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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成22年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

蓮池 章平 議員

質問分類

代表質問

質問日:

07/13/2010

会派名:

公明党静岡県議団


質疑・質問事項:

1 新しい総合計画の策定について                  
2 静岡県の経営について                      
 (1) 公会計改革                          
 (2) 行財政改革                          
 (3) 富士山静岡空港の経営                     
3 危機管理体制の強化について                   
 (1) 最悪の事態を想定したシミュレーション             
 (2) 大規模災害発災後の情報対応                  
4 県東部の振興について                      
 (1) 沼津駅付近鉄道高架事業                    
 (2) 東部コンベンションセンターの整備               
5 環境対策について                        
 (1) 総合的な水利用                        
 (2) 環境教育                           
6 文化政策について                        
7 障がい者施策の充実について                   
 (1) 発達障がい者に対する支援                   
 (2) 障がい者の教員採用                      
 (3) 障がいのある児童生徒の学習環境                
8 子育て支援について                       
9 予防医学について                        
 (1) 子宮頸がんワクチン接種費用助成                
 (2) ヒブワクチン接種費用助成                   
10 うつ対策について                        
11 高校新卒者の就職支援とキャリア教育について           
12 来日外国人犯罪の現状と取り組みについて



    ○副議長(岩瀬 護君) ただいまから会議を再開します。
     質疑及び一般質問を続けます。
     通告により、三十二番 蓮池章平君。
           (三十二番 蓮池章平君登壇 拍手)
    ○三十二番(蓮池章平君) 私は公明党県議団を代表して知事並びに関係部局長、教育長、警察本部長に通告に従い、質問をいたします。
     質問に入る前に、去る六月十八日浜名湖における野外活動中、ボート転覆事故でお亡くなりになられました西野花菜さんの御冥福と事故に遭われた皆様の一日も早い回復をお祈り申し上げます。
     公明党県議団として、六月の二十一日に教育長に対して事故原因の究明と安全確保のための強化を求めたところですが、危機管理の観点からも二度とこのような惨事が起こらないように県の施設における万全の対策を重ねて求めておきます。
     初めに、新しい総合計画の策定について伺います。
     我が公明党は、地域主権の政治を目指し福祉、教育、平和に全力で取り組むことで地域で支える協働型福祉社会の実現、教育のために行動する社会の構築、平和、環境等で世界に貢献することを目指しております。現在策定中の総合計画は「富国有徳の理想郷“ふじのくに”」の実現に向けて、徳のある豊かで自立した地域としていくためのグランドデザインとなるものであり、目標とする県民幸福度の最大化は県民一人一人を大切にする我が会派の理念と共通するものであります。
     総合計画の策定に向けて、会派として一つ、地域主権の実現に向けた県みずからの取り組み、一つ、持続的な経済成長のための産業振興、基盤整備、一つ、子供の幸せと教育の充実、一つ、東海地震等の危機管理、医療・介護・福祉など県民の生命や財産を守る暮らしの安心・安全の確保、一つ、環境対策の充実、一つ、文化芸術の振興の六項目にわたる要望をいたしました。今後十年程度を見据え県の英知を集めてつくる次期総合計画を公明党の提言を踏まえてどのように計画策定に反映するのか、知事の所見を伺います。
     次に、静岡県の経営について伺います。
     県は本年度から経営管理部を新設し民間の経営の視点を県の財政運営に取り入れようとすることについては、大いに賛同するものであります。
     そこでまず、公会計改革について伺います。
     公会計改革の目的の一つは資産債務の改革を進めていくことであると認識をしております。財務諸表の四表を見ただけでは県の経営状況を正確に判断することはできませんが、資産債務の圧縮によりバランスシート全体の圧縮を進めていくことが求められております。地方財政制度上、本県だけで債務の圧縮をしようと努力してもそう簡単に圧縮できるものではありませんが努力し続けなくてはならないことも事実であります。
     まず、売却可能資産の扱いについてであります。平成十八年七月七日に閣議決定された経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇六に「最大限の資産債務の圧縮を進める。資産売却収入は原則として債務の償還に充当し、債務残高の縮減に貢献する。資産債務を両建てで縮減し、金利変動リスクを軽減する」とあります。つまり資産売却については新たな財源の確保として見ることは適当ではないと考えます。
     また、これまで何度か質問で取り上げました退職手当債の発行については、石川前知事が私の質問に発行しないでも何とかしのげるのではないかと見ていると答弁をされた翌年から発行し出すという、考えられない対応を行ってきたことはいまだに納得いきません。資産形成を伴わない退職手当債の発行は負債の拡大のみであります。県はよく受益者負担という言葉を使い県民に負担を求めます。しかし県の職員の退職金を受益を受けない将来世代の借金で賄うことに対して県民の理解を得ることは非常に難しいのではないでしょうか。中小企業の経営者や働く皆さんが給与を減らされながら必死で頑張っていることを考えれば、毎年の職員の退職金の財源不足を借金で賄うことをせずに、議員も含めた職員の給与の減額で百億円の財源を捻出することを考えるべきではないのでしょうか。
     以上の指摘も踏まえ、公会計改革の本旨である県の資産、債務改革に経営の視点からどのように取り組んでいかれるのか伺います。
     次に、行財政改革について伺います。
     本県における行財政改革の取り組みは、平成十八年三月に策定した静岡県行財政改革大綱実施計画――集中改革プランにより平成二十一年度までの五年間、改革を進めてまいりました。特に業務棚卸表による行政評価を中心とした新公共経営――NPMを軸に、簡素で効率的な組織構築、民間活力の活用など七つの柱を定めて進めてきたと承知をしております。昨年度行われた事業仕分けでは八十九事業の見直しで三十一億円の財源捻出をいたしましたが、本年度も引き続き事業仕分けにより行財政改革を行う予定と承知をしております。
     ところで、平成十七年十二月議会において、事業仕分けを導入して県の事業を見直すべきとの私の提案に対して、NPM手法による行政運営の仕組みは事業仕分けを先取りしていると一蹴されました。ところが川勝知事の誕生以来、知事の肝いりの事業仕分けが行財政改革の柱になってしまったように見えます。
     そこで、これまでの新公共経営を軸とした行財政改革と事業仕分けの関係について知事はどのようにお考えになっているのか改めて伺います。
     次に、富士山静岡空港の経営について伺います。
     富士山静岡空港は開港一年を経過をいたしました。一年間の利用者数は約六十三万人、搭乗率は約六六%と世界的な景気停滞などの影響がある中、開港初年度としてはまずまずの結果ではないかと考えます。一方、一年目の収支は予算ベースでありますが約三億五千四百万円のマイナス、職員人件費を入れると約四億八千百万円のマイナスと経営面から大きな課題を抱えたままであります。県民から期待された一年目と違い二年目以降が勝負でありますし、今後交流人口の拡大を図るためには県民がより一層空港を利活用すること、国内遠隔地や韓国、中国からの観光誘客の取り組みなど空港の利活用促進がますます重要になってくると考えます。県民からはいつまで空港の赤字を県民の税金で補てんをするのかという厳しい指摘もあります。
     空港の経営という視点からは、収支のバランスをいつまでに均衡させていこうとするのか、その目標、計画を明確にする必要があります。当然、収入増と支出削減の努力が求められます。収入増に対する取り組みは、言いかえれば空港を利用される顧客満足度を向上させなければ達成されません。何度も富士山静岡空港を利用して国内外に行こうとならなければ利用客の増加につながらない。私が何人かの利用された皆さんからいただいたクレームの中には「旅行に行くのに空港が楽しくないね」、「待ち時間を楽しく過ごせる場所がない」、「福岡空港に到着したときに飛行機からデッキまで外を歩かされた」、「札幌、沖縄便は遊びに行くのに丸一日無駄な時間になる」、「海外へ出発する際、荷物を事前に空港に送ることができない」等々もっと利用する人の立場に立った改善努力が必要であります。
     また、経費削減の努力はあまりに高額な事務所の家賃、県職員の配置基準、委託費の見直しなどが必要であり徹底して支出削減をすべきであります。赤字が続く会社が高い家賃の事務所で仕事をすることは民間では考えられません。
     今後、空港経営の改善についてどのような視点で取り組んでいかれるのか伺います。
     次に、危機管理体制の強化について伺います。
     平成二十一年二月議会において総合的な危機管理の強化を求め、翌二十一年四月より危機管理局が発足し、本年度組織改正により危機管理局から部に昇格させ総合計画の基本構想のトップに命を守る危機管理が掲げられたことを評価するものであります。
     危機管理とは最悪の最悪を想定することであり、危機に直面して時に冷徹に判断、行動することが求められます。危機管理部のみならず県庁全体が同じ危機管理の意識に立てるかどうか、すべてはそこに帰着するのではないでしょうか。先ほど申し上げたように危機管理とは最悪をどう想定できるか想像力の問題であるとも言えます。例えば浜名湖で起きたボート訓練中の死亡事故も天候の悪化による最悪の事態を想定した上で訓練が実施されていれば防げていた可能性もあったのではないでしょうか。これまでも県はさまざまな状況を想定した訓練の実施を行ってきましたが、訓練も重ねていくとマンネリ化していくものであります。
     最悪を想定した訓練は、例えば新型インフルエンザが蔓延した状況で大規模災害が発生するなど、最悪の状況下での危機管理体制が機能するかシミュレーションを行う必要があると思います。複数の災害が広域的に同時に発生する大規模災害などを想定した訓練の重要性を再確認し、最悪の事態を想定した訓練にどのように取り組むのか今後の県の取り組みについて伺います。
     次に、大規模災害発災後の情報対応について伺います。
     宮崎県で発生した口蹄疫の被害では、最終的に二十七万六千頭の牛、豚の家畜が殺処分されました。初動における対応のおくれが被害の拡大と抑え込みの失敗になったのではないかとの専門家の指摘があり、どのような災害においても初動の対応がその後の被害の拡大に大きな影響があることは論をまたないと思います。
     予想される最大規模の災害と考えられる東海地震が発生すれば広域かつ甚大な被害が予想されます。各地からの被害の状況をいち早く収集しまずは人命救助を優先して迅速に対応することが求められます。救助のための避難路の確保や、病院、避難所の状況確認といった情報収集は大変重要であります。また伊豆などの観光地に滞在する来県者への防災関係情報の伝達については、これまでも県下各地のコミュニティーFMと連携し必要な情報を的確に提供する仕組みができておりますが、今後とも安心情報の発信ができるように他メディアも含めた情報提供体制の強化を求めたいところであります。
     そこで、東海地震などの大規模な災害が発生した際の情報収集、管理、提供に対する県の取り組みについて伺います。
     次に、県東部の振興について伺います。
     最初に、沼津駅付近鉄道高架事業についてであります。
     これまでも本会議において、知事は県東部における高次都市機能の整備についてその基盤となる沼津駅付近鉄道高架事業の重要性については既に何度も推進の立場を明言されておりますが、現在、沼津駅周辺では三ツ目ガードの北側において区画整理事業によるかさ上げ工事と国道四一四号の四車線化の工事が急ピッチで進められており、沼津駅北口駅前西側街区も工事着手されたところであり鉄道高架を前提とした周辺整備が着々と行われ、街が目に見えて変わっていく姿を見ることができます。一方、JR貨物との話し合いの進捗状況が見えないため今後の高架事業全体の推進に危惧を抱いているとの声も多くあります。
     今後、第三者委員会を設置してさまざまな角度からの検証と各方面の有識者の方からの御意見を伺うとのことでありますが、沼津駅の鉄道高架事業推進に対する知事の強い決意と第三者委員会の今後の進め方、事業全体の完成までのスケジュールをどのように明示されるのか伺います。
     次に、東部コンベンションセンターの整備についてであります。
     静岡県東部地域にふさわしい高次都市機能を担う本格的な施設整備について、県と沼津市に対して地元経済人、学識経験者による沼津駅北拠点施設整備構想研究会から平成十九年八月に具体的整備構想案がまとまり提言されました。この提言を踏まえ、沼津駅北地区において高次都市機能を担い新たな都市拠点を形成するための構想を県と沼津市が共同で平成二十年四月に発表、県の整備する会議場施設及び沼津市の整備する展示場施設などから成る東部コンベンションセンターを一体的に整備することとなっております。
     当初の予定では、本年度は財産の取得に関する契約を締結し建設工事に着手する予定でありました。しかしながら県の再検討課題となり、沼津市もキラメッセの利用を一年間延期する対応をとっております。県東部地域にふさわしい構想だけに市民からも一日も早い構想実現への期待の声が聞かれます。
     県東部コンベンションセンター整備の見通しについて、知事の明快な御答弁をお願いをいたします。
     次に、環境対策について伺います。
     一つ目は、総合的な水利用についてであります。
     水はあらゆる生物にとって命の糧であり人間が社会生活を営む上で欠くことのできない資源であります。近年、経済活動の高度化、都市化及び森林の保水能力の低下などにより健全な水循環に対する弊害が懸念され、将来的には地球温暖化により河川水量の減少や海面上昇による地下水の塩水化が起こるなど利用可能な淡水量の減少が指摘をされています。
     水に関する問題は日本のみならず世界的な問題であり、これまでも世界水フォーラムやアジア・太平洋水サミット、北海道洞爺湖で開催されたG8サミットにおいて水に関する問題が議題として取り上げられたところであります。現代社会においては、水も電気と同じく常に使えることを前提として社会経済活動が成り立っており、一たび大渇水が発生した際の県民生活や社会活動への影響は甚大なものとなります。
     本県においては、水道水と工業用水については地表水と地下水の利用状況はほぼ半分ずつであり理想的な利用状況とも言えますが、将来にわたって永続的に必要な水を必要な量だけ確保するためにはさまざまな角度から管理をしていく必要があると考えます。
     そこで、「富国有徳の理想郷“ふじのくに”」を築いていくためにどのような観点から総合的な水利用、水資源の管理をしていくのか伺います。
     次に、環境教育について伺います。
     「死んだ川にどうやってサケを呼び戻すかあなたは知らないでしょう。絶滅した動物をどうやって生き返らせるのかあなたは知らないでしょう。そして今や砂漠となってしまった場所にどうやって森をよみがえらせるのかあなたは知らないでしょう。どうやって直すのかわからないものを壊し続けるのはもうやめてください」ブラジルのリオで開催された世界環境サミットで行われた十二歳の少女、カナダのセヴァン・スズキが行ったリオの伝説のスピーチの一部であります。
     世代を担う若者たちにこの地球、日本、静岡を託す以外にないのであります。本県においてもこれまで身近な自然とのかかわりを通して環境問題を総合的に思考・判断し環境保全に向けた取り組みを行っております。県立三ヶ日高校の環境コースや磐田農業高校などにおいて生徒が環境問題に関するさまざまな取り組みに挑戦しており、各学校において身近な視点から環境をとらえる生徒の取り組みに光を当てることが環境問題に対する県民意識の向上につながっていくと考えます。
     そこで、このような取り組みを最大限に生かしながら、県下の高校生による環境サミットとして開催することを提案したいと思います。さらに本県の動きを全国に呼びかけ環境教育のうねりとしてはどうでしょうか。所見を伺います。
     次に、文化政策について知事の考えを伺います。
     質問の前にここ数日間、富士山の世界遺産登録の報道が続いておりますが、知事を初め県では登録に向けた努力をいただいており、引き続き登録実現に向け頑張っていただきたいと思います。
     今後、富士山は文化の宝庫としての静岡を世界に知らしめる最大の武器であると思います。世界に誇る富士山は本県の宝であり日本の宝であります。二月二十三日を富士山の日と定めましたので富士山にかかわる一級の芸術品、美術品を日本じゅう、世界じゅうから一堂に集め世界をあっと言わせるような大富士山展を開催するなど、日本だけでなく世界に対しても情報発信、静岡の名をさらに高めていただきたいと思います。
     さて、文化政策についてでありますが、これまでも公明党として文化芸術と振興についてはさまざまな観点から提案し県民の文化力の向上を推進してまいりました。特に本県の文化振興を推進するための条例制定に向けての提案、音楽文化の振興、美術館の魅力向上、国民文化祭への県民参加、オペラコンクールの昇華、さらには文化普及の担い手としての文化ボランティアへの支援や文化芸術を財政的に支える企業メセナの活用など提案、推進してまいりました。
     しかしながら、近年の経済不況のあおりか県民が直接生で文化芸術に触れる機会は少なくなってきており県民の文化力の低下が懸念されております。文化力がこれからの国づくりの基礎となるという川勝知事の考えは我が会派と共通する認識でありますが、県民の文化力向上のためにさらなる努力と具体的な方策が求められております。
     知事は、本県の文化政策をどのように昇華させ県民の文化力の向上につなげていかれるのか伺います。
     また、知事が提唱される、いつでもどこでも多彩で魅力的な文化の花が咲き県内外からあこがれられる地域になる、本県全体が丸ごと博物館になるというふじのくに芸術回廊とは具体的にどのような全体像なのか、県民には少しイメージしにくい面もあると思いますので県民にわかりやすく御説明いただければと思います。
     次に、障害者施策の充実について伺います。
     初めに、発達障害者に対する支援についてであります。
     さきの通常国会で障害者の応能負担への変更と発達障害者の位置づけを明確にするための障害者自立支援法の改正案が提出され、与党民主党、自民党、公明党、共産党で合意され参議院で可決することとなっておりましたが、鳩山総理の突然の辞任会見と重なり本会議が開会されませんでした。また新しく総理になった菅総理も問責決議案が怖かったのか、参議院の本会議を開かずに国会を閉じてしまいました。多くの発達障害の子供を持つ保護者から落胆の声を聞きました。民主党の議員の皆さんにはぜひともこのような現場の苦しみを無視した国会運営がなされないよう、地方から声を上げていただきたいと思います。
     さて、自閉症の治療についてはこれまでさまざまな治療法が試みられてきましたが、どれも障害を劇的に改善させるものはありませんでした。しかしながら近年アメリカにおいてABA早期集中療育という行動療法が開発され、自閉症の症状の改善に画期的な効果を上げています。自閉症に有効な治療法はないというこれまでの常識を覆し自閉症の痕跡をほとんどとどめないまでに回復する子供もいるという例も見られます。薬に頼らないさまざまな行動療法は投薬と併用すれば劇的な改善を生む例も見られております。特に幼児期から治療を開始することでその効果は一層早くあらわれると言われております。
     この方法を開発したのはアメリカUCLAのロバース博士らの研究チームであります。一九八七年に発表した論文では、二歳から三歳の自閉症児十九人に対しABAに基づく平均週四十時間の一対一の療育を二年以上にわたり施した結果、十九人中九人が知的に正常となり付き添いなしで小学校普通学級に入学をいたしました。ちなみに知的に正常域だったのは二人でした。一九九九年ニューヨーク州保健省が発行した自閉症幼児のための診断・治療ガイドラインでは、週二十時間以上の一対一のABA療育がほとんど唯一改善効果を実証されている方法として推奨されました。現在ニューヨーク州、カリフォルニア州、カナダ・オンタリオ州などではABA早期集中療育が公費で実施されております。
     現在、国では認めておりませんが県として先進的に研究してはいかがでしょうか。障害のある人や家族が安心して暮らせるふじのくにになるのではないかと考えます。発達障害者に対する県の積極的な支援について伺います。
     次に、障害者の教員採用について伺います。
     総合計画の中に位置づけられている「障害のある人の自立と社会参加」の項目には、「障害のある人が住みなれた地域でその人らしく輝きながら地域の人々とともに暮らす社会を実現することが重要。障害のある人が働く幸せを感じられるよう就労支援を行い障害のある人への理解を深めていく」とあります。
     それでは、現実はどうでしょうか。県教育委員会の障害者雇用率は一・七三%と低く、その要因は教育職員の障害者雇用が進んでいないということであります。神奈川県では二〇〇九年度から身体に障害があり教員を目指す人に対して特別選考枠十人程度を設け、障害のある人への門戸を大きくあけました。
     本県においても、ノーマライゼーションを進め「富国有徳の理想郷“ふじのくに”」実現の観点から障害のある人の特別選考枠を設けてはいかがでしょうか。まずは早急に法定雇用率の達成に向けて具体策を検討する必要があります。教育長の所見を伺います。
     次に、障害のある児童生徒の学習環境について教育長の見解を伺います。
     小中学校における特別支援学級の編制については、これまで県の見解は複数人でクラス編制を原則としてきました。しかしながら総合計画の基本構想に示されている、住みなれた地域でその人らしく輝きながら地域の人々とともに暮らす社会を実現することが重要と考えます。そのためには学校教育の段階で地域で育つ環境こそ必要であり、その環境の整備充実のため希望する児童生徒には地元の学校に通学できるよう一人の学級も認めていくべきと考えますが、教育長の見解を確認したいと思います。
     次に、子育て支援について伺います。
     男女共同参画社会実現への大きな動きの中で子育て支援のあり方が問われており、公明党は現場の声を政策にすることが何よりも重要と考え、本年二月子育て支援にかかわる二百四十七の機関の皆様と二十代から四十代の女性千九百十名の方を対象にアンケート調査を実施し、その結果百五十九の保育園、幼稚園、千七百九十六名の女性から回答をいただくことができました。
     調査結果によると約四割の保育所で園児の数が増加傾向にある一方、幼稚園では半数以上が減少しており待機児童増加の構図が浮き彫りとなりました。また幼稚園、保育園とも経験豊富な人材や常勤の職員が不足しているとの声も多く聞かれました。女性へのアンケートでは「働く上での障害は何か」との問いに、既婚、未婚を問わず半数以上の女性が、「育児・介護休暇が取得しにくい」、「育児・介護施設の不足」を挙げております。
     今回の調査は、供給側と需要側を同時に問うことで子育て支援の現場を改善する政策課題が明らかになりました。その一つは幼保一元化についてであります。利用者である女性の七割が一元化を進めることを望んでいますが、子育て支援機関は幼稚園、保育園ともに一元化を望むのは四割しかありませんでした。また「子供を産み、育てることを社会が評価している」と思う女性は既婚女性の三・二%、未婚女性の〇・七%、「どちらかといえばそう思う」を入れても二割以下という衝撃的な結果でありました。行政に対して支援充実の期待は、延長保育、乳児保育など保育サービスの充実、経済的な支援、緊急時の保育サービスなどが上位を占めました。
     これらの調査に基づき、公明党として知事に対して四月十二日に幼保連携に対する子育て支援機関への啓発、保育所、幼稚園等の耐震化への支援、多様な保育サービスの拡充、出産・育児休業の取りやすい環境整備など七項目にわたる子育て支援全般の拡充に関する要望を提出させていただいたところであります。
     そこで、我が会派の要望に対して県として今後どのように子育て支援の拡充を図っていかれるのか伺います。
     次に、予防医学について伺います。
     初めに、子宮頸がんワクチン接種費用助成について伺います。
     人間の生命と健康を守ることは政治の最優先課題と言っても過言ではありません。ところがワクチンで予防できる病気があるにもかかわらず日本はこれまでワクチン後進国と指摘され続けてきました。
     女性のがんのうち唯一予防できるがんとして子宮頸がんがあります。日本全国では年間三千五百人の方が子宮頸がんで亡くなっております。公明党の強い働きかけで子宮頸がんワクチンが昨年秋に承認されようやく厚い扉が開きました。全国各自治体の議会においてワクチンの公費助成を求め、自治体独自の予算でワクチン接種が実施されるようになっております。
     県内においては川根本町で既に実施、三島市が実施を決定いたしました。しかしながら最低でも半年間で三回の接種が必要であり一人当たり約五万円の費用がかかるため、財政的に厳しい市町では単独の実施は困難であります。県のワクチン接種の助成制度の創設について伺います。
     次に、ヒブワクチン接種費用助成について伺います。
     ヒブ――インフルエンザ菌b型や肺炎球菌が原因で毎年千人の乳幼児が重い細菌性髄膜炎を発症し、患者の二五%に知的障害、聴覚障害が残り五%が死亡しています。発症の年齢は生後三カ月から五歳ぐらいまでに多く七〇歳以上でも多いとされています。病気の原因とされるヒブ菌はせきやくしゃみで飛び散ることによって感染が拡大していきます。ワクチン接種を受ければのどなどにヒブ菌がつかなくなり感染拡大の抑止効果が高くなります。同ワクチンは全額自己負担のため経済的な負担の軽減が指摘されてきました。既に都道府県レベルでは東京都、兵庫県においても公費助成する動きが広まっております。
     本県においても既に裾野市において実施、本年度より富士市、川根本町においても公費助成を実施する予定と聞いております。安心して子供を育てる環境の整備こそ「育ててよし」のふじのくにであります。県が率先して市町に対して助成する制度を創設することにより市町におけるワクチンの無料接種が進むと考えますが、県の接種費用助成制度創設の決意を伺います。
     次に、うつ対策について伺います。
     公明党は福祉の党としてこれまでも医療、介護、子育て支援などの充実に力を尽くしてまいりました。しかし今までの福祉の枠では対応できないうつ病、児童虐待、孤独死など新たなリスクが出てきております。特にうつ病については、平成二十一年度版の自殺対策白書によると平成二十年における我が国の自殺者は三万二千二百四十九人であり、その原因は健康問題が六四・五%と最も多くそのうち四割以上をうつ病が占め、総合的なうつ病対策が重要な課題であることが改めて浮き彫りにされました。
     また、昨年末に厚生労働省が発表した調査によると、うつ病の患者数が初めて百万人を超え十年足らずで二・四倍に急増していることがわかりました。うつ病の治療に関して、医師からは患者一人当たり五分から十分程度の診療時間しか確保できず薬だけを出して診療を終わるケースも多く、心が病んでいる原因がどこにあるのかといったじっくり時間をかけた治療がなかなかできないといった話をよく聞きます。既に沖縄県の総合精神保健福祉センターで先進的に行われた認知行動療法と薬物療法の併用による治療で約九割のうつ病の患者が改善したとの報告がされています。
     公明党では、うつ病対策のワーキングチームで認知行動療法の有効性に注目し、薬物療法のみに頼らない総合うつ対策をまとめその実現に取り組んでまいりました。その結果今年度の診療報酬改定により認知行動療法に健康保険が適用されることになりました。私のもとにもうつ病で悩む方や家族の方から、本県においてどこに行けば受けられるのかといった相談が多く寄せられています。
     一刻も早い体制の整備が望まれますが、専門家の養成や相談体制の整備などまずは県立三病院において先進的に取り組むべきと考えますが、知事の所見を伺います。
     次に、高校新卒者の就職支援とキャリア教育について伺います。
     本年三月末の高等学校新規卒業者の就職内定率は九五・四%と昨年度に比べ二・八ポイント下回り、大学生の就職留年、全国で七万九千人いるとの推計が新聞発表されましたが、高校生の場合は就職ができずに留年することはできず、専門学校に進路変更するなど実態は極めて厳しい状況となっております。
     昨年九月、我が会派の谷議員の高校生の就職支援に対して、企業との就職相談会、学校での模擬面接指導、県中小企業団体中央会との連携による職業意識啓発講座などを行っているとの答弁でありました。しかしながら即効性のある対策とはなり得ないのではないでしょうか。就職先が決まらない新卒者に対しては、短期の職業訓練を技術専門校で実施したり、森林・林業・農業に関する実習、就業相談を行うなど即効性のある就職支援策が必要と考えますが、県の積極的な取り組みを伺います。
     また、在学期間中における職業意識を涵養することの重要性は、これまでも会派として取り上げ県の取り組みを求めてきたところであります。私の子供のころには街には商店や工場を初めさまざまな職場が身近にあり働く姿に直接触れる機会が多くありました。職業体験を通し働くことの厳しさ、人間関係をどのように築き上げていくか、仕事に対する興味、自分自身の中にある適性の発見など人格形成に欠くべからざるものを得る絶好のチャンスであります。
     しかしながら、体験を受け入れてくれる企業や商店を探すことに苦労しているという話も聞きます。受け入れ先事業所の提供を保護者全員にお願いする取り組みや苦戦している商店街などは、商業振興の観点から交渉することも一案であると考えます。
     そこで、職業意識涵養のためキャリア教育をどのように取り組むのかあわせて伺います。
     最後に、県内における来日外国人の犯罪の現状と取り組みについて伺います。
     本県の治安情勢は、刑法犯罪の認知件数が平成十五年から七年連続して減少し検挙率も向上し治安情勢は改善しつつあると認識をしております。しかしながら県内では昨年、私の地元沼津市においてフィリピン人少年による強盗殺人事件が発生、昨年から今年にかけては来日外国人グループによる自動車盗やカーナビを対象とした部品ねらい、車上ねらいなど外国人による事件が耳目を引いております。また高級貴金属を盗む爆窃団など来日外国人犯罪組織が関与する事件が全国で発生しており、来日外国人による犯罪は県民に不安を与えております。
     県内には日系ブラジル人を初めとする数多くの来日外国人が暮らしておりますが、ほとんどの方が一生懸命仕事をし頑張って生活をしている中で、一部の人が犯罪に手を染めていることは残念でなりません。
     そこで、県内における来日外国人犯罪の現状とこれに対する県警の取り組みについて伺います。
     ここでひとまず質問を終わります。(拍手)
    ○副議長(岩瀬 護君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 蓮池議員にお答えいたします。
     初めに、新しい総合計画の策定についてであります。
     公明党の皆様から六つの要望をいただきました。まず第一の地域主権の実現に向けた取り組みでございますけれども、まさに新しい総合計画の策定、それ自体が地域主権に向けた取り組みでございます。「住んでよし 訪れてよし」、「生んでよし 育ててよし」、「学んでよし 働いてよし」の地域を目指して「富国有徳の理想郷“ふじのくに”」づくり、これを県政運営の基本理念とする新しい総合計画の策定、これが地域主権のためのマニフェストを発展的に継承しました新しい総合計画でございます。現在この地域主権を目指したふじのくにづくりを実現するための具体的な施策を基本計画として取りまとめているところでございますが、多くの県民の皆様に共有していただける計画としていくために県議会を初め県民の皆様から広く御意見を伺ってまいります。
     二つ目の要望でございます持続的な経済成長のための産業振興でございますけれども、これは新しい原料、新しい生産方法、新しい生産組織、新しい市場、新しい製品など現場の持っている力を新結合させまして本県ならではの成長戦略にしたいということで今その戦略を練っておりますが、基本的には本県の持っております農林水産業を改めて活性化させていく農林水産業のルネッサンスというものをベースにいたしまして、生産から消費に至るまでをにらんだ六次産業化の推進、食の都づくりによる食を軸にした新しい産業興しなどが柱になります。
     三つ目の要望でございます子供の幸せと教育の充実についてですが、「富2(じ)3(さん)っ子」応援プロジェクト、これが柱の一つでございます。また教育の面におきましては国に先駆けました静岡式三十五人学級の充実、そして安心して子供を産み育てられる環境づくりに取り組んでまいります。
     第四番目の要望でございます暮らしの安心と安全の確保ですけれども、防災先進県としての本県のプレゼンスを高めるということが柱になりますが、東海地震等の大規模災害発生直後から迅速で的確な救出救護等を図るための地域情報システムを活用した総合防災情報システムの構築、これを進めるとともに、地域医療を担う医師の養成と確保にも取り組んでまいります。
     五番目の要望でございます環境対策については、県民参加の森づくりとして一校一山や一社一山運動を展開してまいります。
     六つ目の要望でございます文化芸術の振興につきましては、多彩な文化の創出と継承を図るために県内全地域にわたってふじのくに芸術回廊づくりを進めてまいります。
     こうした取り組みを初めといたします戦略的な施策を新しい総合計画に位置づけて展開していくことにより地域の自立の実を上げてまいりたい。そして県民の皆様だれもが物心両面の豊かさを享受できるふじのくにづくりに挑んでまいります。
     次に、静岡県の経営についてのうち、行財政改革についてであります。
     本県では、業務棚卸表やひとり一改革運動など新公共経営の手法による行財政改革に取り組み、事務事業を常にみずから見直し効果的、能率的な行政運営に努めてまいりました。しかし厳しさを増す財政環境のもと、さらに徹底して事業を見直すとともに行政の透明性を高めるために第三者の仕分け人や県民から選ばれた皆様など外部からの評価を公開の場で伺う事業仕分けにも、私が知事として就任しまして後、新たに取り組んでいるところでございます。
     本県が今まで取り組んでまいりました業務棚卸表を活用した行政評価は、事務事業全体を継続的に見直すものでございますが、事業仕分けはこのうち予算化した事業を評価するものでいわゆるプラン・ドゥー・チェック・アクション――PDCAサイクルのC、Cというところの評価の一部をなしましてこのサイクルを補完する役割がございます。職員の意識改革を促すとともに、県民の皆様に県の事業を知っていただきまして県政への参加意識を高める上で効果的な取り組みであると考えております。
     今後は、業務棚卸表を活用した事業仕分けという静岡方式の取り組みを追求してまいりまして改革改善を進め、県民の皆様の声に真摯に耳を傾け行財政改革に取り組んでまいります。
     次に、県東部の振興についてのうち、東部コンベンションセンターの整備についてであります。
     現在、県では昨年三月に優先交渉権者として選定しました事業者グループと基本協定の締結に向けた事業計画の調整を行っているところであります。経緯を申し上げますと平成二十年四月に県と沼津市が静岡県東部地域拠点施設整備構想を公表いたしました。同年八月に公募型事業プロポーザル、事業提案募集要項を公表いたしました。翌二十一年三月に事業提案審査委員会の答申を受けて優先交渉権者を選定し、現在その優先交渉権者と基本協定締結に向けて事業計画の調整等を行っているところでございます。
     具体的には、沼津らしさを演出する建物とするため施設全体のコンセプトを「千本松原」といたしまして、地域振興を図る県産木材の積極的な活用、景観と省エネルギー効果を考慮した屋上や壁面の緑化、施設のエントランス空間を利用したにぎわいの創出などについて検討を行っております。またこの施設を地域に根差したものとするため事業者グループにおきまして地域の方々との意見交換会も重ねております。そこでいただきました御意見も踏まえて利用者にとってより魅力のある施設となるように努めてまいります。
     今後も、県市連携いたしまして事業者との調整を精力的に進め、早期に基本協定を締結し、県施設につきましては当初の予定どおり平成二十六年度、また沼津市の展示イベント施設につきましては平成二十五年度の供用開始を目途に事業を推進してまいります。
     次に、文化政策についてであります。
     文化力の向上は、社会の経済活動などと結びつき地域の魅力となって国内外のさまざまな人、文化、産業、情報などを引きつけ交流の拡大を促し、さらに質が高く広がりのある文化を生み出します。このため本県の文化振興基本計画では、文化芸術を「みる」、「つくる」、「ささえる」人を育て感性豊かな地域社会の形成を目指すことを基本目標としております。特にこれまで文化芸術を「ささえる」活動の重要性が十分に認識されていなかったことから、全国に先駆けてこの機能の充実を重点としてさまざまな施策を展開しております。
     こうした中、昨年開催いたしました国民文化祭は、多くの県民が鑑賞や運営などさまざまな立場で参加することで本県が長年培ってきた文化力を実感するとともに、みずからが住む地域の魅力を再認識する絶好の機会となりました。国民文化祭の経験を踏まえ音楽、文学、演劇、古典芸能、祭り、衣食住に代表される生活文化などの資源を掘り起こすとともに、地域の文化を支える人材を育成することで本県の豊かな文化資源を継承し、本県のどこにおいても地域を訪れた人々がそのすばらしさや多彩さを実感しさまざまな交流の輪が広がるふじのくに芸術回廊の実現を目指しているところであります。
     本県の県立大学になりました浜松にございます静岡文化芸術大学というところは今年十周年を迎えるということでございますが、これは文化政策、アートマネジメントやカルチャーマネジメントということのできる人たち、まさに文化を支える人たちのプロといいますかそういう素養を持った人たちを育てておりまして、これは重要な本県の文化の魅力を上げていく担い手になっていくであろうと期待しております。特にこの十周年では、これまでの十年を総括してこれからの新しい十年に向けてどのような構想をお出しになるのか、大変楽しみにもしているところでございます。
     それからふじのくに丸ごと博物館ということについてイメージがなかなかわきにくいとの御指摘でございましたが、かつて日本人がヨーロッパに参りましたときにパリ、ロンドン、ローマというのを見るというのがお定まりのコースであったと思います。いわば京都と東京などを見るというのが日本へお越しになられた方々の修学旅行コースのようなものではありますが、そういうものに対しまして例えばパリに対してプロバンス地域があるということも最近では知られるようになりました。そこには特段イベントや催し物があるわけではなくて豊かな田園生活があります。しかしそこにいると皆様がまた来たいと思うと。イタリアもトスカーナ地域のほうがいいかなというようになってきた。イギリスにおきましてもロンドンの郊外というか、西内陸地域にございますコッツウオールズとか北のレイクディストリクトに日本人が一番たくさん行くというふうになっております。
     いわば、そういう本物の日本というものを味わうのがこのふじのくにだと。したがってそれはもちろん東海道、その半分弱の宿場町がここにありますからそれぞれの伝統を生かすということが大事です。それはその時々の祭りやイベントがございますでしょう。東海道は四通八達しておりますからこれは東海道芸術街道をふじのくに全体としていわばふじのくに芸術回廊というふうになると。しかしそこで人々は生活しているわけでありますから、その生活それ自体が魅力あるものにするという、そういう心構えが大事だということです。つまり一番の基礎は自分たちの生活が幸福である、見せて恥ずかしくないということでございまして、二月二十三日の富士山の日をいわばお祭りの開始日として十二月の二十三日冬ごもりをする日まで、年間ふじのくにフェスティバルが繰り広げられているというようにしたいものだと思っております。
     先ほどの経済成長戦略も一次産業のことを言いましたけれども、それぞれ地域には場の魅力がありまして西側ですと環境を中心にした技術、これで見せることができます。そしてまた中東遠、志太榛原ですと、空港ができましたので、ここは持っているその場の力というものを大きくコンセプトでまとめるとすれば、これはガーデンシティーというふうに言うことができるかと思います。海から森まで全部持っているガーデンシティーというふうに言うことができるでしょう。そしてこの中部地域というのは薬食同源、あるいは医食同源と言われるようなフードサイエンスとその製品というものがこの地域の魅力になるでしょう。
     東部におきましては健康産業が、そして伊豆半島におきましては地熱を利用したエネルギーだけでなくて、観光とそしてまたジオパークといったものもこれからの魅力のキーコンセプトになるというふうに思っておりまして、そのような地域の魅力を生かした国づくりをしていくという、全体として本物の日本を見せていくというふうにするということが私は本県の文化政策であるというふうにみなしております。
     次に、子育て支援についてであります。
     全国的に少子化が進む中、本県でも出生数が減少しまして平成二十一年の本県の合計特殊出生率は一・四三となりました。これは深刻です。一方で若い世代は二人から三人は子供を産みたいという希望を持っており、子供を産み育てやすい環境を整備することは本県における最優先の課題であると考えておりまして、危機感を持ってさまざまな取り組みを進めております。
     公明党から御提出いただきました要望につきましては、いずれも子育て支援機関と女性の両者に対するアンケート結果に基づく大変貴重な御提言でございます。県といたしましてもその御提言を十分に踏まえて施策をさらに充実させてまいります。
     具体的な取り組みとしまして、保育所や認定こども園の整備を進めて本年度は新たに一千人程度の定員を拡充するほか、延長保育など多様な保育サービスの充実を図っております。また民間や市町の先駆的な子育て支援活動への助成など地域の子育て力の向上を図り、地域全体で子育てを支援する機運づくりにも努めてまいります。さらにワーク・ライフ・バランスや男女共同参画の実現も不可欠であると考えております。シンポジウムの開催や啓発誌の発行などを通じ事業主や労働者への働きかけなども行っているところでございます。
     県といたしましては、子育て支援のためのさまざまな施策を積極的に推進するとともに、県全体の子育て支援の機運の醸成を図り「生んでよし 育ててよし」、「子育て理想郷ふじのくに」の実現を目指してまいります。
     県の手帳ってのがございますが、その後ろにさまざまな統計表が掲載されております。そこには人口であるとか世帯数であるとかがございますけれども、市町別に来年度からは合計特殊出生率を三十五市町についてお書きいただくようにします。非常に高い市町と非常に低い静岡市のように日本全体よりも低いという中で、単にそれは医療費の補助をすれば済むという問題ではなくてやはり子供を産み育てやすいところだという実感を若いカップルが持たねばならない。同時にその人たちが産み育てられやすいような環境を周りの人々がつくっていかねばならない。
     まさにこれは、地域のコミュニティーの力量が問われているということで、市町においてどこのところが最も産み育てやすいところだということを明確にしたい。私の手帳にはもう入っておりますが、まだそれは印刷されてるんではなくて張りつけてあるわけです。だから私はどこの町が一番高くどこの市が一番低いということについてしっかり知っておりまして、そういういいところをしっかり押していく、低いところはそれを学んでいただくというふうにいたしまして反省材料、あるいは励みの材料にしていただくというふうにしていただければと思っております。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁申し上げます。
    ○副議長(岩瀬 護君) 丸山経営管理部長。
           (経営管理部長 丸山康至君登壇)
    ○経営管理部長(丸山康至君) 静岡県の経営についてのうち、公会計改革についてお答えいたします。
     議員御指摘のとおり公会計改革の目的は資産債務改革を進めていくことと認識をしております。本県では、平成十九年度決算分から総務省方式改訂モデルに基づく財務諸表を公表しておりますが、この財務諸表の作成により県が保有している資産を洗い出し未利用または今後未利用となる土地を売却可能資産として把握することにより、資産債務改革の具体的な施策として県有財産の売却計画及び利活用計画を策定いたしました。この計画に基づき平成二十、二十一年度の二年間で利用計画のない財産を二十九億円余で売却するとともに、県庁のエレベーター内に有料で広告を掲示するなどの取り組みにより財源を確保し公債費等に活用したところであります。
     また、退職手当債は人員削減等を行い将来の人件費を削減することにより償還財源を全額確保することが発行の条件となっておりますので、ぜひ御理解を賜りますようお願いいたします。
     県といたしましては、今後も引き続き利用計画のない県有財産の売却や保有する財産の有効活用などを経営の視点と位置づけ、公会計改革の目的である資産債務改革に取り組んでまいります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 岩ア静岡県理事。
           (静岡県理事 岩ア富夫君登壇)
    ○静岡県理事(岩ア富夫君) 静岡県の経営についてのうち、富士山静岡空港の経営についてお答えいたします。
     富士山静岡空港は、県勢発展のために不可欠な社会資本でありますことから県民の皆様の利便性の向上を図ることはもとより、空港を活用して県内産業を発展させていくことが県政運営の重要な柱の一つであると考えております。
     議員御指摘のとおり、魅力ある空港施設としていくことが重要でありますことから、富士山静岡空港の魅力を高める有識者会議や富士山静岡空港利活用戦略本部会議等を中心として庁内の関係部局が連携して空港利用者の増加に取り組むとともに、就航促進活動や空港施設の充実に努めているところであります。
     また、富士山静岡空港も公の施設の一つでありますことから管理運営の収支改善に努めることは重要な責務であると認識しております。空港基本施設等の管理運営費は着陸料等の収入によって賄うことが基本でありますことから、多便化や機材の大型化による着陸料の増収に努めるとともに、支出の削減につきましても指定管理者制度の導入によるコスト縮減に加え委託業務の見直しに努めているところであります。
     ことしの秋には、国の空港収支の考え方や算出方法を参考として空港収支の全体像を県民の皆様にお示しできるよう準備を進めているところでありますが、この公表を契機としてコスト意識を一層高め安全・安心の上に立った経費削減に努めるとともに、効果的な収入増大策を実施するなど収支改善を含めた空港経営に積極的に取り組んでまいります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 小林危機管理監。
           (危機管理監 小林佐登志君登壇)
    ○危機管理監(小林佐登志君) 危機管理体制の強化についてのうち、初めに最悪の事態を想定したシミュレーションについてお答えいたします。
     県では、さまざまな危機事案に対処するため、東海地震による大規模災害を想定した総合防災訓練や大規模図上訓練のほか風水害対処訓練など多岐にわたる訓練を実施し庁内各部局や関係機関との連携を強化するとともに、常に進化する訓練を目指しております。具体的には、これまでのシナリオ型の訓練を見直し自衛隊で実施しております教育訓練技法の一つであるロールプレイング方式――状況付与方式とも言いますけども――などを取り入れ、複数の異なった事案の対処が必要となるような状況を付与することにより、訓練参加者みずからが予測できなかった事象を判断し対処方法を決定するシナリオのない訓練を実施しております。
     今後は、議員御提案のような複合的な要因を組み合わせ最悪な事態を想定するなど訓練内容を一層進化させこうした事態にも的確に対処できるよう訓練参加者の判断能力や対応能力の向上に努めてまいります。
     次に、大規模災害発災後の情報対応についてであります。
     大規模災害発災時には迅速な初動態勢の立ち上げが最も重要となりますので、県では知事、副知事と危機管理監、管理監代理とがペアを組みいち早く情報をキャッチすることで迅速に災害対応ができる情報収集体制を二十四時間三百六十五日確保しております。また発災初期におきましてはどこで何が起きているかといった情報を迅速に入手することが求められますので、市町や防災関係機関のほか自衛隊OBの隊友会などさまざまなルートからの情報が収集できるよう、平時からその仕組みづくりに努めております。一方、情報を収集すると同時に関係機関がリアルタイムで情報を共有することも求められますので、県では緊急輸送路、ヘリポート、救護所、避難所など特に発災初動期に必要となる情報のデータベース化に取り組んでおります。
     今後は、なるべく早い時期にこうした情報の共有化を実現するとともに、大規模災害が発生した際にはテレビ、ラジオ、インターネット、コミュニティーFMなどさまざまな手段により県民の方々にも迅速に正確な情報をわかりやすく提供できるよう努めてまいります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 県東部の振興についてのうち、沼津駅付近鉄道高架事業についてお答えいたします。
     本事業は、沼津中心市街地における交通の円滑化や南北市街地の分断の解消等を図り、県東部地域の拠点都市にふさわしいまちづくりを進めるために必要であると考えております。事業着手後、長い年月が経過していることから、現計画について客観的、科学的見地から検証することを目的に有識者会議を設置することとしており、現在まちづくり、交通、公共政策等の専門家を中心に人選を進めているところであります。
     事業完成までのスケジュールにつきましては、事業のスピードアップが求められている昨今の経済社会情勢の中、早期完成は喫緊の課題ではありますが、まずは事業を進めるに当たっての環境をしっかり整えることも重要であると考えており、今後、会議の議論を見守るとともに会議の進行と並行して関係者等への情報提供や所要の調整に引き続き努めてまいります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 松浦くらし・環境部長。
           (くらし・環境部長 松浦敏明君登壇)
    ○くらし・環境部長(松浦敏明君) 環境対策についてのうち、総合的な水利用についてお答えいたします。
     本県ではこれまで、ダム建設による水源開発や広域的な水供給施設の整備とともに、渇水傾向時には天竜川水利調整協議会や大井川水利調整協議会を通じて互譲の精神に基づいて早めの水利調整を図ることなどにより、暮らしや産業発展に欠かせない水を安定的に確保、供給してまいりました。
     しかし、近年、水資源を取り巻く状況は、企業の節水努力や節水型家電機器の普及などで全体の水需要は減少傾向にあるものの、年降水量の変動幅の増大などによる地表水の量的な安定性の低下、さらに森林荒廃による水源涵養機能の低下などさまざまな課題が顕在化してきております。このような状況を踏まえ県といたしましては、森林の保水力を高めるための森林整備に努めていくとともに、地表水に比べ実態把握が不十分な地下水の調査を進め、地表水と地下水を一体的にとらえた最適な水資源の配分を図るなど総合的な水利用及び水資源の管理を進めてまいります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 環境対策についてのうち、環境教育についてお答えいたします。
     現在、高等学校における環境教育は、公民、理科などの教科や総合的な学習の時間の中で行われているほか、地域クリーン作戦などの学校行事や科学部などの部活動においても積極的に取り組まれております。議員御指摘のとおり、三ヶ日高等学校では学校が独自に設定した教科「環境」の中で地元の浜名湖ロータリークラブなどと連携して炭素繊維を利用した猪鼻湖浄化プロジェクトに取り組んでおり、また磐田農業高等学校では地元自治会などとともに、景観の保全と菜種油をバイオ燃料として活用するなどの菜の花エコプロジェクトに取り組んでおります。
     これら環境に関係する取り組みは、毎年、静岡県学校農業クラブ・プロジェクト発表県大会や工業関係の高等学校が参加する静岡県高校生エコラン大会、高等学校文化連盟自然科学専門部が開催する生徒理科研究発表会などで発表されております。議員御指摘の環境サミットの趣旨を生かしたものとして、これらの発表の場をより広く県民に広報し環境問題に対する県民意識の向上を図るとともにインターネットなどを活用して全国に発信してまいります。
     次に、障害者施策の充実についてのうち、まず障害者の教員採用についてであります。
     議員御指摘のとおり、障害のある人の雇用について教育委員会においては法定雇用率に満たない状況にあり、障害者雇用の推進はノーマライゼーションの観点から大変重要なことと考えております。
     本県の教員採用選考試験におきましては、現在のところ障害のある人の特別選考枠は設けておりませんが身体に障害のある人を対象とした選考を実施しております。試験実施に当たりましては、本人からの要請をもとに手話通訳者の配置や会場内の座席の位置、拡大文字や字体についてなど最大限の配慮をしております。教育委員会といたしましては、今後神奈川県を初め他県等で実施しております特別選考枠を設けた選考試験の実施状況を参考にしつつ、本県における障害のある人の採用について研究してまいります。
     次に、障害のある児童生徒の学習環境についてであります。
     静岡県総合計画の基本構想にあるとおり、障害のある人たちが住みなれた地域の中で働き、暮らせる社会をつくるためには、学校教育の段階で障害のある児童生徒も障害のない児童生徒もお互いが認め合い支え合いながら生活していくことが大切であり、また地域の子供は地域で育てるという意味においても、障害のある児童生徒もできる限り地域で教育を受けられるようにすることが重要であると考えております。
     また、学校は集団教育の場でもあり、障害のある児童生徒が自立の基礎となる社会性やコミュニケーション能力、他を思いやる心などを培うためには、担当教員のもと一人で学ぶ教育環境は必ずしも好ましいものとは言えず、特別支援学級の設置につきましては同年代の児童生徒がともに学び合う環境を整えることが大切であると考え、複数の児童生徒で学級を編制することを中心に進めてきております。
     したがいまして、本県では原則として拠点校方式をとっておりますが、児童生徒の障害の程度や家庭環境、生活する地域の地理的条件などを踏まえた上で必要と認められた場合には一人でも特別支援学級の開設を可能としておりますので、今後ともその児童生徒に合った適切な教育環境を確保するよう努めてまいります。
     次に、高校新卒者の就職支援とキャリア教育についてであります。
     高校生を取り巻く就職環境は依然として厳しい状況が続いておりますが、県教育委員会では静岡労働局と連携し、知事とともに企業などに対し積極的な採用を求める要請を行ったところであります。
     短期の職業訓練や雇用ニーズがある介護分野などへの理解を深める取り組みについては、県立技術専門校と連携した人材育成事業や介護体験実習事業、福祉・介護現場での職業体験事業などに取り組んでいる学校もあることから、今後はその成果を見きわめつつこれらの事業の充実に努めてまいります。なお就職が未内定のまま卒業した生徒に対しましては、現在、経済産業部で実施しております就職面接会や介護、農林業分野の体験研修、IT分野の職業訓練コースなどの活用を促進しているところであります。
     また、キャリア教育についてでありますが、現在県内の五校を指定して研究をしておりますインターンシップ(就業体験)実践研究事業を本年度も引き続いて実施するなど産業界との連携を密にして職業意識の涵養に取り組むとともに、学ぶことを社会で働くことや将来の生き方につなげていくというキャリア教育を一層推進してまいります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 石川健康福祉部長。
           (健康福祉部長 石川俊一君登壇)
    ○健康福祉部長(石川俊一君) 障害者施策の充実についてのうち、発達障害者に対する支援についてお答えをいたします。
     発達障害のある方に対する療育方法は、ABA早期集中療育等の行動療法や絵カードを用いたコミュニケーション療法など、国際的にもさまざまな技法が開発され国内外の大学等の専門機関において研究が進められており県も発達障害者支援センターを中心に情報収集に努めております。現在県内の医療機関でも発達障害の診療に鋭意取り組んでいただいておりますが、県内の専門医は十五名程度とその絶対数が不足しているため十分な対応が困難な状況にございます。
     県といたしましては、発達障害にかかわる人材の養成を当面の課題と考えており県医師会に委託して小児科医等を対象とした研修会を開催するとともに、新たに児童青年精神科医を養成して県内への定着を図るため、浜松医科大学において県の寄附金による児童青年期精神医学講座を開講するなど、発達障害に対する診療体制を充実するよう努めてまいります。
     次に、予防医学についてのうち、まず子宮頸がんワクチン接種費用助成についてであります。
     子宮頸がん予防ワクチンとして現在任意接種として実施されているワクチンは、がんの原因となる約十五種類のヒトパピローマウイルスのうち二種類のみに対するもので、その有効性は全体の五割から七割程度とされているほか効果の持続期間等の検証も必要と言われており、国は他のワクチンの開発状況等も踏まえて総合的に検討していくこととしております。
     一方、県内におきましては一部の自治体が公費負担の制度を創設しているところでありますが、県といたしましては、国によるワクチンの有効性や安全性に対する十分な評価と健康被害に対する救済制度の一層の充実を求めるとともに、ワクチン接種に地域差が生じることがないよう、他の都道府県と連携して国によるワクチン接種費用の助成を働きかけつつ助成のあり方などを含めた検討を引き続き進めてまいります。
     なお、子宮頸がんを予防するためにはワクチン接種だけではなく定期的ながん検診の受診が重要でありますことから、県といたしましては子宮頸がんを含むがん検診の受診促進についてより一層積極的な取り組みに努めてまいります。
     次に、ヒブワクチン接種費用助成についてであります。
     細菌性髄膜炎の原因の三分の二を占めるとされるb型インフルエンザ菌の感染を予防するヒブワクチンにつきましては、世界保健機構――WHOにおいて定期接種化の勧告もなされ既に海外では百三十カ国以上で導入され高い接種効果があるとされております。一方、国内では平成二十年十二月にヒブワクチンの販売が開始され現在は任意接種として実施されておりますが、需要に対する供給量の不足や他のワクチンとの接種時期の重複など解決すべき課題も指摘されております。このため国においては予防接種に関する部会を設置し、現在ワクチン行政全体に係る予防接種法の抜本的見直しを行う中でヒブワクチンの位置づけ等について検討を進めているところであります。
     県といたしましては、以上のような課題を解決しつつ健康被害に対する救済制度を一層充実する必要があることから、国において予防接種法における定期の予防接種として位置づけ、公費による接種が実施されるよう、引き続き国に強く要望してまいります。
     次に、うつ対策についてであります。
     近年、経済社会構造の変化を背景にうつ病患者が増加し、その対策が急務となっている中、認知行動療法は米国や英国において高い評価を得ていると報告されております。認知行動療法は薬だけに頼らないうつ病に有効な治療法として注目を集めており、既に県立病院機構のこころの医療センターでは、専門のプロジェクトチームを立ち上げ外部講師を招いての勉強会を計画するなど認知行動療法についての研究を始めていただいております。
     県といたしましても、向精神薬等の過量服薬が大きな社会問題となっている中、この療法が診療報酬に組み込まれたことを契機に多くの機関において研究、検証が進み、県民の選択肢が広がるよう努めてまいります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 安村警察本部長。
           (警察本部長 安村骼i君登壇)
    ○警察本部長(安村骼i君) 来日外国人犯罪の現状と取り組みについてお答えいたします。
     まず、来日外国人犯罪の現状についてでありますが、来日外国人による犯罪はいわば検挙して初めて外国人によることが明らかになるという特質を持っておりますが、県内で検挙した来日外国人犯罪を見ますと平成二十一年中に五百六十二人、本年一月から五月までに百四十四人を検挙しております。主な事件といたしましては、議員御指摘のフィリピン人少年らによる強盗殺人事件、ブラジル人らによる車両放火を伴う連続自動車盗事件などを検挙しております。
     次に、県警の取り組みについてであります。
     本年に入ってからは、県東部方面において埼玉県のコロンビア人少年らが自動車盗や強盗などの凶悪犯罪を敢行した事件ではコロンビア人少年ら五人を検挙し、県内各地でカーナビを対象とした連続部品ねらい事件ではブラジル人被疑者七人を検挙したところであります。このように他県警との連携も含めましてまず強力に捜査活動を展開しているところであります。
     また近年、来日外国人犯罪に犯罪の世界的展開といったいわゆる犯罪のグローバル化と申しますけれども、これが新たな要素として加わった状況を踏まえまして、本年六月県本部に静岡県警察犯罪のグローバル化対策委員会及び対策室を設置したところであります。今後は、この新たな体制のもと情報の収集・分析による犯罪組織の実態解明、入国管理局など関係機関との連携の強化等を柱とした施策を積極的に推進し来日外国人犯罪及び犯罪のグローバル化に的確に対応してまいりたいと考えております。
    ○副議長(岩瀬 護君) 三十二番。
           (三十二番 蓮池章平君登壇)
    ○三十二番(蓮池章平君) まず、公会計改革でございますが、先ほど部長から、特に退職手当債、何度聞いても納得ができません。知事はですね、この退職手当債についての考え方はどうでしょうか。先ほども申し上げましたように、受益を受けない将来負担の借金でこの退職手当債を発行して退職金を払うという考え方、もちろんその条件があってその条件を満たした上で発行ということになりますけども、これについての考え方をお聞かせいただきたいと思います。
     それから二点目は沼津駅付近鉄道高架事業でございますが、いろんな課題がございまして解決をしなくてはいけない課題があるですが、私は質問の中で知事の強い決意をもう一度ここでお聞きしたいと。どんなことがあってもやはり県東部の振興については、これはもう欠くことのできない事業だというふうに考えておりますが、その点について知事の決意を再度確認をさせていただきたいと思います。
     三点目でありますが、この予防医学、それからうつ対策、いろんな御提案を申し上げました。答弁はですね、後ろ向きな答弁ばかりでございまして理想郷を目指す知事としてですね、この理想郷、どこからもあこがれられる地域になるという意味から言うと、国の動向を見て、他県の動向を見てっていう答弁はですね、どうなんでしょうか。知事の理想と現実の部長の答弁とのギャップをすごく感じます。
     特にですね、例えば予防医学について申し上げましたが、知事のこのマニフェストには予防医学のメッカをつくろうと、こううたわれてるわけでございましてやはりこれは全国に先駆けて予防医学、このワクチンの接種費用の助成制度、またうつ対策――本当に今大変悩まれてる方がたくさんいらっしゃいますので――これについて積極的な考え方を知事のほうから伺いたいというふうに思います。
     また、教育長にはですね、障害者の教員採用についてですが今後研究をしていくと。具体的にいつぐらいまでにこの研究をして方向性を出すのか、その時期とそれから先ほど障害のある児童生徒の学習環境についてですがこれですね、地域で育てるっていうことを言われました。もう一方で一人だと社会性が身につかないと。これだと話が進まないんです。つまり社会性は私は一人でも身につくと。むしろ今は財源がないから厳しいんだっていうふうに言ってくれればそれは納得するんですけども、一方で地域で育てなくちゃいけないと、でも一人だと社会性が育たないといったらですね、話が進んでいきません。ここら辺の考え方を教育長の考え方をもう一度確認をしたいと思います。以上です。
    ○副議長(岩瀬 護君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 再質問のうち、まず退職手当債の件ですけれども、これが将来の方々が御負担されるものによって充当されるということはおかしいと言われる県議の理屈はもっともだと思いますが実態はですね、先ほど御答弁申し上げましたように、退職手当債の償還財源は、集中改革プランに基づき計画的に職員数の削減を進めておりまして、その職員数の削減によって生じた一般財源によって確保するということにしております。ということでどうぞ御心配なく。言った以上、そのとおりです。形にいたしますのでそういうふうになってるようにきっちりと透明性を確保してお示し申し上げます。ただ退職手当をですね、出さない方向というのは今考えておりません。
     次に、沼津の高架事業でございますけれども、これは先ほど森山部長が御答弁申し上げたとおりでございまして、沼津市民の方々の悲願でもありかつ南北の渋滞を解消する非常に重要なプロジェクトであると認識しております。
     そのために、いろいろな関連の事業が今、関連の手続が進行しているわけでございますけども、例えばそのうちの一つでJR貨物の現在の場所をどいていただかなければ高架ができないということがございます。しかしこれもこれから有識者会議などでも御議論賜ると存じますけれども、やはりこの議論がなされたときとは大分状況が変わりまして、リニア新幹線が二〇二五年には開通するということになりますと、貨物の駅というのは浜松と静岡とそして沼津とほぼ等間隔で置かれていて、これが等間隔で置かれている理由は待避線が必要だと。実はこれは貨物線は遅いので客車に抜かれなきゃならないということで置かれているわけです。しかし仮に新幹線が「のぞみ」の部分がリニアに行くとすると、そうするとその広軌の新幹線もすべてが客車になるかどうかわかりません。高速で貨物を運ぶということもあり得るわけです。そうするとダイヤが大きく変わります。新幹線ダイヤが変わることは言うまでもありませんがそれは在来線のダイヤに必ず影響してくると。
     これはJR貨物の小林社長とお目にかかったときにも、どちらが言い出すまでもなくこれが極めて重要な問題で私も重要だと、彼ら小林社長以下そのトップの方もですね、極めてそれを重視してるということでございます。そうすると原駅のところに貨物を移すということは、実は十年たてば必要かどうかということも当然議論になるということなんですね。
     そうしたことから、もし――いろんな「もし」がございます――そういう過程をですね、どれが客観的で科学的かということを今度の有識者会議、これは今人選を進めてるということでございましたがもう九割九分決まっております。委員長は森地茂先生になっていただくと、東京大学の名誉教授で国土審議会でも実際上座長を務められ私もその見識に広く感心している方でございまして、こういう本当の交通問題についての御専門家、また貨物についての御専門家等がお入りになって議論していただきますので、そうしたものを踏まえてですね現行計画をより現状に合ったものにしていくということでございます。年数について今すぐにお答えすることができないのは、有識者会議の御答申を待ってというふうにさせていただければと存じます。
     それから第三番目の予防医学に関してですけれども、そのとおりです。予防医学のメッカにしなくちゃならない。ところが部長さんの答弁というのはですね、国の法律がこうなってるからその法律の枠内でやらねばならないということなんですね。それは非常に理の通った答弁なんですけれども、しかしそこの背景にあるのは国が例えば国土計画を定められるとそれに応じて県が県の五カ年計画なり長期計画を定めるという、そういう従来の考え方の枠の中での体質みたいなものもかいま見られますね。そこはたださないといけない。
     むしろ例えば三十五人学級もそうでございましたけれどもうちが先にすると、あるいは行政委員会の報酬についてもこちらは日当にするっていうのを先にしてるといろいろできます。医学部につきましても新設をどうするかっていうことについて文科副大臣がその可能性に言及されたとなりますとですね、なってそれが全部整ってからさあ動くっていうんでは遅いと言われます。なぜ彼らがそういう議論をしなくちゃならないのかというのは現実がそこにあるからです。我々はその現実を共有してますから、だから現実を解決するための方法でいいものがあればさらにやっていくと。国が後からついてこられるのでよろしいというぐらいの気持ちです。
     ですから予防医学につきましても差し当たってですね、場所といたしましてはそうしたメッカになるところとしては一応私は東部――伊豆半島という、そういう土地それ自体に健康を感じさせる、あるいは健康を回復させられるような場の力があるようなところがあります。そして東部地域には今、健康産業が蟻集するような状況も起こっている。ファルマバレー構想というのも実態が構想についてきているというところがございますので、そこに予防医学のメッカをつくるために実際動いております。
     しかし、それがすぐに御公表できるまでになってないのがちょっと歯がゆいんですけれども、姿勢といたしましては予防医学のメッカをつくると。もうこれは東京なんかでやるよりはるかにいいですよ。あんなところにいたらもう息が詰まるでしょう。だから皆さん外に出たくなると、休みには。同じです。ここは休みに出るようなところが初めからあるわけですから。そういう意味におきましてそれを科学的に、また専門家によってうまいプランにつくり上げていただくということでございます。
     したがいまして、石川部長もですね、まだなられて数カ月で――私よりも後輩ですから――今もう彼は非常に有能ですから言われたらすぐに変えるというところがありますんで、どうぞチーム川勝としていましばらく温かい目で彼の発言も積極的なものに変わるのをお待ちいただければと存じます。
    ○副議長(岩瀬 護君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 障害者施策の関係で、二つ再質問があったかなと思います。
     一つ目は、障害者の教員採用についてでございますけれども、全国的には私、今手持ちのデータで確認しましたけれども四十七都道府県の中で三十県近くの県が若干名、あるいは神奈川県のように十名というような形で特別の選考枠を設けて実施しております。導入したばかりの県もあると思いますので二次の採用試験の結果が本県の場合十月ぐらいに出てきますので、できましたらば来年二十三年度の教員採用選考試験に導入するかしないかも含めて結論が出ればいいかなと思いますけれども、もしそれが時間的に無理な場合には遅くとも二十四年度の選考試験までには何らかの形の結論を出したいなというふうに思っております。(発言する者あり)はい。
     二点目の特別支援学級の設置についてでございますけども、私も四月に就任して以来、実際に障害のあるお子様をお持ちの母親の方から直接教育長室でいろいろお話を聞きました。その中でこの特別支援学級、本県では拠点校方式をとってこれまでやってきているわけですけども、正直申しましてこの拠点校方式の抱えている課題も幾つかあるかなというふうに思っています。
     ただ私が考えますのは、子供たちにとって地域というのを優先するのか、あるいは一人ではなくて複数の同じような障害のある子供たちと一緒に学習空間を共有するのがいいのか、それは一人一人の子供たちにとって優先順位が違うのではないかなというふうに思っております。そういう意味では現在は拠点校方式というのを一つの軸にはしておりますけれども、一人一人の子供たちにとってやはり地域というものを最優先に考えるならば、一人であっても特別支援学級を設置するという方向がやはり子供の視点に立ったときにはより適切ではないかなというふうに考えておりますので、そういう意味では柔軟にそこは対応していきたいなというふうに思っております。
    ○副議長(岩瀬 護君) 三十二番。
           (三十二番 蓮池章平君登壇)
    ○三十二番(蓮池章平君) ワクチン接種は国の問題ではなくて県がやるかどうかという問題です。既にもうほかの県でもやってるところもありますから……(発言する者あり)それは違います。ですから理想郷をつくるためにやるかやらないか、その判断だけです。その点について答弁をください。
     それから退職手当債についてはこの十年間の時限です。本当は退職手当は要するに引当金を積んでおかなくちゃいけなかったのが積んでなかったためにこの十年間、国がそういう制度をつくった。だからおかしいんではないかって言ってるので、それについてはぜひ研究をしていただきたい。
     ワクチンの点だけお願いします。
    ○副議長(岩瀬 護君) 石川健康福祉部長。
           (健康福祉部長 石川俊一君登壇)
    ○健康福祉部長(石川俊一君) ワクチン接種の件についてでございますけれども、なぜ私が国に対して要望するか他県と歩調を合わせてやるかということについて少し御答弁をさせていただきたいと思いますが、ワクチンを接種することによって確かに先ほど申し上げましたように子宮頸がんなりヒブワクチンについては効果がございます。そしてそのワクチン接種費用に対する波及的効果もかなりの額が出ているというふうに伺っております。しかしながら、だからこそそれは県民がひとしく、国民がひとしく利益を得るものであるので、県や市町村が個々に対応するものではなくて国が一元的にまず取り組んでどの地域にあってもひとしく接種を受けられる状況をつくることが大切であるから、私は国に対して要望することが第一だと思っています。
     二点目、なぜかというと非常に財政が厳しい中で、現在県が、市が独自でやろうと思いますと多額の負担がかかります。現実的には子宮頸がんで約八・五億、全額補助しようと思えば八・五億、ヒブワクチンで十二億程度のお金がかかると思います。これを県や市町がそのまま負担できるかということについてはかなり大きな問題だもんですから、今後検討に当たっては当然市町のほうとお話を進めていかなければならない。つまり県が独自にこれをやりたいと言ってもそういった関係もございますので、その辺については検討に当たっては十分な調整を図っていきたい。そんなことで先ほど申し上げた次第でございます。
     ですから、我々は一刻も早く国のほうがこれについて助成なり定期接種化をしていただくことが一番の公平につながるものであり、普及につながるものだというふうに判断しております。
    ○副議長(岩瀬 護君) これで蓮池章平君の質問は終わりました。
     以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
     次会の議事日程を申し上げます。
     七月十四日午前十時三十分、会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
     本日はこれで散会します。御苦労さまでした。

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