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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和4年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

伴 卓 議員

質問分類

一般質問

質問日:

09/30/2022

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 ワンヘルスアプローチに基づく動物由来感染症対策について
2 薬剤耐性対策について
3 ICT人材の育成とイノベーション拠点の形成について
4 不登校児童生徒の多様な学びの機会について
5 警察業務における情報通信機器やシステム等の活用促進について


○副議長(和田篤夫君) 次に二十二番 伴  卓君。
       (二十二番 伴  卓君登壇 拍手)
○二十二番(伴  卓君) 質問に先立ち、私からも今回の豪雨災害の被害に遭われました皆様にお見舞いを申し上げます。
 幸い私の地元富士市では、数件の床下浸水と一部の道路冠水などがありましたが大きな被害報告はなかったことから、二十五日以降親類や相談者を訪ね連日主に清水区内に入らせていただいております。昨日も富士市内で活動する奉仕団体の皆様と飲料水をお配りさせていただきました。列に並ばれていたある方から、毎日期待を込めて蛇口をひねるが水は出ず出てくるのはため息ばかりだよ、今日は本当にありがとう、やっと今夜はお米が炊けるという笑顔の言葉が心に残ります。県におかれましては引き続き市や町と連携し早期復旧に当たっていただきますことをお願い申し上げ、質問に入ります。
 私は、ふじのくに県民クラブの所属議員として県政の諸課題について通告に従い知事、副知事、関係部局長、教育長、教育部長及び警察本部長に分割質問方式にて質問をいたします。
 初めに、ワンヘルスアプローチに基づく動物由来感染症対策について伺います。
 二〇二〇年二月末、静岡県においても初めて新型コロナウイルスに罹患された患者さんの発表がありました。またその日を皮切りに県内の各市町で最初の陽性者という報道が続き、私たち県民、市民は未知のウイルスの襲来という不安にさいなまれました。あれからおよそ二年七か月、これまでに延べ五十万人近い県民が罹患なされています。罹患された方へのお見舞いと現在療養中または後遺症などの療養に当たられている方の御回復をお祈りを申し上げますとともに、改めて医療関係者の皆様に衷心より感謝を申し上げます。
 さて、私たちはいつまでこの感染症と闘わなければならないのでしょうか。また何をもって克服したと言えるのでしょうか。それは治療法やワクチンの確立でしょうか。
 私たち人類は、これまでにも天然痘やペスト、新型インフルエンザ等と闘ってきました。また二〇〇三年のSARS、二〇一二年のMERSは記憶に新しいところです。現下の新型コロナウイルスにおいても初期の頃から幾度も変異を遂げ、そのたびに感染の波を生み出してきました。しかしながら私たちはこれからもまた別の感染症との闘いに備えていかなければなりません。
 その備えの中で注目を集めているのがワンヘルスアプローチです。現在人に感染症を引き起こす微生物は確認ができているだけでおよそ千四百種類以上あり、このうち約六〇%が人獣いわゆる人と動物に共通で感染する感染症を引き起こすとされています。先ほどのSARSやMERSもそうですが、炭疽やペスト、カンピロバクター症、エボラ出血熱、デング熱、マラリアなど私たちが一度は耳にしたことのある感染症の多くも実は人獣共通の感染症なのです。ちなみに人獣共通の感染症は猿や野鳥などの野生動物に限らず牛や豚などの家畜、犬や猫などの愛玩動物いわゆるペットから感染する感染症も含まれます。残念ながらこれらの感染症の発生を完全に防ぐすべを私たちは会得していません。
 しかしながら、その原因を減らすこと、感染リスクを低減させること、また新たな感染症が発症した際にできるだけ早く治療方法や薬剤などを確立することは結果として多くの人の命を守ることにつながります。これらの手法を包括した考え方がワンヘルスアプローチと呼ばれています。人と動物の健康と健全な環境が調和した社会は結果として感染症に強い環境になるという考え方です。
 現在ワンヘルス政策の取組は福岡県が突出しており、新型コロナウイルス感染症が拡大する以前からワンヘルス政策に注力し二〇一六年には第二回世界獣医師会―医師会ワンヘルスに関する国際会議を開催し福岡宣言を発出しています。また二〇二〇年にはワンヘルス推進基本条例を議員提案により制定しています。福岡県の取組は本県においても学ぶべき点が多いかと思います。
 川勝知事は今年の仕事始め式で防疫先進県を目指すと表されました。ワンヘルスアプローチを既に実施している諸施策に加え、人と動物の健康と健全な環境の調和を図ることは必要ではないでしょうか。また現在県は感染症対策の拠点となる感染症管理センターの設置を進めていますが、ワンヘルスによる動物由来感染症対策についてはどのような見解をお持ちか伺います。
 次に、薬剤耐性対策について伺います。
 実はこちらのテーマも先ほど質問したワンヘルスの取組の一つとなりますが、大変重要なテーマかと思いますので特出しして質問をいたします。
 改めて皆さんは薬剤耐性菌という言葉を御存じでしょうか。抗微生物薬いわゆる抗菌薬、抗生物質、抗生剤は感染症の治療に大きな役割を果たします。しかしながら一九八〇年代以降、人に対する抗微生物薬の不適切な使用により薬剤耐性菌が世界的に増加しています。では薬剤耐性菌とは一体何なのでしょうか。
 例えば何らかの感染症に罹患し体調不良となります。恐らく医師の診察等を受け何らかの薬を処方されることがあると思います。しかしながらその後体調が良好になったと自主的に判断し服薬を途中でやめてしまった場合、体内の菌が薬剤に対して耐性を持ってしまうことがあります。つまり薬よりも強くなってしまったこの菌のことを薬剤耐性菌と呼びます。もしかしたら皆さんも処方された抗菌薬の服用を途中でやめてしまったり家族間で共有してしまった御経験はありませんでしょうか。実はこれらも薬剤耐性菌を生み出してしまうリスクになっています。
 一方で、新たな抗微生物薬の開発は近年減少傾向にあります。二〇一九年四月国連は、このまま何も薬剤耐性菌対策を講じなければ二〇五〇年までに発展途上国を中心に年間で約一千万人もの死者が発生し得ると警鐘を鳴らしています。ちなみに現在がんによる死者数が年間世界で約八百二十万人であることからも脅威であることがうかがえます。また経済的なダメージはリーマンショックをしのぐとも試算されています。
 これらの事態を受け、政府は二〇一六年に薬剤耐性対策アクションプランを取りまとめました。二〇二〇年までの五か年計画ということで現在国は次期計画を検討中とのことですが、計画の内容は普及啓発と教育、動向調査と監視、感染予防と管理、抗微生物剤の適正使用、研究開発と創薬、そして国際協力の六項目からなります。ちなみに静岡県のウェブサイトを拝見しますと、医療上の薬剤耐性対策について医師や薬剤師など医療従事者向けの資料やデータは充実しているものの、一般県民向けの啓発についてはややPRが足りないのではないかと思います。他県では小学生の段階から総合的な学習の時間に取り入れるなどし県民啓発に努めています。
 そこで、静岡県として薬剤耐性対策についてどのように認識し取り組んでいるか伺います。
 次に、ICT人材の育成とイノベーション拠点の形成についてお伺いします。
 二〇一九年、県内企業と先端技術を持つスタートアップ企業の協業を合い言葉に始まったTECH BEAT Shizuoka。今年で四年目を迎え、さきの七月には三年ぶりのリアル開催となったグランシップで県内企業とスタートアップ企業の担当者が集い商談に花を咲かせたかと思います。今後はウイズコロナ、アフターコロナであっても商機と成果が生み出されていくことを期待しております。
 さて、本県と同様に自県が有する産業技術と先端ICT技術を融合させイノベーションを起こす取組は様々な県で行われています。そして単に企業と企業の間を取り持つのではなく資金面からも応援できる仕組みづくりや人材の確保・育成、またどれほどオンライン社会が進もうともやはり人が集まってアイデアを融合させ共創  共に創る種が生み出される場所づくりが案外求められています。
 例えば、これらの取組に注力している一つに広島県があります。広島県では平成二十三年に株式会社ひろしまイノベーション推進機構をつくり、リーマンショックにより委縮していたファンドによる資金供給を回復させるべく同機構からハンズオンで地元企業の活性化を行う取組を進めています。加えて広島市内でも金融機関などが集積する商業地にイノベーション・ハブ・ひろしまCampsを開設し、起業家や地域づくりにチャレンジする人々が集いイノベーションの拠点となる場所を県が提供しています。また群馬県では県庁内にNETSUGENと称した官民共創スペースを開設しています。このようにものづくりが盛んな他県でも同様の取組に汗をかいています。
 ここで静岡に目を向けてみますと、大消費地である首都圏や中京近畿圏へのアクセスは他県に勝るものがあり、また大手企業以外にも約十二万社がひしめく中小企業により培われた技術力も財産です。しかしながら私も地元で事業所回りをしておりますと、人材確保が大変だという話をよく頂きます。単に求人が足りないという意味に加え、特にICT人材の採用です。極端な解決策は厚遇してヘッドハンティングができれば理想的ですが現実は厳しいです。
 そこで、改めて県には県内企業と先端技術を持つスタートアップ企業の協業に加え、ICT人材等の確保や育成についてどのような取組を考えているのか伺います。また感染症によりズームなどのオンラインミーティングが進みましたが、広島県や群馬県が取り組むようなリアルに人が集い共創の種が生み出されるような場所の必要性についてどのように考えているかお伺いいたします。以上、答弁を求めます。
○副議長(和田篤夫君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 伴議員の感染症に関する様々な知見、啓発されるところが多うございました。その中で、ワンヘルスアプローチに基づく動物由来の感染症対策についてお答えいたします。
 人と動物の健康と人並びに動物を取り巻く環境とには関係がございます。生態系の中で両者は相互に密接につながっており、強く影響し合っているということであります。そうした中で互いの健全な状態を一体的に守るワンヘルスという理念、またワンヘルスアプローチという接近法は動物由来感染症対策にとって重要であると考えております。
 具体的対応として、蚊あるいはダニを媒介とする感染症、ペットによる感染症などにつきましては保健衛生部門において監視の対策を取りますが、リスクの高い新型インフルエンザへの変異が危惧される鳥インフルエンザの対策では家畜衛生部門や環境部門を中心に監視を行いつつ保健衛生部門と情報を共有しながら全庁体制による防疫措置を取ることとしております。
 また、新型コロナウイルス感染症の流行を契機として昨年度策定した総合計画後期アクションプランにおきましては、危機管理の最優先事項として防疫対策の強化を新しく位置づけております。人に関する感染症対策と家畜に関する感染症対策を一つの政策としてまとめたところであります。
 県といたしましては、来年度に設置を予定している  仮称でございますが  ふじのくに感染症管理センターを中心に福岡県の取組なども参考にしつつ保健衛生部門、家畜衛生部門及び環境部門の施策の連携や情報共有を進めてまいります。
 感染症の多くは議員御指摘のとおり人獣共通感染症でありまして、新型コロナウイルス感染症の次の感染症の流行に備える上で、本県におきましてもワンヘルスアプローチの考え方を取り入れ感染症対策を強化し防疫先進県を目指してまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 森副知事。
○副知事(森 貴志君) ICT人材の育成とイノベーション拠点の形成についてお答えいたします。
 デジタル化の急速な進展に伴い、高度な技術を有するICT人材の需要がますます高まっているものと認識しております。こうした社会状況の変化に鑑み、県ではふじのくにICT人材確保・育成戦略を策定し各分野で求められる人材を確保できるよう様々な施策を展開しているところであります。
 レベルの高い人材の確保・育成につきましては、短期間の育成が困難であることからTECH BEAT Shizuokaなどの外部の人材の確保に重点を置いた施策を実施してまいりました。一方で民間企業のシステム開発の内製化などの動きがあることを踏まえ、今後は人材の育成にも積極的に取り組んでいくことといたします。
 具体的には、大学の講義や演習をオンラインで受講できる機能などを持つ施設を今年度静岡市内に整備いたします。この施設をイノベーションの拠点と位置づけ、人材育成に加えコーディネーターによる事業者の相談受付、交流促進、ビジネスマッチングなどの事業を展開してまいります。また議員御指摘のとおり、イノベーションを生み出すためには事業者同士のリアルな交流が重要でありますことから、今回整備する拠点において利用者の皆様がオンラインのみならず直接コミュニケーションを取ることができる場所を提供したいと考えております。
 県といたしましては、このイノベーション拠点を活用し本県産業のデジタル化を担う高度なスキルを持ったICT人材の育成を推進いたします。さらに拠点を核としてリアルに人が集い交流する空間を作り出すことで共創の種が生み出され、イノベーションが継続的に誘発されるようなイノベーション・エコシステムの構築に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 八木健康福祉部長。
○健康福祉部長(八木敏裕君) 薬剤耐性対策についてお答えいたします。
 県では、医療上の薬剤耐性対策について抗菌薬の適正使用、薬剤耐性菌の動向調査や監視、普及啓発の三点を大きな柱として位置づけ、平成三十年度に静岡県感染症発生動向調査委員会に薬剤耐性対策部会を設置し専門家の御意見を伺いながら取組を進めております。
 抗菌薬の適正使用につきましては、抗菌薬使用量や病原菌に対する抗菌薬の耐性に関する県内の地域特性を分析し医療機関等に情報提供するとともに、外来診療における抗菌薬の適正使用について成人と小児向けの手引を作成するなど本県独自の取組を進めております。
 動向調査や監視につきましては、感染症法に基づく常時の活動に加え、県東部の複数の医療機関において薬剤耐性菌の保菌者が確認されたことを受け、令和四年一月から国立感染症研究所、県環境衛生科学研究所、東部地域の二十の医療機関と共同して保菌者の感染状況等について研究を実施しております。
 普及啓発につきましては、医療関係者に向けては感染症に関する研修会において薬剤耐性を題材とし周知に取り組んでいるところであります。御指摘のありました一般県民に向けましては、国、保健所、市町と連携した抗菌薬の適正利用に関するポスターの掲示や県ホームページへの薬剤耐性対策のリーフレットの掲載などを行っておりますが、今後はお薬出前講座や感染症に関する研修会などの様々な機会を活用し普及啓発の充実を図ってまいります。
 薬剤耐性対策は長期的な取組を要する重要な課題であり、県といたしましては引き続き薬剤耐性対策部会の専門家などの御意見を頂きながら取組を推進してまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 伴  卓君。
       (二十二番 伴  卓君登壇)
○二十二番(伴  卓君) それぞれ御答弁頂きまして、ありがとうございました。
 要望のみに、ここはさせていただきたいと思います。
 まず、ワンヘルスアプローチですけれどもまだ耳なじみのない言葉だと思います。私も福岡県の取組を知っていろいろ勉強させていただきました。ただ確実に将来のこの感染症に備えるという点においては、必要な知見、こういったものが養えるんじゃないかなと思っておりますし、幸い感染症管理センターが来年度立ち上がってまいりますので、ぜひその中でこの視点、注目をしていただきたいなというふうに思います。
 また、並行して薬剤耐性になりますけれども、これは場合によっては教育部門にも派生することかもしれませんが、先ほどの福岡県の取組では小学生向け、中学生向け、また福岡県の県立高校は生徒会の中に保健委員会というのが伝統的に各学校にあるらしくてですね、その高校生たちが自分たちで薬剤耐性についてプレゼンをしたり意見を出し合うという、そういった土地柄なのかどうか分かりませんが取組もあるということなので、また少し御一考頂きたいなというふうに思います。
 ICT人材についてでありますけれども、ぜひですね、なかなか全ての会社さんが高額な報酬を用意して人を引っ張ってくるというのは難しいです、正直。ただそうした中で人材育成、県のほうでもプログラムをしてくださるという話も伺っていますし、また箱物をつくるということは少しネガティブな要素もあるかもしれませんが、やっぱりリアルに人が集ってですね、高品位、ワンハンドに会合していく中から共創の種が生まれていくということ、あると思いますのでおおらかに御支援を頂きたいなというふうに思っております。
 要望はこれで終わります。
 では、後半の質問に入ります。
 次に、不登校児童生徒の多様な学びの機会についてお伺いいたします。
 地方議員という仕事をしておりますと、時折不登校に関する御相談を頂くことがあります。相談者は同居する御家族をはじめ、意外に御本人からだったりします。議場にいらっしゃる多くの議員の皆様も同じような御経験があるのではないでしょうか。
 平成二十九年一月当時の安倍首相は、フリースクールの子供たちの支援を拡充しいじめや発達障害など様々な事情で不登校となっている子供たちが自信を持って学んでいける環境を整えると施政方針演説で述べられました。国会においても不登校の児童生徒を支援するための法整備が進められ、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律が制定されました。いわゆる教育機会確保法の誕生です。少々長い名前の法律ではありますが、義務教育は学校だけで行われるべきなのかという課題観が表現されているように私は取りました。義務教育段階においてフリースクールや家庭学習も認めていいという考え方も理解できます。
 法律の施行時、文部科学省は、不登校とは多様な原因、背景により結果として不登校状態になっているということであり、この行為を問題行動と判断してはならないと通知を出しました。しかしながら相談を受ける方々からは、問題扱いされている気がするというように声を聞きます。
 当たり前ですが、二十年前私が小学生や中学生だった頃、まだこのような法律はありませんでした。実は小学一年生の入学式、私は当初愛知県内のある小学校に入学をしましたが夏休みのうちに今の富士市に引っ越し二学期からは別の小学校に通うことになりました。転校して間もなく当時は内気で人見知りな性格からか不登校になりました。短期ですが。朝起きると発熱やおなかが痛い気にさいなまれます。時に担任の先生が自宅まで迎えに来てくれたり、両親が学校に送り届けたりと、やはり学校に行くことが正解のように対応を受けていました。偶然三軒先にいた同級生が毎朝、伴ちゃん学校行こうと迎えに来てくれ、友人ができ始めると仮病は出なくなり結果として学校が好きになりました。
 自身の経験を踏まえれば、ささいなことで行きづらくなってしまったこと、はたまたささいなことで学校が楽しくなること、これもまた十人十色で難しいもので一人一人に何らかのスイッチがあります。
 今、教育機会確保法が施行され今年で五年が経過をしました。県では市町教育委員会と連携し学校の管理下での環境整備に加え学校の外での多様な学びの保障に取り組んできたことと思いますが、まだまだ学校に行くことが前提に置かれてしまっている気がしてなりません。教育機会確保法の理念等を踏まえ児童生徒一人一人の状況に応じた多様な学びの機会を提供するとともに、民間施設等との連携をさらに進めることで児童生徒一人一人の成長の機会が得られるのではないかと感じています。
 池上教育長が就任なされてから、私は初めて本会議で質問をいたします。教育長は就任時の御挨拶の中で、教育は人間の可能性を信じること、子供たちの可能性の開花をサポートできる学校の環境整備が教育委員会の仕事だとおっしゃっておられます。そのとおりだと思います。中でも可能性を信じることという言葉には希望を感じます。
 当たり前ですが、体が大きな子もいれば小さな子もいます。走ることが得意な子もいればそうでない子もいます。十人十色の生徒に対し、主に学級担任の先生方は最大限の愛情と工夫を凝らしながら一人一人の子供に心を寄せていただいていると思います。しかしながら時間は有限であり、時に様々な方の助けや力を求めていいのではないでしょうか。
 そこで、改めて教育長にお伺いしますが、教育機会確保法が施行されて五年、不登校の子供たちの学び方について現状をどのように捉えており、また子供たちの学びの多様化に向けて民間施設等との連携がどのように行われる予定であるかお伺いをいたします。
 最後に、警察業務における情報通信機器やシステム等の活用促進についてお伺いします。
 近年、情報通信機器やシステムの急速な普及に伴い業務の効率化を目的としたICT利活用の取組が進んでいるほか、従来活用があまり進まなかった医療、農業、教育等の分野でも新規サービスの創出や事務の効率化を目的としたICT利活用の事例が現れてきており、警察業務においても例外ではないと考えています。
 例えば、岡山県警察では平成二十一年に警察活動の質的強化を目的に開発した新型携帯端末  警察情報統合システム、通称PITシステムを導入しています。このシステムは盗難車両などの各種照会機能や一斉手配機能、位置情報通知機能、緊急通報機能など初動捜査の迅速化や人員配置の最適化などに活用されています。また平成三十年にはシステムの端末をスマートフォンに更新するとともに、ウエアラブル端末であるスマートウオッチも併せて導入することにより緊急通報の発信や端末による動画撮影がスマートウオッチの操作で可能になりより利便性が向上したと聞きました。実際に岡山県警察を訪ね実物を見させていただくと同時に、使用経験のある警察官の方にもヒアリングをさせていただきました。
 急速なデジタル化やコロナ禍による生活様式の変化に伴いテレワークやペーパーレスをはじめとした業務効率化への取組が社会的に進む中、県警察業務においては現場での活動が多い上、極めて高いセキュリティーが必要な捜査情報を取り扱っていることもあり、こうした在宅勤務などの取組が遅れているとお伺いもしておりますが、岡山県警のように先進的な技術を積極的に活用するという姿勢を持って取り組めば改善できる余地はあるのではないでしょうか。
 また、現在全国的に交番や駐在所の再配置が進んでいます。私の住む地域でも二つの駐在所と交番が近々統合される予定です。地域住民は警察機関がなくなることに対する不安感を抱かれています。
 一方で、新しくできる交番が二十四時間体制化されることに加え、このようなデジタル機材を活動に組み合わせることで機動力などが高まり、複合的に警察力の向上ひいては地域の治安向上に資するものとも考えられます。
 都市化の進展や社会の複雑化に伴い警察に求められる役割も年々多様化、複雑化していく中で、各種業務や捜査活動の円滑化、人的資源の効率的活用を図るためにも、他県警察や自治体などが既に活用している情報通信機器やシステムなども参考にしながらデジタル技術を活用し業務の効率化を図っていくことは有意義であると考えますが、今後の見解と取組内容についてお伺いします。以上、答弁を求めます。
○副議長(和田篤夫君) 池上教育長。
○教育長(池上重弘君) 不登校児童生徒の多様な学びの機会についてお答えいたします。
 私は就任以来、本県教育の基本理念である誰一人取り残さない教育を、その実現を何より大切にしており、不登校により学校外で学ぶ子供たちに対して多様な学びの機会を保障することは教育に携わる者の重要な責務であると認識しております。
 不登校は問題行動ではなく、様々な要因、背景により登校しない、したくともできない状態であります。教育機会確保法の施行以降、市町やフリースクールなどの民間施設において不登校児童生徒が学校外でも自分にとって必要な学びを選択できるようにする取組が進められているところです。
 具体的には、各市町が設置した不登校児童生徒のための教育支援センターや民間施設等によって教科の学習だけでなく器楽演奏や創作活動、調理など多様な学びの機会が提供されることで、周囲と積極的にコミュニケーションを取ったり目標を持って生活したりするなどの社会的自立に向けた取組が行われております。
 議員御指摘のとおり、子供たちにさらなる多様な学びを保障していくためには民間施設等との連携が不可欠であることから、各施設が提供するカリキュラムや学校と民間施設とが連携する上での課題を把握する調査に着手いたしました。今後は協議会を設置し、調査結果を基に市町教育委員会、学校、民間施設等との相互理解に基づくネットワークを構築することで児童生徒の学びや成長を共有し個に応じた支援をさらに充実させてまいります。
 県教育委員会といたしましては、不登校児童生徒が自分にとって最適となる学びを選択し将来の可能性を拡大できるよう、多様な学びの機会の確保に一層努めてまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 大原警察本部長。
○警察本部長(大原光博君) 警察業務における情報通信機器やシステム等の活用促進についてお答えいたします。
 社会変化に伴い警察が果たすべき役割が複雑多様化する中、捜査活動をはじめとする各種業務の円滑化、人的資源の効率的活用を図るためデジタル技術の活用はますます重要となってきております。
 議員御指摘の岡山県警察が採用したシステムは、そうした技術の先進的取組として大いに参考になるところでありますが、当県警においても同様の機能を搭載したスマートフォン型端末ポリストリプルアイを導入しているところであり、現場における一一〇番事案の即時把握のほか位置情報の確認、現場画像・映像の送信など現場警察活動における情報収集及び共有が従前よりも迅速かつ効率的に行えるようになっております。
 また、現行の通信指令システムも本年度中に更新する予定であり、これにより災害や事件事故等の処理に際してハザードマップなどの高度地理情報と連携させながらよりきめ細かく指令を出すことが可能になるとともに、現場に向かうパトカーの車載カメラ映像を直接確認できるようになるなど指揮命令の効率化、レスポンスタイムの短縮が見込まれます。さらに自宅等におけるテレワーク用資機材の整備についても検討を進めています。
 県警察では、他の都道府県警察の取組状況や民間における技術開発の動向の把握にも努めながら引き続きデジタル技術を積極的に活用してまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 伴  卓君。
       (二十二番 伴  卓君登壇)
○二十二番(伴  卓君) それぞれ御答弁ありがとうございました。
 それぞれ要望のみさせていただきたいと思います。
 まず、教育委員会でありますけれども、私も自分を遡ると何で学校行かなかったのかなというのがよく分かりません。ただやっぱり不慣れな環境に、愛知から転校してきて知り合いが全くいないという中で学校に行くというのが何か心苦しかったのではないかなと思います。
 また、自分の学生時代を振り返ってみますと学校の外ではよく遊ぶんだけれども学校には残念ながら来ない友人がやっぱり何人かいました。今大人になって普通に会えばお父さん、お母さんやってたり食事に行ったりするんですけれども、やっぱりそうしたときにですね、今教育長も御答弁頂いた可能性の拡大という言葉を本当にやっぱりお願いしたいなというふうに思います。
 人口が減少の中でお子さんの数も当然減っていってしまう中で、子供の数が増えていく中でどうしても学術的に点数的に選抜をするという時代がありましたけれども、今はできれば十人いたら十人輝ける場所を用意をする、それがこの一つの確保法で現れたんではないかなと思っていますので引き続き御尽力をお願いします。
 最後、県警察ですけれども、導入は今進んでおりますし更新がこれから始まっていくと思います。ぜひですね、更新漏れるということはないと思いますけれども、例えば岡山県警においてこの携帯を専用のケースで身につけて現場に急行する、両手が空いた状態でいろんな作業ができてリアルタイムでこの胸元の携帯から撮られた映像がデータセンターに送られていく。先ほどの主にパトカーだと思いますけれども、その映像なんかも解析することによってレスポンスタイムが縮まっていって、ひいては治安やまさに今回の災害時なんかにも役に立つということでありますので、ぜひここは積極的に進めていただきたいなと思いますのでよろしくお願いいたします。以上で質問を終わります。(拍手)
○副議長(和田篤夫君) これで伴卓君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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