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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成25年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

仁科 喜世志 議員

質問分類

代表質問

質問日:

09/30/2013

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について  
 (1) 総合計画の現基本計画の検証  
 (2) 総合計画の次期基本計画の策定方針  
2 地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の推進について  
3 内陸のフロンティアを拓く取り組みについて  
4 今後の財政運営について  
 (1) 平成二十六年度当初予算編成の方針  
 (2) 地震・津波対策に係る財源の確保  
5 富士山の後世への継承に向けた取り組みについて  
 (1) 富士山の適切な保存管理  
 (2) 世界遺産センターの整備  
 (3) 利用者負担制度  
6 新たな行財政改革大綱の策定について  
7 第三次静岡県障害者計画について  
8 生活保護制度の適正な運用について  
9 企業の地震災害に対するリスク分散への支援について  
10 治水対策について
11 生活排水処理における浄化槽の適正な維持管理について  
12 小学校の英語の教科化について  
13 暴力団排除条例の完全施行の効果について


○議長(中谷多加二君) 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、十二番 仁科喜世志君。
       (十二番 仁科喜世志君登壇 拍手)
○十二番(仁科喜世志君) おはようございます。私は自民改革会議を代表し知事の政治姿勢について及び県政の諸課題について、知事及び関係部局長並びに教育長、警察本部長に通告に基づき伺います。
 まず初めに、知事の政治姿勢についてのうち、総合計画の現基本計画の検証についてであります。
 平成二十三年二月二十三日に公表された静岡県総合計画――富国有徳の理想郷ふじのくにグランドデザインについて、知事が言われている前期四年間の検証、いわゆる平成二十五年度の前半までの総括的な評価を伺うものであります。
 県は、計画策定後、毎年度評価を行い、その評価結果を翌年二月に“ふじのくに”づくり白書として公表しています。平成二十四年度の白書では、基本計画の九つの戦略に掲げる数値目標の達成状況を平成二十三年度の実績数値に基づき六段階で評価するとともに、その実績と平成二十四年度の進捗状況を踏まえ、今後の施策展開を取りまとめています。評価に当たっては県みずからが自己評価を行い、次に外部有識者の評価部会、そして審議会やパブリックコメント等を通じ意見をいただきながら客観性と透明性の向上に努めたとありました。さらに評価結果に基づく施策の重点化、早期具体化への取り組みを推進するとともに、社会経済情勢の変化に対応するため基本計画を見直し、来年度以降の施策展開等に反映させることをうたっています。
 そこで、知事がおっしゃっている前期四年間とは平成二十二年度から平成二十五年度を指す期間と私は解釈しますが、現実に平成二十二年度は具体的な取り組みができなかったのではないでしょうか。なぜなら平成二十三年三月十一日に不幸にも東日本大震災が発生してしまっているからであります。そうしますと来年三月末をもってようやく三年間に達すると考えるのが妥当ではないでしょうか。
 その内容について伺いますが、人口減少と少子高齢化社会への対応は十分だったのでしょうか。また厳しさの続いている経済状況の中、本県の有効求人倍率など雇用情勢はどのように推移しているのでしょうか。
 九本柱のうち一本目の「憧れ」を呼ぶ“ふじのくに”づくりの数値目標の達成状況は、平成二十四年度白書で六段階のうちAからBまでが十五件と前年度から三件減少し、逆にCが十九件と前年度から七件増加しています。明らかに厳しさが増大し後退したと言わざるを得ないのであります。Cとは目標達成に向け、より一層の推進を要することです。次の二本目、安心の健康福祉の実現の数値目標の達成状況は、平成二十四年度白書でBプラスからBマイナスまでが十件と前年度から一件増加、Cが十件と前年度から四件増加となっています。明らかにここも厳しい数値目標の達成状況と言わざるを得ないのであります。
 九本の柱の他の七本は、数値も上方修正をし、さらに施策推進を図っているものであり評価に値しますが、東日本大震災、リーマンショック後や円高による経済状況下だったとはいえ、これらの厳しい数値目標の達成状況をどのように考え分析され、検証されているのか伺います。
 次に、総合計画の次期基本計画の策定方針について伺います。
 平成二十五年度は、基本計画の前期の最終年度で仕上げのときでもあり、同時に後期基本計画の策定中と考えます。知事はさきの六月議会の開会日六月二十八日の知事提案説明の再任の御挨拶を申し上げる中で、百万人を超える皆様からの御支持をいただいたことや選挙中での感想も述べられました。総合計画についても触れられています。次のように発言されたのです。そのくだりを少し朗読します。
 「ふじのくにづくりの指針であり、県民の県民による県民のためのマニフェストである総合計画は、平成二十二年度からおおむね十年間を計画期間としており、今年度が最初の四年間の具体的取り組みを定めた基本計画の最終年度であります。これまでの取り組みを総括的に評価した上で、残り期間六年を私の二期目の四年間に前倒しして完遂すべく年度内に新しい基本計画を策定し、ふじのくにづくりの総仕上げへの道筋を明確なものとしてまいります」と。
 私が大変気になったのは、知事の二期目の四年間に完遂すると言い切ったことです。知事の二期目の任期のスタートは、継続しているものの平成二十五年七月と考えます。しかしながら来年三月三十一日までは前期基本計画の仕上げであり、後期基本計画はできてはいません。予算執行は平成二十六年度からなのです。来年度の四月からの四年間は二期目で、もう九カ月は足りません。三年三カ月で知事は後期基本計画の各事業を完遂することになります。おおむね基本構想の十年間のスパンは、前期、後期と加えますと、六年四カ月と私は理解するのです。四年でスピード感を持って対応するとは、いつがスタートになるのでしょうか。
 これから南海トラフ巨大地震への地震・津波対策アクションプログラム二〇一三、内陸フロンティアを拓く取り組み、中長期的に静岡県の大型事業がかかわります。さらに静岡県雇用創造アクションプランのように継続的な事業等も対応しなくてはならず、優先順位をつけて先送りすべき事業等も考慮しなくてはなりません。そこで後期基本計画はどのような見通しをなさって策定されるのか伺います。
 次に、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の推進について伺います。
 知事は、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に関し、六月定例会において、我が会派からの代表質問に対し、「死者数を限りなく少なくすることが最大の使命である」。また、「一人でも多くの県民の命を守る減災を基本理念に新たな津波被害想定の対策、超広域災害への対応、複合災害・連続災害対策の三つの重点施策を設け、ハード・ソフトの両面における百五十一のアクションを明示して対策を講じていく」と答弁されました。
 私は、防潮堤等の津波対策施設の整備については県を初めとする各施設管理者が財源を確保した上で、計画的に効率的に事業を実施することにより、ある程度アクションの達成が図られるものと考えております。
 一方、緊急物資の備蓄促進、自主防組織における津波避難訓練の充実強化や災害時の要援護者への支援体制の整備などについては、対策を実施するべき主体者が県民一人一人であったり、地域であったり、市町であったりと多岐にわたっていることから、各主体者が危機意識を持ってみずからが行動に移さなければ、アクションの達成は難しいのではないでしょうか。県としては各主体者が危機意識を持って行動に移すことを待っているだけではなく、各主体者が行動するために県がリードしていくことが極めて重要と考えています。
 さきの六月補正予算では、各市町における地震・津波対策アクションプログラムの策定を支援するため一億円の予算を計上しました。この各市町の地震・津波対策アクションプログラムの策定は、地震・津波対策そのものに加え、結果的に県の第四次被害想定に対応した各市町の地域防災計画の改定の一助ともなるもので、大変有意義であるものと考えます。
 また、今定例会に上程されている九月補正予算案にも各市町支援のための関連予算が計上されていると承知しております。各市町を含め各主体者がアクションを推進していくために県はどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、内陸のフロンティアを拓く取り組みについて伺います。
 防災・減災と地域成長が両立する地域づくりを目指す内陸のフロンティアを拓く取り組みを県の最重要施策として進められておりますが、沿岸都市部では焼津市のように現状、移転の受け皿の確保が困難ということも聞いております。こうした市町からは、企業や住民が自治体の境界を飛び越えて移転してしまうと、このままでは地域の活力が落ちてしまうとの切実なる声もあります。内陸フロンティアを拓く取り組みを進めていく上では、本県経済を支えている沿岸都市部が抱える巨大地震への懸念を払拭する取り組みが不可欠であります。
 一方、内陸高台部においては、新東名高速道路の開通の効果の広がり、恩恵が感じられないとの声も聞かれるようになっております。地域資源を生かし真に活力ある地域づくりにつなげていくためには、インターチェンジやサービスエリア、パーキングエリアのにぎわいをアクセス道路やその周辺地域へと広げ、取り組みを点から面へと展開していくことが重要であると考えております。
 さらに、県は市町の提案をもとに国の総合特区制度を活用して先導的モデルの実現を目指し、現在、規制緩和等の特例措置を国と協議しておられます。しかしながら規制緩和の対象の区域は、県内の十カ所に限定されたものとなっております。内陸フロンティアを拓く取り組みは県内全域で進められるべきであり、総合特区の区域に指定されていない市町についても取り組みを広げていくべきと感じております。
 県内全域における防災・減災対策と地域成長の両立は、県民共通の願いであります。この取り組みの実現にはいろいろな課題があると思いますが、今後内陸フロンティアを拓く取り組みをどのように実効性あるものとして安心・安全で豊かな県土づくりを進めていくのか、県の考えを伺います。
 次に、今後の財政運営のうち、平成二十六年度当初予算編成の方針についてであります。
 本県においては、第四次被害想定を踏まえた地震・津波対策の強化を初め知事二期目の任期を迎え、新たな総合計画の策定を見据えた施策の推進が喫緊の課題となっております。とりわけ県政の最重要課題である県民の命を守るための地震・津波対策は言うまでもなく、新しい成長産業の育成など県民生活を支える経済産業・雇用対策の強化、さらには子育て環境の向上等の少子化対策など県民が安心して生活を送ることができ、活力ある経済社会を築いていくための施策については積極的に予算を投入することが重要であると考えます。
 一方で、本県の財政状況は引き続き厳しい状況が続いており、財政の中期見通しにおいては、平成二十六年度の当初予算で四百億円を超える財源不足が示されております。また国の財政状況も大変厳しい中で地方の財政運営に必要な一般財源総額の確保についても今後、国の予算編成において厳しい折衝が行われるものと想定しております。
 このため、来年度の予算編成に当たっては施策の重点化を図るなどめり張りをつけた予算配分を行うことはもとより、財源の確保など財政の健全性を保つための努力が例年以上に必要であると考えます。知事は来年度当初予算編成に向けてどのような考え方で臨むつもりなのか、所見を伺います。
 次に、地震・津波対策に係る財源の確保について伺います。
 想定される巨大地震や津波等の被害から県民の生命や財産を守るために、アクションプログラムを着実に実行する必要があります。県は既に六月補正予算において、水門や堤防等の整備に係る調査設計の前倒しなどの早期に事業化が可能な対策に着手したほか、この九月議会においても地震・津波対策に関する補正予算案を提出するなど迅速に対応を進めていることは評価できます。しかしアクションプログラムは、全体では十年間で四千二百億円もの財源が必要とされています。県は、今年度緊急的な措置として職員等の給与削減により補正予算の財源を確保しましたが、来年度以降対策を着実に推進するためには、財源の確保は引き続き重大な課題になると考えます。
 知事は、さきの六月県議会において財源確保手段の選択肢の一つとして、法人事業税の超過課税の更新を挙げられました。法人事業税の超過課税は来年三月で期限切れとなります。これまでも地震対策の推進や高規格幹線道路網の整備等に活用され、県民生活の安全・安心の確保や本県経済の優位性の向上が図られてきたものと思います。大変貴重な財源でありますが、これを更新するとなれば企業を初め関係者の御理解と御協力が欠かせないものと考えます。
 アクションプログラム推進のための財源確保の手段として法人事業税の超過課税を今後どのように取り扱われるのか、知事の考えを伺います。
 次に、富士山の後世への継承に向けた取り組みについてのうち、富士山の適切な保存管理についてであります。
 去る六月にカンボジア・プノンペンにおいて開催された第三十七回世界遺産委員会におきまして富士山が世界遺産として登録され、我が会派としても大変うれしく受けとめています。八月四日にはグランシップにおきまして富士山世界遺産登録感謝の集いが開催され、構成資産の保全活動などを通して富士山の世界遺産登録に貢献された団体の皆様が川勝知事から感謝状の贈呈を受けられました。受賞団体の皆様を初めこれまで登録に向け尽力された関係の皆様に改めて敬意を表する次第であります。
 さて、登録を契機として、ことしの夏におきましては三保松原など構成資産における来訪者が増加するとともに、御殿場口における登山者数も大幅に増加しているなどの状況が見られました。また富士山周辺市町における宿泊客数も好調に推移していると伺っております。こうしたにぎわいの高まりも登録がもたらした大きな成果ではないかと思っております。しかし今回、富士山の世界遺産登録と同時に私たちは今後いかに富士山を保存管理していくかということについて、大きな責任を負うこととなりました。世界遺産委員会からも勧告、要請という形で富士山の保存管理に関する大変重い課題を課せられております。富士山を末永く後世に継承していくことは、私たち共通の願いであり、また責務であります。
 そこで、県は世界遺産委員会からの勧告、要請への対応も含め、今後どのように富士山の適切な保存管理に取り組んでいくのか伺います。
 次に、世界遺産センターの整備について伺います。
 八月三十日、富士山世界遺産センター――仮称でございますけれども――建設地が富士宮市宮町のせせらぎ広場及びその周辺地に決定と発表されました。世界文化遺産としてのストーリー性や公共交通機関による利便性の高さなどが決定の理由とのことですが、富士宮市以外の六市町も並々ならぬ思いはあったことでしょう。今後は富士宮市と連携を図りながら、センターの整備が着実に進められることを期待しています。
 さて、建設地が決定し、また今議会に建築物等の設計に係る年度をまたいだ債務負担行為が予算案として上程されるなどセンターの整備に向けた取り組みが着々と進められています。早期整備が求められるところでありますが、問題はセンターにおいて展開される事業の中身であると考えます。
 県は、本年三月基本計画を策定し、センターは富士山に係る包括的な保存管理や自然、歴史・文化、周辺観光等の情報提供を行うなど訪れる多くの人々のニーズに対応する拠点施設として整備するとしております。またセンターの建設地は、平成二十四年三月に基本構想策定委員会が策定した基本構想や県が定めた行動計画では基本計画策定時に決めることになっていましたが、時期がずれ込んでいます。スケジュール等も含め具体的にどのような世界遺産センターを整備しようとしているのか伺います。
 次に、利用者負担制度について伺います。
 静岡・山梨両県では富士山を適切に保全し、その価値を後世に継承するための利用者負担制度の導入について国や山梨県等の関係者と連携を図りながら、来年の夏山シーズンの本格導入に向けた検討を行っていると承知しております。このような状況の中でことしの夏は七月二十五日から八月三日までの十日間にわたり、富士山保全協力金という名称で社会実験が実施されたことでありますが、県は今回の社会実験の結果を今後の利用者負担制度の検討に生かしていかなければならないと考えます。
 そこで、県は利用者負担制度を本格実施する際の制度設計のあり方及びスケジュールについて、どのように考えているのか伺います。
 次に、新たな行財政改革大綱の策定について伺います。
 県では、昭和六十年九月に最初の行財政改革大綱を策定し、それ以来大綱の実施計画である集中改革プランも含め六回にわたり大綱の策定を行い、継続して行財政改革の取り組みを進めてきたことを承知しております。現在の大綱は、平成二十二年度にふじのくにの自立の実現という総合計画の目標を達成するため、初めて外部有識者の意見を踏まえて策定されたもので三百を超える取り組み項目について進捗状況を毎年度公表し、また外部委員会での検証を行うなどこれまでの大綱に比べて透明性をかなり意識した内容になっていると聞いております。
 この大綱の計画期間が総合計画と同様平成二十五年度いっぱいで終了するため、県では現在ふじのくに行財政革新戦略会議を設置し、外部委員の意見も踏まえ新たな大綱の策定を進めているとのことですが、新しいものをつくるに当たっては当然のことながら、これまでの取り組みの結果について一度立ちどまって総括した上で、その評価を次の取り組みにつなげていく必要があります。
 また、平成二十五年六月に出された国の地方制度調査会の答申では、小規模市町村での事務処理が困難な場合、都道府県における補完も選択肢として示されるなど地方自治体をめぐる状況について大きな変化が生じようとしております。これら現在の大綱策定時からの社会経済状況の変化についても新しい大綱には反映していかなければならないと考えます。
 そこで、現在の大綱の進捗状況や成果について県はどのように評価しているのか、まずお伺いいたします。またこうした内容や昨今の状況変化を踏まえ、総合計画の目標を達成するため新たな大綱にどのような方向性を加えていこうとしているのか、現時点での考え方についてあわせて伺います。
 次に、第三次静岡県障害者計画について伺います。
 県は、平成十九年度から二十四年度まで第二次静岡県障害者計画に基づき障害者施策を推進してきました。この間平成二十三年に行われた障害者基本法の改正では、法の目的が障害者の福祉の増進から障害の有無によって分け隔てられることのない共生社会の実現に変わるとともに、障害者の定義が拡大されるなど大きな見直しが行われました。
 私は、障害のある人が自分らしく安心して地域で生活していくためには、障害のある人が可能な限り自立していこうという意思を持つことと、その思いをかなえるために支援を行うことの両方がバランスよく実現されることが必要と考えております。先般恒例となっている福祉関係のイベントがあり、障害のある方が働く授産所の販売するクッキーを買い求めましたが、一つ一つ手づくりでとても情のこもったおいしいものでした。障害のある人が、ものづくりを通じて社会参加をし働くことで自立をしていこうという取り組みは大変すばらしいと思います。このような取り組みもつくった商品が売れなければ広がりませんが、四月に障害者優先調達推進法が施行され、県も調達方針を策定し物品調達の推進を図るなど販路拡大のための取り組みがなされております。
 障害者の定義の拡大に伴い、四月からは百三十疾患の難病患者が障害者総合支援法などの対象に追加されました。これまで身体障害者手帳などを持っていない難病患者の方が利用できたサービスは、ホームヘルプサービス、短期入所及び日常生活用具給付だけでしたが、それにかわりさまざまな障害福祉サービス、相談支援、補装具の給付などを利用することができるようになりました。
 県は、このような諸制度の改革に対応するため、この七月に今後五年間の障害のある人に向けた支援の基本的な方向を示した第三次静岡県障害者計画を策定したと聞いております。
 そこで、県はこれまで推進されてきた第二次静岡県障害者計画の結果をどのように評価し、どのような理念を持って第三次計画を策定したのか伺います。
 次に、生活保護制度の適正な運用について伺います。
 国民生活の最後のセーフティーネットと位置づけられている生活保護につきましては、現在全国で二百十五万人を超える方々が保護を受けております。本県におきましても七月時点の被保護世帯数と人数は、それぞれ二万二千八百二十三世帯、二万九千八百五十六人であり、平成二十年度の約一・七倍になっております。また生活保護費につきましても、平成二十四年度は我が国全体で約三兆七千億円に及んでおります。県内では四百五十五億円余と平成二十年度の一・五倍になっております。
 こうした中、政府は本年八月から生活扶助の支給水準の改定を行いました。これは保護費のうち食費や光熱水費といった日常生活に充てる生活扶助費を見直すというものであり、世帯構成や年齢、居住地域によって異なりますが、三年間で段階的に最大一〇%を限度に減額されることとなりました。今回保護費が引き下げられることにより、保護を受けている方への影響を注意深く見守っていかなければならないと思います。
 このように、生活保護制度をめぐる情勢が変化している中ではありますが、支援が必要な方を適切に保護していくことは大変重要なことであります。特に市町においては、民生委員による地道な日常活動も大変重要となっております。そして保護を受けている方が自立していくことはさらに重要であると思いますが、県の考えについて伺います。
 また、県が公表した生活保護費の不正受給の状況を見ますと平成二十四年度の不正受給の額は、前年度の三億三千九百三十一万円を下回る三億七百四十七万円であったものの、件数は前年度の七百八十三件から八百七十九件に増加したということであります。生活保護を受けている方のほとんどが真に保護を必要とされる方々であると認識しておりますが、昨今不正受給のニュースが目立つ中で、生活保護制度に対する国民の不信感が高まっており、不正受給により制度の信頼が喪失されるといった懸念もさることながら生活保護を受給している方への不信につながりかねないものであります。
 厚生労働省は、十月にも召集される臨時国会に不正受給対策を強化する生活保護法改正案と生活困窮者向けの自立支援法案を提出する方針と報じられています。不正の内容は働いていた収入の無申告・過少申告、年金、交通事故等の補償など稼働収入以外の収入の無申告が大半を占めておりますが、こうした状況を踏まえ不正受給を未然に防ぎ根絶するという強い取り組みを求められると思いますが、県としてどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、企業の地震災害に対するリスク分散への支援について伺います。
 東日本大震災以降、新聞紙上などにおいて県内企業が地震・津波などの自然災害に対応するために県外へ転出したり、県内の安全と思われる地域に移転したりする動きが報じられています。企業としては、地震・津波などにより事業所が倒壊したり水没したりした結果、事業の再開が困難になることや再開できても長期間を要することは会社としての存続を危うくするものであり、これらの動きはやむを得ないものと考えます。私はこれらの動きを解消するためには、本来的には津波対策施設などを全県にわたって整備補完することにより、安心・安全な県土をつくり出すことであると考えます。
 しかし、危機管理部が示した地震・津波対策アクションプログラム二〇一三においては、レベルワンの津波に対応できていない防潮堤などのかさ上げは今後十年間で六割程度整備する予定にとどまっていることから、企業もみずから対策をとらざるを得ない状況であります。八月中旬から私たち自民党静岡県連は、県内各支部から来年度予算案に向けた要望などをヒアリングしてまいりました。この各支部の要望では、企業がリスク回避をするために行う移転のための用地取得や施設整備投資に対する支援と現在地において防災対策を進める企業に対する支援を早急に立ち上げてもらいたいとの声が数多くありました。
 県の第四次地震被害想定も六月に公表があり、被害が想定される区域や被害の程度も示されたことから、企業の事業継続への対応策は加速するものと思います。今、県としてこれらの県内企業の動きに対応した支援を示さなければ県外や海外への移転の動きは加速し、県民の雇用を維持することはできません。企業の地震災害に対するリスク分散、移転や現在地での防災対策に対し、県としてどのような支援を行う考えなのか、知事の所見を伺います。
 次に、治水対策について伺います。
 近年、地球温暖化による気候の変化等に伴い全国的に局地的豪雨が頻発しております。本年も島根県、山口県を中心とした中国地方や岩手県、山形県を中心とした東北地方などで、記録的な豪雨による浸水被害が発生しています。直近では台風十八号が記憶に新しいです。県内においても七月十七日から十八日にかけて非常に激しい降雨が観測され、藤枝市や焼津市などで床下浸水の被害が発生しました。特に十八日の明け方には河津町付近で時間当たり百ミリを超える猛烈な雨が降ったとみられ、西伊豆町においては八十戸を超える床上浸水被害などが発生しています。
 このような局地的豪雨により想定を超える降雨が頻発することは、安全・安心を取り巻く環境として流域の治水安全度が相対的に低下することとなりますが、これに対して河川改修などの治水施設の整備だけで浸水被害を防ぐことは困難であります。これらの状況に対して、県ではこれまで近年床上浸水被害が複数回発生している流域を対象に緊急的に浸水被害を軽減するため、治水施設の整備に合わせた公共施設等の貯留機能の確保に加え、防災情報の提供や住民の避難体制につながるソフト対策等を盛り込んだ豪雨災害対策アクションプランを県下七地区で展開しております。これら七地区においては、国、県や市町の関係部局など治水対策に関係する各機関から構成する協議会を設置し、河川の上流域、中流域、下流域、流域が一体となった事業の進捗管理を行っていただいており、こうした施策を推進することにより、一定の治水効果が得られることは県民にとって喜ばしいことであります。
 そこで、各豪雨災害対策アクションプランの進捗状況とその効果について伺います。また県下全域において、想定を上回る局地的豪雨による浸水被害が心配されていることから、その対策について今後県としてどのように取り組んでいくのか、あわせて伺います。
 次に、生活排水処理における浄化槽の適正な維持管理について伺います。
 私たちの快適な生活環境を維持するためには、河川、湖沼や沿岸海域などいわゆる公共用水域をきれいで良好な状況に保つことが不可欠であります。公共用水域の水質は工場などの事業所からの排水のほか炊事、洗濯、トイレなど私たちの日常生活から生まれる生活排水の影響を受けます。地域の水環境を保全するためには、私たち一人一人が常に公共用水域をきれいにしようという高い意識を持つことが必要であるとともに、適切な生活排水処理が求められることは言うまでもありません。
 生活排水を処理する事業には、下水道を初め農業や漁業などの集落排水施設あるいは集合住宅団地のコミュニティープラント等があり、浄化槽もその一つに挙げられています。このうち下水道や集落排水施設などは市町などの公共機関が維持管理に当たるため、一旦接続すればその後は市町等の責任のもとで処理されることになります。一方浄化槽は一般家庭などに個別に設置されているため、その維持管理は所有者などの浄化槽管理者自身に委ねられています。このため浄化槽には定期的な保守点検や清掃とともに年一回の法定検査が浄化槽法で義務づけられています。法定検査によって初めて保守点検や清掃が適切に実施されていることや浄化槽が正しく機能して排水がきれいに処理されていることが証明されているのです。
 しかしながら、本県は全国と比べ生活排水全体に対する公共下水道の普及率が低い一方、浄化槽による処理率が高く浄化槽が汚水処理の重要な役割を担っているにもかかわらず、残念ながら法定検査の受検率が低迷していると聞いています。
 そこで、県として浄化槽の法定検査の受検率向上に向けてどのように取り組んでいるのか伺います。
 次に、小学校の英語の教科化について伺います。
 政府は、本年五月に公表した教育再生実行会議の提言で小学校の英語を正式教科化する方針を盛り込みました。現在中央教育審議会において具体的な方策が検討されているところです。今日経済や文化のグローバル化が進み、国際社会を生き抜くための人材育成が求められる社会情勢が反映しているものと言えますが、教科化を実現するためには多くの課題が考えられるのではないでしょうか。現在の小学校の教員が英語の指導法を新たに学び直すとなると現場に大きな負担となるでしょう。また小学校だけでなく中学校、高校までを含めた英語教育全体のあり方を見直す必要もあるでしょうし、大学の教員養成課程における小学校英語の必修化など多くの準備が必要です。また正式な教科として成績をつけるとなると知識偏重となって逆に英語嫌いの子供をつくり、ふやすことにもなりかねません。教科化するには、そのメリットとデメリットを洗い出して慎重に進めていくことが肝要であると思います。
 このような動きの中で、本県でも磐田市において、英語教育について先進的な取り組みを始めたと聞いております。今年度スタートしたとのことですので、研究成果や課題については今後に期待するところです。その取り組み内容について伺いたいと思います。
 また、小学校での外国語活動は平成二十三年度から実施され既に二年以上が経過しています。これは教科ではなく、コミュニケーションの能力の素地を養うことを目的として行われているとのことですが、これを進めて小学校英語の教科化を議論しようとするなら先行実施された小学校外国語活動を取り入れての評価は不可欠であります。
 開始に際しては、現場の教員に戸惑いなどもあったと聞いておりますが、外国語活動の実施により子供たちにどのような成果が見られ、課題はどのようなものがあるのか、小学校の英語教科化に向けた課題に関する所見を教育長に伺います。
 最後に、暴力団排除条例完全施行の効果について伺います。
 暴力団は反社会的組織であり、薬物の密売でありますとかみかじめ料など旧来から続けられている資金獲得活動に加えて、民事介入暴力や行政対象暴力など県民生活の至るところに入り込んでいたり、その他社会情勢の変化に巧みに対応した多種多様な資金獲得活動を行っているのが実態であると聞き及んでおります。
 一方、最近隣接する山梨県で発砲事件が多発したなどという報道を聞きました。依然として全国至るところでこうした危険きわまりない事件が現実に起きており、県民の平穏な生活に大きな不安を与えているものと考えております。先般県内でも公務員から情報の漏えいを図るなどとした事件が県警によって摘発されました。この事件では改めて暴力団がいかに一般社会に入り込んでいるかということを再認識したところであります。
 こうした暴力団の活動に歯どめをかけることは、当県議会としても重大な課題の一つでもありましたところ、まず県レベルでの静岡県暴力団排除条例が平成二十三年八月一日に施行されました。さらに、これを補完する市町レベルの暴力団排除条例が本年四月をもって県内の全市町全域で施行されたことにより、暴力団排除機運が一層高まったと思われます。そして今後はこの条例の効果というものを検証しながら、県警の強いリーダーシップにより官民挙げて暴力団排除活動を強力に推進していかなければならないと考えます。
 そこで、現在の県内における最近の暴力団情勢と暴力団排除条例が完全施行されて、警察としてどのような活動が可能となったかなど条例の県民生活への効果について警察本部長に伺います。以上について答弁を求めます。(拍手)
○議長(中谷多加二君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 仁科議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてのうち、総合計画の次期基本計画の策定方針についてであります。
 新しい基本計画の策定に当たりましては、日本の中心に位置し、名実ともに世界の宝となりました世界遺産富士山を抱く県としての誇りと自覚を持って、霊峰から導き出される多様な価値に立脚した富士の国づくりの理念を具現化する富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを引き続き推進してまいります。
 具体的な戦略の展開では、何より優先するべきは、県民の皆様の命を守る取り組みです。地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に基づく施策事業を着実かつ迅速に進めるとともに、事が起こる前に復興した後のモデルを先につくるという、いわゆる事前復興の内陸のフロンティアを拓く取り組みにより、防災・減災と地域成長とを両立させ県土の強靭化を進めてまいります。
 また、経済情勢に左右されにくい多極的な産業構造への転換やきめ細かな雇用対策、本県の次代を担う有為で多彩な人材の育成、子育て環境の向上による少子化対策など喫緊の課題に全庁を挙げて取り組んでまいります。さらに現在の基本計画で進捗におくれの見られる分野の底上げを図る施策、事業についてもその課題等を十分に分析して的確に対応してまいります。
 一方、こうした山積する課題に対応して計画を実効性のあるものとするためには、その裏づけとなる財政基盤の強化が不可欠です。事業の一層の重点化、効率化やめり張りのある施策展開を図るとともに、歳入の確保に努めるなど不断の行財政改革に徹底して取り組んでまいる覚悟です。
 私は、知事就任以来県政の諸課題に対しまして、常に前倒しをモットーにスピード感を持って取り組んでまいりました。総合計画というのは議員御指摘のとおり十年の計画です。十年の計画を二十年かけてやれば計画倒れということになります。十年の計画をそれより早くに仕上げれば、それはそれにこしたことがないという評価になると存じます。御指摘のとおり、十年計画のうち計画を立てたときにまず四年分をやろうと。それは平成二十三年二月二十三日に公表しました。平成二十三年二月二十三日は平成二十二年度です。ですから平成二十二年度から四年間となりますと二十二、二十三、二十四、二十五年度の三月三十一日までになります。しかし平成二十二年度は残り一カ月余しかありません。だから四年間と言いましたのは、御指摘のとおり三年と一カ月余りです。この三年と一カ月余りで全体の計画の最初の四年間分をやってしまうという、そういうふうに決めたのです。それから向こう四年間の間に残り十年計画のうちの六年間分をやってしまうという、そういう気概で今取り組んでいるんです。
 ですから、十年計画を十年でやるということもそれはそれとして一つの道です。しかし議員御指摘のように何が起こるかわかりません。三・一一が二月二十三日のわずか一カ月もたたないうちに起こりました。したがって我々の総合計画には、その時々の情勢に応じて常にフレキシブルに対応できるということがうたわれています。ですから重点計画として、我々は地震・津波対策あるいはエネルギーの地産地消というのをすぐに取り組みました。それは先生方の御理解を賜ってのことでございます。
 平成二十六年四月一日にスタートする新しい基本計画につきましても、現在その具体的検討を開始しております。平成二十六年の四月一日からスタートするというためには、その前から計画を立てねばなりませんので、今やっているわけですね。今は最初の四年間の基本計画の最終年度ですけれども、その次のことをやるためにはあわせてやらなくちゃなりません。立ちどまることは大切です。しかし一方で動きながら考えるということもできます。むしろ私どもは、白隠禅師の言われるように、動中の工夫は静中の工夫にまさること百千億倍と。ですからデスクワークをするというよりも働きながら一緒に考えようということですね。そういう姿勢でやっています。
 現在、この新しい基本計画につきまして具体的検討を開始しておりまして、現計画との切れ目のない実行を図っていくこととしています。今後とも私に与えられた任期四年の間で全てを完遂するという気概を持って県民の皆様、県議会の皆様とともに富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりに全身全霊を傾け取り組んでまいりますので、御支援、御協力を賜りますようお願いを申し上げます。
 次に、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の推進についてであります。
 第四次地震被害想定を踏まえた対策に当たりましては、地震防災の本旨である自助、共助、公助の精神が何より大事です。この自助、共助、公助というこの順位は、自助がまず大事だということであります。こうした精神に立ち返り、県民一人一人や地域、市町などの各主体がこれまでに積み上げてこられたさまざまな対策を総点検するとともに、充実強化を図ることが重要です。
 このため、県民の皆様にはそれぞれの地域で想定される被害を再確認していただき、家具の転倒防止、特にアパートが大事です。自分の家ならば自由にくぎを打つこともできますけれども、アパートですとそれはなかなか大家さんの御理解がなければ難しい面もあります。こうした家具の転倒防止の措置、あるいは七日分の水・食料の備蓄、津波からの率先避難や避難経路の確認などみずからの命を守る行動を実践していただくために被害想定の内容や参考となる取り組み事例を紹介する自主防災新聞の特別号を全戸に二回配布するほか、ホームページを充実するなど積極的に情報を発信してまいります。
 自主防災組織につきましては超広域災害に対応するために、まずは地域で自活するという意識のもとで、救出救助、避難所の運営、災害時要援護者の避難などを的確に行う必要がございます。地域の課題を提示し、具体的な対応を検討する訓練――イメージTENを新しく導入するなど地域の防災リーダーの研修を充実するとともに、十一月の地震防災強化月間やそれに続く地域防災訓練におきまして研修内容を実践することにより、自主防災組織の実力の向上を図ってまいります。
 さらに、市町の効果的な対策を推進するために津波避難施設空白地域の解消に向けたシミュレーションを行うなど市町のアクションプログラムの策定を支援するとともに、市町を財政的に支援する緊急地震・津波対策交付金を今議会にお諮りしております。この中で県民の皆様の避難行動の目安となるハザードマップの作成などのメニューの追加のほか、自主防災組織の資機材整備を初めとする事業への補助率のかさ上げなどを図っております。
 県といたしましては、こうした施策を通じて各主体の行う対策の充実強化を図り、お一人でも多くの県民の命が守られるように進めてまいります。
 次に、内陸のフロンティアを拓く取り組みについてです。
 内陸のフロンティアを拓く取り組みは、南海トラフ巨大地震等の災害に備えた防災・減災対策を迅速に進めるためのものであります。被災後の復興を先取りするという意味におきまして、東日本大震災の復興モデルになると。これを事前の復興というように最近は言うようでございます。この事前の復興プロジェクトによりまして美しい景観や魅力を備えた地域づくりを進めながら、県全体の均衡ある発展を目指そうというもので、まさにふじのくにの国土強靭化プランというものであります。国の国土強靭化プロジェクトを先取りし実際に実践しているのが、この内陸のフロンティアを拓く取り組みです。
 取り組みの具体化に当たりましては、県では地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に基づきまして、本県の経済発展を支えている沿岸都市部の防災・減災対策を最優先で進めています。そのためのものでありますから。また例えば吉田町におきましては、このたび太田大臣に直接御視察賜りました避難タワーでありますけれども、平時には歩道橋として使える、有事には避難タワーになると。こうした取り組み、大変に高く評価をされたものでございますけれども、こうした施設の建設など住民の命を守る取り組みを積極的に進めるとともに、内陸フロンティアのモデル地域として防災公園と被災時の緊急物資の集積拠点を兼ねる商業施設の整備を一体で進めるなど防災・減災対策を進めているさなかです。県ではこうした取り組みを全面的に支援するとともに、他の沿岸都市部へと拡大し、県、市町一体となって防災・減災対策を進めてまいります。
 一方、内陸高台部におきましては、例えばお近くの長泉町ではインターチェンジ周辺への物流企業の誘致など新東名を活用した地域づくりが動き始めております。しかしまだまだ点としての整備にとどまっているというのが現状です。それで県では地域づくりの構想の策定などの御支援を行いまして、富士山の景観を生かした広域的な地域の整備へと広げると。いわばガーデンシティーと。美しい自然と調和した建物群というものがある、そういう地域づくり、美しく豊かな地域づくりを内陸高台部において進めてまいります。
 また、総合特区制度を活用した十カ所の地域以外におきましても内陸のフロンティアを拓く取り組みに呼応した地域づくりが着々と動き出しています。例えば掛川市におきましては新東名パーキングエリアの周辺の開発、さらに磐田市におきましては新東名のスマートインターチェンジ設置を見据えた工業団地の造成などが計画されています。県といたしましては、市町の理解を得ながら内陸のフロンティアを拓く取り組みを県内全域に広げてまいります。
 災害は待ってくれません。国、市町、民間との一層の連携を図り、日本の先駆的なモデルとなる防災・減災と事前の復興を柱として地域成長を促進する内陸のフロンティアを拓く取り組みを一層加速させてまいります。
 次に、今後の財政運営についてのうち、まず平成二十六年度当初予算編成の方針についてであります。
 平成二十五年度当初予算編成時に作成いたしました財政の中期見通しでは、来年度の財源不足額は四百三十三億円と見込まれています。一方現時点で活用可能な基金は二百三十四億円にとどまっています。基金を全額活用しても財源不足を解消することができない状況です。また国が八月に公表なさいました平成二十六年度の地方財政収支の仮試算におきまして、地方税や地方交付税等の一般財源総額はおおむね二十五年度と同水準が確保されておりますが、年末に決定される国の地方財政対策の状況によりましては、財源不足額の拡大が懸念されるなど大変厳しい財政環境下での予算編成になると考えています。一方防災・減災と地域成長を両立させる内陸のフロンティアを拓く取り組みやあらゆる年代や職種に対応したきめ細かな雇用対策、新成長産業の育成などの経済対策、子育て環境の充実による少子化対策など県政の喫緊の課題には、全庁を挙げてスピード感を持って対応していく必要がございます。
 このため、来年度の当初予算編成に当たりましては、現在策定中の新しい行財政改革大綱の議論も踏まえて、あらゆる手法を駆使して徹底した歳出のスリム化と歳入の確保に努め財源不足額の解消と必要な財源の捻出に取り組みます。その上で来年度が初年度となります総合計画の向こう六年間の新たな基本計画に基づく施策に重点的に取り組み、ふじのくにづくりの総仕上げに向けた第一歩を着実に踏み出す予算を編成してまいります。
 次に、地震・津波対策に係る財源の確保についてであります。
 地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の全体の事業費は、平成二十五年度から三十四年度までの十年間で約四千二百億円と見込まれておりますが、今後も厳しい財政状況が見込まれる中、その財源の確保は大変重要な課題でございます。まずは身を切るということで職員の減給に踏み込みました。またお尋ねの法人事業税の超過課税につきましては、昭和五十四年度から企業の皆様に御負担をお願いしてまいりました。平成二十一年度から二十五年度を期間とする第七期――現在でございますが――におきましては、昨年度までに二百十三億円を御負担賜っており、産業競争力の強化や都市的基盤の充実、高規格幹線道路網の整備に充当して地域間競争力の強化を図ってきたところです。御協力をいただきました企業の皆様に対しましては、改めて深く感謝を申し上げるものでございます。
 現在の超過課税は、来年三月末で期限が到来いたしますが、南海トラフの巨大地震から県民の皆様の生命財産を守り、発災後の経済活動を含めた速やかな復興を図るにはアクションプログラムの着実な実施が不可欠です。この財源の一部として活用させていただくために来年四月以降も法人事業税の超過課税につきまして、税率や対象法人などの枠組みは現行どおりといたしまして、さらに五年間継続する方向でお願いしてまいりたいと考えております。
 今後、企業や経済界また県議会の皆様の御意見を承りながら、超過課税の使途となる、使い道となる地震・津波対策の必要性や県の財政状況、行財政改革への取り組み状況などについて御理解をいただいた上で、十二月県議会に条例改正をお諮りしたいと考えております。
 次に、富士山の後世への継承に向けた取り組みについてのうち、まず富士山の適切な保存管理についてです。
 世界遺産登録によりまして富士山の価値が世界的に認められると同時に世界遺産委員会からの勧告及び要請に対応するなど私たちは、将来にわたり富士山の価値を守っていく責任が課せられています。このため九月一日付けで富士山担当理事並びに富士山世界遺産課を新設いたしました。富士山部長連絡会議と関係課長による二〇一六年対策会議も設置いたしました。保存管理に向けた全庁的な体制を強化したところであります。また世界遺産委員会から要請のございました保全状況報告書の作成に向けまして、課題整理やデータ収集などを進めて今年度中に基本的な方針を取りまとめる必要がありますので補正予算につきまして今議会でお諮りしているところです。
 今後は、国、静岡・山梨両県、市町村などから成る富士山世界文化遺産協議会を中心に来訪者管理戦略や情報提供戦略などを策定いたしまして、ユネスコから求められております期限――二〇一六年二月一日までに提出する保全状況報告書を最善のものとしてまいります。
 霊峰富士を人類共通の財産として後世に継承するため、世界遺産委員会からの勧告及び要請に確実に対応してまいるとともに、これまでの登録に向けた運動を保全のための国民運動として発展させるなど富士山の適切な保存管理に全力を傾けてまいります。
 次に、世界遺産センターの整備についてであります。
 富士山世界遺産センター――仮称ですが――これは富士山の保存管理の拠点施設でございます。世界遺産委員会からの勧告のあった情報提供戦略の中核を担う重要な施設でもあります。このセンターにおきましては、基本計画に掲げております「守る」、「伝える」、「交わる」、「究める」という、この四つの活動を全方位的にバランスよく展開することとしています。特に伝える活動につきまして、広報でございますが発信でありますが、二十五の構成資産が一体のものとして理解されるように展示内容や展示手法などに工夫を凝らし、戦略的に情報を発信してまいろうと考えています。
 また、富士山周辺では市町の学習施設などが、それぞれの特色を生かした事業を展開しておりますことから各施設と相互に機能分担し、かつ協働することでともに働くことで効果的に事業を進めてまいります。あわせまして静岡市谷田地区等に集積しております県立の文化・学術機関が参加する、いわゆるムセイオン静岡のほか来年三月に設立を予定している大学コンソーシアムなどとも連携を図りまして、富士山についての総合的、学際的、国際的な調査研究活動を展開し、富士山学として体系化してまいりたいと考えています。
 平成二十八年の世界遺産委員会におきまして富士山の保全状況が審議されますので、今後富士宮市や周辺市町の御協力をいただきながら、世界遺産富士山にふさわしい施設として平成二十八年度中の開館を目指してまいります。
 次に、企業の地震災害に対するリスク分散への支援についてであります。
 県といたしましては、まずは県民の生命財産や企業活動を守るため津波対策施設の整備など防災・減災対策を進め、安全・安心の確保を最優先で進めています。その上で内陸のフロンティアを拓く取り組みに基づきまして、内陸高台部への移転、分散を行う企業への新たな支援とともに、沿岸都市部で引き続き頑張る企業への支援の強化を図り、それぞれの地域のポテンシャルを生かした均衡ある発展を目指してまいります。
 具体的には、第四次地震被害想定の津波浸水域等から工場等を移転、分散する場合には新規の立地とは異なり、現行の企業立地補助制度の雇用者をふやすという要件を満たすことが難しいので、これを見直しまして現状の雇用者数を維持することを条件とするなど新たな視点での支援制度を創設いたします。
 また、中小企業向けの制度融資におきましても現在の立地の場所から安全な地域へ移転、分散を行う中小企業を御支援申し上げるために、用地取得や設備投資を対象とした地震リスク分散資金を創設します。
 さらに、現在地で頑張っておられる中小企業の防災・減災対策として災害防止対策資金を拡充いたしまして、地盤改良、浸水防止対策を新たに対象に加えました。それとともに耐震性の低い建物の建てかえにかかわる融資利率を大幅に引き下げるなどの金融支援の強化を図ります。
 これらの取り組みを早急に行うことにより、企業の県内での事業継続を促進し県民の雇用を守り本県産業の振興に努めてまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
○議長(中谷多加二君) 池谷静岡県理事。
       (静岡県理事 池谷 廣君登壇)
○静岡県理事(池谷 廣君) 知事の政治姿勢についてのうち、総合計画の現基本計画の検証についてお答えいたします。
 平成二十三年二月に策定した基本計画については、毎年度、施策、事業の進捗状況の検証を行い、進捗がおくれているものについてはその要因分析を行って適切な対応に努めてまいりました。例えば議員御指摘の「憧れ」を呼ぶ“ふじのくに”づくりの中では、観光交流分野の数値目標の落ち込みが顕著でありました。これは主として東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故が国内外の観光交流客の行動に甚大な影響を及ぼしたことによることから、県内を初め国内外において緊急の誘客対策等を実施した結果、観光交流客数は最新である平成二十四年度の速報値では一億三千八百二十四万人と対前年比六・六%の回復を見ました。しかしながら数値目標の達成に向けては、より一層の努力が必要でありますことから、世界遺産富士山や伊豆半島ジオパークなど世界に誇れる本県の観光資源を積極的に発信し、国内外からの誘客の促進に努めているところであります。
 また、安心の健康福祉においても保育所の待機児童数の増加や障害者雇用率に伸び悩みが見られるなど厳しい結果となりました。これは女性の社会進出や共働き世帯が増加したことによる都市部を中心とした保育需要の増加が要因であり、また障害のある方が働きやすい職場環境づくりを一層進めることが必要であると認識しております。このため保育所等の施設整備を加速するとともに障害者雇用の促進に向け、企業への助言や指導を行う障害者雇用アドバイザーやジョブコーチの派遣を拡充するなどの対応に努めております。
 現基本計画も残すところあと半年となり、現在、計画の総括的な評価を進めております。三百六十八の主な取り組みについてはおおむね順調に進捗が図られておりますが、施策、事業の取り組みの結果を反映する百六十一の数値目標につきましては、富士山静岡空港の利用者数など目標の達成が厳しいものも明らかになってきております。このため目標の達成に至らない施策、事業につきましては、その要因を的確に分析し、次期計画に反映させることで、計画の実効性を高めてまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 下山文化・観光部長。
       (文化・観光部長 下山晃司君登壇)
○文化・観光部長(下山晃司君) 富士山の後世への継承に向けた取り組みについてのうち、利用者負担制度についてお答えいたします。
 富士山における利用者負担制度については、静岡・山梨両県の自治体や住民代表、観光関係者等で構成する富士山世界文化遺産協議会作業部会において、登山者の安全確保や富士山の環境保全に必要な財源とし、来年の夏から本格導入することについて合意をいただいております。
 ことしの夏に実施した富士山保全協力金の社会実験では、両県合わせて三万四千人の方々から御協力をいただき、あわせて実施したアンケートでも協力金について、賛成が約八割を占めるなど利用者に負担を求めることについて、おおむね理解が得られているものと考えています。
 制度設計に当たっては、協力者や関係者の理解を得ることが何よりも大切であり、そのためには目的や使途を明確化するとともに、実施主体や収納方法など適切な管理運営体制を整備することが重要であります。
 今後、社会実験の分析結果等を踏まえ、有識者による富士山利用者負担専門委員会で制度設計について御検討いただき、作業部会での議論を経た上で来年一月をめどに富士山世界文化遺産協議会において最終決定する予定であります。
 世界遺産委員会から策定を求められております来訪者管理戦略の柱の一つとして、関係者の皆様の御理解と御協力をいただきながら、利用者負担制度の導入を着実に進めることで富士山を末永く後世に継承してまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 土屋経営管理部長。
       (経営管理部長 土屋優行君登壇)
○経営管理部長(土屋優行君) 新たな行財政改革大綱の策定につきましてお答えいたします。
 本県では、行財政改革大綱を総合計画の分野別計画として位置づけ、透明性、効果性・能率性、戦略性の三つの戦略に基づいて取り組みを進めております。平成二十四年度末の時点では約七六%の取り組みが目標を達成するなどおおむね順調に推移していると考えており、外部委員会におきましても同様の評価をいただいております。
 取り組みの成果としましては、まず透明性につきましては全国で最多の県民評価者が参加した事業仕分けや事業レビューの実施、効果性・能率性につきましては市町への権限移譲法律数が日本一であるほか、職員削減数につきましては四年間で百人の目標に対し、三年間で九十八人を削減。また戦略性につきましては、四年間で目標の六百億円を上回る六百四十八億円余の財源を確保するなど着実な実績を上げております。
 一方、現在の厳しい財政環境や議員御指摘の市町をめぐる状況変化を踏まえますと新たな大綱の方向性といたしましては、透明性の向上や県みずからの効率化に加え、市町や民間、県民の皆様と連携し、県全体としての行政運営の効率化や最適化を促進する必要があるものと考えております。なお先日開催いたしました第一回のふじのくに行財政革新戦略会議におきましても委員の皆様方から同様の考えをお示しいただいたところであり、県といたしましてはこうした方向性を踏まえ、新たな大綱の策定を進め、総合計画の目標でありますふじのくにの自立の実現を目指してまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 宮城島健康福祉部長。
       (健康福祉部長 宮城島好史君登壇)
○健康福祉部長(宮城島好史君) 第三次静岡県障害者計画についてお答えいたします。
 障害者計画は障害のある人を取り巻く状況や社会情勢の変化、関係法の改正などを踏まえながら、その時々の課題に適切に対応していくことを基本に策定しております。第二次障害者計画では、障害のある人の地域生活支援、就労支援などに重点的に取り組んだ結果、主な指標である入所施設から地域への移行者数、福祉施設からの一般就労者数は、いずれも目標を上回りました。また昨年実施した障害のある方の実態調査でも、約七割の方が生活に満足していると回答されるなど第二次計画はおおむね所期の目標を達成したものと認識しております。これらの点につきましては、第三次障害者計画を御審議いただいた外部有識者で構成する県障害者施策推進協議会において御説明し、御理解を頂戴したところであります。
 第三次計画の策定に当たりましては、障害者基本法改正などの制度改革の趣旨を踏まえ、障害のある人もない人も互いに尊重し合いながら共生する社会、障害のある人が権利の主体としてその人らしい自立生活を送ることができる社会、誰もが安心・安全に暮らすことができる社会の三つの社会の実現を基本理念といたしました。
 県といたしましては、この基本理念のもと、障害のある人が住みなれた地域で豊かに安心して暮らすことができる魅力あるふじのくにの実現に向けて、全力で取り組んでまいります。
 次に、生活保護制度の適正な運用についてであります。
 議員御指摘のとおり、生活保護は生活に困窮した国民の最後のセーフティーネットであり、保護が必要な方を確実に保護していくことは大変重要なことであります。このため県では福祉事務所に対して民生委員を初め電気・ガス事業者や水道、公営住宅関連部署等との連携を図り、保護が必要な方の早期発見に努めるとともに、申請があった場合には速やかに保護の要否を判断し、決定するように指導しているところであります。また保護を受けている方の自立につきましては、福祉事務所における就労支援員の増員など支援体制の強化に取り組むほか、生活保護受給世帯の子供の学習支援事業を実施しているところであり、引き続き受給世帯の自立を促進してまいります。
 生活保護費の不正受給につきましては、去る九月十三日に、県内福祉事務所を対象に生活保護不正受給対策会議を開催いたしました。会議では受給世帯への収入申告義務の周知徹底や訪問調査活動を通じた生活実態把握の方法など効果的な取り組みを推進することについて意思統一を図ったところであります。
 県といたしましては、改正が検討されている生活保護法の動向を注視しながら今後とも市町との連携を強め、不正受給には毅然として対応していくとともに、生活保護制度を公平公正に運用し県民からの信頼を損なうことがないように努めてまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 長島交通基盤部長。
       (交通基盤部長 長島郁夫君登壇)
○交通基盤部長(長島郁夫君) 治水対策についてお答えいたします。
 県では、局地的豪雨の頻発を受け、これまでに床上浸水被害が複数回発生している狩野川中流域など県内七地区において豪雨災害対策アクションプランを策定し、河川や雨水貯留浸透施設の整備などプランに盛り込まれた対策を進めてまいりました。その結果、過去に大きな被害が発生した降雨と同程度の豪雨が発生した場合でも浸水被害が軽減されるなど一定の効果が得られております。
 今後も協議会において対策の評価検証を進め、より有効な対策への見直しを行うなど効率的な事業展開を図り早期の効果発現を目指してまいります。
 局地的豪雨による被害を軽減するためには、河川改修などのハード対策の計画的な推進に加え住民の確実な避難が重要であります。このため地域の実情に合わせて、住民の避難に一層役立つよう洪水ハザードマップの見直しを促進するとともに、降雨の状況を詳細かつ迅速に捉える国土交通省の高性能レーダーなどの活用により、的確な防災情報の提供に取り組んでまいります。
 県といたしましては、局地的豪雨による浸水被害が発生しているほかの地域においても、豪雨災害対策アクションプランの取り組みを展開するなどハード・ソフトが一体となった総合的な治水対策を一層推進し、県民の皆様が安心して暮らせる県土づくりの実現に努めてまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 伊熊くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 伊熊元則君登壇)
○くらし・環境部長(伊熊元則君) 生活排水処理における浄化槽の適正な維持管理についてお答えいたします。
 浄化槽の管理者には、浄化槽の保守点検、清掃の実施と水質に関する法定検査の受検が義務づけられております。本県の昨年度の保守点検及び清掃の実施率は八〇%を超えていますが、法定検査の受検率は六・六%にとどまっており、受検率の低迷が大きな課題となっております。そこで本年四月から法定検査周知強化事業に取り組み、未受検者に対し郵送により制度の周知を図るとともに、電話で個別に受検を働きかけており、その結果八月までの五カ月間で昨年同期の三倍を超える件数の新規の受検申し込みがありました。
 さらに、河川の水質など身近な水環境の保全に対する県民の意識を一層高めるため、県では十月一日の浄化槽の日にちなんだ街頭キャンペーンを皮切りに十月を新たに浄化槽月間と位置づけ、県民だより等による広報に加え、市町や関係団体と連携して浄化槽設置者講習会や事業者向け研修会を開催するなどさまざまな啓発活動を展開してまいります。あわせて本年度から、浄化槽全体の約九割を占める一般家庭向けの十人槽以下の法定検査の料金について六千五百円を六千円に引き下げ、口座振替を利用する場合には、さらに一律五百円の割引制度も導入するなど受検促進に向けた環境づくりに努めております。
 県といたしましては、引き続き法定検査の周知と受検促進を図り、浄化槽の適正な維持管理による公共用水域の水質保全に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 安倍教育長。
       (教育長 安倍 徹君登壇)
○教育長(安倍 徹君) 小学校の英語の教科化についてお答えいたします。
 本県におきましては、磐田市が文部科学省に特区申請を行い、市内の三つの小学校におきましてグローバルコミュニケーション科という教科を新設し、小学校五、六年生では、学級担任が中学校の英語教師や外国語指導助手――ALTとともに中学校との学習内容のつながりを意識して授業を行っております。また今年度で三年目となります小学校の外国語活動につきましては、中学校の教員から間違いを恐れずに英語を話す生徒が増加していることや、ALTが話す英語を聞いて内容を推察する力が身についていることなど小学校での取り組みが中学校の学習に結びついているといった成果が報告されているところであります。
 今後、小学校におきまして英語の教科化が本格実施された場合には免許取得のための講習が不可欠となり、また英語の指導技術、成績評価の方法を学ぶ教員の資質向上のための研修機会の確保等も必要となります。加えまして学校の実態に応じた人的配置を初め環境整備が非常に重要であると考えておりますので、引き続き国の動向を注視し適切に対応してまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 島根警察本部長。
       (警察本部長 島根 悟君登壇)
○警察本部長(島根 悟君) 暴力団排除条例の完全施行の効果についてお答えいたします。
 県内では、近年銃器発砲事件等、表見的には凶悪な事案の発生は見られませんが、暴力団は伝統的な資金獲得活動のほか、その組織実態を隠蔽しつつ建設業、金融業といった各種の事業活動へ進出し、企業活動を仮装して公共工事へ介入したり、共生者を利用するなどその活動を一層不透明化させております。
 このような情勢の中、本年四月一日をもって県下全市町の暴力団排除条例が完全施行され、県民生活や県、市町の事務事業から暴力団を排除する環境が整いました。県条例では暴力団員等に利益を供与した者、また供与を受けた暴力団員等に対して勧告、公表の行政措置をとることができますが、今月、暴力団へ用心棒代として利益供与をしていた静岡市内の飲食店経営者に勧告したものなど、平成二十三年八月の施行以降、八件十九人の勧告を行っています。また暴力団行事ではないかとの事業者からの通報、相談により、事前に役務の提供を拒否できた事例も見られます。
 このほか、富士宮市では逮捕、報道され、暴力団との関係が明らかとなった市の競争入札参加資格事業者を市条例を活用し排除するという措置をとるなど暴力団排除の効果がさまざまな場面で認められるところです。さらに各業界における暴排活動の取り組みが活発化し新たな暴力追放組織が設立されるなどしておりますが、今後は中小企業を中心に職域暴追組織の設立をさらに働きかけてまいりたいと考えております。
 県下の暴力団勢力は、平成二十四年十二月末現在、約千五百三十人で前年比約百人減少しており、これは暴力団排除条例の制定などによる暴力団排除活動の機運の高まりと強力な取り締まりの効果によるところが大きいと認識しておりますが、今後とも徹底した取り締まりと暴力団排除活動を車の両輪として、暴力団の壊滅、弱体化を図ってまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 十二番 仁科喜世志君。
       (十二番 仁科喜世志君登壇)
○十二番(仁科喜世志君) ただいまの答弁に対しまして、再質問をさせていただきます。
 再質問と要望がございます。
 まず、再質問の項目ですけれども、知事からいただいた総合計画の新しい基本計画の策定について。それから理事からいただいた現基本計画の検証です。それからもう一点、新たな行財政改革の大綱についての再質問です。
 要望につきましては、治水対策について申し上げます。
 この近年の雨の降り方が時間五十ミリぐらいのものが河川整備とかの基準になっているというか、大方の設計上の考えであると思います。しかしながら短時間であって局地的に百ミリを超えるものは、もう想定外という言葉には当てはまらないと私は思っております。その点、上流、中流、下流域において例えば上流においては山林の間伐、植栽、保水能力を高めて、少しでも流れ込むものの時間差をつくるとか中流域においては農地の放棄地とかを交換分合しながら、昔は水がないときのかんがい用水だった貯水池を逆に調整池に機能を高めるとか、一度に川を広げたり堤防を上げたりすると時間とお金がかかりますので、そういうような先ほどもハザードマップを利用したり局地的な対策の見直しをするということでございましたけれども、土木サイド、都市局サイド、農林サイド、そういうものを含めて協議会になっておりますので、そういうものの考え方で進んでいただきたいというふうに要望しておきます。
 再質問ですけれども、知事は総合計画の新しい基本計画について命を守る事前復興、あるいは子育てとか少子化対策に傾注していくと。一方ではおくれのものについても底上げを集中してやっていくのだという答弁もいただきました。前倒しをモットーにということを私は答弁の中から感じたのですけれども、確かに知事の任期は四年です。そして六年を四年でということになりますと県民の皆さんは、選挙で受かって二期目からあたかも四年が始まるような錯覚をするのではないでしょうか。ですから本来の基本計画はあくまでも予算がついて、準備もあるかもわかりません。しかしながら執行していくについては、人と物とそろったときが平成二十六年の四月と解釈していくべきであると私は考えております。いくら事前の準備をしてもそれは準備行為であるのであります。
 それから総合計画の基本計画の検証でございます。理事からの三百六十八項目の百六十一項目、計画の実効性を高めていくということで、残りの半年の話がありました。よく四年間と言っておりますけれども、四年間は通常なら四十八カ月のことを言います。二十二年度は残念ながらどう計算したって一カ月しかありません。四年間、四年間と本来の四十八カ月をもって言えるのでしょうか。やはりそういうものについてはしっかりした期限を県民の皆さんに知らしめて言っていくべきであって、その短期間の中にできたという言い方を表現されたほうが誤解を招かないと思いますし、県民の皆様方は総合計画が確かに県民の県民のための県民による、公表されておりますけれども、いつからスタートするのかというのは、やはりはっきりした期日をもって従っていくべきだと私は解釈しますけれども、そういう表現について、どうなのでしょうか。
 それから、新たな行財政改革の大綱について先ほど達成度七六%、透明性を持って。そのとおりだと思います。三年で職員の九十八人ということですけれども、静岡県は市町への事業の権限移譲は四十七都道府県の中で一番だと聞いております。権限移譲をしたということは市町に交付金とかお金は行くわけですけれども、そこに事業がなくなるわけですから、そこの職員というのは当然ほかに回されるのだと思います。ですから九十八人をもって行財政改革の目標が百人のうちの九十八人だと言われるのもどうかという考え方を持っております。
 それから、財源について六百四十八億円を見出してきたということでございますけれども、事務事業の進行とそういうことは行財政改革の達成度ということの一つの目安になりますけれども、そこに職員というものが事業がなくなるわけですので、そういうものというのは当然少なくなって当たり前だと私は解釈しますけれども、その辺の考え方はいかがでしょうか。以上です。
○議長(中谷多加二君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 仁科議員の再質問にお答えいたします。
 再質問のうち、総合計画の現基本計画における年次についてでございますけれども、これは平成二十三年二月二十三日に公表いたしましたときに、おおむね十年の計画のうち最初の四年間、平成二十五年度三月三十一日までをもって四年のものをやり切るという、そういうお伝え方をしておりまして、したがってそのことにつきましては機会あるごとに申し上げてきたと。
 ですから、計算をなさいますと三年一カ月余ということになりますね。三年一カ月余で四年でやるという計画を前倒しして実行するということを常に申し上げてきたわけです。ですから四年は四年だということで算数で十二掛ける四、四十八月でやるというのはそのとおりなんですけれども、それ以内でやるということを申し上げてまいりました。そして残りの十年計画のうち十マイナス四の六年間の分は、平成二十六年の四月一日から私の任期の間にやってしまうということを申し上げているわけです。
 ですから、六年計画は六年でやれということではなくて計画は計画。その計画内容は私の任期中にやってしまうということを申し上げ、そして次の基本計画につきましては、これは今の基本計画が三月三十一日で終わりますから四月一日からということになるということで御理解を賜ればというふうに存じます。特段に難しい表現ではないというふうに感じておりまして、ただ県民にわかりやすく言うようにという仁科議員の御指摘は、これを拳々服膺いたしまして、なるべくわかりやすく、しかし前倒しということの意味もあわせて先生にも御理解いただいて、十年計画を結果的には六年数カ月でやるということなんです。そのつもりなんです。以上でございます。
○議長(中谷多加二君) 土屋経営管理部長。
○経営管理部長(土屋優行君) 新たな行財政改革大綱の策定につきましてのうち、先ほど申しました権限移譲につきましての百人はその中には百人の減、九十八人というのは権限移譲についてのものも全部含んでいるのかというお話。あるいは六百四十八億円というのが最終減であったならば人員はいかがかという御質問かと思いますが、それにつきまして御説明申し上げます。
 百人の職員削減の中には権限移譲の予定の人数というのも中には含まれてございます。というのは県の職員というのは、それぞれの業務を実行しておりまして、その仕事がなくならない限りはなかなか人としては効率化等だけでは減らないということがございまして、権限移譲についても人とお金、それを全体として各市町にお渡しをする。その権限移譲の人員につきましても百人の削減の中には含んでございます。そういう意味で三年間の九十八名の中には権限移譲でやったものが入っているということでございます。
 六百四十八億円の削減につきましても、事業削減と新たな需要が創設されたということもございまして、そのトータルの人員あるいはトータルの事業費というのを勘案しまして職員の削減に当たってございます。その結果三年間で九十八名の削減ができたというものでございます。以上であります。
○議長(中谷多加二君) これで仁科喜世志君の質問は終わりました。
 議事の都合により、休憩します。

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