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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成26年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

前林 孝一良 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/06/2014

会派名:

公明党静岡県議団


質疑・質問事項:

1 朝鮮通信使の再顕彰について                   
2 芸術文化振興への取り組みについて                
3 和食文化の見直しについて                    
 (1) 和食を通した健康増進                     
 (2) 水産物の消費拡大                       
4 少子化対策、子育て支援策について                
5 教育行政について                        
 (1) 読書環境の整備                        
 (2) グローバル人材の育成


○副議長(渥美泰一君) これで鳥澤由克君の質問は終わりました。(拍手)
 次に、六十九番 前林孝一良君。
       (六十九番 前林孝一良君登壇 拍手)
○六十九番(前林孝一良君) 私は公明党静岡県議団の一員として通告に従い知事並びに関係部局長、教育長に対し県政の諸課題について、一括質問方式で質問をいたします。
 最初に、朝鮮通信使の再顕彰について伺います。
 県内の大学生のスタディーツアーに同行する形で私が初めて韓国を訪問したのは、一九九一年――平成三年のことでした。韓流ブームが起こるずっと前のことでしたし、シーズンオフだったこともあって日本人観光客は少数でございました。
 ソウル市内外の史跡を訪問いたしましたが、ハングルと英語による説明文だけで日本語表記はありませんでした。理解できない文字の中で、「一五九二」、一五九二の数字が目立っていたことを覚えております。
 一五九二年。この年こそ豊臣秀吉が朝鮮侵略をスタートさせた年にほかなりません。秀吉の飽くことのない領土獲得欲は、朝鮮半島に殺りくと破壊をもたらしました。史跡の説明文の「一五九二」は、一五九二年に破壊された焼失したという意味でございます。文禄年間、慶長年間の二度にわたって朝鮮半島を襲った戦乱の嵐は、秀吉の突然の死によって中止されましたが半島に多くの悲劇を生むことになりました。
 秀吉にかわり新政権を担うことになった徳川家康は、速やかに朝鮮との国交回復の意志を表明、一六〇五年――慶長十年には伏見城で朝鮮が派遣した使者、松雲大師と会見。こうして国交回復の道が開かれました。
 二年後の一六〇七年には、総勢五百四人から成る使節団が来日し東海道を江戸に向かって下りました。第二代将軍秀忠への国書伝達を終えた一行は、六月十四日に江戸をたち十九日に興津の清見寺に入り家康の厚意で用意された舟五隻に分乗して舟遊びを楽しんだこと。また翌二十日には築城途上の駿府城において家康と正使との会見が行われたことが記録に記されています。
 以上、長々と朝鮮通信使の由来について語らせていただきました。現在日本と中国、韓国の関係は、非常に厳しい状況にあると言わざるを得ません。国同士が厳しい難しい状況にあろうと隣国であるからこそ友好の道を歩むべきと望むのが民衆の思いだと私は考えます。
 徳川家康公が亡くなって四百年を迎えようとしております。そのさまざまな業績を顕彰しようとの動きが静岡市、浜松市を中心に高まっております。私は家康公の最大の業績は、平和で安定した社会の基礎を築いたことにあると思います。平和のメッセンジャーとしてのこの朝鮮通信使の意義を再び顕彰することこそ、これからの韓国との関係改善への突破口になるものと期待をいたします。
 本県として朝鮮通信使にかかわる記念日を制定するなどの取り組みはいかがでしょうか。朝鮮通信使についてどのように認識されているのか、知事の所見を伺います。
 一方、通信使最初の上陸地、対馬を擁する長崎県が朝鮮通信使を世界記憶遺産への登録を目指そうとの声を既に上げております。家康公のゆかりの地でもありまた朝鮮通信使を語る場合、どうしても切り離すことのできないスポットとしての興津清見寺が存在する本県こそ旗振り役としてふさわしいと私は考えますが、知事の所見をあわせて伺います。
 次に、芸術文化振興への取り組みについて伺います。
 県におかれましては、芸術文化振興に熱意を持って取り組んでくださっていることに関し心より感謝申し上げます。
 芸術文化は、人間の心の糧であり私たちの日常の衣食住にかかわらないまでもある意味ではそれ以上に大切にすべき要素であると私たちは考えます。これからも文化立県を合い言葉に県民の文化水準の向上を目指していただきたいと期待をいたします。
 さて、私には過去二十年にわたって県内外でプロの演奏家として活動を続けている友人がおります。彼は、静岡県にはプロの演奏家を育てる土壌がないと断言します。彼は一流の演奏家を目指して音楽大学に進学し必死の思いで技術を磨き、プロデビューを果たし静岡県に帰ってきました。ところが現実は厳しく数年間仕事は全くありません。営業活動の中で気がついたことは、プロの音楽家が演奏をして、その対価として報酬を得ることを快く思わない傾向があるということだそうです。
 プロである以上その技量には自信があります。その背景には長年の努力があります。初めて生演奏で音楽を聞く子供たちには本物の音を聞かせてあげたいし、プロであれば専門的な知識や経験で目の前の子供たちにとって必要な楽曲が何であるかは判断できると言います。しかるにギャラダウンを要求されたり、極端な例ではボランティアでの演奏を要求されたりすると非常に寂しい思いがすると彼は言います。彼もアマチュアの存在は否定しません。しかし生活の糧を確保し趣味として演奏を楽しんでいるアマチュアと演奏そのもので生活しているプロを同等に扱うことは正しいこととは言えません。
 本県でも三年に一度開催されるオペラコンクールも六回を数えました。声楽家の登竜門ともいうべきこのコンクールで入賞された方々は、現在どのような活動をされているのでしょうか。本県でも毎年たくさんの有為な青年たちが、一流の芸術家を目指して芸術大学や音楽大学に進学しています。プロになっても食べていけないよ。この一言は古今東西常に使われてきた先輩から後輩へのアドバイスです。どんなに苦しくともプロとして生き抜いていくそんな芸術家を私はサポートしてまいりたいと思います。
 本県から全国的に活躍するようなすぐれた芸術家を育てていくことが本県の芸術文化振興を図る上で重要であると考えますが、今後の県の文化政策への取り組みについて伺います。
 次に、和食文化の見直しについて伺います。
 最初に、和食を通した健康増進についてお聞きいたします。
 昨年十一月、海外事情調査団の一員としてオランダ、スペインを訪問させていただきました。天候には恵まれませんでしたが、産業振興や教育などに関したくさんのことを学ばせていただき無事に帰国することができました。
 今回の調査項目の一つに食文化がありました。二カ国四都市でさまざま料理を楽しませていただきましたが、若いころと違って肉中心の食事は私の体にはこたえました。十一日間の視察を終え帰宅し食べ慣れた食事に久しぶりにありつき、ほっといたしました。やはり日本人としての私には和食が合っているのだろうと思います。
 さて、昨年十二月四日ユネスコは、日本政府が無形文化遺産に提案した日本人の伝統的な食文化和食について登録を決定いたしました。日本の食文化の価値が国際機関によって国際的に認められたことを心からうれしく思う次第であります。
 戦後、洋食志向が進み日本人の体格は向上しましたが、一方で魚から肉へ米からパンへと食生活が変わる中、カロリーの過剰摂取で生活習慣病が蔓延するようになったことも事実です。京都市では、この無形文化遺産登録を機に小学校給食で週一回のパン食をやめて全て米飯にし、和食の主菜を中心にした献立を目指すと発表しました。牛乳も給食時にはお茶にかえるとの提案もあるそうです。ただ民間会社の調査によれば、児童の好きな献立のベストスリーは、カレーライス、鳥の空揚げ、ハンバーグだそうで、このギャップをどう埋めるかは今後の大きな課題だそうです。
 さて、日本一の食材に恵まれた本県は和食の食材の宝庫でもあります。遺産登録を機に和食を見直し、和食の拡大、浸透を通して県民の健康増進を図るべきであると思います。和食の先進県としての県の取り組みを伺います。
 二番目に、水産物の消費拡大について伺います。
 私が小学校のころ近所に肉屋さんや魚屋さんはありませんでした。現在の用宗漁港の近くに住む農家のおばさんたちがリヤカーを引いて魚の行商をしていたことを覚えております。その魚が我が家の食卓に上りました。
 一九六四――昭和三十九年、東京オリンピックのころの日本人の米の消費量は年間約百二十キログラム。現在は半減しています。長く肉類の摂取量が横ばい状態であった中、魚介類の摂取量は減少を続け平成十八年には肉と魚の摂取量が逆転しています。
 知事の所信表明でも紹介されましたが、ことし一月十八日東京・六本木ヒルズアリーナで開催されたFish―1グランプリFINALのご当地魚グルメコンテストにおいて、いとう漁業協同組合が出品したサバ男くんのトマトソースが準グランプリを受賞しました。魚離れが進む中、いとう漁協では新しいレシピの開発に取り組み、漁協が導入した新型高性能すり身加工機で製造した新鮮すり身を用いた新メニューとしてパスタソースを考案、これがヒット作となったそうです。先日、小野達也議員の御紹介でいとう漁協を訪問させていただきました。参事の菊池さんのお話ではすり身の販売は好調とはいうものの、採算ベースに乗せるにはまだまだ努力が必要だということで私たち消費者も応援していかなくてはならないと感じました。県庁別館のレストランのメニューにサバ男くんのパスタソースが登場する予定であるということをお聞きいたしました。ぜひ皆さんも一緒に応援をしていただきたいと思います。
 先ほどの質問で京都市での取り組みについて紹介いたしましたが、和食が無形文化遺産に登録されたことをきっかけとして、和食のよさを積極的に私たちの日常生活に取り入れていかなければならないと思います。子供たちは、焼き魚や魚の煮つけは不得意でもおすしは大好きです。サバ男くんのトマトソースのように魚臭さを消す工夫があれば、受け入れられることは間違いありません。
 水産王国静岡県として水産業の振興を図るためにも、水産物の消費拡大に向けての取り組みを進めるべきと考えますけれども、県の所見を伺います。
 次に、少子化対策、子育て支援策について伺います。
 公明党静岡県議団では、例年予算要望に際し少子化対策、子育て支援策の充実について、さまざまな角度から取り組みの強化をお願いしてまいりました。国の動きに合わせて県としても一歩一歩前進してくださっていることを県議団としても評価するところであります。
 さて、平成二十四年の平均初婚年齢は、男性三〇・八歳、女性二九・二歳。第一子出産平均年齢は三〇・三歳とこの二十年間で約三歳遅くなっています。このような晩婚化、晩産化は、女性の社会進出や女性が自分の将来設計の中でキャリア形成と結婚、妊娠、出産ということを考えた結果であると思われますが、どのような選択をしたとしても子供を持つことを希望する人が、子供を産み育てられる環境づくりが不可欠であることは言うまでもありません。そのためには若い世代から正しい情報を持った上でライフプランを考えていくことが重要で、まずは妊娠・出産のための健康づくりに係る知識の普及と啓発が必要と考えます。県でも昨年度からこの事業を実施していると聞いておりますが、今後も力を入れて取り組んでいただきたいと期待をいたします。
 また、核家族化、地域のつながりの希薄化に伴い結婚、出産、子育てを取り巻く環境も変化してきております。このため妊娠・出産だけでなく出産直後やその後の子育てに関しても、母子保健の視点から適切な支援が必要であることから、地域の実情に応じた妊娠から子育てまでの一貫した支援を実施していくことが望まれます。
 こうした中、国、県では、体外受精、顕微授精を対象とする特定不妊治療費助成を実施しておりますが、晩婚化を背景として不妊治療を受ける方も年々増加をしております。特定不妊治療以外の一般不妊治療においても治療に当たる夫婦の経済的負担は決して小さくなく、少子化の現状を踏まえれば子供を希望される方たちが子供を持つことができるように、さらなる支援を行っていく段階に来ているのではないでしょうか。結婚の遅かった友人の娘さんがなかなか子宝に恵まれず、悩んでいらしたときに相談をいただいたことがありました。その後不妊治療が功を奏し無事に元気な赤ちゃんが誕生されましたが、赤ちゃんを抱いた娘さんとその旦那さんの幸せそうな笑顔は忘れることはできません。一人でも多くの新生児が誕生することを最優先課題として応援すべきであると考えます。
 「生んでよし 育ててよし」の静岡県です。若い世代からの健康づくりや妊娠・出産にかかわる支援についてどのように取り組まれるのか、県の所見を伺います。
 次に、教育行政について教育長に伺います。
 まず、読書環境の整備について伺います。
 昨年秋には、いわゆる全国学力テストの成績が大きな話題となりました。静岡の学力、小六最下位の衝撃との新聞見出しには、私なりに大きなショックを覚えました。心配なのは当事者の子供たちです。ショックを乗り越えてコンプレックスに陥ることなく、ことしはリベンジを果たしていただきたいと思います。
 テストで点を取ることは大切なことですがそれが全てではありません。学校で学ばなければならないことはたくさんあります。例えば本を読み、自分が頭で考え自分の言葉で表現することです。この国語力こそ児童生徒に身につけさせたい重要な力だと私は考えます。この春から県内各地で実行委員会方式で映画「じんじん」――平仮名でじんじんと書きますが、「じんじん」の上映が始まります。この映画は、絵本の里づくりをテーマに子供たちへの絵本の読み聞かせ運動に取り組んできた北海道の剣淵町を舞台として作成された父と娘の愛のドラマです。たかが絵本ですが、その大きな影響力を感じさせられた感動の作品でした。ぜひ皆さんもごらんになっていただきたいと思います。特に最近感動をしたことがないという方はぜひごらんください。お薦めをいたします。
 さて、ちょうど二十年前、私は教壇に立っておりました。地歴科の教師をしておりました。普通に出題すれば高得点を取る生徒が文章で表現させるような応用問題を出すと白紙回答するという現実に出会い、驚きました。いわゆる優秀な生徒が必ずしも国語力にすぐれているとは限らないのです。
 先日昨年度、青少年読書感想文全国コンクールで内閣総理大臣賞に輝いた県立富士高校の菊池杏奈さんの作品を読ませていただきました。「目からうろこが落ちる」で始まる課題図書を読んでの感想文でしたが、菊池さんが小さいころから読書を通して培ってきた読解力の鋭さそして表現力の豊かさを感じさせるすばらしい作品でした。
 本県は読書の先進県として他県に先んじてさまざまな事業に取り組んできました。まさに読書県しずおかの名にふさわしい取り組みを評価したいと思います。しかしまだまだ課題は多くあります。一つはよい図書を必要なだけ備えることです。二つ目はよきアドバイザーを充実させることです。一義的には教師の資質の高さを期待しますが、二義的には専門家としての司書や司書教諭の完全配備が必要であると考えます。義務教育に関しては市町の教育委員会が所管しておりますとの教育長答弁が既に耳に聞こえますが、未来を担う県民を育てる大事な事業です。市町に委ねれば市町によって格差が生じます。県教育委員会がリードするくらいの決意で環境整備を進めていただきたいと思います。
 薄っぺらな知識を大量に蓄えることよりも人間として必要な資質を十分に鍛え上げるために本県では、もっともっと読書活動に重点を置くべきと考えます。読書環境の整備に向けての取り組みについて、教育長の御所見を伺います。
 次に、教育行政についてのうち、グローバル人材の育成について伺います。
 みずから恥をさらすことになりますが、私は小学校五年生から英語を習い始め、中学校、高校、そして大学と通算十二年間英語を勉強しました。大学三年のときには、アルバイトでためた貯金をはたいて短期間の語学留学も経験しました。この間費やした時間と費用は相当なものになると思いますが、結果として英語に堪能になったと言うことはできません。むしろほとんどは受験のための勉強に過ぎなかったと現在は自分の努力不足を反省しております。
 さて、文部科学省では小学校の英語教育を二十年度から三年生に引き下げること、また中学校から英語による授業を可能にするため、五、六年生で英語を正式な科目とする方針を打ち出しました。この発表を受けてにわかに活気立ったのは教育産業です。小学生どころか幼稚園児にまで触手を伸ばしコマーシャルでの勧誘に必死になっています。一方改めて英語力を求められる教師は困惑しています。中高の英語教師に改めて一定の資格が求められるに至っては、死活問題と言っても過言ではありません。
 語学が大切であることは否定しません。語学が堪能な方をうらやましくも思います。しかし私は語学が全てであるとは思いません。英語も日本語も堪能なアグネス・チャンさんは、まず技術を身につければ世界に通用する、言葉は後でついてくると、御自身や元大リーガーの松井秀喜選手を例に挙げて専門分野を持つことの重要性を強調しています。私はこの技術をあえて教養に置きかえたいと思います。先週加藤議員も取り上げておりましたけれども、語学は手段に過ぎません。英語力を使って何を表現するのか。そちらのほうが大切です。留学をすると日本のことを根掘り葉掘り聞かれると経験者は語ります。そのときもっと日本の文化や歴史について勉強しておけばよかったと反省するそうです。
 法政大学の藤村博之教授は、グローバル人材について語る中で外国語は母国語の能力を決して超えられない、母国語で話せないことは外国語でも話せないと述べています。熱くなると冷静さを欠いてしまいがちな日本人ですが、今こそ求められる人材について真剣に語られるべきであると私は思います。
 グローバル人材の育成について、教育長の所見を求めます。以上について答弁を求めます。(拍手)
○副議長(渥美泰一君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 前林議員にお答えいたします。
 朝鮮通信使の再顕彰についてでございます。
 今日の日韓関係の悪化している状況を見ますと良好な日韓関係の回復をしていくことが極めて重要であると認識しているわけでございます。
 差し当たって私どもは、友好関係を持っております忠清南道との経済、観光、文化、全ての面での協力関係を深めること。また富士山静岡空港から定期便が就航しておりますので、それの充実拡大を図ることなどがございます。
 このたび、朝鮮通信使の再顕彰という御提言をいただきましたけれども、これはまことに時宜にかなった大変にすぐれた御提言であるというふうに存ずる次第でございます。私どもは静岡県として日韓関係のためにあるいは日本のために韓国のために何ができるかという、そういう視点に立つとき、すなわち地域外交という観点に立つときにこの朝鮮通信使というものは、まさに重要な歴史の遺産であるとこう思う次第でございます。まずそれは第一に朝鮮通信使は日本と韓国――当時は朝鮮王国でございますが――の善隣友好の象徴でありまして、両国にとって大きな歴史的意義を有しております。そして第二に静岡県は、徳川家康公が生涯の大半をお過ごしになり、朝鮮通信使関連の史跡や記録も数多く残っているからでございます。そして第三にその徳川家康公没後四百年という年を来年に迎えることになりまして、徳川家康公顕彰四百年事業を今企画しているということでございます。こうした理由から朝鮮通信使というものに着目することが大事だと存ずる次第でございます。
 静岡県では、これまでも釜山文化財団主催の朝鮮通信使祭りへの民間文化団体の参加がございました。釜山は、ソウルから釜山を経てそれから対馬、そして日本にお越しになったということで釜山は、しかも倭館もございましたので重要な韓国における場所でございます。また朝鮮通信使日韓友情ウオークというものもございまして、こうしたものを開催するなど朝鮮通信使にちなんだ文化的な交流を進めてまいったわけでございます。
 現在私どもは、この四百年祭を企画されている徳川みらい学会、また家康くんのゆるキャラグランプリを目指されている浜松などもございまして、そうした団体並びに駐日本国大韓民国大使館などと連携を図りまして、そして徳川家康公がイニシアチブをとられた平和外交を大いに参考にして朝鮮通信使の再顕彰に努めてまいりたいというふうに思います。
 あのときは、議員御指摘のとおり朝鮮の国土が焦土と化したわけでございます。朝鮮の人たちは、同じ天を日本人と一緒に仰ぐことができないというくらいに恨み骨髄に徹したと存じます。そうした中で家康公は、誠意を持って外交努力をされて、そしてそれが実を結んで朝鮮国王が心を動かされて使節を送られた。そして秀忠公に会われた後、駿府に来られて家康公と面会せられてそれがきっかけになって朝鮮通信使、江戸時代全体で十二回が始まったということでこの六月十九日、二十日というような日にちもわかっておりますが、これは朝鮮暦での日付でございます。日本暦では、暦はその当時まだ世界的にも統一されておりませんでしたし日本と中国と韓国とも違いました。そうしたことでこの日にちというのも韓国の人にとっては非常に極めて重要であろうというふうに思う次第でございます。ですから間もなく三カ月ほどでそれがめぐってまいりますので、何ができるかということを我々は真剣に考えたいというふうに思って、事実そういう形で動いているわけでございます。
 そうしましたらきのう突然、韓国観光協会中央会というところから韓国の文化・観光等のあり方を検討する大韓民国国会文化観光産業研究フォーラムという――これは国会議員の先生方がつくられている韓国のフォーラムがございまして――それを静岡県で開催したいということで突然オファーがあったわけです。一も二もなく私どもはぜひそれをお受けしたいということで、今月の二十三日日曜日から二十五日火曜日まで二十三日は浜松、二十四日は静岡にお泊まりになるということで、超党派で与党のセヌリ党または民主党の方々が十五人もこちらにお越しになるということです。そしてそれ以外に韓国観光協会中央会並びに有識者が十五名、計三十名の方々がお越しになるということで私どもとしましては、これをきっかけにしまして先生の御提言せられました朝鮮通信使の今の日韓関係の悪化を一気に解決するための方途を向こうの方々と御一緒に知恵を出し合いたいというふうに強く思っているところでございます。
 いずれにしましても極めて大切な御提言を賜りましたので、この提言が形になりますように私どもとしては全力を尽くしたいと考えているところでございます。
 次に、和食文化の見直しについてのうち、和食を通した健康増進についてであります。
 和食の特徴というのは、御飯とみそ汁あるいはすまし汁。御飯とお汁におかず。おかずは野菜、お魚、お肉といったそうしたもので構成されるいわゆる御飯をベースにした一汁三菜というのが和食の特徴であるということでございまして、これを基本とする和食は、炭水化物、たんぱく質、ビタミン等、見事にバランスが栄養的にとれるということで、健康的な食生活を先人たちが十分な科学的な分析ではなくて経験則としてつくり上げてこられたものでございます。
 そして、このたび熊倉学長は、「和食」文化の保護・継承国民会議会長でいらっしゃいますけれども、会長として日本の代表としてユネスコ無形文化遺産への登録に御貢献されたわけですが、熊倉先生が静岡型食文化と名づけられたものがあります。それを読んでみますと地域の食材、静岡県ですね。静岡県の食材を数多く取り入れた和食を食べお茶をたくさん飲む食生活と、こう定義されています。ちょっと物足りないと。地域の食材を数多く取り入れた和食を食べ地元の日本酒をたしなみ、そしてお茶をたくさん飲む食生活と、そういうふうに私などは思いますけれども、そうしたことが本県を健康寿命日本一とならしめている要因であると、このように考えておりましてこの静岡型食文化を和食が無形文化遺産になりましたことを追い風として進めてまいりたいと思っております。
 先月、ふじのくに地域食育フェアin西部というのを浜松で開催しましたところ、何と五千人近い方々が二日間で来られたということでございます。「世界に誇る『和食』の先進県ふじのくに」、これをテーマに県西部の豊かな食材を使った一汁三菜の料理や学校給食の実物を展示いたしました。また熊倉先生の基調講演「和食文化、静岡型食文化の継承」と題した鼎談また地域の食材を使って食育活動を実践されているさまざまな団体の取り組み。こうしたものを紹介いたしまして多くの来場者に本県の和食文化を学んでいただいたところでございます。
 私どもとしましては、今後も市町や教育委員会、食育団体等と連携いたしましてユネスコ無形文化遺産に登録された和食文化のすばらしさを広めるとともに、本県の誇る日本一多彩な食材、また日本一のお茶。これを中心とする静岡型食文化の実践を県民の皆様に働きかけ、健康寿命のさらなる延伸を図ってまいります。来年健康寿命また日本一でありますならば、静岡産の地元の「誉富士」を材料にした日本酒で乾杯をしたいものでございます。
 その他の御質問については関係部局長、教育長から御答弁を申し上げますが、私に対する質問ではなかったんですけれども、教育行政につきまして読書環境の整備の中で議員は読書先進県しずおかと言われましたが、県としては全体そうなのかもしれませんけれども地元静岡市は政令指定都市の中で最低でございます。そういう調査が出ました。
 どうしたらいいか。もちろん良書を司書等によって選んでいただくことも大切ですけれども、まずは買いそろえる読みそろえるというためには本箱が要りますから県産材の本箱をまず子供たちに買うということも一見迂遠のようですけれども、それは本を立てるためのものでございますのでそうした小さな補助的なことでですね、本を読みなさいという勧めをすることが大事であると思います。
 それからグローバル人材の養成についても全く同感でございまして、イギリス人がグローバルな人材を養成するために英語を学べとは言わないでしょう。アメリカ人もそうであります。なぜ我々はそれをしなくちゃいけないかということでございます。我々は日本語をあたかもイギリス人がブリティッシュ・カウンシルなどを通して世界に広めておりますように、私どもも日本語のグローバル化を進めるということもあわせて考えることが必要です。
 それは、外国の方々が日本語をおしゃべりになるということですね。それを促進するにはどうしたらいいか。私どもがアメリカやあるいは英語圏に留学するように世界各地の方々が、この先進日本の文化や伝統、技術を学ぶために来られると。そこで生活すると。それ以外に最良の方法はないんです。最良の方法は、決してテレビやラジオで勉強するということにも増して現地に行ってそこで生活をしてその言語に学ぶ言語に触れるということが最良の方法です。
 そういうことでございますので私は、グローバル化については日本語の国際化ということをもっと積極的に図る。したがって本県にですね、日本に関心のある方たちを思い切り取り込むと。モンゴルから高校生に来ていただくというのは、そういう目的もございます。
 我々は、正しい日本語を美しく話すということを通して世界の方々のグローバル人材を日本のためになるように育てていくということもあわせてすることが、英語偏重のこういう国際化教育論議というものに対して、私たちは自分たちの観点から立てるときではないかというふうにも思っております。
 以上、補足の御答弁を申し上げました。
○副議長(渥美泰一君) 下山文化・観光部長。
       (文化・観光部長 下山晃司君登壇)
○文化・観光部長(下山晃司君) 芸術文化振興への取り組みについてお答えいたします。
 魅力ある芸術文化の振興のためには、プロの芸術家が多くの活躍の機会を持ち高い資質とたゆまぬ努力に裏打ちされたすぐれた芸術性を正当に評価され、収入を得ることで県内で継続して活動をしていける環境を整備していくことが重要であります。
 このため県では、静岡国際オペラコンクール受賞者を主役に起用した県民オペラの開催、県内のプロオーケストラが開催する公演への支援、富士山の世界遺産登録を記念した造形作家やデザイナーの作品発表の場の提供など芸術家が活躍する機会の充実に努めております。過去のオペラコンクール受賞者は、ほぼ全員がそれぞれ世界各地の舞台で活躍しています。
 また、芸術家の活動をより多くの方々に知っていただくための情報誌の発行やグランシップや県立美術館の県民ギャラリーなど発表会場の提供、文化奨励賞によるすぐれた活動の顕彰、県文化財団のふじのくに文化芸術振興助成による財政的な支援にも取り組んでおります。
 今後もこうした取り組みの充実に加え、上質な芸術文化の鑑賞機会の提供を通じて芸術を愛し理解するファンを着実にふやしていくことで、本県の将来の芸術文化を担うすぐれた芸術家が多くの県民に支えられて活躍するふじのくに芸術回廊の実現に努めてまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 渥美経済産業部長。
       (経済産業部長 渥美敏之君登壇)
○経済産業部長(渥美敏之君) 和食文化の見直しについてのうち、水産物の消費拡大についてお答えいたします。
 水産業の振興を図る上で水産物の消費拡大は不可欠であり、そのためには消費者を引きつける魅力ある水産物づくりを進めるとともに、幅広い世代の魚食への関心を高めていくことが重要であります。このため来年度から新たに漁獲から販売にわたって高い鮮度を保持することなどにより、水産物の価値を一層磨き高品質な水産物を消費者に提供する仕組みづくりを進めるとともに、いとう漁協のサバ男くんや小川漁協等のさばじゃが君など漁業者等が取り組む新たな水産加工品の開発を支援してまいります。また幼稚園や小学校での魚料理体験教室、高校での調理実習などにより魚食への関心を高めていくほか手軽なレシピのコンクール、給食関係者などを対象とした調理講習会の開催等を通じて魚料理を楽しめる環境づくりを進めてまいります。
 本県は、魚、お茶など和食の食材の宝庫でありますことから和食のユネスコ無形文化遺産登録を契機に消費者に本県で水揚げされる豊かで多彩な水産物の魅力を発信し、消費拡大につなげ新たな水産王国静岡の構築を目指してまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 宮城島健康福祉部長。
       (健康福祉部長 宮城島好史君登壇)
○健康福祉部長(宮城島好史君) 少子化対策、子育て支援策についてお答えいたします。
 晩婚化、晩産化を背景に少子化が進行していることから子供を望む人が、自身のライフプランの中で安心して妊娠・出産を迎えられる環境づくりを進めることが重要であります。
 このため、県では昨年度から若い世代への妊娠・出産のための健康づくりに関する啓発事業を実施しており、今年度は県内の二つの大学を会場にトークセッションや交流会を開催し、若い女性を中心に四百名を超える参加があったところです。
 妊娠期から出産後においては、市町が妊婦健診や新生児訪問、乳幼児健診などの支援を行っていますが、県においても県助産師会に委託し母子のスキンシップ指導、育児相談、産後ケア等の実技指導などを実施しており、今後は市町と連携して産前産後ケアの充実を図っていくこととしております。
 また、新たに若い世代が妊娠や出産に関する悩みについて産婦人科医に気軽に話せる相談会を県内各地で開催するほか、不妊治療についてはこれまで実施してきた不妊・不育に関する専門相談や特定不妊治療費の助成に加え、一般不妊治療のうち人工授精について、治療費の一部を助成する制度を創設することとしております。
 県といたしましては、子育て理想郷ふじのくにづくりの実現のため、子供を希望する人に対し妊娠・出産そして産後の切れ目のない支援がなされるよう取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 安倍教育長。
       (教育長 安倍 徹君登壇)
○教育長(安倍 徹君) 教育行政についてのうち、読書環境の整備についてお答えいたします。
 県教育委員会では、国語力を身につけ思考力や語彙力、想像力、表現力が豊かな子供を育てるために各学校での朝読書、読み聞かせなどの読書活動を推進しております。
 また、小中学生向けの静岡県読書ガイドブック「本とともだち」を全小中学校に配布し、良書の紹介や学校図書館の活用法などをアドバイスしております。加えて「本とともだち(赤ちゃん版)」も新生児の保護者に配布し就学前から本に親しむ習慣が身につくよう努めているところであります。さらに来年度は、学校司書等を配置していない市町の学校を対象に県から学校図書館アドバイザーを派遣して、良書の選定や子供にとって魅力のある学校図書館づくりなどの支援活動を行い、市町に学校司書等の配置促進を図ってまいります。
 県教育委員会といたしましては、新たに読書活動推進計画第二次中期計画を策定し読書活動の質の向上のための提案や世代を超えて読書のすばらしさを伝える親子読書の推進など県民一人一人が生涯を通じて読書に親しむ読書県しずおかづくりに向けた読書環境の整備を進めてまいります。
 次に、グローバル人材の育成についてであります。
 議員御指摘のとおりグローバル人材として求められるものは、語学力に加え幅広い教養と高い専門性、我が国や郷土の文化・歴史に関する正しい知識であると考えております。
 幅広い教養と高い専門性につきましては、各学校において学科等の特色や生徒の進路希望、興味関心等に応じた授業を通して生徒に身につけさせており、県教育委員会におきましても大学レベルの教育研究に触れることができる高校生アカデミックチャレンジ事業や理数系や農業・工業系の教科にオーバードクターの専門性を活用する実学推進フロンティア事業等を通して、さらなる人材の育成を図ってまいります。
 我が国や郷土の文化・歴史については、地理歴史等の授業に加え地域の伝統や文化に関する学校設定科目、総合的な学習の時間、修学旅行等を通して学習しており、県教育委員会におきましては、富士山や伊豆ジオパーク等について学ぶ地域学推進の事業等により学校での取り組みを支援してまいります。
 また、グローバル人材の育成には、さまざまな人とのかかわり合いを大切にすることも重要であると考えております。生徒会活動、学校行事や部活動などは人間関係づくりを学ぶ貴重な場となっており県教育委員会におきましても高校生の留学やモンゴル等の諸外国との国際交流など文化・歴史の異なる人々とかかわり合う機会を積極的に提供し、グローバル人材の育成に一層努めてまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 六十九番 前林孝一良君。
       (六十九番 前林孝一良君登壇)
○六十九番(前林孝一良君) それぞれ御答弁いただきましてありがとうございました。一点だけ読書環境の整備という項目につきまして、再質問をさせていただきます。
 手元に資料がございまして、本を読むことが好きだと答える児童生徒の割合。小学生が平成二十四年実績で七三・三%、中学生六九・七%、高校生が六四・六%。この数字はまあまあかなという感じがするんですが、実際にこの一カ月間にどれだけ本を読みましたかという、そういう質問に対しまして小学校五年生が六・六冊、中学校二年生が三・二冊、高校二年生が一・九冊という数字が上がっております。読書環境の整備も非常に大事なことなんですけれども、それがやっぱり子供たち児童生徒たちの読書につながることがもっともっと必要なんだと思っております。この小中高と進むに従って読む本の数も少なくなっているわけですけれども、この辺について教育長がどうお考えなのか、お聞きしたいと思います。
 あわせて、本の冊数だけではなくてやはり内容も私は大事だと思っております。若干先ほど触れましたけれども私たちが高校生のときには、やはり古典を読みなさい、いい本を読みなさいという指導がございました。そういう意味で特に高等学校において、どのような読書に関する指導がなされているのか、お答えをお願いをしたいと思います。以上答弁を求めます。
○副議長(渥美泰一君) 安倍教育長。
○教育長(安倍 徹君) 読書環境の整備につきまして、二つ御質問があったというふうに思います。
 一つは、小中高に行くに従いまして読書の読む冊数が少なくなるのではないかということですけれども、これはたまたま三月の二日の新聞でございましたけれども内閣府のほうでインターネットの利用時間という調査の結果が出ておりました。昨年よりも十分ふえてこれは小中高生平均ですけれども、一時間四十七分ということで二時間を超える者も約四割ということでございます。そういう意味では、非常に時代の変化の中で子供たちが机に向かいあるいは一人になって本に向き合うというそういう生活環境が大分こう変化してきたのかなというふうに思います。片方では電子図書、電子書籍というようなこともございますので、そういう意味ではこの年代を追うごとに減少する大きな理由というのは、携帯電話やスマートフォンの所持率の上昇といったものなのかなというふうに思います。
 そういう中で子供たちにどのように読書時間を確保していくかという二つ目の質の向上というところにつながっていくかなというふうに思いますけれども、やはり私は先ほどの答弁の中でも申し上げましたように、よい本、良書をどのように提供するかということと、もう一つはやはり子供たちがどのようにその本を読んでいくか。読み方。読みっ放しではなくてその読んだ本からどのように学び取ることができるか。まさに量より質ということで少ない量の中でも深く読み取るということが大切だと思いますので、そういう意味では子供たちのそういう生活環境、限られた時間の中で読書をするという本に向き合うという、そういう指導というものを今回、読書計画も昨日策定いたしましたので、それに基づきまして小中高、特別支援、それぞれの発達段階に応じた読書指導というものを進めていきたいなというふうに思っているところでございます。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) これで前林孝一良君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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