本会議会議録


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令和2年12月静岡県議会定例会

森 竹治郎 議員(自民改革会議)の 一般質問 に対する答弁

(質問日:12/10/2020番目)
答 弁 者知事


○議長(山田 誠君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 本議会のトリを飾るにふさわしい誠に力強く、かつ名調子の森竹治郎議員の質問を謹んで拝聴をいたしました。地元下田の、また伊豆への愛情があふれ、またそれがしっかりとした統計、エビデンスに基づいての御質問であり説得力のものであり、感じた次第でございます。さらにまた決して読みやすいとはいえない私の書物も拝読賜りまして誠に恐縮でございますと同時に感謝を申し上げる次第でございます。御理解頂きまして誠にありがとうございました。
 まず、伊豆半島の観光振興についてお答えを申し上げます。
 ノーベル賞作家の川端康成さんが「伊豆序説」において、伊豆は詩の国である、伊豆は日本の歴史の縮図である、伊豆は南海の贈物である、伊豆は海と山の風景の画廊である、伊豆はそれ自体として一つの公園であると言われました。私はこの伊豆序説を知る前にいろいろな機会に外国を訪れる機会があって、そうした中で伊豆半島を改めて見直して伊豆半島は世界で最も美しい半島であるという確信をもって今日に至っております。いまや伊豆半島は、ユネスコ世界ジオパークの認定も受けた美しい自然、歴史、文化、景観に恵まれたまさに世界に誇る観光地域であります。地域を支える観光産業の早期回復に向けて感染防止対策の徹底と経済活動の活性化の両立を図っていく必要があります。
 このため、県では旅行者の皆様に安心して来訪していただけるように宿泊施設等が行う感染防止対策やその情報発信を支援するとともに、宿泊施設等の対策状況を県職員が直接確認する個別訪問を実施いたしました。その中で経営に関する不安の声を多数頂いたところであります。そこで希望する宿泊事業者に対し感染防止対策や経営に関する助言を行う専門家を派遣する事業を始めたところであります。今後も地域の皆様と協力しながら徹底した感染防止対策を行ってまいります。
 また、六月からは県独自の観光促進キャンペーン「今こそ!しずおか元気旅」を感染状況を踏まえ対象地域を段階的に拡大しながら展開してまいりました。十月に実施した県内宿泊施設へのアンケートでは、伊豆地域の約五割の施設が十月の売上見込みが前年を上回ると回答するなど本キャンペーンが伊豆半島の観光需要の回復に効果を上げたものと考えております。
 ウイズコロナ、アフターコロナの時代におきましては美しい自然環境や歴史的な古い町並みなど景観を生かした観光地域づくりが一層重要となります。それぞれの家や店はそれぞれ私的所有物でございますけれども、それは訪れる人にとっては公共財であります。そうしたことを意識したまちづくりが下田あるいは松崎で行われているのを、その地域の人々のレベルの高さというふうに敬服しているところでございます。周囲の景観と調和した質の高い観光施設の整備に市町と連携をしながら取り組んでまいりたいと思っております。
 また、DCキャンペーンの成果を踏まえた効果的な誘客に努めるなど旅行者の価値観の変化に対応し、アウトドアスポーツをはじめとした伊豆半島の豊かな自然を生かした開放感のある周遊型旅行商品の提供や新たな旅行形態として期待されている、いわゆるワーケーションを促進してまいります。
 さらに、観光分野におけるデジタル化を進め、現在開発中の観光デジタル情報プラットフォームを活用し旅行者のニーズに即した伊豆地域の観光情報を効果的に発信することで県内外の観光需要を確実に取り込んでまいります。
 引き続き地域の皆様と連携し、世界クラスの観光資源に恵まれた伊豆半島の美しい景観の中で多くの観光客をお迎えできるようハード・ソフトの両面から観光振興を図り、本県観光を牽引する伊豆半島の観光産業の早期回復と持続的な発展を実現してまいります。
 次に、漁業と林業の連携についてのうち、森は海の恋人の理念を踏まえた取組についてであります。
 古来、漁師の間では魚付林という言葉がございますように森と海とが深い結びつきにあることが経験的に知られております。森に雨が降り注ぎ陸上の物質が川などを通じて海に流れ出ることが海の生物の生産に影響していると言われております。
 畠山重篤さんは、自らその何が海の栄養分を作るか独学で極められてあの「森は海の恋人」を書かれました。反転させれば、実は海は森の恋人でもあります。相思相愛の関係になるということでございますが、畠山重篤さんの「森は海の恋人」という著書は宮城県気仙沼での経験をつづったものですがこれは森と山を結ぶ川、この関係があるところ全てに成り立つ原理を発見しておられます。したがって県議が言われましたように大井川についても、また富士川についてもこれは妥当する見解ということでございます。その考え方は森と海のつながりを考える上で大変貴重なものです。
 このため、本県の富士山や南アルプスから駿河湾に至る森から海におきましても同様のつながりがあると考えまして昨年七月、森林と海の生態系の関係を科学的に分析する「森は海の恋人」水の循環研究会を設置したところでございます。畠山さんには当研究会の初回に御出席を頂きまして、山と川と海の関係をきちんと形にすることは国土を形成する上で大変重要であり、日本の中心静岡からその取組を発信することは有意義であるという心強い御意見を頂きました。彼の発信力にも期待をしております。
 この研究会には、県内外の大学や研究機関において森林、海洋、水質などを専門に研究をされている委員に加え顧問として山梨県立富士山世界遺産センターの所長である秋道智彌先生にも御参加頂いております。駿河湾とそこに水が流入する富士川等の流域をケーススタディーとして、現在陸から海への栄養分などの物質移動と海での生物の生産との関係を解明するためのシミュレーションモデルの構築に取り組んでいるところです。
 来年度は、シミュレーションモデルを活用し森林など陸上の変化が海の生物の生産にどのように影響するかを分析するとともに、本県の豊かな環境を守り生態系の保全と持続可能な利用を図るための様々な施策につなげていく予定であります。環境、水産、森林、河川の関係部局が一体となりまして森は海の恋人の理念を具現化し、美しく豊かな静岡の海を後世に継承できるように取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長から御答弁を差し上げます。ありがとうございました

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