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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成25年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

増田 享大 議員

質問分類

一般質問

質問日:

10/04/2013

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 津波対策における静岡モデルの推進について
2 農山村整備みらいプランの今後の方向性について
3 先進的農業の推進に向けた取り組みについて
4 新しい時代の都市づくり・まちづくりの方向性について
5 市町が行う事業への県の関与のあり方について
6 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けた県の取り組みについて
7 子供たちが学ぶ教育現場の現状について
 (1) 教科書を活用した授業と家庭学習のあり方
 (2) 教材の選定方法


○副議長(渥美泰一君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第百二十九号から第百五十五号まで及び平成二十四年度静岡県一般会計、特別会計、公営企業決算全部を一括して議題とします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、十六番 増田享大君。
       (十六番 増田享大君登壇 拍手)
○十六番(増田享大君) 質問に先立ち、去る九月四日地元掛川市におきまして市議会議員を六期、県議会議員を三期務められました草賀文雄先生が御逝去されました。草賀先生は、広く県政の発展はもちろん地元でも森林業の発展や新幹線掛川駅開業など数多くの御功績を残され、旭日中綬章を受章された郷土の誇りでもあります。個人的にも出会いから十九年間、大所高所からさまざまな御指導を賜りました恩師でもあり、県議会の壇上から改めて草賀文雄先生の御功績をたたえ心から哀悼の意を表します。
 引き続き通告に基づき、知事及び関係部局長並びに教育長に質問させていただきます。
 初めに、津波対策における静岡モデルの推進について伺います。
 発災から二年半余り、被災地である東日本では復興への長い道のりがようやく始まったところであります。
 八月、原発・エネルギー対策議員連盟で福島第一原発を視察させていただきましたが、当時の惨状そのままの現場は想像以上に悲惨さを極め、放射能汚染水の漏えいなど未解決の難問は山積し、いかに大きな惨事であったかを目の当たりにいたしました。地元に目を向ければ東日本を襲った津波の恐怖は、いまだ県内沿岸部に住まう人々の脳裏から離れることはなく地元遠州灘沿いの皆様からは津波に対する不安、万全な対策を求める切実な声が今なお絶えないのも現状です。
 県では、六月に第四次地震被害想定とその対策としてのアクションプログラムを公表し、津波対策においては本年度末までに沿岸二十一市町において対策のための検討会の設置を目標に掲げております。
 現在、遠州灘の浜松市沿岸部では企業からの善意ある寄附金による防潮堤の整備が進められておりますが、他の沿岸地区からは、まさに羨望の対象となり各市長からは同様以上の整備が強く要望されております。それに呼応し袋井土木事務所管内では、県内でいち早く七月に検討会を立ち上げ、保安林や自転車道周辺のかさ上げなどレベルツーの津波にも対応したいわゆる静岡モデルの構想策定が進んでおります。しかしながらその構想実現には、今後保安林と民有地との調整、関係する土木、農林、森林など各部局の緊密な連携や財源確保などさまざまな課題に対する調整が必要です。
 そこで県は、この静岡モデルの実現化に向けてどのような手順で進めていくのか、御所見を伺います。以上、御答弁願います。
○副議長(渥美泰一君) 長島交通基盤部長。
       (交通基盤部長 長島郁夫君登壇)
○交通基盤部長(長島郁夫君) 増田議員にお答えいたします。
 津波対策における静岡モデルの推進についてであります。
 津波を防ぐ施設の整備につきましては、レベルワン津波に対応した施設高の確保に加え津波が堤防を越えても粘り強く効果を発揮する構造や液状化対策などの質的改良を進めてまいります。また津波の到達時間が短く沿岸地域に多くの人口や資産が集中しているという本県特有の課題を踏まえ、レベルワンを超える津波に対する安全度向上策として、静岡モデルを推進することとしております。
 静岡モデルの整備手法としては、減災効果が期待できる既存の防災林、砂丘、道路等のかさ上げや補強が考えられます。こうした既存施設は各市町により状況がさまざまであることから、まずは沿岸の全二十一市町において、県が主体となり地域の実情に即した対策を検討する検討会を年度内に設置してまいります。
 これまでに掛川市を初めとする近隣四市において合同で検討会を設置し、四次想定における地域の課題や沿岸域の現状などについて意見交換を行ったところであります。今後引き続きこの検討会において、津波防護のあり方や整備手法の検討などを進め、地域に合った最適な対策案を検討してまいります。
 県といたしましては、レベルワンに対する津波施設の整備を進めるとともに、市町と連携してレベルワンを超える津波に対しても減災効果が期待できる静岡モデルの実現に向けて取り組み、県民の皆様が安心して暮らせる地震・津波に強い県土づくりの実現に努めてまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 増田享大君。
       (十六番 増田享大君登壇)
○十六番(増田享大君) 再質問させていただきます。
 なぜ住民の不安がまだ払拭されないのか。この複雑さと公表を同時にしたことによって、レベルツーが頭に残っているわけですね。
 それで私、県の皆さんとふだん接していてそういう御答弁でもし済まされるのなら、それはひいては直接住民の皆様とどれだけ近いところにいらっしゃるかという距離感を表明しているようなものだと私は思います。だから掛川市とか沿岸部の市長さんは、もう切実感がいっぱいなものですから八カ月も前倒ししたわけで、県ではこのレベルワンは津波を防ぐ、レベルツーは多重防御によるまちづくりと。それで一向に変わっていないわけでございますので、死者をゼロにするという取り組んでいる市町、また住民の皆様方に対してこの政策は極めてメッセージ性、強いメッセージを必要とする政策だと私は思っております。
 それについて県の改めての御所見を伺い、御答弁を願います。
○副議長(渥美泰一君) 長島交通基盤部長。
○交通基盤部長(長島郁夫君) 再質問にお答えいたします。
 静岡モデルは、レベルワンを超える津波に対する安全度の向上策として大変重要な対策と考えております。まずは検討会におきまして地域の皆様としっかり話し合った上で早期に対策案を決定していきます。
 防災対策は県の最重要課題であることから、具体的な整備につきましても市町としっかり連携をして、静岡モデルの実現に向けてしっかり取り組んでいきたいと思っております。以上でございます。
○副議長(渥美泰一君) 増田享大君。
       (十六番 増田享大君登壇)
○十六番(増田享大君) 万全な対応を要望いたします。
 次に、農山村整備みらいプランの今後の方向性について伺います。
 過日、我が会派でJA青壮年部との懇談会を行いましたが、価格の低迷など疲弊にあえぐ茶業関係者を初め、収入の減少から農業の継続を不安視する若者の声に直面いたしました。一方で努力と研さんを積み、規模拡大などみずからが一層成長することによって地域農業に貢献しようというたくましい若手生産者も多く、未来の農業への期待を感じる機会でもありました。国内的には農地の集約や耕作放棄地の解消はもちろんのこと災害リスクに強い基盤づくりが求められ、世界に目を向ければアジア諸国を中心とした世界的な食の規模拡大に対応した国際競争力も求められており、そのためにも生産の基盤となる農地の基盤整備等を戦略的に進めていく必要があると考えます。国でもことし二月、大型の補正予算が配分されたように我が国の農業政策は大きく転換されようとしております。
 県では、現在進めている農山村整備みらいプランが今年最終年度を迎え、来年から新たな計画が始まると聞いております。やる気のある農業者や地域がもうかる農業にするためにも明確なビジョン策定のもと計画的に本県農業を発展させていく必要があると思います。
 県は、今までのプランをどのように分析し、今後どのような力点で農業基盤整備を進めていくお考えなのか、その具体的な方向性と進め方を伺います。以上、御答弁願います。
○副議長(渥美泰一君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 農山村整備みらいプランの今後の方向性についてお答えをいたします。
 本県の特色というのは、全国トップクラスの多彩で高品質な農林水産物を誇っているということでございまして、食材の王国と自称するにふさわしい地域性を持っています。これらの産物と東西の交通の要衝ということでの交通インフラの整備、さらに富士山、伊豆半島、南アルプス、浜名湖など海と山の風景の画廊とも言えるこうした美しい景観の地域資源を最大限に利用して、人々がお越しになれるような地域づくり、それを食の都づくりというふうに名づけて、現在美しく品格のある農山村の創造を理念として農業基盤整備を進めているところでございます。
 現在のプランは、推進方針をもってふじのくに食の都づくりを支える自律した農山村の整備といたしました。それを具体化するために農業の六次産業化に取り組む産地の競争力の強化、農業に不可欠な用水の安定供給等を重点戦略に掲げまして、地域のさまざまな活動と連携して農地の平たん化や用排水施設の長寿命化等、農業基盤整備を選択と集中により実施してまいりました。
 数字を上げて申し上げますれば重点目標、この食の都づくりの基盤となる産地の生産力を強化する面積。平成二十一年度は二百九十ヘクタールでしたが、平成二十五年度、今年度はその二十倍、五千八百ヘクタールに広げるということで今取り組んでいるところです。
 また、農村資源の保全活用を担うコミュニティの再生と活性化のうち、重点目標としていわゆる美農里プロジェクトの活動によって守られる農地の面積は、平成二十一年度が九千ヘクタール。これを今年度には倍弱の一万六千ヘクタールに伸ばします。また農村資源を保全する活動に参加する人数。平成二十一年度は八万二千人でございましたけれども、今年度には十四万七千人にふやすというような数値目標を掲げてやっているところでございます。
 こうした取り組みによりまして、急峻な樹園地の再編整備を実施している清水地区新丹谷、行かれましたでしょうか、かつてはこんな感じだったわけです。今それが平たんになりまして東名と新東名を結び、その景色は眼下に駿河湾を望みましてまことに絶景と言うべきで、そこで働いておられるミカン農家の方たちは、私たちがこんなに美しいところで仕事をしているとは知らなかったというふうに言われているぐらいでございます。
 その結果、清水地区などにおきましては生産性が飛躍的に向上いたしまして意欲ある後継者が育成されており、また新東名を活用したミカンオーナー制度で何と一千人も来園されているということでございます。まさに地域に活力が生まれているということでございます。
 こうした活力を生かしまして、農業を成長産業と私どもは捉えています。既にそういう観点でやっておりましたところ、先ほど議員が言われましたとおりこの六月に日本再興戦略というようなものが定められまして、二〇二〇年オリンピックの年には現在の六次産業の市場規模は一兆円ですけれども、これを十倍の十兆円にすると。さらに農林水産物、食品の輸出額、現在四千五百億円ですが、これを一兆円――中には二兆円と言っている人もいますけれども、一兆円に伸ばすということで攻めの農業をつくろうとされている。我々はもう既にそれに取り組んでいるところでございます。
 食の都というのは、国内市場における中核となって人々がここに来るということですね。一方海外市場というのは輸出先ということで、内を固めかつ外を広げると。内包を豊かにして外延を広げていくという、そうした戦略を今展開しているところでございます。
 このためには生産者側としましては、担い手への農地集積を促進しながら大型機械による大胆な低コスト生産を実現する水田の大区画化、また地下水位制御システムの整備等を美しい農村景観の維持に配慮しながら、農芸都市、ガーデンシティと、美しく品格のある農山村景観をつくるということに配慮しながら進めていくことが必要でございます。
 新しいプランにつきましては、これらの課題を踏まえまして現在策定中の総合計画や経済産業ビジョンとの整合を図りつつ、農業関係者、有識者の御意見も賜りながら年度内をめどに策定してまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 増田享大君。
       (十六番 増田享大君登壇)
○十六番(増田享大君) 次に、先進的農業の推進に向けた取り組みについて伺います。
 TPPへの交渉参加は、農業の国際化の波と競争を激化させ国で進められている規制緩和も加わり、今後企業の農業進出は一層進むことが予想されており、まさに農業は大競争の時代に突入したとも言えます。
 その潮流の一つは、大規模高効率営農はもちろんのことネットを駆使したクラウド農業の広がりや品種や土壌改良、流通改革など次世代型農業の到来です。しかし農業におきましては、家族経営を中心とした小規模な生産者が多く、新技術の研究等に投資する余裕も少なく、先進的営農への取り組みにおける企業との競争において苦戦を強いられることを不安視する声も多くあります。
 本来、行政の重要な役割として、民間の代替業務を行うのではなく各産業における新しい技術に対する最先端の研究を通して得られた知見を広く県内産業に役立てる使命もあると思います。本県では、イチゴや温室メロン、トマトやバラなど高品質でブランド力のある園芸作物が多数生産されております。
 次代を担う若手農業者に未来への夢と希望を与えるためにも、これら全国のトップランナーとしての本県施設園芸の力をより強め、他産地の一歩先を行く新エネルギーやICT――情報通信技術の研究開発や導入促進を一層進める必要があると考えますが、県は今後どのような取り組みを進めていくおつもりなのか御所見を伺います。以上、御答弁をお願いします。
○副議長(渥美泰一君) 渥美経済産業部長。
       (経済産業部長 渥美敏之君登壇)
○経済産業部長(渥美敏之君) 先進的農業の推進に向けた取り組みについてお答えいたします。
 本県では、全国に先駆け平成二十三年度から二カ年にわたり温室メロン栽培における太陽光発電とヒートポンプを組み合わせたシステムの実用化試験を行い、エネルギーコストの削減と品質向上を実証しました。今年度からはトマトなどの他の作物へのモデル的な導入を支援しているところであります。また農林技術研究所では、断熱性の高い被覆資材の開発や気化熱を利用した冷房システムの開発など施設園芸における一層の低コスト化と高品質生産との両立を目指した研究を行っております。これらを踏まえこの九月に生産者や農協の技術員などを対象に太陽光発電、ICTの農業利用に関する研究やオランダの先進事例についての研修会を開催し情報提供をいたしました。
 さらに今年度、農林技術研究所と静岡大学が国の資金を得て、ICTを活用しトマトの収量と品質を高めるため、生育状況や温度、湿度、日照の変化をリアルタイムに収集し、自動的に水分や養分を調整するシステムの共同研究を開始いたしました。
 このような取り組みを通じて本県施設園芸の生産力を高め、次代を担う若手農業者が夢を持った経営ができるよう努めてまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 増田享大君。
       (十六番 増田享大君登壇)
○十六番(増田享大君) 今回は施設園芸について伺いましたが、それ以外の農産物にも広く広めていっていただきたい。そう思いますが、それ以外の農産物に対する取り組み状況、御答弁を願います。
○副議長(渥美泰一君) 渥美経済産業部長。
○経済産業部長(渥美敏之君) 再質問にお答えいたします。
 露地野菜、例えばレタス、枝豆等の栽培におきまして圃場とか作業、防除の生産履歴管理、あるいは農場へセンサー、カメラを設置いたしまして遠隔地で情報を得るというようなシステムを導入している法人もございます。
 また、農林技術研究所では、レタス、タマネギ等の栽培におきまして定植機とか収穫機の開発によりまして省力栽培体系を構築するような研究も始めているところでございます。
 このような先進的な技術の導入あるいは研究開発を支援しながら、今後も本県の農業の生産力の向上に努めてまいりたいと思っています。以上でございます。
○副議長(渥美泰一君) 増田享大君。
       (十六番 増田享大君登壇)
○十六番(増田享大君) ぜひ若者に期待をされるように、夢を抱いていただけるような政策の取り組みを要望いたします。
 次に、新しい時代の都市づくり・まちづくりの方向性について伺います。
 人口減少時代に突入した今日、今後の都市形成において空き家や空き地など都市の空洞化、耕作放棄地の増加など社会的に非効率なさまざまな課題が顕在化することが予想されています。一方で災害リスクや新エネルギーへの対応、新東名開通による中山間地の環境変化など今まさに新たな都市づくりに向けた変革の時を迎えていると思います。
 都市の機能を集約するコンパクトシティーの推進や都市と自然と農業などの一次産業とが共生する視点は不可欠ですし、昨年十二月に施行された都市の低炭素化の促進に関する法律、いわゆるエコまち法を積極的に活用する政策も重要だと思います。
 過日、国の次世代自動車・スマートエネルギー特区に指定されたさいたま市を視察させていただきましたが、ホンダなどの企業と連携したスマートハウスのコミュニティー化の実証実験、また天然ガスや水素エネルギーなど多重エネルギー供給社会をも視野に入れて進められる未来都市づくりは、本県でも参考にすべきと感じました。
 掛川市では、八月に掛川駅前東街区市街地再開発事業がスタートいたしましたが、今後周辺地域を含めた新しい都市づくりのビジョン策定とその実行は欠かせません。
 県では、この秋目指すべき都市づくりの基本的な考え方を示す都市計画区域マスタープランの策定方針を策定し、新しい時代の都市づくり・まちづくりを進めると伺いますが、対象区域や区分の見直し、さらに女性の視点を一層取り込むことや子供からお年寄りまで幅広い世代への対応、歩く人や自転車を利用する人にもやさしいまちづくりなどが求められております。
 そこで県は、今後どのようにして新しい時代の都市づくり・まちづくりを進めていくおつもりなのか、御所見を伺います。以上、御答弁を願います。
○副議長(渥美泰一君) 長島交通基盤部長。
       (交通基盤部長 長島郁夫君登壇)
○交通基盤部長(長島郁夫君) 新しい時代の都市づくり・まちづくりの方向性についてお答えいたします。
 県では、人口減少や少子高齢化の進展などさまざまな社会情勢の変化を単なる課題ではなく追い風として捉え、さらなる県勢の発展に向けて本県が目指す都市づくりの基本的な考え方を示した静岡県都市計画区域マスタープラン策定方針を今月末に公表する予定であります。
 本策定方針では、多様な分野の方々の御意見をいただき、これまでにはない視点から本県が目指す集約型の都市構造を明らかにするとともに、空き地や空き家のより一層の有効活用やエコまち法を活用した環境負荷の軽減など十の戦略を掲げることとしております。この集約型の都市構造は、無秩序に拡大が続く都市部のうち各都市の中心となる地域では拠点性を高め、人口減少により低密度化が進む拠点周辺の市街地ではゆとりのある居住空間を構築することにより、利便性や快適性の高い生活空間を創出しようとするものです。また担い手不足に悩む農山村では、地区計画などを活用して既存集落の拠点性を高めることにより、力強い農林業を育むことができると考えております。
 県といたしましては今後市町とともに、策定方針の考え方を反映した都市計画のマスタープランを策定し、ゆとりのある居住空間を創出するガーデンシティーや公共施設の都市拠点への誘導などの施策を展開することで新しい時代の魅力ある都市づくり、まちづくりを進めてまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 増田享大君。
       (十六番 増田享大君登壇)
○十六番(増田享大君) 広域的な都市づくりでございますので、やはりいろんな施策との連携というのは欠かせないと思います。そういった面ではぜひ広く県当局の皆様方にまちづくりの方針が浸透されますように期待をしています。御要望させていただきます。
 一点だけ済みません、再質問させていただきますが、実は空き家対策は掛川市も非常に困っておりまして、行政が何とか強制的に撤去させていただいて費用負担を求めるという、実は条例化も今もう検討段階に入っております。
 そういったことに関して、やはり現実の中でどうしても少子化・高齢化で人口が減ってくるとですね、いろんな不都合が出てくる。そういった部分に関する県の後押しについてですね、御所見がありましたら伺いたいと思います。御答弁願います。
○副議長(渥美泰一君) 長島交通基盤部長。
○交通基盤部長(長島郁夫君) 再質問にお答えいたします。
 時代の社会情勢の変化でいろいろな問題が出てきていると思います。それぞれの出てきている課題につきまして、市町ともしっかり意見交換をした上でですね、方向性を決めていきたいと思っています。以上でございます。
○副議長(渥美泰一君) 増田享大君。
       (十六番 増田享大君登壇)
○十六番(増田享大君) よろしくお願いします。
 次に、市町が行う事業への県の関与のあり方について伺います。
 浜松市天竜区に阿蔵山という多くの自然を有する緑豊かな山があります。この山は平成元年、当時の旧天竜市において住宅分譲地としての土地開発事業が始まりましたが、現在では浜松市土地開発公社に引き継がれ、ことしから県が遠州灘に整備する防潮堤の試験施工のための土砂の掘削、搬出が行われようとしております。
 新聞報道によりますと知事はこの阿蔵山を市と県が共同保有の上造成し、公営の緑豊かな住宅地として整備する旨の阿蔵ヒルズ構想を公表し、同所を災害時の仮設住宅用地として活用される案も示されたと聞きます。県が共同保有ということは、県民の貴重な税金が投入されるという可能性も出てくると思います。
 また、本来公営住宅とは生活支援を目的とする意味合いのものであり、豊かな暮らしの空間は本来民間が提供するべきもので、これらに貴重な税金を投じることは多くの県民の理解を得られないのではと思います。しかもこの土地はあくまで浜松市土地開発公社の所有であり、同市では住宅分譲地としての開発を中止し企業用地とする計画を公表しており、同市や近隣住民が求める計画と十分な連携を経た上での発言とは受け取れません。
 我が会派政調会でも問題を指摘する声が上がり確認させていただきますが、今後県はどのようにこの開発に関与されるおつもりなのか、所見を伺います。御答弁願います。
○副議長(渥美泰一君) 伊熊くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 伊熊元則君登壇)
○くらし・環境部長(伊熊元則君) 市町が行う事業への県の関与のあり方についてお答えいたします。
 東日本大震災のような大規模地震で被災された方が生活の基盤である住宅を確保し生活を再建していくことは、震災後の復旧・復興を図っていく上で大変重要であります。しかしながら本年六月に公表した第四次地震被害想定第一次報告においては、津波浸水区域が拡大し沿岸部では仮設住宅や災害公営住宅などの建設用地が不足することが予想され、必要な用地の選定は喫緊の課題であると認識しております。
 阿蔵山は、浜松市の内陸部に位置し新東名高速道路浜松浜北インターに近く交通至便であることや緑あふれる豊かな自然に恵まれていることから、被災された方が心地よく安心して生活できるガーデンシティーとして十分なポテンシャルを有する場所であると考えております。
 現在、浜松市沿岸域の防潮堤整備のため、阿蔵山の土砂の掘削、搬出を行っておりますので、阿蔵山のその後の土地利用が浜松市において具体化される中で、被災者の住宅用地としても活用できるよう提案してまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 増田享大君。
       (十六番 増田享大君登壇)
○十六番(増田享大君) 再質問させていただきますが、事前に市や地域の方々との打ち合わせ、協議はあったのでしょうか。その点だけ確認させてください。御答弁願います。
○副議長(渥美泰一君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 増田議員は阿蔵山に足を運ばれたことがあるでしょうか。旧天竜市、現浜松市がそこを開発するということで実際上その開発が失敗とは言いませんけれども、滞っていたわけです。そうした中で阿蔵山に例えば天竜高校と二俣高校の合併に対してその上に高校をつくったらどうかという案も出ましたけれども、そこを実際に調査された人たちは全く難しいと、つまり険しいと。交通の便が悪いとか要するに全く滞っていたというのが現実です。
 そうした中で東日本大震災が起こりました。そして三百億円余りの寄附金も頂戴することになりまして膨大な土砂が必要になるということになったわけです。私は真っ先に、といいますより船明とそしてこの阿蔵山というところは一体的でございますけれども、阿蔵山の土砂を活用できるということで、そして今それがこれは市とそれから寄附者と県とが一体になってやっているもので、伊藤副市長はそれを念頭に置いて受け入れていただき、市と協議をして進んでいるわけです。そしてその土砂を取り出すということは自然破壊です。ですから自然破壊というのを同時にこれがいかに有用にできるかということであります。
 東日本大震災における大問題は、いわゆる仮設住宅でした。今まだ何十万もの人たちがそこで苦しまれています。そうしたことを前もって、起こった場合にどうするかということを考えることが私たちのいわゆる内陸のフロンティアの取り組みでもあります。
 それで私は、土砂をとるときにあらかじめそこが仮設住宅というか、あるいは仮住まいになるように整備することを念頭に置いてやるべきだということを申し上げまして、そうした中でそこを仮に例えば船明のように住宅地にすると結果的に地価だけが上がって誰も買えなくなって、墓地にしか提供できないという状況になっているわけですね。そうしたことにならないようにここを公共的にもし困った人がいるならば、その人たちがそこにすぐに住めるように整備していくことが大事だということですね。そしてそのところは決して不便だとかあるいは住みにくいというところではないと。むしろそこは眼下に浜松市を見おろすことのできるむしろ丘だと。ヒルズと見るべきだと。山というふうに見るのは、こちらの主観の問題です。ロッキーマウンテンが山だと見る人にとっては日本の山々というのは丘に見えます。阿蔵山は、その高さから見ますともうすぐそこに眼下に上りおりできるようなところがたくさんございますから、それはもう決して大きな山と言うべきではないということでですね。むしろヒルというふうに名づけまして――これは別に決まったわけではありません。そうしたものとして開発できると。ようやくこの天竜市、現浜松市がこれから開発しようとされて、そして失敗されてというか、滞ってきたところに日の目が向いたというのが現状です。以上でございます。
○副議長(渥美泰一君) 増田享大君。
       (十六番 増田享大君登壇)
○十六番(増田享大君) 災害の視点というのは非常にいいことだと思いますので、ぜひその視点だけは欠かすことなく計画を進めていただきたい、協議をしていただきたいと。これは要望させていただきます。
 次に、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた本県の取り組みについて伺います。
 九月八日、ブエノスアイレスで開かれた国際オリンピック委員会総会において、二〇二〇年第三十二回夏季オリンピック大会の開催都市が東京に決定されました。我が国においては、一九六四年以来実に五十六年ぶりの五輪開催となり、IOCのロゲ会長が東京開催決定を発表した瞬間は多くの国民が感動されたことと思います。一方、約四千五百億円を投じ会場整備を進める準備計画も公表され、その経済波及効果が東日本を含めた全国に広がることも期待されています。中でも日本人選手や世界各国の事前合宿やプレ大会の誘致は、全国の自治体の注目となっており今後誘致競争が過熱することも予想されます。
 私の地元周辺にはエコパやつま恋、またトランポリンの国内での強化拠点となっております総合体育館さんりーなもあります。県内に目を向ければ、改装成った草薙球場を初め事前合宿等の誘致に応え得る競技場や宿泊地は各地に数多くあると思います。また障害をお持ちの方々に希望を与えるパラリンピックも開催され、健康長寿日本一の本県の福祉政策の取り組みや豊富な食材やさまざまな文化を世界に発信する絶好の機会とも言えます。こうしたことを考えれば、本県に事前合宿を誘致するなど県民の期待に応え、オリンピック開催の効果を県内に波及させていくような取り組みを推進する必要があると思います。
 そこで、東京オリンピック・パラリンピック大会開催に際し、県はこの機会を捉えどのような取り組みをされていく方針なのか、所見を伺います。御答弁願います。
○副議長(渥美泰一君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けた県の取り組みについて、お答えを申し上げます。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まりまして、即合宿誘致にできる限り支援をする旨表明し、JOCにお伝えいたしました。全国で最も早い誘致表明です。すなわち我々はこの好機を逃さず事前合宿、プレ大会を誘致するという方針を即決めました。そしてそれは合宿に来られてあるいは大会が行われるということによって、トップアスリートの活躍を目の当たりにすることができます。それは本県の皆様方のスポーツマンあるいは未来のスポーツマンの競技力の向上、広くスポーツの振興を促すことになると。そして議員御指摘のとおり観光の振興や世界との交流にもつながるということでこれを絶好の機会と捉えたわけでございます。
 それを支えるのに本県には、国際陸上競技大会仕様のエコパ、国際馬術大会開催のつま恋、トランポリンの国内拠点のさんりーな総合体育館などスポーツ施設がございます。そして豊富な食材もございます。それを生かした食文化を楽しんでいただくこともできるし、温泉も数多くございます。こうした宿泊施設を備えておりますので、さらにその上東京からもアクセスがいいということで誘致は必ず実現するという決意でおります。
 さらに、世界遺産になりました富士山、また茶草場がございます。そしてまた世界標準とも言うべき南アルプスについてはエコパークが来年の夏には今申請しておりますので、エコパークに認定される可能性も出てまいります。さらに伊豆半島には、韮山の反射炉が明治日本の産業革命遺産群の一つとして入っておりまして、これは今年度は富岡製糸場が今審査されることになりましたけれども、その次の世界文化遺産の審査対象になっております。これもまた世界標準になります。そして伊豆半島それ自体は、あと二年後には現在の国内ジオパークから世界ジオパークに格上げされる見込みでございます。こうした世界標準の観光資源があり、それ以外にもまた文字どおり文化的なSPACであるとかロダン館などの文化資源、豊富な食材、健康長寿日本一というイメージなど本県の魅力を世界にアピールするチャンスでもあると考えております。
 このため、今月中に静岡県東京オリンピック・パラリンピック推進本部を立ち上げます。JOC関係者や競技団体からの情報収集、県内スポーツ施設の詳細な調査、参加各国に向けての情報発信など具体的な活動に着手いたします。
 東京オリンピック・パラリンピックをふじのくにオリンピック・パラリンピックと捉えまして、オリンピック効果、パラリンピック効果を本県の発展のために最大限生かすとともに、七年後を見据えたジュニア世代の育成強化を図ることにより、スポーツ大国ふじのくに静岡の実現を目指してまいります。以上でございます。
○副議長(渥美泰一君) 増田享大君。
       (十六番 増田享大君登壇)
○十六番(増田享大君) 合宿誘致等に対して非常に自信みなぎる御答弁ありがとうございました。
 もう既に本部を立ち上げるということでございますが、もう既に海外へのアプローチは始めていらっしゃるのでしょうか。またいろいろな対応、県内の整備というのも必要になってくる。またいろんな産業振興発展につなげるためにも綿密な計画で総力を挙げてやっていく必要があると思うんですが、今の現時点の感触またその方向性と決意について御所見を伺います。御答弁願います。
○副議長(渥美泰一君) 下山文化・観光部長。
○文化・観光部長(下山晃司君) 東京オリンピック・パラリンピックの誘致についての再質問についてお答えいたします。
 今月中にもこの推進本部を立ち上げるわけですが、ここでは副知事を本部長といたしまして関係部局長を構成員とする全庁を挙げた体制とする予定でございます。
 機能といたしましては、競技力の向上でありますとか合宿誘致、観光誘客、国際交流、スポーツ産業振興等々、幅広く対象としたいと思っております。さらにはその下に担当の課長等で構成する幹事会も設けるということでございます。
 具体的な諸外国への情報発信につきましては、この本部立ち上げをもって始めたいと考えております。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 増田享大君。
       (十六番 増田享大君登壇)
○十六番(増田享大君) 西部の人間から見ますと、やはり富士山は羨望なんですね。掛川には茶草場農法の世界農業遺産登録がありました。ぜひ、富士山はやっぱり宣伝していってはくれると思うんですが、それにあわせてやはり疲弊にあえぐ茶業のこともぜひあわせて宣伝、発信をしていっていただきたい。これは要望とさせていただきます。
 次に、子供たちが学ぶ教育現場の現状について伺います。
 本年度の全国学力・学習状況調査において、本県の小学校国語Aの結果が全国最下位となりましたことは、子供たちを初め多くの県民が肩を落としたことと思います。
 一連の騒動のさなか、九月十四日付けの産経新聞に全国学力テストが示すことと題し、教育技術研究グループ代表の向山洋一先生の本県教育現場の問題を指摘する記事が掲載されました。記事には全国的に授業中に教科書をきちんと学んでいるクラスの成績がよいこと、教師の三割は教科書をほとんど教えていない授業を行っていること、一時間の授業で一問しか扱わない教師も多く、教科書の問題の多くは宿題にされていることなどとあります。
 また、静岡県内で独自に実施した三千人のアンケート結果から、先生が教科書で基本をきちんと教えて子供を褒めることが不足していることが見えてきたとあります。個人的には本来教科書をきちんと使用する授業は当たり前だと思っておりましたし、学校教育法にもその使用は明文化されております。教科書をきちんと使用する授業は、どの子供にも基礎学力を等しく身につけるためにも重要であり、その学びを復習し確かな学力にするためにも家庭での学習は大切だと思います。
 教科書をしっかりと活用した授業、それを補完する家庭学習のあり方につきまして、県の御認識と県内各学校現場での状況についての所見を伺います。御答弁を求めます。
○副議長(渥美泰一君) 安倍教育長。
       (教育長 安倍 徹君登壇)
○教育長(安倍 徹君) 子供たちが学ぶ教育現場の現状についてのうち、教科書を活用した授業と家庭学習のあり方についてお答えいたします。
 教科書の使用につきましては、議員御指摘のとおり学校教育法で定められており、教科書をしっかりと使用することは、子供たちが基礎的、基本的な学習内容を確実に身につけるために大切であると考えております。
 また、子供たち一人一人の学習状況や興味関心等に応じて学習内容をより具体的に取り扱ったり、繰り返し学習や発展的な学習を取り入れたりするため、教員みずから作成した教材や市販の教材、地域を素材とした教材も活用していると認識をしております。
 家庭学習につきましては、全国学力・学習状況調査の結果から本県の小学六年生は家で学校の宿題をしている割合は全国と比較して若干高いものの、自分で計画を立てて勉強している割合や予習、復習の割合は全国と比較して低く、みずから計画して予習、復習に取り組む姿勢が十分に身についているとは言えない状況にあります。子供たちがみずから意欲を持って家庭学習に取り組んでいくためには、子供一人一人が家庭学習の計画を立てられるよう指導することや調べ学習などの予習が次の授業で生かせる場を設定することなどが必要であり、また子供の学校生活の話に耳を傾けたり家庭学習に取り組む姿勢を褒めたりするなど家庭の協力も大変重要であると考えております。
 県教育委員会といたしましては、子供たちの学力の向上を図っていくために市町教育委員会と連携しながら校長会、教頭会や教務主任研修会等において、教科書を初めとした教材の活用をより適切に行うよう指導してまいります。また学校で取り組むこと、家庭でしっかりと身につけていくことなどをわかりやすくまとめた保護者、教員向けの一体型リーフレットを作成配布するなど子供が積極的に家庭学習を行うよう取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 増田享大君。
       (十六番 増田享大君登壇)
○十六番(増田享大君) 子供とか家庭にも何か悪いところがあるような御答弁に聞こえてしまったものですから、非常に残念な思いがして拝聴させていただきました。
 私は今回、教科書を使っていない先生がいる、そして宿題を丸投げされているかのような書かれ方をしたときに、じゃ、実際実態はどうなのですかという、そういうさんざんレクチャーをさせていただいて御質問させていただきましたが、どのような実態調査をされましたか。その点は確認させてください。
 それとその結果、今静岡県では基礎を身につける、それともう一つ、生きる力という問題解決型の授業をたくさん推奨されております。その比率はどうだったですか。それがこの新聞記事に対してどのような客観的なデータを用いて反論できるのか。それを実はぜひこの場で証明していただきたいと私は思っております。
 それと教科書の使用につきましてはもちろん学校教育法にもございますが、平成二年に伝習館高校裁判といって、教科書を使用するべきだという判決が出ております。最高裁判例ですが、それは大きく三つ原則があると言われているらしく、持参の原則と全部対応の原則と主たる教材――大半以上をその授業で教科書を使うべきだという三原則が提示されたと聞いております。この裁判の最高裁判例に対するその判例違反といいますか、法律的には問題はない現状が県内では行われているのでしょうか。この御認識について伺います。
 それといろいろ聞いて申しわけないんですが、私、今回この平成八年の中央教育審議会の答申でさっきの基礎の力と、社会が大変だから子供たちにたくましく育ってもらうために生きる力という、この基本的には基礎基本があった上で生きる力を身につけさせましょうという二大方針だと私は思っています。ですが県のいろいろな授業づくり指針ですとか「よりよい自分をつくるために」という冊子がございます。あれでいきますと基本のところよりも生きる力のほうがかなり強調して訴えていらっしゃるのかなと。ただしそのときに基礎の基礎、学問の基礎、学習の基礎基本というのは、どういう県としては御認識なのか。それをはかるすべというのは、私はふだんの授業でどのような授業を行っているか、宿題がどういうふうな――後で聞きますけれども教材のことも含めてですね――日々のチェック、確認がない限りその基礎基本の根拠というのがやはり、正直私、教育者じゃないわけですけど、客観的には理解しがたいものがあります。その点につきまして、基礎基本をどのように県教育委員会としては図られるまたそれに向けた授業が現場では行われていると把握されているのでしょうか。以上、御答弁を求めます。お願いします。
○副議長(渥美泰一君) 安倍教育長。
○教育長(安倍 徹君) 再質問にお答えしたいと思います。
 まず冒頭、今回の私の答弁が教師の責任というよりも子供たちあるいは家庭学習にあるのではないかというお話がありましたけれども、決してそうではなくてですね、これはもう子供たちそれから家庭、教員がそれぞれ連携しながら学力の向上には努めていかなければいけないという、そういう認識を持っております。
 多くの再質問項目がありましたので、全てに適切にお答えできるかどうかわかりませんけれども、まず第一点、今回の新聞記事に端を発した指摘でございますけれども、これについては正直なところ小中学校の教育につきましては、直接は市町教育委員会のほうが担当しているということでありますので、答弁の中でも申し上げましたようにやはり市町教育委員会と連携しながらこの実態、特に教科書を初めとした活用につきましては、先ほど伝習館高校の最高裁の判決のお話もありましたけれども、やはり教科書を適切に使うということについては、市町教育委員会と共通理解を図る中で今後各小中学校を指導していきたいというふうに思っております。
 また、生きる力と基礎基本との関係でありますけれども、これは生きる力の中に確かな学力という要素もございますので、そういう意味では生きる力を養っていく、その一つの要素として確かな学力。その中で基礎基本、知識理解、あるいは技能、表現、関心、意欲というものを培っていくという理解をしておりますので、決してそれは別々のものではなく生きる力の中に包含されているとそういうふうに理解をしているところであります。
 そういう中で、子供たちが将来学校教育を離れても一人の社会人としてやはり自分の能力、適性を十分生かして豊かな人生を送っていく、そのための力を私たち学校教育を担っている者は培っていかなければいけないのかなというふうに思っているところであります。以上でございます。
○副議長(渥美泰一君) 増田享大君。
       (十六番 増田享大君登壇)
○十六番(増田享大君) 再々質問させていただきますが、私の現場の状況はいかがですかという質問に対してどのような実態調査をされたのか、改めて聞きます。
 それと、教育委員会と市町の教育委員会と連携して学校に浸透していこうとされておりますが、私はそれは無理じゃないかなと思っています。教育委員会は教育長をトップとして水が流れるような組織にはなってないですよね。学校の権力が非常に強い、校長の権力も強い。並列のような私、イメージを持っています。学力向上委員会でも県の指導が学校に伝わっていないという御懸念される御意見もあったようですが、どのように現場の担任の先生方に反映、指導徹底されていくのでしょうか。授業づくり指針に明記されるおつもりとかございますか。確認させてください。御答弁願います。
○副議長(渥美泰一君) 安倍教育長。
○教育長(安倍 徹君) まず、実態の調査でございますけれども、これについては現時点では私たち行っておりませんので、やはり設置者であります市町教育委員会と今後相談をさせていただきながらこの部分については実施をしていきたいというふうに思っております。
 それから現場への指導でございますけれども、やはりこれは県と市町の役割分担で申し上げればやはり日々の教育活動についての指導助言は、直接はやはり服務監督者であります市町教育委員会でございますので、そこが把握をし必要に応じて指導助言を行うと。さらにそういうものを踏まえて県の教育委員会が必要であれば、やはり指導助言をしていくというそういう理解をしておりますので、私たちから直接小中学校の一人一人の教員の授業に踏み込むというのはやはり私としてはやはり市町教育委員会を経由してそこはやっていくということが必要ではないかなというふうに思っております。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 増田享大君。
       (十六番 増田享大君登壇)
○十六番(増田享大君) 最後に、教材の選定方法について伺います。
 この記事には続けてこうあります。静岡はもう一つ重要な課題を抱えており、教材の選択をめぐってある特定の教材を使用せざるを得ない慣例が存在し、しかも教材の選定時期は新担任が最新の教材を見比べて決めるべき四月ではなく二月である。静岡県の子供たちが使っている教材のレベルは低い、というかひどいとあります。
 大変痛烈な内容であり目を疑う記事でしたが、実際調べてみますと確かに本県では、静岡教育出版社発行の静岡県出版文化会編集によるドリルやテストなどの教材が多く使用されている事例もうかがえます。この同社発行の教材の編集は、県内の現役教師に加え退職教職員や退職校長会などにより行われていると聞きます。現役教師の現場での指導経験を反映し教師が問題を考える行為そのものは、教師の指導技量向上につながるものであり、それ自体は否定されるものではないと思います。しかし同様の教材は多くの民間編集社からも発行されており、全国的に採用率の高い教材には最新の脳科学の研究結果などを反映した子供たちにとって学びやすく、学力向上に向けたさまざまな工夫が凝らしてあるものが少なくありません。どの教材が最もすぐれ指導に適するかは何より現場で教える教師の評価判断が重要だと思います。
 しかし、記事にあるような現場の教師の教材選択の自由が奪われるような状況があるとすれば、それは決してあってはならないことであり公平でオープンな選定がなされるべきことは当然です。しかもこれらの教材は、学校側が子供たちに無償で与えるものではなく、その子供や家庭で費用負担するものでありますからなおのことです。
 県内では、この記事にあるような教材選定が実際、慣例化されているのでしょうか。本来はその年の最もすぐれ最も子供たちに適した教材を新年度の担任教師が自由に見比べて選定すべきと考えますが、県の認識と現場の状況について伺います。御答弁願います。
○副議長(渥美泰一君) 安倍教育長。
       (教育長 安倍 徹君登壇)
○教育長(安倍 徹君) 子供たちが学ぶ教育現場の現状についてのうち、教材の選定方法についてお答えをいたします。
 教科書以外の教材つまり副教材につきましては、各学校において教員がさまざまな出版社等が発行しているものの中から、子供たちの学習状況や保護者の負担等を考慮して内容、価格などの視点から比較検討し、最も適したものを候補に挙げ、最終的には校長の責任において決定していると認識しております。
 また、選定時期につきましては、新年度からの学習指導が円滑に始められるように年度末であったり年度初めであったり各学校の実情に応じて設定していると理解しております。
 副教材の選定結果につきましては、各市町教育委員会が定めました学校管理規則に基づき各学校が当該市町教育委員会に届け出ることとなっております。県教育委員会といたしましては、各学校の副教材の選定方法について確認等を行うよう各市町教育委員会に対して指導をしてまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 増田享大君。
       (十六番 増田享大君登壇)
○十六番(増田享大君) 私は今回の産経新聞の記事は、教育関係者だけではなくて静岡県で行われている教育がひどいと。屈辱的な記事だと思います。もしそんなことをやっていないとするならば、堂々と相手を告訴するなり訴えるなり、名誉毀損で堂々とこちらの非はありませんということを証明するべきだと思う。はっきり調査をして私が調べただけでもですね、六つの市だけですが、国語と算数のドリル、六%というところもありますよ。これは組合の関係だと思います。五二%というところがある。国語のテストに関しては、四三%から高いところでは九二%の採用率です。七十五校しか調べてないデータもいただきましたけれども、テストに至っては限りなく一〇〇%に近いデータが入っております。言われている記事が違うのであれば、それは堂々と公表して相手に謝罪を求めるなりするべきだと思います。
 しかも、私はこれだけしか調べられませんでしたが、市に提出されているということは教育長の権限であれば簡単に私、データはすぐに入っちゃうと思うんです。ですがきょうこの場で情報提供をいただけなかったということは、非常に私、残念です。
 正直言いますと私、今回の件でこれを質問するということになってから、このことだけやってきましたけど、けさのけさまでですね、県の教育委員会がみずからの非を認めるなりそんなことは事実無根ですと訴えるなり、どちらかの白か黒かがはっきりした公表をしてほしいと思っていました。ですが逆ですよね。またマスコミに書かれてしまった。全て外部からです。自浄作用があるとは私は思えない。改めてその実態調査をすべきと考えますが、その点についての御所見を伺います。
○副議長(渥美泰一君) 安倍教育長。
○教育長(安倍 徹君) 再質問について、お答えいたします。
 なかなか教育委員会制度の中で小中学校への指導につきましては、先ほどから申し上げておりますように県の教育委員会の立場と市町教育委員会の立場というのがあろうかなと思います。学校管理規則は各市町教育委員会が定め、それに基づいて小中学校の校長は副教材の届け出をしているわけであります。そういう意味では、この届け出を受理し責任持ってそれがいいというふうに判断をされたのは各市町教育委員会でございますので、私たちはその実態を今後調べることによって、もしそこに何か問題があるとするならば、やはりそれは静岡全体の問題として捉え市町教育委員会と連携しながら今後の対応策を図っていくという形にしたいというふうに思っております。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 増田享大君。
       (十六番 増田享大君登壇)
○十六番(増田享大君) 私、今回いろんな方とお会いさせていただきましたけど、正直子供たちのことを本気で考えてくれているのかなと。大人の理論、大人の組織論に走っていないかなとすごくつらく思いました。NIEって新聞教材を使うことをやっていますよね。だから毎日子供たち今一生懸命新聞を見ている子は多いわけですよ。このように連日のように教育界のことが批判される。一番傷ついているのは小学校六年生の子供たちだと私は思います。
 確かにこの資料、教材、いいですよやっぱり。ほかのをやってみましたけど、圧倒的に出文よりよっぽどいいと私は思いました。ただその選定時期。二月を認める理由は私には一切わかりません。新しい担任が四月になって決めるべきだと思います。そして見比べてやるべきだと私は思います。ですから実態調査をしっかりやっていただくということでしたので、私たちには権利がここまでですのでぜひその公表、しかも親に公表してほしい。私も子を持つ親ですが、本当にこれは子供たちと保護者に対する冒涜だと私は思う。もし世の中にすばらしい教科書や参考書、ドリルがたくさんあるのなら一番いいものを子供たちに与えていただきたい。そう願う親が全てだと思います。
 そのことを強く要望し、改めての御見識を御答弁を願い、子供たちにとって豊かな未来が訪れることを願い、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(渥美泰一君) 安倍教育長。
○教育長(安倍 徹君) 選定時期についてでありますけれども、これにつきましては若干答弁で言葉足らずのところがあったかなと思います。最終決定はあくまでも新年度になってからの校長の責任において行いますので、例えば前年度末に行うというのはあくまでもそれは案でして次の学年に向けて、いわゆる異動前の教員が目の前の子供たちにとって今一番いい教材は来年度どうなのかという形で案を次年度に提案をすると。そのための選定時期というふうに御理解いただきたいと思います。これはやはり新年度になってから新しい体制の中で新しい校長のもとに校長の責任において副教材は申請をしていく、届け出をしていくということで御理解をいただきたいと思います。
 連日新聞で云々というお話がありましたけれども、私たちは反省しなければいけないところはありますけれども、一方ではやはり静岡県が持っている教育のすばらしさというものもありますので、そういう意味では、自信と誇りを胸にまた逆に反省すべきところは反省しながら改めていくべきところは改めながら、今回の学力・学習状況調査に端を発しましたいろいろなマスコミ報道、あるいは県民の皆様からの御意見を真摯に受けとめて、今後対応していきたいというふうに思っているところであります。以上であります。

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