• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和5年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

木内 満 議員

質問分類

一般質問

質問日:

06/29/2023

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 逢初川土石流災害に端を発する盛土等への対策について
(1)静岡県盛土条例施行から1年間の状況と今後の対応
(2)工事現場等から発生する土砂の処理の適正化
(3)盛土規制法の施行を踏まえた盛土対策の方向性
2 本県の公教育について
(1)義務教育に対する課題認識と今後の方向性
(2)高校教育に対する課題認識と今後の方向性
3 インバウンド需要の取り込みに向けた県の役割について
4 夏山シーズンの富士登山者の安全確保について
5 オリンピックeスポーツシリーズ2023を契機としたeスポーツの取組強化とサイクルスポーツの聖地づくりについて


○議長(中沢公彦君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、四十三番 木内 満君。
       (四十三番 木内 満君登壇 拍手)
○四十三番(木内 満君) それでは、知事、副知事、関係部局長、教育長及び教育部長に一括質問方式で伺います。
 逢初川土石流災害に端を発する盛土等への対策について伺います。
 来週七月三日で逢初川土石流災害から丸二年が経過します。二十八名もの貴い人命と生活基盤が同時に奪われ生活再建への道のりはまだ見通せない状況にありますが、この災害の発生原因について県は昨年九月に最終報告をまとめ、盛土の崩落は、地下水が流れ込む場所に排水対策などが不十分な不適切な盛土が造成され大雨でさらに盛土内へ地下水が浸透したことが主因であると結論づけました。最終報告を待たずとも本災害の原因が不適切な盛土であろうという認識は広く共有されており、盛土規制の強化を求める声が県内外から広く上がり、これ以上不適切な盛土を本県内に行わせないという観点から速やかに規制を強化する必要に迫られ、静岡県盛土条例が制定施行され一年が経過しました。条例施行までの周知期間が短かったこともあり運用においては混乱も見られましたが、我が会派のプロジェクトチームの提言を受け運用面での改善が図られつつあると承知しています。
 まず、静岡県盛土条例施行から一年間の状況と今後の対応について伺います。
 逢初川土石流災害の発災を受けて我が会派から盛土条例の速やかな制定に合わせて盛り土一一〇番の設置について提案を行いました。これは県内の不適切な盛土と思われる行為について広く県民からの情報提供をまず県が一義的に受け取り、必要に応じて関係自治体、機関と連携して対応を行う仕組みとして提案したものです。一義的に県が対応窓口となることで多くの通報が寄せられ、今までのパトロール等だけでは把握し切れなかった不適切盛土の把握にもつながり一定の効果があると聞いています。
 一方、条例施行後から宅地造成事業の手続が盛土条例の影響で行き詰まっている、土壌汚染の調査に要する費用や時間が大きな負担となっている、窓口が県庁にしかなく申請が困難である等適切な事業実施が阻害されかねないといった懸念の声が多く寄せられました。我が会派の盛土条例プロジェクトチームの提言を基に運用の改善は図られつつあるものと承知していますが、適法、適切に事業を行う事業者の事業実施を阻害しない運用が引き続き求められます。また条例の施行に伴い土砂基準の厳格な審査が浸透し、残土処分費の大幅な上昇により各種工事に影響が出ているという声も寄せられています。これらを踏まえて伺います。
 盛土条例の施行から一年経過し本県における盛土行為の適正化の状況はどう変化したのか、現状認識をお答えください。また現行の盛土条例の運用から派生した諸課題について県としてどのように認識し今後改善を図っていくのかお答えください。
 次に、工事現場等から発生する土砂の処理の適正化について伺います。
 逢初川土石流災害の際には流出した土砂から基準値を超えるフッ素が検出されました。また土砂とともに流出したと見られる自動車の残骸なども土中に埋められていた可能性があります。さらに昨年の十月には起点部残土から基準値を超える鉛とフッ素が検出されました。逢初川土石流災害の原因となった盛土はただの盛土ではなく産業廃棄物が混在した土砂だったことは、県の盛土条例において環境上の基準が盛り込まれた背景の一つになっていると理解しています。
