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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和4年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

坪内 秀樹 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/02/2022

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 東部地域の文化・観光拠点の形成について
2 県道富士清水線黄瀬川大橋の復旧方針と今後の見通しについて
3 狩野川中流域における新たな橋梁の整備について
4 静岡がんセンターにおける患者重視の外来環境づくりについて
5 知事の政治姿勢について
(1)12月定例会における知事の答弁
(2)2017年知事選後の知事の発言及び知事戦略監の発言


 次に十六番 坪内秀樹君。
       (十六番 坪内秀樹君登壇 拍手)
○十六番(坪内秀樹君) 私は、自民改革会議の所属議員として県政の諸課題について通告に従い知事、副知事、関係部局長及びがんセンター局長に分割質問方式にて質問をいたします。
 初めに、東部地域の文化・観光拠点の形成についてであります。
 私の選挙区である長泉町には民間の複合文化施設であるクレマチスの丘があり、首都圏をはじめ県外から訪問者も多く高い評価を得て東部地域の魅力の向上に大きく貢献してまいりました。しかしながら近年はコロナ禍の影響を大きく受け、入館者の激減などによりクレマチスの丘の各施設の運営は大変厳しい状況と伺っております。
 こうした中、同エリア内にあるヴァンジ彫刻庭園美術館は昨年十月知事に対し社会教育機関として活動の継続が可能であれば県に無償譲渡することも考えたいと支援を求める意向を示しました。これを受けて翌十一月には同美術館周辺の三島市、長泉町をはじめとする三市二町からクレマチスの丘全体の魅力を存続させるため知事に対し当美術館の存続、活用についての要望書が提出されたところであります。
 この美術館は、イタリアの現代彫刻家ジュリアーノ・ヴァンジ氏の彫刻作品に加えクレマチスを中心としたすばらしい庭園が魅力です。開館から二十年近くの歳月をかけ丹念に整備されてきた庭園は幅広い年代の来館者に散策や憩いの場として愛されてきました。この優れた文化・観光施設を失ってしまうのはクレマチスの丘だけでなく県東部地域全体にとって大きな損失であります。すばらしい環境に恵まれた美術教育の場として、あらゆる世代が楽しめる観光スポットとして有効に活用していただくことが県東部地域の将来発展のために重要なことであると考えます。
 そこで、県ではヴァンジ彫刻庭園美術館をどのように評価をし美術館や周辺市町長からの支援要望にどのように応えていくのか伺います。
 次に、県道富士清水線黄瀬川大橋の復旧方針と今後の見通しについて伺います。
 沼津市と清水町の境を流れる一級河川黄瀬川では、昨年七月の豪雨により県道富士清水線の黄瀬川大橋の橋脚が沈下するなど地域の経済活動や住民の生活を支えてきた幹線道路が通行止めになる被害が発生しました。県では河川管理者である国土交通省や関係機関との協議を積極的に進め、被災から二か月弱で国の技術支援を得て橋桁等の撤去や応急組立橋の設置を完了させました。早期の通行再開により地元の住民は安堵し胸をなでおろしたところであります。
 一方で、応急組立橋は大型車や自転車、バイクなど二輪車の通行が制限されているなど不自由な状況が続いていることから、地元の企業や住民からは通行の利便性向上を望む声が日増しに高まっています。また八年前に開通した下流の黄瀬川橋の架け替え工事の際には交通を確保するための仮設橋が設置されず地域の社会経済活動に大きな影響を及ぼした経験があることから、地元では黄瀬川大橋の復旧をどのように進めていくのか心配の声が絶えません。
 こうした中、県では本格復旧に向けて関係機関との協議を行い復旧計画の検討を進めていると聞いていますが、これまで本復旧工事期間中の交通を確保するため新たな仮設橋を設置するところまでは示されているものの具体的な復旧方針は明らかになっておりません。現在黄瀬川大橋は建設後約七十年が経過しており、再度災害の不安も残ることから本格復旧に当たっては被災箇所のみの中途半端な復旧ではなく抜本的な架け替えが望ましいと考えています。
 そこで、黄瀬川大橋の復旧方針と今後の見通しをお伺いをいたします。
 次に、狩野川中流域における新たな橋梁の整備について伺います。
 私の地元の清水町は一級河川狩野川により町域が二分されておりますが、町内には狩野川を渡る橋が徳倉橋と香貫大橋の二橋しかないため慢性的な渋滞が発生しており、日常生活に大きな支障が生じております。加えて大規模災害発生時の住民避難や緊急物資の輸送において狩野川に架かる橋の数は十分とは言えず、安全で安心な生活の確保は急務であります。
 このように様々な課題の山積する中、当該地域をはじめとする狩野川中流域の今後の発展のためにはこれからの課題を解消する道路ネットワークの計画的な整備推進が必要であると考えています。
 そこで、県と関係市町では狩野川中流域の道路整備に関する勉強会において狩野川を渡る新たな橋梁を整備する方針に昨年度合意し、今年度から県が事業化していると承知をしております。地元にとっては県が事業化していることに大変期待しており、狩野川への新たな架橋を切実に望んでいます。
 県内における近年の橋梁整備の事例を見ますとそれぞれ非常に大きな効果を発現していると聞いており、今回の新たな橋梁の整備にも同様以上効果を期待しております。地元がより一層の期待感を持ち高揚感が向上していけば、今後の用地取得など地元との調整を進めていく上で地権者の理解も得られやすくなるなど円滑な事業の推進につながると考えています。私としても地元の未来を支える橋の整備にいよいよ着手したことを広く周知するとともに整備効果について地元に発信していきたいと考えています。
 そこで、狩野川中流域における新たな橋梁の整備について現在の取組状況と見込まれる整備効果についてお伺いいたします。
 次に、静岡がんセンターにおける患者重視の外来環境づくりについて伺います。
 静岡がんセンターは、その建設、運営に当たっては立地条件を十分生かしがん患者やその御家族の心を癒やすためのデザインが施されていると承知しています。特に地元の美しい水辺環境を再現したかのようなフロア柿田川ホールには経年により消耗していた備品が見られたことから、本年度ホールの雰囲気に十分配慮しつつ新たなものに更新していただいたところであり厚く感謝申し上げます。
 こうしたがんにかかって心に大きな負担を受ける患者の方々やその御家族の心に配慮した施設整備や運営を心がける静岡がんセンターは県内外から高い評価を得ており、地元である町民はその存在を誇りに思っています。静岡がんセンターの高い評判を聞き県内外から多くの患者さんが集まることから、診療科の外来などでは臨時的に椅子を並べ患者さんを待たせている日が生じています。特に会計窓口、処方窓口における混雑は常態化しております。臨時的な対応とはいえがんにかかって身体や心に大きな負担が生じている患者がパイプ椅子に座って診察や処方を待っている現在の外来環境は、患者の心を大切にする病院として非常に寂しいと感じています。
 現在の外来患者数が今後も続くのであれば、地域の病院や診療所との連携による機能分担にさらに積極的に取り組む必要があると思います。また感染症対策などを考慮すると病院機能を敷地内でも分散するなどの新たな改善策を検討すべきではないかと考えます。
 ついては、静岡がんセンターでは患者重視の外来環境づくりに向けて今後どのように取り組むのか所見を伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(宮沢正美君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 坪内議員にお答えいたします。
 東部地域の文化・観光拠点の形成についてであります。
 長泉町のクレマチスの丘は、ヴァンジ彫刻庭園美術館をはじめベルナール・ビュフェ美術館、井上靖文学館そして町営の自然公園を備えた複合施設であり、美しい自然環境と文化芸術が融合した本県東部地域を代表する文化・観光エリアであります。その玄関口に位置するヴァンジ彫刻庭園美術館から昨年十月、現状の御報告並びに支援の要請がございました。その際美術館を運営している方から美術館に対する強い思いやこれまでの御苦労話、現在の御努力をお伺いしたところでございます。それは花と彫刻に彩られた空間を散策することで日本人にとっての美しさを生活の中で体験してほしいという美術教育に関する願いでもございました。また厳しい経営環境となり、その中で二十年の歳月をかけて理想の庭を育ててきたといった御努力のお話でございます。
 この美術館の持つ美しい庭、明るい眺望、開放的な建物が調和した雰囲気は大変すばらしいものであり、大切な方をお迎えするのにふさわしい施設であります。令和元年、アイルランドの交通・観光・スポーツ大臣並びに駐日大使閣下御一行をお迎えするレセプションをこの美術館で開催した際には、会場のすばらしさに絶賛の声を頂きました。コロナが終息した後は国内外から多くの方々に訪れていただける価値のある施設であると評価しております。
 地域の魅力を高めるためには人を引きつける文化的環境が不可欠であります。仮にこの美術館が閉館いたしますとクレマチスの丘全体の訪問客の減少、ひいては東部地域の観光にも影響を及ぼすことが懸念されます。クレマチスの丘の魅力の継続は県全体にとっても地域にとっても重要な課題であり、県としては周辺市町長から寄せられた支援要望を重く受け止めているところでございます。
 この課題に対応するため本年一月、美術館運営、観光振興、企業経営等に係る有識者による検討会を設置いたしました。検討会では文化・観光拠点としてのポテンシャルの高さが指摘される一方、運営の現状、資産の状況などの十分な精査が必要であること、活用する場合にはコンセプトを明確にする必要があることなどの御意見を頂いております。またこれまでのクレマチスの丘の運営につきましては、地域社会全体の魅力向上とクレマチスの丘の魅力向上との相互の好循環が十分ではなかったのではないかという認識も持っております。
 検討会におきましては、今後譲渡を受ける場合、その課題の整理や活用の可能性などについて検討を重ねる予定であります。その御意見を踏まえた上で東部地域の文化観光拠点の形成につながるよう県としての支援の方向性を定めてまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 難波副知事。
○副知事(難波喬司君) 県道富士清水線黄瀬川大橋の復旧方針と今後の見通しについてお答えをいたします。
 昭和二十八年、一九五三年に建設された黄瀬川大橋は昨年まで約七十年近くにわたり機能を発揮してまいりました。しかしこの橋は黄瀬川の湾曲部に位置し設置された四基の橋脚が洗堀の影響を受けやすいという弱点があることから、これまでも橋脚の周辺に根固めブロックを設置するなど橋脚を保護する対策を行ってまいりました。残念ながら昨年七月の梅雨前線豪雨では異常出水により河床が局所的に洗堀され、四基ある橋脚のうち右岸側の橋脚一基が二メートル以上沈下しました。
 復旧に当たっては、今回の被災状況を踏まえ湾曲部にあって水の流れを妨げている橋脚の数を減らし河床の橋脚基礎の根入れ、すなわち河床からの基礎の深さを十分に確保するなどにより災害リスクを低減することが必須です。加えて現在の橋は前後の道路に比べて幅員が狭いという問題がありました。通行する車両や自転車、歩行者の安全を確保し快適性を向上させる必要があります。このような理由から橋全体を架け替えるという方針にしております。
 また、架け替え工事期間中も交通を確保し周辺地域への影響を最小限とするため、大型車や二輪車も通行できる仮設橋を現在の橋の下流側に新たに設置いたします。現在地権者や地元関係者との調整を進めているところであります。次の渇水期となる今年の秋の工事着手を目指してまいります。
 架け替えを行う黄瀬川大橋につきましては、国の令和三年度補正予算を活用し速やかに地質調査や橋梁及び接続する道路の設計を行っております。令和五年秋までに仮設橋を供用をする予定です。その後直ちに架け替えの準備段階となる現在の橋の撤去工事に着手できるよう河川管理者である国土交通省や関係機関との協議を進めてまいります。
 県といたしましては、沼津市と清水町を結び県全体や地域の産業、生活を支える県道富士清水線の黄瀬川大橋が一日も早く本格復旧できるよう、またその工事段階においても一定の交通機能が確保できるよう関係者の協力を得ながら架け替え整備に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 和田交通基盤部長。
○交通基盤部長(和田直隆君) 狩野川中流域における新たな橋梁の整備についてお答えいたします。
 狩野川の中流域では橋梁部への交通集中により著しい渋滞や交通事故が発生しており、地域の経済活動の活性化や生活の安全を確保する上で大きな課題となっております。このため県では、清水町的場から三島市長伏を経由して清水町徳倉に至る延長一・二キロメートルのバイパス道路の整備に本年度から着手したところであります。
 このうち狩野川を渡る橋梁約二百三十メートルにつきましては、現在河川管理者である国土交通省と河川への影響等について協議を行いながら橋の形式や構造の検討を進めております。また橋梁に接続する道路区間につきましては昨年十一月から的場、長伏、上徳倉の三地区で地元市町とともに事業説明会を開催し地域の御意見や御要望を伺いながら道路の詳細な設計を進めており、設計について御理解が得られ次第速やかに用地取得の作業に着手してまいります。
 また、整備効果の事例として大井川のはばたき橋では周辺道路の交通渋滞が大幅に緩和するとともに、中下流域におきまして整備後七年間で約七十件の工場が新設または増設するなどの効果が現れております。本事業につきましても町が整備を進める都市計画道路等と一体となって国道一号につながる新たな南北ルートが整備されることにより下流の徳倉橋に集中している一日約二万台の交通が三割程度減少する見込みであり、渋滞緩和による物流効率の向上や交通事故の減少など様々な効果が期待されます。
 県といたしましては、清水町や周辺地域のさらなる発展と生活の安全・安心の確保に向け流域の皆様をはじめ国や関係市町の協力を得ながら引き続き狩野川を渡河するバイパス道路の整備推進に努めてまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 内田がんセンター局長。
○がんセンター局長(内田昭宏君) 静岡がんセンターにおける患者重視の外来環境づくりについてお答えいたします。
 静岡がんセンターは、開設に当たり患者・家族の心を癒やすことを目標に掲げ館内に絵画を配置したミュージアムホスピタル、庭園に千数百本のバラ園や英国庭園を置くガーデンホスピタルなど患者の過ごしやすさに配慮し十分な面積を確保して設計いたしました。しかしながら設計時に想定いたしました一日に千二百人の外来患者数は時に千四百人を超え、このコロナ禍におきましても病床稼働率が一〇〇%に達するなど議員御指摘の状況が生じております。
 外来環境の向上につきましては、地域の医療機関との連携を強化し機能分担を推進することが欠かせないものと考えております。静岡がんセンターではこれまでも人材交流や医療連携交流会、地域医療連携だよりの発行など様々な形で地域のがん医療の向上やがんの早期発見による地域医療全体の負担軽減に取り組んでまいりました。今後もより一層地域の医療機関との機能分担の推進を図り、外来での混雑緩和につなげ外来環境の向上を図ってまいります。
 また、議員御指摘の病院機能の敷地内への分散につきましては来年度患者駐車場の近傍に新たな建物の建設にできるだけ早く着手し、その一部に保険調剤薬局を誘致することで調剤業務をより効率的に行い患者さんの利便性の向上と混雑解消を目指してまいります。
 がん患者は、人口の高齢化を主な要因といたしまして二〇三〇年代までさらに増加すると見込まれておりますことから、静岡がんセンターでは患者さんの視点の重視の基本理念に基づきゆとりある外来環境づくりに向けて引き続き改善に努めてまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 坪内秀樹君。
       (十六番 坪内秀樹君登壇)
○十六番(坪内秀樹君) それぞれ御答弁いただきましてありがとうございます。全てが前向きに進むようにお伺いいたしました。確実に一歩ずつ進んでいただけますようにお願いを申し上げたいと思います。
 一点だけ意見、要望をさせていただきたいと思います。
 東部地域の文化・観光拠点の形成についてであります。
 知事も前向きに答弁頂きましたが、ヴァンジ庭園美術館、私はあの建物にあの庭園、見事すばらしくバランスが取れた施設だと思っています。美術館の建物もそうですが二十年の造園業者やガーデナーの気持ちのこもった管理による庭園が大変すばらしいと思っています。この庭園をつくり育んだこれまでの方々の意思がここに個性として結集し輝きを放っているこの施設は、存続させてゆきたいものだと思っています。
 静岡県においても人口が一年間で二万六千七百二十二人減少する事態の中、若者層の移住・定住に必ず資する施設であると思い広く情報発信をして静岡県のため県民のために十分なり得るものだと思います。民間とは違った公的な立場でどのようなリニューアルをさせ活用していくのがよいのか前向きに検討頂きますように要望をいたします。
 では、次の質問に移ります。
 知事の政治姿勢のうち、十二月定例会における知事の答弁について伺います。
 県の次期総合計画案では、持続的な発展に向けた取組の促進を通じSDGsのモデル県を目指し、全ての県民のため障害、性別、年齢、国籍などの多様性を認め合い、SDGsの理念である誰一人取り残さない包摂性のある社会を実現していくことで世界が直面する課題の解決モデルを構築し国際社会に貢献するとしています。社会が抱える様々な不平等をなくし皆が幸せを実感できる世の中を目指すために静岡県としても力を尽くしていくというものであり、この趣旨には大いに賛同するものであります。この実現のためには一人一人が違いを認め合い、お互いの信頼関係を築くことによって一歩一歩前に進んでいくことが大切であると考えます。
 しかし、この高い理想の実現を目指すに当たりその先頭に立つべき川勝知事はこれまで対立の構図をつくり、話題性のあるニュースを提供して世論を刺激し、自らが正しいと思わせる政治手法を幾度も採用し、社会に分断をもたらしてきたと言わざるを得ません。
 次期総合計画案に掲げる高い理想を前にその取組の先頭に立つべき知事の政治姿勢に課題があるという観点から質問をいたします。
 初めに、十二月定例会における知事の答弁についてであります。
 十二月定例会の我が会派代表質問において知事選挙中の富士市の集会での発言、学歴差別の自覚についての質問に対し知事は大学を出たかというものはその人間の能力を判断する基準にはならないと思っております、ですから工事現場で働いている方たちも大学出た方もいらっしゃるしそうでない方もいらっしゃると、それぞれが分相応に工事をされていると答弁しました。私はこの答弁について分相応という言葉に違和感を持ちました。
 分相応という意味は、広辞苑で調べると「身分や能力にふさわしいこと、また釣り合っていること」とあります。またこの分相応の由来は分とは社会の中での人や物の正しい地位を表す漢語由来の言葉で、相応とは釣合いがとれているということを表し、この二つの言葉を合わせて分相応という言葉ができたと言われています。
 知事は、同じ答弁の中で職業に貴賤はない、学歴は関係ないと言い直しておりますが、残念ながら分相応という言葉に知事の持つ学歴差別の意識がにじみ出たのではないかと考えます。この発言は県民に範を示す立場にいる知事が発する言葉としてはふさわしくないと考えます。
 そこで、十二月定例会の木内議員への答弁において分相応という発言をした知事の意図を伺います。
 次に、二〇一七年知事選後の知事の発言及び知事戦略監の発言について伺います。
 昨年十二月十四日の総務委員会において二〇一七年の知事選後、知事が選挙で自身を応援しなかった県内中小企業団体の会長に対し、私以外の人を応援したのだから会長を辞めなさい、県の予算はゼロベースで見直すと発言していたことが取り上げられました。総務委員会の質疑によると発言があったのは二〇一七年十二月で、この団体の幹部が知事を表敬訪問、具体的には予算の要望の際に出たとのことであり、この団体は県の外郭団体ではありませんが県が補助金を出していたということであります。
 我が会派の杉山盛雄議員が総務委員会の質疑で当時の知事の発言を明らかにし、県幹部が経過をよく存じていると認めたとのことであります。その後この団体への補助金は削減されず会長も辞めることはなかったとのことですが、知事は地方自治において非常に強い権限を持っています。この権限を背景に選挙で自らを応援しなかった団体の幹部にこうした発言をしたとすれば一政治家の立場と公職の立場を混同しているものであり、脅迫とも取られかねない全くもって不適切なことであると言わざるを得ません。
 これらの発言を受けたこの団体の関係者が、この当時どれだけ混乱をし不安を抱え困り果てたかを想像しますと、これはゆゆしき問題であり決して聞き過ごすことはできないのであります。
 そこで、知事は二〇一七年の知事選後にこうした発言をしたことについてまず適切と考えているのか、その理由とともに伺います。またその発言はまさか自分の意思によるものなのか、誰かに吹き込まれたものなのか、そのどちらなのかを伺います。
 また、二〇一七年の知事選後、先ほど申し上げた団体の新春祝賀会に当時の知事戦略監が知事表彰の伝達も兼ねて出席し挨拶の中で知事のこの団体の会長に対する発言と同様の発言をして知事表彰を行わずに帰ったが、団体の気持ちをどう考えるのかとの質疑も行われたと聞いております。公務員である知事戦略監が自らの判断でこうした発言や行動をしたとするとなると公務員としての中立性や公平性、さらに適格性を欠いたものと言わざるを得ません。
 そこで、二〇一八年一月十七日、知事がこの会の開会の一時間前に出席をキャンセルしたことを受け職務を代行させる代理出席した当時の知事戦略監がこの団体の会合において知事表彰を行わずに帰ったこと、そして発言したことについて知事は承知をしているのかどうか伺います。またその発言は知事が、またはそのほか誰かの指示によるものなのか、それとも知事戦略監の判断によるものなのか、そのどちらなのかについても承知をしているのか伺います。以上答弁を求めます。
○議長(宮沢正美君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 私の政治姿勢についてのうち、十二月定例会における私の答弁についてお答えいたします。
 これは、NEXCO中日本の工事現場で大学を出た方もそうでない方もその実力を十分に発揮され分相応すなわち職務上の本分、職分を相応に果たされているということでございまして、そうした働かれている姿を拝見し私は中日本のアドバイザーの一人を務めておりまして、社員一丸となって進めておられました新東名建設現場に何度も足を運んでおります。したがって事務官も工事現場の人もよく存じ上げておりまして、そういうNEXCO中日本工事関係者の皆様に敬意と心からの親近感をもって申し上げたものでございます。
 静岡県の新ビジョン富国有徳の美しいふじのくに人づくり・富づくり後期アクションプラン案にありますとおり、障害、性別、年齢、国籍などの多様性を認め合う包摂性のある社会、SDGsの理念である誰一人取り残さない社会を実現するため引き続き県民の皆様のお声に耳を傾け私の思いを誠実に言葉にし、県民の皆様にお届けしてまいります。
 しかし、分相応が何か差別感のように聞こえたとすればそれは申し訳なく存じます。職務上の本分に応じた仕事をそれぞれがするというのが筋であるということの意味合いで申し上げたということでございます。御理解と御協力をお願いしたいと思います。
 続きまして、次に二〇一七年知事選後の私の発言及び知事戦略監の発言についてであります。
 私が二〇一七年の知事選後に選挙で私を応援しなかった県内中小企業団体の会長さんに対し私以外の人を応援したのだから会長を辞めなさいと発言したとのことですが、そうした事実はありません。
 しかしながら、議員御指摘の団体と思われる団体の会長さんは二〇一七年の知事選において法律の規定に基づき中立の立場であると聞いておりましたけれども、その会長さんが特定の候補者を応援なさいました。したがって会員の皆様が困惑されたのではないかと思い会長さん、副会長さんが挨拶に来られたときに副会長さんに私の考えを伝えて、そしてお聞きしたということでございます。言い換えると議員御指摘の団体と思われる団体の会長、副会長とお会いした席で組織運営の在り方に関する私の疑念を率直にお伝えしたということでございます。
 なお、団体等に関する補助金につきましては財政支援とか人材派遣とかどのようなものであれ、常にゼロベースで見直すということはやっておりますのでそれは承知しております。
 また、二〇一八年に開催されたこの団体の新春祝賀会に知事戦略監が出席し、この組織運営の在り方に関する私の疑念を、会員の皆様は皆そこにいらっしゃいますからこちらが責任を持ってまとめた挨拶文を代読したということにつきましては承知しております。戦略監は代読の役目をもって出席いたしまして、表彰は私が出席できない場合もございますけれどもそうした折には担当部局長が表彰状を差し上げるということで、しかるべく立派な業績を上げられた方々に対しまして表彰状は差し上げております。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 坪内秀樹君。
       (十六番 坪内秀樹君登壇)
○十六番(坪内秀樹君) 一つ再質問させていただきます。
 二〇一七年知事選後の知事の発言及び知事戦略監の発言についてであります。
 ただいま知事の答弁頂きましたが、知事や知事戦略監、公務員がその立場を利用し今の団体のように過剰に介入されたり、静岡県民に対してわざわざ不安にさせるような不用意な発言をすることは許されることではないと思います。仮に意図はなかったとしても相手はひどく傷ついたり不安になったりしているものと思います。
 そこで、ただいま答弁で当該団体の会長に対し発言されてないと言いましたが、勇退なさったらどうですかと発言はされませんでしたか。また知事戦略監の挨拶文の代読後の発言についてそれと行動について知事は承知しているのかもう一度お伺いします。答弁を求めます。
○議長(宮沢正美君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 知事戦略監に関わる再質問について、御答弁差し上げます。
 知事戦略監は公務員でございますから、当時再任用の立場であったと存じますけれども、したがって公務員として中立性を遵守しなくてはなりません。したがってその公務員の立場で政治的な発言をするということは誠にふさわしくないと。彼はそうしたことをしたとは思っておりません。私の文章を代読したということにとどまるということでございます。
 もう一点、私は組織運営について申し上げただけでございまして、会長が辞める辞めないというのは独立した組織でございますからそうしたことについては申し上げるまでもなく、ただ組織形態についていわば政治的中立性を保つべき公共性の高い団体の会長さんが選挙運動をなさいますと、会員の皆様方が戸惑われるという懸念は持っておりました。したがってそれは会長、副会長がいらっしゃる席でお伝え申し上げたと。その後の報道については今記憶はしておりません。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 坪内秀樹君。
       (十六番 坪内秀樹君登壇)
○十六番(坪内秀樹君) ただいまの答弁頂きましたが、この問題については絶大な権力を持つ知事や公務員の知事戦略監が発するべきでないものであります。看過しがたい問題であると考えますのでしっかりと委員会で議論していただくことといたします。
 一点、意見・要望をさせていただきます。
 このような事案があるならば、SDGsの理念である誰一人取り残さない包摂性のある社会の実現を目指すという高い理想の実現を目指すに当たり、その先頭に立つべき川勝知事の政治姿勢はいかがでしょうか。
 先ほども述べましたように、知事のこれまでの発言等により社会は分断され多くの人々が傷ついてきたのではないかと思います。知事はそのたびに不適切な発言を謝罪してきましたが、これはもはや一時的な義憤に駆られたとしてその都度謝罪をすれば済むという問題ではないと考えます。知事の政治姿勢そのものが改まらない限り同じ過ちは繰り返されるものと思います。
 そして、この知事の政治姿勢の下では残念ながらSDGsの誰一人取り残さない包摂性のある社会の実現は望めないと考えます。
 そこで、知事はこうした分断をもたらす政治姿勢を改めるつもりがあるのか、また今後この政治姿勢を改めることなく不適切な発言等により県民を分断するような問題が新たに発生した場合には潔く職を辞すべきと申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
○議長(宮沢正美君) これで坪内秀樹君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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ファックス番号:054-221-3179

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