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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成23年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

大石 哲司(牧之原市・榛原郡南部) 議員

質問分類

代表質問

質問日:

06/28/2011

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 統一地方選挙の結果について  
2 浜岡原子力発電所について  
 (1) 全号機停止の評価  
 (2) 地元への影響  
 (3) 再稼動の条件と決断  
3 震災が本県経済に与える影響について  
 (1) 茶業の風評被害対策  
(2) 観光振興対策  
 (3) 電力需給問題による企業活動の支援
 (4) 今後の税収見通しと本県の財政運営
4 被災者支援の取り組みについて  
5 東海地震対策の見直しについて  
 (1) 防災計画等の見直し方針  
 (2) 津波対策  
 (3) 広域受援の初動体制の確保  
6 新エネルギー先進県を目指す県の取り組み姿勢について  
7 震災を踏まえた人づくりについて  
 (1) 震災から得た教育観  
 (2) 子供を守る防災管理  
8 県警における震災対策について  
9 富士山静岡空港の利活用等の促進について  
 (1) 利活用促進策の今後の展開  
 (2) 防災拠点としての空港づくり  
10 沼津駅付近鉄道高架事業について



    ○議長(植田 徹君) ただいまから会議を開きます。
     議事日程により、知事提出議案第九十号から第百二号までを一括して議題とします。
     質疑及び一般質問を行います。
     通告により、五十二番 大石哲司君。
           (五十二番 大石哲司君登壇 拍手)
    ○五十二番(大石哲司君) 皆さんおはようございます。私は、自民改革会議を代表して当面する県政の諸課題について、知事、教育長、警察本部長に質問いたします。
     去る五月中旬、不肖私もあの東日本大震災の被災現場に行ってまいりました。あの巨大堤防を津波が乗り越えた岩手県宮古市田老から宮城県気仙沼市まで被災地の想像を絶する光景を前にして、茫然自失、ただただ息をのむばかりでした。しかし壊滅した市街地の瓦れきの中で地元住民やボランティアの皆さんが復興に向けて必死の作業をする姿を見て、私は「東北頑張れ」と心の底から叫ばずにはおれませんでした。このたびの東日本大震災でお亡くなりになられた方々のみたまの御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された地域、人々の一日も早い復興を心より御祈念申し上げます。
     質問に入ります。
     初めに、去る四月に行われました統一地方選挙の結果についての知事の評価をお伺いします。
     統一選前半の県議会議員選挙は定数が五名減の六十九名による選挙でしたが、自由民主党公認または推薦の当選者は三十七名となり、選挙後の入会議員を入れますと我が自民改革会議は過半数を優に上回る議員数三十八名の第一会派となりました。このことは決して偶然ではなく、また時代の風を受けたものでもありません。各候補の県政に臨む強い気概と地域に密着した日常活動の成果であると我々は自負するところであります。
     そこでお尋ねしますが、川勝知事は今回の県議選についていち早くノーサイドを宣言され、一党一派に偏らない政治姿勢を貫かれました。少なくとも私の知る範囲ではそれを徹底されたと思います。しかるに現実の後援会活動そして選挙戦の場では、知事与党を自負する会派の候補者の方々は、問題となったあのポスターを例にとるまでもなく、政党色を薄め県民知名度の高い川勝知事との太いパイプを広報、宣伝して選挙戦を戦われました。私は、選挙は戦いですので、この戦術そのものをとやかく申し上げるつもりは全くございません。しかしこのような事実の積み重ねにより、選挙区内には川勝知事サイドの候補とそうでない候補の対決図式ができ上がりました。とりわけ一人区ではその傾向が顕著となり、不肖私も反川勝候補というきついレッテルを張られて厳しい選挙戦を強いられました。知事にとってもこういう単純仕分けは不本意かと思いますが、しかし政治は結果でありますので、事実としてお受けとめください。
     そこでお尋ねしますが、川勝知事はノーサイドを貫かれましたが知事与党色を鮮明に打ち出した会派は残念ながら議席を減らし、川勝県政に対して是々非々の姿勢を貫く我が自民改革会議が過半数を上回った今回の選挙結果について、この議会構成は今後四年間続くわけでありますので知事も決して無関心ではおれないと思いますが、この結果をどのように受けとめられているか、また地方自治は二元代表であることを念頭に、県政執行者として今後どのようなスタンスで議会とのかかわりを持っていかれるおつもりかをお伺いいたします。
     次に、今回の質問の大きなテーマでありますが、東日本大震災への対応と本県の安全・安心対策について順次質問いたします。
     まず初めに、菅総理の浜岡原子力発電所全面停止要請とそれに対する川勝知事の評価についてであります。
     政局が激動する中、昨夜は本県出身の細野議員の原発担当相就任を初めとした内閣改造の報が伝わってまいりました。相変わらずのたらい回しとハプニング。一カ月前に辞意を表明し内政、外交ともにレームダック状態にある菅総理、菅内閣の空白の時間で一体何をするか伝わってこない、むなしさを感ずる改造ですが、それはさておき質問に入ります。
     私は、中部電力が既に原子炉をとめておりますので停止の是非を論ずるつもりはありません。また全号機停止は結果として地域住民、県民に一定の安心感をもたらしました。福島の厳しい現実を見るにつけて、うなずけるところであります。しかし私が指摘したいのは、原子炉をとめれば直ちにすべての危険が除去されるようにうそぶいた菅総理の停止要請のやり方であります。御案内のとおり福島第一原発四号機の事故は停止中の事故であります。運転を停止しても核燃料は炉内に残り、また移動しても発電所内に貯留されます。万一の震災における危険性は運転中の原子炉と余り変わらないのであります。それを先刻承知の菅総理は「三十年以内にマグニチュード六以上の地震発生率は八七%もあり、こんな危険な地域の原発を運転させておくことはできない」として、住民の命を盾に極めて強引なやり方で、運転中の四号機、五号機をとめてしまいました。しかし停止だけでは危険が去らないことは前述のとおりであります。
     また、浜岡原発はもともと東海地震の震源地域に立地していて、従前から国の保安院や県の指導を受けて他の原発より高いレベルの震災対策を講じてきたわけですが、ここに突然三十年八七%理論、すなわち施設の危険性ではなくて地域の危険性を持ち出して運転中の原子炉までとめてしまう手法は本末転倒のそしりを免れない。福島第一原発の例をとるまでもなく地震天災の危険性は日本国じゅうどこにでもあるわけでありますので、だとすると浜岡だけではなく全国すべての原子炉をとめるのでなければつじつまが合わないと思いますがいかがでしょうか。
     したがって、私は総理大臣があのときですね、「地震国日本の原発をすべて廃炉にする。そして、その第一歩として浜岡をまずとめる」と脱原発宣言をしたならばその是非はともかく、まさに歴史が評価する決断だと思いました。なぜならばそれは我が国のエネルギー政策の大転換を意味し、国家のありようについての一大提言であるからであります。しかし識者も指摘するように浜岡はとめさせただけでフォローがない。菅総理の言葉からは我が国の原子力政策、エネルギー政策の一貫した方針や国家観は何も示されず、出てくるのは前後の脈絡のない唐突な提案だけであります。
     菅総理が五月のG8で発表した一千万戸太陽光発電計画は一戸当たり四キロワット掛ける一千万戸で四千万キロワット、全原発の七割を賄うというふれ込みでありますけれども、しかし太陽光パネルの稼働率は平均一二%、したがって一千万戸で原発六・七基分しかないことになります。家庭用パネルシステムの価格は約三百万円として、原発六・七基分の電力創出に三十兆円という途方もないお金がかかることになります。このことは経済産業大臣も話を全く聞いてなかったと。実現不可能な提案であります。
     このように、すべての政策が思いつきであり一貫性がない。高いハードルを伴う政策課題を次々に打ち上げて政権浮揚を図るやり方に、もはや国民は飽き飽きしております。ゆえに私は今回の浜岡原発停止要請は、浜岡原発の立地条件と国民の核アレルギー感情を巧みに利用した菅総理の政治的プロパガンダだと断言するものであります。
     そこでお伺いしますが、知事は五月六日のこの菅総理の停止要請に対して、「住民の安全・安心を重視する大英断であり、敬意を表する」とコメントされましたが、このような原子力政策について首尾一貫しない菅総理の思いつき停止要請を、何ゆえに英断、いや大英断という最高レベルの言葉で評価されたのかをお伺いいたします。また知事は菅総理の原子力政策に関する政策や信念のどうしたところに共鳴されているのかもお伺いしたいと思います。
     次に、運転停止による地元への影響であります。
     五月五日、知事も同行されたあの海江田経済産業大臣の現地視察の翌日に、あのような重大発表があったことに地元の市長初め関係者は驚愕しました。半世紀にわたって国策に協力してきた地元を余りにもないがしろにするやり方であり、今もって怒りと不安が渦巻いております。菅発言は「三十年間に八七%の確率で大地震あり」という衝撃的フレーズで、浜岡周辺、そして静岡県は危険な地域だという風評をつくり出してしまったわけで、茶を中心とした農水産業、そして企業誘致や観光振興に力を入れていた地元自治体や産業界ががっくりと肩を落とすのは無理もありません。
     そこで、具体的にお尋ねしますが、全機停止により原発に隣接する県温水利用研究センターの運営が危機に瀕しております。温排水の供給停止で稚魚の養殖ができなくなり、センターの廃止につながるのではないかとの心配が漁業関係者の間で広がっています。本県沿岸漁業の振興発展のために多大な貢献をしてきた当センターの存続について、かなりの経費がかかりますし、私はその経費はその原因をつくった国が全額負担をすべきであると思いますが、県としてはどのような検討をしているかをお伺いいたします。
     また、発電所内には常時二千八百人が働き定期点検時には一万人の作業員が施設内に入ります。近隣市町在住者が八割以上を占める従業員の雇用問題、また施設のメンテナンスに係る建設業、電気工事業、関連施設の工事業、警備業、そしてこれら関係者を対象にした飲食・宿泊業、物品販売業、運送業など、原発に依存する地元経済に大きな影響が出ることは明らかであります。再稼働まで早くて二年。万一廃炉ということになれば、地域は予測不可能な閉塞状態となることでしょう。こうした地元に与えるさまざまな影響について知事はどのように認識し、そして県としてどのように対応するつもりかをお尋ねいたします。
     次に、再稼働の条件と決断についてであります。
     菅総理が浜岡をとめたことが契機となり、脱原発への流れが始まったと世論の大勢は受けとめていると思います。私もこれを否定するものではありません。しかし、ゆえに再稼働は並み大抵のことではできないと思っております。そんな中、去る六月十八日何と海江田経済産業大臣が記者会見で全国各地の停止中の原発について運転再開を要請し、その後菅総理もその考えを追認しました。逼迫するエネルギー事情を考えてのことと思いますが、福島の事故の収拾もままならず、浜岡をとめた舌の根も乾かぬうちにこれでは、菅内閣は一体何を考えているのか。浜岡だけを犠牲にした首尾一貫しない原子力政策に怒りの声を発したいと思っています。一方、福島第一原発の事故分析が進み、中電は福島の教訓や知見を徹底的に分析、検証して対策を講じ、二年後に再稼働の申請をすると思います。その場合の再稼働の条件を県はどこに設定し決断するのでしょうか。安全の基準は設定できても安心の基準は設定できないと言われるように、国内、いや世界的な脱原発機運の高まりの中で二年後といえば知事の任期満了時と重なります。もちろん再稼働については国の判断が先立つものと思いますが、一方かねてより川勝知事は、危機管理は人に任せないとして浜岡再開を県独自で判断する考えを表明されていますが、中電が考え得る安全の基準をすべて満たした場合に再稼働のゴーサインを出すのか否か、この再稼働問題についての知事の基本的スタンスをお伺いいたします。
     次に、震災が本県経済に与える影響のうち、茶業の風評被害対策についてお尋ねいたします。
     五月には神奈川県足柄茶の生葉から、そして六月に入って静岡市藁科地区の製茶から暫定規制値を超える放射性セシウムが検出されたという報道に前後して、各地の静岡茶の取引にキャンセルが続出しました。私のところにも地元茶業関係者から何本も電話が入り、「牧之原のお茶は危ないからと契約を解除されたが、これって福島や浜岡停止の風評被害ではないか」ということでありました。「暫定規制値を上回ったお茶は福島の原発事故の実害であり、規制値以下のお茶がキャンセルされるのは浜岡を含めて完全な風評被害です」と私は答えましたが、それほど県内各地の茶産地は放射能問題に戦々恐々としています。
     また、荒茶についても川勝知事の決断により検査を実施することになりました。そして去る六月に県が県内十九産地で実施した放射能調査ではすべての地点で暫定規制値を下回ったことで、その時点では関係者も安堵しました。しかし民間の自主検査を受けて実施した藁科地区においては、その後の工場ごとの追加検査で国の暫定規制値を超える工場が六工場となり――これは六月十五日現在であります――大きな問題となりました。農家や生産者は荒茶に接する機会があり消費者が食品として摂取することもなきにしもあらず、静岡茶の将来を考えれば検査もやむを得ないとは思いますが、しかし生葉に比べ荒茶の検査数値は三から五倍ほどになることを考えますと一度クリアできたからと安心できません。事実、藁科地区の製茶からは暫定規制値を超えたセシウムが検出されたわけであります。このように五百ベクレルという数字に常に振り回される茶業関係者。こうしたことが、ただでさえ弱体化している本県茶業の大きなマイナス要素になるものと私は懸念いたします。
     一方、報道によれば、静岡大学の理学部の矢永准教授は、「仮に五百ベクレルを上回るお茶を飲み続けたとしても、将来にわたって健康上何の問題もない」と説明されています。また川勝知事も六月十四日の記者会見で、暫定規制値を超えた工場の製茶を飲用茶として調査したところ飲用茶の暫定規制値を大幅に下回る微量な数値だったと強調され、藁科茶の安全性をアピールされました。このような事実を踏まえると、そもそも暫定規制値とは何か。その科学的根拠に疑問を感じます。これは喫緊の問題として取り組んでいただきたいとともに過般我が自民改革会議が提案させていただきました五項目の緊急要請にもあるように、損害賠償の完全実施や金融支援そして契約解除や買い控え等の風評被害が解消され、本県茶業関係者が放射能検査の数値に一喜一憂することなく安心して茶の生産、流通、販売にいそしむことのできる安全安心の環境づくりについて知事の所見をお伺いいたします。
     また、震災以後の伊豆地域を初め県内のホテル・旅館の宿泊キャンセルは九万八千件、四十万人分にも及び、また宿泊産業だけではなく県内観光産業全体において利用者の大幅な減少が出るなど、極めて深刻な状態になっております。緊急誘客キャンペーンや交通機関利用割引の展開など緊急対策が実施されていますが、ゴールデンウイークを除けば観光客の戻りはいま一つであります。首相発言の影響で静岡県は東海地震の危険地域という風評が広がったわけですが、夏の観光シーズンを迎えこれら風評を払拭するとともに長期的展望に立った観光振興対策を強力に進めるべきではないかと思いますが、知事の所見をお伺いいたします。
     次に、電力需給問題による企業活動への支援についてであります。
     震災被災地の製造企業の生産停止により県内では自動車産業を初め多くの分野で生産調整を余儀なくされていましたが、ここに来て被災地の資材や部品メーカーに操業再開のめどが立って夏場の生産拡大が期待できる状況になってきたとのこと。一方、東電管内では一五%の節電目標が掲げられており、中電管内でも平日休業、土日操業など節電への取り組みが行われております。このようなことから今後の企業活動において夏場の電力需給問題をどう乗り切るかが大きな課題となっております。また被災地を初め全国的な自粛ムードの広がり、消費の減退もあり、県内企業における雇用状況も大変厳しいものがあります。しかし一方で災害の復興需要で漁船の修理をフル操業で行っている県内企業もあると聞いております。このように震災地には申しわけなく思いますが、節電や省エネルギーという時の社会ニーズに的確に対応して県内企業が販路拡大を目指すビジネスチャンスの機会でもあると考えます。
     そこで、電力需給問題に対応しつつ意欲ある県内企業を支えるために県としてどのような支援をしていくかをお伺いします。
     次に、今後の税収見通しと本県の財政運営についてであります。
     去る五月十九日内閣府が発表した本年一月から三月期の国内総生産は前年比〇・九%の減、年率換算では三・七%の大幅減となりました。ここに来て再生の兆しが出たとはいえ、大勢としては、震災によって生産や消費が一気に縮小し我が国経済が大きく暗転しております。本県にとりましてもサプライチェーンに混乱が生じ製造業を中心とした生産活動や県民生活に重大な影響が出ました。また前述のような観光地の状況や内外からの観光客の減少、また県内上場企業の震災後の業績見通しも定かではありません。
     こうした状況の中で、私は本県の税収見込みについて大きな不安を感じております。浜岡運転停止に伴う核燃料税の八億円程度の減収見込みや企業の業績悪化による減収は避けられないと思います。一方では、安全・安心に対する県民ニーズ、とりわけ巨大地震に対する対策の充実強化や厳しい雇用状況への対応が求められます。
     そこで、本県の今後の税収見込みを伺うとともに、県民ニーズに確実に対応していくため、今後どのような財政運営をしていくのかをお伺いします。
     次に、被災者支援の取り組みについてであります。
     このたびの大震災の被害の状況や全国各地からの被災者支援の様子は広く報道されているところであります。防災先進県である本県がいち早く先遣隊を派遣し、岩手県遠野市にある現地支援調整本部を設置しました。そして多くの県、市、町の職員を派遣し、さまざまな人的、物的支援を行ってきたことはまさに時宜を得たことであり大きく評価するものであります。軽トラックや新鮮野菜の寄贈に始まり、これまでに培った防災のノウハウの提供は被災地にとって大きな力になったと思われます。また遠野市を拠点とする災害ボランティア団体「遠野まごころネット」に静岡県ボランティア協会初め県民ボランティア有志が積極的に参加し、現地スタッフとともに過酷な災害復旧活動に取り組んでいる様子を私は現地で確認し大いに元気づけられました。
     震災発生後三カ月半を経過し現地ニーズも日々変わっていると思われますが、今後どのような支援に取り組んでいくのかをお伺いします。
     また、被災地から本県に避難してきている方々の生活は、福島第一原発の収束が見えず長期化が予想されます。遠隔地への避難は先行きへの不安感や孤独感、さらに経済的不安を増幅させていると思われます。こうした中、県としては、被災者の受け入れについてどのような課題を認識し対応しようとしているのかをお伺いします。
     次に、東海地震対策の見直しについてのうち、防災計画の見直し方針について伺います。
     東日本大震災は東北三県を中心に関東以北の太平洋岸すべてが被災するという甚大な災害でありました。また被災地が広域ということだけではなくて死者、行方不明者合わせておよそ二万三千人。しかもそのほとんどが大津波による犠牲者でした。加えて原発の大事故があり未曾有の複合災害となりました。
     東海大地震が予想される本県はあすは我が身であり、震災後県民の不安感は急速に高まっています。県では平成十三年に第三次地震被害想定を策定し、これに基づいてさまざまな防災計画や対策を講じてきましたが、この想定で示されている津波の高さは所によっては低目設定ではないかと指摘する声もあります。また東海地震が東南海、南海と三連動で発生した場合の想定震度も第三次想定でよいのか。さらに国や他県からの応援に対する受援計画も問題ないのか、懸念されるところであります。市町を含むさまざまな地震対策が第三次被害想定に基づく防災計画を根拠にしていることを考えると今後の県の方針が大変重要になってまいります。
     そこで、今回の震災の教訓を踏まえ、これらの見直しについてどのようなお考えをされているのかお伺いいたします。
     次に、津波対策についてお伺いします。
     今回の震災の特徴は被害状況の多くが映像として記録されていることであります。港や家々を押し流す、すさまじい津波を見て、国民だれしもが戦慄を覚えました。そして被災地の方々には申しわけありませんが、あの想定外の津波を我が身に置きかえて沿海部の住民すべてが地域の安全・安心に思いをいたしております。本県では今回の大震災を受けて四月十五日に県津波対策検討会議を立ち上げ、津波関連施設の安全性や機動性、さらには避難計画策定指針の緊急総点検を進めており、五月二十一日には県下二十一市町と連携して緊急津波避難訓練を実施したことは当局の危機意識のあらわれと評価するものであります。今後の津波対策については防災計画等の見直しを踏まえてのハード事業実施には、かなりの時間を要すると思いますが、大規模地震対策には一刻の猶予も許されません。港湾、漁港や河川の河口部の中には現計画で対策の必要性を位置づけられながら、いまだ着手されてない課題箇所が残っております。静岡空港直下に流れを発し駿河湾に流下する二級河川坂口谷川もその一つであります。
     このように、水門や防潮堤等、津波防御施設の未着工部分について早急な着手が必要であると考えますが、これについて知事の所見を伺います。
     次に、広域受援の初動体制についてであります。
     今回の大震災では被災した自治体の受け入れ態勢がさまざまな理由で整わず、また国や他の自治体からの応援も警察、消防、医療チーム、そして本県などを除き、ほとんど計画どおりにできなかったとのことであります。結果として、被災した住民の苦痛を和らげることができず長い間の厳しい生活を強いる結果になっております。
     さて、本県は予想される東海地震に備え三十五年にわたり地震対策に取り組んできました。各家庭や避難所では水や食料等の備蓄など最低三日間は自力で対応できるように推奨してきましたが、実際に東海地震が発生し広域災害となった際には、負傷者の救出やライフラインの復旧には国や遠隔地の自治体や関係機関の支援を受けることになります。派遣されてくる人たちや救援物資の受け入れ、搬送等の広域受援について、既に計画やマニュアルが準備されていると思いますが、今回の震災で得た教訓を踏まえ今後どのように取り組んでいくかをお伺いいたします。
     次に、新エネルギー先進県を目指す県の取り組みについて伺います。
     福島原発の事故や浜岡の全面停止により電力需要は逼迫し、我が国のエネルギー政策は重大な岐路に立たされています。平成二十一年度における国内の一般電気事業用発電電力を見ると原子力発電は約三〇%を占めていることから、原子力発電のあり方や省エネ、再生可能エネルギーなどへの転換などについて国民的議論を高める必要があると思います。太陽光を初めとする新エネルギーは化石燃料に比較して発電コストが高く、また天候や季節等の自然条件により出力が不安定になること、設置場所が限定されることなど課題があります。このため新エネルギーの導入は菅総理が「一千万戸の住宅で太陽光発電をし四千万キロワットの電力を創出する」と言うほど簡単なものではありませんが、それはともかく、新エネルギー先進県を目指す県の取り組みとして太陽光発電や風力発電、バイオマスなど新エネルギー全般について、どのように進めていくのかをお伺いいたします。
     また、先般、特定民間企業の呼びかけに応じ本県を含む地方公共団体が参加して自然エネルギー協議会を設立するとの発表がありました。この団体は小規模分散型エネルギー社会、エネルギーの地産地消を目指し、七月に設立されると聞いております。地方公共団体と民間企業との役割分担やコストの問題また政府が進めるFIT――全量固定価格買い取り制度との絡みでエネルギー政策全体への提言を含んでおり検討すべき課題が多数あるように思います。このような状況を踏まえ、知事はどのような意図をもってこの協議会への参加を決められたのかをお伺いいたします。
     次に、震災を踏まえた人づくりのうち、震災から得た教育観についてお尋ねいたします。
     このたびの大震災の状況は、テレビ、新聞等を通して子どもたちにももたらされています。津波による生活の破壊と身近な人の生と死、警察、自衛隊、消防団による懸命な捜索活動、避難所における共同生活と助け合い、ボランティアの活動等、常日ごろの生活では体験することのなかったことを見聞きし、子供たちは心の中で感じ芽吹くものがあったのではないかと思います。それは、他人への思いやりや助け合いの気持ち、ものを大切にする、そして今を生きることの意味など多様なものではないかと私は思います。こうした心に芽生えた気持ちを子供たちに根づかせ育てる取り組みを私は今すぐ始めるべきだと考えますが、安倍教育長の所感をお伺いいたします。
     また、被災後、人々の結婚観や家族観に変化が見られるとの報道がありました。例えば未婚者の結婚願望が強くなったというようなことがあります。少子高齢化、また現代社会における人間関係の希薄化が進む中で家族や家庭の持つ役割が見直されるということは、家族のみならず地域社会や国家にとっても極めて望ましいことであります。こうした傾向を好機ととらえ今後の社会教育や生涯学習に生かすことについて、教育長にお尋ねいたします。
     次に、子供を守る防災管理についてであります。
     実に痛ましいことでありますが、文科省の資料によれば被災死亡児童生徒数は四百三十八名の多くを数えました。しかし全体死亡者数と比べれば低い数字といえます。被災した児童生徒の大半は保護者に引き渡した後の被災であり、学校管理下の被災は非常に少なかったとのことでありますが、しかし石巻市の大川小学校では地震発生後の不備も重なって児童の七割以上の方が亡くなり学校管理下でも一歩間違うと悲惨な結果となることを教えられました。学校管理下の防災管理のあり方について、教育長にお伺いいたします。
     次に、静岡県警における震災対策についてであります。
     今回の震災において静岡県警はいち早く現地入りし、被害者の救助、交通路の確保、亡くなられた方の検視、身元確認の作業などさまざまな仕事に従事されました。私も被災地の視察をしてみて、どこの被災現場に行っても警察官の姿があり過酷な状況下で懸命な活動をされる様子にお仕事とはいえ強い尊敬の念を抱いた次第であります。そういう中こうした厳しい活動の中で御遺体の収容や確認に携わる警察官の心のケアの問題や損傷の激しい御遺体の身元確認の方法など、課題が多く出てきていると伺っております。このように今回の大震災を受け従前には想定できなかったこのようなさまざまな問題が生じ、前述のような警察官の心のケア、御遺体の確認方法等の諸課題への対応が急がれると思いますので、今回の活動で得た教訓をもとに東海地震対策をどのように見直すかを県警本部長にお伺いいたします。
     次に、富士山静岡空港利活用の促進について質問します。
     富士山静岡空港が開港して二年経過しました。去る六月四日、空港ロビーにおいて二周年記念式典が開催され、川勝知事の富士山静岡空港利活用に向けてのプレゼンテーション、そして国内就航地からのキャンペーンレディーが華やかに彩りを添えて三年目に向けての強い意欲を感じる記念式典でありました。しかしここに来るまでには開港直前の立木問題に始まり開港直後には濃霧で出ばなをくじかれ、搭乗率保証問題と日本航空の撤退、FDAの就航と路線縮小、景気低迷や大震災、原発事故の風評による搭乗者の減少等、次々に難問が発生し現在の利用状況も当初の予測を大きく下回り大変厳しい状況が続いています。
     私は、今こそ我慢のしどころであり何としても搭乗率向上や路線確保に向けての真剣な取り組みが必要だと思います。また航空貨物の取り扱いの増加や空港周辺地域のにぎわいの創出も進めなくてはなりません。この空港には用地を提供した地元地権者、そして建設に身を挺した石川前知事を初め、多くの関係者の願いもこもっております。先人たちの思いであり県民の願いであります「つくってよかった富士山静岡空港」実現のための今後の利活用の促進策をお伺いいたします。
     次に、防災拠点としての空港づくりについて伺います。
     私が震災被災地に出向いたのは五月中旬でしたが、宿泊場所をインターネットで検索したところ花巻市や遠野市周辺の宿泊施設は七月末まですべて予約で満室状況でした。いろいろな手だてでやっと宿を確保できましたが、現地で確認したら、すべて災害支援のボランティアや救援団体等で満杯状態とのことでありました。そして遠野市から四十キロのいわて花巻空港には連日のように救援物資や人員がおり立っているとのことでした。かつて私どもが行政視察で訪れた際には唯一の主要路線羽田便廃止を嘆いていた花巻空港ですが、FDAが既に週二便飛ばしている名古屋―花巻便を災害対応ということで八月一日より一日一便の定期便にするとのことを耳にしながら、非常時の場合の空港の果たす役割の重要性を改めて認識した次第であります。東海地震が起これば東西に展開する静岡県は広範囲で鉄道、道路が寸断され港湾も被害を受けることが想定されます。そうした場合に県外から応援を受け入れる手段は空路しかありません。かつて静岡空港に反対した人たちがいますが、地盤のしっかりした牧之原台地につくられたこの空港が地震を初め各種災害に果たす役割の重要性を見逃していたと思わざるを得ません。この際、今回の震災復興で東北各地の空港が果たしている役割をしっかり検証して富士山静岡空港を防災の拠点として位置づけ、機能させることを願い、知事の所感を伺います。
     最後に、知事が御就任以来、力を入れてかかわってこられた沼津駅付近鉄道高架事業について質問します。
     沼津駅付近鉄道高架事業は、交通渋滞の解消や南北市街地の分断解消など県東部地域の拠点都市沼津市にふさわしい事業であると考えており、一日も早い事業完成が望まれます。この鉄道高架事業につきましては昨年九月以来、社会経済情勢の変化を踏まえ客観的、科学的見地から現計画を改めて検証するため、まちづくり、交通、公共政策などの専門家による有識者会議を設置して検討を重ね、先般報告書がまとめられました。この事業は構想段階から既に四半世紀が経過し、早期の事業完成が沼津市民の悲願となっております。これ以上遅延することは県東部地域の発展に大きなマイナスであると思います。今回の有識者会議の報告書を受け県はこの鉄道高架事業を不退転の決意で進めるべきと私は思いますが、知事の所見をお伺いし、適切なる御答弁をお願い申し上げまして、ひとまず私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    ○議長(植田 徹君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 大石議員にお答え申し上げます。
     初めに、統一地方選挙の結果についてであります。
     私は、県民全体の負託を受けた知事でございます。県民の幸福を最大にするように目指しております。県民一人一人のために県民の生命財産を守り、県民、なかんずく子供たちの夢を広げ、その期待と信頼にこたえるべく県政運営に全力で取り組んでいくことが私の責務であると認識しております。このたびの選挙で選出されました県議会議員の諸氏におかれましても、県民が誇りと希望を持って活躍でき県民一人一人が大切にされる地域社会の実現を目指し、その負託にこたえて精力的に御活躍いただけるものと確信しております。今後とも、私はノーサイドの立場を貫きます。県議会議員の皆様とともに主役はオール県民であるという共通の視点に立ち、現場を大切にした県政運営に努め「住んでよし 訪れてよし」、「生んでよし 育ててよし」、「学んでよし 働いてよし」の富国有徳の理想郷ふじのくにの実現に向けて取り組んでまいる所存でございます。
     次に、浜岡原子力発電所についてのうち、まず全号機停止の評価についてであります。
     浜岡原子力発電所につきましては、福島第一原子力発電所の事故による放射性物質の放出の影響が広範囲に及んだことにより、想定される東海地震がもたらすであろう浜岡原発の安全性を危惧する声が発電所周辺の市町はもとより県内さらには全国からも多く寄せられました。このような中、菅総理大臣が浜岡原子力発電所の安全性確保に関する地元の要望などを勘案して全号機の停止を要請されたことは、国民なかんずく県民の生命の安全・安心を第一になさったものと受けとめ、大変に重い決断であり、その観点から英断であると評価したところでございます。
     万一この浜岡原発が事故を起こしたといたします。そしてそれが福島第一原発と同程度の事故であったといたしますと現在警戒区域は半径二十キロということになっておりますが、その圏内に東名自動車道が走っています。また新幹線が走っています。そして空港がございます。そこが放射能による汚染があるということで、自動車、新幹線、そして空港、さらに御前崎も二十キロ圏内でございますから船舶の通行も不通になるということになるでしょう。そうしますと日本の大動脈である大幹線群が遮断されることになり、西日本と東日本に分かれることになる。さらにまた本県が陸の孤島になり得るという、そうした危険性をはらんだ原発でございます。
     このような観点に立ちますと安全・安心を第一にして全号機停止の要請をなさったことについて評価するものでございます。しかし突然の停止要請。しかも三号機の再開についての停止のみならず、稼働中の四号機、五号機も含めた停止の要請は地元の御前崎市に混乱を招いただけでなく……。電力会社の基本的な任務というのは安全性とともに、電力の安定供給ということにございます。この安定供給という観点から見るならば、四号機、五号機を合わせますと約二百五十万キロワット分になります。この分が、この夏もさらに冬も失われることになる。なぜ夏と冬というふうに申し上げるかといいますと、夏におきましては四号機、五号機も稼働する予定でございました。さらに来春になりますと、四号機が一月、五号機が三月に定期点検に入るということになっておりました。その時点までは、少なくとも夏は四号機、五号機、冬におきましては五号機の供給が可能であったわけであります。これが得られなくなったということが大変な不安をもたらしたと思います。そして本県におきましても中部電力は私に直接社長のほうから連絡がございまして、もしこれを停止すれば、今東電に供給している電力もとめざるを得なくなる。そして場合によっては西日本から電力の補給を仰がねばならないというようなことでございました。こうしたことを全体勘案いたしますと菅総理大臣の全号機停止の要請は功罪相半ばするというふうに評価しております。
     次に、再稼働の条件と決断についてであります。
     国におきましては、中部電力が報告した防波壁の設置を初めとする津波に対する防護対策や海水ポンプの予備品の確保などを完了し、評価、確認ができれば浜岡原子力発電所の運転再開を認めるという約束をなさいました。しかし福島第一原子力発電所の事故はまだ収束していません。また事故原因の究明につきましては果たしてちまたで広く言われている津波のみによるのか、あるいはその津波の直前に襲った地震による損傷があったか否かなどについて、今後の調査にゆだねられているところが多うございます。これまでの知見に基づく対策だけで浜岡原子力発電所の安全確保が万全であると理解するには極めて困難であると思います。中部電力の現状の津波対策は去る四月六日に開催いたしました県防災・原子力学術会議においても公開の場で指摘されましたように、また公開の場で中部電力がお答えになりましたように安全性の確保ができていません。これからさらに一層の検討、充実が求められているところでございます。
     県は今、現在国に運転再開までの工程表を提示するように要請しています。今後はこの工程表に即し、中部電力の対策の内容や実施結果の評価を国に求めると同時に、我々自身も判断をしてまいりたいと思います。さらに県防災・原子力学術会議を中心に今後明らかにされる福島第一原子力発電所の事故原因と新しい知見を踏まえた二重、三重のチェックを行い、地元の意向も伺いながら運転再開の是非を県として判断したいと考えています。目下のところは運転再開ができるような条件には全くありません。
     次に、震災が本県経済に与える影響についてのうち、茶業の風評被害対策についてでございます。
     県では、消費者や風評被害を懸念されるお茶の生産者、茶業関係者の皆様方に安心感を与えるために、県内十九の主要産地で一番茶の生葉、製茶、飲用茶の放射性物質検査を実施いたしました。その結果、すべて国の定める暫定規制値及び準用値以内でございました。健康への影響を心配するレベルではなく問題がないということを確認した次第です。国から要請されて実施いたしました二番茶の荒茶の検査につきましても、摘み取りが終わったところはすべて検査が終わっておりますが、暫定規制値以内でございます。安全であるということが確認されています。さらに民間等における検査結果を踏まえて県で改めて検査をし、暫定規制値を超えたものにつきましては出荷自粛と自主回収を要請しております。しかし経口摂取する飲用茶を調査した結果、準用値――セシウム、キログラム当たり二百ベクレルに対し、五・八から十二ベクレルとなっており、健康に与えるレベルではなく問題がありません。
     県といたしましては、今後生産者が安心してお茶の生産に取り組めるように、県茶業研究センターが中心となりまして、放射性物質に関するデータを収集、分析し、吸収・移動メカニズムの解明などの研究を進めます。そして収穫や剪定方法などの技術対策にもそれを生かしてまいります。また消費者や茶業関係者に御理解をしていただくために、今まで注目されてきた茶の効用や機能性についての情報発信にもあわせて努めてまいります。お茶の放射性物質の年間摂取量と健康への影響などをわかりやすく正確に情報提供するための専門家によるセミナーを県内外で開催していく予定でございます。今後とも私みずから東京などの大消費地に出向きまして、静岡茶の魅力を伝えるキャンペーンを開催するなど、関係団体、市町と一丸となりまして風評被害対策に取り組みまして、静岡茶の信頼と安心の回復を図ってまいります。
     なお、誤解のないよう申し上げておきますが、いわゆる暫定規制値五百ベクレルというものを超えたお茶につきまして、出荷自粛と自主回収を要請しておりますけれども、これは安全でないからではなく、それによって生じる障害を国に弁済を求めるという、その手続を明確にするためでございます。
     次に、新エネルギー先進県を目指す県の取り組み姿勢についてであります。
     県では、本年三月にふじのくに新エネルギー等導入倍増プランを策定いたしました。平成二十一年度末で五・一%である新エネルギー等の導入率を平成三十二年度までに倍増させることを目標に取り組んだものでございました。また東日本大震災や浜岡原子力発電所の運転停止により電力供給が逼迫しておりますので、この十年間での倍増という計画を前倒しをして加速をする必要があると考えています。
     このため、まずは一般家庭でも比較的導入がしやすく、災害時において非常用電源としての活用も期待される住宅用太陽光発電設備の導入を支援する新しい助成制度を創設いたしました。そしてそのために、本議会に補正予算案として十二億円を計上しているところでございます。さらにバイオマスエネルギー、中小水力発電、温泉熱発電、天然ガスコージェネレーションなどの導入につきましては、戦略的なプロジェクトとして推進いたします。風力発電につきましては伊豆半島の風力発電に関する有識者会議での検討結果を踏まえて対応するつもりでございます。本県では昨年度に新エネルギー倍増戦略総合特区及び太陽光発電促進農業総合特区を国に既に提案しております。今国会で成立しました総合特別区域法に基づく指定申請に向け、目下準備を進めているところでございます。こうした旧来の一極集中依存型から分散自立型のエネルギー体系へと転換してまいりたい。そしてエネルギーの地産地消を目指してまいりたい。そうした取り組みと自然エネルギー協議会の活動の趣旨が合致することから――現在この協議会には本県を入れまして道府県合わせて三十四が加盟しておりますが――その協議会への参加を決定したところでございます。
     富士山静岡空港の利活用等の促進についてのうち、まず利活用促進策の今後の展開についてであります。
     富士山静岡空港は、陸・海・空の交通ネットワークの基幹施設の一つでございます。また世界に向けての玄関口にふさわしい魅力ある地域づくりの中核的役割を担うものでございます。開港以来、百十万人を超える皆様に御利用をいただいております。総合計画に掲げる目標の早期達成に向けて、より効果の高い利活用促進策を展開しなければなりません。そのためにまず旅客利用の促進策として、既存路線につきましては震災等による需要の落ち込みに対応する利用促進キャンペーンの実施に加えトップセールスや各種交流団の派遣を行います。また新しい需要を喚起する旅行商品造成への支援、底堅い需要となるビジネス、教育旅行の拡大を図ってまいります。さらに台湾等におけるチャーター便の実績を着実に積み重ね新しい路線の就航を目指します。ハワイ、スイス、モンゴルなど多彩なチャーター便の運航により利用者の増大を図ってまいります。
     旅客を迎える玄関口としてのたたずまいにつきましても相当に検討する余地があるということが有識者会議で言われております。そのデザイン性につきましても例えば到着出口のところに、お客様用ではなくて空港でお働きになっている方々のためのコンビニがございますが、果たして静岡県で最初に見るものがそれであってよいのかといったようなことは、すぐにどなたでも気づかれることでございまして、そうしたいわばデザイン性というものについて無頓着な空港運営会社に対しても、我々はしっかりとその考えを申し上げてまいりたいと思っております。
     航空貨物につきましては、就航機材のベリー部――おなかの部分ですが―を活用した取扱量を着実に積み上げるために、四月から六月に集中的に県内各地で経済団体や企業などを対象とした説明会を開催し利用を働きかけたところでございます。あわせて貨物上屋の増築や通関士の常駐など貨物取扱体制が整ったことから、物流事業者等への積極的な働きかけやコンテナ輸送が可能となる機材の大型化など一層の利用拡大に向けた取り組みを推進してまいります。
     また、魅力あふれる空港を実現するために、この春に空港東側展望広場を整備して御利用いただいておりますけれども、さらに空港ティーガーデンシティ構想に基づきまして、飛行機の離発着を眺めながら憩える施設として名刹石雲院の隣接地に展望デッキ――これは大変すばらしいものになると存じますが――これを整備いたします。地元二市一町と連携をし、地元の方々の御意見、特に石雲院の檀家の方々などの御意見などをしっかり取り込みまして、空、茶、風、海の四つの道をめぐる住民参加のイベントや地元農産物を販売する朝市の開催などにより、地域の活性化に資する空港周辺のにぎわい創出に取り組んでまいります。もし、この春にリニア新幹線のルートが定まると同時に既存新幹線の利活用についても新駅をつくってよいという内容の答申がございまして、これがJR東海との関係でOKということになりますと、その時点であの地域に乱開発が進まないとも限りません。それゆえ我々はこの地域のデザインをしっかりとつくり上げていって、いざというときにあわてなくて済むようにしなくてはなりません。こうした空港の利活用を市町、関係団体の協力のもとに進めることによって、国内外とのヒト、モノの交流を一層促進し、「住んでよし 訪れてよし」のティーガーデンシティ、そしてそれをベースとしたふじのくにの実現を目指してまいるものでございます。
     次に、防災拠点としての空港づくりについてでございます。
     これは極めて重要な御質問でございました。今回の東日本大震災におきましては被災地の空港がさまざまな支援活動に活用されました。富士山静岡空港でも、私自身が三月二十五日にFDAのチャーター機によって花巻空港に入ったわけでございますが、こうした人や物資の搬送が、富士山静岡空港を拠点にして行われました。被災地に向かう他府県の消防防災ヘリコプターの燃料補給基地としての機能も果たしました。大規模災害時における本空港の持つ役割の大きさを改めて認識したところでございます。
     想定東海地震などの大規模災害が本県で発生した場合、富士山静岡空港は県外から投入される支援部隊の固定翼機やヘリコプターの集結拠点となるでしょう。広域輸送搬送の中継拠点にもなるでしょう。ヘリコプターの給油や夜間駐在基地などにもなるでしょう。広域受援の中心的な活動拠点として機能することは疑いありません。今後、隣接地にございます航空自衛隊静浜基地と機能分担を図り、原則として、現状におきましては、富士山静岡空港は固定翼機、静浜基地はヘリコプターと使い分けをするのが合理的でございます。空の活動拠点としての機能はさらにまだ工夫の余地があると見ております。特に現在六、七、八のスポット、エプロンを今整備しておりますが、その西側に十六ヘクタールほどの土地がございます。こうしたところも防災という観点からもあわせて考えるという論点もございまして、防災拠点としてのあるいは防災のための基地としての富士山静岡空港の果たす役割というのは、今回三・一一以降、我々に対して課せられた新しい重要な課題であると認識しているものでございます。私は、この空港の持つ国際的な防災拠点としての機能につきましても、既に昨年五月に富士山静岡空港に就航する中国東方航空との間で救援物資の搬送協定を締結したほか、静岡県ボランティア協会の有する人脈やネットワークを活用した国際ボランティアの拠点空港としての富士山静岡空港が位置づけられていることにかんがみまして、こうした機能を一段と強化したいと考えております。
     次に、沼津駅付近鉄道高架事業についてであります。
     本事業は、沼津駅周辺における南北交通の円滑化と市街地の一体化を進めて、県東部地域の拠点都市を形成するという重要な事業です。県といたしましては、このたびの有識者会議の報告書を受けまして、六月二十三日に定めました県の推進方針に基づき着実に推進してまいります。都心部のまちづくりにつきましては、沼津駅と沼津港の回遊性の向上によるにぎわいの創出のほか、三世代が自立し、支え合って生活できるよう多様な都市機能を集約することなどが報告書で提案されています。これを踏まえまして、県と沼津市が連携をして市民の皆様方の御意見を伺いながら、沼津らしい風格のある、またにぎわいのある都市空間の形成を進めてまいります。
     貨物駅のあり方につきましては、広く市民の皆様とコミュニケーションを図りながら計画策定を進めるパブリックインボルブメント、略称PI方式を導入いたしまして、関係者間の徹底した合意形成を図ってまいります。まずは報告書や推進方針の内容につきましてホームページに掲載しております。そしてまた説明会をも開催いたして市民の皆様方に十分知っていただけるように努力をいたします。その上で専門家によるPI委員会を設置いたしまして、PIによる合意形成の第一歩として市民の皆様方の御意見を踏まえて進め方や手続などの実施計画を定めるものでございます。この実施計画に基づきまして、市民とのコミュニケーションなどの合意形成に向けた具体的な取り組みを開始いたします。時間を十分にかけつつ、一方でスピード感を持って進めてまいるというつもりでございます。この問題で、沼津市の特に今苦しまれている原町の方々が、さらに亀裂を生むようなことがあってはならないというふうに深く心に言い聞かせておりまして、全体として決して、決して強制収用はいたしません。
     なお、その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
    ○議長(植田 徹君) 吉林経済産業部長。
           (経済産業部長 吉林章仁君登壇)
    ○経済産業部長(吉林章仁君) 浜岡原子力発電所についてのうち、地元への影響についてお答えいたします。
     静岡県温水利用研究センターにつきましては、県では従前どおりの種苗生産ができるようにするため、現在中部電力と温水の確保など具体的な対応策の検討を進めますとともに、その実行に向けまして経済産業省と調整をしております。また現場の漁業者との連絡調整を的確に行うため、漁業者との連絡協議会を設置して意見を集約する体制も整えております。今後とも必要な種苗生産ができますよう、国、中部電力と協議を進めてまいります。
     また、地元経済や雇用への影響につきましては、地元市町や関係商工団体、企業等と意見交換を行うなど実情の把握に努めているところでございます。現時点では浜岡原子力発電所の運転停止によりまして地元経済や雇用に直接的な影響は生じていないと考えておりますが、風評による影響、先行きが見えないなどの将来に対する不安を抱えていることにつきましては十分認識をしております。
     県といたしましては、今後とも地元市町や関係商工団体等と緊密に連携をいたしまして、浜岡原子力発電所を取り巻く状況を把握し、対応が必要な場合には金融支援や雇用創出に努めるとともに、企業誘致や観光振興等に積極的に取り組むなど経済・雇用対策に万全を期してまいります。
     次に、震災が本県経済に与える影響についてのうち、電力需給問題による企業活動の支援についてであります。
     東日本大震災によります計画停電や浜岡原発の停止によります電力需給の問題はこれまでの生活様式や産業構造を大きく見直す転機であり、同時に新しい産業が生まれるビジネスチャンスであると考えております。
     このため本県では、エネルギー分野に着目いたしまして太陽光発電などの再生可能エネルギーを活用した産業振興を図ることといたしまして、この六月補正予算におきまして産学官が連携して取り組む太陽エネルギーなどを活用した研究開発への助成制度を創設いたしますとともに、関連企業の誘致のためのセミナーの開催などに取り組んでまいります。また節電や省エネルギー関連製品の需要拡大を図りますため、節電に関するセミナーや相談会を開催いたしますとともに、同時に高度な技術力を持つ県内中小企業が開発した新製品やサービスなどを一堂に集めた展示商談会を開催することによりまして、新エネ・節電関連商品の需要喚起や本県企業の取引拡大に努めてまいります。こうした取り組みによりまして、環境・新エネルギー産業に挑戦しようとする意欲ある地域企業のビジネスチャンスの拡大を支援してまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 出野文化・観光部長。
           (文化・観光部長 出野 勉君登壇)
    ○文化・観光部長(出野 勉君) 震災が本県経済に与える影響についてのうち、観光振興対策についてお答えいたします。
     本県の観光産業は、東日本大震災による自粛ムード、さらに県東部地域の計画停電等の影響により大きな経済的打撃を受けましたが、観光交流を初めとした経済活動を活性化することにより本県経済を立て直すことが喫緊の課題であり、このことが被災地支援にもつながることから、各種の緊急の対策を講じているところであります。具体的には、四月の十一日から県と県内の旅館やホテル、観光協会などが連携し「ふじのくにゴーゴー!キャンペーン」を展開し、廉価な宿泊料金の設定で多くの方々に宿泊していただいているところであります。また夏から秋にかけての観光シーズンの誘客対策として、県内宿泊者を対象とした交通利用料金の半額キャンペーンやバスツアーへの支援を継続するほか、本県への宿泊客の半数以上を占める首都圏対策として来月七日には東京で大規模な観光商談会を開催し県内の宿泊施設や観光施設を利用する旅行商品の造成を支援するとともに、県内観光地のPRを実施してまいります。さらに海外における風評被害対策として現地メディアを招聘し正確な情報発信に努めたことにより、徐々にではありますが、韓国や中国から富士山静岡空港を利用した団体旅行も戻りつつありますので、今後も、実質的な誘客につながるよう現地商談会の開催や本県のすぐれた観光魅力を継続的に発信することによりまして、海外からの観光客の回復に努めてまいります。
     観光を取り巻く環境は本格的な人口減少社会の到来、あるいは観光形態、旅行ニーズの多様化など大きく変化しておりますことから、これに対応するためにも、本年三月ふじのくに観光アクションプランを策定したところであります。今後はこのアクションプランに基づき、富士山を初めといたしました本県の世界に誇れる自然や文化、芸術、産業などの多彩な資源を磨き、新たな視点で魅力を創造し、国内外の人々だれもを引きつけるブランドづくりを構築しながら、国際観光地の形成や新しいツーリズムの推進を図ることによって国内外からの観光誘客を図り、本県の観光振興に努めてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 須藤経営管理部長。
           (経営管理部長 須藤明裕君登壇)
    ○経営管理部長(須藤明裕君) 震災が本県経済に与える影響についてのうち、今後の税収見通しと本県の財政運営についてお答えいたします。
     平成二十三年五月末の県税の調定状況は県税全体で前年度対比九四・二%と厳しい状況にあります。今後、東日本大震災による影響が明らかになってくる中で、法人二税や消費関連税目を中心に昨年度を下回る厳しい状況も想定しているところであります。
     一方、景気の先行きについては、内閣府の六月の月例経済報告によれば、生産活動の回復に伴い上向きの動きも見られているものの、電力供給の制約等により景気の下ぶれリスクも存在しているとされております。今後、主要法人の確定申告や当初予算額の三割以上を占める個人県民税の定期課税の状況を注視していくとともに、税収の確保に最大限努めてまいります。
     また、財政運営についてでありますが、厳しい財政状況の中にあっても県民の安心・安全を確保する施策は最優先に取り組む必要があることから、震災対応のうち緊急を要する雇用・経済対策、地震対策については、基金や繰越金等を活用し五月及び六月補正予算を積極的に編成したところであります。
     今後は、引き続き健全財政の枠組みを堅持しつつ、県内の雇用・経済状況や専門家による地震対策の検討状況等を踏まえ、必要に応じ機動的、弾力的に対応してまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 小林危機管理監。
           (危機管理監 小林佐登志君登壇)
    ○危機管理監(小林佐登志君) 被災者支援の取り組みについてお答えいたします。
     県では、岩手県遠野市に現地支援調整本部を開設し、大槌町、山田町を対象に県と市町の職員が力を合わせて被災地が求めるニーズを把握しながら集中的に一体となった支援を続けております。発災から三カ月余りが経過し、瓦れきの処理や仮設住宅の建設など復旧・復興に向けた作業が進められる一方、避難所生活の長期化に伴う避難者の健康障害なども危惧されますので、被災した両町から土木技術者や保健師などの専門職員の長期的な派遣の要請もいただくようになってきております。こうしたことから県内の市町と連携を図り、短期の派遣に加え、必要な職種の人材を確保し、順次長期の派遣についても対応をしております。
     今後の支援につきましては、支援物資を調達する場合はできる限り現地の小売業者から購入するよう配慮するとともに本県のNPO法人等が事業主体となり、国の緊急雇用創出事業臨時特例交付金の活用を図りながら、現地の失業者の雇用を検討するなど、被災地が一日も早く自立できるよう県を挙げて取り組んでまいります。
     また、本県では延べ千八百人を超える被災者の方々を受け入れておりますが、避難生活が長期化する中で、被災者それぞれの希望に沿った生活再建が早期に達成されるよう支援していくことが重要であると考えております。このため被災地の県及び市町村からのさまざまな情報を的確に被災者に提供するとともに、ハローワークや市町と連携した就労支援や保健師、民生委員による心のケアや生活相談を行っているところであります。今後も本議会で補正予算をお諮りしている民間住宅の借り上げによる応急仮設住宅の提供などにより、被災者の生活基盤の安定を図るなど引き続ききめ細かな支援に取り組んでまいります。
     次に、東海地震対策の見直しについてのうち、まず防災計画等の見直し方針についてであります。
     県では、想定東海地震に備え、平成十三年五月に防災に関する最新の知見や研究成果をもとに、専門家や防災に携わる関係機関の指導、助言をいただきながら第三次地震被害想定を策定し、防災対策の推進に努めてまいりました。東日本大震災では想定を超える津波の発生により東北地方の沿岸市町村を中心に甚大な被害が発生しましたことから、国の中央防災会議では地震や津波対策に関する専門調査会を設置して、この秋を目途に防災基本計画を見直すこととしております。また内閣府では、東海・東南海・南海地震が連動して発生した場合に備え、地震の揺れ、津波による死者や建物倒壊などの被害想定の見直しに着手したところであります。
     県といたしましては、こうした国の検討結果を踏まえまして、さらに静岡県防災・原子力学術会議に設置いたします津波対策分科会の先生方の御意見を伺いながら、地域防災計画や被害想定の見直しなどに取り組んでまいります。
     次に、広域受援の初動体制の確保についてであります。
     今回の東日本大震災の被災地では、自衛隊を初め緊急消防援助隊や警察広域緊急援助隊などの支援部隊が救出救助活動や避難所の運営支援、瓦れきの撤去作業など幅広い分野で目覚ましい活躍をいたしました。発生の切迫性が指摘されている想定東海地震に対して、国は東海地震応急対策活動要領の中で支援を担当する部隊や派遣規模等を定めております。これを受けまして、県では市町ごとに発災時の部隊集結場所や進出ルート、活動拠点などを定めた静岡県広域受援計画を策定するとともに、毎年総合防災訓練等において自衛隊による市町への進出訓練を行い、日ごろから顔の見える関係を築いております。緊急消防援助隊や警察広域緊急援助隊につきましても、毎年の総合防災訓練等で県の対策本部と連携して活動するよう確認を行っております。
     また、遠隔地の自治体からの支援につきましては、全国知事会におきまして全国都道府県における災害時等の広域応援に関する協定が定められておりますが、今回の災害ではこの協定が十分に機能しませんでした。今後、本県が行っている特定の市町村を集中的に支援する静岡方式を参考に広域災害に対応した全国都道府県による新たな支援の枠組みづくりを国に働きかけてまいります。
     なお、来年には新東名高速道路の供用開始が予定されておりますので、ことしの秋には自衛隊、緊急消防援助隊などの参加を得まして、高速道路の東・中・西部にありますサービスエリアを集結拠点として、ヘリコプターによる被災現場への進出訓練を実施するなど、さらに円滑な受援体制を整えるとともに必要に応じまして広域受援計画の見直しにも取り組んでまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 東海地震対策の見直しについてのうち、津波対策についてお答えいたします。
     県ではこれまで、東海地震の第三次被害想定などをもとに津波防御施設の整備を進めてまいりましたが、海岸部では防潮堤等の要整備区間のうちの約九割の二百五十キロで完了しているものの、河川部につきましては水門などによる対策が三十八河川のうち十八河川の完了にとどまっております。
     東日本大震災につきましては中央防災会議などにおいてさまざまな角度から原因が検証され、今後の巨大地震に対する津波防御施設や避難などの津波被害を軽減する対策が議論されております。この中で津波防御施設が被害軽減に一定の効果を果たすことが報告されており、県としては、現在の想定に基づく津波対策が完了していない箇所での整備を早急に進める必要があると考えております。今回、馬込川の堤防かさ上げを初めとし緊急度の高い箇所について対策を実施するとともに、静岡県津波対策検討会議で検討された短期的な緊急対策として、耐震水門や急傾斜地への避難階段の設置を実施してまいります。
     議員御指摘の坂口谷川などの河川単独により効果が見込まれる未対策箇所につきましては、人的被害や背後地の状況を踏まえ、早期着手が図られるよう県として最大限の努力をしてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 震災を踏まえた人づくりについてのうち、初めに震災から得た教育観についてお答えいたします。
     被災地でまず目にした光景からは、改めて「子供たちの命を守る」という使命を強く感じました。被災された人たちは、みずからが学校や地域の復旧・復興のために、ともに助け合うという精神のもと尽力されておりました。子供たちも自分ができることを見つけ進んで人のために働いており、その姿は人とのかかわりを大切にし、人のために行動できる徳のある人――有徳の人そのものでありました。
     県教育委員会といたしましては、この八月に本県の高校生が被災地におきましてボランティア活動等の体験活動を行うことを計画しております。このような被災地での体験が他人を思いやる心や社会に奉仕する精神を培う機会になるものと確信しております。
     また、被災された方たちの避難所等での生活の様子からは家族や地域での日ごろのきずなの重要性を改めて痛感いたしました。学校支援地域本部を設置している学校では震災後の避難所の開設、運営が順調に進んだという文部科学省の調査報告もございますので、今後とも学校支援地域本部事業や通学合宿等への取り組みを推進し、地域ぐるみで子供を守り育てる環境づくりに努めてまいります。
     次に、子供を守る防災管理についてであります。
     県教育委員会では、学校の地震防災対策マニュアルにより、地震が発生した場合の授業中、登下校中、部活動中などの状況に応じた児童生徒及び教職員の対応行動を示しております。また今回の大震災を受けまして市町教育委員会及び県立学校長に対しまして、従前の方法にとらわれず、特に沿岸部にある学校ではより安全に避難ができる方法を改めて検討し、防災計画等の見直しを図るよう依頼したところであります。東日本大震災において津波被害を逃れた学校の関係者から直接対応状況を聞く中で、安全な避難行動をとった学校は防災マニュアルの作成にとどまらず地域と連携した避難訓練を繰り返し行い、複数の避難ルートを事前に検証していたなど多くの教訓を得ることができました。
     このことから、本県におきましては、学校関係者と自主防災組織や市町防災担当者との連絡会議や教職員を対象とした防災研修会、次世代防災リーダー育成の研修会を積極的に開催するなどして、学校と地域が一体となった防災教育を推進し、子供の命を守る防災管理の一層の強化に努めてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 安村警察本部長。
           (警察本部長 安村骼i君登壇)
    ○警察本部長(安村骼i君) 県警察における震災対策についての三点の質問にお答えいたします。
     県警察では、今回の震災に伴い本日までに広域緊急援助隊など約千四百人を被災地に派遣し、当該地域での救出活動や行方不明者の捜索、遺体安置所における多数死体の検視や遺族対策などに当たっております。
     まず、警察官の心のケアでありますが、議員御指摘のように凄惨な現場で活動した警察官の多くが精神的ショックから来るストレスを蓄積し、結果的に心のケアの対応が求められたと承知しております。県警察では、災害時におけるストレスはだれにでも起こり得るということを理解させ、みずから解消させるための方策について、これまでのメンタルヘルス対策に加えて研修を行うとともに、災害発生時には警察官個々の精神的なストレス状態を迅速に把握して、早い段階から保健師や臨床心理士などとの面接を行うことで、警察官の心のケアについても地震対策の一つとする体制づくりを進めてまいります。
     次に、遺体の確認方法ですが、通常、遺体の身元確認は顔、指紋、身体特徴、所持品等と行方不明者の対照資料を照合して行うものでありますが、今回の震災では遺体の損傷が激しく、また身元不明者を特定する対照資料の入手が家屋の流失等により困難を極めており、いまだ身元確認のできていない遺体が多数存在している現状にございます。東海地震に際しては今回の震災を教訓といたしまして、親族等血縁者のDNA型資料、勤め先で使用していた物品から本人を直接特定する資料を収集する等多角的に身元確認方法を見直すことにより、確実なまた早期の身元の確認ができるよう努めてまいります。
     県警察の地震対策についてですが、従来から他県に比し先進的であると自負しているところでございますが、被災県からの聞き取りや被災地への派遣体験から得た教訓、被災現場を想定した実戦的訓練などにより検証を行い迅速かつ的確な避難誘導のあり方、現場活動における安全管理対策、救出救助や捜索活動時における自衛隊等防災関係機関との連携方法、災害装備資機材の整備などの対策全般において、さらに見直しを図ってまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 五十二番 大石哲司君。
           (五十二番 大石哲司君登壇)
    ○五十二番(大石哲司君) 御答弁ありがとうございました。時間が限られますので数点再質問いたします。
     一点は、菅発言に対して知事のほうから「功罪相半ばする」という御答弁がありました。またその経過についても御説明あったわけですが、知事は記者会見のとき「自分ではここまでできないけど、やっぱりここまでやらなきゃいけない」と御自分は弱虫だというような意味の御発言もされているやに思います。そういう意味ではですね、ただいまの答弁からすると、私は大英断というのは若干過剰反応だったのかなと思います。
     それから、前原前外務大臣が二十六日に講演をして、やはり菅総理のやり方はポピュリズムに近いと、とめることの是非ととめ方の是非、このことについては検証する必要があるということを与党の大幹部が言われておりますので、そのことを前提として。
     それで、お話のようにこの地域は東海地震がいつ来るかわからないと。だからもし来たら放射能汚染で東海ベルト地帯も国の中枢も侵されると。だからここでとめたのは正解だということなんですが、地域の危険性というものを前提に出されて、想定外ということを言われると、仮に現在再開の状況ではないといいますけど、再開の条件が整っても私は再開できないと思うんですよね。想定外ということを考えたら。だから東海地震の上にある原子炉は廃炉しかないんじゃないかというふうに、私はこういう議論をしていくと、結論はそういうふうになるんですが、知事さんはその点どう思われますか。
     もう一点はですね、六月十八日の海江田発言――停止中の原発の再稼働――これはもう私らに言わせるとめちゃくちゃだと思います。一方で福島の収束ができず、浜岡を強引にとめた舌の根も乾かぬうちに、よその運転再開を急げという考え方自体が納得できない。地震国日本、至るところに災害の可能性があるじゃないですか。それを何の基準も示さずに運転再開。それを、ここだけ日本で一番危ない地域だといって総理大臣に危ない地域の烙印を押されちゃったんです。ですから私は静岡県や私どもの浜岡周辺がこけにされたと思っておりますが、ぜひ知事に総理大臣あるいは内閣に対して強い抗議を申し込んでいただきたい。心からお願い申し上げまして質問を終わります。
    ○議長(植田 徹君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 大石議員の再質問の第一の首相による浜岡原発の停止要請と、そして現在停止されている浜岡原発の将来についての御見識、敬意をもって拝聴した次第でございます。
     浜岡は安全であるというふうに三月十一日まで私は確信していました。地震がまた津波が起こりまして、最初に私が福島原発に対して関心のあったのは、福島第一原発がそれぞれどれくらい揺れたかということです。女川原発についてもどれくらい揺れたかということについて関心を持ち、そして独自のルートで、これは中電をまた内閣のそういうような人物を通して、三月末にはすべての号機のいわゆるガル数というものを私は把握していました。その時点ではすべて福島原発一号機から六号機まで、また女川原発も六百ガル以下だったわけです。後にこれが修正されまして女川原発は六百七ガルまで揺れたということでございました。
     しかし、御案内のように浜岡原発は八百ガルまで耐えられると。さらに一千ガルまでは十分いけるというような御説明を受けていましたので、これは大丈夫だとすら思ったほどです。しかしながら原子炉あるいは格納容器が安全でも、そこに水を供給するパイプ、弁、そしてそれを動かす電源というものが損傷しますと、これは揺れに対して耐えられても冷却ができないということになりますので、すべてのそうした装置が部分的なものも含めて格納容器から原子炉容器、圧力容器も含めてすべてのものがそうしたM九の、あるいは十メートルを超す津波に耐え得るものでなければならない。こうなりますと、圧力容器における、あるいは格納容器における一千ガルまでの許容範囲だけを言っていてはだめだということになります。
     そうしたことから、今回、例えば細管が何らかの理由で壊れまして海水が流入したという事故がございました。細管はものすごくたくさんございます。そのうち数十本がやられたと。それは、配管のふたが脱落し、配管からの噴流により破損したものというふうにされていますが、別に特段の今回大きな地震があったわけではありません。そうしたことからしますと、単に津波対策だけでなくて点検するべきところは非常にたくさんあるというふうに思っております。その行き着く先をしっかり見定めるということと、それと結論を先に出すのではやっぱりいけないというふうに思っておりまして、どういうときでも、どういう根拠でそれが安全でないのかということが言えねばならないと思います。
     私は、すべて今まで想定外とされていたものが、例えば放射能漏れ、あるいは十メートル以上の津波、こうしたものが想定内になりました。そうした観点から科学とか技術とかいうものに対して一気に盲目になるのではなく、そうした常に開かれた姿勢をもって臨みたいというふうに思っております。そうした観点からいいまして、現在の浜岡原発は三号機から五号機も含めて、とても再開できる状況にはないというふうに判断しております。
     次の、海江田大臣の御判断についてでございますが、これは御案内のように電力会社というものには二つの使命があります。一つは電力の安定供給です。もう一つは安全性です。そしてとりわけ原発については安全性というものが担保されていなければなりません。それを担保するのは原子力安全・保安院です。しかしこのたびの原子力安全・保安院の振る舞いを見ておりますと、その情報が東電から入ってきていると。しかも東電はあの格納容器、核燃料棒が溶融してメルトダウンしているどころか、メルトスルーしていた可能性を、五月の中下旬になるまでわからなかった。しかしながら実際上は一号機につきましてはその日のうちに、三号機につきましても二号機につきましても三日以内に、すべてメルトダウンどころかメルトスルーして圧力容器を突き破っていた可能性があることがわかったという、そのていたらくでございます。そうした実力が中電にも当てはまるとするならば、これは到底十全に安全が確保されているとはいえません。
     一方で、安定供給という観点に立ちますと、日本における電力供給の三〇%が原子力発電によっています。今五十四基ございますが、これを十四基さらにふやして六十八基にして電力の供給源の五〇%にするという方針が三月十日以前まで持たれていたわけです。そうした中でほかのエネルギー源についての配慮がほとんどないので、もし今のまま原子力から電力が供給できないとなれば、日本の経済活動が破綻するのではないかという懸念が私はあのような発言になっていると思います。したがって原子力発電の安全性と電力の安定供給をどうするかということにつきまして、他の地域について軽々に容喙することはできませんけれども、中部電力につきましてはいわゆる原子力発電の占める割合は一二%から一四%、フルに活動して一七%ということでございます。その分を仮に我々が自然代替エネルギーで確保できるとするならば、必ずしも電力の安定供給について心配する必要はないということになります。ですから私は、このような電力の安定供給はできなくていわゆる計画停電なるものによって振り回されるということが、本県の人たちあるいは中電の管内の人たちにあってはならないということを強く思っております。
     そのために、我々は今、産官学協働をし、またもしものときに自家発電ができるように、いわゆる分散自立型、エネルギーの地産地消ということの方向へ大きくかじを取らねばならないということでございます。ですから安全面だけでいうとどうしても偏った議論になりかねない。これは今、この電源が一遍にとまってしまったということになりますと、会議も開けないということになります。そうした我々の血液にも匹敵するこの電力というものの本県における安定供給をしっかりと進めるために、これを私は県を挙げてやっていかなければならないと。
     もう一つ、あそこには三百六十万キロワット分の送電線がございます。これは大変な資産です。太陽光パネルをつくっても、それを送電線で送らなければ必要なところにせっかくの発電量が利用できません。そうしたものがあそこにございます。ですからそれを地元の方を含めて、どのように活用するのがいいかということもありますので、これはこれからの検討課題でございまして、またこの送電線が欲しいからという目的もあって、さる民間会社が社会貢献という名のもとに太陽光パネルの発電に対して大きく援助したいというふうな申し出もございます。それは実はこの送電線というものの持っている資産的価値でございまして、それが本県の中にすばらしく大きな規模であるということでございます。これの活用の仕方についても我々はこれから検討してまいらねばならないと思っておりますので、どうぞお知恵をお貸しくださいませ。以上でございます。ありがとうございました。
    ○議長(植田 徹君) これで、大石哲司君の質問は終わりました。
     議事の都合により、休憩します。

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