 伊豆市の平和寺に積まれた土砂にも大量の廃棄物が混入していました。当時雨の降った後には周辺の森林に流出した土砂から異臭がするなど周辺の環境に多大な影響を与えたという声も直接耳にしてきました。私の住む富士山麓等でも不適切な盛土の中に廃棄物が混入している事例があると耳にします。こうした廃棄物混じりの盛土の発生をたどると多くは建設現場や解体現場などから出る土砂になると考えられます。本来こうした廃棄物混じりの土砂の発生は、諸法令に照らせば行為者の責任として生じさせてはならないものであるはずです。発生時点で厳格に分別が行われ適法、適切に処理が行われていれば、適法、適切な開発を行おうとするものが過剰なコストを負担する必要などないのです。本来コストを負担すべき当事者がコストを負担していないことのツケが社会全体に負担させられている状況にあり、盛土条例で出口を規制するとともに入り口である建設現場等から発生する土砂等を適切に処分していかない限り県民の安全と環境を守ることは困難になります。
 こうした観点から、県は現在の工事現場等から発生する土砂の処理の適正化について今後どのように取組を強化していくのか、所見を伺います。
 盛土規制法の施行を踏まえた盛土対策の方向性について伺います。
 国の盛土規制法が本年五月二十六日より施行されました。国の盛土規制法は、全国一律に厳格な規制を課すものですが、経過措置期間である施行から二年間令和七年五月までの間に規制区域を指定し盛土規制を適用していくこととなります。運用開始までのスケジュールとして例えば、広島県は政令市と中核市を除く全域を指定区域として本年九月から運用を開始するとの方向性を示しており一部からは静岡県の対応は遅いのではないかと危惧する声も耳にしますが、一方で拙速な運用開始は大きな混乱を生じさせる懸念もあります。また関係する自治体の動向も踏まえ適切な時期を捉えて運用を開始するという視点も必要になると思われます。
 盛土規制法は、盛土条例に比べて規制が強化されることから盛土条例の施行開始時に生じたような混乱を可能な限り回避するため関連業界へのヒアリングや調整を丁寧に行っていく必要もあり、盛土規制法の運用開始に向けて県の果たすべき役割は大きなものがあります。
 また、盛土規制法と盛土条例の規制が重複することからどのように整合性を取っていくのかについても早期に方向性を示し広範な議論を行っていく必要があります。不適切な盛土の発生抑止は今まで以上に強化しつつ適法、適切に開発を行う事業者には円滑な手続が提供されるよう、最低限の規制になるような制度設計が必要です。
 これらを踏まえ伺います。
 盛土規制法に関する規制区域の指定の準備状況や運用開始に向けた方向性についてお答えください。また盛土規制法と盛土条例の整合性を担保しつつ過度な規制にならないように県としてどのような方向性を持って検討を行うのかお答えください。
 次に、本県の公教育について伺います。
 池上教育長が就任し一年以上が経過しました。この質問は、教育長が現在本県の義務教育及び高校教育にいかなる問題意識を有し、そして今後どのように本県教育を導いていくのかを率直に問うものであります。
 私には学齢期の子供がおり地元の公立小中学校で学んできました。私が小中ともPTA役員を務めていたこともあり自然と小中学校での出来事、高校進学の進路選択に関することなど児童生徒や保護者の率直な意見、感想を耳にする機会が多くあります。学齢期の保護者の当事者としての感想を交えながら私なりの学校教育に対する課題を提起しつつお伺いします。
 まずは、義務教育に対する課題認識と今後の方向性について伺います。
 昨年十二月議会でも多様な学びの確保についてとして不登校児童生徒数が過去最多を記録したことについて取り上げました。不登校児童生徒数は、中学生では五・八六%もの割合になり学校に適応できないごく一部の生徒の問題というレベルではなく一定割合の児童生徒から学校に突きつけられたノーの意思表示として受け止めるべき数字です。
 しかもこの不登校児童生徒数は、文部科学省の定めた三十日以上欠席しているという定義によるもので、二〇一八年に日本財団が行った不登校傾向にある子供の実態調査では保健室や校長室には行くが教室には行かない教室外登校や教室には来るものの授業への参加が限定的な部分登校、そして教室では過ごすものの心の中では学校に通いたくないと感じている仮面登校まで含めた不登校傾向にある子供の数は、顕在化している不登校児童生徒数の三倍もの数になると指摘しています。
 こうした子供たちを生み出している要因について文部科学省の分類により大きく学校に係る状況、家庭に係る状況、本人に係る状況として把握していますが、多くが本人に係る状況に分類される無気力・不安で片づけられており、学校に対して無気力な姿勢を生み出している背景には全く迫ろうとしていないと言えます。
 学校側からの把握による不登校の要因に対し、児童生徒側から不登校になった理由を調査したのが不登校児童生徒の実態調査です。その調査によると最初に行きづらいと感じ始めたきっかけでは小学校において先生のこと(先生と合わなかった、先生が怖かった、体罰があったなど)が最多の二九・七%となっており、教師の関わりが主要な要因の一つとなっていることが分かります。
 先日、静岡市の学校において粘着テープで児童を椅子に固定するという不適切な指導が行われていたと報道されました。私はこの報道を耳にし、とんでもない先生がいたというより学校現場で数多く行われている不適切な指導の一端がたまたま表出しただけという感想を持ちました。この程度の指導は私が小中学生時代も度々目にしたことがありますし、程度の差こそあれ今も児童生徒や保護者から聞く学校現場の様子からうかがい知る話から全く想像できないというものではありません。体罰やわいせつといった行為は当然処分の対象ですが、児童生徒の心を傷つける違法ではないが不適切な指導は依然として学校現場にはびこっています。
 そのことを指摘した本が東京都の現役の教員で公認心理師でもある川上氏が書いた「教室マルトリートメント」という本です。マルトリートメントとは広い意味での子供に対する不適切な関わりとして使われていますが、同書では教室内で行われるネグレクトや心理的虐待に当たる不適切な指導を教室マルトリートメントと呼び警鐘を鳴らしています。
 具体例には、勝手にすれば、さよなら等の見捨てる言葉や、特定の子に対し指名を避けたり励ましや称賛をしないといったネグレクトに類似した関わりや、やる気がないなら出ていきなさいといった本来の意図と違う言葉で顔色を読ませる、幼稚園から来たのかなどの人格を尊重しない言動などの心理的虐待に類似した関わりなどが挙げられますが、多くは指導の範疇として今なお教育現場で横行しています。こうした不適切な関わりの蓄積が不登校や不登校傾向の子供を生み出しているのは明らかではないでしょうか。
 毎年最多を更新し続ける不登校対策として静岡県教育委員会の取組を尋ねたところ、居心地のよい学校づくり推進事業として三年間かけて県内の二市で調査研究を行いその後県下に周知するということですが、非常にのんきな取組だと感じました。義務教育は市町教育委員会が設置者として責任を負うものですが、実態の把握や学校の評価、教師の資質向上など県が主体的に役割を担うことで義務教育全体に影響を与え得る力があります。
 池上教育長が今後静岡県の義務教育においていかなる問題意識を有しそして今後いかなる方向性をもって取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次に、高校教育に対する課題認識と今後の方向性について伺います。
 私の地元富士の富士宮地域では長年、県立富士高等学校が地域の進学校として認識されとりわけ理数科は地域最難関として知られてきましたが、今年普通科が第一志望だが理数科に合格したという話を聞き驚きました。それもそのはずで昨年の富士高理数科の最終倍率が〇・九三%と定員割れを起こしている状況でした。
 今、県立高校は存在意義や役割をめぐって大きな岐路に立たされていると感じています。私の母校の中学校では、将来大学進学を希望する生徒の進路が公立高校から私立高校に明確にシフトしています。高校の授業料実質無償化の影響もあるとは思いますがそれ以上に私立高校の学校の特色づくりや指導力の向上といった個々の努力の成果だと感じているのは私だけでしょうか。
 一方で全国的な傾向として私立通信制高校を選ぶ生徒数が右肩上がりで増加しています。しかも消極的な選択というより積極的な選択として私立通信制高校が選ばれつつある傾向が見てとれます。自分のペースで最先端の学びを受けられることや意味の分からない学校文化を押しつけられないことも大きな要因となっているようです。
 近年、頭髪の強制などいわゆるブラック校則に対する批判の声が高まっています。文部科学省は二〇二二年十二月に生徒指導に関する教職員向けの手引書「生徒指導提要」を改訂し校則に関し「校則に基づく指導を行うに当たっては、校則を守らせることばかりにこだわることなく、何のために設けた決まりであるのか、教職員がその背景や理由についても理解しつつ、児童生徒が自分事としてその意味を理解して自主的に校則を守るように指導していくことが重要」で、そのため校則の内容についてふだんから学校内外の関係者が参照できるように学校のホームページ等に公開しておくことや、児童生徒がそれぞれの決まりの意義を理解し主体的に校則を遵守するようになるため制定した背景等についても示しておくことが適切であるとしていますが、静岡理工科大学の二〇二二年の調査によれば公開率は三・三%とほぼ公開されていないようです。
 こうした事象から私が感じることは、県立高校が社会から隔絶された学校文化の中だけで物事を考えているということです。県立高校が社会から必要とされる人材の育成を真に希求するのであれば社会の変化を敏感に捉え社会に開かれた学校づくりをしていくことが重要だと感じました。そうした方向性が明確に示されているとは感じられません。
 池上教育長は、大学の教員という経験と知見から既存の学校文化にとらわれない視点でのリーダーシップが期待されて起用されているものと承知しています。教育長就任から一年が経過し池上教育長ならではの視点から静岡県の高校教育においていかなる問題意識を有し、そして今後いかなる方向性をもって取り組んでいくのか、所見を伺います。
 インバウンド需要の取り込みに向けた県の役割について伺います。
 世界的にコロナの流行が収束し日本に向けた個人旅行が全面的に解禁されたのが昨年十月、コロナが二類から五類になった五月八日以降と、日に日に本県に訪れる観光客の数は増えているような気がします。特に目につくようになったのが外国人観光客です。観光関係者や飲食店等からも最近外国人観光客がよく来るような気がするよと声を多く耳にするような気がします。コロナ前に比べて韓国、ベトナム、フィリピンといったアジア諸国の旅行者も増加したような気がするし、と欧米からの旅行者も増加しているような気がするという声も耳にします。
 私も気になって調べてみました。その中には幾つかの県内観光、とりわけ富士山観光の増加を後押しするような情報が幾つか見つかりました。
 一つは、グルメガイドで知られるミシュランが発行する観光ガイドブック「ミシュラン・グリーンガイド」です。実は最新版の第六版に我が町富士宮の富士山観光資源である浅間大社と白糸の滝が二つ星で新規掲載となっていたのです。しかし同ガイドが改訂されたのは世界的コロナ大流行が始まった二〇二〇年でした。いやむしろだからこそ行ってみたいという思いを募らせた外国人が多く富士山に訪れているような気がします。
 他にも見つかりました。世界的な個人旅行ガイドブックであるロンリープラネットが一月に発表した記事日本で訪れるべき場所トップテンの第四位に「Mt Fuji」の名を見つけることができました。世界的にコロナ明けに旅行したい国ナンバーワンの国、日本の中で名立たる観光地を抑えて四位にランクインしていることは少なからず影響があるような気がします。
 インバウンドの需要取り込みは、あまり適切ではない例えかもしれませんが一本釣り漁に似ていると思っています。出身国、ニーズなどどこにどのような旅行者動向があるのか、すなわち魚群があるのかが分からなければ適切な仕掛けでニーズを取り込むことはできません。ここまであえて気がするという表現を連発してきましたが、これが気がするではなくデータでいち早く動向をつかみ確信に変えることができればどれほどのビジネスチャンスがあることでしょうか。
 多様化するインバウンド需要を取り組んでいくためには県はまさにここで示した魚群探知機のような役割を果たすことが重要と考えますが、データを活用したインバウンド需要の取り込みに関する県の所見を伺います。
 夏山シーズンの富士登山者の安全確保について伺います。
 六月七日付の静岡新聞が「富士山世界遺産十年 開山まで一カ月 山小屋早くも満員続出 定員減背景「弾丸」増に懸念」という見出しで今年の夏の富士山の状況について報じています。コロナ禍で定員を縮小した反面、今年の夏山シーズンに向けては海外からの予約が殺到し既に満員状態の山小屋もあると聞いています。山小屋に宿泊できないことから弾丸登山者の増加も懸念され、さらに外国人人気の高まりから今まで以上に登山者の安全確保が困難になる夏山シーズンになることが予想されています。
 山梨県側では六月十二日に地元市町と富士山吉田口旅館組合などが連名で県知事に宛て登山客数の制限を求める要望書を提出するなど登山者の安全確保に対する危機感は、非常に高まっています。
 静岡県は、この夏の富士山夏山シーズンの安全確保についてどのように対応する方針を持っているのか、所見を伺います。
 最後に、オリンピックeスポーツシリーズ二〇二三を契機としたeスポーツの取組強化とサイクルスポーツの聖地づくりについて伺います。
 今月二十二日から二十五日まで国際オリンピック委員会が主催するeスポーツのイベントであるオリンピックeスポーツウイークがシンガポールで開催されました。同イベントは、オリンピックムーブメントにおけるeスポーツの発展を支援し競技ゲームコミュニティーとの関わりを深めることを目的としたイベントでダンスセーリング、アーチェリー、サイクリング、テニス、射撃、チェス、野球、モータースポーツ、テコンドーの十種目が開催されました。国際オリンピック委員会はeスポーツについてオリンピックムーブメントの位置づけを徐々に高めてきており、本県で自転車競技が開催された東京二〇二〇オリンピックにおいては開催に先駆けた二〇二一年五月十三日から六月二十三日にかけてオリンピックバーチャルシリーズが開催され野球、サイクリング、ボート競技、セーリング、モータースポーツの五種目が開催されました。eスポーツがオリンピックムーブメントの一つとして位置づけられリアルなイベントも開催されるようになったことで、将来的にeスポーツがスポーツの一分野として位置づけられる潮流は確かなものになりつつあります。またeスポーツの認知度向上に伴い、イベントに伴う経済効果やPR効果も高まってくることが予想されます。
 これらの状況を踏まえ、県においても今まで以上にeスポーツの振興やイベントの誘致等に積極的に取り組んで行く必要があると思いますが県のeスポーツに対する取組について、所見を伺います。
 また、eスポーツと言えばコントローラーを通じて行われるいわゆるゲームに分類されるものがイメージされると思いますが、プレーヤーが実際に体を動かし実際のスポーツのパフォーマンスと連動してアバターを通して競技を行うバーチャルスポーツに分類されるものもあります。くしくもそのバーチャルスポーツの分野で最も再現度が高いと言える分野が自転車競技です。自転車競技のバーチャルプラットフォームであるZwiftは、二〇二一年のオリンピックバーチャルシリーズでも本年のオリンピックeスポーツウイークでも競技として採用されています。仮想空間内に東京二〇二〇オリンピックのコースなどが再現され世界中の自転車愛好家にプレーしてもらうことができれば、自転車の聖地づくりにも一役買うことができるのではないかと期待します。
 こうしたバーチャルスポーツを活用した自転車の聖地づくりについての県の見解を伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(中沢公彦君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 木内議員にお答えいたします。
 逢初川土石流災害に端を発する盛土等への対策についてのうち、静岡県盛土条例施行から一年間の状況と今後の対応についてであります。
 逢初川土石流災害のような災害を二度と起こさない決意のもと、盛土規制を強化したことにより不適切盛土の是正について大きな効果を上げていると認識しております。昨年七月の条例施行に合わせ設置いたしました盛り土一一〇番により、不適切盛土の情報を広く把握することが可能となりました。六月二十日時点の累計で百六十六件の通報を頂いております。
 通報を受け向かった現場において十九件の不適切盛土を新たに確認し全て是正指導を行うことで、直ちに土砂の搬入を停止させるなど不適切な盛土行為を阻止することができております。またこの条例施行を契機に市町及び警察とのさらなる連携強化を図っており、悪質な事業者への対応として昨年九月の富士宮市の事案のように検挙につながった事例も見られました。特に富士山麓周辺では複数の市町や建設関連団体から大規模に行われる不適切な盛土が減っているとの声を頂いており、条例による抑止効果が現れていると捉えております。
 一方で盛土条例につきましては、自民改革会議の皆様などから運用面での課題などについて御指摘を頂いており、条例の目的を損なうことなくより円滑に施行できるよう運用の見直しを進めております。今年四月には土壌分析調査について土地の利用履歴による調査で代替できるようにする見直しや、県内八土木事務所への申請窓口の設置を行うなど速やかに改善を図ったところでございます。
 適切に事業を実施している皆様の御意見にも留意し、引き続き運用の改善を図り条例の目的が十分に果たされるように努めてまいります。
 その他の御質問につきましては副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を差し上げます。
○議長(中沢公彦君) 出野副知事。
       (副知事 出野 勉君登壇)
○副知事(出野 勉君) インバウンド需要の取り込みに向けた県の役割についてお答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症が五類に移行し社会経済の正常化が進む中、急速に回復するインバウンド需要の確実な取り込みに向けては議員御指摘のとおり旅行者データを収集、分析し施策の実効性を高めていくことが不可欠であります。
 このため県では、昨年度県観光協会と協力し国の観光予報プラットフォームの宿泊データを活用して市町単位で来訪者の居住国、年齢、性別等の属性や宿泊単価、宿泊日数を可視化できる静岡県データ分析プラットフォームを整備し、市町やDMOに分析結果を紹介するワークショップを開催いたしました。また今年度は、県観光協会が国の補助事業の採択を受け訪日観光客の位置情報を基に人流データを収集する予定であります。将来的にはこのデータを先ほどの静岡県データ分析プラットフォームに取り込み、宿泊と人流の両面においてインバウンドデータの充実を図ってまいります。
 加えて、多言語に対応した県の観光アプリTIPSから得られる旅行者データも活用して訪日観光客の周遊分析を行い、その分析結果に基づく誘客施策の立案につなげてまいります。八月をめどにモデル市町を十程度選定し、データサイエンティストの専門家が伴走支援を行いながらデータ活用の普及を促進してまいります。
 また、海外旅行ニーズを的確に把握するため海外駐在員事務所や静岡ツーリズムビューローが現地旅行会社へのヒアリングや観光展への出展を通じて現地の生の声を拾い国・地域の特色やニーズに応じたセールス活動に取り組むほか、県内観光事業者等にも情報提供を行ってまいります。
 県といたしましては、県観光協会と連携して訪日観光客の旅行者データの収集や分析体制の整備充実を図るとともに、市町や事業者等の積極的なデータ活用の取組を支援することで観光分野におけるデジタル実装の一層の強化を図り、インバウンド需要の取り込みにつなげてまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 勝又交通基盤部長。
       (交通基盤部長 勝又泰宏君登壇)
○交通基盤部長(勝又泰宏君) 逢初川土石流災害に端を発する盛土等への対策についてのうち、工事現場等から発生する土砂の処理の適正化についてお答えいたします。
 工事現場で発生する土砂などの建設副産物は再生資源と廃棄物に分別することが事業者の義務であり、公共、民間工事を問わず廃棄物は法令に基づき適切に処理することとなっております。また土壌汚染に関しては、法律に定める要件に応じあらかじめ汚染の有無を確認した上で工事を進めております。
 適切な分別の実施については、県において昨年国が作成したチラシを配布し関係団体等へ周知しました。土壌汚染の適正処理についても、資源有効利用促進法の政省令の改正により土砂搬出先の明確化や発注者への説明の義務づけが強化されたことから、関係団体等に制度の周知や指導をしてまいります。
 一方、再生資源として分別された建設発生土については建設発生土の処理に関する基本方針に基づき適正に処理し有効利用を推進しております。
 県といたしましては、適切な分別を監視するため関係機関と連携して工事現場へのパトロールを強化するとともに、産学官で構成するみらいの県土研究会を通じて工事現場から発生する土砂処理の適正な取扱いを関係業界全体で徹底してまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 高畑くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 高畑英治君登壇)
○くらし・環境部長(高畑英治君) 逢初川土石流災害に端を発する盛土等への対策についてのうち、盛土規制法の施行を踏まえた盛土対策の方向性についてお答えいたします。
 盛土規制法に基づく規制区域につきましては、盛土等に伴う災害が発生するリスクを想定し地形や地質、土地利用の状況等に関する基礎調査を行いその結果を踏まえて指定することが法に定められており、県では六月から調査に着手しております。
 区域の指定に当たりましては、現行の盛土条例が県内全域を規制対象としていることや規制が弱い場所が不適切な盛土の温床となりかねない状況、区域指定に関する国からの助言などを踏まえ規制区域の指定を行う県内の政令市や隣接する県との調整も図りながら検討してまいります。できるだけ早期に規制区域の指定を行うよう努めてまいりますが、法律の内容や区域指定の考え方に関しまして市町や関係団体、県民の皆様へ十分に時間をかけて丁寧にお伝えしてまいります。
 盛土規制法と盛土条例の整合につきましては、災害防止の観点からは国が示す法の規制の基準が基本となってまいります。条例施行後の不適切な盛土の状況、条例の運用実績、関係の皆様からの御意見を踏まえ、生活環境の保全の観点も踏まえ法と条例の両輪で効果的な盛土対策が行えるよう検討してまいります。
 県といたしましては、盛土規制法と盛土条例の適切な運用に努め県民の皆様の安全と安心の確保に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 池上教育長。
       (教育長 池上重弘君登壇)
○教育長(池上重弘君) 本県の公教育についてのうち、義務教育に対する課題認識と今後の方向性についてお答えいたします。
 私は学校現場を数多く訪れ未来に向けて大きく成長しようとする子供たちを後押しする教員と接する中で義務教育における教員の果たす役割の重要性を改めて実感いたしました。
 教育の場において最も重視すべきことは、児童生徒が安心して学び保護者や地域の皆様から信頼されることであり、そのためには教員と児童生徒との信頼関係が不可欠であると認識しております。議員御指摘のように子供たちが教員の暴言で深く傷つくことは、決して許されるものではありません。言葉による暴力は、体罰と同様人権感覚の欠如が招くものであり迅速な対応が必要であります。
 具体的には、体罰や暴言などの不適切な指導について教職員が自分事として捉え考えることができるように、教職員のためのハラスメント対応ブックや人権教育の手引を活用して少人数でのグループディスカッションを継続して行うよう臨時の市町教育長会、校長会において私自らが言葉で伝えました。
 また、体罰や不適切な言動の根絶に向けてこれまでにないガイドラインを新たに定め、そのエッセンスをリーフレットにまとめて広く県民の皆様に周知してまいります。教職員、児童生徒、保護者、地域住民の人権意識のよりどころとなるリーフレットにすることで人権感覚の欠如によって引き起こされる不適切な指導やいじめ等があった場合、その不適切さを誰もが判断でき指摘し合える教育環境を確立してまいります。
 これらの取組に関して県教育長として可能な限り対面により教職員や地域の方に人権意識の高揚を呼びかけることで、関係者の士気を高めてまいりたいと思います。
 県教育委員会といたしましては、教職員が高い人権意識のもと、子供たちが安心できる学校づくりに積極的に取り組み児童生徒一人一人の充実した学びを保障してまいりたいと考えております。
 次に、高校教育に対する課題認識と今後の方向性についてであります。
 高校で学ぶ目的は、知識や技能を身につけること、より偏差値の高い大学に進学することという考え方もあり得ます。しかし私は、高校の存在意義や役割はそれらにとどまらず生徒が社会にコミットすることにより学んだことが実際に生きる、ここで学んでよかったと皆が実感してくれる、そんな学びの場を提供することであると捉えております。
 こうした学校づくりに向け教育長就任後、本県教育の基本的な方向性として探究的な学びを掲げることといたしました。教室で得た知識が社会にどう生きているか探究の場で確認し、またそこで気づきを得て教室での理解をさらに深めるという相互補完的なプロセスを展開することでより精度の高い学びにつながります。オンリーワン・ハイスクールで探究に取り組み大学進学率が向上した学校もあり、その有効性は徐々に認知されつつあります。
 また探究は、議員御指摘の社会から隔絶された学校文化の変革にも通じると考えます。地域、企業をはじめ様々な主体が学校と日常的に接することから社会に開かれた学校づくりにつながるとともに、教員にとっても主体的、協働的な学びへの転換が求められ、上下関係ではなく生徒の自主性を尊重する伴走者として意識の変革も促されます。
 現在、教員や地域がつながる探究オンラインプラットフォームの構築、最も洗練された探究プログラムである国際バカロレアを導入するふじのくに国際高校の開校などに着手しており、今年度策定予定の高校の在り方に関する基本計画もこうした理念を実現するものとしてまとめてまいります。
 今後の社会で求められる学びの方向性を教員や生徒と共有し、学校の本質的な変革につなげていけるよう県教育長としてリーダーシップを発揮し全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 村松スポーツ・文化観光部長。
       (スポーツ・文化観光部長 村松毅彦君登壇)
○スポーツ・文化観光部長(村松毅彦君) 夏山シーズンの富士登山者の安全確保についてお答えいたします。
 今年の夏は、登山者の大幅な増加が予想され弾丸登山による遭難事故の発生が懸念されております。登山者の入山規制については課題も多く綿密な議論を要するため、今シーズンは二つの観点から安全対策に取り組んでいるところであります。
 一点目の事前啓発については、国や山梨県と共同運営する富士登山オフィシャルサイトに特集ページを新設したほか、旅行業者やスポーツ用品店へチラシを配布し弾丸登山や日帰りの軽装登山の危険性に関する情報等を重点的に発信しております。また初心者や外国人登山者を対象に富士山特有の気象条件などに関する知識や、登山に必要な装備について分かりやすく解説した啓発動画を新たに制作しSNSなどで配信してまいります。
 二点目の現地での対応については、登山道での混雑緩和と事故防止のため八合目から上の区間において安全誘導員をコロナ禍前の令和元年度の三人から五人に増員いたします。また民間事業者と連携して新たに登山道に気象観測計を設置し、得られたデータをツイッターや各登山口に設置する大型モニターにより随時配信することで登山者への注意喚起を促してまいります。
 コロナ禍が明けた今年は、登山者の動向予測が難しくなっております。開山中も迅速かつ弾力的に対応できるよう関係者一丸となって安全対策に万全を期すとともに、今シーズンの課題を踏まえ安全で快適な富士登山の在り方について山梨県をはじめ関係者と議論を深めてまいります。
 次に、オリンピックeスポーツシリーズ二〇二三を契機としたeスポーツの取組強化とサイクルスポーツの聖地づくりについてであります。
 eスポーツは、国体文化プログラム県予選をはじめ来年二月には袋井市において民間主催のイベントが予定されるなど近年数多くの国際大会や国内大会が開催されております。また国においてもオリンピックの選手強化に向けた検討が始まるなど急成長分野であると認識をしております。
 県では、こうしたeスポーツの動向について情報収集するとともに、県民への周知等を行っております。今後は様々な関係者との連携を強化し大会等の誘致にも取り組み、地域の活性化につなげてまいります。
 次に、eスポーツの中でもとりわけバーチャルサイクリングにつきましては本県が進めるサイクルスポーツの振興に大きく寄与するものと考えております。
 県では、令和元年度から本県のサイクルルート等を実写で取り入れたアプリを活用して世界のサイクリストに富士山や駿河湾を望む魅力あるルートを体験していただいているほか、台北サイクル等の国際展示会においてアプリによるレースなどを開催しております。
 今後もルートの追加を関係者に働きかけるとともに、国内外のサイクルイベント等で積極的にPRすることでバーチャルサイクリングを通じて本県の魅力を発信しインバウンド需要等を取り込んでまいります。
 県といたしましては、eスポーツを活用して地域の活性化に取り組むとともに、バーチャルサイクリングをきっかけとして自転車競技人口の増加や国内外からのサイクルツーリズムの受け入れ拡大などにつなげ、サイクルスポーツの聖地を目指してまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 木内 満君。
       (四十三番 木内 満君登壇)
○四十三番(木内 満君) それぞれ御答弁頂きありがとうございました。
 それでは、意見を申し上げさせていただきます。
 まず、公教育に関して池上教育長に申し上げます。
 御自分の言葉で方針を語っていただいたという実感はあります。その点については大変ありがたく質問の趣旨を受け取ってもらったと思っておりますが、内容に関しては私としてはまだ不満があるなと感じています。
 まず、義務教育についてでありますが子供が安心できる環境そして学校との信頼関係が構築されている、それが最大である、その点については私も同意見であります。しかしでは今、一体どの程度信頼されているのか、どの程度安心感を持って学校に通えているのか、一方逆にどの程度の不安感や不信感を抱いているのか、まずその実態の把握から始めていただきたいというのが要望であります。
 そしてまた、解決策についても意識の高揚や教育のみによってそれが達成できるとは私は思っておりません。池上教育長、様々現場に行かれるとは思いますがそこで目にする熱意あふれるすばらしい先生方は池上教育長が来るから用意された姿であって決してそれが実態を反映しているわけではないと思っています。優秀で熱意ある先生方と同じぐらい子供に害悪を与え続けている先生もいますよ。
 私はそもそも学級担任制や一斉授業という今までの学校の在り方、今年私、地元の小学校の百周年の記念誌を編集しながら百年前から写真等を見ていますとその頃から変わらない学校の姿があります。でもそれ自体が既に時代遅れかもしれないと。そこのレベルから改めて考え直していただきたいなと思うのが義務教育に対する私の意見であります。
 高校教育に関しても進学だけが全てではないというのはおっしゃるとおりです。では静岡県の高校教育がどの程度の教育力を発揮できているのかお調べになったことがありますか。私も今回それが分かるのかどうか。例えば大学で言えば国際的にも認知されているタイムズ・ハイヤー・エデュケーションのような教育力を測る指標があります。しかし高校についてどの程度高校がその教育力を発揮できているのか、そのことを改めてちゃんと見える化するところから始めないと私は真の高校教育の改革にはつながらないのではないかなと思っております。その二点私からお願いをさせていただきます。
 そして、盛土条例と盛土法に関することですが、今回改めて当初からの経緯を振り返るような質問をしたのは、まず盛土条例に関しては熱海の土石流災害から緊急的に穴を閉じなければいけないという中で発生したニーズに基づいた条例制定だったと私は考えています。決して恒久的な制度として今の条例が最適であるとは考えていません。
 盛土法は、その権限を県と政令市それぞれが主体者となって行うというように明確に今の盛土条例と立てつけが変わってきています。盛土法の施行に伴う盛土条例の改定に当たっては、当然に政令市は政令市の独自のルールに基づいて県は県のルールに基づいて、それぞれ規制区域を制定することになると思っています。そこに合理性のない大きな網をかけ続けることは許されざることだと思っています。
 また、汚染土等の問題についても入り口でしっかりとそれを分別したりリサイクルに回すのであって、一律出口で規制するというのも本来の諸法令に準じた形ではないと思っています。入り口でしっかり汚染を取り除き政令市と県の権限を分けた条例改正が望まれるということだけ最後に申し上げておきます。以上です。(拍手) 
○議長(中沢公彦君) これで木内満君の質問は終わりました。
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp