• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成30年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

中谷 多加二 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/11/2018

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 四十年先の本県の林業のありようについて
2 消防団活動の支援について
3 山間地域の防災対策について
4 建設産業の維持・確保について
5 生活の足の確保について
6 医療提供体制の確保について


○副議長(落合愼悟君) これで、廣田直美君の質問は終わりました。
 次に、五十七番 中谷多加二君。
       (五十七番 中谷多加二君登壇 拍手)
○五十七番(中谷多加二君) 私の住む浜松市天竜区は、皆様御承知のとおり水と緑と人情にあふれお茶、シイタケ、ワサビなどの産物、アユ、ヤマメ、アマゴや鹿、イノシシ、熊などのジビエという豊富な食材にもあふれた地域です。また最近の情報では自宅の周辺に出没するアナグマの肉は大変おいしく、特に脂身は絶品とのことであります。 楽しみがまた一つふえました。
 また、高齢化率は県内で最高であり全国政令市にある区で最少の人口、日本三大人工美林の一つなど世界クラスの資源群に含めてもおかしくない魅力が数多くある地域です。
 しかし、これらを裏返せば数え切れない課題が山積をしております。私の常日ごろからの思いのうちの幾つかを今回取り上げ一括質問方式で知事、副知事、関係部局長に伺います。
 まず、四十年先の本県の林業のありようについてであります。
 今から四十年前、昭和五十年代半ばには一立方メートル当たりの丸太の価格が杉で四万円、ヒノキでは七万円以上でしたが円高の進行等により輸入材の価格下落に伴って現在では杉は三分の一、ヒノキは四分の一の価格になり林業の採算性は悪化してきました。また戦後造成された富士山麓や箱根山麓などの人工林もその多くが間伐等の保育作業を必要とする段階であったことから、丸太の生産を目的に森林を一斉に伐採する主伐による収入が見込めないというような状況が続きました。
 このような状況が長期間続いたことにより、森林所有者の積極的な経営を行う意欲が低下し手入れ不足に陥ってしまった森林の増加に伴い、その公益的機能の発揮にも支障を来すおそれが生じるようになりました。
 現在、本県の杉、ヒノキ人工林は約九割が林齢四十一年以上の伐採期を迎えております。このため県ではこの成熟した森林資源を有効に活用すべくふじのくに森林・林業再生プロジェクトに取り組んできました。この結果森林施業の集約化や路網の整備が進み利用間伐を主体とした木材生産が活発になり、生産量は県の目標の五十万立方メートルまであとわずかとなりました。さらに県は木材生産量の拡大による丸太の安定供給体制の確立や四十一年生以上に偏っている本県森林の林齢構成を平準化するために主伐の促進に取り組み始めました。
 また一方では、これらの取り組みに伴う新たな課題も見えてきました。
 一つは伐採された林地への造林を促進することであり、もう一つはこれを進めるため造林後伐採期を迎える四十年先を見据えた林業経営をどう確立していくかということであります。
 そんな折、明るい話題もあります。昨年十二月に平成三十年度税制改正大綱が閣議決定されいずれも仮称でありますが森林環境税及び森林環境譲与税が創設されることとなり、市町村が実施する森林整備やその促進等に必要な財源に充てるため森林環境譲与税が来年度から市町村とそれを支援する都道府県に譲与されることとなりました。
 また、今年五月には森林経営管理法が成立し森林所有者みずからが経営管理できない森林について市町村が森林の経営管理の委託を受け、意欲と能力のある林業経営者への再委託や市町村みずからが管理を行う新たな森林経営管理制度が始まります。
 森林は、私たちの生活と深く結びつき国民の生活や経済に欠くことができない緑の社会資本であり、いよいよ森林整備に係る費用が恒久的、安定的に確保でき、今後間伐など森林整備事業の一層の増加が見込まれることは喜ばしいことではありますが、一方でこれを担う林業経営体等の人材不足が生じて市町村が進める森林整備が停滞することや、県が目標とする木材生産五十万立方メートルの達成に支障を及ぼすことを私は懸念しております。
