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本会議会議録

答弁文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成31年2月静岡県議会定例会

櫻町 宏毅 議員(ふじのくに県民クラブ)の 代表質問 に対する答弁

(質問日:02/18/2019番目)
答 弁 者知事


○知事(川勝平太君) 櫻町宏毅議員におかれましては、今期をもって御勇退されるとのことでございます。その御決意を聞いたときには驚きました。まだ早い、やめるべきではないというのが私の率直な意見でございます。ともあれ私が知事に就任してから十年間、直接、間接に、いわゆる歯に衣着せない率直な辛口のアドバイスにはいつも感謝しておりました。十分な余力を残しての御勇退ということでございます。御健勝と、また御家族の御多幸と、それから富士市並びに県政へのさらなる御尽力をお祈りいたしまして御礼といたします。
 櫻町議員にお答えいたします。
 私の考えるふじのくにづくりについてであります。
 私は、知事就任以来県政運営の基本理念として富国有徳の“ふじのくに”づくりを掲げてまいりました。ふじのくにというのは本県のアイデンティティーであります。ふじのくにづくりが目指すのは、富士山の姿のごとく美しく調和した徳のある、豊かで自立した地域であります。これは誰もが努力をすれば人生の夢を実現でき幸せを実感できる「生まれてよし 老いてよし」、「生んでよし 育ててよし」、「学んでよし 働いてよし」、「住んでよし 訪れてよし」の理想郷の実現でございまして、追求し続けるべき永遠の目標であります。
 富国有徳とは富士の字義を体した理念であります。富士の「富」は物産の豊かさを、富士の「士」は徳のある人のことを意味し、人材と物産を豊かに備える美しく品格ある地域を実現しようという理念でございます。霊峰富士を擁する本県は、富士山から導き出される多様な価値に立脚した地域づくりを進めることこそがその地域性に最もかなうものと考えております。
 一見、抽象的に聞こえるかもしれません。しかし私は一九九五年の阪神淡路大震災をきっかけに、その翌年九六年から国土審議会の委員をことしまで二十有余年務めてまいりました。また小渕内閣、森内閣、第一次安倍内閣、福田内閣の首相の諮問機関の委員として国土のこと、また国政について研究をしてまいりました。そうした中でふじのくにという言葉に出会ったわけであります。これは一九八〇年代に静岡県の雑誌、平仮名で「ふじのくに」という雑誌を初見といたします。私が初めて見たものであります。同時にまた就航先に行く団はふじのくに交流団と称され、毎年東京と大阪で行われる県ゆかりの人々との交流会はふじのくに交流会というふうに言われております。それゆえこれは静岡県のアイデンティティーであると、これに私は魂を吹き込もうと思いました。
 そうした中で、知事に就任して一年をかけて旧来の研究をまとめまして二〇一〇年、平成二十二年の夏に「日本の理想ふじのくに」という本をまとめました。私は知事に選ばれてふじのくに、日本の理想の都ふじのくにを建設する運動に目を投じ、一体どういう根拠でふじのくにが日本の理想の都になり得るのか、その根拠について同書で論じました。それはジャパニーズドリーム論であり、学問の観点から言えば和の文明学を立てる試みであります。詳細は同書に譲りますけれども、論点は次のものでございます。
 いまや日本は、欧米に追いつき追い抜くことを目的にした明治以来の中央集権体制が役割を終えており、国内的にも国際的にも地方自治体の役割が増大しております。まさにポスト東京時代の前夜にあるという認識のもとに、新首都を国会等移転審議会の答申で筆頭候補地とされた那須野が原に移す。都道府県を解消し内政を所轄する全省庁の財源、権限、人材を三位一体で一括して地域に移す。その地域単位は環境と景観をベースにして先進国並みの経済力を持つことを基準にしつつ、北海道、東北を森の州、関東を野の州、中部、本県が属する中部は山の州、西日本は海の州とし、四州から成る一国多制度の地域連合国家にする。国土のたたずまいは海に開かれた水と緑のガーデンアイランズ、新首都の候補地那須野が原は森の州と野の州の境にあり、古来日本では森への出口には鳥居を建て社を建立しその背後の森を鎮守の森として大切にしてきたので、新首都は鎮守の森の都と呼びならわされるであろう。新首都は京都、東京に対して北都となり、そこには鉄筋、木造の森の議事棟が建設されるべきである。新首都北都は外交、防衛、安全保障、通貨管理など国家主権にかかわる職掌のみをつかさどる。皇居は那須の御用邸を北の御所と呼び、現皇居は東の御所、京都御苑は西の御所として自在に、あるいは必要に応じて皇室は移り住まわれる。京都は東洋文明の生きた博物館、東京は西洋文明の生きた博物館として洗練の度を高め、日本全体を世界文明の博物館として海外の老若男女の憧れの場とならしめ多文化共生を目指す。これが冒頭に記した日本の理想ふじのくにの梗概でございます。
 現下の状況でございますが、目標とする理想の姿は自然災害による犠牲者の最小化や転入者の増加により持続的に活力が維持される社会の実現などの具体的イメージとして、今回お示しした新ビジョンにお示ししてございます。こうした姿は短期間に到達できるものではありません。しかしできる限り理想の姿に近づくべく、新ビジョンに四年間で取り組む施策と目標指標を盛り込みその達成に向けて取り組んでいるところであります。
 総合計画は、毎年度外部の視点で御評価を賜り継続的に改善をし、実効性の向上に努めているところであります。平成二十二年度に策定した計画は、十年計画を実質七年一カ月で前倒しをして達成いたしました。こうした中、富士山の世界遺産登録を皮切りに八十を超える地域資源、人材群が次々と世界的な評価を得ており、ふじのくにの魅力と存在感が国内外で高まっていることは大きな成果であると考えます。
 また、本年度開始いたしました新ビジョンにつきましても着実にスタートが切れているとの御評価をいただいたところでございます。今後とも社会経済状況の変化にも柔軟に対応しながら直面する課題を克服し、計画に盛り込んだ施策を着実に推進してまいります。
 新しい日本づくりの先導役を担うという強い決意のもとで、霊峰富士の姿にふさわしい富国有徳の美しい“ふじのくに”人づくり・富づくりに全身全霊をささげて邁進してまいりますので、議員ほか県議会の皆様の御支援、御協力を賜りますようお願いを申し上げます。
 次に、平成三十一年度当初予算編成についてであります。
 平成三十一年度当初予算につきましては、平成が幕を閉じ新しい時代を見据えながら新ビジョンの取り組みをさらに加速するための予算として編成いたしました。ふじのくに県民クラブの皆様から頂戴いたしました「命」「豊」「人」「礎」の四つのテーマから成る御要望に十分にお応えできる予算が編成できたと考えております。
 一つ目の「命」につきましては、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の目標達成に向けて、来年度完成予定である浜松市沿岸域の防潮堤整備などのハード対策と避難所運営、被災者の生活再建支援を担う人材養成などのソフト対策の両面から地震・津波対策の強化に取り組んでまいります。また伊豆地域と東部地域をモデルとして三次元点群データを災害復旧、観光、自動運転などさまざまな分野へ活用し、スマートガーデンカントリーふじのくにの形成を進めます。さらに医療の地域偏在を解消するため、新たに指導医を招聘し専門医研修を実施することにより専門医の確保に取り組む東部地域の病院を支援いたします。
 二つ目の「豊」につきましては、本県の基幹産業でございます自動車産業のEVシフトへの対応など新成長産業への支援に取り組みます。そのほか大阪事務所への企業誘致推進員の配置による誘致体制の強化、企業立地補助金による県内への再投資の促進等々新たな企業の誘致と県内企業の定着の両面から取り組みを進めてまいります。また国内外との交流の拠点となる富士山静岡空港につきましては、本年四月から空港経営を担う運営権者と連携を図りながらさらなる路線の確保、利便性の向上を図ります。
 三つ目の「人」につきましては、静岡式三十五人学級編制の下限を小中学校の全学年で撤廃いたします。そのほか増加している外国人児童生徒が安心して学べる環境を整備するため、日本語指導コーディネーターを増員し支援を充実してまいります。また教職員の多忙化の解消を図り生徒と向き合う時間を確保するため、教員の事務作業を支援するスクール・サポート・スタッフの配置を拡充いたします。さらにグローバル人材の育成を図るため、ふじのくに地域・大学コンソーシアムに学生の海外留学などを支援する留学コーディネーターを新たに配置し、地域や世界に貢献できる人材を育成してまいります。
 四つ目の「礎」につきましては、平成三十一年度当初予算を反映した今後の財政運営の見通しでは地方消費税率の引き上げや歳出の不断の見直しなどによりまして、二〇二一年度に収支均衡を実現できる見通しであります。引き続き全庁を挙げて不断の行財政改革に取り組んでまいります。
 御要望をいただきました四つの政策の柱から成る御提言を十分に踏まえまして、新ビジョンの目指す姿でございます県民幸福度の最大化に向けワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンのラグビーの精神をもって全力で取り組んでまいります。
 次に、満足度日本一の豊かな県についてのうち、公共施設等運営権制度導入後の富士山静岡空港についてであります。
 県では、富士山静岡空港のさらなる活性化、利便性の向上を目指し、本年四月から公共施設等運営権制度を活用した新たな運営体制へ移行することとし、現在業務引き継ぎ等の準備を着実に進めているところであります。運営権制度導入後、運営権者は空港の管理運営業務を一元的に行うことになります。また運営権者の御提案に沿って航空ネットワークの拡充や二次交通の強化、空港施設の更新、修繕に取り組むなど旅客数倍増という目標の達成に向け、みずからの経営判断と創意工夫で空港を経営されていくことになります。
 一方、県のほうは運営権者による空港経営が適切に行われるよう事業の実施状況や経営状況を点検、確認していくことは当然でございますが、それに加え空港周辺の環境保全対策や空港の設置者として安心・安全な空港機能の確保に向けた施設整備など必要な取り組みを引き続き行ってまいります。
 また、航空ネットワークの拡充は県民の利便性向上、交流拡大に不可欠です。観光客等の増加による県内経済への波及効果の増大に大きく貢献するものでもありますから、県といたしましても運営権者や富士山静岡空港利用促進協議会等と一体となって取り組む体制を構築いたします。そして空港間の競争激化や訪日外国人の増加等に的確に対応した施策を実施いたします。
 さらに、空港の利用拡大や地域活性化に向けた新たな施策を積極的に進めていくために運営権制度導入によって生じた運営権対価等を活用することとし、それらを基金に積み立てる補正予算案及び静岡県空港建設基金条例の改正案を本議会にお諮りしているところであります。加えて空港周辺地域では、民間事業者が主体となったさまざまな取り組みが具体化しております。
 こうした状況を踏まえ、県では関連する事業者や地元自治体も参画した情報共有の場として富士山静岡空港周辺地域情報共有会議を設置いたしまして、民間と行政が両輪となった地域づくりにも取り組んでいるところであります。
 県といたしましては、全国の地方空港のモデルとなる官民協調の新しい体制のもと、地域や民間事業者との連携を深めつつ空港経営を主導する運営権者とも協力し、富士山静岡空港や周辺地域の魅力、競争力を最大限に引き出し将来にわたって本県経済を牽引する空の玄関口となるように積極的に取り組んでまいります。
 次に、創業支援の充実についてであります。
 本県経済が持続的な発展をしていくためには、既存の産業群に加えて新しいビジネスが次々と生まれ続けることが大切です。起業家やベンチャーはこうした役割を果たす重要な担い手でありますことから、その創出に向けた機運の醸成や育成支援の取り組みが必要です。中でも大学発ベンチャーは、大学の研究成果を生かし新たな製品開発に結びつけるイノベーションの担い手として近年注目されております。
 本県は、大学数が少なく結果的に研究開発に携わる研究者や学生が必ずしも多いとは言えない状況にあります。しかしながら平成二十九年度の経済産業省調査によりますと、静岡大学、静岡県立大学、光産業創成大学院大学などから五十件のベンチャーが誕生しておりまして、その数は都道府県順位で全国第十位と健闘しております。特に光産業創成大学院大学におきましては光技術と経営について習得する実践的コースを設定し、光をテーマとして県内外から創業を志す学生を集めております。これは技術をベースに創業や事業化を目指す人材を育成する一つのモデルともいうべき取り組みであります。
 県としましても、こうした取り組みを参考にし、技術の活用による創業や事業化を促進し創業機運を高め創業しやすい環境の整備を進めてまいりたいと考えております。来年度はこのために県内大学や金融機関、産業支援機関などで構成するコンソーシアムを組織いたします。それとともに関心の高い企業やベンチャーキャピタルなどの参画を得ながら継続的な支援体制を構築して、大学発ベンチャーの創出の取り組みを促進いたします。
 また、人口減少、少子高齢化が進展する中、地域課題の解決に取り組む起業家に対しましても国の交付金制度の活用により新たな助成制度を創設して、持続可能で地域経済への波及効果の高い創業が実現するように取り組んでまいります。これらの施策につきましては、来年度当初予算案に盛り込み本議会でお諮りしているところでございます。
 県といたしましては、今後志のある若者の挑戦を応援する創業支援の仕組みづくりを積極的に進めることで全国から多くの起業者を集め、ふじのくにに行けば創業、事業化の夢がかなう、すなわち誰もが努力をすれば人生の夢がかなうドリームズ カム トゥルー イン ジャパンの拠点づくりを具現化してまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を申し上げます。

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