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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成27年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

宮城 也寸志 議員

質問分類

一般質問

質問日:

07/01/2015

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 静岡茶の振興について
 (1) 茶草場農法の活用
 (2) 牧之原地域における茶園の再整備
2 農業用ため池の耐震対策の推進と豪雨対策への活用について
3 地球温暖化対策について
4 介護施設における事業継続計画(BCP)の策定について
5 教育の振興について
 (1) キャリア教育の推進
 (2) お茶を活用した食育の推進


○副議長(杉山盛雄君) これで田口章君の質問は終わりました。
 次に、四十六番 宮城也寸志君。
       (四十六番 宮城也寸志君登壇 拍手)
○四十六番(宮城也寸志君) こんにちは。私は自民改革会議所属議員として通告に従い、知事及び関係部局長並びに教育長に対しまして一括質問方式で伺います。
 初めに、静岡茶の振興についてのうち、茶草場農法の活用について伺います。
 菊川市など四市一町で伝承されている伝統的農法である静岡の茶草場農法は、平成二十五年五月に世界農業遺産に認定されました。認定された当時は普通にやっていた農作業が世界的な遺産としてなぜ認められたのか、地元でも驚いた方が多かったと記憶しています。しかし昔からおいしいお茶をつくろうとする取り組みはススキなどの育つ茶草場の保全につながり、多様な植物や昆虫が生息する豊かな生態系を維持しています。このお茶の生産と生物多様性の維持が両立しているからこそ世界的にも貴重な農法として世界農業遺産に認められたと感じています。
 こういった茶草場を守り続けている静岡の茶草場農法を実践する生産者が栽培したお茶につけられるのが生物多様性保全貢献度のシールです。お茶の新芽がマークとなっており、その数によって貢献度の高さが示されています。またそこにはQRコードもついており、茶草場農法の概要や実践者の情報がすぐ見られるようにもなっております。現在、認定地域で五百八十五戸の方が実践者として認定されており、私の地元菊川でも二百二戸の生産者の方々が頑張っております。
 十一月は国内認定地域の市町村の連携組織であるJ―GIAHSの研修会を菊川で開催することになっており、認定を契機に他県の方々と交流が図られるものと期待しております。また十月十六日から二十一日にかけて、現在イタリアで開催されているミラノ国際博覧会へ他県の認定地域と連携して世界農業遺産をPRしてくるとのことです。
 お茶が健康的な飲料として知られるようになり海外でのお茶への関心が高まってきたことから、この静岡の茶草場農法でつくられたお茶の魅力を紹介することで多くの方々が静岡にやってきて、おいしいお茶を飲んでみたいと思わせることができれば非常に有意義なことではないかと思います。なおイタリアには静岡の茶草場農法推進協議会の会長である掛川市長や菊川市長も応援に駆けつけます。
 このように、地元市町や県ではさまざまな活動を通じて世界農業遺産をPRしてきておりますが、今後この農法の継続を茶業の振興に結びつけるためにどのような取り組みを行っていくのか伺います。
 次に、牧之原地域における茶園の再整備について伺います。
 温暖な気候でお茶の栽培に恵まれた牧之原地域は、かつては水に恵まれず農道も未整備で栽培に大きな労力を要していました。平成二十二年度までに畑地かんがい施設や基幹的な農道を総合的に整備する県営畑地帯総合整備事業により、防除作業やかんがい等の省力化と生葉の摘採や栽培管理等の効率化が図られてまいりました。また茶農家は乗用型茶園管理機が導入可能な茶園に積極的に機械を導入するなど、生産コストの低減に努めてまいりました。このような努力により牧之原地域は日本を代表する大茶産地の地位を築いてまいりました。
 こうした中で、ことし一番茶の状況を見てみますと生産量は前年並みであったものの、平均単価は平成七年の半分近くになるなど近年で最低水準まで落ち込んでおります。このため二番茶以降の生産を取りやめてしまう農家までもあります。このような茶農家の収入が上がらない中では、所有する機械を最大限に活用して経営規模を拡大し、生産コストを下げることにより収益の減少を防ぐことを図っていくことが必要ではないかと考えます。
 菊川市においては、県営事業により約六割の茶園は畑地かんがい施設や基幹的な農道等が整備されています。この中では乗用型茶園管理機の導入が進んでいる条件のよい畑がある一方、機械の入ることのできない条件の悪い茶園もまだまだ多い状況にあります。このような茶園は受け手となる担い手農家からも敬遠され、将来的に耕作放棄地になってしまうのではないかと大変危惧しております。
 このため、経営の合理化を促進するための茶園の再整備が必要と考えますが、今後どのように進めていくのか、県の取り組みを伺います。
 次に、農業用ため池の耐震対策の推進と豪雨対策への活用について伺います。
 ため池は新田開発や水不足解消を目的に築造されたものであり、その数は西日本を中心に全国で約二十万カ所に上り、農業の礎の役割を果たしております。本県にも大小約六百五十カ所のため池があり、大井川用水や天竜川下流用水など大規模な農業用水が整備された現代においてもこれらの用水の恩恵を受けない地域では大切な水がめとして、また私の住む菊川市にある谷田大池や七曲池のように大井川用水の補給としてなど今でも重要な役割を担っております。これらため池は明治時代以前につくられたものが多く、その耐震性に不安があることから県では平成二十五年六月に策定した地震・津波対策アクションプログラム二〇一三にこれらため池を位置づけ、耐震対策を県と市町の役割分担により進めていると認識しております。
 ところが、最近の新聞報道によりますと県内のため池の約八割がある中東遠地域の市町では耐震化への対応に苦慮しているとのことです。これは対策が必要なため池の多くを管理する市町においてアクションプログラム対策期間である平成三十四年までの短期間に整備工事が集中することから、その実施体制に不安を抱えていることなどに理由があると思われます。このため県には市町の不安を解消する対策を講じていくことなどリーダーシップを発揮し、ため池の耐震化を確実に推進していくことが求められていると考えます。
 一方、ため池の本来の目的は農地をかんがいする水をためることですが、ため池の多くが山裾など常に水が集まりやすい場所に位置し、その下流には人家等も多くあることから、近年多発する豪雨等による水害被害を軽減させるなどそのほかの目的での活用ができないかと考えています。ため池の新たな活用による地域への防災効果を示すことができれば、ふだんため池とかかわりの少ない一般住民の理解も得られ、その結果耐震対策の推進も図られるのではないかと思います。
 そこで、農業用ため池の耐震対策の推進と豪雨対策への活用について、県の考えを伺います。
 次に、地球温暖化対策について伺います。
 近年、猛暑や過去にない規模の豪雨など地球温暖化が要因と思われる異常気象がふえており、このまま温暖化が進めば今後農作物への影響や大雨による浸水被害、健康への被害の増加など私たちの生活や産業に深刻な影響が生じると言われています。
 昨年、国連のIPCC――気候変動に関する政府間パネルが公表した第五次評価報告書においても、温室効果ガスの排出が今のペースで続けば、最悪の場合、今世紀末の世界平均気温は産業革命の前の水準と比べて四・八度上昇し、それに伴う熱波の頻度の増加、海面の上昇、海洋の酸性化などにより自然環境や生態系にも大きな影響を及ぼす可能性が高まると警告しております。我々人類のみならず全ての生き物にとってかけがえのない美しい地球を未来に引き継ぐために、これまで以上に地球温暖化対策に取り組んでいく必要があります。
 先月ドイツで開催された先進七カ国首脳会議において、我が国は温室効果ガス排出量を二〇三〇年度までに二〇一三年度比で二六%軽減するとした新たな目標案を発表しました。国の目標案とは基準年度や目標年度が異なるため単純な比較はできませんが、これに先立ち県は本年三月、平成二十三年三月に策定したふじのくに地球温暖化対策実行計画を改定し、二〇二〇年度の温室効果ガス排出量を二〇〇五年度比で二〇%削減するという従来の目標を大きく上回る新たな目標を掲げたと伺っております。
 また、私が住んでおります菊川市におきましても、本年三月に策定した菊川市環境基本計画に基づき地球温暖化対策を積極的に取り組み出したところでございます。地球温暖化は国レベルあるいは地球全体で取り組むべき大きな課題ではありますが、県や市町の自治体レベルの地道な取り組みの積み重ねこそが重要と考えます。
 県は、改定したふじのくに地球温暖化対策実行計画に基づき、今後どのように地球温暖化対策を進めていくのか伺います。
 次に、介護施設における事業継続計画――BCPの策定について伺います。
 本年五月、災害が起こった場合でも人命や物的被害の軽減だけでなく施設運営を継続または早期復旧できるようにするための事業継続計画を策定している施設は、県内の介護施設二千六百八十七施設のうち二十五施設、全体の〇・九%にとどまり、事業継続計画の策定が介護施設に浸透していないと新聞報道がありました。平成二十三年三月に発生した東日本大震災では、多くの介護施設が被災したことから改めて防災対策の充実が課題となりました。大震災以降も南海トラフの巨大地震の危険性が大きく指摘され、最近では爆発的噴火をした口永良部島や小笠原を震源とする地震さらには台風やゲリラ豪雨、日本列島全体が自然災害の脅威にさらされていると言っても過言ではありません。
 このような状況の中で、特別養護老人ホームや老人保健施設など介護を必要とする方が入居する施設は、訪問介護事業所等の居宅サービスとは異なり災害が発生した場合には入居者の生命に直接的な影響を与えるとともに、福祉避難所の指定を受けている施設も多く災害時には地域の要援護者の生活を支えることが求められています。各施設では防災計画や非常災害対応マニュアル等を作成し、防災訓練等についても地元の消防や自治会と連携して行っている施設もあるなど、それぞれ工夫して災害への備えに努めております。しかし施設の職員体制には余裕がなく、また防災の知識やノウハウを取得するにも限界があることから、施設単体の取り組みだけでは万全な対応は困難であり、県としても支援していく必要があると考えています。
 県では、介護施設におけるBCPの作成支援ツールを作成したと聞いておりますが、災害対策についてこれまでどのように取り組んでこられたのか。また災害に対する万全の備えを行い入居者の安全・安心を確保するため、今後当該BCP作成支援ツールをいかに活用しBCPを普及させるかについてどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、教育の振興についてのうち、キャリア教育の推進について伺います。
 現代の産業や経済における構造的な変化は、雇用形態の多様化、流動化に直結しています。こうした中、子供たちが学校での学習に自分の将来との関係で意義が見出せず学習意欲が低下しているという現状や、働くことへの不安を抱えたまま職業につき適応に難しさを感じている状況等が指摘されています。将来子供たちが直面するであろうさまざまな問題に柔軟に、かつたくましく対応し、社会人、職業人として自立していくために必要となる能力や態度を育成するためには、子供たちの発達の段階にふさわしいキャリア教育等を推進、充実させることが大切と考えております。本県においては小学校における職場見学や中学校における職場体験など学校の特色や地域の実情を踏まえた義務教育段階から体系的にキャリア教育を推進していますが、その中でも菊川市は特色のある取り組みを進めています。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口で菊川市の人口は二〇一〇年の四万七千人から二〇四〇年には三万九千人まで落ち込むと予想されています。特に若者の減少が深刻で、進学や就職で地元を離れたまま戻らないといった課題を抱えています。
 こうした課題に対して菊川市では、市や経済界など官民一体でふるさとへの愛着を育むキャリア教育に取り組んでおります。去る五月十四日には菊川市立西中学校において中学生向けの地元企業説明会が開催されました。市役所、農協、自動車部品メーカーなど市内十三の企業・団体が体育館にブースを構え、生徒は興味ある企業から業務内容等についての説明を受けました。この実践は中学生が働くことのよさについて学ぶだけでなく菊川市そのもののよさに気づくことができ、将来は菊川で働きたいといったふるさとへの愛着を育むキャリア教育であり、地元と密に連携し人口問題への対応にも資する全国的にも珍しい取り組みであると考えます。
 こうした特色ある取り組みを踏まえ、今後県としてキャリア教育をどのように推進されるのか所見を伺います。
 終わりに、お茶を活用した食育の推進について伺います。
 静岡県の特産品であるお茶については、高血圧や肥満の予防、抗菌殺菌作用のあるカテキンやリラックス作用のあるテアニン、かぜに予防効果のあるビタミンCなど健康効果のあるいろんな成分が含まれており、その効果を得るには毎日飲み続けることが大切であると考えます。
 そのためには、子供のころからお茶を味わうことや学ぶことが大事であり、学校においても県内さまざまな取り組みがなされています。
 県教育委員会では、昨年度から給食時間にお茶を飲用していなかった市町教育委員会等と連携し、お茶の入れ方教室や給食時間にお茶の提供を行っていますが、ほかにも給食に茶葉を活用した献立を提供したり、お茶の生産者等と学校が連携してお茶の手もみなどの体験活動やお茶の歴史や文化などの学習を行っています。特に菊川市などお茶どころと言われる地域にあっては、さまざまな方法により地域一体となった取り組みがなされています。