 林業経営体の人材の確保・育成は、広域自治体の立場から県が喫緊の課題として捉え市町村の支援の一つとして取り組むべきものと考えています。木材生産を担う林業経営者、林業従事者は減少の一途であり、また後継者のいない森林所有者の中には主伐後の所有林を放置するおそれもあります。
 私が代表理事会長を務める県森林組合連合会では、本年十月から森林組合連合会が運営する天竜、岡部、富士の三つの事業所の市場に丸太を出荷することを条件として再造林の費用の一部補助金としてヘクタール当たり二十万円を支給することといたしました。山林所有者に対して県が進める主伐、再造林への意欲を少しでも高めることができればと思い、零細組織としては大英断を下したつもりであります。既に数カ所の申し込みがあるなどわずかではありますがその効果が出始めていることは今後に期待を持たせるものと思っています。苗を植え育て、そして伐採しまた苗を植える。林業は一つの世代で終わるものではなく次の世代に託すことにより成り立つ産業です。林業家の一人として強い思いを私は持っています。
 そこで、県として四十年先の本県林業のありようをどのように考え具体的な対応をしようとしているのか伺います。
 また、木材生産や森林整備を担う人材確保・育成のため、県に配分される森林環境譲与税をどのように活用していくのか、県の方針を伺います。
 次に、消防団活動の支援についてであります。
 地域防災のかなめである消防団は、火災や災害発生時はもとより平時においても有事に備えた訓練の実施や防火に関する啓発活動を行うなど重要な役割を担っており、その存在は県民にとつて大変頼もしく心強い存在であります。しかしながら消防団を取り巻く環境は年々厳しくなっています。総務省消防庁の資料によれば統計が残っている昭和三十一年に全国で約百八十三万人いた消防団員は年々減少し平成二十九年には約八十五万人と半分以下になったとのことであります。本県も決して例外ではありません。昨年には県全体で二万人を割り込む状況に陥りました。
 私も、地域において長らく消防団活動に携わるとともに消防議連の一員としても消防団活動を懸命に応援してきただけに団員が減少する一途の現状に大きな危機感を覚えています。旧天竜市消防団長に就任すると団員が複数勤務する企業に協力をお願いするのが初仕事であり当時から団員の確保と周りの理解を得ることは並大抵のことではありませんでした。
 消防団員の確保に向けては、県や市町においてさまざまな取り組みを講じてきたことは十分承知をしております。県では消防団員の負担軽減や業務の効率化につながる資機材の整備などを支援するとともに、県内の消防団員の約八割を占めるサラリーマン団員の活動への雇用者の理解を求めるため啓発リーフレットを作成、配布するなど消防団員が活動しやすい環境づくりに努めています。しかしながら時代の大きなうねりの中で依然として消防団員の減少に歯どめがかからないというのは厳然たる事実であります。
 こうした中で、平成二十四年に我が会派を中心に議員提案で制定された「消防団の活動に協力する事業所等を応援する県税の特例に関する条例」、いわゆる消防団応援条例が来年三月末で期限を迎えることとなります。
 この条例は、消防団員が所属する事業所等の事業税を一部控除することにより消防団活動への理解を求めるとともに消防団員が活動しやすい環境づくりを目指すものです。 県消防協会の役員の方々からも延長に対して強い要望が出されております。
 三年前の条例の期限延長に際しては、事業所税の控除限度額を十万円から百万円に拡大するとともに対象範囲を拡充するなどの改正を行いましたが、今般期限を迎えることからその再延長について考えていかなければならないものと承知しております。
 そこで、これまでのこの条例の効果をどのように評価するのか、また課題をどのように認識をしているのか、所見をお伺いいたします。
 次に、山間地域の防災対策について伺います。
 九月三十日夜遅くから十月一日未明にかけて、県内の広い範囲で暴風が吹き荒れた台風第二十四号は本県にとって近年にない被害を引き起こしました。雨による被害は比較的軽微であったものの風にあおられて転倒したり強風で自宅のガラスが割れるなどして二十八名の方が負傷されたほか、家屋や多数の農業用施設が被害を受けました。特に暴風による倒木やトタン屋根などの飛来物により、多くの場所で電線が切れたり強い潮風で送配電設備に付着した塩分が原因でショートを引き起こしたことなどにより、最大で約七十一万五千戸に及ぶ大規模な停電が発生するなどこれまで我々が経験したことのないような県民生活への大きな影響がありました。
