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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和元年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

田内 浩之 議員

質問分類

代表質問

質問日:

09/20/2019

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について  
(1) 人口減少の抑制に向けた総合戦略の見直し  
(2) 人事施策  
(3) リニア中央新幹線に対する静岡県の考え方と対応  
2 部局長のマネジメントによる事業見直しの徹底について  
3 消防防災ヘリコプターの活用と安全対策について  
4 医師不足対策について  
(1) 医師不足と医学修学研修資金のあり方  
(2) 地域枠医師  
(3) 浜松医科大学の医師養成機関としての機能の活用  
5 聖隷三方原病院ドクターヘリ格納庫について  
6 水産資源の保全について  
(1) 水産資源と魚病のスペシャリストの育成  
(2) 県内水産資源の防疫体制  
7 荒廃農地対策について   
8 水道事業の広域化について
9 二地域居住の推進について
10 富士山保全協力金の義務化について
11 地域交通の充実について
12 ICT教育の推進について
13 夜間中学の設置について
14 放課後の子供の過ごし方について
15 学校における防犯カメラの設置について
16 サイバー犯罪の現状と県警察における体制及び犯罪被害防
 止対策について


○副議長(中沢公彦君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、三十一番 田内浩之君。
       (三十一番 田内浩之君登壇 拍手)
○三十一番(田内浩之君) 私は、ふじのくに県民クラブを代表し当面する県政の諸課題につきまして通告に従い知事、副知事及び関係部局長並びに教育長、教育部長、警察本部長に分割質問方式にてお伺いいたします。
 初めに、知事の政治姿勢についてのうち人口減少の抑制に向けた総合戦略の見直しについて質問します。
 我が国における最大の課題である人口減少社会の克服に向けては、県は平成二十七年度に策定した美しいふじのくにまち・ひと・しごと創生総合戦略に基づき地方創生の取り組みを推進してきました。この間、国立社会保障・人口問題研究所の人口推計では二〇一三年推計と二〇一七年推計を比較し人口減少のペースが緩やかとなるなど一定の成果があったものと理解をしております。
 しかしながら、我が国では東京一極集中がさらに加速し地方の人口減少に拍車をかけるという悪循環に陥っており、本県も例外ではなく日本人の転出超過に歯どめがかかっていない状況にあります。また合計特殊出生率もこの二年は低下傾向で推移しており、出生数が減少する中、死亡数は増加するなど今後も自然減少が継続することが確実であります。
 こうした中、国では地方創生の新たな視点として最先端技術の活用や多様な人材の活躍の促進など、今後は人口減少に適応する取り組みにも重点を置く方針を示しております。確かに今後の人口減少は避けられない状況にあり、人口が減少しても快適で安全な社会を創造する適応戦略は重要性を増しております。
 しかし、人口がいつまでも減少し続ける状況の下では人口規模や構造が変動し続け社会の安定は見込むことができません。適応戦略はあくまで社会が安定する静止人口の将来的な実現も見据えて取り組むべきものであります。つまり適応戦略を推進する上でも前提とすべきは、地方の転出超過に歯どめをかけ出生率を向上し人口置換水準に回復することで将来の静止人口を実現していくことであります。この意味で自然減少、社会減少を抑制する戦略は非常に重要であり、人口減少を可能な限り抑制する取り組みをこれまで以上に粘り強く展開していくことが必要と考えます。
 こうした点を踏まえ、今後人口減少の抑制に向けてどのように取り組んでいくのか、県の所見を伺います。
 次に、人事施策について伺います。
 世界有数の戦略コンサルティングファームであるマッキンゼー・アンド・カンパニーは、組織を考えるには必要な七つの経営資源があると言っています。七つの経営資源とはソフトの四つとハードの三つです。
 まずソフトですが、一つは共通の価値観と理念、二つ目、社風、三つ目、人材、四つ目、能力です。ハードは戦略、組織構造、制度の三つです。このうちソフトの四つは価値観が絡む要素であるだけに慣性が働き、強制的にまたは短時間に変更することは難しいとされている部分です。一方ハードの三つは変えようとする意思やプランがあれば変更することが可能であると考えます。特にその中でも組織構造と制度は課題をしっかりと認識すれば効果がすぐに出ると考えます。
 例えば、部長の人事は今どのような戦略に基づき考えられているでしょうか。最近は一年でその職を解かれる方が多いので、かかわった仕事をやり切れないのではと懸念をしております。また小楠元県議会議員がおっしゃったように、東京事務所の所長経験者がそのまま退職することはとてももったいなく感じます。
 そこで、県の人事施策においてどのような課題を認識し対応しているのか、県の所見を伺います。
 次に、リニア中央新幹線に対する静岡県の考え方と対応について伺います。
 静岡県は、命の水である大井川の水資源と南アルプスの自然環境を守るためにJR東海と科学的根拠に基づき対話を進めています。そして六月六日、JR東海へ中間意見書を提出し専門部会において対話を進めています。
 この件に関しまして我が会派も勉強会の開催や議員間での意見交換を進めてまいりました。この問題に対して大井川の水量全量回復は死守すべきである、また科学的な見地に基づき全量回復が担保され工事を進める段階に入った際、予期せぬ事由が発生し水量の減少等が発生した際には相応の補償がなされる協定を事前に結ぶべきと我が会派は主張します。
 そこで、この主張に対する県の所見を伺います。
 また、現在水量に焦点が当てられていますが水質の確保と自然環境の保全もとても大切な課題です。水質に対しては地下に埋まっている鉱物の流出が懸念されており、また自然環境の保全に対しては生態系のバランスを保つ上で欠かせない生物、つまりキーストーン種の減少による生態系の破壊などさまざまな課題が山積しています。
 そこで、この水質の確保と自然環境の保全という二つの課題に対しての県の所見も同時に伺います。
 次に、部局長のマネジメントによる事業見直しの徹底について伺います。
 県は、本年度当初予算の編成作業において各部局に財源を枠配分する方式を導入いたしました。これにより現場に精通する部局長がみずからの責任において予算を調整することができ、現場の抱えるさまざまな課題に対応する予算が編成できたものと私は高く評価をしています。しかし各部局の事業の改廃状況を見るとまだまだ改善の余地があると考えます。
 例年、当初予算に関する各部局の説明は新たにA事業を計上することとしましたですとかBという制度を新規で立ち上げますというように新規事業や制度の説明が大半であり、C事業を廃止し人工や予算を幾ら減らした結果生み出した予算で新たにD事業を立ち上げたといった事業見直しに関する説明はほとんど伺うことができません。
 本年度当初予算の編成方針では、部局長がマネジメント力を発揮し徹底的なスクラップ・アンド・ビルドにより四十三億円の財源を捻出するとされていましたが、最終的にどのような事業見直しがされたのか見えにくいのが現状です。財政状況は決して余裕があるわけではありません。新たに何か事業をやるためにはその分何かを削らないといけません。部局長がこうした認識を強く持ち、責任を持って事業の見直しに取り組むことが重要であると考えます。そしてその見直し内容については新規事業とあわせて知事のもとでしっかりと議論していただきたいと思います。
 そこで、部局長がみずからのマネジメント力を発揮して行う事業見直しを実効性あるものとするため県はどのように取り組むのか、所見を伺います。
 次に、消防防災ヘリコプターの活用と安全対策について伺います。
 世界の人々が憧れる幸せな暮らしの前提となるのは、県民の安全が確保され安心して生活できることであります。地震・津波はもとより、あらゆる災害から全ての県民の生命と財産を守る基盤を構築していくことが本県の新ビジョンに示す安全・安心な地域づくりを着実に進めていくことであると考えます。
 こうした中、県の消防防災ヘリコプターは去る九月一日からイタリア・レオナルド社製の新機体での運用が始まりました。新しい防災ヘリは機体がこれまでよりも大型化しエンジン出力も大幅に増大すると聞いております。また巡航速度が上がり航続距離が伸びるために災害への対応力も向上すると伺っており、南海トラフ地震の発生が危惧される本県にとりましてまことに頼もしく感じているところであります。
 そこで、今回の機体のグレードアップを本県の災害対応力の向上にどのように生かしていくのかお伺いします。
 一方、新しい機体のすぐれた性能や機動力を生かしていくためには安全体制の向上も欠かせません。消防防災ヘリコプターをめぐっては一昨年に長野県で、昨年八月には群馬県において機体が墜落するという痛ましい事故が相次いで発生し消防吏員ら十八名の搭乗員のとうとい命が失われるという事態になりました。
 こうした事故の教訓を踏まえ、総務省消防庁は二人操縦士体制などを盛り込んだ新たなヘリコプターの運航基準を定め地方自治体に勧告する方針を固めたと聞いております。本県においても過去の事故を教訓として強い決意で消防防災ヘリコプターの安全運航を確保していくことが何よりも重要であり、今後勧告が予定されている国の運航基準に即し的確に対応していくことが必要と考えます。
 そこで、県は国から示される運航基準などを踏まえ今後どのように消防防災ヘリコプターの安全対策の向上に取り組むのかあわせてお伺いいたします。
 次に、医師不足対策についてのうち医師不足と医学修学研修資金のあり方について伺います。
 静岡県は、人口十万人当たりの医師数が全国四十位であり医師不足が深刻な状況です。そのような中、本県唯一の医師養成機関である浜松医科大学はかけがえのない存在であると認識しています。静岡県は浜松医科大学に対して十年来、東部地域のみに焦点を当てた医師派遣の要請を行っていますが浜松医科大学のみで静岡県全域の医療をカバーするのは非現実的です。
 例えば、人口が静岡県と同規模の北陸三県プラス山梨県には医科大学は五つあります。このままではこれまで派遣してきた中部地域から西部地域の医療提供体制の崩壊につながりかねず、ひいては現在七〇%の県内定着率を低下させる可能性も十分にあります。
 そこで、浜松医科大学に対する医師派遣の要請は東部地域に拘泥せずより柔軟なものとすべきと考えますが、県の所見をお伺いします。
 そして、浜松医科大学附属病院が静岡県医学修学研修資金被貸与者の返還債務免除の条件に指定する医療機関として認定をされていますが、東部への医師派遣を条件にされていることは大きな問題だと考えています。
 附属病院を他の公的病院と同じ条件で認定すべきと考えますが、どのように考えているのか、県の所見を伺います。
 次に、地域枠医師について伺います。
 静岡県は県外大学への地域枠設定を進めており、ここ数年の間に卒業生が県内病院に勤務する予定になっていますし、また県東部は首都圏に近く地域枠を設置した複数の大学は東京都内や神奈川県内にあります。
 東部地域に存在する首都圏の大学の基幹病院が、所属大学とともに東部の中規模病院と連携し臨床研修や専門研修を通じて医師を派遣することが最も実現可能性の高い医療政策と考えられますが、県の所見を伺います。
 次に、浜松医科大学の医師養成機関としての機能の活用について伺います。
 浜松医科大学は、県内唯一の医科大学として一九七四年の設立以来多くの地域医療に貢献するすぐれた医師を輩出してきました。また同大学附属病院の医師は限られた人員の中、臨床研修医や専攻医への教育だけでなく病院実習前の学生教育や研究にも従事し、さらに県内の基幹病院や休日夜間救急センターへの支援など長時間の時間外労働などの負担にもかかわらず地域医療の向上や若手医師のキャリア開発等にも大きく寄与しています。このような浜松医科大学及び同大学附属病院が有する医師養成機関としての機能を県が行う各種事業に積極的に活用していくことが今後の医師確保対策に必要であると考えます。
 そこで、浜松医科大学の医師養成機関としての機能を今後どのように活用していくのか、県の考えを伺います。
 次に、聖隷三方原病院ドクターヘリ格納庫について伺います。
 現在、聖隷三方原病院が運航しているドクターヘリには格納庫がありません。悪天候時には静岡ヘリポートや名古屋のヘリポートに移動しなくてはいけないため天候が回復してもすぐ出動できない現状です。しかし格納庫ができれば今まで以上の運航の安定性が確保でき、また日常の点検を安全かつ効率的に実施することが可能になり風雨をしのぐことができるため機体の劣化を防ぐことができます。
 以前より、聖隷三方原病院ドクターヘリ格納庫の早期整備が必要と考えておりますが、現在の進捗状況について答弁を求めます。
 次に、水産資源の保全についてのうち水産資源と魚病のスペシャリストの育成について伺います。
 先日、魚病学の専門家である東京大学良永知義教授にお声をかけていただき静岡県の水産業に対する御提言をいただいてまいりました。先生の御提言をもとに二つの質問をしたいと思います。
 一つ目は、水産資源と魚病のスペシャリストの育成についてです。
 昨今、浜名湖のアサリや駿河湾のサクラエビなど水産資源の枯渇が問題になっています。水産資源対策を考えるには多くの経験と知識が必要ですが、県の担当職員が定期的にかわってしまうため経験と知識の蓄積ができていません。そして対策には各漁業者との信頼関係が必要ですがそれもかないません。また県内にはウナギを初めとした養殖業が盛んですが、魚病への対策を考える上でも資源と同じく人の課題があります。
 横に広い静岡県ですので、例えば東部の沼津と浜名湖にそのエリア専門の職員を配置すべきと考えますが、県の所見を伺います。
 次に、県内水産資源の防疫体制について伺います。
 近年、水揚げ日本一を誇る愛知県のアサリ漁が深刻な不漁に陥っています。主な漁場の三河湾でカイヤドリウミグモという寄生生物が大量発生していることが減少の大きな要因だそうです。この生き物はアサリなどの二枚貝に寄生し体液を吸います。形がクモに似ていることから名づけられましたがクモとは別の生き物で体長は一センチ以下、人間には寄生しません。現在浜名湖では確認できていませんが、カイヤドリウミグモが浜名湖に来れば大きな影響を受けることは予想できます。またパーキンサス属原虫によるアサリの漁獲減少もあるそうです。
 そこで、県としてアサリを初めとした水産資源の防疫体制の強化にどのように取り組むのか、県の所見を伺います。
 次に、荒廃農地対策について伺います。
 湖西市はキク、コデマリ等の施設花卉類、セルリー、メロン等の施設野菜、キャベツ、大根、バレイショ等の露地野菜等多彩な作物が生産されています。これらは先人が昭和五十年代から平成初期にかけて、県営事業により二十年もの歳月をかけて農業生産基盤の整備に取り組んできたたまものであります。しかしながら社会情勢の変化に伴い農業者の高齢化や担い手不足が進行し、基盤整備事業が実施された地区でも荒廃農地の発生が懸念されています。
 こうした中で、近年市内の規模拡大意欲の高い若手の農家から荒廃農地を再生して積極的に活用していきたいという声が上がっております。県ではさまざまな荒廃農地対策に取り組んでおり一定の成果を上げているものと高く評価をしておりますが、新たな農地を求める農業者に対ししっかり支援をしていくことが地域農業のさらなる活性化につながるものと感じているところであります。
 そこで、荒廃農地を拡大意欲のある農家に結びつける取り組みが必要だと考えますが、県の所見を伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(中沢公彦君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 田内議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてのうち、人口減少の抑制に向けた総合戦略の見直しについてであります。
 本県では、国に先駆けまして人口問題に関する有識者会議を立ち上げました。この有識者会議からの提言を踏まえて人口の急激な減少を抑制するとともに、避けることのできない人口減少社会への適応を図り長期的視点で社会が安定する静止人口状態の実現を目指すべく、美しいふじのくにまち・ひと・しごと創生総合戦略をオール静岡で推進してきたところであります。
 次期総合戦略におきましても、自然減対策と社会減対策とから成る人口減少のいわゆる抑制戦略と人口が減少しても快適で安全な生活の維持を目指す人口減少社会への適応戦略とは堅持すべき戦略であると考えております。二つの戦略を両面から進めることで相乗効果の発揮につなげ、人口減少社会の克服に全力で取り組んでまいる所存であります。
 議員御指摘の抑制戦略の強化につきましては、合計特殊出生率がこの二年間に低下傾向で推移したことを踏まえまして県と市町で少子化の課題を共有するふじのくに少子化対策連携会議を八月に立ち上げたところであります。国が次期総合戦略の主要な取り組みに掲げる地域ごとの課題に対応した地域アプローチ型の少子化対策に先んじまして、県と市町が一体となった優良事業の横展開や市町間の広域連携施策の構築などを進めており、切れ目のない結婚・出産・子育て支援の充実を図ってまいります。
 転出超過の主な要因は、若者が大学進学等を契機に主に東京圏などの県外に転出していることにあります。県外に転出した若者を対象にしたアンケート調査を行い就職時に本県へ戻らない理由としていただきました回答は、「やってみたい仕事や勤め先がない」、「給与水準の高い仕事がない」、「交通のアクセスが十分でない」、「娯楽・レジャー施設に満足できない」等々が上がっているところです。このため新産業集積クラスター、CNFプロジェクト、MaOIプロジェクト、ICT産業等の次世代産業の創出や首都圏からの本社機能の移転を進めるなど若者にとって魅力のある雇用の場の創出に注力をいたします。またふじのくにパスポートあるいは若者向け移住ポータルサイトの情報の充実を図りまして、首都圏と比べ働きやすく住みやすい本県の魅力を発信いたします。そして若者がみずからの自分らしい生き方や働き方を模索する首都圏在住の若者を呼び込んでまいります。
 今後とも、本県が地方創生の先導役を担うという強い気概を持ちまして「生まれてよし 老いてよし」、「生んでよし 育ててよし」、「学んでよし 働いてよし」、「住んでよし 訪れてよし」の理想郷の実現に向けて全力を傾注してまいる所存であります。
 次に、リニア中央新幹線に対する静岡県の考え方と対応についてであります。
 リニア中央新幹線のトンネル工事に伴う大井川の流量減少問題につきまして、平成二十六年のアセス準備書に対する意見書の段階から終始一貫し、トンネル湧水の全量を大井川水系に戻すことを強く求めてまいりました。以来五年の間まともな回答がないままに打ち過ぎまして、昨年十月になってようやくJR東海からトンネル湧水の全量を大井川水系に戻すという表明をいただいたところであります。
 しかし、湧水の戻し方など具体的な対応策についての論点を整理した中間意見書に対する七月の回答案の中で、JR東海は湧水が他県に流出する期間があることを明らかにいたしまして我々を驚かせました。今月六日に提出された回答書の中では、県境付近の湧水については引き続き検討すると述べられております。湧水の全量を戻すことは約束事でございますから、JR東海はそれを可能にする技術的工法を明らかにし責務を果たさなければなりません。
 南アルプスを源流とする大井川は長い歴史の中で大切に受け継がれてきた財産であります。流域住民や利水者の皆様にとっては生活や経済活動に欠かせない命の水であります。トンネル工事に伴い流出する湧水の全量を戻すことに関しましては、決して譲ることなく取り組んでまいります。
 議員御指摘の補償に関する取り決め等につきましては工事でございますので、しかも相手は南アルプスでございますから予期せぬ事態が発生する可能性は否定できません。それゆえJR東海と調整いたします。
 鉱物の流出に対する水質の確保につきましては、JR東海は水質汚濁防止法に基づく排水基準による管理を考えておられます。しかし大井川の上流は排水基準値よりもはるかにすぐれた清流でありますために大井川の水質を守っていく基準としては十分ではありません。また自然環境の保全につきましてはJR東海の生物調査がキーストーン種を含む現状の生態系としては把握し切れておりません。南アルプスの正確な食物連鎖図も作成できておりません。このため河川や沢の流量の減少によって生態系にどういう影響が出るのか十分に推定できる状況にはありません。
 命の水として大切に受け継がれてきた大井川上流部の美しい清流、また世界の宝であるユネスコエコパーク南アルプスのすぐれた自然環境をしっかりと保全するのは県の持つ国際的な責務であります。JR東海の今回の回答は理解しやすさという点では配慮なさったものの、まだまだ内容はとても十分であると言えるものではありません。今後、中央新幹線環境保全連絡会議の専門部会等におきまして実際に調査したデータに基づく施工や環境保全等の計画を求めまして水量、水質の確保、自然環境の保全等々につきまして科学的根拠に基づき粘り強く対話を進めるなど県民の皆様の不安の払拭に向けて全力で取り組んでまいります。
 次に、医師不足対策についてのうち、医師不足と医学修学研修資金のあり方についてであります。
 本県の医師不足は、県内の医学部入学定員が人口比で全国四十六位と医師養成数が少ないことが大きな要因であると考えております。そのため私は医師確保を最重要施策の一つに位置づけてまいりました。そして平成二十六年度に本庶佑先生の御協力を得てふじのくにバーチャルメディカルカレッジを創設いたしました。医学修学研修資金の貸与、あるいは地域枠の設置など取り組みをしてまいったところであります。
 特に、医学修学研修資金につきましてはこれまで累計で一千名を超える方が利用しており、全国最大規模の実績を誇っております。その結果ことし四月一日現在の県内勤務者は前年から九十六人増になり四百六十一人となりました。これは取り組みの成果が着実にあらわれている数字的な表現であります。
 また、本県の制度は返還免除のための勤務期間中でも大学院への進学や海外留学をすることができる猶予期間を設けるなど、利用者のキャリア形成に配慮した柔軟なものになっております。さらに東部地域の医師不足を解消することを目的として、医学修学研修資金利用者が東部地域の公的病院等で勤務した場合には大学附属病院での勤務期間を返還免除対象とする特例を設けるなど、これまでも制度の見直しを実施してまいりました。
 こうした中、昨年度の新専門医制度の開始により若手医師が自身のキャリア形成に強く関心を抱く傾向が顕著となっております。このため医学修学研修資金制度につきましても、さらに医師のキャリア形成に配慮した内容とすることで医師の県内定着を促進するようにふじのくに地域医療支援センター理事会等の御意見も伺いながら制度の見直しを進めております。
 具体的に申し上げますと、利用者のキャリア形成を長期にわたり支援することを目的として貸与期間を原則医学部に在籍する六年間といたします。それとともに県内での専攻医を確保することを目的として県内大学の附属病院における勤務を他の公的医療機関での勤務と同様に返還免除勤務として算定するなど改正を行う方針であります。また浜松医科大学への医師派遣要請のあり方につきましては、これらの改正に合わせて見直しを行い大学と連携して医師不足地域での医療の確保に努めてまいります。
 私どもといたしましては、より多くの医師を確保するとともに効果的な地域偏在の解消を行い、医学修学研修資金の貸与を初め地域枠のさらなる増設等各種の取り組みを全方位で進めまして県民の皆様が安心して住み続けることのできる医療提供体制を構築してまいります。以上でございます。
○副議長(中沢公彦君) 吉林副知事。
       (副知事 吉林章仁君登壇)
○副知事(吉林章仁君) 知事の政治姿勢についてのうち、人事施策についてお答えをいたします。
 本県では、県政の重要課題に迅速かつ的確に対応できるよう職員の採用や育成、また職員の意欲、能力、適性や経験等をきめ細かく把握し適材適所の配置を行うなどの人事施策を進めております。このうち人事異動におきましては、施策の継続性を考慮しつつそれぞれの職に必要とされる高い専門性やマネジメント能力を有する者を部局長に配置をしております。一方その結果として部局長が在任一年で退職、転出する場合があることは人事施策上の課題であると認識をしております。
 こうしたことから、本県では国における定年延長の議論も見据え再任用制度を活用し定年の枠にとらわれずに適材適所の人事異動を柔軟に行っております。やむを得ず部局長の職において在任一年で定年退職や転出をする場合におきましては、後任に十分な職務経験を有する者を充てるよう配慮をしているところでございます。
 また、議員御指摘の東京事務所長など人的ネットワークの集積する職員やより高度かつ専門的な知見を備えた職にある者の退職等が見込まれる際におきましては、こうした知見等を遺漏なく継承していくことも課題であるというふうに認識をしております。
 こうした知見等の継承につきましては、施策の後退を招くことがないよう平素から当該職員の事務引き継ぎのみならず関係する全ての職員が連携して組織全体で知見等の共有を図ることとしております。またこのような職員が定年を迎える場合におきましては、有用な知見等を引き続き県や地域において活用いただけますよう再任用を含めた当該職員の処遇や再就職に向けた人材情報の提供につきまして考慮をしてまいります。
 今後も、こうした取り組みに加えまして高度な専門性を有する人材の育成に向けた若年期からのキャリア意識の醸成や幹部ポストへの若手職員の積極的な登用など、中長期的な視点から人事施策を進めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 佐藤政策推進担当部長。
       (政策推進担当部長 佐藤典生君登壇)
○政策推進担当部長(佐藤典生君) 部局長のマネジメントによる事業見直しの徹底についてお答えいたします。
 限られた財源、人的資源の中で新たな事業を立ち上げるためには既存事業の見直し、スクラップ・アンド・ビルドの徹底による資源の再配分が不可欠であり、現場に精通する部局長みずからが責任を持って取り組むことでその実効性は高まるものと考えております。
 昨年度、新たに枠配分方式を取り入れ各部局長のリーダーシップのもと配分された財源を元に政策評価に基づく事業の見直しに取り組んだところであります。結果としては実施回数、作成部数の減や事業費の精査など部分的な見直しにとどまることも多く、事業そのものの廃止や縮小などさらなる見直しが必要であると認識しております。
 このため、来年度の当初予算編成に向けましてはエビデンスに基づく事業評価を強化することといたします。具体的には評価の低い政策に関連する事業についてデータに基づく現状分析を徹底し、課題解決に直結する効果的な手法を明確にし部局みずからの積極的な事業見直しを促してまいります。また事業評価の結果を踏まえ見直し、廃止、縮小により生み出される人的資源を新たな重点施策の実施に充てるなど政策調整と予算編成のシステムに人員配分適正化の視点を加え、施策の実効性をさらに高めてまいります。
 事業見直しを徹底するこれらの取り組みにつきましては、知事戦略会議や政策調整会議など当初予算編成の過程を通じて検証を行い、その結果について見える化を図ることにより実効性をさらに高めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 金嶋危機管理監。
       (危機管理監 金嶋千明君登壇)
○危機管理監(金嶋千明君) 消防防災ヘリコプターの活用と安全対策についてお答えいたします。
 運航を開始した新しいヘリコプターは、旧型機よりも大型化し航続距離が一・三倍の七百三十キロメートルとなるなど大幅に性能が向上いたしました。南海トラフ地震などの大規模災害時には被災者の救助、物資の搬送等におきまして今まで以上の活躍が期待され、例えば下田市から静岡市へ被災者を搬送する場合一日に搬送できる人数が五十人から百二十人程度に大幅に増加いたしました。また本県は浜名湖から伊豆半島まで五百キロメートルに及ぶ海岸線や富士山、南アルプスなどの山岳地帯を有しております。巡航速度が向上し高高度での活動も可能となりましたので、従前に増して迅速かつ広範囲での救助活動が展開できるものと考えております。さらに空中からの消火が効果を発揮する林野火災におきましても従来の約三倍の水を積載することが可能となり、消火能力が大幅に向上いたしました。
 ヘリコプターの安全対策につきましては、総務省消防庁から消防防災ヘリコプターの運航に関する基準が近く勧告されると聞いておりますので、県といたしましては勧告の内容や国の財政支援措置等を踏まえ二人操縦士体制の導入などヘリコプターの安全対策の充実強化に努めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 池田健康福祉部長。
       (健康福祉部長 池田和久君登壇)
○健康福祉部長(池田和久君) 医師不足対策についてのうち、地域枠医師についてお答えいたします。
 地域枠は、医学修学研修資金の貸与を受け卒業後には都道府県内の地域医療に従事することを条件とする入学定員枠であり、本県は県外からの医師の確保を目的として県外大学への設置を積極的に進めてまいりました。その結果、本県が現在県外大学に設置している地域枠は七大学三十四人に上り全国最大規模となっております。
 議員御指摘のとおり、東部地域におきまして県外の地域枠設置大学から研修医や専攻医を継続して確保することは医師不足を解消するための有効な手段の一つであると認識しております。このため県といたしましては、東部地域の各市町の協力も得ながら公的病院等と本県の地域枠設置大学との専門研修プログラムにおける連携や地域枠学生の県内実習の受け入れなど、両者のマッチングの推進等を通じた関係強化を図ることで県東部に勤務する医師の確保、定着に努めてまいります。
 次に、浜松医科大学の医師養成機関としての機能の活用についてであります。
 浜松医科大学及び同大学附属病院には、本県唯一の医師養成機関として県内で活躍する多くの医師の養成や県内病院への医師派遣、高度医療の提供など本県の地域医療の推進と医療の質の向上に多大な貢献をいただいております。特に保健医療計画において重点的に取り組むこととしている周産期、家庭医療、児童精神等の各分野につきましては浜松医科大学にそれぞれ寄附講座を設置し専門性の高い医師の養成に連携して取り組んでおります。また医師養成機関としての機能を活用して女性医師支援や精神疾患に係る連携体制整備等の取り組みを着実に推進しております。
 さらに、昨年度の医療法等の一部改正により地域枠医師等を対象とするキャリア形成プログラムの作成が都道府県に義務づけられております。浜松医科大学の協力のもとキャリア形成の基本プログラムとして三つのコースを示し、これをもとに県内二十一の基幹病院が計百七十五の個別プログラムを作成しております。今後も浜松医科大学と連携して一人一人のニーズに応じた専門性の高い研修プログラムの提供等、医師にとって魅力ある制度運用をすることにより県内へのさらなる定着を促進してまいります。
 県といたしましては、現在策定中である医師確保計画につきまして引き続き浜松医科大学を初め関係者の皆様から広く御意見を伺い施策に反映していくとともに、今後も浜松医科大学が有する医師養成機関としての機能を最大限に活用させていただくことにより県民の皆様が安心して暮らすことができる医療提供体制の構築を進めてまいります。
 次に、聖隷三方原病院ドクターヘリ格納庫についてであります。
 県では、全国に先駆け平成十六年十月にドクターヘリ二機体制を構築し県内全域を出動範囲とした救急医療体制を確保しております。本年五月には二機合計の累計出動件数が全国で初めて二万回を超えるなど救急医療や僻地医療に大きな成果を上げているほか、大規模災害が発生した際の医療救護活動においても重要な役割を担っております。
 こうしたドクターヘリの活躍を支えるため、平成二十八年度には県と伊豆の国市を初めとする関係二十一市町が協力して東部ドクターヘリを運航する順天堂大学医学部附属静岡病院の格納庫の整備を支援し、機体管理の環境を整えることで今まで以上に安全かつ安定的な運航の確保を図っております。西部ドクターヘリを運航する聖隷三方原病院におきましてはこれまで県や浜松市も協力して格納庫の候補地を探しておりましたが、ことしになり病院近くに候補地が見つかったため格納庫の整備を進めたいとの報告を受けたところであります。
 このため、当該土地の整備に必要な許認可等の手続を経て整備計画が具体化した際には病院が早期に格納庫を整備できるよう国や関係市町と連携し支援していきたいと考えております。
 県といたしましては、今後もドクターヘリの運航を支援することにより命を守るための救急医療体制の確保を図り、県民の皆様が住みなれた地域で安心して生活できるふじのくにづくりを目指してまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 志村農林水産担当部長。
       (農林水産担当部長 志村信明君登壇)
○農林水産担当部長(志村信明君) 水産資源の保全についてのうち、水産資源と魚病のスペシャリストの育成についてお答えいたします。
 県の水産にかかわる技術職員の業務内容は、資源調査や増養殖のほか水産加工、普及指導と多岐にわたっており魚の種類別にも深い専門知識と経験が必要となります。このため浜名湖のウナギ、アサリや駿河湾のサクラエビ、伊豆東岸のキンメダイなど本県の重要な地域魚種に関する研究や指導を主に担当する職員につきましては必要に応じて通常の異動サイクルである三年から五年よりも長い期間、場合によっては十年以上の長期間にわたり同一分野の業務を担当させることなどにより専門性を高め漁業者から信頼をいただけるよう努めているところであります。
 また、魚病対策に関しましては農林水産省から受託した日本水産資源保護協会が水産防疫及び養殖衛生管理に関する専門的知識と技術を有する者として認定します魚類防疫士という資格について計画的な取得を進めております。現在九名の職員がこの資格を有しており、東部の富士養鱒場や西部の浜名湖分場にこれらの職員を配置しましてアジやニジマス、ウナギ、アユなどの養殖について魚病診断や巡回指導、講習会の開催など魚病対策の的確な推進を図っているところであります。
 県といたしましては、職員本人の希望や適性を踏まえつつ県内各地域の水産資源対策や魚病に関する専門性の確保にも十分留意しながらこれからもスペシャリストの育成に努めてまいります。
 次に、県内水産資源の防疫体制についてであります。
 アサリや養殖魚など外部からの種苗導入により増殖可能な水産資源について防疫対策を実施するに当たりましては、本県の水産資源に損害を及ぼすおそれのある新たな魚病の持ち込みを防止することが最も重要であると考えております。国では卵や稚魚が地球規模で取り引きされているサケ・マス類など海外から新たな魚病が侵入する危険性が高い養殖魚種につきまして、魚病の蔓延防止を目的として水産防疫対策要綱を定めております。本県でもこの要綱に沿って海外から魚介類の卵や稚魚を輸入する際には、関係する事業者に対しまして一定期間隔離して飼育し異常のないことを確認するよう指導するなど、新たな魚病の持ち込みを防ぐためその対策に努めているところであります。
 また、近年不漁が深刻化している浜名湖のアサリにつきましては他産地の稚貝を導入して増殖を図りたい旨の声を聞くこともありますが、議員御指摘のような課題がありますことからその危険性について水産技術研究所などが漁業関係者に周知を図っているところであり、現在他産地からの稚貝の導入は行われておりません。
 県といたしましては、引き続き関係者とも十分連携を図りながら水産資源の防疫の確保に万全を期してまいります。
 次に、荒廃農地対策についてであります。
 農地は、農業生産活動を通じて食糧を安定的に供給する場であるとともに適切な管理により地域の環境や景観の保全にも寄与するものでありますことから、後継者不足により荒廃化が懸念される優良農地を意欲ある担い手が耕作し将来にわたって有効に活用していくことが重要であると認識しております。
 しかしながら、規模拡大意欲の高い若手農家などが農地を借りたくても所有者の同意を得られずに借りることができない事例や、農地を貸したくても借り手が見つからないまま荒廃化する事例も見受けられます。こうしたミスマッチを解消するためには、まずは集落や土地改良区等の単位で五年後、十年後の地域農業を誰が担いどのように農地を集積するのかを農業者同士で話し合いその結果を取りまとめた人・農地プランを作成し、それに基づき農地中間管理事業による農地の貸し借りを進めていくことが必要であります。
 これまでにも、磐田市西貝地区におきまして農林事務所の職員が市やJA職員とともに地区の話し合いに参画し担い手とのマッチングを提案するなどの検討を重ねて地域の将来像をまとめ、これをもとに農地の貸し手と借り手を結びつけた実績がありますことから、県では関係機関と連携したこのような取り組みを他市町にも広げてまいります。あわせて担い手が農地中間管理事業により借り受けた荒廃農地につきましては、立木の除去や整地等を農業者の負担なしで行う事業を活用して再生を進めてまいります。
 県といたしましては、今後とも市町、JAなどとの連携のもと荒廃農地等を活用して意欲ある担い手農家の経営が発展するよう支援し地域農業の活性化につなげてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 田内浩之君。
       (三十一番 田内浩之君登壇)
○三十一番(田内浩之君) 御答弁どうもありがとうございました。
 四点要望と、あとは一点リニアについて再質問させていただければと思います。
 まず一点目ですね、要望でございます。リニア中央新幹線に対する静岡県の考え方と対応についてでございますけれども、やはりこの問題におきましてしっかり調査をするということはとても大事なことだと思っております。私も先日国会図書館に伺いまして、二〇一八年十月国会図書館発行のレファレンスを拝見させていただきました。そこには上越新幹線の中山トンネルについての記載がありまして、やはりそこの指摘ではもう事前の地質調査が不十分だったため大きな事故が起きたということの言及がありました。ですのでやはりこのリニアの問題に関しても、やはりどれぐらい調査をしっかりするかということが大事かと思いますので、しっかり静岡県としてJRにこういった調査を求めるということをまたおっしゃっていただければと思います。
 二点目の要望でございます。医師不足と医学修学研修資金のあり方でございますが、これに関しましてはすばらしい御回答をいただきましてありがとうございます。東部に医師を派遣しなければいけないというロックを外すということは、これは決して東部の医師不足対策においてマイナスになることではありません。浜松医科大学にお医者さんがふえることによってやはり東部に派遣できる医師もふえてくるというようなことでございますので、この今の知事の御答弁によって静岡県の医師不足対策がますます進むと考えておりますので、ぜひ御答弁のとおりどんどん進めていただければと思いますのでよろしくお願いいたします。
 三点目ですね。地域枠の医師でございますけれども、こちらも要望でございます。
 今、日本専門医機構という機関で非常に大事なことを議論をしております。実はこれ都道府県別そして診療科別に必要な医師数を踏まえたシーリングを設定するということで議論をしているところでございます。例えばの話ですけれども、東京都に内科のお医者さんは今現在五百人です。ただその五百人のうち、例えば八十人ぐらいはしっかり他県の病院と連携をするプログラムをとらなければ養成できませんよというような、今議論をしているところでございます。これじゃあやるとどうなるかというと、そこでシーリングがかけられているわけですので東京都で今まで内科医になりたいお客さんが六百人いますよと言うと百人は他県で養成をしないといけないというようなことが起きてきます。ただこれは静岡県にとっては非常にチャンスでございます。ここに関しましては順天堂を初め静岡県に浜松医科大学以外でいろいろと派遣をしていただいている大学病院と強い連携をとっていただきたいということです。改めて御要望をさせていただきたいと思います。
 四点目の要望でございます。荒廃農地対策についてでございますが、やはりお願いしたいのが中間管理機構ですね、まだまだ知名度が足りないと思っております。私もある方に農地の相談を受けたときに農地の中間管理機構という言葉を出したら、何だそれと言われちゃいました。ですのでやはり農地の中間管理機構のPRとともに、ちょっと名前はさておき農地を貸してくださいキャンペーンですとか、やはりそういったキャンペーンを打っていただいて進んで農家の皆さんが農地を貸し出す体制をぜひとっていただきたいなと思っているところでございます。
 済みません。先ほど私、一点再質問をさせていただくと申し上げましたけれども、先ほどリニアの要望にかえさせていただきましたので再質問は一応割愛をさせていただきます。
 それでは済みません、次の質問に移ります。
 水道事業の広域化について伺います。
 料金収入の減少や施設の更新需要の増大に県内の水道事業は直面しており、経営基盤の強化は共通の課題であります。特に中小規模の公営企業では職員数が少ないこともあって問題がより深刻であり、現在の経営形態を前提とした経営改革だけでは将来にわたる住民サービスを確保することが困難となり持続できない可能性があります。
 将来にわたって安定的にサービスを確保していくためには、現在の経営形態のあり方自体を見直し広域化を初めとした抜本的な改革が必要です。現在県におきましても行政経営研究会を中心に取り組みをされておりますが、さらに広域化の実現に向け取り組みを加速させる必要があると考えています。
 会派としても大きな課題だと認識しており、私も以前いち早く水道の広域化を実現した香川県の政策部水資源対策課水道広域化推進室にお話を伺いました。広域化を目指す上で難航した点は一つ、水道料金の平準化、二つ、施設整備水準の平準化、三つ、職員の給与体系の平準化、四つ、水道事業者の入札制度の設計の主に四点だそうです。
 そこで、県として水道事業の広域化をどのように進めていくのか、所見を伺います。
 次に、二地域居住の推進について伺います。
 現在、静岡県ではさまざまな移住政策を推進し成果も上がっていると認識しています。しかし移住も大切ですが、IT技術進化が起きている今、二地域居住を進め関係人口をふやすことが静岡県の発展につながると考えています。
 具体的には、IT企業の従業員が東京と浜名湖に二地域居住し、そこにサテライトオフィスを設置した企業で働く。またライフスタイルの充実を図りたい会社員が平日は東京、週末は伊東に二地域居住するようなことでしょうか。茨城県では民間企業と協力してトライアル移住・二地域居住推進プロジェクトに取り組むなど既に他県でも二地域居住の推進のための取り組みが始められています。
 静岡県でも関係人口の増加に向けて二地域居住の取り組みを進めていく必要があると思いますが、県の所見を伺います。
 次に、富士山保全協力金の義務化について伺います。
 平成二十六年度から任意での協力金制度を導入していますが、制度の検討をする利用者負担専門委員会の中でも全員からもらうべきなので強制徴収という意見と世界文化遺産である信仰の山として登録されたものであって強制徴収はふさわしくないのではないかという意見があり、義務化については賛否両論ありました。そして静岡・山梨両県はことしから利用者負担専門委員会の中に税の専門の方あるいは自然公園に詳しい方を含めた小委員会をつくり、強制徴収をする場合の手法と課題を整理するためワーキングを立ち上げたところです。
 しかし、海外では国立公園が相応の入園料を取ることが多くあります。例えばニュージーランドのフィヨルドランド国立公園では数カ月前からの予約制がしかれていて、一日に入山できる人数を最大九十人とするなど既に徹底した観光客の総量規制が実施されています。
 我が会派では、富士山を守るため富士山保全協力金の義務化をするべきと考えておりますが、県の所見を伺います。
 次に、地域交通の充実について伺います。
 昨今、高齢者の運転による重大な自動車事故が各地で頻発しており、また車が運転できない県民からは買い物や通院するための交通手段がないとの声を多く聞きます。例えば私の地元湖西市白須賀地区においては近くのコンビニに片道三十分かけて買い物に行く高齢者の方がおります。また高齢者のみならず浜松駅まで通学している女学生が部活動で帰宅が遅くなった際、家庭の事情により車で駅まで迎えに来てもらえないため暗い夜道を数十分自転車で走らなければいけないような状況もあります。
 このような状況は私の地元だけの話ではないと思います。早急な課題解決が望まれますので県としても地域交通の充実についてさらなる支援が必要と考えています。どのような手段で課題解決をするのかに対しては切り口がたくさんあると思いますが、MaaSとは切っても切り離せない自動運転を見越したデマンド型乗り合いタクシーやバスの運用に対しては県独自の施策を行っていくべきだと考えます。
 そこで、県は地域交通の充実に向けどのように取り組んでいくのか、県としての所見を伺います。
 次に、ICT教育の推進について伺います。
 県教育委員会では本年七月、学習指導要領改訂への対応やソサエティー五・〇に向けた学校のあり方を検討するために静岡県情報化推進委員会内に先端技術を活用した教育専門部会を設置しました。
 各市町教育委員会においては、二〇二〇年度からのプログラミング教育の必修化に向けて準備が進んでいるところであり、袋井市の小学校では経済産業省の「未来の教室」実証事業としてエドテックを活用し、子供たち一人一人の学習進度に応じた学習を進めるアダプティブラーニングを実施するなど先進的な取り組みも始まっています。
 しかし、世界を見ればIT先進国のイスラエルにおいては高校生全員がプログラミングを九十時間、大体週にすると一、二時間程度だそうですが教科として必修で学び、中学生がアプリケーション開発に挑戦するなど日本の取り組みはおくれているのが現状です。
 本県におけるICT教育の課題としては、ICT機器の整備とあわせて学校におけるプログラミング教育やICT教育を推進する人材を育成することであり、特に教える教員のレベルアップには外部人材の活用を含めた対応が必要と考えます。
 そこで、さきに開催された先端技術を活用した教育専門部会における検討内容も含めICT教育の課題への対応について、県の所見を伺います。
 次に、夜間中学の設置について伺います。
 夜間中学は、義務教育を修了しないまま学齢を経過した方や不登校などさまざまな事情から実質的に十分な教育を受けられないまま学校の配慮等により中学校を卒業した方、九年間の普通教育を十分に受けられないまま学齢を超過した外国籍の方に対して教育を受ける機会を保障するための重要な役割を果たしています。平成二十八年十二月に公布された「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」第十四条においては、全ての地方公共団体に対して夜間中学等の設置を含む就学機会の提供そのほかの必要な措置を講ずることが義務づけられました。これを受け文部科学省では全ての都道府県に少なくとも一つの夜間中学の設置を求めています。
 私も先日、東京都葛飾区立双葉中学校の夜間中学に伺い設置の必要性を改めて感じてまいりました。修学旅行の関係で約十名いらっしゃったんですけれども全員が外国人の方でございました。一人一人皆さん真剣に授業を受けられている姿を見て本当に感銘を受けた視察でございました。
 現在、本県には夜間中学は設置されていませんが、本県においても外国籍の人や不登校の児童生徒が増加していることから早急な対応が必要だと考えます。
 県教育委員会も設置に向け取り組んでいると認識しておりますが、設置に向けた現在の進捗状況と今後の具体的な取り組みについて伺います。
 次に、放課後の子供の過ごし方について伺います。
 国が策定した新・放課後子ども総合プランは、放課後子ども総合プランに引き続き二〇二三年度(令和五年度)末までに全国約二万カ所全ての小学校区で放課後児童クラブと放課後子供教室を一体的にまたは連携して実施し、そのうち一体型のものを一万カ所以上にすることを目標として掲げています。平成三十年度の全国の放課後児童クラブ数は二万五千三百二十八カ所で、放課後子供教室の実施数は一万八千七百四十九教室です。そのうち四千九百十三カ所が放課後児童クラブとの一体型で実施されています。
 県内では放課後児童クラブ数は六百六十七カ所で、放課後子供教室は百八十教室が実施されています。このうち百四十一カ所が放課後児童クラブと一体または連携で実施され、そのうち七十九カ所が一体型で行われています。このように放課後子供教室と放課後児童クラブの一体型、連携型が推進される一方で、その目的である全ての児童が放課後子供教室の活動プログラムに参加という点でその効果が十分にあらわれていないのではと感じています。
 先日私の地元岡崎小学校の放課後子供教室で子供たちが楽しそうに藍染めのプログラムに取り組んでいる姿を拝見しすばらしいプログラムは子供たちの健全な成長に大きく寄与することを実感してまいりましたが、一方子供が学ぶことのできるプログラムの選択肢が少なく活動に興味を持って参加することができない児童がいるという御意見も現場から聞いております。これは人材の不足や場所、施設の不足などもその要因なのではと思います。今後は子供たちが興味を持てるメニューをふやすなど放課後子ども教室の充実を図り、その上で放課後児童クラブとの連携を進める必要があると考えます。
 そこで、県は子供たちの放課後の過ごし方の課題をどのように認識しどのような取り組みを今後されるのか、県の所見を伺います。
 次に、学校における防犯カメラの設置について伺います。
 川崎市多摩区で私立カリタス小学校の児童らが襲われた事件など、近年学校に通う子供が狙われる事件が多発しています。先生方を初め学校現場は安全確保に努めてきましたが登下校の全てを見守ることは極めて困難であり、子供たちをどう守るかが改めて問われています。ボランティアやPTAによる通学路の見守り活動のようなソフト対策も大変重要ですが、防犯カメラの設置等のハード対策も重要と考えています。現在県内五百校の小学校のうち百七十五校が防犯カメラを設置しており、今後新たに設置する予定の学校もあるとも伺っています。
 そして、このような時代背景を反映して企業でもさまざまな取り組みを進めています。例えばある飲料販売メーカーでは協力企業に自販機を設置し、その収益で学校に防犯カメラを設置する取り組みをしております。すばらしい取り組みだと思います。防犯カメラは安全対策に有効であると考えますので、県としても特に小中学校と特別支援学校の防犯カメラの設置には前向きに取り組んでいただきたいと考えています。
 そこで、県として子供の安全を守るための学校における防犯カメラの設置についてどのように考えているのか、県の所見を伺います。
 最後に、サイバー犯罪の現状と県警察における体制及び犯罪被害防止対策について伺います。
 ことし十月から消費税が一〇%に増税されますが、この十月から期間限定でキャッシュレス決済をした消費者に一定のポイント付与が発表されていることや政府がキャッシュレス決済を進めると公言していることもあってバーコード決済が乱立している状況にあります。
 そのような中、ペイペイやセブンペイなどは不正アクセスによる金銭的被害が報道され、セブンペイについてはサービス開始翌日から被害相談が寄せられわずか一カ月でサービス廃止を決定する事態となりました。県内では本年九月にラグビーワールドカップの開催が予定されているほか、来年には東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの自転車競技が行われる予定であり、こうした機会にこの大規模国際大会を狙ったサイバー犯罪が行われる危険も指摘されております。
 このように、県民のサイバー犯罪に対する関心が高まっている昨今、本県におけるサイバー犯罪の現状について伺うとともに高度化するサイバー犯罪に対応するための専門的知識を有する職員の配置等サイバー犯罪に対する県警察の体制とサイバー犯罪被害防止についての取り組み状況について伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(中沢公彦君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 地域交通の充実についての御質問、正確には地域交通のサービスの充実についての御質問にお答えいたします。
 近年、人生百年と言われるようになりました。全ての人が年齢相応に元気に活躍し、安心して暮らすことのできる社会が求められております。特に高齢者が豊かな生活を送るためには移動手段となる各地域の公共交通の充実が必要不可欠であります。
 県内では、路線バスや市町で行う自主運行バス、デマンド型乗り合いタクシーなどそれぞれの地域の実情に応じた取り組みがなされております。県ではこれら事業に対し経費の助成などを実施しているところです。特にデマンド型乗り合いタクシーに関しましては県内十四の市町で実施されておりまして、今後ともその取り組みが増加していくものと考えております。
 こうした中、最先端通信技術を活用した公共交通の実用化に向けた取り組みを進めていくことが重要です。特に注目を集めているのが御指摘のMaaS。MaaSというのは、モビリティ・アズ・ア・サービスの頭文字をとったもので移動サービスのことですけれども、このMaaSにつきましては鉄道、バス、タクシーなど複数の交通手段の検索、予約、決済をスマートフォンなどで一括して行うことが可能となります。さらに将来は過疎地域での小型モビリティーの活用や都市部でのEVバスの運行など自動運転の導入も含め、さまざまなニーズに応じたサービスの展開が期待されます。
 県では、このMaaSに関する取り組みの一環として、ことしの四月から東急さんやJR東日本さん等の関係機関とともに市町をまたいだ広域の範囲における試みとして全国初となる観光型MaaSの実証実験を伊豆地域で実施したところであります。この実験では下田市中心部における移動手段としてデマンド型乗り合いタクシーを運行し、観光客を中心に御利用いただきました。さらにこの十二月からは実証実験の運行エリアに病院やスーパーマーケットなどの住民の日常生活に必要な施設への運行を拡大いたします。
 デマンド型乗り合いによる新たな公共交通としての可能性を検証するとともに、あわせて特定区間におきましては自動運転車両の走行実験も実施することとしております。
 県としましては、今後とも新たな交通サービスに関する実験を進めこれからの時代に対応した県民の誰もが利用しやすい公共交通となるように積極的に取り組んでまいります。ありがとうございます。以上でございます。
○副議長(中沢公彦君) 鈴木くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(鈴木 亨君) 水道事業の広域化についてお答えいたします。
 将来にわたり安全で安定的な水の供給を継続するためには水道事業の経営基盤強化が重要でありますことから、県では水道事業者である市町ごとの経営課題を把握した上で広域化を推進することとしており、連携の対象区域やその特性に応じた連携策を検討しております。本年度は全市町を対象に施設の更新計画や財政計画から成る経営戦略等をもとに個別のヒアリングを実施するなど、各市町の経営状況の現状や課題の把握に努めているところであります。
 あわせて、市町に広域化の効果を理解していただくため自己水源に恵まれず大井川広域水道企業団等からの給水に頼る掛川市、菊川市、牧之原市、御前崎市で構成される東遠地域をモデルに申請受け付け業務や施設の運転及び保守管理業務の共同発注した場合のシミュレーションを行っております。
 県といたしましては、今後各市町の水道事業の経営課題を的確に把握しシミュレーションによるコスト削減等の効果を共有しながら市町と話し合いを重ね、まずは広域化に向けた第一歩となる本県の水道広域化推進プランを策定してまいります。
 次に、二地域居住の推進についてであります。
 二地域居住は、都会に暮らす人が週末や一年のうちの一定期間を地方で暮らすなどのライフスタイルの一つであり、観光客などの交流人口と定住人口の中間に位置する関係人口に該当し移住にもつながるものと考えております。このため移住セミナー等におきまして東京圏で暮らす方を対象に週末は自然豊かな本県で家庭菜園やマリンレジャー、温泉などを楽しみながら過ごす暮らし方の提案を行っております。
 また、二地域居住にもつながるサテライトオフィスの誘致につきましては県内市町と連携して企業訪問等に取り組んでおり、川根本町や静岡市などで実績を上げております。さらに今年度AI、ICT人材を本県に呼び込むため新たに事業所を設置するICT関連企業を対象とした支援制度を創設したところであります。
 県といたしましては、こうした取り組みに加え移住・定住情報サイトで地域イベントや地域おこし活動への参画の機会をお知らせするほか、市町と連携して地元の方との交流や静岡ならではの暮らしを体験できるツアーを開催するなど二地域居住を含む関係人口の拡大に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 植田文化・観光部長。
○文化・観光部長(植田基靖君) 富士山保全協力金の義務化についてお答えいたします。
 平成二十六年度から導入した富士山保全協力金につきましては、昨年度有識者による利用者負担専門委員会においてこれまでの検証を行い、制度の定着は認められたものの負担の公平性や徴収費用が高額といった課題が指摘されたところであります。また地元住民や山小屋関係者等による富士山世界文化遺産協議会作業部会では、負担の義務化から中止までのさまざまな御意見をいただいております。
 負担の義務化につきましては、賛否両論があることに加え全ての来訪者から確実に徴収する方法や徴収の低コスト化などに課題があり、すぐに結論が出るものではないことから当面は任意の協力金制度を継続し協力率の向上に努めてまいります。
 静岡・山梨両県では、本年度から対象者を従来の五合目から山頂を目指す登山者から五合目から先に立ち入る来訪者に拡大するとともに、協力金使途につきましてもさまざまな登山者の要望に応えることができるよう制度の見直しを行ったところであります。
 今後、今年度の協力金の納付実績等を再度利用者負担専門委員会で検証するとともに、専門委員会委員によるワーキンググループで義務化を含めた制度改善の可能性について課題の整理を行ってまいります。
 保全協力金は富士山を後世に継承するための貴重な財源であり、登山者の保全意識を高める効果もあります。今後とも富士山の保全にとって最適な利用者負担制度の確立に向けて国、山梨県、地元関係者等とも十分調整しながら検討を進めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) ICT教育の推進についてお答えいたします。
 ICT教育の基礎となる機器等の整備につきましては、令和三年度中を目途に全ての県立学校でプロジェクター、タブレット等の導入を進めております。しかし小中学校を含めた県全体の教育用コンピューターの整備状況は全国平均をやや下回っており、引き続き市町に強く働きかけ整備の促進を図っていくこととしております。
 また、ICT教育を充実させるためには議員御指摘のとおり機器等の整備とあわせ先端技術を有効に活用した授業を実践できるよう教員の資質能力を向上させることが極めて重要であります。
 このため、県教育委員会では今年度新たに小中学校の教員向けにプログラミング教育の授業に関する研修を実施するとともに、多くの教員が受講できるよう研修内容をe―ラーニングにより配信しております。また本年八月には情報化推進ワークショップを開催しプログラミング授業の演習を行うとともに、AIを活用した授業や民間企業との連携によるタブレット学習など先進事例について情報共有を図ったところであります。
 さらに、先端技術を活用した教育専門部会では金田ICT戦略顧問やマイクロソフト社などの参画を得て、学校だけではなく家庭での児童生徒個々の学習内容を蓄積できるスタディーログや過疎地の学校と大学等を結ぶ遠隔教育など先端技術の活用について検討し、教員の情報活用能力のさらなる向上を図ってまいります。
 今後は、将来を担う子供たちが、ソサエティー五・〇の未来社会において活躍できるよう専門部会における検討を踏まえ大学、民間企業と連携しAI等の先端技術を効果的に活用した新時代の学校を実現するためICT教育環境の整備や教育内容の充実に積極的に取り組んでまいります。
 次に、夜間中学の設置についてであります。
 本県に住む外国人は九万人を超え、今後もさらに増加することが見込まれております。また昨年度外国籍やひきこもりの傾向にある人を対象に行った調査では学び直しを希望するとの回答が約八割ありましたことから、このような人たちに教育の機会を提供するため夜間中学を設置する必要があると考えております。
 県教育委員会では、本年七月各市町教育委員会を対象に夜間中学研修会を開催し、昨年度の県内ニーズ調査の結果や全国での設置状況に関する情報等を提供し具体的な検討を依頼したところであります。また八月に行われた文部科学省の夜間中学日本語指導研修会に担当職員を派遣するとともに、先行して設置している他県の夜間中学を視察し設置形態、入学資格、募集人員などのほか設置に向けた課題について把握に努めております。
 具体的には、対象者が県内の広域に存在し、さらに入学希望者の学習レベルがさまざまでありニーズも多様でありますことから設置場所や教育課程の内容、教員等の人的配置、募集方法などが課題となっております。現在各市町教育委員会に対して意向調査を行っており、今後は設置を前向きに考えている市町とともに協議会を立ち上げ具体的な協議を行っていきたいと考えております。
 県教育委員会といたしましては、市町教育委員会と連携し外国籍、日本籍の誰もが教育の機会を得られるよう夜間中学の設置に向けて積極的に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 鈴木教育部長。
○教育部長(鈴木一吉君) 放課後の子供の過ごし方についてお答えいたします。
 昨年度の全国学力・学習状況調査のうち小学校六年生の放課後の過ごし方についての回答では、「家でテレビやビデオを見たり、ゲームやインターネットをしたりしている」が最も多く、次いで「友達と遊んでいる」、「家で勉強や読書をしている」などとなっております。夫婦のいる一般世帯では共働き世帯が五割以上を占めるまで増加しており、国が策定した新・放課後子ども総合プランで示されたように、放課後児童クラブと放課後子供教室により子供たちが放課後、安全・安心に過ごしながら多様な学習や体験交流活動の機会を持つことは大変重要であると考えております。
 このうち、放課後子供教室は本年度は二百十八カ所で実施されており、十年前の倍以上となっております。学校の余裕教室や公民館等で地域住民等の協力を得て英語等の教科に係る学習支援や料理、工作、農業、スポーツ等の体験活動を実施しており子供たちの社会性や規範意識、自主性、コミュニケーション能力の向上等の効果が見られております。
 しかしながら、放課後子供教室の活動プログラムに参加している放課後児童クラブは三割程度にとどまっており、連携を進めていくためには双方の活動への理解と放課後子供教室において子供の興味関心を引きつけるプログラムの内容を充実させることが重要であります。このため運営のかなめとなる地域コーディネーターを養成する講座や指導者等を対象とした研修会の場で、県内外の先駆的、先進的な活動事例や放課後児童クラブとの円滑な連携の事例等を紹介するとともに、人材養成やプログラム開発能力の向上を図ってまいります。
 県教育委員会といたしましては、子供たちが放課後も生き生きと過ごせるよう健康福祉部や市町教育委員会と連携し社会総がかりでの子育て支援、教育の充実に努めてまいります。
 次に、学校における防犯カメラの設置についてであります。
 学校の防犯カメラにつきましては、文部科学省が定める校種ごとの施設整備指針におきまして、不審者の侵入防止や児童生徒の安心感を醸成するなどの設置目的を明確にした上で見通しが困難な場所や死角となる門や建物の出入り口付近などに設置することが有効であるとされております。県内の小中学校では本年七月末現在で約四割の学校に防犯カメラが設置されており、熱海市や清水町、藤枝市など八市町では全ての小中学校に設置されております。設置済みの学校からは抑止力が高まり犯罪防止に役立っている、安心感が増したなどの意見が聞かれております。
 また、特別支援学校では本年六月に策定した子どもの安全確保緊急対策アクションに基づき全てのスクールバスにドライブレコーダーを設置するとともに防犯用品として催涙スプレーや防犯ブザーを備えたほか、一部の学校において防犯カメラを導入するなど安全対策を強化したところであります。
 県教育委員会といたしましては、学校安全担当者を対象とした研修会等の場で防犯カメラの設置状況や防犯用品の活用事例など市町や学校の取り組みについて情報提供しながら対策の充実を働きかけるとともに、警察等の関係機関と連携し地域や学校の実情に応じた効果的な安全対策が行われるよう取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 小嶋警察本部長。
○警察本部長(小嶋典明君) サイバー犯罪の現状と県警察における体制及び犯罪防止対策についてお答えします。
 情報通信技術の発展によりインターネットは日常生活に欠かせないものとなっております。全国的に刑法犯検挙件数が減少傾向にある一方でサイバー犯罪の検挙件数は増加傾向にあり、今後キャッシュレス決済やIoTのさらなる普及とともにサイバー犯罪はさらに増加することが懸念されます。
 本県におけるサイバー犯罪の検挙件数は、ここ数年百五十件前後で推移しており本年八月末では昨年同期比プラス五件の九十四件を検挙しております。罪種としてはインターネットを悪用した児童買春、児童ポルノ禁止法違反、わいせつ物頒布が多くコンピューターを対象とした不正アクセス事件も五件検挙しております。また相談件数につきましては本年八月末現在九百二十二件で昨年同期比マイナス百六十九件となっております。
 次に、サイバー犯罪に対する体制についてであります。
 本県警察では、サイバー犯罪対策課を中心に専門的な知識を持った警察官を配置して不正アクセスやコンピューターウイルス犯罪について捜査に当たらせており、またサイバー犯罪対策課以外の課においても捜査員を研修に参加させるなどしてサイバー犯罪捜査能力の向上に努めております。
 最後に、サイバー犯罪被害防止対策についてであります。
 サイバー犯罪は、一たび被害が発生すれば犯人の特定や被害の回復に相当な困難を伴いますことから現実空間と同様に被害に遭わないことが大切です。最近では大手企業の決済システムへの不正アクセスによる金銭的被害が問題となっておりますが、これらはいずれもシステム自体に脆弱性があったものと報道されております。
 県警察といたしましては、こうした事態に対処するため企業を対象に民間事業者と連携したサイバーセキュリティセミナーを開催し、被害に遭わないためのセキュリティー対策機材の導入等、企業におけるセキュリティー対策の強化を呼びかけております。また一般利用者には学校や各種関係団体を対象としたサイバーセキュリティカレッジにおいて被害防止対策についての情報提供をするなど、さまざまな機会に周知活動を行って被害防止に努めております。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 田内浩之君。
       (三十一番 田内浩之君登壇)
○三十一番(田内浩之君) 二点要望、二点再質問させていただきます。
 まず一点目の要望でございますが、富士山保全協力金の義務化についてでございます。
 一刻も早くやはり義務化を実現をしていただければと思います。憧れの対象としての美しい富士山を守るという意味もございますし、あとやはり観光という意味においても富士山というのは非常に大きなものだと思っています。
 例えば、私も海外で浜名湖にお客さんを呼び込みたいと思って浜名湖をPRするわけでございますけれども、もう富士山の知名度のほうが圧倒的にやっぱり高い、当然そうだと思うんですけどね。ですのでやっぱり富士山に来ていただくことによって私の地元の浜名湖であるとか伊豆であるとか中東遠であるとか、いろんなほかのところに行ってもらうためにもやはり美しい富士山を保つということは非常に大事なことだと思いますのでやはりこの義務化というものは、改めてになりますけれども進めていただきたいということを要望させていただきたいと思います。
 あとは二点目の要望になります。放課後の子供の過ごし方についてでございますけれども、国のほうでは一体化ということを掲げておりますが、なかなか現場を見ると難しいなというのが私の感想です。なぜかというと例えば放課後児童クラブですね、これは厚生労働省が所管になると思いますけれども、放課後児童クラブというのはあくまでも子供たちを預かるという目的だと思うんですね。
 例えば、その預かられている子供たちが結構やっぱり、例えばサッカーとか体を動かすことが好きな子たちがわーっと放課後児童クラブにいたとして、じゃあその子たちが、そのまま放課後子供教室、文部科学省所管の放課後子供教室に行っておとなしく藍染めの勉強をしているかというとなかなか難しいと思うんですね。私もずっと子供たちに空手を教えておりますが、やっぱり子供たちって興味があるものないもの結構はっきりしているんですね。ですので一体化をするにしてもやはり慎重に、ちゃんとやっぱり現場を一回見に行っていただきたいなと思います。職員の皆様がやっぱり現場を見ていただくと、どういう形で進めていけばいいのかということがはっきり見えてくると思いますのでぜひ現場を見に行ってくださいということと、やはりどのように進めればいいかということは慎重に検討していただきたいということを要望をしたいと思います。
 あとは再質問、済みません二点でございます。
 一点目、水道事業の広域化についてでございますが、香川県はもう県で全て一体化しました。ただ静岡県は、やはり横に広いというのが現状でございます。静岡県としてはある程度何個かのエリアに分けて広域化することも一つの案なのかなと思っておりますが、そのエリアということに対して今の御見解というものをお伺いさせていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
 そして質問の二点目でございます。夜間中学の設置についてですが、課題がさまざまあると思いますが一つの課題として外国人の方ですね。母国で義務教育を終えている方を受け入れるのか受け入れないのかということは結構議論が分かれるところだと思いますが、多分今現在夜間中学校をやっているところでも対応が分かれていると思います。
 ですので、ここについての今の御所見というものをお伺いをさせていただきたいと思います。以上、答弁を求めます。よろしくお願いいたします。
○副議長(中沢公彦君) 鈴木くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(鈴木 亨君) 水道事業の広域化の再質問についてお答えいたします。
 広域化のエリアについてどのように考えるかという御質問でございますが、香川県は議員から御紹介ありましたとおり全県で一本化で広域化したという事実がございますが、静岡県は面積も広く横にも長く各市町の置かれております水道のその供給元というのがいろいろ異なっております。先ほど言いましたように水源がないところ、水源に恵まれているところ、簡易水道で対応しているところ、さまざまな状況がございますので連携の対象区域、こちらのほうも探りながら水道広域化推進プランをつくっていきたいというふうに考えております。以上でございます。
○副議長(中沢公彦君) 鈴木教育部長。
○教育部長(鈴木一吉君) 夜間中学の再質問についてお答えをいたします。
 夜間中学は、そもそもやはりさまざまな理由により義務教育を修了できなかった人を対象にということで本来の制度があるかと思います。ただ私ども今、各市町教育委員会とお話を重ねておりまして、その中でやはり議員御指摘のとおり母国のほうで義務教育を修了してもまだ学び直しの御要望があるという方もいらっしゃいますので、そこは今、方向性をまだまだ決めているわけではございませんが、どのようなニーズがあってどういった場合に対応するかということも含めまして、設置の内容についてこれから検討していきたいというふうに思っています。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 田内浩之君。
       (三十一番 田内浩之君登壇)
○三十一番(田内浩之君) それでは、二点要望させていただきます。
 まず一点目、水道事業の広域化についてでございますが、これ進めていくと、やはりなかなか協力をしてくださらない市町あると思います。香川県の場合でもやっぱり数市あったそうです。ただこれ、私静岡県に対する広域化というのは非常に大事なことだと思います。やはり知事にお願いしたいのが、もしそういった若干非協力的なというか、なかなか拒むところがありましたらもうぜひトップダウンで、やはり知事みずから乗り込んでいただいて説得をしていただく思いで進めていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
 二点目でございます。夜間中学の設置でございますが、私もですね、まだまだこれに関しては勉強中で果たして受け入れたほうがいいのか、それともやはり不可にすべきなのかというのは私も済みません結論も出ておりません。ただ非常に大事なことだとは思いますので、引き続き関係者の方々、そしてやはり外国人の方々の、特にお子さんたちの御意見を聞いていただいて賢明な御判断をしていただきたいということを要望をさせていただきたいと思います。以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(中沢公彦君) これで田内浩之君の質問は終わりました。
 以上で、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会の議事日程を申し上げます。
 九月二十四日午後一時会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会します。

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