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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成29年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

中澤 通訓 議員

質問分類

一般質問

質問日:

07/21/2017

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について                     
   「仏の川勝」の真意                      
2 リニア中央新幹線の南アルプストンネル建設計画について      
3 教育行政について                        
 (1) 授業時間の確保と教員のレベルアップ              
 (2) 部活動の外部指導者の活用                   
 (3) 学校運営支援員                        
  定員割れしている高校の魅力化


○議長(杉山盛雄君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、六十五番 中澤通訓君。
       (六十五番 中澤通訓君登壇 拍手)
○六十五番(中澤通訓君) 私はふじのくに県民クラブ所属議員として、知事、副知事及び関係部局長並びに教育長に通告に基づき分割質問方式にて質問をいたします。
 初めに、知事の政治姿勢について伺います。
 川勝知事におかれましては三期目の当選をされ、この上は健康保持に留意の上これまで以上の力を発揮され、充実した静岡県政運営を担ってほしいと思っております。
 今回の選挙は、知事の二期八年の実績評価を県民がどのように評価されるかが問われたものです。県の総合計画の前倒し達成と世界レベルのふじのくにの各分野の資源、人材の出現を初め県民のそれぞれの評価判断が下されたものと考えております。有効投票の約六〇%の信任が得られたもので、私は知事のいわゆる富国有徳ふじのくにづくりの総仕上げに邁進してほしいという県民の大きな期待の結果と思っております。
 選挙中、相手陣営から高圧的だ、パワハラだと静岡市長との対応を声高に批判されたことへの反応として知事からは、けんかは両成敗、これからは仏の川勝になるとの言葉が何回となく聞かれました。選挙結果で全体では六〇%の票を得ましたが旧静岡市の葵、駿河区では半数以下となり、静岡市長はこれをもって静岡市民の民意は違っていたと評していました。静岡市長はそう言っておりますが、旧清水市民は違う判断をし逆に七千三百票の差をつけました。もろもろの判断基準があったと思いますが、清水区の場合は昨年来津波浸水地域へ高台にある桜ヶ丘病院を移し築三十三年で耐用年数のようやく半分の区役所を移転させる構想を市民不在の中で計画し、開催された八回のタウンミーティングの全てにおいて半数の不満、反対の声があったにもかかわらず変更しないと断言した一連の動きがあったことが知事に対するネガティブキャンペーンの選挙運動をもはねつけたものと私は解釈しております。
 この問題の最終決定は静岡市議会であっても、現状の議会の構成を見ると清水区民の声を正しく代弁できる可能性が少ない状況とも言われ、危惧する声も多く聞かれます。知事は仏の川勝でいく、けんかはしないということですが、不公平、不条理と思われることが行われようとしていても何も言わないということなのでしょうか。静岡市は病院、区役所のことは既定路線として進めていくとのことですが住民は諦めておりません。地域住民の運動はとどまっていません。直接は静岡市の判断であり住民は静岡市民でありますが、静岡県民でもあります。防災については県の責務でもあります。
 仏の川勝でいくと知事が発言されてから、これまで運動を進めていた人たちからは自分たちは見放されたのかとの声も聞かれます。また選挙の折、小池百合子東京都知事、大村秀章愛知県知事が来静し川勝知事との強い結びつきが再確認されたようですが、このことは両知事が言うべきことをしっかりと発言する川勝知事の政治姿勢に共感したからこそ連携を呼びかけたに違いありません。これらを踏まえて仏の川勝の真意をお聞きいたしたいと思っています。本日も多数の方が傍聴しております。どうぞ知事の真意をここで述べていただきたいと思います。
 次に、リニア中央新幹線の南アルプストンネル建設計画について伺います。
 昨日も質問がありましたが、県政において大事なことでありますので私からも重ねて質問をいたします。
 リニア中央新幹線はJR東海が企画したものですが、東京品川から神奈川県相模原、山梨県甲府、長野県飯田、岐阜県中津川に新駅をつくって愛知県名古屋に至る計画が第一期で、最終は大阪に至るものであります。現在の新幹線の約二倍の時速五百キロのリニアモーターで東京、名古屋、大阪の三大都市圏を約一時間で結ぶ計画で、二〇一四年十月国土交通大臣が品川―名古屋間の工事実施計画を認可、総工費は九兆円の膨大なものであります。二〇二七年には品川―名古屋間を開業、二〇四五年には大阪まで延びるとされておりますが路線の中で本県は県北の南アルプス直下をトンネルで通過するだけであります。これまで主として環境影響に重点が置かれた調査が行われ、それぞれの対応方針が決まり今日に至っております。
 先ごろ県の環境影響評価審査会は、トンネルの掘削で出る湧水を全て大井川に戻すようJR東海に要求すべきとの答申案をまとめました。JR東海は計画提示のときから最大毎秒二トンの減水を予想、事後調査報告書では必要に応じてポンプでくみ上げる。中下流域で懸念されている水資源利用への影響は回避するとしています。審査委員側は二トンの減水回避のほか戻す際には水温や水質に問題がないことを確認すべきであり、懸念が大きい利水者十一者とポンプアップの恒久実施を明記した協定書の締結を求めることを主張しております。JR側は渇水期などに限定した必要なときにとの立場であり、導水路トンネルを整備しても毎秒○・七トンの減水が懸念されております。
 これらを踏まえて、JR東海に四月上旬に知事意見が出されていますが、回答では必要に応じできるだけ低減すると一歩の前進も見られておりません。毎秒○・七トンの減水量はJR東海にとっては大した問題ではないとの考えが根底にあるように思えます。日本人は水は多岐にわたって有効利用していますが、この毎秒〇・七トンは約十五万人の生活用水に匹敵すると言われております。
 知事は、JR東海の回答に対してトンネル湧水の全量を恒久的かつ確実に大井川に戻すことの早期表明を初め知事意見書で求めた各事項について誠実な対応を求めていくとコメントが出されていますが、今後の推移、対応はどのように考えているのか伺います。
 また、流量の変化をリアルタイムで把握して対処すべきと思われますが、その方法はどうするのか、常時のポンプアップや山梨県境からの導水路トンネルの活用も有効な手段と思われますが、どのように考えるのか伺います。
○議長(杉山盛雄君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 中澤通訓議員にお答えいたします。
 このたび、私が三期目の県政を預かることになりまして激励を賜りました。ありがとうございます。
 さて、私の政治姿勢、特に仏の川勝の真意についてであります。
 先の知事選におきまして、二期八年間の県政運営が評価され多くの県民の皆様から御支持をいただきましたが、静岡市におきましては市長との関係を御心配される向きが多く声もたくさん寄せられまして得票数も相手候補を葵区並びに駿河区において下回る結果となりました。私はこうした声を謙虚に受けとめ今後はけんかに見えるようなこともしないと、宮沢賢治の詩にありますように決して怒らず、あらゆることを自分を勘定に入れず、よく見聞きしわかり、そして忘れずに社会のため人のために働くという決意を固めておりまして、そういう姿勢に徹するとの思いを持って仏の川勝になると申し上げたところであります。
 それは、県民、市民の皆様に感情的あつれきと誤解を招くけんかはしないという趣旨であります。決して事なかれ主義で課題を放置することではありません。相手におもねる態度を容認するものではありません。地元住民の理解を十分に得ないままに事業が進められようとしている事態は誤りです。また県民、市民の生命、財産に及ぶ問題について決して見過ごしてはならないというふうに考えております。
 私の政治姿勢は、日本が明治の初めに、来年は明治維新百五十年を迎えますけれども、その冒頭で立てた五箇条の御誓文のうちの最初の三箇条「広く会議を興し万機公論に決すべし」と、「上下心を一にして盛んに経綸を行うべし」と、「官武一途庶民に至るまでおのおの志を遂げ、人心をして倦まざらしめんことを要す」というものであります。そうした上で県民、市民の利益になるための取り組みを後押ししてまいります。
 虚言を吐けば閻魔大王から舌を抜かれます。不条理、不公平なことをしたり津波で人が人災によって失うことがあれば、その人災を起こした人間は水攻めに遭い続けるでしょう。閻魔大王というのは地蔵菩薩の化身であるとも言われております。仏もさまざまなお顔をお持ちでございまして、悪いことをすれば極楽には行けぬと、地獄に落ちるということでございますので私はそのような仏の計らいに身を委ねまして、私自身は決して怒らないということでございます。
 また、議員御指摘のとおり選挙の際に来静いただきました小池東京都知事、大村愛知県知事、また上田埼玉県知事には私流の県民本位の政治姿勢に御共感をいただいてその旨を表明していただきました。小池知事は都民ファーストと言っておられますけれども、我々は県民の県民による県民のための県政をしいているところでございます。そうした共通の視点から県境を越えた連携について積極的に取り組んでまいりたいと考えております。今後とも県民の皆様の公益、福祉、利益を最優先に考えまして、公平無私、現場主義、是々非々の姿勢で県民幸福度の物心ともに豊かな幸せを最大化するように県政運営に全力を傾注してまいります。以上でございます。
○議長(杉山盛雄君) 木くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 木利夫君登壇)
○くらし・環境部長(木利夫君) リニア中央新幹線の南アルプストンネル建設計画についてお答えいたします。
 JR東海は、このトンネル工事により大井川の流量が毎秒二トン減少すると推計しておりまして、トンネル内に発生する湧水のうち一・三トンについて設置する導水路トンネルにより大井川へ戻す計画でございます。減少する〇・七トンは年間に換算いたしますと二千二百万トンになります。先ほど議員は十五万人に影響するというお話でございましたけれども、一日三百リットルの計算で申し上げますと約二十万人の水道使用量に相当する非常に大きな水量でございます。またJR東海は流量の減少が大井川中下流域の水資源利用に影響が生じないよう必要に応じてポンプアップして大井川に戻すとしておりますが、大井川の流量の変化をリアルタイムで計測したとしてもトンネル工事を原因とする影響量を特定することは現在の技術力では不可能であります。
 このため、大井川の河川流量の減少を確実に回避できる対策として大井川下流利水者十一団体並びに県はトンネル湧水の全量を大井川に戻すべきと考え、これを実現させるためJR東海との基本協定の締結に向けて調整を続けております。さらに常時ポンプアップなどの具体的な手法につきましては、今後設置する予定の利水者とJR東海、県で構成する調整組織の中で協議を進めてまいります。
 また、動物、植物、生態系等の保全についても今後提出されるトンネル工事の施工計画や環境保全計画などに確実に反映されるよう促すとともに、県条例に基づきまして植生の回復等を内容とする自然環境保全協定を締結するなど自然環境の破壊防止に努めてまいります。
 県といたしましては、大井川の水資源を保全し流域住民の生活と産業を守るため、JR東海に対して具体的な保全対策が必ず実行されるよう不退転の決意で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 中澤通訓君。
       (六十五番 中澤通訓君登壇)
○六十五番(中澤通訓君) ありがとうございました。
 知事からは、桜ヶ丘病院に端を発した静岡市民の、特に清水区の問題でありますが、力強くバックアップをしていただけるということであります。住民はそうした気持ちを、常に政治に対する気持ちをこれからも勉強しながら進めていくということでありますので、ぜひとも最後まで大きなお力をいただきたいと思っておりますのでよろしくお願い申し上げます。
 選挙中知事は、子供のときからうそをついてはいけない、ひきょうなことはしてはいけないと強くしつけられたということを何回か口にされていました。そのことが政治的なバックボーンになって時には強烈な言葉として出てきたというふうに私は善意に解釈をしております。
 たまたま最近国会で国会議員の不用意な発言がありまして、これに対して大島理森衆議院議長はこのときに当たり綸言汗のごとしという言葉を発せられています。君主が一度口にした言葉は取り消すことができないという意味のことであります。指導者の発言は重いものであり大切なものと考えての発言で、国会議員の人たちにしっかりしなさいよということで発言されたと思っております。これからの四年間は、二期八年にわたっての経験、実績を積まれたわけでありますから、堂々と県民福祉の充実を初めとする県政推進の諸問題解決に個性豊かな行政をもって挑戦してほしいと思っておりますのでよろしくお願いいたしたいと思います。
 病院のことについては、知事は御存じのようにいつどこでどのような経過によってこういう形になったのかいまだ住民にも正しい情報が伝わってきません。また説明をしようとしておりません。既にもう決まったことだということでいろんなものを進めていらっしゃるようでありますが、静岡市の決定には多分に無理があると私は感じております。地方行政こそ住民の理解の上に成り立つものであると考えますし、何が真実なのか、何が正義なのか、何が住民にとって幸せなのかをもって、知事はしかるべきときしかるべき場所においての発言、決断を今後も大いに期待をいたしますのでもし御発言があれば、またお聞かせいただきたいと思います。
 また選挙中、近隣の知事さんが応援に来られてこんな発言をされております。それぞれ連携を持っていきたい、そして近隣でありますから中央とは違う地方の政治という中で知事はやっていきたいというのは常々言われております。何か具体的なことがあればここであえてお答えいただければと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 リニアのことについては、おおむね昨日と答えは似ておりますけれども、結局JR東海の回答書の末尾にはこのように書かれております。環境影響評価法に基づく工事施工前の環境影響評価の手続は完結しております。本回答は環境影響評価法第二十一条第二項四に基づく事業者の見解を補完するものではないということを申し添えますということで自分たちは間違いないよということをかたくなに保っているということであります。そして既に地権者である特種東海製紙との環境保全に関する合意をしたということで、これを踏まえてJR東海はトンネルの本線工事と湧水の導水路トンネルの施工業者の公募も開始をしている状況であります。
 利水者十一者との協定は、やっぱり守ってもらわなきゃいけないし、締結してもらわなければいけない。これは最後までこれができなければスタートしないよということでないと私はなし崩しにされてしまうのではないかと思います。そのことを危惧しております。そのことに対してどのように考えられるのかをお聞かせいただきたいと思います。やはり不退転の気持ちをあらわしていただくこと、そういうことによってJR東海がどういう形でこの問題を解決していくかということであります。この全線開通すれば、JR東海の公表されたことでありますと原発二機分ぐらいの発電量で済むんだという、どっちかというと軽いような言い方されますが、本当にそのことが必要なのかどうかも改めて私たちは地方の人間として聞いてみたいと思っていますが、なかなかこれについてはのれんに腕押しということであります。こういうことで果たしていいのかなと思います。
 改めてお聞きいたしますが、南アルプスのあの直下は、いわば日本の大事な場所でありまして、フォッサマグナの西側の境界線、糸魚川―静岡構造線が走っている場所でもあります。昨日は丹那トンネルの工事のことをおっしゃいましたけれども、黒四ダムのときも断層破砕帯にぶつかって大きな事故に遭っております。地下千メートルのところを掘るということでありますが何が起こるかわかりません。果たしてJR東海は事前の調査で大丈夫だということを言明して、皆さん方にもその資料を出されているのかどうか、これについては甚だ私は疑問であります。
 先ほど申し上げましたように、十一者との締結、そしてまたポンプアップの技量、そして適量の水量の調査、そういうものもろもろが全て締結されない限りは工事はできませんよと、静岡県の工事は一切まかりならんということの意思表示を改めて私はしていただきたいと思っております。
○議長(杉山盛雄君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 御質問いただきまして、ありがとうございました。
 まず、政治姿勢にかかわることでございますけれども、天網恢々疎にして漏らさずと言われますように、どんなような巧妙なことをしても悪事は必ず見ていると、見られているということだと存じます。私は小さいときから天知る、地知る、我知ると、天は神様が見ていると、地は世間が見ていると、一番よく知っているのは自分自身であると、ですからうそをついてはいけないというふうに育てられました。そういう姿勢は、私は知事であろうと子供であろうと同じであるというふうに思っている次第でございまして、そういう姿勢は貫いてまいりたいと存じます。
 また、地域連携につきましては今の政治のあり方がやや一強というふうに言われますけれども、権力の私物化とまでは言いませんけれども、お友達であるとか特に親しい人たちによってその国政が営まれているように見受けられます。そうした中で主権在民ですからそれぞれ住民が主役です。ですから住民本位の仕事をしなくちゃなりません。住民による住民のための政治をしていくという志がある人たちがいるということがわかっておりますので、そういう連携につきましてはこれからも西におきましては三遠南信の長野県や愛知県との連携がございます。それから山梨県とは中部横断自動車道を通じた、また富士山を通じた連携がございます。また神奈川県、首都圏におきましてはこのオリンピック・パラリンピックを通じた連携もございます。最近小池都知事のほうにうちの役人がまいりましたところ、お約束のとおり食材について食堂で使ってくださる、そういう段取りが今進みつつもございます。こうしたできるところからやりながら、この住民本位の連携を深めていきたいというふうに思っております。
 それから、南アルプスに関しましてはこれは全量を戻すという約束がない限り、これはもう今でも渇水状態で節水のことをお願いしている状況でございますから、この約束をしない限りは工事に入ってはならんというのが私の基本的な考えでございます。今その約束に至るための協定、検討を始めているというふうにJR東海のほうからは伺っておりますので、その返事をお待ちしてこちらの態度を明確にしたいと。何しろリニア中央新幹線によって本県にメリットは今のところ何もありません。ですからこうしたことを皆様方よく御存じの上で、しかも命また産業にかかわる水でございますので、しかも大井川の水でございますので十市町ぐらい、九十万、何十万人もの人たちのこの命や生業がかかっておりますから、これは私は全体の代表といたしまして態度を明確にする場所が、また時が来ればそれを明確にすることを約束をいたします。以上でございます。ありがとうございました。
○議長(杉山盛雄君) 中澤通訓君。
       (六十五番 中澤通訓君登壇)
○六十五番(中澤通訓君) 次に、教育行政についてのうち、授業時間の確保と教員のレベルアップについて伺います。
 平成三十二年から順次、小中学校の新学習指導要領が全面実施をされます。小学英語の教科化や討論、意見発表を重視した主体的、対話的で深い学び、いわゆるアクティブラーニングの導入など大きな変化が求められております。教員が教科として教えるにはしっかりと勉強すべきであり、英語においては正しい発音や文法を身につける必要がありますが、現在の小学校教員は大学での教職課程で英語指導法は必修ではなく教員の資格者となっております。英検準一級レベル以上の中学校教員確保の目標もかなり困難な現状で、果たして大丈夫なのか心配であります。
 英語教育の拡充に伴い、小学校の年間授業時間一こま四十五分は三から六年生でそれぞれ三十五時間ふえるということであります。あわせてコンピューターを操作する手順を論理的に考えるプログラミング教育も必修化されます。そのための授業時間の確保、英語を担当する教員のレベルアップ等に対する不安、懸念の声も聞かれております。
 さらに、新たに道徳が特別な教科として採用され、これについては来年度から小学校において全面実施されます。教科化されますが点数化した評価はしないと聞きます。道徳をどのように教え評価していくのかが問題であります。
 こうした中、授業時間の確保や教員の指導力向上は喫緊の課題であると思います。各学校がそれぞれ工夫をしている現状だと思いますが、市町単位で見てみますと、吉田町ではこれらの問題解決に向け夏休みの長期休暇を短縮しての対応等が提案されています。この取り組みは教員の多忙化解消にも関係していると聞いております。
 そこでお伺いします。教育委員会が、今回の改訂に伴い授業時間の確保と教員のレベルアップの研修にどのような対応を考えているのかお伺いいたします。
 次に、部活動の外部指導者の活用について伺います。
 学校の部活動における外部指導者は、生徒たちの活躍や教員の負担軽減に大きく寄与しており重要な存在となっております。さきの報道でも本年四月から地域のスポーツ指導者らを部活動指導員として学校教育法施行規則に明記したとあります。これまで責任や待遇などが曖昧でしたが、これを正式に位置づけたものであります。実技指導や大会への引率、顧問への就任が可能とのことであります。しかし課題は多くあります。
 外部指導者の活用はこれまでも主として運動部を中心に行われてきましたが、採用方法は学校任せであったのではないでしょうか。教員、外部指導者を問わずとかく勝利至上主義になりがちで指導が過熱し、暴行等により生徒が自殺するという痛ましい事件も起きております。そのため特に外部指導者の採用に当たってはメンタルな面の調査も大切なことであり、採用後の研修も必要であると思います。
 そこで、本県の部活動における外部指導者の実態はどうなっているのか、外部指導者の活用によってどのような効果があったのか、また今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、学校運営支援員について伺います。
 県教育委員会は、昨年度から高校のモデル校で学校運営支援員を活用し多忙化解消に取り組んでいると聞いております。この取り組みは支援員による教員の教材準備の手伝いを初めもろもろの校務の支援をしていくことによって多忙化解消に大きな効果を上げているとのことであります。岡山県でも二年前から全県下対象に小中学校で同様なシステムで実施をしております。算数のプリントの印刷、学校行事の準備や後片づけ等を教師業務のアシスタントと称して教員OBや主婦らを時給千九十円で一日五時間勤務で採用、教員の退勤時間が平均一時間程度早まったとの実績もあります。また横浜市や前橋市も同様の取り組みを始めたと聞いております。このように学校支援員の活用は教員の多忙化解消に一定の効果があると考えております。
 そこでお伺いいたします。県内の小中学校においても同様の取り組みを推進していく必要があると考えますが、県教育委員会の所見を伺います。
 次に、定員割れしている高校の魅力化について伺います。
 例年三月に高等学校入試が行われ合格者発表と同時に再募集が発表されます。平成二十七年度は三十三校四十科で五百七人の再募集で、応募は六十二人。平成二十八年度は二十七校三十七科で三百九十八人の再募集で、応募は六十人。平成二十九年度は三十七校四十二科で四百七十九人の再募集で、応募は六十二人という状況であります。十五人以上の再募集常連校も見られます。
 こうした中ではありますが川根高校の取り組みは大きな関心を持つものであります。川根高校は過疎地ということであり年々定数に満たない中でありましたが、町長、町議会、教育長等の高校の廃校は地域の文化がなくなるとの危機感から脱出策を模索、検討し、高校生の県内留学生の募集に踏み切って、宿舎を完備しての体制づくりをし成果を上げております。定員確保には道遠しの感はありますが、地域の情熱は衰えることなく県外募集へ踏み出す準備をしているとのことであります。県教育委員会もこれらへの理解を深め協力体制をしているとのことでありますが、地域の活力向上のために万全の協力を私からもお願いをいたします。
 ところで、人口減少時代に入り県立高校の長期化計画検討委員会が始まったとのことですが、そこでの検討内容と今後の推移、実施に向けた時期の設定などはどのように考えているかお伺いをいたします。
 今回、高校の県外募集のことで調べてみますと、公立高校の県外募集はよく知られている島根県の海士町にある県立隠岐島前高校のように離島等特別な地域だけではなく、全国で行われていることがわかりました。北海道、鹿児島県の二十校を初め全国で二十二道県、百三十四校により、ここ五年間で二・四倍になったとの報道もあります。当たり前のように毎年行われている県立高校の再募集を考えると、こうした全国募集も必要と考えられます。単に募集するのではなく、その地域、学校が情報発信できるものがなくてはうまくいかないと思っております。
 鹿児島県肝付町の県立楠隼中学・高校は、近くのロケット発射場を持つ宇宙航空研究開発機構――JAXAとの連携による宇宙学を、先ほどの県立隠岐島前高校では公営の学習塾を開いて進学実績の向上を図ったりブータンとの交流も行ったりするなど魅力化も大切なことであります。
 いつまでも同じような募集でなく新しい方法も考えていくことが大切ではないかと思いますが、定員割れしている高校の魅力化について教育委員会の考え方をお聞かせください。
○議長(杉山盛雄君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) 御質問ありがとうございました。
 それでは、今、四つございましたので順番にお話しさせていただきます。
 まず、教育行政についてのうち、授業時間の確保と教員のレベルアップについてお答えいたします。
 県教育委員会では、全ての学校で新しい学習指導要領に対応した教育が実践されるよう平成三十二年度の全面実施に向け市町教育委員会及び学校と協力して準備を進めているところであります。授業時間の確保につきましては文部科学省の調査研究事業を県内二市町――袋井市と長泉町の小学校において実施しております。袋井市では学校行事等の年間計画の見直しを、また長泉町においては短時間学習の取り扱いを含めた授業日数と授業時数のあり方をテーマに取り組んでおり、この事業の成果等を県内の全小中学校に周知しながら学校ごとの工夫した取り組みを促進してまいります。
 英語を担当する教員のレベルアップにつきましては、全ての小学校を対象とした外国語活動実践研修やTOEIC等の英語資格試験を組み込んだ研修を計画的に開催しております。また一定の授業実践経験やリーダーシップを有する教員を本県独自に認定する制度を設け、平成三十二年度までに各学校に英語免許所有者あるいは認定者を最低一人は配置することを目標としております。さらに県内の教員養成課程を持つ大学に対して英語指導力のある学生の養成を依頼しているほか、小学校の教員採用試験において英語の中学校教諭免許状等を取得している場合の加点など英語能力が備わった教員の確保にも努めております。
 県教育委員会といたしましては、教職員や保護者、児童生徒に混乱が生じることなく学習指導要領に示された主体的、対話的な深い学びが実践されるよう万全の準備を進めてまいります。
 次に、部活動の外部指導者の活用についてであります。
 平成二十八年度の調査によると、県立学校及び政令市を除く市町立学校のうち高等学校では約九百二十名、中学校では約七百六十名の外部指導者が部活動の指導に当たっており、子供たちの成長や教員の負担軽減に大きな役割を果たしていただいております。これらの指導者に対しましては部活動が教育活動の一環であることの理解や効率的な指導方法、生徒の健康管理等についての研修を行っており、体罰などの行き過ぎた指導や勝利至上主義に陥らないよう繰り返し伝えてきております。学校からは技能の向上や大会での活躍はもとより、規則正しい学校生活や生徒の意欲の高まり、集中力のアップとともに教員の負担感の軽減などの成果が報告されており、外部指導者を受け入れた効果が発揮されてきているものと考えております。
 なお、本年三月に学校教育法施行規則に部活動指導員が定められましたが、身分、服務など必要な事項については学校設置者が定めることとされております。
 県教育委員会では本年度、部活動指導員の活用に係るモデル事業を実施し、この状況を踏まえて具体的な運用に係る規則等を整備してまいります。さらに部活動のあり方や適切な休養日、実施時間帯を示した部活動指導のガイドラインを作成し、生徒にとってバランスのとれた活動の推進とともに教員の部活動指導に対する負担軽減にも努めてまいります。
 次に、学校運営支援員についてであります。
 県教育委員会では、小中学校の教職員の勤務環境を改善するため平成二十八年から未来の学校「夢」プロジェクトを実施しており、県内四つの小中学校をモデル校に指定し教員の多忙化の抜本的な解消に向けた研究を進めております。昨年度は教員が実際に行っている業務の中で教員以外の者が担えるものを洗い出し、教員の負担軽減や課題の整理をしたところであります。
 具体的には、大学院生や保護者、地域住民の協力により事務作業や環境整備作業を行っていただくもので、業務上の負担は軽減されたものの、外部スタッフとの情報共有や業務管理に課題が残されております。本年度はさらなる業務の効率化を目指し学校におけるICTの活用への支援や教職員の業務管理、部活動の外部指導者との調整など各モデル校の状況に応じて支援員を配置し、教員が担う業務に外部の支援を取り入れる方策などについて研究を進めているところであります。
 県教育委員会といたしましては、引き続き県内のモデル校による取り組みを進めるとともに、市町教育委員会に研究成果を情報提供し小中学校においても支援員の配置により教職員の負担軽減を図りながら学校運営の質が向上されるよう取り組んでまいります。
 次に、定員割れしている高校の魅力化についてであります。
 県教育委員会では、昨年五月から学識経験者等で構成する検討委員会を設置し今後十年間の県立高校のあり方を検討していただいております。これまでに生徒や社会のニーズ、地域の実情等を踏まえた魅力化や中山間地域の小規模校のあり方などについて議論し、八月下旬には最終報告を取りまとめていただく予定となっております。
 議員御指摘のとおり、平成二十九年度の入学者選抜において三十七校四十二学科で再募集を実施いたしました。しかしながら中山間地の学校や一部の専門学科等で定員割れが発生しております。募集定員は進学予定の中学生の人数や公立高校と私立高校の受け入れ割合、地域バランス、普通科、専門学科等の適正配置などを考慮して決定しており、定員割れは中学生の志願動向とともに交通の利便性等の地理的な要因によって生じているものと考えております。既に県内の高校では地域資源を活用した探究的な学習、大学や企業等と連携した高度で実践的な教育内容の導入、ICT機器を活用した授業改善など学校ごとに特色ある取り組みを進めております。
 県教育委員会といたしましては、検討委員会の御意見をもとにより一層各学校の魅力化を図ってまいります。また特に中山間地域の学校については中学生が進学を希望したくなるような魅力ある学校づくりと合わせ、募集方法、地元自治体と連携した生徒の受け入れ体制の充実などを検討していきたいと考えております。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 中澤通訓君。
       (六十五番 中澤通訓君登壇)
○六十五番(中澤通訓君) 道徳の教科採用に、論語の素読を提案をしたいと思っております。
 江戸時代に入って長く太平の時代が続いたわけでありますが、この当時、聞くところによると全国で三万余の寺子屋があってその授業のほとんどは論語の素読に充てられたということであります。近代日本のスタートがスムーズにできたのもこの寺子屋制度の成果ではないかという方もあります。非常に人間形成に必要なこと、求めること、そういう言葉が短い言葉で入っていますので、ぜひこのことについては検討をしていただきたいと思います。点数がつけられないことでありますがぜひお願いをしたいと思います。
 授業時間の確保については、既に全国の公立小学校の四分の一に当たる五千校は土日祝日を活用した授業を行っております。鹿児島県はほんの一部を除いて第二土曜日も全県で授業があるというふうにしているわけでありますが、教育委員会はどのようにこうしたことを考えていくのか、そのことについて改めてお聞かせください。
 外部指導員についてはこういう言葉があります。あるスポーツの大会において、全国大会でありますが、そのときに言われていた言葉、指導者の言葉であります。役立たず、消えろ、バカ、親の顔が見たいという言葉が行き交っていたということであります。これは新聞社がかかわった大会での模様であります。指導者はやはりしっかりとした研修がなければどういう言葉を言うかわかりません。ぜひそのことについては十分事前に対応していくことが大切だと思いますので、その点も改めてお聞かせください。
 最後に、高校の県外募集でありますが、隠岐島前高校はことしは百八十四人中八十七人、実に四五%が県外からの留学生で学校が成り立っております。そしてその中にはそのまま移住する方もあります。当然移住を考えた制度も島では考えているところであります。秋田県でも小中学校の山村留学を行っていますが、当然教育委員会部局と合わせて知事部局の方の人口移住の対策の方をセットでやっています。そういうことも必要ではないかと思っております。
 そういうことも考えながらお聞かせいただきたいと思いますが、最後に知事にお聞きいたしますけれども、もろもろいろんな問題があります。やはり教育総合会議できちっとしたこういう対応をしていただかなければならない。高校の魅力化ということがありますけれども、高校の校長が二年おきに三校も動いているのが現実なんです。果たしてこれがいいのかどうか。やっぱり根本に立ち入って今、あり方を両者しっかりとした中で一つの方向づけを出していただく時期ではないかと思います。そのことが高等学校の魅力化になると私は考えておりますが、最後にその点についてもお聞かせいただきたいと思います。
○議長(杉山盛雄君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) 再質問のほう、ありがとうございました。
 まず最初、論語のことをお話しされましたけれども、私も論語少し読ませていただいていますけれども、多くの言葉に触れて先人がいろいろな教えをそこに示されていると、これは非常に大変価値のあることだと思いますし、こういうようなことについても今の若い人たちが生きていく上で、また特に道徳教育もありますのでぜひ活用していきたいなと思っています。
 それから二点目は土曜授業でしたね。これは今新聞報道でもいろいろ言われています鹿児島県のほうが試行的に進んでおります。これについても我々随時いろんな情報もいただいておりますし連絡もとっております。一つのケースとして今やられておりますし、ほかの県でもいろいろとやられていますけれども、それらも注視しながら静岡県として最もふさわしい形を考えていきたいとこのように考えております。よろしいでしょうか。
○議長(杉山盛雄君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 教育にかかわる再質問にお答えいたします。
 総合教育会議というのは、政府のお決めになったことで法律で定められているものでございますが、各自治体の首長が教育委員会に出席して教育について議論をするというものであります。私どもはそこに首長の、すなわち私自身の恣意が入ってはならないということから、社会総がかり、地域ぐるみであるということをしっかり担保するために、もう既にことしで四年目に入っておりますけれども地域自立のための「人づくり・学校づくり」実践委員会というのを開いておりまして、それに私必ず出席いたしまして二時間近く議論をしていただくんですが、そのときに私は求められない限り決して意見を言わないでじっと拝聴していると。その意見をまとめてこの総合教育会議に持っていくことをしているわけでございます。この地域自立のための学校づくり、人づくり、通称実践委員会というところはいろんな方々にお越しいただいて意見を聞くというそういう制度設計になっておりますので、きょう中澤議員の言われたようなことを中澤議員御自身でも、あるいはどなたか適切な方がいらっしゃればその方に御提案いただきましてその実践委員会でしっかりもんでいただいて、そしてそこで合意を得られることになりましたらば私がそれを代弁する形で、あるいは時にはこの実践委員会の委員長、今は矢野弘典さんです。それこそ論語塾をみずから開いている方でありますが、副委員長は静岡文化芸術大学の副学長をされている池上教授でございますが、あわせて総合教育会議にも御出席いただきまして、総合教育会議はそれも制度的に許しているものですから、そこで私の偏りがないことをしっかりチェックしていただきながら総合教育会議で最終的にお決めいただいて、そしてそれを教育の現場におろしていくというやり方をとっておりますので、その点御承知おきをいただきまして、私としましてはきょう御提案いただきましたこと、いずれもユニークでここからいろいろとやれることがあるということも種々啓発されました。そうしたことが教育に生かされていくように尽力したいと思います。以上でございます。

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