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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成31年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

木内 満 議員

質問分類

一般質問

質問日:

02/19/2019

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 富士山世界遺産センターについて                 
 (1) 誘客戦略と地域への波及効果                  
 (2) 周辺の安全と景観に配慮したまちづくり             
2 静岡県ソフトボール場の利活用推進について                 
3 沿道区域の指定による効果的な道路管理について          
4 富士山麓の道路整備について                   
   国道四百六十九号の精進川以西の整備              
5 医師及び看護職員の確保対策、偏在解消について


○副議長(落合愼悟君) これで大石裕之君の質問は終わりました。(拍手)
 次に、七番 木内 満君。
       (七番 木内 満君登壇 拍手)
○七番(木内 満君) 私は、自民改革会議所属議員として知事、副知事、関係部局長に分割質問方式にてお伺いいたします。
 初めに、富士山世界遺産センターについてのうち、誘客戦略と地域への波及効果について伺います。
 静岡県富士山世界遺産センターは、開館からの一年間で約五十一万七千人が訪れ、平成三十年度の入館者数は目標の三十万人を大きく上回る五十万人に届くかどうかという水準で推移をしております。
 開館当初は、富士・富士宮地元二市を中心に県東部、中部にお住まいの方が多く入館されましたが、その後県西部と県外からの入館者も徐々に増加しているようです。年代別には三十代以下の若い世代に増加傾向が見てとれます。開館当初は家族単位での来館が多かったのに比べ団体客の割合が顕著にふえつつあります。また開館から日も浅いこともあるかもしれませんが、リピーターはまだ少ないようです。
 これらの傾向から、二年目以降の誘客戦略として県外、若年層、団体、リピーターといったキーワードが浮かび上がってまいります。またことしは県外にアピールする絶好の機会としてのデスティネーションキャンペーンの本番も控えています。こうした背景を踏まえ富士山世界遺産センターの二年目以降の誘客戦略をどのように描いておられるのか、県の考えと意気込みを伺います。
 センター開館以降、センターと浅間大社周辺を歩く観光客は目に見えて増加しました。中心市街地の飲食店などではその効果が実感できているというような声も聞こえてまいりましたが、まだ富士山世界遺産センターの波及効果は限定的であると感じています。富士山世界遺産センターを中心とした目的地としての魅力向上のためには、センターを訪れた来館者がスムーズに地域の魅力的な資源にアクセスできる連携体制の整備が欠かせません。その努力は地域への経済波及効果はもちろんのこと、結果として富士山世界遺産センターの魅力向上、富士山そのものの魅力向上にもつながる取り組みであると考えます。
 富士山世界遺産センターの地域への波及効果について県はどのように考え、具体的にどのような施策を展開していくのか、考えを伺います。
 次に、富士山世界遺産センター周辺の安全と景観に配慮したまちづくりについて伺います。
 富士山世界遺産センター開館以降、富士宮市の中心市街地を歩く観光客の数は目に見えて増加いたしました。また世界遺産センターと浅間大社を目指す車の数も増加し、センター開館前には見られなかったほどの渋滞が発生するようになりました。
 富士山世界遺産センターと富士山世界文化遺産の重要な構成資産である富士山本宮浅間大社を囲む周辺のエリアは、浅間大社の大鳥居前の門前町として発展し、現在も商店街を形成する県道富士富士宮由比線が東西に延び、登山道である県道富士宮富士公園線が南北を貫き大月線として親しまれた県道富士富士宮線に囲まれております。富士山世界遺産センター周辺の五百メートル四方程度のエリアは、三つの県道が三カ所で交差し山梨県と岳南地域、駿河湾までを結ぶ交通の結節点であり、同時に世界遺産のまちとしての景観を形づくっております。このエリアを景観と安全に配慮したまちづくりのモデル地域として静岡県に主体的な整備をお願いしたく思っております。
 そこで、以下三点の具体的な要望とあわせて静岡県の取り組み方針を伺います。
 開館後、急激にふえた観光客は徒歩で回遊する方が多く今まで余り問題にならなかった歩道の整備が問題になりつつあります。特に富士山世界遺産センターのすぐ南東に位置する県道富士富士宮線の南神田橋は、歩道が北側にしかなくその前後に比べ歩道の幅が狭くなっている上に東に向かう車が右折を急ぐ余り右折レーンの存在しない南神田橋の上まで左右に並ぼうとするため、歩道すれすれを通り抜けようとする車も多く危険性が高まっています。歩行者の安全確保を図りつつ車道に余裕を持たせるためにも、南神田橋の北側に歩行者専用の側道橋を設置してはいかがでしょうか。県の考えを伺います。
 また、今年度南神田橋では長寿命化のための補修工事を行っていますが、多くの市民より高欄はきれいにならないのかとお声をいただいております。朱塗りの富士山本宮浅間大社にふさわしく朱塗りの高欄をという意見もあれば、富士山世界遺産センターの意匠を邪魔しないすっきりとしたものがよいのではないかという意見もありますが、いずれにせよ今後の整備の中で景観との調和を意識したデザインの採用は必要不可欠に思いますが、県の考えを伺います。
 次に、富士山世界遺産センター周辺エリアの無電柱化についてであります。
 富士山世界遺産センターから眺める富士山の美しさは筆舌に尽くしがたいものがあり、天気がよい日には最上階の展望テラスを動かないお客様が多く見られます。また富士山世界遺産センターと富士山を同じ構図で写真におさめようとカメラを構える観光客も後を絶ちませんが、まことに残念なのが電線の存在です。一部の電柱は、東京電力パワーグリッド様の御協力もいただき高さを下げるなどの対応もとっていただいたようですが、富士山世界遺産センター周辺の無電柱化を強く求めていきたいと考えています。
 富士山世界遺産の構成資産の一つである白糸の滝の周辺では、交差点のラウンドアバウト化とともに無電柱化に取り組んでいただき、富士山の美しい眺望を電線に遮られることなく堪能できると多くの方から好評をいただいております。前述のとおり三本の県道が交差しながら景観を形成する富士山世界遺産センター周辺エリアは、県が主体的に関与し無電柱化に取り組むことで富士山世界遺産センターとあわせて静岡県のまちづくりにおける象徴的なエリアとなり得るのではないかと考えますが、このエリアの外周となる県道の無電柱化について県の考えを伺います。
 次に、静岡県ソフトボール場の利活用推進について伺います。
 富士宮市の山宮スポーツ公園の中にある静岡県ソフトボール場は、平成十年の第九回世界女子ソフトボール選手権大会のメーン会場として使用された観客収容数五千人、夜間照明設備を有し外野には天然芝を使用するなど当時東洋一と言われたソフトボール専用球場です。昨年二月議会の一般質問でお伺いしましたグラフィックボードなどの大規模改修につきましては、平成三十一年度中の修繕完了の方向性をいただきましたこと県当局並びに県議会にお礼申し上げます。
 静岡県ソフトボール場は、静岡県が設置し大規模修繕に関しては静岡県が、日常的な管理運営と小規模修繕については富士宮市が行うことを平成十年二月十六日付の覚書で県、市が合意しておりそのように管理運営を行ってまいりましたが、利活用推進についてはその責任範囲や推進主体は明確に定まっていないと認識しております。国際的な大会の誘致やソフトボール一部リーグの定期戦の開催については富士宮市のみの誘致活動では振り向いていただけない場面も多く、今回の総額一億八千万円余の予算を投じて改修を行っていただく機会を捉えて積極的な利活用推進を行っていくためにも、利活用推進における県の積極的な関与を求める声が富士宮市、競技団体から大いに高まっていることを感じます。
 昨年二月議会での私の質問に対する答弁の中でも、利活用推進について当時の西田文化・観光部長よりその重要性にも触れていただいており、県、市が共同して利活用推進を行っていく体制の整備を求めていきたいと考えています。具体的には県、市、競技団体などで構成する利活用推進協議会のようなものを立ち上げ、それぞれがその役割と能力に応じて大会誘致などの利活用推進を積極的に行っていくような明確な位置づけを県が主体的に行っていく必要があると考えておりますが、県の考えを伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(落合愼悟君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 木内議員には、富士宮市に特化した御質問ありがとうございました。
 私は、冒頭の富士山世界遺産センターについてのうち、誘客戦略と地域への波及効果についてお答えを申し上げます。
 静岡県富士山世界遺産センターは、一昨年十二月の開館から先月末までの来館者数が御案内のように五十五万人を超え多くの皆様に御来館いただいておりますが、議員御指摘のとおり引き続き多くの皆様にお越しいただくためには国内外に向けた誘客の取り組みが必要でございます。
 これまでの取り組みの中では、昨年センターの研究員が富士山の価値である芸術の源泉に関する研究成果に基づいて企画なさった「富士山絵画の正統」展において厳選した江戸時代の名品をわかりやすく紹介したところ、テレビの全国番組で取り上げられ多くの方々に御来館いただきました。テレビ放映によりセンターの取り組みが県内外の皆様の目に触れ、来館のきっかけになったものと考えております。
 そこで、今後もセンターでは魅力ある企画を展開することとしております。例えばこの春から映像シアターの新番組として国際宇宙ステーションからの映像などで構成する「宙の巻」を上映するほか、五月の大型連休からは「徳川将軍と富士山」展を開催し、さまざまな広報媒体で取り上げていただくように努めます。また誘客の一環として教育旅行の受け入れに積極的に取り組んでおります。これまでに県内及び首都圏などから延べ百校の学生を受け入れたほか、海外からは台湾とデンマークの延べ三校の学生を受け入れてまいりました。今後も学生向けの見学プログラムを作成し積極的に受け入れてまいります。
 このように、話題性のあるさまざまな企画を行い首都圏などでのPR活動や教育旅行の受け入れを積極的に行うことで、県外また若年層を初めとする新たな来館者の掘り起こしやリピーターの獲得を図ってまいります。
 また、来館者アンケート調査の結果、開館当初と比べ団体や県内への宿泊を伴う来館者がふえています。そこでこの流れを捉え来月には地元の観光団体等と連携し、センターを起点に人穴富士講遺跡や地元の酒蔵など魅力あるスポットをめぐるファムトリップを行うなど、地域の魅力を情報発信して来館者の岳南地域への周遊を促進することにより波及効果の向上に努めてまいりたいと思っております。
 この件に関連しまして、富士山世界遺産センターと並ぶ本県のふじのくに茶の都ミュージアムがございますが、その館長先生の御提案によりまして島田市、牧之原市、吉田町並びに県そして茶の都ミュージアムまた八ヶ岳モールマネージメント、大井川鉄道、富士山空港株式会社、これらでいわゆる周辺地域情報共有会議というものが設置されました。今富士宮は本宮さん、センター、あるいは白糸の滝、あるいはラウンドアバウト等々、点としてすばらしくいいものがございますけれども、できれば富士市も視野に入れながら例えば駅伝では富士市と一緒にやっておられますので、そうした広域の、この情報を共有しながら議員の言われるこの波及効果というものを探っていかれればどうかというふうに思うところであります。
 いずれにしましても、センターの集客を核といたしまして地元岳南地域への誘客促進を図るとともに世界遺産富士山の顕著な普遍的価値を幅広く発信し、今後も富士山をきわめ勉強するということでございますが、皆様に伝える拠点として絶えず進化し、多くの皆様が県内はもとより国内外から幅広く御来館いただけるよう本県が世界に誇るセンターとなるように取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(落合愼悟君) 平野交通基盤部長。
       (交通基盤部長 平野忠幸君登壇)
○交通基盤部長(平野忠幸君) 富士山世界遺産センターについてのうち、周辺の安全と景観に配慮したまちづくりについてお答えいたします。
 一昨年の十二月末に開館した富士山世界遺産センターは、年間目標の三十万人を大幅に上回る約五十万人の来館者があり、センター周辺の県道を取り巻く環境が大きく変化をしております。
 県道富士富士宮線の南神田橋につきましては、車両や歩行者の増加に伴い歩行者の安全性の向上を早急に図る必要が生じておりますことから、来年度側道橋の新設等について調査に着手いたします。また高欄につきましては早期に補修が必要な状態であるため、損傷したコンクリート断面を修復し保護する工事を今年度内に完了する予定であります。今後は側道橋新設等の調査の結果を踏まえて高欄のデザインを検討してまいります。
 県道の無電柱化につきましては、これまでに浅間大社へ向かう神田川沿いの県道富士富士宮由比線の約二百十メートル区間が完了しております。この区間の南端から世界遺産センター入り口までの県道富士富士宮線約百三十メートル区間は、優先度が高いことから無電柱化の実施に向けた調査費用を二月補正予算に計上し本議会にお諮りしているところであります。その他の外周区間につきましては地域の皆様や電線管理者の御意見を伺いながら今後検討してまいります。
 県といたしましては、富士山世界遺産センター周辺におきまして景観と安全に一層配慮し世界遺産を核としたまちづくりが実現するよう、市や関係機関と連携し地域の声を聞きながらまちの骨格をなす県道の整備を着実に進めてまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 渡邉文化・観光部長。
       (文化・観光部長 渡邉眞一郎君登壇)
○文化・観光部長(渡邉眞一郎君) 静岡県ソフトボール場の利活用推進についてお答えいたします。
 静岡県ソフトボール場につきましては、本県ソフトボール競技の拠点としてふさわしい機能を確保するため、グラフィックボードの改修等に係る予算を本議会にお諮りしているところであります。改修後には全日本中学生女子ソフトボール大会等の全国大会が開催されるなどスポーツを通じた交流の一層の促進が期待されております。今後さらなる利活用の推進を図るためには、全国でも数少ないソフトボール専用球場としての魅力をアピールし日本女子リーグ一部大会やこの秋に出場国が決定する東京二〇二〇オリンピック女子ソフトボール競技の事前合宿、さらには国際大会などのハイレベルな競技大会の開催に向けて誘致等を積極的に進めていくことが重要であります。
 このため、県では来年度県ソフトボール場を初めとする競技施設の利用状況や宿泊施設の集積状況等を調査し、スポーツ合宿や大会等の開催地にふさわしい多彩な施設を有する本県の高いポテンシャルを展示会やイベント等で関係者にPRする静岡ブランドセールスを新たに展開してまいります。
 国際大会等の誘致には、施設設置者の県、管理運営を担う市や指定管理者、大会運営を主管する競技団体に加え選手や観客を受け入れる宿泊施設や交通事業者、地域の皆様等との連携が不可欠であります。議員から御提案いただきました利用促進協議会の設置も視野に関係者と円滑な調整を図り、連携して県ソフトボール場の一層の利活用を推進してまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 木内 満君。
       (七番 木内 満君登壇)
○七番(木内 満君) それでは、二点要望をさせていただきたいと思っております。
 まず、世界遺産センターの誘客戦略並びに波及効果につきましては知事より御答弁いただきましてまことにありがとうございます。
 教育旅行の受け入れ、そしてファムトリップによる地域への波及効果を拡大していくという戦略については全くそのとおりだと思っています。また知事が御答弁の中で御提案いただきました広域での連携体制の構築についてはまことにおっしゃるとおりでありますし、すばらしい考え方であると思っております。ぜひともその広域的な連携体制の構築に向けては、県からも働きかけをいただきまして体制の構築を急いでいただければと思っております。
 また、世界遺産センターの中で先ほど富士山絵画の正統のテレビ放映にも触れていただきましたが、富士山世界遺産センターにおいて本物と言えるものというと大変映像を使った展示はすばらしいものがありますが、富士山世界遺産センターで今本物を見るというと建物と富士山がメーンになってくるかなと思っています。ここはひとつぜひ長期的に文化財と呼べるものを常設展示できるようなものを加えていただくことが長期的な誘客戦略にもつながってまいると思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 ソフトボール場の利活用推進につきましては、県、市でしっかりと連携体制をつくっていただきたいなと思っています。今まで利活用推進についてはどこがやるんだと、どっちが言うのかを両方ともお見合いをしているような状況があったと思っています。ぜひ、県から主体的な働きかけを要望したいと思っております。
 それでは、質問を続けさせていただきます。
 次に、沿道区域の指定による効果的な道路管理について伺います。
 昨年九月の台風二十一号により、県道上稲子長貫線が風倒木により寸断され上稲子地区は孤立状態に陥りました。さらに道路を完全に塞いだ風倒木は道路の山側に設置されていた電柱もろとも電線をなぎ倒し、被害現場以北は全て停電状態に陥りました。稲子地区にお住まいの皆様は災害のたびに孤立状態になる危険性を感じながら生活をしておられます。今回被害に遭われた稲子地区のみならず、こうした不安を日々抱えている方は静岡県内に大勢おられます。こうした不安の解消のために道路管理者である静岡県、現場の土木事務所の皆様は交通に支障を来しかねない枝の切除や落石の危険のある浮き石の除去などの努力を積み重ねていることは承知しており、この場をかりてその努力に敬意を表するものであります。
 また、道路管理者の事業ではないものの、森林景観整備事業や荒廃森林を再生する森の力再生事業を通じて人工林の間伐等によりカーブしている道路内側の見通しがよくなることで早期に危険を察知できるという副次的な効果を喜ぶ声も聞こえており、景観に配慮した道路は安全につながることは確かであります。同時に見通しの悪い道路を危険と感じることは無理からぬことであろうと思います。
 こうした事業や日ごろの道路保全活動が及ばないのが所有者不明土地、権利関係が複雑で地権者の同意を簡単には得られない土地等です。道路区域外の沿道に関しては、国は政令で県、市町は条例で指定することで沿道の土地所有者に対して危険防止措置を命ずることができることが道路法に明記されておりましたが、実効性がないことを理由に国道に関する政令も法施行以来一度も定められたことはありませんでした。
 大きな転機となったのが、平成二十八年に島根県邑南町で発生した沿道からの落石による死亡事故でした。この事故は県道脇の斜面から落下した直径一メートルの落石が軽自動車の助手席を直撃し十八歳の大学生が死亡するという大変痛ましい事故でした。この事故を機に国において道路法の改正が議論され、昨年三月三十日の道路法の改正で国及び地方自治体に対し沿道区域の土地所有者への損失補償を前提とした危険防止措置命令権限が付与されることとなり、九月三十日には国が沿道区域指定の基準に関する政令を初めて定めるなど道路行政における大きな転換点を迎えています。
 富士山周辺においても、沿道の荒廃森林から伸びた枝が観光バスなどの通行を妨げている箇所の枝の切除の要望も多く寄せられております。また今後オリンピック・パラリンピックなどでアクセス道やロードレース等で活用される県東部・伊豆地域においても沿道の樹木から道路に伸びた枝の切除等が必要な箇所は多々あることが予想されます。こうした沿道の放置森林に対し現状は道路上に伸びた枝を切除するにとどまっていますが、枯れ木が倒れる危険性なども考えれば鬱蒼と茂る放置森林そのものが見通しの悪さも含め危険の温床となっていることも指摘しておきます。
 沿道区域の指定は、私権の制限との兼ね合いから慎重な運営が求められる点は承知しておりますが、道路の安全確保、風倒木などによる停電の回避、世界に誇る美しい景観と調和した道路空間の形成にもつながるものと考えます。沿道全ての危険の排除に県が責任を持てるものではないと承知はしていますが、特別にニーズの高い場所については沿道区域の指定による道路管理と副次的な効果としての景観と調和した道路空間形成の可能性を研究する意義はあると考えますが、県の考えを伺います。
 次に、富士山麓の道路整備についてのうち、国道四百六十九号の精進川以西の整備について伺います。
 国道四百六十九号は、富士南麓道路の名前でも親しまれているように富士山南麓地域を御殿場市から裾野市須山、富士市大渕、富士宮市北山を通過し、旧芝川町の稲子を経て山梨県南部町に至る総延長約六十五キロメートルの県管理国道です。富士山南麓を東西につなぐ国道四百六十九号は交通が集中する沿岸部の国道一号、東名、新東名高速道路の内陸側を並行して結んでおり、建設予定の新東名御殿場インターチェンジと中部横断自動車道とを内陸部でつなぐバイパスとしての役割も期待される道路です。また富士山南麓の各市町を東西につなぐ幹線道路として防災面や観光面でも大きな役割を果たしている重要な路線です。
 現在、国道四百六十九号の東側、御殿場市内で整備が進められており、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックにおけるロードレースのコースにもかかることから早期の完成を強くお願いいたします。
 一方、国道四百六十九号が本来期待されている我が国の大動脈である東名、新東名、国道一号の内陸側バイパス機能を十全に発揮するためには、国道四百六十九号の西側、特に富士宮市内の精進川地区より西側の整備を進め新東名高速から中部横断自動車道へ接続させる必要があります。中部横断自動車道の全面開通を間近に控え、国道四百六十九号の果たすべき役割が格段に高まっていることを感じます。さまざまな環境の変化を踏まえ改めて国道四百六十九号の全線整備完了が富士山南麓地域に与える経済的な価値、防災的な価値を再評価いただき国道四百六十九号の旧芝川町域を含む精進川以西の整備に対する静岡県の前向きな姿勢を示すべき時が来ていると感じます。
 旧芝川町にお住まいの皆様にとっても、幹線道路である国道四百六十九号で内陸側の往来が容易になることは悲願であり防災面からも切実な声があります。また富士宮市が事務局を務める国道四百六十九号建設促進期成同盟会の総会には、毎回山梨県南部町長も欠かさず出席しており山梨県側からの期待も大変大きなものがあります。
 富士山南麓地域を県境を越えて一つの経済圏としてつなぎ、我が国の大動脈の内陸側バイパスとして機能させ防災面でも必要性が高い国道四百六十九号を全線整備を進めることは私の県政における最重要課題の一つでもあり、旧芝川町にお住まいの皆様とのお約束です。
 そこで、未整備区間の多い国道四百六十九号の精進川以西の整備に向けた静岡県の考え方を伺います。また全線整備に向けての第一歩としては既に整備が完了している区間から西に隣接する精進川地区から着手していくことと存じますが、国道四百六十九号精進川地区の整備に関する静岡県の具体的な取り組みについて伺います。
 次に、医師及び看護職員の確保対策、偏在解消について伺います。
 静岡県の人口十万人当たりの医師数は、四十七都道府県中四十位前後で推移しており決して高いとは言えない水準にあります。その対応としては県はノーベル賞受賞者の本庶佑先生を学長とし医学への志を喚起するとともに、将来静岡県で勤務する意思のある医学生への医学修学研修資金の貸与を柱とした医師の確保対策などを通じて人口十万人当たりの医師数をふやすべく努力をしていることは承知しております。
 その成果として、直近の人口十万人当たりの医師数の増加数は他県比上位で推移しており、ふじのくにバーチャルメディカルカレッジを通じた医師確保の取り組みには一定の成果が出ていることは認めます。しかしながら県内の医師の偏在解消に向けた効果としてはどうでしょうか。
 人口十万人当たりの医師数が特に少ない賀茂、富士、志太榛原、中東遠の四圏域の中で、富士圏域のみが平成二十二年から平成二十八年の六年間の増加数で県内で比較的医師数の多い静岡、西部圏域を下回っており、富士圏域においては相対的な医師不足の度合いが拡大しているように見受けられます。圏域別の医学修学研修資金の貸与を受けた医師の勤務状況を見ると私が県議会議員になった平成二十七年時点の富士圏域での勤務実績が百九十九名中七名であり、この点を指摘し平成二十八年二月議会で医学修学研修資金貸与事業は県内の医師偏在解消に対し効果が限定的ではないのかとの問題を提起した翌年に十三名にふえたものの、その後頭打ちの状況が続いています。改めて現状の医学修学研修資金貸与事業は県内医師の増加には寄与できていても県内の医師の偏在解消に向けた取り組みとしては不十分なのではないかと問題を提起させていただきたいと思います。
 今後、県内の医師の偏在解消に向けどのように取り組んでいくのか、県の考えを伺います。
 また、医療の現場で患者様に寄り添う立場で重要な役割を担う看護の現場から慢性的な看護職員不足の深刻な状況の改善を求める声が寄せられていますが、今回人口十万人当たりの看護職員数を圏域別に比較したところ、医師と同様に富士、志太榛原、中東遠圏域で相対的に少ないという傾向が見てとれます。看護職員についても県内で偏在が生じているのではないでしょうか。
 県は、看護職員確保への取り組みの柱として養成力強化、離職防止、再就業支援、看護の質向上を掲げていますが、県内の看護職員の偏在解消にも目を向けていただき主体的に取り組んでいただきたいと考えますが、県の考えを伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(落合愼悟君) 吉林副知事。
○副知事(吉林章仁君) 医師及び看護職員の確保対策、偏在解消についてお答えをいたします。
 医師の確保対策は、本県にとって喫緊の課題でありますことから医学修学研修資金貸与制度を柱としたふじのくにバーチャルメディカルカレッジなどによりまして県内外の大学と連携して積極的に取り組んでおります。修学資金の利用者につきましては各地域の公的病院等からの要望をもとに配置をいたしまして本年度は三百六十五人の利用者が県内病院で勤務をしております。最新の人口十万人当たりの医師数は初めて二百人を超えたところでございます。
 しかしながら、医師の偏在につきましては昨日厚生労働省が公表いたしました医師偏在指標の試算では最も多い西部圏域と少ない賀茂、熱海伊東、富士圏域では百人以上の差があり、大きな課題であるというふうに認識をしております。
 そのため、創設から十年を経過した修学資金につきまして偏在解消においてもさらに効果のある制度となりますよう、今後は浜松医科大学や県内病院などの関係者から幅広く御意見を伺いながら見直しを進めてまいります。
 さらに、偏在の解消を進めていくには県外から若手医師を呼び込むため、十分な指導が受けられキャリアアップができる環境を整えることが重要であります。このため来年度から首都圏等の経験豊富な医師を指導医として招聘する東部地域の病院に対して支援を行う制度を創設し、研修体制の充実を図ってまいります。あわせまして国において今後確定をいたします医師偏在指標をもとに今後の医療需要を踏まえた医師の確保、偏在解消を目的とする医師確保計画を来年度に策定をいたしまして実効性のある対策を進めてまいります。
 次に、看護職員の確保につきましては地域の潜在看護師の活用が重要であります。
 県はこれまで、看護協会と連携をいたしましてナースセンター内に看護職員再就業支援センターを設置し、潜在看護師の就業あっせんなどに取り組んでおります。平成二十九年度にはナースバンク登録者の就業が千人を超えるなど着実に成果を上げております。
 来年度は、特に看護職員が不足している地域におきまして新たに医師会や市町等の関係者が協力して地域が求める人材や課題を企画段階から協議し、就業相談会や施設見学等を実施することでより効果的に潜在看護師の再就業につなげてまいります。さらに県内の看護師養成所と協力をいたしまして県外で勤務する看護職員に対するUターン、Iターンの働きかけを積極的に行うことで東部地域を初めとする県内への就業促進を図ってまいります。
 県といたしましては、今後市町を初め県内外の大学や病院、医師会や看護協会などの関係団体等と密接に連携をいたしまして医師及び看護職員の確保と偏在解消に積極的に取り組み、県内のどこでも必要な医療を受けられ安心して暮らせる地域づくりを進めてまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 平野交通基盤部長。
○交通基盤部長(平野忠幸君) 沿道区域の指定による効果的な道路管理についてお答えいたします。
 道路法に基づく沿道区域の指定につきましては、落石防止のための浮き石の除去や落石防護ネットの設置など土地の管理者等に対して受忍限度を超えて特別の負担を強制することになるため、これまでは実施が困難でありました。今回の道路法の改正によって道路管理者が指定した沿道区域内で危険防止措置を管理者等に対して命令した場合に講じた措置により生じる損失を補償することが可能となり、道路区域外の防災対策が進むことが期待されます。
 一方で、法令には交通に危険を及ぼす事象の範囲や必要最小限とされる区域の範囲、補償すべき損失の範囲などが示されておらず、運用については国から別途通知されることとなっておりますことから国の動きを注視しているところであります。
 県といたしましては、沿道区域の指定につきまして道路の構造の保全や交通の危険防止の観点だけでなく景観向上など副次的な効果も期待できますことから、今後の国や他県の動向を踏まえて研究を進め必要に応じて沿道区域指定の基準に関する条例の改正を検討するとともに、三次元点群データの導入等ICTの活用も図り、より効果的な道路管理に努めてまいります。
 次に、富士山麓の道路整備についてのうち、国道四百六十九号の精進川以西の整備についてであります。
 国道四百六十九号は、御殿場市内の国道百三十八号を起点とし富士山南麓を経由し山梨県南部町内の国道五十二号に至る延長六十五キロメートルの幹線道路であり、これまでに山宮バイパスなどの整備を進め県内六十二キロメートルのうち四十五キロメートルにおいて二車線が確保されており、現在は御殿場バイパス二キロメートルの整備を進めております。
 精進川以西の県内十五キロメートル区間における整備方針といたしましては、地形が急峻な桜峠区間五キロメートルにつきましては待避所設置による一・五車線的整備とし、その他の十キロメートル区間は二車線整備としております。また精進川地区二キロメートル区間の具体的な整備につきましては旧芝川町の市街地から白糸の滝方面への主要なアクセス道路となりますことから、御殿場バイパス優先整備区間の完成後速やかに事業着手できるよう来年度から道路線形の検討を行ってまいります。
 今後、中部横断自動車道の全線開通や国道四百六十九号の改良の進捗による交通状況の変化等が見込まれますことから、これらの状況を勘案しながら整備方針の検証を実施してまいります。
 県といたしましては、新東名高速道路や中部横断自動車道から富士山南麓地域へのアクセス道路となる本路線が富士山周辺の観光振興等に寄与するとともに、災害時にも緊急物資等の輸送に大きな役割を果たすことができるよう引き続き整備を推進してまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 木内 満君。
       (七番 木内 満君登壇)
○七番(木内 満君) それでは、一枚質問を飛ばしておりまして事前通告の上野バイパスの早期完成に向けた取り組みについて質問を飛ばしておりましたけれども、これはもうだめということで済みません。
 済みません。再質問を一点させていただきます。要望を一点と再質問を一点させていただきます。
 先ほど、国道四百六十九号の精進川以西の整備方針ということで桜峠については一・五車線、その他については二車線での整備の方針ということでお話がございましたが、これは現道の拡幅による整備ということでお考えであるということでよろしいのでしょうかという点について確認をさせていただきます。
 また、要望を申し上げます。要望としましては精進川地区の整備について東側が整備完了次第、すぐに着手をということでいただきましたので、こちら確実な着手をお願いをしたいと思っています。
 沿道区域の指定に関して御答弁をいただきましたが、沿道区域の指定に関するお話の中で落石の防止や落石防護ネット等についてのみ触れるような格好でお話があったように印象を受けましたが、平成二十六年六月に富山県内で沿道の倒木がスポーツカーのトヨタ二〇〇〇GTを直撃し大破したのは道路管理者の責任として訴訟が起こされ、昨年三月に総額一千七百八十七万円を支払うことで県と自動車の所有者が和解したという事案がございます。沿道の樹木に関する危険性についてもですね、今後国からの運用指針の中でも当然示されるべきものだと思いますし、沿道の樹木の整備といったものについて被害を受けた所有者の男性から和解をきっかけに全国の道路沿道の樹木の管理が見直されてほしいというようなコメントも出されておりますので、その点も考慮した上で国の方針をただ待つのではなく、県としても主体的に考えて沿道区域の指定による効率的な道路管理のあり方について検討を進めていただければと思っております。
 そういうことで、済みません。順番が前後しましたけれども四百六十九号の点について答弁を求めます。
○副議長(落合愼悟君) 平野交通基盤部長。
○交通基盤部長(平野忠幸君) 国道四百六十九号の精進川以西の再質問についてお答えいたします。
 現在の整備方針につきましては、平成二十五年度に将来の交通量を推計をして必要な車線数を検討した上で決定したものでありまして、現道拡幅を基本として今決定したものでございます。
 それと、精進川以西の整備でございますが、先ほど申しましたように御殿場バイパスの優先整備区間が完成後速やかに着手できるよう検討を行っているというところでございます。以上でございます。
○副議長(落合愼悟君) 木内 満君。
       (七番 木内 満君登壇)
○七番(木内 満君) 済みません。現道拡幅ということで平成二十五年に決定したということでございますけれども、また精進川地区の整備を通じてその間に中部横断自動車道が全線開通し、そのことによってですね、また費用対効果の考え方や道路の優先順位なども変わってくるかと思います。そういった環境の変化を今後よく踏まえていただいて整備の方針も再度検討いただくようなことも視野に入れていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。以上です。(拍手)
○副議長(落合愼悟君) これで木内満君の質問は終わりました。
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会の議事日程を申し上げます。
 二月二十日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会します。

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