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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和3年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

増田 享大 議員

質問分類

一般質問

質問日:

07/21/2021

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 流域治水プロジェクトの推進について
 2 次期地球温暖化対策実行計画の策定について
 3 牧之原茶園の基盤整備の推進について
 4 肢体不自由生徒の県立高校への就学支援について
 5 静岡県立高等学校第三次長期計画について


○副議長(竹内良訓君) 次に、三十八番 増田享大君。
       (三十八番 増田享大君登壇 拍手)
○三十八番(増田享大君) 七月三日午前、熱海市伊豆山地区で発生した大規模な土石流は過去に類を見ない大惨事となり、お亡くなりになられた方々には衷心より御冥福をお祈り申し上げますとともに被災された多くの皆様にお見舞いを申し上げます。
 また、酷暑の中懸命に捜索活動を続けていただいております多くの関係者の御努力には頭が下がる思いでしかありません。
 この災害は熱海市だけのものにとどまることではなく、私たち静岡県民全てが被った大きな災害だと感じております。今後は私ども議会を含めた県の総力を結集し一日も早い復旧が成し遂げられることを期し、質問に入らせていただきます。
 私は、自民改革会議所属議員として当面する県政の諸課題に対し通告に基づき知事、副知事、関係部局長、教育長及び教育部長に一括質問方式で伺います。
 まず初めに、流域治水プロジェクトの推進について伺います。
 今般の熱海市での災害の要因ともなった記録的な豪雨は、地球温暖化の影響もあり近年では毎年のように頻発し全国各地でその被害は激甚化しております。さらに今後二十一世紀末には気候変動の影響により全国平均で洪水発生頻度がこれまでの二倍になるとの試算もあり、いまや豪雨災害対策は全国の自治体にとって喫緊の課題となり、本県でも県民の命を守るためさらにハード対策を進め、そしてソフトを含めたあらゆる対策を導入し抜本的な対策の強化が必要だと考えます。
 そのうち社会基盤の整備に関しましては、まず東日本大震災以降事前防災の必要性の高まりを受け平成二十五年、国土強靱化基本法が成立し本県でも国土強靱化地域計画が策定されました。その後の平成三十年、この年の僅か数か月間において豪雨、台風そして地震と立て続けに発生した大規模な自然災害を教訓とし防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策事業が始められ、最終年度となった昨年には継続して五か年の加速化対策も事業化され、この数年間で基盤整備に対する国から地方への予算は大幅に増額されることとなりました。
 中でも豪雨災害対策の中心となる河川整備における本県への国からの交付金は、三か年緊急対策では年間で約四十億円だったものが五か年加速化対策では今年二月の補正予算だけでも百十四億円にまで増額され、県の緊急対策費と合わせこれからの五年間で集中的に河川における対策が進められることとなり、その着実な事業執行に向け県土木事務所職員の増員や建設業界へのICT技術の拡大など現場体制の整備がより求められていると感じています。
 このように河川での整備が進められる一方、近年の豪雨は社会基盤が耐え得る水準をはるかに超える規模となっていることから、国ではあらゆる関係者が協力して豪雨被害リスクの低減を図る流域治水の考え方が導入され昨年から政策が大きく転換されることになりました。
 これを受け、早速県内でも六つの一級河川水系において流域治水プロジェクトが策定され対策が進められることとなり、先頃二級河川の巴川でも始められました。このうち菊川水系では地元の掛川市内を流れる与惣川や上・下小笠川が対象の支流となり今後河道掘削や護岸整備も進められることとなり、地元から多くの不安の声を伺っておりましたので大変有意義な取組だと感じております。
