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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成24年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

渡瀬 典幸 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/01/2012

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 津波対策を進める上での農地の活用について
2 森掛川インターチェンジのアクセス道路整備について
3 地域コミュニティーの活性化に向けた土地改良区の役割について
4 原子力防災訓練の検証について
5 職員削減と行政サービスの質の確保について
6 コミュニティーバスへの効率的な運行形態の導入について
7 里親支援の充実について
8 中学校段階のキャリア教育の充実について



    ○議長(植田 徹君) ただいまから会議を開きます。
     議事日程により、知事提出議案第一号から第九十号までを一括して議題とします。
     質疑及び一般質問を行います。
     通告により、十四番 渡瀬典幸君。
           (十四番 渡瀬典幸君登壇 拍手)
    ○十四番(渡瀬典幸君) 皆さんおはようございます。
     私は自民改革会議所属議員の渡瀬典幸です。袋井市、森町より新たに選出をさせていただきました。人生初めての質問の場に立たせていただきますことに感謝いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
     それでは通告に従い、知事並びに関係部局長、教育長に質問いたします。
     最初に、津波対策を進める上での農地の活用についてであります。昨年三月十一日に発生しました東日本大震災から約一年がたとうとしております。いまだに三千二百人余もの行方不明者がおられることに大変な悲しみを感じているところであります。復興も徐々には進んでいるものの、いまだに先の見えない状況であります。一日も早い復興を願うばかりであります。
     さて、三連動地震が危惧されている本県においては、地震発生後五分から十分で津波が押し寄せると言われておりますが、袋井市浅羽地区の津波避難訓練では、五分間走って逃げても高台などはなく、とても逃げ切ることはできないという声が多く、お年寄りの中には逃げる気にもならない、あきらめているなどの声すら聞こえております。避難ビルに該当する建物も少なく、海岸から五キロメートル、海抜五メートル以下の場所に約一万七千人の住民が暮らしております。これらの住民が安心して暮らしていくためには、どうしても住居の近くに避難できる高台や避難タワーの建設が求められております。この浅羽地区には、江戸時代の古くから命山と呼ばれる高台があり、高潮や洪水のときに避難場所として活用されてまいりました。住民の不安が高まるばかりの今まさに平成の命山として、早急に避難高台をつくる必要があります。既に袋井市では、具体的な建設場所の選定に入っている状況でありますが、広大で平たんな水田が広がる浅羽地区のような農村地域において避難高台を整備しようと集落の近くに一定の広さの用地を求める場合、そのほとんどにおいて農地が含まれてしまうのが現状です。一般に国や県と異なり市町が農地を活用する場合には、農地法に基づく手続が求められ、その調整に多大な時間を要します。
     そこで、これまで農業生産面で洪水被害防止対策などに積極的に取り組んできた県は、市町にかわって、農業を担う人たち、さらに地域の住民の人たちの安全・安心の確保のために農地を活用した、こうした命山の整備も積極的に取り組んでいくべきと考えますが、県の所見を伺います。
     次に、森掛川インターチェンジのアクセス道路整備についてであります。本年四月十四日には、待望の我が国の新たな東西交流軸となる新東名の県内区間百六十二キロメートルが一気に開通いたします。新東名の開通に合わせ県内の各インターチェンジでは周辺のアクセス道路の整備が進められており、新東名と一体となった道路ネットワークの形成は、本県の産業、経済、文化の発展に大きく貢献するものと期待しております。私の住む中東遠地域においても、都市計画道路森町袋井インター通り線が新東名の森掛川インターチェンジと東名の袋井インターチェンジとを結ぶアクセス道路として位置づけられ、これまで県により整備が進められてきました。しかしながら本路線については、新東名開通に合わせた整備が森掛川インターチェンジ隣接部分のみという状況であります。当地域の製造品出荷額等は、平成二十二年度の工業統計調査によれば三兆七百三十二億円に上っており、県全体の約二四%を占めております。森町においてスマートインターチェンジが計画される中で、本路線は、袋井市と森町とを結ぶ新たな南北の交通軸として地域の産業を支えるとともに、活性化につながる重要な役割を担うものであります。また新東名開通後、心配される周辺生活道路への他地域からの車両流入を防止し沿道の良好な生活環境を維持するためにも必要な路線であり、残区間の整備が不可欠であると考えます。
     そこで、森掛川インターチェンジのアクセス道路整備について、県の考え方を伺います。
     次に、地域コミュニティーの活性化に向けた土地改良区の役割について伺います。
     本県を代表する穀倉地帯として名高い中東遠地域の発展は、名倉太郎馬や犬塚祐一郎といった先人の先進性と努力により生産性の高い水田地域が形成されたことが礎となっており、同時にこれらの土地改良事業を行うために組織された耕地整理組合や用水組合等の共同体は、集落の連帯ときずなを深め、現在の地域コミュニティーの根幹を成しております。これらの共同体は、戦後土地改良区に再編され、土地改良事業を中心として地域農業のみならずさまざまな取り組みが展開され、地域づくりにも及ぶ重要な役割を担っております。私の住まいがある袋井市の磐田用水東部土地改良区は、二市一町にまたがる約三千ヘクタールにも及ぶ広大な農業地域に農業用水を安定的に供給するため、施設の維持管理や用水の配分調整等を行う日々の業務に加え二十二もの活動団体と連携し、米づくりや生き物観察の総合学習や都市農村交流イベント等に先進的に取り組んでおり、地域コミュニティーとの密接な関係を築き上げたさまざまな活動は、全国的にも高い評価を受けております。近年、都市近郊の混住化や中山間地域の過疎、高齢化の進展に伴い、地域に古くから伝わる伝統的な祭事や奉仕作業等の活動機会が減少し、人間関係の希薄化や地域の活力低下が大変憂慮されております。さきの東日本大震災におきましても、人と人とが強固なつながりを持った地域コミュニティーの存在こそが、減災や復旧・復興のために大変重要な役割を担うことが再認識されたところであります。
     そこで、災害時の共助や地域活性化の原動力となる地域コミュニティーを強化していくために、古くから地域社会に根差した組織である土地改良区が地域農業の振興とともに、地域づくりにおいても存在感を示し新時代に相応した新たな土地改良区として地域社会の発展に貢献していくことが大変重要であると考えますが、県はどのように支援していくのか伺います。
     次に、原子力防災訓練の検証について伺います。
     東北地方太平洋沖地震による巨大津波に起因して生じたとされている東京電力福島第一原子力発電所の大事故は、国民に多大な衝撃と不安を与えました。あれから一年が経過し、事故の発端となった原子炉の状況も落ちついたように見えますが、発電所から飛散した放射性物質はさまざまなところに影響を及ぼしました。まさか本県のお茶やシイタケにまで通常よりも高い放射性物質が検出されるとは思いもしませんでした。その後の検査で健康には全く問題ない程度の放射線量であったとのことですが、今もなお多くの国民が身近な食品や生活環境に細心の注意を払っていることは言うまでもありません。
     今回の福島の事故では、従来の想定を超える放射性物質の飛散がありました。国もその教訓を受け、防災対策を重点的に充実するべき地域として新たに緊急時防護措置を準備する区域、いわゆるUPZを設定し、おおむね半径三十キロメートルの範囲と定めました。また県も、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム、いわゆるSPEEDIによる拡散シミュレーションを行い、浜岡原子力発電所から放射性物質が漏れた場合の施設ごとの飛散状況を想定しました。これによると、年間の傾向としては西風、北風が多く、その場合は駿河湾や遠州灘方向の海側へ拡散すると予想されるものの、気象条件によっては内陸部や伊豆半島にも影響が及ぶ可能性もあるとされております。
     これまで原子力防災は、御前崎市など周辺四市だけの対策だと思っておりましたが、今後は、私の地元である袋井市はもちろん、西は磐田市、東は焼津市あたりまでもがUPZの範囲内になり、日ごろからの原子力防災対策が必要となるのであります。しかし福島の事故から短い期間しか経過しておらず、浜岡から離れた地域の自治体や住民は原子力に対する知識に乏しいのが実情であります。私も消防団長経験者としていざというときの団員の行動計画が気になりますが、現時点では事故発生時の明確な対処行動が示されておりません。危険な相手が見えないだけに、人々の不安はなかなか解消されるものではないのです。浜岡原発で万一の事故やトラブルが起きた場合にどのような行動をとったらよいのか、自治体が定めるべき地域防災計画の原子力編も策定作業中と聞いてはおりますが、その見通しが示されておりません。
     そのような中、去る二月十七日、地震と津波により非常電源を喪失したという想定で、浜岡原発を対象とした原子力防災訓練が県及び関係市等において実施されました。今回の訓練は東日本大震災以降初めて実施する原子力防災訓練であり、これまで以上に注目され、また訓練の前提条件も厳しい事態を想定して行ったと聞いております。また訓練の中には、国による防災対策等を重点的に充実すべき地域の見直しを踏まえた対策や防災行動もあったことと思いますので、半径三十キロメートル上の自治体も大いに参考になったのではないかと思います。
     そこで、今回の原子力防災訓練の結果をどう評価分析し検証したのか、また今後の原子力防災対策に反映させる課題や成果はどのようなものなのか、県の見解を伺います。
     次に、職員削減と行政サービスの質の確保について伺います。
     平成二十四年度の組織定数の改編により知事部局の職員数は五千八百五十一人となり、平成九年度の七千二百六十四人と比較しますと実に一千四百十三人、約二割もの削減に達するものであります。バブル景気の崩壊後厳しい財政運営を迫られてきた全国の地方自治体にとって、行政の生産性の向上は欠かせないものであり、本県にとってもそれは同様であったものと思います。私は職員削減に反対するわけではありません。民間企業はコスト縮減のため日々大変な努力をしており、行政においても生産性の向上に努める必要があり、その結果として行われる人員削減は意味あるものですが、この影響として行政のサービスの質の低下を招くものであってはなりません。これまでの職員数の削減により新規採用を絞った結果、現在の職員構成はアラサー世代以下の若手職員が少なく、組織の活気がなくなってしまっているというお話もお聞きしております。このような状況では、これからの県政を真によいものとすることができるのかどうか、大変不安を感じているところであります。
     そこで、県は昨年度策定した静岡県行財政改革大綱において、平成二十二年四月一日から平成二十六年四月一日までの四年間で職員数を百人削減するとしておりますが、この目標の達成に向け、行政サービスの質の確保との関係においてどのようなことに配慮して定員管理に努めていくのかについての所見を伺います。
     次に、コミュニティーバスへの効率的な運行形態の導入についてであります。
     高齢化や過疎化が進む中山間地域の鉄道駅から離れた市郊外などにおいては、生活の足として、バス交通は欠かせないものになっております。しかしながらモータリゼーションや少子化の進展により乗合バスの利用者は激減し、バス事業者の経営が悪化、路線の廃止がふえております。地域住民の移動のための公共交通手段の確保は市町の重要な責務であることから、バス事業者が撤退した後、市町が、いわゆるコミュニティーバス、自主運行バスとして運行しております。しかし厳しい市町の財政状況の中、バス運行の財政負担は年々拡大しているため、自主運行バスのサービスも縮小を余儀なくされております。現在、コミュニティーバスの運行は大型バスによる路線運行の形式が多いわけですが、より小回りのきく方法があるのではないでしょうか。例えば私の地元である森町のほか、県内の幾つかの市町では、大型バスではなくミニバンやセダン車両を使ったデマンド運行などを導入していると伺っております。市町自主運行バスに対しては県からの助成制度がありますが、この制度の運用において、弾力的な運行形態への移行を促すインセンティブを与えることにより県のみならず、市町の財政負担を軽減することができるのではないでしょうか。
     そこで、デマンド運行などのより効率的な運行形態導入を促すための取り組みを進めるべきと考えますが、当局の所見を伺います。
     次に、里親支援の充実について伺います。
     さまざまな理由で自宅で暮らすことができない子供の数は全国で四万人おり、その九割以上が施設に入り里親家庭で生活する子供の数は一割にも満たないと聞いております。子供たちが自宅で暮らせない理由には、保護者がいない、保護者による適切な養育が受けられないなどさまざまでありますが、児童虐待による子供たちも多いと伺っております。虐待を受けた子供たちは、情緒や行動、性格形成など非常に広範囲で深刻なダメージを受けております。そうした子供たちにとって、安心感を持てる場所で愛され大切にされるという体験を日常の中で積み重ねていくことが、自信を育て大人への信頼を取り戻すことになり、その後の成長に何よりも大切であると言われております。そのために、家庭で家族と同様な養育を行う里親制度は非常に重要な施策であります。
     昨年の七月には、国の社会保障審議会の専門委員会において、社会的養護は原則里親やファミリーホームを優先し、今後十数年をかけて里親やファミリーホームで養育を受ける子供の数を全体の三分の一にふやしていくといったことが取りまとめられております。しかし複雑な生育上の背景を持ち、対応が難しい子供がふえていること、その一方で、制度の推進や里親家庭の支援を担うべき児童相談所が多忙を極め、適時適切な対応が行えない状況にあるとも聞いております。また制度の周知不足により子供の親が、里親家庭での養育を親子関係が否定され子供を取り上げられてしまうと誤解し、拒否することが少なくないなど里親制度にも多くの課題があります。里親として子供を養育していくだけでも多くの苦労がある中、まして虐待を受け心理的なダメージを抱えている子供の養育には、相応の知識や技術が必要であります。また里親さん自身が疲れ切ってしまわないよう養育相談への即応や、息抜きの制度などバックアップ体制の充実が不可欠であると考えます。すべての子供たちが幸せに暮らしていく社会をつくるためには、虐待などにより適切な養育が受けられず、自宅で暮らせない子供たちにこそ特に支援の充実が必要であり、最善の努力をすべきであると考えます。
     そこで、本県における里親制度の現状と、今後どのように推進していくのか県の所見を伺います。
     最後に、中学校段階のキャリア教育の充実について伺います。
     厚生労働省の平成二十三年度版労働経済白書によるとニートの数は六十万人と高い水準にあります。若者に目を向けてみると、十五歳から二十四歳までの完全失業率は約九・一%、非正規雇用者の占める割合は約三二%、早期離職率も増加傾向にあるなど若者の学校から社会、職業への移行が円滑に行われていない状況があります。またコミュニケーション能力など職業人としての基本的な能力の低下や、職業意識、職業観の未熟さ、進路意識、目的意識が希薄なまま進学する者の増加など社会的、職業的自立に向けて、さまざまな課題が指摘をされております。このような中で、学校教育が果たす役割は重要であり、早い段階から勤労観、職業観をはぐくむキャリア教育が必要であると考えます。平成二十年一月に示された中央教育審議会答申では、学校で行われるさまざまな体験活動の一層の充実を図ることが求められており、その際、体験活動をその場限りの活動で終わらせることなく、事前や事後の活動の必要性が示されております。
     さて、現在多くの中学校で職場体験が行なわれていますが、中学校段階で職場体験などを通して、仕事の楽しさや厳しさ、やりがいなどを感じる機会を設け自分の将来を考える機会を持つことが大切であると考えます。このため、これからもより多くの学校で職場体験を行ってほしいし、単に職場体験をするだけでなく、問題意識を持って仕事に対するイメージを膨らめるようにしてほしいと期待いたします。
     高等学校において行われるインターンシップは、将来進む可能性のある職業に関連する活動を試行的に体験して、社会人、職業人への移行準備に役立てると聞いておりますが、中学校段階においてはどのような方向性で進めているのでしょうか。本県での中学校段階におけるキャリア教育の取り組みについて、教育長の所見をお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    ○議長(植田 徹君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 渡瀬議員にお答えいたします。
     初めに、津波対策を進める上での農地の活用についてであります。
     東日本大震災は、日本の現代史を、その前と後とで二分するほどの大惨事になりました。その救援に手を差し伸べるのは言うまでもありませんけれども、そこからまた教訓を学ぶということも大切で、その教訓を生かすということは、さらに大切だと存じます。
     そのうちの一つは、農村地域の速やかな復興には、農業に携わる人たちの結束した力が不可欠であるということです。例えば宮城県の岩沼市では、一千ヘクタール以上の水田が津波によるヘドロに覆われました。これを被災農家の方たちが一致して組合をつくって、このヘドロの除去に当たられているということが新聞で報じられたこともございました。そうした中で、袋井の場合、延宝八年――一六八〇年、もう今から三百十年以上前のことでございますけれども、台風、高潮、津波、こうしたものによって、村全体が波にのまれてしまったと。こうしたことを生き残った方たちが、子々孫々こういうことがあってはならないということで、今日、命山と言われるものを二つつくられまして、その二つ、私も行きました。五メートルほどのものではありますけれども、これを大事にされている人々のその姿を目の当りにしたわけでございます。私は、この知恵に学ぶべきものであると。そして歴史的資産としても高く評価されているということでもございますので、この命山を現代に活用することがとても大事だと思います。しかしもう人口はその当時と比べてはるかに多くなっておりますから、袋井のほうでは、数千人の方々がそこに上れるような、そういう現代、平成版の命山をつくろうとされていることを大変喜んでおります。
     この命山は、基本的には市町が整備するものとなっているのでございますけれども、やはり安全・安心のために、私ども県としましても農地を活用した命山の整備について検討を進めております。あわせて、対象となる地域では、排水の不良とか軟弱地盤といった特性を考慮する必要がございますので、関係する市町と連携いたしまして、その対策とか広報とか、技術的な課題について調査をしてまいりたいというふうに思っております。命山の整備を市町みずからが行う場合、土地収用法第三条に該当するものにつきましては農地の転用許可の手続は不要です。あわせて申し添えておきます。そのほか、農村における集中豪雨であるとか、地震などによる農業災害の防止、あるいは被害の軽減を図るため早急に対策を講ずる必要がある地域を対象にいたしまして、河川や森林の整備等と連携をしながら、湛水を防止する排水ポンプの整備や、老朽化が進む農業用ため池の改修等を、現在総合的に進めているところでございます。
     次に、原子力防災訓練の検証についてであります。
     今年度の原子力防災訓練につきましては、去る二月十七日でございますが図上訓練ではございましたけれども実施したところでございます。浜岡原子力発電所の現状、すなわち現在休止状態というこの現状を踏まえまして、その発電所が福島と同様、大規模な地震と津波とそして全交流電源喪失という事故想定に基づきまして、複合災害時における災害対策本部機能の確立であるとか、住民避難の事前検討などを主な内容として実施したものでございます。
     この訓練を通じまして、運転中の発電所、これは福島の場合だったわけですが、浜岡のように停止中の発電所とでは、事故が深刻化するスピードに大きな差異があることはお示しすることができました。一方で、複合災害時における災害対策本部体制の強化のあり方やオフサイトセンター、オフサイトセンターというのは、よくオンとオフというふうに言いますけれども、オンはくっついていることですね。現場のセンターに対して、そこから離れているセンター、サイトは場所です。このオフサイトセンターの立地場所などが今後の課題となるものと認識いたしました。住民避難につきましては、国における原子力防災対策の見直しを踏まえ、発電所の半径五キロメートル圏を中心に、対象人口を約三万八千人と想定し、避難経路や移動手段などの事前検討を行いました。その結果、円滑な避難を実施するには国や市町などと事前に避難の基本的な考え方をすり合わせ、検証しておく必要があると痛感したところでございます。
     今後、訓練参加機関の協力を得て訓練の詳細な検証を行いまして、その検証結果と現在進められている政府の防災指針の見直しを踏まえて、ふじのくに危機管理計画原子力対策編の改定を行ってまいります。あわせて、防災訓練の対象市町の範囲を発電所のおおむね三十キロ、すなわちUPZ、緊急時防護措置を準備する地域に拡大するなど、福島第一原子力発電所の事故を教訓とした浜岡原子力発電所の安全対策に、県として万全を期してまいります。本年の総合防災訓練は九月に行いますが、富士山静岡空港と磐田市を拠点として実施することにしております。その中で、浜岡原子力発電所の事故の同時発生も想定しております。今回の訓練の検証結果を総合防災訓練に生かしてまいる所存でございます。
     現在休止中であるのになぜこういう原発事故を想定するのかといいますと、今回十七日に行いました。それは、十五日に地震・津波が発生して、そして全電源が喪失したということでございます。そして十七日に我々は訓練を行ったわけですが、そうすると、オフサイトセンターから、二十一日の午前零時、二十日いっぱいまでは大丈夫だけれども、二十一日の朝には放射性物質が飛散すると。したがってその前日の二十日、すなわち事故発生から五日目には、その日のうちに全部避難しなさいというそういう指示が来たのです。それで我々は、その避難をしていただく準備をしました。ところがオフサイトセンターは二キロのところにある。彼らは避難していないんでしょうか。そんなところにいると放射性物質を浴びることになりますから、そこにいられるわけがありません。だからあのオフサイトセンターは、もう放射性物質の飛散が起こると確認されたときから、もう引き払わなくちゃいけない。そういうところにしか我々はオフサイトセンターを持っていないんです。だから問題だということですね。
     それから、中部電力が、今の休止中の浜岡原発におきまして、津波、地震あるいはその他の理由によって全電源が喪失した、すなわち冷却機能が失われた場合にどうなるかという試算をしました。休止中だから安全だと誤解している人がいます。そうすると三日ないし五日で、その崩壊熱が出ていますからそれは水につかっているわけですけれども、水の温度がだんだんと上昇します。五日で百度になるといいます。百度になるということは、沸騰しますから、どんどん水蒸気になります。そうすると水位が下がります。水位が下がりますと燃料棒が露出します。そうすると冷やすことができない。どんどん上がっていって、その三号機とか四号機とかを現在停止して、しかも燃料体があるものは二十五日で九百度に達するといいます。九百度に達しますと燃料体は、実はそれは放射性物質が中に入っておりますから、放射性物質が飛散しないように被覆体というものによって覆われているんです。これは大変薄いもので、〇・八ミリほどのものです。その被覆体はジルコニウムという物質でできているんですけれども、九百度になりますと周りの水蒸気と反応しまして、水蒸気はH2Oで酸素と水素が一緒になったものですが、ジルコニウムが酸素と反応しまして酸化ジルコニウムになります。そうすると水素が分離されるわけですね。その水素が爆発するという可能性が出てくるということなんです。ですから、休止中で休止を求めたら安全だというのは、基本的に間違っているということを皆さんによく知っていただきたいと思います。
     そして二号機は、今全然運転していません。もう廃炉が決まっていますが、使用済み核燃料のプールがございます。そこに一千体以上の燃料体があります。これも、その二十五日ほど、十九日と言っていましたが、三週間ほどで百度に達するんですよ。そして崩壊熱が出ますので、そうするともうどんどん水位が下がりますから、そうすると三カ月ほどで九百度に達するんです。そうするとジルコニウムと周りの水蒸気とが反応しまして、先ほど申しましたそういう状態になるわけです。ですから、こうしたものを我々は抱えていますので、これを処理する方法をきっちりと確立するまではだめであり、かつ我々、こういう図上訓練であるとか今度の九月の総合防災訓練におきまして、原子力で事故が起こったということを想定して訓練するわけです。そういうこともあわせて御理解いただいておくといいと存じます。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
    ○議長(植田 徹君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 森掛川インターチェンジのアクセス道路整備についてお答えいたします。
     県では、新東名高速道路により確立される高速道路網と一体となって、地域の産業振興や観光交流の促進等に寄与する路線をアクセス道路としまして、新東名の供用に合わせ整備を進めてまいりました。都市計画道路森町袋井インター通り線につきましては、新東名開通時の交通量予測等を踏まえまして、これまで森掛川インターチェンジ付近の県道掛川天竜線のつけかえ区間一・一キロメートルにつきまして優先的に整備し、供用しております。残る未整備区間につきましては、市町が都市計画道路全体の見直し作業を実施しているところでありまして、この作業の進捗や地域の合意形成等の状況を見ながら、効果の見込める区間から整備を進めてまいります。県といたしましては、新東名周辺地域が、ふじのくにの内陸フロンティアとしまして、物流、観光などの面で魅力ある地域となるよう交通の状況や土地利用の状況等を踏まえながら、引き続きアクセス道路の整備に努めてまいります。
     次に、地域コミュニティーの活性化に向けた土地改良区の役割についてであります。
     土地改良区には、農村地域の基礎的な資源であります農地や農業用水を守り、生産活動のみならず、地域の暮らしに深くかかわってきた強みがあります。そのため、地域らしさの源であります農業の振興と村づくりの両面から、地域コミュニティーの活性化を担う調整役としての役割が期待されているところであります。議員から御指摘がありましたとおり、磐田用水東部土地改良区は、食と農を通じて地域をつなぐさまざまな活動を展開するリーダー的な存在として全国に誇れるものであります。しかしながら、多くの改良区は、社会経済情勢が変化した中で、水利施設等の複雑化する維持管理業務に追われ都市化が進む周辺地域とのかかわりが希薄になってきております。
     このため、県といたしましては、農業者と地域住民が協働して、農業用水路の機能保全や農村景観の形成活動に取り組みますふじのくに美農里プロジェクトを実施しております。今後も、土地改良区が個々の活動組織の連携強化と広域化におきまして中心的な役割を担うよう支援し、地域コミュニティーの強化と土地改良区の負担軽減を図ってまいります。またこうした活動の中で、農業用水路を活用した小水力発電の導入など新エネルギーの活用や、耕作放棄地の解消に向けた役割を果たすなど地域とのかかわりを深め、地域とともに歩む土地改良区の再構築に努めてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 須藤経営管理部長。
           (経営管理部長 須藤明裕君登壇)
    ○経営管理部長(須藤明裕君) 職員削減と行政サービスの質の確保についてお答えいたします。
     定員管理の実施に当たっては、これまで意思決定の迅速化を図るための組織のフラット化や会計事務の効率化を図るための総務事務のIT化、集中化など単に職員数の削減を行うというのではなく、それまでの事務事業の進め方や組織のあり方をゼロベースから見直すことで人員配置の見直しを進めてきたところであります。こうした見直しを進める一方で、増加を続ける児童虐待に対応するための相談体制の強化や少子化対策を総合的に推進するためのスタッフの設置など、県政の重要課題に的確に対応するための増員も図ってきたところであります。
     今後とも、出先機関を初めとする第一線の行政現場の実情を十分に踏まえるとともに、民間の創意工夫の活用など行政サービスの質的向上に結びつく事務事業の見直しに取り組むほか、中長期的な視点に立ち、計画的に専門性の高い人材を育成するなど職員一人一人の意欲、能力を最大限に発揮させることにも十分意を配しながら、簡素で能率的な組織づくりを進め、適正な定員管理に努めてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 出野文化・観光部長。
           (文化・観光部長 出野 勉君登壇)
    ○文化・観光部長(出野 勉君) コミュニティーバスの効率的な運行形態の導入についてお答えいたします。
     市町が運行するコミュニティーバス、いわゆる自主運行バスは、平成二十三年度においては県内の三十市町で四百一系統が運行されておりますが、五年前の二百九十五系統から大幅に増加しており、バス運行を維持するための市町の財政負担が大きな課題となっております。県といたしましても、市町の財政負担を軽減し地域の生活交通を確保するため一定の要件に該当する自主運行バスを対象に運行支援を行っており、現在二百二十九系統に補助しておりますが、県、市町とも財政状況は非常に厳しいことから、一層の効率的なバス運行による住民サービスの維持と事業費削減が喫緊の課題となっております。
     こうした中、県内の市町においても、住民の意見を聞きながらバス路線の再編整備や車両の小型化を進めるとともに、富士宮市や富士市など八市町においては、デマンド方式によるタクシーやミニバンを利用した自主運行バスの運行、定時路線バスとデマンド方式を組み合わせたバス運行など新たな取り組みが始まっております。
     県といたしましても、こうした新しい取り組みを県内に広めるとともに、地域の実情に合わせたサービスの維持と効率性の両立を図る創意工夫を一層促進するため、今年度、市町自主運行バス事業費補助金の制度を改正し、新たに一定の補助要件を満たすデマンド運行についての補助制度を創設したところであります。
     新たな補助制度におきましては、通常の自主運行バスと異なり、デマンド運行の補助額積算に当たりまして、計上費用の上限を設けず、また乗車人員につきましても補助要件を緩和するなど、より有利な支援内容とし、デマンド運行導入へのインセンティブを設けたところであります。今後とも、地域住民の足を確保するため、市町やバス事業者等と連携して、地域の実情に応じた効率的な自主運行バスの運行を支援してまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 池谷健康福祉部長。
           (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
    ○健康福祉部長(池谷享士君) 里親支援の充実についてお答えします。
     本県におきましては、これまで、東部、中央、西部の各児童相談所に里親委託推進員を配置し、制度の普及や里親家庭の支援に努めてまいりました。その結果、本県における里親委託率は一九・六%となり、最近五カ年間で倍近く増加をし、全国的にも高い状況となっています。しかしながら議員御指摘のとおり、近年虐待による影響などによりさまざまな課題を抱えた子供たちがふえる中で、家庭的な環境で養育を行うことができる里親等への委託は、今後もより一層進めていく必要があります。
     こうしたことから、来年度には、里親体験発表会の開催や里親月間における集中的な広報を通じまして、制度の積極的な周知に努めるとともに、東部児童相談所、富士児童相談所にそれぞれ一名ずつ担当職員を増員し、児童相談所における里親支援体制の強化を図ってまいります。
     具体的には、里親研修の充実による養育技術の向上、里親が直面する子育ての悩みや不安へのきめ細やかな対応、さらには里親同士の交流会の充実や里親の一時的な休息制度の利用促進などに取り組んでまいります。県といたしましては、こうした取り組みを通じまして、里親委託の一層の推進に努めてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 中学校段階のキャリア教育の充実についてお答えいたします。
     中学校における職場体験は、職業選択を主な目的とするというよりも、職業や仕事を体験先で直接知ることを通して、働く意義を理解し、自分が将来どのように社会に役立っていくのかを考えるなど勤労観、職業観をはぐくむ機会としております。今年度は、ほぼすべての中学校で職場体験が実施されておりますが、生徒、保護者、事業所等に体験のねらいや意義が必ずしも十分伝わっていないことから、その場限りの活動で終わっている場合が見られるなどの課題も出ており、職場体験を軸としたキャリア教育の目標を明確にし、計画的、系統的に実施していくことが必要だと考えております。
     このため、県教育委員会では、先月、職場体験の事前事後学習で活用するための生徒用教材「未来map」を作成し、各中学校に配布したところであります。また職場体験を支援する環境をつくるために、保護者や事業所向けのリーフレットやガイドブックも作成、配布する予定であります。
     さらに来年度は、キャリアコンサルタントを中学校に派遣して、キャリア教育を実践的に研究し、事例や授業モデルなどの情報をホームページ等で発信し、県内の中学校におけるキャリア教育を一層充実してまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 十四番 渡瀬君。
           (十四番 渡瀬典幸君登壇)
    ○十四番(渡瀬典幸君) 御答弁ありがとうございました。一点要望をさせていただきます。
     知事、命山を見ていただいてありがとうございました。既に、本当に地元の人たちは早く、まあ、ソフトの部分は進んでいるわけでございますけれども、ハードの部分がなかなか進まない。そういったことで大変不安を感じております。やはりそのハードの部分で形で見せてあげることが一番安心感が与えられるんじゃないかなと思っております。そのために、やはりどうしても農地法が、知事がおっしゃった収用法もそうでございますけれども、どうしても許認可までに時間がかかります。何とかこれはもう本当に命を助ける施策でございますので、何とか時間の短縮を図っていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
     以上で要望を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

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