 このようなそれぞれの地域で独自に実施されているお茶に関する食育活動を県内に広めていくことにより、各地域でより充実した食育活動が展開され、子供たちはさらに深くお茶に親しむことができるようになるかと考えますが、長年お茶の効能等も研究されてきた研究者でもあります教育長の所見を伺います。以上について答弁を求めます。
○副議長(杉山盛雄君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 宮城議員にお答えいたします。お茶を中心に大地に根差したよい御質問をいただきました。
 まず、静岡茶の振興についてのうち、茶草場農法の活用についてであります。
 静岡の茶草場農法は長年よいお茶をつくるために工夫された手法であるということですが、結果的にそれが生物の多様性の保全につながったということで、生物の多様性の保全というところが高く評価せられて世界農業遺産に認定せられたということでございますが、これは静岡県の宝であるだけでなくて私は日本の宝であると、日本の農業の宝の粋がここにあるとすら思っているわけでございます。この農法を継承していくには、急傾斜地における茶草の刈り取りや運搬が大きな負担であるということですので、静岡県ではこれまで集落で行う共同作業や農作業道の改修を支援してまいりました。先日有識者による検討委員会が、本農法の継承のためには企業やボランティアの皆様による応援などが重要であるとする答申を行われました。この答申を踏まえまして、静岡県は関係機関と連携し茶草場の管理作業を応援していただける企業の掘り起こしなどの支援をいたします。
 また、産地はこの農法で生産されたお茶にシールを張ることで他の商品との差別化を図られています。県といたしましても、このお茶の生産方法が環境を保全していることを全国に向けてPRをしておりまして、今年度はミラノで現在国際博覧会が開かれており、しかも食がテーマであるということで絶好の機会と捉えておりまして、そこを舞台に世界に向けた情報発信をしてまいります。
 七月の初旬にジャパン・デーというのが設定されておりますが、恐らく首相御夫妻が出迎えるものと期待しておりますけれども、そのときに静岡のお茶が出されるというようになっているはずでございます。さらにまた先ほどの十月には茶草場農法をしっかりとPRするということですね。これを絶好の機会と捉えているわけです。
 もう一つは、茶草場はお茶をよく、いい品質のお茶をつくるための方法なんですが、結果的に景観がきれいであるという結果をもたらしております。中東遠、志太榛原を中心に新幹線から見る車窓に映る茶草場の美しさ、あるいは飛行場から見る牧之原を中心にした島田や菊川あとは掛川、そしてあそこですね川根本町。すばらしくきれいですね。ですから実はいいお茶をつくることが結果的にきれいな景観を残してきたのだということで、その景観に配慮するということがあわせて重要ではないかというふうに思うんです。
 そして、国連食糧農業機関――FAOはローマにございます。イタリアですね。そこの方たちが、やはりイタリアというのはもともとローマ帝国のあったところですから、審美眼といいますか美意識が非常に高うございます。彫刻にしても建物にしても大変にすぐれた景観で、また農村景観もきれいなわけですね。こうしたものというのは文化を超えてアピールする力を持っているということでございまして、そのFAOの審査員が唯一問題にしたのが実は防霜ファンだったわけです。防霜ファンは、これは必要です。しかしながらその景観にマッチしていないと言われました。一方、これをまねした、済州島で本県の「やぶきた」を向こうで戦後になって栽培されているんですが、防霜ファンは実にきれいでデザインされています。ですからこれからは機能性と美しさと両方を持つことが重要だということで、防霜ファンとかガードレールの色を改善しているのは御存じでしょうか。一部しているわけでございますが、一方、例えば棚田というのは非常に厳しいところで、わずかな水を上手に有効に活用するために段々畑のような形で棚田をつくってきたと。これは効率的な観点からいえば非常に非効率的ですけれども、しかし今やこれほど美しい景色はないということで、景観とものづくりというものが一体になった形で棚田百選などというものがございます。同じことを私は本県の最も誇る農芸品であるお茶についても言えると。特に川根本町に行くと、山がちですけれどもそこのお茶の景観はきれいであると。したがって我々はティーガーデンシティをつくろうということで、それ自体が実は景観的にアピールする力を持っているんだという、そういう認識をお持ちいただくと。先ほどのため池の話もございましたけれども、実は付加価値というものがありますので、そういうことを通してアピールすることもこれから課題になってくるのではないかと。
 静岡県は美しいところだと。そしてその一番の基礎になるのは、富士山を除けばお茶畑だと。「山は富士 お茶は静岡 日本一」ということでですね、そういう観点を織り込みながら茶草場農法に取り組む地域を訪れてもらい、またそこを応援してまいりたいというふうに存じます。
 県といたしましては、これらの取り組みにより伝統的な茶草場農法の継承に努めまして、茶の都しずおかの貴重な資産として茶業や茶業を中心とした地域の振興に生かしてまいります。
 次に、地球温暖化対策についてであります。
 地球は四十六億年の歴史がありまして、当時は火の玉であったと。それが寒冷化したり温暖化したりして大変な環境変化を繰り返してまいりました。また隕石がぶつかって恐竜が全部絶滅するといったようなこともあったわけですが、その中で一番最後に出てきた生物が人間であります。六百万年ぐらい前に出てきていろいろと滅びたりしながら、いわゆる我々の直接の祖先が東アフリカに十万年ないし二十万年ぐらい前に出てきたと。しかしそれでも生物圏の中で食物連鎖の中に入っていたようです。一万年前ほどに野生の植物を栽培化する、いわゆる農業革命を起こしたと。また野生の動物を家畜化する牧畜革命というのをしたと。その結果、自然に対して征服するといいますか、自然に対して破壊をしていくという、そういう事態に入ったので、私どもは人間として生物に対する原罪を負っているのではないか。それをなくしてホモサピエンスは生存ができません。特に産業革命以降、御指摘のとおりいわゆる地下資源を燃やしてそしてエネルギーを起こすと。今、夜の地球を宇宙から見るときれいに輝いています。あれはエネルギーを出している。すなわち温暖化を促進しているということでございます。それを今、学者は人間圏と。生物圏と区別して人間圏と言っております。これはいいような悪いような、人間のホモサピエンスとしての特権であると同時に地球環境に対して実は我々の生存それ自体が甚大なる破壊的な影響を及ぼしているということで、そうした観点を持つことが大切です。そういう意味で温暖化は地球規模での対応が求められるわけですけれども、私ども県民のレベルでも温暖化の実態を直視してその原因となる日常生活や経済活動を見直して行動していく以外に方法はありません。
 私どもはこの三月に、先ほど御指摘がございましたように地球温暖化対策実行計画を大幅に見直しました。そして国に先駆けて、平成三十二年度までに温室効果ガス排出量を平成十七年度――二〇〇五年度比で二〇%削減するという目標を掲げました。低炭素型の地域づくりや環境と経済を両立するビジネススタイルの促進など四つの方針を立て、その方針のもとで徹底した省エネと再生可能エネルギーの最大限の導入等に取り組んでいこうということにしたところでございます。
 具体的には、情報技術などを活用し電気や熱のエネルギーを地域内で効率的に利用するスマートコミュニティーの形成や民生部門における県民運動ふじのくにエコチャレンジの拡充、認証取得事業所数日本一を誇る環境マネジメントシステムエコアクション21のさらなる導入促進等々、地域や家庭、事業所などあらゆる分野でエネルギーの効率的な利用を進めてまいります。
 また、太陽光や小水力、バイオマス、温泉熱など、自然を破壊するというよりも自然と適応した技術というものをこれからつくっていこうと。これは私は日本人の得意とする技術で、自然を破壊する技術といいますか自然を人間の支配下に置くという技術においては、麦作牧畜型の森を破壊してきたそういう出生の秘密を持っている技術――西洋の技術よりも私どもの自然の力を上手に活用した技術というものがこれから重要になってくると。そうしたものがエネルギーにおいても活用できるということで、この自然資源を生かした地域の特色ある再生エネルギー技術を導入してそれを加速化し、エネルギーの地産地消を強力に推進してまいろうと考えております。
 こうした温室効果ガス排出量の削減対策に加えまして、既に起こりつつある温暖化の影響がございますので、その適応策につきましても検討を進め、世界に誇る富士山を初めとする本県の豊かな自然環境や生態系を将来世代に引き継いでいくために、県民、事業者の皆様、行政が一体となって地球温暖化対策に取り組んでまいろうと存じます。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
○副議長(杉山盛雄君) 野知交通基盤部長。
       (交通基盤部長 野知泰裕君登壇)
○交通基盤部長(野知泰裕君) 静岡茶の振興についてのうち、牧之原地域における茶園の再整備についてお答えいたします。
 これまで、県営事業で整備した牧之原地域の優良な茶園においては意欲ある担い手農家の集積による規模拡大を図り、低コスト化や生産性の向上、高付加価値化などの取り組みを通じて競争力のある産地づくりを進めてまいりました。しかしながら幹線農道や用水路等の基幹的な整備を実施した茶園の中にも園地の傾斜や段差、茶樹の植栽間隔の狭さや畝方向の不統一等により乗用型茶園管理機の導入が困難な茶園があることから、担い手農家の経営規模拡大の支障になっております。
 このため、県では牧之原地域において、平成二十一年度から経営体育成樹園地再編整備事業により乗用型茶園管理機の導入を可能とするなどの追加補完的な工事による再整備を行い、昨年度までに七地区六十ヘクタールで実施してきており、本年度からは菊川地区においても新たに着手したところであります。これにより茶園の段差解消と植栽間隔や畝方向をそろえるための茶樹の改植等を行い、機械化に対応した園地に改良してまいります。
 あわせて、スプリンクラー等の整備によりかんがい作業の省力化を図り、担い手農家の経営する生産性の高い優良農地を確保し、日本を代表するお茶どころ牧之原地域の茶業の発展に努めてまいります。
 次に、農業用ため池の耐震対策の推進と豪雨対策への活用についてであります。
 県では、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三で耐震調査対象に位置づけた二百カ所のため池について、市町との役割分担の上、計画的に耐震対策を進めてまいりました。特に重要度の高い八十カ所については県が先導的に実施することとし、昨年度までに全ての耐震調査を行い、補強が必要と判定された四十七カ所のうち現在までに二十一カ所の耐震工事に取り組んでおります。
 また、市町が実施する百二十カ所については昨年度までに四十カ所で耐震調査を行った結果、二十一カ所で補強が必要と判定され、今後の調査の進展により耐震工事箇所の増加が予想されることから、ため池が偏在し耐震工事に対応する技術者が足りない市町に対する実施体制への支援が重要となってまいります。
 このため、これまでの県営事業の実績を活用した設計マニュアルの策定や市町担当者の研修を行うほか、静岡県土地改良事業団体連合会と連携して設計積算や工事管理に係る技術的な指導、支援を行い市町の耐震対策を促進してまいります。
 また、本年度農林水産省により降雨量に応じて簡易的にため池の貯水位の上昇量を予測する貯水位予測システムが提供されることから、豪雨に備えた事前放流による減災対策として、このシステムの活用により、ため池に洪水調整機能を持たせるための運用マニュアルの作成や運用体制の構築等について関係市町と連携し検討してまいります。
 県といたしましては、農業用ため池の地震と豪雨両面の防災対策を推進し、安全・安心な農山村づくりに努めてまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 山口健康福祉部長。
       (健康福祉部長 山口重則君登壇)
○健康福祉部長(山口重則君) 介護施設における事業継続計画――BCPの策定についてお答えいたします。
 本県の介護施設における災害対策につきましては、平常時と災害発生時における災害対策マニュアルを策定し介護施設の防災体制が整備できるよう支援しております。また施設みずからが防災対策への強化に積極的に取り組むため、老人福祉施設協議会や老人保健施設協会と施設相互の支援体制の構築を促進するための協定を締結いたしました。介護施設におけるBCPにつきましては、発災後において施設入所者だけでなく地域の要援護者を受け入れることもありますので、事業の継続の視点を取り入れて早急に作成することが重要であります。
 このため、今年四月に施設からのBCPの考え方や策定方法についての御意見を踏まえ、策定に関するさまざまな事項やチェックリストを提示した作成支援ツールを作成したところであります。
 県といたしましては、BCPの普及に向け作成支援ツールを県のホームページで公開するとともに、施設職員向けの防災研修会や介護施設での実地指導などを通じて作成支援ツールの活用によるBCP策定方法についての説明を行っております。これらを通じ全ての介護施設での計画策定を促し、介護施設の入所者や受け入れを行う要援護者の安全と安心を確保することとしております。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 教育の振興についてのうち、キャリア教育の推進についてお答えいたします。
 議員から先ほど御紹介のありました市や経済界など官民一体となった菊川市の取り組みは、体系的なキャリア教育の好事例であり、子供たちのふるさとへの愛着を育み地方創生にも資するものと考えられます。県教育委員会といたしましては、教職員のキャリア教育研修会等で県内の小中学校に紹介し、地域と連携した取り組みを推進してまいりたいと考えております。
 キャリア教育は社会の構成員となる上で必要な勤労観、職業観を育み、生きる力の育成の中核を成す重要な取り組みであります。本県におきましては、平成二十六年度、県内ほぼ全ての小中学校でキャリア教育が実施されており、特に中学校における職場体験学習の実施率は九八・八%となっております。学校における効果的なキャリア教育の推進のためには企業の協力が不可欠であることから、県教育委員会では中学生職場体験受け入れ事業所向けガイドブックやキャリア教育教材「未来map」を作成し、各学校のキャリア教育が地域の企業や商工会議所等と連携して行われるよう支援しているところであります。
 今後も、子供たちが自分の将来について真剣に考えられるよう各学校の取り組みを促し、家庭や地域、企業との連携協力を密にすることを通じ子供たちの発達の段階に応じたキャリア教育の推進に努めてまいります。
 次に、お茶を活用した食育の推進についてであります。
 お茶の効能については、科学的、疫学的に健康効果が解明されてきております。本県の健康寿命は男女総合で一位で、若いうちから日常的にお茶を飲んでいることが要因の一つとして挙げられており、学校におけるお茶を活用した食育の重要性は強く感じております。
 県教育委員会では、昨年度から学校茶文化推進事業を展開しており、これまで学校給食時にお茶を提供していなかった学校をモデル校として選び児童や生徒に食育を通して茶文化の理解を図るとともに、お茶に親しむ習慣の普及啓発を図っております。さらに学校給食時にお茶を提供している市町の中学校では、国内の修学旅行先で出会った外国の方々に地元産のお茶を英語で紹介したり、またお茶を使った創作料理づくりなどを通してお茶の歴史、文化、作法など多岐にわたる内容を学んでおります。先日私が移動教育委員会の際に訪問した小学校では、地域の方を講師に招き児童が収穫したお茶の手もみ体験やお茶の飲み比べなどを行い、五感を通してお茶について学んでおりました。
 県教育委員会といたしましては、今年度中に先進的な学習活動等をまとめ、さらに私の今までの研究成果を盛り込んだ、お茶を用いた食育実践事例集を作成いたします。この事例集を活用して、県内全ての公立小中学校の食育担当者や栄養教諭等を対象とした研修会などでお茶の効用と食文化を啓発してまいります。
 また、今後は私のこれまでの知見を生かし、少しでも多くの学校においてお茶を楽しく飲んでもらえるような工夫をし、茶の都しずおか、健康寿命日本一の静岡にふさわしい食育の充実発展に積極的に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 宮城也寸志君。
       (四十六番 宮城也寸志君登壇)
○四十六番(宮城也寸志君) 御答弁ありがとうございました。数点要望させていただきます。
 まずは、静岡茶の振興についてでございます。
 さすが静岡だけありまして、今議会、お茶の話題が数多く質問されております。それだけ今静岡のお茶は大変だということです。茶業関係者は大変困っています。特に茶農家は困っております。一つ一つの課題を早急に県のほうに解決してもらいたいと要望いたします。
 茶草場農法でございますが、企業、ボランティアの方の応援をいただくということです。先ほどもございましたが、お茶を刈るには斜面でございます。茶刈り機で私の知り合いも何人かけがをしております。そういったことも含めまして、安全に茶草場農法が伝承できるよう御指導願いたいと思います。
 次に、介護施設における事業継続計画の策定についてでございます。
 昨日早川議員の質問にもございました。介護職員は大変苦労しております。その中でまたこういうBCPが一つふえるということで大変だと思いますので、県のほうとしては全力でバックアップをお願いしたいと思います。
 最後に、教育の振興について要望いたします。
 昔でいうキャリア教育というのは、私の小さいころは小学校では田植え休みというものがございまして、親の背中を見てそういった職業観を養ってまいりました。今の子供さんたちはやっぱり親の職場と離れていることで、なかなかそういった感覚が持ちにくいと思います。学校のみならず地域と一緒になってそういったキャリア教育を推進していくようお願い申し上げます。
 また、食育の推進ですが、私の地元の小笠南小学校がお茶に関する総合学習をしているということで、先日マスコミの取材を受けました。数日のうちに紹介されるとのことです。御期待ください。
 そして、お茶に関しまして、県全体でやはり小さいころから静岡のお茶というものを大切にしてもらいたいと思っております。以上、要望しまして質問を終わります。(拍手)

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