 中でも天竜区は、緑多き山深い中に集落が点在しており張りめぐらされた電線は暴風とこれに伴う倒木によりズタズタに断線した地域です。停電が復旧したのが十月七日の朝であったところもあり、ほぼ一週間にわたり電気がつかない中、多くの住民の方が先の見えない不安な夜を過ごすなど不自由な生活を強いられたところであります。
 しかし、自助という点では今回の停電で山間地域の強みを発揮した点もありました。
 それは、農作業用などのため自家発電機を持っているお宅が意外とあり最低限の電源の確保ができたことです。このように町とは違う強みも一つの発見でした。不肖私めも二台の発電機を所有しておりますが、九月二十九日の福井国体開会式に参加しどしゃ降りの中、役員、選手団とともに入場行進、その後静岡県選手の応援に情熱を燃やしておりました。それゆえ翌三十日の台風による暴風のすさまじさを体感しておりませんが留守宅を預かるファミリーが停電後発電機を使って迅速な対応をし、冷蔵庫の中身特に名張の而今や岩国の獺祭といった冷酒や厚切りの牛タンなどつまみには何の異常もなく安堵いたしました。
 今回の台風では、停電による被害にとどまりましたが南海トラフ地震等の大規模災害においては甚大な人的・物的被害が発生し、山間地域では道路途絶による孤立状態に陥ることも想定され今回の停電の復旧と同様に期間が他の地域に比べ長期間に及ぶことも考えられます。そのため山間地域の住民の安全・安心を確保するための事前対策が必要と考えますが、県は山間地域の防災対策について課題をどのように認識し、その課題に対してどのように対応していくのか伺います。
 ここからは、私の地元における状況を訴えつつ中山間地域に共通する課題を伺ってまいります。
 初めに、建設産業の維持確保についてであります。
 東日本大震災からの復興、そして東京オリンピック・パラリンピックの開催準備と建設業界の景況感はかなり高まっているものの、それは大都市圏を中心とした大手ゼネコンが対象であり中小建設会社の多い本県の建設業界は苦境に立たされています。
 静岡県内の建設投資額は、平成三年をピークに年々減少しここ最近は若干上向いているものの、それでもピーク時の約半分程度の状況であり今後も大きな増加は見込めない中、平成二十年からことしまでの十年間において土木一式工事の建設工事入札参加資格者数は約四分の一、五百社ほど減少しており大変厳しい状況であります。
 建設産業は、インフラの整備、維持管理、老朽化対策の担い手などさまざまな役割を担っていますが、特に地震や台風などによる災害が多発している近年においては災害発生時の被災情報の収集や緊急車両等の通行のため救援ルートを確保する道路啓開など地域の守り手として建設産業の果たす役割はますます増大しています。
 先ほども述べた台風第二十四号により、私の地元でも大きな被害を受け復旧に多くの時間がかかりました。復旧に向けて浜松市にはもっとスピード感のある対応をしてもらいたいものですがここでは余り多くは語りません。
 災害が発生し道路が寸断された場合などの応急復旧工事は、地域に密着し地元の事情に精通し小回りのきく地元の建設会社でなければできないものです。その存在があるからこそ住民も安全・安心に暮らすことができます。中でも災害の発生確率が高い中山間地域においてはその求められる役割は非常に高いものとなっていますが、人口減少、高齢化の進行による担い手不足などにより会社経営が成り立たず廃業していく業者の割合は他の地域と比べ高くなっており機能の低下は著しいものがあります。
 県ではこれまで地元企業の育成のためさまざまな施策を行ってきましたが、厳しい経営状況の中、中山間地域の建設会社が大幅に減少しこのままでは地域の住民の安全・安心が脅かされる状況となってしまうおそれがあります。
 このような現状を踏まえ、中山間地域における建設産業の維持確保に今後どう取り組んでいくのか伺います。
 次に、生活の足の確保についてであります。
 ことし十月遠州鉄道が運行しているバス路線の撤退の話が浮上しました。遠州鉄道は天竜中心部と水窪町を結ぶ北遠本線、そして中心部と熊地区を結ぶ阿多古線について来年九月末で撤退する方針であるとのことです。また天竜中心部と春野町を結ぶ秋葉線についても撤退を検討しており、これらの路線の撤退の理由を利用者の減少による採算の悪化に加え運転手の確保が難しくなっているためと説明しております。
 北遠地域の公共交通機関は、かつては夢の国鉄佐久間線の構想がありましたが建設段階で夢破れ廃線となりました。その後は一貫してバスが地域の幹線交通としての役割を果たし子供、学生、高齢者を中心とした地域住民の日々の移動手段となってきたところであります。
 しかし、モータリゼーションと主婦を中心とした自動車運転免許取得者の増加に伴い、これらの地域では自家用車が主な生活の足となってきましたが、運転免許証を持たない学生や高齢者などにとっては路線の廃止により日常生活に大きな支障を来すこととなります。これらの地域と天竜中心部とを結ぶバス路線がなくなれば市街地との往来がますます不便になり、さらに過疎化に拍車がかかることが懸念されます。
 このような状況は、私の地元だけではなく中山間地域全般の課題であり、伊豆地域を初め川根本町や静岡市北部などにおいても公共交通の維持確保に苦慮しており、中山間地域を含む県内全域で撤退路線が毎年のように発生しているのが現状であります。バス事業者による路線が廃止された場合には地域住民の足を確保するため市町が自主運行バスとして路線を引き継ぐ場合が多いわけですが、その財政負担は年々重くなってきていると聞いています。
 県は、不採算バス路線の維持のための助成や市町が行う自主運行バスへの助成を行っておりますが中山間地域の公共交通はまさに危機に瀕している状況であり、近年路線の廃止要因となっている運転手不足への対応も考慮し行政と交通事業者が連携して対策を講じていかないと路線を維持していくことは難しいのではないかと思います。
 このような状況を踏まえ、中山間地域における生活の足を確保していくためにはバスの利用促進と運転手の確保という課題への対応が必要と考えますが、具体的にどのような取り組みを行うのか、所見を伺います。
 次に、医療提供体制の確保についてであります。
 天竜区の住民の高齢化率は、平成三十年四月には四三・四%となっており県全域の二八・七%と比較しても大幅に高いことからも地域住民にとりましては身近な地域の病院や診療所で医療を受けられる体制の確保は大変重要と考えており、僻地医療をどのようにして支えていくか中山間地域での医療の確保について大変心配をしております。
 天竜区内の医療機関の開設状況については、病院が二施設、診療所等が二十九施設あるものの地区の中心的な場所からおおむね四キロメートル以内に医療機関のない地区が県内十七地区のうちの十二地区、歯科医院のない地区二十一地区のうち同じく十二地区が天竜区に集中している状況であります。
 このため、住民にとって最大に困ることは急な病気、けがをしたときの対応や高度な医療設備を備えた都市部の病院に、より専門的な医療を受ける必要が生じた場合など大きな不安を抱えることとなります。先ほどのバスの問題にも重なりますが医療機関までの公共交通機関などによる移動手段の確保も含め地域住民の健康的な生活を支えることが求められています。
 また、それぞれの診療所においてもさまざまな課題を抱えておりその最たるは後継者がいないことです。診療所も一企業と捉えれば人口が減っていく中、採算が厳しくなるのは当たり前であり後を継ぐ人材がいないのもやむを得ないのかもしれませんが、医療機関がなくなることは何としても避けなければなりません。
 一方で、私がお世話になっている水窪町で診療院を開業している先生は、開院以来四代にわたって全て長男が医者として後を継ぎ五代目の長男も現在医大生であり、過疎地域の医療を支えてくれております。医療に対する情熱と徳を積まれた家系であるとただただ驚くばかりです。また中山間地域でも情報インフラが整備されていれば画像による遠隔診断やWeb診断など最新のICTを活用した医療の提供体制も整えられますが、現在でも天竜区内の光ファイバーなどの整備は一部に限られており浜松市のやる気を期待したいと思います。無理ですかね。
 このような中で、住民が必要なときに安全で質の高い医療が速やかに受けられる体制を整備するため、県は医療機関などと手を携え積極的に支援すべきと考えますが僻地における医療提供体制の確保について、県の対応を伺い質問を終わります。
○副議長(落合愼悟君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) まだ議員生活一年にも満たない議員の御質問の後、大ベテランの余裕のある御質問に感じ入りましたが、それにも増して豊かな天竜の生活の中でアユ、アマゴ、ヤマメ、さらにイワナも、加えてイノシシ、鹿というのはさほど珍しくありませんが熊、アナグマと言われましたでしょうか。さすが天竜の金太郎と言われるだけの方であると驚きました。また今、水差しにお水をお差しですが私はこれを最初に余りにおいしそうに飲まれるのでひょっとすると獺祭かと、いやただの水でございました。
 そうした堂々たる御質問、本当に感じ入りましたが都会は都会でコンクリートジャングルの中でさまざまな問題を抱えておりますが天竜にもそれ固有の問題があるということをしかと拝聴いたした次第でございます。
 六つほどの質問のうち、私は四十年先の本県の林業のありようについてお答えいたします。
 林業は、苗木から成木に育て木材生産に至るまで世代を超える長い歳月を要します。そのことから長期的な視点で持続可能な森林経営を進め、健全な森林を次世代に引き継いでいくことが必要であります。またそのための人材確保・育成も重要であります。
 本県では、議員御質問の四十年先の本県林業のありようとしましては切って、植えて、育てるという林業本来のサイクルの再構築により、森林の成長に見合う木材を生産し持続的な林業経営が営まれる姿を目指しております。そして木材が幅広い用途で活用されることで、安定的な収益を得ながら自然豊かな環境の中で働く産業として多くの若者から支持され山村の振興にも寄与するといった将来像を描いているところであります。
 平成二十四年十一月中旬に本県で育樹祭がございました。全国育樹祭、皇太子殿下の御臨席を仰いでそのとき我々は切って、使って、また植えるということで供給と需要両方から静岡県の森林を活用していこうという決意を立てたところでございます。供給と需要の両面での取り組みが重要でございます。
 まず、供給面につきましては県内の森林資源の樹齢といいますかその林齢が偏っていることが課題であります。これを是正し生産性が高い主伐と森林資源の再造成が可能となる望ましい軌道に乗せていくことが必要です。このため初期の育林コストの低減を図ることができる、成長が早いいわゆるエリートツリー苗木の供給体制の整備、高密度の路網整備などによりまして低コストの主伐、再造林を促進し林業の採算性を向上させてまいります。
 また、需要面につきましては木材の一層の需要拡大に向け一般住宅ばかりでなく公共施設、集客施設、オフィスなどへの木材の利用促進やCNF――セルロースナノファイバーなど新たな素材として活用することにつきましてもこれまで以上に注力してまいります。
 人材確保・育成につきましては、新たな担い手の確保・育成のため来年度から導入される議員御指摘の森林環境譲与税を活用いたしまして、林業に携わる方々が安全かつ効率的な技術が習得できますよう、また林業の魅力を感じていただけますように若い世代が林業の魅力を知る現場見学会、新規就業希望者に向けた就職相談会、林業経営体が抱える課題に応じた技術研修の実施等々きめ細かな就労支援に取り組んでまいります。
 あわせて二年後、二〇二〇年四月に開学予定の農林環境専門職大学――仮称でございますが――この専門職大学におきましては森林・林業に関する幅広い専門的な知識と理論に裏づけられた高度な実践力、課題対応能力を有する人材を育成してまいる所存であります。
 県といたしましては、森林資源の循環利用により林業の成長産業化を目指す本県林業の将来像の実現に向け森林組合を初め林業に従事されている皆様とともに全力で取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長から御答弁申し上げます。
○副議長(落合愼悟君) 難波副知事。
       (副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) 消防団活動の支援についてお答えをいたします。
 消防団は、互助共生の精神のもと火災はもとより地震、風水害などの災害から地域住民の安全を守るため昼夜の別なく献身的な活動をされており、地域防災のかなめとして欠くことのできない存在であります。しかしながら議員御指摘のとおり社会情勢の変化等により県内の団員数は減少傾向となっております。
 このような傾向に歯どめをかけ、団員を確保することは南海トラフ地震で甚大な被害が想定される本県におきましては極めて重要な課題であると認識しております。
 こうした中、議員の皆様の御提案により平成二十三年三月に消防団員の約八割を占める被雇用者の活動環境を整備するため、消防団の活動に協力する事業所等を応援する県税の特例に関する条例が制定されました。この条例を踏まえ施策を進めてきた結果、昨年度条例に基づき認定を受けさらに県税である事業税が控除された事業所数は百七十六となっており、条例施行直後に比べ約四倍に増加しております。
 市町から消防団協力事業所として認められることが事業税の控除を受けるための要件とされております。このこともありまして条例の導入に伴い協力事業所の数は本年四月現在で条例施行当時の約五倍に相当する八百八事業所に増加し全国第四位となっております。また当該事業所に勤務する団員数は千九百十九人と県内の全消防団員の約一割を占めております。これは条例の大きな効果であり、今後とも支援を継続することにより団員の火災出動への事業者の理解が深まってより活動しやすくなるなど環境の整備が一層進むものと確信をしております。
 一方、協力事業所のうち条例の認定を受けていない事業所が約七割を占めておりますことから、これらの事業所に対しましても条例の趣旨や支援制度等を丁寧に説明することなどにより認定を受ける事業所の拡大を図ることが必要であるというふうに考えております。このような施策をしっかり進めてまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 金嶋危機管理部長。
       (危機管理部長 金嶋千明君登壇)
○危機管理部長(金嶋千明君) 山間地域の防災対策についてお答えいたします。
 台風二十四号では山間地域において停電や断水が長期化しましたが、南海トラフ地震が発生した場合今回を上回る停電や断水の長期化が予想されます。また道路の被災により地域が孤立し食料や生活必需品、医薬品などの入手も困難になると思われます。これらに対応するため孤立地域からの情報に基づき自衛隊等のヘリコプターを活用した救出救助や物資の輸送等の支援活動を行うこととしております。
 このため、県では県内の孤立予想集落三百七十九カ所に対して市町と連携し、ほぼ全ての集落で衛星携帯電話の配備やヘリコプターの離着陸場の確保など情報伝達手段や輸送手段の充実を図ってまいりました。これらの対策の実効性を確保するためには現場の把握や定期的な訓練の実施が重要でありますことから、自衛隊等による現場踏査を実施するとともに総合防災訓練や地域防災訓練等を通じて衛星携帯電話による通信確認やヘリコプターの安全な誘導訓練などを実施しております。
 県といたしましては、山間地域における住民の安全・安心を確保するため市町や自衛隊等関係機関と連携して防災対策の充実強化に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 平野交通基盤部長。
       (交通基盤部長 平野忠幸君登壇)
○交通基盤部長(平野忠幸君) 建設産業の維持確保についてお答えいたします。
 近年、豪雨災害の多発などを背景に地域の守り手として建設産業の果たす役割はますます増大しており、とりわけ中山間地域における建設産業の維持確保は安全・安心な暮らしを営む上で極めて重要な課題であります。
 県では、建設業界団体とのさまざまな意見交換の機会を通じて建設産業に関する課題の把握に努めているところであります。中山間地域の建設業者からは厳しい経営環境にある過疎地域に配慮した入札制度の導入や工事発注時期の平準化の要望、担い手の確保が困難などの御意見をいただいており、これらを踏まえたさまざまな取り組みを行っているところであります。
 具体的には、工事の入札におきまして地元企業の受注機会確保を図る地域要件の設定や、通常二十者程度としている参加見込者数をおおむね十者以上に緩和する、地域を守る事業者維持・育成入札に加え総合評価落札方式における地域貢献活動の加点評価などを実施しております。さらに担い手の確保に向けて、静岡どぼくらぶを活用した建設産業の広報や債務負担行為の積極的な活用などによる発注・施工時期の平準化も着実に進めているところであります。
 県といたしましては、これまでの取り組みに加え施工を省力化し生産性を向上させるICT活用工事の拡大や休日確保型入札などによる働き方改革を推進し、地域の守り手としての建設産業が将来にわたって継続できるよう取り組んでまいります。
 次に、生活の足の確保についてであります。
 県内の乗り合いバスは、利用者の減少により収支が悪化しバス路線からの撤退を希望するバス事業者が増加しております。このため県では学生や高齢者などの交通弱者の移動手段を確保するため、バス事業者やみずからバスを運行する市町に対して助成を行っております。
 しかし、近年のバス路線の廃止は利用者の減少に加えて運転手の確保が困難になっていることも大きな要因であり、特に中山間地域におきましてその傾向が顕著にあらわれており、これまでのような財政支援だけではバス路線の維持確保が難しい状況であると考えております。
 このため、県では各地域の公共交通会議に参画し、乗り合いバスの運行経路やダイヤの見直しによる乗客の増加策を初めデマンド型乗り合いタクシーや市町等による自家用有償旅客運送の導入など地域の交通課題の解決に努めているところであり、北遠地域におきましてもこれらの経験を生かした取り組みを進めてまいります。
 また、運転手の確保につきましても国が実施するバスの運転体験イベントへの協力やバス事業者が行う就職説明会の周知などの支援を進めてまいります。
 県といたしましては、これまでの取り組みをより一層進めることに加え公共交通における運転手確保の代替手段となる自動運転の導入を目指して、来年度は中山間地域において社会実験を実施するなど住民の移動手段の確保に努めてまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 池田健康福祉部長。
       (健康福祉部長 池田和久君登壇)
○健康福祉部長(池田和久君) 医療提供体制の確保についてお答えいたします。
 県では、県民の皆様に安全で質の高い医療を提供するため第八次静岡県保健医療計画に基づきまして各地域の実情に即した医療提供体制の確保に取り組んでおります。特に僻地医療につきましては医療を担う人材の確保や地域で医療機関を受診する際の移動手段の確保、さらには高度・専門的な医療を提供する医療機関への搬送体制の構築が重要と考えております。
 このため、僻地医療に係る各種事業の総合調整を行う僻地医療支援機構を県立総合病院に設置するとともに、浜松市国民健康保険佐久間病院を初め県内六病院を継続的な診療支援を行う僻地医療拠点病院として指定し、診療所への医師派遣や無医地区への巡回診療を実施するなど支援体制の充実に努めております。
 僻地の医療機関における医師の確保につきましては、佐久間病院のほか県内三病院に自治医科大学卒業医師十三名を派遣し医療人材と診療機能の確保を進めております。また来年度に策定する医師確保計画におきましても、他県の事例を参考に僻地における医師確保対策について検討してまいります。
 医療機関への移動手段の確保につきましては、住民の方々が身近な地域で医療機関を受診する際の交通手段として御利用いただくため、医療機関の行う患者送迎用車両の購入や市町が実施する通院用バスの運行に対する補助を行うなど必要な支援を行ってまいります。また救急医療が必要な場合の搬送体制につきましては、西部地域の聖隷三方原病院及び東部地域の順天堂大学医学部附属静岡病院にドクターヘリを整備し、重篤な患者を高度な医療機器を備えた都市部の医療機関へ確実に空路搬送する体制を整備しております。
 県といたしましては、今後も市町や地域の医療機関等と十分に連携しながら県内の僻地における医療の確保を支援することにより、県民の皆様が住みなれた地域で安心して暮らせるよう医療提供体制を確保してまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) これで中谷多加二君の質問は終わりました。(拍手)
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会の議事日程を申し上げます。
 十二月十二日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会します。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp