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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和3年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

四本 康久 議員

質問分類

代表質問

質問日:

09/29/2021

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について
 今後の財政運営
 有事を想定した医療提供体制
 リニア中央新幹線整備
2 土砂災害への対応について
 復興まちづくりの支援
 土砂の発生源対策と環境を守る観点からの条例改正
3 次期総合計画について
4 新ふじのくに物流ビジョンの推進について
5 富士山について
 富士山の火山防災対策
 来夏に向けた富士登山の安全対策
6 新たな過疎対策の方針について
7 富士川の水環境保全への取組について
8 医療的ケア児への対策について
9 コロナ禍における雇用対策について
10 ジビエの消費拡大への対応について
11 スマート畜産について
12 コロナ禍における学びの継続について
13 歩行者の交通事故防止対策について


○副議長 (竹内良訓君)  ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、 三十二番 四本康久君。
        (三十二番 四本康久君登壇 拍手)
○三十二番 (四本康久君)  私は、 ふじのくに県民クラブを代表し当面する県政の諸課題につきまして通告に従い知事、 副知事、 関係部局長並びに教育長、 教育部長、 警察本部長に一括質問方式にてお伺いいたします。
 熱海市の土石流災害の発生から間もなく三か月がたとうとする中、 今回の災害により命を落とされた方々や現地での復旧作業に従事され事故で亡くなられた作業員の方へお悔やみを申し上げますとともに、 被災された皆様方には心よりお見舞いを申し上げます。 また一日も早い熱海市の復興を願うものであります。
 それでは質問に入ります。
 初めに、 知事の政治姿勢についてのうち、 今後の財政運営について伺います。
 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、 県では感染症対策をスクランブル体制で実行するため切れ間なく予算編成を行ってきました。 昨年から今回提案された九月補正予算までの予算編成回数は知事の専決による補正予算も含め十五回に及び、 感染症関連予算は総額で二千八百八十四億円にまで達しています。 これは、 これまで本県が直面したことのない未曽有の事態に対し県当局が前例にとらわれず迅速かつ機動的に対応した結果であり評価するものであります。
 これらの予算編成に当たっては新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金などの国庫補助金を最大限活用しているものの、 対象とならない経費については一般財源も活用し必要な対策を講じてきています。 また歳入面では根幹である県税収入が令和三年度当初予算において前年度を四百億円下回るなど感染症の影響が如実に表れている中、 新たな変異ウイルスによるさらなる感染拡大も懸念され今後の県税収入の見通しは引き続き不透明であります。
 さらに、 活用可能な基金の残高は九十二億円まで減少し感染症対策や災害対応など今後の財政需要に対し柔軟に対応できるだけの余裕はなくなりつつあり、 県の財政状況は極めて厳しい状況にあると考えます。
 一方で、 来年度からの次期総合計画において知事が掲げるポストコロナ時代を見据えた誰一人取り残さない富国有徳のふじのくにづくりを推進するためには、 その政策と連動した新たな事業を実行するための財源が必要となります。
 六月定例会において我が会派の佐野議員の質問に対して知事から、 創造的破壊の精神で聖域を設けることなく徹底した事業見直しを進め所要の財源を捻出するとの答弁がありましたが、 財政状況が迫する中で必要な施策を実行するためには知事のおっしゃる聖域なき事業見直しは避けられないと考えます。
 そこで、 今後の感染症対策や次期総合計画に位置づける施策を実施していくための財源確保をどのように進め健全な財政基盤を取り戻していくのか、 知事の考えを伺います。
 次に、 有事を想定した医療提供体制について伺います。
 新型コロナウイルス感染症対策では病床の確保が最も重要な課題です。 これまでの第三波での約四百二十床から第五波では約七百二十床と、 第三波からの三百床増加に半年以上の時間がかかりました。 特に第五波では感染症法に基づき知事から県内全病院に対して病床確保要請を出すという手段まで取られたところです。
 病床確保の課題は全国的に発生しており、 人口当たりの病床数が世界一の日本でなぜ苦労するのか様々な要因が指摘されています。 国内では中小規模の病院、 特に二百床未満の病院が約七割を占めており、 医療人材が広く薄く個々の病院に分散され医療資源の集中的な投資が難しい状況です。 また圧倒的に民間病院が多く政策的な役割を果たす公立病院が少ないことも要因です。
 こうした課題が顕在化する中でありますが、 地域医療構想に基づく病床の削減と機能分化は進められています。 この地域医療構想は高度急性期の病床を減らし回復期などの病床を増やすものです。 しかしこの高度急性期の病床こそコロナ患者の受入れを支えているのではないでしょうか。 コロナばかりではなく地震などの災害でも必要になるのは救急対応であり、 その中心はやはり高度急性期の病床を持つ病院と想定されます。
 地域医療構想の理念の根底にある持続可能な医療提供体制の構築は大変重要であり、 進めるべきものであります。 しかし今回のコロナ対応を踏まえると有事の際に対応できるような余裕を持った医療提供体制にしなければならないと思います。
 県は、 有事を想定した医療提供体制をどのように考え地域医療構想を進めていくのか、 所見を伺います。
 次に、 リニア中央新幹線整備について伺います。
 我が会派では、 リニア中央新幹線工事によって生じる膨大な発生土の処理について早くから問題であると考え岐阜県御嵩町や長野県大鹿村を視察し現状把握と情報収集に努めてきました。 その結果、 重金属を含む発生土の恒久処分地の受入れが土壌汚染や水質汚濁の懸念から決まらないなど事前に詳細な処理計画を詰めないままに工事が進められている現状が明らかとなり、 発生土の処理に対する問題意識を一層強く認識いたしました。 本県の南アルプストンネル工事については、 工事着工の前にJR東海に対し万全の対応を確約させることが必要であると警鐘を鳴らしてきました。
 このような中、 去る七月三日に熱海市伊豆山地区で発生しました土石流災害により県民の盛土に対する不安感は高まり、 現在JR東海から示されている大井川上流部の燕沢付近での約七十メートルの高さに達する盛土や藤島沢付近での自然由来の重金属等を含む発生土の盛土に対する安全性への懸念が増大しております。 また大規模な盛土造成工事が南アルプスに生存する希少野生動植物に及ぼす影響についても十分に注意し生物多様性の確保に万全を期さなければなりません。
 これまで国の有識者会議や県の専門部会においては主に大井川の水資源への影響を中心に議論が進められてきましたが、 今後は大規模盛土が南アルプスの生物多様性へ及ぼす影響についての議論もJR東海と十分に行っていく必要があると考えます。
 そこで、 南アルプストンネル工事における発生土処理の問題について、 知事の認識と今後の対応を伺います。
 次に、 土砂災害への対応についてのうち、 復興まちづくりの支援について伺います。
 本年七月に熱海市伊豆山地区で発生した大規模な土石流では二十六名の方が犠牲となり、 現在も一名の方が行方不明のまま今なお懸命な捜索が続いております。 また家屋に関しては全壊七十六世帯、 半壊十二世帯、 半壊未満五十五世帯という甚大な被害となりました。
 災害の発生以降多くの方々の惜しみない御努力により広範囲に堆積していた多量の土砂や瓦礫の撤去については徐々に進みつつあります。 一方で現在も自宅以外での避難生活を余儀なくされている方もいらっしゃいます。 こうした方々にとっては現地の復興や生活再建などについては先が見通せず被災前の元の生活にいつ戻れるのか分からない状況であり、 精神的にも経済的にも厳しい状況が続いています。 今後同じ場所に住み続けるのか他の場所へ移転をするのか、 それとも住みたくても住めないのかなどそれぞれに様々な状況や思いがあると推察されます。
 このような中、 当地区においては逢初川の復旧と併せて少しでも早い復興が必要であると思われます。 今後熱海市が土地所有者や居住者の意向や思いに耳を傾け寄り添いながら復興まちづくりを検討し実施していくと思います。 しかしながら我が会派で現地に赴いて地元の方々から直接話を伺い実際に被災状況を目の当たりにした様子では、 熱海市だけで進めていくのは難しいのではないかと感じました。
 そこで、 県は熱海市が行う復興まちづくりをどのように支援をしていくのか、 所見を伺います。
 次に、 土砂の発生源対策と環境を守る観点からの条例改正について伺います。
 今回の熱海市伊豆山地区の土砂災害においては、 民間事業者が地域外の工事現場で発生した大量の建設発生土を搬入し不当に盛土したことに原因があると理解しています。 建設発生土は産業廃棄物処理法の適用から除外されていますが、 今回の災害でも明らかなように実際に不適切に盛土された場合の影響は極めて大きく、 産業廃棄物と同様に発生源である建設工事現場から収集運搬等を経て最終処分に至るまでの間を通して処理が適正に行われているかをしっかりと管理する仕組みが講じられることが必要であると考えます。
 そこで、 建設工事における建設発生土の監理、 把握を現状どのように行っているか伺います。
 また、 県では今回の土砂災害を受け二度と同じような災害を発生させないために県土採取等規制条例を厳しく改めるとともに、 より速やかに改正に向けた手続を進めていると聞いております。 今回崩壊した盛土については土壌汚染対策法の基準を超えるフッ素が含まれていたとの発表が先月十二日に県からありました。 幸い人の健康に影響を与えるような濃度はないとのことですが、 県民の安全で安心な暮らしを確保するため、 新たな条例には埋立てや盛土に使用される土砂等の汚染状態に関する基準を入れるなど人の健康保護や生活環境の保全の観点からもより厳しい条例を制定すべきと考えます。
 そこで、 埋立て等に使用される土砂等に関する環境上の基準等について新たな条例にどのようなことを盛り込んでいこうと考えているのか、 所見を伺います。
 次に、 次期総合計画について伺います。
 本県は、富国有徳を県政運営の基本理念に掲げポスト東京時代の新しい日本づくりの先導役を担っていくという方針の下に県政を推進してきました。 知事は新型コロナウイルス感染症による未曽有の危機に直面する中、 自らが先頭に立ち感染拡大防止と社会経済活動の両立、 激甚化する自然災害への対応、 リニア中央新幹線工事への対応などに対し現場主義を貫き県内各地に足を運び県民の意見に耳を傾け多岐にわたる課題に全力で取り組んでこられました。
 そうした中にあって、 今年度は県政運営の基本指針である静岡県の新ビジョンについて最初四年間の基本計画期間の最終年度を迎え、 令和四年度からスタートする新しい総合計画を策定するものと承知しています。
 次期総合計画については、 現基本計画の総括的な評価に加えて近年の社会経済情勢を取り巻く大きな変化を踏まえつつ本年度内の策定に向けて議論を進めていくと聞いており、 先月十九日に開催された静岡県総合計画審議会において次期総合計画の骨子案が示されたところであります。
 知事は六月の知事選で、 ポストコロナ時代を見据えたレインボーマニフェストとしてリニア問題、 危機管理、 医療・福祉など七項目の幅広い政策に関する公約を掲げられました。 コロナ禍による県民生活が一変するほどの試練を東京一極集中の時代から流れが変わる大きな変革のチャンスとも捉え、 今後これらの政策を着実に進めていくことが知事の果たすべき役割であると考えます。
 そこで、 このマニフェストに掲げた七項目の政策を次期総合計画においてどのように具体化していくのか、 所見を伺います。
 次に、 新ふじのくに物流ビジョンの推進について伺います。
 本県は、 大都市圏のほぼ中間に位置し東名・新東名高速道路をはじめ駿河湾港、 富士山静岡空港など陸・海・空の交通ネットワークが充実し物流事業を展開する上で全国有数の優位な環境を有しています。 私は県内産業の発展、 県民生活の向上などにおいて物流の果たす役割の重要性に着目し平成二十四年二月定例会代表質問において同年三月に策定されたふじのくに戦略物流ビジョンの実現に向けどのように取り組んでいくのかを質問をし、 物流立国ふじのくにの早期実現に向け市町と連携しながら官民一体となった取組を総力を挙げて推進していくとの力強い答弁を頂いております。
 その後県は、 平成三十年三月に新ふじのくに物流ビジョンを策定し、 十年後の目指す姿として未来型物流システムの構築による豊かな暮らしの実現を掲げ当初四年間の取組計画を推進しており、 令和二年度評価ではおおむね計画どおりに進捗していると聞いております。
 そのような中、 国土交通省では本年六月に総合物流施策大綱を取りまとめました。 生産年齢人口の減少、 脱炭素社会に向けた対応などの課題に加え新型コロナウイルス感染症の流行がもたらした社会環境の変化を踏まえ、 物流DXや物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化、 労働力不足対策と物流構造改革の推進など今後取り組むべき三つの施策を掲げています。 本年度は新ふじのくに物流ビジョンの当初四年間の取組計画の最終年度に当たりますが、 これまでにどのような事業効果の発現があったのかを伺います。
 あわせて、 実効性のある新たな取組計画をどのような方向性で策定していこうと考えているのか、 所見を伺います。
 次に、 富士山についてのうち、 富士山の火山防災対策について伺います。
 富士山は宝永噴火から三百年以上が沈黙を続けていますが、 火山の専門家からは火山活動が今も続いており次の噴火がいつ起きても不思議ではないと言われています。
 こうした中、 静岡県や山梨県をはじめ富士山周辺の市町村、 火山の専門家などで組織する富士山火山防災対策協議会は富士山噴火に関する最新の科学的知見などを基に本年三月、 前回の作成から十七年ぶりに富士山ハザードマップの改定を行いました。 富士山ハザードマップは富士山の火山防災対策を進めていく上で基本となる防災情報であり、 火山災害から命を守るためには富士山噴火の特性などを理解し正しくおそれることが重要であると考えます。
 私は、 富士山ハザードマップの見直しに関する中間報告が行われた後の令和二年六月定例会で富士山噴火についての住民への情報提供の在り方についてただしたところ、 噴火規模ごとの発生頻度や噴火の影響範囲などについて市町と共に丁寧に説明していくとの方針が示されました。 今年度に入り噴火影響が想定される市町において順次住民説明会が開催されており、 県や気象台の職員から噴火想定について分かりやすい解説が行われておりますが、 各地域では富士山噴火について不安を抱えている方がまだ大勢おり、 そうした方々への理解を進めるためにはさらなる周知が必要だと考えます。
 また、 富士山噴火に関しては気象庁が富士山の噴火警戒レベルの引上げなどを行う際の判定基準を本年六月に作成、 公表しました。 こうした新しい情報も地元住民はもとより登山者などにも趣旨を周知し、 自らの安全を確保するための行動変容につなげてもらうことも重要です。
 そこで、 富士山の火山防災対策として地域住民や登山者などが富士山噴火を正しく理解し命を守る行動を取ってもらうための取組を一層推進していくべきだと考えますが、 今後の県の取組について伺います。
 次に、 来夏に向けた富士登山の安全対策について伺います。
 昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で富士山は開山できませんでしたが、 今年は七月十日に二年ぶりに開山し大きな事故などに遭うこともなく今月十日に閉山を迎えました。 これは静岡、 山梨両県が中心となって策定した新しい富士登山マナーの周知や登山口などにおける健康チェック及び検温体制の整備、 山小屋における感染症対策の実施、 シャトルバス最終便の繰上げなど関係者が一丸となって対策を進めたおかげであると感謝しております。
 私も八月下旬に感染症対策を講じた上で富士登山を行いましたが、 今年はコロナ禍に加え天候不順が登山に大きな影響を与えたと感じております。 八月に入ってから天候不順の日が続き、 強風や大雨の影響で富士山スカイラインが通行止めになり登山者が山小屋で待機せざるを得ない事態が生じました。 私のこれまでの経験ではこのようなことはありませんでしたが、 気候変動が進む中で今後も天候不順が登山に影響を与えることが十分予想されます。
 富士山は登山初心者を含め全国各地から毎年多くの方が訪れる山であり、 安全確保を図る上で今年の登山環境が十分であったか検証が重要であります。
 県は、 本年度様々な対策を講じてきましたが、 新型コロナウイルス感染症の拡大や天候不順が今後も続くことが想定される中、 本年度の状況をどのように検証し、 また来夏に向けて富士登山における安全対策をどのように検討していくのか、 所見を伺います。
 次に、 新たな過疎対策の方針について伺います。
 本年四月に過疎地域における持続的発展の支援に関する特別措置法が施行され、 本県では新たに河津町が対象とされたほか伊豆市が全域過疎となり二市五町が過疎地域に指定されました。 あわせて浜松市、 沼津市、 島田市は一部過疎地域から外れましたが経過措置が設けられ令和八年度末までこれまで同様の支援や特別措置が活用できるものと認識しております。
 過疎地域は自然災害の防止、 自然環境の保全、 多様な文化の継承などのほか地域の特色ある農林水産物や何よりも大切な水を安定的に供給するなど多面的な機能を有しており、 過疎地域の住民だけでなく都市部に住む人の暮らしを支えるものであります。 また東京圏への過度な人口集中は災害時の甚大な被害や新型コロナウイルス等の感染症の爆発的な感染拡大を招くなどその弊害は深刻化しております。
 このような中、 地方への移住・定住の機運が高まっていますが、 過疎地域に人を呼び込み地域を活性化していくためには生活環境の整備、 医療・福祉や教育等の確保、 都市部と過疎地域を結ぶ交通網の整備、 産業振興など地域の実情に応じた様々な施策や取組を講じていくことが重要であると考えます。
 県では、 新法の施行を受け本県の過疎対策の方向性を示す過疎地域持続的発展方針及び同計画を本年度中に策定すると聞いていますが、 これまでの過疎対策の評価や近年の社会経済情勢の大きな変化を踏まえた新たな過疎対策の方針について、 県の所見を伺います。
 次に、 富士川の水環境保全への取組について伺います。
 本年五月に富士川の中下流域で採取した泥の中に、 過去に山梨県内の支川の雨畑川で不法投棄された凝集剤ではないかと疑われる化学物質が検出されたとの報道がありました。 また八月二十四日には山梨県知事が、 雨畑川に流出した汚泥の中に含まれる凝集剤の量が十八トンを超えるとの推計結果を公表しました。 そうした中、 流域にお住まいの方々からは富士川の水質や水環境に対する不安の声が上がっています。 また流域の富士宮、 富士、 静岡の三市の市議会議員など三十人ほどで結成した富士川を考える会が河川環境の復元に向けた協力を要請するため知事への要望を行っています。
 静岡、 山梨両県は七月二十七日に富士川の豊かな水環境の保全に向けた山梨県・静岡県協働プロジェクトを立ち上げ、 両県の富士川本川及び支川の計十一地点での水質調査に着手し今月十七日一回目の調査の結果が公表されましたが、 堆積物については両県がどのように対応していくかが明らかでなく対応が遅いように感じます。
 さらに、 今回の調査が環境中に偏在するアクリルアミドを対象としており、 採取する水の量が少ないことから調査手法に疑問を持たれている専門家もおり安易な安全宣言につながらないか精査する必要があると報道されるなど非常に危惧しています。 こうしたことから行政による富士川の河川環境の速やかな実態把握と対応の検討、 その経過や結果について県民への丁寧な情報発信が必要と考えます。
 そこで、 今回の水質調査の結果を踏まえた今後の県の取組について伺います。
 次に、 医療的ケア児への対策について伺います。
 本年六月、 議員立法による医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が成立し今月施行されました。 法の目的は医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、 その御家族の離職を防止し安心して子供を産み育てることができる社会の実現に寄与することであり、 基本理念として医療的ケア児の日常生活、 社会生活を社会全体で支えること、 個々の医療的ケア児の状況に応じて切れ目なく支援を行うこと等が掲げられております。
 医療的ケア児とは人工呼吸器の管理、 たんの吸引など日常的に医療的なケアが必要な子供で、 厚生労働省の推計では全国に約二万人、 本県では約六百人いると言われております。 中には身体と知的に重度の障害がある重症心身障害児も含まれており、 個々の状態や生活環境によって必要となる支援の内容は様々です。
 医療的ケア児は医師の指導を受けた家族がケアをしながら生活しており、 容態が急変しても気づけるように近くにいる必要があり、 昼夜関係なくたんの吸引をするなど生活の大部分を子供に費やすことも珍しくないなど介護負担は非常に大きいと聞いております。 またその認知度は低く、 この法律の施行により医療的ケア児と家族への理解が広がり適切なサービスを受けながら分け隔てなく日常生活、 社会生活を営むことができるようにしていかなければならないと考えます。
 今後、 県では医療的ケア児の生活を支えるために医療的ケア児支援センターを設置していくことになりますが、 この設置に向けてどのような検討を進めていくのか、 所見を伺います。
 次に、 コロナ禍における雇用対策について伺います。
 日本で初めて新型コロナウイルス感染者が確認されてからおよそ一年半が経過し、 この間全国的に経済や雇用は多大な影響を受け、 外出自粛やリモートワークの急速な拡大など働く人の環境と生活様式は一変いたしました。 県内経済は巣籠もり需要などによって業績を伸ばす業種がある反面、 飲食業や観光業などは人流が抑制されたことにより大きな打撃を受けるなど回復基調には至っておりません。
 一方、 県内の雇用情勢は七月の有効求人倍率は全国値の一・一五倍を上回る一・二二倍と六か月連続で一倍を上回って推移するなど雇用情勢は回復傾向にあり、 静岡労働局は新型コロナウイルス感染症の影響に注視が必要だが当面は大きな下落は考えにくいと見通しております。 ワクチンの接種が順調に進み県内経済が回復することによって県内全体の雇用情勢の改善につながることが期待される中で、 アフターコロナ時代の事業展開を見据え人材を求めるような企業がある一方で、 新型コロナウイルス感染症の拡大により営業時間の短縮要請があった飲食店等において働く方々におきましては、 休業を余儀なくされることや場合によっては不当に解雇されるようなことがあるなどパートやアルバイト、 派遣社員など社会的に立場が弱い働く方々がこれまでの仕事を継続することができなくなるような不安定な状況が続いています。
 このような不安定な状況に置かれた方々が安心して働き続けられる環境整備に取り組む必要があるものと考えますが、 県はどのような支援をしているのか伺います。
 次に、 ジビエの消費拡大への対応について伺います。
 県は、 野生鳥獣による農作物被害対策の一環として有害鳥獣の捕獲と捕獲した個体のジビエ利活用を推進しています。 現在県全体の農作物被害額は減少傾向で捕獲が進む一方、 捕獲個体の約九割が埋設や減容化されていると聞いています。
 捕獲個体処理の現場を見学したときに、 人間と野生動物のバランスが取れた生態系を目指す営みの中で頂く命の重みを感じ、 SDGsの観点からも頂く命を最大限に生かす努力が求められるという思いを強くしました。
 富士宮市では、 平成二十九年度以降二か所の野生鳥獣の食肉加工施設を設置し県が定めた衛生基準を満たす高品質な鹿肉に加工し販売しています。 昨年この鹿肉をふるさと納税の返礼品に加えたところ予想を超える高い人気でした。 またキャンプ場でのバーベキュー食材としても評判がよく販路を広げる新企画に供給が追いつかない状況です。
 現在、 ジビエ料理の提供は一部の飲食店や家庭、 地域のイベントなどに限られ一般にはなじみが薄い状況です。 気軽にジビエ料理を食べる場が増え一般に普及すれば食肉としての需要の伸びが期待できますし、 一定の需要が見込めるようになれば既存の食肉加工処理事業者による規模拡大や新たなジビエ加工処理への参入希望者により供給量も増加します。 需要と供給の好循環が地域経済を活性化させ狩猟者のやりがいも増すと考えられます。
 その観点から、 適正な捕獲によって野生鳥獣が生息する山林等における生態系循環が保たれるのみならず捕獲個体が経済の好循環にも資する貴重な地域資源となる可能性があります。 民間団体が中心となり広域展開しているファストフードチェーンでジビエのハンバーガーを提供し、 継続的な消費拡大を目指す取組も進んでいます。
 こうした状況を踏まえ、 今後SDGsの観点におけるサステーナブルフードとして期待されるジビエの消費拡大への対応について、 県の所見を伺います。
 次に、 スマート畜産について伺います。
 令和元年の本県の畜産産出額は四百六十一億円で本県の農業産出額のうち約二〇%と大きなウエートを占めており、 本県農業において重要な位置づけとなっております。
 富士宮市は畜産が盛んであり、 特に酪農は令和二年二月一日現在の乳牛の飼養頭数が六千七百頭と県全体の約半数を占めております。 また令和元年の畜産産出額は百五十九億円で県全体の約三五%であり、 県下で最大の畜産地帯となっております。
 本県の畜産農家は、 家族経営が多く高齢化や労働負担の大きさなどによる後継者不足が要因となり近年農家数が減少傾向にあります。 そのため県内の畜産業を今後も継続的に発展させていくためには新たな技術を活用し生産体制の強化を図っていくことが重要であると考えております。
 このうちの一つとして、 ICTを活用した作業の省力化や生産性の向上による経営の規模拡大を図るなどの対策が考えられます。 このような中、 県は省力化や生産性の向上につながるスマート畜産支援事業や畜産技術研究所で開発したICT機器の実証試験に取り組んでいると聞いております。
 そこで、 現在畜産農家に対して行っているICT等を活用した業務の省力化や生産性の向上に寄与する技術導入に対する支援について伺うとともに、 畜産技術研究所で今後どのような研究を発展させていくのかについて、 県の所見を伺います。
 次に、 コロナ禍における学びの継続について伺います。
 デルタ株の拡大によりこれまで罹患しにくいといわれていた未成年者にも感染が急拡大しています。 そのような中、 学校教育活動の在り方について社会全体から注目されています。
 萩生田文部科学大臣の、 国から全国一斉の臨時休校の要請はしない、 休校は地域の感染状況に応じて学校設置者が判断すべきという見解は昨年の政府が発令した全国一斉休校における反省を踏まえたものと受け止めています。 しかしながら集団学習を基本とする日本の学校現場で感染を防ぎながら教育活動を行うには大きな困難が伴います。 一人一人の健康観察、 備品の消毒、 換気やマスクの着用など基本的な感染防止対策は欠かせません。 さらに給食では配膳、 黙食の指導なども必要であり校内で感染者が出た場合の迅速な対応等教職員の負担増加につながるものと懸念しております。
 また、 学びの継続のためには時差登校、 分散授業など様々な形態を工夫しながら各学年相応の学習内容を習得させていかなければなりません。 オンライン学習については一人一台のタブレット端末や学校の通信環境などの整備は進んでいますが、 家庭での環境や操作方法の習得など多くの課題があります。
 加えて、 部活動では競技前後の着替えや飲食などの場面でクラスター等が発生しやすく、 大会や練習にも制限がかかり多様な経験の場が減るなど活動自体が難しくなっているとも聞いております。
 現在の学年は二度と経験することはできません。 その学年ならではの行事、 体験活動など貴重な一日一日であり子供たちには健やかに学び成長する権利があるはずです。 受験や就職活動など将来につながる一日でもあります。
 そこで、 県教育委員会としてコロナ禍における学校現場において一人一人の子供の心に寄り添いながら学びを継続していくためにはこのような課題を認識した上での対応が必要であると考えますが、 教育長の見解を伺います。
 最後に、 歩行者の交通事故防止対策について伺います。
 本年六月、 静岡県交通安全対策会議では第十一次静岡県交通安全計画を策定しました。 本計画では令和七年末までに交通事故年間死者数を八十人以下にするとの目標が掲げられています。 昨年の県内における交通事故死者数が百八人であることを踏まえれば目標達成に向け交通事故防止に向けたさらなる取組が必要となります。 中でも歩行者の死者数は約三割に当たる三十四人となっており、 道路交通上最も弱い立場にあると言える歩行者の交通事故防止は最優先で取り組まなければならない課題となっています。
 歩行者事故防止のためには、 まずはドライバーが歩行者優先の意識を常に持つなど運転する側に向けた対策が必要となってくるのは当然でありますが、 歩行者の信号無視等が原因となっている死亡事故も発生していることを踏まえればこれに加えて歩行者の規範意識や防衛意識の向上など歩行者側に対する取組も必要であります。
 こうした中、 本年四月警察庁は交通マナーをまとめた交通の方法に関する教則を改正し歩行者の道路横断の心得の一つに手を挙げるなどして運転者に横断の意思を明確に伝えるを加え、 手挙げ横断を四十三年ぶりに復活させました。 また県警察でもしずおか・安全横断三の柱と銘打ち、 歩行者が自らを守るための交通行動の実践を促すための取組を実施していると承知しておりますが、 手挙げ横断などはどうしても児童が行うものというイメージがあり高齢者を含めた幅広い年齢層に定着させていくのは難しい面もあると思います。
 そこで、 歩行者の交通事故の現状と歩行者の交通事故防止に向けた取組について伺います。 以上、 答弁を求めます。
○副議長 (竹内良訓君)  川勝知事。
○知事 (川勝平太君)  四本議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてのうち、 今後の財政運営についてであります。
 新型コロナウイルス感染症対策や近年激甚化している災害対応などは県民の皆様の命、 財産を守るために最優先で取り組むべき政策であります。 県では国庫補助金などを最大限に活用してこれらの対策の財源を措置しているところであります。 コロナ禍の影響により歳入の大宗を占める県税の収入が平時と比較いたしまして大幅に減収となる中、 感染症対策や災害対応に係る財政支出は大きく拡大しており、 県財政を取り巻く環境は大変厳しい状況となっております。
 一方、 ポストコロナ時代を見据えた、 あるいはウイズコロナ時代を生き抜くというこういう時代を見据えた次期総合計画の策定に当たりコロナ禍の教訓を踏まえた防疫体制の強化やデジタル対応の加速化、 気候変動危機に対応する脱炭素社会の形成に向けた取組の促進など新たな行政需要に応える予算措置もまたこれは不可欠となっております。 このため県では徹底した歳入歳出の見直しを進め所要の財源の捻出を図っていくことにしております。
 具体的には、 まず歳入面では歳入の根幹である県税収入の増加に向けまして新たな付加価直を生む経済政策バイ・シズオカ、 バイ・ふじのくに、 バイ・山の洲くになど消費を拡大させて生産を促すというこのフジノミクスの効果的な展開、 あるいは成長分野の企業誘致などの取組を積極的に進めてまいります。 また東京事務所などと連携いたしまして企業版ふるさと納税や新型コロナウイルスに打ち勝つ静岡県民支え合い基金などの情報発信に努め、 寄附を通じた歳入確保にも力を注いでまいります。 国庫補助金などの活用はもとよりでございますが、 県研究所などの研究開発費につきまして国の科学技術振興機構や日本医療研究開発機構などの研究資金の確保を積極的に進めてまいります。
 歳出面では徹底した事業のビルド・アンド・スクラップを進めてまいります。 具体的には昨年度総点検を行った県立中央図書館などの六つの施設につきましてアフターコロナ時代にふさわしい施設となるようコスト削減を図りながら整備を進めているほか、 コロナ禍により事業の中止、 見直し等により不用となった経費を六月補正で一億五千万円、 九月補正で十七億円減額したところであります。 さらに来年度の当初予算編成に向けましてはこれまで以上に思い切った事業見直しを進めることとしておりまして、 各事業の事業効果を政策評価や決算内容等から確認し、 また検証し抜本的見直しにつなげてまいります。
 また、 県単独補助金につきまして例えば研究開発や販路開拓など補助目的が同一でも支援メニューが多岐にわたっているものがあります。 これらの統合、 類型化を進めまして補助率等を統一化することなども検討してまいります。
 県といたしましては、 創造的破壊の精神で聖域を設けることなく徹底した歳入歳出の見直しを進めることで県民の皆様の生命財産を守り、 県土の持続的発展を支えるための健全で安定した財政基盤を構築してまいります。
 次に、 リニア中央新幹線整備についてであります。
 リニア中央新幹線静岡工区の南アルプストンネル工事では、 三百七十万立方メートルという莫大な膨大な発生土が見込まれております。 これは東京ドーム三個分に相当するものであります。 JR東海はその全量を大井川上流部に位置する発生土置場に盛土いたしまして、 これを永久に管理していくという計画であります。 そこには希少な野生動植物が生息しているところであるというのは御案内のとおりであります。
 私は、 このJR東海の発生土処理計画につきましては先ほど七十メートルと言われましたけれども、 それはこの県庁東館の高さを優に上回るものであります。 こうしたものを置くということでございますが、 南アルプスというのはそもそも脆弱で崩壊しやすい地質であります。 万が一にでもこの発生土置場が、 盛土が崩壊あるいは流出となった場合には河川の閉塞あるいは濁水などが発生いたします。 ちなみに熱海土石流というものを起こした盛土は五・五万立方メートルです。 三百七十万立方メートルというのはそれの六十七倍のものでありますから、 いかに巨大な盛土であるかということはその点からも想像に難くないというものであります。
 そしてまた、 さらにはこの上流部の希少な生態系あるいは流域住民の生活、 産業の水利用にも多大な影響を及ぼしかねないということでございまして、 加えて発生土には重金属を含むものが必ずございます。 そうした  これは対策土と言いますけれども  自然由来の重金属等を含む発生土である対策土が流出した場合になりますと水質あるいは土壌の汚染によってマイナスの影響  悪影響が一層甚大なものとなることが懸念されるわけであります。
 県の専門部会等では、 現地で盛土するのではなくて流域外での処理とか  対策土についてですね  現地での無害化も何度も求めてまいりました。 しかしJR東海さんは、 基準に基づき設計しているとか、 あるいは実績のある二重遮水シートによる対策を採用している等との紋切り型の説明を繰り返されるのみであります。 また対策土につきましても、 運搬距離が長くなることとか最終的に処理が必要な発生土がどれだけ出てくるのか分からないことなどを困難な理由として列挙されまして専門部会等の求めに対応されようとしておりません。
 基準に基づいて設計を行うのは最低限行うべきことでありまして当然のことでございます。 しかしそれは対策として必要十分とは言えません。 相手は南アルプスです。 幾つもの大きな問題を指摘することができます。
 例えば、 第一に南アルプスが脆弱な地質であり、 それ自体が厳しい気象条件の山岳であるということです。 二つには近年の異常気象の激甚化あるいは頻度頻発化ということであります。 三つ目にはそもそも巨大な盛土であることでございます。 四つ目にはJR東海さんが二重遮水シートの実績としてお示しになっている過去二十年程度をはるかに超える長期間の安全性などに対するリスクを十分に考慮されていないことです。 そしてまた五つ目にはそのことに関連しましてそのリスクを十分に説明なさらないことです。 そしてこの加えて県民の皆様が抱かれる懸念を積極的に解消しようとなさらない姿勢など様々な大きな問題を指摘することができるわけでございます。
 議員も御指摘のとおり、 熱海市伊豆山地区で発生した土石流災害により盛土などの開発行為が及ぼす影響に多くの県民の皆様あるいは日本国民全員が不安を強めているところでございます。 そのような中、 大きな問題のある現状のJR東海の発生土処理計画では命の水の安全に不安を感じる流域住民をはじめとする県民各位の理解が到底得られるものではないと存じます。 理解が得られなければ工事はしないということは度々明言されておりますので、 したがって理解が得られていないという認識をお持ちであれば工事をしないという、 これを明言していただきたいというふうに思うところであります。 そういう選択肢は一度も明言されたことはありません。
 今後はトンネル工事における発生土処理の問題につきましても、 もちろん流量の問題、 生態系の問題、 監視の問題等々ございますけれども、 県民の皆様の不安が払拭されるようJR東海と県の専門部会におきまして科学的根拠に基づくリスクコミュニケーションを尽くしてまいりたいと考えております。
 次に、 土砂災害への対応についてのうち、 復興まちづくりの支援についてであります。
 七月三日に熱海市伊豆山地区で発生いたしました土石流により多くの貴い命が失われました。 また逢初川沿いの建物が壊滅的被害を受けるなど住民の方々の日常が奪われまして、 いまだ多くの方が避難生活を余儀なくされております。
 災害発生後、 県では直ちに自衛隊に災害派遣を要請し警察、 消防と連携いたしまして行方不明者の捜索や堆積土砂の撤去に全力を尽くすとともに、 被災された方々の一日も早い生活再建に向け県営住宅の提供など応急的な住まいの確保に努めてまいりました。
 県は七月二十九日に逢初川下流域復旧・復興チームを発足させました。 復旧・復興に向けた取組を進めているところでございます。 これまでに堆積土砂の撤去がおおむね完了いたしましたので、 これからは復興まちづくりに向けた取組が本格的に進められることになります。 また下流部の安全・安心の確保のためには逢初川上流部における土砂流出対策が重要となります。 これはなかなかに技術的困難性が高いということで県から要請いたしまして、 国が直轄事業により新たな砂防堰堤の整備を進めてくださっております。
 復興まちづくりにおきましては、 県が中心に検討している逢初川の河川改修計画と道路計画、 熱海市が検討されているまちづくり計画をうまく組み合わせなければなりません。 このため県の復旧・復興チームと市が綿密に打合せを行っているところであります。
 当地区は逢初川沿いの谷間に広がる住宅地でございまして、 行けばすぐ分かりますが狭く急勾配の道路が多いなどの特徴があります。 県ではこうした特徴を踏まえ熱海市の復興まちづくりが円滑に進むように他県の事例や国の支援事業などについて情報提供を行うとともに、 復興計画の策定や事業の実施に向けて国との協議も進めてまいります。
 県といたしましては、 地域の安全・安心が確保され被災者が一日も早くこれまでの生活を取り戻せるように復興まちづくりの支援に積極的に取り組んでまいります。
 次に、 次期総合計画についてであります。
 私は、 さきの知事選挙におきまして 「東京時代から静岡時代へ!」 と題するマニフェストを掲げ新型コロナウイルス感染症の一日も早い収束に注力しながら本県を世界に輝くSDGsのモデル県とするべく、 リニア問題、 危機管理、 医療福祉等々の分野に全力で取り組むことを県民の皆様にお約束をいたしました。 次期総合計画の策定に当たりましては、 このマニフェストの実現を確実に県の政策に盛り込んでまいります。
 八月に開催した第一回総合計画審議会では、 現行の基本計画を継承しつつコロナ禍の影響や気候変動危機への対応など本県が今まさに直面している課題を踏まえ新たなリスクへの備えの強化、 持続的な発展に向けた新たな挑戦といたしましてデジタル社会の形成あるいは環境と経済が両立した社会の形成を加えまして新しい政策体系をお示ししたところであります。 今後この案を県議会における御審議をはじめパブリックコメントの実施など県民の皆様からも幅広い御意見を賜りまして本年度中に次期総合計画を策定してまいります。
 中でも最優先するべきは県民の皆様の命を守る危機管理であります。 新型コロナ危機の克服に向けた医療、 検査体制の充実や円滑なワクチン接種の推進、 アフターコロナを見据えた、 あるいはウイズコロナを生きる時代ということで新しい感染症等に対応する拠点設置の検討など疫病から国民を守る、 県民を守る防疫体制の強化を図りますとともに、 南海トラフ巨大地震による想定犠牲者ゼロを目指すハード・ソフト両面からの地震・津波対策の着実な推進並びにまた熱海市における土砂災害の教訓を踏まえた豪雨災害対策の強化などの施策を計画に盛り込んでまいります。
 また、 環境と経済が両立した社会の形成につきましては二〇五〇年の脱炭素社会の実現に向けた省エネ対策の徹底、 再生可能エネルギーの導入促進、 SDGsのモデルとなる地域循環共生圏の形成等々に取り組んでまいります。 そしてリニア問題などに適切に対応するため豊かな社会を支える命の水やその命の水の保全や南アルプスなどの生物多様性の確保など自然環境の保全などの施策につきましても計画に位置づけてまいります。
 さらに、 医師の確保と地域偏在の解消、 健康寿命の延伸等に向けた医療・福祉の充実、 優れた資質と能力とに秀でた人間性を兼ね備えた才徳兼備の人づくり、 地域主導型の経済政策フジノミクスの推進による経済の拡大のほか移住希望先日本一になりましてそれにふさわしいライフスタイルを選択できる環境の整備、 また東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックのレガシーの継承とスポーツの聖地づくりなどにつきましても計画の重要な柱として位置づけてまいります。
 今後とも、 全ての県民の皆様が未来に明るい希望を持って幸せを実感できる富国有徳の美しいふじのくにづくりに全力で取り組んでまいる覚悟でございます。 県議会の皆様の御支援、 御協力を賜りますようお願いを申し上げます。
 その他の御質問につきましては、 副知事、 関係部局長及び教育長から御答弁を申し上げます。
○副議長 (竹内良訓君)  難波副知事。
○副知事 (難波喬司君)  土砂災害への対応についてのうち、 土砂の発生源対策と環境を守る観点からの条例改正についてお答えをいたします。
 建設発生土につきましては、 資源の有効な利用の促進に関する法律において事業者等の責務として再生資源等を利用するよう努めなければならないとされています。 この法律に基づいて国土交通省は国交省の発注する建設工事についてリサイクル原則化ルールを策定し、 工事における建設発生土の利活用方針を示しています。
 県におきましても、 県が発注する公共工事に同様のルールを定め、 かつ発注する際には条件として建設発生土の搬出場所等の明示を求めることで設計段階から工事完了まで厳密に建設発生土を管理、 把握をしております。 しかしながら資源の有効な利用の促進に関する法律に規定されている事業者の責務は努力義務となっています。 民間工事の場合国、 県工事のような具体的なルールを全ての民間事業者が定めているという状況ではありません。 また国も県も民間建設工事における建設発生土の搬出先について管理、 把握できていないというのが現状です。
 次に、 環境の保全につきましては一定規模以上の土地の掘削等で土壌汚染のおそれがある場合は土壌汚染対策法に基づき事前に有害物質の調査が行われ、 汚染が確認された土砂については適切に搬出や処分が行われる仕組みがあります。 一方で埋立てや盛土を行う場合にはこうした規制がないことから、 汚染された土砂が埋立て等に使用されることのないよう県独自に環境上の基準を設ける必要があると考えています。
 土砂の環境上の基準を検討するに当たり、 専門的な見地から御意見を伺うため今月七日に県環境審議会に諮問をいたしました。 審議会では揮発性有機化合物や重金属など有害物質の種類及び溶出量、 土砂中の含有量に関する基準を検討していただいています。 また地下水等の汚染が発生していないことを確認するため埋立て等で行われた区域からの排水の水質基準についても意見を求めたところです。
 県といたしましては、 土砂災害の発生防止に加え県民の皆様の健康保護や生活環境の保全を図るため県環境審議会からの答申や他県の事例を踏まえ埋立て等に使用される土砂の環境基準がその基準に適合していることの報告の提出等を新条例に盛り込む予定です。
 なお、 先ほど民間工事の建設発生土については国も県も把握できていないというふうに申しましたが、 とりわけ県境を越えた建設発生土については県境を越えて移動することが確認されています。 よって県境を越えた移動管理、 把握するための規制や制度、 基準が必要であるというふうに認識しております。 これらについては国に対して要望をしてまいります。 以上であります。
○副議長 (竹内良訓君)  石田健康福祉部長。
○健康福祉部長 (石田 貴君)  知事の政治姿勢についてのうち、 有事を想定した医療提供体制についてお答えいたします。
 県では、 これまでも南海トラフ地震等の大規模災害をはじめ有事を想定した医療提供体制の整備に取り組んでまいりました。 今回の新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえ感染症に対応した医療提供体制につきましても検討するための補正予算案を本議会にお諮りしているところであります。
 一方で、 現在医療機関や都道府県は急激な感染拡大への対応に総力を挙げて取り組んでいるため、 国に対して地域医療構想に関する議論はその取組に支障を生じさせないよう行うこと、 さらに公立・公的病院が感染症対応の最前線で治療やワクチン接種等の中核的な役割を担いその重要性が再認識されたことを踏まえ地域医療構想においても柔軟に取り扱うことを他の都道府県と共に要望しております。
 県といたしましては、 新興感染症等対策を県の保健医療計画に位置づけ感染拡大時など有事の医療需要には機動的に対応できる体制の構築に取り組むとともに、 人口減少と高齢化が進行する中、 将来にわたって質の高い効率的な医療提供体制を確保していくため地域医療構想の実現に向けた取組を着実に進めてまいります。
 次に、 医療的ケア児への対策についてであります。
 県では、 これまでも医療的ケアが必要な重症心身障害児・者が住み慣れた地域で安心して生活できるよう医療・介護・福祉等の多職種による連携の促進や支援に携わる専門人材の養成に取り組んでまいりました。 また在宅介護を担う御家族の休息を目的として医療型の短期入所施設の確保等に取り組み介護負担の軽減にも努めております。
 今月十八日に施行されました医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律は、 知的障害や運動障害などを伴わない医療的ケアを必要とする方々やその御家族にも支援の手を差し伸べるものであります。 法律の施行を受け県が新たに設置することとなる医療的ケア児支援センターは、 医療的ケア児及びその御家族からの専門的な相談への対応や看護師などに対して医療的ケアについての研修を行うなど支援の中核的な役割を担うこととされております。
 県といたしましては、 親の会をはじめ医療や福祉、 教育関係者など多くの方々からの御意見を頂き医療的ケア児支援センターの設置場所や運営形態などについて検討を進め、 国から具体的な基準等が示され次第早期に開設できるよう努めてまいります。 以上であります。
○副議長 (竹内良訓君)  天野政策推進担当部長。
○政策推進担当部長 (天野朗彦君)  新ふじのくに物流ビジョンの推進についてお答えをいたします。
 県は、 県内産業と県民生活を支える効果的かつ安定的な物流を確立するため平成三十年三月に新ふじのくに物流ビジョンを策定いたしました。 物流機能の高度化と立地の促進、 地域の未来を拓く物流システムの構築、 物流サービスを高めるインフラの充実と活用促進の三つの戦略を掲げ、 新たな設備投資に対する支援や本県の立地優位性に係る情報発信など様々な取組を進めてまいりました。
 この結果、 昨年度までの三年間でフロンティア推進区域を中心として県内全域に四十一件の物流施設が新設され民間事業者の輸送網の集約による業務の効率化が図られたほか、 清水港ではRORO船の新規航路の開設やデーリー化により長距離トラック輸送から海上輸送へのモーダルシフトが進みました。 こうした取組は省力化はもとより環境負荷の低減にも貢献するものであり、 物流ビジョンに基づく取組の成果が着実に現れているものと考えております。
 他方、 物流事業におきましてはコロナ禍の影響からトラックドライバーの労働需給の迫が懸念されております。 また近年地球規模の気候変動を背景に災害が激甚化、 頻発化しており、 物流網の寸断リスクへの備えも急務となっております。 加えてカーボンニュートラルへの取組強化が求められているほか自動運転の実証試験の本格化に加えAIやロボット、 ドローン等の先端技術を導入する動きも活発化しております。
 こうした物流を取り巻く最新の動向を踏まえ、 次期計画では労働環境の改善による担い手の確保や物流効率化に向けた輸送手段の自動化、 デジタル技術の一層の活用、 港湾、 空港などの物流拠点の機能向上、 脱炭素化などを計画に盛り込むこととしております。
 去る八月二十九日、 人や物の流れに画期をなす中部横断自動車道が本県と山梨県の区間で全線開通いたしました。
 県といたしましては、 物流を取り巻く大きな環境変化を踏まえまして物流業界や関係機関・団体などの御意見も伺いながら次期物流ビジョンの策定作業を進め、 担い手に優しい持続可能な物流体系の構築に向け着実な取組を進めてまいります。 以上であります。
○副議長 (竹内良訓君)  太田危機管理部長。
○危機管理部長 (太田博文君)  富士山についてのうち、 富士山の火山防災対策についてお答えいたします。
 富士山の噴火実績や火口跡の発見など調査研究が進み多くの新しい知見が得られたことから、 富士山火山防災対策協議会において本年三月にハザードマップを改定いたしました。 今年度はこれに対応した避難体制を構築するため住民避難の基本的行動を示す富士山火山広域避難計画の改定に取り組んでいるところであります。
 噴火発生時に地域住民の皆様が適切な避難行動により確実に命を守るためには富士山噴火の特性などについて理解していただくことが重要でありますことから、 関係七市三町と共同で自治会の役員などを対象に改定したハザードマップの住民説明会を六月から順次開催しております。 今後こうした説明会を市町が主体となり地域単位で開催し地域住民の視点に立ったさらなる周知を進めてまいります。 また広域避難計画の改定を受け市町の避難計画が見直された際にはハザードマップに避難情報を加えた防災マップの作成や実効性のある避難訓練の実施など市町の取組を支援してまいります。
 登山者に向けた富士山噴火に関する情報の周知につきましては、 気象庁から公表された噴火警戒レベルに関する判定基準をはじめ安全を確保するために登山者が取るべき行動などについて登山の情報サイトと連携し日頃からの情報発信を強化してまいります。
 県といたしましては、 こうした取組により地域住民や登山者が富士山の噴火から命を守ることができますよう火山防災対策の一層の充実を図ってまいります。 以上であります。
○副議長 (竹内良訓君)  植田スポーツ・文化観光部長。
○スポーツ・文化観光部長 (植田基靖君)  富士山についてのうち、 来夏に向けた富士登山の安全対策についてお答えいたします。
 県では、 開山期間中に登山道や山小屋の現地調査、 登山者へのアンケート、 登山ガイド団体との情報交換を行うなど今年の富士登山の現状把握に努めてまいりました。 その結果山小屋等での新型コロナウイルス感染症対策はおおむねガイドラインに沿った対応が実施されていたものの、 検温、 体調チェック場所での繁忙期における混雑の発生や新たな登山マナーの周知不足、 悪天候時における軽装での登山など課題も明らかになりました。
 このため、 来月上旬に開催する県、 地元市町、 山小屋組合等による関係者会議においてこうした課題認識を共有した上で専門家の御意見を伺いながら感染症対策ガイドラインの見直しやガイド団体、 山小屋等と連携した登山者向けの迅速な情報提供体制の整備など来夏に向けた具体的な対策を取りまとめてまいります。 また仮設施設による対応を余儀なくされている富士宮口五合目につきましては雨天時の仮設施設の収容力不足が指摘されたことから富士宮市と来年の対応を早急に検討するとともに、 新たな来訪者施設につきましても年度内の設計着手を目指すなど早期整備に向けた取組を進めてまいります。
 来年以降も、 多くの方々に安全・安心に富士登山を楽しんでいただけるよう引き続き安全対策に全力で取り組んでまいります。 以上であります。
○副議長 (竹内良訓君)  杉山経営管理部長。
○経営管理部長 (杉山浩一君)  新たな過疎対策の方針についてお答えいたします。
 県では、 昭和四十五年の過疎法の制定以来累次の計画を策定し、 手厚い財政支援を活用して上水道の整備など生活環境の改善や地域資源の六次産業化など市町が要望する事業を着実に実施し過疎地域の自立促進に寄与してまいりました。 しかしながら新型コロナウイルス感染症の影響によりこれまでの東京一極集中から地方分散型社会への転換が一層求められる中、 過疎地域の支援においてもウイズコロナ、 アフターコロナを見据えた新たな対策が必要となっております。
 県ではさきに県過疎地域持続的発展方針を策定したところであり、 豊かな自然の保全、 生活基盤の維持確保など従来の施策の継承に加え新たに外部人材や革新的技術の活用を打ち出しております。 現在方針で定めた方向性に沿って県、 市町がそれぞれ今後取り組む施策を盛り込んだ計画策定を進めております。 具体的な施策として地域資源をPRできる外部人材による地域の活性化やAIをはじめとするデジタル環境の整備のほか、 比較的規制の緩やかな過疎地域で活用が見込まれるドローン等の新たな技術の活用などは社会実装にもつなげやすいものと構想されております。
 今後、 この計画を着実に推進することにより県内の過疎地域がポスト東京時代の理想郷づくりの一翼を担うことを目指してまいります。 以上であります。
○副議長 (竹内良訓君)  市川くらし・環境部長。
○くらし・環境部長 (市川敏之君)  富士川の水環境保全への取組についてお答えいたします。
 県では山梨県と共同で水質調査を年度内に三回実施することとしており、 七月二十八日に環境省が定めた採水方法に準拠して一回目の調査を実施しました。 その結果大量に摂取すると人体への影響が危惧されるアクリルアミドにつきましては県内五か所、 山梨県内六か所の計十一か所全ての調査地点で測定可能な最小濃度未満となり、 その他の化学物質についても基準を超えるものは検出されませんでした。
 一方、 同日に国土交通省が実施した調査では山梨県内の三か所で、 河川水及び川底に堆積した土である底質から採取された四つの検体から極めて低濃度ではありますがアクリルアミドが検出されました。 このため本県と山梨県では当初十一月に実施する計画であった底質のアクリルアミドの調査を前倒しし、 十月中に実施予定の二回目の水質調査と併せて実施してまいります。 また水生生物への影響が懸念されている底質のポリアクリルアミドの調査につきましては、 今月八日に発注した分析機器が納入され次第速やかに実施してまいります。
 県といたしましては、 水質及び底質調査によって得られたデータを基に影響を科学的に評価しその結果を丁寧に説明することで県民の皆様の不安の解消に努めるとともに、 山梨県や国とも連携し富士川の水環境の保全に全力で取り組んでまいります。 以上であります。
○副議長 (竹内良訓君)  三須経済産業部長。
○経済産業部長 (三須敏郎君)  コロナ禍における雇用対策についてお答えいたします。
 令和二年の労働力調査によれば、 パートやアルバイト、 派遣社員など非正規で働く方は全国で対前年比七十五万人の減少となっており雇用情勢の影響を受けやすい方々への支援が重要となっております。 国が実施してきた雇用調整助成金の特例措置や休業支援金・給付金制度は非正規で働く方々の雇用維持を含め失業者の増加抑制に大きな効果があったものと考えており、 県では全国知事会を通じて本制度の継続を国に要請しているところであります。
 また、 県では県内三か所に設置してある中小企業労働相談所において非正規で働く方々を含め労働者の相談に対応しております。 令和二年二月から本年八月までの間で解雇や退職勧奨に関する相談が五十四件あり、 これらに対しては企業からの一方的な解雇通告への対応方法や給与の未払い分の請求に関して具体的な助言を行うなど社会保険労務士を中心にきめ細かな対応を行っております。 静岡労働局が開設する特別労働相談窓口とも連携し、 働く方々からの幅広い相談に適切に対応できる体制を整えているところでございます。
 一方、 離職を余儀なくされた方々に対して雇用のセーフティーネット機能を持つ職業訓練により再就職に向けた支援を行っているほか、 シフトの見直しや時間短縮で収入が減少し転職を考えている方も利用できるよう県内三か所のジョブステーションにおいて休日相談や市町への出張相談を拡充するなど相談しやすい環境づくりにも努めているところであります。
 コロナ感染の影響が長期化する中、 県といたしましてはパートやアルバイト、 派遣社員など雇用情勢の影響を受けやすい方々が安心して働き続けていけるよう引き続き国とも連携して雇用環境の整備に取り組んでまいります。 以上であります。
○副議長 (竹内良訓君)  細谷農林水産担当部長。
○農林水産担当部長 (細谷勝彦君)  ジビエの消費拡大への対応についてお答えいたします。
 捕獲された野生鳥獣のジビエ利用の拡大は捕獲の推進や地域資源の循環利用につながる重要な取組でありますが、 県内で捕獲されたイノシシやニホンジカ約三万八千頭のうちジビエとしての利用は約二千三百頭、 六%にとどまっております。 これは県内にある二十二のジビエの加工施設の多くが規模が小さく、 個々の施設では一般消費者に広く販路を拡大できないことが要因の一つとなっております。 一方議員御指摘のとおり全国展開する外食チェーン店でジビエが提供されるなどSDGsを背景に需要の拡大が見込まれております。
 こうした中、 全国の加工施設が連携し大口取引に対応した広域的なジビエの供給体制を構築するプロジェクトが立ち上がっており、 県内では伊豆市のイズシカ問屋が参加しております。 このプロジェクトへの参加には国が創設した国産ジビエ認証の取得が求められ取得に当たっては一定の衛生基準を満たす必要があることから、 県では国の交付金を活用し衛生管理に関する研修会を開催するなど県内施設の認証取得を支援してまいります。
 さらに、 ジビエに適さない未利用部位をペットフード等に有効活用するため県内の加工施設と実需者のマッチングを強化するなど新たな販路の拡大を図り、 捕獲された野生鳥獣の地域資源としての循環利用を促進してまいります。
 次に、 スマート畜産についてであります。
 農業従事者が減少する中、 畜産農家の経営が持続的に発展していくためには家畜の見回りといった畜産特有の長時間労働の負担を軽減し若者や女性が働きやすい環境をつくっていくことが重要であります。
 このため、 県では令和元年度にAIやICTを使ったスマート畜産技術の導入に対する助成制度を創設し畜産農家の労働時間の短縮や省力化を支援しております。 これまでに乳牛の発情を常時遠隔で監視する発情発見機や体重が増加し起き上がれなくなった肉牛をモーションセンサーで感知する事故発見機などが十七農場に約二千台導入されており、 実際に導入した農家からは夜間の見回りなどの負担が軽減されたと伺っております。
 また、 畜産技術研究所では分娩時の作業負担を軽減するため体圧センサーのデータをAIで分析し陣痛の兆候をメールで通知するシステムを富士工業技術支援センターと共同で開発し、 現在富士宮市の農場で実証を進めております。 さらに病気になりやすい子牛の体調管理に要する労力を軽減するため、 装着型センサーで常時体温をモニターし病気を早期に検知するシステムの開発にも取り組むこととしております。
 県といたしましては、 こうしたスマート畜産技術の研究開発を加速するとともに、 農業現場への実装を積極的に支援し酪農や肉牛農家の労働負担の軽減と所得の向上を図ってまいります。 以上であります。
○副議長 (竹内良訓君)  木苗教育長。
○教育長 (木苗直秀君)  コロナ禍における学びの継続についてお答えいたします。
 デルタ株が拡大し県内においても緊急事態宣言が発令される中、 夏休み中の児童生徒への感染が拡大するなど県内の各学校は大変厳しい新学期を迎えました。 学校は学習機会と学力を保障するのみならず児童生徒の発達や成長を保障する役割、 また居場所、 セーフティーネットとして身体的、 精神的な健康を保障する役割を担っております。
 県教育委員会をはじめとする学校関係者は、 一斉の臨時休業は行わず児童生徒が必要としている学校を極力継続するとの強い意志の下、 児童生徒やその家族の命を守る感染防止対策の徹底と学びの継続を両輪として全力で学校運営を行っております。
 議員御指摘のとおり、 新型コロナウイルス感染症の発生状況は日々変化し学校現場では授業や部活動、 給食など様々な面で困難を抱えております。 昨年の臨時休業以降各学校ではICTを活用した授業や教科横断的で柔軟な教育課程の編成などにより課題を一つ一つ丁寧に解決してまいりました。 その経験を次の課題解決に生かすことにより対応力は確実に高まっていると認識しております。
 県教育委員会といたしましては、 引き続き児童生徒の置かれた状況を最もよく理解している学校の主体的判断を尊重しつつ各学校で積み上げてきた成果や好事例を全県で共有していくなど市町教育委員会と連携しながら学校の主体的取組への支援を充実し、 コロナ禍にあっても児童生徒一人一人に寄り添った学びが着実に継続できるよう努めてまいります。 以上であります。
○副議長 (竹内良訓君)  山本警察本部長。
○警察本部長 (山本和毅君)  歩行者の交通事故防止対策についてお答えをいたします。
 本年八月末現在の県内における交通事故死者数は五十四人でありますが、 そのうち歩行者は十七人と全体の約三割を占めております。 また道路横断中に十二人の方が亡くなられており、 このうち九人が高齢者でございます。
 こうした歩行者事故を防止するためには、 街頭における交通指導取締りなどによりましてドライバーに歩行者保護意識を堅持していただくだけでなく、 議員御指摘のとおり歩行者に交通安全意識を高めていただくことが肝要であると認識をしております。 このため県警察では横断歩行者に対し信号を守り横断禁止場所で横断しないなど交通ルールを遵守していただくための街頭指導を強化するとともに、 しずおか・安全横断三つの柱の定着に向けた取組を推進をしているところでございます。
 このしずおか・安全横断三つの柱は道路横断時に手を挙げてドライバーに横断する意思を伝えるなど歩行者に対し自らを守る安全行動を促すものでありまして、 本年策定されました第十一次静岡県交通安全計画にも盛り込まれたところでございます。 幼児や小学生のみならず高齢者を含む全ての年齢層に広く周知しその定着を図るため広報ポスターを県下のコンビニエンスストアやドラッグストアに掲示しますとともに、 動画を作成し街頭の大型スクリーンや県警ホームページ、 SNSなどにおいて放映、 配信するほかパトカーなどによるパトロールで呼びかけるなど多くの県民の目と耳に触れるよう広報活動を推進をしているところでございます。 また現在実施中の秋の全国交通安全運動におきましても歩行者に対する街頭指導を行いますとともに、 三つの柱の周知に努めているところでございます。
 県警察では、 今後とも関係機関・団体の皆様と連携ししずおか・安全横断三つの柱の実践を含め各種取組を推進し歩行者事故の防止に取り組んでまいります。 以上でございます。
○副議長 (竹内良訓君)  三十二番 四本康久君。
        (三十二番 四本康久君登壇)
○三十二番 (四本康久君)  それぞれ御答弁ありがとうございました。
 ちょっと要望を二点お願いいたします。
 まず最初には、 土砂災害の対応についてのうち土砂の発生源対策と環境を守る観点からの条例改正というところでございますけれども、 難波副知事から御答弁を頂く中でこのやっぱり発生土の、 建設発生土の対策、 なかなか法と条例いろんなものが重なり合い、 また国が大きく関わる中でなかなか実態も把握が難しいというようなことでございますけれども、 こんな中でこの建設発生土の発生者側の責任の明確、 また発生から搬出処理に係る流れの管理だとか、 これも自治体が情報を共有化していく発生者側が最後まで責任を持つ仕組みづくりが大変重要ではないのかなと思います。 これは県だけではなく国が当然関わっていかなきゃならないことでありますから強くこういうことを国に働きかけるよう全国知事会等に働きかけをお願いしたいと思います。
 あわせて、 毎年行っています静岡県の要望、 提案というのがありますけれども、 これにも強くこの建設発生土の発生者側が最後まで責任を持つというような仕組みづくりというようなものを入れていただきたいなということを要望いたします。
 二つ目の要望は来夏に向けた富士登山の安全対策ということでございます。
 おおむね御答弁のとおり感染症対策等々混乱なくいったんじゃないのかなと思いますが、 その裏側にはやっぱり山小屋の皆さんのですね、 非常にたゆまざる努力があったと私は承知しております。
 それと今年はね、 やはり天候不順というのがあったんですね。 これが今までとちょっと違いました。 私も長くこの富士山に関わってますけれどもこういうことは初めてだったと思います。 これほどの天候不順。 今なお富士山スカイラインは今日現在も交通止めになっております。 それだけ雨が大変だった。 そして登山道も大変な損傷を受けているという状況ですので来年に向けてしっかりと安全対策、 感染症対策、 また自動車の道路だとか登山道こういったところを対策をお願いしたいと思います。
 再質問いたします。 二問いたします。
 リニア中央新幹線整備のところでございますけれども、 知事から盛土の大きさ、 東館と同じぐらいの大きさになるよだとか東京ドーム三つぐらいの大きさだというようなお話を頂きました。 七十メートルぐらいで横が三百メートルぐらい、 長さが七百メートルぐらいのものだそうです。 大体そのぐらいのものがあそこに積まれるということですからこれの流出ということも大変危惧されますけれども、 それを積む場所、 すごい広い場所が必要になると思います。 当然伐採なんかをする、 木々の伐採だとか等がある中で生態系に与える影響ってすごくあると思うんですけれども、 この辺の認識をちょっともう一度お尋ねしたいと思います。
 もう一つの再質問は富士川の水環境保全への取組についてのところをお尋ねをいたします。
 今回の調査の中では、 水質調査の中では極めて少量だよということで人体、 自然には影響がないというようなことでございますけれども、 本来自然界にはないものが検出されたということが、 少量でもあったということがやっぱり極めて大事だと思います。 そんな中でもっとこれから十月にやると、 前倒しでやっていただくということでございますから、 例えばこれ地元の関係者なんかにいろいろ、 どこの場所がいいんだよとか専門家の助言を得てやはり調査をしてほしいなと思いますけれども、 その辺の考え方を教えてもらいたいと思いますし、 それと今回の調査の中で、 新聞報道等でありまた地元の人たちが心配しているような弾力性のある汚泥、 こういったものから調査をしたのか、 それとも調査、 そういったところの場所が分かったのかどうかちょっとその辺もお尋ねをしたいと思います。 以上、 答弁を求めます。
○副議長 (竹内良訓君)  市川くらし・環境部長。
○くらし・環境部長 (市川敏之君)  まず、 リニアについての再質問にお答えいたします。
 主に、 本日は盛土の関係で御質問頂きまして、 知事から御答弁申し上げたようにまず一つは燕沢という非常に地盤がもうもろいところ、 現に昨年の台風で通行路に土砂が堆積してしまったようなところの隣に大量の土砂を積む計画でございます。 しかも大井川本川のすぐ隣でございます。 その安全性に対するリスク管理については、 もう本当に相当しっかりやっていかなければいけないと思います。 先ほど御質問にございましたそこの場所にも希少なチョウがすみかとする木の繁茂も確認されております。 そういうものの保全につきましても併せて生物多様性につきましてはこれから県の専門部会で協議してまいりますが、 しっかり対話をしていきたいというふうに考えております。
 もう一つは、 重金属を含む土砂についてはその燕沢ではないところに二重遮水シートを設けて、 出るかどうかもまだ分からないところもございますがそこに現地で置くということに現在の計画はそうなっておりますけれどもそちらの安全性についても今後もやはりしっかり県民の皆様が安心していただけるような対話をしていかなければいけないというふうに現在考えております。
 もう一つですね、 富士川の汚泥調査の関係です。
 もともと汚泥、 泥質につきましては、 山梨県と協働する中で山梨県さんが一応そういう専門家の知見を頂きながらどういうところで取ろうかとかということで専門家の方の御意見も当然伺ってやる予定にはしておりますが、 今議員から御指摘がありましたように実際の場所の決定に当たりましては周りの市なんかにも意見を求めていこうと考えておりますので、 その中でここの泥の形状がおかしいとかということを教えていただいたらなるべくその場所を泥質の調査場所として反映していけるように今後は具体的な調査場所を設定してまいりたいと考えております。 以上であります。
○副議長 (竹内良訓君)  三十二番 四本康久君。
        (三十二番 四本康久君登壇)
○三十二番 (四本康久君)  では、 最後に要望をして終わりたいと思います。
 今の富士川に関してですけれども、 実際に私現地へ行ってみました。 ぶよぶよするいわゆる汚泥らしきものはありました。 長靴で入ると三十センチぐらい沈まっちゃいます。 なかなか抜けてきません。 ああいったものが川の流れてないところにあるんですよ、 流れてないところに。 流れてるところは多分海へ行っちゃってるんじゃないのかなと思います。 ぜひ現地の人に、 ある場所ってもう決まってますからぜひそういうところを聞いてですね、 しっかりとまた対策していただくことが住民の皆さんはじめ皆さんの安心、 そしてまた行政への信頼につながっていくと思いますのでよろしくお願いをいたします。 以上で質問を終わります。
○副議長 (竹内良訓君)  これで四本康久君の質問は終わりました。
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会の議事日程を申し上げます。
 九月三十日午後一時会議を開き、 質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会します。

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