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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成26年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

蓮池 章平 議員

質問分類

代表質問

質問日:

02/28/2014

会派名:

公明党静岡県議団


質疑・質問事項:

1 平成二十六年度当初予算編成について               
2 行財政改革の取り組みについて                  
 (1) 公会計改革                          
 (2) 社会保障・税番号制度への対応                 
 (3) 自治体クラウド                        
3 危機管理体制の強化について                   
4 リニア中央新幹線の環境影響に関する今後の対応について      
5 外国人観光客の誘致促進について                 
6 県の試験研究機関の研究方針について               
7 沼津駅付近鉄道高架事業について
8 動物愛護の取り組みについて                   
9 発達障がいの支援について                    
 (1) 呼称の変更と細かな対応                    
 (2) 県東部における発達障害者支援センターの整備          
10 老朽インフラの総点検について
11 学校におけるアレルギー対策について               
12 多様な能力に応えられる教育のあり方について           
13 警察の総合力の強化について


○議長(中谷多加二君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第一号から第百二十号までを一括して議題とします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、三十番 蓮池章平君。
       (三十番 蓮池章平君登壇 拍手)
○三十番(蓮池章平君) 質問に入る前に今月の十四日からの大雪によりお亡くなりになられた方の御冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。また大雪により県東部、富士地域において農林業施設の被害が発生いたしました。公明党県議団として知事宛てに農業、経済的な被害に対する支援や今後の対応など四項目について求めたほか、新東名の除雪体制などについても要望いたしました。適切な対応を改めて求めておきます。
 それでは質問に入ります。
 私は、公明党県議団を代表して通告に従い、分割質問方式で知事、関係部局長、教育長、警察本部長に県政の諸課題について伺います。
 初めに、平成二十六年度当初予算編成について伺います。
 平成二十六年度の国の地方財政計画では、アベノミクスによる地方税収増を反映して、地方交付税や臨時財政対策債は減額しつつ社会保障の充実分を反映し地方の一般財源総額を確保するとしています。本県の二十六年度の予算編成は、十二月の部局調整案の公表時においては四百二十八億円の財源不足が見込まれておりました。この財源不足を解消するためには、歳出のスリム化と歳入確保により一層取り組む必要があります。また近年は臨時財政対策債が一千億円を上回り、将来世代に負担を負わせるという大変憂慮すべき事態であります。
 財源不足の解消に向けて、どのように取り組んだのか伺います。
 また、予算編成に際し公明党県議団として県民幸福度の最大化に向け、安心・安全に加え健康で夢の持てる、また調和のとれた活気ある社会を実現するため、六つのテーマのもと二十五の重点項目、百四十二項目にわたり平成二十六年度当初予算編成に向けた要望を知事に行いました。特に来年度は、第四次地震被害想定を受け策定された地震・津波対策アクションプログラム二〇一三を県民の生命と財産を最大限守るため着実に推進することが求められております。
 知事は、我が会派の要望を平成二十六年度当初予算にどのように反映されたのか伺います。
 次に、行財政改革の取り組みについて三点伺います。
 初めに、公会計改革についてであります。
 公会計改革の目的は説明責任の遂行、効果的、効率的な行政運営の展開、資産・債務改革への貢献、予算編成への活用であります。今後の新地方会計の推進に関する研究会において実務上の課題と対応の方向性が検討されており、統一の会計基準による比較可能性の確保、複式簿記処理による決算作業の迅速性、財務諸表監査の実施などを課題として平成二十六年四月をめどに最終報告が公表される予定であります。統一会計基準で他の地方公共団体と比較検討できるようになると客観的な健全性の判断が可能となります。
 本県の平成二十一年度から平成二十四年度までの財務諸表で資産と債務の推移を見ると県民一人当たりの資産額は、土地の評価がえ等の影響により、ほぼ同額の百十万円。ところが負債は八十二万円から九十万円と八万円の増額となっており、負債が増額していることから健全性を担保するにはさらなる努力が必要と考えられます。これまでも何度か県民に対する説明責任の視点から県職員の意識を向上させ、県財政の健全化を図るツールとして事業別の財務諸表の作成は有効な手段の一つであると訴えてまいりました。事業別や施設別財務諸表の作成により事業の収入とコスト、受益者負担の割合、減価償却を含めたコストの構造などから事業の有効性、経済性の分析が可能となり、人件費の割合の高い事業については業務効率化やアウトソーシングによる人件費の削減、受益者負担の見直し、サービス水準の向上検討などPDCAサイクルによる事業の見直し、マネジメントへとつなげられるのではないかと考えます。また老朽化する資産の更新問題の視点から固定資産の老朽化の比較検討、対策への活用も有効であると考えます。公会計改革は、複式簿記、発生主義を導入することが目的ではなく、行財政改革のツールの一つとして実効性あるものにしなくてはならないと考えます。
 そこで、公会計制度に基づく財務諸表の活用について、県の所見を伺います。
 次に、社会保障・税番号制度――いわゆるマイナンバー制度への対応について伺います。
 平成二十五年五月にマイナンバー制度関連の法案が成立し、平成二十七年十月から付番が開始され平成二十九年一月からは国の機関の間で七月には地方自治体も含め、共通番号による情報連携が開始されることになりました。これにより住民にとっては誕生から就学、就職、子育て、退職などの人生の節目の機会を通して、さまざまな手続の簡素化や災害時の対応など利便性の向上が期待できます。また社会保障給付の申請、各種届け出の負担の軽減、より公平で正確な税負担の実現、医療、介護等における総合合算制度などの質の向上、災害時における要援護者リストの作成、更新、生活再建への効果的な支援も可能であります。
 番号制度の導入は、さまざまな利点がある反面、問題点も指摘されており、次の点が指摘されております。第一点は、各自治体において来年十月一日から付番を開始することが求められておりますが、準備期間が非常に短いことであります。二点目は、システムの改修費用が予想をはるかに超える額になる可能性があります。今後市町は、短期間で現行業務の調査、条例改正、業務変更点の抽出など多岐にわたる準備と過大なシステム改修の費用負担が懸念されます。
 サポート体制の充実が喫緊の課題であり、県として番号制度導入を円滑に進めるため担当部門を設置し、市町を支援していくべきと考えますが所見を伺います。
 次に、自治体クラウドについて伺います。
 県、市町において情報システムによる業務支援は不可欠のものとなっております。一方、個々の自治体では導入から運用まで一体で行っているためシステムの開発、構築業務の負担とともに、運用にかかる多額の負担や多くの職員の確保が大きな課題となっております。今回の番号制度導入は、県内市町が一斉に対応すべきものであることから市町の情報システムのオープン化や共同アウトソーシングなど一斉に推進できる絶好の機会であり、災害時の事業継続性の確保や団体間連携、複数市町における業務システムの共同利用なども推進することができる、いわゆる自治体クラウドを県全体として推進するチャンスになっております。
 一方で、異なる事業者のシステムへのデータ移行に多額の経費を請求される場合が多く事業者やサービスの選択が制限される、いわゆるベンダーロックイン問題が顕在をしております。多くの市町においてもこれらの問題への対応に迫られております。自治体の住民情報等の管理責任がこれまで以上に重要となってくる番号制度の導入を機にベンダーロックインも排除しながら職員が主体となり、住民情報を含む行政情報資産を主体的に利活用できる状態である情報統治の確立を図ることが求められております。そのためには行政情報資産としてのデータを自治体側が責任を持って管理することができる共通基盤、共通データベースの整備をしなければなりません。マイナンバーは、ほとんどの先進諸国で導入されておりますが、成り済まし犯罪なども問題になっていることから同時にそのような事態にも対応できる体制の整備も必要となってきております。
 以上のような観点から共通基盤、共通データベースとして、クラウド型オープンデータベースの採用による真の情報統治の確立を目指していくべきと考えます。行財政改革の視点も交えながら自治体クラウドに対する県の取り組みについて伺います。
 次に、危機管理体制の強化について伺います。
 まず、県の危機管理体制については、有事が発生した場合は知事のもとに危機管理監が位置づけられ迅速な初動態勢を確保することとなっております。しかしながら平時における危機管理意識、情報の収集・発信については少々心配な面も見られます。先々週の二月十五日の土曜日、県庁の本館、東館、西館、全ての電源が定期点検のため約十二時間の停電となりました。前日の金曜日から県東部の内陸部、山間部を中心に雪が降り始め大雪注意報が発令される状況となっておりましたが、停電のため県の道路規制の情報が更新できない、こういう状態になりました。雪による交通規制の情報は危機を回避するための重要な情報であり、仮に事前の電源の点検が予定されていたとしても危機管理上の判断から代替の措置がとられて当然のことであります。東名高速、新東名高速の雪による通行どめや小山町で集落が孤立状態となったことから見ても問題があったのではないかと思います。またこのタイミングで地震等の大規模災害が発生すれば、危機管理の観点から甚大な被害になった可能性さえあり検証が必要と考えますが、平時における危機管理意識の課題について伺います。
 二点目は、情報の収集・発信の課題であります。翌二月十六日になって大雪により小山町須走地区が孤立し、陸上自衛隊に災害派遣要請を行い県は災害対策本部を設置いたしました。東部の危機管理局から御殿場市、小山町に職員を派遣したとのことですが、到着までに相当な時間がかかったと伺いました。大規模な災害の発生ともなれば、各地域の詳細な情報を把握する困難さは東日本大震災の経験から明らかであります。大規模な災害時にもSNSなどソーシャルメディアの通信手段は機能することが証明されており、例えば県の職員、市町の職員が独自のネットワークを持ち現状の情報をフェイスブックやツイッターなどで逐次発信する体制を構築すれば各地の詳細な情報が入手できます。
 情報の収集・発信体制の検討が必要と考えますが、県の所見を伺います。
 三点目は、県内市町との連携であります。東日本大震災では東北各県の多くの自治体が被災し、支援のために国家公務員、一般地方公務員が派遣され、その状況は昨年二十五年三月三十一日現在で延べ八万五千九十六名となっております。このときに指摘されたのは行政機関間の応援・受援における問題であります。受け入れ体制の整備が大きな負担となった例や応援に駆けつけたものの、指揮命令系統の不明確さにより応援が無駄になった例。応援する自治体と応援される自治体の危機管理組織の行政上の位置づけが異なることや危機管理組織のトップの地位及び権限が異なることによって混乱を生じました。本県内の市町における危機管理組織は標準化されておらず大規模災害時における県と市町、応援自治体と受援自治体の混乱も想定をされます。
 本県全体の危機管理能力を向上させるためには、市町の危機管理能力向上のための日常的な図上訓練の実施や有事の際に有効に機能する危機管理の体制を標準化して受援力を強化していくことが鍵となります。本県の危機管理能力の強化を図るため政令市を含む市町との連携強化をどのように進めていくのか伺います。
 次に、リニア中央新幹線の環境影響に関する今後の対応について伺います。
 リニア中央新幹線の環境影響評価準備書については、三月二十五日までに知事意見を述べることとなっております。地元の静岡市からは、十数年にわたる工事が周辺環境や住民生活に及ぼす影響に対し保全と対策に万全を期すことが重要であり、世界遺産との両立やユネスコエコパークの登録の阻害要因になる可能性が極めて高いとの意見が示されました。知事が意見を述べた後は、事業者からも準備書の内容を見直した評価書や工事後の環境状況の把握を図る事後調査計画書の提出があるものの、国土交通省からの工事許可を受ければ事業着手が可能となります。
 大井川流域の七市二町の首長の提言にあるように本県内における工事では、大井川の流量減少による流域六十三万人の生活への影響や南アルプスのユネスコエコパーク登録への影響など多くの懸念が指摘され、県民からの心配の声も高まっております。本年秋にもJR東海は事業着手を目指しているとの報道がある中、準備書における予測は不確実性が高く実際に工事が始まれば想定している以上の環境影響が発生する可能性もあり、事業着手以降も継続した調査や結果の情報公開が求められると考えます。
 私は、JRとの間で工事期間中やその後に不測の事態が出た場合の対応に関する協定書を締結することで県民の懸念に応える対応も必要ではないかと考えます。県として知事意見提出後、環境影響の軽減を担保するためにどのような取り組みをしていくのか伺います。
 次に、外国人観光客の誘致促進について伺います。
 本県の宿泊客数は、平成三年度の二千七百六十六万泊をピークに平成二十四年度には千七百九十万泊と約四〇%も減少するなど減少傾向に歯どめがかからない状況が続いております。一方昨年の訪日外国人客数は、円安、東南アジア諸国に対する査証緩和の措置などの影響により、過去最高の一千三十六万人に達し初めて一千万人を上回りました。昨年世界文化遺産登録された富士山、世界農業遺産に認定された茶草場農法さらには韮山の反射炉、伊豆半島ジオパーク、南アルプスエコパーク等、世界に誇れる観光資源が認められつつあります。また二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックには、観戦や応援など世界各国から多くの外国人が来日し、本県への来訪者も増加することが予想されます。
 こうしたことから、外国人観光客が低迷する観光産業において今後極めて有望な分野でありますが、県内の市町の取り組みには温度差があり県内全域が一丸となって誘致に取り組む必要があります。これまで本県独自の地域外交を展開している中国、韓国、台湾、モンゴルなどの国・地域に引き続き積極的に働きかけるとともに、効果的に外国人観光客の誘致を実現するためには、県がその必要性あるいは基本的な取り組み方針を市町に示し県と市町、関係機関等が相互に協力しながら推進していくことが重要であると考えます。
 そこで、県として外国人観光客の誘致促進に関する意義をどのように捉え、今後どのように推進していくのか基本方針を伺います。
 次に、県の試験研究機関の研究方針について伺います。
 我が国の経済は回復基調にあるものの、本県経済は景気回復の実感がありません。このため本年度に見直しを行う総合計画では、本県産業の新たな成長のための取り組みを進めていくとしております。本県産業の成長のためには事業者の新分野への進出や既存技術の高度化が不可欠であります。例えば農業では、高品質な生産物の育成やブランド化はもちろん大規模経営をさらに進めるための省力化技術、省エネ技術の開発やあるいは六次産業化のための新たな生産加工技術の開発が重要であり、工業技術の活用が求められております。既に民間レベルでは、空き工場の活用により温度、湿度、光などが完全に制御された植物工場で季節や天候に左右されず、通年安定した食味、数量、価格で野菜や果物を供給する取り組みもされております。栽培環境制御システムの開発は工業分野、品質開発や栽培ノウハウは農業分野と、まさに異分野の技術の融合によって成り立っております。本県には農業、畜産、水産、工業、環境・衛生と五つの試験研究機関が設置されておりますが、植物工場に代表される異分野技術の融合を進めていくためには、各研究所が蓄積した技術を生かしながらそれぞれの研究分野の枠にとらわれずに連携して研究を進めていく必要があります。
 そこで、総合計画が見直される中、県の試験研究機関が本県の新たな成長に貢献するために今後どのような方針のもと研究を実施していくのか伺います。また事業者を支援するためにどのような分野の相談であっても気軽に相談できるいわばワンストップの相談窓口を設置する必要があると考えますが、研究所における支援体制の整備について、あわせて県の方針を伺います。
 次に、沼津駅付近鉄道高架事業について伺います。
 沼津駅周辺では本年七月のグランドオープンに向けた県の会議場施設「プラサ ヴェルデ」の建設工事や土地区画整理事業など総合整備事業が着実に進んでいるところであります。しかしながらこの事業の核となる鉄道事業については、多くの県民が一日も早い完成を待ち望んでおりますが、遅々として進まない状況であります。私は平成二十三年九月にこの議会において、県東部の拠点都市構築の中心的役割を担う鉄道高架事業の完成の目標年次を明示して取り組むべきと訴えました。これに対し当局は、PIによる合意形成、鉄道事業者との協議、高架事業の着手というスケジュールで平成三十年代半ばの完成を目指し東部地域の活性化に寄与したいと答弁をされました。鉄道高架の工事にはおおむね十五年程度かかると承知をしておりましたので、積極的な姿勢で目標に向けてあらゆる努力をしていく決意と受けとめました。