 しかし一方で、県内には一級河川水系以外の河川も数多くあり、過去西日本などでの豪雨の際潤沢な予算により整備が進んでいた一級河川では被害が少なく整備があまり進んでいなかった県や市町管理の中小規模の河川でより被害が発生してしまったことから、これら一級河川以外の県管理河川についても同様の対策が必要であり市町管理河川も含めた総合的な治水対策プランをまとめそれを広く住民に伝え、かつ理解を深めることにより事前の防災体制をさらに充実させることが重要だと考えます。
 そこで、このほかの県管理河川における流域治水プロジェクトの推進に向け、今後県はどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、次期地球温暖化対策実行計画の策定について伺います。
 このような異常気象による自然災害はいまや世界中で発生し、その要因である地球温暖化対策は待ったなしの状況となり世界各国で温暖化の進行を抑制すべく脱炭素、いわゆるカーボンニュートラルに向けた動きが急激に加速しております。
 我が国でも昨年十月、菅総理大臣が二〇五〇年までに脱炭素社会の実現を目指すことを宣言し、今年四月にはその目標に向けて二〇三〇年度には温室効果ガス排出量を対二〇一三年度比で四六%削減するというこれまでの二六%を大幅に上回る新たな目標を掲げました。現在国ではその目標の達成に向け具体的な施策の検討が進められており、本県もさきの二月議会における我が会派の鈴木澄美県議への答弁で二〇五〇年の脱炭素社会の実現を目指すことを表明しました。
 しかし、この目標はとても高いハードルであり、その実現に向けては今後国と歩調を合わせ対策をより一層進めていく必要があると考えます。
 このような中、県では現在来年度から二〇三〇年度までの九年間の次期地球温暖化対策実行計画の策定作業を進めていると伺っております。これらの計画策定は各都道府県でも進められ、昨年度以降に策定された岩手県や京都府の計画では四〇%以上の高い削減目標を掲げる自治体もあり、本県にとってもこの計画は県の本気度を示し脱炭素社会実現に向けた県民や県内企業の道しるべとなる非常に重要な計画になると考えます。
 そこで、次期地球温暖化対策実行計画について、温室効果ガスの削減目標や脱炭素社会の実現に向けた取組の方向性など、県はどのように考えているのか伺います。
 次に、地元掛川市を含みます牧之原茶園の基盤整備の推進について伺います。
 島田、掛川、菊川、御前崎そして牧之原市の五つの市に広がる牧之原茶園は緩やかな傾斜地を抱く大井川右岸に広がり総面積は約五千ヘクタール、県内の茶園面積全体の約三分の一を誇る本県を代表する茶産地であります。
 しかしながら、近年のお茶を取り巻く環境は厳しさを増す一方で、市場の低迷から取引価格は下降し生産者の高齢化も進み離農者は後を絶たず昨年までの十年間で茶販売農家数は五千八百二十七戸と約六割もの大幅な減少となり、茶園面積に至っては一万九千ヘクタールから一万五千二百ヘクタールへと縮小、まさに衰退に歯止めがかからない状況が続いています。特に昨年公表された二〇一九年のお茶の産出額において鹿児島県がトップとなり、本県が五十年来守り続けてきた日本一の座から陥落したニュースは古くからお茶どころ日本一を自負してきた本県茶業界にとって衝撃的かつ歴史的な出来事であったと思います。
 言うまでもなく、本県茶業が苦しんでいる背景にはリーフ茶需要の減少による一番茶価格の低迷が影響しておりますが、茶業全体で見ると本県の多くの茶園が山の斜面や台地に集まり大型機械が入りにくいため高コストで非効率な生産環境が競争率を弱めていることも課題だと言われています。
 私の地元でも、世界農業遺産に登録された茶草場農法で知られる日坂や東山地区といった市内でも優良産地と評される地域ほど茶園は急な傾斜が多い山あいに位置し機械が入らない作業の負担は大きく、広く効率的な茶園への整備を望む声をよく伺っています。
 近年農業基盤整備につきましては、畑地帯総合整備事業、いわゆる畑総や農地中間管理機構関連の整備事業など条件が見合えば受益者の負担がゼロになる好条件な補助制度もあり茶園の整備事業も進んでおりますが、生産者の中には何よりも先行きの見通せない現状の中、将来に向けた投資をちゅうちょせざるを得ないケースが多いと聞いております。
 また、個々の茶園が小規模のために補助制度の面積要件を満たせない事例も多く、これらを解決するためにも営農の一体性という観点から産地や地域全体で考えることも必要だと考えます。
