• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和2年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

藤曲 敬宏 議員

質問分類

代表質問

質問日:

09/25/2020

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について
(1) コロナ対応における市町との連携
(2) リニア中央新幹線整備における知事の政治判断
(3) 県財政の現状認識と施設整備計画の見直し
2 新型コロナウイルス感染拡大に伴う本県の対応について
(1) ふじのくにシステムに伴う行動制限
(2) コロナハラスメント対策の取組
(3) 保健所と消防本部との協定締結の必要性
3 県内中小企業に対する資金繰り支援と経営支援について
4 森の力再生事業ともりづくり県民税の今後について
5 本県における防災・減災、国土強靱化政策について
6 観光産業の早期回復に向けた取組状況について
7 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック開催に向けた新
 たな出発について
8 本県におけるGIGAスクール構想の取組状況について
9 警察本部長着任における所信について


○議長(山田 誠君) 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、十七番 藤曲敬宏君。
       (十七番 藤曲敬宏君登壇 拍手)
○十七番(藤曲敬宏君) 皆さんおはようございます。質問に入る前に一言申し上げます。
 去る八月二十八日、体調不良を理由とした突然の安倍晋三首相の辞任表明がありました。外交をはじめ経済政策や平和安全法制の整備など、歴代最長を記録したこの七年八か月にわたる長期安定政権が我が国にもたらした成果は極めて大きかったと言わざるを得ません。まさに命がけで日本のリーダーとしてその使命を十二分に果たされた安倍元総理に感謝を申し上げるとともに一日も早い回復をお祈り申し上げます。そして長年安倍政権を支えた菅義偉官房長官がコロナ禍における国難の中、政治の空白を作ることは許されないとして立ち上がり、前政権の継承を旗印として第九十九代総理大臣に就任されました。我が自民改革会議といたしましても菅自公連立政権を全力で支えるとともに、コロナ禍を一刻も早く抜け出し令和の時代にふさわしい新たなかじ取りを期待申し上げます。
 それでは、自民改革会議を代表して通告に従い当面する県の諸課題について知事、副知事、関係部局長、教育長及び教育部長並びに警察本部長に一括質問方式でお尋ねいたします。
 まず初めに、知事の政治姿勢についてのうち、コロナ対応における市町との連携について伺います。
 未知の病原菌であった新型コロナウイルス感染症に対し世界中のリーダーがその対応に追われました。日本においては初期段階緊急事態宣言を発令しましたが、外出自粛の要請には法的拘束力のない中、国民の規範意識の高さに助けられパンデミックを最小限に抑えられました。特に全国の数多くの知事がリーダーシップを発揮し、自らの言葉で説明し住民に寄り添う姿はその地域に住む人々に安心感を与えていました。非常時に必要とされるのはリーダーとしての情報分析力と実行力であると言えます。
 新型コロナウイルス感染症の国内患者の発症から半年以上が過ぎた今、果たして静岡県として的確かつ迅速な判断を下すことができたのか総括するとともに第三波に備える必要があると言えます。
 本県は二月十七日の時点で新型コロナウイルス感染症対策本部を立ち上げました。その後四月十三日には対策本部内に危機管理部、健康福祉部を主体とした専任チームを設置し感染者の急増に備え病床確保に向けた広域調整、軽症者の受入れ先の確保や搬送支援などに取り組んだ点は評価できます。
 一方で、休業要請については緊急事態宣言が出された際に感染者、医療体制において切迫した状況にないとしてすぐに休業要請の必要はないと判断しました。しかし市長会や町村会の代表からの訴えに促される形で一部事業所の休業要請を実施することとしました。しかし遅れた県の対応を待ち切れずに独自で休業要請を開始した市町もありました。また休業要請を行う事業所の範囲も県下の実情を反映していなかったり、二度目の休業要請の対応窓口が変わるなど申請事務も混乱し、他の都道府県に比べ初動対応の甘さを露呈したことは誰よりもその影響を受けた県民が肌で感じています。この点については既に六月議会で、野田議員から知事の初動対応について危機管理のリーダーとして物足りないとの発言がありました。
 その後も、六月に入り県内各地における夏場の海水浴場の開設において各市町が悩む中、新型コロナウイルス感染症対策本部においては開設に当たっての県下標準のガイドラインさえ示すこともありませんでした。今年のようにコロナ禍の海水浴場開設に当たっては、市町に対応が任されたこともありそれぞれの事情で判断したことで県内各地で足並みがそろわず海水浴場利用者の混乱を招いたり、首都圏からの利用者が増加することに健康被害を憂慮する地元住民の非難の矛先も全て判断を下した市町に向かう形となりました。
 近隣の神奈川県では、六月の時点で神奈川県海水浴場条例に基づいて今年の夏の海水浴実施に関するガイドラインを県内一律に示したのとは対照的な対応でした。感染者情報の提供においても県からの情報は限定的で感染者拡大を最小限に食い止めようとする市町に対し十分な情報提供がなされず、感染者が発生した市町や周辺医療機関では具体的な対策を講じようがないといった不満も多く、多くの市町首長や医療関係者から上がっておりました。
 また、コロナ終息後の消費喚起を見据え県内旅行を推進する「バイ・シズオカ〜今こそ!しずおか!!元気旅!!!〜」の実施についてもその告知が遅れ、市町も同様のクーポン券を既に発行してしまい市町から県の施策に対し疑問の声が上がっていました。
 いずれのケースも、市町の現場からは今回の県のコロナ対応について感染症対策の専門家が各基礎自治体にいない中において、情報提供や専門的指導は不可欠であるにもかかわらず情報共有や支援体制等において県と市町との連携が薄く県の次の一手が見えにくく市町独自で手探りで対応を考えざるを得なかったと県に対する不満の声が聞こえてきました。
 新型コロナウイルス感染症対策本部員会議を中心とした感染拡大防止策、医療提供体制の整備、深刻な影響を受けている事業者への制度融資の拡大などの施策は評価される一方、現場主義と一貫して唱えられている川勝知事にとって休業要請や海水浴場開設に向けた県下標準ガイドラインの策定など、県民の声を直接に反映する市町との連携は課題が多かったと指摘せざるを得ません。
 そこでお伺いします。初動体制からこれまでのコロナ対応において、市町との連携において知事はどのように自らのリーダーシップを評価されているのか所見を伺います。
 また、新型コロナウイルス感染症対策本部においてこれまでのコロナ対応における市町との連携についてしっかりと検証し今後に向けより効果的な対応策を講じる必要があると考えますが、県の所見を伺います。
 次に、リニア中央新幹線整備における知事の政治判断についてお伺いします。
 川勝知事は今年の一月六日、年頭の仕事始めで職員を前にしリニア問題に触れ、トンネルか水か二者択一を迫られているがどう両立するか知恵を絞らなければいけないと発言していました。しかしその後六月二十六日、JR東海金子社長との直接会談では準備工事に対する認識のずれから会談は平行線に終わり、その後の知事の発言によりさらにJR東海との相互不信は増しています。
 七月十日、藤田事務次官との直接会談の際には一度封印した静岡県を避けるルートの変更についてあえて言及しました。さらには国交省の設置した有識者会議の仕切りについての不満、政府に対してもリニア計画全体の中間評価、見直しを行うべきであると全国紙に寄稿しています。
 このところ静岡県と国やJR東海との間には問題解決の前提となる信頼関係さえ築けていないのが実情です。もはやヤード工事の許認可や作業道の整備の遅れによる二〇二七年リニア開通延期という問題だけではなく、知事の口からは国やJRに対する批判ばかりが続きトンネル工事着工自体に明らかに反対しているのではないかと県民には映っています。その後も九月八日の定例記者会見では新甲府駅までの部分開業による富士山周遊コースの提案、さらに部分開業もメリットがあることを新しい首相に問題提起したいとまで述べています。
 一方、現在のJR東海の姿勢は工事中の湧水を全量静岡側に戻すことは技術的に不可能、トンネル工事に伴うトンネル周辺尾根部での地下水位の低下は局所的に三百メートル以上となり生態系への影響は避けられないとの見解を示しています。また九月十日の新聞報道で、大井川直下で大量の湧水が発生する可能性を指摘した一般に公開されていない資料の存在も明らかになりました。大井川の流量計算方法についても専門家から疑問を抱かれています。
 今後静岡県が求める流量、水質、生態系への影響、残土処理等々、引き続き対話を要する事項四十七の検討項目についてJRからのデータが明らかになればなるほど静岡県の求める基準との相違は避けられないと感じます。今やリニア中央新幹線における開業遅れを静岡問題と騒がれていますが、国民をはじめ静岡県民にとっても非常に分かりにくい論議が続いています。静岡県にとって一体どこを着地点に見据えることが総合的に最善なんでしょうか。
 そこでお伺いします。自民党特別委員会での発言の冒頭に知事は、私は一貫してリニア大推進論者であると述べていましたが、推進となる根拠が崩れている現在でも推進派としての認識を持っているのかお答えください。
 あわせて、バックボーンとなる大井川流域十市町の意思を踏まえた上で水は一滴も譲れないと主張していますが、場合によっては国やJR東海を全面的に敵に回す可能性もあります。まさに第二の沖縄辺野古移設問題になりかねません。川勝知事はどのような着地点を見据えているのか、物理的に流れる水の全量確保なのか、あるいは流域住民の生活に最低限度必要な水量を確保することなのか、知事のお考えを明瞭にお答えください。
 次に、県財政の現状認識と施設整備計画の見直しについて伺います。
 本県の財政調整用の基金は、二〇二〇年当初予算編成後の残高二百八億円から二月、四月、五月の補正予算における新型コロナウイルス感染症対策費への活用により百七億円まで減り、二〇一九年度決算や九月補正予算の取崩し中止額百三十一億円を追加しても二百三十八億円にとどまっています。医療や検査体制強化、事業者への支援、感染症対策の物資購入など、国の交付金による補塡はあったとしても年度当初から積極的に補正予算を編成し県単独でコロナ対策に基金を投入した結果財政状況は厳しさを増しています。
 さらに、新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴う県内経済の悪化から九月補正予算では県税と地方譲与税を合わせて百六十七億円の減額補正が提出され、今年度の税収見込みも大幅な見直しが必要とされています。引き続き来年度以降も法人二税をはじめ個人県民税、地方消費税などの幅広い分野にその影響が及ぶことが予想され大幅な財源不足が発生するおそれがあります。
 そこで、来年度予算編成に向けて知事は県財政の現状をどのように捉えているのか伺います。
 また、こうした状況の中、知事は六月定例会において今後多額の財政負担が見込まれる浜松市西区の遠州灘海浜公園篠原地区野球場や県立中央図書館の整備計画など六つの事業について整備内容やスケジュールなどを総点検する方針を発表し今月八日に総点検結果を公表しました。
 感染拡大後、事業の前提となる社会経済状況や施設整備に対する県民の意識が変化していることも考慮し事業の目的や手法、開始時期や予算規模などを見直す必要があると判断し県としての見直しの方向性の案を示したものですが、早急に具体的に新たな方向性を示し県民の理解を求める必要があると考えますが、この六事業の施設整備計画の総点検を踏まえた現段階での方針をお伺いします。
 また、県の財政負担についてどの程度軽減される見込みなのか併せて伺います。
 次に、新型コロナウイルス感染拡大に伴う本県の対応についてのうち、ふじのくにシステムに伴う行動制限について伺います。
 県は、六段階警戒レベルとレベルごとの行動制限を決定、公表するふじのくにシステムを導入し毎週金曜日に感染状況や感染症対策専門家会議の意見を基に警戒レベルを更新しています。今日現在、九月十一日までの警戒レベル四からワンランク警戒レベルが下がったことにより警戒レベル三、県境をまたぐ行動については引き続き警戒、県内の行動については注意するという表現に変更しました。県民はこのような状態で秋から冬にかけて第三波感染拡大を不安視する一方、再び緊急事態宣言や休業要請が実施されるのか、日本経済が止まることに対する危機感も同時に抱いています。
 新型コロナウイルスの感染拡大による全国各地での経済自粛の傾向が中小企業の存続に深刻な影響を与えつつあります。先日実施された東京商工リサーチの調査によると、コロナの終息が長引く場合、中小企業の七・七%が廃業を検討する可能性があると結果が出ました。時期については四五・一%が一年以内と答えています。特に飲食店や観光関連業界などのサービス業は深刻な打撃を受けており、既に解雇や雇い止めが始まっています。
 九月二十四日現在、県内での陽性者確認数五百二十二人の内訳は退院五百九人、入院五人、うち重症者一人、宿泊療養五人、入院療養等調整中一人、死亡者二名、致死率〇・四%となっています。この数字を見る限り、県内医療機関の献身的な治療により重症化は最低限に抑えられていると言っても過言ではありません。
 最近ではこれらのデータから、陽性者確認数イコール感染拡大と捉えるのではなく陽性率が低く一定で重症者数が増えていないことから全国的に既に症状も出ずに人々に薄く広がって蔓延している状況と判断するほうが妥当だと述べる医師の見解もあります。何のために社会経済活動を自粛するのか。県内で亡くなった二名の方にはお気の毒ですが、本県においては死者、重症者ともに比較的低い水準を維持していることから感染者を出さないではなく広げない、死亡者を出さない、医療崩壊を起こさせないという観点で徐々に社会経済活動を元に戻していくべきと考えます。
 既に、国も感染症法上の分類について新型コロナウイルス感染症を現在の二類相当から五類に移行することを検討しているとの報道もあります。また全国の医療従事者千人以上を対象としたアンケートでも六六・七%の人が二類相当などの措置が取られている現在の運用を五類、季節性インフルエンザ相当に見直す必要があると思うと答えています。
 手洗い、うがい、マスクの生活習慣を維持しつつ社会経済活動を進めていかなければならない中で警戒レベル三、感染移行期前期の表現では、これまで同様に働くこと以外旅行や外食などは自粛した方がよいと受け止めている県民が多いと認識しています。
 そこで、現状のふじのくにシステムに伴う行動制限に関するこれまでの評価と今後の方針について、県の所見を伺います。
 次に、コロナハラスメント対策の取組について伺います。
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い県内でも感染した方や医療従事者並びにこれらの家族、さらには他の都道府県からの来訪者に対する差別や偏見、心ない誹謗中傷などの事例が見受けられるようになりました。また誤った情報により感染していない方にまで差別が広がるケースも増えています。県内においては、感染者に対してネット上で特定し犯人扱いされることによってひどい場合には勤務先を退職したり家族ごと引っ越しせざるを得ないケースもあったとお聞きしています。
 このような誹謗中傷行為は、当事者を深く傷つけ平穏な社会生活を送る妨げになるのみならず、積極的疫学調査をはじめとする感染症拡大防止への協力が得にくくなり結果として感染症の拡大など深刻な事態を招くおそれもあり決して許されるものではありません。感染者等を誹謗中傷しない雰囲気づくりの重要性、いわゆるコロナハラスメント対策の必要性が改めて求められています。
 こうした中、県では先月二十六日に庁内の関係各課によるチームを立ち上げ静岡県新型コロナウイルスに係るSTOP!誹謗中傷アクションとしてまとめたと伺っています。
 そこで、このアクションを基本として今後コロナハラスメント防止対策にどのように取り組むのか伺います。
 次に、保健所と消防本部との協定締結の必要性について伺います。
 新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令が本年二月一日に施行して以来、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に基づき新型コロナウイルス感染症患者等が増加した場合患者等の移送について円滑に進めるため、県内消防機関と十分な協議を行った上で必要な事務を進めるよう既に厚生労働省及び消防庁よりそれぞれ通知が出されています。感染患者等の搬送に関しては保健所が担っていますが、症状に応じて別の医療機関への移動などの際、酸素吸入やモニターによる管理が必要な重篤患者について地域の消防機関に搬送の協力が求められるケースが既にこれまでも県内各地で発生しています。
 本県においても、消防隊員の安全を確保しつつ必要に応じ円滑な患者等の搬送ができるよう早急に県と県内の消防本部との間で新型コロナウイルス感染症に対する搬送協定を締結する必要があると考えますが、県の所見を伺います。
 次に、県内中小企業に対する資金繰り支援と経営支援について伺います。
 県では、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける中小企業のため国に先駆けて県制度融資に新型コロナウイルス感染症対応枠を設けるとともに、国と連携した国連携新型コロナウイルス感染症対応貸付けによる資金支援を実施しています。これらの資金支援は申込みが殺到した四月から六月までに比べ七月以降はやや落ち着いているとの新聞報道があり、また金融機関には県内中小企業は当面の資金手当てができたとの見方があります。
 しかしながら、日本銀行静岡支店が七月一日に公表した静岡県の企業短期経済観測調査結果では全産業の業況判断――DIがマイナス四十四ポイントと前回の三月調査に比べ三十四ポイント悪化しており、とりわけ宿泊・飲食サービス業はマイナス百ポイントと全業種で最も低く九月の予測値でも改善する見通しはないものとされています。宿泊・飲食サービス業に限らず中小企業は現在感染拡大第二波の影響を受け依然として厳しい経営状況が続いており、秋以降に手元資金が枯渇すれば追加融資の必要性が出てくるものと考えられます。
 感染収束の見通しがつかない状況では引き続き資金繰り支援により中小企業を支えていく必要があると考えますが、県の見解を伺います。
 また、経営者の高齢化や後継者難に加え感染症拡大による業績悪化が追い打ちとなり二〇二〇年に休廃業や解散に追い込まれる企業は全国で五万件を超えるとの報道もあります。地域経済を担う中小企業が廃業や倒産に追い込まれないためには経営状況をよく知る地域金融機関、さらに信用保証協会と共に連携した経営改善支援が必要であります。さらに親族内だけではなく第三者による事業承継も事業の継続に必要な、有効な手段であると考えます。
 そこで、中小企業の経営支援に関する県の取組について併せて伺います。
 次に、森の力再生事業ともりづくり県民税の今後について伺います。
 森林は県民生活に欠かすことのできない水源の涵養、山地災害の防止など森の力を有しており、将来にわたってこの機能を持続的に発揮していく必要があります。
 このため、県は森の力の再生を図ることを目的に平成十八年度から森の力再生事業により荒廃森林を整備してきました。現在事業は平成二十八年度から令和七年度までの十年間の第二期の整備計画により実施しており、今年度は中間地点の五年目を迎えています。一方この財源になるもりづくり県民税については静岡県もりづくり県民税条例において課税期間を五年間と定めており、その後は事業の進捗状況、効果、税負担等を踏まえて税率や課税期間等を改めて検討することとしており、今年度はその見直しの時期となっています。
 この間、国は市町が森林整備等を実施するための安定的な財源として平成三十一年三月に新たに国税の森林環境税、森林環境譲与税を創設するなど社会状況の変化が見られています。
 こうした中、県はタウンミーティングなどにより森の力の再生について県民の皆さんの意見を伺い今後の対応を検討すると聞いています。
 そこで、県はこうしたことを踏まえこれまでの事業の成果をどのように評価しているのか伺います。
 また、近年の豪雨や大型化する台風により全国で災害が頻発しており、本県においても山地災害の未然防止の観点からも荒廃森林の解消は喫緊の課題であり森の力再生事業の残りの計画の着実な実施のためにはもりづくり県民税の継続が必要と考えますが、県はどのように対応していくのか伺います。
 次に、本県における防災・減災、国土強靱化政策について伺います。
 近年、地球規模の気候変動に伴い激甚化、頻発化する台風や豪雨によって全国各地で甚大な被害が発生しております。昨年十月には、狩野川台風の再来と言われた台風十九号による記録的な大雨や暴風により東海地方から東北地方に至る広い範囲で極めて深刻な被害が発生したことは記憶に新しいところです。また既に本年も七月豪雨と命名された長雨と集中豪雨により九州地方を中心に八十名以上の死者や行方不明者が発生しています。こうした何十年に一度と呼ばれる規模の豪雨は、多くの社会インフラに被害を及ぼし広域の浸水や交通網の寸断、長期停電や通信障害を発生させ国民の生命と財産を脅かしています。
 現在本県では、国が平成三十年夏の西日本豪雨を契機に創設した事業規模約七兆円に上る防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策を活用して社会インフラの事前防災対策を推進しているところであります。緊急かつ重点的に対策を進める効果は大きいものと認識していますが、この三か年緊急対策は本年度が最終年とされています。
 一方、今後も衰える気配のない大規模自然災害の発生に備え治水対策をはじめとする防災対策のさらなる強化を求める声はますます高まっており、去る七月十七日に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針二〇二〇、いわゆる骨太の方針の中では国土強靱化の取組の加速化、深化を図る方針が示されたところです。
 そこでお伺いします。本県における防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策の成果と、県の最重要施策とも言える社会インフラの防災・減災対策に今後どのように取り組んでいくのかお聞かせください。
 次に、観光産業の早期回復に向けた取組状況について伺います。
 新型コロナウイルス感染拡大により失われた観光客の流れを地域に取り戻し観光地全体の消費を促すことを目的とした国による官民一体型の消費喚起キャンペーン――ゴー・トゥー・トラベルが始まり二か月がたちました。当初の予定を前倒ししてスタートしましたが感染拡大を受け東京が除外されたことやいまだ全国的に感染拡大の状況は収まっていないこともあり観光機運は高まらず、私の地元熱海では三月から八月までの宿泊者数は前年度比で百万人減、影響額は三百五十億円にも及んだという数字も発表されています。さらに個人客が中心の夏休みが終わった九月以降例年増えてくる団体ツアーや研修等の予約も伸び悩んでおります。こうした厳しい状況は県内各地からも聞こえており、本県観光産業は非常に深刻な打撃を受けています。
 県内の観光施設や宿泊施設では感染症対策を徹底し本県への旅行に対する安心感を提供するよう努力を重ねており、熱海でもこの夏、観光協会を中心に感染予防策を講じながら市内三か所の海水浴場の開設や合計七回の花火大会を開催し地域の経済を止めない努力を重ねてきました。
 そうした中、最近ようやく十月からゴー・トゥー・トラベルでこれまで除外されていた東京が追加される方針が示されることによりシルバーウイークを境に国民のマインドが徐々に変わりつつあることを感じています。
 既に、本県としても県内観光の促進を図るため「バイ・シズオカ〜今こそ!しずおか!!元気旅!!!〜」キャンペーンを実施し六月中旬から始まった第一弾は主に県民を対象に、七月下旬からの第二弾は知事の言う山の洲(くに)である山梨、長野、新潟三県の県民も対象に加え八月三十一日まで実施しました。
 県内宿泊費の割引助成などにより一定の効果があったとお聞きしていますが、これまでの第一弾、第二弾のキャンペーンの効果についてどのように評価しているかお答えください。
 さらに、今後国の進めるゴー・トゥー・トラベル需要の獲得に向けて全国の観光地の競争が激化する中、本県の観光産業の生き残りと早期回復に向けてどのような観光需要喚起策に取り組んでいくのかお答えください。
 次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック開催に向けた新たな出発について伺います。
 去る七月二十三日、大会組織委員会が東京五輪の開会式開始と同時刻の午後八時から実施した一年前イベントに白血病と闘い見事難病を乗り越えた池江璃花子選手が、希望が遠くに輝いているからこそどんなにつらくても前を向いて頑張れる、一年後の今日この場所で希望の炎が輝いていてほしいと、たった一人広い新国立競技場で聖火のランタンを掲げたシーンが大変感動的でした。
 コロナに打ち勝ち、私たちが生きている間にもう二度とないかもしれないオリンピック・パラリンピック自国開催という栄誉ある立場で来年に向けて開催地である静岡から力強く声を上げていくことが重要と考えます。さらにコロナ禍にあって観光産業に依存している伊豆半島の県民は大きな経済的打撃を受け今なお先の見えない不安の中で過ごしています。そんな中、希望と勇気、元気を与えてくれるのがまさに東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの開催にほかありません。
 ある新聞記事に障害者アスリートが、コロナを乗り越えたことが大きな力となり世界中の人々が喜びを分かち合う大会にしたいとあったのが印象的でした。パラリンピックに出場予定の七割のアスリートが大会開催を希望しています。
 そこでお伺いします。既に来年の競技日程及び会場も公表され県における大会準備もいよいよ本格化していくと察しますが、この夏、県において新たな出発と銘打った取組を実施したとお聞きしています。具体的にどのような取組を実施したのか。
 また、現在の新型コロナウイルスの情勢を踏まえるとオリンピック・パラリンピック開催に当たっては多くの課題があると考えます。
 安心・安全な大会運営や落ち込んだ開催機運の再醸成、国内外からの観戦客のおもてなしといった課題に対してどのように取り組んでいくのか、県の所見を伺います。
 次に、本県におけるGIGAスクール構想の取組状況について伺います。
 二月末に政府が全国一斉休校を要請した際に、コロナ禍によって子供たちの学びを止めないという教育関係者の努力により休校中の多くの子供たちの学習はオンラインになり全国各地でICTの恩恵を実感することとなりました。
 さらに、国の令和二年度補正予算において総額約二千二百九十二億円を計上し一人一台端末の早期実現や家庭でもつながる通信環境の整備などGIGAスクール構想におけるソフト・ハード、人材を一体とした整備を加速することで災害や感染症の発生等により臨時休校の場合でもICTの活用により全ての子供たちの学びを保障できる環境を早急に実現しようしています。
 しかし、県内の学校現場ではいまだコロナ禍にあって通常授業の大幅な遅れをどう取り戻すのか、クラスターを防ぐための感染予防対策、運動会に修学旅行、合唱コンクールなどの学校行事をどう実施していくのか、さらに中学校では部活動や進学のための準備など様々な課題で教職員の負担はこれまで以上に増えています。
 今年度、これに加え新たにICT教育を進めるネット環境整備や指導者の育成などGIGAスクール構想実現に向けて取り組まなければならない課題が山積しているように見受けられます。
