱や流水など地域に賦存する資源のエネルギー利用について全国的に盛んに調査研究が行われました。本県でも伊豆地域の地熱や島田市の大井川水系伊太川における小水力利用などの可能性について調査が行われた経緯があります。その後国際協調等により石油価格が安定化に向かったため、採算性の問題などからこうした地域エネルギーの開発は事業化に至らなかったものが多いとのことであります。
 当時の調査研究は石油代替を目的に取り組まれましたが、現在は脱炭素という別の大きな目的が加わり、この間の技術の進展や県民の意識の変化などを考え合わせると事業化の可能性が高まっている地域資源がほかにもあるのではないかと思われます。半世紀余りが経過した現代において、地球温暖化対策という大きな課題に直面し再生可能エネルギーの導入拡大は喫緊の課題であります。
 県内では、トヨタ自動車が裾野市でゼロカーボンを含む実験都市「ウーブン・シティ」の建設を進めています。また四月には静岡市の提案が環境省の脱炭素の先行地域に選出されました。さらには五月には静岡銀行が静岡市清水区三保地区に来年九月の運用開始予定のしずぎんソーラーパークを新設する計画を発表するなど、再生可能エネルギー導入による脱炭素化推進の機運が高まっています。
 こうした動きを加速させ本県が脱炭素先進県となるために、設備機器等様々な分野における技術開発や農業用水等の社会資本の整備、温泉や地熱利用を取り巻く環境変化等を踏まえ、これまでの調査研究の再評価を含めて県内に賦存する資源の開発及びエネルギー利用を県の主導で進めるべきと考えますが、県の所見を伺います。
 次に、浜岡原子力発電所の再稼働について伺います。
 東日本大震災の発生後国の要請を受け平成二十三年五月に停止した浜岡原子力発電所について、県は津波対策工事等を実施中であること、原子力規制委員会による新規制基準への適合性審査が継続中であること、加えて使用済み核燃料の処理方法が確立されていない等の課題があり再稼働できる状況にはないという認識を示しています。県議会において最後にこの認識が示されたのが一年前の令和三年六月定例会での知事の答弁だったと存じております。
 浜岡原子力発電所は運転可能な三号機、四号機、五号機を合わせた総出力が約三百六十万キロワットで多いときには静岡県内の使用電力量の約八割を賄っていました。裏返せば浜岡原発停止中の本県の電力エネルギー自給率は約二〇%しかなく他県の火力発電によって補われているのが現在の状況です。コロナ禍により落ち込んだ社会経済活動もこの一年間では徐々に回復が見られエネルギー需要が高まっています。
 一方で、石油や天然ガスなどの高騰や急速な円安によりエネルギー価格は上昇しています。これらのエネルギー価格の高騰は食料品をはじめ諸物価の上昇につながり県民生活に大きな影響を及ぼし始めています。脱炭素社会の実現の必要性や世界的なエネルギー価格の高騰を背景に産業界を中心に原子力利用を求める声があるのも事実であります。
 本年四月二十日浜岡原子力発電所が立地する御前崎市と同市議会が市民の安全・安心のため三号機、四号機の新規制基準適合性審査の進展等を中部電力に対して要望しましたが、一方で五月に静岡新聞社が浜岡原発から半径三十一キロ圏の原子力災害対策重点区域内に位置する十一市町の首長を対象に行ったアンケートでは、新規制基準を満たした場合再稼働を容認すると答えた首長はいなかったということであります。
 こうしたこの一年間の動向を踏まえ、浜岡原子力発電所の再稼働等について県の所見を改めて伺います。
 次に、観光産業の復活について伺います。
 今年は三年ぶりにまん延防止等重点措置などの移動制限がないゴールデンウイークとなり、天候にも恵まれたことで本県の観光地においてもにぎわいが戻ったという明るいニュースも耳にいたしましたが、これまで県内観光産業は新型コロナウイルス感染症の拡大による国内外からの人の移動制限で大きな影響を受けてきました。さらには原油価格や物価の高騰により観光事業者の中でも特に交通事業者は経済的に大きな打撃を受けています。
 また、ここ数年のコロナ禍の影響もあり観光を取り巻く環境は大きな転換点を迎えています。新しい生活様式が定着し旅行者の意識が変容して観光スタイルはますます多様化、複雑化しています。それに加え持続可能な観光やSDGsへの関心の高まりが旅行先の選択の重要な要素ともなっています。
 今月十日からは添乗員付きパッケージツアーによる外国人観光客の受入れが再開されました。外国人旅行客受入れの段階的再開は本県の劣勢を挽回する大きなチャンスとなる可能性を秘めており、そのためには他地域に先駆けインバウンド需要を取り込むための取組を戦略的に行うことが大変重要であると考えます。観光分野においてもパラダイムシフトが起こる中、急速な変化に対応する短期的な需要喚起策と安定的な経済活動を目指す中長期的な展望に立った観光施策が重要であります。
 そこで、県ではこれからの静岡県の観光産業の復活に向けてどのように取り組んでいこうとしているのか伺います。
 次に、遠州灘海浜公園篠原地区野球場の整備について伺います。
 県では、平成二十八年五月に公表された遠州灘海浜公園基本構想に基づき平成三十年度以降遠州灘海浜公園の基本計画の策定作業を進めてきました。基本計画は本年度中に取りまとめる予定と聞いており、我々地元では大変期待をしているところです。
 この間、我が会派においてもアフターコロナに対応した施設とするための県の見直し作業と同時期に遠州灘海浜公園野球場検討プロジェクトチームを立ち上げ県外の先進的な野球場を調査するとともに、アカウミガメの保護をはじめとする周辺環境に配慮した野球場の在り方や施設の規模、形状、利用方法、経済効果など様々な観点から計画の検証を行い昨年八月に県に対して提言を行ったところです。加えて今後も人口減少が進む中では野球場の利用者も減っていくことが想定されることから、二十年から三十年後を見据えつつ人口減少社会の対応に加え脱炭素社会の形成などSDGsにも十分配慮した公園や野球場を整備する必要があります。
 とりわけ篠原地区の野球場はプレイヤーファーストはもちろんのこと誰にも愛され誰もが利用しやすい施設にするべきであり、そして野球場を含めた遠州灘海浜公園全体を地域の活性につながる施設とするべきと考えます。その上で願わくば子供たちが野球を通じて夢を育み健全な心と体を養ってくれることを期待するものであります。
 そこで、遠州灘海浜公園篠原地区の野球場について整備のコンセプトを改めて伺います。また現在検討を進めている公園基本計画について策定に向けた今後のスケジュールを併せて伺います。
 次に、津波災害警戒区域の指定について伺います。
 東北地方に未曽有の津波被害をもたらした平成二十三年三月十一日の東日本大震災から十一年が経過しました。本県ではこの間、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に想定被害者八割減少を目標として掲げ、ハードとソフトの対策を組み合わせた地震・津波対策を県内全域で着実に進めてまいりました。その結果浸水想定区域内の津波避難施設のカバー率が九八%となるなどの成果を上げてきました。
 一方で、国は東日本大震災を教訓に何としても人命を守ることを基本理念とし、ハード・ソフトの施策を総動員した多重防御による津波防災地域づくりの推進を目的とした津波防災地域づくりに関する法律を平成二十三年十二月に制定しました。同法により津波に対する警戒避難体制を特に整備する区域を津波災害警戒区域として都道府県知事が指定できることとなりました。しかしながら同法が施行されてから十年が経過した現在、全国の対象四十都道府県のうち指定は半分の二十道府県にとどまっています。本県においても今年度末までの沿岸二十一市町の指定完了という目標を掲げ指定の推進に取り組んでいますが、これまでの指定は伊豆半島の六市町にとどまっています。
 このような中、昨年度国は都道府県に対して速やかな指定を要請するとともに、指定地域において実施する海岸堤防等の整備を国の交付金の重点配分対象に追加するなど新たなインセンティブを設けています。一方で沿岸市町は指定によるメリットがないことや風評被害が懸念されることなどを理由に指定に同意しない理由を挙げており、指定の意義や効果などが沿岸市町に十分理解されていないと感じます。
 そこで、県は津波災害警戒区域の指定を推進するため今後どのように取り組むのか、また指定をちゅうちょしている市町に対してどのような働きかけを行っていくのかを伺います。
 次に、今後の教育行政の推進についてのうち、教育長就任に当たっての所信を伺います。
 池上教育長は木苗前教育長の退任を受け本年四月に教育長に就任されました。木苗教育長が約二年の任期を残した中での退任であったため急遽登板の感が否めず教育長の交替により教育行政に停滞が生じるのではないかと不安を感じましたが、就任記者会見や五月臨時議会での静岡県に対する思いや教育や教育行政に対する考えを伺い、そうした不安が払拭されました。
 池上教育長は札幌市の御出身で北海道大学大学院修了後、一九九六年に三十三歳で静岡県に移住、二〇〇八年からは静岡文化芸術大学の教授を務められました。御自身を静岡県の魅力に取りつかれた一人と称され、移住後は長年にわたり一貫して本県において教育研究に携わり、地域自立のための「人づくり・学校づくり」実践委員会副委員長や才徳兼備の人づくり小委員会の委員長も務められました。本県の教育を取り巻く事情はもとより社会経済全般にわたりお詳しく本県の教育長に適任であり、今後の教育行政のかじ取りには大変期待をするものであります。
 今、世界はロシアのウクライナ侵攻をはじめ世界各地で民族やイデオロギーの違い、安全保障や経済問題などによる対立が激化し紛争やテロ行為が多発しています。力による現状変更の動きは東アジアにも及ぶ可能性を否定できず、我が国も決して無関係ではいられないと言われています。
 一方、新型コロナウイルスの出現は私たちの生活様式を一変し内外の人や物の流れに大きな制約を与えました。国際交流や集会行事など様々な事業を自粛するとともに、オンライン授業の導入など学校教育も大きく変貌いたしました。
 池上教育長は文化人類学、多文化共生論が御専門で世界の様々な地域の人々の生活様式やものの考え方、グローバル化、多文化共生の在り方、さらには磐田市をはじめ国内外の取組を長年にわたり研究され多くの成果を現されています。こうした激変する時代の真っただ中において、世界情勢や戦争と平和、多文化共生などに児童や生徒が無関心でいていいのかと疑問を感じるところであります。
 そこで、こうした課題に県教育委員会としてどう向き合っていくのか、今後大学やNPOとの連携や活用も必要と思いますが教育長の所信を伺います。
 次に、教職員の不祥事の根絶について伺います。
 多発する教職員の不祥事についてはその影響の重大性に鑑みこれまで何度も県議会で取り上げられ、その都度教育委員会から謝罪と再発防止の取組について答弁が繰り返されてきました。私も令和三年二月定例会の一般質問において学校教育現場におけるハラスメント対策をただしました。これに対して教育委員会から、ハラスメントのきっかけとなり得る場面や機会を排除するため校内環境の改善や児童生徒との連絡や伝達内容を共有し可視化するシステムの導入を推進する、児童生徒との私的なSNSのやり取りを懲戒処分の対象とし具体的な処分基準を検討する、教職員一人一人が使命感や危機管理意識を持ち不祥事の根絶に努め、児童生徒や保護者をはじめ県民の信頼回復に全力で取り組むとの答弁がありました。ただこれらの取組に果たして効果があったのかと思わせられるのが最近の度重なる教職員の不祥事の発生状況であります。
 本年度に入って県内公立学校の教員が五人逮捕される異常な事態で、まるで教育委員会の答弁をあざ笑うかのような手口と悪質な内容であります。圧倒的大多数の教職員は誠実な人柄で教育に対して熱い思いを抱き続けているのは事実で私自身尊び敬意を表するものでありますが、ごく一部とはいえ五人もの教員が短期間に逮捕される事態において教員を信頼してほしいというだけでは無理があると思います。改めて不祥事の根絶に向けた教育委員会の取組を伺います。
 次に、県警察による経済安全保障への取組について伺います。
 近年、安全保障の裾野が経済や技術の分野に急速に拡大しています。またロシアによるウクライナ侵攻ではエネルギーや食糧の安定的な調達についても経済安全保障が切り離すことができない課題であることが浮き彫りになりました。こうした中、日本の経済安全保障体制を抜本的に強化し、国民生活の安全・安心の確保に必要な重要物資の安定的な調達や先進技術の育成、保全を図るため、先月十一日経済安全保障推進法が成立しました。今後来春からの段階的な施行に向け国を挙げて経済安全保障に向けた取組が推進されていくことになります。
 企業や研究機関等が保有する高度な技術情報は諸外国からの収集の対象になっており、大切な情報流出のリスクが高まっていることが本法律制定の背景の一つとして挙げられます。企業にとって社をかけて開発した技術情報が流出することは死活問題であり、損失は取引先をはじめとする関連企業に及ぶ上、やがては日本の技術的優位性の低下にもつながりかねません。
 また、デジタル化の進展により情報の持ち出しはかつてよりも容易になっており、大企業だけでなく中小企業であっても対象となるおそれがあります。しかしながら一企業だけで対策を講じるのは困難であり官民が連携して対応していく必要があります。最先端の技術を取り扱う企業は自動車関連や医療機器分野をはじめとして本県にも数多くあり、企業や研究機関の先端技術の流出を防止することは非常に重要であると考えます。
 そこで、県警察として経済安全保障にどのように取り組んでいくのか伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(藪田宏行君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 市川議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてであります。
 リニア中央新幹線工事の水問題についてでありますが、昨年十二月国土交通省が設置した有識者会議が大井川水資源問題に関する中間報告をまとめました。そこに明記されている一文、工事期間中も含めてトンネル湧水を戻さなければ全量戻しにならないと書かれております。そして具体的な全量戻しの方策は県や流域市町等の関係者とJR東海との対話に委ねられました。
 本年四月に再開された県地質構造・水資源専門部会におきまして、JR東海から県外流出量と同量を大井川に戻す方策として二つの案が出されました。どちらの方策も静岡県内のトンネル湧水が県外に流出することはそのままで県外流出量と同量をその他の水で補するという方法であります。このどちらの方法も流域の健全な水循環を維持すべきとする水循環基本法の基本理念に反しております。加えて有識者会議が報告でまとめたトンネル湧水の全量戻しには当たらないという代替策であると受け止めております。
 しかし、重要なことは水資源に影響を与えないことであります。JR東海のお示しになった方策については、トンネル湧水の全量戻しには当たらない代替策であるから提案を退けるという必要はありません。
 田代ダムの取水抑制で県外流出量を補するという案につきましてはまた問題もあります。渇水期でも田代ダムにおいて取水抑制ができるのかどうか、河川の維持量というのが、これが定められておりまして、渇水期すなわち十二月から三月にかけては極めて水量が少ないと、それが維持できるかどうかと。一方発電に必要な水量もあると。しかし大井川の流量を維持すべき、その水量も規定されています。それが保てた上でかつこちらのほうに戻せるかどうかという、そういう技術的な問題。また取水抑制ができない場合どのような対応をするのかといったような技術的な問題もございまして、これは専門部会において科学的な根拠に基づきまして対話を進めればよろしいかというふうに思っております。
 広く会議を興し万機公論に決すべしという私の信条は全く変わりません。これ日本の、欧米の影響を受ける前にいわば静岡が作り上げたといいますか、徳川家がつくり上げた武士道の最終のこの理念の一つがこれであるというふうに思っております。明治元年に出されたものの、五箇条の御誓文の第一条でございますから。
 リニア中央新幹線整備を促進するという観点からも、工事着手後に誰もが後悔することのないよう県民の皆様が抱かれている不安とか懸念が払拭されるまでは、やはりJR東海としっかり対話を尽くしていかなければならないというふうに考えております。
 次に、熱海市伊豆山地区土石流災害を教訓とした対応についてのうち、行政対応に関する私の認識についてであります。
 熱海市伊豆山地区土石流災害の発生から七月三日で一年となります。二十七名もの死者・行方不明者が出ました。こうした事態となったことは痛恨の極みであります。このような災害は二度と発生させてはならないという思いを新たにしております。
 議員から御指摘のございました三つの課題についての私の認識でありますが、まず一点目の森林法の対応につきましては逢初川土石流災害に係る行政対応検証委員会の最終報告書におきまして、林地開発許可の申請を求め審査、調査を行い審査基準に照らし不許可とするのか、林地開発許可違反の疑いありとして是正措置など法的対応の可能性を追求することもあり得たと思われる、本件について県森林当局として林地開発許可対象にできない案件だから森林法のらち外であるとする考え方は妥当でないと考えるという、そういう検証結果が示されました。この検証結果につきましては私もしっかりと受け止めたいと考えております。
 二点目の砂防法による逢初川の規制区域の指定につきましては、砂防堰堤等の砂防設備の設置に伴い国は一九九九年に新規に砂防指定地を指定なさいました。その後現在に至るまで砂防堰堤より上流域について砂防指定地の指定は行われておりません。砂防指定地の指定につきましては他の法令による管理状況や現場の管理状況等を考慮し個別具体に判断されるものでありますが、砂防法に基づく砂防指定地にしなくてもよいとの判断によるものです。これまでの判断は行政裁量として認められる範囲内であったと考えております。一方砂防指定地の追加指定の問題ではなく砂防堰堤の捕捉容量を超える盛土量が上流に存在することについて、強い危機感を持つべきであったと考えております。
 三点目の逢初川土石流災害に係る行政対応検証委員会の検証作業の問題につきましては、委員の皆様には県と市が公開した膨大な行政資料を読み込んでいただきました。各種法令に基づく行政対応の一つ一つを経緯として網羅的に取りまとめて丁寧に検証していただいたものと認識しております。私は検証結果の客観性、公平性、十分性については、報告書に書かれている検証結果の内容そのものでもって評価されるものであると考えております。
 今回のような災害を二度と発生させないためには、県職員は所管する法令の射程を尊重しつつ県民の生命財産等を守り抜くという観点から行政として何をすべきかを考え、最悪の事態の想定も視野に入れて行動できるよう個々人と組織の対応力の強化を図っていくことが重要であります。
 今後は今回の検証結果と御提言を県庁全体で共有し職員と組織の意識改革を進めるとともに、市、関係機関と密接に連携しながら被災者の皆様が一日も早く通常の生活に戻れるように諸対策に全力で取り組んでまいる所存であります。
 次に、デジタル田園都市国家構想の具現化に向けた取組についてであります。
 デジタル田園都市国家構想の理念は、本年六月に閣議決定された基本方針において具体化されているところであり、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会を目指しデジタル技術の活用による地方の社会課題解決や魅力向上を図るものとされております。
 私はこれまで、大平元総理が当時の日本の最後の知性のお一人であった梅棹忠夫さんを中心にまとめられたものの一つがこの田園都市国家構想でありました。その当時静岡県では竹内宏さんという「路地裏の経済学」を書かれた知識人がそこに加わっておられましたけれども、誠に見事な報告書であります。私は生前の梅棹先生、竹内さんも含めてですけれども懇意にしておりまして、この構想は日本にとってとても重要であるという認識を持っておりました。
 そもそも田園都市と言っておりますけれども、これはガーデンシティーの日本語訳です。そのガーデンシティーという言葉がどこで生まれたかというと、私は幕末、明治維新期に日本に来た西洋人なかんずくイギリス人が、この横浜から入ってきた江戸を見てですね、百万都市でありながら緑がこのあふれていると、これをガーデンシティーと称したわけです。ですから田園都市というのはちょっと違うと。田園は郊外、江戸郊外に広がっておりましたから実は江戸のその都市そのものをガーデンシティーと言ったわけですね。ですから私はガーデンシティーのままで使えるかなという考えを当時から持っておりました。これが政策になり、今回岸田総理の下で国家の戦略の一つになったということを喜んでおります。私自身は知事になる前からガーデニングでまちづくりといったような本をまとめて優良事例を紹介したり励ましたりしていた経緯もございます。
 県の中におきましては、現在、県の東部・伊豆地域では豊かな自然の中で医療、教育、文化が調和したメディカル田園都市――メディカルガーデンシティというふうに山口建総長は言われていますが――を目指した取組が進められております。また市町におきましても御殿場市の前の若林さんが進められていたエコガーデンシティ、あるいは三島の豊岡さんが進められておられるガーデンシティみしま、あるいは吉田町の田村さんが進められておりますシーガーデンシティ構想等々が今動いているということでございまして、環境、景観、自然と調和したまちづくりの好事例が続々と出てきているなというふうに思っております。
 また、静岡県の新ビジョン後期アクションプランの政策の柱にデジタル社会の形成を位置づけております。それとともに具体的施策を明示したふじのくにDX推進計画を本年三月に策定いたしました。計画におきましては誰もがデジタル化の恩恵を受けられる豊かな共創社会の実現を目指し、国の基本方針にも掲げられた各政策分野へのデジタル実装をはじめ、デジタル人材の確保・育成やデジタル機器等に不慣れな方々に対する支援などの環境整備に取り組んでおります。
 こうした取組におきましては、既にデジタル田園都市国家構想推進交付金など国の集中的支援を活用して本県の取組を積極的に進めているところであります。今後国におきましては年末をめどにデジタル田園都市国家構想総合戦略――仮称でございますけれども――の策定が予定されており、これまでの取組の一層の充実や構想実現に向けた新たな取組が示されるものと考えております。
 県といたしましては、地域の実情や特色を踏まえながら県の取組方針を検討するとともに、県の課題解決に必要な国の施策を積極的に取り入れてまいります。
 世界遺産富士山をはじめ美しい自然、豊かな地域資源を最大限に生かしてそこにデジタルの力を加え、世界に誇る豊かな自然環境と都市の利便性が融合したポスト東京時代のロールモデルとなる地域をつくり上げるなど、デジタルガーデンシティ構想を通じた地方活性化に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、中小企業の脱炭素化支援についてであります。
 県が第四次静岡県地球温暖化対策実行計画の中で設定した国を上回る削減目標を達成するためには、第一次産業、第二次産業の産業部門を中心に全県を挙げた取組が不可欠です。特に事業者数の九割を占め本県産業の屋台骨を形成している中小企業の脱炭素化は、サプライチェーン全体の脱炭素化を図る上でも極めて重要です。
 このため県では、本年四月に中小企業の脱炭素化を促進するプラットフォームとして静岡県産業振興財団に企業脱炭素化支援センターを設置いたしました。普及啓発・人材育成、計画づくり・診断支援、設備導入支援、これら三つのプロジェクトを柱として活動を進めてまいります。
 具体的には、まず商工団体の会員企業等を対象とした基礎セミナーを開催します。あるいは企業内人材向けの講座を開催いたします。こうしたことにより中小企業の意識啓発や脱炭素を担う人材の育成を図ろうということでございます。またセンター内にワンストップ相談窓口を開設し、技術士や環境カウンセラーなど専門的な資格を有するお二人の業務アドバイザーが各企業の相談にきめ細かく対応するというシステムになります。あわせて外部の専門家と連携して省エネ診断やCO2等の削減計画策定なども支援をいたします。
 さらに、本年度創設した省エネ設備導入促進補助金やEV、FCVなどの購入にも使える県制度融資脱炭素支援資金の活用を促してまいります。こうしたことで幅広い設備の導入が後押しされるのではないかというふうに思っております。
 これらに加え、産官学金が参画する推進組織、静岡県企業脱炭素化推進フォーラムを昨日立ち上げました。今後趣旨に賛同する会員を募り先進的な取組事例の共有や会員相互が連携、交流する機会を創出しまして全県的展開を図ってまいりたいと考えております。またそのセンターの本格稼働とフォーラムの設立記念を兼ねたキックオフイベントを七月二十九日に開催する予定でございます。
 県といたしましては、世界的な脱炭素化の動きをチャンスと捉えておりまして、既に先行的な支援を進めている次世代自動車センター浜松などの関係機関とも連携して幅広い中小企業が脱炭素化を加速できるようにオール静岡の体制で取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、脱炭素社会の実現に向けた取組と静岡県のエネルギー政策についてのうち、浜岡原子力発電所の再稼働についてであります。
 現在、世界的に石油をはじめとするエネルギーの価格が高騰しておりますが、エネルギーの安定供給のため原子力の利用を求める意見が経済団体等から出されていることは承知しております。
 一方で、東日本大震災における福島第一原子力発電所の事故とその後の経過を見ますと、一たび過酷事故が起こりますとその影響は計り知れないものがございます。いまだに帰還困難な区域が残されておりますし、また数万人の福島県民の方々が地元から離れた生活を余儀なくされているのが現実であります。
 原子力発電所につきましては、それゆえ何よりも安全の確保が大前提であります。その再稼働の検討に当たりましては各発電所ごとに行うべきではないかと。あるいは各電力会社ごとにその依存電力が違います。例えば九州電力ですと四割ぐらいが原子力に依存していました。東京でも東京電力もそうですね。静岡県の場合には中部電力は一割前後だったということがございまして、それは結果的には幸いしているかと思いますけれども各電力会社ごとに発電所の事情が異なります。それはやっぱり考慮するべきであるというふうに思います。それゆえ私はこの再稼働の検討に当たりましては発電所ごとに行うべきであるという考えです。
 本県に立地する浜岡原子力発電所につきましては、現在津波対策工事等を実施中であります。原子力規制委員会による新規制基準への適合性審査も継続をしております。さらに使用済み燃料の処理方法が確立されていないということは重大な問題です。使用済み燃料のプールの空き容量は現在一千八体しかありません。大体三百体ずつ十三か月ごとに入れ替えますので置き場があっという間になくなります。そういうことになりますと仮にですね、再稼働すれば新たに発生する使用済み燃料、三号機、四号機、五号機ですね、これを動かしますと一、二年で使用済み核燃料、置き場所がなくなるということです。これは関係者はみんな知っているわけですね。それゆえこのような状況から浜岡原子力発電所は再稼働できる状況にはないという認識に変わりはありません。
 また、中部電力は発電所内に原子力安全技術研究所を設置しておりまして原子力発電所の安全性向上のための研究活動に取り組まれていると。これは立派なことであると思います。さらにそれはオープンになっております。さらに全国の大学等からも研究を公募して、公募された研究も全部公開されております。これらの取組が浜岡原子力発電所の安全性の向上につながって安全文化を醸成していくと期待しているところであります。
 県といたしましては、県民の皆様の安全また安心のために国に対して厳正な審査を求めるとともに、中部電力に対しても徹底した安全確保を引き続き求めてまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を差し上げます。
○議長(藪田宏行君) 出野副知事。
○副知事(出野 勉君) 多文化共生施策の充実についてお答えいたします。
 本県には多様な国籍や在留資格を持つ約十万人の外国人県民が居住しております。誰もが暮らしやすい静岡県としていくためには、外国人と日本人が互いの文化や習慣を理解し共に多文化共生の地域づくりを進める必要があります。
 このため県では、本年三月に策定いたしましたふじのくに多文化共生推進基本計画に基づき言葉の壁の解消や相互理解の促進、外国人県民が安心して暮らし活躍することができる環境整備に取り組んでまいります。
 具体的には、外国人県民が生活に必要な日本語を習得するための初期日本語教室を地域の皆様にも御参加頂き今年度は県内七市において実施するとともに、やさしい日本語の地域や職場での普及を図り外国人県民とのコミュニケーションが円滑に取れるよう引き続き支援を行ってまいります。
 また、多文化共生総合相談センター「かめりあ」における一元的できめ細かな相談対応を実施するとともに、多言語による防災情報の発信や外国人従業員を雇用する企業における防災出前講座の開催など危機管理体制を強化してまいります。さらに外国人学校の生徒を対象に地域の企業の協力による職業体験を取り入れた教育プログラムによりキャリア形成を促進するなど外国人県民が活躍できるよう支援してまいります。
 また、本県には議員御指摘のとおり六月十三日現在六組十六名の方々がウクライナから避難してきておりますが、民間事業者等からも多くの御支援を頂いており、六月十二日には支援団体ウクライナ希望のつばさSHIZUOKAが主催した避難者との交流会が開催され、ウクライナ大使館書記官をはじめ百名を超える方々に参加していただきました。
 県といたしましては、今後も避難されてきた方々に常に寄り添い継続して支援を行っていくとともに、本県に居住する外国人県民の誰もが安心して快適に暮らし活躍できる社会の構築に向け多文化共生施策の一層の充実強化に努めてまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 難波静岡県理事。
○静岡県理事(難波喬司君) 熱海市伊豆山地区土石流災害を教訓とした対応についてのうち、盛土対策の強化についてお答えをいたします。
 来月一日に施行する盛土等の規制に関する条例では、一定規模を超える盛土の許可に当たって県が一元的に盛土の構造を厳格に審査し事業者に対して定期的な土壌及び水質調査の実施を義務づけるとともに、許可後の管理状況を検査、指導することで危険な盛土行為を防止し災害や土壌汚染等の抑止につなげることとしております。こうした条例による規制の実効性を高めるため、盛土対策課職員に加え出先機関に二百人規模の兼務職員を配置いたしました。あわせて広く県民からの通報を受け付ける盛り土一一〇番を設置いたします。これらによって行政と住民の皆様が一体となって無許可の盛土や管理状況が不適切な盛土に関する情報を早期に把握し、必要な行政措置を行う体制を構築してまいります。
 また、庁内の部局を横断し市町、警察と連携し盛土に関する総合的な対策が行えるよう――仮称ですが――静岡県盛土等対策会議を月内に立ち上げてまいります。さらに対策会議の下に七つの地域部会を設け現場の状況に即した的確な対応が行える体制を確保してまいります。
 あわせて、庁内関係部局と出先機関が盛土条例などによる許可情報や不適正な盛土事案などを一元的に地図上で共有できるよう、土地利用情報システムの構築に必要な予算を本議会にお諮りしているところであります。こうした取組の強化によりまして不適切な盛土による土砂等の崩壊、飛散または流出による災害を防止するための仕組みは大きく強化されると認識しております。
 これらと併せて大事なことはこの仕組みを運用する県の職員の意識改革です。県民の生命財産を守ることが自分の使命と意識し、この状態の先に起きる可能性がある最悪の事態を想定して適切な行動が取れるよう県職員の意識改革と行動変容を促してまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 増田経済産業部長。
○経済産業部長(増田始己君) 脱炭素社会の実現に向けた取組と静岡県のエネルギー政策についてのうち、再生可能エネルギーの開発についてお答えいたします。
 県では、昨年度策定したふじのくにエネルギー総合戦略において再生可能エネルギー等の最大限の導入促進を戦略の柱としているところであります。今年度に入り本格化したウクライナ情勢等の影響によるエネルギー価格の高騰などもあり、地域資源を活用した再生可能エネルギーの開発はますます重要なものとなっております。
 小水力や温泉エネルギーを利用した発電設備等の導入につきましては、市町や中小企業等を対象に平成二十七年度から県独自の補助制度を設け、これまでに四十五件の事業化支援を行ってきました。この制度によって全国でも珍しい温泉付随ガスを活用した熱電併給システムや地域住民が結成した企業組合による地域ぐるみの小水力発電などが実現しました。
 一方で、小水力やバイオマス発電等につきましては発電効率の向上や設備費などコストの低減が課題であり、さらなる技術開発が求められております。そのため県では、産学官金で構成する創エネ・蓄エネ技術開発推進協議会を設置し専門家からの最新の知見に基づくアドバイスを頂きながら、会員からの提案に基づく新たな研究や取組に対し支援を行っているところであります。   
 二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現は今ある技術を前提としたのでは達成が困難であると言われております。
 県といたしましては、これまでの調査結果を再評価するとともに、本県の強みである高い技術力や産業の集積、豊かな森林や水といった地域資源を最大限活用し脱炭素技術の開発や社会実装を進めてまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 京極スポーツ・文化観光部長。
○スポーツ・文化観光部長(京極仁志君) 観光産業の復活についてお答えいたします。
 本県観光産業は二年を超えるコロナ禍や世界規模での原油価格等の高騰により厳しい経営環境にあることから、県ではその早期復活に向け観光促進事業「今こそ しずおか 元気旅」を近隣県等に対象を拡大して展開し旅行需要の着実な回復に努めているところであります。加えて原油価格高騰の影響を大きく受ける鉄道やバス、タクシーなどの交通事業者を対象とした新たな補助制度の予算案を本議会にお諮りしているところであり、環境への貢献度の高い交通事業者が地域の観光施設と連携して県内周遊を促進する取組を支援してまいります。
 一方、外国人観光客の受入れの動きが活発化する中、本県観光の魅力を高め発信することが重要です。TSJ、静岡ツーリズムビューローを中心にアウトドア体験が楽しめるアドベンチャーツーリズム、温泉を生かしたウエルネスツーリズムなど外国人観光客の関心が高い旅行商品を開発しインバウンド需要を取り込んでまいります。
 さらに、旅行スタイルの多様化、SDGsに対する関心の高まりなどを踏まえ、サイクルスポーツ、お茶や食文化、ジオパークなど本県ならではの観光資源を最大限活用し環境にも配慮したサステーナブルツーリズムのモデルツアーの開発を地域DMOと連携して推進してまいります。
 これらの取組を通じて県内観光産業の早期回復を図り、将来に向けて持続可能な観光地域づくりに全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 太田交通基盤部長。
○交通基盤部長(太田博文君) 遠州灘海浜公園篠原地区野球場の整備についてお答えいたします。
 遠州灘海浜公園篠原地区につきましては、一部が浜松市総合水泳場として供用されているものの大部分が未利用となっており、浜松市や地元経済界などから長年にわたり整備要望を頂いてまいりました。東日本大震災以降南海トラフ巨大地震に対する危機感が高まる中、浜松市沿岸域において防潮堤の整備が進み当公園を取り巻く状況が大きく変化したことから、県では平成二十八年に公園機能の充実を図るため遠州灘海浜公園基本構想を策定いたしました。
 この基本構想では、スポーツ施設のバランスある配置による新たなスポーツ拠点づくりを基本方針とし、県西部地域の広域的な利用に資する大規模スポーツ施設を野球場のコンセプトとしております。基本計画の策定におきましては、これまでにお示ししている公園全体の施設配置、野球場の規模や構造等複数の案から一案を選定する必要があります。
 現在、野球場を含む公園の整備や運営の手法、利活用方法について全国の事例を調査しているところであります。今後のスケジュールにつきましては、秋頃までに建設費や維持管理費、経済波及効果等の算出とウミガメなどの周辺環境への影響予測調査を実施いたします。次にこれらの結果を基に各案を評価して比較検討を行い、県議会の御意見を伺った上で年内に最適案を選定いたします。その後パブリックコメントを実施し年度内に基本計画として取りまとめてまいります。
 県といたしましては、県西部地域のスポーツの拠点として多くの皆様に愛される公園と野球場の実現に向け公園基本計画の策定を着実に進めてまいります。
 次に、津波災害警戒区域の指定についてであります。
 本県における津波対策は、地域の特性を踏まえハードとソフトの対策を最適に組み合わせた静岡方式を推進しており、住民等の避難行動の実効性を高めることに有効な津波災害警戒区域につきましても市町の意向を尊重し順次指定を進めてまいりました。
 今年度は地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の最終年度に当たることから、未指定の沿岸十五市町に対し指定の意義や効果、財政的な優遇措置等の指定促進に向けた最近の国の動向について戸別訪問などにより丁寧に説明し、本年五月に改めて指定の意向を確認いたしました。その結果、指定の意向を示した七市町につきましては今年度中の指定に向け速やかに手続を進めてまいります。
 一方、指定の意向を示さなかった市町は整備した防潮堤の効果により縮小された浸水想定区域での指定を望んでいることから、防潮堤の評価基準などの国との調整を進め市町に指定の意向を改めて再度確認してまいります。なお指定の有無にかかわらず、病院、学校等の要配慮者利用施設における警戒避難体制の一層の強化促進などを働きかけてまいります。
 県といたしましては、市町の意向を尊重しながら津波災害警戒区域の指定など地域の実情に応じた静岡方式による津波対策を進め、将来にわたって県民の皆様が安全で安心して暮らすことができる津波に強い地域づくりを推進してまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 池上教育長。
○教育長(池上重弘君) 今後の教育行政の推進についてのうち、私の所信についてお答えいたします。
 本県の教育を取り巻く環境は少子高齢化による児童生徒の減少をはじめ、いじめや不登校、家庭環境の格差拡大、ヤングケアラーなど多くの課題に直面しています。また議員御指摘のとおりロシアのウクライナ侵攻や新型コロナウイルス感染症の影響により世界が大きく変わる時代の転換点を迎えております。
 このようにグローバルに時代が大きく変化する中、教育の果たす役割はますます大きくなっております。子供たちの多様な能力や資質、可能性を伸ばすため、これからの公教育は変わっていく必要があり、私は本県の教育を変革していきたいと考えております。
 特に推進していきたいと考えているのが探究活動です。探究活動は学術的なテーマのみならず、学校や家庭だけではない多様な生き方に触れることのできる豊かな学びの機会となります。ウクライナ問題等の世界情勢から身近な地域の事柄まで様々な課題を自らのこととして考え調べて行動し、そして解決していく、またそれを人に伝えていく。このような探究活動を実践することにより激動の時代を生き抜く力、状況を変えていく力を育成していきたいと考えております。
 この八月には静岡市内において探究シンポジウムを開催いたします。探究活動に先進的に取り組んでいる学校の事例を共有し、それぞれが抱える課題とその解決方法について語り合うことで教員の意識改革や学校の独自性を生かした活動の一層の推進を図ってまいります。またこのシンポジウムをきっかけとして県全域の探究学習と地域と連携した教育の質を高めるため、大学や企業、NPOなど幅広い関係者と連携しオンラインプラットフォームの構築や学校と地域をつなぐ人材育成に取り組んでまいります。
 私の目指す姿は、学校、家庭、地域の連携協働の下、それぞれに異なる価値観や特性などの多様性を尊重しながら他者と協調して新たな価値を創造する力を育成する教育です。子供たちが夢と希望を持って学び続けられるよう、本県ならではの新たな仕組みを構築し魅力ある教育を進めていきたいと考えておりますので、県議会の皆様の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 次に、教職員の不祥事の根絶についてであります。
 初めに、本年度早々五名もの教員が逮捕され学校や教育行政に対する信頼を著しく損ねたことについて、教育委員会として深刻に受け止めるとともに児童生徒や保護者そして県民の皆様に対し深くおわびを申し上げます。
 不祥事を未然に防止するためには教職員の自覚と不祥事を起こさせない組織づくりが不可欠であると認識しております。教職に携わる全ての者は子供たちの安全を守り人格の形成に大きな影響を与える教育という極めて重要な仕事に就いていることを片時も忘れてはならず、一人一人の教職員が初心に立ち返り崇高な使命と職責を改めて心に刻む必要があります。
 また、日頃より各学校で同僚性すなわち同僚としての一体感、この同僚性を高め風通しをよくすることで不祥事を起こさせない組織をつくり相次ぐ不祥事により失われた信頼を回復していかなければなりません。
 そのため、県教育委員会では本年度に入って緊急的な取組として県教育委員会幹部職員による市町教育長訪問を行うとともに、不祥事を自分事として考えるため各学校において小グループでの話合いを実施し、本県においては初めてその成果を全ての学校にフィードバックいたしました。グループワークについては、同僚との話合いを通して不祥事を自分事として捉える機会となったなど肯定的な感想が多く見られたことから、今後も教職員一人一人の自覚を促し課題に積極的に関わる有効な手法の一つとして継続的に取り入れてまいります。
 また、新任校長研修、マネジメント研修など組織としてのコンプライアンスを高めていくための研修を通じて各学校のリスクマネジメント体制の強化に努めてまいります。今後これらの研修の中に小グループでの話合いで得られた不祥事防止に関する知見を反映させるなどコンプライアンスに関する研修内容の一層の充実を図り、各学校の同僚性を向上させ風通しのよい職場づくりに取り組んでまいります。
 県教育委員会といたしましては、市町教育委員会、各学校におけるそれぞれの取組をさらに強化するよう促すとともに、その成果を共有し教育現場と一体となって不祥事根絶に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 山本警察本部長。
○警察本部長(山本和毅君) 県警察による経済安全保障への取組についてお答えをいたします。
 我が国の経済安全保障につきましては今国会において経済安全保障推進法が成立をしたところでありますが、我が国をめぐる経済安全保障上の脅威、特に先端技術情報の流出に対する対策はまさに国益を守る上で極めて重要なものであります。県警察では従来から産業スパイ事案や機微な技術を使った製品の不正輸出事案、サイバー攻撃事案などの実態解明と取締りを推進してきているところであります。
 しかしながら、それと同時にこれまで行ってきました対策を継続するだけではなく、これまでに明らかになった技術情報流出の具体的な手口やその対策を企業、研究機関などに情報提供していくことが重要になってきているところであります。このため本年二月にプロジェクトチームを立ち上げまして、こうしたいわゆるアウトリーチ活動を重点的に推進をすることとしたところであります。
 具体的には、例えばSNSを介して接触してきた外国企業の社員に対して問合せに応じ勤務先の技術情報を流出させた事例が摘発されていますことから、ここから得られる教訓としてSNSの危険性に関する教育指導の必要性について情報提供を行うことなどが挙げられるところであります。
 県警察では、今後関係機関・団体や県内企業との連携を緊密に図りながら違法行為の取締りのみならず被害の未然防止を図るための取組を一層強力に推進することによりまして、経済安全保障対策に取り組んでまいりたいと考えております。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 市川秀之君。
       (十三番 市川秀之君登壇)
○十三番(市川秀之君) 知事をはじめそれぞれに御答弁を頂きました。ありがとうございます。
 意見、要望を少し述べさせていただいた上で再質問をしたいと思います。
 まず意見、要望ですが、熱海伊豆山の土石流災害に関しまして、一つ目の今後の対策強化について難波理事より非常に強い決意とも感じられるようなお言葉を頂きましたが、一方で、やはり先日行われた説明会、こちらに関して友人の行政書士からもですね、非常に分かりにくい上に非常に期間も短いと、周知期間が短いというような課題があるという言葉を頂いております。またそういったこともしっかり対応していただきたいのと同時にですね、今回縦割りの行政での問題が指摘されております。今回つくる盛土対策課ですか、そちらについてはですね、部局を横断して発言できるような権限を与えていただけたらなということを申し述べさせていただきます。
 二つ目の行政対応の検証について、知事からも非常に前向きな発言とも取れることを頂いたと思います。我が会派でもですね、今後プロジェクトチームをつくりましてしっかりこの対応、第三者的な立場に立って目線に立って考察していきたいと思いますので、また御対応頂ければと存じます。
 池上教育長、改めて静岡県の教育行政に係る本当に熱いお言葉を頂いたと思います。探究活動というお言葉を今日お伺いしましたが、現代社会に求められている能力、やはり学力だけではないと思います。今言った生き抜く力、状況を変えていく力そういったこと、非認知能力も含めてですね、これから教育長、これまでに培ってそして醸成されてきたお力を存分に発揮していただいて静岡県の今後、次代を担う若い世代、青年たちを導いていっていただければなと思っております。
 再質問をさせていただきたいと思います。
 エネルギー問題に関してです。
 原子力発電所の件、浜岡原発に関しましては、知事のおっしゃるとおり浜岡原発が再稼働できる状況にはないという認識は当然のことかと思います。東日本の大震災によって福島の事故、原子力発電所は一度暴れ出したら手に負えないということはもう誰の目にも明らかです。何重にも安全対策を張り巡らせることによって想定外ということを一つ一つ潰していかなくてはならないと思います。
 ただ、想定外という言葉を使いましたけれども、先日松野官房長官も今年の夏はもう電力需要が逼迫する、七年ぶりの節電要請を行うことになるというような発言もありましたし、やはり仮に電力が不足して大停電が起きて医療現場、それから医療器具、それからエアコンが止まるといったことで大勢の命が危険にさらされる可能性もあるわけでございます。そのようなことがないよう需要期の電力確保という危機意識をやはりしっかり持たれるようにお願いいたします。
 その上で、現在全国には十機の原子力発電所が稼働しているわけでございますが、知事御自身、発電所ごとにその安全性を管理せよということでございましたが、知事御自身は原子力の発電利用という観点、もちろん先ほど言った使用済み燃料の問題等もございますけれども、原子力の利用に関してどのような考えを御自身お持ちなのか一点伺いたいと思います。
 そしてもう一つですが、リニアの問題に関してでございます。
 時間もないので、トンネルの工事の問題に関してもう少しお話を聞きたかったところもあるんですが、知事はかつて記者から物すごい技術を日本が持っていてもしかしたらトンネルを掘っても水が失われない、生態系も影響しないということであれば特段反対する理由がないとおっしゃっていましたので、そういった観点で何かその案がおありなのかなという思いもあったんですが、先ほど、広く会議を興し万機公論に決するということでおっしゃられていた中でですね、私ちょっと疑問に思ったのが、徳川家がおつくりになったということだったんですが私の認識ではこれは明治政府が天皇に政治が中心で行うときに万機公論に決するということを天皇が宣言されたと考えているんですが、その徳川家がつくられたというところに関してお考えをお伺いします。以上です。
○議長(藪田宏行君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 市川議員におかれましては二つの再質問、ありがとうございました。
 まず一つ目の原子力についてどう考えるかということですけれども、これは大学で原子力の研究をしているわけですね。なぜできるんでしょうか。それはコントロールが可能だからです。なぜコントロールが可能かというと小さいからですね。
 静岡県の浜岡原子力発電所、一号機、二号機、三、四、五とありますけれども、だんだんとこう規模が大きくなってくると。規模が大きくなるとコントロールが非常に厳しくなります。したがってですね、考え方を逆転すればすなわち研究をしながらかつ利益を生むというその分岐点があると思いますけれども、そうした観点で研究してみてはどうかという考えは持っております。コントロールが不可能であるようなことはしてはいかんということですね。コントロール可能な状況は有馬先生ほか活躍されていた頃にですね、大学でいろいろな研究がなされてきて今日にもそれがなされているわけですから、そうした研究とその損益分岐点のようなものがどこかにあるはずで、そういう観点でやっていくと大きくすることだけがいいことではないと。小さく効率的に考えるという考え方もあるかなという考えを持っております。
 それから、五箇条の御誓文はもちろん細かく言えば福井藩やあるいはその当時の武士がつくり上げたものでございまして、徳川家というよりも徳川時代の武士のこの持っていた倫理観、国家観、いわゆる経世済民をこの道と考える武士の道というか、士道と考える人たちのエッセンスが広く会議を興し万機公論に決するという、こういう一条に、また上下心を一にして盛んに経綸を行うと、官武一途庶民に至るまで各々その志を遂げ人心をしてうまざらしめんことを要すと、すばらしいと思います。旧来の陋習を破り天地の公道に基づくべしなどというのはですね、よく言ったなと思いますね。
 最後に、智識を世界に求めて大いに皇基を振起すべしと、つまり日本の国の基はこの天皇という存在にあるということもしっかり書き込んでいるわけですね。これは徳川将軍がというよりも徳川時代のつくり上げたこの武士道の、つまり儒教とか仏教とか神道とか全部入り込んだですね、そうしたものが新しい時代に対してどのような姿勢で臨むのかといったこととして集約されたものだと。したがって多くの人に受け入れられたと。
 ちょっと言葉足らずで今も言葉足らずかもしれませんけれども、そのような認識を持っております。以上であります。ありがとうございました。
○議長(藪田宏行君) これで市川秀之君の質問は終わりました。(拍手)
 議事の都合により休憩します。

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