 そのような中、市内の関係者から広大な牧之原茶園一帯の再編整備プランのお話を伺いました。これは牧之原畑地総合整備土地改良区が発起人となり県や市、JA、生産者などの関係者が一堂に会し、五千ヘクタールもの広大な茶園を対象に農地集積を含めた効率的な基盤整備や消費者ニーズに対応した生産への転換あるいは複合栽培への取組などについて検討を一体的に進めるという県内でも例を見ない大規模な大変いい取組だと感じており、未来の茶業を担う若手生産者のためにも優良茶園を守り継承していく基盤整備の好事例になることも期待されていると思います。
 そこで、現在策定中の再編整備プランはどのような考え方によるものなのか。またプランを踏まえて今後の牧之原茶園の基盤整備をどのように進めていくつもりなのか、県の考えについて伺います。
 次に、肢体不自由生徒の県立高校への就学支援について伺います。
 二年前、知人の紹介で市内の中学校に通う車椅子の生徒さんに出会いました。この生徒さんは御病気のため車椅子での移動に加え日常生活の上でも介助を必要とされている方で、多くの困難を乗り越えサポートを受けながら市内の公立中学校に通っているという段階でした。その生徒さんも成長され学校での成績も優秀でいよいよ来年には高校への進学を迎える時期となり、さらに県立の全日制高校へと進学を希望されているというお話を伺いました。
 その勇気とたくましさに感銘を覚えつつも同時に、本県の場合介助が必要な生徒が普通高校に通うにはまだまだ支援体制が整備されておらず就学が難しいのではないかと非常に不安になっているというお話を伺い調べてみますと、現在本県の県立高校には車椅子で通う生徒はおりますが介助を必要とされる生徒の在籍はないという状況でありました。
 また、他県ではこのように介助を必要とする生徒への支援を既に始めている自治体も多くなってきているとのお話も伺い、全国都道府県ごとの特別支援学校を除く公立高校において肢体不自由のある生徒のうち車椅子を使用している生徒及び介助員による介助が必要な生徒への支援や受入れ状況について調べていただいたところ、不明やはっきりとした回答がなかった自治体はあったものの車椅子の生徒を受け入れている自治体は三十六都道府県、生徒数は約百三十人、そして介助を必要とされる生徒を受け入れている自治体は実に三十の都道府県にも上り、受け入れている生徒数は約百五十人、そしていずれも受け入れていない自治体が二県という結果でした。
 中でも、お隣の愛知県では七年ほど前からこのような支援を始め、神奈川や埼玉県などでも先進的な取組が進められているというお話も伺い、残念ながら本県の支援体制は遅れていると言わざるを得ない状況だと感じました。
 障害のある方への意識は平成二十八年の障害者差別解消法施行以降大きく変わり始めており、本県でも静岡県障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例が平成二十九年三月に公布され、その中でも全ての県民が障害の有無によって分け隔てられることがないよう決議がされ、また現在本県では誰一人取り残さないSDGs社会を目指すことを県政の主要政策に位置づけているところでもあります。
 また、法改正以降障害のある生徒への支援は県内の各市町にも広がり、国の特別支援教育支援員に対する地方財政措置の開始などに加え各自治体独自の支援策も拡充されてきており、掛川市でも市単独で支援員を四十七人、介助員を六人配置し、その中で通常学級に在籍する肢体不自由のある生徒への支援を行うなど小中学校の義務教育段階における支援の広がりがうかがえます。
 特に中学校段階に限ってみますと、昨年度肢体不自由のある生徒の通常学級への通学状況は県内の九市一町の十五中学校に十七人の生徒が通学中で、そのうち付添いを伴う生徒が三人、介助員も三人配置されており環境が改善されてきていると思います。
 このように、中学校までは普通の学校に通えるようになりながらも高校進学段階になって小中学校で共に学んだ友達と同じような進路に進みたいという希望を持ちながら支援体制がないことにより進路選択の対象が狭められるようなことはあってはならないのだと思いますし、本県でも他県と同様に公立高校段階における支援を始めるべきだと考えます。
 そこで、本県でも県立高校における介助員の配置など支援を検討し取り組んでいくべきと考えますが、県教育委員会の考えを伺います。
 最後に、静岡県立高等学校第三次長期計画について伺います。
 平成二十九年十一月、この計画において地元の横須賀高校と御前崎市の池新田高校の統合再編構想案が公表されて以降地元は騒然となり、すぐさま横須賀高校を守る会が発足され署名や存続に向けた活動が始められました。同会は昨年、掛川市の市長、教育長、議会そして地元のみならず近隣の袋井、磐田市を含めた南遠地域教育環境整備推進協議会へと発展的に改編され、その後も企業からの意見聴取や人口減少下における新たな教育環境の構築に向け先進的に取り組んでいる各地の研究、また広報誌の市内全世帯への配布など存続に向けた活動を継続していただいております。
 このような協議会の熱心な活動により地元や近隣を含めた住民に改めて統合の難しさ、存続の願いの強さが広く伝えられることとなり、また今年に入り四月に行われた掛川市長選挙では全ての候補者が同校の存続を政策目標に掲げ、過日の県知事選挙でも両候補者からこの再編に対する慎重論や計画自体の見直し、県総合教育会議での問題提起など県教育委員会の方針とは対照的とも取れる発言が相次ぎ、必然的に地元住民の感情が煽られているような状況だと感じています。
 改めて市民から寄せられているのが、両校が二つの市にまたがり住民理解が進んでいないこと、両校が立地する距離が遠く通学が困難となり新構想高校では十分な生徒の確保ができず結局は小規模な学校になってしまわないかなど計画そのものに対する疑念の声も多く聞かれています。
 そもそもこの計画は平成二十八年四月付で検討委員会に諮問され策定されたものですが、当時の予測に比べ少子化の進展はもちろん私立高校への就学支援も拡充され、また近年では通信制課程への進学者も大きく増加するなど当時の想定と差異が生じ始めているとの指摘もあります。またコロナ禍によってもたらされたデジタル化の進展によりICTを活用した遠隔授業も広まるなど現在教育現場では百年に一度とも言われる改革が進行中であり、このような社会情勢の変化を鑑み一旦立ち止まってでも公立高校の未来についてどのような在り方がいいのか再度検討すべきといった意見もあります。
 当初の計画では今年度は新構想高校の候補地を選定するという重要な一年であったと思います。しかしながら、このように地元の皆様に不安が残り意思の疎通も両市を含めた総体的な合意形成も図られていないまま当初の方針どおり計画が進められてしまうことになると、三年半前唐突に構想案が公表されいたずらに地元や関係者を混乱させてしまったという当時と同じような過ちを繰り返すことになってしまうのではないかと大変危惧をしております。
 これらの不安を解消するためにも、改めて地元の皆様の御意見を伺うことは極めて重要ですし、同時に県教育委員会の考え方や子供たちを取り巻く環境の変化などについての情報提供は不可欠であり、意見交換会の実施や現地を訪れ学校周辺の地域環境を視察するなど丁寧に地元に寄り添った姿勢を見せていただきたいと考えますし、慎重には慎重を期して臨んでいただきたいと思います。
 このような観点から、今後小規模な学校やICTを含めた新たな時代の教育環境の在り方の研究、そして地元住民との丹念な意見交換の場の設置をはじめあらゆる情報の提供を通じ相互理解を深めていくことが重要と考えますが、県教育委員会としての考え方について伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(竹内良訓君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 増田議員にお答えいたします。
 流域治水プロジェクトの推進についてであります。
 近年、全国各地で猛威を振るう豪雨は気候変動の影響を受けまして今後さらに頻発化、激甚化していくと言われております。これらの豪雨から県民の皆様の命と財産を守るためにはこれまで以上に河川の整備を加速してまいらねばなりません。
 しかし、昨年熊本県の球磨川に大水害をもたらした令和二年七月豪雨のように河川施設の能力を上回る洪水におきまして浸水による被害をなくすためにはまちづくりや住まいにおける工夫を進めていくことが必要となります。また地域の皆様の主体的な行動によって防災力を向上することも大変重要です。
 このため、県では国や市町などと連携し社会全体で洪水氾濫に備える流域治水の取組を新たな施策として強力に進めてまいります。
 昨年六月に国がお示しになった流域治水の方針では、河川管理者が実施する治水対策などに加え流域のあらゆる関係者が主体的に取り組む防災・減災対策の全体像を流域治水プロジェクトとして示し、地域の特性を踏まえた取組を推進することとされております。県内では狩野川などの一級河川六水系につきまして昨年度末までにプロジェクトを策定いたしました。また二級河川につきましては太田川など浸水被害が頻発し重点的に治水対策に取り組んでいる三十六水系について今年度末を目途にプロジェクトの策定を進めているところであります。
 取組の実施に当たりましては、治水対策の基本となる河川整備や流域の関係者が主体的に取り組む流出抑制対策などの加速化を図るため国の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策等を最大限に活用いたします。これらの各水系における具体的な取組につきましてはプロジェクトに定めたロードマップに基づく進管理を行うことにより実効性のある取組としてまいります。また日頃から防災・減災を考えることが当たり前となる社会の構築を目指し、県民の皆様お一人お一人が豪雨災害に対して適切な行動を取れるよう地域のリスク情報やその活用方法を県や市町が連携して分かりやすく説明してまいります。
 私どもといたしましては、豪雨災害から県民の皆様の貴い命を守るため流域のあらゆる関係者と連携した流域治水の取組により安全で安心な水害に強い地域づくりを進めてまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を差し上げます。
○副議長(竹内良訓君) 難波副知事。
○副知事(難波喬司君) 次期地球温暖化対策実行計画の策定についてお答えをいたします。
 現在策定中の次期地球温暖化対策実行計画では、地球温暖化対策の世界的な潮流やさきの二月議会における知事の表明を踏まえ二〇五〇年までの脱炭素社会の実現を長期目標とします。あわせて二〇三〇年度の温室効果ガス排出削減目標やその実現に向けたロードマップを定めてまいります。
 二〇五〇年の脱炭素社会の実現のみならず、国が掲げる二〇三〇年の削減目標の達成は今ある技術や仕組みの拡充といったこれまでの取組の延長では困難です。というよりも達成不可能です。地球温暖化対策を従来のような環境だけの観点で経済成長にとっての制約やコストとして捉えてはいけません。今後は環境保全と経済成長の両立を目指し、これまでの単純延長上ではない新たな取組を展開していくことが不可欠であると考えております。
 そのため、去る四月二十三日に本年度から私が本部長を務め全部局長で構成する地球温暖化対策推進本部を開催をいたしました。そこではあらゆる政策手段を総動員し全庁を挙げて取り組んでいくという方向性を共有いたしました。静岡県も地球温暖化対策の世界的な潮流に後れることがあってはなりません。本気の取組が必要です。
 しかし難しい面があります。例えば本県の強みである輸送機械、自動車産業について考えますと、これまでのような自社工場のみということでは達成できません。部品の調達から消費者に届くまでのいわゆるサプライチェーン全体での取組が必要で、これまでとは違う次元で排出削減を図ることが必要になります。また衣食住、移動、買物など様々な日常生活においても県民の皆様に脱炭素社会を実現するための徹底した行動変容をお願いすることが必要になります。
 二〇三〇年度の温室効果ガス削減量の目標設定につきましては、今のように現状の延長上ではなく二〇五〇年というその先の脱炭素社会の実現という将来像を描いてそれを実現するための道筋をつくる、そしてそれを実現するというバックキャスティング型のアプローチが必要です。少なくとも二〇三〇年においては国が掲げる四六%削減目標というのが最低限の目標になると思います。
 しかし、目標を設定して二〇三〇年にできませんでしたというわけにはいきません。達成できる具体の道筋を描き実行に移すことが必要です。
 県といたしましては、地球温暖化対策は将来世代に対する今を生きる私たちの責任という認識の下、温室効果ガス排出削減の重要性と目標を社会全体で共有し県民総がかりで地球温暖化対策に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(竹内良訓君) 細谷農林水産担当部長。
○農林水産担当部長(細谷勝彦君) 牧之原茶園の基盤整備の推進についてお答えいたします。
 牧之原地区では、茶生産者の所得向上や持続可能な茶業の実現を図るため土地改良区が県や関係市、JA等と推進協議会を設置し本年度末を目途に再編整備プランの策定に取り組んでおります。
 茶生産の現場では分散した茶園の担い手への集約化や野菜への作物転換により生じる農薬の飛散などが課題となっております。このため再編整備プランの策定に当たっては茶生産者の共通認識の下、作物に応じた栽培適地の整理や集約化のルールづくりを進めるため将来を担う若手生産者等の意見交換会を開催してまいります。
 また、地形条件や営農状況、茶園景観などの現状を分析し収益性の高い茶生産を強化する区域や野菜等の複合経営に転換する区域など地域の実情に応じた農地利用の在り方を明確化してまいります。
 県では、これまでに牧之原市静波地区等で茶園の大区画化を進めており、これらの地区では茶園の八割以上が担い手に集積・集約化され作業時間の大幅な削減など生産性が飛躍的に向上しております。
 今後は、将来にわたり茶業が継続できるよう再編プランを基に地域の迅速な合意形成を図ることにより牧之原茶園の基盤整備を加速化してまいります。以上であります。
○副議長(竹内良訓君) 長澤教育部長。
○教育部長(長澤由哉君) 肢体不自由生徒の県立高校への就学支援についてお答えいたします。
 高等学校において、肢体不自由のある生徒の受入れ環境を充実していくことは生徒の進学の選択肢、可能性を広げるだけでなく障害のある人とない人が共に学ぶインクルーシブ教育を推進していくためにも重要であると認識しております。
 施設や設備については、校舎の新築や改築に合わせてエレベーターや多目的トイレなど誰もが使いやすいユニバーサルデザインに配慮した整備を進めてきたところであります。また進学を希望する学校に相談があった場合、学校生活での配慮を必要とする事項、課題等について生徒、保護者と十分な話合いを行い手すりやスロープの設置など受入れ環境を整えた上で入学している事例もあります。
 しかしながら、肢体不自由のある生徒が高校に進学し学校生活を送るためには施設・設備面の対応に加え教室間の移動時など様々な場面での支援が必要となり進路希望に影響を与えることも想定されます。
 このため、今後は施設・設備面の充実とともに議員から御提案のありました介助員などの支援体制につきましても他県の配置基準や配置の際の課題等について調査研究し、早急に受入れ体制を構築して肢体不自由のある生徒の就学支援を一層推進してまいります。以上であります。
○副議長(竹内良訓君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) 静岡県立高等学校第三次長期計画についてお答えいたします。
 新構想高校につきましては、ふじのくに魅力ある学校づくり推進計画に基づき地域の実情に配慮しつつ地域の御理解や御支援を得ながら推進することとしております。
 小笠地区におきましても、地元の方々や学校関係者、地元自治体に対し様々な機会を通じてよりよい教育環境整備の考え方を説明しながら意見交換を重ねてまいりました。南遠地域教育環境整備推進協議会や掛川からは単に教育の視点にとどまらず、地域振興やまちづくりの観点から横須賀高校の存続の必要性について直接伺い地元の皆様からの強い思いを改めて認識したところであります。
 このため、今後も積極的に地元に足を運び地域の方々や自治体に対して最新の生徒数の将来見込みや出身地域別生徒数などの情報を提供し、地域が考える今後のまちづくりの方針を含めて意見交換を行うなど地域の実情や地元の声を丁寧に伺ってまいります。
 さらに、将来を見据えた教育環境の充実という点においてこれから高校へ入学する子供たちや保護者の声につきましても、地元だけでなく生徒の通学範囲を踏まえた周辺地域を含め幅広く伺ってまいります。あわせて近年の急速な技術革新を踏まえ、現在本校と分校の間で取組を始めたICT活用による遠隔教育をはじめ小規模校の教育環境の充実につながる方策なども研究してまいります。
 県教育委員会といたしましては、地域のニーズや新たな状況変化などを確認しつつ地元に寄り添い意見交換しながら生徒がよりよい環境の下で学ぶことができる魅力ある学校づくりに取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(竹内良訓君) 増田享大君。
       (三十八番 増田享大君登壇)
○三十八番(増田享大君) 要望を一点、再質問を一点させていただきます。
 まず要望、流域治水プロジェクトについて国で六、県管理で三十六水系ということですが、県管理全体で言うと五百二十河川あって、水系にすると八十二水系ありますので国を除くとこのほかに四十六水系残るということになります。これらの残った四十六水系は全く心配がないのかと言えば、私そう言い切るのは難しいと思いますし、過去の氾濫実績などの対象を基準として今の三十六水系を選定されているというお話でしたがその対象の基準とか境という点ではまだ議論はあると思っています。ですから可能な限りこのほかの水系にも拡大していただきますよう、ぜひその検討を進めていただきますよう要望します。
 それと、河川整備は進めなきゃいけないというのは知事もおっしゃいましたが、今国からの予算は非常に採択される確率が上がっています。それの条件は、このプロジェクトの対象箇所に載っているということが採択されやすい予算になっているというわけです。対象を増やせば事業箇所も増えるはずですのでただでさえいいことだと思うんですが、ただ今のですね、補正予算も大分増えてきて現場の出先の職員というのはもう正直手いっぱいだと見えます。多忙を極めているわけでございますので、言い換えれば体制をもっと充実、体制を整えていただければより多くの事業、河川整備事業が推進できると思っていますので、今後ぜひ庁内における豪雨災害対策の優先順位を少し格上げしていただいて出先の職員の増員を含め現場体制の充実に向け一層取り組んでいただきますよう、これは要望させていただきます。
 再質問一点。
 先ほどの肢体不自由生徒の就学支援についてですが、まず県教委の認識として、他県の事例ちょっと報告させていただきましたがまず本県が進んでいるのか遅れているのか、その認識についてまずどう思っていらっしゃるでしょうか。
 それと、早急に施設に加えて環境整備、早急に整備していきたいという部長の御答弁でしたが、それは来年の春も含まれるのでしょうか、確認させてください。以上、答弁求めます。
○副議長(竹内良訓君) 長澤教育部長。
○教育部長(長澤由哉君) 肢体不自由生徒の県立高校への就学支援についての再質問について、お答えをいたします。
 まず、本県の受入れ体制についての認識ということでございますけれども、確かに全国の状況を見ますと必ずしも進んでいるとは言い難いという認識でおります。
 それから、早急に受入れ体制を構築していくと答弁の内容でございますけれども、来年度入学を希望する生徒に対して対応できるように取組を進めてまいりたいと考えております。以上であります。
○副議長(竹内良訓君) 増田享大君。
       (三十八番 増田享大君登壇)
○三十八番(増田享大君) ありがとうございました。
 前向きな御答弁を頂けたと、ある意味県教委として御英断を頂いているのかなという思いをしております。その検討の内容についてなんですが、今後ですね、他県の先進事例はもちろんなんですけどぜひ県内の各市町で進められている義務教育段階での支援状況をぜひ一度現場を見ていただきたい。先ほど掛川の例を挙げましたけど富士市とかですね、県内、沼津とかいろいろ九市、今やってますけどすごく市町の事業が進んでますのでぜひそれを視察して学んでいただきたいと思います。
 この上で、この支援を始めるにあと二つ必要だと思っています。
 一つは生徒を受け入れる側、すなわち県立高校の側の校長先生はじめ教員の皆様にもこの思いを共有していただかないといけないと思いますのでぜひ働きかけていただきたい。
 それと知事部局、特に財政当局側にはこれらの支援を始めるにはやはり予算も必要になります。それを今までの毎年度の教育委員会の予算の枠内でやりなさいよなんていうことでは決して進まないと思っています。社会の変化や本県の支援状況の位置、再度認識頂いて新たに追加の財政支援をしていただきますように要望させていただき質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(竹内良訓君) これで増田享大君の質問は終わりました。(拍手)
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
  
○副議長(竹内良訓君) 休会についてお諮りします。
 議事の都合により、七月二十六日から二十八日までは休会することに御異議ありませんか。
       (「異議なし」と言う者あり)
○副議長(竹内良訓君) 異議なしと認め、そのように決定しました。
  
○副議長(竹内良訓君) 次会の議事日程を申し上げます。
 七月二十九日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会します。

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