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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和4年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

鈴木 節子 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/08/2022

会派名:

日本共産党静岡県議会議員団


質疑・質問事項:

1 リニア中央新幹線南アルプストンネル工事の着工について
2 ジェンダー平等推進について
 o 県職員のハラスメント根絶
3 コロナ禍の検証としての保健所の体制強化について
4 台風15号に伴う中山間地の土砂流出による災害への対応について
5 子育て世帯の経済的負担軽減について
(1)国民健康保険の子どもの均等割無償化
(2)学校給食費の無償化


○議長(藪田宏行君) 次に、一番 鈴木節子君。
       (一番 鈴木節子君登壇)
○一番(鈴木節子君) 日本共産党の鈴木節子です。
 通告に従い知事、副知事並びに関係部局長、教育長、教育部長に一括質問方式で質問をいたします。
 まず初めに、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事の着工について伺います。
 リニア中央新幹線の建設事業は、今世紀最大の超巨大開発事業ですが、最近になって状況の変化や事業の問題点が次々と明らかになり抜本的見直しが求められています。
 問題の一点目は、必要性が問われていることです。新型コロナ感染症の拡大でテレワークが普及し、住まい方、働き方に大きな変化が現れ高速移動手段優先からゆとりを持った社会への転換が広がっています。都市間を移動せずにリモート対話で十分仕事がこなせることから出張のニーズは減りリニア中央新幹線を必要とする社会的前提が崩れています。また地球温暖化など気候危機打開は待ったなしの課題ですが、リニア中央新幹線は従来の新幹線と比較をして一人当たり四倍ものCO2を排出すると言われています。気候危機打開の取組に逆行し大量のCO2を排出するリニア中央新幹線はその必要性が問われています。
 二点目は、工事費膨張の問題です。昨年四月JR東海は品川から名古屋間の総工事費が一・五二兆円増え七・〇四兆円になる見込みとなったと報道発表しました。JR東海は品川から名古屋間の工事費を五・五二兆円としていた時期に財政投融資を活用して三兆円の長期借入れをしています。コロナ禍により運賃収入が減少した状況を鑑みると、この三兆円の財政投融資資金の償還さえ危うい事態に直面しているのではないかと考えられます。
 工事費の増額理由は難工事への対応、地震対策の充実、発生土の活用先確保などとしていますが、南アルプストンネル工事や大深度地下トンネル工事など今後実施される工事は対象にはなってはいません。今後さらに工事費が膨張することは避けられません。さらに融資をすることになれば、国民負担を増大させるおそれがあります。
 三点目は、県民の命の水を奪い南アルプスの自然環境を破壊する問題です。トンネル湧水の全量戻しについては、JR東海は、工事期間中先進坑がつながるまでの間は山梨、長野両県に湧水は流出し戻すことはできないと表明し、県外流出量と同量を大井川に戻す方策として田代ダム案が示されましたが、現時点では科学的、工学的に実現性を検証できておらず、河川法上問題がないか法的な問題も解決していません。またユネスコエコパークや南アルプス国立公園、その周辺の甚大な環境破壊を引き起こしかねません。
 四点目は、建設残土の問題です。南アルプストンネル工事では燕沢付近に三百六十万立方メートルの残土処理計画があります。南アルプスは脆弱な地質、地形であるため大規模崩壊が発生、拡大しています。仮に燕沢付近で大規模崩壊が起これば、盛土した残土の流出による大井川の河道閉塞などにつながりかねません。気候変動により豪雨、台風が激甚化、頻発化しており、これまでの残土処理計画では安全確保は不十分です。また自然由来の重金属類を含む要対策土も大井川上流河畔に永久に存置する計画です。有害物質の流出の懸念は払拭されていません。
 以上の問題点、懸念について国とJR東海は真摯に検証し直す必要があると考えます。
 改めて確認します。現時点では工事着工は認められないという考え方に変わりはないかお伺いをいたします。
 二つ目の項目、ジェンダー平等推進の観点から県職員のハラスメント根絶についてお伺いをいたします。
 ハラスメントは、精神的、身体的に相手を傷つけ人間関係から切り離すなど重大な人権侵害で許されない行為です。県庁内のパワハラ相談は年十数件と増加傾向にあり、セクハラ相談は年二件から四件程度寄せられていますが、被害に遭っても相談できる人は一部にすぎません。パワハラ、セクハラを含むあらゆるハラスメント根絶に向け県が率先して範を示すことで全企業にも波及させ、またジェンダー平等の観点から非正規職員にも多い女性職員に対するセクシャルハラスメント根絶に向け質問をいたします。
 本県は、全職員対象の研修や相談窓口の設置、女性よろずサポーターを配置し女性職員同士が相談し合う仕組みを構築し悩みや不安の解消に努め、全庁挙げてハラスメント防止対策に取り組んでいます。しかしハラスメント根絶に向け課題を掘り下げ対応する必要があります。職員の中には、勇気を持って相談しても問題なしと片づけられたとか、悪化した職場環境はそのまま改善されないなど解決に結びつかない事例も寄せられています。
 質問です。セクハラ及びパワハラの相談状況と特徴、女性よろずサポーターの実績と効果はどのようなものか、また全庁挙げて取り組んでいるセクハラ及びパワハラ防止対策の評価と根絶に向けた課題を伺います。
 三つ目の項目、コロナ禍の検証としての保健所の体制強化について伺います。
 新型コロナ感染症の最前線に立つことになった保健所は、PCR検査の相談、発生届の受理、陽性者の入院調整、自宅療養者の健康把握と対応、クラスター発生リスクの高い高齢者・障害者施設等での疫学調査などに追われ連日過酷を極めました。政府はコロナ対応のため自治体保健師の増員を二〇二一年度から二年間にわたり支援し本県は定数を六人増員しましたが、コロナ感染症のパンデミックに対応し切れるものではありません。
 今年の夏、県は保健所業務が迫したため全庁から百五十人もの職員が支援に入るとともに、市町から保健師の応援派遣や百二十人の人材派遣で対応しました。この支援があったからこそ、コロナパンデミックの緊急事態を乗り切れたのではないでしょうか。
 一九九七年の地域保健法施行に伴い保健所の設置基準の緩和による保健所の合理化、再編、職員削減による体制の後退が進められ、職員は一九九〇年度三万五千人から二〇一七年度は二万八千人へと七千人も減らされ現場の人材不足と職員の過重労働は一層深刻になっています。そこに新型コロナ感染症の拡大で保健所体制の抜本的強化は喫緊の課題となっています。
 県下で一日七千人から八千人規模の新規陽性者が発生した今年の夏、発熱外来の迫により医療機関を受診できず自宅で療養を余儀なくされる方に保健師からの健康把握が遅れ、薬局で買った薬を飲んで何日も心細い日々を過ごした事例もありました。保健師からは業務に追われ陽性者に的確なアドバイスができず対応できないことに対し、自分の力ではどうしようもないと現状を嘆く声もありました。
 新型コロナ感染症はデルタ株、オミクロン株など次々と変異し感染力、重症度も変化するという特徴に合わせ的確な対応が求められています。冬に向かいインフルエンザと同時流行も危惧されています。
 今年八月三島に療養者支援センターを立ち上げました。事務の簡素化や高齢者や持病のある人など重症化リスクの高い患者と軽症者とを振り分けて対応できるよう保健所体制を見直しましたが、その措置は有意義ではあると思います。一方住民と身近に接して的確に判断する対応力、知識を備えた専門職としての保健師が十分配置されているかどうかが住民の命、健康を守るバロメーターと言っても過言ではありません。新型コロナ感染症のみならず今後新たな新規感染症の拡大もあり得ます。
 こうした状況下だからこそ正規保健師の拡充や臨時的に増員した会計年度任用職員の正規化で保健師増員につなげ今後の保健所体制の抜本的強化をすべきと考えます。方針を伺います。
 続いて四つ目の項目、台風十五号に伴う中山間地の土砂流出による災害への対応について伺います。
 台風十五号は二十四時間降雨量が四百ミリを超える集中豪雨を引き起こしました。九月降水量の一・五倍もの雨量が県内各地で大きな被害をもたらしました。家屋の全半壊と一万棟以上もの床上・床下浸水、河川氾濫、護岸決壊、道路陥没、土砂の堆積など土砂流出による災害に伴う甚大な被害は静岡市では七夕豪雨以来です。
 静岡市葵区の中山間地の河川にも深刻な被害があり、油山温泉、平山温泉等ではいまだに大量の土砂が河川を埋め尽くし災害の爪痕が痛々しく残されています。そのため温泉は事業が再開できない状態にあり、行楽・観光シーズンを迎えましたが大きな打撃を受けています。元どおりの平穏な生活と営業の再開を心待ちにしていますが、いつ再開できるのか見通しが立たないと嘆いておられます。
 また、急傾斜沿いの地域では土砂が家屋に崩れかかり、河川沿いの住民は河川の氾濫により土砂が家屋に流れ込み地域全体が床上浸水等生活に支障を来しました。この地域にいるのは不安だと中には市街地に引っ越す世帯もあります。
 災害復旧について現在国の査定待ちということですが、災害復旧するためには河川断面の三割以上が土砂堆積しているという条件があり、予算措置や事業者と契約、発注と災害復旧には日時を要することが想定されます。被災住民は元どおりの安全な生活に一日も早く戻ることを心待ちにしており、早急の修復、改修などの対策が求められています。
 中山間地の災害箇所において土砂の撤去や土砂流出による災害を防止する施設の修繕などは急務の課題です。現在の進状況及び今後の復旧見込みを伺います。
 また、今後も豪雨の激甚化、頻発化が想定される中、同じような災害の防止に向けた抜本的な土砂流出による災害対応も待ったなしの課題ですが、今後どのように取り組むのかお伺いをいたします。
 次に、五つ目の項目、子育て世帯の経済的負担軽減について伺います。
 先日、静岡県議会高校出前講座で少子高齢化対策をテーマに懇談をいたしました。高校生からは、出生率を上げるためには子育て世帯の経済的負担を軽減し子育て支援策の強化をとの声が圧倒的でした。
 本県は二〇一八年、子ども医療費助成制度の対象を十八歳まで引き上げましたが、十八歳まで対象とする県は現在全国四県のみです。まさしく子育て支援の先進県と言えます。本県の子育て支援策をさらに強化させるための施策を提案し、質問をいたします。
 まず、国民健康保険の子供の均等割無償化についてお伺いをいたします。
 国民健康保険の都道府県単位化から五年が経過をいたしました。この五年間で国保料を引き上げた自治体は県内の約六割に及びます。じわじわと国保料を引き上げ、収納率も引き上げ、滞納世帯には保険証に代わる資格証明書を発行し差押えが強行され暮らしを脅かしています。
 国保料が重い負担となっている原因の一つは、国保に加入する全ての世帯人員一人一人に定額の均等割が課せられる仕組みです。これは他の健康保険にはない国保だけの制度です。そのため国保料の負担は子育て世帯にとって極めて重いものになり子育て支援に逆行します。
 政府は今年度から子供の均等割の軽減措置を導入しましたが、就学前の子供に限り半額のみの軽減です。対象は全国で約六十五万人、本県は約一万三千人で県の負担は七千七百万円です。さらに県が子供の均等割無償化のための措置を講ずることで子育て支援がさらに進み、先進県としての位置づけが本質的に前進することになります。ぜひ本県も措置を講ずるべきと提案をいたします。
 子育て支援の重要性について認識頂き、国民健康保険における子供の均等割無償化について見解を伺います。
 続いて、学校給食費の無償化について伺います。
 格差と貧困が広がる中、七人に一人の子供が貧困状態と言われています。物価高騰のさなか給食費が子育て世帯の重い負担となっています。その下で学校給食費無償化の流れが全国で急速に広まっています。現在学校給食費を無償化した自治体は二〇一七年の七十六自治体から、我が党の調査によりますと、現在は二百二十四自治体に広がり五年間で三倍化していることが判明をいたしました。
 学校給食は、成長期にある児童生徒の栄養バランスの取れた食事を提供する教育の一環として重要な役割があります。この観点から学校給食費を無償化する流れがある一方で、学校給食費は保護者負担と定められているので助成はできないとする解釈がありますが、学校給食法は設置者の判断で保護者の負担を軽減することは可能である、保護者の負担軽減を禁止する趣旨ではありません。十月七日の国会の本会議でも岸田首相は自治体が補助することを妨げるものではないと認めています。
 九月九日文部科学省は、コロナ禍における急激な物価高騰の影響を受け学校給食費の値上げが保護者負担とならないよう軽減措置を今年度中に実施または実施予定の自治体は全国自治体の八割に当たる千四百九十一自治体に上ると発表しました。これは、地方創生臨時交付金の拡充により創設されたコロナ禍における原油価格・物価高騰対応分を活用し学校給食費の保護者負担の軽減に向けた取組を進めるよう文部科学省からの通知に基づくものです。
 県内では、今年度三十一自治体が交付金を活用し軽減措置を実施または実施予定と、取組が広がっています。これまで食材費高騰により単価の高い食材やデザートを少なくし献立に苦労していましたが、栄養バランスや献立の品数、食材の量を保つために役立っています。中には値上げ分の補のみならず一定期間全て無償とする取組が沼津市、伊東市、下田市、東伊豆町、河津町、松崎町の三市三町へと広がっています。
 県内では、この動き以前から既に学校給食費無償化などを実施している自治体があります。小山町は完全無償を二〇一九年から、御殿場市は年四分の一助成を二〇一九年から、東伊豆町は月五百円補助を二〇〇八年から、河津町は月百円補助を二〇一〇年から、西伊豆町は年二分の一補助を二〇二二年から、御前崎市は完全無償を二〇二〇年から実施をしております。
 憲法二十六条が示す義務教育はこれを無償とするの規定どおり、また教育の一環として学校給食費は無償とすべきと考えます。文部科学省の通知を受けて県内に値上げ分の補のみならず軽減、無償化に踏み込んだ自治体が広がっている中、この取組を継続させ、かつ負担軽減から無償化に拡充させるために県のイニシアチブの発揮が求められています。
 義務教育は市町の裁量と言われますが、県が率先して学校給食費無償化に踏み込む意義は大きくぜひ取り組むべきと提案をいたします。格差と貧困が広がる中で学校給食が果たしている役割と学校給食費無償化の必要性とその方針について、お考えを伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(藪田宏行君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 日本共産党の鈴木節子議員にお答えいたします。
 リニア中央新幹線南アルプストンネル工事の着工についてであります。
 本県のリニア中央新幹線の整備に対する基本姿勢は、大井川の水資源と南アルプスの自然環境の保全との両立を図ることであります。このため環境影響評価の手続に基づきJR東海との対話を進めております。
 大井川の水資源の保全につきましては、昨年十二月国土交通省が設置なさいましたリニア中央新幹線静岡工区有識者会議が大井川の水資源問題に関する中間報告を取りまとめました。本年四月には中間報告を受けて県の地質構造・水資源専門部会を再開いたしました。幾つもの問題があります。
 第一に、県外流出量を大井川に戻す方策、いわゆる全量戻し、第二に水質への影響、第三に発生土の処理方法、これらはいずれも重要な論点でございますが、こうした論点について目下のところJR東海から説得力のある説明がなされているとは思いません。
 少し言葉を足しますと、全量戻しについては先進坑が掘削し終わるまでは戻せないということでございますが、JR東海のトンネル工事の手法によりますれば先進坑と本進坑はほぼ同時に掘られます。先進坑、本進坑を掘る前に、まず工事用トンネルを掘らねばなりません。これは四キロ弱あります。それから斜坑を二本掘らねばなりません。これは七キロ弱あります。それからいわゆる導水路トンネルというのを掘らねばなりません。これが一一・四キロございます。これら二十キロを優に超すトンネルを掘った後に先進坑と本進坑、本坑を掘って、それが全部掘り終わってから水を戻すということでございますので、これはトンネルを掘ってから戻すということで同じことを言っているのであります。説得力がないと。掘れるかどうかの今、議論をしていただいているので掘ってから戻すというのは話が違うというふうに考えております。
 それから、第二に水質でございますけれども、トンネルを掘ったときに出る水はきれいな水ではありませんで泥水です。場合によっては対策土も入っています。ですからこれは水質がよくなるということはなく、浄化しても水質は悪化するということになります。
 それから、発生土につきましては推定三百七十万立米ということでございますが、三百六十万立米を置くとされている燕沢は地質学者によりますれば千枚岳が過去に数回崩壊してできた、いわゆる段丘型の沢でございまして、そこはまた千枚岳が山体崩壊をする可能性があるので適地ではないということがございます。それから対策土用地として準備されている藤島沢は工事現場からは十キロ以上離れておりますので、そのこと自体が適地かどうかということが問われます。
 そうしますと、さらにこの本県の盛土条例等に照らしますれば、これは一千立米以上は許可制になります。それからまた対策土については工事現場で処理する場合は適用除外になりますけれども、藤島沢は適用除外になるような場所ではありません。したがいまして極めて厳しいと。こうした論点をどのようにクリアするかどうかということで、十分な説明が行われているとは思えないということであります。
 次にまた南アルプスの自然環境の保全につきましては、本年六月国土交通省により環境保全有識者会議が設置されました。これまで関係者へのヒアリング等が行われたところです。今後論点の整理が行われ、生態系への影響について適切な回避策等に関する議論が進展していくものと認識しております。生態系も、これはよくなるという形での影響は考えにくい、悪くなると。それをどう回避するかということが論点で、それを受け入れられるかどうかということが問題になってきます。
 現時点では、このように流域の皆様をはじめ県民の皆様が納得できる結論が得られる段階に至っておりません。二〇一四年の工事実施計画の認可の際、国交大臣は地元の理解と協力を得ることを確実に実施するべきというように言われております。それができておりませんので、本県といたしましては南アルプストンネル工事の着工を認める状況ではないという認識でございます。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長から御答弁を差し上げます。
○議長(藪田宏行君) 出野副知事。
○副知事(出野 勉君) ジェンダー平等推進についてお答えいたします。
 県職員のハラスメント根絶についてでありますが、知事部局におけるハラスメント相談件数は、十年前の平成二十五年度は九件のところ令和二年度は二十三件、令和三年度は十六件と長期的に増加傾向にあります。早期解決のためには被害を受けた方が一人で我慢せずに声を上げることが重要であり、相談しやすい環境が整ってきたことの現れと認識しております。
 内容といたしましては、パワーハラスメント相談ではコミュニケーション不足が原因と思われる職員間の感情的な行き違いによるものが多く、セクシュアルハラスメントの相談ではメールによるしつこい誘いなどの相談が多い傾向にあります。
 女性同士が育児や仕事の悩みを相談し合うために配置している女性よろずサポーターにおきましては、令和三年度は会計年度任用職員からの相談も含め二十三件の相談があり、そのうち三件がハラスメントの相談でありました。特にセクシュアルハラスメントは被害者が身近な女性職員を通じて相談窓口につなげる事例も多く、女性よろずサポーターの存在は相談のハードルを下げる効果があるものと認識しております。
 ハラスメントは未然に防ぐことが何よりも重要であり、研修や啓発資料等により年間を通じて切れ目なく職員への注意喚起を行っております。これらの取組によりまして、ハラスメントに対する意識の高まりや正しい知識の浸透が進んでいるものと認識しております。
 また、ハラスメントのない風通しのよい職場づくりのために、今年度実施する管理監督者向けの研修には新たに人材マネジメントの視点を取り入れ部下との良質なコミュニケーションの重要性や具体的な実践方法を取り入れて実施しております。
 県といたしましては、職員一人一人がハラスメントは悪であると、これを決して許さないという強い意識を持ち行動するよう引き続きあらゆる機会を通じて周知啓発を行いハラスメント根絶に向けて取り組んでまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 八木健康福祉部長。
○健康福祉部長(八木敏裕君) コロナ禍の検証としての保健所の体制強化についてお答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症以前の感染症に対する保健所の体制は、結核や肝炎など従来の感染症への対応をベースにしており、新型コロナウイルス感染症のようなパンデミック型の感染症を想定した体制ではありませんでした。このような中で新型コロナウイルス感染症への対応においては、保健所の業務が迫したことから正規職員や会計年度任用職員の保健師を増員するとともに職員の業務分担を見直し、専門職である保健師でなくても対応できる業務については一般行政職及び人材派遣での対応や業務の集約化による外部委託の活用をしてまいりました。
 今後の感染症拡大への備えといたしましては、デジタル化により保健所における感染症業務を効率化するとともに、東部、中部、西部の保健所に配置した経験豊富な再任用保健師による若手保健師の育成支援や保健所職員に対する感染症対応力向上のための研修の実施など平時から保健師の専門性を活用し有事への備えを進めているところであります。またこれまでの経験を生かしパンデミックが生じた場合の体制をあらかじめ想定し、保健所における感染症対応の中心となる保健師についても今後も必要な人員の確保を図り保健所の体制強化に努めてまいります。
 次に、子育て世帯の経済的負担軽減についてのうち、国民健康保険の子供の均等割無償化についてであります。
 国民健康保険の保険料につきましては、法令等に基づき市町において加入者の負担能力や世帯の人数などに応じて適切に保険料を決定しているものと考えております。
 子供に係る均等割保険料につきましては、子育て世帯の経済的負担軽減の観点から未就学児の均等割保険料の五割を公費により軽減することとし令和四年四月から実施されております。この軽減措置に当たり国が二分の一、県と市町がそれぞれ四分の一を負担しております。
 なお、所得の水準に応じて均等割保険料を最大七割軽減する措置が既に講じられており、この軽減後の保険料に対してさらに五割を軽減するため所得の低い世帯の未就学児については最大八割五分の軽減となっております。
 国民健康保険の運営は加入者が負担する保険料と制度設計を行う国からの国庫支出金等の公費で賄うのが原則であります。子供に係る均等割保険料につきましては、子育て世帯の負担軽減という制度の趣旨にのっとり対象範囲の拡大や軽減割合の拡充を全国知事会と連携しながら国に対して引き続き要望してまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 太田交通基盤部長。
○交通基盤部長(太田博文君) 台風十五号に伴う中山間地の土砂流出による災害への対応についてお答えいたします。
 今回の台風十五号では、県中西部を中心に記録的な大雨となり山腹崩壊や渓流河岸の侵食により大量の土砂が流出し、中山間地におきまして河川や砂防施設等の被災や土砂の異常堆積が発生したものであります。これらの被災した施設につきましては緊急度の高い箇所から応急工事を進めており、本格的な復旧は災害査定終了後速やかに着手してまいります。なお堆積した土砂につきましては次期出水期前までに撤去を完了する見込みであります。
 土砂流出を防止するための抜本的な対策としましては砂防堰堤などの土砂災害防止施設の整備が有効であります。このため中山間地の人家や防災拠点など保全対象を考慮して国の国土強靱化や災害関連の予算を積極的に活用し命と暮らしを守る施設整備を推進してまいります。
 県といたしましては、引き続き災害から早期復旧に取り組むとともに、今後も土砂流出による災害を未然に防ぐ防災施設の整備や維持管理を効果的、効率的に進めてまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 水口教育部長。
○教育部長(水口秀樹君) 子育て世帯の経済的負担軽減についてのうち、学校給食費の無償化についてお答えいたします。
 成長期にある児童生徒の心身の健全な発達のため、健康の増進、体位の向上、食への正しい理解などにおいて重要な学校給食について、児童生徒が保護者の経済的な状況に左右されることなくその効果を等しく享受できるようにすることは大変重要であります。現在給食費の負担感の大きい所得が低い家庭等に対しましては就学援助制度による学校給食費の助成等が行われております。また小中学校の設置者である市町の判断の下、一部の市町においては給食費の保護者負担の軽減が行われております。
 加えて本年度は、新型コロナウイルス感染症の影響や国際情勢の変化に伴う物価高騰に対応する国の総合緊急対策に呼応して県内でも多くの自治体が学校給食費の保護者負担軽減に取り組んでおります。来年度以降の継続につきましては今後の国の動向を注視してまいります。
 学校給食費を恒久的に無償化することにつきましては、多額の財源が必要であり山積する教育課題に対して限られた財源をどのように執行していくのか、設置者である市町をはじめ教育に携わる様々な方面の方々も含めた中で慎重に検討していく必要があると考えております。
 県教育委員会といたしましては、引き続き支援が必要な児童生徒が安心して学びを継続できるよう注力してまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 鈴木節子君。
       (一番 鈴木節子君登壇)
○一番(鈴木節子君) ただいま知事はじめ副知事、関係部長の方たち、大変御丁寧な答弁を頂きましてありがとうございました。
 私からは、要望を四点と再質問を二点行わさせていただきます。
 まず要望ですが、リニアの関係です。
 大変、知事から丁寧な御説明を頂きました。現時点では工事着工を認めないという確固たる知事の姿勢を確認させていただきまして、私どもも県民も一同、大変この知事の力強い姿勢を御支援していきたいと、そんなように力強く思いましたので、引き続きこの立場、堅持していただきますように改めて要望させていただきます。
 二点目のハラスメント根絶です。
 この原因がコミュニケーション不足であるというようなことが答弁されました。今検証というか、人事課はじめとしてハラスメント根絶に向けた周知徹底はされている、努力はよく分かりますけれども、原因が分かった時点で、ではどういう手を打つかという、そこにぜひ手を打っていただきたい。職員というのは、ハラスメントを受けた方たち、孤独感や不安感を誰かに理解してほしいという気持ちを持っています。その思いを言葉にしてみる、自分の気持ちを整理して文字にすることから、相談できずに打開できないという状況をこれから何とか次の段階にステップに進む必要があるのではないかと思います。
 その場合、まず必要なことは、非正規も含めた全職員向けのアンケートの実施をしてみて職員が思っている、抱いている、いろんな複雑な思い、悩みを文字にして併せて見るという、この取組も必要ではないでしょうか。県は相談を待つのではなくてまず実態を把握する、相談に乗る姿勢を示すことではないでしょうか。ハラスメント防止ではなくてパワハラ・セクハラゼロ宣言をこの県がすると、それによって全企業にも反映させる、そうした意気込みでぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。
 要望の三点目は、土砂流出された被害を持っておられる方たちです。
 こうした方たちは、国の査定待ちということで来年になるのかと、いつになったら復旧できるのかと大変不安な毎日を過ごしておられますので、県独自のこの支援策、ぜひともお考え頂きまして一日も早い事業再開、安全な暮らしをぜひ支援をしていただきたいと思います。
 あと、要望の四点目は、保健所の保健師さんの増員の問題です。
 先ほど御答弁がありまして、今後とも増員に向けて検討は頂けるような答弁もありましたので、ぜひここは感染症のまだまだ危機が脱出できておりませんので、そうした立場で人を備えると、保健師さんを何人置くかということが大変鍵になっておりますので、保健師増員はぜひ取り組んでいただきたいと要望いたします。
 では質問、再質問二点ですが、一点目は国保の均等割の問題です。
 県が今回、国の措置でやっている県の支出は七千七百万円です。それをさらにもう倍、七千七百万円出せば、これは県の裁量で子供の均等割無償化につながります。この国保法ではこれを行うのは市町であるというのは承知をしておりますが、それにも県がしっかりとここに足を踏み出すという、この考え方をぜひともお示しを頂きたい、もう一度この点についてお考えを伺います。
 もう一点、学校給食費無償化の話ですけれども、学校給食は栄養バランスの取れた食事を取る、それから経済事情に左右されないという大変重要な役割があります。こうしたことで教育の一環としての学校給食でございます。先ほど答弁で就学援助という話がありましたが、本県の就学援助の受給率は全国の中で下から三番目です。七%台です。就学援助を必要としてもそれが受けられないという実態がある中で、就学援助を受ければいいという発言は私は違和感を覚えております。
 義務教育の一環として学校給食を無償化にすると、この立場でぜひともこの学校給食費無償化の必要性を問うておりますので、再度その質問をさせていただきまして再質問をさせていただきます。ありがとうございます。
○議長(藪田宏行君) 八木健康福祉部長。
○健康福祉部長(八木敏裕君) 国民健康保険の子供の均等割無償化、再質問に対してお答えをいたします。
 国民健康保険制度では、全ての世帯が等しく保険給付を受ける権利があるため世帯の人数に応じた応分の保険料を負担頂くことが基本となっております。国民健康保険は法に基づく医療保険制度として運用されているため、さらなる軽減につきましては制度設計を行う国に対して対象範囲の拡大や軽減割合の拡充を全国知事会と連携しながら要望してまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 水口教育部長。
○教育部長(水口秀樹君) 学校給食費の無償化の再質問についてお答えいたします。
 学校給食法では、学校給食を活用した食に関する実践的な指導を行うものとすると記載されており、食育という観点から学校給食は教育の一部であると考えております。学校給食法の立法趣旨に基づけば学校給食は学校の設置者と保護者の協力により円滑に実施されることが期待されており、学校の設置者において検討することがふさわしいと国は考えております。一義的には市町の判断が大きいと県も認識しているところでございます。
 また、仮に無償化した場合静岡県全体で考えれば百五十億円近い予算が必要となります。教育課題が山積している中でどの教育行政の需要を優先すべきかなど様々な意見があり、市町、県において十分な議論が必要であると考えております。県としても慎重な検討、対応が必要と認識しているところでございます。以上であります。
○議長(藪田宏行君) これで鈴木節子君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

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