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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和4年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

西原 明美 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/02/2022

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 誰もが安心して暮らせる交通安全対策の推進について
2(仮称)南アルプスみらい財団の設立について
3 県の組織体制について
4 フーズ・ヘルスケアオープンイノベーションプロジェクトの成果と今後の取組について
5 農業用水施設の持続的な保全管理について
6 二級河川黒石川流域の水災害対策について
7 県職員採用試験の応募者確保対策について
8 教職員の資質向上について


○議長(宮沢正美君)会議に先立ち、御報告いたします。
 本日は、説明者として井上人事委員会事務局長が出席しておりますので御承知おき願いたいと思います。

                              午前十時三十分 開議   
○議長(宮沢正美君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第二号から第七十六号までを一括して議題とします。
 ここで後半グループの議員が退出するため休憩します。
                              午前十時三十一分 休憩   

                              午前十時三十三分 再開   
○議長(宮沢正美君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により十四番 西原明美君。
       (十四番 西原明美君登壇 拍手)
○十四番(西原明美君) おはようございます。
 私は、自民改革会議の所属議員として通告に従い知事、副知事、関係部局長、人事委員会事務局長並びに教育長、教育部長に当面する県政の諸課題について一括質問方式にて質問いたします。
 初めに、誰もが安心して暮らせる交通安全対策の推進について伺います。
 平成二十四年に発生した京都府亀岡市での暴走事故は小学校へ登校中の児童と引率の保護者の列に軽自動車が突っ込み計十人がはねられ三人が死亡、七人が重軽傷を負った悲惨な事故であり、この交通死傷事故を契機に県内でも学校関係者と道路管理者、警察等が連携して合同点検と通学路の交通安全対策を継続的に行うことで安全で安心な道路環境が整ってきていることを実感しています。
 一方で、いまだに子供などが巻き込まれる痛ましい交通事故が後を絶ちません。昨年六月、千葉県八街市の市道において下校中だった小学生五人がトラックに巻き込まれる死傷事故が発生しました。現場は幅が約七メートルの道路でガードレールや区画線もない直線道路でした。
 県内でも昨年十二月、菊川市の市道で軽乗用車が登校中だった小学生に接触し、けがを負わせる交通事故が発生しました。様々な交通安全対策が施され交通事故件数は減少してきているとは言うものの、交通事故は通学路に限らず日常的に利用されている道路も含めいつどこでも発生するリスクがあります。日常生活で歩道がない道路で路肩を歩く児童の姿や区画線が消えた道路で車線を認識し切れずに対向車や、自転車、歩行者と近距離ですれ違う危ない場面を見かけることがあり、対策の必要性を感じています。
 我が会派では、交通の基盤となる道路整備、維持管理する道路管理者は県民一人一人の安全安心を守るため交通事故を撲滅するほどの意気込みでこれまで以上に効率的にまたスピード感を持ち、考えられる交通安全対策を強固に行っていくべきであると考え県当局に度重なる要望を続けてまいりました。
 そこで、我が会派からの要望を踏まえ誰もが安心して暮らせる交通安全対策の推進にどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、仮称南アルプスみらい財団の設立について伺います。
 南アルプスは二〇一四年にユネスコエコパークに登録されてから今年で八年目を迎えます。世界自然遺産が普遍的価値を有する自然を厳格に保護することを主目的とするのに対し、ユネスコエコパークは人間の干渉を含む生態系の保全と経済社会活動とが両立した持続的な発展を目指しています。
 県では、昨年度創設した南アルプス環境保全基金を財源として様々な取組を行っていることは存じておりますが、県民の中には南アルプスってどこにあるの、何があるのとの声があるなどまだまだ浸透していないように感じます。こうした中県では仮称南アルプスみらい財団の設立に係る予算を計上しておりますが、昨年夏に南アルプスを未来につなぐ会を、また先月には南アルプス学会を設立しており、それぞれの役割分担がどのようになっているのかよく分かりません。
