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ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和2年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

曳田 卓 議員

質問分類

代表質問

質問日:

06/23/2020

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について
(1) 新型コロナウイルス感染症対策に関する基本方針
(2) 本県経済についての現状認識と回復に向けた方針
(3) 事業見直し
(4) リニア中央新幹線整備
2 新型コロナウイルス感染症対策について
(1) 医療体制の充実
  ア 感染拡大防止に向けた関係機関、専門家等との連携
  イ 新型コロナウイルス対応専門病院の設置
  ウ 有効な治療薬導入への対応
  エ クラスター発生防止のための福祉施設職員への支援
(2) 経済対策
  ア 中小事業者の事業継続に対する支援  
  イ 雇用環境の悪化に伴う失業者への支援
(3) 教育対策
  ア オンライン学習の導入促進
  イ 多様な人材活用による子供たちの学びの保障等
3 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた豪雨災害への
 備えについて
4 文化観光施策の推進について
(1) 文化芸術活動への支援充実
(2) デジタル技術を活用した観光振興
5 富士山閉鎖時における山岳遭難防止について


○副議長(良知淳行君) ただいまから会議を再開いたします。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、三十四番 曳田 卓君。
       (三十四番 曳田 卓君登壇 拍手)
○三十四番(曳田 卓君) こんにちは。何か見慣れない風景ですけれども、よろしくお願いいたします。
 私は、ふじのくに県民クラブを代表し当面する県政の諸課題につきまして通告に従い知事、副知事、関係部局長並びに教育長、教育部長、警察本部長に一括質問方式にてお伺いをいたします。
 質問に先立ち一言申し上げます。二月二十八日に本県で初めての新型コロナウイルス感染症患者が発生して以降、これまで医療従事者の方々をはじめ介護・福祉現場、教育現場そして保健所職員の方々には自らがウイルスに感染する危険に直面しながらも、感染拡大防止のために最前線で闘っていただいております。改めて関係者の皆様に心からの感謝を申し上げます。
 新型コロナウイルスが引き起こす様々な課題を克服し、今後本県がさらなる発展を遂げるためにも、私も全力で取り組んでまいります。
 それでは質問に入らせていただきます。
 初めに、知事の政治姿勢についてのうち、新型コロナウイルス感染症対策に関する基本方針について伺います。
 新型コロナウイルスの感染拡大により国民生活はこれまでの生活様式を根本から見直すまでに影響が及び、まさに国難の状況にあります。私も六十年以上の人生の中で経験したことのない事態が現在進行形で進んでいると感じております。
 新型コロナウイルスの脅威に立ち向かうため、県は静岡県新型コロナウイルス感染症対策本部を設置し全庁を挙げて感染拡大防止対策や経済対策を講じてきました。これらの対策そして何よりも県民の方々が新型コロナウイルスの脅威に対し高い危機意識を持って行動をしていただいたこともあり、現在県内においては新規感染者数などを見れば一旦小康状態にあると言える状況であります。
 しかしながら、全国の感染状況は収束を迎えたわけではなく、感染症の専門家の間ではほとんどの人がウイルスへの免疫を持っていない現状では今後感染が再流行する第二波、第三波の来襲の可能性が高いとされています。現状に安心することなく第二波、第三波の来襲に備え万全の体制を整えることが必要だと考えます。
 大阪府や東京都に代表されるように、それぞれの地域の実情を踏まえ各首長がリーダーシップを発揮し新型コロナウイルス感染症対策を打ち出しています。本県は感染者が多く出た東京圏、中京圏に挟まれ大都市間の移動に際し多くの人が通過するという他の地域では見られない特性を持った地域であります。国が示す対策を踏まえつつも地域の実情を踏まえより実効性のある対策を取っていくことが、地域主権が叫ばれる時代において知事に求められるリーダーシップであると考えます。
 そこで、今後の第二波、第三波の来襲に備え、これまでの新型コロナウイルス感染症対策の評価とそれを踏まえた今後の対策方針について知事にお伺いをいたします。
 次に、本県経済についての現状認識と回復に向けた方針について伺います。
 県では、これまで県民の方々に対し外出やイベント開催の自粛要請、遊興施設等への休業要請と協力金の支給、施設管理者への感染防止策の徹底など新型コロナウイルス感染症拡大を防止するため様々な対策を講じてきました。こうした感染防止対策に対する県民、事業者の皆様の御協力や連日連夜検査、治療に携わる医療関係者の皆様の御尽力により感染状況は一旦落ち着きを見せています。
 一方、外出自粛に伴う消費の冷え込みや企業の生産活動の停滞などにより本県経済は深刻な影響を受けています。緊急事態宣言が全面解除されて約一か月が経過し経済活動は再開に向けて動き出したものの飲食店や小売店、宿泊業などは売上げの急激な回復は期待できず、製造業も海外での感染拡大で市場規模の縮小が懸念されます。
 今月八日、内閣府が公表した二〇二〇年一月から三月期の実質国内総生産  GDPの改定値は前期比の年率換算で二・二%減と二四半期連続でマイナス成長となりましたが、緊急事態宣言の発令などにより経済活動が停滞した四月から六月期はさらに悪化し戦後最大の落ち込みになるとの見方も出ています。新型コロナウイルス感染症の根絶は当面難しいとされる中、今後とも感染防止策を講じつつ社会経済活動を本格化させ大きな痛手を受けた経済の立て直しを図ることが急務であると考えます。
 そこで、本県経済の現状認識と、それを踏まえ今後経済の回復に向けどのような方針で臨むのか、知事の考えをお伺いいたします。
 次に、事業見直しについて伺います。
 国内外で感染が拡大した新型コロナウイルスへの対策については、緊急事態宣言が解除され県内での感染が限定的になってきたとはいえ、今後も感染が拡大するリスクがあることを考えますと待ったなしの状況でありスピード感を持って対策を講じていく必要があります。
 県では、既に四月臨時会及び五月臨時会において感染症対策のための補正予算を編成し、この六月定例会においても感染症対策や社会経済活動の再開に向けた取組を実施するための補正予算を編成したところであります。新型コロナウイルス感染症への対応は喫緊の課題でありこのための緊急的な財政出動は必要なものであるとは承知はしておりますが、一方で県の財政運営においては財政調整用の基金など活用できる財源は限られており、四月臨時会における我が会派の田口章議員の今後の財政運営に関する議案質疑に対しては、今後のさらなる感染拡大防止策などの対策を機動的に講じるための財源確保について、既に旅費や需用費など一部の事務費の執行を保留しているところであるが、さらなる取組が必要であると考えている、また新型コロナウイルス感染症の影響により中止、縮小、延期となった事業をはじめ本年度当初予算に計上した事業の必要性を速やかに検証し必要な事業へ振り替えるなど、財源の確保に努めていくとの答弁がありました。
 県内での感染症の発生は一旦収束も見えつつありますが、本県の経済状況を本年一月頃と比較しますと消費の落ち込みや輸出の減少など新型コロナウイルス感染症の影響から景気は悪化しており、その時期の状態に戻るにはまだまだ時間がかかるものと思われます。法人二税をはじめ県税収入は大幅に落ち込むものと推察され、そのような中で新型コロナウイルス感染症対策をはじめ必要な事業を実施するための財源を確保するには四月臨時会での答弁にあった当初予算に計上した事業の見直しは非常に重要な取組であると考えます。
 そこで、事業見直しにどのように取り組むのか、県の考えをお伺いをいたします。
 次に、リニア中央新幹線整備についてであります。
 国土交通省が主催する有識者会議が設置され、四月二十七日の第一回会議以降これまで三回の会議が行われました。会議ではトンネル湧水の全量の大井川表流水への戻し方などの議論が行われ、しばらく停滞していたリニア中央新幹線整備に関する議論がようやく動き始めました。
 我が会派も先月二十五日に勉強会を開催し、国の有識者会議における議論など現時点のリニア中央新幹線整備に関する状況を確認しました。また今月九日には会派のリニア中央新幹線整備プロジェクトメンバーを中心にリニア中央新幹線整備予定地の視察を行いました。作業用道路となる林道東俣線は作業員の安全の確保が必要不可欠ですが、いまだに整備が不十分であることや発生土置場となる燕沢の安全性や工事現場における濁水処理についても疑問が残るなど課題が山積みしており、このような状況でトンネル工事を進めようとするJR東海の姿勢に疑問を感じざるを得ませんでした。
 そして何よりも、いまだに年間四ミリの速度で成長を続ける南アルプスの雄大かつ厳しい自然環境やそこを流れる大井川の激流を目の当たりにし、大自然に手をつけることへの畏怖とともに流域六十二万人の命を育む水と自然は次世代のためにもこの時代を生きる我々が守らなくてはならないと改めて強く感じました。
 先月下旬にはヤード整備の準備再開に関してJR東海の金子社長から知事と面談したいとの要望がありました。その後の定例記者会見で金子社長は、六月中に準備の了解が得られないと、二〇二七年の開業は難しくなると発言しています。全国の人々にはリニア工事に係る水資源、自然環境への影響に関する議論の状況がほとんど知られていない中で、JR東海が要望する工事再開を承諾しない場合本県がリニア中央新幹線整備を止めているという誤った認識が広まることが危惧されます。
 そこで、本県とJR東海との対話の状況を踏まえ二十六日に予定されているJR東海の金子社長との面談にどのように臨むのか、知事の考えをお伺いをいたします。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策についてであります。
 最初に、医療体制の充実のうち、感染拡大防止に向けた関係機関、専門家等との連携についてお伺いをいたします。
 県では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向けて県内の医療関係機関や感染症の専門家等と連携し入院病床や軽症者向け療養施設の確保、地域外来・検査センターの設置などについて調整を進めてきたと伺っております。しかし県民には県と医療関係者との連携の状況が見えてきておりません。県が設置した専門家会議には医療機関や医科大学等の医療関係者が関わっているとのことですが、その内容は県民の皆様に果たして伝わっているでしょうか。
 先月PCR検査を集中的に行う地域外来・検査センターが新たに富士宮市や富士市で稼働したとの報道がありましたが、設置に当たっての県の関わりについては多くを語られておりませんでした。県内では三月末頃からほぼ毎日感染者が発生し、感染経路不明の陽性患者も相次いだことで感染拡大の懸念が広がりました。五月に入ると感染者が出ない日が十九日間続くなど現在の県内の新型コロナウイルス感染症の発生状況は落ち着きを見せておりますが、第二波の来襲が懸念されるなど今後も予断を許さない状況が続くものと考えられます。引き続き感染拡大防止に向けた取組を進めていく上で県医師会、郡市医師会、県内の医療機関や医科大学等とのさらなる連携が不可欠と考えますが、県はこれまでどのように関係医療機関、専門家等との連携による取組を進めたのか、また、今後はどのように進めていくのかお伺いをいたします。
 次に、新型コロナウイルス対応専門病院の設置について伺います。
 先ほど申し上げたように、四月後半以降の県民の皆様の外出自粛などの御協力により現在県内の新型コロナウイルス感染症の発生状況や医療機関病床の逼迫状況は落ち着きを見せておりますが、社会経済活動が本格的に再開されていくことで感染の第二波、第三波が起きる可能性が懸念されるところです。特に気温が低く免疫力や体力が落ちやすくなり、空気が乾燥することでウイルスや病原体が広がりやすい冬場は様々なウイルス感染症が流行しやすく、真冬に増加した患者が新型コロナウイルス感染症の患者と病院内に混在する場面が増えることで院内感染のリスクが非常に高くなると考えられます。
 先月、大阪府では民間病院を府内二か所目となる新型コロナウイルス患者を専門に治療する病院にするとの報道がありました。専門病院の設置は一般の外来患者の安心のほか院内感染防止のメリットがあり、本県においてもいざというときに備え新型コロナウイルス患者の専門病院の設置は大いに意味があると考えますが、県の所見をお伺いいたします。
 次に、有効な治療薬導入への対応について伺います。
 新型コロナウイルス感染症は、現時点ではワクチンが開発されておらず特効薬も存在しないなど治療法が確立していないと言われております。入院した感染症者の治療は対症療法を行いながら自分の免疫力によって体内のウイルスが駆逐されるのを待つことになりますが、新型コロナウイルス感染症は一部が重症化し対症療法だけでは治癒できないケースがあり、重症化を防ぎ治癒を早める有効な治療薬の開発が期待されております。
 国内では先月七日に、既にアメリカで緊急使用が認められていた抗ウイルス薬レムデシビルが新型コロナウイルス感染症の治療薬として特別承認され、国が早期承認を目指している抗インフルエンザウイルス薬アビガンなど他の既存の候補薬についても患者の観察研究等が進められていると伺っております。
 そこで、患者が重症化することを念頭に置き今後ワクチンや有効な治療薬の導入についてどのように進めていくのか、県の考えをお伺いをいたします。
 次に、クラスター発生防止のための福祉施設職員への支援についてお伺いをいたします。
 全国的に医療機関や福祉施設において新型コロナウイルスのクラスターが発生しています。幸い本県の医療機関や福祉施設においてはクラスターの発生は確認されておりませんが、これは医療機関や福祉施設の職員の皆さんの努力のたまものであると考えております。マスクなどの衛生資材が不足する状況で職員の皆さんは施設内の感染防止対策を徹底しているほか、外部から施設内にウイルスを持ち込まないように最大限の配慮をしていると聞いております。また職員の皆さんの中には家族との接触も最小限にするためホテルなどに宿泊したり、公共交通機関での通勤から自家用車の通勤に切り替えるなど個人の負担が発生しているとも聞いています。
 こうした状況を踏まえ、県においては五月補正予算において医療従事者を支援するためウイルスに感染した入院患者を受け入れたり帰国者・接触者外来を設置している病院に対し手当などの支給を目的とした支援金を交付するための予算を計上し支給を進めているところであります。また福祉施設の職員も医療従事者と同様に感染拡大防止のため大変な努力をされていることから、医療従事者と同様の支援を行うことが必要であると考えます。
 そこで、福祉施設の職員への手当の支給などの支援について、県の見解をお伺いをいたします。
 次に、経済対策のうち中小事業者の事業継続に対する支援についてお伺いをいたします。
 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い事業活動に影響を受けている中小事業者を支援するため県は制度融資の拡充により資金繰りの支援をしているところであり、既にリーマンショック時を超える融資が行われているところであります。
 しかしながら、これらは中小事業者にすれば本来借りなくてもよい資金であり、厳しい経済環境の中、今後の返済が懸念されるところであります。実際にリーマンショック後は多くの中小事業者が返済不能に陥り、事業の継続を断念せざるを得ない事態となりました。今回の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い負債を抱えることとなった中小事業者が、どのようにこの事態を乗り越えていくのかが経済の回復にとって重要な課題であります。
 中小事業者に対する金融支援については、国は既に返済猶予も含めた資金繰り対応を金融機関に要請するとともに、第二次補正予算において日本政策金融公庫による融資や民間金融機関を通じた無利子融資の拡充を打ち出しております。また経営相談体制の強化や中小企業への資本注入など中小事業者への事業継続に万全を期す姿勢を示しています。
 そこで、県としてもこれら国の施策と連動して中小事業者を支援していく必要があると考えますが、その支援の鍵となるのが信用保証協会です。信用保証協会は法律に基づいて中小企業、小規模事業者の方々が金融機関から事業資金の融資を受ける際に保証人となって借入れを円滑にする公的機関であり、企業の安定と繁栄及び地域経済の発展に貢献することを使命としており、県は引き続き協会と連携して金融支援に取り組み、中小事業者の事業継続を図っていくことが重要だと考えます。
 そこで、中小事業者の資金繰り支援に加えて今後事業継続や再生のために県はどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
 次に、雇用環境の悪化に伴う失業者への支援についてお伺いをいたします。
 新型コロナウイルス感染症の拡大により宿泊業、飲食サービス業など多業種の雇用環境が悪化しております。総務省が五月末に発表した労働力調査によると全国の令和二年四月の就業者数は六千六百二十八万人と八十八か月ぶりに減少に転じ、前年同月と比べると宿泊業、飲食サービス業、卸売業、小売業、製造業、などの就業者数が大幅に減少しています。また完全失業率は二・六%、前月比〇・一ポイント増と大幅な増加は見られなかったものの新型コロナウイルス感染症が拡大し始めた二月以降は上昇傾向にあります。
 また、静岡労働局が五月末に発表した静岡県内の令和二年四月の有効求人倍率は一・一七倍と五十六か月ぶりに一・一倍台となり新規求人数は主要な業種全てで前年同月を下回るなど雇用は先行き不透明な状況であります。さらに派遣労働者などの非正規労働者から契約が満了する六月末を期日とした雇い止めや解雇についての相談が労働組合の窓口に多数寄せられるなど失業者の急増が懸念され、不安定な職に就いている方たちの雇用のさらなる悪化が予想されています。
 このように、今後予想される失業者の急増に迅速に対応する必要があると考えますが、県では具体的にどのように支援をしていくのかお伺いをいたします。
 次に、教育対策のうち、オンライン学習の導入促進についてお伺いをいたします。
 さきの四月臨時会において、私たちの会派の田口章議員が令和二年度静岡県一般会計補正予算のうちクラウド学習推進事業費に関して県立高等学校のオンライン学習の実施時期等についての質問をいたしました。その際、本事業による学習環境の整備は七月に完了し全ての学校でオンライン学習を展開することにしており、児童生徒一人一人の学習に遅れが生じることがないよう取り組むとの答弁があったところであります。
 この事業は、新型コロナウイルス感染拡大防止のための臨時休校等の対策として児童生徒の学びを保障するため家庭と学校をつなぐオンライン学習に必要な環境を整備することを目的としたものであります。現在新型コロナウイルス感染症の流行は一定程度収束しておりますが感染拡大の第二波、第三波がいつ来襲するとも限らず、そうした場合に再び休校対応を余儀なくされるか不透明な状況にあります。
 また、学校における教育活動が再開されたものの今回の休校期間は年度末から新学期を迎えて学習習慣を身につける上で重要な年度始めの四月、五月と長期間にわたりました。その間、対面による授業や学習指導ができない事態となっていましたことから児童生徒の学力の低下が心配されるところであります。
 こうしたことを踏まえますと、オンライン学習を予定どおり一刻も早く全県で導入することにより有事にも速やかに対応できる環境を整備するとともに、学習の遅れを生じさせない体制を構築する必要があると考えます。
 そこで、オンライン学習の環境整備とその実施に向けた教員への研修等の体制整備の状況について、教育委員会の見解をお伺いいたします。
 次に、多様な人材活用による子供たちの学びの保障等についてお伺いをいたします。
 五月中旬以降県内の学校は地域の事情に応じて順次再開されましたが、長く休業が続いたことにより子供たちへの影響は計り知れなく教育現場における課題も山積みしております。特に長期の休業により今年度の授業の計画等が大幅に見直されたことや前年度の未指導分の指導も行わなければならないことなどから授業進度が速くなることが予想され、授業についていけない子供たちも出てくることが心配されます。この状況は学力格差につながる重要な問題であり、子供たちの学びの保障のため教員一丸となって取り組まなくてはいけない事態であると思います。
 また、授業時間数確保のために夏休みの大幅な縮小を検討するなど学校はその対応に苦慮されていると聞いており、子供たちにとっても心身への影響が心配されます。さらに教員についても子供たちが使用する箇所の消毒などの感染予防対策が新たに加わり、また子供たちの健康管理等の業務も今まで以上に丁寧に実施するなど個々の教員にかかる負担は心身共に大きなものとなります。
 そのため、子供たちの学びの保障や心のケア、教員の負担軽減のために学習支援員やスクールカウンセラー、スクール・サポート・スタッフ等の増員により退職教員や学生などの地域人材を活用するなど多様な人材の力を借りてこの重大局面を乗り越えていくことが必要であると考えます。
 そこで、県教育委員会として子供たちの学びの保障などのために小中学校への人的支援をどのように行っていくのかお考えをお伺いいたします。
 次に、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた豪雨対策への備えについてお伺いをいたします。
 近年気候変動の影響が顕著になっており、全国各地で豪雨災害が頻発化、激甚化しております。昨年十月の台風十九号では狩野川台風を超える豪雨が発生し、平成最大の水害と言われた一昨年の七月豪雨と同様に全国で甚大な被害をもたらしました。本県においても災害関連死を含め三名の方の貴い命が犠牲となり、約三千棟に及ぶ全壊、半壊、床上浸水等の家屋被害のほか公共土木施設や農作物なども大きな被害に見舞われました。
 昨年十月の台風十九号も含め近年発生した風水害への対応では、住民が自らの生活圏における水害リスクや適切な避難行動が十分に理解されていないことなどにより避難の遅れや避難せずに被害に遭う事例などが指摘されるなど様々な課題が顕在化してきております。今年の三月には政府が令和元年台風十九号等を踏まえた水害・土砂災害からの避難の在り方についての報告を取りまとめており、その中で自らの命は自ら守る意識を一人一人に醸成させるべく避難行動を促す防災の理解力を向上させる必要があると示されたと聞いております。
 このような中、県においてもサイポスレーダーによる河川水位の情報提供に加え国や市町、地域住民等と連携した水防演習や避難訓練の実施など様々なソフト対策に取り組み、地域の防災力の向上に努めていると認識しております。しかし今年度は新型コロナウイルス感染症が拡大し全国に緊急事態宣言が発表され、国民の生活に多大な影響を及ぼしております。
 五月二十五日には全国で緊急事態宣言が解除されたところではありますが、三つの密を徹底的に避けるなどの基本的な感染対策の継続や外出の自粛など引き続き様々な抑制対策を取る必要がある中で、豪雨災害に備えるソフト対策が今までと同じように実施できない状況にあると推測されます。
 そこで、本格的な出水期を迎えるに当たり、県では新型コロナウイルス感染症の影響に考慮した上でどのように豪雨災害に備えたソフト対策に取り組んでいくのかお伺いをいたします。
 次に、文化観光施策の推進についてのうち、文化芸術活動への支援充実の件についてお伺いをいたします。
 新型コロナウイルス感染症の影響により全国各地でコンサートや舞台公演など様々なイベントが延期や中止を余儀なくされ、劇場や美術館、博物館等も臨時に休館するなど文化芸術活動の落ち込みが激しい状況にあります。
 本県においても、県立美術館やグランシップ等が臨時休館しSPACもふじのくにせかい演劇祭を中止いたしました。例年であれば各地で文化芸術の催事が開催され多くの人でにぎわうゴールデンウイーク期間中、県民の皆様は外出自粛を余儀なくされ町からにぎわいが消えてしまいました。
 SPACは、外出を控えている県民の皆様に少しでも文化芸術を楽しんでいただけるようインターネットを活用したくものうえせかい演劇祭を開催し、SPACが海外で上演した作品の映像配信や海外アーティストと宮城総監督の対談など意欲的なプログラムを開催したことに敬意を表します。
 幸いなことに現在は緊急事態宣言が解除され、本県においても県立美術館をはじめとする文化施設が再開するなど各地で文化芸術活動が徐々に再開しておりますが、感染の第二波、第三波も懸念され直ちにコロナ感染症の前の状況に戻ることはできません。当面は新しい生活様式の下、身体的距離の確保やマスクの着用等日常生活において様々な我慢を強いられることが見込まれます。このようなときこそ文化芸術活動により勇気づけられる人も多いと思います。
 宮城総監督が挑戦したように、県としても文化芸術団体やアーティストが制作する動画の配信など新しい生活様式を考慮した文化芸術活動への応援支援を積極的に行うべきと考えますが、県の見解をお伺いいたします。
 次に、デジタル技術を活用した観光振興についてであります。
 新型コロナウイルス感染拡大は、インバウンド需要の激減にとどまらず国内における外出自粛へと深刻化し、観光産業は大変な打撃を受けました。先月緊急事態宣言が解除され徐々に経済活動の回復に向け動き出しているところではありますが、依然として懸念される感染リスクの状況を見極めながら対応していく必要があります。また今後感染リスクが完全になくなることは極めて難しいと考えられる中、世界中で新しい生活様式への転換が求められる時代となり観光分野においても新しい生活様式への対応が求められるのではないでしょうか。そのようなニーズに対応するための一つの方策として、県がこれまで取り組んできたデジタル技術の活用が考えられます。
 先日、知事は三次元点群データによるバーチャルシズオカの公開を発表し、全国でも前例のない高精度のデータなのでインフラ管理、観光などに活用していただき民間のビジネスにも生かしてほしいと発言されました。様々な分野でデジタル技術の活用が進む中、バーチャルシズオカは豊富な自然に囲まれた本県の観光地としての魅力を発信する有効なツールとなるものと期待されます。
 また県では、近年インターネットやSNSから観光情報を収集することが一般的になるなどデジタル化の流れに対応するため、昨年から観光デジタル情報プラットフォームの導入に向けた取組を進めていると聞いております。
 今、国民に求められている新しい生活様式に即し高度化が進むデジタル技術をどのように観光振興に活用していくのか所見をお伺いをいたします。
 最後に、富士山閉鎖時における山岳遭難防止についてお伺いをいたします。
 今年の夏の富士山は新型コロナウイルス感染防止の観点から登山者の宿泊、休憩、救護に不可欠な山小屋の休業が決定し、また県では登山者の安全確保ができないとして管理する富士宮、御殿場、須走の全登山道の通行止め措置を講じ今年の夏の富士山閉鎖が決定に至りました。今年の夏は東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会開催に伴い世界中からの集客を見込んでいたことから、コロナによる周辺の観光や商業へ与える影響は計り知れない状況にあります。
 知事は、今年の夏の富士山は仰ぎ見る存在として絵を描いたり俳句を詠んだりして楽しんでほしい、今年は登山の富士山ではないと知らせたいとコメントされました。しかし富士山閉鎖時の現状に目を転じますと、昨年秋ライブ登山中の男性が滑落死した山岳遭難が物語るように閉山や閉鎖にもかかわらず身勝手に入山する登山者が後を絶たず、今年の夏も山岳遭難の発生を危惧する声が多数寄せられています。
 昨年富士山では五十三件もの山岳遭難が発生している状況下、今年の夏のように体制が整わない状況での有事対応は遭難者のみならず山岳救助隊員の安全をも脅かす大変危険なものであり、閉鎖時の登山は厳に慎むべきと考えます。
 そこで、閉鎖時の富士山を登山することの危険性、今年の夏、山岳遭難が発生した際の県警察の対応及び閉鎖に伴う富士登山の危険性をどのように周知、広報するのか警察本部長へお伺いをいたします。以上、答弁を求めます。
○副議長(良知淳行君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 曳田議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてのうち、新型コロナウイルス感染症対策に関する基本方針についてであります。
 COVID―19――新型コロナウイルスはまさに国難であります。従って非常時であります。非常時には事態が時々刻々と変わります。また不確実性が増します。特に今回の感染症のようにその蔓延が地球大に広がっている場合には、県における情報のみならず県内外、国内外の情報をなるべく広く正確に把握することが不可欠です。そしてまたこれらの情報を関係者に共有してもらうことが大事で、かつそれを発信することも大事であります。こうした情報に応じまして的確にこの行動に移していくということが求められます。
 今日に至るこうした対策の結果、各段階で適時的確な決断が行うことができまして感染の拡大が抑止されてまいりました。本県に感染者が確認され始めた段階では感染拡大防止を最優先に考えました。県民の皆様の行動自粛や感染予防の徹底はもとより、保健所による精力的な積極的疫学調査による感染経路と濃厚接触者の特定、迅速な検査による感染範囲の把握によりクラスターの発生を抑止することができ結果的に蔓延防止を図ることができました。
 こうした結果、本県は東西を感染拡大が顕著な大都市圏に挟まれながらも県内陽性者は八十人にとどまっております。これはもちろん県民の皆様、社会サービスの維持提供者なかんずく医療従事者など全ての県民の御尽力のたまものであり厚く御礼を申し上げますとともに、私は改めて静岡県民の危機管理能力の高さに敬服の念を深めているところであります。
 緊急事態宣言が発令された段階では、間もなく大型連休期間が始まることから感染拡大防止のため、県内はもとより近隣都県からの人の移動を抑制することが重要となりました。私は主権在民の民主主義に根差す法令の趣旨を踏まえまして、休業要請を最大限効果的に行うため現場に精通するべき市町長の意見に耳を傾け県内全市町長との危機感の共有と行動制限に向けた機運の醸成を図ることにいたしました。
 この結果、県は訪問の目的地となる遊技施設、遊興施設等に対し県内一律で休業要請を行いまして、市町は県外からの来訪の見込まれる飲食店、宿泊施設等に対し休業要請を行うことで流入抑止の相乗効果を高め、感染拡大抑制につながって大型連休以降の県内陽性者は八人にとどまっております。
 緊急事態宣言解除後、感染が小康状態となった段階では蔓延防止と経済再生の両立が求められました。今後の蔓延防止を図るため感染が続く大都市圏に隣接する本県の立地特性を踏まえた独自の監視体制が必要であると判断した次第であります。
 そこで、県感染症対策専門家会議の助言に基づきまして六段階警戒レベルとレベルごとの行動制限、いわゆるふじのくにシステムを創設いたしまして、県内のみならず県外の感染状況等を勘案した警戒レベルとすることで県民の皆様の感染予防のための最新情報を毎週金曜日に分かりやすい形で地図をも掲載する形で提供しているところであります。
 新型コロナウイルス感染症は、ワクチンや治療薬が実用化されるまでは感染拡大防止対策を堅持することが必要です。引き続き県内外の感染動向を監視、分析しながら迅速に警戒レベルと行動制限の見直し、変更を行い警戒を呼びかけるとともに、PCR検査体制の強化、入院病床の確保、軽症者等の宿泊施設の段階的な確保など第二波に備えた医療体制の確保に努め想定外とされないように着実に準備を進めてまいります。
 私は、今後も陣頭に立ちまして情報を皆様と共有し、かつそれを発信しそれを共有した上で適時適切と誰もが分かる判断を行いまして県民の皆様の安全・安心を第一に確保してまいりますので、県議会の皆様の御支援をよろしくお願いを申し上げます。
 次に、本県経済についての現状認識と回復に向けた方針についてであります。
 新型コロナウイルス感染症の拡大により企業による生産活動は停滞し、雇用情勢も悪化し、本県経済は非常に厳しい状況に直面しております。緊急事態宣言の解除後も消費の回復は鈍く先行きが見通せない中で、県内企業は当面の運転資金の確保に奔走している状況が続いております。雇用情勢も今月に入り解雇や雇い止めが見込みの数も含めて全国では二万四千人を超えておりますし、本県は六百十七人となっております。
 こうした状況を踏まえ、まずは資金繰りを円滑にし持ちこたえていただくことが重要です。そのために国による制度創設に先駆けまして、県は天野部長を先頭にいたしまして制度融資の拡充により県内企業の資金繰り支援を行ったほか、増大する資金需要に応えるため融資枠のさらなる拡大を行いました。また雇用維持も重要ですので、離職者訓練の拡充等増加の見込まれる離職者への対応も強化いたしました。このように金融支援や雇用の維持などいわゆるつなぐ支援に注力しているところであります。
 本県経済の回復に向けましては、感染症のリスクの状況等を勘案しその防止対策と経済活動の両立を図る必要があります。県では感染症の第二波の到来を十分に警戒しながら、冷え切った地域経済を活性化するためにフジノミクスと称する総合経済対策を順次展開してまいります。まずは地域内での消費を喚起し、経済の循環を拡大していく施策を展開しているところであります。
 県民の皆様に県産品の購入また材の購入など県内施設の利用を呼びかけるバイ・シズオカの取組はそうでございますし、また山梨県との連携により両県の県民相互が経済交流を行うバイ・ふじのくにの取組を推進しふじのくにと称し得る新しい国民経済圏の形成を図ってまいります。また新型コロナウイルス感染症を契機とした県内企業による業種、業態転換やオンライン利用、リモートワーク導入などの新たな取組を支援いたしましてオンライン経済、ウェブ会議等々、フジノミクスの一環といたしましてアフターコロナを見据えた本県経済の再生につなげてまいります。
 さらに、今回の感染拡大により医療機関は医療用資材の不足という課題に直面いたしました。また我が国はワクチンや治療薬開発の国内基盤を強化する必要があります。こうした新型コロナ危機の教訓を踏まえ県では今後医療健康産業の集積と、現在医療器具並びに医薬品は九年連続日本で一位であります。この強みを生かしまして、マスク等の医療用資材を生産する県内企業への支援を強化するなど命を守る産業の基盤強化を図ってまいります。これはフジノミクスの根本を成す哲学であります。命を守ると、そのための経済ということであります。あるいは命を輝かせる、幸福に人々がなるというのがフジノミクスの哲学であります。
 県といたしましては、感染症防止対策を講じつつ新しいこの発想、考え方でこの未曽有の危機を克服しようとする県内企業の取組を積極的に支援いたしまして大きな打撃を受けた本県経済の再生、回復を着実に図ってまいります。
 次に、リニア中央新幹線整備についてであります。
 先月二十日、JR東海の金子社長から南アルプストンネルの静岡工区に関わるヤード整備等の準備工事に関しまして私との面談を強く希望する旨の書簡が届きました。これに対しまして二十二日に返事を差し上げました。国交省の第一回有識者会議における社長さんの不適切な発言の謝罪並びに撤回を求め、またそれを見届け関係各位に御相談した上で面会の可否を御返答申し上げると回答したところでございます。そうした中、二十七日に再度私との面談を要望されるとともに、有識者会議での発言を謝罪、撤回しおわびを申し上げるという御丁重な書簡が届いたところであります。
 金子社長の書簡では作業道の整備を精力的に進めているとのことでありましたので、果たしてそうか、今月十一日県道三ツ峰落合線の新設トンネル予定地や昨年の台風で一部が崩落した林道東俣線の復旧状況、県議も行っていただきました燕沢の発生土置場の予定地あるいは椹島ヤード等を視察してまいりました。林道東俣線につきましては一部改良工事が行われておりましたが、落石が多く見られ安全対策はまだまだ十分とは言えないという状況でありまして、作業員の安全確保のためにもまずは林道の整備を急ぐ必要があると改めて強く感じたところであります。
 JR東海とは、環境保全連絡会議の地質構造・水資源専門部会並びに生物多様性専門部会におきまして対話を進めてまいりました。しかしこれまでJR東海は専門部会の委員の質問に十分に対応なさらず、計算の根拠である数値もお示しにならず、分かりやすい資料を求めてもお答えにならないなどJR東海側の姿勢は真摯とは言えないものでなかなか対話が進まなかったのであります。また対話の交通整理役として国土交通省が設置した有識者会議における議論もやっと緒に就いたばかりであります。
 私は大井川流域市町、利水関係者の皆様と一致団結して行動しております。今月十六日には大井川流域市町の首長さんから金子社長との面談やヤード整備等について御意見を承りました。そこでは命の水である大井川の水資源や世界に誇る南アルプスの自然環境を守っていくという皆様の強い決意を伺い、私も改めてその思いを強くしたところであります。
 二十六日に金子社長さんと面会することになりますが、流域市町の皆様の決意をしっかりとお伝えいたします。また工事に携わる作業員、その大半は静岡県民です。こうした方々の安全確保のため林道の整備を急ぐようにお願いしたいとも考えております。さらにお互いの信頼関係の構築のためにも工事を遅らせている原因が本県のみにあるのか工事の進捗の現状を正確に知らせていただこうとも思っておりまして、この点については直接金子社長さんに確認したいと考えております。
 JR東海が今行うべきは、まずは国土交通省が設置した有識者会議や県の専門部会におきまして引き続き対話を要するとされている四十七項目について説明責任を果たされなければなりません。この説明責任を果たすことで初めて大井川流域住民の皆様に寄り添った対応がされているという理解ができると思います。こうした態度でJR東海の金子社長との会見に臨む予定でございます。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策についてのうち、医療体制の充実についてであります。
 有効な治療薬導入への対応についてでありますが、新型コロナウイルス感染症に関わる県民、国民の皆様の不安解消に真に必要な対策はワクチンや治療薬の開発・実用化あるいはその見通しであります。さもなければ不安は決して解消されません。
 このため、全国知事会による国に対する新型コロナウイルス感染症対策に関わる緊急提言に本県は一貫してワクチン及び特効薬の早急な実用化に向けた基金の創設について盛り込むよう要請いたしました。それは盛り込まれました。さらにまた本県独自に国に対しまして治療薬やワクチンの開発について緊急要請も行ってまいりました。
 これらによりまして、さきに成立した国の第二次補正予算にはワクチン、治療薬の開発と早期実用化等として二千五十五億円が計上されたところであります。国への緊急要請に当たり県議の皆様をはじめ御尽力賜りました国会議員の先生、また関係の皆様には厚く感謝申し上げる次第であります。
 新型コロナウイルス感染症の猛威は国難であり人類の危機でもあります。国民を疫病から守る防疫は侵略、テロからの防衛、自然災害からの防災とともに、国防の三本柱であるという認識を持ち、国に対しましては新たな感染症のワクチン、治療薬の早期開発に向けて幅広く活用できるせめて一兆円程度の開発基金を創設することが不可欠であると、この信念を持ちましてこの体制を早急にかつ恒久的に整えるよう引き続き要請をしてまいります。
 今後も、ワクチン、治療薬の開発に係る動向を注視しまして有効性等が確認された暁には国と連携をして県民の皆様に速やかにワクチンの接種、治療薬の投与のできる体制をつくり、必要な対応を進めてまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、部局長及び教育長から御答弁を差し上げます。
○副議長(良知淳行君) 難波副知事。
       (副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) 文化観光施策の推進についてのうち、文化芸術活動の支援充実についてお答えをいたします。
 新型コロナウイルス感染症の影響により文化芸術活動が中止される中、文化芸術の大切さを再認識する声も多く聞いております。SPACがオンライン上で実施したくものうえせかい演劇祭には十二日間で五万六千回を超えるアクセスがありました。また五月十二日に再開した県立美術館には週末に千人を超える方々に来館をしていただくなど、多くの県民の皆様が文化芸術を心の糧として活動の再開を心待ちにしていたことを改めて実感したところです。
 今後は、イベントの開催制限の緩和に応じてコンサートや演劇などの再開が期待されますが当分の間は感染症が流行する前と同様の方法でイベントを開催することはできません。活動の再開に当たりましては、来場者が安心して鑑賞できるための新たな活動方法や動画配信の活用などの工夫や十分な準備が求められます。
 このため、県では芸術家や文化団体が新しい生活様式に対応し円滑な活動を再開できるよう事業実施に要する経費を対象として百万円を上限に助成する制度を創設いたしました。また開催を見合わせている文化プログラムにつきましても、プログラムコーディネーター等の専門家が事業の再開に向け映像等を活用した新たな表現方法を提案するなど、苦しい状況を乗り越えて新たな活動に踏み出す方々を積極的に支援してまいります。
 文化芸術は人生を豊かにし地域社会の発展にも欠かすことができないものです。持続可能な新しい状態の下、魅力ある文化芸術活動が活発に展開されるよう全力で支援してまいります。以上であります。
○副議長(良知淳行君) 佐藤政策推進担当部長。
       (政策推進担当部長 佐藤典生君登壇)
○政策推進担当部長(佐藤典生君) 知事の政治姿勢についてのうち、事業見直しについてお答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症の影響に伴う県税収入の落ち込みは避けられない状況であり、議員御指摘のとおり今後必要となる事業を実施するための財源確保に向けた取組が不可欠であります。また新型コロナウイルス感染症は事業の前提となる社会経済状況や県民の皆様の意識に大きな影響をもたらしており、改めて事業の目的、手法などを見直す必要が生じております。
 このため、本年度事業につきまして見直しの手始めとして六月補正予算において新型コロナウイルスの影響で休止や延期、規模縮小を決定した事業につきまして十六億一千七百万円減額いたしました。今後も事業の対応方針が決定した段階で順次減額してまいります。また本年度の税収見込みや地方交付税の算定額等を踏まえ財政収支を試算した上で進捗の遅れている事業等を中心に見直しを行い、九月補正予算において減額し財源を捻出してまいります。
 令和三年度に実施する事業につきましては、今後示される国の地方財政計画を踏まえた財政収支の試算に基づき補助事業や大規模イベントの見直しなど全庁一律の見直し基準を設定し、これまで以上に見直しを徹底してまいります。さらに今後多額の財政負担が見込まれる施設整備のうち、設計または計画策定中の県立中央図書館や遠州灘海浜公園篠原地区野球場などにつきましては整備内容やスケジュール等の総点検を行い秋を目途に整備の方向性を示してまいります。以上であります。
○副議長(良知淳行君) 藤原健康福祉部長。
       (健康福祉部長 藤原 学君登壇)
○健康福祉部長(藤原 学君) 新型コロナウイルス感染症対策についてのうち、医療体制の充実についてお答えいたします。
 感染拡大防止に向けた関係機関、専門家等との連携についてでありますが、県では県内の大学や医療機関の医師で構成する感染症対策専門家会議を開催し、全委員に毎週直近一週間の新規感染者数など感染の状況の目安となる指標を示し意見を求めており、主要な指標の値に大きな変動があった場合には速やかに会議を開催し感染状況について御助言を頂くこととしております。感染症患者の受入れ体制につきましても、県が設置した新型コロナウイルス感染症調整本部におきまして毎日の患者数や受入れ可能な病床の状況を関係医療機関と情報交換することで迅速な患者搬送と入院先の調整を実施しております。
 PCR検査体制につきましても、検査を集中的に行う地域外来・検査センターの設置を郡市医師会や市町等の関係者に働きかけ調整を進めた上で県が運営を委託して、これまでに六か所設置し両政令市によるものを合わせ県内十か所となっております。今後も各医療圏域に一か所以上設置する方針で、郡市医師会等と連携を図りながら検査体制を拡充してまいります。
 県といたしましては、感染状況について県のホームページや報道機関を通じて県民の皆様に情報提供するとともに、関係機関、専門家等と密接な連携を図り新型コロナウイルス感染症に係る感染拡大防止及び医療提供体制の整備に取り組んでまいります。
 次に、新型コロナウイルス対応専門病院の設置についてであります。
 新型コロナウイルス対応専門病院は、特定の病院に患者の受入れ機能を特化し医療機関にとって負担の大きい感染症対策に医療資源を集中することで効率的に感染症患者の治療を行うことを目的に導入されていると承知しております。一方で医師や看護師等が不足し医療機関が少ない本県におきましては他の疾患患者の受入れなどについての周辺病院による合意形成が難しく、病院単位での専門病院の設置は困難であると考えておりますが、病棟単位で感染症患者を受け入れる重点医療機関の指定など可能な方策について積極的に取り組んでまいります。
 現在、本県におきましては重症・中等症患者の受入れには感染症指定医療機関に加え一般病院も含め合計二百床を確保し、調整本部を設置して受入れ可能医療機関の病床の状況について情報を共有することで地域における患者の発生状況等に応じた患者搬送や入院先の広域調整を行い、全県を挙げて対応しております。本県における新型コロナウイルスに係る今後の医療提供体制につきましては、感染症対策専門家会議から御意見を頂きながら本県の実態に合った対応を検討してまいります。
 次に、クラスター発生防止のための福祉施設職員への支援についてであります。
 県内の福祉施設におきましては、新型コロナウイルス感染症の発生防止のため職員の皆様が日夜徹底した感染防止に取り組んでおられることに心から敬意を表します。
 県では、今回の補正予算におきまして介護サービスや障害福祉サービスの提供体制を支援するため施設等に勤務する職員に対する慰労金の支給、徹底した感染症対策、サービスの再開に向けた支援などを行うための経費を計上しお認め頂いたところであります。慰労金の支給につきましては医療従事者と同様に感染症が発生した施設等に勤務する職員に二十万円、それ以外の施設に勤務する職員に五万円をそれぞれ支給することとしております。また職員に対する感染症対策として施設内のゾーニングや防護服の着脱、消毒などについて外部専門家による研修の実施を支援してまいります。
 県といたしましては、県内の福祉施設の職員の皆様が引き続き新型コロナウイルスに対し万全の感染防止対策を講じながら必要なサービスの提供に努めていただけるよう今後も支援してまいります。以上であります。
○副議長(良知淳行君) 天野経済産業部長。
       (経済産業部長 天野朗彦君登壇)
○経済産業部長(天野朗彦君) 新型コロナウイルス感染症対策についてのうち、経済対策についてお答えをいたします。
 中小事業者の事業継続に対する支援についてでありますが、県では新型コロナウイルスの感染拡大により影響を受けた中小事業者に対し県制度融資による資金繰り支援に全力を挙げているところであります。国の第二次補正予算に呼応いたしまして国連携型の制度融資の上限額を三千万円から四千万円に引き上げるとともに融資枠も大幅に拡大して企業の資金需要に応えております。
 しかしながら、感染症の影響が長期化し業績の回復が進まない場合におきましてはいずれ借入金の返済に行き詰まる事業者が出てくる事態も予想されるところであります。こうした場合には金融機関と事業者との間で返済猶予などの条件変更や他の資金への借換え等の対応が必要になってまいります。
 既に、金融庁では本年三月に金融機関に対しまして条件変更等の迅速かつ柔軟な対応を要請するとともに、事業者からの条件変更等の申込みに対する実行、謝絶件数の報告を求めその状況を公表しております。その結果を見ますと、各金融機関におきましては中小事業者からの申込みに積極的に対応いただいているものと認識をしております。
 こうした条件変更等を柔軟に認めることと同時に、財務を毀損することのない資金調達方法として長期一括返済融資である資本性劣後ローン等の資本性資金が注目されております。資本性資金は借入余力の少ない中小事業者にとりまして有力な手段となり得るものであり、国はこのたびの第二次補正予算で政府系金融機関等による資本性資金の供給を事業化したところであります。県内でも過去の経済危機の際、実質的に資本性資金に近い資金を供給した金融機関もあると伺っております。
 本県経済を力強く再生させていくためにはその屋台骨である中小事業者の事業継続をあくまでも守り抜いていくことが重要であります。国の新たな政策の動向や徹底した事業者支援の在り方などにつきまして金融機関や信用保証協会などとともに真摯に意見交換する場を設け、危機感を共有して中小事業者の事業の継続と再生支援に取り組んでまいります。
 次に、雇用環境の悪化に伴う失業者への支援についてであります。
 新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、関連する解雇や雇い止めは見込み人数も含めまして全国で二万四千人に上っております。今後四半期契約の派遣社員が六月末で契約更新を迎えることから、特に非正規労働者の解雇や雇い止めが急増するおそれがあるとされております。
 このため、県ではまず雇用維持対策として従業員を解雇せずに休業にとどめた企業に支給する国の雇用調整助成金につきまして静岡労働局や商工団体、金融機関などと連携しながら社会保険労務士などの専門家による迅速な申請書作成支援などに注力しているところであります。また今般成立した国の第二次補正予算におきましては、雇用調整助成金の受給額上限の引上げとともに休業手当を受けられない労働者に直接給付する休業支援金の創設など雇用維持のための支援が大幅に拡充されたところであります。国や関係機関と共に新制度のPRに積極的に努め、その利用促進を図ってまいります。
 さらに、雇用調整助成金は実質的に申請後すぐには助成金を受けられず企業は先に休業手当を支払わなければならないため、県制度融資を活用して企業の資金繰りを支援しているところであります。加えて県内三か所に設置しております中小企業労働相談所におきましては、社会保険労務士や弁護士などが相談者から雇用契約の内容などを聞き取りながらきめ細かく相談に応じ就労の継続に取り組んでおります。
 他方、離職を余儀なくされた方々に対しましては早期の再就職ができるよう県内三か所のしずおかジョブステーションにおける就職相談員や外国語通訳などを合わせて十二名増員するとともに、各技術専門校におきまして介護やIT分野など求人ニーズの高い分野での職業訓練を拡充するなど再就職に向けた支援体制を強化してまいります。
 県といたしましては、今後急速に雇用情勢が悪化した場合でも離職を余儀なくされた方々を迅速に受け入れ再就職につなげていくセーフティーネットの体制充実に一層努めてまいります。以上であります。
○副議長(良知淳行君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 新型コロナウイルス感染症対策についてのうち、教育対策についてお答えいたします。
 オンライン学習の導入促進についてでありますが、県立高等学校におきましては臨時休業期間中に教科書や紙の教材を用いた学習に加え全ての学校で既存の機器を活用し授業動画やデジタル教材による家庭学習を個別に実施してまいりました。
 今後、より高度なオンライン学習を全ての高等学校で等しく実施できる環境を整えるため、クラウド学習推進事業によりウェブ会議システム用のライセンスの取得や映像配信用のカメラやマイクの整備を七月中に完了させ、オンライン学習指導や動画の撮影、配信などに活用してまいります。さらにクラウドサービスを活用し、クラス単位で日常的に学習課題を提示し生徒の問いかけに教員が即座に対応できる効果的な取組を構築してまいります。
 教員の研修体制につきましては、インターネット上で閲覧できるポータルサイトを立ち上げ授業動画の撮影方法やウェブ会議システムの利用方法などを周知するとともに、専門的知識を持つ職員が直接学校へ出向いて個別に技術支援を行っております。今後はe―ラーニングによる研修を通して指導方法の習得を進め、全ての教員の授業力の向上を目指してまいります。
 県教育委員会といたしましては、全ての学校においてオンライン学習に向けた体制を整備し、今後臨時休業となった場合にも児童生徒一人一人の学習に遅れが生じることのないよう学習環境の充実に努めてまいります。以上であります。
○副議長(良知淳行君) 長澤教育部長。
       (教育部長 長澤由哉君登壇)
○教育部長(長澤由哉君) 新型コロナウイルス感染症対策についてのうち、教育対策についてお答えいたします。
 多様な人材活用による子供たちの学びの保障等についてでありますが、六月に入り県内全ての小中学校が再開され徐々に通常の教育活動が行われるようになってきております。現在昨年度の未指導分の授業及び補習等の支援を行う学習支援員の配置を進めており、各学校において児童生徒をサポートする体制が順次整いつつあります。
 しかしながら、臨時休業が約三か月の長期にわたったことに伴い年間の指導計画が大きく見直され、児童生徒にとってこれまでにない経験が続いていきますことから学習面や生活面でさらなる配慮が必要と考えております。
 このため、退職教員や大学生など地域の方々の御協力を頂きながら年間を通してきめ細かく支援できる体制を全ての公立小中学校で整備してまいります。児童生徒の学習を授業等でサポートする学習支援員を増員するほか、市町教育委員会と連携しスクールカウンセラーの派遣回数を増やすなど心身のケアにも努めてまいります。
 また、教員が児童生徒と向き合うための時間を確保できるように学習プリントの印刷や提出物の点検、教室内の換気や消毒など学校再開後に増加した業務を行うスクール・サポート・スタッフを追加配置してまいります。
 県教育委員会といたしましては、学校内での安全が確保できるよう引き続き十分な感染予防対策を講じながら、地域人材の力を結集し児童生徒の学びを保障する教育活動が円滑に進められるよう社会総がかりで支援してまいります。以上であります。
○副議長(良知淳行君) 長繩交通基盤部長。
       (交通基盤部長 長繩知行君登壇)
○交通基盤部長(長繩知行君) 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた豪雨災害への備えについてお答えいたします。
 県では、頻発化、激甚化する豪雨災害に対し住民の皆様の防災意識の向上を図るため出前講座や避難訓練などのソフト対策を実施してきたところでありますが、本年度は新型コロナウイルス感染症の影響により県内のほぼ全ての水防演習が中止となるなど多くの人が参加する訓練などをこれまでどおりに実施することが難しい状況にあります。
 こうした中でも、豪雨災害に対する危機意識を持ち続けていただくことが重要でありますことから、実施できない訓練などを補う措置の一つとして災害時の心得や行動を分かりやすく説明するため県の若手職員が自ら作成した動画「事前に備える防災講座」三本をユーチューブの県公式チャンネルで公表したところであります。
 今後も、ハザードマップの使い方や河川の出水状況の調べ方などを解説する動画を作成し個人や家庭で多くの方に御覧いただくとともに、小中学校の防災教育や地域の防災訓練などにおきましても活用していただけるよう市町に呼びかけてまいります。
 県といたしましては、国や市町と連携して新たな手法を取り入れながらウイズコロナにも対応できるソフト対策に取り組み豪雨災害に対して安全で安心な地域づくりを推進してまいります。以上であります。
○副議長(良知淳行君) 植田スポーツ・文化観光部長。
       (スポーツ・文化観光部長 植田基靖君登壇)
○スポーツ・文化観光部長(植田基靖君) 文化観光施策の推進についてのうち、デジタル技術を活用した観光振興についてお答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症は、三密の回避など感染リスクを軽減した新しい生活様式への変化をもたらし、観光分野におきましてもこれらに的確に対応するとともにデジタル技術を活用して観光需要の回復を図っていくことが重要であると認識しております。
 このため、今月から実施している「バイ・シズオカ〜今こそ!しずおか!!元気旅!!!〜」におきまして、三密を避け広く観光地を周遊していただくためデジタル技術を導入したスタンプラリーを実施してまいります。また伊豆地域におきまして、三次元点群データによる臨場感あふれるバーチャル映像を活用しジオサイトの新しい楽しみ方が提供できるよう準備を進めております。
 さらに、現在開発を進めている観光デジタル情報プラットフォームにおきまして旅行者の属性や移動データの収集、分析等を行うことで旅行者のニーズに合った旅の提案や事業者による新たな旅行企画などへの活用を図ってまいります。
 県といたしましては、新しい生活様式に即したデジタルシフトを促進するとともに、観光デジタル情報プラットフォームを活用したデータの利活用を推進することでウィズコロナ時代における新しい観光地域づくりを進めてまいります。以上であります。
○副議長(良知淳行君) 小嶋警察本部長。
       (警察本部長 小嶋典明君登壇)
○警察本部長(小嶋典明君) 富士山閉鎖時における山岳遭難防止についてお答えいたします。
 初めに、閉鎖時の富士山を登山することの危険性についてでありますが、この夏は登山道が通行止めになるため整備が行われないことから落石や道迷いなどによる遭難のおそれが高くなっている状況にあります。また閉鎖期間中は山小屋が休業するほか富士宮口八合目の診療所も開設されないことから、悪天候時の避難場所や傷病人のための救護所を確保することができません。
 次に、この夏、山岳遭難が発生した際の県警察の対応についてであります。
 この夏は開山しないため例年九合目で山岳遭難救助隊員が行っている常駐警備は実施せず五合目の臨時警備派出所も設置しませんが、緊急の救助を要する遭難を認知した際には関係機関と連携した上で御殿場警察署や富士宮警察署などに配置されている山岳遭難救助隊員が速やかに対応を取ることとしております。
 続きまして、閉鎖に伴う富士登山の危険性をどのように周知広報するのかについてでありますが、静岡県山岳遭難防止対策協議会などの関係機関と連携して広報を推進するほか県警ホームページ、交番・駐在所で発行するミニ広報紙などによりこの夏における富士登山の危険性について周知広報することとしております。以上であります。
○副議長(良知淳行君) 三十四番 曳田 卓君。
       (三十四番 曳田 卓君登壇)
○三十四番(曳田 卓君) 知事はじめそれぞれ御答弁頂きありがとうございました。
 まさに、この質問の冒頭で述べましたように私の人生六十年の中で体験したことのない未曽有の事態の中での県行政がなし得る最大限の御答弁だと拝察いたしました。そしてまたよく対処されているということに関しては敬意を表するものであり、今後も川勝知事の強いリーダーシップの下この難局を乗り切っていただきたいと思います。我々も一生懸命頑張ってまいります。
 特にその中で四点要望をさせていただきます。
 一点目は、リニア中央新幹線整備についてであります。
 質問の中でも述べましたが、JR東海からはいまだに二〇二七年の開業ありきの姿勢がうかがえます。しかし大井川の水資源や南アルプスの自然環境は一度失われた場合取り戻すことは容易ではありません。次の世代の人々のためにも今を生きる我々が守っていかなくてはなりません。
 我が会派のスタンスは全議員で決議したように科学的根拠に基づいた対話を尽くすことです。川勝知事にはこれまでと同様に、妥協することなく大井川の水資源と南アルプスの自然環境を守り抜く姿勢を貫いていただきたいと思います。
 二点目は、医療体制の充実についてであります。
 私の妻は三年ほど前に肺炎を患っており、日常会話の中で常に「私、コロナにかかったら死ぬね」というのが常套句であります。特に岡江久美子さんの死は衝撃的でありました。ただそのときに生還した赤江珠緒さんや石田純一さん、この有名人の生死を分けたものは何であったかと。当時アビガンということが話題になっておりました。私もどうかと思いましてすぐに愛知県豊明市にある藤田医科大学に県会議員としてメールで問い合わせました。そうしたところ翌日に返答がございました。本人の希望があれば医師の承諾や病院の倫理委員会の承認を得て服用できるということでございます。
 このコロナウイルスの怖いところは、午前中元気であっても一日あるいは半日で急変することがあります。ですから私ですらそういう薬のことについてもそういう問合せができたものですから、ぜひそういうことの常備薬についても県のほうも整備をぜひやっていただきたいと。
 もう一点は、この件に関しては感染経路が不明ということが先ほども知事からございましたけれども非常に多くあります。我々も今日も議会もそうですけれども懸命に感染しないよういろんな努力をしています。しかしどこで感染するか分からないというリスクもあるわけです。ですから、あえて言わせていただけるならば感染することもあり得るという覚悟がやはり持つ必要があるだろうと。ただし感染しても万全の医療体制がしかれ決して死ぬことはないという体制があれば、県民は安心して経済活動を行ったり普通の生活を送ることができると思うわけであります。
 このような観点から、県当局におかれては引き続き医療関係者や医師会等と協力して医療体制をさらに盤石なものにしていただけるよう強く要望をいたします。
 三点目は福祉施設で高齢者介護に従事する職員への手当の件についてでございます。
 先ほど具体的な支援の中身を頂きました。私、怖いのはイタリアであれだけの死者数が出ているうちの七割は実は介護施設の施設内感染であったそうです。ですからやはり日本もいつそうなるとは限りません。これは医療と確かに同じかもしれませんけれども、その七割という数字は私はやはり非常に気になります。ですから医療従事者、同時にこの社会保障制度を支えている介護施設従事者に対してもさらなる支援を強く要望するところであります。
 最後に、制度融資のことについて天野部長から非常に力強い御答弁を頂きました。このことについては私も産業委員会で何度か質問させていただきました。そのときの状況から比べると非常に、格段にすばらしい答弁だったというふうに敬意を表するものであります。特に劣後ローンについては五月二十五日に安倍首相が会見で追加経済対策として通常の融資では負債が増え、財務の悪化により追加融資を受けにくくなる問題がある。このため劣後ローンの活用を促すとの発言がありました。ちなみに劣後ローンは元本の返済期限がなく利息のみを支払い続けるだけで返済時に資本に組み入れることも可能な制度融資です。
 なぜこういうふうなことを首相が言うかというと、やはり今回の借入れはコロナ収束後のもし通常に戻ったとしても通常の売上げだけでは返済は不可能だと思うんですね。ですからこういう議論が出てくると思うわけです。
 くしくも、本日六月二十三日は沖縄戦において第三十二軍を指揮した司令官牛島満陸軍中将が南部の摩文仁の洞窟にて自決し沖縄地上戦が組織的に終結した日であります。その少し前、沖縄県の島田叡知事と行動を共にしていた大田実海軍中将は、知事と打合せをしたかどうかは不明でありますが自決の六月六日海軍次官宛てに次のような電報を送っています。
 沖縄県民よく戦へり、県民に対し、後世特別の御高配を賜らんことを
 老若男女を問わず総力戦を戦ってきた県民に対し、心からの思いを込めた電文でありました。私がもし十年後に県議会議員であるならばよいのですが人も変わります。そこであえてここに次の言葉を要望して議事録に残し質問を終わりたいと思います。
 静岡県民、コロナウイルスとよく戦へり、県当局並びに信用保証協会には後世特別の御高配を賜らんことを、以上であります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(良知淳行君) これで曳田卓君の質問は終わりました。
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
  
○副議長(良知淳行君) 休会についてお諮りします。
 議事の都合により、六月二十四日から二十六日までを休会とすることに御異議ありませんか。
       (「異議なし」と言う者あり)
○副議長(良知淳行君) 御異議なしと認めます。そのように決定しました。
  
○副議長(良知淳行君) 次会の議事日程を申し上げます。
 六月二十九日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれにて散会いたします。

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