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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成23年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

増田 享大 議員

質問分類

一般質問

質問日:

07/01/2011

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 東海地震対策について
 (1) 災害発生時における県の初動態勢
 (2) 遠州灘における津波対策
 (3) 掛川市南部地域の道路整備
2 農業対策について
 (1) 農業用水の確保
 (2) 茶生産者に対する支援
3 子供たちを取り巻く環境の整備について
 (1) 学校施設の耐震化
 (2) 若手教職員の育成



    ○副議長(鈴木洋佑君) ただいまから会議を開きます。
     議事日程により、知事提出議案第九十号から第百二号までを一括して議題とします。
     質疑及び一般質問を行います。
     通告により、十二番 増田享大君。
           (十二番 増田享大君登壇 拍手)
    ○十二番(増田享大君) おはようございます。自民改革会議の増田享大と申します。掛川市から新しく選出いただいた議員でございます。
     通告に基づき、知事並びに関係部局長、教育長に御質問させていただきます。どうぞよろしくお願いします。
     三月十一日に東日本を襲った大震災は、マグニチュード九・〇という地震の規模の大きさはもとより、津波と原発事故という人類が初めて直面した複合という名のもとの空前の災害でありました。甚大な被害を受けた東日本はもちろんのこと、国内外の社会経済にまでも影響を及ぼし、私たち国民にとりましても利便性や効率性ばかり追い求めてきました我が国の価値観そのものの根底を揺るがすほどの惨事であり、今なおその潮流のただ中にいるのだと思います。
     その震災後、初めて行われる定例議会におきまして増幅した地域住民の不安を少しでも取り除きたい、その一心で、その不安を安心に変え未来への希望につなげていくことこそが私たち議会人に課せられた使命と信じ、震災を受け住民に芽生えた不安、疲弊を極める農業対策、そして世の中で一番大切であるべき子供たちを取り巻く環境について質問させていただきます。
     まず初めに、東海地震対策のうち災害発生時における県の初動態勢についてお伺いします。
     選挙後の四月、私は地元同世代の有志と福島県郡山市にあるビックパレットふくしまという避難所を復興支援のため訪問させていただきました。ここは福島第一原発周辺の警戒区域の被災者が当時で約千五百名避難されていたところであります。避難所の様子には胸が痛む思いをいたしましたが、一方で掛川市内を初め静岡県内の子供たちからの激励の絵はがきが間仕切りの段ボールや館内の至るところに張られ、静岡からの応援メッセージという特設の激励のスペースが設けられている光景には感動すら覚えました。同時に被災者や指揮をとられている方々から、震災直後の混乱ぶりや被災後は特に指揮命令系統の体制整備とその迅速化が重要であるという体験談を伺いました。いち早く被害の状況を把握し、生存の分岐点とも言われる七十二時間以内にどれだけの救助ができるのか。この初期の体制づくりが最も重要な課題だということを教えられました。また本県が現地支援を行っております岩手県大槌町では、町長本人と役場職員が津波の犠牲となり、町の行政機能を完全に喪失し、震災直後の対応や復旧に向けた取り組みでも多くの困難を余儀なくされていると聞きます。
     東海地震を想定して我が県は、いち早くからその体制整備に努められ担当の危機管理局を部へ昇格させ万全の体制を構築し数々の訓練も行われてきたことと思います。ですが、すべての機能も実際の現場において早期に体制が整ってこそが生命線であると考え、いかに初動態勢を確保するかが極めて重要であります。災害はいつどんな状況で襲ってくるとも言えません。週末の休日なのかもしれませんし、知事初め幹部職員が県庁を離れているときなのかもしれません。さらに停電や電話の使用が困難な場合、職員間の連絡にも不都合が生じることも懸念されます。
     そこで、東海地震を初め大規模な危機が本県に起きた際、災害対応に従事する職員の確保と参集をどのように図り災害対策本部機能を確実に起動させるのか、県の取り組みについてお伺いします。
     次に、遠州灘における津波対策についてお伺いします。
     今回の震災では、地震による被害もさることながら、太平洋岸一帯を襲った巨大津波により多くのとうとい命が奪われました。メディアから連日伝えられたそのすさまじい映像は津波への恐怖という新たな不安を国民の脳裏に強く焼きつける結果となりました。特に直下型の強い揺れに対する備えを最重要視してきました本県にとりましては、津波の脅威は海沿いに住まう県民の不安を一層高めてしまったと思います。我が県内では伊豆半島や駿河湾などその地形や海岸の形状により、それぞれの地域で対策がとられているとは思います。掛川市を含む遠州灘一帯には、なだらかで美しい海岸線が続くすばらしい海が広がっております。この美しく豊かな海を守りその海と共存していこうと沿岸住民のボランティア活動も盛んで、飛砂防止のための堆砂垣の設置や防災林の手入れ、先日も早朝から海岸沿いの一斉清掃も行われたばかりであります。しかし今回の震災でこの遠州灘と地形が似ていると言われる宮城県名取市の名取海岸での惨状、仙台空港で飛行機が流された映像などは当地域住民にとりまして衝撃的でありました。
     先々週、同じ会派の新人議員有志で遠野市から大槌町、山田町、そしてこの名取海岸を視察させていただきました。現地は聞き及んでいたとおりのなだらかな海岸線が続く、とても穏やかな海岸で夏には多くの海水浴客でにぎわう名所だそうです。残念ながらこの美しい海岸を襲った巨大津波には防波堤や防災林は一切その役目を果たさず、海沿いのまちは丸ごと姿をなくしてしまいました。その津波の威力が衰えたのは数キロ内陸側に行った仙台東部道路の土盛りの部分であったというほどのすさまじい猛威だったと聞きます。形状の似通った海岸の被災状況を聞き及ぶにつれ、加えてなれ親しんだ砂浜が年々削られていく海岸侵食の進行もあり、遠州灘一帯の住民にとりましては自分たちの海は大丈夫なのか、遠州灘は今の防災体制で大丈夫なのか、河川の河口や河川流域は大丈夫かとの不安が一層高まってしまったのが現状です。
     そこで県では、遠州灘一帯の沿岸部付近にあります河川堤防の高さが計画どおりに確保されていることを確認されているのでしょうか。また河川を遡上した津波が堤防を越えた場合に破壊されないような構造にすることも住民の安全・安心を高めるために必要であると考えますが、県の御所見をお伺いします。
     次に、掛川市南部地域の道路整備についてお伺いします。
     今回の東日本の震災により海岸付近の住民に新たに芽生えた不安は、地震直後の津波からいかにして速やかに安全な内陸側に避難するかという課題です。それに伴い災害時、負傷者の医療機関への搬送や救援物資の速やかな移送を果たす道路の重要性はさらに高まり、それら基盤の早期整備は地域住民の切なる望みとなりました。
     私ども掛川市は、「海と山と街道がつながり、夢・未来を創るまち」を目指し、北側の旧掛川市と南側の大東町、大須賀町が合併したまちであります。合併当初よりこの南北をつなぐ道路整備は当市にとりましても最重要課題として位置づけられ、長年県当局からも格段の御配慮を賜り市内の基盤環境も年々改善されてまいりました。この南北間の連結地であります掛川市の腰部――中心地周辺にはこれまで整備されてまいりましたJR新幹線掛川駅、東名インターチェンジに加え再来年には全国的にも余り例のない袋井市との統合新病院の開院が予定され、またそれに伴い今の掛川市立病院跡地には県立の特別支援学校の新設が予定されるなど、今後、中東遠地域の医療・福祉、特別支援教育などの中核的役割が期待される地域でもあり、また北東方面に位置します富士山静岡空港への連絡道路へと続く地点でもあることからこの南北をつなぐ道路の一日でも早い整備が一層望まれております。
     これら地域の道路改善に向け県に対しましても、さらなる御支援を御期待申し上げるところではございますが、まず大須賀ルートの整備状況と今後の取り組みにつきましてお伺いします。
     また、この地域には小中学校周辺の道路に歩道の未整備箇所がいまだ残っており子供たちなどの安全確保に向け早急な整備が必要と考えます。
     そこで、当地域における通学路の整備に対します県の取り組みについてお伺いします。
     次に、農業対策についてのうち、農業用水の確保についてお伺いします。
     農業は、その業を介して私たちに大地の恵みとしての食物を与え、それを通じて私たちの食の安全と安心を守ってくれています。同時に水の涵養など自然環境を守る多面的機能を有し、私たち日本人の心の源流である自然や景観、里山の維持にも貢献してくれています。この自然環境の保全や多面的機能への貢献という意味からも、農業は他産業との平等性という概念を超えてしかるべき特別な施策によって支えるべきと考えます。しかしながら、国のビジョンなき農業政策などにより年々生産者のやる気はそがれ、今あるこの緑豊かな風景が存亡の危機に陥っていると言っても過言ではないと思います。県中部を流れる大井川右岸地域は本県農業を支える優良な農業生産地帯であり、将来へ向けての農業水利施設などの整備は欠くことのできない事業と考えます。折しも東日本大震災により本県の水田面積と同じ規模の二万四千ヘクタールが津波の被害を受けたと聞きます。津波によって生じた塩害被害を改善するには水を循環させ続けるしかなく、改めて水の重要性が浮き彫りになったともいえます。そして、これからも農業で生計を立て頑張っていこうとする若者の将来のためにも未来につなぐ基盤はしっかりと整備されるべきであると考えます。
     この命の水を守るためにも農業用水を安定的に確保し、津波等の防災時でも速やかに安定的に供給していくために、県はどのように取り組まれていくのかお伺いします。
     次に、茶生産者に対する支援についてお伺いします。
     本県を代表する産業でありますお茶を取り巻く環境につきましては、リーフ茶の消費の減退、茶価の著しい低迷、昨年度の凍霜害に加え本年五月からの一連の放射能問題により危機的状況にあることは皆様御承知のとおりだと思われます。先日地元の生産者の方から「ここまでひどい状況だと、もう将来に向けて前向きにお茶をやっていこうという気力がわいてこない」という言葉を伺いました。ただでさえお茶の生産に終止符を打つ方が年々増加する中、ことしの不況により離農者がさらに大量に発生してしまうのではないかと危惧されている生産現場の窮状の深刻さをこの優秀な農業経営士の方が言われた言葉は物語っているのだと感じざるを得ませんでした。それほどまでに今回の問題の影響は大きく、ただでさえ中山間地などの地形条件をクリアし茶の施肥基準における年間窒素施肥量が昨年から四十キログラムになるなど、環境への配慮が一層求められる状況下でも良質茶を生産し、また昨年の凍霜害などをもその英知と努力によって乗り越え続けてきた生産者にとりましては放射能問題が与えた精神的ダメージははかり知れないものがあると思います。
     前の仕事柄、長年静岡県茶業会議所の会合に同席させていただく機会に恵まれました。そこでは年々悪化する茶業界を好転させるべく、生産、商工それぞれの皆様が何とかしなければという共通認識には至るものの複雑な利害の関係もあり、なかなか決め手となる対策に乗り切れない現実がありました。その都度双方から県のより積極的かつ指導的介入を求める声を聞きました。お茶の振興にはブランドの構築と宣伝はもちろんのこと、専門家によるマーケティングや効能のさらなる研究と発信などさまざまな対策が考えられると思います。また品質の高さや生産量の多さはもとより、その生産量以上のお茶が県内で流通されているという本来の流通力の優位性が今回の放射能問題ではまさに負の要因となってしまっているとも言われる中、生産者が安心してさらにやりがいを抱いて茶業に専念するためにも、取引の透明化と統一した流通市場の構築を望む声の高まりも聞きます。振興著しい鹿児島県方式もあるでしょうし、静岡県独自の方法も考えられると思います。流通市場の安全性とその健全化は信頼が揺らいでしまった本県産のお茶のすばらしさを改めて内外に訴えていくためにも必要なことではないでしょうか。
     そこで、県としてお茶どころ静岡の生産力と流通力の維持発展に向け茶生産者の支援にどのようにお取り組みになるのか、御所見をお伺いします。
     次に、子供たちを取り巻く環境の整備のうち、学校施設の耐震化についてお伺いします。