 南アルプスの自然環境を守ることは大切ですが、守るばかりの組織ではなくユネスコエコパークの理念に立ち返り、自然環境を保全しつつ貴重な自然を活用し地域の持続可能な発展を目指すことが必要だと思います。
 そこで、コロナ禍で先行き不透明な状況の中またリニア中央新幹線南アルプストンネルの工事をめぐり生態系保全の問題を議論しようとしている今なぜ財団を設立しなければならないのか、財団の設立に至った経緯と財団が担う役割について伺います。またなぜ財団という形態を取る必要があるのか、将来的にもずっと県が費用を負担していくのか伺います。
 次に、県の組織体制について伺います。
 行政機関、民間企業を問わずその組織の中に多様な意見があり、議論が交わされることが仕事の成功か否かを左右します。行政機関は潰れることはありませんが、企業においては会社の存続と廃止をも左右することになります。行政機関の仕事は県民の生活に係る全ての分野に及び企画をする部門、事業を実施する部門、内部を管理する部門など多様な部門があります。それぞれの分野、部門の担当者がそれぞれの立場、任された責務において異なる意見を持ち議論を交わすことによって骨太な施策が立案、実施され県民の生活が豊かになっていくのです。
 現在の静岡県庁は、多様な意見に対する寛容性が低く活発な議論が交わされなくなっていると聞きます。これはトップの姿勢と組織の在り方が影響していると考えます。組織の在り方については議論が低迷している要因として平成三十年度の組織改編があります。それは経営管理部にあった財政課を総合政策課と同じ知事直轄組織に移したことです。総合計画の策定などを担当し将来の県の在り方を議論し県民に夢を与える部門と、限られた財源の中で事業の効率性を議論し特に事業担当部門に取捨選択を求める部門、行政の仕事の中でもある意味対局にある部門が静岡県庁においては知事直轄組織に置かれ一人の部長の下で総括されているのです。
 国内の四十七都道府県においても、この二つの課が一つの部局に併存しているのは本県含め六県でした。しかしその部局が知事直轄組織にあるのは本県のみです。
 知事は、これまで知事直轄組織の設置を迅速な意思決定と柔軟で機動的な対応を図るためとしこの組織改編の必要性を答弁していますが、現在の県庁ではトップマネジメントという名の下、結果的に知事の思うがままに施策が展開され現場の声が届かないなど多くの弊害が生じています。また知事は現場の声や関係団体からの意見を丁寧に伺い常に検証を怠らず不断の見直しを行う、柔軟で機動的な組織づくりに取り組むとも答弁されています。
 政策推進と予算編成の一体化に伴う組織改編後、四年が経過した現在の組織体制についてどのように評価しているか、また今年の令和四年度に向けた組織編成においてどのように検証され議論されたのか伺います。
 次に、フーズ・ヘルスケアオープンイノベーションプロジェクトの成果と今後の取組について伺います。
 県は、食品やライフサイエンス分野で優れた研究実績を持つ大学、研究機関などの地域資源を活用しフーズ・サイエンスヒルズプロジェクトを平成十四年度に立ち上げ、県中部地域を中心に食品関連産業への支援に取り組んできたものと承知しています。近年、超高齢化社会を背景とした健康寿命の延伸が重要課題となったことから、これまでのフーズ・サイエンスヒルズプロジェクトに健康の維持や増進に関する産業振興の取組を加え、令和二年度から新たにフーズ・ヘルスケアオープンイノベーションプロジェクトと名称を変え現在展開をしています。
 一方昨年四月、県民の健康寿命の延伸などを目的に静岡社会健康医学大学院大学が開学しました。ここでは健康に関する様々な研究が行われていると聞いておりますが、知事は以前研究成果の還元を大学院大学の役割とし、いかに社会実装できるかが大変重要な課題だと語り、健康づくりに欠かすことのできない健康関連産業いわゆるヘルスケア産業やスポーツ産業など社会実装に必要な関係者にも参画していただき取り組んでいただくと答弁しております。これら健康寿命の延伸が共通の課題であることから、フーズ・ヘルスケアオープンイノベーションプロジェクトで推進しているヘルスケア産業の振興には社会健康医学大学院大学の研究成果を最大限活用していくことが大事であると考えます。
 そこで、フーズ・ヘルスケアオープンイノベーションプロジェクトの二年間の成果について伺うとともに、ヘルスケアを中心とした本県産業の発展を通じた健康寿命の延伸への貢献という視点から社会健康医学大学院大学での研究テーマや成果はどのようなものであり、今後この研究成果を実社会に生かす、いわゆる社会実装を通じたヘルスケア産業の振興にどのように取り組んで行くのか伺います。
 次に、農業用水施設の持続的な保全管理について伺います。
 私の地元の藤枝市をはじめとする志太榛原地域は、県全体の生産量の七割を占める「誉富士」などの酒米や食味のよい新品種である「ミルキークイーン」などの水稲のほか、県下一の生産量を誇るレタスや施設園芸によるイチゴ、有機栽培のお茶など多彩な農作物が生産されています。私たちの地域である大井川平野の土壌は水がしみ込みやすく古くから水田はザル田と呼ばれ水不足に苦しんできましたが、大井川用水などの農業用水施設の整備により豊かな農業用水が安定的に確保され飛躍的に農業の生産性が向上し、多様な農業が営まれる地域に生まれ変わりました。
 しかし、これらの農業用水施設は既に更新整備が行われた国営幹線水路とともに高度成長期に集中的に整備されたことから、ほかの社会インフラと同様に老朽化が進行しております。このため万が一漏水事故などが発生した場合は用水機能が失われ、農作物の生育などに甚大な被害が生じるばかりではなく周辺の公共施設や宅地などへの被害も想定されるため、今後適切に更新整備を実施していくことが必要です。また農業用水施設の維持管理や農地への配水操作は土地改良区などにより行われておりますが、組合員の高齢化や減少に伴い日常的な管理や操作に支障が生ずることのないよう管理労力の軽減が求められております。
 志太榛原地域の大井川用水や牧之原用水のほかにも天竜川下流用水、三方原用水など多くの農業用水が農地を潤すことにより地域の農業生産を支えておりますが、県ではこれらの農業用水施設の持続的な保全管理に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、二級河川黒石川流域の水災害対策について伺います。
 近年、気候変動の影響により毎年のように全国各地で河川の能力を超える大洪水により甚大な被害が発生しています。国は頻発化、激甚化する水災害に備えるため河川管理施設では防ぎ切れない大洪水は必ず発生するものとの考えの下、河川管理者などによる対策だけではなく流域のあらゆる関係者が主体的に水害対策に取り組む社会を構築する流域治水に大きくかじを切り、その取組を始めました。県においても流域治水に取り組んでいくことと承知しています。
 藤枝、焼津市の両市を流れる黒石川はもともと農業用水として整備され、周辺の水田地帯を潤す役割を担ってきました。流域内では近年、幹線道路などの整備やJR駅周辺の開発、土地区画整理事業などの実施により土地利用の高度化が図られてきました。その一方で上流域の藤枝市内では浸水被害の発生が顕著になっています。
 黒石川は河口から約三・二キロメートル区間が県の管理、その上流を焼津市、藤枝市がそれぞれ準用河川として管理しており、管理者が県と二つの市となることから流域で一体的な浸水対策に取り組んでいくことが重要であると考えます。令和三年一月には志太地域流域治水協議会が設立され黒石川においても流域治水の取組が進められていくことと承知していますが、河川改修工事は一般に下流側から進めるため黒石川上流にある藤枝市内の住民は上流部の浸水対策が数十年先になるのではと不安を抱えています。このため流域治水の考え方に基づき、下流域だけでなく上流域も含めた流域全体で浸水被害の軽減対策に取り組むことが重要ではないかと考えます。
 そこで、黒石川流域の現状や流域治水の考え方を踏まえ浸水被害の防止や軽減に向けた現在の取組状況や市への支援策など県の考えを伺います。
 次に、県職員採用試験の応募者確保対策について伺います。
 本格的な少子高齢化が進む中、人手不足を背景に民間企業の採用が積極的に行われている一方、国や地方公共団体の職員採用試験の応募者数が年々減少傾向にあることが伝えられています。総務省によると地方公務員の受験者数と競争率は平成二十三年度が六十一万八千七百三十四人で八・八倍であったのに対し令和二年度は四十六万八千五百三十人で五・九倍にとどまっており、総務省では人口減少や少子化、社会情勢の変化や就業意識の多様化などが背景にあると分析しています。
 静岡県においても大学卒業程度の採用試験の応募者数は減少傾向にあり、採用予定者数の最も多い行政Tの受験者数と競争率は平成二十三年度が六百六十四人で九・〇倍であったのに対し、令和三年度では三百二十五人で三・五倍にとどまっています。一方近隣の神奈川県では八百七十三人で五・五倍であり、また私の地元藤枝市で現在公表している令和二年度では二百二十三人で五・六倍となっていることと比べると、静岡県の受験者数と競争率は低い水準にあるのではないかと感じています。また県と市町の採用試験の両方に合格した場合、広域行政を担う県職員よりもむしろ異動を伴う転居の心配が少ない市町職員を選択する受験者もいるなどこれまでと比べて静岡県が積極的に選ばれていないのではないかという危機感を持っており、優秀な人材の確保のためには職員採用試験の応募者確保対策がますます重要となってきます。
 民間企業を含め全国的に優秀な人材の獲得競争がなされている中で、静岡県職員が選ばれるためには、県職員採用試験の応募者の増加につながるような取組が必要と考えますが、人事委員会の所見を伺います。
 次に、教職員の資質向上について伺います。
 教育公務員特例法の一部改正に伴い静岡県教員育成協議会が平成二十九年六月に設置され、その協議会の中で教員の人材育成の指針となる静岡県教員育成指標が策定されました。県教育委員会においてはその指標に基づきキャリアステージに沿って総合教育センターでの初任者研修や教科別研修、管理職研修など様々な研修を通して資質向上に向けた取組を進めているものと認識しております。
 しかし、学校を取り巻く環境は大きく変化しておりGIGAスクール構想の進展やコロナ対応をはじめとした様々な課題への対応など教職員に求められる資質能力も多様化、複雑化しており、これまで以上に教師の力いわゆる教師力が求められ、さらなる研修の質の向上が必要ではないかと考えます。
 例えば、私の地元藤枝市のふじえだ教師塾は平成二十五年度に開設され、市内の小中学校に在籍する若手教員を対象に授業力・学級経営力向上を目的に授業づくり講座などを実施し大変効果を上げています。
 このような市町の取組も参考に、研修内容を現場の教職員のニーズに合致するものに絶えず見直していくことが必要です。総合教育センターに集合して行う講義や演習形式の研修だけではなく授業を実践し、その内容について協議するなど教員の授業力などの向上を支援することを目的とした取組を充実させることが求められており、またふじえだ教師塾のような市町や学校の独自性のある取組も本来県が担うべきだと考えます。教職員の採用から教育、人事、給与を担っている県としてこうした状況を踏まえ、教職員にとって本当に必要な研修は何かを見極め効果的な取組を広げていくべきではないでしょうか。
 そこで、教職員の資質向上に向けてこれまでの課題と今後の方針について県教育委員会の考えを伺います。以上答弁を求めます。
○議長(宮沢正美君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 西原議員にお答えいたします。
 誰もが安心して暮らせる交通安全対策の推進についてであります。
 子供たちが巻き込まれる事故や高齢者が関わる事故のニュースを見るたびに、人命の尊さや平穏な日常生活が一変することの重大さを改めて認識して交通事故のない社会を目指していく決意を強くしております。
 新たな時代に向けたふじのくにづくりの総仕上げを推進し持続可能な社会を形成するためには、将来を担う子供たちや子育て世代さらには人生百年時代を迎え増加する高齢者など県民どなたもが安全で安心して日常生活を送ることのできる道路環境の整備が重要でございます。
 県では、子供たちを交通事故から守るために通学路の安全確保に重点的に取り組んでおります。京都府亀岡市で発生した事故以降、学校関係者、警察、市町と役割を分担してこれまでに四百五十か所以上で歩道等を整備しており、引き続き関係者と連携して通学路の安全対策を実施してまいります。
 さらに、自民改革会議の皆様からの御要望も踏まえ地域から速やかな対応が求められている自宅から通学路に至る通学経路の交通安全対策と、区画線の引き直しを集中的に行う緊急交通安全対策事業の予算を本議会にお諮りしているところでございます。本事業では通学経路における対策としてカラー舗装による歩行空間の明示や防護柵の設置などの即効性のある対策を実施いたします。また車両逸脱を防止する区画線の引き直しに重点的に取り組むなど即効性のある総合的な交通事故防止対策を推進してまいります。
 引き続き、子供たちや高齢者など誰もが安全かつ安心して利用できる道路環境の整備を積極的に推進し、交通事故のない社会の実現に向けて取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては副知事、関係部局長、教育長から御答弁を差し上げます。
○議長(宮沢正美君) 難波副知事。
○副知事(難波喬司君) 仮称南アルプスみらい財団の設立についてお答えをいたします。
 南アルプスは三千メートル級の山々が連なる急峻な山岳地帯ですが、静岡県側からは交通アクセスが悪く、環境省の統計によれば年間の国立公園利用者数は山梨・長野県側の約百八十四万人に対して本県側は三万人弱と大きな差があります。議員御指摘のとおり本県側の南アルプスの認知度の低さは訪問者の少なさからも見てとれます。
 こうした中、静岡市長や川根本町長さらには地元自治会からも、環境保全は大切だが併せて自然環境の魅力を生かし南アルプスを訪れる方を少しでも増やして地域の振興につなげたいという切実な声をいただいております。こうした地元の声に応えるためにも訪れる方を増やしながら保全活動の拡充につなげられるよう実行体制を早急に整えることが必要と考え、その中核となる運営組織として仮称南アルプスみらい財団を設立することとしております。
 財団の役割は、南アルプスを未来につなぐ会から頂いた環境保全に配慮した利活用に関する様々な提言を踏まえ地域に根づいて継続的に自然環境と調和した利活用の推進を図る上での実動部隊にしたいと考えております。このため現地事務所を設置いたします。
 また、財団とした理由は県とは独立した形で地域に入り込み現場目線で柔軟かつ機動的に対応する新たな組織が必要であると判断したからです。自然環境と調和した利活用の推進を地域の方々や多くの方と連携し円滑に進めるためには、民間の知見や資金を長期にわたり継続的に活用することや現地の現状とその変化を適切に把握し様々な課題の解決に向けて適時適切に対応することが求められます。
 具体的には現地、現場で現物を見て活動するレンジャーを採用し、ノウハウやネットワークを生かしつつ登山者等へ天候や現地の状況など安全対策に関する情報を効果的に発信できるようにしたいと考えております。また利用者の声を直接把握し山小屋等の管理者や地元関係者との調整を迅速に進め、利用者の増加につなげられるようにしたいと考えております。
 県の費用負担につきましては、南アルプスの認知度が低い現状においては県が運営を支援してまいります。その後情報発信の強化により認知度を高め、それが活動の活発化や訪問者の増加につながり、それが寄附などの外部からの支援を促し、それがまたさらに活動の活発化、訪問者の増加につなぐという活動の活発化、訪問者の増加というものと寄附などの支援の拡充、拡大この好循環を作り出していきたい、それによって自立的な運営となるよう努めてまいりたいと思います。
 県といたしましては、財団の活動を通じ南アルプスへの関心を高めて本県側の利活用を促進することでユネスコエコパークの理念である利活用と保全の好循環を生み出す仕組みを構築し、文化的にも経済・社会的にも持続可能な発展を目指してまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 杉山経営管理部長。
○経営管理部長(杉山浩一君) 県の組織体制についてお答えいたします。
 県では、平成三十年度の組織改編において財政課を総合政策課と同じ知事直轄組織に移管し政策推進と予算編成を連動させた取組を進めてまいりました。
 具体的には、予算要求前の政策評価・立案段階から総合政策課と財政課が連携して各部局と政策対話を行うなど政策と予算に関する課題の共有を図っております。また当初予算の編成に当たっては重要政策を指定テーマとして設定し、関連事業については特別枠として所要額による予算要求を認めるなど重要な政策課題を確実に予算編成につなげるための仕組みも導入しております。
 こうした組織体制や仕組みの下、令和四年度当初予算では新型コロナウイルス感染症への万全な対策や激甚化する災害への対応強化、SDGsのモデル県を目指したDXの推進や脱炭素社会の形成など次期総合計画に掲げる主要な施策に対し重点的に予算を配分し、計画初年度からスピード感を持って計画を着実に推進するための体制を整えるなど政策と予算の一体化が図られているものと考えております。
 令和四年度の組織改編の検討におきましては、こうした検証を踏まえ現在の組織体制を維持することと判断したところでありますが、知事直轄組織に限らず必要と認められる場合には年度途中であっても組織体制の見直しについて柔軟に対応してまいります。
 県といたしましては、現行の体制にとらわれず引き続き現場の声を取り入れながら常に検証を続け、時代の変化に応じた最適な組織を目指してまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 三須経済産業部長。
○経済産業部長(三須敏郎君) フーズ・ヘルスケアオープンイノベーションプロジェクトの成果と今後の取組についてお答えいたします。
 食品、化粧品に加えヘルスケア産業の振興を担う本プロジェクトでは、この二年間で九十五件の製品を上市いたしました。特にヘルスケア分野では、藤枝市の事業者がジュニアアスリート向けに運動能力向上を支援するスポーツ食育プログラムを開発するなど新たなビジネスモデルも誕生し、着実に成果を上げております。
 また、静岡社会健康医学大学院大学では本年度から長期間にわたり健康課題の究明を行うゲノムコホート研究に着手するなど、医療・健康など五十六件の研究に取り組んでおります。研究成果の一例としては本県の国民健康保険加入者のデータを解析することにより、人工透析及び要介護に至るリスクの大きさを数値化したといったものがあります。
 こうした研究成果を実社会に生かすため医療ビッグデータ、疫学、ゲノムコホートを中心とした大学院大学の医学的なシーズと企業のニーズをマッチングさせる仕組みを構築してまいります。マッチングが成立した案件を大学院大学との共同研究へとつなげ課題の解決を図るとともに、フーズ・ヘルスケアオープンイノベーションセンターが来年度から運営を担うリビングラボを活用してヘルスケアビジネスの事業化など社会実装までの道筋に沿って支援に取り組んでまいります。
 県といたしましては、静岡社会健康医学大学院大学とフーズ・ヘルスケアオープンイノベーションプロジェクトが一体的に企業の事業化支援に取り組むことで早期の社会実装を実現し、本県の健康寿命の延伸と地域経済を牽引する新たなヘルスケア産業の創出を目指してまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 細谷農林水産担当部長。
○農林水産担当部長(細谷勝彦君) 農業用水施設の持続的な保全管理についてお答えいたします。
 県内には、農業に不可欠な農業用水の大動脈となる基幹的な施設として六百十キロメートルにも及ぶ用水路や三百九十八か所の揚水機場が整備され、本県の多彩で高品質な農業生産を支えております。これらの農業用水施設は昭和四十年代以降に整備されたものが多く、今後一斉に更新時期を迎えます。施設を管理する土地改良区では組合員の減少や高齢化も進んでいることから、施設の計画的な更新整備と管理労力の軽減が求められております。
 このため、県では今年度耐用年数の残りが十年以下となった全ての施設を対象にドローン等の新技術を活用した高精度の機能診断を実施し、最新の診断結果に基づきアセットマネジメント実施方針を再構築いたしました。今後は長寿命化対策と全面更新を組み合わせて工事費の縮減や平準化を図り計画的な施設の更新整備を推進してまいります。
 また、水需要に応じた細やかで手間のかかる農業用水の取水作業を遠隔操作できるようにICTを活用した集中制御システムを令和七年度までに大井川土地改良区などの六施設に導入し、管理労力の大幅な省力化を実現してまいります。
 県といたしましては、土地改良区や市町と連携し農業用水施設の持続的な保全管理を進め、地域農業に不可欠な農業用水の安定的な供給を確保してまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 和田交通基盤部長。
○交通基盤部長(和田直隆君) 二級河川黒石川流域の水災害対策についてお答えいたします。
 黒石川流域では、土地利用の高度化に伴い流域内に点在する低地において家屋の浸水や道路の冠水などの被害が発生しております。被害の軽減に向け県では黒石川流域のあらゆる関係者が連携した流域治水の取組を推進するため県と藤枝市、焼津市などで構成する流域治水協議会を組織し、今年度末を目途に浸水対策や関係者の役割分担を明確にした水災害対策プランの策定を進めております。
 プランには、抜本的な対策となる河川改修として県が行う黒石川下流の高橋から上流側約四百メートル区間の整備を位置づけるとともに、上流域においても効果を早期に発現できるよう準用河川の暫定的な整備や雨水貯留施設の設置、既存の調整池の適切な管理などの施策を盛り込み流域一体となって被害の軽減に取り組んでまいります。
 また、上流域の対策を確実に進めるため藤枝市が行う取組に対する技術的な助言や準用河川等県費補助事業などによる河川整備への支援を積極的に行ってまいります。さらに協議会において継続してプランの進を管理することにより実効性のある取組としてまいります。
 県といたしましては、藤枝市や焼津市、流域住民等との連携により黒石川における流域治水の取組を推進し、安全で安心して暮らせる地域づくりに努めてまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 井上人事委員会事務局長。
○人事委員会事務局長(井上隆興君) 県職員採用試験の応募者確保対策についてお答えいたします。
 本県の大学卒業程度の職員採用試験の応募者数は国や他県と同様に減少傾向にあります。高い志と多様な能力を持った優秀な人材を獲得するためには議員御指摘のとおり応募者確保対策が極めて重要であり、就職活動をする学生に静岡県を選んでいただくためのさらなる取組が必要であります。
 このため、人事委員会では本県の未来を創る静岡県職員の仕事のイメージアップに取り組むこととし、来年度の募集に向けて静岡未来クリエイター大募集をキャッチフレーズに六人の若手職員がそれぞれの職場で活躍する姿を紹介する動画とパンフレットを作成いたしました。また静岡県職員を志望する全国各地の方々が県境をまたいで移動することなく採用試験等について相談することができるオンライン個別相談を今月新たに実施するとともに、静岡県職員の仕事のやりがいや成長の場としての魅力をLINEやツイッター等のツールを活用して伝えてまいります。
 人事委員会といたしましては、今後とも各任命権者と連携しながら応募者確保に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) 教職員の資質向上についてお答えいたします。
 新学習指導要領がスタートし主体的、対話的で深い学びへの新たなかじが切られ、またコロナ禍にあってGIGAスクール構想も一気に前倒しされました。さらにいじめ、不登校などの課題を抱える子供も増加しており学校現場は大きな変革の時を迎えております。
 教職員の研修につきましては、こうした時代の変化や教育に求められるニーズを的確に捉え新たな学びを創造していく改革者としての能力を高めていけるよう不断の見直しを行っていくことが必要であります。
 現在、県教育委員会では教員がキャリアステージに応じて習得すべき資質能力を示した教員育成指標の改訂を進めており、有徳の人の育成や誰一人取り残さない教育の実現に向けて高い倫理観と人権意識、社会性等を身につけ児童生徒に寄り添いながら成長へと導く伴走者としての教員の育成を目指しております。来年度はSDGs研修やファシリテーターとしての役割を学ぶ探究指導者養成研修を新設するとともに、既存の研修においても実際の事例を用いた演習など学校現場に即した内容を多く取り入れてまいります。
 また、教職員の研修は都道府県等が一義的にその責務を担い市町にはそれぞれの実情に応じた研修を実施していただいておりますが、総合教育センターでは小学校、中学校や市町教育委員会の要請に応じて指導主事等を研修講師として派遣するなどの支援を行っております。今後、市町の要望を踏まえて講師を派遣する研修テーマを拡充するなど県全体の研修の充実を図ってまいります。
 県教育委員会といたしましては、今後とも時代の変化やニーズに対応した研修の質の向上に取り組み生涯を通じて学び続け、子供たちを夢の実現へと導く教職員の育成に努めてまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 西原明美君。
       (十四番 西原明美君登壇)
○十四番(西原明美君) 大方、前向きな御答弁を頂いたと思っております。ありがとうございます。
 二項目について再質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、南アルプスみらい財団の設立についての質問をさせていただきます。
 過日、南アルプス学会設立の際の新聞の記事に研究資金の原資となる寄附金が目標の約四割にとどまっていることからネームバリューのある人が企業に働きかけないと寄附金は集まらない、川勝知事にもっと働いてもらうべきだという声もあったとありました。今回の仮称南アルプスみらい財団においても同様で、寄附をかなり集めないとなりません。
 知事はどのように働きかけていくのか、また寄附金のほかに考えられる方法はあるのか自主財源比率の目標はあるのか伺いたいと思います。
 あわせて、これまで県は公益、一般を含め多くの財団に出資をしてきております。確認したところ二五%以上出資をしている団体が二十以上あり、その補助金や委託など県が令和二年度に投入した額は四十億八千三百万にも及んでいます。そこにまた新たな財団をつくるということです。県とは独立した形、自立的な運営とのことでしたが自立の目標を立てない限り永遠に毎年相当な額を投入していくことになります。これまで自立に至った団体は平成三十年四月の富士山静岡空港株式会社くらいであると聞いています。
 自立については目標をいつ頃とするのか伺います。
 続いて、県の組織体制について。
 今回のこの質問は、この経営管理部にあった財政課を総合政策課と同じ知事直轄組織に変更することになった平成三十年の二月定例会において相坂県議が、また一年を経過した令和二年には野崎県議が、その翌年の令和三年には天野県議が同様の問題点を挙げ質問をしています。そのたびに常に検証を怠らず不断の見直しと御答弁をされ、その言葉どおりに検証、見直しがされたとは思えません。またその際にコロナ禍という緊急事態においても様々な部局にわたる総合的な政策判断を迅速に行ったとのことでしたが本当にそうでしょうか。危機管理、健康福祉部、経済産業部などが必死に汗をかき対応してきたのではないでしょうか。
 逆に伺います。他県と比較して本県は知事直轄組織がなければ様々な政策課題に迅速に対応ができなかったということでしょうか。お伺いします。
 あわせて、知事直轄組織をはじめ県の組織体制を庁内でどう思われているのか、その声は知事の耳に届かないのでしょうか。また誰も届けていないのでしょうか。
 最近はインターネットを検索しているだけでいろんな情報が入ってきます。就職、転職の採用企業リサーチとして社員の口コミがあります。静岡県庁にはトップダウンで思いつきの発言、古い日本企業、県民のためというより上の人を満足させるため意思決定の方法やルールが脆弱、責任の所在が薄いまま物事が決まっていくなど組織の問題が数多く挙げられています。これは現在の知事直轄組織の弊害とも言えるでしょう。ふじのくに県議団田口県議の代表質問でも部局横断の企画が足りないというお言葉がありました。まさに組織体制の見直しが検証されるべきだと思います。これまで度重なる議場においての質問で指摘された知事直轄組織です。
 そのことを踏まえて、知事直轄組織から企画部門、財政課を独立させることを具体的に検証されたのかどうなのか再度伺います。
○議長(宮沢正美君) 市川くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(市川敏之君) 仮称南アルプスみらい財団の設立についての再質問にお答えいたします。
 財団は、当面は一般財団法人としてスタートいたしますが、活動の実績を積み最短で令和八年度には公益法人化し寄附金を広く受け入れやすい体制を整えて自立できるように取り組んでまいりたいと考えております。寄附金の見通しといたしましては、現在南アルプス環境保全基金には令和二年十一月に寄附を開始し本日までに個人、企業合わせて約八百三十万円の寄附を受けているため公益法人化後も同程度の年間で約五百万円程度の寄附を集められるように努めてまいりたいと考えております。
 このほか、寄附金のほか南アルプスを訪れる方の善意を協力金として活用できる仕組みとして山小屋や駐車場、バスの利用者の皆様から保全協力金などを頂き、その一部を財団の運営に充てることが考えられます。南アルプスの利用者の増加とともに自然と調和した持続可能な地域発展につながっていく仕組みづくりを財団設立後、山小屋関係者や交通事業者、行政機関とも調整の上検討してまいります。
 公益法人化の軌道に乗った際には寄附金や協力金を合わせて、まずは運営費の半分以上を自主財源で賄えるように努めてまいります。以上でございます。
○議長(宮沢正美君) 杉山経営管理部長。
○経営管理部長(杉山浩一君) まず、知事直轄組織がなければ迅速に対応できなかったかというお話、御質問でございます。
 これにつきましては、議員御指摘のとおり危機管理部あるいは健康福祉部、経済産業部などがですね、必死に対応してきたというのは間違いないことというふうに考えております。ただ一方で当初からそのいろんな対応が必要となる中でその担当すべき部局の交通整理ですとか、あわせて予算も同時にという面では知事直轄組織がより効率的であったのかなというふうには考えているところでございます。
 もう一点、知事直轄組織から企画財政部門を独立させることを具体的に検討されたのかという御質問についてでございますが、ここにつきましては検証の仕方について若干御説明を申し上げます。
 知事、副知事がですね、重点施策を決定する際に政策議論を行う知事戦略会議ですとか、あるいは政策調整会議というものが知事直轄組織の主催で行われておりますが、ここにつきましては私を含め経営管理部の幹部が必ず出席をいたします。そうした中で政策推進に当たって必要となる組織等を考えていくわけですが一方で私自身はですね、この会議が正常に当初の目的どおりに開催されているのか、あるいは各部局の意見が尊重された会議になっているのかという点を視点として見ております。そうした中で今年度、昨年度活発な議論が行われて決してですね、各部局の意見を抑え込んでというようなことは生じていないというふうに捉えております。
 もう一点、そうではなくて担当レベルでの検証というのも毎年度組織定数を決める中で各部局に対して経営管理部の人事課が中心となって時間をかけた聞き取りを行っております。そうした中で今回御質問の趣旨であります知事直轄についての弊害というような話については、今のところ具体的には私どものほうには入っていないという状況でありまして、答弁のような判断をいたしました。
 しかしながら、いずれにせよ平成三十年度からという歴史の浅い組織でございます。私どもの感度が低いのかもしれません。そういった意味で今後ともより深くですね、職員の声、聞くように努めてまいりたいと思っております。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 西原明美君。
       (十四番 西原明美君登壇)
○十四番(西原明美君) 要望を二点申し上げます。
 一点目、南アルプスみらい財団の設立について寄附を頂くということは寄附する側にとって相当な寄附するだけの魅力がなければなりません。財団設立は三百万円あればできますがその維持運営にお金がかかり、それを自立に向けていくのは至難の業です。自立に向けての努力を惜しまぬよう要望いたします。
 二点目、意思決定の際に意見がまとまらなければ行政運営の質は低下します。また強力なトップダウンで決定しても嫌々従っているような面従腹背であればやはりその質は下がります。合意の上でスピーディに意思が決定したように見えてもその合意内容が曖昧だったり、それぞれが異なる解釈をしたりすれば後々のトラブルの火種となります。多くの声に耳を傾け、声が聞こえなければ誰かに聞いてでも言葉どおりの常に検証を怠らず不断の見直しをしていただけますよう要望して、質問を終わります。(拍手)
○議長(宮沢正美君) これで、西原明美君の質問は終わりました。

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