 その後、二年に及ぶPI委員会の議論の末、昨年十一月に四つの案が併記された報告書などが委員会から知事に提出をされました。当初二カ月かけて示された四つの案から一つに絞り込むための努力をされ、この二月の定例会で事業推進の判断、道筋が示されるものと期待をしておりましたが、一月二十九日の定例記者会見で知事は、七月の「プラサ ヴェルデ」のオープンまでに互いに譲り合っていい結論が出るよう職員には関係者に精力的に会ってもらい、私自身も環境整備をすると述べられました。鉄道高架の早期完成を待ち望む多くの県民に落胆の声が広がっております。
 これまで取り組んできたPIプロジェクト勉強会における共通認識では、事業の停滞が不幸を生んでいる現状に鑑み勉強会の話し合いや市民の意見を十分に踏まえ期限を設けて速やかに意思決定し、沼津市や鉄道事業者との協議を早急に開始すべきである。何も決まらない状態は最も避けるべきであると第一に答申されております。知事の決断までに一定の時間が必要なのは理解できますし知事自身がさまざまな御努力をされていることも十分承知をしております。知事の目標とする不幸を生まないことを十分理解した上で行政のトップとして、さまざまな手続に基づき進める事業についても必ず判断を下すときが来るであろうというように思います。
 本事業については、これまでも事業実施する地元に対して新貨物駅の造成事業の事業認可説明を百七回、高架本体、新車両基地、新貨物駅の整備事業の事業認可の説明会を五十四回開催するほか、沼津市の総合計画に位置づける際には有識者や地域住民を含めて検討をするなどこれまでも合意形成の努力を続けているところであります。ことしに入り知事は、貨物駅移転先の地権者を含む原地区の方々と二度面会されるなど本会議の提案の説明のとおり、本事業を進めるべく精力的に取り組んでいただいていることに対し、地元選出議員として感謝を申し上げる次第であります。
 そこで、知事は意思決定の時期についてどのように考えておられるのか伺うとともに、これまで示された事業の完成時期である平成三十年代半ばを目指し、あらゆる努力を尽くしていくことに変更はないのか明確に答弁をいただきたいと思います。以上について答弁を求めます。
○議長(中谷多加二君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 蓮池議員にお答えいたします。
 平成二十六年度当初予算編成についてであります。
 まず、財源不足解消に向けた取り組みですが、事業の効率化や重点化、補助金、職員給与の見直し、県庁舎等への有料広告の導入、未利用財産の売却、徹底した歳出のスリム化、また歳入の確保により百六十二億円余りの財源を捻出いたしました。今後とも新しい行財政改革大綱に基づき財源不足の解消を図ってまいります。
 公明党県議団の皆様方の御要望への対応につきましては、皆様方の御要望を真摯に受けとめ後期アクションプランを着実に推進する予算として編成したところであります。
 以下、御要望がございました六つの大きなテーマに沿って御説明申し上げます。
 要望テーマの一つ目の安全・安心社会に向けてでありますが、県民の生命財産を守るため県内全域で防潮提や水門の整備を進めるほか、プロジェクトTOUKAI―0におきまして耐震診断が義務化された大規模な建築物や天井の耐震改修の制度を拡充するなどの地震・津波対策アクションプログラム二〇一三を着実に推進してまいります。
 二つ目の御要望、健康長寿社会に向けてにつきましては、医師養成のための仮想の大学ふじのくにバーチャルメディカルカレッジを創設するほか、医療施設の整備を進め地域の医療体制の充実を図ります。また介護分野における人材の確保、定着を進めるために、大学等での学内就職ガイダンスの開催や介護職員の資質向上の取り組みを支援いたします。
 三つ目の御要望、夢あふれる社会に向けてにつきましては、待機児童の解消を図るため新たに小規模保育施設の設置を促進いたします。また助産師を活用した妊産婦への支援、子育て中の方の保育士資格取得を支援する取り組みの全市町への拡大など少子化対策を推進いたします。教育関係では、県立学校の整備や特別支援学校へのスクールバスの増車など教育環境の充実を図ります。
 四つ目の調和のとれた社会に向けてにつきましては、富士山を後世に継承するため利用者負担制度を本格導入いたしまして、適切な保存管理体制を構築します。また小水力発電の導入可能性を調査し、温泉熱発電の導入を支援するなどエネルギーの地産地消を進めてまいります。
 五つ目の御要望項目、活気あふれる社会に向けてにつきましては旧長泉高校跡地に地域企業の参入を支援する、また研究開発などの機能を集約するなどファルマバレープロジェクトの中核的な拠点施設を整備いたします。雇用対策に関しましては、健康産業を対象とした新しい雇用創造の取り組みを推進いたします。また障害のある方の就労を促進するため、福祉施設職員のスキルアップを支援するなど雇用率向上に向けた取り組みを強化してまいります。
 六つ目の要望項目、行財政改革への取り組みにつきましては、先ほども申し上げましたが徹底した歳出のスリム化と歳入の確保に取り組みました結果、平成二十七年度以降に活用可能な基金を二百五十二億円確保し将来にわたって安心な財政経営の堅持に努めたところであります。これらの取り組みを着実に実行し、県民幸福度の最大化に向けて全県を挙げて富国有徳の理想郷“ふじのくに”の早期実現を目指してまいります。
 次に、リニア中央新幹線の環境影響に関する今後の対応についてであります。
 リニア中央新幹線の工事は、期間が十年以上に及ぶことやこれまでにない大規模な土地改変を伴うことから自然環境や生活環境にさまざまな影響の生じるおそれがございます。このため工事及びトンネル等の構造物の存在が、南アルプスの貴重な自然環境や静岡市井川地区を初めとした地域の生活環境にいかなる影響を及ぼすのか。あるいはまた大井川流域全体の水環境に及ぼす影響はいかなるものか。これこれを正確に把握するとともに、JR東海による環境保全措置の詳細な説明とその効果をしっかり検証していく必要があります。
 そこで、私どもといたしましては工事中はもとより工事完了後におきましても、JR東海が実施する河川流量の観測や建設のときに発生する土砂。この発生土の処理に伴う動植物への影響などの調査結果につきまして継続した報告を要請いたします。それとともに、有識者や地域代表者等で構成する新たな環境監視体制を構築いたしまして、JR東海に対し環境保全措置の確実な実施を強く求めてまいります。さらに地権者など関係者にも御意見をいただくなど大規模工事に伴う環境に対する影響の軽減が図られるように、県を挙げて取り組んでまいります。
 次に、外国人観光客の誘致促進についてであります。
 観光は、議員御指摘のとおり、旅行業、宿泊業、輸送業、小売業など関係する裾野が非常に広い総合産業です。外国人観光客の誘致は経済波及効果が大きいことから、本県の成長戦略にとって欠くことのできない重点分野であります。二〇二〇年には日本へのインバウンドを二千万人に、二〇三〇年には三千万人という、そうした国の目標も出てきておりますので、本県は世界標準の富士山、あるいはジオパーク、南アルプス、浜名湖、農業遺産の茶草場農法等々まことに観光資源に恵まれておりますので、こうしたところは最大限に生かして観光客を誘致してまいりたいと思っております。
 現在策定中のふじのくに観光躍進基本計画におきましては、中国、韓国、台湾に加えまして、経済発展が著しく訪日旅行の需要が高い、タイを初めとした東南アジア諸国などターゲットを明確にした海外誘客を促進することとしております。インドもそのターゲットに入っています。ハリウッドならぬボリウッドというのがございまして、一旦ロケ地に選ばれますと、そこにはインド人の観光客がわんさと押し寄せるという傾向が既に見られておりますので、本県もそうしたロケ誘致に取り組みたいと思っております。
 また、具体的には世界遺産富士山などの恵まれた観光資源を活用したプロモーションによりまして市場の開拓を進めるとともに、個人観光客の誘致、リピーターの確保、訪日教育旅行、企業のインセンティブ旅行等々、これの誘致に取り組んでまいります。また国際イベントやスポーツ大会、姉妹都市提携などを通じまして海外との交流を深めている市町がございます。これらと広域で連携し効果的にプロモーション活動ができますように、県の海外駐在員事務所が支援活動をいたします。真の魅力を活用した観光地づくり、ターゲットを明確にした誘客促進、おもてなし日本一の基盤づくりという本県の観光振興の基本的な三大取り組み方針を市町また関係機関などと共有いたしまして、それぞれの強みを生かしながら、外国人観光客の誘致を促進することで交流人口の増大と経済の活性化につなげてまいります。
 次に、県の試験研究機関の研究方針についてであります。
 本県の試験研究機関では静岡酵母、あるいは「誉富士」など大きな成果を上げております。「紅ほっぺ」の開発も成功した事例であります。「紅ほっぺ」につきましては、最近では静岡十五号というスーパー紅ほっぺとも言うべきものが開発されまして、この間の農芸品フェアでも試食をする機会に恵まれましたけれども、まことに「紅ほっぺ」よりもさらに甘みまた美しさが増しておりまして、これはどのような名前がつくのか楽しみでございます。またさらにカツオのすり身。これは未利用の部分なわけでありますけれども、これを活用いたしましてカツオ角煮とかカツオかりんとうというのが製品化されまして、なんとその売り上げが二億円以上というそういう成果も生んでいるわけでございます。
 現在、試験研究機関におきましては、成長分野が電気自動車でございますので、それにかかわる部品加工技術の高度化を図ろうと。あるいは医療実験用の極小ミニブタの実用化の研究に取り組んでおりまして、本県産業の成長を支える研究開発と技術支援に精を出しているというところであります。
 今後につきましては、県内産業のより一層の成長を推し進めるために農業や工業といった分野にとらわれない総合的な研究や大学、企業等との連携による事業化につながる研究、これまでの研究成果やノウハウを積極的に提供することによって事業者等に技術を支援してもらえるといった形で重点的な取り組みを進めたいと存じます。
 この方針のもとで来年度は、工業、農林、水産、畜産の四研究所が連携し、食品廃棄物を工場内で自家処理できる小型で低価格のメタン発酵プラントの開発に取り組んでまいりたいと。これは現在磐田並びに静岡市の清水地区で実際にその現場を見せていただく機会もございましたけれども、大変有望であるというふうに考えております。
 また、森林・林業研究センターでは、静岡大学や森林組合、地元企業等との共同研究によりまして県産材の耐久性を高める研究を進めてまいります。
 事業者等への技術支援につきましては、各研究所に大学並びに産業支援機関と連携した総合支援窓口というのを新たに設けまして、事業者等の相談に対応するほか研究員みずからが現場に赴きまして、潜在的な課題を現場で掘り起こすと。そして研究につなげるというそういう取り組みを進めてまいります。
 今後とも、県の試験研究機関は、県内産業を牽引する研究開発や技術支援の拠点として本県経済のより一層の発展を支えてまいります。
 次に、沼津駅付近鉄道高架事業についてであります。
 御心配をおかけしておりますけれども、県では平成二十三年十一月に専門家による沼津駅付近鉄道高架事業に関するPI委員会を設置し、約二年間にわたり市民参加型の計画策定手法であるPI方式を導入して合意形成を図る取り組みを進めてまいりました。これが議員が御説明いただきました説明会とどう違うかと。説明会は、我々当局のほうが事業をするほうが説明を申し上げると。この回数は何十回にわたっているというのはよく承知しております。PIというのは、それぞれ利害が対立するあるいは同じくする人たちも含めて一堂に会しまして、頭を突き合わせながら議論をするというものでございます。PI委員会自体は十二回開催されたわけでございますが、勉強会が現地視察を含めて十八回、オープンハウス二十七回、車座談義四十九回、延べ団体数五十八団体にも及んでいるわけでございます。このPIを通じまして立場を超えながら勉強会の参加者の方々の間で共通認識が得られたことは大きな前進でございまして、これを尊重して取り組むことと今しているところであります。
 ただ、PIの取り組みでいわば文字通り関係者というべき沼津市とJR貨物、鉄道事業者が御参加いただけなかったというのはまことに残念なことでございまして、それが大きな理由になって一つの推進案に絞ることができなかったということがあります。したがってそのPIが終了いたしまして早速沼津市、JR貨物、またJR東海にも積極的に働きをいたしまして話し合いに応じていただける環境が整いました。そして現在さまざまな協議を行っております。さらに地域の方々も含めた関係者との個別な話し合いも進めておりまして、できる限り早い時期に方向性が示せるようにというふうに私自身も誠心誠意取り組んでいるところでございます。
 一旦事業が決まりますれば、その完成年次、目標時期を目指すことがはっきり明示することができるということでございます。その工事に入る前にその工事に入ることそれ自体を命がけで反対するというような人があってはならないということで、そうした根本的な心の時間をしっかり踏みまして、そしてその上で事業に入るということで私はその心合わせがどれぐらいできるのかということがポイントだと思っております。そして昨年暮れにPI委員会からの報告書を賜りまして、そのPI委員会のお膳立てをした四人の県職員がいます。固有名詞がはっきりしてどなたにも皆知られている方でございますが、これらの職員が誠心誠意、一、二カ月最後の詰めをしてくれました。それを踏まえながら今私自身が、いわば五人組として働いているところであります。
 大事なことは互いの信頼が今できつつあるということで、この信頼に基づいて原町とそれから沼津の商店街、駅周辺の方々。そしてもちろんJR貨物ほか関係者、全ての人が譲り合いながらも、しかしこれで受け入れるというところにまで持っていけると確信しています。そしてその時期をやはり明示するというか皆様方も考えていただく必要があるので、時間は人生と一緒で限られているということでございます。できれば静岡県、西・中・東に分かれておりますが、それぞれアクトシティあるいはグランシップなどと匹敵する「プラサ ヴェルデ」がグランドオープンするのが七月です。そのお祝いをみんなでできるようにするために最大の懸案事項でございます、この高架事業というものについて一定の共通認識を持ちたいというそのような覚悟を持って今臨んでいるところでございます。一旦この工事に入るということになりますれば前倒しを念頭に置きつつ、完成目標時期を明示して最大限の努力をするという段取りになると考えております。以上でございます。
○議長(中谷多加二君) 土屋経営管理部長。
       (経営管理部長 土屋優行君登壇)
○経営管理部長(土屋優行君) 行財政計画の取り組みについてのうち、公会計改革についてお答えいたします。
 本県では、平成十九年度決算から財務諸表を作成、公表しております。さらに平成二十一年度決算からは他の多くの団体が導入する決算統計活用型の総務省方式改訂モデルから、個々の取り引き情報をもとに複式記帳により作成する基準モデルに移行しより精緻なものとなっております。
 議員から御提案のありました事業別の財務諸表につきましては、大阪府が施策単位で財務諸表を公表している事例がありますけれども、全国的に見ますと導入が進んでおりません。導入に当たっては、適切な事業の分類、分析手法、評価方法など検討課題が多いものと考えております。
 なお、職員が常にコスト意識を持って日々の業務に取り組むことは、議員御指摘のとおり大変重要なことでございますので、業務と財務諸表の関連などについて理解を深めるための研修会を先進事例の紹介など内容を充実させて開催し、職員の意識づけを図ってまいります。
 また、資産の老朽化への対応につきましては、公会計が保有しております資産台帳などのデータを活用し、昨年度将来における公共施設の建てかえや大規模改修にかかる費用を推計いたしました。今後ファシリティマネジメントに基づく取り組みを加速していく上での基礎資料として一層活用してまいりたいと思ってございます。
 なお、現在国が設置する研究会で行われております検討は、本県が導入しております基準モデルをベースとするものと考えておりますけれども、この結果も踏まえ財務諸表がより一層の行財政運営の健全化、効率化のツールの一つとなるよう活用を図ってまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 池谷静岡県理事。
       (静岡県理事 池谷 廣君登壇)
○静岡県理事(池谷 廣君) 行財政改革の取り組みについてのうち、社会保障・税番号制度への対応についてお答えいたします。
 社会保障・税番号制度については、現在国において制度導入に伴う政省令の整備やシステム仕様の決定の作業などを行っております。これを受けて県、市町では、それぞれの情報システム改修のための設計、開発、テストまでの準備を平成二十九年七月までに終えることが求められております。懸念されるシステム移行に伴う費用は、国が財政支援すると聞いておりますがシステム改修やセキュリティー、個人情報保護対策など短期間に行わなければならないなどさまざまな課題があります。
 このため、県では昨年七月社会保障・税番号制度導入に関する庁内連絡会を設置し、情報共有や税、福祉、法規など各担当分野での着実な対応を進めるとともに、市町に対しましては説明会などを開催し円滑な制度導入の準備を進めております。
 今後、システム移行作業が本格化いたしますが市町の進捗管理の徹底を図るとともに、サポートが必要な市町に対してはCIOアドバイザーなどを派遣し助言を行うなど遅滞なく作業が進捗するように引き続き市町の支援に努めてまいります。
 次に、自治体クラウドについてであります。
 県では、平成二十三年度に自治体クラウド検討会を設置し、勉強会の開催など県内市町への自治体クラウドの導入を働きかけてまいりました。一方県が昨年実施した調査によりますと多くの市町の情報部門では、職員の不足や専門的な知識の不足などによりシステムの構築、運用が事業者任せであり、情報の管理や活用が十分になされていないことが明らかとなりました。マイナンバー制度の導入は全国共通の情報連携システムの整備であることから、自治体クラウド導入の絶好の機会であります。またマイナンバー制度の運用に当たっては、これまで以上に的確な情報の管理や活用が求められますが、クラウドの導入による効率化で生み出された人的資源をより高度な情報管理、活用業務に充てることも可能となります。このため現在策定中の新たな情報分野の計画である新ふじのくにICT戦略でも自治体クラウドの推進を主要な取り組みに位置づけ、CIOアドバイザーの活用などによる導入支援の強化や行政経営研究会での具体的な検討を進めてまいります。さらに情報管理、活用の重要性の啓発などクラウド導入による情報統治の確立を市町と連携して推進してまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 小川危機管理監。
       (危機管理監 小川英雄君登壇)
○危機管理監(小川英雄君) 危機管理体制の強化についてお答えをいたします。
 今月中旬の大雪に対しまして県では十四日から事前配備体制をとり、十六日には災害対策本部を設置いたしました。このとき庁舎の受変電設備の年に一度の大規模な法定点検と重なりましたが、災害対応の根幹となります機能は代替電源での確保が可能であるという判断をいたしましたことから、非常用の電源を稼働した状況での災害対応といたしました。
 今回の対応におきまして、県の本部と支部あるいは市町との連絡、被害情報の収集、県民への呼びかけなど県の対策本部の機能は確保しておりましたが、ホームページ上に道路規制の詳細な情報が掲載できず電話での照会対応となり、結果的に御不便をおかけしたところでございます。今回の反省から早速、県全体で代替電源に関する支障の事例とその対応の検証を進めているところでございます。また重大な事態に進展する可能性がある場合には、点検方法を見直すなどの柔軟な措置を今後とってまいります。
 情報の収集・発信につきましては、県の防災情報システムでございますFUJISANシステムがございますが、それを活用しまして県や市町の職員が現場から位置情報を伴う詳細な画像を直接入力できるという体制にございますので、訓練を通じて今後習熟を図ってまいります。
 政令市を含む市町との連携強化につきましては、かねてより市町と協同した防災訓練の実施などによりまして連携体制の強化を図っておりますが、今年度から危機管理指導監を設置いたしまして平時から市町の防災体制の確認や図上訓練の指導などを行っております。
 県といたしましては、市町との協同による訓練を繰り返し行うなどさらなる連携強化に努めてまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 三十番 蓮池章平君。
       (三十番 蓮池章平君登壇)
○三十番(蓮池章平君) それでは、ただいまの答弁について自治体クラウドそれから沼津駅付近鉄道高架事業について再質問をいたします。
 まず、自治体クラウドについてでありますけれども、ここ数日県内の市町で国保料の算定の誤りが報道されております。三島、伊豆、伊豆の国のケース。これは恐らく番号制度が導入をされれば解決する方向ではないかというふうに思いますが、一方焼津の国保料の算定ミスというのは、これもベンダーのプログラムが不完全と。こういったことによって職員みずからが情報管理ができていなかった。こういう結果であると思いますね。この問題を解決しない限り同じことが繰り返される可能性があるわけですね。マイナンバー制度が今度導入され、これは成長し続けていく制度だとこういうふうに言われておりますので、今後の改修経費の積み重ねはかなり膨大になるというふうに思います。
 各自治体が限られた財源の中で先ほど答弁された、このいろんな市町との連携推進ということですが、今準備をされているこのシステムサポート体制というのは、こういった限られた財源の中でしっかりと対応できるそういうシステムに県やまた市町がなっているのかどうか。その点を確認をさせていただきたいと思います。
 それから、鉄道高架の事業についてでありますが、先ほど知事からできるだけ早い時期に方向性を示せるように、そしてできれば七月に皆でお祝いができる共通認識を持ちたいと、こういうお言葉をいただきました。地元では知事やまた県の職員の努力に本当に今期待を高めております。もちろん知事や県の職員だけじゃなくて私自身もできる限りのことはしておりますし、これからもする決意でございますが。最終的にはいつかの時点で決断をしなければいけないと。そういう意味では一日も早く知事の決断を期待するものでありますが、最終的に知事が決断をされるという認識でいいかどうか、その点を再度確認をさせていただきたいと思います。以上について答弁を求めます。
○議長(中谷多加二君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 沼津駅の高架についての再質問にお答えいたします。はい、私が決断をする主体でございます。そのような覚悟と責任を持っているということを申し上げたく存じます。
 前例になるかどうかわかりませんけれども、いろいろなこういう公共事業におきましては、地権者との難しい問題というのが生じます。例えば富士川の新しい橋をつけるにつきましても、大変難しい膠着状態になった事態がありました。そのときには貴会派の早川先生にお骨折りを賜りまして、地権者の方とお話をすることを通して一気に解決ができたことがありました。
 あるいは空港に関しましても、一生かけて反対をするという方がいらっしゃいましたけれども、これはふじのくに県議団の四本先生のお骨折りによりまして地権者とお目にかかり、腹を割って信頼関係ができまして、今はそういうことは全く問題にならなくなりました。
 ですから一番の根っこにある問題、これは心の問題ですから。また自分だけではなくて自分の子孫であるとかあるいは先祖であるとかそうしたことを負って人は生きておりますので、そこのところをよく酌んで、そして我々は全く利害関係を持っておりません。全体の公益をいかに上げるかということだけが基本的な姿勢でございますので、その姿勢にのっとって公益が上がるということをお示し申し上げながら、垣根を低くして原町、沼津、全体沼津市の公益を上げていくと。そのためには、公金が十分に投入されても皆が納得するというふうにしていこうと思っておりまして、私はその責任を負っているということを重ねて申し上げ、一応この夏というところにこの暑い夏のところまでに何とか持っていきたいという思いを強くしております。以上でございます。
○議長(中谷多加二君) 池谷静岡県理事。
○静岡県理事(池谷 廣君) 自治体クラウドの関係についてお答えいたします。
 今焼津のお話が出ましたけれども、こちらの場合には例えば八人という情報関係の職員で対応しているということで、それでもまだ多いほうかなと。といいますのは町レベルになれば本当に五人以下の形で対応しているということで、そういう意味では非常に情報関係のスタッフが足りないというのがございます。そうした中では委員お話のクラウドを使うことによって、そこを強化していくということは非常に重要だと思っております。一方そのクラウド化に関しましては、国の制度を導入することにつきましては、基本的には国のほうの財政支援がございます。ただそれと合わせてナンバー制度の導入はいいんですけどクラウドまでというときになると、そこについてはまた財源、別の話になりますので、そうした問題が大きく出てくることが可能性として考えられます。
 ただ、現状ではまず今、市町の状況としましては、まず国のほうのマイナンバー制度導入に伴う作業が若干おくれておりまして、その短期間に対応することにある意味では手いっぱいということで、その先までまだ考えが及んでいないというような状況もございます。
 ですので引き続き、きちっと国のほうの情報をとりながら、市町のほうに対応のほうを示しながら、その中で必要な声がいろんな形で上がってくれば、それを迅速に対応していくという形で対応していきたいと思っております。以上でございます。
○議長(中谷多加二君) 三十番 蓮池章平君。
       (三十番 蓮池章平君登壇)
○三十番(蓮池章平君) ぜひ鉄道高架につきましては力を合わせて課題解決、問題解決に努力をしてもらいたいと思いますが、よろしくお願いします。
 それでは、次の質問に移ります。
 まず、動物愛護の取り組みについて伺います。
 動物愛護管理法に基づく動物愛護管理推進計画の見直しに係る来年度からおおむね十年間の数値目標が大きく見直されました。飼い主責任の徹底による犬・猫の殺処分頭数の半減や人と動物の安全と健康を確保するために、駆除件数を三分の二へ減少。登録ボランティアや動物愛護推進委員の増加による地域活動の充実などの見直しが行われました。
 これまでも、公明党として殺処分頭数ゼロの取り組みを求めてきたところでありますが、今回の見直しにおいても平成二十九年度六千頭の殺処分頭数を平成三十五年には二千五百頭へと大きく目標数値が見直されましたが、依然としてゼロの目標にはほど遠い状況でございます。
 特に、静岡市には市の動物指導センターが、浜松市には県の動物管理指導センターがあるものの、県東部には同様の施設がありません。一月末に沼津市が伊藤忠商事から寄附を受けた西浦の地に公益財団法人が人と動物の未来センターを開設する方向で準備が進み、沼津市の開発審査会において開発計画が承認されたところです。同センターは、何らかの事情で飼うことが困難になった行き場のない犬・猫を引き取り健康チェックを行った後、一定期間飼育し、しつけ、教育ができた犬・猫を新しい飼い主に譲渡するとともに、あわせて獣医師、動物看護師の研修、教育の場として実習を行う場所に位置づけられております。
 そこで、民間施設との協働により県東部から殺処分ゼロに取り組んではどうかと伺うとともに、あわせて平成二十四年十二月の公明党、田県議の代表質問で指摘した災害時における動物の適正管理について、関係団体との計画の見直し作業を行った結果どのような救護体制の整備を行うのかあわせて伺います。
 次に、発達障害の支援について伺います。
 初めに呼称の変更と細かな対応についてであります。二〇〇二年文部科学省による全国調査により個別の教育的ニーズのある児童生徒が通常学級に六・三%在籍をするという数字が示され、特別支援教育が始まりました。二〇〇五年の発達障害者支援法の施行に伴い知的なおくれのない発達障害の存在が公認され、高機能広汎性発達障害を初め注意欠陥多動性障害、学習障害などいわゆる軽度発達障害が発達障害と公認され、福祉や特別支援教育の対象となることが明示をされました。これまでの精神遅滞、視覚・聴覚障害、肢体不自由などの固定障害への対応と異なり、必要なのは将来の障害の顕在化予防、障害の軽減であります。
 浜松医大の杉山登志郎教授によれば、軽度発達障害において典型的に認められる認知のでこぼこは、アインシュタインやビル・ゲイツを持ち出すまでもなく決してマイナスとは限らない。従来言われる発達障害とは、発達でこぼこに適応障害が加わった場合である。こういうふうに言われております。こう規定すれば発達でこぼこの療育は、将来における発達障害への移行を減らすという極めて明確な目標設定ができるわけであります。発達でこぼこの早期発見、早期適応による不適応の軽減、家族への支援など個に応じた細やかな対応を行うことにより社会への適応力が向上し社会貢献できる個性豊かな人材へと育っていく可能性が広がります。
 そこで、まず発達でこぼこと呼称変更し、でこぼこの段階と適応障害が加わった発達障害の支援を分けて細かく対応することが必要と考えます。県の総合計画の中にも発達障害者の支援の充実として、一くくりの対応のように思われます。よりきめ細やかな支援こそ必要と考えますが県の所見を伺います。
 次に、県東部における発達障害者支援センターの整備について伺います。
 県東部において発達障害に関する医療、療育支援等の対応がおくれており、保健、教育、障害福祉の現場ではその支援に苦慮している現状にあります。東部地域には、医療と療育が一体となった専門施設がなく障害のある子供を持つ保護者からは、一日も早く医療的な診断と療育、相談ができる医療、療育施設の設置を望んでおられます。
 このような要望に応えるためにも一刻も早い施設整備が望まれますが、一方施設整備に至る準備に時間がかかることも理解できますので、例えば既存の医療施設などを活用して専門クリニックを先行して開設する方法もあるのではないかと考えております。その際入院が必要な子供に対応するため、こども病院との連携も必要ではないかと考えます。
 毎日子供と向き合い子供の成長を祈る保護者や関係者の切なる願いを受けとめていただき問題解決の歩みを一歩でも前進させる県の姿勢を示すことが、県東部の皆様の安心を広げることにつながります。県の所見を伺います。
 次に、老朽インフラの総点検について伺います。
 政府は来年度、道路や橋、公共施設などの社会資本の老朽化に対応するための計画策定を地方自治体に求めることを決定いたしました。計画は全てのインフラを対象に一つ、長寿命化を図るための補修などの維持管理策、二つは更新が必要になる時期と費用、三つ目は建てかえや廃止、統廃合などの方向性を含むとしています。一昨年の十二月の中央自動車道笹子トンネルでの天井板崩落事故を契機として老朽インフラ問題に関心が高まる中、南海トラフの巨大地震や東海地震の発生が想定される本県においては、インフラは命を守り命を救うための道路、橋であり港湾施設という位置づけであるというふうに考えております。
 本県も長寿命化計画を策定し、橋梁を中心として点検、維持、修繕を行っておりますが、笹子トンネルの事故を見ても目視を中心とした点検調査だけでは、老朽化や損傷の程度を確認することは困難な状況もあります。特に道路や港湾施設の路面下の空洞化による陥没は、埋設された下水道管などのライフラインの老朽化による破損や老朽化した護岸から水位の変動による内部の土砂の流出や大規模地震などによって起こるとされております。
 東日本大震災の後、仙台市内の幹線道路では、地震の揺れと繰り返し続く余震の影響などで約百メートルの大規模な路面の陥没が発生し、道路の大渋滞や沿道の市立病院へ出入りができなくなり、救急医療体制に大きな支障が発生をいたしました。社会基盤の老朽化が進む中で表面的には損傷のない箇所においても老朽化の危険は高まっており、一たび道路や港湾施設に陥没事故が発生すれば人命にかかわる事態となり、救急活動や経済活動に大きな影響が出ることは必至であります。日常の点検では異常を発見することが困難な箇所についても、しっかりとした点検と点検結果に基づく早急な対策が必要であります。
 そこで、県が管理する道路や港湾施設における路面下の空洞点検と対策について、どのように取り組んでいくのか伺います。以上について答弁を求めます。
○議長(中谷多加二君) 宮城島健康福祉部長。
○健康福祉部長(宮城島好史君) 動物愛護の取り組みについてお答えいたします。
 静岡県動物愛護管理推進計画では、取り組み方針の一つとして地域活動の充実を掲げ、この担い手であるボランティアの育成や活動支援に取り組んだ結果、現在伊豆、東部地区には約百五十グループ、六百人を超える動物愛護ボランティアの方々が登録、活動されております。
 このような状況の中、民間による人と動物の未来センターの建設が計画されていることは、県、市町、動物愛護ボランティアとの間に動物愛護の新たなネットワークが構築され、東部地域における動物愛護思想の広がりとさらなる殺処分の低減につながると期待されます。
 県といたしましても、このセンターの主な事業である引き取った犬・猫の新しい飼い主探しについて社会化訓練等の技術的な支援をするとともに、関係団体と連携を図りながら取り組み、推進計画における数値目標等の早期達成を目指してまいります。
 また、災害時における動物の適正管理につきましては、現在見直し中の推進計画に救護体制の整備を位置づけることとし関係部局や関係団体と具体的取り組み内容について協議をしておりますが、飼い主と動物との同行避難、避難時の飼養管理、放浪動物の救護等、多くの課題が出ております。
 県といたしましては、市町、ボランティア、民間事業者等の連携協力のもと地域ごとの収容場所の確保、収容場所での飼養や管理サポート体制の確立など県全域における被災動物の収容活動体制の構築を図ってまいります。
 次に、発達障害の支援についてのうち、呼称の変更と細やかな対応についてであります。
 議員御指摘のとおり、発達障害の支援に当たっては発達の状態の早期把握、早期対応は大変重要であります。このため県では乳幼児健診に携わる医師や保健師を対象とした発達障害に関する研修の実施により早期発見の促進を図るほか、保育士等を対象とした発達障害の特性や支援方法を学ぶ人材養成講座の開催や専門家による療育施設への訪問指導などを行い、地域において療育がきめ細かく実施できるよう支援しております。
 さらに、発達障害の中にもさまざまな障害特性がありますことから、県発達障害者支援センターにおいて一人一人の特性に応じた支援方針を作成した上で地域の支援機関や学校につなげるなど引き続き適切な対応に努めてまいります。
 なお、呼称については発達の状態を的確に表現し、当事者の皆様にとってマイナスとならないことが大切でありますことから、県といたしましては当事者、御家族の皆様、保健、福祉、教育など関係機関の御意見を伺いながら研究してまいりたいと考えております。
 次に、県東部における発達障害者支援センターの整備についてであります。
 県では、これまで東部地域において平成二十四年四月に発達障害者支援センター東部を開設するとともに、本年度四月からは発達障害者支援コーディネーターを二名から四名に倍増するなど相談支援体制を強化してまいりました。さらに親の会から御要望があった身近な地域で通える療育施設の設置を市町などに働きかけた結果、昨年四月の三島市に続き本年四月は裾野市で民間法人が施設を開所するところであり、また伊豆の国市では計画が進むなど着実に療育環境が整備されつつあります。
 医療体制につきましては、浜松医科大学での寄附講座を延長することにより児童精神に係る専門医の養成を支援するとともに、議員御提案の既存施設の活用についても地域の関係機関と協議しながら検討してまいります。
 県といたしましては、東部地域の医療、療育、相談機関が一体となって発達障害のある人を支援する体制の確立に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 長島交通基盤部長。
○交通基盤部長(長島郁夫君) 老朽インフラの総点検についてお答えいたします。
 本県では、道路については静岡県道路パトロール実施要領に基づき毎月三回以上、全路線の道路パトロールを実施しており、路面の破損、変状を把握し必要に応じ補修を行っております。また岸壁等の港湾施設については、静岡県港湾及び漁港パトロール実施要項に基づき毎月一回以上のパトロールを実施しており、道路と同様な対応を行っております。
 路面や岸壁等の表面に変状があらわれない空洞の調査については、精度や経費の面で課題があるため国などにおいて調査手法の研究が進められているところであります。このため県では、道路台帳等を利用して横断暗渠など比較的大きな埋設部が存在する箇所について、重点的にパトロールを実施することにより路面等の陥没の未然防止を図っていきたいと考えております。
 県といたしましては、引き続き国等の研究状況を注視しながら老朽化した道路や港湾などのインフラについて社会資本施設長寿命化行動方針に基づき効率的で経済的な点検、補修を実施し、県民の皆様の安全・安心の確保に努めてまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 三十番 蓮池章平君。
       (三十番 蓮池章平君登壇)
○三十番(蓮池章平君) ただいまの答弁について、老朽インフラの総点検について再質問をいたします。
 今、道路のパトロールというふうに言われておりましたが、二〇一一年に全国で約四千七百カ所、下水管の原因で道路陥没が発生をしていると。例えば東京都では、防災計画にこの空洞調査というのを盛り込んで確実に緊急輸送路がきちっと使えるよう方針を決めているわけですね。やはり本県においては東海地震、南海トラフの巨大地震、こういったことが想定されるわけですから、いざというときに緊急道路が使えないまたは港湾施設が使えない。これはやっぱり命が救えないと。こういうことにもつながりますので、まずはきちっと防災計画にこういったものを位置づける。ここからスタートしてはどうかと思いますが、その点はいかがでしょうか。以上について答弁を求めます。
○議長(中谷多加二君) 長島交通基盤部長。
○交通基盤部長(長島郁夫君) 老朽インフラの総点検についての再質問に対してお答えいたします。
 この空洞の点検につきましては、道路ストックの総点検要領の中で国から示された要領の中で点検として位置づけはあるんですけれども、路面の下の空洞点検については一番問題になっているのは、非常にコストが高いということでございます。もしそれをやるとすると本当に十億円規模のお金が、年に一遍やるとするとそれくらいの金額がかかってしまうということでございます。
 そのようなことから今、県といたしましては、もう少しコストが安くなるような、また精度もしっかり上がるような国の研究、今現在国が研究を進めているものですから、それらの動向を注視しながら、また当然その緊急輸送路については、しっかり先ほど申しましたけれども、横断構造物、こういう構造物がどこに入っているかということにつきましては、道路台帳にもちろん記載がしてございますので、そういうもし陥没したときに大きな影響が出るところについては、重点的にパトロールをすることによって対応していきたいと考えております。以上でございます。
○議長(中谷多加二君) 三十番 蓮池章平君。
       (三十番 蓮池章平君登壇)
○三十番(蓮池章平君) それでは最後の質問に移ります。
 まず、学校におけるアレルギー対策についてであります。
 平成十九年度に文部科学省が発表したアレルギー疾患に関する調査研究報告書によると全国公立学校の児童生徒の約二・六%が食物アレルギーの有病者という結果を受け、文部科学省では学校におけるアレルギー疾患対策を示しました。これは一学級四十人なら一クラスに一人いる計算になります。平成二十四年十二月に東京都調布市で学校給食後に食物アレルギーによるアナフィラキシーショックの疑いにより児童が亡くなる事故が発生をいたしました。昨年七月この事故を受けて再発防止策を検討してきた文部科学省の有識者会議の中間報告によれば、食物アレルギー事故は全国どこの学校でも起こり得るとして教職員はもとより学校全体で対応することの重要性を指摘しております。
 既に全校配布しているアレルギー対応のガイドラインの活用の徹底を初め、各学校の状況に合わせたマニュアルづくりの促進や校長などの管理職のほか一般教諭、栄養教諭、養護教諭など職種に応じた研修の必要性を訴えております。食物アレルギーの重篤な症状であるアナフィラキシーショックが出た場合、教職員が症状を緩和する自己注射、エピペンを適切に使用できる訓練や日ごろから消防署との間で情報共有を行うなどの連携が重要と指摘をしております。しかし学校現場の教職員には、ガイドラインが十分に徹底、活用されていないなど地域や学校によって取り組みにばらつきがあるのが現状であります。
 既に全国では、先進的に取り組んでいる地域や学校があり、それらの事例を早急に研究し取り入れながら本県の対策に生かすべきと考えます。本県の学校におけるアレルギー対策についてどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、多様な能力に応えられる教育のあり方について伺います。
 高校における飛び級制度の導入に知事は言及をされており、来年度予算案の中にも高大連携推進事業費五八〇万円などが計上されております。西欧諸国における飛び級制度については知られておりますが、天才児――ギフテッドと呼ばせていただきますが与えられた者。このギフテッドのための特別支援教育が広い領域を扱っていることはあまり知られておりません。アメリカでは、約二百万人の天才児――ギフテッドが特別支援教育プログラムを受けており、その数は学習障害の特別支援教育に次いで二番目に大きなグループであります。天才児――ギフテッドになぜ特別支援教育が必要なのか。それは、著しい才能のでこぼこを持つ者にとって集団教育の場での適応が難しい側面を持っているからであります。
 私は、飛び級制度の議論にとどまらず多様な能力を持つ児童生徒の教育を根本的に見直し、県独自の教育システムを発想してはどうかと提案するものであります。天才児の特別支援教育に百年の歴史を持つアメリカにおいても紆余曲折がありました。一部の者への特別な教育は差別的であるとの批判からプログラムが一時廃止、縮小されていきました。ギフテッド教育にかかわってきた研究者、専門家は、それまでの蓄積を全ての子供の才能を伸ばすための教育方法へ生かしていく方向へと大きくかじを切り、連邦政府として全ての子供がその潜在可能性を開花することを目指す方向性が確立された歴史があります。
 ギフテッド教育の特徴は、学年で規定されている内容より先取りして学ぶ早期履修と特定の学習内容を枠にとらわれず広く深く学習する強化履修の二つの基本から構成されております。日本の教育システムにそのままアメリカのシステムを導入することは難しいと思いますが、比較的現在日本の教育システムになじみやすい全校強化履修モデルなどを参考に子供たちの多様な才能や興味に応えられるシステムを目指すことが必要ではないかというふうに考えております。
 現在の特別支援学級は、在籍する子供たちが通常の学級の子供たちに追いつくためにつくられたのではなく、個性的な能力の発達形態を持つ子供の集まりであり、それぞれのニーズに合わせた教育が必要とされております。また県内には特別支援学級が設置されていない学校も数多くあり、普通学級の対応も課題となっております。それらの児童生徒に対する体制の整備と教員の専門性の向上が求められております。
 多様な能力を持つ子供たちに対応するために足りないところを補うだけではなく、長所を伸ばしていくことが大事であり、学校教育という集団の中で個別のニーズに対応していくことが重要であります。今後の教育を考える上で多様な能力に応えていくという視点も必要であると考えますが、教育長の所見を伺います。
 最後に、警察の総合力の強化について警察本部長に伺います。
 私は、平成十八年のこの本会議で平成二十五年まで団塊の世代が大量に退職し、警察官の約四割が入れかわり捜査力の低下が懸念されると指摘をいたしました。当時警察本部長からは、ベテラン捜査員の捜査技術などを確実に伝承し次代を担う捜査員を育成することは、重要な課題として技能指導官制度による高度の専門技能、知識の次世代への確実な伝承、現場においてベテランと若手の日常的な同行指導、豊富な経験を持つ交番相談員や生活安全相談員の増員による若手警察官への貴重な教えの伝承などに取り組み、捜査力をさらに充実強化して治安の回復を図るとの答弁をいただきました。
 平成十八年の刑法犯の認知件数は五万二百二十一件に対し平成二十五年は、二万九千三百九十六件と二万八百二十五件、約四〇%の減少と、その取り組みは着実な成果へと結びついていることに敬意を表するところであります。
 一方、最近の犯罪は組織化、国際化、広域化の傾向にあり、高齢者を狙う詐欺事件やドメスティックバイオレンスや家庭内の虐待事件はますます増加の傾向にあります。身近な犯罪を少しでも早く対応、解決を望む声が多い事案においては、振り込め詐欺から高齢者を守る取り組みとして静岡県初の、金融機関と連携して預金小切手による多額の引き出しに対応する取り組みなど先進的に取り組んでいただいておりますが、根本的な解決には至っていないのが現状であります。
 また、来日外国人犯罪やサイバー犯罪に対する捜査技能の向上など新たな側面での対応が求められており、警察の総合力の強化が望まれます。家庭内における虐待やDVなどは、警察署内や他県警察との連携が課題となっており、深刻な相談に一刻も早くかつ丁寧な対応が求められております。
 そこで、ますます多様化、複雑化する犯罪や相談に対して、迅速丁寧な対応も含めて警察の総合力の強化にどのように取り組んでいかれるのか伺います。以上について答弁を求めます。
○議長(中谷多加二君) 安倍教育長。
○教育長(安倍 徹君) 学校におけるアレルギー対策についてお答えをいたします。
 本年度の食物アレルギー疾患に関する本県の調査では、政令市を含めた公立学校で配慮、管理が必要な児童生徒数は四千八百十六人。またアナフィラキシー発症時に使用する自己注射が処方される人数は三百四十八人であり、対象人数は年々ふえ、食物アレルギー対策の重要性は増しているところであります。
 各学校においては、平成二十二年度からアレルギーを有する児童生徒の症状を正しく把握するために主治医が記載した学校生活管理指導表を活用し、学校、保護者、校医が連携して個別のアレルギー対応計画を作成するなど全教職員で組織的に取り組む体制づくりに努めております。
 また、学校給食においては、保護者にもアレルギー物質が確認できるよう食材を明記した献立表の作成、除去食・代替食の用意や弁当の持参など児童生徒、個々の症状や各給食施設の実情に応じた対応を行っております。
 県教育委員会においては、学校生活管理指導表をより正しく活用するためのQ&Aを作成、周知したり、アナフィラキシー発症時に適切な対応を行うため全国の状況を踏まえた調査研究報告書を提示するなど情報提供に努めているところであります。
 今後は、アレルギー対応のガイドラインを十分活用するよう各学校に指導するとともに、養護教諭や栄養教諭等を対象にした研修会等を実施し緊急時の自己注射の正しい使用方法の習得など関係機関と連携しながら、食物アレルギー事故の未然防止に一層努めてまいります。
 次に、多様な能力に応えられる教育のあり方についてであります。
 議員御指摘のとおり、子供たちの多様な才能や興味に応えられる教育を目指すことは重要なことと受けとめております。特別な支援が必要な子供につきましては、個別の指導計画を作成し一人一人のニーズに応じた教育活動を行っております。
 また、すぐれた能力に応える取り組みとしましては、今年度県内から科学分野に秀でた能力を持つ中学生を選抜し静岡県チームを編成して科学の甲子園ジュニア全国大会に出場したところ、数学の実技部門で第一位に輝くことができました。来年度からは県予選会を新たに開催することで科学好きの中学生の裾野を広げるとともに、子供のすぐれた能力を伸ばすため科学教育のさらなる推進を図ってまいります。
 さらに、志の高い高校生の能力を一層伸長するため、大学レベルの研究に触れさせ国際科学オリンピック等への参加を促す高校生アカデミックチャレンジ事業を来年度新たに取り組む予定であります。
 今後も引き続き子供のすぐれた才能を見出すなど多様な能力に応えられる教育を教職員の理解を深める中で推進してまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 島根警察本部長。
○警察本部長(島根 悟君) 警察の総合力の強化についてお答えいたします。
 現下の治安情勢につきましては、刑法犯認知件数が十一年連続で減少するなど一定の改善傾向にあるものの、特殊詐欺やサイバー犯罪に見られるように犯罪が一層多様化、巧妙化し、抑止と検挙における難度の高い犯罪の脅威が増している現状にあります。
 県警察では、こうした治安情勢の変化に的確に対応するため県民の期待や要望を見極めた上、必要なところには人員を重点的に配置するなど柔軟性のある組織体制の整備に努めるとともに、現行の限られた人員の中で最大限の警察力を発揮できるよう優秀な人材の確保、警察官個々の能力の向上、若手警察官の早期戦力化を目指した各種教養・訓練の充実、再任用制度の拡充等、退職警察官の効果的な活用、女性警察官の採用・登用の拡大等による人的基盤の強化、また科学技術や情報通信技術の効果的な活用、さらには業務の合理化を推進するなどあらゆる対策により総合力の強化に努めているところであります。
 その一例といたしまして、サイバー空間への脅威に対処するため平成二十三年度にはサイバー犯罪対策室を設置し、サイバー犯罪の専門的捜査能力を有した捜査員を配置、以降増員による体制強化を図ってまいりました。また警察官採用区分に情報処理区分を設け情報技術・知識を有する者を採用しているほか、サイバー犯罪捜査検定の取得を推奨するなどサイバー犯罪捜査力の裾野の拡大に努めているところであります。
 議員御指摘の家庭内における虐待やドメスティックバイオレンス等の事案の対応につきましては、警察署の相談窓口に生活安全課や警務課の専門員以外に地域・刑事部門等の女性警察官を兼務配置するなど相談者の立場に立った迅速で丁寧な対応に配意し、また本部主管課に連絡担当責任者を指定し、他県警察との連絡を一元的に行わせるなど連携に十分配意した取り組みを行っているところであります。
 今後も生活安全部門と刑事部門との連携の強化を初めとする、この種事案への事態対処能力の一層の向上に努めてまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 三十番 蓮池章平君。
       (三十番 蓮池章平君登壇)
○三十番(蓮池章平君) ただいまの答弁に関して多様な能力に応えられる教育のあり方について再質問をいたします。
 特別支援教育という側面を天才児――ギフテッドという、こういう切り口から質問をさせていただきました。発達でこぼこがある児童生徒というのは本当に幅の広い多様な側面を持っている。そういう意味では来年度いろんな取り組みをされるということはわかるんですが、一方現状の特別支援教育、特別支援学級。これは県の支援体制を見ますと例えば特別支援学級というのは、全ての学校に配置されていませんですね。それで県の総合計画を見ますと、特別な教育支援を必要とする児童生徒の実態に合った支援を行うため小中学校に非常勤講師を適切に配置すると、こう記載されています。
 先ほど、この特別支援教育には専門性がやっぱり求められるわけですね。専門性が求められるのにこの県の方向性として非常勤講師で対応しようとすると。ここにやはり私は根本的な見直しをすべき点があるのではないか。しっかりと専門性を持った人を特別支援教育の中に配置して対応すべきではないかというふうに考えますが、教育長の答弁を求めたいと思います。
○議長(中谷多加二君) 安倍教育長。
○教育長(安倍 徹君) 多様な能力に応えられる教育のあり方の再質問にお答えをいたします。
 確かに今議員から御提案、御指摘がありましたように、特別支援教育につきましては専門性の高いそういう能力が求められますので、非常勤講師の配置で十分かという御指摘かなというふうに思いますけれども、まずは私たちはいわゆる本務教員である教諭の専門性を高めるという点をまず第一に進めていく必要があるかなというふうに思っております。その上で非常勤講師の資質能力についても対応していかなければいけないかなというふうに思っておりますけれども、この辺は財政的な問題もございますので例えば非常勤講師につきましても、それぞれの学校で特別支援教育に関する研修の充実等々を行っていくという工夫もしながら専門性の向上に努めていきたいなというふうに考えているところでございます。以上であります。
○議長(中谷多加二君) これで、蓮池章平君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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