本会議会議録


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令和元年6月静岡県議会定例会
知事提案説明
発言日: 06/19/2019
会派名:


○議長(鈴木利幸君) 議事日程により、知事提出議案第百五号から第百二十六号までを一括して議題とし、知事の説明を求めます。
 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 提出議案の説明に先立ち、一言申し上げます。
 昨日の夜、山形県沖を震源とする、最大震度六強を観測する地震が発生しました。複数の方がけがをされ、また建物等への影響も出ております。被害に遭われた方々に対しまして心からお見舞いを申し上げます。
 さて、ただいま提出いたしました議案の概要を御説明申し上げますとともに、当面する県政の課題について所信並びに諸般の報告を申し述べます。
 初めに、子供の安全確保対策についてであります。
 先月八日、滋賀県大津市で園児が巻き込まれる交通事故が発生し、二十八日には神奈川県川崎市でスクールバスを待っていた小学生等が殺傷される大変痛ましい事件が発生いたしました。お亡くなりになられました方々及び御遺族の皆様に対しまして衷心より哀悼の意を表しますとともに、けがをなされた皆様の一日も早い御回復をお祈り申し上げます。
 今回の事故事件を受けまして、先月三十日関係部局で構成する静岡県子どもの安全確保緊急対策会議を設置し、今月十一日の第二回会議で防犯、交通安全に関する県の取り組みを緊急対策アクションとして取りまとめたところであります。また同じ十一日に開催したしずおか防犯まちづくり県民会議におきまして、この緊急対策アクションに市町、民間団体等の取り組みも加えオール静岡で子供の安全確保対策を強化していくことといたしました。
 県といたしましては、できる対策から早急に実施していくという考えのもと子供や保護者、職員向けの防犯講座や通学路、通園路等の安全対策などを緊急的に実施することとし必要となる経費を補正予算案に盛り込んだところであります。
 官民が危機感を共有して、ワン・フォー・オール・チルドレン、オール・フォー・エブリー・チャイルドの精神によりこれまで以上に幅広い視点に立った対策を講じ、子供たちの安全確保に全力でかつスピード感を持って取り組んでまいります。
 次に、命を守る危機管理体制についてであります。
 近年多発する豪雨災害への対応につきましては、住民みずからによる事前の準備と速やかで確実な避難が何より重要であります。このため今月一日から大雨洪水警報や避難勧告などの緊急防災情報の通知、地域の危険性や避難方法の事前確認、浸水想定を踏まえた避難トレーニングなどさまざまな機能を備えたスマートフォン向けの総合防災アプリ「静岡県防災」の運用を開始いたしました。平常時、災害時を問わず幅広く御活用いただけるよう期待しております。
 また、住民お一人お一人が台風等の風水害を想定して避難までの行動計画を時系列で作成するマイ・タイムラインを普及するため、藤枝市をモデル地区に住民とのワークショップを開催するなど県民の防災意識の醸成を図ってまいります。
 本年度の総合防災訓練につきましては、「みんなの“チカラ”をいざ結集!自助、共助、公助で守ろう命とくらし」をテーマとして、九月一日三島市、函南町、愛鷹広域公園、富士山静岡空港などをメーン会場に実施いたします。大規模地震の発生により甚大な被害が発生した事態を想定し、自衛隊、警察、消防など関係機関の協力を得て救出救助訓練、緊急物資輸送訓練、航空搬送拠点開設・運営訓練のほか東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックなど大幅な増加が見込まれる観光客の避難誘導訓練もあわせて実施し、防災力のさらなる強化を図ってまいります。
 次に、豚コレラの緊急対策についてであります。
 昨年九月に岐阜県で発生した豚コレラは、これまでに本県に接する愛知県を含む五府県で感染が確認されいまだ収束しておりません。これまで本県での発生は確認されておりませんが、県内で飼育されている約十一万頭のうち四割が愛知県に接する湖西市と浜松市で飼育され豚コレラの防疫体制の強化が急務であります。
 このため、緊急的な対応として養豚場における消毒指導の徹底や県境における畜産関係車両の消毒に加え感染源とされる野生イノシシの養豚場への侵入防止、捕獲、検査などの対策を強化いたしました。また豚コレラが発生した場合に備え、養豚農家が経営再建等に必要な資金を借り入れる際の負担軽減など必要となる経費を補正予算案に盛り込んだところであります。
 次に、社会健康医学の推進についてであります。
 本年三月、県民の健康寿命の延伸を図るため、社会健康医学に関する研究を長期かつ継続的に推進し研究成果を広く県民に還元する人材の育成を目指す社会健康医学大学院大学の設置に係る基本構想を策定いたしました。
 大学院大学の設置場所につきましては、十分な施設規模と教員や学生の利便性を確保する観点から基本構想の策定に合わせて検討してまいりましたが、県立総合病院に隣接する環境衛生科学研究所に加え県に寄附されることになりました静岡県赤十字血液センターの建物を大学施設として有効活用することといたしました。このため施設改修のための設計等に必要な経費を補正予算案に盛り込んだところであります。
 また、大学院大学の運営主体につきましては自主自立的な環境のもと魅力ある教育と研究が展開できるよう公立大学法人を新たに設立することといたしました。約二年後となる令和三年四月の開学を目指し着実に準備を進めてまいります。
 次に、発達障害のある方への支援についてであります。
 来年度から東部地域と中西部地域の二カ所体制とし、機能を充実する発達障害者支援センターにつきましては運営を委託する民間法人二者を決定いたしました。いずれの法人も発達障害に関する高い専門性と支援の実績を有しており経験豊富な職員が配置される予定であります。東部は沼津市、中西部は島田市に開設しますことから、より身近で専門的な支援が提供できるものと考えております。相談者一人一人の障害の特性を踏まえた丁寧な引き継ぎを行い、来年四月からの新体制に円滑に移行できるよう準備を進めてまいります。
 次に、多文化共生社会の実現についてであります。
 来月一日、外国人県民の生活上のさまざまな相談に対応する静岡県多文化共生総合相談センターを静岡市内に開設いたします。センターの愛称は本県特産のお茶、すなわちチャノキの学名であるカメリア・シネンシスからとりまして「かめりあ」といたしました。センターには日本語を初めポルトガル語、フィリピノ語、英語、中国語、ベトナム語、韓国語、スペイン語、インドネシア語の九言語に対応できる相談員を配置するほかテレビ電話通訳、翻訳機を活用しネパール語、タイ語などを加えた十一言語以上で対応が可能な体制を整えます。県、市町、関係機関が相互に連携してきめ細かな相談対応を図り、外国人県民が安心して快適に暮らし活躍できる地域づくりに取り組んでまいります。
 次に、成長産業の育成についてであります。
 二十一世紀の基幹産業の一つとして期待されるマリンバイオ産業の振興につきましては、プロジェクトの推進機関となる一般財団法人マリンオープンイノベーション機構、通称MaOI機構を来月に設立いたします。理事長には東京農工大学前学長の松永是氏に御就任いただく予定であります。
 また、プロジェクトの中核拠点施設となるマリンオープンイノベーションパーク、通称MaOI−PARCを来年秋の完成を目指し清水マリンビル内に整備しております。
 今後、オープンイノベーションの場となるネットワーク組織MaOIフォーラムを立ち上げ、県内外の大学や研究機関のシーズと地域企業のニーズのマッチングを促進しマリンバイオテクノロジーを核とした多彩な産業の振興と創出を図ってまいります。
 セルロースナノファイバー  CNFにつきましては、先月二十四日富士工業技術支援センターに企業の製品開発を支援するふじのくにCNF研究開発センターをオープンいたしました。静岡大学がCNFの産業応用に関する研究開発に取り組むCNFサテライトオフィスを開設したほか、十月には富士工業技術支援センターと共同研究を行うCNFラボに地域企業が入居する予定であります。センターを拠点とした産学官連携の研究開発を展開しCNF関連産業の集積と育成を進めてまいります。
 次に、「森は海の恋人」水の循環研究会の設置についてであります。
 多様な生態系の保全に向けては、森の養分が川を通して汽水域に流れ豊穣の海を育む森と海のつながりを理解することが重要です。このため南アルプスから駿河湾沿岸部までをケーススタディーとして、森と海を結ぶ水を介した生態系の循環構造の調査研究を行う「森は海の恋人」水の循環研究会を設置いたします。研究会の顧問には山梨県富士山世界遺産センター所長の秋道智彌氏、委員長には元東海大学海洋学部教授の鈴木伸洋氏に御就任いただく予定であります。
 今後、海洋、河川、森林に知見のある委員の方々とともにユネスコエコパークである南アルプス、世界で最も美しい湾クラブに加盟する駿河湾という世界クラスの資源をフィールドに研究を進め生物多様性の保全と持続可能な利用につなげてまいります。
 次に、海洋プラスチックごみ対策についてであります。
 プラスチックごみの流出による海洋汚染が地球規模で広がっております。先月十日には有害廃棄物の国境を越えた移動を規制するバーゼル条約の対象にリサイクルに適さない汚れたプラスチックを加える改正が締約国会議で合意されました。また今月二十八日から開催されるG20大阪サミットにおいても海洋プラスチックごみ問題が重要な課題とされております。世界に誇る美しい湾や長い海岸線を有し豊かな海からの恵みを受けている本県も世界の一員としてこの問題に率先して取り組まなければなりません。
 このため、プラスチックごみの発生抑制と流出防止に向け従来のリデュース、リユース、リサイクルの3Rにレジ袋などを断るリフューズ、ごみを持ち帰るリターン、海岸や河川を清掃するリカバーを加えた本県独自の6Rを県民運動の基本方針として定め、先月三十日の静岡県海洋プラスチックごみ防止6R県民運動推進大会において満場一致で賛同を得たところであります。今後は6R県民運動を県内全域で展開し、やがてはこの取り組みが世界に広がるよう県民総参加で美しく豊かな海を守ってまいります。
 次に、リニア中央新幹線建設に伴う大井川水系の水資源等の保全についてであります。
 リニア中央新幹線トンネル工事に伴う水資源や自然環境への悪影響を回避するため静岡県中央新幹線環境保全連絡会議を設置し、専門家を交えた専門部会でJR東海との対話を重ねてまいりました。これまでの対話ではリスク管理や生物多様性の保存にかかわる基本的な考え方などJR東海側の説明は十分とは言えません。利水者や地域住民の皆様に納得し安心していただける状態には至っておりません。
 このため、専門部会における委員の現段階の意見を整理し大井川利水関係協議会にも御意見を伺って中間意見書を取りまとめたところであります。今月六日にはJR東海に誠意ある回答を求めたところであり、南アルプスを源流とする大井川を命の水とする利水者や地域住民の皆様に真摯に向き合い納得いただける御回答を期待しております。
 また、十三日にはリニア中央新幹線建設予定地の状況を確認するため専門部会の委員、利水者、地元市町の皆様とともに現地を視察いたしました。複雑な地質構造や貴重な生態系を有する南アルプスの自然環境、さらには工事等に利用する道路の安全性が確保されてはおりません。また流量も見た目には少ないという現況も確認いたしました。このような状況や中間意見書に対する回答を受けていない現段階では本体工事の着手を認めることはできないと考えております。
 引き続き、リニア中央新幹線トンネル工事に伴う水資源、自然環境への悪影響を回避するよう全力で取り組んでまいります。
 次に、スポーツの聖地づくりについてであります。
 九月の大会本番を目前に控えたラグビーワールドカップ二〇一九につきましては、八月三日大会最後のカウントダウンイベントとしてワールドカップ約五十日前の重要な強化試合である日本代表対トンガ代表戦のパブリックビューイングを静岡市内で開催いたします。大会本番に向け組織委員会や地元市町と連携し機運の醸成と開催準備の総仕上げを行ってまいります。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックにつきましては、今月一日大会組織委員会から聖火リレーのルート概要が発表されました。「希望の道を、つなごう。」をコンセプトに聖火の光が百二十一日間にわたり全国四十七都道府県をつなぎます。
 本県では、来年六月二十四日から二十六日の三日間をかけて世界遺産富士山を望む日本一深い駿河湾や茶畑が織りなす絶景を背景に富士山静岡空港、富士山世界遺産センター、世界文化遺産韮山反射炉など世界クラスの地域資源の数々をめぐります。今後聖火をつなぐランナーの募集、選考も行ってまいります。
 大会開幕へ向けて県下一丸となって機運を高めるとともに、今後実施されるテストイベントにおける課題の検証や都市ボランティアの養成など東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック自転車競技の本県開催の成功に向け万全を期してまいります。
 次に、世界遺産富士山についてであります。
 保全状況報告書につきましては、先月ユネスコ世界遺産センター事務局及び諮問機関により世界遺産登録時に特定した六つの分野全てにおいて順調な進展が見られるとする決議案が公開されました。この決議案では何と三度目となる保全状況報告書の提出を、しかも来年十二月一日までに提出するように要請されております。正式な審査、評価の決定は今月三十日からアゼルバイジャンのバクーで開催される世界遺産委員会で行われることとなります。
 引き続き関係機関と連携し、令うるわしく和した国土のシンボル富士山が国内外の皆様に愛され末永く後世に継承されるよう適切な保存管理に努めてまいります。
 この夏の開山期間につきましては、本県では昨年と同様来る七月十日から九月十日までといたしました。開山期間中には登山者の安全を確保するため、登山道の混雑箇所への安全誘導員の配置や混雑日や混雑時間の事前周知による登山者の分散化などに取り組んでまいります。
 また、富士山の環境保全や安全対策を目的とした富士山保全協力金につきましては山頂を目指す登山者に加え、この夏からは五合目から先を訪れる全ての方に御協力をお願いすることといたしました。今後も多くの皆様に御協力いただけますよう心からお願いを申し上げます。
 次に、地域外交の推進についてであります。
 今月六日から九日にかけて、北京市政府から出展要請のありました北京国際園芸博覧会に合わせて中国を訪問いたしました。北京市で開催されている国際園芸博覧会では二〇一九年北京国際園芸博覧会事務協調局常務副局長周剣平氏と面談し、また世界的なガーデンデザイナー石原和幸氏による日本一の生産量を誇る本県特産のガーベラを使ってデザインした富士山の展示を日本展示館で行い、ピアノの自動演奏と音楽に合わせて繰り広げられる富士山と桜の映像、浙江省との友好を示す銘茶龍井茶の茶の香りを交え花の都しずおか、茶の都しずおかをPRいたしました。私が訪れた今月八日の本県展示のオープニングには一万三千人を超える方々が来館し、生花で作られた赤富士の美しさに驚きの声が上がるなど多くの皆様に静岡県の魅力を堪能していただきました。
 また、北京市王紅副市長とお会いし音楽教育を初めスポーツ、文化、観光など幅広い分野での相互交流について意見を交換いたしました。
 このほか、前浙江省書記、現在は中国人民政治協商会議副主席、かつ秘書長でもあります夏宝龍氏と、また中国商務部国際貿易経済合作研究院于広生副院長とも面談し友好関係の強化を図ってまいりました。
 今後も、今回築いた関係をより強固なものとし相互に実のある関係を深めてまいります。
 次に、富士山静岡空港についてであります。
 今月四日富士山静岡空港は開港十周年の節目を迎えました。開港から十年の間には定期便の運休や減便など困難な時期もありましたが、県議会の皆様を初め地域住民、航空関係者の御理解、御支援に加え航空、旅行会社と連携した地道な利用促進の取り組みなどによりこれまでに五百七十万人を超える方々に御利用をいただきました。本年四月からは富士山静岡空港株式会社による運営に移行し県、運営権者、富士山静岡空港利用促進協議会等が連携して新規路線の開設、既存路線の利用促進に取り組んでいるところであります。
 来年中には山梨県と本県を結ぶ中部横断自動車道の全線が開通する予定であり、まさに富士山静岡空港は富士の国の奥座敷である山梨と表玄関である静岡の両県の空の玄関口となります。令和の時代もさらに多くの皆様に選ばれる魅力あふれる空港を目指してまいります。
 次に、決算の見通しについてであります。
 平成三十年度の一般会計決算につきましては、法人二税が最終予算を上回ることや予算の効率的な執行による不用残などにより財政調整のための基金の取り崩しを三十億円中止し来年度以降の財源を確保いたしました。この結果実質収支は五十億円程度の黒字を確保できる見込みであります。
 次に、六月補正予算についてであります。
 六月補正予算は、当初予算編成後の事情変化により早急に対応する必要がある取り組みについて編成いたしました。先ほど御説明申し上げました子供の安全確保対策、豚コレラ対策、社会健康医学大学院大学の開学準備に必要な経費のほかサクラエビの資源量を把握するための生体数予測調査などの経費を計上したところであります。この結果一般会計補正予算の規模は四億六千二百万円で、これを加えました本年度の予算の累計額は一兆二千七十億六千二百万円となります。
 次に、予算以外の議案のうち主な案件につきましてその概要を御説明申し上げます。
 第百六号議案から第百八号議案までは、会計年度任用職員、任期付職員など新たな任用制度の導入等に伴う条例の制定及び改正であります。
 第百十一号議案から第百十六号議案までは、法令の改正等に伴う条例の改正であります。
 第百十八号議案から第百二十号議案までは、土木工事の請負契約等についてお諮りするものであります。
 第百二十五号議案及び第百二十六号議案は、任期満了に伴う人事委員会委員の選任及び公安委員会委員の任命について同意を求めるものであります。
 報告第十九号から報告第二十六号は、平成三十年度の一般会計、特別会計及び企業会計の繰越額が確定いたしましたので報告するものであります。
 以上で私の説明を終わりますが、適切なる御議決をお願いする次第であります。
○議長(鈴木利幸君) 以上で説明は終わりました。
                               
○議長(鈴木利幸君) 休会についてお諮りします。
 議事の都合により、六月二十日及び二十一日は休会とすることに御異議ございませんか。
       (「異議なし」と言う者あり)
○議長(鈴木利幸君) 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
                               
○議長(鈴木利幸君) 次会の議事日程を申し上げます。
 六月二十四日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会します。

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