 そこでお伺いします。GIGAスクール構想の早期実現に向けて、県教育委員会として現場の教職員をサポートするための現在のソフト・ハード、人材育成のための取組状況についてお聞かせください。
 最後に、警察本部長着任における所信について伺います。
 山本本部長におかれましては、去る八月六日付で大阪府警察副本部長から本県の警察本部長に着任されました。山本本部長は青森県及び群馬県において警察本部長を歴任されており、本県着任に当たり国宝とは一隅を照らす人なりと警察組織の在り方を示し県民の安心・安全に向けた強い思いを語られました。警察本部長として、これまで培われた知見を生かしその手腕を遺憾なく発揮していただきたいと思うところであります。
 さて、本県の治安情勢に目を向けますと県警察及び関係機関等の御尽力により刑法犯認知件数や交通事故件数は減少傾向にあるものの、高齢者が被害者となる特殊詐欺や交通事故が後を絶たないほか殺人、強盗などの凶悪事件や暴力団事務所に対する発砲事件が発生するなど県民の身近な場所で安心・安全を揺るがす犯罪が発生している状況にあります。
 また、南海トラフを震源とする大規模地震や風水害などの災害対策、開催まで十か月を切った東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック自転車競技に伴うテロ対策や交通対策、さらにはコロナ禍における治安対策や誹謗中傷への対応など県警察には安全・安心に向けた様々な対応が求められています。
 このように県警察への期待が高まる現状下、本県警察の総指揮官として県民の不安を解消し安心・安全が実感できる治安体制の確保に向け今後どのように県警察を運営していくのか、山本本部長の所信を伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(山田 誠君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 藤曲議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてのうち、コロナ対応における市町との連携についてであります。
 県民の命を守る危機管理は本県における最重要施策であります。新型コロナウイルス感染症につきましてはその時々の県内及び全国、とりわけ近隣都県の感染状況、人々の移動、経済活動等々地域の実情を踏まえ適時適切に判断してまいりました。
 休業要請につきましては、感染拡大が顕著な近隣都県から県内への感染拡大を防止するため県による県内一律の休業要請と市町による地域の実情に即した飲食店などへの休業要請の二段構えの取組といたしました。このような取組は全国にも例が少ないものであります。本県の地域特性を踏まえますと適切なものであったと考えております。
 海水浴場につきましては、宿泊等の観光業への影響など地域によって事情が異なっております。また海水浴場は市町等が関係団体と連携して開設することなども踏まえまして県内一律の対応ではなく地域の実情に応じ地域ごとに対応することが重要であると考えておりますし、その当時も考えておりました。
 しかしながら、休業要請や海水浴場の開設など市町との連携が必要な取組につきましては県内一律の対応が望ましいなど異なる意見があることは承知しております。それらの様々な意見を参考にしながら、より連携を強化し適時適切な対策を講じていくことが極めて重要なのであります。
 このため、八月二十一日に開催されました県市長会主催のウェブ会議におきまして感染拡大防止に向けた取組について各市長と意見交換を行い、要望の多かった感染者情報の公表内容の見直し等につきまして迅速に対応したところです。
 今後とも、行政経営研究会などの場を活用いたしまして意見交換を行いつつ、緊急の対応が求められるときには直ちに市長会また町村会との意見の交換をする場を設けるなど連携強化と対応力の向上を進めてまいります。
 私は、リーダーシップとは人々の力を引き出すことであると考えております。言い換えますと自主性を尊重するということです。
 四月十七日、私は緊急要請の中で市町の自主性を尊重すると申しました。そして二十二日に市長会、町村会は緊急要請を私のほうに持ってこられました。十七日は金曜日です。二十二日まで中四日です。土日を挟み実質月曜と火曜日です。そして市長会の会長は議員の地元の熱海、町村会の会長は東伊豆町の太田長八さんです。したがって首都圏との関わりで極めて重要な局面にいらっしゃることは分かっておりました。
 例えば熱海市と藤枝市、あるいは東伊豆町と森町では全然事情が異なります。そうした中で自主性を尊重すると言ったのであっという間に実質二日で市長会、町村会は要請をまとめられたのです。それに応じて、私はその要請に応じた形で県の施策を決定いたしました。したがいまして、これは俺に黙ってついて来いというのではなくて皆さんの自主性を尊重すると、そして出てきた決定と私の決定と、これによりまして市長会と町村会並びに県は言わば決定が協働でなされたものですから極めてうまく機能したということでございます。
 こうした中で、市長会と町村会との協力があったからこそ今往来の多い静岡県の中で、もちろん感染者は多くなっておりますけれども、しかし全国と比べますと極めて優れた結果を残しているということでこれはリーダーシップというよりも県民全ての、そしてまた県の市長会、町村会の現場の実情に応じたことで市民、町民のために何をなすべきかを考えているのが市長さん、町長さんでなくてはなりません。そうした現場主義と私の現場主義が相乗効果を発揮した結果であるというふうに思っております。
 そうしたことから、常に市町や地域の実情をしっかり見定めまして現場主義を実践し、全体の方針決定と現場の実情に応じた柔軟かつ適時適切な判断に努めて市町と連携し新型コロナウイルス感染症対策に取り組んでおるところであり、かけがえのない県民の命を守ってまいります。
 次に、リニア中央新幹線整備における私の政治判断についてであります。
 私は国土審議会委員を二十年余りも務めました。またリニア中央新幹線には長く関わってまいりました。そしてリニア中央新幹線整備の意義は十分に認識している一人であります。現在も推進するべきであるという考えに変わりはありません。
 一方、環境影響評価準備書の中で大井川流域の住民の皆様にとりまして生活や経済活動に欠かせない命の水がございます。それが毎秒二トン失われることを――ルート決定がなされた二〇一一年春のことですけれども――それからしばらくして初めて知った次第であります。命の水を確保し、かつ大井川の水に大きく依存されている地域住民の暮らし、また経済を守るということとともに、この大井川の源泉でありユネスコエコパークに登録され世界に誇る貴重な自然環境、言わば人類の共有財産になっている南アルプスを保全することは私の責務であります。
 平成二十六年三月に、環境影響評価準備書に関する知事意見におきましてトンネル湧水の全量を大井川水系に戻すということを求めました。これは私一人の判断ではなくて地域住民並びに県、英知を集めた意見書であります。貴重な水資源の賦存量の一部であるトンネル湧水の全量戻しは、利水者をはじめとする流域県民の皆様の切実な思いです。このためそれ以降も全量戻しを求め続けてまいりましたが、回答がないまま四年半もの時が空費されました。そして平成三十年十月、ようやくJR東海がトンネル湧水の全量を大井川水系に戻すと表明したところであります。
 これを受けて、県では地質構造・水資源専門部会及び生物多様性専門部会を設けJR東海との対話を開始いたしました。しかしながら昨年八月のJR東海と本県の専門部会委員との意見交換会におきましてJR東海が先進坑がつながるまでの工事期間中、山梨、長野両県へのトンネル湧水が流出し一定期間は水が戻せないことを明らかにし県民一同、私も含めまして驚きました。
 トンネル湧水の全量を大井川水系に戻すことは対話を開始した前提であります。JR東海には守るべき責務がございます。大井川流域住民の皆様は、全量戻しが約束どおり実施されたとしても工事によってどのようなリスクが生じる可能性があり、そのリスク回避に向けてどのような対策をとるのか事業者であるJR東海からの分かりやすい説明と確実な実行を求めておられるのであります。
 議員が御指摘された水は一滴も譲れないということが、なぜ国やJR東海を敵に回すことになるのでしょうか。年間百五十日近く節水を行わなければならないのが現状です。水利用に苦労されている流域市町の皆様にとっては当然の主張であります。流域住民の生活に最低限度必要な水量を確保するというのは、昨年も節水対策を余儀なくされている大井川の水がさらに減少してよいと議員はお考えになっているのですか。もしそのようなお考えであれば私は残念です。
 現在、国土交通省の有識者会議におきまして引き続き対話を要する事項四十七項目のうち水資源に関する議論が行われています。今後有識者会議におきましてリニア中央新幹線整備と大井川の水資源及びユネスコエコパークに登録されている南アルプスの自然環境の保全の両立が科学的に確証された際には、それを基に県の専門部会におきまして全面公開の下でJR東海との対話を進めます。そこで大井川流域市町、利水関係者をはじめ県民の皆様の御理解を得るということが問題解決の着地点であるという考えです。
 県といたしましても、問題解決に向け地元の思いを理解した姿勢と分かりやすい説明をJR東海に求め続け、国土交通省へはJR東海への適切な御指導を頂きたいと思っております。これは合意事項の重要項目の一つとして国土交通省が約束をしたことでもあります。
 このため、先月十三日には国土交通省に静岡県の考察なる一文を提出いたしましてJR東海に対して一般の方が理解できるような説明をするよう改めて御指導をお願いしたところであります。
 リニア中央新幹線整備と大井川の水資源、ユネスコエコパークに登録されている世界に誇る南アルプスの自然環境の保全、これらの両立に向けまして引き続き県議会の皆様の御支援、御協力を頂きながら県民の皆様の不安が払拭されるように全力で取り組んでまいります。
 次に、森の力再生事業ともりづくり県民税の今後についてであります。
 県は、平成十八年度から森林が持つ山地災害の防止や水源の涵養といった公益的機能を持続的に発揮させるため、県民及び企業の皆様にもりづくり県民税を御負担頂き荒廃森林の再生を進めているところであります。また森林環境譲与税の創設後は市町による地域の実情に応じた森林整備も始まりました。県と市町は、それぞれの役割分担を明確にした上で連携協力しながら森林整備を進めているところであります。
 これまで森の力再生事業は順調に進んでおります。第二期計画の中間地点に当たる本年度末には、当初の計画面積の五〇%に相当する約五千六百ヘクタールの整備が予定どおり完了する見込みであります。整備が済んだ箇所では森林内に光が差し込みまして、下草や広葉樹が芽生えるなど森の力の回復が着実に進んでおります。また本年二月に開催した外部有識者等から成る森の力再生事業評価委員会からも、第二期計画のこれまでの成果につきまして当該事業が荒廃森林の解消に効果が高いという評価を頂いております。引き続き計画に基づく事業を推進するべきであるという提言を頂いたところであります。
 このように本事業が着実に成果を上げる一方、議員御指摘のとおり近年各地で集中豪雨の頻発により山地災害のリスクが高まっておりまして、残りの荒廃森林の整備を速やかに完了させることが求められております。
 このため、県といたしましてはその財源としてもりづくり県民税の延長を県民及び企業の皆様に引き続きお願いする必要があると考えております。
 この点に関しまして、本年六月から県民の皆様を対象としたアンケート調査やタウンミーティングを実施いたしました。それとともに県内の市長、町長さん、また経済団体等を訪問いたしまして森の力再生事業に対する評価や今後の荒廃森林の再生についての御意見を伺ってまいりました。
 その結果、県民の皆様や市長さん、町長さん等々から薄暗く怖かった山が明るくなった、荒廃森林はまだ残っているので事業の継続が必要である、事業と税の県民理解を一層図るべきであるといった声が寄せられました。またおおむね九割の皆様から事業の成果について評価できるという御意見と、今後の事業継続と税の負担について御理解を頂いたところであります。
 また、治山をしっかりするということは漁場を守ることでもあります。最近は集中豪雨などによって漁場が荒らされております。そこに材木が流れ込んだりしていると。これは森と海とが関係している、森は海の恋人である、海はまた森の恋人であるということが文字どおり我々の目の前で示されているということでございます。
 こうしたことを総合的に勘案いたしまして、もりづくり県民税の延長に係る条例改正を十二月県議会でお諮りし、来年四月以降も県民の皆様の御理解を賜りながら森の力再生事業に取り組んでまいりたいという考えでございます。
 次に、観光産業の早期回復に向けた取組状況についてであります。
 新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、県内観光産業は依然として大変厳しい経営環境に置かれています。このため感染拡大防止策と社会経済活動の両立を図りながら、観光需要の喚起を通じて地域経済を活性化することが重要です。
 県では、観光客が安心して旅行を楽しんでいただけますように感染防止対策を実践する観光関係者等への支援を進めております。そうした中、六月以降国に先駆けてマイクロツーリズムと言われる県内観光促進キャンペーンを第一弾、第二弾と順次展開してまいりました。本県に加え感染状況が落ち着いている山梨県とまずバイ・ふじのくに、そして今、長野、新潟も踏まえましてバイ・山の洲(くに)というようにして順次展開してきたわけでございます。こうして、こうした方たちを対象に宿泊割引事業では延べ四万四千件を超える御利用を頂きました。また同時開催した、県内観光施設を巡り周遊を促進するデジタルカードラリーの参加者数は九千三百人に上りました。こうして市町や観光関係団体等と連携し感染防止対策を踏まえた上で需要回復に最大限取り組んでいるところであります。
 本年五月には、観光庁統計における県内の延べ宿泊客数が前年同期比で一九%まで落ち込んでおりましたが、二か月後の七月には本県宿泊割引事業を運営するインターネット宿泊予約サイト二社を通じた県内延べ宿泊客数が前年同期比七二%まで回復したと。一九%から七二%まで二か月で回復したということでございますが、全県を挙げての取組が一定程度効果を発揮したものと考えております。
 一方、県内の主要な観光施設等の七月の入込客数は前年同月比で六割程度にとどまっております。こうしたことのほか団体旅行の動きが低調であることを踏まえまして、県内観光産業のさらなる回復を図るため県では十月一日から東京都を含む全国を対象とした第三弾の観光促進キャンペーンを展開いたします。バイ・ふじのくにがホップ、バイ・山の洲(くに)がステップ、今回がジャンプであります。
 このキャンペーンでは宿泊割引の対象件数を前回を上回る六万件に拡大して実施するほか、観光施設を巡るデジタルカードラリーに加えまして新たに体験型観光施設等の利用料への助成を開始いたします。さらに教育旅行や団体旅行を促進するための支援制度を新たに創設いたします。また国のゴー・トゥー・トラベル事業との相乗効果を図りながら県内宿泊と周遊を促す取組をより一層強化してまいります。
 県といたしましては、受入れ施設と旅行者の双方の感染防止対策を徹底した上で四季折々の美しい景観、歴史文化、多彩な食材など世界クラスの本県の観光資源を生かした独自の取組を展開するとともに、総合経済対策であるフジノミクス、目下のところは個人消費の喚起に力点を置いておりますが、このフジノミクスにより地域経済交流圏の形成を目指す取組などを通じてこれまで以上に観光需要を喚起することにより一日も早い観光産業の本格回復を実現するべく全力で取り組んでまいります。
 次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック開催に向けた新たな出発についてであります。
 本県では、オリンピック開会日の七月二十三日からパラリンピック閉会日の九月五日までの間を東京二〇二〇大会に向けた新たな出発期間と位置づけまして開催機運を再び高めるとともに、新型コロナウイルス感染症への対応を念頭に、延期による準備期間をチャンスと捉えまして大会成功に向けた新たなるスタートを切るための取組を実施してまいりました。
 この期間中に、自転車競技の会場となる伊豆半島や東部地域におきまして新しい生活様式を取り入れたサイクリングウェブスタンプラリーを実施いたしました。県内外から約一千人もの方々に御参加頂き自転車競技への関心や大会の認知度を高めたところでございます。
 また八月八日には、伊豆ベロドロームにおきまして森喜朗大会組織委員会会長、橋本聖子東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当大臣、伊豆半島や東部地域の各市長さん、町長さん及びボランティアの皆様などに御参加を頂きまして、トラックレース代表内定選手の激励会を開催いたしました。選手やコーチから大会本番に向けた強い意気込みを伺い、開催準備に携わる我々といたしましては改めまして大会の成功に向け万全の体制で取り組む決意を新たにしたところであります。
 安全・安心な大会運営につきましては、消毒の徹底、ソーシャルディスタンスの確保等々新型コロナウイルス感染症対策の着実な実施が不可欠であります。国や大会組織委員会と連携し万全の安全対策を講じて大会運営に当たってまいります。
 開催機運の再醸成につきましては、今後ロードレースやマウンテンバイクなどにつきましても自転車競技代表内定選手の激励会を開催する予定でございます。そのほかSNSや様々なメディアを活用した情報発信にも努めましてさらなる機運醸成に取り組んでまいります。
 観戦客のおもてなしにつきましては、都市ボランティアの皆様に対しまして感染症対策に関する新しい研修を実施いたします。それとともに必要に応じて追加募集も行います。また地域の観光団体等と連携し多言語対応や案内看板の設置等、受入れ環境の整備を推進するなど選手や観戦客の皆様へのおもてなしの充実に向けた取組を着実に進めてまいります。
 本県において開催されるオリンピック・パラリンピック自転車競技が大成功を収める、それこそが世界がコロナウイルスに打ち勝ったあかしになると考えております。
 県といたしましては、こうした強い決意の下で新たな出発を機に大会成功に向けた準備を加速してまいります。
 なお、その他の御質問につきましては副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を差し上げます。
○議長(山田 誠君) 難波副知事。
       (副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) 本県における防災・減災、国土強靱化政策についてお答えをいたします。
 本県では、国の防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策とこれに関連して本年度創設した県土強靱化対策事業等の県単独事業により、これまでの三年間で約四百六十億円の予算を計上し道路や河川、港湾などにおける事前防災対策を集中的に実施してきました。
 主な成果といたしましては、国道百三十五号など八十六か所で道路のり面対策を実施し土砂崩れ等による通行止めのリスクを低減させました。太田川など二百三十八か所で河道掘削や河道内の樹木伐採を行い流下能力の向上を図っております。また熱海港など十か所におきまして防波堤の改良等を実施し台風時の波浪による被害の軽減などを図っております。
 この三年間では緊急性の高い箇所から優先的に対策を進めてまいりましたが、県内でも毎年のように自然災害が発生しており各地域からはさらなる対策の実施を求める御要望を多数頂いております。また今年の三月には、近年発生した自然災害の教訓を踏まえて静岡県国土強靱化地域計画を改定したところです。これを着実に実施していく必要があります。
 このため、今後も国土強靱化対策を進めるための予算の確保などにつきまして国に要望しているところであり、引き続き県議会の皆様の御支援を頂きながら国等へ働きかけてまいります。
 県といたしましては、本県における防災・減災、国土強靱化を中長期的な視点に立って計画的に進めることができるよう必要な予算の確保に努めるとともに、国が主導する流域治水などの新たな施策を積極的に取り入れ災害に強い安全・安心なふじのくにづくりに努めてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 佐藤政策推進担当部長。
       (政策推進担当部長 佐藤典生君登壇)
○政策推進担当部長(佐藤典生君) 知事の政治姿勢についてのうち、県財政の現状認識と施設整備計画の見直しについてお答えいたします。
 県の財政状況につきましては、七月末の実績に基づき県税収入の減額補正予算案を本議会にお諮りしておりますが、本年度は今後の企業収益の悪化等によりさらなる県税収入の下振れや一層の財源不足が見込まれております。現在来年度の財政収支を試算しております。国の令和三年度地方財政対策が示されていない段階ではありますが、県税収入の減少等により例年にない大変厳しい環境下での当初予算編成になるものと考えております。
 施設整備計画の見直しの方向性につきましては、本議会で御議論頂くほか県民の皆様や関係者の方々からの御意見を踏まえて決定いたします。その後施設ごとにアフターコロナに対応した施設の検討や設計など、見直しの方向性やスケジュールに沿って整備を進めてまいります。
 見直しによる財政負担の軽減につきましては、現時点で試算が可能な施設に限られますが茶業研究センターで約六億円、県立学校の老朽校舎の建て替えで毎年度約十九億円の削減を見込んでおります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 金嶋危機管理監。
       (危機管理監 金嶋千明君登壇)
○危機管理監(金嶋千明君) 新型コロナウイルス感染拡大に伴う本県の対応についてのうち、ふじのくにシステムに伴う行動制限についてお答えいたします。
 ふじのくにシステムは、首都圏等の感染拡大地域に近接する本県の立地特性を踏まえ感染拡大防止を図るため県内の感染状況や医療提供体制の状況、県外の感染状況等について客観的な基準に基づき常に監視、分析し県民の皆様に定期的に情報提供や注意喚起を行う本県独自の仕組みであります。これまで都道府県ごとの感染状況を踏まえた移動に関する注意喚起や、県内でのクラスターの発生を防止するため感染リスクの高い行為の回避を呼びかけるなど毎週定期的に情報提供を行ってまいりました。県民の皆様の御協力によりまして本県の人口当たりの陽性者数は昨日の九月二十四日現在全国で少ない方から数えて第十三位であり、人口規模や立地環境に照らし少ない人数にとどまっております。
 一方、国によれば六十五歳以上の高齢者や基礎疾患を有する方は重症化リスクが高いとされております。今後季節性インフルエンザの流行期となりますことから感染拡大のピークを抑え重症者等に対する医療提供体制を確保する必要があり、ふじのくにシステムによる県民の皆様への適時適切な注意喚起は引き続き重要と考えております。
 現在、国では新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけ等につきまして見直しを進めていると伺っており、こうした結果も踏まえ県感染症対策専門家会議の御助言を頂きながらふじのくにシステムについて適切な運用を図ってまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 市川くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 市川敏之君登壇)
○くらし・環境部長(市川敏之君) 新型コロナウイルス感染拡大に伴う本県の対応についてのうち、コロナハラスメント対策の取組についてお答えいたします。
 県は、社会問題化している新型コロナウイルスに係る誹謗中傷に対しましてSTOP!誹謗中傷アクションを取りまとめ誹謗中傷等の未然防止、被害の拡大防止、被害者の救済の三つを柱とし庁内各課がスピード感を持って取り組んでおります。
 未然防止につきましては、県民の皆様の不安を和らげ憶測を呼ばないよう正確な情報を迅速に発表するとともに、県民の皆様に情報を直接届けるため県の公式ホームページやLINEでもお知らせをしております。
 拡大防止につきましては、誹謗中傷に同調しないように呼びかけるメッセージ動画をユーチューブ等で配信しており、小学校の道徳の時間などでも活用されております。
 被害者の救済につきましては、県人権啓発センターや県民生活センターなどの相談窓口の周知と併せ被害者に寄り添った対応をしております。
 心理学やメディアの専門家によりますと、誹謗中傷をなくすためには無意識に誹謗中傷をしている方に他人を傷つけていると気づいてもらうことが大切とのことであります。今後はこうした知見を踏まえ一層の啓発に努めるとともに、被害者を適切に救済できるよう相談窓口における手引の作成などにより対応力の強化を図ってまいります。
 県といたしましては、闘う相手は人ではなくウイルスを基本方針として誰一人被害者にも加害者にもならない思いやりに満ちたふじのくにを目指し国、市町、関係団体と連携して誹謗中傷防止に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 藤原健康福祉部長。
       (健康福祉部長 藤原 学君登壇)
○健康福祉部長(藤原 学君) 新型コロナウイルス感染拡大に伴う本県の対応についてのうち、保健所と消防本部との協定締結の必要性についてお答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症患者の方などは、感染拡大防止のため公共交通機関を御利用頂けないことから患者御自身の自家用車による移動を原則としておりますが、自家用車を所有していない方や高齢者等で移動する手段が確保できない方につきましては管轄する保健所が搬送しております。一方酸素投与や心電計等による管理が必要となる患者につきましては、設備の整った救急車による対応が必要なことから消防本部の協力が不可欠であります。
 現在、県では感染症患者等の搬送につきまして国の通知に基づき人件費等の搬送に係る費用負担や患者の重症度に応じた役割分担等について県内各消防本部との調整を行っております。今後合意ができ次第搬送協定を速やかに締結し、安全・安心で円滑な移送体制を構築してまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 天野経済産業部長。
       (経済産業部長 天野朗彦君登壇)
○経済産業部長(天野朗彦君) 県内中小企業に対する資金繰り支援と経営支援についてお答えをいたします。
 新型コロナウイルスの感染拡大は県内の幅広い産業に深刻な影響を与えております。とりわけ観光・飲食業などでは需要が一気に消失し大きなダメージを受けております。
 県では、こうした事態を踏まえまして総額一兆四千五百億円余の融資枠を確保し緊急の資金繰り支援を実施しているところであります。九月二十三日までの融資申込額は約七千二百億円に上っております。この間、金融機関や信用保証協会などと共に県内企業への迅速な資金供給に努めた結果、新型コロナ関連の倒産や廃業の抑制に一定の効果を上げているものと考えております。
 しかしながら、議員御指摘のとおり感染の収束が見通せない中、資金が底をつき追加の借入れが必要となる事態も想定されます。このため新型コロナウイルス対応枠の取扱期間を本年十二月末まで延長するとともに、国の臨時交付金を原資とする新たな基金を造成いたしまして本融資制度の安定的な運用を図ることとし、関連議案を本議会でお諮りしているところであります。
 中小企業に対する経営支援につきましても、事業環境が激変する中、県内企業が倒産や廃業に至らないように新たな収益確保に向けた事業の再構築や業態転換等を後押しする補助制度の創設や拡充を図ってまいります。また取引金融機関などと連携して経営改善に取り組む中小企業に対しまして専門家派遣などの支援を強化してまいります。
 事業承継につきましても、企業の経営状況に精通する金融機関と連携協定を締結いたしましてよりきめ細かく支援の体制を整え、親族内承継だけではなく第三者承継につきましても一層の促進を図ってまいります。
 県といたしましては、経済回復の担い手である県内企業が現下の危機を乗り越え、その事業を継続、発展させていくことができるよう引き続き資金繰り支援や経営支援に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 本県におけるGIGAスクール構想の取組状況についてお答えいたします。
 GIGAスクール構想は、子供たちを誰一人取り残すことなく個々に応じた学びを提供するため高速大容量の通信ネットワーク及び一人一台端末を整備するものであり、その実現は今回の臨時休業など緊急時に教育を途切れさせることなく続ける上でも極めて重要であります。
 本県及び各市町の機器整備は令和二年度中におおむね完了する予定となっておりますが、機器の導入に先立ち、e−ラーニングにより県及び市町の教職員を対象にオンライン学習に不可欠なクラウドサービスの活用や情報セキュリティーなどに関する研修を実施しております。またICT機器の使い方を指導するGIGAスクールサポーターを各学校へ派遣するための補正予算について本議会にお諮りしているところであります。
 さらに、ICTを活用した教育の継続性を確保するためには県と市町との連携が重要でありますことから、県及び市町の教育委員会で組織する静岡県ICT教育推進協議会におきまして導入機種や共同調達等の情報共有を図っております。今後年内に端末の持ち帰りなどに関する県教育委員会の運用ルールを定め、その上で市町との意見交換を行い標準的なガイドラインの策定を検討してまいります。
 県教育委員会といたしましては、こうした取組を関係課が一体となり強力に推進するため八月に事務局内にICT教育戦略室を立ち上げたところであります。今後本県のICT戦略顧問や大学教授にアドバイザーとして御助言を頂きながら、各市町とも連携してGIGAスクール構想を確実に実現しICTを活用した学習環境の充実に努めてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 山本警察本部長。
       (警察本部長 山本和毅君登壇)
○警察本部長(山本和毅君) 警察本部長着任における所信についてお答えを申し上げます。
 本県の治安情勢につきましては、議員御指摘のとおり刑法犯の認知件数や交通事故の発生件数は総じて減少傾向にあるものの、高齢者が被害者となる特殊詐欺や交通事故、子供や女性が被害者となる人身安全関連事案については依然として多く発生をしております。このほか殺人、強盗といった凶悪事件や暴力団事務所に対する拳銃発砲事件が身近な場所で発生するなど、いまだに厳しい情勢にあります。
 このため、組織の総合力を発揮した検挙活動を一層強力に推進していくとともに、県や市町など関係機関、団体と連携しつつ特殊詐欺被害防止のしずおか関所作戦や高齢者交通事故防止のピカッと作戦など効果的な抑止対策を引き続き講じてまいります。
 また、本県におきましては南海トラフ地震をはじめとする大規模災害の発生が懸念されるほか、来年には延期されました東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の自転車競技や聖火リレーが開催予定であります。このためテロの未然防止など警備対策に万全を期すとともに、大規模災害発生時の被害を最小限に抑えられるよう緊急事態対処能力の向上にも努めてまいります。
 さらに、新型コロナウイルス感染症対策につきましては職員や警察施設における感染防止を徹底し治安体制に間隙を生じさせることがないよう推進をしているところであります。また新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷をはじめとする各種犯罪に対しましても、各種法令にのっとり厳正に対処してまいります。
 職員一人一人がそれぞれの持ち場で職責を果たすことにより組織全体としての成果を上げ、県民の皆様の安全と安心の確保に努めてまいる所存です。よろしくお願いを申し上げます。以上であります。
○議長(山田 誠君) 藤曲敬宏君。
       (十七番 藤曲敬宏君登壇)
○十七番(藤曲敬宏君) 御答弁ありがとうございました。
 それでは、意見要望を二点、それから再質問を三点させていただきます。
 まず市町との連携であります。
 地方の、市町の自主性を重んじる、必要なことだと思います。それにはきちんとした情報提供がまずあってほしいというふうに思います。今年度花火、実施したくてもできなかった市町があります。また海水浴も実施したくても不安で、どうしてやったらいいか分からなくて実施できなかったところもあります。逆にやったところもあります。やったところはもう既に、今回どうすれば守れるかという三密も含めていろんな施策を苦労してAIのカメラを設置したり様々なことをしています。そういうところのノウハウを今度、来年度どういうふうにできるかということをしっかり考えるためにその情報を共有する、県がしっかりと連携して市町をまとめて来年に向けてやはりその辺のところを意見調整をする、また意見交換をする場所が必要ではないかというふうに思います。
 今、東中西と地域局というのがあります。そこの中に、それぞれじゃないですけれども市町との連携という意味で平成二十六年に行政経営研究会というのを県のほうで立ち上げました。ここではどういうものかというと、県と県内の市町及び県内の市町同士が連携して共通して抱える行政課題のためにそこで意見交換をするというせっかくこういう組織があります。ここを利用して来年に向けてしっかりとその辺の情報共有というものをやることが必要かなというふうに思います。ぜひ検討していただきたいというふうに思います。
 もう一点、GIGAスクールについての要望をさせていただきます。
 機器の取扱いというのは、ICTの支援員によってある程度先生方も取得できると思うんですけれども、同時にパソコンとかを授業や学習でどういうふうにやったらうまく活用できるかというところもですね、ぜひ研修で県のほうで各市町の教職員の方々にも指導していただきたいなというふうに、そこをやっぱり現場の教職員さんたち求めているところがありますのでぜひよろしくお願いします。
 二〇一八年に、OECDの学習到達度調査というのがあってその中で日本人の小中学生、三十七か国ある中でこのタブレットとかパソコンを使って学習をしている割合どのくらいかということを調査すると一番下だというんですよ。最下位だというんです。逆にゲームであるとかチャットを利用しているのは、逆に日本が一番トップだというんですね。これからは、もっともっと学校現場でICTが活用されてきちんとこう教えていくということが犯罪に巻き込まれない、トラブルに関わらないという専門家の意見もありますので、ぜひここのところを進めていく必要があるかなというふうに思います。
 また、今日本はどっちかというとスマホを使っているんですけれども、子供たちもそうですけどパソコンでパワーポイントであるとかエクセルとかワード、こういったデジタル技術の活用をしっかりと小中学校のときに教えていく。そうするとこれからのこのグローバル社会に生き残っていける、こういう意味でも使命だと思います。大変なこのコロナ禍の中ですけれどもぜひともここは進めていただきたいと思いますし、先ほどICTのアドバイザー的な方々、やはりそういう知識を持った有識者の方を中心にぜひ進めていただきたいというふうに思います。
 それでは再質問をさせていただきます。
 先ほどリニアに関して質問させていただきました。知事のですね、私どうしても引っかかるのがいつも最初に、この自民党の会議でもそうだったんですけれども大推進論者であるというふうにまず前提とします。私はそこが引っかかってですね、どうしても使い分けてるんではないかなというふうに思うんですけれども、大推進論者であったではないかなと。先ほどは推進すべきであるというふうに答えられましたけれども、これまでの、先ほど質問でもお話ししましたけれども知事の発言を聞いていますと総論賛成各論反対であるというようにこの発言の中から受け取ることができるんですね。リニア中央新幹線建設には賛成していますが静岡県内を通過することは反対すると。ですから一〇〇%賛成ではないというふうに受け止められるような発言が非常に多いということです。大推進論者というのはもろ手を挙げて一二〇%賛成ですというような表現の仕方です。ですから知事の今、考えというのは大推進論者だったと過去形であって、今はある面で言ったら総論賛成各論反対というようなそういう認識で構わないのかお伺いします。もう一度確認します。
 それから、コロナハラスメント対策の取組についてですけれども、コロナ、これ感染することを怖いと思うよりも今はコロナに感染して地域や職場で誹謗中傷を受けることのほうが怖くて日常生活になかなか戻れないんだというような市民、県民の意識だというふうに思います。ですからそういう意味でもハラスメント対策の重要性がそこにあるのではないかなというふうに思っております。
 答弁の中にですね、回復した患者さん、先ほどお話ししたように五百人以上もう既に回復しています。そういう方々がしっかりとその後の差別がないのか、または心の傷等がないのかその辺のケアをしっかりやっていただきたいと思います。そこの答弁がなかったのでもう一度そこの答弁お聞かせください。
 それから三点目です。
 県内の観光産業の早期回復に向けた取組についてということです。先ほどしずおか元気旅の効果をお伺いしました。具体的にもう少しお聞かせください。
 第一弾、第二弾を含めてどのぐらいの年代の人たちがこれを活用していたのか。また第二弾は山梨、長野、新潟の県民も対象になりました。昨日知事は記者会見でバイ・ふじのくに、バイ・山の洲(くに)ですか、これも観光を含めて非常に成功しているというふうにおっしゃいました。具体的にその県別の利用率、また前年度と比べてどのくらい、この今回の第二弾増加しているのか、その点についてお聞かせください。以上、質問を終わります。
○議長(山田 誠君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) リニアにつきましての再質問にお答えいたします。
 もしリニアが南アルプスに対して損傷を与えないで水の問題も全くなければ、これが開通すれば新幹線ののぞみ機能はリニアに移ることになりますからひかり、こだまの本数が多くなるということですね。ですからそれに反対する理由はありません。
 そして、またつい最近例えば技術の問題がございまして、これも四十年以上の技術に改良の改良が重ねられているわけです。御案内のように十センチ浮いて六百キロぐらい出すわけですね。浮いているということは電線がないということです。じゃあ中のライトはどうするんでしょうか。そうするとかつては石油を燃やしてライトを灯すということだったんですけれども、最近は遊離電灯といいまして離れていながら電気を供給することができると、これは恐らく一、二年でこういう技術が開発されたんだと思います。
 この日本におけるリニアがいろいろな形で作り上げている技術というのは非常に重要なものです。そういう関心もございます。
 さて、そうしたことから差し当たってリニア一般には反対する理由はないと。しかしながら命の水が失われる。また水質が悪化する、あるいは生態系に損害が出る、あるいはトンネルを掘ると必ず残土が出ますから残土処理に問題があるということであれば、これは南アルプスに対しましてはもう少し慎重でなくちゃならないということで専門会議を設け、かつ今有識者会議で議論していただいているわけです。ですから差し当たって今、我々のするべきことは有識者会議の審議結果を見守るということですね。
 しかし、この審議結果は多くの方々に共有される、つまり情報が誰にも分かる形になっていなければいけません。そうしたことから情報を共有できるように全面公開ということを五つの合意項目の第一条に掲げて合意を三月にした上で今始めていただいているんですけれどもそれが不十分だと。いずれにしましても、この有識者会議は国とJR東海と県が信頼関係を持ってこれは大事にしましょうということで今議論していただいているわけですね。そしてその議論した審議結果は、あるいは審議内容についても勝手に議論していただくのではなくてこちらで問題にしている四十七項目がございますのでこの四十七項目について議論してくださいと、分かりましたということでやっているわけです。
 そして、したがってその四十七項目についての審議結果はこちらに持ち帰って専門部会で皆様に分かる形で情報を共有していただいて、そして本当に安心して安全に水が保全され、また供給が確保されるというようなことで関係者が納得すればこの有識者会議における議論というのは一つの収束を迎えるだろうということですね。ですから今それを待っているということでございます。
 ですから、特段総論賛成各論反対とかいう、そういう二者択一に立っているものではありません。以上であります。
○議長(山田 誠君) 藤原健康福祉部長。
○健康福祉部長(藤原 学君) コロナハラスメントにつきまして、再質問にお答えいたします。
 感染から回復し退院された方に対しましては、保健所から退院時にその後の健康相談や医療費等の手続で連絡を取っております。さらに濃厚接触者であり御自宅での経過観察を行っている御家族に対しましても、日々状態はどうですかという連絡を保健所からしております。
 そうした中でハラスメント等の状況についても併せて確認をし、必要に応じて人権啓発センターや県民生活センターあるいは国の機関等につないでおります。インターネット上の誹謗中傷に関することであれば、国に設けられております違法有害情報相談センターを紹介するなど退院後に一人で悩みを抱えることのないよう心のケアに今後とも努めてまいります。
 また、市町や関係機関などからハラスメントの事例を収集しまして、STOP!誹謗中傷アクション推進チームにおきましてその事例を共有しながら現在作成中の相談の手引にも反映させてまいります。以上でございます。
○議長(山田 誠君) 植田スポーツ・文化観光部長。
○スポーツ・文化観光部長(植田基靖君) 観光についての再質問にお答えいたします。
 まず、年代別の分析なんですけれども、今回このインターネットの宿泊サイトでは三十代、四十代、五十代こちらの利用が多かったです。いずれも二〇%を超えました。この三十代から五十代までで合計で七二・七%ということでかなりの割合を占めました。同じようなことは、実は初めてなものですから前年というのはないんですけれども流動実態調査があります。これは平成三十年なんですけれども、こちらだと三十から五十代で四〇%弱です。ですから、今回非常にこの三十代から五十代が多かったという分析をしております。
 逆に高齢者六十代以上が一三・一%です今回。通常は三五%ということですから高齢者の御利用が少なかったと。これインターネットということもあるんですけれども、それよりもコロナということで高齢者の方はまだ観光で動いてないんではないかなという分析をしております。
 あと県別なんですけれども、今回インターネットの対応ですと静岡県が八八・三%、もちろんこれが多かったんですけれども山梨県が七%、長野県が三・四%、新潟県が〇・九%ということです。静岡県以外の三県で一一・四%ということでした。これは予想よりも多かったです。これも同じではないんですけれども、平成三十年のその流動実態調査ですとこの三県を合わせまして二%超ということですのでそういった面ではかなり御利用頂けたと思っております。以上でございます。
○議長(山田 誠君) 藤曲敬宏君。
       (十七番 藤曲敬宏君登壇)
○十七番(藤曲敬宏君) それでは、最後意見を述べさせていただいて終わりにします。
 まずリニアの問題です。知事の言うように四十七項目の検討結果が出るのを待ってると、そのとおりだと思います。ですから私が言いたいのが、この四十七項目の結論が出るまで知事があちらこちらで持論を言わないで静観していただきたいんですね。今は専門家が出す結論を見守るべき時期であるというふうに思います。
 JR東海の情報提供に対しての要請とか、また国の有識者会議の進行云々のこと、これは当然やるべきだと思います。そこはやはり事務方がやるべきであって知事はどんと構えていただきたいというふうな、いろんなことを言えば言うほど感情的なものがまたそこに入ってくる、こじれていく、進んでいくのではないかなというふうに思います。迂回の提案をしてみたり新候補駅までの部分開業を言う、こういったことはJRが最終的に決めることで、今そこをすぐにですね、ここで今判断を仰ぐのでなくて今はこの四十七項目の検討結果、この結論出るまでしっかりと知事は静観していただくことも重要かなというふうに思います。
 あんまりですね、このままではこの問題川勝知事がいる限り実際解決できるのかなと心配になってしまいます。個人的な意見として言わせていただきます。
 それから、観光産業の早期回復についてです。
 知事ですね、静岡県の観光協会協会長どなたか御存じでしょうか。川勝平太観光協会長であるということです。七月の中旬に国のゴー・トゥー・キャンペーンの中で東京が除外されました。そのときに知事はテレビのインタビューに答えて、今は静岡に来ないでほしいとストレートに言われました。次の日どうなったか。当然東京は排除されたのでキャンセルの方多かったんですけれども、県内いろんなホテル、旅館でそのときに東京以外の方もキャンセルが多く出ました。それは今おたくの知事が静岡来ないでくれって言ってるじゃないか。そういう声を今回、七月、八月観光地回っているときに多く耳にしました。当然知事が県民を守りたいのは分かります。ただ言葉の使い方ですね。発する言葉によってどういう人たちがどういうふうに関係するのかということを、ぜひその言葉の背後の人に配慮していただきたい。そこには観光で生きていかなければならない観光事業の方々もいます。そういう意味で言葉に対する、その発するその先にどういう人たちがいるかそこをしっかり気づいてこの配慮を求めていただきたいと思います。その言葉というのは恥を知れとか木っ端役人と呼ばれる、そのことを言うこともですね、その背後には人がいます。それからやくざ、ごろつきと呼ばれる人たちの背後にもその人たちの家族がいます。いろいろな意味で伝える言葉の背後にいる、言葉の配慮をしっかりとしていただきたいと思います。以上で質問を終わります。(拍手)
○議長(山田 誠君) これで藤曲敬宏君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp