• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成27年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

藪田 宏行 議員

質問分類

代表質問

質問日:

02/18/2015

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について                      
 (1) 地方創生の推進方針                       
 (2) 人口減少対策としての本県への移住の促進             
 (3) 国際協力に携わる若者への支援                  
2 平成二十七年度当初予算編成について                
3 産業成長戦略の推進について                    
4 第一次産業の振興について                     
 (1) 農業の復活                           
  ア 静岡茶の販路拡大                       
  イ 食肉センターの再編整備                    
 (2) 森林・林業の再生                        
 (3) 水産王国静岡の復活                       
5 森の力再生事業について                      
6 今後の観光戦略について                      
7 世界遺産富士山について                      
  世界遺産委員会からの勧告及び要請への取り組み          
8 富士山静岡空港の発展への取り組みについて             
9 原子力防災訓練の成果と課題について                
10 社会資本整備の今後の進め方について                
11 社会的養護における子供の自立に向けた支援について         
12 教育行政について                         
 (1) 教育のあるべき姿                        
 (2) 家庭教育の支援                         
13 平成二十七年の警察運営の重点について


議長(多家一彦君) 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、四十六番 藪田宏行君。
       (四十六番 藪田宏行君登壇 拍手)
○四十六番(藪田宏行君) おはようございます。私は自民改革会議を代表して当面する県の諸課題について、知事、関係部局長、教育長並びに警察本部長に一括質問方式でお尋ねいたします。
 初めに、知事の政治姿勢についてのうち、地方創生の推進方針について伺います。
 政府は、去る十二月二十七日に我が国が直面する人口減少克服、地方創生という構造的な課題に正面から取り組むため、今後目指すべき将来の方向性を提示する、まち・ひと・しごと創生長期ビジョンを策定しました。さらにこの実現に向け、今後五年間の目標や施策の基本的な方向や具体的な施策を取りまとめ閣議決定したところであります。
 特に、総合戦略においては、東京一極集中を是正する若い世代の結婚、出産、子育ての希望をかなえる、地域の特性に即して地域課題を解決するという基本的な視点のもと、まち・ひと・しごとの創生と好循環の確立により活力ある日本社会の維持を目指すとしています。
 こうした中、本県は去る二月二日に総務省が発表した平成二十六年の人口移動報告において転出超過数が二年連続ワースト二位という厳しい状況にあります。今後本県が人口減少を克服し持続的な成長を維持していくためには、地方創生元年となる来年度から待ったなしで本県の特色を生かした地方創生に取り組むことが急務であると考えます。
 また、昨年十二月二十五日には人口減少問題に関する有識者会議から知事に提言が提出されましたが、今後本県が直面する喫緊の課題である人口減少克服、地方創生にどのように取り組むつもりなのか、知事の所見を伺います。
 次に、人口減少対策としての本県への移住の促進について伺います。
 先ほども申し上げましたが、本県にとって人口減少は大きな課題となっており出生率の向上や子育て支援などの自然増対策とともに、社会減対策についても具体的で実効性のある取り組みが求められているところであります。
 国のまち・ひと・しごと創生総合戦略によると、東京都在住者の約四割、特に十代、二十代男女の四七%、五十代男性の五一%が地方への移住を検討したい意向を持っているとのことであります。
 本県では、従来から中山間地域を中心に移住・定住を促進してきたところでありますが、こうした動きを踏まえつつ人口減少を喫緊の課題と認識して、県下全域において首都圏等からの移住希望者の受け入れ体制をスピード感を持って整備すべきと考えます。
 そこで、今後どのような移住促進策を進めていこうと考えているのか、県の所見を伺います。
 次に、国際協力に携わる若者への支援について伺います。
 知事は就任以来、独立行政法人国際協力機構――JICAが実施する青年海外協力隊の帰国後の隊員の社会的評価を改善するべきとの考えのもと、JICAグローバル大学院の設置の必要性を提唱されています。
 そういった中で、アフリカ・モザンビークで病気や貧困に苦しむ子供たちへの生活支援や女性の自立等に向けた活動を行っている御前崎市出身の栗山さやかさんが、九年ぶりに一時帰国をして先ごろ市内で活動報告を行いました。報告会には数多くの市民が参加したほか、彼女の活動を応援しようと出身高校の同窓会が募金活動を始めるなど地元でも支援活動が活発化しています。
 国も、JICAとは別に単独で貴重な活動をしている栗山さんを高く評価し、昨年一月、安倍総理大臣がモザンビークを訪問した際に食事に招待し、頑張ってくださいとのサインもして激励したそうです。総理の次の訪問国エチオピアでもスピーチで彼女のことを紹介したそうです。彼女の活動は海外でボランティア活動をする若者のほんの一例ですが、本県出身の若者が海外各地でその地域のために奮闘している姿は美しく、その志はとうといものがあると思います。
 また、このような若者の海外での活動は活動する相手国の発展とともに、国際貢献による本県を含む日本に対する理解促進のほか何よりも現地で活動する御本人の人間的成長という三方よしのものであり、これからの日本人の生きるべき重要な道筋の一つとなるものと思います。
 海外ボランティアといえば、JICAの青年海外協力隊が活発に活動されていますが、本県はこれまでの間、JICAと連携して協力員の募集等を進めていると聞いています。
 そこで、青年海外協力隊など海外ボランティアの活動を広く県民に知ってもらい海外で志高く活躍する若者の社会的評価を高めるための支援策について、どのようにお考えなのか伺います。
 次に、平成二十七年度当初予算編成について伺います。
 我が国の経済は、これまでのアベノミクスの政策により好循環が生まれ始めておりますが、昨年四月の消費税率の引き上げに伴う駆け込み需要の反動減等により個人消費を中心として一部に弱さが見られております。また本県の景気は緩やかな回復傾向にありますが、アベノミクスの政策効果はまだ十分に行き渡っているとは言えない状態であります。
 昨年十二月、日銀静岡支店が発表した短観でも本県の企業の景況感を示す業況判断指数はマイナス三、三カ月先の予測はマイナス七となるなど県内の企業も景気の先行きについて決して楽観視はしておりません。本県の景気や雇用情勢は、いまだ回復途上であります。今後我が国の景気回復の流れを本県経済に波及させ、県民が実感できる力強い景気回復を実現する必要があります。
 本県は、人口減少問題という大きな課題に直面しており、県民が安心して働くことができる雇用の場の確保や少子化対策、子育て支援の充実などが求められております。さらに県民の生命や財産を守る地震・津波対策、医療・福祉、教育の充実などの喫緊の課題に対して真に県民が求める施策を立案し、県民本意の県政運営を行うことが重要であります。
 我が会派は、昨年十二月川勝知事に対し、県の総力を挙げて真の地方創生に向けた施策に全力で取り組むことを初め経済再生と雇用対策の強化充実、危機管理体制の強化充実などを要望したところであります。
 そこで、知事は静岡県の創生に向けて、平成二十七年度当初予算編成において我が会派の要望をどのように反映させたのか伺います。
 次に、産業成長戦略の推進について伺います。
 本県では、昨年三月に立ち上げた静岡県産業成長戦略会議において官民が一体となった産業成長戦略の検討が進められ、去る二月十二日静岡県版の産業成長戦略が取りまとめられたところであります。
 一部報道によれば、県東部地域においてはリコーが生産を停止していた御殿場市の事業所を再生し環境事業開発センターとして順次業務を開始することを発表したほか、中東遠地域においてもパナソニックが国内回帰を進め、ほぼ全量を海外で生産している縦型洗濯機の生産を袋井市の工場に戻すことが検討されているなど、本県のものづくり産業の再生に向けた具体的な動きが出てきたことは大変喜ばしいことであります。
 また、本県の有効求人倍率についても昨年来、一倍を上回り改善傾向にあるなど、本県経済の回復に向けた明るい兆しが少しずつではありますが見えてきております。
 こうした動きをとめることなく本県経済を力強く回復させていくためには、この産業戦略のもとで本県産業の再生と活性化、次世代産業の創出に向けてどのように取り組みを進めていくつもりなのか伺います。
 次に、第一次産業の振興についてのうち、農業の復活についてであります。
 静岡県の農業産出額は、茶、野菜及び畜産を中心として昭和六十年ごろには約三千四百億円のピークでありましたが、年々減少し近年はおおむね二千百億円で推移しております。
 このような状況の中、産出額全国一位の主要特産品である茶についてはさまざまな要因が重なり減少がとまりません。また畜産については産出額はここ数年増加してきておりますが、畜産業を支える牛や豚を食肉に加工する食肉センターは閉鎖が続き現在は二カ所を残すだけとなっており、今後の運営が心配されております。
 そこで、まず初めに静岡茶の販路拡大について伺います。
 春が近づき、本県の主要な特産品であるお茶のシーズンを迎えようとしております。県内各地では生産者が丹精込めて茶づくりに励まれており、さまざまな取り組みが進められております。
 また、県は茶の都構想を掲げ、茶の産業、文化、学術などさまざまな面から茶の振興を進めるため、その方策について有識者による茶の都づくり推進会議を設置して検討しているところであります。しかしお茶の消費低迷や風評被害等から茶の低価格の取り引きが続き、回復の兆しが見えない状況にあります。昨年は特に二番茶において近年にない低価格での取り引きとなり、赤字にならないよう摘採をやめた農家もあったと聞いております。
 茶業経営の柱であり、収益の七、八割を占める一番茶の価格はピーク時の六割程度に低下しており、茶の生産現場は非常に厳しく後継者も育ちにくい状況となっています。生産者が個々にコスト低減に取り組み茶業経営を維持していくにも限界があります。最近では同じ製茶工場の生産者が共同で収穫作業を進めるなど生産を効率的に進めようという動きも見られますので、このような取り組みにも注目し今後拡大していくことを期待します。
 茶業振興のためには生産対策を進めるのは当然でありますが、販売について対策を講じていく必要があります。茶の需要の増加、価格の上昇がなければ経営は厳しいままであります。
 総務省の家計調査によりますと、全国の県庁所在地における一世帯当たりの緑茶の最近三年間平均購入量は静岡市は二千七十一グラムと全国平均の二倍以上で全国一位であり、さすが茶どころ静岡の面目躍如であります。しかし全国を見渡すと購入量が少ない地域が見られること、さらに海外では緑茶の需要が拡大している状況があることから静岡茶を売り込んでいく先はまだまだあるかと思います。
 安定した茶業経営の継続、我が国の茶業をリードしていくためには、本県の茶業関係者がいま一度知恵を出し合い新たな静岡茶の需要を創出し国内外への販路を拡大していくことが重要でありますが、県はどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、食肉センターの再編整備について伺います。
 静岡県も畜産が盛んで、かつて肉牛部門で日本一の内閣総理大臣賞を受賞したり、神戸牛、松阪牛、近江牛、飛騨牛といった日本のトップレベルの銘柄牛と肉の品質を競い合う近畿東海北陸連合肉牛共進会において平成二十二年度から五年連続最優秀賞を受賞しております。
 豚についても、県が中国浙江省から譲り受けた金華豚を改良してつくられた「フジキンカ」は、肉のやわらかさや脂肪の甘さがすぐれていると評価されております。
 一方、牛や豚を食肉に加工し消費者に提供する食肉センターについては、かつては県内に十四施設が稼働していましたが、現在では浜松市食肉地方卸売市場と経済連小笠食肉センターの二カ所だけとなっております。この二つの施設も現行の施設がつくられてから三十年以上が経過して老朽化しております。
 今、本県産の牛肉はハワイに輸出されるようになりましたが、県内にはアメリカへの牛肉輸出のための高い衛生基準を満たす食肉センターがないため、ハワイに輸出する際にはわざわざ牛を群馬県の食肉センターまで運んでいると聞いております。畜産振興を進めるためには老朽化した食肉センターを再編整備して衛生レベルの高い輸出対応型施設で食肉を処理することによって、本県産の食肉の価値をさらに高め販路を県内外だけでなく海外にも拡大していく必要があると考えております。
 県でも、今年度から生産者団体、食肉流通関係者、市町等で組織する静岡県食肉センター再編推進協議会を設置し食肉センターの体制について検討していると聞いておりますが、食肉センターの再編整備について具体的にどのように進めていくのか伺います。
 次に、森林・林業の再生について伺います。
 以前私は、衝撃的な研究レポートを目にしたことがあります。そこには林業先進国であるドイツでは森林面積が日本の人工林とほぼ同じでありながら木材関連産業全体における雇用は百万人と、電機・電子産業の八十一万人、自動車産業の七十七万人をも上回る最大産業であると報告されていました。これは林業・木材産業の裾野が大変広く、丸太の生産から流通加工、さらに住宅などの需要分野に至るまで地域経済に及ぼす影響が非常に大きいことを物語っています。
 県では、現在ふじのくに森林・林業再生プロジェクトに取り組んでおり、県産材の需要と供給を一体的に創造する一連の仕組みが整うなどの一定の成果を得ることができました。しかしこうした仕組みが整っても、これを動かすためにはまだ大きな課題があると私は考えております。
 つまり、仕組みを動かすのは人であり、人材の育成が重要であるということです。今求められているのは林業先進国ドイツを目指し林業の成長産業化を進めようとする高い意識を持ち、さらに取り組みに必要な知識、技術を兼ね備えた人材とも言えます。
 そこで、県では森林・林業の再生を担う人材の育成にどのように取り組むのか伺います。
 次に、水産王国静岡の復活について伺います。
 本県は、漁業の生産量が二十二万六千トンで全国第三位、水産加工業の生産量も十七万一千トンで全国第二位と全国トップクラスの水産県であります。
 本県で水揚げされる水産物は実に豊富であります。マグロ、カツオ、キンメダイ、サクラエビ、さらに養殖のマアジやニジマスは日本一の生産量を誇り、ウナギ、アサリ、シラスなども全国有数の水揚げであります。また水産加工業も缶詰、節類、シラス干し、アジ干物などは全国一、二を争う生産量を上げ本県の水産業を牽引しております。
 このような本県水産業を将来にわたって発展させることを目的に、県は昨年三月に策定した経済産業ビジョン水産業編において、新たな水産王国静岡の構築を目指すとしましたが、私もこのビジョンの実現を強く望むところであります。
 しかしながら、依然現場では多くの課題を抱えております。漁業では資源状況の悪化、漁業従事者の不足や高齢化など、また水産加工業では不安定な原料調達、高度な衛生管理への対応などと枚挙にいとまがありません。このように本県水産業は引き続き厳しい局面にあります。したがって水産王国静岡の構築が単なるかけ声でとどまることのないよう、官民一体となり地に足のついた先が見通せる具体的な取り組みを行わなければならないと考えております。
 まさに今、県当局には、内水面そして沿岸から遠洋にわたる漁業や水産加工業が抱える課題を正確に把握し、的確な取り組みの推進が求められておりますが、今後具体的にどのような施策を講じていくお考えかお伺いいたします。
 次に、森の力再生事業について伺います。
 県では、森林所有者による手入れが困難なことにより荒廃した森林の整備を目的として、県民の理解と協力のもと平成十八年度からもりづくり県民税を導入し、これを財源に森の力再生事業を進め森の力の回復に取り組んできました。
 これまでの九年間に整備された面積は、浜名湖の約一・七倍にも相当する約一万一千ヘクタールとなる見込みであり、事業は順調に進んでいると聞いています。
 こうした中、去る一月二十二日、有識者から成る静岡県森の力再生事業評価委員会からこれまで実施された事業の検証結果の報告があり、いずれも適正に執行され効果があらわれていると評価する一方で、まだ多くの荒廃した森林があることから間伐や倒木の処理など荒廃森林の再生に引き続き取り組むよう提言がなされたところであります。
 この事業は、森の力の回復を通じ県民の安全・安心を支えるだけでなく、地域住民が一体となった森林管理の促進や山間地の雇用の創出などさまざまな波及効果も生じており、極めて重要な事業であると考えます。
 平成二十七年度は事業計画の最終年度となりますが、今後の取り組みについて県の所見を伺います。
 次に、今後の観光戦略について伺います。
 平成二十五年度の本県の観光交流客数は一億四千四百九十七万人で、前年度から約五%、約六百九十万人増加し過去最高を記録しました。
 富士山が世界文化遺産に登録された効果により、富士山周辺の地域や三保松原のある静岡市が伸びたほか、東駿河湾環状自動車道の開通効果等で伊豆地域の北部でも増加いたしました。一方私の地元である中東遠地域は前年並み、伊豆地域の南部は減少するなど地域によってかなりの差が出ております。富士山、韮山反射炉、伊豆半島ジオパークなど世界に認定された、あるいはこれから認定が見込まれる観光資源を持っている地域は追い風が吹いておりますが、そうでない地域は大変厳しいと言わざるを得ません。
 今後、地方の人口減少が見込まれさらなる地域経済の疲弊が想定される中で、裾野が広く経済波及効果の高い観光に対する期待は大きいものがあります。国が策定した地方創生戦略においても観光はサービス業、農林水産業と並んで競争力を強化する地域産業として位置づけられ、東京に流出している若い世代の雇用の受け皿となることが求められております。
 そこで、県全体の観光の底上げ、活性化、さらに成長を図るために、今後県はどのような戦略で取り組むのか伺います。
 次に、世界遺産富士山についてのうち、世界遺産委員会からの勧告及び要請への取り組みについて伺います。
 富士山の保全につきましては、各構成資産を有する地域におきまして富士山の世界文化遺産登録を契機としてさまざまな取り組みを進められておること、関係の皆様の御努力に敬意を表するとともに、改めて感謝申し上げる次第であります。
 富士山の適切な保存管理に当たっては、世界遺産委員会からの勧告、要請を踏まえ平成二十八年二月一日までに保全状況報告書を世界遺産センターに提出することとなっておりますが、提出期限まで残りおよそ一年となった今、富士山の適切な保存管理はまさに県政における喫緊の課題であるものと認識しております。こうしたことから昨年九月十一日、私ども自民改革会議は世界遺産富士山の保全に係る施策を迅速に推進するよう知事に提言を申し上げたところ、県におきましては静岡県世界遺産富士山基本条例の制定につきまして今議会に上程され、また山梨県におきましても同様の動きであると承知しております。
 保全状況報告書の提出に向けた資産の全体構想や各種戦略等につきましては、静岡・山梨両県、関係市町村等の連携のもと昨年十二月に開催された富士山世界文化遺産協議会において採択されたことと承知しておりますが、今後世界遺産委員会からの勧告、要請に対しどのように対応していくのか伺います。
 次に、富士山静岡空港の発展への取り組みについて伺います。
 本年度、開港五周年を迎えた富士山静岡空港はフジドリームエアラインズが運航する福岡線を初めとした国内線の堅調な利用とともに、中国からの旺盛な訪日需要に支えられた上海―武漢線や先月一月二十八日に定期便化を果たした天津線を初めとした中国路線の活況により、今年度の年間利用者の見込み数は五十万人を超えることが視界に入ってきたと聞いております。
 しかし、目標とする利用者数七十万人の達成にはさらなる利用者の上積みが必要であり、既存路線の増便や新規路線の就航による提供座席数の増加とともに、何よりも県民の皆様が旅行やビジネスに出かける際には他空港や新幹線の利用よりは富士山静岡空港の利用を選択肢の第一とし、選ばれる空港とならなければなりません。そのためには現況では利用者が中部地域に偏るとともに、ビジネス利用が少ないという現状を打破し国際化する羽田空港や中部国際空港との競争に打ち勝つ思い切った施策が必要と考えます。
 そこで、開港十周年を迎えた際、全国でも存在価値が高く県民や航空会社に選ばれる空港となるため、県民の財産である空港の価値を今後どのように高めていくのか伺います。
 次に、原子力防災訓練の成果と課題について伺います。
 本県には、浜岡原子力発電所があり、現在運転は停止しておりますが、使用済み核燃料を保有しており原子力防災対策は依然として重要な課題であります。
 県では、万一原子力災害が発生した場合に備え現在広域避難計画を策定中であり、また来年度末には富士山静岡空港隣接地に災害対策の拠点となるオフサイトセンターと、災害対策を実施する上で不可欠な放射線量のモニタリングを行う環境放射線監視センターが一体となった施設の整備が完了する見込みであります。
 このように、本県の原子力防災対策は着実に進んでいるところでありますが、東日本大震災以降、県民の原子力災害への関心は高くなっており、防災体制の整備にとどまらず訓練の実施と検証を行い防災体制の実効性を高めていくことが必要であります。
 県では、今回の訓練で図上訓練と実動訓練を分けて実施したと聞いております。図上訓練では先月、大規模地震で県下全域が被災し、さまざまな災害応急活動を実施する中で原子力災害が発生したとの想定で災害対策本部等の全庁的な対応を検証し、対処能力の向上を図るため例年一月に実施している地震対策大規模図上訓練と一体的に実施しております。また実動訓練では今月住民が参加し、放射性物質のスクリーニングを含めた避難や自衛隊車両やヘリコプターなどを使った病院、社会福祉施設からの避難を行っております。
 このように、図上訓練と実動訓練を分けて実施したことによりそれぞれの訓練内容に特化することでより効果のある訓練となり、現在策定している広域避難計画の実効性を高める上でも大変意義があったものと思われます。
 この訓練の結果、具体的にどのような成果と課題があり今後どのように取り組んでいくのか、県の所見を伺います。
 次に、社会資本整備の今後の進め方について伺います。
 国は、昨年六月国土強靱化基本計画を策定し、従来の狭い意味での防災の範囲を超えて国土政策、産業政策も含めた総合的な対応を進めていく方針を示すとともに、地方自治体に対して地域の実情に即した国土強靱化地域計画の策定を求めています。
 現在、県版となるこの地域計画の策定を進めていることは承知しておりますが、県民や企業の不安を解消していくために、この計画に基づいた道路、河川、砂防、港湾などの社会資本の継続的かつ着実な整備が必要であります。
 我が会派では、来年度の予算編成に当たり社会資本整備の必要性を訴えてきたところであり、その成果として近年多発する豪雨に対応した河川整備や土砂災害対策を短期間で実施する緊急事業が予算案として提出されております。
 近年、厳しい財政状況が続き、その上人口減少や少子高齢化の進行、企業の県外移転など多くの課題を抱える中ではありますが、本県の将来を見据え県民の安全・安心で暮らしやすい地域を構築し社会経済活動や観光交流を支える社会資本整備の役割は非常に重要であり、積極的に推進していくべきと考えます。
 そこで、今後どのように社会資本整備に取り組んでいくのか、県の所見を伺います。
 次に、社会的養護における子供の自立に向けた支援について伺います。
 子供・子育てをめぐる社会的環境が大きく変化する中で、県内では虐待などさまざまな事情により家庭から離れ児童養護施設や乳児院、里親などのもとで生活している子供たちが八百人以上いるとのことであります。このような子供たちの中には、不安定な家庭環境から学習習慣が身についておらず学習のおくれが見られることが少なくありません。自分はだめだ、自分はどうせできないからと劣等感や無力感を覚えて自信や意欲をさらに低下させ不登校になったり、せっかく高校に進学しても中退してしまう例も見られるとのことであります。このように学習のおくれは子供たちに生活全般にわたり目標を見失わせ、将来の自立の大きな障害になりかねません。
 施設や里親のもとにいる子供の中には、みずから目標を持って勉強に励み大学などを目指す子供もいますが、国の調査によりますと児童養護施設入所児童の進学率は二二・六%と全高卒者の進学率を大きく下回っています。大学などに進学する力がありながら経済的事情で進学を断念した児童も少なくないとも聞いております。また進学した場合でも、卒業するまで授業料免除や奨学金を受けながら施設職員のカンパなどにより何とか乗り切っているというのが実情です。
 昨年一月施行された子どもの貧困対策の推進に関する法律においては、子供の将来が、その生まれ育った環境によって左右され、貧困が世代を超えて連鎖することがないよう国、地方公共団体は必要な対策を講ずることとされました。この法律に基づき国が策定した子供の貧困対策に関する大綱では教育の支援がうたわれているとおり、学習面での支援が非常に重要であると考えます。
 社会的養護を受ける子供たちが、夢や目標を持ち続け自立できるよう、特に学力の向上や大学などのより上位の学校への就学ができるような支援が必要と考えますが、県の取り組みについて伺います。
 次に、教育行政についてのうち、教育のあるべき姿について伺います。
 本県では、平成二十六年三月に知事を本部長として静岡県教育振興基本計画「有徳の人」づくりアクションプラン第二期計画を全庁体制で策定いたしました。
 この第二期計画は、平成二十六年度から二十九年度までの四年間に本県が具体的に取り組むべき教育施策等について示したものであり、計画初年度となる本年度は県教育委員会事務局の新たな組織体制のもと、家庭教育を支援する仕組みづくりの構築や全国学力・学習状況調査の分析結果を生かした授業改善の推進に取り組んだと承知しております。
 安倍教育長におかれましては、平成二十二年四月に就任して以来これまで数々の教育の重要課題の解決に取り組んでこられました。例えば東日本大震災以後の命を守る教育の推進やいじめ防止対策の仕組みの構築、さらに昨年度の全国学力・学習状況調査で小学校国語Aの平均正答率が全国最下位になったことを受け、本県小中学生の学力向上のため学校、市町教育委員会、県教育委員会が連携し、授業改善を支援する環境づくりや研究実践校による取り組みなどを通してオール静岡での対応に当たり、順位の上昇につなげました。
 このように、さまざまな教育課題に対し誠実に教育行政改革に取り組み着実に効果を上げてこられましたが、ことし四月からの教育委員会制度の見直しなど教育を取り巻く環境は大きな転換期を迎えます。この戦後最大とも言える制度改正を子供たちにとってより有意義なものにしなければなりません。
 そこで、これまでの施策の取り組みや成果、また県が目指す有徳の人づくりを踏まえ、教育のあるべき姿についてどのように考えていらっしゃるか、教育長に伺います。
 次に、家庭教育の支援について伺います。
 近年、家庭教育をめぐる現状は、家族形態の多様化や地域社会とのつながりの希薄化など家庭を取り巻く環境の大きな変化により、子育ての不安を抱える親や孤立する親、社会性や自立心の形成に課題のある子供などさまざまな問題を抱えている家庭がふえており厳しい状況にあります。
 内閣府の子ども・若者白書では、不登校やニート、ひきこもりの割合が増加しているといった調査結果が出ており、文部科学省による家庭教育の活性化支援等に関する特別調査研究においても四割の保護者が子育てについて悩みや不安を抱えていると答えているところであります。家庭教育というものは各家庭個々の問題とされてしまいがちですが、子供は地域の宝であり社会全体で家庭教育の支援に取り組まなければなりません。
 そうした中で、昨年十月に静岡県家庭教育支援条例が制定、施行されました。条例の第四条では、県は家庭教育を支援する体制を整備し保護者や市町、学校等、地域住民、地域活動団体、事業者その他の関係者と連携するとともに、さまざまな家庭状況に配慮して総合的な施策を策定し実施する責務を有するとしております。
 そこで、教育委員会では条例の制定を機にどのように条例の基本理念を周知し、また積極的な施策を展開していくのか、その考え方や方向性について伺います。
 安倍教育長におかれましては、退任されるとの情報が流れておりますが、長い間本当にお疲れさまでありました。静岡県の教育への教育長の熱い思いを込めて、以上、教育関係の答弁をお願いいたします。
 次に、平成二十七年の警察運営の重点について伺います。
 静岡県の刑法犯認知件数は、平成十五年から実に十二年連続で減少し、昨年中は約二万五千件と大幅に減少しました。また一昨年中大きな課題となった交通事故情勢につきましても、昨年は発生件数、死者、負傷者ともにトリプル減少したことなど警察活動に大きな成果を上げられていることに対し深く敬意を表するものであります。
 また、全国的な問題である特殊詐欺被害に対しては、静岡県警が全国に先駆けて導入したいわゆる預手プランや現在藤枝警察署管内で実証実験中の迷惑電話チェッカーの設置など、これまでにない先進的な対策を取り入れその絶無に尽力していると承知しております。
 一方、浜松西警察署の新設や下田警察署松崎分庁舎の移転先の決定など県警の再編整備計画などが軌道に乗り始め治安拠点、災害対策拠点としての整備が大詰めを迎えており、県民の皆様の防災への関心は高くこれら新しい警察施設に対する期待も大きいものと推察いたします。
 警察任務を全うし得る施設であることはもちろん、地域住民の皆さんのニーズに十分応え得る施設としての整備を適切に進めていただきたいと思います。
 西川警察本部長は昨年八月、前任の島根本部長と交代され、静岡県警の最高指揮官として治安対策の陣頭指揮に当たられてきました。新しい年を迎え、ことし一年の静岡県警察の運営重点をどのように定め取り組んでいかれるのか、本部長の所見を伺います。
 また、過日治安対策のため全国で千二十名の地方警察官が増員され、このうち静岡県では二十七名が増員されたとのことであります。厳しい財政事情の中、認められた増員分は運営重点にどのように盛り込まれてくるのかあわせて伺います。以上、答弁を求めます。(拍手)
○議長(多家一彦君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 藪田議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてのうち、地方創生の推進方針についてです。
 地方が成長する活力を取り戻し、人口減少を克服することを目指す地方創生は我が国が直面する喫緊の課題であります。
 私ども静岡県民は、この課題の喫緊性を国に指摘されるまでに認識しておりまして、本県は国に先駆けて人口減少克服に向けた検討に既に着手しておりました。そして早くも昨年十二月、有識者会議から御提言をいただいております。この御提言を踏まえて取りまとめた人口減少対策を直ちに二月補正予算案及び来年度当初予算案に盛り込み、本議会にお諮りしているところであります。
 昨日、庁内に静岡県まち・ひと・しごと創生本部会議を設置し、美しく、強く、しなやかな静岡型地方創生を目指して、四つの柱すなわち第一に安定した雇用を創出する、第二に新しい人の流れをつくる、第三に若い世代の結婚等の希望をかなえる、第四に時代に合った地域をつくるという、これら四つの柱から成る地方版総合戦略の素案を全国の自治体の先頭を切って取りまとめたところでこざいます。
 来る三月二十三日には、第四回となる人口減少問題に関する有識者会議を開催し、御提言を踏まえて取りまとめた本県の対策について専門的見地から検証していただき、さらなる施策の充実につなげてまいります。また三月二十五日には、私を会長とし県内の産業界、行政関係、大学、金融機関、労働団体、報道機関など産官学金労言の代表者の皆様で構成する、仮称でございますが静岡県まち・ひと・しごと創生県民会議を立ち上げるとともに、来年度早々には県内五つの圏域ごとに地域会議を設置し、市町とも連携を図りながら地域ごとの異なる特色を最大限に生かした対策をオール静岡で推進してまいります。
 今後、県民会議や地域会議での議論、県議会の皆様による御審議をいただきながらスピード感を持って本県独自の地方人口ビジョン及び地方版総合戦略の策定を進め、本年秋をめどに成案を得てまいります。
 地方創生を、私どもはポスト東京時代を開くという認識で捉えております。その先導役を担うという気概を持って本県の中心性を高め全国のモデルとなる取り組みを進め、国土統合のシンボルでございます富士山を擁する本県のこの地に、「住んでよし 訪れてよし」、「生んでよし 育ててよし」、「学んでよし 働いてよし」、そしてまた老いてよしという理想郷を築くべく全力で邁進してまいりますので、引き続き県議会の皆様の御支援、御協力を賜りますようお願いを申し上げます。
 次に、人口減少対策としての本県への移住の促進についてであります。
 県では、二年連続転出超過数ワースト二位という事態を非常に深刻に受けとめております。人口減少問題に関する有識者会議の御提言や国のまち・ひと・しごと創生総合戦略などを踏まえ、新たに県内出身者がふるさとに戻る、いわば住み帰ると、そして県外者が本県に生活の基盤を移す住みかえると、さらに本県に住宅を購入し首都圏等に通勤や二地域居住する住みかを得るというこの三つの視点から、一人でも多くの方が中山間地域のみならず都市部を含めた県内全域で住みかえるための施策を展開してまいります。
 さらに、特に若者に魅力ある雇用の場の創出、教育、医療、子育て支援の充実、緑あふれる豊かな暮らし空間の整備などにより本県の暮らしの魅力を高め、移住希望者が本当に住みたいと実感できる環境づくりを進めてまいります。
 具体的には、東京では困難な安全・安心でゆとりあるライフスタイル。二DKスタイルでございますのでそれとは異なり、また多くの選択肢のあるふじのくに型ウェイ・オブ・ライフを提案いたしまして、インターネットを初めさまざまな媒体やイベントを通して広く発信するとともに、都内有楽町駅前にふじのくにに住みかえるセンターなるものを新たに設置し首都圏の移住希望者がワンストップで気軽に相談できる体制を整備いたします。これには山梨県とも協力してやってまいります。
 センターの運営に当たりましては、県の静岡U・Iターン就職サポートセンターを初め同一場所に窓口を設置する静岡市や隣県の山梨県とも連携を一層密にしてまいる所存であります。
 移住者の増加のためには受け入れ体制の一層の充実が重要ですから、市町を初め不動産関係団体や移住受け入れに積極的な地域団体など官民が緊密に連携して取り組みを推進する組織を創設いたします。また地域づくり等に関し豊富なノウハウを有する民間のアドバイザーを採用して地域の実態に即した効果的な取り組みを支援するなど、全県一体となりまして本県への移住を促進し、住んでよしのふじのくにづくりに全力で取り組んでまいります。
 次に、国際協力に携わる若者への支援についてであります。
 御紹介いただきました御前崎市池新田御出身の栗山さやかさんは本県の誇りでございます。彼女は池新田高校を卒業した後、東京の短大に進まれ、そしておしゃれを愛するどこにでもいるような普通の女の子だったわけですが、二十六歳のときに親友が突然病死なすって、それで自分は何のために生きているのか、自分は何ができるかということを真剣に考え、それで一人で旅に出て、そしてアジア、なかんずくインドでその厳しい衛生、あるいは食糧事情というものに気づき、さらにアフリカに渡り各地を見ていくうちに食糧がない、また衛生状態が悪い、病気になるあるいはけがを治せない、そうしたことに気づいて、二〇〇九年――今から六年前にモザンビークに定住することになすって、その北部の最も厳しいところで子供の病気を治すためにみずから国家試験を取るということで、昨年の十二月にはモザンビーク国家試験である医療技術師の資格を受検者二十七名中トップで取得なすったわけです。まことに立派というふうに思います。こういう青年をこそ、これから静岡県はつくっていかねばならないと存じます。
 一方、日本全体にもこのような青年を育てようというそういう制度がございます。それが一九六五年に発足したJICAの青年海外協力隊でございまして、二年間のいわゆるボランティア活動をするということで、もう既にこの青年海外協力隊に従事した日本の青年の数は四万人になっておりますし、本県はもう既に千三百人を超えているということなのでございます。
 この活動は、日本の顔の見える援助の一つとして海外では高く評価されています。一方、日本国内では海外のボランティア活動に対する周知が十分でないということから協力隊員の社会的な認知や評価がまだまだ低いという課題がありますし、このたびの栗山さんのような方がふるさとに帰られて高校生や地域の方々に自分の経験を伝えることを通して初めて実態を知ると。我々がいかに彼女に言わせれば奇跡のような生活が送られているかということを自覚するということなのであります。
 そこで、静岡県では海外協力隊員の活動を広く県民の皆様に知ってもらうとともに、理解と評価をいただく機会として、これまでJICAと連携した協力隊員による帰国報告会を全国で唯一開催してきました。また協力隊員の帰国後の就職支援等のために県内企業等への働きかけを進めているところです。
 先月末には、遅まきとはいえ経済界や教育界、青年海外協力隊経験者等による支援組織であるふじのくに静岡・協力隊を育てる会も発足いたしました。この育てる会とも連携をいたしまして、協力隊員が帰国後に県内の企業や地域社会で活躍できる環境づくりに努めてまいりたいと思っております。
 また、今後青年海外協力隊のみならず栗山さんのような幅広く国際協力に携わる方々の帰国報告会を静岡県ボランティア協会等と連携して開催するとともに、海外ボランティア活動団体に対してネットワークづくりの機会の提供や資金調達等に関する助言などの支援にも取り組んでまいります。
 一方、それらの経験を日本が人材育成、あるいは御自身のキャリアの中でしっかりと評価されるようなシステムをつくることが、あわせて大事な課題ではないかというふうに考えまして、青年海外協力隊の活動を初めこうした活動を社会的に正当に評価する教育機関として、帰国後の協力隊員あるいはそれに類した方々に環境経営学修士号と日本初の学位を与えるJICAグローバル大学院の設立を国に提案しているところであります。
 こうした方々が教育界にお戻りになられますと、あるいは教育をしてみようと、日本の子供たちに経験を伝えようということになりますと、いわゆる多文化共生ということの本当の実が上がります。言葉だけではなくて、体に、また知識に、また技術に刻み込まれたそうしたものを子供に教えることができると。これからの教育はそのように地球全体をにらみながらの教育が求められているというふうに思う次第でございます。
 本当に、栗山さやかさん、健康に留意されて、さらにモザンビークの子供たちや、また病気にかかりがちなお母さん方のためにいい活動を続けられるように心から祈念している次第であります。
 次に、平成二十七年度当初予算編成についてであります。
 平成二十七年度当初予算は、富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりの総仕上げに向けた取り組みを積極的に推進することとし、自民改革会議の御意見を真摯に受けとめ七つの要望事項を踏まえつつ平成二十六年度二月補正予算と一体となった予算編成を行いました。
 要望事項の一つ目、経済再生、雇用対策の強化充実でありますが、静岡県産業成長戦略会議の御提言を踏まえ官民一体となった産業成長を図るため、地域企業をサポートする産業戦略推進センター――仮称でございますが――これを設置するほか中堅、大企業の積極的な設備投資を促進するための新たな融資制度を創設いたします。またファルマバレープロジェクトの新たな研究開発拠点を旧長泉高等学校跡地で整備を進めておりまして、地域企業の医療健康産業への参入を支援いたします。
 要望項目二つ目の危機管理体制の強化充実では、引き続き地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に基づき県内全域において防潮堤や水門等の整備を進めてまいります。またオフサイトセンター及び環境放射線監視センターを富士山静岡空港の西側隣接地に一体的に移転整備し、原子力災害発生時の防災拠点といたします。
 三つ目の要望項目、子育て支援、医療・福祉の充実では、待機児童の解消に向けて保育所や認定こども園の整備を進めるほか、年度途中に子供さんを受け入れるためあらかじめ保育士を配置する保育所への支援を、これまでのゼロ歳児に加え一歳児、二歳児まで拡大いたします。また乳幼児の保育単価を増額するなど地域の実情に応じた多様な保育サービスを充実し、子育て支援を強化いたします。
 四つ目の要望項目、教育・人づくりの充実では、議員の皆様からの御提案により制定されました静岡県家庭教育支援条例を踏まえ家庭教育支援員を養成するほか、市町にモデル的に支援チームを設置するなど行政、学校、地域が一体となって家庭教育の支援に取り組んでまいります。また小学校、中学校の全学年で実施しております静岡式三十五人学級編制を堅持いたします。
 五つ目の要望項目、県民の豊かな暮らしの実現では、地域の皆様からの強い要望を踏まえ身近な道路や河川の新設改良、信号機の設置などを行う県単独生活環境整備事業を前年度より二十億円増額し二百七十億円を計上いたします。また通学路の整備、地域の孤立防止などに向けた安全・安心緊急道路対策事業費や河床のしゅんせつ、急傾斜地の崩壊対策などいわゆる豪雨対策緊急整備事業費と名づけまして、これを合わせて五十億円計上したところであります。
 六つ目の要望項目、観光・交流の促進では、伊豆半島ジオパークの世界認定に向け推進協議会が伊豆市に設置を予定している中央拠点施設の整備を支援するほか、富士山静岡空港を生かした地域のまちづくりを行う地元市町に助成をいたしまして空港周辺のにぎわいを創出いたします。
 七つ目の要望項目、行財政改革の推進では、徹底した歳出のスリム化と歳入の確保による財源不足の圧縮に努め、将来に備える基金につきまして二十六年度当初予算編成後の二百五十二億円を百三億円上回る三百五十五億円を確保いたしました。また通常債の残高につきましては二十六年度、二十七年度の二年間で約一千億円を縮減することができました。今後も引き続き行財政改革大綱に基づく健全財政の枠組みの堅持に努めてまいります。
 これらの取り組みにより、静岡県の場の力を生かした世界水準の魅力を展開し全国の先駆けとなる美しく、強く、しなやかな静岡型地方創生に取り組み、ふじのくにづくりに向けて邁進してまいります。
 次に、産業成長戦略の推進についてであります。
 本県経済の回復に向けた動きを確実なものとし、持続的に発展させていくにはどうしたらいいか、昨年三月以来、産業界や金融界の方々と協議を重ねてきました産業成長戦略会議がございます。ここにおきまして去る二月十二日地域企業の事業活動を活発化し次世代産業の創出を加速するための本県独自の産業成長戦略を決定いたしました。
 この中で、本県経済に占める割合が大きいものづくり産業におきまして、中小企業への支援はもとより中堅、大企業が経済成長の牽引役となり、地域企業全体の発注、受注の好循環を生み出すことの重要性を中心として域内経済の活性化に向けた多岐にわたる御提案をいただいたところでございます。
 それを受けまして、中堅、大企業を含め新たな事業展開に積極果敢に挑む地域企業の成長を促進することを産業成長戦略の最重要施策として、その実現に向けた取り組みを平成二十七年度当初予算に盛り込み本議会にお諮りしているところであります。具体的には、国際競争力を持ち世界で戦える企業や国内でも全国展開可能な地域企業をサポートするための官民協働による新たな組織として産業戦略推進センター――仮称でございますが――これを本年四月――再来月に立ち上げ、成長が見込まれる本県経済を牽引する企業の技術や製品等を選び抜く目ききを働かせまして集中的に支援してまいります。
 また、資金面の支援といたしましては、今までの中小企業を対象とした県制度融資の充実に加え初めての取り組みとして中堅、大企業の設備投資を促進するため利子補給制度を創設することで、地域企業全体の事業活動の活発化を促します。
 さらに、次世代の基幹産業を創出するために国の関係機関――特に経産省ですが――と連携協定をいたしまして地域企業の先端技術の研究開発や事業化を促進する仕組みを新たに設けてまいります。これにはなかなか企業局が大きな働きをしておりますので、御紹介しておきます。
 産業成長戦略は決定しただけでは十分ではありません。産業界、金融界、県が一体となって実施していくことが求められておりますことから、今後とも実効性の高い施策を展開することにより本県産業の力強い再生と、より一層の活性化を図ってまいります。
 次に、世界遺産富士山について世界遺産委員会からの勧告及び要請への取り組みに関してのことでございますが、世界遺産委員会に提出する保全状況報告書の作成に向けましては、昨年十二月の富士山世界文化遺産協議会において採択した資産の全体構想や各種戦略等を踏まえ、今後、この秋十月をめどにいたしまして富士山包括的保存管理計画の全面的な改定を行ってまいります。十月までにそれを終えまして、それ以降、英訳に移して二月の提出に備えるという段取りでございます。この改定に当たりましてはイコモスからの御勧告また世界遺産委員会の決議の内容を踏まえ、世界遺産委員会の御理解を得られるよう保存管理の実施主体や対策の工程等を明確にするなどして、より具体的で説得力のある内容を盛り込んでまいります。
 主な内容ですけれども、上方いわゆる五合目以上のところの登山道の収容力につきまして三年をめどに収容力の調査研究を行い、登山道ごとの一日当たりの登山者数を初め多角的な視点から複数の指標を設定して各種戦略等に基づく適切な来訪者管理を行ってまいります。
 富士山五合目以上の環境保全や登山者の安全対策等につきましては、富士山保全協力金を財源とした県内の市町や非営利団体等に対する補助制度を創設いたします。これを創設して官民が連携した一体的取り組みを促進いたします。
 また、白糸ノ滝につきましては、なかなか市長さんのリーダーシップのもとで整備が目に見える形で進んでおります。これまでに人工物の撤去など滝つぼ周辺の整備が計画的に進められているのを喜んでおります。
 三保松原につきましては、海岸の景観改善や松林の保全等について県が指導しながら新たな知見を結集し地域住民の皆様と御連携を申し上げて、これまでに例のない静岡モデルとも言うべき取り組みを着実に実行してまいる決意です。
 さらに、自民改革会議を初め各会派からの御提言を受けまして今議会にお諮りしている静岡県世界遺産富士山基本条例において、県や県民、来訪者などの責務や県の講ずべき基本的施策を明らかにすることにより富士山の保全に関する施策を総合的に推進してまいります。
 引き続き、国、山梨県、関係市町村等と連携を密にし、二〇一六年二月一日までに提出する保全状況報告書を最善のものとし、世界遺産委員会からの勧告及び要請に確実に対応するなど日本の国土の統合のシンボルであり人類の共通の宝物となりました富士山を末長く後世に継承してまいります。
 次に、富士山静岡空港の発展への取り組みについてであります。
 富士山静岡空港は、本県の発展を支える重要な社会的資本であります。他空港との競争が厳しくなっておりますが、そうした中、路線や便数の充実と利用客のさらなる増加に向けまして、これまでの取り組みに加え空港の競争力をさらに向上させる思い切った施策に取り組むことが必要になっています。
 このため、県西部地域への乗り合いタクシー制度の導入や航空機の遅延に対応したバス運行などの改善策を講じ空港アクセスの向上を図るとともに、関係者の御理解と御協力を賜りながら来年度のできるだけ早い時期に運用時間を延長して、さらにターミナルビルの増改築を着実に進めることもいたしまして空港の利便性のさらなる向上に努めてまいります。
 これとあわせ、県西部、東部地域からの需要の取り込みとビジネス利用の促進を当面の最重要施策として旅行代理店や経済団体との連携を強化するとともに、利用促進に関する支援策を拡充いたします。さらに企業訪問を重層的に行い底がたい需要の見込めるビジネス利用の掘り起こしに一層進めてまいります。
 これまでの取り組みが実を結んでまいりまして、去る一月二十八日からの静岡―天津線の定期便化に続き、平成二十七年夏ダイヤでは福岡線のダイヤの改善――四便になります、上海―武漢線のデーリー運航などが実現いたしました。こうした取り組みにより、さらなる路線便数の充実を図ってまいります。
 また、富士山静岡空港は首都圏空港の補完機能を果たすことが期待されております。先般、太田国交大臣とお目にかかりました際にもこの件につきまして御了解を賜ったところでございますが、空港のアクセス強化につながる新幹線空港新駅の設置に積極的に取り組みます。本県が被災した際には、もちろんここが大規模な広域防災拠点として活用できるように整備していかねばなりません。首都圏に直下型地震が起こったり、あるいは富士山が仮にも噴火した際には利用できる首都圏から近い空港としても活用できるように、あわせて日本のためになるような空港として育てていこうと思っております。
 今後とも、路線便数の増大や新たな制度を活用した空港周辺のにぎわい創出等を通じまして富士山静岡空港の価値を高め、県民の皆様や航空会社に選ばれる空港へと発展させ、開港十周年の際には、空港がここにあって本当によかったと県民の皆様に実感していただける空港へと成長できるよう、あらゆる手段を尽くしてまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
○議長(多家一彦君) 土屋経済産業部長。
       (経済産業部長 土屋優行君登壇)
○経済産業部長(土屋優行君) 第一次産業の振興についてのうち、農業の復活についてお答えいたします。
 静岡茶の販路拡大についてでありますが、これまで茶業関係団体と連携し首都圏や緑茶消費の少ない東北、北海道などにおける消費者向けキャンペーンの実施や、お茶の魅力を伝えるセミナーの開催などに取り組んできたところであります。
 来年度は、一層の販路拡大を目指し全国の主要七都市において県内の生産者や茶商の皆様に御参加いただき、茶の流通販売業者、百貨店、ホテル、カフェなど幅広い事業者を対象に取引につながる商談会を開催してまいります。またJAグループと連携して本県独自のブランド商品を開発するとともに、その販路開拓を支援してまいります。
 さらに、緑茶の需要が伸びている海外への輸出の拡大を図るため、相手国の農薬の基準に対応した栽培体系の構築やアメリカやEUでの販売活動を支援するためのサポートデスクの設置を行うとともに、輸出に意欲的な生産者や団体、流通販売業者等とともに輸出拡大に向けた協議会を組織し現地商談会への出展を促進してまいります。
 県といたしましては、今後とも我が国の茶業をリードしていくことができるよう茶業関係者と連携して国内外への販路拡大に積極的に取り組んでまいります。
 次に、食肉センターの再編整備についてであります。
 県内の食肉センターは、議員からも御紹介いただきましたように、食肉の安全性を確保するため、かつては市町村によって最も多い時期で十四カ所が設置されておりましたが、稼働率の低下により順次閉鎖されました。現在では浜松市食肉地方卸売市場と、昭和五十五年に地元市町村の一部事務組合からJA静岡経済連に譲渡されました小笠食肉センターの二つの施設だけが稼働しております。両施設とも老朽化に加え家畜の生産頭数の減少による稼働率の低下が課題となっております。このため、議員に御紹介いただきました再編推進協議会では今後の家畜の生産動向等を踏まえた集約を図るとともに、県民の皆様に提供する食肉の安全・安心をさらに進めるため高い衛生管理水準の施設が必要であるとの意見が多く出されております。
 一方、食肉センターの整備・運営には多大な初期投資とランニングコストがかかりますことから施設整備後の健全な経営の確保が課題となっており、設置運営主体のあり方や生産された食肉の高度加工による高付加価値化、海外への販路拡大による収益力強化等の検討も必要であります。
 県といたしましては、畜産の振興はもとより県民の皆様への安全・安心な牛肉、豚肉の安定的な提供を確保する上でも食肉センターは重要な施設でありますことから、今後市町や関係団体と一体となって健全な経営が可能な食肉センターが整備されるよう支援してまいります。
 次に、水産王国静岡の復活についてであります。
 本県水産業が将来にわたり発展するためには、創意工夫を凝らし、議員からも御指摘のあった、さまざまな課題の解決に官民挙げて積極的に挑戦することが必要であります。
 漁業者及び水産加工業者が、継続的に高品質な水産物を県民の皆様方に供給、提供していくためには、まずは浜に十分に水揚げが行われることが不可欠であります。このため資源状況の調査や稚魚の生産、放流などを通じ水産資源の計画的な維持増大を図るとともに、主要漁港における衛生管理の向上の実践や大型漁船の水揚げに対応可能な施設整備のための予算を平成二十七年度当初予算案に計上し、お諮りするなど流通機能の高度化に取り組んでまいります。
 さらに、激しい産地間競争を勝ち抜くためには本県ならではの価値の高い水産物を提供していくことが必要であります。船上で選別した大型サバを高鮮度で流通させる小川漁協の構想や定置網の漁獲物の地元ホテルでの活用、直営飲食店でのキンメダイ料理など地域と一体となった、いとう漁協の構想など各地の水産物の価値を磨く取り組みの実現を支援してまいります。
 県といたしましては、引き続き現場の皆様と緊密に連携し直面する課題を正確に把握した上で、将来を見据えた施策を実施することを通じて水産王国静岡の復活に向けて全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(多家一彦君) 野知交通基盤部長。
       (交通基盤部長 野知泰裕君登壇)
○交通基盤部長(野知泰裕君) 第一次産業の振興についてのうち、森林・林業の再生についてお答えいたします。
 ふじのくに森林・林業再生プロジェクトが目指す県産材の需要と供給の一体的な創造のためには、丸太を低コストで計画的に生産する森林技術者と最新の木材需要の動向を的確に把握して、県産材の生産から加工まで一貫した木材供給戦略を進めることのできる人材の育成が不可欠であると認識しております。
 このため、森林技術者の育成につきましては年間五十万立方メートルの丸太を生産するために必要な技術者数五百人を平成二十九年度末での目標に掲げ、静岡県森林組合連合会と連携して効率的な生産技術を習得する研修などを実施しております。この結果、森林技術者は今年度には目標の九割に相当する約四百三十人にふえる見込みとなるなど着実に成果を上げているところであります。
 また、木材供給戦略を進める人材の育成につきましては、今後森林組合や製材業者などの中核職員を対象に中高層建築物への利用等、新たな分野を含めた木材需要の動向や流通の仕組みなどについて理解を深める研修会を開催するとともに、木材を扱う商社や建設会社などと情報交換する場を設け、生産から流通加工、利用に至る幅広い知識の習得と企画立案能力の向上を図ってまいります。
 県といたしましては、現場を担う技術者と本県の林業、木材生産を牽引する人材を育成し、森林・林業の再生を図り本県林業の成長産業化を目指してまいります。
 次に、森の力再生事業についてであります。
 この事業は、森林の有する公益的機能の回復を図るため所有者による整備が困難な荒廃森林を平成十八年度からの十年間で整備するもので、今年度末には全体計画量一万二千三百ヘクタールの約九割の整備が終わる見込みであります。
 一方、事業の効果などを検証していただいている評価委員会の提言もありましたように、頻発する集中豪雨や鹿等による食害の深刻化、放置された竹林の拡大等の課題が生じていることから、現在こうした実態を的確に把握するため現地調査や市町などからの情報収集を行っているところであります。
 今後は、これまでの事業の成果や荒廃森林の実態などについて県民の皆様に御理解をいただくため、各種メディアを活用した情報発信やタウンミーティングの開催など広報広聴活動を一層強化してまいります。
 県といたしましては、県民の安全・安心を支える森林の機能向上に向けて現計画を着実に推進するとともに、森の力再生事業の今後のあり方について県民の皆様や関係団体の御意見、評価委員会の提言などを踏まえ検討を進めてまいります。
 次に、社会資本整備の今後の進め方についてであります。
 大規模地震や風水害などあらゆる災害から県民の皆様の安全・安心を確保し誰もが豊かで快適に暮らせる社会を実現するためには、その礎となる社会資本の計画的かつ着実な整備が極めて重要であります。
 このため、県では静岡県地震・津波対策アクションプログラム二〇一三や静岡県社会資本整備重点計画などの先行する具体計画を包括する、美しく、強く、しなやかな地域づくりを目指す静岡県国土強靱化地域計画の策定を今年度末を目途に進めているところであります。これらの計画に基づき地震・津波対策や近年の局地的豪雨にも対応した水害対策、土砂災害対策等の整備を重点的に推進し、災害に強い県土の強靱化を進めてまいります。
 さらに、地方創生につながる魅力ある地域づくりに向けて伊豆縦貫自動車道等の高規格幹線道路の整備や駿河湾港の一体的な整備・運営などによる陸・海・空の交通ネットワークの拡充、暮らしに密着したきめ細かな生活関連事業等も引き続き推進してまいります。
 県といたしましては、防災・減災と地域成長、自然との共生、環境との調和を図り、地域の実情を踏まえ地域住民の皆様との連携による効果的、効率的な社会資本整備を積極的に推進し、安全・安心で魅力あるふじのくにづくりの実現に努めてまいります。以上であります。
○議長(多家一彦君) 伊藤文化・観光部長。
       (文化・観光部長 伊藤秀治君登壇)
○文化・観光部長(伊藤秀治君) 今後の観光戦略についてお答えいたします。
 地域経済の厳しい状況のもと、裾野が広く他の産業への経済波及効果の高い観光産業の振興は地域創生の鍵を握ることから、県では観光客のニーズに応える世界水準の観光地づくりをスピード感を持って進めているところであります。
 具体的には、賀茂地域、浜名湖地域において昨年設置された着地型・体験型旅行商品を扱うツアーセンターを支援した結果、本年度末までにそれぞれ約六千人の集客を見込むなど手応えをつかんでおりますので、来年度は他のエリアにおいても拡大して試行いたします。
 また、今後新東名高速道路の延伸や中部横断自動車道の開通、富士山静岡空港の拡張など交通ネットワークの充実が見込まれますので、これらを最大限に生かした誘客ルートの拡大を図ってまいります。
 このほか、緊急対策として宿泊料や体験料を割り引くことにより旅行需要を広く喚起する取り組みに係る経費を二月補正予算でお諮りしているところであり、事業効果を県内各地に行き渡らせてまいります。
 今後も、観光関係者にとどまらず商工、農林水産、交通事業者や地域づくり関係者など地域の皆様と一体となって、県内各地が何度でも訪れたくなる観光地となるよう観光戦略を展開してまいります。以上であります。
○議長(多家一彦君) 岩田危機管理監。
       (危機管理監 岩田孝仁君登壇)
○危機管理監(岩田孝仁君) 原子力防災訓練の成果と課題についてお答えいたします。
 今年度の防災訓練は、一月十六日の地震対策大規模図上訓練に合わせた図上訓練と二月六日の実動訓練とに分けて実施いたしました。
 図上訓練では、大規模地震に伴い浜岡原子力発電所で発生した緊急事態を想定し、被害状況に応じた応急活動の優先順位の決定や住民の避難、屋内退避の実施に当たって全庁的に取り組む対応の検証を行いました。
 実動訓練では、住民の一時集合場所での受け付け、バスによる移動、住民や車両のスクリーニングなど避難を行う上で必要な手順を検証いたしました。今回新たに十秒程度で汚染検査ができる体表面汚染測定器を導入したほか、空路や海路も利用した病院、社会福祉施設からの避難訓練を実施し、新たな測定器の導入や避難手段の有効性を確認いたしました。
 今回の訓練では、避難ルートの検討において県本部とオフサイトセンターの役割が明確でなかったこと、高速道路での避難車両の優先通行について課題があったことなどがわかりました。今後はこれらの課題解決に取り組むほか、避難計画の対象者が九十六万人と多数であることを踏まえスクリーニングポイントの最適な箇所数と配置、渋滞を避けるための避難ルートと段階的避難の実施方法についても検討してまいります。
 県といたしましては、今回の訓練の成果と課題への対応策を現在策定中の広域避難計画に反映するとともに、国や関係市町、関係機関との連携強化を図り原子力防災体制の充実に努めてまいります。以上であります。
○議長(多家一彦君) 宮城島健康福祉部長。
       (健康福祉部長 宮城島好史君登壇)
○健康福祉部長(宮城島好史君) 社会的養護における子供の自立に向けた支援についてお答えいたします。
 社会的養護を受けなくてはならない子供にとって、必要な教育を身につけることは自立への礎であり、貧困や社会的不利益の連鎖を断ち切ることができる重要な手段であります。
 県では、施設等へ入所している子供に対し個別の学習支援を行う被虐待児等処遇向上モデル事業の実施や高校への就学に必要な経費の支給など、学習習慣を身につけることを初め子供が求める教育を受けられる環境を整えております。また必要と認めた場合は措置延長の制度を活用し、学生などの入所者にも満二十歳まで支援しております。
 今回、大学や専門学校等に修学している子供たちが安心して卒業できるよう、全国で初めて二十を超えても生活費や修学などに必要な経費を支給することといたしました。この制度により子供たちがいかなる境遇にあってもみずからが望む教育を受けられ、自分の可能性を信じて夢や目標をかなえることができる環境を整えたところでございます。
 今後とも、児童養護施設や里親など関係者の方々と連携し学習面での支援を充実させていくことにより、子供たちの自立と望みをかなえていき貧困の連鎖の解消に努めてまいります。以上であります。
○議長(多家一彦君) 安倍教育長。
       (教育長 安倍 徹君登壇)
○教育長(安倍 徹君) 教育行政についてのうち、教育のあるべき姿についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、国の教育改革と相まって本県もさまざまな教育改革に取り組んでまいりましたが、引き続き取り組んでいかなければならない多くの教育課題を抱えていると認識しております。具体的には、学力向上、いじめ対策、家庭教育、就学前教育、キャリア教育、命を守る教育などが挙げられます。
 これらの課題を解決していくためには、二つの視点が大切であると考えております。
 一つは、自立と連携であります。教育委員会や学校を初めとする教育機関がみずからの責務を自覚し主体的にその責務を果たしていくとともに、例えばいじめ対策や家庭教育、就学前教育にあっては学校教育と社会教育、福祉部門との連携が、またキャリア教育においては産業界や労働部門と、命を守る教育においては危機管理部門や警察等との連携が不可欠であると考えております。そして何より、来年度からの新しい教育委員会制度におきましては教育委員会と知事部局の自立と連携が必要であると考えております。
 もう一つの視点は、継承と改善であります。これまで県内の教職員が地道に積み重ねてきた教育実践に取り組む姿勢につきましては、今後も大切に継承されるべき本県教育界の財産であると考えております。その一方で、急激に変化していく社会の中で子供たちの実情を的確に把握し、改善すべきものは勇気を持って改善していくという姿勢をあわせ持つことが今後の教育界に求められていることだと受けとめております。
 これらの視点を踏まえ、教育における不易と流行を十分に見きわめながら、今後も県教育振興基本計画第二期計画を着実に実行していくことにより、社会総がかりで有徳の人づくりを推進していくことが大切であると考えております。
 そして、この本県行政の目標であります有徳の人づくりは次代を担う青少年に対してのみ発せられるものではなく、私たち一人一人が有徳とは何かをみずからに問い続け成長していくことが、県民総がかりの有徳の人づくりとしてより根づいていくものと確信をしております。
 次に、家庭教育の支援についてであります。
 家庭教育支援条例の目的や基本理念を県民の皆様に知っていただくために、研修会、講習会等のさまざまな機会を捉え周知を図っていくとともに、県内全ての保育所、幼稚園、学校、公民館、図書館や企業、コンビニエンスストア等にポスター一万枚、リーフレット七万枚を配布するなど積極的に広報に努めてまいります。
 また、今後の施策の展開としましては、自分の子育てに自信が持てない、相談を聞いてくれる仲間が欲しいなど多くの保護者が抱えている悩みや不安を和らげるため、家庭教育を支援する地域リーダーの養成と、リーダーを中心とした家庭教育支援チームの立ち上げにより保護者への学習機会の提供や相談対応等の活動を支援してまいります。また企業において家庭教育講座を実施するなど家族で一緒に過ごす時間の大切さを広めてまいります。
 県教育委員会といたしましては、保護者に寄り添う支援を展開し、安心して子育てや家庭教育が行える環境整備を市町とともに進め、家庭教育支援条例の目的であります、子供たちが地域の宝として社会全体から愛情を受け、健やかに成長する静岡の実現を目指してまいります。以上であります。
○議長(多家一彦君) 西川警察本部長。
       (警察本部長 西川直哉君登壇)
○警察本部長(西川直哉君) 平成二十七年の警察運営の重点についてお答え申し上げます。
 平成二十七年の県警察の運営指針は、「県民の期待と信頼に応える警察〜正・強・仁〜」といたしまして、現下の治安情勢を踏まえ安全・安心推進プログラム二〇一四に掲げる三本柱のもと各種施策を推進してまいります。
 まず、第一の柱は、犯罪の起きにくい社会づくりであります。
 犯罪等に関する効果的な情報発信などにより県民の防犯意識を高めるとともに、地域住民や事業者、行政機関等と連携した防犯活動を推進してまいります。
 特に、ストーカー、DV等の相談に対しては相談者等の生命、身体の安全を最優先にした措置をとってまいります。また振り込め詐欺等の特殊詐欺に対しましては金融機関等と連携した水際対策である預手プランをより積極的に推進するとともに、組織を壊滅することを目指した検挙活動を推進してまいります。
 このほか、インターネットを悪用したサイバー犯罪の取り締まりを推進するほかテロ、大規模災害にも的確に対応してまいります。
 第二の柱は、人に優しい交通安全社会の実現であります。
 昨年は交通人身事故の件数、負傷者数、死者数がいずれも減少いたしましたが、高齢者が関係する事故の比率は依然として高い状況にありますことから、引き続き高齢者の交通事故防止を最重点として、総合的な交通事故防止対策を関係機関、団体等と連携して推進してまいります。
 第三の柱は、安全・安心のための警察力の強化であります。
 治安情勢の変化に的確に対応するため、組織体制の整備を進めるほか精強な第一線警察官を育成するための訓練や研修をさらに強化するとともに、警察施設の整備や防災機能の強化を図るなど警察活動の基盤強化を推進してまいります。
 地方警察官二十七人の増員配置につきましては、ストーカー、DV事案や特殊詐欺対策として認められたものでありますので、現在、増員の趣旨に沿って組織体制の整備を検討しているところであります。
 本年も、より安全で安心して暮らせる社会の実現を図るため、県警察職員一丸となって県民の皆様の期待と信頼に応えていく所存であります。以上であります。
○議長(多家一彦君) 四十六番 藪田宏行君。
       (四十六番 藪田宏行君登壇)
○四十六番(藪田宏行君) 御答弁ありがとうございました。
 一点、八番の富士山静岡空港の発展への取り組みについて知事より御答弁をいただいたわけですが、最後に知事の答弁の中に空港周辺の新たなにぎわい創出に取り組む旨の御答弁があったかと思うんですが、この新たな取り組みというのは具体的には何かもう決まっているんでしょうか。決まっていたらお話を聞かせてください。以上です。
○議長(多家一彦君) 服部静岡県理事。
○静岡県理事(服部真樹君) 空港周辺のにぎわい創出に係る新たな制度について、再質問にお答えいたします。
 富士山静岡空港は県民の皆様の交流を促進する社会資本でありますが、地元の皆様の御理解と御支援により支えられている施設でございますので空港と地域の調和ある発展を目指す必要があると考えております。
 このため、県では空港周辺地域の振興と生活安定を図ることを目的として平成七年度から今年度までを期限とする空港隣接地域振興事業費補助制度を設け、市町の行う道路整備や河川整備などの事業を後押ししてまいりました。この現在の助成制度の期限満了を機に地元の市町や空港関係団体等からの強い御要望を受けまして、来年度から新たに空港隣接地域賑わい空間創生事業費制度を設けることといたしました。
 この制度では、従来からの対象事業に加えまして空港周辺のにぎわいづくりなどにも活用できるように対象事業を拡大するとともに、これまでの補助率――県の補助率は基本三分の一でございましたが――これを原則二分の一とする方向でかさ上げを図りまして、地元の市町にも使いやすい制度としているところであります。
 県といたしましては、可能な限り前倒しによる事業執行を促進するなどスピード感のある事業進捗を図りまして、空港周辺のにぎわいづくりと空港の価値の向上をできるだけ早期に果たしてまいりたいと考えております。以上であります。
○議長(多家一彦君) これで藪田宏行君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp