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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成25年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

野澤 義雄 議員

質問分類

代表質問

質問日:

07/22/2013

会派名:

民主党・ふじのくに県議団


質疑・質問事項:

1 二期目に臨む知事の県政運営方針について             
2 地震・津波対策について                     
 (1) 第四次地震被害想定を踏まえた地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の考え方                  
 (2) 市町への支援                         
 (3) 民間資金を活用した施設整備                  
3 富士山について                         
 (1) 富士山の後世への継承に向けた情報発信             
 (2) 来訪者管理                          
4 内陸のフロンティアを拓く取り組みの推進について         
5 エネルギーの地産地消の推進について               
6 地域外交の展開について                     
7 新たな子育て支援について                    
8 授産製品の利用拡大について                   
9 茶の都づくりの推進について                   
10 浜名湖花博二〇一四を契機とした花の都づくりの推進について                               11 雇用のミスマッチの解消について                 
12 成長産業の育成、創出について                  
13 富士山静岡空港について                     
 (1) 空港利活用のための戦略                    
 (2) 空港運営体制の見直し                     
14 教育行政について                        
 (1) 実学の奨励                          
 (2) 命を守る教育の充実                      
15 大規模イベント、祭典等の警備のあり方について 


○副議長(渥美泰一君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、六十七番 野澤義雄君。
       (六十七番 野澤義雄君登壇 拍手)
○六十七番(野澤義雄君) 民主党・ふじのくに県議団を代表し、当面の県政の諸課題につきまして、知事並びに関係部局長、教育長、警察本部長に伺います。
 まず、この本会議場をお借りいたしまして、さきの県知事選挙において見事な勝利をおさめられました川勝知事に対しまして、民主党・ふじのくに県議団を代表し改めてお祝いを申し上げます。
 知事選で過去最多となる百八万余の票を獲得して県民の皆様の信任をかち得ましたことは、これまでの四年間の県政運営において知事マニフェストを盛り込んだ総合計画が着実に前進しているとの評価であり、一部足踏みしているものも含めて一層努力して富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりに邁進してほしいという県民の願いであると考えます。今後三百七十万県民の幸せのために全力で県政運営に当たっていただくことをお願い申し上げ、質問に入ります。
 初めに、二期目に臨む知事の県政運営方針について伺います。
 今回の知事選におきまして川勝知事は富国有徳の理想郷“ふじのくに”の実現を図るため、引き続き県民の県民による県民のためのマニフェストである総合計画を前倒しで実行する決意を示されました。
 安倍政権において円安株高がいっときもたらされましたが、その後失速ぎみの状況にあり一部経済指標は改善しているものの、生活レベルでの実感に乏しく景気回復への道筋は依然不透明であります。県民が求めているのは暮らしの安定であり、まさに県を初めとした地方が担う分野であります。
 川勝県政二期目に当たり南海トラフ巨大地震への防災対策、雇用、経済対策、浜岡原子力発電所の再稼働問題、静岡空港の経営問題など喫緊の課題解決は待ったなしの状況にあります。また今、県民から最も求められているのは、中長期的な視点を持って静岡県の将来の目指す方向を示すことであります。
 例えば、その一つの表現に都づくりというものがあります。県民の自尊心を大いにくすぐるまことにうれしい表現であるものの、都というところに住んだことのない多くの県民にとっては実は戸惑いもあり、どのようなイメージを持って都づくりを進めたらよいのか。他県、他国の人々が静岡県は何々の都だと実感させるだけの資源や可能性を本当に持ち合わせているのか。県民一人一人に静岡県づくりの意識や誇りを強く持っていただくためにも、川勝知事の識見、言葉を持って将来の目指す方向を明確に示すことが求められています。
 こうした中で、知事はどのような方針、考え方で二期目の県政運営に臨むのか、お伺いをいたします。
 次に、地震・津波対策についてのうち、第四次地震被害想定を踏まえた地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の考え方について伺います。
 県は、先月末に十二年ぶりに地震被害想定を改定し、第四次地震被害想定の第一次報告を公表しました。この想定を踏まえ、あわせて地震・津波対策アクションプログラム二〇一三も策定しました。このアクションプログラムは県民が最も不安に感じている地震・津波対策のかなめであり、県民の期待は大きいものと考えます。
 このプログラムでは、基本目標として地震・津波から命を守る、被災後の県民の生活を守る、迅速、かつ着実に復旧、復興を成し遂げるの三本の目標を掲げ、今後十年間にハード・ソフトの面から全部で百五十一のアクションに取り組むとしております。特に新たな津波被害想定への対策として、計画期間の十年間でレベルワンの津波による人的被害を八割減少させるとしています。
 このアクションに要する全体の事業費は、概算で十年間に四千二百億円に上る膨大なものになると聞いていますが、津波防御施設の整備については限られた予算を最も効果が上がる箇所から効率的に投資していくこととしており、大変評価しながらもせっかく策定したプログラムが絵に描いた餅に終わってしまうことも心配しています。
 そこで、県民の生命を守るため各アクションプログラムを適切な進行管理のもと着実に推進することが重要と考えますが、各アクションの実現に向けた知事の決意と意気込みについて伺います。
 市町への支援について伺います。
 第四次地震被害想定では、レベルワンの地震・津波により駿河湾沿岸では浸水深二メートル以上の地域が増加し、レベルツーの地震・津波ではレベルワンの津波の約五倍、県土の約二%が浸水するとされております。また本県の沿岸部では、震源域が沿岸の近くにあることから早いところでは津波の第一波が数分で到達することが想定されています。
 この津波に対応するため、県では新たな津波被害想定への対策としてレベルワンの津波に対する津波対策施設の整備、いわゆるハード対策をアクションプログラムの中の津波を防ぐという項目に位置づけ、県みずからが整備を進めていくこととしております。一方レベルワンであっても津波浸水域にいる全ての県民が迅速に適切な避難行動をとるため、平成二十七年度までに市町の津波避難計画の策定を一〇〇%とするアクションや津波避難施設空白区域を解消するアクションなどが盛り込まれております。
 また、津波対策だけでなく超広域災害への対応の中では、福祉避難所運営マニュアルの策定を平成二十九年度までに全ての市町で策定し、一〇〇%とするアクションなども盛り込まれ地域の防災力の向上や災害時要援護者の支援体制の整備を進めることとしております。
 これらの対策は、市町が主体となって取り組むこととなりますが、県は市町の取り組みに対してどのような支援をしていくのか伺います。
 民間資金を活用した施設整備について伺います。
 第四次地震被害想定の第一次報告によれば十万五千人の死者が想定されています。そのうち津波によるものが九万六千人と大多数を占めており、これに向けた対策として公表された地震・津波対策アクションプログラム二〇一三では、県が行う十年間の対策に約四千二百億円の費用を要し津波対策はそのうちのおよそ半分の二千億円を占めていると聞き、津波対策の重要性を改めて認識しています。民間においても東日本大震災以降津波対策に注目が集まっており、地域のために何かしたいという気持ちを持つ方がふえていることは、昨年の浜松市沿岸域の防潮堤整備を目的とした寄附金などを通じて伝わってきております。
 こうした動きを受け浜松市では、企業や市民から津波対策を目的とした寄附の募集を開始し基金の創設がなされており、磐田市でも同様な検討がなされていると聞いています。今後の防潮堤等の施設整備に当たっては、このような貴重な民間資金を活用していくことも重要だと思われます。
 今後、県が民間資金を有効に活用するために、どういった取り組みを行っていくのか伺います。
 次に、富士山についてのうち、富士山の後世への継承に向けた情報発信について伺います。
 去る六月カンボジア・プノンペンにおいて開催された第三十七回世界遺産委員会におきまして、富士山が三保松原を含めて世界文化遺産として登録されたところであります。三保松原については、これを除外すべきとのイコモスの勧告に対して、ほぼ全ての委員国から含めるべきとの意見が表明されたとのことであり、地元の皆様の熱意や直前のロビー活動などが大きな成果となったのではないかと思います。
 富士山の世界文化遺産登録は、静岡・山梨両県民はもとより多くの国民が待ち望んでいたものであり、関係の皆様方の御努力に改めて感謝申し上げる次第であります。
 さて、富士山が世界文化遺産に登録されたことで今後はその価値を次の時代にしっかりと継承していくことが、私たちに課せられた大きな責務となります。そのためには多くの皆様に富士山が世界文化遺産として登録された意義や文化的価値を正しく理解していただくよう、適切な情報発信に努めていくことが重要であると考えています。
 そこで、県は今後富士山の後世への継承に向けた情報発信をどのようにしていくのか、その取り組みについて伺います。
 富士山についてのうち、来訪者管理について伺います。
 富士山は、万葉の時代から日の本の大和の国の鎮めであり、神さびた存在として人々から恐れられ尊敬されております。また信仰の対象として十二世紀以降の富士山修験道の隆盛、江戸時代には、庶民による富士講の大流行など登頂して真理の一端に触れたいといった精神が受け継がれてまいりました。現代でもスタイルは変わったものの富士登山は空前のブームとなっており、年間三十万人を超える人が登っています。さらに今回世界文化遺産登録の実現により、国内外から登山者がふえることは確実であります。
 将来にわたって富士山を適切に保存管理していくため、増加する登山者や観光客に対し県は世界遺産委員会の勧告も踏まえた中で、登山者数の適正化のための対策や富士山の保全等に係る財源確保を目的とした利用者負担の導入などの来訪者管理について、どのように検討されているのか伺います。
 次に、内陸のフロンティアを拓く取り組みの推進について伺います。
 内陸のフロンティアを拓く取り組みについては、昨年度全体構想が策定され、また総合特区が指定となり、推進に向けての準備が整いました。今後構想に基づく具体的な地域づくりが進んでいくものと期待しております。
 県では、この四月全体構想の改定を行い具体的な取り組みやその工程表等を盛り込んだほか、庁内に内陸フロンティアを拓く推進会議本部事務局を設置し、全庁的に取り組む体制を整えました。
 県だけに限らずこの五月には県内の主要な経済団体が発起人となり、民間の視点から地域づくりの提案を行う内陸フロンティア推進コンソーシアムが設置されました。これにより行政だけでなく地域の成長を担う民間とともに推進していく環境が整備されたところです。総合特区の市町も規制緩和に向けた国との協議を待つまでもなく、推進体制の構築や周辺の関連道路の整備を進めるなど新しい地域づくりに向けて、少しずつ動き始めています。
 しかし、第四次地震被害想定を受けて構想の実現は待ったなしの状況であります。取り組みは緒についたばかりで具体的に目に見えてくるまでにはまだ時間がかかるかもしれませんが、災害に強い安全・安心な地域が早期に形成されるよう、県が主導的に進めていくべきと考えます。
 防災・減災と地域成長を両立する地域づくりは、沿岸都市部、内陸高台部を問わず、県内全域で実施することも可能です。特区の地域以外においても、構想に基づいた取り組みを速やかに進めていくことが求められています。
 そこで、取り組みのスピードアップとともに県内全域で構想の実現を目指してもらいたいと考えますが、今後の取り組み方針について知事の所見を伺います。
 次に、エネルギーの地産地消の推進について伺います。
 東日本大震災以降、我が国のエネルギー政策は大きな方向転換を迫られております。
 これまで総発電電力量の約三割を供給してきた原子力発電所のほとんどが運転を停止し、エネルギー供給の多くを化石エネルギーに依存せざるを得ない状況にあり、震災前六〇%を超えていた依存度はさらに高まっております。エネルギー確保のためにやむを得ない面はあるものの、化石エネルギーの消費は、その原料のほとんどを輸入に頼っていることや二酸化炭素排出量の増大など課題が多いことも周知の事実であります。国においても、分散型エネルギー社会の実現と地球温暖化防止対策を同時に進めるため、固定価格買い取り制度の施行、発電設備の設置に対する助成、規制の見直し、緩和等により再生可能エネルギーの導入を促進する取り組みが始まっています。
 県においては、平成二十三年三月に策定したふじのくに新エネルギー等導入倍増プランに基づき、太陽光発電を初めとする再生可能エネルギーの導入を進め、成果が上がってきていると承知しています。日照環境に恵まれた本県では、太陽光発電が最も期待できるエネルギーであり一層の推進が必要であると同時に本県はまた水資源も豊富であることから、小水力を利用した発電の可能性も小さくないのではないでしょうか。今後はその導入にも力を入れていくべきであると考えております。
 そこで、小水力発電の導入などエネルギーの地産地消をどのように推進していくのか、所見を伺います。
 次に、地域外交の展開について伺います。
 知事は、就任以来地域外交を県の主要施策の一つと捉え、地域外交局、地域外交戦略会議の設置や外部有識者の活用など全国に先駆けた展開を進めてこられました。
 中国とは上海万博の開催に合わせ、ふじのくに三七七六友好訪中団の派遣に全県を挙げて取り組み、当時の習近平国家副主席から本県、浙江省との友好交流は、日中間の地域間交流のモデルであると評されました。
 また、新たにモンゴル・ドルノゴビ県、韓国忠清南道と友好協定を締結し、これまで以上に多面的な広がりを持って友好関係を築いてこられました。さらに台湾との間においては、富士山静岡空港の開港以降、初の新規海外路線となる台北との定期就航便を実現し観光面を中心に交流が拡大されてきております。
 こうした地域外交の展開は、平成二十二年の対中国友好都市交流提携賞、昨年のモンゴル北極星勲章、そして本年二月の台湾観光貢献賞の受賞に示されますように、国内外の政府レベルにおいても高い評価を受けていることからしても、これまでの積み重ねが大きな成果となってあらわれつつあるとの認識をしています。
 一方、我が国を取り巻く諸外国との関係につきましては、昨年来隣国の中国、韓国とは戦後かつてないほどの危機的な状況を迎えており、早期の関係改善に向けた取り組みが望まれるところであります。
 このように、国家間においてぎくしゃくした関係が続く中、これまでの交流の実績を踏まえ地域と地域、民間と民間、人と人が信頼関係を築きながらおつき合いを深めていくことが重要であると考えますが、今後の地域外交の展開方針についてお伺いします。
 次に、新たな子育て支援について伺います。
 知事はさきの選挙期間中、育児は極めて大切な仕事であると力説され、子育て経験が仕事に生かされる仕組みをつくり上げたいと述べられていました。また再選後の新聞のインタビューにおいて子育てが仕事となるような制度設計を進める、子育てを仕事とする哲学を打ち立てるとも答えておられます。こうした知事のお考えは、これまでの子育て支援策とは異なる川勝県政二期目の子育て支援における新機軸であると私には感じられました。
 我が国では、働く女性の七割が出産を機に退職するという状況にあり、女性の年齢別の労働力をグラフにあらわしますと三十歳から三十九歳までの部分がへこむ、いわゆるM字カーブを描きます。これは、出産、子育てを契機に一旦離職して専業主婦となり、その後子育てが落ち着いたところで再就職する女性が多いという傾向をあらわしたものであります。こうした背景を考えるならば、知事が言われる子育て経験を仕事に生かすという考えは、まさに時宜を得たものであり多くの再就職を目指す子育て中の母親にとって励みになることと思われます。
 しかし、一方で育児は仕事という言葉は、仕事に対する報酬、対価が求められることにつながり、社会的に受け入れられるかどうか危惧しているところでもあります。
 子育ての経験を仕事に生かすという考えに基づき、子育てをしながら資格取得を目指す母親などを応援する事業を開始されていることは承知しておりますが、二期目の課題として知事が言われる子育ては仕事として捉える子育て支援策は、どのような理念に基づくものであるのか、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、授産製品の利用拡大について伺います。
 障害のある人が自立した生活を送るためには、就労によって経済的基盤を確立することが重要です。一般企業等での就職が困難な人については、通所している就労施設での下請業務や自主製品の製造販売によるところが大きく、そのため製品の販路の拡大や工賃の水準を上昇させることが自立生活に向けた経済的基盤の安定につながるものと考えます。
 このような障害のある人が働く就労施設等が供給する物品を優先的に調達することを国や独立行政法人等の責務と定めた障害者優先調達推進法が、今年度から施行されたところであります。障害のある人の自立生活を支えていくためにも率先してこのような施設への業務発注や物品を購入していくべきと考え、私もわずかながらではありますが下請業務を発注しております。
 一方で、授産製品の活用を通して障害のある人を支援することは、行政など限られた支援だけでは限界があるものと思われます。そのためにも多くの県民に授産製品を利用してもらうことが大切ですが、一般企業の製品と何ら引けをとらない品質の商品がありながら製造数や販売場所の少なさなどにより、その存在が県民には余り知られていないのが現状ではないでしょうか。
 そこで県としては、障害者優先調達法の推進に向けて、どのように障害者就労施設等からの発注の拡大を図っていくのか。また支援の輪を広げていくため、今後どのように県民に授産製品の利用を働きかけていくのか伺います。
 次に、茶の都づくりの推進について伺います。
 本県のお茶は、鎌倉時代からの長い歴史を有し駿府に住んだ徳川家康が茶の湯を楽しんだため茶の生産が活発に行われ、江戸を中心に出荷されるようになったと聞いています。さらに明治の時代には、お茶は絹とともに外貨を稼ぐ貴重な輸出品として我が国の経済に重要な役割を果たしてまいりました。
 現在、お茶は県内各地で生産され生産で四〇%、流通で六〇%を占める全国一の茶産地となっております。また生産だけでなく小売、運送を初め、茶関連産業も多く本県の主要産業となっております。このような中で県が現在進めている茶の都づくりは、茶の生産だけでなく文化や健康など静岡のお茶の魅力を引き出し、一層の茶業発展に資するものと期待しております。
 本年五月には、県内の五つの市町で取り組んでいる茶草場農法が世界農業遺産に認定されたことは本県の茶業にとっても大変な追い風であり、お茶の生産に携わる方々にとっても励みになるばかりでなく、環境に配慮した静岡のお茶づくりの取り組みを国内外に発信する絶好の機会であると考えます。
 また、お茶の機能性、効用に目をやれば本県の健康寿命は女性全国一位、男性二位にランクされており、その理由の一つとしてお茶をたくさん飲むことが考えられるなどお茶の健康パワーに注目が集まっています。一方でリーフ茶の消費が低迷する中では、従来のスタイルにとらわれない新しいお茶の楽しみ方の文化を静岡から提案し、普及させていくことが求められていると考えます。
 このような状況を踏まえ、県はどのように茶の都づくりに取り組むのか伺います。
 次に、浜名湖花博二〇一四を契機とした花の都づくりの推進について伺います。
 県は、来年の春に開催する浜名湖花博二〇一四に向けて今年度から推進体制を強化し、この七月からは前売入場券の販売も開始し本格的に準備を進めています。
 二〇〇四年に浜名湖ガーデンパークで開催された浜名湖花博は、四月から十月まで延べ百八十七日間に目標の五百万人を上回る五百四十万人余の来場者がありました。今回は前回より開催期間は短くなりますが、浜名湖ガーデンパークにはままつフラワーパークを加えた二会場での開催となり、地元浜松では花関係者だけでなく、観光や商工関係者も多くの来場者を集めることを期待しています。
 本県は、ガーベラやバラといった全国トップクラスの産出額を誇る花卉もあり、多種多様な品目が栽培される花の主要産地であります。しかしながら平成二十三年総務省家計調査によれば、静岡市の切り花の年間購入額の全国順位は十位、園芸用品は十四位。浜松市は園芸用品では六位と健闘しているものの、切り花は四十九位となっており本県が花の都と呼ばれるには道半ばといったところでしょうか。
 浜名湖花博二〇一四は、県民に対して花づかいを通して豊かな生活を提案するとともに、より一層の花卉の産業の振興につなげるよい機会だと思います。県は、この浜名湖花博二〇一四を花の都しずおかのキックオフにしたいと伺っておりますが、どのようにして花の都づくりを進めていこうとしているのか伺います。
 次に、雇用のミスマッチの解消について伺います。
 本県の五月の有効求人倍率は〇・八五倍となり二カ月連続で上昇しています。一方全国との比較を見ると昨年三月から五月にかけて全国平均を上回ったものの、七月からは十一カ月連続で下回る状況が続いております。
 こうした中で、株式会社リクルートホールディングスが発表した全国の来年三月卒業予定者の大卒求人倍率は、従業員五千人以上の大企業では〇・五四倍となる一方、三百人未満の中小企業では三・二六倍となっております。また県内の大学や経済団体などで構成するしずおか産学就職連絡会の調査によれば、県内中小企業の本年三月卒業の大卒採用において半数を超える企業が充足できなかったと回答しており、学生が大企業を志す一方で中小企業には必要な人材が集まらないという雇用のミスマッチが生じています。
 さらに、五月の職業別の有効求人倍率を見ますと事務的職業が〇・二五倍、生産工程の職業が〇・四三倍と低迷する一方、介護を含む福祉関連の職業は二・二四倍となり人材不足となっているなど職種におけるミスマッチも顕著となっております。
 県は、リーマンショック後の厳しい雇用情勢に対応し、緊急雇用創出事業や静岡県雇用創造アクションプランにより新たな雇用を創出する取り組みを実施してきておりますが、こうしたミスマッチの解消にも一層力を入れ企業と求職者のマッチングを促進してこそ雇用情勢の改善につながるものと考えます。
 そこで、雇用のミスマッチの解消に向けて県としてどのように取り組んでいるのか伺います。
 次に、成長産業の育成、創出について伺います。
 このところの我が国の経済状況につきましては、円安により輸出採算が好転し企業収益が押し上げられた大企業製造業の景況感がプラスに転じるなど明るい兆しも見えてきております。一方で県内の中小企業に目を向けますと近年の途上国の台頭、生産拠点や技術の海外移転、さらには原材料やエネルギー価格の上昇などにより依然厳しい状況が続いております。
 このような中で本県におきましては、みずからの経営資源を活用し今後成長が見込まれる産業分野に果敢にチャレンジしようとする企業も出てきております。先月県議会産業委員会の視察で浜松ホトニクスの産業開発研究所を訪問いたしました。研究所では、光技術を活用した新たな産業の創出を目指して現在レーザー核融合の研究開発に取り組んでいましたが、人工的に核融合を起こすことができれば安全で安価な究極のエネルギー源を手に入れることができ産業の発展に大きく寄与することができるわけであり、委員一同、目の前の霧が少し晴れるような思いで説明を聞いたものでした。
 県においては、これまでにもファルマバレー、フーズサイエンスヒルズ、フォトンバレーの各プロジェクトを静岡新産業集積クラスターとして一体的に推進し、新たな成長分野への参入や新事業の創出などを目指す地域企業を支援してきました。またこれに加えて環境、医療、福祉機器を初めロボット、航空宇宙、光技術などの新たな成長分野への地域企業の参入を支援しております。
 県内経済を活性化させ兆しが見えてきた景気回復をさらに確かなものにするためには、こうした支援を強化し地域企業の積極的な参入を促すとともに既に参入をして成果が出つつある企業に対しては、製品化や販路開拓に向けた支援に今まで以上に取り組む必要があります。
 そこで、県は新たな産業分野の育成について今後どのような考えを持って取り組んでいくのか、また具体的にどのような施策を進めていくのか伺います。
 次に、富士山静岡空港についてのうち、空港利活用のための戦略について伺います。
 去る六月四日に開港四周年を迎えた富士山静岡空港は、東日本大震災や国際情勢の影響を受けながらも国内線の安定的な需要や台北線の新規需要などによって一定の利用者数を確保し、平成二十四年度は約四十四万七千人の利用がありました。
 しかしながら、総合計画の目標である年間利用者七十万人は今年度末までの達成が困難であると考えられ、今後の空港利活用を促進するための戦略について改めて検討する必要があると考えます。例えば、去る六月二十六日には富士山が世界文化遺産に登録され国内外からこれまで以上に静岡県を目的地とする旅行者が増加することが予想されます。またこの七月からは、タイ、マレーシアからの訪日旅行者に対するビザが免除され、両国からの旅行者の増加も見込まれます。これらを富士山静岡空港の利用拡大のチャンスと捉え、どのように生かしていくのかといった見取り図を描いた上で各種の施策を展開していくことが求められています。
 また、今後予想されている空港運営体制の見直しにおいてターミナルビルの増改築等が計画されておりますが、このような投資も空港利活用の戦略があってこそ効果を見込むことができると考えます。
 そこで、今後の富士山静岡空港の利活用についての戦略をどのような構想を持って策定していくのか、県の方針を伺います。
 空港運営体制の見直しについて伺います。
 アジアにおける航空需要は着々と増加しており、今後二十年間で三倍に伸びると予想されております。オープンスカイの進展やLCCの参入等の状況を踏まえますと国際的な航空需要の取り込みに向けて地方空港間の競争も激化すると予想されます。
 富士山静岡空港は開港から四年目で利用者が二百万人を超えたところでありますが、その数が少ないと見るのか東日本大震災や国際情勢の悪化などの外的要因の影響にもかかわらず関係者の懸命な努力によって持ちこたえてきたと見るのか。いずれにしても競争が激化する中で生き残りをかけて空港運営体制の見直しを進めていかなければならない時期に来ていると考えられます。
 県では、昨年度有識者から成る先導的空港経営検討会議を設置し、その議論を経て四月に答申を受け、県の取り組み方針について公表したところであります。その内容を見ますと施設保有の一体化、管理運営の一元化、新たな運営体制構築の三点を掲げていますが、ビルの取得や増改築にはさらなる投資が必要であり答申の中では収支改善の試算もされているところではありますが、投資対効果といった視点からもしっかりと考えていかなければなりません。
 富士山静岡空港を取り巻く状況を考えれば、今回の見直しについてスピード感を持って取り組むことや方針をより具体化するための県の推進体制についても、綿密な計画が必要ではないかと思います。
 答申では、平成二十六年度からを経営権の民間移譲への移行期としてフェーズツーと位置づけておりますが、運営体制の見直しについての考え方、また具体的にどのように進めていくのかを伺います。
 次に、教育行政のうち、実学の奨励について伺います。
 経済のグローバル化に伴う国際的な競争の激化、少子高齢化の進行、雇用の流動化・多様化など社会構造が大きく変化する中、学校には時代の変化に主体的かつ柔軟に対応しみずからの資質能力を生涯にわたって伸ばし続けることができる社会人、職業人として自立した人材の育成が強く求められています。
 これまで、本県高等学校の専門学科等においては農業、工業、商業等の職業に関連が深い実学を中心とした実践的な教育を行うことにより、時代のニーズに応える有為な人材を多数輩出し地域産業の発展に多大な貢献をしてまいりました。今後もその果たす役割と学校に寄せる期待に変わりはないと思われますが、引き続き本県の経済を維持、成長させていくためには、職業に必要となる知識・技術の高度化、複雑化に対応することはもとより、新しい分野を積極的に切り開いていけるような高度な職業人を育成する体制を整備する必要があると考えます。
 職業系専門高校を卒業後も大学、短期大学、専修学校等への進学を希望する生徒も増加しているため、それらとの円滑な接続に留意しつつ地に足をつけた生活や社会に役立つ学問として実学の意義を積極的に捉え、その体系を明確にしながら高等学校段階における実学を一層奨励する必要があると考えます。
 今後の本県の高等学校教育における実学の奨励について、どのように考え、取り組んでいくのか、教育長に伺います。
 命を守る教育の充実について伺います。
 先日六月二十八日に東京都練馬区の小学校において、集団下校中の男子児童三人が切りつけられ幸いにも命は助かりましたが、重軽傷を負う事件が発生しました。平成二十四年四月には、京都府亀岡市において登校中の小学生の列に自動車が突っ込み、児童などが死傷する痛ましい事故が発生しました。
 県内に目を移してみますと、平成二十四年度中に年間の不審者による子供たちへの声かけ事案は一千件を超え大きな事件はなかったものの、憂慮すべき状況にあります。また小中高校生の交通事故に遭った件数は、近年では四千人前後を推移しており平成二十四年度には四人のかけがえのない命が失われてしまいました。さらに南海トラフ巨大地震による第四次被害想定によると県内の被害は甚大であると予想されており、子供たちについても例外ではありません。
 このように、犯罪、交通事故、自然災害等、子供たちの命を脅かす危険が取り巻く環境の中で、東日本大震災の際に釜石東中学校の生徒たちがみずから判断し、ハザードマップによる津波の浸水域等の想定にとらわれずに率先して小学生や高齢者に手を貸して行動したことにより生き延びることができた釜石の奇跡と呼ばれる事例などを教訓とし、今後のさまざまな危機に対して、子供たちがみずから危険を予測し回避する力を育成することが重要であると考えます。
 そこで、命を守る教育を充実させるための取り組みをどのように進めているのか、教育長に伺います。
 次に、大規模イベント、祭典等の警備のあり方について伺います。
 静岡県では、浜松まつりや静岡まつりなど全国的にも有名で県内外から多くの観光客が訪れる祭典を初め県内各地においてさまざまな祭典が行われております。また県内の各施設では、スポーツや芸能といった各種のイベントが繰り広げられ県民の大きな楽しみになっております。
 これらの警備に当たっては、大規模イベントや祭典等への参加や見物を楽しみにされている方々への配慮が尽くされているかということも大切な要素であろうかと思います。事故防止を図りつつも、イベントや地域性豊かな伝統的な祭典等を楽しむということを原点にした警察の警備が必要ではないかと考えます。
 一方で、こうした大規模イベントや祭典において大きな教訓になっているのが、平成十三年に発生した兵庫県明石市大蔵海岸において開催された明石市民夏まつり花火大会における雑踏警備での事故であります。この事故では、幼い子供や御老人の死者が出たほか多くの方が重軽傷を負った極めて大きな雑踏事故であったことは、記憶に新しいところであります。
 この事故を教訓として祭典等の主催者も警察当局もさまざまな警備上の対策をとっておられることは承知しております。県民の誰もが楽しみにしているせっかくのイベントや祭典などが、大きな事故によって悲しみに包まれるようなことになってはなりません。祭典などに参加する方々のみならず見物される方々、あるいは開催されている地域を通過される一般の方々に危険が及んだり、公共の交通に著しく支障を来すようなことも避けなくてはなりません。
 このため主催者は、開催計画のもと無事に成功するように警備の面において警察当局と綿密なすり合わせを行っていく必要があろうかと思います。また警備を実施する上で最近紹介された警視庁のDJポリスのごとく、サッカーワールドカップ予選の観戦後に路上に膨れ上がった群衆をユーモアに富んだ警備で安全に誘導した例があるように、イベントや祭典の雰囲気を損なわないようなさまざまな工夫もあっていいのではないかと思うのであります。
 そこで、大規模イベントや祭典等における警備のあり方について、警察本部長のお考えを伺い質問を終わります。(拍手)
○副議長(渥美泰一君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 野澤議員にお答えいたします。
 初めに、二期目に臨む私の県政運営方針についてであります。
 私は二期目におきましては、静岡県が国内外に誇る場の力、これを生かして県議御指摘のとおりふじのくにの都づくりを進めてまいる所存であります。
 都というのは、国の中心地であり国の代表でありまた国のシンボルでもありコンセプトであります。現在は東京でございますけれども都には、また天皇陛下がおわします。天皇は日本国憲法の第一条に日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴でもあると。これは国民の総意に基づくとうたわれておりますが、天皇が日本の国民の象徴あるいはシンボルであるといたしますならば、富士山は日本の国土のシンボルであり象徴であるというのが国民の総意ではないかと存じます。
 そのような富士山が、このたび世界遺産に登録されました。今や富士山は、日本の宝であるのみならず世界の宝となったわけでございます。本県は、この日本の国土の中心に位置する富士山を擁する県であります。それゆえ我々は霊峰富士の姿に恥じない地域づくりをするべき使命があると考えております。
 この霊峰から導き出される価値とはどのようなものか。これを富士山は末広がりの形をしていますので八つばかり挙げてみますれば、第一に自然に対する畏敬の念を忘れるべからず、第二に危機管理を常に優先すべし、第三に美しさを重んずべし、第四に和をたっとぶべし、第五に季節に敏感な感性を涵養すべし、第六に自然の恵みに感謝し、その産物を大切にいただくべし、第七に長寿をことほぎ、寿命を全うするよう心を砕くべし、第八に物の豊かさと心の豊かさの調和を目指すべしなどといった価値を引き出すことができます。私どもは、こうした価値に立脚し誰からも仰ぎ見られ、人を引きつけるポスト東京時代の中心地、それを理想郷としてつくり上げてまいりたいというふうに私自身は決意をしているわけでございます。
 本県には四百三十九品目にも及ぶ豊かな食材がございます。ついこの間まで私どもの県がどれほどの食材を持っているかということは、必ずしも明らかではありませんでした。そしてつい一年ほど前は農水省の統計に依存して農産物の数が百六十七品目というふうに言っていたわけです。そしてまた海産物の数は五十二品目というふうに数えておりました。ところが独自に調査をいたしまして、この半年における調査に基づいて平成二十三年度における農産物の数が三百三十九品目、そして海産物の数が百品目、合わせて四百三十九品目と日本国における断トツの食材の王国であるということが判明したわけです。この食材を利用して日本の食の中心地、すなわち食の都づくりができるということであります。
 また、花の品目数におきましても、ついこの間まで農水省の統計に依存して十七品目だというふうに認識しておりました。ところがそれを改めて勘定いたしましたところ、それが七百四品目もあるということが、つい最近にわかったわけであります。この各品目にたくさんの品種がございますから、これを活用した花の都づくりができるということを目指しているわけです。
 そしてまた太陽。この日照時間が日本一であるということも判明しておりますので、しからば太陽の都づくりと言われるような太陽光、太陽熱を利用した、そうした中心地をつくっていこうという、そういうデータに基づく地域づくりができるということでございます。そのほか豊かな森林や美しい水というものもございまして、これらを活用することを通して富士山という日本の国土の中心にあり、かつ国土のシンボルであるものにふさわしい都づくりができると確信をしております。
 さらに、富士山は活火山でございますから、このような自然の脅威に対して我々はこれまで東海・東南海・南海地震などに備えた防災先進県としての地位を築いてまいりました。これらを踏まえて、地震・津波に強い県土づくりや防災・減災と地域成長を両立させる内陸のフロンティアを拓く取り組み、健康長寿日本一の社会づくり、国に先駆けた教育再生改革など全国のモデルとなる地域づくりができるというふうに確信しております。
 今後とも富士山のごとき日本一高い志を持って国内外における本県の国土における中心性というものを高め、日本の範となる県土づくりを進め、県民誰もが豊かさを実感できる、霊峰富士の名にふさわしい富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりに全力で邁進してまいります。
 次に、地震・津波対策についてのうち、まず第四次地震被害想定を踏まえた地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の考え方についてであります。
 県では、先月第四次地震被害想定とあわせて地震・津波による被害をできる限り軽減するアクションプログラムを公表いたしました。県民の命・財産を守るためにはこのアクションプログラムを着実に推進していくことが重要です。定期的に達成状況を県民の皆様にわかりやすく公表し検証を行うとともにその結果を踏まえて、必要に応じより効果の高い対策への見直しを図ります。そして確実な減災目標の達成に結びつけてまいる所存です。
 また、このアクションプログラムを推進するには、議員御指摘のとおり約四千二百億円の膨大な経費が必要です。したがって財源の捻出が不可欠なのであります。このため国に対しましては、南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の早期成立を強く働きかけてまいります。それとともに国庫補助金等の確保にも努めてまいります。私どもといたしましては、みずからを含め職員の給与削減などあらゆる手段を講じて財源を捻出し、アクションプログラムの目指す減災を実現してまいる決意でおります。
 さらに、防災・減災と地域成長の両立を目指す内陸のフロンティアを拓く取り組みの中で沿岸都市部のリノベーションによる高次都市機能の維持確保と内陸高台部への防災機能を備えた職住一体の地域形成など、いわゆる事前復興、まだ災害には遭っていない、そして災害に遭った場合にどうするかということを考えて、この災害の前にすなわちそれを事前と申しまして事前に復興モデルをつくり上げていくという、そういう事前復興の視点を取り入れた安全・安心なふじのくにづくりを進めてまいります。議員の皆様の御理解、御協力をお願い申し上げます。
 次に、市町への支援についてであります。
 今回、県の策定いたしましたアクションプログラムは、自助、共助、公助の観点から県と市町、民間等が一体となって取り組んでいく必要がありますことから、県はもとより県民、事業所、市町等が実施主体となるアクションについても可能な限り盛り込んでおります。
 特に市町が主体となって進める対策は、津波避難計画の策定など避難体制の整備、自主防災組織の活性化、福祉避難所運営マニュアルの策定などなど、そうしたソフト対策から津波避難施設の整備、漁港の津波対策などハード対策まで多岐にわたっています。これら市町が主体の地震・津波対策を着実に推進するには、市町にあっても県同様数値目標とその達成時期を明確にした実効性のあるアクションプログラムの策定が不可欠です。
 県としましては、地域の特性や被害想定結果を踏まえたきめ細かな対策の立案ができるように専門家による技術的助言を行う用意がございます。これらを通して積極的に支援してまいりたいと考えています。また県内四カ所の危機管理局ごとに津波対策推進委員会を設置いたします。そこで津波避難の具体策の検討検証を行うほか地域の防災活動を支える人材の育成、地域防災訓練を充実強化するための助言を行うなど、さまざまな面から市町を支援してまいります。
 さらに、県では大規模地震対策等総合支援事業費補助金によって市町の地震・津波対策を財政的に支援しておりますが、市町が住民の安全確保に直結した地震・津波対策事業を着実に推進できるように補助対象メニューの追加や限度額の見直し等も含めた制度の改善を今検討中でございます。
 次に、富士山についてのうち、富士山の後世への継承に向けた情報発信についてです。
 富士山を大切に思う意識を醸成するには、富士山の価値について理解を深めるための情報発信が重要です。世界遺産委員会からも個々の構成資産はもとより構成資産全体としての価値を来訪者に周知するよう求められています。このため富士山の価値や魅力を楽しく伝える富士山世界遺産センターの整備を進めるとともに、センター開設後には、各市町の学習施設や集客施設とのネットワークを構築いたします。それを通して富士山の価値を情報発信していくことにしています。
 こうしたネットワークの構築に向けましてこの七月六日には、富士川楽座に富士市及び指定管理者の御協力を得て世界遺産富士山情報発信ステーションを開設いたしました。そこでプラネタリウムを活用した富士山の映像を上映するなど楽しみながら富士山の理解を深める取り組みも進めているところです。
 また、来訪者に富士山の世界遺産としての価値を正しく伝え、守る意識を高めていただくために、これまで八十三名の富士山世界遺産ガイドを養成いたしました。今後はさらにこれを増員し、各構成資産での来訪者への説明を通して富士山の価値や保存管理についての啓発活動を展開してまいります。
 日本の国土の中心に位置し、また国土のシンボルでもある富士山を人類共通の財産として未来に継承していくため、多くの皆様に信仰の対象と芸術の源泉としての富士山の価値を理解していただけるように、さまざまな手法によって情報発信に取り組んでまいります。
 次に、内陸のフロンティアを拓く取り組みの推進についてであります。
 六月二十七日に公表した県の第四次地震被害想定では、南海トラフ巨大地震等による被害は甚大であります。県民の命と生活を守り、豊かな暮らしを実現することが私に課せられた最大の責務です。そのため、防災・減災と地域成長を両立させる内陸のフロンティアを拓く取り組みを県政運営の最重要施策と位置づけて全力で推進してまいります。
 まず、これまで本県の成長を支えてきたところの沿岸都市部の防災・減災対策に最優先で取り組まねばなりません。地震・津波対策アクションプログラム二〇一三などを国や市町とも連携して強力に進めてまいります。それとあわせて一方で、無限の可能性のある内陸高台部におきましては、ガーデンシティー――農芸都市とも言うべき美しい景観や個性を備えた地域づくりを推進してまいります。
 これまで総合特区に指定された十一の市町のモデル地区につきましては、国との協議を開始いたしました。長泉町や富士市の一部地域につきましては、事業の具体化が進んでおります。まだまだしかし十分とは言えません。本県が三大都市圏を結ぶ位置にあり、日本経済を支える重要な場所的な意義があると。したがって内陸のフロンティアを拓く取り組みは、もし起こった場合にどうするかということで起こらないためにということで今進められている東日本大震災の復興計画がありますが、それを先取りする、すなわち事前復興のモデルともなり得るものであるということを国においても改めて御理解を賜り、規制の特例措置の実現に向け迅速な協議を進めるとともに関係市町の一層の取り組みの促進に努めてまいります。
 また、特区の地域以外におきましても例えば掛川市では、市独自の内陸フロンティア構想を策定なさいました。そして沿岸都市部のリノベーションや内陸高台部のイノベーションを進めなさっています。あるいは磐田市におきましては、内陸高台部の受け皿づくりといった民間主導の開発が具体化しております。これらの取り組みを支援して県内全域に拡大してまいりたいと考えています。
 災害はいつ襲ってくるかわかりません。市町はもとより地域住民や内陸フロンティア推進コンソーシアムなどの民間との連携を強化しながら、県内全域におきまして内陸のフロンティアを拓く取り組みを加速化させ、あらゆる事業を前倒しして実施し安全で安心な魅力あるふじのくにの実現を目指しスピード感を持って全力で取り組んでまいる決意であります。
 次に、新たな子育て支援についてであります。
 重要な御質問をいただきましてありがとうございました。確かに私は選挙期間中、育児は非常に大切な仕事であると繰り返し申し上げました。生まれたばかりの子供は、一人では生きていけない最も弱い存在です。この最も弱い存在である子供を育てる営みである育児あるいは子育ては、人間として大人として成すべき最もとうとい仕事であり、社会的にも評価されるべきであるというのが根本の考え方です。私はこうした哲学を県内に広めてまいりたいと考えています。
 既にこの考えを具現化するための試みの一つとして、育児中の方の保育士資格取得などを応援する事業を富士市と藤枝市の協力を得て始めています。子育て中の母親にとりまして育児の経験を将来の仕事につなげることができるものと期待しております。
 これとあわせまして、子育ては仕事であるという考えをいかにして広めることができるか。これにつきまして例えば企業と連携をいたしまして、お母さんたちが保育所、託児所、あるいは地域子育て支援センター等でみずからの赤ちゃんを育児しながら、そこの施設における子育てのお手伝いをした方にその対価として育児用品と交換できるポイントであるとか、あるいはクーポン券を差し上げるとか、あるいは生活に役立つ品物を受け取る仕組みづくりを考えておりまして現在これについて打診をしております。
 育児にかかわる例えばおしめとかミルクとか、こうしたものは不可欠な商品です。これらを生産している業者が企業の社会的責任、いわゆるCSRとしてお母さん方の意見を聞きながら、おしめやミルクなどに対して一定のクーポンあるいはポイントを受け入れてくださるかどうかということを今打診中でございまして、こうした仕組みづくりを今模索中であるということであります。
 議員も御指摘のとおり人材の育成というのは、ありとあらゆる領域において最も重要なことです。人材の育成の一番の出発点は何かということになりますれば、生まれたての赤ちゃんを立派な少年少女にしていくということが、まず最初の仕事であるということでございまして、これを仕事として捉えるための具体的な方策として資格を取るとかあるいはクーポン券、ポイントなどこれを協力してくださる企業を探しまして、施設と連携をして子育てが仕事であるというこうした文化を広めてまいりたいと思っているわけでごさいます。
 今後とも市町や保育所、企業などの御理解と御協力を得ながら、子育てを仕事として社会的に評価される日本で最初の仕組みづくりを構築してまいりたいというふうに考えております。
 次に、茶の都づくりの推進についてであります。
 本県では、西は浜松から東は御殿場に至るまでの県内全域で茶が生産されております。まことに日本一の茶どころであるということから、これを茶の都と言うことができる根拠があります。茶の都という言葉は、中国では杭州市がそれを専売特許のようにして使っておられます。それに匹敵する日本における場所はどこかというと静岡県であるということでございます。
 その背景には、先人から引き継がれてきたたくみの技や富士山と一体となった茶園の美しい景観というものがございます。またこの五月には茶草場農法が世界農業遺産に認定されました。こうした資源を持っているということが茶の都づくりの背景になります。
 こうした本県独自のお茶にかかわる場の力を生かして茶の都づくりを進めるために、静岡文化芸術大学の熊倉功夫学長先生を座長として茶の都しずおか構想検討会がことしの一月に既に立ち上がっております。味や香り、機能性など特色のある新商品の開発によるブランドの構築やお茶を楽しむ新しい生活文化の創造、お茶に関する学術研究などについて御検討していただいておりまして、茶の都しずおかづくりの構想を御策定していただいているところでございます。
 加えまして、本年度、静岡県立大学にお茶に関する研究、教育を総合的に行う日本で最初の茶学総合講座が開設されました。この茶学総合講座と連携をいたしまして、緑茶が健康寿命に及ぼす影響に関する研究や茶産業を牽引する人材の育成などに取り組んでまいります。これもまた、茶の都しずおかづくりになると考えております。
 また、茶の都の基礎であるのはもちろん茶栽培、生産であります。そのお茶の生産を強化するために茶園の集積や基盤整備などにより生産者の経営体質を強化するとともに、静岡型発酵茶、山のお茶一〇〇選など新しい商品の開発やお茶の生産と生物の多様性が一体的に保全されている茶草場農法を生かしたブランド化を支援してまいりたいと考えています。
 さらに、茶の都づくりのために本年十一月に開催予定の第五回世界お茶まつり秋の祭典におきましては、未来を感じさせる斬新なお茶のコンテストの開催や若手工芸作家によるお茶と茶器、お菓子を組み合わせた新しい楽しみ方の提案など茶の都にふさわしい新しい情報を発信していこうと予定しております。
 私どもは茶の関連団体、大学、研究機関等と連携いたしまして、お茶にかかわる多彩な資源に一層の磨きをかけ国内外に誇れ自他ともに許す茶の都しずおかづくりを進めてまいりたいと考えているところであります。
 次に、富士山静岡空港についてのうち、空港利活用のための戦略についてであります。
 富士山静岡空港の利用者数は、平成二十四年度には約四十五万人となりまして東日本大震災の影響から一定程度の回復を見せております。しかし昨年来の国際情勢の影響等によりまして、利用者数の回復に力強さが欠ける状況にあります。今年度中に年間七十万人達成は極めて厳しい状況です。
 しかし、活力ある産業活動や豊かな観光資源など静岡県の持つポテンシャルを考えますれば、富士山静岡空港は早期に七十万人を達成し、さらにその上の目標を目指せる空港であると認識しています。このためさまざまな利用促進策によって航空会社には積極的な経営判断を促し、定期路線での増便や機材の大型化、新規路線の開設等を実現し、そのことによる利便性の向上が、また翻っては利用者のさらなる増大をもたらすという好循環を生み出すことを基本的な戦略としております。
 具体的には、外国人出入国者数が地方管理空港第一位でございます富士山静岡空港の強みを生かしましてソウル、上海、台北及びシンガポールの各駐在員事務所と連携した情報発信や誘客活動に取り組むとともにチャーター便の誘致、ビジネス利用などを促進してまいります。これらにより、今後成長が見込まれる東アジア及び東南アジア地域との航空需要を取り込んでまいります。一方国内線につきましても大きな需要が潜在的には見込まれます。そこで鉄道などの陸上交通機関からのシフトや札幌や那覇など国内就航先からの乗り継ぎ利用のPRなどを積極的に行うことで新しい利用者の獲得に取り組んでまいります。
 さらに、富士山の世界遺産登録を好機と捉え、富士山と県内各地の豊かな観光資源を組み合わせた県内滞在型ツアーなど魅力ある旅行商品を造成し、国内外の一層の誘客に取り組んでまいります。
 今後とも、静岡県のポテンシャルや富士山の魅力などを生かし、国際線と国内線のバランスをとりながら利用者の利便性向上を図ることで富士山静岡空港の利活用を戦略的に促進してまいります。
 なお、その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
○副議長(渥美泰一君) 長島交通基盤部長。
       (交通基盤部長 長島郁夫君登壇)
○交通基盤部長(長島郁夫君) 地震・津波対策についてのうち、民間資金を活用した施設整備についてお答えいたします。
 県では、比較的発生頻度が高いレベルワンの津波による人的被害の軽減を目指し、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三を策定いたしました。この中で津波対策としては、海岸堤防等の施設においてレベルワンの津波を防ぐ施設高の確保や堤防を津波が越えても機能が損なわれない粘り強い構造への改良などを位置づけております。これらの津波対策には多額の費用を要するため、投資の重点化や国の交付金の確保などを図り、海岸や港湾・漁港、河川における堤防などの整備を着実に実施してまいります。
 こうした津波対策は、県ばかりでなく市町や県民が一丸となって県全体で推進する必要があります。この際には県民の皆様や企業など民間からの寄附金も貴重な役割を担うものであり、県もこうした民間資金を有効に活用していくことが重要であると考えております。
 県では、昨年十月から募集を開始した津波対策施設等整備寄附金について七月一日から地域指定を可能とし、より身近な地域で活用したいという寄附者の気持ちに応える制度といたしました。今後は、御寄附をいただいた多くの県民の皆様の意思をできるだけ早く形としてあらわすことができるよう海岸堤防等の津波対策を迅速に進めてまいります。
 県といたしましては、アクションプログラムに位置づけた対策を全力で推進するとともに、市町が行う避難タワーや命山等の施設整備促進のための技術的支援を積極的に行うなど県と市町が連携して地震・津波に強い県土づくりに努めてまいります。
 次に、富士山静岡空港についてのうち、空港運営体制の見直しについてであります。
 富士山静岡空港は、本県のさらなる発展を支える重要な社会資本の一つであり、富士山が世界遺産登録されたことを契機に国内遠隔地や東アジアを初めとする海外から、これまで以上に多くのお客様が、空港を通じて本県へとお見えになるものと大いに期待しております。
 こうしたことから、富士山静岡空港をふじのくにの空の玄関口として一層ふさわしいものへと改めていくことが喫緊の課題であるとの認識のもと、空港設置管理者の責任において旅客ターミナルビルの機能向上に取り組むとともに、指定管理業務の拡大など開港以来、全国の地方空港に先駆けて取り組んできた空港民活化をさらに推し進めることとしたところであります。
 特に旅客ターミナルビルについては、同じ時間帯での航空会社の就航希望に応えられない点や利用者の休憩スペースが手狭なことなどから、増改築による機能向上が必要であります。現在必要性や効果等について精査を重ねているところであり、この結果を踏まえ効率的な投資を行うとともに航空会社の新規就航や増便を図ることにより、ターミナルビルを含めた空港施設全体における収支の改善に努めてまいります。
 さらに、近い将来には公共施設等運営権制度に基づいて空港施設の運営を民間事業者に委ね、より効率的な空港運営体制の実現を図る一方で今後新たな運営体制の推進にふさわしい県庁内の組織のあり方についても検討してまいりたいと考えております。
 県といたしましては、全国の地方空港のモデルとなるような新たな空港運営体制の構築に向けまして、県議会にもお諮り申し上げ十分な御議論を賜りながら進めてまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 下山文化・観光部長。
       (文化・観光部長 下山晃司君登壇) 
○文化・観光部長(下山晃司君) 富士山についてのうち、来訪者管理についてお答えいたします。
 富士山の世界遺産登録に当たり世界遺産委員会からは、多くの登山者が富士山の環境に負荷を与える実態の把握と登山道の受け入れ能力を研究し、来訪者管理戦略を策定するとともにその成果を踏まえた保全状況報告書を提出することが求められました。
 登山者の増加は、富士山の環境に与える負荷を増大させるとともに登山者の安全確保にも影響を与えますことから、登山者数の適正化を図るルールづくりが必要であると考えております。
 このため、特に登山者の増加が見込まれることしの夏には、富士山に関係する行政機関が安全対策を強化する一方で登山者の状況を把握し、専門家の御意見も伺いながら登山道の受け入れ能力と適正な登山者数について検討を進めてまいります。
 また、登山者自身に富士山を後世に継承する意識を高めていただくとともに、登山者の安全確保や富士山の環境保全に必要な財源として協力していただく利用者負担制度の導入も検討しております。具体的には、静岡・山梨両県の関係者で構成いたします世界遺産推進協議会作業部会の決定に基づき、七月二十五日から十日間、千円を基本に任意の協力金をいただくとともにアンケート調査を行う社会実験を実施した上で来年度の本格実施に向けた検討を行ってまいります。
 富士山を将来にわたって適切に保全管理していくため、登山者数の適正化と安全確保対策や利用者負担制度の導入などを柱とする来訪者管理に係る施策について、関係者の皆様の御理解と御協力をいただきながら取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 池谷静岡県理事。
       (静岡県理事 池谷 廣君登壇)
○静岡県理事(池谷 廣君) エネルギーの地産地消の推進についてお答えいたします。
 県では、ふじのくに新エネルギー等導入倍増プランに基づき、本県の豊かな自然資源を活用し環境への負荷が小さい再生可能エネルギーの導入に努めております。
 特に全国トップの日照環境を生かした太陽光発電の導入を重点的に進めており、平成二十四年度には、住宅用太陽光発電設備の導入件数が一万一千九百七十二件と過去最高を記録するなど順調に導入が拡大しております。このため今後の目標をこれまでの三倍に当たる九十万キロワットに引き上げ、引き続き太陽光発電を強力に推進してまいります。
 太陽光発電に次いで有望なものが小水力発電であります。水の都づくりを進める本県の豊かな水資源の活用に取り組んでおり、今月には島田市内において最大出力約九百キロワットの国の大井川用水伊太発電所が供用を開始いたしました。
 農業用水を活用した小水力発電については、県では掛川市など県内三カ所で平成二十七年度の稼働を目標に整備を進めており、さらに導入の拡大に向けた可能性調査も行っております。また今年度中の供用を目指し、奥野ダムに最大百二十キロワットの小水力発電設備の導入を進めております。
 加えて、豊富な森林資源を活用したバイオマスエネルギーの拡大や洋上風力発電を初めとする海洋再生可能エネルギーの導入促進など多様な資源を最大限に活用し、エネルギーの地産地消を一層推進してまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 若梅静岡県理事。
       (静岡県理事 若梅真樹君登壇)
○静岡県理事(若梅真樹君) 地域外交の展開についてお答えいたします。
 グローバル化が進展し県民や企業の海外とのかかわりが一段と緊密となっている中、本県が国際的に存在感のある地域として持続的に発展できるよう、地域外交を積極的に展開しております。
 これまで国家間の関係が必ずしも良好といえない時期に、浙江省との友好提携三十周年事業や忠清南道との友好協定の締結を実現できましたことからも、相互信頼関係により培われた地域間の揺るぎない交流が、地域の、ひいては国の利益にかなうものであると考えております。
 今回の富士山世界文化遺産登録を契機として新たにオープンした台湾、東南アジアを初めとする駐在員事務所を核に世界に誇れる本県の資源をアピールし、ふじのくにの魅力を対外的に発信することにより、お茶やイチゴなどの県産品の販路拡大や観光誘客などにつなげてまいります。また就航先である武漢や台北などにおいて、文化やスポーツなど民間団体間のマッチング支援を通じ民間主体による草の根交流を促進してまいります。
 今後とも重点国・地域を中心として、経済や観光、文化、教育などの幅広い分野において友好提携先との関係の強化と富士山静岡空港の利用促進を通じた交流人口の拡大を図ることにより、本県の一層の発展に資するよう努めてまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 宮城島健康福祉部長。
       (健康福祉部長 宮城島好史君登壇)
○健康福祉部長(宮城島好史君) 授産製品の利用拡大についてお答えいたします。
 まず、発注の拡大でありますが、平成二十四年度における県及び市町の障害者就労施設等への発注実績は一億七千七百万円余りに上り、施設等の収入総額の約七%に当たると推計しております。
 県では、こうした施設等からの調達の一層の推進を図るため、今月教育委員会、警察本部も含めた調達推進本部を新たに立ち上げました。来月には目標設定を含む県の調達方針を策定し県を挙げて取り組むとともに市町に対しても積極的な取り組みを働きかけ、市町と一体となって発注の拡大に努めてまいります。
 また、県民の皆様方に授産製品のよさを知っていただくため、先月しずおか授産品応援サポーター制度をスタートし、県民の皆様への利用の働きかけを強化いたしました。障害のある人の手づくり商品を購入された方をサポーターとして登録し家族や友人など周囲の方に授産製品のよさをPRしていただき、購入の拡大につなげてまいります。さらに障害者働く幸せ創出センターを通じてイベント出店や販売協力店舗の拡充を図るとともに、施設等に対して売れ筋商品の情報提供や品質向上のための技術研修等の支援に取り組むことにより消費者ニーズに合った商品づくりを行い、授産製品のさらなる利用拡大を図ってまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 渥美経済産業部長。
       (経済産業部長 渥美敏之君登壇)
○経済産業部長(渥美敏之君) 浜名湖花博二〇一四を契機とした花の都づくりの推進についてお答えいたします。
 本県は、産出額全国第一位のガーベラを初め七百四品目もの多彩で高品質な花が栽培される全国屈指の花の生産県であります。また年間を通して花を楽しめる施設や名所が数多くあり、花咲くしずおかアドバイザーや花の会会員など花にかかわる人材も豊富であります。
 こうした本県の持つ場の力を最大限に活用し、暮らしのさまざまな場面で花と緑があふれる花の都しずおかを実現するため、本年度花の都づくりの基本構想や推進計画を策定し、新たな花の需要の創出や新品種の育成、栽培技術の革新などによる花卉産業の振興、花の都づくりを担う人材の育成などに取り組んでまいります。
 この花の都づくりの第一歩として、来年春開催する浜名湖花博二〇一四では、県内の造園家や世界的なガーデンデザイナーによる本県産の花と緑をふんだんに使った庭園の展示や花と食をコーディネートした豊かな生活文化の提案により、新たな花の需要を創出してまいります。さらに県内で育成されたオリジナル品種や切り花の日もち向上の新技術などを紹介することで花卉産業の振興につなげてまいります。
 県といたしましては、こうした取り組みにより多彩で高品質な花の産地の育成や花と緑にあふれる暮らしの実現を図り、世界に誇れる花の都しずおかづくりを進めてまいります。
 次に、雇用のミスマッチの解消についてであります。
 雇用のミスマッチの解消は、雇用情勢の改善を図る上で重要な課題であると認識しており、人材が不足する県内地域企業や介護・福祉分野へ学生や求職者を導くマッチング支援に積極的に取り組んでおります。
 学生と地域企業の相互理解を深めるため、県内や首都圏での就職面接会を開催するほか本年度は、県内企業を見学するバスツアーをこれまでの首都圏に加え、初めて中京圏の学生も対象に実施いたしました。さらに新たに首都圏においてU・Iターン就職フェアを十一月に開催するとともに、採用情報や事業内容を盛り込んだ就職情報誌の掲載企業を昨年度の三百社から三百五十社に拡充するなど本県地域企業の情報発信の強化を図っているところであります。
 また、求職者に対し介護・福祉分野への理解を深めてもらうため、仕事内容の紹介や施設見学を行う就業セミナーを開催するほか離転職者を対象に介護職員として働くための実践的な職業訓練を実施いたします。これらに加えまして、九月に開催するふじのくにケアフェスタ二〇一三における介護の魅力発信や介護職員の賃金水準向上などにも取り組んでまいります。
 今後も産業界や教育界、労働界、行政におけるあらゆる機関と連携し、学生や求職者、企業等それぞれのニーズの把握に努め、効果的なマッチング支援に取り組んでまいります。
 次に、成長産業の育成、創出についてであります。
 県では、経済情勢の変化に対応できる多極的な産業構造の構築を目指し、静岡新産業集積クラスターの推進に加え環境や医療健康を初めロボット、航空宇宙など成長産業分野への地域企業の参入支援に取り組んでおります。今年度は特に事業化や販路開拓支援に重点を置き、事業規模を倍増した新成長産業戦略的育成事業を創設するなどこうした取り組みを強化拡充いたしました。
 事業化支援の面では、日本人医師が使いやすい脳外科手術用の電動ドライバーや自動車・航空機部品として利用が進む炭素繊維樹脂などを効率よく成形する装置の開発などへ助成を採択しております。
 販路開拓の面では、国際ロボット展など首都圏の展示会への出展のほか九月には、トヨタ自動車本社に県内企業四十四社が新技術や新製品を提案する商談会を開催するなど支援を拡充いたします。また中国浙江省での環境ビジネス商談会の開催に加え、ハワイ州で開催されるクリーンエネルギーに関する展示会に県内企業七社が初めて参加するなど地域企業の海外でのビジネス展開につなげてまいります。
 県といたしましては、引き続き産業支援機関、金融機関などと一体となり地域企業に対する技術相談から研究・試作品開発、事業化、販路開拓までの一貫した支援に取り組むことで新たな成長産業の育成、創出に努めてまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 安倍教育長。
       (教育長 安倍 徹君登壇)
○教育長(安倍 徹君) 教育行政についてのうち、初めに実学の奨励についてお答えいたします。
 これまでも主に専門学科等における職業教育や職業について理解を深めるキャリア教育の取り組みにおいて実学の充実を図っており、各学校の実情に応じた特色ある教育活動が実施されているところであります。
 県教育委員会におきましても、身につけた知識や技術等を社会に役立てようとする心を育むため生徒が地域に向けてアイデアを発信したり、社会貢献活動を行ったりする機会の充実やそれぞれの地域の自然環境や伝統文化を活用した体験活動の推進に努めており、このような活動におきましても実学を学ぶ場面が多いと考えております。
 さらに、昨年度から関係部局と連携し農業、商業、工業などの職業を主とする専門学科等に在籍する生徒のうち、特に学業、技能に関する業績が優秀で取り組み姿勢等が他の模範となると認められる生徒に対し、知事褒賞を授与する制度を創設し職業について学ぶ生徒の励みとするとともに職業教育に対する理解と促進、奨励に努めております。
 また、経済社会の急激な変化や本県の職業を主とする専門学科の卒業生のうち、四割以上が大学や短期大学、専修学校等に進学している状況から生徒が持っているすぐれた資質能力を一層伸張する必要があると考えております。
 このようなことから、今後は現在開催されております高校と大学の連携・接続のあり方検討委員会での検討状況を踏まえ、知識、技術の高度化等に対応した職業人を育成するために高等学校段階における実学の一層の奨励に努めてまいります。
 次に、命を守る教育の充実についてであります。
 県教育委員会では、命を守る教育の充実を本年度教育行政の基本方針の第一に掲げ、子供たちがみずから危険を予測し回避する力の育成を最重点施策として取り組んでいるところであります。
 そのため、生活安全、交通安全、災害安全の三つの視点から児童生徒の発達段階に応じた系統的かつ横断的な指導が毎日の授業で行われるよう、本年三月に教職員用の指導資料「命を守る力を育てる」を作成し、全ての公立学校へ配布をいたしました。本資料を活用し例えば小学生が生活科の授業で学区の探検で発見したことと日常の登下校を関連づけて学んだり、中学生が理科の授業で地震発生の仕組みと実際の情報とを結びつけて学習したりしています。またそこで得た知識を防犯教室や避難訓練等の実践的な活動を通じて行動につなげることができるよう教職員に指導しております。
 今後、各学校での実践事例を取りまとめ担当者研修会等で活用するなど学校における安全教育を一層推進するとともに、通学路安全対策アドバイザーや避難方法について指導助言を行う防災アドバイザーを学校に派遣するなど関係機関と連携を図りながら、命を守る教育の充実に努めてまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 島根警察本部長。
       (警察本部長 島根 悟君登壇)
○警察本部長(島根 悟君) 大規模イベント、祭典等の警備のあり方についてお答えいたします。
 従前より警察は大規模イベントや祭典等各種行事の警備につきましては、主催者と連携して見物客等の安全の確保を図る観点からイベント等の趣旨、目的を踏まえた警備を実施してまいりましたが、御指摘のとおり平成十三年に発生いたしました兵庫県明石市における雑踏事故以降は、事故を教訓とした警察庁の指導に基づき、それまで以上に主催者側と連携して事故防止に万全を期しているところであります。
 イベント等の雑踏警備を実施するに当たっての基本的な考え方でありますが、まず主催者には事故のない安全なイベント等を開催するために雑踏事故の未然防止を図っていただく観点から警備計画を策定するなどして必要な対策を講じる自主警備を実施していただくこと、そして警察は主催者に必要な指導助言を行うほか、必要に応じまして警察官を現場に配置するなど主催者等と連携した雑踏事故防止対策を講じることであります。
 具体的には警察では、事前に入念に検討いたしました警備計画に基づきイベントや祭典等の当日には、主催者等と緊密に連携して常に雑踏状況を把握しつつ主催者側の配置したボランティアその他の整理員に加えまして、雑踏が集中する箇所や交通規制が必要な箇所に警察官を重点的に配置し必要に応じてアナウンス等により雑踏の整理を行うなどしております。
 今後とも行事の内容、性格等に十分配意いたしまして、祭典等を楽しむ見物客等の安全の確保に努めてまいりたいと考えております。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 六十七番 野澤義雄君。
       (六十七番 野澤義雄君登壇)
○六十七番(野澤義雄君) 二点伺います。
 新たな子育て支援について知事に御答弁いただきましたが育児の大切さというものが知事の言葉から伝わってまいりますが、例えば御両親がそれから祖父母等が責任からあるいは本能と言ってもいいですかね。それから愛情であるとか、そういったもので自然に日常の営みとして子育てをしているというのが昔からの実態ではないかというふうに思います。そういったところに果たして仕事という領域の概念を持ってきていいのかどうか。
 知事が御答弁なさったのは、保育所等に出向いてそこに御自分のお子さんも預けながら自分の経験を生かして、それをお手伝いすることが仕事であるというような考え方は大いに結構だと思いますが、さきに述べましたようにさまざまな多様な状況が、子育てと一口に言ってもあるものですから、その辺のところの哲学というか考え方というか、そういうものを改めてもう一度知事にお考えをどの程度まで、それでは新たな子育てということで仕事という捉え方で考えて施策に持っていこうとしているのか、伺いたいというふうに思います。
 もう一点は、富士山静岡空港についてのうちの空港運営体制の見直しについてでありますけれども、新たな運営体制それから管理運営体制の一元化等々いろいろなプランが出ております。当然それには収支を向上させていかなければならないわけですけれども、そういった新たな体制をつくることによって収支が向上していくというようなことではもちろんありますけれども、第一義的には着陸料をふやすということが空港ですから大事だろうというふうに思いますし、そのためのさまざまな工夫、努力が必要だというふうに思います。
 もう一点、非航空部門での収益というのが、これが実は大事なんだということで私どももいろいろな海外事情調査や視察に行っても口をそろえて担当者が言ってるというようなこともそれぞれの議員が耳にしたりしておりますので、着陸料のみならず非航空部門の充実ということを視野に入れた新しい取り組みの方針ということになっているのかどうか、そこをお伺いをしたいというふうに思います。以上です。
○副議長(渥美泰一君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇) 
○知事(川勝平太君) 子育て支援についての考え方についての再質問にお答えを申し上げます。
 議員御指摘のとおり、私どもが育った時代におきましては、生まれてきた赤ちゃんはお父さん、お母さん、あるいはおじいちゃん、おばあちゃん、そうした方々の無償の愛情をふんだんに受けて育てる。あるいはまた近所の方々の愛情を受けて育つという、そうしたのが当たり前でした。しかし今日におきましては、先ほどいみじくも言われましように若いお父さん、お母さんが共働きをされていると。またそれは男女の共同参画社会という新しい時代の流れの中でお子様を産んで、どのようにして育てるかということが大きな社会的な課題にもなっているというふうに思うわけです。
 同時にまた子供の数が、本県の場合ですと合計特殊出生率が最新の数値では一・五二ということで、要するに一人強ということでお子さんが少なくなっております。そうしたお子さんはおじいちゃん、おばあちゃんと御一緒になかなか生活できない。それは物理的に離れているというようなことがあって、かつお母さんはまだ若くて、そして子育ての経験がないものですから、いろいろに悩んでいるという実態もございます。
 そうした現実を踏まえまして、いずれは子供を保育園に預けて仕事に戻るという今実態があるんですけれども、地域の子供は地域で育てるという新しい哲学もございます。そうしますと、それをもう少し具体的に形にすればどうなるかといいますれば、そういう子供を育てるプロフェッショナルというのが保育ママであったり保育士であったりするわけですね。ですからそこのところに赤ちゃんを連れて、一人でアパートやマンションで悩むのではなくて、お母様方がそこにいると。そうするとそこに同じような赤ちゃんを持っているお母さんがいますとすれば、二歳の子供を持っているお母さん、一歳のお子さんを持っているお母さん、あるいは三カ月程度のお母さんが一緒にいますと、二歳の赤ちゃんを持っているお母さんは先輩お母さんになりますから、その先輩お母さんから、今生まれたばかりの赤ちゃんを持っているお母さんはいろいろ学ぶことにもなるでしょう。それは母親力をつけるということにもなると考えます。
 同時にまた、そこには保育ママや保育士がいらっしゃるということになれば、それぞれの発育段階に応じたいろいろなアドバイスも受けることもできるでしょう。
 一方でそこにいること自体が自分の子供がすやすや眠っているとすれば、周りでむずかっている子をあやしたり寝かしつけたりするということは、それ自体がその保育の手伝いになっているということでございます。
 一方こうした若いお父さん、お母さんというのが経済的には一番厳しいときでありますので、その中でどうしても必要なものがあります。それがミルクでありあるいはおしめであるということは、これは共通のものでありますので、こうしたことを、つくっている会社がそれを支援したいということであれば、どういうことができるかということで、今先ほど申しましたようなクーポンとかポイントですか。そうしたことが考えられるということで、今その話が進んでいるということでございます。
 原点に帰れば子供は無償の愛情を受けて育つというものでございますけれども、一方でその愛情が十分に注がれないまま育っているという場合もございますので、そうした現状を踏まえて多くの地域の方々の、またプロフェッショナルの愛情を受けながら、かつ経済的にもそれなりの援助を得て子供を育てるということができないかということですね。
 昔から「しろがねも黄金も玉もなにせむにまされる宝子にしかめやも」と言います。つまり金銀財産にも増して一番大切な宝は子供だと。だからその子供はみんなで育てようと。だから宝物を育てるにはそれなりの対価がかかるということです。
 そして、今までこうしたものはシャドーワークというふうに言われて、つまり家事で子供を育てるのは当たり前だと言われていた。ところが違うのだと。これは実際は対価を伴うべきもので、賃金の中にそうした母親の育児も入り込んでいる家族賃金だという考え方も今、共通の認識になりつつあります。シャドーワークということであれば、それをシャドーでなくて表のワークにするということができるということで、今申しましたような仕組みを今模索しているということでございます。
○副議長(渥美泰一君) 長島交通基盤部長。
       (交通基盤部長 長島郁夫君登壇)
○交通基盤部長(長島郁夫君) 富士山静岡空港について、空港運営体制の見直しの再質問についてお答えいたします。
 先導的空港経営検討会議の答申にもありましたが、空港利用者の満足度を高めること、すなわち空港利用者が楽しめて安らげる空間の確保それから静岡の玄関口としてのおもてなしの空間ということで、飲食店や物販の充実、また空港利用者が楽しめる空間の確保、休憩できる場所の拡大ということが、非航空系収入の増加を図ることにつながると思います。これをもとに空港施設使用料等の負担軽減等を行って新たな航空路線の誘致、そのことによってさらにまた収入増を図っていくというような好循環を生み出す仕組みが収支改善に寄与するものと考えております。
 来年度からは、空港基本施設とそれから旅客ターミナルビルの管理運営を一元化しまして、新たな運営体制を構築するとともに、空港ターミナルビルの機能向上を行うこととしております。こういうことを通じまして、収支改善に向けて積極的に取り組んでいきます。以上でございます。

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