本会議会議録
質問文書
令和2年12月静岡県議会定例会 質問
質問者: | 河原崎 聖 議員 | |
質問分類 | 代表質問 | |
質問日: | 12/04/2020 | |
会派名: | 自民改革会議 | |
質疑・質問事項: | 1 新型コロナウイルス感染症の感染蔓延期における対応につ いて 2 令和三年度当初予算の編成方針について 3 ウイズコロナ、アフターコロナ時代の経済政策について 4 茶業振興策について 5 富士山観光について 6 富士山静岡空港の航空路線の維持確保について 7 行政のデジタル化について 8 地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の推進について 9 緊急消防援助隊全国合同訓練について 10 災害に屈しない中山間地のみちづくりについて 11 東静岡駅周辺地区の活用について (1) 新県立中央図書館整備に向けた今後の対応 (2) 東静岡駅南口県有地の活用 12 過疎地域における県立高校の在り方について 13 ストーカー犯罪被害者の安全対策について |
○議長(山田 誠君) ただいまから会議を開きます。
議事日程により、知事提出議案第百三十四号、第百三十五号及び第百三十九号から第百五十七号までを一括して議題とします。
ここで後半グループの議員が退出するため休憩いたします。
○議長(山田 誠君) ただいまから会議を再開します。
質疑及び一般質問を行います。
通告により、十八番 河原崎 聖君。
(十八番 河原崎 聖君登壇 拍手)
○十八番(河原崎 聖君) おはようございます。
私は、自民改革会議を代表して通告に従い知事、副知事、関係部局長、教育長及び教育部長並びに警察本部長に対し、当面する県政の諸課題について一括質問方式で質問させていただきます。
さて、昨年末中国武漢市で始まったと見られる新型コロナウイルスの感染は瞬く間に世界中に蔓延し、これまでに感染者数六千五百万人、死者数も百五十万人を超えました。日本国内においては十五万五千人以上の感染者数と二千二百人以上の死者数、県内においても昨日時点で感染者千八百三十一人、死者十三人となるなど大きな被害をもたらし現在も拡大を続けています。
このコロナ禍で亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、健康面、生活面、経済面で苦境に立たされている全ての方々にお見舞い申し上げます。
また、自らの危険を顧みず最前線で御奮闘頂いております医療関係者の皆様に衷心より感謝と敬意を表します。あわせて国、県、市、町の行政の担当者の御労苦にも感謝を申し上げます。我が会派も引き続きコロナ対策に全力で取り組むことをお誓い申し上げます。
そして、本定例会初日に決議されたとおり新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷が根絶されることを切に願い質問に入らせていただきます。
まず、新型コロナウイルス感染症の感染蔓延期における対応について伺います。
新型コロナウイルス感染症は国内において八月後半から新規感染者数が減少に転じ九月は比較的低い水準を保っていましたが、十月からは再び増加傾向に転じ十一月から急拡大の様相を呈しています。昨日は大阪府において医療非常事態が宣言され、また府民に不要不急の外出自粛が呼びかけられ通天閣が赤い照明に染まりました。まさしく緊急事態宣言一歩手前の危機的状況になっていると言えるでしょう。このように感染者数が急激に伸びた要因の一つとして様々な場でのクラスターの発生が挙げられております。
こうした傾向は本県においても同様で、十月下旬以降新規感染者数は増加の一途をたどり飲食店や会食の場、職場などでクラスターの発生が続いています。特に静岡市においては感染拡大に歯止めがかからず医療体制への影響と近隣市町への波及が危惧されております。政令市の所管ではありますが県においても市と連携した対応が期待されます。
さて、本県においても医療機関と高齢者施設でクラスターが発生しております。医療機関におけるクラスターは十月下旬に県東部の医療機関で発生した後十一月には県西部、中部でも続けて発生し、一般の入院や外来の制限など地域医療に大きな影響が出ました。また十一月には県西部の複数の高齢者施設でもクラスターが発生しました。
重症化しやすいと言われる高齢者が多く生活する施設での発生は命に関わる問題であり、また高齢者が新型コロナウイルスに感染した場合には無症状であっても原則入院することになっているため、クラスターの医療体制に及ぼす影響は一層大きくなります。
一方、保健所においても感染者の増加により、感染経路や濃厚接触者の確認など疫学調査の負担が高まっております。クラスター発生時には応援体制を取るとされていますが、感染拡大が続く現状を見ると保健所機能が維持できるのか懸念されます。
こうした中、県は警戒レベルは四のままとしておりますが、感染流行期については十一月十八日に感染移行期から感染蔓延期前期に、さらに二十七日には感染蔓延期中期に引き上げ静岡市についてはレベル五相当としております。
県においてはこれまでの経験を踏まえこうした状況に備え様々な対策を進めてきたと思いますが、感染拡大の状況がこれまでと明らかに変わっていることから今後の医療提供体制に不安を感じる県民も多いと思います。
そこで、感染蔓延期における病床確保など医療提供体制の維持とクラスター発生時を含めた検査体制の拡充、さらには保健所の体制強化に関する県の取組について伺います。
次に、令和三年度当初予算の編成方針について伺います。
国、地方とも現在令和三年度当初予算編成に向けた取組が進められておりますが今回はコロナ禍という特殊な状況下での作業を余儀なくされております。
新型コロナウイルスへの対策としては国、地方とも感染拡大防止に取り組む一方、経済の回復も差し迫った課題となっており両方をにらんだ困難な綱渡りが続いております。そうした中、我が国の経済情勢は一時的に持ち直す傾向が見られても長くは続かず住民生活を支えるための財政出動が求められる一方で、税収は大幅に減少することが確実になっており今回の予算編成作業は極めて難しいものになっていることと推察されます。
これに対し、国のほうでは与党内で令和二年度の第三次補正予算について、新型コロナウイルス感染症の拡大防止、雇用支援など経済政策、国土強靱化に関する五か年計画の策定の三つを柱として編成を進め来年度予算を含めた十五か月予算とするよう政府に求めていくとのことであります。今のところそれが実際の予算にどの程度反映されるか不透明な段階ではありますが、国土強靱化については五年間で総額十五兆円とするよう与党から政府に対して要望が出されているようで地方に与える影響は大きいのではないかと推察されます。
県では、現状において国の予算をどのように活用するお考えか伺います。
さらに、来年度予算編成は別の視点からも重要になると見られます。
今回のような大規模なパンデミックはちょうど百年ほど前のスペイン風邪の流行以来であり私を含めほとんどの人が実際に経験するのは初めてのことと思いますが、過去を振り返ると歴史的な転換点に感染症の流行が大きな影響を与えてきた事例が度々あると言われております。
例えば、スペイン風邪の流行は第一次世界大戦の最中であり兵士の間に感染が広まったことが戦争を終わらせる一因になったとされております。十四世紀のペストの流行は後のルネッサンスや宗教革命のきっかけになったと言われております。
こうしたことを踏まえ、多くの識者からはもうコロナ以前の社会には戻らないといった指摘がされているところです。もちろん将来のことは誰にも分からないわけですが、もし現在が大きな時代の分岐点にあるとすれば、この時点でどのような対策を行うかによって今後の静岡県に重大な影響をもたらすことが考えられます。
県では新型コロナウイルス感染症が社会にもたらす影響についてどのように捉え、ウイズコロナ、アフターコロナの時代にどのような社会が現出するとお考えでしょうか。そしてそれに対しての最初の予算となる令和三年度当初予算についてどのように反映させるお考えか伺います。
次に、ウイズコロナ、アフターコロナ時代の経済政策について伺います。
今年度は新型コロナウイルスの感染拡大により企業による生産活動の停滞、雇用情勢の悪化など県内産業は深刻な打撃を受けその対応に追われることが最重要課題となりました。コロナ禍が現在も進行中であることを考えるとそういった状況はしばらく続くものと思われます。
特に十一月後半からは、全国的に第三波と見られる感染拡大がこれまでで最も強い勢いで進み県内でもクラスターの頻発や多数の感染者の発生が続いているため飲食店の営業自粛要請などは現時点では出されていないものの、人の移動が抑えられることで経済活動が停滞することが予想され持ち直しかけた経済にとって猛烈な逆風となりそうです。今回の感染拡大が経済に及ぼす影響について県の認識と今後の対策について伺います。
一方、多くの識者の見解によるとコロナ禍が次の時代への変化を大きく加速させると見られております。もしそうだとすれば今後数年間はその変化に対応できるかどうかを決める非常に大切な期間になるものと思われます。
コロナ後の経済といいますと一般的にはDX――デジタルトランスフォーメーションの進展とか非接触型経済の普及といったことが言われておりますが、それ以上のことについては分かっておりません。ただもし時代の変化が早まるとすれば、産業分野での新陳代謝が進む可能性が高く今後残ることができる産業とそうでない産業の選別が避けられないことも考えられます。そうしたことを想定した場合、ある程度の急変緩和策を用意しつつも今後伸びるもしくは静岡県の強みを発揮できると考えられる分野に重点的に支援を行う必要が出てくるのではないでしょうか。
また、今回のコロナ禍で大都市への過度な人口集中が問題視されたことにより都市部から地方への人材及び本社機能を含めた企業の移転の動きが活発になってきていることから、この流れを捉えて本県の活性化につなげるという視点も重要になっております。
これらのことを踏まえ、本県のコロナ後を見据えた経済政策について当局の考えを伺います。
次に、茶業振興策について伺います。
今さら言うまでもなく近年茶業情勢については非常に厳しい状況が続いております。茶価、販売量ともに振るわず生産面でも近年の天候不順の影響を受けることも多く利益が上がらない年が続いております。また後継者不足もあり生産者、茶商とも廃業が相次いでいるところです。
最近の報道によりますといよいよ今年は生産量について鹿児島県に逆転されるのではないかと言われており、日本一のお茶どころという立場も失われつつあるようです。
茶業振興につきましては、小中学校の児童生徒の静岡茶の愛飲の促進に関する条例や静岡県茶業振興条例を制定し今年度もChaOIプロジェクトを推進するなど県として様々な施策を行ってきたことは承知しております。そうした努力もあって個々には新たな展開が期待できる事例も出てきているかと思いますが、全体的に見れば右肩下がりの状況は相変わらず続いております。しかも今年はコロナ禍によりその厳しさは一層増しております。
例年我が会派では八月に県内の自民党各支部から要望をお聞きする機会を設けておりますが、その中でお茶どころとして知られる私の住む島田市内の三つあるうちのある支部からは引き続き茶業振興策を求める要望が出された一方で、別の支部からは茶業からの脱却を求める要望が出されました。これまで毎年行われてきたこの活動の中で表立ってこうした要望が出されたのは初めてであり生産現場が想像以上に疲弊していることがうかがわれ、ついにここまで来たかとの感を強くしました。
以前、茶業振興条例を審査した際に県から示された今後の茶生産の見込みでは茶園面積は縮小するものの生産量については増加するという内容だったと記憶しておりますが、現状とは大きくかけ離れたものと言わざるを得ません。世界全体の緑茶の消費量は増加の傾向を示しており市場のニーズをうまくつかみさえすれば成長も期待できるのが茶業であると言えます。
しかしながら、本県が得意とする急須で入れて飲む高級茶に対する需要は大きく落ち込み現状では回復の見込みは立っておりません。また海外での需要が高い有機の抹茶などに転換するにしても、後継者不足や転換までに時間がかかることなどから実際にそこに踏み込むことができる茶業者はかなり限られてくるものと思われます。
今の状況が続けば荒廃茶園はさらに広がり農家をはじめとする茶業者の生活はさらに行き詰まるのではないでしょうか。
ChaOIプロジェクトなどによりある程度の需要を生み出すことはできるかもしれませんが、現在生産されている全ての供給量を満たすことは困難かと思われます。さらにこのコロナ禍は物事の変化のスピードを速めると見られており県内茶業界で予想される変化も急速に進むことが考えられます。
こうした状況においては県も早急に関係者との協議を進めより実態に即した対応策を示す必要があるのではないかと思いますが、これについての県の所見を伺います。
次に、富士山観光について伺います。
富士山につきましては言うまでもなく日本一の標高を誇る名山であります。静岡・山梨両県にまたがるとはいえ、静岡県民の多くは富士山は海の方から見るべきものと考えており、静岡空港の前に富士山とつけてみたり静岡県をふじのくにと呼ぶなど富士山は静岡県のものという意識が相当強いのではないでしょうか。かく言う私もそう思っておりました。
しかし近頃そういう認識をぐらつかせられるような光景を目の当たりにしました。去る十月二十、二十一日の日程で我が会派の観光産業振興議員連盟は今年のコロナ禍における富士山観光の在り方について静岡・山梨両県の取組を視察いたしました。詳細については我が会派の木内議員から質問されると思いますが、この視察で最も印象的だったのは個々の取組よりも両県の富士山観光に対する力の入れようがこうも違うのかということでした。この視察では両県の五合目までの様子を見ることができましたが、物販や娯楽に関する施設、トイレ、道路に至るまで静岡県側と山梨県側では大きな開きがあり、人に来てもらおうという姿勢が全く違うことを参加者全員が痛感して帰ってきた次第です。
富士山観光については、かつてある先輩議員から山梨県側では地元の企業の尽力もあり幅広くインバウンドを誘致するのに成功しかなり潤っているんだよと聞いたことがありました。確かに私自身、富士山静岡空港でも山梨ナンバーのバスが海外からの観光客と見られる人々を多数乗せていくのを何度か見かけております。恐らくそこまで行くのには山梨県側の関係者の官民挙げての長年の御努力があったものと推察されます。
一方、静岡県側についてはこれまで富士山を観光に生かそうという視点が比較的弱かったものと思われます。霊峰富士の景観や環境を守るということに主眼が置かれていたのか、こういうところでがつがつしないのが静岡県のよさということなのかよく分かりませんが、いずれにしても富士山を材料に観光施策を展開することについてはあまり積極的でなかったというのは事実だと思います。
しかしながら今の静岡県の置かれている状況を見れば、リニアどころか「のぞみ」も止まらないことに象徴されるようにあらゆるものが通り過ぎていくばかりで存在感の低下が進んでいるように感じられてなりません。
そんな中、国内はもとより海外にも大きくアピールする力を富士山が持っているということは知事が常々言われているとおりであり、静岡県にとっては極めて大きな優位性をもたらすことと言えましょう。その富士山を生かした観光施策を展開することは静岡県にとって重要な戦略になると考えます。富士山を目的に静岡県を訪れた人々を、東部・伊豆地方から西部・浜名湖周辺まで足を伸ばしてもらうような施策が今後の県内観光の大きな柱になるのではないでしょうか。
富士山観光についての取組は山梨県との格差は大きく簡単に埋まるものではありませんが幅広い関係者の御協力を得て計画的に積み上げていく必要があると思いますが、これについての県の所見を伺います。
次に、富士山静岡空港の航空路線の維持確保について伺います。
富士山静岡空港につきましては二〇〇九年の開港以来、地方管理空港としては全国一の外国人出入国者数を記録するなど地域の交通拠点としての存在感を高め、近年は中国からのインバウンド増加などを背景に搭乗者数を着実に伸ばしてまいりました。開港から十年を目前にした昨年四月には運営権制度が導入され、東京オリンピック・パラリンピックの本県開催を間近に控えることもあり民間の知恵を生かした空港の新たな展開に期待が集まるところでした。
ところが、年初来の新型コロナウイルスの感染拡大で人の移動が大きく制限されたことにより国際線は本年三月から全便が欠航となり、国内線についても現在も一部の便の欠航が続くなど大幅な減便を余儀なくされていることから富士山静岡空港にとりましては開港以来最も厳しい局面を迎えていると言えましょう。
一方、路線を運営する航空会社においても苦境が伝えられております。
ANAホールディングスは来年三月期の連結最終損益が約五千百億円の赤字、日本航空も二千四百億円から二千七百億円の赤字と過去最大の赤字額となる見込みで、機材や人員の合理化で対応が図られています。しかし人の移動の回復にはかなりの時間を要すると見られることからさらなる対策が求められています。
県当局におかれましても新型コロナウイルス感染症の状況を見据えながら路線の維持確保に向けて取り組んでおられると思いますが、国内外の航空会社の経営が大変厳しい状況にあって地方路線の見直しに言及するところもあるようで富士山静岡空港についても対策が急務になっているものと思われます。国際線の再開が見通せない中で国内線までが削減されるとなると空港の運営がますます困難となるのは確実で空港の存続まで問われる可能性があるからであります。
路線の維持確保につきましては空港運営会社の格段の御尽力を頂く必要がありますが、当局といたしましても通常の利活用策のみならずもう一段踏み込んだ対策を行うべきと考えます。これについての御所見を伺います。
次に、行政のデジタル化について伺います。
今般の新型コロナウイルス感染症の拡大は我が国の社会が抱える様々な問題を浮き彫りにしましたが、デジタル化に関する問題もその一つです。デジタル技術の活用は少子高齢化や人口減少、人口構造の変化による潜在成長力の低下、社会保障制度の効率化、地方における人手不足や地方の活性化など今後ますます困難になる諸課題を解決するために必要なものであります。
また、地震や津波などの災害時における被災者支援などの迅速かつ円滑な推進にとって極めて有効であることが確認されたことに加え、今回さらに新型コロナウイルスなどの感染が広がる中での社会活動、経済活動の継続のためにはデジタル技術が必要不可欠であるという強い認識が社会全体に浸透したところであります。新型コロナウイルスとの闘いは試練ではありますが、デジタル技術を最大限に活用することによって乗り越えウイズコロナ、アフターコロナの時代であっても安心して暮らせる社会――新しい日常を獲得していかなければなりません。
こうした状況に対し国では、強靱なデジタル社会の実現に向けた取組を加速するためその司令塔となるデジタル庁の設置を決め、来年九月を目標としてその開設に向けて既に動き出しております。またこれまでの書面、対面を原則とした手続の見直しなどに加えデジタル化に関連する法律等の改正準備が進められているようです。
このような国の動きに対し、本県においてもこれまで以上のスピードで徹底したデジタル化の推進が必要と考えますが、今後の県の取組を伺います。
次に、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の推進について伺います。
災害関連死を含め約二万人の貴い命が失われた東日本大震災の発生から来年三月で丸十年がたとうとしております。改めて犠牲になられた方々に哀悼の意を表するとともに被災地の復興を切に願うものであります。
さて、本県においても東海地震説以来、大地震への備えが叫ばれ近年は南海トラフ巨大地震の発生が遠くないと見られるとの指摘がされているところです。これに対し、県は地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に基づき令和四年度までに十万五千人と想定される犠牲者数の八割削減を目指し、ハード・ソフトを組み合わせる形で地震・津波対策に取り組んできたものと承知しております。
我々の身近な地域でも小中学校の屋内運動場などの公共施設の建て替えや耐震補強が行われ、各家庭においても様々な耐震対策が進められています。また沿岸部においては防潮堤については不十分との指摘もありますが、その他の水門などの津波を防ぐ施設の整備、命山や津波避難タワーなど津波から逃げる施設の整備などが各地で進められており、地震・津波対策が形となって表れているのを感じております。
こうした中、先般県当局から令和元年度末時点でこの対策により約七割の減災効果があったと見られるとの試算結果が公表されました。この数字が実態に即したものであれば大変喜ばしいことです。
一方、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の目標年度である令和四年度末まで残すところ二年余りとなり、減災目標の確実な達成に向けた詰めの作業が求められる段階となりました。
そこで、今回公表のあった約七割の減災効果について当局はどのように評価をしているのか、また減災目標の達成に向け今後どのように取り組んでいくのか伺います。
次に、緊急消防援助隊全国合同訓練について伺います。
南海トラフ巨大地震の際に甚大な被害が予想される本県では、全国からの消防、警察、自衛隊などの応援部隊による救出救援活動が必要不可欠なものとなることが予想されます。このうち大規模災害時に全国から消防隊員が駆けつける仕組みが緊急消防援助隊です。
この緊急消防援助隊は平成七年の阪神淡路大震災の教訓を踏まえて創設された消防の応援体制であり、全国各地の消防機関により編成された部隊がいち早く被災地に集結し救出救助活動に優れた機動力を発揮してきました。これまでの活動においては東日本大震災や熊本地震などの大規模地震災害、昨年の台風十九号や本年七月の熊本県のような大規模な風水害において多くの部隊が被災地に展開し発災初期から人命の捜索や救助に献身的な活動を行ってきたと聞いております。
こうした中、来年度緊急消防援助隊全国合同訓練が本県で開催されることになり、全国の緊急消防援助隊が本県に集結して大規模な訓練を実施することになったと聞いております。大規模地震や大規模風水害についても危険性が高まっている本県にとってこの訓練の開催は今後の大規模災害に備える上で絶好の機会であり、これを本県の災害対応力の一層の強化につなげていただきたいと考えます。
そこで、この訓練の概要と期待される効果について伺います。
次に、災害に屈しない中山間地のみちづくりについて伺います。
近年、激甚化、頻発化する自然災害による被害の発生が続いており、本県においても特に中山間地の道路では土砂崩れ等による通行止めといった被害が頻発しております。新東名高速道路の六車線化や国道一号バイパスの四車線化など東西軸については通行止めなどの非常事態に対応するための多重性、補完性は確保されてきておりますが、中山間地における安全・安心の向上には強靱な東西軸と連絡する南北軸等のさらなる強化が不可欠と考えます。
骨太の方針二〇二〇では、道路ネットワークの耐災害性強化の加速や中長期的な視点に立ち災害に屈しない国土づくりを進める方針が示されました。静岡県議会九月定例会では国土強靱化対策のさらなる推進を求める意見書を全会一致で採択したところですが、県内の市町議会においても同様の意見書が次々と採択されており、災害に屈しない道路網の整備など県土強靱化を求める地域の声はますます大きくなっております。
中山間地においてはひとたび災害が発生すると幹線道路の通行止めが数か月に及び観光などの地域産業が大打撃を受けることがありますが、それを防ぐ意味でも南北軸の道路の強化充実には地域からの大きな期待が寄せられております。
そこで、発災時の避難や復旧、経済活動の継続に寄与し地域の魅力向上につながる中山間地における強靱な道路ネットワークの構築に向けた取組について伺います。
次に、東静岡駅周辺地区の活用についてのうち、新県立中央図書館整備に向けた今後の対応について伺います。
県立中央図書館につきましては、昨年まで東静岡駅南口に整備される予定であった文化力の拠点の一部として検討が進められてきましたが、その後幾つかの経緯を経て県立中央図書館を先行整備する方針になったと理解しております。
これに対し、我が会派ではプロジェクトチームを立ち上げ県の方針転換後は県立中央図書館に絞って検討を続けてまいりました。その結果につきましては、去る十一月十一日に会派の提言として政務調査会長並びにプロジェクトチームメンバーから木苗教育長に提出させていただきました。その内容について以下概略を申し上げます。
計画の推進については、現在の県立中央図書館は老朽化が進み雨漏りや漏水、耐震対策等多くの課題を抱えている、コロナ禍による財政的な懸念もあるが、我が会派としてはJR東静岡駅南口に全館移転するという当初の計画どおりに進め幅広い県民ニーズに応える次世代型の新館建設を推進すべきとしました。
施設の全体像については、本県を代表する知と学びの象徴として未来にわたり県民に誇りを与える風格ある施設、本県の独自性を生かし人づくり、まちづくりに資するメッセージを兼ね備えた国内最高水準の機能を有する施設を目指すこととしています。
図書館機能については、県民の情報拠点として一般県民から企業、研究者等の幅広いニーズに対応できるようレファレンスサービスを充実させることや県東部、西部の利用者も気軽に図書検索や貸出しが可能になるよう非訪問型のサービスを充実させることなど県民の利便性向上を求めました。
また、社会の進化に対応した利活用ができるよう図書の閲覧だけでなく広く県民が学習や研究に取り組んだり交流や創造活動の場になることやポストコロナを見据えてDX化を進めていくことなどもこれからの時代に対応する図書館を造る上で重要な視点であると指摘しております。
このほか、障害者への対応、グランシップとの連携、教育機関との連携、館長公募や外部人材の登用、クラウドファンディングや図書館サポーター制度など県民を取り込む取組、県産材の活用など、整備を進める上でぜひ検討していただきたい点についても提案しております。
教育委員会においても現在様々な作業が続けられていることと思いますが、我が会派からの提言も踏まえ今後この事業をどのように進めていく考えか伺います。
次に、東静岡駅周辺地区の活用についてのうち、東静岡駅南口県有地の活用について伺います。
新県立中央図書館は東静岡駅南口県有地の一角を活用する一期整備であると認識しておりますが、残る県有地につきましても有効な活用が望まれます。特に今後ウイズコロナ、アフターコロナの時代を迎えるに当たり、人と人の接触が避けられバーチャルなものに置き換えられる傾向が強まると見られておりますが、その反面リアルな人間同士の交流の重要性が見直されるものと見られその点でアクセスのいい東静岡駅周辺は非常に適した場所と考えられます。残る県有地の活用により県民相互の交流が活発になり静岡県の新たな発展を生み出す力となることを期待すると同時に、周辺地域の発展に貢献することを願うところであります。
そこで、県有地の活用について今後県はどのように進める考えか伺います。
次に、過疎地域における県立高校の在り方について伺います。
今回の新型コロナウイルスの感染拡大は、これまでの東京一極集中をはじめとする大都市部への過度の人口集中によるリスクの大きさについて改めて注意を喚起する結果となりました。感染拡大の前と後では人々のライフスタイルや価値観が変容しウイズコロナを前提とした時代を迎えようとしていると見られることから、大都市圏から地方への移住・定住を求める傾向が強まっており人口減少に悩む地方にとっては大きなチャンスとなっております。
一方、移住・定住先として選ばれる地域であるためには雇用や住まい、医療・福祉とともに教育環境が整っていることが重要な条件となります。
そうした中、私の選挙区である川根本町では地元の児童生徒が減少することへの対策として町内唯一の高校である県立川根高校と町が連携して平成二十六年度から川根留学の制度を創設いたしました。これについては私も以前の一般質問で取り上げさせていただきましたが、さらに平成三十年度からは県内初の全国募集を行い他地域からの生徒を積極的に受け入れる取組を進めております。
このため町では、寮の整備や奨学金制度の拡充、公営塾の設置といった支援を行ってきたところであります。これらの取組により、現在では川根留学による他地域からの生徒は川根高校の多数を占めるようになり地域の人々にとっても大きな刺激となっていると聞いております。
県内には川根高校以外にも過疎地域の県立高校がありますが、過疎地域から高校がなくなれば子育て世代が都市部に流出するとともに移住・定住先としての魅力も失い地域の衰退に歯止めがかからなくなるおそれがあります。高校の活性化は地域そのものの存立にとっても重要な役割を担っているものと考えますが、過疎地域における県立高校の在り方について教育委員会の所見を伺います。
次に、ストーカー犯罪被害者の安全対策について伺います。
令和二年警察白書によれば令和元年中、全国におけるストーカー犯罪の検挙件数は殺人未遂など二千三百五十五件で、ストーカー関連の相談件数は平成二十五年から七年連続で二万件を越え昨年も二万九百十二件と高水準で推移しております。
本県では今年六月、沼津市内においてアルバイトから帰宅途中の女子大学生が同じ大学に通う男子大学生に刺殺されるという痛ましい事件が発生いたしました。被害に遭われた方やその御家族の無念を思うと何とも言いようがありませんが、改めて御冥福をお祈り申し上げる次第であります。
ストーカー殺人と言いますとストーカー規制法のきっかけとなった二十一年前の桶川事件が頭に浮かびます。あの狂気に満ちた事件はいまだに脳裏に焼きついて離れませんが、二十年以上たった今でも同じような事件が続いていることに強い憤りを感じます。こうした事件は、被害者が長い期間すさまじい恐怖にさいなまれた挙げ句に殺されるという極めて悪質な犯罪であり断じて許されるものではありません。また殺人にまで至らなくても被害者に付きまとう行為は、標的にされた方の生活そのものを破壊することになり早急にやめさせる必要があります。
この犯罪では加害者の感情が時間とともにエスカレートする傾向にあり早い段階における相談が被害者救済の鍵になるものと思いますが、せっかく相談にまでこぎ着けても加害者から復讐されるのではないかという恐怖心などから実情をありのままに話すことができなくなることも考えられます。
県警察におかれましては、被害者の心情に配慮し相談内容の確実な把握とそれに基づく将来の危険性について正しく判断していただくことを願います。
そこで、県警察の本県におけるストーカー犯罪及び相談受理の現状とストーカー被害者の安全確保に向けた対策について警察本部長に伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(山田 誠君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 河原崎議員の危機感に裏打ちされた代表質問、謹んで拝聴いたしました。
まず、新型コロナウイルス感染症の感染蔓延期における対応についてお答えいたします。
新型コロナウイルス感染症につきましては、十月末以降県内で様々なクラスターが相次いで発生し感染の急激な拡大が続いていることに大きな危機感を抱いており、さらなる体制整備が急務であります。
医療の提供につきましては、季節性インフルエンザの流行期を迎えることもあり県内医療機関の協力を得て発熱等診療医療機関を約七百か所指定し発熱等の症状のある方が身近な医療機関で相談し診察、検査を受けられる体制を整備しております。また感染症の急激な増加により迫しつつある病床のさらなる確保に取り組むとともに、新たな宿泊療養施設を県西部地域に確保いたしまして軽症者、無症状者の宿泊療養施設への移行を一層進め中等症以上の患者に適切な医療を提供できる体制を確保してまいります。
検査につきましては、医療機関等における検査体制を強化するとともに県環境衛生科学研究所等におきまして抗原定量検査による検査体制をさらに充実することにより、一日当たりの検査可能件数を現在の約六倍となる最大一万四千五百件まで拡充いたします。これによりましてインフルエンザ流行期の検査需要の増加に対応するとともに、クラスターが発生した感染拡大地域における広範囲な検査を実施いたしましてさらなる感染の拡大防止に取り組んでまいります。
保健所の体制強化につきましては、危機管理を担う地域局との連携など部局を超えた全庁的な応援体制を構築するとともに、クラスターに迅速に対応し感染拡大を防止するため本庁の職員を中心に検査支援スタッフ十三名、調査支援スタッフ二十六名、計三十九名のスタッフで編成した専門のクラスター対策機動班、これを設置いたしました。クラスターが発生あるいは発生する可能性がある場合速やかにこの機動班を保健所へ派遣いたしましてより早期に感染拡大防止対策を取れるよう体制強化をしてまいります。
県といたしましては、今後も感染拡大防止と医療崩壊を防ぐ対策に全力で取り組むことで県民の皆様の命を守ってまいります。
次に、令和三年度当初予算編成方針についてであります。
新型コロナウイルス感染症への対応は県政の最重要課題です。この感染症から県民の皆様の生命、生活、雇用を守るためこれまでに一千二百億円余の予算を投じ感染拡大防止と経済再生に全力を投じてまいりました。財政状況が厳しい中、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金二百八十六億円など国の予算を最大限活用いたしました。
新型コロナウイルス感染症は我が国が抱える課題を顕在化させ人々の意識、行動、価値観に大きな影響を与えております。社会、経済は確実に変わりつつあります。過密や接触の回避が求められる中、AI、ロボット、自動運転等々ICTを活用して人々の生活の質を高めるいわゆるデジタルトランスフォーメーションの取組が始まっております。またテレワーク、オンラインによる会議、授業、ショッピング、文化芸術鑑賞などが広がり、距離や時間の制約から解放されワーク・ライフ・バランスの充実や地方移住への関心が高まっております。今後地方回帰の流れは一層強まり新しい暮らし方や働き方が社会に定着していくものと考えております。
平成期の日本の課題は地方創生、我々の言葉で言うとポスト東京時代を開くということが課題でありましたが、まさにポスト東京時代の幕開けを我々は今見ていると思います。
このような大きな変化に直面する中、様々なリスクに備え自立した地域経済を拡大し豊かな自然、歴史、文化を生かした新しいライフスタイルを提案する施策を進めましてウイズコロナ時代またアフターコロナ時代におきましても持続可能な地域社会の実現に取り組んでいくことが重要であります。
令和三年度当初予算編成に当たりましては第三次補正予算をはじめ国の予算は最大限活用いたします。まずは感染症対策や県土強靱化などを充実し県民の皆様の命を守ることを何よりも優先いたします。その上で個人消費の喚起あるいはサプライサイドにおけるリーディング産業の育成などフジノミクスによる経済の拡大、多彩なライフスタイルを選択できるふじのくにライフスタイルの創出等本県独自の施策を進めてまいります。地方回帰のフロントランナーとしてリスクの高い東京一極集中の社会経済システムに代わるポスト東京時代の持続可能なふるさとふじのくにを実現してまいります。
次に、富士山観光についてであります。
世界遺産富士山は世界の宝であり美しい姿で多くの人々を引きつける山であります。多くの静岡県民は富士山が信仰の対象であり、かつ芸術の源泉であることを理解し世界遺産登録後もその顕著な普遍的価値を守ることに重きを置いてまいりました。
一方、富士山は毎年多くの観光客が山頂への登山はもとより霊峰富士の眺望を目的に伊豆半島、駿河湾、日本平などを訪れていただいておりまして、本県の観光戦略は富士山という大きな存在を抜きには語ることができません。議員御指摘のとおり富士山の保全との調和を図りながら富士山を生かした観光を振興していく必要があります。
本県側の富士山五合目は、議員御指摘のとおり山梨県側における観光施設の集積とは大きく異なっている、はっきり言えば見劣りがするということでございます。五合目の三つの登山口周辺には魅力ある自然が残っております。岩壁の迫力に圧倒される宝永火口、眺望を楽しめる双子山、須走のまぼろしの滝といった大自然を巡るハイキングを楽しんでいただける言わば地域資源がございます。しかしながらこれらはまだまだよく知られてはおりません。地元市町や交通事業者、観光事業者などと連携いたしまして富士山の自然環境の魅力を最大限生かした観光振興に取り組んでまいります。
また、今年の夏は富士山麓の世界遺産構成資産や観光施設を周遊するスタンプラリーを実施するなど美しい仰ぎ見る富士山を楽しんでいただきました。今後につきましても豊かな自然と広大な山麓を活用しウイズコロナ時代にも適応したアウトドアの魅力や富士山周辺地域の歴史、文化を広く紹介するなど、地元観光協会等と連携し富士山観光のさらなる魅力の発信に取り組んでまいります。
さらに、富士山を目的に本県を訪れる方々に広く県内を周遊していただくため日本平夢テラス、駿河湾フェリー、松崎町の雲見海岸などこれら富士山のすばらしい眺めに加えまして、豊富な食材やアクティビティーを効果的に組み合わせた周遊ルートを作成するなど魅力的な旅行商品づくりを行います。また県の観光情報発信サイト「ハローナビしずおか」や現在開発を進めています観光アプリを活用するなど、様々な場面で質の高い情報発信を行ってまいります。
また、富士宮口五合目の施設につきましては災害時の避難施設としての機能、観光施設としての機能には課題がございます。現在富士宮市とともにあるべき施設機能につきまして検討を行っているところです。本県が世界に誇る観光資源である富士山を最大限に活用しウイズコロナ時代にあっても美しさや癒やし、充実感を求める多くの観光客の皆様にとって富士山が魅力ある目的地となるよう地域の関係者の皆様と一体となって取り組んでまいります。
次に、富士山静岡空港の航空路線の維持確保についてであります。
富士山静岡空港は新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりまして四月二十八日から五月十七日の間全便が欠航いたしました。しかし本年四月の補正予算で御議決頂きました航空機の誘導や手荷物の積卸し等のグランドハンドリング経費への支援などの結果、八月までに国内線六路線の運航が再開いたしました。しかし新型コロナウイルス感染症の影響の長期化により国内線の十月の利用者が前年比三六%にとどまるなど航空需要の回復は大変厳しい状況です。路線の確実な維持のためには、運航経費のさらなる軽減のための支援措置と航空需要の回復のためのより一層の利用促進策を講じる必要があります。
このため、グランドハンドリング経費への支援を当初の運航再開時から三か月としていましたものを令和三年、来年三月二十七日の冬ダイヤ期間終了時まで延長することといたしました。さらに国が管理する空港におきまして航空会社が支払う着陸料と停留料を減免する措置を講じることとなったことを踏まえまして、富士山静岡空港におきましても路線の維持確保に向け運営権者である富士山静岡空港株式会社と連携いたしまして、令和二年八月から令和三年二月までの着陸料と停留料について四五%軽減する措置を講じることとしそのための予算案を本議会でお諮りしているところであります。
あわせて、低迷する航空需要の回復に向け利用促進策を進めてまいります。これまでの取組のほか、来年夏には中部横断自動車道が開通することになっておりますことから山梨県の教育、ビジネス、観光などによる富士山静岡空港の活用を積極的に働きかけてまいります。また富士山静岡空港の旅客ターミナルビル内に静岡県、山梨県両県の観光資源や特産品を紹介する協働施設、仮称ふじのくにカフェバーを設置いたします。加えて両県を舞台としたアニメゆるキャンとのコラボレーションによりキャンプやアウトドアを楽しむ旅行の魅力を全国に向けて発信するなど、山梨県と連携し積極的に利用促進に取り組んでまいります。
今後とも富士山静岡空港が本県のみならず山梨県の人々いわゆるふじのくにの表玄関と奥座敷のこの両者から成る四百五十万人の空の玄関口として、その機能を十分に発揮できるよう富士山静岡空港株式会社や関係団体などと連携し再開した路線の維持と欠航となっている路線の早期再開に向け全力で取り組んでまいります。
次に、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の推進についてであります。
本県は東日本大震災の甚大な被災状況を踏まえまして、平成二十五年度に第四次地震被害想定を公表いたしました。その中で最大クラスのレベルツーの南海トラフ巨大地震を想定した場合に最大で約十万五千人もの犠牲者が生ずる可能性を公表いたしました。これを受けお一人でも多くの県民の皆様の命を守るため、令和四年度末までに犠牲者の八割減少を目標とする地震・津波対策アクションプログラム二〇一三を策定し県、市町一丸となって取り組んでいるところであります。
このたび昨年度末までの事業の進状況を踏まえた試算を行いましたところ、約七万二千人、率にしますと約七割の犠牲者の減少が見込まれる結果となりまして目標達成に向けて地震・津波対策が順調に推移しているものと認識しております。
この約七万二千人の減災効果のうち大半を占める約六万九千人は津波による犠牲者の減少によるものです。浜松市沿岸域の防潮堤、通称一条堤でございますが、この一条堤をはじめレベルツーの津波も視野に入れた静岡モデル防潮堤の完成などにより約一万七千人、市町と連携した避難タワーあるいは命山などの津波避難施設の整備により約五万二千人の犠牲者減少が見込まれております。しかしながらこれらの避難施設が有効に機能するためには、やはり県民の皆様に地震発生後直ちに御避難を開始していただくことが不可欠であります。
地震・津波対策アクションプログラム二〇一三が掲げる八割の減災目標を達成もちろん十割でございますが、これは十年計画なので十年目には八割を減少させる、最終的にはゼロにするということが目標でありますが、今後このアクションプログラム二〇一三の今後の二年余りの総仕上げの取組が極めて重要です。
津波対策といたしましては、県民の皆様の財産保全と避難時間の確保を図るため引き続き防潮堤など津波を防ぐ施設の整備を着実に推進するとともに、津波避難施設が最大限に活用されますように県民の皆様の早期避難意識、避難意識のさらなる向上に集中的に取り組んでまいります。
また、住宅の耐震化率が八九%まで向上したことで約三千人の減災効果が見込まれておりますが、所有者の高齢化などの理由から住宅耐震化の取組が伸び悩みの傾向にあります。このため自らの命を守る耐震補強あるいは耐震改修が難しい御家庭での防災ベッド等の設置の重要性を粘り強く説明いたしまして市町と連携した支援策の充実に努めてまいります。
来年三月十一日には東日本大震災から、議員御指摘のとおりちょうど十年目の節目を迎えます。未曽有の被害をもたらした地震津波災害の記憶を風化させることなく本県の南海トラフ巨大地震に備えた教訓として生かしていくことが大変重要です。今後もハード・ソフト両面での地震・津波対策に全庁を挙げて取り組むことで県民一人一人の防災意識を高め自助、共助、公助のベストミックスによる災害に強いふじのくにづくりに努めてまいります。
その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を差し上げます。
○議長(山田 誠君) 難波副知事。
○副知事(難波喬司君) 茶業振興策についてお答えをいたします。
「山は富士 お茶は静岡 日本一」と言われております。県内の各産地の地形や気候などの特色を生かし、たくみの技と言うべき確かな技術に裏打ちされた高品質で多様な茶を生産する産地として品質、生産量ともに日本の茶業を牽引しブランドイメージを保持してまいりました。
しかしながら、近年続いております家庭で飲むリーフ茶需要の減少により需要に対する供給のミスマッチが起こり価格が低迷するという問題が続いております。今年は新型コロナの感染拡大の影響が生産量、価格の低迷に拍車をかけ茶生産者の経営はかつてないほど厳しい状況になっております。
こうした中、何よりも重視しなければならないことは総生産量ではありません。重視すべきは厳しい経済状況の中で日々御努力されている生産者が農業所得を確保し経営を維持できることです。そのためにもブランドイメージを守っていくことが重要です。
このため県では、産地の地形や気候という地域特性を考慮した、需要に対応したすなわち消費者や加工事業者に評価される生産が可能な生産構造への転換を進めているところです。
例えば、大規模生産に適している平たん地では大手飲料メーカーなどとの契約生産を進め安定した取引価格の下、高収量生産を促進することで収益の向上を図ります。また契約取引に必要なGAP認証の取得や製茶機械の導入を支援します。低コスト生産を促進するための茶園の集積・集約や小規模な茶園の大区画化などの基盤整備を推進しているところです。これらの取組により生産者の所得を確保し経営の安定を図ってまいります。
また、中山間地域では一定の需要がある高級煎茶の生産を維持します。その上でデジタル時代に対応した販路開拓あるいは海外での需要が拡大している有機抹茶の生産への転換を促進し、産地の特徴に沿ったお茶を必要とするマーケットに的確に供給できるよう支援してまいります。これによって静岡茶のブランドイメージの維持向上を図ります。
さらに、将来にわたり本県の茶業を持続的に発展させるためには茶の新しい需要を創出することが不可欠です。現在ChaOIフォーラム会員の生産者や食品企業等が連携し新商品の開発や海外販路の開拓、茶園が織りなす風景を楽しむティーツーリズムなどが展開されており、県では意欲ある生産者等による新たな需要を生み出す様々な取組への支援を進めてまいります。
また、生産者の所得確保が何よりも重要なことから茶業だけでは所得の確保が難しい場合は他の作物に転換することも必要です。他の作物への転換に係る国の事業なども活用して導入作物の選定や販路確保など生産者の所得確保を図るための支援を行ってまいります。
もう一度総生産量について申せば県が掲げる生産量は目標ではありません。生産者がそれぞれの地形、気候等の地域特性を考慮し最適な生産内容を選択し生産したことによる結果の総数です。政策目的である農業所得の維持向上を図りつつブランドイメージを守れるよう一つ一つの改善、改革を的確に実行し結果を出してまいりたいと考えております。
県といたしましては、今後も美しい茶園に育まれた高品質な静岡茶のブランドを守っていくとともに、生産者が農業を続けていける持続可能な茶業経営、農業経営の確立に向け関係者と一丸となって取り組んでまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 天野経済産業部長。
○経済産業部長(天野朗彦君) ウイズコロナ、アフターコロナ時代の経済政策についてお答えをいたします。
新型コロナウイルス感染症は十一月に入り急速に感染が拡大しており、今後消費の落ち込みや事業環境の悪化など経済回復に大きな影響を及ぼすおそれがあるものと認識しております。
このため、県では感染対策の徹底により爆発的な感染拡大を防ぎつつ県内企業の資金繰り支援に全力を挙げていくほか、国と連携し雇用調整助成金等による雇用の維持や失職、離職者向けの職業訓練の拡充による早期の再就職支援などに注力してまいります。
一方、議員御指摘のとおりコロナ禍は人々の生活や働き方に大きな変化を与え産業や経済にも抜本的な構造転換を迫っております。県では消費者の行動が変わりデジタル化が加速する中で新たな地域主導型の経済政策としてフジノミクスを推進しております。
経済再生にはGDPの五割以上を占める個人消費の喚起が不可欠でありますが、例えば困っている生産者のためにという利他的な消費の動機が自らの買う喜びに直結するという新しい消費スタイルが生まれております。またリモートワークの普及によりまして自宅へのワークスペースの設置など新規需要が発生しているほか、東京一極集中の是正につながる感染リスクの比較的低い山の洲くにのような広域経済圏の形成が商工業にとどまらず農林水産業に新たな販路を開きつつあります。
県ではこうした変化に的確に対応した消費喚起策を重点的に展開し経済の早期再生を図るとともに、オンラインでの商談やネット通販など中小企業の生産性を高めるデジタル化への取組支援にも注力してまいります。さらに中長期的には、本県が優位性を有する医薬品、医療機器産業の輸出産業化や次世代自動車産業の世界展開などに向けデジタルトランスフォーメーションの導入支援等を積極的に行い経済成長を牽引するリーディング産業の育成を推進してまいります。
本格化する大都市圏から地方への人材と企業の流れに対しましては、くらし・環境部などと連携しながら東京事務所や移住相談センターなどでのオンラインを含めたワンストップの相談体制の充実などによりまして本県への具体的な移住や企業の進出を図ってまいります。
県といたしましては、感染抑止対策に全力を挙げ打撃を受けた企業への金融支援や雇用対策等に万全を期するとともに、危機克服と経済再生に向けた産業の構造転換を着実に進めてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 杉山経営管理部長。
○経営管理部長(杉山浩一君) 行政のデジタル化についてお答えいたします。
新型コロナウイルス感染症の拡大により明らかになったデジタル化の遅れやこれに対応するため、国は自治体のシステムの標準化やマイナンバーカードの普及促進などを進めることとしております。
本県では、十月二十一日に情報化統括責任者いわゆるCIOである出野副知事をトップとしたデジタルトランスフォーメーション推進プロジェクトチームを立ち上げたところであります。プロジェクトチームでは五年後、十年後を見据えデジタル化による静岡県の新しい日常を描き、その実現に必要な取組の洗い出しや推進方策などを検討しております。また県庁のデジタル化につきましても申請や届出手続の見直しなどに順次着手しているところであります。
県といたしましては、年内にも国から自治体のオンライン手続を推進する計画やデータの利活用を進めるための戦略などが示される見込みでありますことから、それらの内容も取り入れながらデジタル技術を活用した安全・安心で便利な静岡県を実現できる行政を目指し全庁を挙げて取り組んでまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 金嶋危機管理監。
○危機管理監(金嶋千明君) 緊急消防援助隊全国合同訓練についてお答えいたします。
この訓練は、緊急消防援助隊の技術向上と連携強化を目的に来年の十一月二十七日と二十八日の二日間にわたり全国から集まる六百隊以上の緊急消防援助隊や警察、自衛隊、海上保安庁など多くの関係機関の参加の下実施いたします。訓練のメイン会場は国の大規模な広域防災拠点に位置づけられている富士山静岡空港とし、そのほかに県内複数のサテライト会場を設けて訓練を行うこととしております。
議員御指摘のとおり、南海トラフ地震により甚大な被害が想定される本県にとりまして緊急消防援助隊等の応援部隊を迅速かつ的確に受け入れることが不可欠でありますことから、今回の訓練では自衛隊の輸送機や輸送艦などと連携した消防車両の輸送・進出訓練も計画しております。また倒壊家屋や瓦礫からの救出救助訓練、大規模火災を想定した市街地火災対応訓練など多様な訓練を行うほか、近年多発する大規模風水害を想定し土砂災害からの救出訓練なども計画しております。
県といたしましては、訓練を通じて県外からの応援部隊の円滑な受入れ、消防と自衛隊等関係機関との連携体制等について検証を行い南海トラフ地震に備えた本県の広域受援体制の充実を図り災害対応力の一層の強化に努めてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 長繩交通基盤部長。
○交通基盤部長(長繩知行君) 災害に屈しない中山間地のみちづくりについてお答えいたします。
県では地形が急峻で道路網が脆弱な中山間地が自然災害によって孤立することを防ぐため、道路のり面の崩落防止対策や緊急輸送路の橋梁の耐震補強に加え東西軸を形成し災害にも強い高規格幹線道路等にアクセスする道路の拡幅改良などを進めております。
今年度が最終年度となります防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策により、道路では期間内に一定の効果が期待できる六十六か所を選定して工事を実施しており、このうち二十二か所は中山間地の道路の通行止めリスクを低減するものであります。しかしながら期間内では十分な効果が見込めず着手を見送った箇所も多数あることなどから、引き続き中長期の視点で計画的に整備を進めていく必要があります。
今後の国土強靱化対策につきましては現在政府におきまして検討が進められているところであり、県では新たな枠組みや施策等を最大限に活用して地域の孤立を防ぐ道路の防災機能強化を進めてまいります。
県といたしましては、中山間地における強靱な道路ネットワークの構築を目指し既存の道路が持続的に機能するよう効果的で効率的な保全や防災対策を推進するとともに、観光交流や地域振興に資する南北軸などの道路整備を着実に進めて災害時の代替性を向上させ「住んでよし 訪れてよし」の均衡ある県土の発展に努めてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) 東静岡駅周辺地区の活用についてのうち、新県立中央図書館整備に向けた今後の対応についてお答えいたします。
新県立中央図書館の整備につきまして貴重な御提言を頂き感謝申し上げます。現在新県立中央図書館基本計画のコンセプトに基づき県民の皆様に開かれた新しい図書館となるよう施設の機能や規模、運営方法などについて検討を行っているところであります。県民の知のインフラとして子供たちから研究者まで幅広いニーズに対応できるよう二百万冊規模の十分な収容能力を確保し、屋外空間の利用や密を避けた空間配置を考慮しながら子供図書館や調査研究に没頭できるブースなど多様な閲覧環境を提供してまいります。
また、専門的で高度なレファレンスサービスなどにより県民の皆様の情報拠点である県立図書館としての役割を確実に果たすとともに、本に限らない多様な情報の発信や利用者の交流スペースを設け県民の皆様の学び、交流を通じた新たな文化の創出につなげてまいります。さらに自動貸出返却等の非接触型のサービスを取り入れたり電子図書館の導入により遠隔地における利便性の向上を図るなど、可能な限り図書館のデジタルトランスフォーメーションを進めてまいります。
今月一日からはウイズコロナ、アフターコロナ時代の新しい県立図書館をテーマとしたアイデアコンペを実施しております。県民の皆様から自由な発想で多くのアイデアを寄せていただき図書館の整備に生かしてまいります。
今後は御提言を頂きました知と学びの象徴として県民の皆様の誇りとなる風格のある施設、国内最高水準の機能を有する施設を目指して、本年度中に整備計画を策定し来年度には設計に着手してまいりたいと考えております。
県教育委員会といたしましては、多くの県民の皆様に親しまれ活用される魅力ある図書館となるよう、今後も県議会の皆様の御意見を伺いながら東静岡駅北口の整備を計画している静岡市とも十分に連携し準備を進めてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 植田スポーツ・文化観光部長。
○スポーツ・文化観光部長(植田基靖君) 東静岡駅周辺地区の活用についてのうち、東静岡駅南口県有地の活用についてお答えいたします。
東静岡駅周辺地区につきましては、静岡市の参画を得て平成二十七年三月に取りまとめたふじのくにの文化力を活かした地域づくり基本構想におきまして若者をはじめとする多様な交流とにぎわいを生み出す文化とスポーツの殿堂の形成を目指すこととしております。本年度は静岡市と連絡調整会議を開催し駅南北公有地の活用に向けた協議を行うとともに、市と合同で民間事業者への市場調査を実施しているところであります。
この中で、民間事業者からは新型コロナウイルス感染症の影響により現時点での投資には慎重にならざるを得ないものの、コロナ時代に対応した機能や空間づくり、グランシップや図書館等との効果的な連携の必要性などについて御意見を頂いております。
南口県有地の活用につきましては、民間事業者が参画しやすい環境を整えることが重要であります。県立中央図書館の整備と並行して静岡市と緊密に連携し民間事業者のアイデアやノウハウを生かした機能や民間投資を促す方策の検討を進めるなど、東静岡駅周辺地区が多彩な人々が集まりにぎわい交流できる魅力的な場所となるよう取り組んでまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 長澤教育部長。
○教育部長(長澤由哉君) 過疎地域における県立高校の在り方についてお答えいたします。
過疎地域をはじめ県内のどの地域であっても子供たちに教育を受ける機会を保障することは、県教育委員会の重要な役割であります。また教育環境の充実を図り将来地域の担い手となる若者を育成することが地域の活力の維持につながるものと考えております。
他の地域に比べ急速に少子化が進んでいる過疎地域におきましては、生徒数の減少により授業、部活動、学校行事などの教育活動が制限されることから教育環境が低下しないよう教育の質を担保し魅力を向上させる取組が不可欠であります。
議員から御紹介のありました川根高校は、川根本町からの積極的な支援の下全国から生徒を受け入れる川根留学の取組や地域に進出している外資系企業と連携した海外研修など教育内容の魅力化を図り地域外からの生徒にも選ばれる学校として成果を上げております。現在こうした取組を他の高校に展開しており、浜松湖北高校佐久間分校や伊豆総合高校土肥分校におきまして学校の魅力化に向け地元自治体や地域の団体、同窓会等と一体となって協議会を立ち上げ寄宿舎の再開や民間ペンションの下宿への転用など受入れ環境の整備を進めております。
さらに、ICTを活用して本校の教員が分校の生徒へ専門的で質の高い授業を行う遠隔教育や土肥分校におけるeスポーツ部の設置などにも取り組んでおります。
県教育委員会といたしましては、今後も地元自治体や地域住民等と連携した探究活動の充実や遠隔授業のさらなる活用による幅広い教科、科目の受講機会の提供、少人数ならではの丁寧な学習指導などに積極的に取り組み、過疎地域の高校の魅力化を一層推進してまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 山本警察本部長。
○警察本部長(山本和毅君) ストーカー犯罪被害者の安全対策についてお答えいたします。
初めに、本県のストーカー事案の現状についてであります。
本年十月末現在、相談により新たに認知しましたストーカー事案は三百三十五件で前年同期と比べ三件減少いたしましたが依然として高水準で推移をしております。検挙件数は五十二件で前年同期と比べ七件減少いたしました。検挙に至る前の警告などの措置を積極的に行っていることも減少の要因になっていると考えております。
次に、被害者の安全確保に向けた対策についてでありますがストーカー事案の対応に当たっては被害者の安全確保を最優先に考えた対策を取っております。
まず、被害者からの相談の概要を犯罪被害防止等即時対応システムに登録しまして一一〇番通報があった際にいち早く現場臨場できるようにしておりますほか、被害者から事案の切迫時に通報していただくGPS機能付の緊急通報端末を貸与するなどしております。また被害者の不安が解決されるまで組織的、継続的に相談に対応しておりますほか近況確認や助言指導を行っているところであります。
一方、加害者に対しましては刑法などの刑罰法令を適用して検挙しますほか、検挙することができない場合であってもストーカー規制法に基づく警告や禁止命令等といった行政措置によりまして加害行為の抑止を図っているところであります。さらに本年八月にはストーカー被害の潜在化を防ぐため、事態が深刻化する前に警察への早期相談を促す啓発チラシを県内の大学等に配布をいたしまして特に若い世代に向けた危機意識の醸成を図っているところであります。
県警察では、今後とも事案の危険性、切迫性を適切に判断し被害者の安全確保を最優先とした対応を講じてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 河原崎 聖君。
(十八番 河原崎 聖君登壇)
○十八番(河原崎 聖君) それぞれ御答弁を頂きありがとうございました。
聞きたいことはいっぱいあるんですが時間の関係もありますので数点に絞って要望、再質問させていただきたいと思います。
まず最初に、感染症対策についてですがいろんな設備面等の御尽力を頂いているということは理解をいたしました。ただやはり設備面ができてもやはりそれを動かす人ですね、それがそろわないと実際には回らないということになろうかと思いますので、その点についての格段の御配慮といったようなことをお願いをしたいというふうに思います。
それから次に、予算の関係です。
国の予算で三つ柱があるという中で国土強靱化の関係、五か年という方針で出てくると思うんですが、これに関しましては防災に対する対応策というのと同時に景気支援策的な意味合いも持っているというふうに伺っております。ちょうどあの世界恐慌の後のニューディール政策的な意味合いなのかなというふうに思いますけれども、やはりそういったものがあるといったときに一般の人から言われるのは一部の人だけ潤ってなかなか下まで来ないんじゃないのというようなことも言われます。ですので一般の県民にまで行き渡るようなそうした工夫といいますか対応もお願いをしたいというふうに思います。
それから、茶業に関してです。
先ほど難波副知事からお話があったとおり、今生産量じゃないんだと、ブランドはしっかりと守っていくんだというようなお話がございました。ぜひともそうしていただきたいと思います。
私も茶業者、知っている方がたくさんいますしお世話になってきたものですから、とにかく残せるものは残してほしいなというふうに今でも強く願っております。しかしやはり茶業情勢そしてまた後継者の問題等でなかなかそれが困難になってきているというのは、もうごまかしようがないそういう段階に来てしまっているなというふうに思います。
そういった中で地域によってそれぞれ茶業の状況違うと思います。ですのでその地域、地域の関係者としっかりと話合いをして極力早く方向性を出していただきたいなというふうに思います。
転作のお話もありましたが、JAの関係者に伺うとミカンに関することが伐根費用等国の補助等も充実していると、来年度またさらに拡充されるというようなお話もございますし、またこの間かんきつ議連で行きましたときにはミカンに関しては供給量を上げたいというような国の方針もあります。そういった意味では有望なのかなというふうに思いますけれども、やはりこちらも切り替えるまでに五年ぐらいかかるというようなことで大変には大変なんですがいずれにしてもそういうことを考えている方にはそれなりの方向性を示していただきたいと思いますし、また中山間地のほうのお茶をやっている人からは道もそろっているし山林に戻すのも一つの手だよというようなそんなお話もありました。そんなことも含めて今後様々な検討を対応していただければというふうにお願いをしたいと思います。
それから再質問のほうですが、まず感染症対策です。
やはり今切迫している問題というのは東・中・西ある中でやっぱり中部ですよね。病床使用率がもう八割というような本当にもう危機的な状況になっています。そういった中で先般我が会派の議員総会において、県内ほかの市はクラスターが発生した店の公表をやっているのに静岡市だけやっていないのはおかしいじゃないかというお話があって会派として静岡市に申し入れるというような方向性となっています。そういったことについてやはり県としても何かしらの対応が必要なんじゃないかなというふうに思うんですが、それについてのお考えを伺いたいと思います。
それから予算編成の関係、コロナ後の社会、先ほど知事からいろんなお話がありました。これまで培われてきた学識と教養に基づいてのお話だというふうに思いますし、また県のホームページをのぞきますと難波副知事のコラムという形でコロナ後の社会というようなことが三回にわたって触れられていたなというふうに思います。
それはそれで一緒にお勉強させていただいているんですが、県の組織としてそうしたコロナ後の社会というものを検討というか考える場というのがあるかどうか、これまでやってきたかどうか、今後やる考えがあるかどうか、その辺を伺いたいと思います。
それから空港について空港の路線の問題ですが、報道によりますとほかの県では航空会社の職員を一時的に雇うといったようなところもあるというふうなことがあるそうで、静岡県はまだ今のところそういう話を聞いていないもんですからよそと比べてちょっと遅れているんじゃないかなというようなことがちょっと懸念をされます。そういった中でこれまで航空会社とはどのような話合いをされてきたのかこの点について伺いたいと思います。以上、答弁を求めます。
○議長(山田 誠君) 藤原健康福祉部長。
○健康福祉部長(藤原 学君) 新型コロナウイルスのクラスターのときの店舗名の公表について御質問頂きました。
店舗名の公表につきましては基本的には行政が裁量的になし得るものだと考えております。その考えにつきましては県においては八月に公表基準ということで発表しているところでございます。その考え方としましては、一つは個人情報保護法の求める法益とそれから感染拡大防止のための疫学調査の実務上の要請といったものを比較考量、利益考慮した上で行政が判断し得るものだと考えております。我々は八月の公表基準により今取り扱っていることでございます。
さらに実際の個々の事案に対して適用するに当たりましては、他の店舗あるいは業界への風評被害の懸念ですとかあるいはその店舗の個人、本人への誹謗中傷それから差別的な取扱いそういったものを考えて実際に判断しているところでございます。
今後の例えば流行状況によりましては、その扱いにつきましても県が講じていく対策上の必要性の中でどんなものが該当するのかによって変わり得るものだと考えています。見直しも必要だと思います。その際にはもちろん政令市も含めまして県内の自治体と意見交換もしつつ、国や他県の状況も見ながらまた検討して見直していきたいと思っております。以上でございます。
○議長(山田 誠君) 佐藤政策推進担当部長。
○政策推進担当部長(佐藤典生君) 令和三年度当初予算の編成方針についての再質問にお答えいたします。
アフターコロナ後の静岡県の姿ということでございます。
大きな時代の転換期の中でやはり我々としても今後の静岡県の姿をしっかりと捉えてその構築をしていきたいというふうに思っております。そのために今幅広い分野でやはりどうしても関係してまいります暮らしの部分、そして経済の部分その他いろんな部分が関係いたしますので、県庁全体を挙げまして今その姿を目指して検討しているところでございます。そしてその検討をこれからも進めていきたいというふうに思っております。
それに当たりましては県庁だけではなくてオール静岡でやはり進めていくことが非常に大事だと思っておりますので、そのような形で県民の方々の意見も伺いながら新しい静岡県の姿を構築していきたいと思います。
予算との関係で申しますとそのスタートはもう既に始まっていると思います。令和三年度当初予算におきましては、その流れを加速化していきたいと、そして新しい静岡県の姿を明確にしていきたいというふうに考えております。以上であります。
○議長(山田 誠君) 植田スポーツ・文化観光部長。
○スポーツ・文化観光部長(植田基靖君) 空港についての再質問にお答えいたします。
富士山静岡空港の便につきましては一旦全便が欠航いたしましてその後国内線については一部が再開したんですが、その中で航空会社とは十分にコミュニケーションを取ってまいりました。その中で再開に当たっては非常に経費がかかるということで、その中で先ほど知事から答弁申し上げましたがグランドハンドリング経費の支援とか着陸の支援こういった支援策が出てまいったものでございます。これからについても航空会社とは十分なコミュニケーションを取りながらですね、職員の派遣等もあるかもしれませんけれども、そういったことも含めて支援策については今後とも航空会社様と十分に意思疎通をしてまいりたいと考えております。以上でございます。
○議長(山田 誠君) 河原崎 聖君。
(十八番 河原崎 聖君登壇)
○十八番(河原崎 聖君) ありがとうございました。
感染症対策についてですがお話の向きは分かりますし政令市と県という節度といいますかね、そういったものが必要な部分もあるのは分かるんですが、やはり今、平時じゃなくて非常時なんですね。しかももう病床使用率がもういっぱいになっているという段階でやはりこういうときこそ静岡市のことであっても県が口出す、ふだんちょっとここはどうかなというところも口出すときが多いんですがこういうときほど声を出してほしいんですね。その辺を切にお願いをして私の質問を終わらせていただきます。以上です。ありがとうございました。(拍手)
○議長(山田 誠君) これで河原崎聖君の質問は終わりました。
議事の都合により休憩します。
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