     子供は社会の宝であり保護者のみならず希望の光だと思います。子供たちが安心して伸び伸びと学び育つ環境をつくることは私たち大人の責務であり、そのための社会的基盤や施設の充実はほかの施策よりも優先的に整備されるべきと考えます。中でも学びやたる学校施設はその最たるものであり、そこにみじんの不安もあってはならないはずです。校舎などの公共の建物は本県独自の耐震性能基準により各ランクに分けられ耐震性がすぐれ地震後も継続して使用できるTa、耐震性がよく倒壊の危険はないもののある程度被害を受けるTb、耐震性がやや劣り倒壊の危険性は低いがかなりの被害が予想されるU、耐震性能が劣り倒壊の危険があり大きな被害が予想されるVのそれぞれに区分されています。一方、文部科学省によると建物の耐力指標が〇・七以上あれば、地震の際に倒壊の危険性が低く耐震性能ありとされておりますが、防災先進県であります我が静岡県では平成十八年に静岡県耐震改修促進計画を作成し、県下の各市町ではランクVやUの建物を平成二十七年度までに安心できるランクTに改修することを目指し努力していることと存じます。掛川市では幸いにも本年度内にすべてのランクVの耐震化を終え、今後Uの学校施設十六校十八棟をより安全なTにすべくその取り組みを図ることとしておりますが、財政的にもその事業化に苦慮していると聞き及びます。
     県内には、まだ倒壊のおそれがあるランクVの校舎もありこの改善は早急にされなければならず、県もその推進改善に大いに御努力され、本年度中にはすべての県立高校のランクTへの耐震化が終了すると伺っております。国の耐震基準以上のランクTを目指した取り組みはあくまで県の自主的な指針であり、また高校と違い小中学校の整備は直接は各市町で対応すべき施策ではありますが、災害への不安が高まる昨今、何よりも子供たちが常時学ぶ空間の話でもあり、また県の指針でもあるものでもあるため、これら対応に苦慮する各市町への応分の支援があってしかるべきだと思いますが県は現在の状況をどう把握され、また今後どのようなお取り組みをお考えでしょうかお伺いします。
     最後に、若手教職員の育成についてお伺いします。
     今の子供たちを取り囲む環境は社会的な要因もあり、安心で自由な外向きの活動環境が少なくなり年々内向きの傾向が強まっていると思います。「最近、休みの日に外で遊ぶ子供たちを見なくなった」、私の地元の理容店の方の言葉です。どこにどんな人がいるかわからない不安、保護者の携帯に学校から入る不審者メールの多さ。そのため今の子供たちは子供たちだけで外で自由に遊ぶこともままならず、親同士がアポイントをとり子供を引き合わせ遊ばせる時代です。こんな不自然な社会にしてしまったのは我々大人の責任であり、その子供たちに何ができるかを考えるとき、よりよい育ちと学びの空間を与え、そしてより多くの豊かな体験の場を与えられるかに尽きるのだと思います。その上で子供に相対する保護者も教師にも、ゆとりを持って見守ることのできる環境を整えることも同時に重要なことだと考えます。しかしながら教育の現場では教員の加配措置の変更や事務負担量の増加により教師の負担が増し、部活動の担当や業務の増加を敬遠する傾向も見られるなど決してゆとりを持って教育に当たられていない現実が現場にはあります。定時制の教育現場でも社会の多様化などにより教師への負担が増し対応が行き届いていないと聞きます。
     このような観点から現制度の中でよりよい教育環境づくりを目指すには教師一人一人の環境を見直すと同時に、より充実した教育のための教師の資質向上が求められることと思います。県では昨年度末に「有徳の人」づくりアクションプランを作成し、豊かな人間性や社会性を身につける頼もしい教職員の養成に向けた取り組みがなされ、経験段階に応じた研修や教職員の専門性を向上させる研修を具体的な施策として計画されています。本県におきましては現在の教職員の年齢構成は五十歳ぐらいの年齢層に偏りが見られ、そのため今後十年余りの間退職者の急増に伴う新規採用者の増加が予想されることから近い将来学校の中堅となる年齢層が薄くなり、高い水準の教育力の維持が困難になることが懸念されています。そのため、すぐれた教職員の確保はもちろんのこと若手教職員の育成が今まで以上に重要な課題となってきます。
     こうした状況の中で、現在人数が少ない二十代、三十代の教職員や新規採用教職員が本県の今後の教育を支えさらに充実させるためにも、ベテラン教職員の経験を生かすなどを通じ若手教職員の資質を一層向上させることが必要であると考えますが、教育長のお考えをお伺いします。以上、私の質問とさせていただきます。よろしくお願いします。(拍手)
    ○副議長(鈴木洋佑君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 増田議員、力強い問題提起と御質問をありがとうございました。
     まず初めに、東海地震対策についてのうち、災害発生時における県の初動態勢についてであります。
     東海地震などの大規模災害による被害の拡大を防止するため、発災時には災害対策本部の指揮官や要員がいち早く参集して初動態勢を確立し、被害状況等を迅速に把握することが重要となります。危機が発生いたしますと人命救助が最大の取り組むべきテーマになりますけれども、人命救助を行える時間は発災後七十二時間と言われておりますので、初動対応が重要なのでございます。
     私は知事に就任して間もない平成二十一年八月十一日の早朝に、駿河湾沖の地震に遭遇いたしまして一時間以内に初動態勢を整えることができました。また三月十五日、先般の富士宮を中心とした地震におきましても震度六クラスの地震を経験いたしましたが、そのときにも初動態勢はすぐに確立することができました。いずれも一時間以内に災害対策本部を設置し基本方針の決定などを行う本部員会議を開催することができたのであります。迅速に初動態勢を確立することの重要性をこうした実際の危機事案に面して強く認識しているところでございます。
     現在、本部長である私と両副知事、そして本部長代理である危機管理監と二人の管理監代理とがペアを組んでおりまして、発災した場合には仮に週末の行事等があったり、あるいは何か休養していたり等があってすぐに駆けつけられない場合でも、輪番によりまして二十四時間、三百六十五日、いかなる場合におきましても、だれかがその本部員会議に駆けつけて例えば自衛隊の出動を要請するなど、そうした基本的な意志決定ができるようにしてございます。そのような災害対策本部が迅速に立ち上がる体制が確立できているのが災害先進県としての本県のありようでございます。
     例えば今回、昨日の御指摘にもございましたけれども、東日本の大震災においてヘリコプターも持っていない県もございまして、そして災害状況をつかむことができないというふうなのとは本県は違うというところを御認識いただければと存じます。同時に災害対策本部の要員につきましては危機管理部の幹部職員を県庁や各地域の危機管理局の至近距離に居住させておりまして、任務分担を定めた防災要員をあらかじめ指定しています。これによりまして発災時には速やかに要員を確保できる体制が整っています。こうした要員への参集指令の伝達につきましては本年四月から携帯電話による一斉メール配信に統一することにいたしまして、一時間以内での参集の可否を把握いたし発災初動期に必要な要員の確保の見通しが立てられるように体制の強化も図りました。一方発災初期に的確な対応を行うためには、どこで何が起きているのかといった被害状況の迅速な把握が重要です。本日から運用を開始いたしました緊急輸送路、ヘリポート、救護所、避難所などを電子地図上に見えるようにする、見える化した地図情報データベースとあわせ、カメラ映像などによる情報収集能力の向上に努めてまいります。
     県といたしましては、発災から七十二時間までの間に一人でも多くの人命を救えるように今後とも迅速な初動態勢と的確な初動対応を確保できる体制を充実し、防災先進県としての災害対応能力の一層の向上に取り組んでまいります。
     ちなみに発災が起こりますと、その情報を手に入れるためにはヘリコプターというのが重要ですが、本県にはヘリコプターが十一機あります。十一機が多いと見るか少ないと見るか、我々は必ずしも十分でないというふうに考えております。それから、被災地の状況を衛星で把握する場合にGPSというのがございます。これはアメリカが、全世界の地理情報をいついかなるときでもとらえることができるように三十一基飛ばしているわけです。それを我々も活用しているわけですが、日本政府におきましては準天頂衛星というものを打ち上げることを計画され、実行に移されつつあります。準天頂というのは日本の上に常に衛星があって、常に日本のどの地域についてもその地理情報が手に入れられるという、そういうものでございます。昨年の秋に一基打ち上げられました。これは最低三基、予備として一基、合計四基打ち上げないと十全を期すことができません。これが防災に役に立つということで本県は内閣府と協働いたしまして、その打ち上げに協力をしたいというふうなことも言っておりまして、ありとあらゆる、こういう防災力を高めるためのことに取り組んでいるというのもあわせて御紹介しておきます。
     次に、農業対策についてのうち、茶生産者に対する支援についてであります。
     県におきましては、ことしの三月本県茶業行政の基本指針となる茶業振興基本計画を策定いたしました。場の力を活用した需要創出、茶の生産構造改革による生産力の向上、魅力ある茶文化の創造と力強い国際化、これら三つの柱のもとに茶業の振興に取り組んでいる最中でございます。特に静岡茶の新しい需要を創出するためには、旬であり香り高く風味豊かな八十八夜新茶や、色、形、香りに特徴のある中山間地のお茶でございますふじのくに山のお茶一〇〇選などをふじのくに静岡茶ブランドとして全国に発信するなど、県内各産地の特徴を生かしたお茶づくりを進めているところでございます。本年度から紅茶、ウーロン茶などのすぐれた香りあるいは機能性を兼ね備えた静岡型発酵茶の研究開発にも着手いたしました。新しいお茶づくりに挑戦する生産者を支援してまいる決意でございます。
     さらにこの五月には、緑茶を飲用習慣とすると健康によろしいというそういう学術的研究を紹介しつつお茶を楽しむという緑茶効用セミナー並びにお茶会を東京で開催し、私もそこに出席いたしました。消費者、茶商など百五十人を超える部屋いっぱいの方々に御出席いただきまして、緑茶の機能性や効用を理解していただいた次第でございます。加えて流通や消費の構造が大きく変化する中で静岡産のお茶の価格形成力を高めなければなりません。また優位性も確保しなくてはなりません。そうした流通システムの構築につきましても今後農協、茶商等の茶業関係者の皆様と検討を進めてまいります。
     こうした取り組みを通じて先人たちが八百年間営々と築き上げてこられた技術、伝統、信頼という財産を土台にして、茶業関係者が一丸となって全国の茶生産の四割、流通の六割を占める日本一の茶産地静岡県の地位を維持発展させてまいります。
     こうした中で、三・一一の放射能漏れによる風評被害が出て本県にもその影響が及んで議員の御指摘のような悲観的な気持ちになられている方がいることは重々承知しております。この一つの理由は、飲用茶と食用茶を区別しないで食用茶に適用される、いわゆる野菜と同じような一キログラム当たり五百ベクレルのセシウム、これを基準として適用されたということがございます。しかし私は厚労省あるいは農水省に、飲用茶とそれから食用茶とは違う、そして食用茶の割合は五%未満である、そして飲用茶に使われるものが九五%であるので食用茶に使われるものをもって飲用茶に対して適用するのは正しくないというふうに言っております。しかも食用茶として使われるというものは抹茶。こうしたものがケーキであるとか、あるいはアイスクリームであるとか、あるいはおそばであるとか、いろんな形に使われます。こうしたものの大半は、てん茶を経由して抹茶になったものが使われるわけでございます。こうしたものの割合がどれぐらいあるのか。そうすると、てん茶は被覆をして栽培いたしますから、したがってそこに放射能に汚染される危険はより少ないといえるわけでございます。したがって、いわゆる荒茶と区別されたてん茶のうち、荒茶のうち真に食用になるものの割合というのは恐らく五%よりもはるかに少ないというふうに思われます。
     そうしたことから、私は今回のセシウム、一キログラム当たり五百ベクレルというこの適用それ自体が、いずれ誤りであったと――現在新しい基準値が定められつつありますけれども――こうした方向に向けて、今まずそうしました飲用茶と食用茶との区別の割合等を正確に把握いたしまして、そうした根拠をもとにして国に対しても働きかけてまいりたいと思っております。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 森山交通基盤部長。 
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 東海地震対策についてのうち、初めに遠州灘における津波対策についてお答えいたします。
     県ではこれまで、第三次被害想定の津波高に基づき津波対策施設の整備を進めてきております。遠州灘の海岸部においては想定される津波高に対して、既存の海岸堤防や隣接した保安林の地盤につきましては必要な高さが確保されております。一方河川部におきましては堤防の高さが不足するなど津波の遡上への対応が未完了であり、現在弁財天川や馬込川などで堤防のかさ上げを実施しております。
     議員御指摘のとおり、仙台海岸では防潮堤を乗り越えた津波に加え津波が河川を遡上し大きな被害が発生しております。このような状況を踏まえ本年四月に立ち上げました静岡県津波対策検討会議におきまして海岸部や河川部における津波対策施設の連続性や構造、砂丘の厚み等について八月を目途に緊急総点検を実施しているところであります。また国では東日本大震災を受け大規模地震動による防潮堤や河川堤防の損傷の対策や、津波の越流に対しても効果が発揮できる構造物の技術開発を進め、防潮堤や河川堤防の補強などの新たな設計指針等を検討しているところであります。
     県といたしましては、今回の点検結果を踏まえ緊急的な対応とともに今後策定予定の新たな設計指針等に基づきまして海岸や河川の堤防補強などを積極的に進め、市町の避難計画とあわせ津波に強い安全・安心なまちづくりに努めてまいります。
     次に、掛川市南部地域の道路整備についてであります。
     旧掛川市市街地と旧大須賀町とを結ぶ、いわゆる大須賀ルートにつきましてはこれまで県道大須賀掛川停車場線の西大谷から入山瀬までの約三キロメートルの区間と県道掛川大東大須賀線の岩井寺地内の約七百メートル区間におきまして拡幅整備を完了しております。狭隘区間として残っております西大谷トンネルとその前後の区間約五百メートルの整備につきましては、今年三月に県と掛川市で立ち上げました意見交換会を通じまして、周辺の交通状況を踏まえた優先度や費用対効果など事業化に向けました条件整備を行い具体化に向けた検討を進めてまいります。
     また、通学路の整備につきましては、大渕小学校の通学路になっている県道掛川大東大須賀線の約七百メートルの間につきまして昨年度までに歩道の整備を完了しております。本年度からは土方小学校の通学路になっております県道袋井小笠線において、∴タ全・安心の道緊急対策事業により歩道の整備に着手いたします。
     県といたしましては、地域の骨格となる幹線道路ネットワークの充実とあわせ小中学校周辺の通学路等における安全な歩行空間の確保を目指し、市と連携しながらより効果的な整備に努めてまいります。
     次に、農業対策についてのうち、農業用水の確保についてであります。
     本県では、これまで懸念される東海地震に備え農業水利施設の損壊や機能停止による被害を想定しながら取水堰やため池等の重要な構造物を対象に必要な耐震化を進めてまいりました。こうした中、今回の大震災を教訓に営農を速やかに再開するためには施設の耐震化に加え用水路が分断された場合においても、施設管理者である土地改良区等がさまざまな手段を活用して農業用水を確保し迅速に供給する対策を事前に定めておくことの重要性を認識したところであります。このため土地改良区と農業者等が連携しながら復旧・復興に取り組むことができるよう農業水利施設等の被害想定図の作成に本年度から着手したところであります。さらに給水ポンプの設置など農業者みずからが行う応急対策を初め、用水の過不足を地域全体で解消する水利調整等を明らかにした事業継続計画いわゆるBCPの策定の支援に取り組むこととしてございます。
     県といたしましては、引き続き災害に強い農業水利施設の整備を進めてまいります。さらに地域の方みずからが行う自助、共助の取り組みを支援することにより食の都づくりを支える農業生産基盤とりわけ最も基本となります農業用水の確保に努めてまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 子供たちを取り巻く環境の整備についてのうち、初めに学校施設の耐震化についてお答えいたします。
     学校施設は児童生徒が安心・安全に過ごすことができる教育の場であるとともに、災害時には地域住民の応急避難場所ともなる極めて重要な施設であり計画的に耐震化を進めてきております。各市町におきましては大地震の際、倒壊の危険性が高い施設の耐震化を優先して進め議員からも御紹介がありましたように、県の基準におけるランクTの強度が確保できるよう補強等が行われてきております。その結果、文部科学省による公立学校施設の耐震改修状況調査における県集計速報値ではことし四月一日現在の市町立小中学校の耐震化率は九八・二%となっております。文部科学省の基準を上回る耐震化につきましては設置者であります市町がそれぞれの耐震化計画に基づき実施することとなりますが、その際、国の交付金や本県独自の補助制度が活用できる場合もあることから、県といたしましてはこうした制度の周知を図っていくとともに補強等に関する技術的な助言を行うなど市町学校施設の一層の耐震化が推進されるよう引き続き支援してまいります。
     次に、若手教職員の育成についてであります。
     議員御指摘のように教職員の年齢構成に偏りがある現状から、若手教職員の育成を重点に学校の教育力の維持向上のために研修を充実させることが特に重要であるととらえております。このため、ことし三月に策定しました静岡県教職員研修指針では採用後十年間を若手教職員の育成期間と位置づけ、初任者研修、五年経験者研修、十年経験者研修とこれらをつなぐフォローアップ研修や教職員みずからが抱える個別課題に対応した研修などを体系的に実施することとしております。
     また、これら総合教育センターで実施します研修のほかに、指導主事が学校を訪問し授業を参観して確かな学力をはぐくむ専門的な視点から、若手教員の授業力が向上するよう直接指導助言を行っております。さらに経験豊かな教職員の専門的知識やすぐれた指導技術等を引き継ぐための校内研修を一層推進するとともに、青年海外協力隊として海外体験を積むことなどを通して広い視野を培い、若手教職員が次の時代の学校運営を支える頼もしい教職員となるよう育成に努めてまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 十二番 増田享大君。
           (十二番 増田享大君登壇)
    ○十二番(増田享大君) 御答弁ありがとうございました。
     一点御要望と一点再質問させていただきます。
     お茶に関しまして、現下の問題は放射能の風評被害をどれだけいち早く収束させるか。お茶の現場、実情を全くわかっていない国に対し、このことは断固糾弾すること。そして静岡茶の安全・安心を広くアピールしていくこと。これはもう皆様方御承知のとおりだと思います。これから旬を迎える野菜や果物などほかの産物のこともありますので、お茶でこのようなことをされたら本当に農業産出県としたら戦々恐々たる思いを多くの方が持っていらっしゃるわけで、それに対する思いをぜひ国に強く働きかけていただきたい。私の地元にはたまたま生産側の夏目さん、田中さん、農協さん側ですとか、茶商の斎藤さんなど、たまたま掛川なものですからよくお話をお伺いします。今回のお茶に対する県の取り組み、知事初め担当部の方々の本当に深夜までの御努力ですとかそういったことには非常に評価が高うございます。
     今回、この放射能の影響を受けて皆様方がさらに県に対する期待を強められている。それはどうしてもお茶というのは生産と商工があった場合にどこかで必ず利害がぶつかってしまうところがあります。今回の補償のことに関しましても徹底的に追及すればするほど、どこかで利害が重なってしまう、かぶってしまう、ぶつかってしまう状況があるわけで、そこは第三者的といいますか、公平な立場から裁定をし前に進めていく行政が必要なのではないか。そういう面で県に対する積極的な介入とイニシアチブを地元の方は大変望んでいらっしゃいますので、ぜひそういった意気込みで知事初め県当局には、今後ともお茶のことをよろしくお願いしたいというふうに思っております。
     教育関係につきまして、御答弁いただきましてありがとうございました。
     私、校舎のことももちろんです。確かに県はかなりレベルの高いハードルを設定してそれに向けて財政的なこともございますので、大変御苦労が多いかと思います。ですがやはり子供たちのことでもあり、二十七年度という設定を今現在もそれが有効的に目途とされていらっしゃるのでしょうか。これからこの数年間、この小中学校のさらにランクTに向けての取り組みは各市町でふえてくることと思います。それに対する年次的御計画、御予定などございましたら改めて教育長から御答弁をお願いしたいと思います。以上、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
    ○副議長(鈴木洋佑君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 耐震化の関係の再質問でございますけれども、先ほど議員から御指摘のありましたように教育委員会といたしましては平成二十七年度までというこれまでの計画に基づいて進めていきたいというふうに思っております。正確な数字はちょっと把握しておりませんけれども現在県が求めておりますランクTに満たない校舎の割合はおおむね一五%というふうに把握しておりますので、これからまだ数年ございますので先ほど御答弁させていだたいたような補助制度、あるいは技術的な指導、支援をする中で各市町につきましては目標が達成できるように県としても最大限努力させていただきたいというふうに思っております。以上であります。

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